【実施例】
【0067】
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例、比較例において、得られる化合物の組成・構造の同定等は、次の手法により行った。
【0068】
<
1H−NMR>
Bruker製核磁気共鳴装置 AC400(400MHz)を用いて測定し、CDCl
3−d又はDMSO−d
6を溶媒とし、内部標準のTMSからのケミカルシフトδ(ppm)を示した。なお、
1H−NMR測定において、sはシングレット、dはダブレット、tはトリプレット、Jは結合定数を表す。
【0069】
<
13C−NMR>
Bruker製核磁気共鳴装置 AC400(101MHz)を用いて測定し、CDCl
3−d又はDMSO−d
6を溶媒とし、内部標準のTMSからのケミカルシフトδ(ppm)を示した。
【0070】
<FT−IR>
日本分光製フーリエ変換赤外分光光度計 FT-IR4200を用いて、KBr錠剤法又はフィルム法により測定した。
【0071】
<元素分析>
PerkinElmer製元素分析装置 2400を用いて、炭素、水素及び窒素元素の構成比率を測定した。
【0072】
<分子量測定>
東ソー製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー HLC−8220GPCを用い、キャリア溶媒としては、NMPにLiBrを0.01モル濃度で溶解したものを使用し、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)をポリスチレンを標準物質として測定した。
【0073】
<対数粘度η
inh>
0.5g/dLのNMP溶液を調製した後、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定した。
【0074】
<融点測定>
島津製作所製示差走査熱量計 DSC-60を用いて、昇温速度5℃/分で測定した。
【0075】
(トリアジンジクロリドの合成1)
温度計、攪拌器、塩化カルシウム管及び滴下ロートを取り付けたフラスコに、塩化シアヌル(2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン)3.50g(19.0
mmol)とTHF(テトラヒドロフラン)100mLを加え、攪拌しながら溶解させた後に、氷浴で0〜5℃に冷却した。2.12g(19.4mmol)のp-アミノフェノールを80mLのTHFに溶かした溶液を温度上昇に注意しながらゆっくりと滴下し、0〜5℃で2時間攪拌した。
【0076】
次に、1.03g(9.74mmol)の炭酸ナトリウムを50mLの蒸留水に溶かした水溶液を、温度上昇に注意しながらゆっくりと滴下し、0〜5℃で2時間撹拌した。その後、反応混合物を飽和食塩水で洗浄し、有機層を回収した。有機層を無水硫酸ナトリウムで一晩乾燥した。無水硫酸ナトリウムをろ別した後、ろ液からTHFを留去することにより、下記式(10)で表される6−(p−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジクロリドの粗生成物を得た。
【化10】
これをTHF/n−へキサンの混合溶媒により再結晶した後、60℃で6時間減圧乾燥し白色の粉末状結晶を得た(収率49%)。融点は214〜215℃であった。該生成物の構造は
1H−NMR測定(溶媒:DMSO−d
6)
13C−NMR測定(溶媒:DMSO−d
6)で確認した。分析結果を以下に示す。
【0077】
(1)
1H−NMR(ppm) δ6.78(d,2H,Ar−H),7.33(d,2H,Ar−H),9.49(s,1H,OH),10.9(s,1H,NH)
(2)
13C−NMR(ppm) δ169.5(C=N),168.4(C=N),163.4(C=N),154.9(C=C),127.9(C=C),123.5(C=C),115.2(C=C)
【0078】
(トリアジンジクロリドの合成2)
温度計、攪拌器、塩化カルシウム管及び滴下ロートを取り付けたフラスコに、塩化シアヌル23.23g(126mmol)とTHF90mLを加え、攪拌しながら溶解させた後に、氷浴で0〜5℃に冷却した。16.50g(134mmol)のp-(メチルアミノ)フェノールを80mLのTHFに溶かした溶液を温度上昇に注意しながらゆっくりと滴下し、0〜5℃で2時間攪拌した。
【0079】
