特許第5979464号(P5979464)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5979464ネマチック液晶組成物及びこれを用いた液晶表示素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5979464
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】ネマチック液晶組成物及びこれを用いた液晶表示素子
(51)【国際特許分類】
   C09K 19/30 20060101AFI20160817BHJP
   C09K 19/54 20060101ALI20160817BHJP
   C09K 19/32 20060101ALI20160817BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20160817BHJP
【FI】
   C09K19/30
   C09K19/54 C
   C09K19/54 Z
   C09K19/32
   G02F1/13 500
【請求項の数】14
【全頁数】69
(21)【出願番号】特願2016-501245(P2016-501245)
(86)(22)【出願日】2015年7月2日
(86)【国際出願番号】JP2015069111
(87)【国際公開番号】WO2016006524
(87)【国際公開日】20160114
【審査請求日】2016年1月8日
(31)【優先権主張番号】特願2014-140508(P2014-140508)
(32)【優先日】2014年7月8日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124970
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 通洋
(72)【発明者】
【氏名】平田 真一
(72)【発明者】
【氏名】須藤 豪
【審査官】 西澤 龍彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−084462(JP,A)
【文献】 特開2014−084460(JP,A)
【文献】 特開2012−224632(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/076105(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/076104(WO,A1)
【文献】 特開2002−256267(JP,A)
【文献】 特開2013−144796(JP,A)
【文献】 特開2014−012836(JP,A)
【文献】 特開2006−037054(JP,A)
【文献】 特開2001−354967(JP,A)
【文献】 特開2012−025667(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/179966(WO,A1)
【文献】 特開2015−131956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 19/00− 19/60
G02F 1/13
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I−IV)
【化1】
(式中、RIV1及びRIV2は、それぞれ独立して炭素原子数2から10のアルケニル基又は炭素原子数2から10のアルケニルオキシ基を表し、基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−はそれぞれ独立して−O−又は−S−で置換されていても良く、また、基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子又は塩素原子に置換されていてもよい。)で表される化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(I)
【化2】
(式中の、Rは、水素原子、−O・、−OH、炭素原子数1〜12のアルキル基を表し、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の−CH−はそれぞれ独立して−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−OCF−又は−CFO−に置換されてもよい。R、R、R及びRは、それぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の−CH−はそれぞれ独立して−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−OCF−又は−CFO−に置換されてもよく、RとR及び/又はRとRは互いに結合して環を形成してもよい。R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の−CH−はそれぞれ独立して−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−OCF−又は−CFO−に置換されてもよい。nは1〜6の整数を表すが、nが2〜6の整数を表す場合、複数存在するR、R、R、R、R、R及びRは同一であっても異なっていてもよい。Mは1〜6価の有機基を表すが、Mの価数はnが表す数と同じ数である。)で表される化合物を1種又は2種以上含有する液晶組成物。
【請求項2】
一般式(I−IV)’として、一般式(I−V)及び一般式(I−V1)
【化3】
(式中のR及びRV1はそれぞれ独立して炭素原子数2〜8のアルケニル基を表す。)
で表される化合物群から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有する請求項1に記載の液晶組成物。
【請求項3】
一般式(I)で表される化合物を2種以上含有する請求項1又は2に記載の液晶組成物。
【請求項4】
更に、一般式(LC3)〜一般式(LC5)
【化4】
(式中、RLC31、RLC32、RLC41、RLC42、RLC51及びRLC52はそれぞれ独立して炭素原子数1〜15のアルキル基又は炭素原子数2〜15のアルケニル基を表し、該基中の1つ又は2つ以上の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−はそれぞれ独立して−O−又は−S−に置換されても良く、また、RLC31、RLC32、RLC41、RLC42、RLC51及びRLC52中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子又は塩素原子に置換されてもよい。ALC31、ALC32、ALC41、ALC42、ALC51及びALC52はそれぞれ独立してトランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表す。ZLC31、ZLC32、ZLC41、ZLC42、ZLC51及びZLC52はそれぞれ独立して単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−CHCH−、−(CH−、−COO−、−OCO−、−OCH−、−CHO−、−OCF−又は−CFO−を表す。Zは−CH−又は酸素原子を表す。XLC41は水素原子又はフッ素原子を表し、mLC31、mLC32、mLC41、mLC42、mLC51及びmLC52はそれぞれ独立して0〜3を表し、mLC31+mLC32、mLC41+mLC42及びmLC51+mLC52は1、2又は3であり、ALC31〜ALC52、ZLC31〜ZLC52が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていてもよい。)で表される化合物群から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有する請求項1から3のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【請求項5】
更に、一般式(III)
【化5】
(式中、R33及びR34はそれぞれ独立して炭素原子数1〜15のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の−CH−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−、−C≡C−、−CFO−又は−OCF−で置換されてよく、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は任意にハロゲンで置換されていてもよい。A31〜A33はそれぞれ独立してトランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表す。Z31及びZ32はそれぞれ独立して単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−又は−CFO−を表す。m31は0、1又は2を表し、A31及びZ31が複数存在する場合、それらは同一であっても、異なっていてもよい。但し、一般式(III)で表される化合物において、一般式(I−IV)で表される化合物を除く。)
で表される化合物を1種又は2種以上含有する請求項1から4のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【請求項6】
一般式(I)中のnが3を表す請求項1から5のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【請求項7】
一般式(I−IV)で表される化合物の含有量の総量が液晶組成物において3質量%から70質量%である請求項1から6のいずれか1項に記載に記載の液晶組成物。
【請求項8】
一般式(I)の含有量が液晶組成物において0.01質量%から5質量%である請求項1から7のいずれか1項に液晶組成物。
【請求項9】
一般式(LC3)〜一般式(LC5)で表される化合物群から選ばれる化合物の含有量の総量が液晶組成物において10質量%から90質量%である請求項4からのいずれか1項に記載の液晶組成物。
【請求項10】
25℃における誘電率異方性(Δε)が−2.0から−8.0の範囲であり、20℃における屈折率異方性(Δn)が0.08から0.14の範囲であり、20℃における粘度(η)が10から30mPa・sの範囲であり、20℃における回転粘性(γ1)が60から130mPa・sの範囲であり、ネマチック相−等方性液体相転移温度(Tni)が60℃から120℃の範囲である請求項1から9のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【請求項11】
重合性化合物及び/又は酸化防止剤を1種又は2種以上含有する請求項1から10のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の液晶組成物を用いた液晶表示素子。
【請求項13】
請求項1から11のいずれか1項に記載の液晶組成物を用いたアクティブマトリックス駆動用液晶表示素子。
【請求項14】
請求項1から11のいずれか1項に記載の液晶組成物を用いたVA型、PSVA型、PSA型、FFS型、ECB型又はIPS型の液晶表示素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示材料として有用な誘電率異方性(Δε)が負の値を示すネマチック液晶組成物及びこれを用いた液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子は、時計、電卓をはじめとして、家庭用各種電気機器、測定機器、自動車用パネル、ワープロ、電子手帳、プリンター、コンピューター、テレビ等に用いられている。液晶表示方式としては、その代表的なものにTN(捩れネマチック)型、STN(超捩れネマチック)型、DS(動的光散乱)型、GH(ゲスト・ホスト)型、IPS(インプレーンスイッチング)型、OCB(光学補償複屈折)型、ECB(電圧制御複屈折)型、VA(垂直配向)型、CSH(カラースーパーホメオトロピック)型、あるいはFLC(強誘電性液晶)等を挙げることができる。また駆動方式としてもスタティック駆動、マルチプレックス駆動、単純マトリックス方式、TFT(薄膜トランジスタ)やTFD(薄膜ダイオード)等により駆動されるアクティブマトリックス(AM)方式を挙げることができる。
【0003】
これらの表示方式において、IPS型、ECB型、VA型、あるいはCSH型等は、Δεが負の値を示す液晶材料を用いるという特徴を有する。これらの中で特にAM駆動によるVA型表示方式は、高速で広視野角の要求される表示素子、例えばテレビ等の用途に使用されている。
【0004】
VA型等の表示方式に用いられるネマチック液晶組成物には、低電圧駆動、高速応答及び広い動作温度範囲が要求される。すなわち、Δεが負で絶対値が大きく、低粘度であり、高いネマチック相−等方性液体相転移温度(Tni)が要求されている。また、屈折率異方性(Δn)とセルギャップ(d)との積であるΔn×dの設定から、液晶材料のΔnをセルギャップに合わせて適当な範囲に調節する必要がある。加えて液晶表示素子をテレビ等へ応用する場合においては高速応答性が重視されるため、粘度(η)の低い液晶材料が要求される。
【0005】
これまでは、Δεが負でその絶対値の大きな化合物を種々検討することにより液晶組成物の特性が改良されてきた。
【0006】
Δεが負の液晶材料として、以下のような2,3−ジフルオロフェニレン骨格を有する液晶化合物(A)及び(B)(特許文献1参照)を用いた液晶組成物が開示されている。
【0007】
【化1】
【0008】
この液晶組成物は、Δεがほぼ0である化合物として液晶化合物(C)及び(D)を用いているが、この液晶組成物は、液晶テレビ等の高速応答が要求される液晶組成物においては十分に低い粘性を実現するに至っていない。
【0009】
【化2】
【0010】
一方、式(E)で表される化合物を用いた液晶組成物も既に開示されているが、上記の液晶化合物(D)を組み合わせたΔnが小さい液晶組成物(特許文献2参照)や応答速度の改善のために液晶化合物(F)のようにアルケニル基を分子内に有する化合物(アルケニル化合物)を添加した液晶組成物(特許文献3参照)であり、高Δnと高信頼性を両立させるには更なる検討が必要であった。
【0011】
【化3】
【0012】
また、式(G)で表される化合物を用いた液晶組成物は既に開示されている(特許文献4参照)が、この液晶組成物も上記の液晶化合物(F)のようにアルケニル化合物を含む化合物を含有した液晶組成物であるため、焼き付きや表示ムラ等の表示不良が発生し易い弊害があった。
【0013】
【化4】
【0014】
なお、アルケニル化合物を含む液晶組成物の表示不良への影響については既に開示されている(特許文献5参照)が、一般的にはアルケニル化合物の含有量が減少すると液晶組成物のηが上昇し、高速応答の達成が困難になるため、表示不良の抑制と高速応答の両立が困難であった。
【0015】
このようにΔεが負の値を示す化合物と液晶化合物(C)、(D)及び(F)を組み合わせるのみでは、高いΔnと低いηを両立させ、なおかつ、表示不良のない又は抑制されたΔεが負の液晶組成物の開発は困難であった。
【0016】
一方、焼き付きや表示ムラ等の表示不良が発生しない、又は、発生し難い液晶組成物および液晶表示素子を得るためには、電圧保持率(VHR)が高いことが必須であると一般的に考えられている。VHRをより高くするために、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤又は光安定剤と特定の化合物とを組み合わせた液晶組成物を使用することが、特許文献7、特許文献8、特許文献9に開示されている。
【0017】
また、特許文献6において、(式1)で示される指数が大きい液晶材料を使用することでホメオトロピック液晶セルの応答速度を向上させることが開示されているが、十分とは言えるものではなかった。
【0018】
【数1】
【0019】
以上のことから、液晶テレビ等の高速応答が要求される液晶組成物においては、屈折率異方性(Δn)及びネマチック相−等方性液体相転移温度(Tni)を低下させることなく、粘度(η)を十分に小さく、回転粘性(γ)を十分に小さく、弾性定数(K33)を大きくすること、更に、高い電圧保持率(VHR)が求められていた。また、これを用いた焼き付きや表示ムラ等の表示不良がない又は抑制された、表示品位の優れた応答速度の液晶表示素子が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開平8−104869号
【特許文献2】欧州特許出願公開第0474062号
【特許文献3】特開2006−37054号
【特許文献4】特開2001−354967号
【特許文献5】特開2008−144135号
【特許文献6】特開2006−301643号
【特許文献7】特開2002−256267号
【特許文献8】特表2014−505745号
【特許文献9】特表2014−505746号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明が解決しようとする課題は、屈折率異方性(Δn)及びネマチック相−等方性液体相転移温度(Tni)を低下させることなく、粘度(η)が十分に小さく、回転粘性(γ1)が十分に小さく、弾性定数(K33)が大きく、UV照射後の電圧保持率(VHR(UV))が高く、絶対値が大きな負の誘電率異方性(Δε)を有する液晶組成物を提供し、更にこれを用いたVA型、PSVA型、PSA型、FFS型、IPS型又はECB型等の表示不良がない又は抑制された、表示品位の優れた応答速度の速い液晶表示素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明者は、表示不良の抑制と高速応答の両立が望まれている一般式(I−IV)で表される化合物を含有する組成物系において、特定の化合物を組み合わせることにより前記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の液晶組成物は、一般式(I−IV)
【0023】
【化5】
【0024】
(式中、RIV1及びRIV2は、それぞれ独立して炭素原子数1から10のアルキル基、炭素原子数1から10のアルコキシル基、炭素原子数2から10のアルケニル基又は炭素原子数2から10のアルケニルオキシ基を表し、基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−はそれぞれ独立して−O−又は−S−で置換されていても良く、また、基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立的にフッ素原子又は塩素原子に置換されていてもよい。)で表される化合物群から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(I)