次に、6.63g(62.5mmol)の炭酸ナトリウムを60mLの蒸留水に溶かした水溶液を、温度上昇に注意しながらゆっくりと滴下し、0〜5℃で2時間撹拌した。その後、反応混合物を飽和食塩水で洗浄し、有機層を回収した。有機層を無水硫酸ナトリウムで一晩乾燥した。無水硫酸ナトリウムをろ別した後、ろ液からTHFを留去することにより、下記式(11)で表される6−(N−メチル−p−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジクロリドの粗生成物を得た。
【化11】
これをTHF/n−へキサンの混合溶媒により再結晶した後、80℃で6時間減圧乾燥し、白色の粉末状結晶を得た(収率53%)。融点は164〜165℃であった。化合物の構造は
1H−NMR測定(溶媒:CDCl
3−d)、
13C−NMR測定(溶媒:CDCl
3−d)で確認した。分析結果を以下に示す。
【0080】
(1)
1H−NMR(ppm) δ3.50(s,3H,CH
3),6.84(d,2H,Ar−H),7.06(d,2H,Ar−H),7.40(s,1H,OH)
(2)
13C−NMR(ppm) δ170.1(C=N),169.8(C=N),165.1(C=N),155.9(C=C),134.1(C=C),127.1(C=C),116.3(C=C),39.5(CH
3)
【0081】
(トリアジンジクロリドの合成3)
温度計、攪拌器、塩化カルシウム管及び滴下ロートを取り付けたフラスコに、塩化シアヌル56.1g(0.30mol)とTHF150mLを加え、攪拌しながら溶解させた後に、氷浴で0〜5℃に冷却した。28.3g(0.30mol)のアニリンを80mLのTHFに溶かした溶液を温度上昇に注意しながらゆっくりと滴下し、0〜5℃で2時間攪拌した。
【0082】
次に、19.5g(0.18mol)の炭酸ナトリウムを90mLの蒸留水に溶かした水溶液を、温度上昇に注意しながらゆっくりと滴下し、0〜5℃で2時間撹拌した。その後、反応混合物を飽和食塩水で洗浄し、有機層を回収した。有機層を無水硫酸ナトリウムで一晩乾燥した。無水硫酸ナトリウムをろ別した後、ろ液からTHFを留去することにより、下記式(12)で表される6−アニリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジクロリドの粗生成物を得た。
【化12】
これをトルエン/n−へキサンの混合溶媒により再結晶した後、80℃で9時間減圧乾燥し、白色の針状結晶を得た(収率60%)。融点は134〜135℃であった。化合物の構造は
1H−NMR測定(溶媒:CDCl
3−d)
13C−NMR測定(溶媒:CDCl
3−d)で確認した。分析結果を以下に示す。
【0083】
(1)
1H−NMR(ppm) δ7.22(t,1H,p−Ar−H),7.40(t,2H,m−Ar−H),7.53(d,2H,o−Ar−H),7.86(s,1H,NH)
(2)
13C−NMR(ppm) δ171.3(C=N),170.1(C=N),164.0(C=N),135.6(C=C),129.2(C=C),125.8(C=C),121.0(C=C)
【0084】
上記の操作により得られた三種のトリアジンジクロリドを原料として、トリアジン系ジアミンを以下の手法により製造した。
【0085】
(トリアジン系ジアミンの合成1)
マグネット攪拌子、窒素導入管、冷却管、及び滴下ロートを取り付けたフラスコに、75mLの1,4‐ジオキサン、0.98g(9.2mmol)の炭酸ナトリウム及び12.1g(0.112mol)のp‐フェニレンジアミンを加え、還流温度で攪拌し溶解させた。そこに、2.4g(9.2mmol)の6‐(p‐ヒドロキシアニリノ)‐1,3,5‐トリアジン‐2,4‐ジクロリドを50mLの1,4‐ジオキサンに溶かした溶液をゆっくりと滴下した。その後、還流温度のまま一晩攪拌した。反応混合物を600mLの熱水に投入し、生成物を析出させた。
【0086】
これを熱水で4回、蒸留水で1回洗浄した。ろ過により回収した析出物をアセトンに溶解し、活性炭で処理した。ろ液からアセトンを留去することにより、下記式(13)で表される2,4−ビス(4−アミノアニリノ)−6−(4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン(ATDA-OH)の粗生成物を得た。
【化13】
この粗生成物を、1,4‐ジオキサンにより2回再結晶を行い、200℃で8時間減圧乾燥し、茶色の粉末状結晶を得た(収率47%)。融点は273〜274℃であった。該生成物の構造は
1H−NMR測定(溶媒:DMSO−d
6)、