【0025】
【化6】
【0026】
(式中の、Rは、水素原子、−O・、−OH、炭素原子数1〜12のアルキル基を表し、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の−CH−はそれぞれ独立して−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−OCF−又は−CFO−に置換されてもよい。R、R、R及びRは、それぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の−CH−はそれぞれ独立して−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−OCF−又は−CFO−に置換されてもよく、RとR及び/又はRとRは互いに結合して環を形成してもよい。R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の−CH−はそれぞれ独立して−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−OCF−又は−CFO−に置換されてもよい。nは1〜6の整数を表すが、nが2〜6の整数を表す場合、複数存在するR、R、R、R、R、R及びRは同一であっても異なっていてもよい。Mは1〜6価の有機基を表すが、Mの価数はnが表す数と同じ数である。)化合物を1種又は2種以上含有する液晶組成物を提供し、また、これを用いた液晶表示素子を提供する。
【発明の効果】
【0027】
本発明の液晶組成物は、屈折率異方性(Δn)及びネマチック相−等方性液体相転移温度(Tni)を低下させることなく、粘度(η)が十分に小さく、回転粘性(γ1)が十分に小さく、弾性定数(K33)が大きく、絶対値が大きな負の誘電率異方性(Δε)を有し、高い電圧保持率(VHR)を有するため、これを用いたVA型、PSVA型、PSA型、FFS型等の液晶表示素子は表示不良がない又は抑制された、表示品位の優れた応答速度の速いものである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の液晶組成物は、一般式(I−IV)で表される化合物を1種又は2種以上含有する。
【0029】
【化7】
【0030】
一般式(I−IV)において、式中のRIV1及びRIV2は、粘度を低下させる為には、炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数2〜8のアルケニル基であることが好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基であることが更に好ましく、炭素原子数2〜4のアルキル基又は炭素原子数2〜4のアルケニル基であることが特に好ましい。また、直鎖状であることが好ましい。
【0031】
本発明の液晶組成物は、一般式(I−IV)で表される化合物として一般式(I−V)及び一般式(I−V1)で表される化合物群から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有することが好ましい。
【0032】
【化8】
【0033】
一般式(I−V)及び一般式(I−V1)において、式中のR及びRV1は、粘度を低下させる為には、炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数2〜8のアルケニル基であることが好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基であることが更に好ましく、炭素原子数2〜4のアルキル基又は炭素原子数2〜4のアルケニル基であることが特に好ましい。また、直鎖状であることが好ましい。更に詳述すると、Rは炭素原子数2のアルケニル基であることが好ましく、RV1は炭素原子数3のアルケニル基であることが好ましい。すなわち、一般式(I−V)及び一般式(I−V1)の側鎖は左側と右側が同じであることも好ましい。粘度を低下させるためにはR又はRV1はアルケニル基であることが好ましい。
【0034】
一般式(I−V)及び一般式(I−V1)で表される化合物のうちいずれか一方を少なくとも1種以上含有してもよいし、一般式(I−V)及び一般式(I−V1)で表される化合物の両方をそれぞれ1種以上含有してもよい。更に具体的には、低い粘度又は低い回転粘性を得るためには一般式(I−V)をより多く含有することが好ましく、大きな弾性定数を得るためには一般式(I−V1)をより多く含有することが好ましく、応答速度の速い液晶表示素子を得るためには、これらを同時にできる限り多く含有することが好ましい。
【0035】
また、一般式(I−IV)で表される化合物として以下の式(I−IV−1)から式(I−IV−6)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0036】
【化9】
【0037】
液晶組成物において、一般式(I−IV)で表される化合物群から選ばれる化合物を3から70質量%含有することが好ましく、10から70質量%であることが好ましく、20から60質量%であることが更に好ましく、20から50質量%であることが特に好ましい。更に詳述すると、低い粘度又は低い回転粘性を得るにはその含有量は25から55質量%が好ましいが、低温における析出の抑制を重視する場合にはその含有量は3から40質量%が好ましい。
【0038】
より具体的には、一般式(I−IV)で表される化合物の含有量は、組成物中に下限値として、1質量%(以下組成物中の%は質量%を表す。)以上含有することが好ましく、2%以上含有することが好ましく、5%以上含有することが好ましく、8%以上含有することが好ましく、10%以上含有することが好ましく、13%以上含有することが好ましく、15%以上含有することが好ましく、18%以上含有することが好ましく、20%以上含有することが好ましく、23%以上含有することが好ましく、25%以上含有することが好ましく、28%以上含有することが好ましく、30%以上含有することが好ましく、33%以上含有することが好ましく、35%以上含有することが好ましく、40%以上含有することが好ましく、45%以上含有することが好ましく、50%以上含有することが好ましい。また、上限値として、80%以下含有することが好ましく、70%以下含有することが好ましく、70%以下含有することが好ましく、65%以下含有することが好ましく、60%以下含有することが好ましく、58%以下含有することが好ましく、55%以下含有することが好ましく、53%以下含有することが好ましく、50%以下含有することが好ましく、48%以下含有することが好ましく、45%以下含有することが好ましく、43%以下含有することが好ましく、40%以下含有することが好ましく、38%以下含有することが好ましく、35%以下含有することが好ましく、33%以下含有することが好ましく、30%以下含有することが好ましい。
【0039】
本発明の液晶組成物は、一般式(I)で表される化合物を少なくとも1種以上含有する。
【0040】
【化10】
【0041】
一般式(I)において、Rは光劣化防止能を高めるには水素原子、−O・、−OHであることが好ましく、水素原子又は−OHであることが更に好ましく、水素原子が特に好ましい。また、液晶組成物との相溶性を高めるためには炭素原子数1〜12の無置換のアルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基又は炭素原子数3〜12のアルケニル基であることが好ましく、炭素原子数1〜8の無置換のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数3〜8のアルケニル基であることが好ましく、炭素原子数1〜4の無置換のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基又は炭素原子数3又は4のアルケニル基であることが更に好ましい。また、直鎖状であることが好ましい。
,R,R及びRはそれぞれ独立して炭素原子数1〜4のアルキル基であることが好ましく、無置換のアルキル基であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。R,R,R及びRのいずれか1個以上がメチル基であることが更に好ましく、R,R,R及びRの全てがメチル基を表すことが特に好ましい。また、RとR,及び/又はRとRは互いに結合して環構造を形成してもよい。
【0042】
及びRは水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基であることが好ましく、製造の容易さから水素原子であることが特に好ましい。
【0043】
は1〜6の整数を表し、Mは1〜6価の有機基を表し、Mの価数はnが表す数と同じ数であるが、nは3であり、Mは3価の有機基であることが好ましい。
【0044】
は3を表す場合、Mは一般式(I−M)
【0045】
【化11】
【0046】
(式中の、Z、Z及びZはそれぞれ独立して−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−OCF−、−CFO−、−NH−又は単結合を表す。
Sp、Sp及びSpはそれぞれ独立して単結合又は炭素原子数1〜10のアルキレン基を表し、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の−CH−はそれぞれ独立して−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−OCF−又は−CFO−に置換されてもよい。
Aは
【0047】
【化12】
【0048】
(式中の、Rは、水素原子、−OH又は炭素原子数1〜10のアルキル基を表し、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の−CH−はそれぞれ独立して−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−O−、−O−CO−に置換されてもよい。また、環状構造中の水素原子はハロゲン原子又はシアノ基で置換されていてもよい。)
から選ばれる基を表す。)
で表される構造であることが、液晶組成物との相溶性および保存安定性を高めるためには好ましい。
【0049】
ここで、製造の容易さ、および原料の入手容易さより、Z、Z及びZの少なくとも1個以上は−O−、−CO−O−又は単結合を表すことが好ましく、Z、Z及びZの全てが−O−、−CO−O−又は単結合を表すことが特に好ましい。また、Sp、Sp及びSpは、単結合又は炭素原子数1〜10のアルキレン基を表すことが好ましく、単結合又は炭素原子数1〜8のアルキレン基を表すことが好ましく、単結合又は炭素原子数1〜4のアルキレン基を表すことがより好ましい。該アルキレン基は無置換であるか、又はアルキレン基中に存在する1個又は2個以上の−CH−はそれぞれ独立して−O−、−CO−、−CO−O−又は−O−CO−に置換されていることが好ましく、無置換であることがより好ましい。具体的には、Sp、Sp及びSpは、−CO−、−CH−CO−、−CH−CH−CO−、−CH−O−、−CH−CH−O−、−CH−CH−CH−O−、−CH−O−CO−、−CH−CH−O−CO−、−CH−CH−CH−O−CO−、炭素原子数1〜4の無置換のアルキレン基又は単結合であることが特に好ましい。
【0050】
また、−Sp−Z−、−Sp−Z−及び−Sp−Z−は、それぞれ独立して−CO−O−、−CH−CO−O−、−CH−CH−CO−O−、−CH−CH−−CH−CO−O−、−CH−O−、−CH−CH−O−、−CH−CH−CH−O−、−CH−O−CO−O−、−CH−CH−O−CO−O−又は−CH−CH−CH−O−CO−O−であることが好ましく、−CO−O−、−CH−CO−O−又は−CH−CH−CO−O−であることがより好ましい。
【0051】
Aは
【0052】
【化13】
【0053】
(式中の、Rは、水素原子、−OH又は炭素原子数1〜10のアルキル基を表し、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の−CH−はそれぞれ独立して−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−O−又は−O−CO−に置換されてもよい。)で表される構造であることが、液晶組成物との相溶性および保存安定性を高めるためにはより好ましい。ここで、製造の容易さ、および原料の入手容易さより、Rは、水素原子、−OH、炭素原子数2〜10のアルキル基、−O−CO−R(Rは炭素原子数1〜9のアルキル基を表す)が好ましく、水素原子を表すことが特に好ましい。
【0054】
一般式(I)としてnが3を表す化合物は、以下の一般式(I−a)で表される化合物であることが好ましい。
【0055】
【化14】
【0056】
(式中の、R、R、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立的に一般式(I)中のR、R、R、R、R、R及びRと同じ意味を表す。Aは一般式(I−M)中のAと同じ意味を表す。ZI1は−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NH−及び単結合を表す。SpI1は単結合又は炭素原子数1〜10のアルキレン基を表す。複数存在するR、R、R、R、R、R、R、ZI1及びSpI1は同一であっても異なっていてもよい。)
I1は−O−、−CO−O−、単結合を表すことが好ましい。SpI1は単結合又は炭素原子数1〜4の無置換のアルキル基を表すことが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
【0057】
また、一般式(I)としてnが3を表す化合物は、一般式(I−a.1)で表される化合物であることが好ましい。
【0058】
【化15】
【0059】
(式中、RH3、RH4及びRH5は、それぞれ独立して一般式(I)中のRと同じ意味を表す。nH1及びnH2はそれぞれ独立して0から4の整数を表す。)
一般式(I−a.1)中、RH3、RH4及びRH5は、水素原子であることが特に好ましい。アルキル基である場合は炭素原子数1から8であることが好ましく、炭素原子数1から5であることが好ましく、炭素原子数1から3であることが好ましく、炭素原子数1であることが更に好ましい。
【0060】
本発明の一般式(I)に示す化合物の好ましい化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0061】
一般式(I)としてnが3を表す化合物は、一般式(I−a1)〜(I−a14)で表される化合物が特に好ましい。
【0062】
【化16】
【0063】
【化17】
【0064】
(式中のR11、R12及びR13は、それぞれ独立して一般式(I)中のRと同じ意味を表す。)
より具体的には、一般式(I−a1−1)〜一般式(I−a6−1)で表される化合物が好ましい。
【0065】
【化18】
【0066】
また、一般式(I)で表される化合としては、以下の一般式(I−1)で表される化合物であることが好ましい。
【0067】
【化19】
【0068】
一般式(I−1)中、RHSは、それぞれ独立的に水素原子又は炭素原子数1から10のアルキル基を表すが、水素原子であることが特に好ましい。アルキル基である場合は炭素原子数1から8であることが好ましく、炭素原子数1から5であることが好ましく、炭素原子数1から3であることが好ましく、炭素原子数1であることが更に好ましい。RHSが複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0069】
HSはnHSが1を表す場合炭素原子数1から15のアルキル基を表し、nHSが2から6の整数を表す場合炭素原子数1から15のアルキレン基を表し、MHS中に存在する1個以上の−CH−は−O−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−、−OCO−、−COO−、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基で置換されてもよいが、液晶組成物へ与える粘性や自身の揮発性を考慮すると、MHSは炭素原子数2から10のアルキル基又はアルキレン基が好ましく、炭素原子数2から8のアルキル基又はアルキレン基が好ましく、炭素原子数4から8のアルキル基又はアルキレン基が好ましく、炭素原子数6又は8のアルキル基又はアルキレン基が好ましい。MHSは直鎖状であっても分岐していてもよい。
【0070】
HSは1から6の整数を表すが、2から4であることが好ましい。
【0071】
HSが1を表す場合、一般式(I−1)で表される化合物は、一般式(I−11)又は一般式(I−12)で表される化合物であることが好ましい。
【0072】
【化20】
【0073】
(式中、RH11は、それぞれ独立的に水素原子又は炭素原子数1から10のアルキル基を表し、Mは炭素原子数1から13のアルキレン基を表す。)
【0074】
【化21】
【0075】
(式中、RH12及びR113は、それぞれ独立的に水素原子又は炭素原子数1から10のアルキル基を表す。)
HSが2を表す場合、一般式(I−1)で表される化合物は、一般式(I−2)で表される化合物であることが好ましい。
【0076】
【化22】
【0077】
(式中、RH1及びRH2は、それぞれ独立的に水素原子又は炭素原子数1から10のアルキル基を表し、Mは炭素原子数1から15のアルキレン基を表すが、M中に存在する1個以上の−CH−は−O−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−、−OCO−、−COO−、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基で置換されてもよい。)
一般式(I−2)中、RH1及びRH2は、水素原子であることが特に好ましい。アルキル基である場合は炭素原子数1から8であることが好ましく、炭素原子数1から5であることが好ましく、炭素原子数1から3であることが好ましく、炭素原子数1であることが更に好ましい。
一般式(I−2)中、Mは炭素原子数1から15のアルキレン基を表すが、液晶組成物へ与える粘性や自身の揮発性を考慮すると、Mは炭素原子数2から10のアルキレンが好ましく、炭素原子数4から8のアルキレンが好ましく、炭素原子数6又は8のアルキレンが好ましい。
具体的には、一般式(I−24)、一般式(I−26)及び一般式(I−28)で表される化合物が挙げられる。これらの式中のRH1及びRH2は先述のとおりである。
【0078】
【化23】
【0079】
更に詳述すると、一般式(I−24H)、一般式(I−26H)及び一般式(I−28H)で表される化合物が挙げられるが、一般式(I−28H)で表されるビス(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートが最も適切である。
【0080】