13C−NMR測定(溶媒:DMSO−d
6)、FT−IR、元素分析で確認した。分析結果を以下に示す。
【0087】
(1)
1H−NMR(ppm) δ4.76(s,4H,NH
2),6.50(d,4H,Ar−H),6.65(d,2H,Ar−H),7.32(s,4H,Ar−H),7.49(d,2H,Ar−H),8.52(s,2H,NH),8.64(s,1H,NH),9.01(s,1H,OH)
(2)
13C−NMR(ppm) δ164.5(C=N),152.8(C=C),144.4(C=C),132.3(C=C),130.0(C=C),122.9(C=C),122.5(C=C),115.2(C=C),114.2(C=C)
(3)FT−IR(cm
−1) 3387(O−H),3327(N−H),3022(C−H),1565(C=N),1518(C=C)
(4)元素分析(C
21H
20N
8O)
計算値:C 62.99% H 5.03% N 27.98%
測定値:C 62.88% H 5.12% N 27.80%
【0088】
(トリアジン系ジアミンの合成2)
マグネット攪拌子、窒素導入管、冷却管、及び滴下ロートを取り付けたフラスコに300mLの1,4‐ジオキサン、7.0g(66mmol)の炭酸ナトリウム及び115g(1.06mol)のp‐フェニレンジアミンを加え、還流温度で攪拌し溶解させた。そこに、18g(66mmol)の6−(N−メチル−p‐ヒドロキシアニリノ)‐1,3,5‐トリアジン‐2,4‐ジクロリドを300mLの1,4‐ジオキサンに溶かした溶液をゆっくりと滴下した。その後、還流温度のまま一晩攪拌した。反応混合物を3000mLの熱水に投入し、生成物を析出させた。
【0089】
これを熱水で4回、蒸留水で1回洗浄した。ろ過により回収した析出物をアセトンに溶解し、活性炭で処理した。ろ液からアセトンを留去することにより、下記式(14)で表される2,4−ビス(4−アミノアニリノ)−6−(N−メチル−p−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン(MTDA-OH)の粗生成物を得た。
【化14】
この粗生成物を、1,4‐ジオキサンにより2回再結晶を行い、180℃で8時間減圧乾燥し、白色の粉末状結晶を得た(収率65%)。融点は260〜261℃であった。該生成物の構造は
1H−NMR測定(溶媒:DMSO−d
6)、
13C−NMR測定(溶媒:DMSO−d
6)、FT−IR、元素分析で確認した。分析結果を以下に示す。
【0090】
(1)
1H−NMR(ppm) δ3.35(s,3H,CH
3),4.71(s,4H,N−H
2),6.42(s,4H,Ar−H),6.77(d,2H,Ar−H),7.10(d,2H,Ar−H),7.28(s,4H,Ar−H),8.48(s,2H,N−H),9.37(s,1H,−OH)
(2)
13C−NMR(ppm) δ166.5(C=N),163.7(C=N),155.1(C=C),136.4(C=C),129.6(C=C),128.1(C=C),115.1(C=C),113.7(C=C),39.5(CH
3)
(3)FT−IR(cm
−1) 3465(O−H),3388(N−H)
(4)元素分析(C
22H
22N
8O)
計算値:C 63.75% H 5.35% N 27.04%
測定値:C 63.86% H 5.58% N 26.58%
【0091】
(トリアジン系ジアミンの合成3)
マグネット攪拌子、窒素導入管、冷却管、及び滴下ロートを取り付けたフラスコに、65mLの1,4‐ジオキサン、8.9g(84mmol)の炭酸ナトリウム及び34.6g(0.32mol)のp‐フェニレンジアミンを加え、還流温度で攪拌し溶解させた。そこに、10.1g(42mmol)の6−アニリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジクロリドを80mLの1,4−ジオキサンに溶かした溶液をゆっくりと滴下した。その後、還流温度のまま一晩攪拌した。反応混合物を500mLの熱水に投入し、生成物を析出させた。
【0092】
これを熱水で4回、蒸留水で1回洗浄した。ろ過により回収した析出物をアセトンに溶解し、活性炭で処理した。ろ液からアセトンを留去することにより、下記式(15)で表される2,4−ビス(4−アミノアニリノ)−6−アニリノ−1,3,5−トリアジン(ATDA)の粗生成物を得た。
【化15】