【化24】
【0081】
また、nHSが3から6の整数を表す場合、一般式(I−1)で表される化合物は、一般式(I−3)で表される化合物であることが好ましい。一般式(I−3)で表される化合物は有効アミン濃度が高いため、より効果的に作用する化合物である。また、一般式(I−1)で表される化合物において、分子量の小さいものは、液晶表示素子中の配向膜に吸着してしまい、表示ムラを誘発するケースが多いが、一般式(I−3)で表される化合物は分子量が大きくなるため、表示ムラの誘発を防止することができる。
【0082】
【化25】
【0083】
(式中、RH3、RH4及びRH5は、それぞれ独立的に水素原子又は炭素原子数1から10のアルキル基を表す。nH1及びnH2はそれぞれ独立的に0又は1を表す。nH3は1から4の整数を表す。nH3が2,3又は4であり、RH5が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていてもよい。)
一般式(I−3)中、RH3、RH4及びRH5は、水素原子であることが特に好ましい。アルキル基である場合は炭素原子数1から8であることが好ましく、炭素原子数1から5であることが好ましく、炭素原子数1から3であることが好ましく、炭素原子数1であることが更に好ましい。
【0084】
一般式(I−3)中、nH3は1を表すことが好ましい。具体的には、前記一般式(I−a1)〜(I−a6)で表される化合物が挙げられる。 また、一般式(I−3)中、nH3は2を表すことが好ましい。具体的には、一般式(I−31)及び一般式(I−32)で表される化合物が挙げられる。これらの式中のRH3、RH4及びRH5は先述のとおりである。
【0085】
【化26】
【0086】
【化27】
【0087】
より具体的には、一般式(I−32H)で表される化合物が好ましい。
【0088】
【化28】
【0089】
なお、一般式(I)で表される化合物は、ヘテロ原子同士が直接結合する構造を含まない。
【0090】
液晶組成物において、一般式(I)で表される化合物を2種以上含有することが好ましい。具体的には、一般式(I−2)、一般式(I−31)、一般式(I−32)、一般式(I−a)で表される化合物群から選択される化合物を2種以上含有することが好ましく、一般式(I−2)及び一般式(I−31)、一般式(I−2)及び一般式(I−32)、一般式(I−2)及び一般式(I−a)、一般式(I−31)及び一般式(I−a)、一般式(I−32)及び一般式(I−a)から選ばれる組み合わせから選択される化合物を含有することが好ましい。
【0091】
液晶組成物において、一般式(I)で表される化合物を、組成物中に下限値として、0.01%以上含有することが好ましく、0.02%以上含有することが好ましく、0.03%以上含有することが好ましく、0.05%以上含有することが好ましく、0.07%以上含有することが好ましく、0.1%以上含有することが好ましく、0.15%以上含有することが好ましく、0.2%以上含有することが好ましく、0.25%以上含有することが好ましく、0.3%以上含有することが好ましく、0.5%以上含有することが好ましく、1%以上含有することが好ましい。また、上限値として5%以下含有することが好ましく、3%以下含有することが好ましく、1%以下含有することが好ましく、0.5%以下含有することが好ましく、0.45%以下含有することが好ましく、0.4%以下含有することが好ましく、0.35%以下含有することが好ましく、0.3%以下含有することが好ましく、0.25%以下含有することが好ましく、0.2%以下含有することが好ましく、0.15%以下含有することが好ましく、0.1%以下含有することが好ましく、0.07%以下含有することが好ましく、0.05%以下含有することが好ましく、0.03%以下含有することが好ましい。
【0092】
より具体的には、0.01から5質量%含有することが好ましく、0.01から0.3質量%であることが好ましく、0.02から0.3質量%であることが更に好ましく、0.05から0.25質量%であることが特に好ましい。更に詳述すると、低温における析出の抑制を重視する場合にはその含有量は0.01から0.1質量%が好ましい。
【0093】
本発明の液晶組成物は、一般式(LC3)〜一般式(LC5)で表される化合物を1種又は2種以上含有することが好ましい。
【0094】
【化29】
【0095】
(式中、RLC31、RLC32、RLC41、RLC42、RLC51及びRLC52はそれぞれ独立して炭素原子数1〜15のアルキル基又は炭素原子数2〜15のアルケニル基を表し、該基中の1つ又は2つ以上の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−はそれぞれ独立して−O−又は−S−に置換されても良く、また、RLC31、RLC32、RLC41、RLC42、RLC51及びRLC52中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子又は塩素原子に置換されてもよい。ALC31、ALC32、ALC41、ALC42、ALC51及びALC52はそれぞれ独立してトランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表す。ZLC31、ZLC32、ZLC41、ZLC42、ZLC51及びZLC52はそれぞれ独立して単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−CHCH−、−(CH−、−COO−、−OCO−、−OCH−、−CHO−、−OCF−又は−CFO−を表す。Zは−CH−又は酸素原子を表す。XLC41は水素原子又はフッ素原子を表し、mLC31、mLC32、mLC41、mLC42、mLC51及びmLC52はそれぞれ独立して0〜3を表し、mLC31+mLC32、mLC41+mLC42及びmLC51+mLC52は1、2又は3であり、ALC31〜ALC52、ZLC31〜ZLC52が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていてもよい。)
一般式(LC3)〜一般式(LC5)で表される化合物は、誘電率異方性(Δε)が負でその絶対値が3よりも大きな化合物であることが好ましい。
【0096】
一般式(LC3)〜一般式(LC5)において、RLC31、RLC41、RLC51は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1から7のアルコキシル基、炭素原子数2から7のアルケニル基、炭素原子数2から7のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から5のアルコキシル基、炭素原子数2から5のアルケニル基又は炭素原子数2から5のアルケニルオキシ基がより好ましく、炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数2から5のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数2から5のアルキル基又は炭素原子数2から3のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数3のアルケニル基(プロペニル基)が特に好ましい。RLC32、RLC42、RLC52は、それぞれ独立して、炭素原子数1から7のアルキル基、炭素原子数1から7のアルコキシル基、炭素原子数2から7のアルケニル基、炭素原子数2から7のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から5のアルコキシル基、炭素原子数2から5のアルケニル基又は炭素原子数2から5のアルケニルオキシ基がより好ましく、炭素原子数1から4のアルコキシル基が更に好ましい。RLC31、RLC32、RLC41、RLC42、RLC51及びRLC52がアルケニル基の場合、式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。(各式中の黒点は環との連結点を表す。)
【0097】
【化30】
【0098】
LC31、ALC32、ALC41、ALC42、ALC51及びALC52はそれぞれ独立して1,4−フェニレン基、トランス−1,4−シクロヘキシレン基を表すことが好ましい。
【0099】
LC31〜ZLC51はそれぞれ独立して単結合、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CHCH−、−CFO−、−OCF−又は−OCH−が好ましい。
【0100】
LC31、mLC32、mLC41、mLC42、mLC51及びmLC52はそれぞれ独立して1又は2を表すことが好ましい。
【0101】
一般式(LC3)として、以下の一般式(II−1)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0102】
【化31】
【0103】