この粗生成物を用いて1,4−ジオキサン/n−ヘキサンの混合溶媒により2回再結晶を行い、190℃で6時間減圧乾燥し、薄茶色の粉末状結晶を得た(収率58%)。融点は224〜225℃であった。該生成物の構造は
1H−NMR測定(溶媒:DMSO−d
6)、
13C−NMR測定(溶媒:DMSO−d
6)、FT−IR、元素分析で確認した。分析結果を以下に示す。
【0093】
(1)
1H−NMR(ppm) δ4.78(s,4H,Ar−NH
2),6.53(d,4H,NH
2−o−Ar−H),6.94(t,1H,p−Ar−H),7.23(t,2H,m−Ar−H),7.34(d,4H,NH
2−m−Ar−H),7.79(d,2H,o−Ar−H),8.64(s,2H,Ar−NH−Ar),8.95(s,1H,Ar−NH)
(2)
13C−NMR(ppm) δ164.1(C=N),164.0(C=N),144.1(C=C),140.4(C=C),129.0(C=C),128.2(C=C),122.6(C=C),121.4(C=C),119.9(C=C),113.8(C=C)
(3)FT−IR(cm
−1) 3387(N−H),1618(C=C),1578(C=N)
(4)元素分析(C
21H
20N
8)
計算値:C 65.61% H 5.24% N 29.15%
測定値:C 65.88% H 5.36% N 29.07%
【0094】
本発明のヒドロキシル基含有芳香族ポリアミド樹脂の合成に用いる二種のトリアジン系活性エステル(OBBT、IPBT)を以下の手法で製造した。
【0095】
(トリアジン系活性エステルの合成1)
温度計、窒素導入管、撹拌器を取り付けたフラスコに、オキシジ安息香酸(ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸)6.45g(25mmol)、2−クロロ−4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン9.69g(55mmol)及びN−メチル−2−ピロリドン100mLを加え0℃に冷却した。その後、N−メチルモルホリン7.6g(75mmol)を攪拌下で滴下し、15分間反応させ、下記式(16)で表されるビス(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)4,4’−オキシビスベンゾエート(OBBT)の反応液を得た。
【化16】
この反応液を500mLの蒸留水に投入し、析出した生成物を濾別した。酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒で再結晶を行い、室温で減圧乾燥を行った。OBBTの無色の粉末状結晶を得た(収率48%)。融点は131〜132℃であった。該生成物の構造は
1H−NMR測定(溶媒:CDCl
3−d)、
13C−NMR測定(溶媒:CDCl
3−d)、FT−IR、元素分析で確認した。分析結果を以下に示す。
【0096】
(1)
1H−NMR(ppm) δ4.09(s,12H,OCH
3),7.15(d,4H,Ar−H),8.20(d,4H,Ar−H)
(2)
13C−NMR(ppm) δ174.3(C=N),170.9(C=N),161.8(C=O),161.0(C=C),133.2(C=C),123.8(C=C),119.0(C=C),55.9(CH
3)
(3)FT−IR(cm
−1) 2957(C−H),1752(C=O),1594(C=N),1364(C−N),1231(Ph−O),1040(Ar−O−Ar)
(4)元素分析(C
24H
20N
6O
9)
計算値:C 53.73% H 3.76% N 15.67%
測定値:C 53.67% H 3.86% N 15.56%
【0097】
(トリアジン系活性エステルの合成2)
温度計、窒素導入管、撹拌器を取り付けたフラスコに、イソフタル酸2.08g(12.5mmol)、2−クロロ−4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン4.83g(27.5mmol)及びN−メチル−2−ピロリドン50mLを加え0℃に冷却した。その後、N−メチルモルホリン3.79g(37.5mmol)を攪拌下で滴下し、15分間反応させ、下記式(17)で表されるビス(4,6ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)イソフタレート(IPBT)の反応液を得た。
【化17】