(式中、R21及びR22は、それぞれ独立して炭素原子数1から10のアルキル基、炭素原子数1から10のアルコキシル基、炭素原子数2から10のアルケニル基又は炭素原子数2から10のアルケニルオキシ基を表し、R21及びR22中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−はそれぞれ独立して−O−又は−S−に置換されても良く、また、R21及びR22中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子又は塩素原子に置換されてもよい。A21は、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表す。Z21は−OCH−、−CHO−、−CFO−、−OCF−、−CHCH−又は−CFCF−を表す。Z22は−OCH−、−CHO−、−CFO−、−OCF−、−CHCH−、−CFCF−又は単結合を表すが、R21と直接結合するZ22は単結合を表す。m21は1、2又は3を表し、A21及びZ22が複数存在する場合、それらは同一であっても、異なっていてもよい。)で表される化合物を1種又は2種以上含有することが好ましい。 一般式(II−1)で表される化合物は、誘電率異方性(Δε)が負でその絶対値が3よりも大きな化合物であることが好ましい。
【0104】
一般式(II−1)中、R21は、炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から5のアルコキシル基、炭素原子数2から5のアルケニル基又は炭素原子数2から5のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数2から5のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数2から5のアルキル基又は炭素原子数2から3のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数3のアルケニル基(プロペニル基)が特に好ましい。R22は、炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から5のアルコキシル基、炭素原子数2から5のアルケニル基又は炭素原子数2から5のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1から4のアルコキシル基が更に好ましい。
21、及びR22がアルケニル基の場合、式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。(各式中の黒点は環との連結点を表す。)
【0105】
【化32】
【0106】
一般式(II−1)中、A21はトランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表すが、トランス−1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基が好ましい。
21は、−OCH−、−CHO−、−CFO−、−OCF−、−CHCH−又は−CFCF−を表すが、−CHO−、−CFO−、−CHCH−、又は−CFCFが好ましく、−CHO−、又は−CHCH−が更に好ましく、−CHO−が特に好ましい。
22は、−OCH−、−CHO−、−CFO−、−OCF−、−CHCH−、−CFCF−又は単結合を表すが、−CHO−、−CFO−、−CHCH−、−CFCF−又は単結合が好ましく、−CHO−、−CHCH−又は単結合が更に好ましく、−CHO−又は単結合が特に好ましい。但し、R21と直接結合するZ22は、単結合を表す
21は1、2又は3を表し、A21及びZ22が複数存在する場合、それらは同一であっても、異なっていてもよい。)
一般式(II−1)で表される化合物は、一般式(II−1A)又は一般式(II−1B)で表される化合物であることが好ましい。
【0107】
【化33】
【0108】
(式中、R21、R22、A21及びZ21は、それぞれ独立的に一般式(II−1)におけるR21、R22、A21及びZ21と同じ意味を表す。)
【0109】
【化34】
【0110】
(式中、B21はトランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表す。R21、R22、A21及びZ21は、それぞれ独立的に一般式(II−1)におけるR21、R22、A21及びZ21と同じ意味を表す。)
一般式(II−1A)で表される化合物としては、下記一般式(II−1A−1)〜一般式(II−1A−4)で表される化合物が好ましく、一般式(II−1A−1)で表される化合物、及び一般式(II−1A−4)で表される化合物であることがより好ましく、一般式(II−1A−1)で表される化合物が更に好ましい。
【0111】
【化35】
【0112】
(式中、R21及びR22は、それぞれ独立的に一般式(II−1)におけるR21及びR22と同じ意味を表す。)
一般式(II−1B)で表される化合物としては、下記一般式(II−1B−1)〜一般式(II−1B−6)で表される化合物であることが好ましく、一般式(II−1B−1)、一般式(II−1B−3)で表される化合物、及び一般式(II−1B−6)で表される化合物であることがより好ましく、一般式(II−1B−1)で表される化合物、及び一般式(II−1B−3)で表される化合物であることが更に好ましい。
【0113】
【化36】
【0114】
(式中、R21及びR22は、それぞれ独立的に一般式(II−1)におけるR21及びR22と同じ意味を表す。)
本発明の液晶組成物は、一般式(II−1A)及び一般式(II−1B)で表される化合物のうちいずれか一方を少なくとも1種以上含有してもよいし、一般式(II−1A)及び一般式(II−1B)で表される化合物の両方をそれぞれ1種以上含有してもよい。本発明の液晶組成物は、一般式(II−1A)及び一般式(II−1B)で表される化合物を1種又は2種以上含有することが好ましく、2種から10種含有することがより好ましい。
【0115】
更に詳述すると、一般式(II−1A)及び一般式(II−1B)は一般式(II−1A−1)及び一般式(II−1B−1)で表される化合物群から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有することが好ましく、一般式(II−1A−1)で表される化合物及び一般式(II−1B−1)で表される化合物の組み合わせであることがより好ましい。
【0116】
一般式(II−1)で表される化合物の含有量は10から90質量%であることが好ましく、20から80質量%が更に好ましく、20から70質量%が更に好ましく、20から60質量%が更に好ましく、20から55質量%が更に好ましく、25から55質量%が更に好ましく、30から55質量%が特に好ましい。
【0117】
より具体的には、一般式(II−1)で表される化合物の含有量は、組成物中に下限値として、1質量%(以下組成物中の%は質量%を表す。)以上含有することが好ましく、5%以上含有することが好ましく、10%以上含有することが好ましく、13%以上含有することが好ましく、15%以上含有することが好ましく、18%以上含有することが好ましく、20%以上含有することが好ましく、23%以上含有することが好ましく、25%以上含有することが好ましく、28%以上含有することが好ましく、30%以上含有することが好ましく、33%以上含有することが好ましく、35%以上含有することが好ましく、38%以上含有することが好ましく、40%以上含有することが好ましい。また、上限値として、95%以下含有することが好ましく、90%以下含有することが好ましく、88%以下含有することが好ましく、85%以下含有することが好ましく、83%以下含有することが好ましく、80%以下含有することが好ましく、78%以下含有することが好ましく、75%以下含有することが好ましく、73%以下含有することが好ましく、70%以下含有することが好ましく、68%以下含有することが好ましく、65%以下含有することが好ましく、63%以下含有することが好ましく、60%以下含有することが好ましく、55%以下含有することが好ましく、50%以下含有することが好ましく、40%以下含有することが好ましい。
【0118】
一般式(LC3)として、一般式(II−2)で表される化合物を1種又は2種以上含有することが好ましい。
【0119】
【化37】
【0120】
(式中、R25及びR26は、それぞれ独立して炭素原子数1から10のアルキル基、炭素原子数1から10のアルコキシル基、炭素原子数2から10のアルケニル基又は炭素原子数2から10のアルケニルオキシ基を表し、R25及びR26中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−はそれぞれ独立して−O−又は−S−に置換されても良く、また、R25及びR26中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子又は塩素原子に置換されてもよい。A23はトランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表す。n21は1、2又は3を表し、A23が複数存在する場合、それらは同一であっても、異なっていてもよい。)
一般式(II−2)中、R25は、それぞれ独立して炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から5のアルコキシル基、炭素原子数2から5のアルケニル基又は炭素原子数2から5のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数2から5のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数2から5のアルキル基又は炭素原子数2から3のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数3のアルケニル基(プロペニル基)が特に好ましい。R26は、それぞれ独立して炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から5のアルコキシル基、炭素原子数2から5のアルケニル基又は炭素原子数2から5のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1から4のアルコキシル基が更に好ましい。R25、及びR26がアルケニル基の場合、式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。(各式中の黒点は環との連結点を表す。)