この反応液を500mLの蒸留水に投入し、析出した生成物を濾別した。酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒で再結晶を行い、室温で減圧乾燥を行った。IPBTの無色の粉末状結晶を得た(収率34%)。融点は144〜145℃であった。該生成物の構造は
1H−NMR測定(溶媒:CDCl
3−d)、
13C−NMR測定(溶媒:CDCl
3−d)、FT−IR、元素分析で確認した。分析結果を以下に示す。
【0098】
(1)
1H−NMR(ppm) δ4.11(s,12H,OCH
3),7.72(t,1H,Ar),8.47(d,2H,Ar),8.98(s,1H,Ar)
(2)
13C−NMR(ppm) δ174.2(C=N),170.5(C=N),161.4(C=O),136.0(C=C),132.6(C=C),129.4(C=C),129.1(C=C),56.0(CH
3)
(3)FT−IR(cm
−1) 2955(C−H),1753(C=O),1594(C=N),1377(C−N)
(4)元素分析(C
18H
16N
6O
8)
計算値:C 48.65% H 3.63% N 18.91%
測定値:C 48.69% H 3.59% N 18.71%
【0099】
(芳香族ポリアミド樹脂の合成)
上記の操作により得られたトリアジン系活性ジエステルと、芳香族ジアミンを以下の表1の組み合わせで重縮合して、実施例1〜4のヒドロキシ基含有芳香族ポリアミド樹脂と、比較例1〜4の芳香族ポリアミドを樹脂以下の手法により製造した。
【0100】
【表1】
【0101】
なお、表1中ODAは4,4’−オキシジアニリンであり、下記式(18)により表される。
【化18】
【0102】
(実施例1)OBBT‐ATDA‐OHの合成
温度計、窒素導入管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施し、ATDA‐OHを0.400g(1.00mmol)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)2mLを攪拌溶解し、上記で得られたOBBTの粉末を0.536g(1.00mmol)加え、室温で6時間反応させ、ポリアミド樹脂の反応液を得た。メタノール200mLに投入し析出した樹脂を濾別し、更にメタノール100mLで洗浄した後、メタノール還流して精製した。次いで室温まで冷却した後濾過し、濾過物を室温で乾燥させて実施例1のOBBT‐ATDA‐OHのフレークを得た(収率99%)。対数粘度及びGPCの測定結果を表2に示す。また、
図1に、得られたOBBT‐ATDA‐OHのDMSO−d
6中でのNMRスペクトルと、各ピークの帰属を示す。
【0103】
(実施例2)OBBT‐MTDA‐OHの合成
温度計、窒素導入管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施し、MTDA‐OHを0.415g(1.00mmol)、NMP2mLを攪拌溶解し、上記で得られたOBBTの粉末を0.536g(1.00mol)加え、室温で6時間反応させ、ポリアミド樹脂の反応液を得た。メタノール200mLに投入し析出した樹脂を濾別し、更にメタノール100mLで洗浄した後、メタノール還流して精製した。次いで室温まで冷却した後濾過し、濾過物を室温で乾燥させて実施例2のOBBT‐MTDA‐OHのフレークを得た(収率99%)。対数粘度及びGPCの測定結果を表2に示す。
【0104】
(実施例3)IPBT‐ATDA‐OHの合成
温度計、窒素導入管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施し、ATDA−OHを0.400g(1.00mmol)、NMP2mLを攪拌溶解し、上記で得られたIPBTの粉末を0.444g(1.00mmol)加え、室温で6時間反応させ、ポリアミド樹脂の反応液を得た。メタノール200mLに投入し析出した樹脂を濾別し、更にメタノール100mLで洗浄した後、メタノール還流して精製した。次いで室温まで冷却した後濾過し、濾過物を室温で乾燥させて実施例3のIPBT‐ATDA‐OHのフレークを得た(収率98%)。対数粘度及びGPCの測定結果を表2に示す。
【0105】
(実施例4)IPBT‐MTDA‐OHの合成