【0121】
【化38】
【0122】
23は1,4−フェニレン基、トランス−1,4−シクロヘキシレン基を表すことが好ましい。
【0123】
21は1又は2を表すことが好ましい。
【0124】
一般式(II−2)で表される化合物は、一般式(II−2A)又は一般式(II−2B)で表される化合物であることが好ましい。
【0125】
【化39】
【0126】
(式中、R25、R26及びA23は、一般式(II−2)におけるR25、R26及びA23と同じ意味を表す。)
【0127】
【化40】
【0128】
(式中、B23はトランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表す。R25、R26及びA23は、それぞれ独立して一般式(II−2)におけるR25、R26及びA23と同じ意味を表す。)
一般式(II−2A)で表される化合物としては、下記一般式(II−2A−1)及び一般式(II−2A−2)で表される化合物が好ましく、一般式(II−2A−2)で表される化合物より好ましい。
【0129】
【化41】
【0130】
(式中、R25及びR26は、一般式(II−2)におけるR25及びR26と同じ意味を表す。)
一般式(II−2B)で表される化合物としては、下記一般式(II−2B−1)〜一般式(II−2B−3)で表される化合物であることが好ましく、一般式(II−2B−1)及び一般式(II−2B−2)で表される化合物であることが更に好ましく、一般式(II−2B−2)で表される化合物であることが特に好ましい。
【0131】
【化42】
【0132】
(式中、R25及びR26は、一般式(II−2)におけるR25及びR26と同じ意味を表す。)
また、一般式(LC3)として、下記一般式(LC3−b)で表される化合物を1種又は2種以上含有することが好ましい。
【0133】
【化43】
【0134】
(式中、RLC31、RLC32、ALC31、ALC32及びZLC31は、一般式(LC3)におけるRLC31、RLC32、ALC31、ALC32及びZLC31と同じ意味を表し、XLC3b1〜XLC3b4は水素原子又はフッ素原子を表すが、XLC3b1及びXLC3b2又はXLC3b3及びXLC3b4のうちの少なくとも一方の組み合わせは共にフッ素原子を表し、mLC3b1は0又は1を表す。ただし、一般式(LC3−b)において、一般式(II−1)及び一般式(II−2)で表される化合物は除く。)で表される化合物群から選ばれる1種又は2種以上の化合物であることが好ましい。
【0135】
一般式(LC3−b)としては、下記一般式(LC3−b1)〜一般式(LC3−b10)を表すことが好ましく、一般式(LC3−b1)、一般式(LC3−b3)及び一般式(LC3−b4)を表すことがより好ましく、一般式(LC3−b1)を表すことがより好ましい。本発明の液晶組成物は、一般式(LC3−b1)で表される化合物を必ず含有することが好ましい。
【0136】
【化44】
【0137】
(式中、RLC33及びRLC34はそれぞれ独立して炭素原子数1から8のアルキル基、炭素原子数1から8のアルコキシル基、炭素原子数2から8のアルケニル基又は炭素原子数2から8のアルケニルオキシル基を表す。)
LC33及びRLC34の組み合わせは特に限定されないが、両方がアルキル基を表すもの、両方がアルケニル基を表すもの、いずれか一方がアルキル基を表し、他方がアルケニル基を表すもの、いずれか一方がアルキル基をあらわし、他方がアルコキシを表すもの、及びいずれか一方がアルキル基をあらわし、他方がアルケニルオキシ基を表すものであることが好ましく、両方がアルキル基を表すもの、及び両方がアルケニル基を表すものであることがより好ましい。
【0138】
また、一般式(LC3−b)としては、下記一般式(LC3−b11)を表すことが好ましい。本発明の液晶組成物は、一般式(LC3−b11)で表される化合物を必ず含有することが好ましい。
【0139】
【化45】
【0140】
(式中、RLC35及びRLC36はそれぞれ独立して炭素原子数1から8のアルキル基、炭素原子数1から8のアルコキシル基、炭素原子数2から8のアルケニル基又は炭素原子数2から8のアルケニルオキシル基を表す。)
また、一般式(LC3)として、一般式(PAP−1)
【0141】
【化46】
【0142】
(式中、R55およびR56は、それぞれ独立して炭素原子数1から8のアルキル基、炭素原子数1から8のアルコキシ基、炭素原子数2から8のアルケニル基、炭素原子数2から8のアルケニルオキシ基を表し、基中の水素原子の1個又は2個以上がフッ素原子で置換されても良い。)で表される化合物を1種又は2種以上含有することも好ましい。
【0143】
55は、炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から4のアルコキシ基、炭素原子数2から5のアルケニル基、炭素原子数2から5のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数2から5のアルケニル基が更に好ましくい。R56は、炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から4のアルコキシ基、炭素原子数2から5のアルケニル基、炭素原子数2から5のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数1から5のアルコキシ基が更に好ましく、炭素原子数1から5のアルコキシ基が更に好ましい。 一般式(LC4)としては下記一般式(LC4−a)から一般式(LC4−c)、一般式(LC5)としては下記一般式(LC5−a)から一般式(LC5−c)を表すことが好ましく、
【0144】
【化47】
【0145】
(式中、RLC41、RLC42及びXLC41はそれぞれ独立して前記一般式(LC4)におけるRLC41、RLC42及びXLC41と同じ意味を表し、RLC51及びRLC52はそれぞれ独立して前記一般式(LC5)におけるRLC51及びRLC52と同じ意味を表し、ZLC4a1、ZLC4b1、ZLC4c1、ZLC5a1、ZLC5b1及びZLC5c1はそれぞれ独立して単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−CHCH−、−(CH−、−COO−、−OCH−、−CHO−、−OCF−又は−CFO−を表す。)で表される化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であるのがより好ましい。
【0146】
本発明の液晶組成物は、一般式(LC3)で表される化合物として一般式(II−1A)、一般式(II−1B)、一般式(II−2A)及び一般式(II−2B)で表される化合物のうちいずれかを少なくとも1種以上含有してもよいし、一般式(II−1A)及び一般式(II−1B)で表される化合物の両方をそれぞれ1種以上含有してもよいし、一般式(II−2A)及び一般式(II−2B)で表される化合物の両方をそれぞれ1種以上含有してもよい。本発明の液晶組成物は、一般式(II−1A)、一般式(II−1B)、一般式(II−2A)及び一般式(II−2B)で表される化合物群から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有することが好ましく、2種から10種含有することがより好ましい。
更に詳述すると、一般式(LC3)で表される化合物は一般式(II−2A−1)及び一般式(II−2B−1)の組み合わせであることが好ましく、一般式(II−2A−1)及び一般式(II−2B−1)及び一般式(II−2B−2)の組み合わせであることが更に好ましい。
【0147】
更に詳述すると、一般式(LC3)で表される化合物は一般式(II−2A−2)及び一般式(II−2B−1)の組み合わせであることが好ましい。
【0148】
更に詳述すると、一般式(LC3)で表される化合物は一般式(II−1A−1)及び一般式(II−1B−1)及び一般式(II−2A−1)の組み合わせであることが更に好ましく、一般式(II−1A−1)及び一般式(II−1B−1)及び一般式(II−2A−2)の組み合わせであることが更に好ましい。
【0149】
更に詳述すると、一般式(LC3)で表される化合物は一般式(II−2A−1)及び一般式(II−2B−1)及び一般式(II−1B−1)の組み合わせであることが更に好ましい。
【0150】
更に詳述すると、一般式(LC3)で表される化合物は一般式(II−2A−2)及び一般式(II−1B−1)の組み合わせであることが好ましく、一般式(II−2A−2)及び一般式(II−1B−1)及び一般式(II−2B−2)の組み合わせであることが更に好ましく、一般式(II−2A−2)及び一般式(II−1B−1)及び一般式(II−1B−3)の組み合わせであることが更に好ましい。
【0151】