温度計、窒素導入管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施し、MTDA−OHを0.415g(1.00mmol)、NMP2mLを攪拌溶解し、上記で得られたIPBTの粉末を0.444g(1.00mmol)加え、室温で6時間反応させ、ポリアミド樹脂の反応液を得た。メタノール200mLに投入し析出した樹脂を濾別し、更にメタノール100mLで洗浄した後、メタノール還流して精製した。次いで室温まで冷却した後濾過し、濾過物を室温で乾燥させて実施例4のIPBT‐MTDA‐OHのフレークを得た(収率99%)。対数粘度及びGPCの測定結果を表2に示す。
【0106】
(比較例1)OBBT‐ATDAの合成
温度計、窒素導入管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施し、ATDAを0.384g(1.00mmol)、NMP2mLを攪拌溶解し、上記で得られたOBBTの粉末を0.536g(1.00mmol)加え、室温で6時間反応させ、ポリアミド樹脂の反応液を得た。メタノール200mLに投入し析出した樹脂を濾別し、更にメタノール100mLで洗浄した後、メタノール還流して精製した。次いで室温まで冷却した後濾過し、濾過物を室温で乾燥させて比較例1のOBBT‐ATDAの粉末を得た(収率99%)。対数粘度及びGPCの測定結果を表2に示す。
【0107】
(比較例2)OBBT‐ODAの合成
温度計、窒素導入管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施し、ODAを0.200g(1.00mmol)、NMP(5wt%LiCl)2mLを攪拌溶解し、上記で得られたOBBTの粉末を0.536g(1.00mmol)加え、室温で6時間反応させ、ポリアミド樹脂の反応液を得た。メタノール200mLに投入し析出した樹脂を濾別し、更にメタノール100mLで洗浄した後、メタノール還流して精製した。次いで室温まで冷却した後濾過し、濾過物を室温で乾燥させて比較例2のOBBT‐ODAのフレークを得た(収率99%)。対数粘度及びGPCの測定結果を表2に示す。
【0108】
(比較例3)IPBT‐ATDAの合成
温度計、窒素導入管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施し、ATDAを0.384g(1.00mmol)、NMP2mLを攪拌溶解し、上記で得られたIPBTの粉末を0.444g(1.00mmol)加え、室温で6時間反応させ、ポリアミド樹脂の反応液を得た。メタノール200mLに投入し析出した樹脂を濾別し、更にメタノール100mLで洗浄した後、メタノール還流して精製した。次いで室温まで冷却した後濾過し、濾過物を室温で乾燥させて比較例3のIPBT‐ATDAのフレークを得た(収率97%)。対数粘度及びGPCの測定結果を表2に示す。
【0109】
(比較例4)IPBT‐ODAの合成
温度計、窒素導入管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施し、ODAを0.200g(1.00mmol)、NMP2mLを攪拌溶解し、上記で得られたIPBTの粉末を0.444g(1.00mmol)加え、室温で6時間反応させ、ポリアミド樹脂の反応液を得た。メタノール200mLに投入し析出した樹脂を濾別し、更にメタノール100mLで洗浄した後、メタノール還流して精製した。次いで室温まで冷却した後濾過し、濾過物を室温で乾燥させて比較例4のIPBT‐ODAのフレークを得た(収率99%)。対数粘度及びGPCの測定結果を表2に示す。
【0110】
【表2】
【0111】
(芳香族ポリアミド樹脂の有機溶媒への溶解性)
実施例1〜4、比較例1〜4の芳香族ポリアミド樹脂10mgを、ジメチルアセトアミド(DMAc)、NMP、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン(THF)、3mLにそれぞれ投入し、目視で該芳香族ポリアミド樹脂の溶解性を確認した。評価は以下の4段階で行った。(++…室温で可溶 +…加熱後に可溶 ±…加熱後に部分的に可溶 −…不溶)結果を表3に示す。
【0112】
【表3】
【0113】
実施例1〜4のヒドロキシ基含有芳香族ポリアミド樹脂は、DMAc、NMP、DMSOに室温で可溶であり、THFにも加熱すれば可溶である一方、比較例1、4の芳香族ポリアミド樹脂は、THFに不溶であり、比較例2の芳香族ポリアミド樹脂に至っては、本検討で用いた全ての溶媒に不溶であった。
【0114】
(芳香族ポリアミド樹脂の耐熱性)
実施例1〜4、比較例1、3のポリアミド樹脂をNMPに溶解し,ガラス板上に流涎して150℃で減圧乾燥してキャストフィルムを作製し、耐熱性を以下の方法で測定した。測定結果を表4に示す。
【0115】
<ガラス転移温度:T
g(℃)>
ガラス転移温度は、島津製作所製示差走査熱量分析装置(DSC−60)を用いて、窒素雰囲気中、昇温速度20℃/分で測定した。
【0116】
<10%重量減少温度:T
d10(℃)>
セイコー製熱重量分析装置(TG/DTA320)を用いて、窒素中または空気中、昇温速度10℃/分での昇温過程において、実施例1〜4、比較例1、3のポリアミド樹脂から得られたフィルムの初期重量が10%減少した時の温度を測定した。この値が高いほど、熱安定性が高いことを表す。
【0117】
【表4】
【0118】
実施例1のヒドロキシ基含有芳香族ポリアミド樹脂は、ヒドロキシ基を有さない点以外は同じ繰り返し構造を有する比較例1の芳香族ポリアミド樹脂に比して、T
g(ガラス転移温度)、T
d10(10%重量減少温度)について優れた値を示した。同様に、実施例3は、比較例3に比してT
g、T
d10について優れた値を示した。
【0119】
(芳香族ポリアミド樹脂の機械的特性)
実施例1〜4、比較例1〜4のポリアミド樹脂をNMPに溶解し,ガラス板上に流涎し150℃で減圧乾燥してキャストフィルムを作製し、機械的特性を以下の方法で測定した。測定結果を表5に示す。
【0120】
<破断強度、破断伸び、引張弾性率>
島津製作所製引張試験機(オートグラフAGS−D)を用いて、実施例1〜4、比較例1〜4の芳香族ポリアミド樹脂から得られたフィルムの試験片(5mm×50mm)について引張試験(引張速度:10mm/分)を実施し、フィルムが破断した時の応力及び伸び率からそれぞれ破断強度(MPa)と破断伸び(%)を、応力−歪曲線の初期の勾配から引張弾性率(GPa)を求めた。それぞれ値が大きいほど、機械的特性に優れていることを示す。
【0121】
【表5】
【0122】
実施例1のヒドロキシ基含有芳香族ポリアミド樹脂は、ヒドロキシ基を有さない点以外は同じ繰り返し構造を有する比較例1の芳香族ポリアミド樹脂に比して、破断強度、破断伸び、引張弾性率の全てにおいて優れており、特に引張弾性率において著しく優れていた。同様に実施例3は、比較例3に比して破断強度、破断伸び、引張弾性率の全てにおいて優れていた。比較例4は、実施例1〜4に比して破断強度、破断伸び、引張弾性率の全てにおいて劣っていた。なお、比較例2は、有機溶媒に不溶であり、フィルム状に成形することができなかった。
【0123】
(ヒドロキシ基含有芳香族ジアミン、ヒドロキシ基含有芳香族ポリアミド樹脂を硬化剤として用いたエポキシ樹脂組成物の耐熱性)
エポキシ樹脂として、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EP1 EOCN−1020−65 日本化薬株式会社製)を使用し、硬化剤として、ヒドロキシ基含有芳香族ジアミン(ATDA−OH)、ヒドロキシ基含有芳香族ポリアミド樹脂(OBBT−ATDA−OH)、フェノールノボラック(PN1、H−1、明和化成工業株式会社製)を使用し、硬化促進剤としてイミダゾール系化合物(C1 2E4MZ 四国化成工業株式会社製)、及び溶剤としてDMF、シクロペンタノンを使用して、下記表6に示す配合比で組成物を調製した(実施例5、実施例6、比較例5)。該組成物を、テフロン(登録商標)板状に塗布し、80℃で1時間乾燥した後、120℃で1時間、160℃2時間、200℃で4時間かけて硬化させた。得られた硬化物について以下の方法を用いて5%重量減少温度を測定した。測定結果を表6に示す。
【0124】
<5%重量減少温度:T
d5(℃)>
ブルカーエイエックス社製熱重量分析装置(TG−DTA2000)を用いて、空気中、昇温速度10℃/分での昇温過程において、実施例5、6、及び比較例5の得られた硬化物の初期重量が5%減少した時の温度を測定した。この値が高いほど、熱安定性が高いことを表す。なお、硬化物はサイクロミルで粉砕後、200メッシュの金網を通過し、100メッシュの金網に乗った硬化物のみを用いて行った。測定に用いたサンプル量は大凡いずれも10mgである。
【0125】
【表6】
【0126】
実施例5のヒドロキシ基含有芳香族ジアミン(ATDA−OH)を硬化剤として含む樹脂組成物の硬化物、実施例6のヒドロキシ基含有芳香族ポリアミド樹脂(OBBT−ATDA−OH)を硬化剤として含む樹脂組成物の硬化物は、従来の硬化剤のみを用いた比較例5の硬化物に比して、高い5%重量減少温度(T
d5)を有しており、熱安定性、即ち耐熱性に優れていることがわかった。