更に詳述すると、一般式(LC3)で表される化合物は一般式(II−1A−1)及び一般式(II−1B−1)及び一般式(LC3−b)の組み合わせであることが好ましく、一般式(II−1A−1)及び一般式(II−1B−1)及び一般式(LC3−b1)の組み合わせであることがより好ましく、一般式(II−1A−1)及び一般式(II−1B−1)及び一般式(LC3−b11)の組み合わせであることがより好ましい。
【0152】
本発明の液晶組成物において、一般式(LC3)中のRLC31、一般式(LC4)中のRLC41、及び一般式(LC5)中のRLC51の少なくとも1種以上の化合物がプロペニル基である化合物の群から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有することが好ましい。
【0153】
一般式(LC3)〜一般式(LC5)で表される化合物の含有量は0.5%から95質量%であることが好ましく、10から90質量%であることが好ましく、20から80質量%が更に好ましく、20から70質量%が更に好ましく、20から60質量%が更に好ましく、20から55質量%が更に好ましく、25から55質量%が更に好ましく、30から55質量%が特に好ましい。
【0154】
より具体的には、一般式(LC3)〜一般式(LC5)で表される化合物の含有量は、組成物中に下限値として、0.5%以上含有することが好ましく、1%以上含有することが好ましく、2%以上含有することが好ましく、3%以上含有することが好ましく、4%以上含有することが好ましく、5%以上含有することが好ましく、10%以上含有することが好ましく、15%以上含有することが好ましく、20%以上含有することが好ましく、25%以上含有することが好ましく、30%以上含有することが好ましく、35%以上含有することが好ましく、38%以上含有することが好ましく、40%以上含有することが好ましい。また、上限値として、95%以下含有することが好ましく、90%以下含有することが好ましく、88%以下含有することが好ましく、85%以下含有することが好ましく、83%以下含有することが好ましく、80%以下含有することが好ましく、78%以下含有することが好ましく、75%以下含有することが好ましく、73%以下含有することが好ましく、70%以下含有することが好ましく、68%以下含有することが好ましく、65%以下含有することが好ましく、63%以下含有することが好ましく、60%以下含有することが好ましく、55%以下含有することが好ましく、50%以下含有することが好ましく、40%以下含有することが好ましく、30%以下含有することが好ましく、20%以下含有することが好ましい。
【0155】
本発明の液晶組成物において、一般式(LC3)〜一般式(LC5)で表される化合物群から選ばれる化合物の含有量は10から90質量%であることが好ましく、20から80質量%が更に好ましく、30から70質量%が特に好ましい。
【0156】
より具体的には、一般式(LC3)〜一般式(LC5)で表される化合物の含有量は、組成物中に下限値として、1質量%(以下組成物中の%は質量%を表す。)以上含有することが好ましく、5%以上含有することが好ましく、10%以上含有することが好ましく、13%以上含有することが好ましく、15%以上含有することが好ましく、18%以上含有することが好ましく、20%以上含有することが好ましく、23%以上含有することが好ましく、25%以上含有することが好ましく、28%以上含有することが好ましく、30%以上含有することが好ましく、33%以上含有することが好ましく、35%以上含有することが好ましく、38%以上含有することが好ましく、40%以上含有することが好ましい。また、上限値として、95%以下含有することが好ましく、90%以下含有することが好ましく、88%以下含有することが好ましく、85%以下含有することが好ましく、83%以下含有することが好ましく、80%以下含有することが好ましく、78%以下含有することが好ましく、75%以下含有することが好ましく、73%以下含有することが好ましく、70%以下含有することが好ましく、68%以下含有することが好ましく、65%以下含有することが好ましく、63%以下含有することが好ましく、60%以下含有することが好ましく、55%以下含有することが好ましく、50%以下含有することが好ましく、40%以下含有することが好ましい。
【0157】
本発明の液晶組成物は、一般式(III)で表される化合物を1種又は2種以上含有することが好ましい。
【0158】
【化48】
【0159】
(式中、R33及びR34はそれぞれ独立して炭素原子数1〜15のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の−CH−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−、−C≡C−、−CFO−又は−OCF−で置換されてよく、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は任意にハロゲンで置換されていてもよい。A31〜A33はそれぞれ独立してトランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表す。Z31及びZ32はそれぞれ独立して単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−又は−CFO−を表す。m31は0、1又は2を表し、A31及びZ31が複数存在する場合、それらは同一であっても、異なっていてもよい。但し、一般式(III)で表される化合物において、一般式(I−IV)で表される化合物を除く。)
一般式(III)において、R33及びR34はそれぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基であることが好ましく、直鎖であることが好ましい。R33及びR34がアルケニル基の場合、式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。
【0160】
【化49】
【0161】
(各式中の黒点は環との連結点を表す。)
33及びR34の組み合わせは特に限定されないが、両方がアルキル基を表すもの、いずれか一方がアルキル基を表し、他方がアルケニル基を表すもの、又は、いずれか一方がアルキル基をあらわし、他方がアルコキシを表すもの、又はいずれか一方がアルキル基をあらわし、他方がアルケニルオキシ基を表すものであることが好ましい。
【0162】
31〜A33はそれぞれ独立して下記の何れかの構造
【0163】
【化50】
【0164】
が好ましく、
【0165】
【化51】
【0166】
がより好ましい。
【0167】
31及びZ32はそれぞれ独立して単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−又は−CFO−を表し、単結合、−CHCH−、−OCF−又は−CFO−が更に好ましく、単結合が特に好ましい。
【0168】
31は1又は2の整数を表すことが好ましい。A31及びZ31が複数存在する場合、それらは同一であっても、異なっていてもよい。
【0169】
一般式(III)で表される化合物は、下記一般式(III−B)から一般式(III−K)で表される化合物であることが好ましい。本発明の液晶組成物は、一般式(III)で表される化合物として、一般式(III−B)から一般式(III−K)で表される化合物を1種又は2種以上含有することが好ましい。
【0170】
【化52】
【0171】
(式中、R31及びR32は、炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数2から5のアルケニル基、R32は、炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から5のアルコキシル基、炭素原子数2から5のアルケニル基又は炭素原子数2から5のアルケニルオキシ基を表す。)
一般式(III)で表される化合物は、一般式(III−D)、一般式(III−F)、一般式(III−G)及び一般式(III−H)から選ばれる化合物であることが好ましく、一般式(III−F)、一般式(III−G)及び一般式(III−H)から選ばれる化合物であることが更に好ましく、一般式(III−G)及び一般式(III−H)から選ばれる化合物であることが更に好ましく、一般式(III−F)及び一般式(III−H)から選ばれる化合物であることも好ましい。更に詳述すると、大きなΔnが求められる場合には、一般式(III−F)、一般式(III−H)及び一般式(III−K)から選ばれる化合物であることが好ましい。
また、一般式(III−D)、一般式(III−G)及び一般式(III−H)で表される化合物においては、R31は炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数2から5のアルケニル基、R32は炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数1から5のアルコキシ基であることが好ましく、R31は炭素原子数2から5のアルケニル基であることが更に好ましく、炭素原子数2又は3のアルケニル基であることが更に好ましく、一般式(III−F)で表される化合物においては、R31及びR32はそれぞれ独立して炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数2から5のアルケニル基であることが好ましい。
一般式(III−B)から一般式(III−K)で表される化合物の好ましい具体的な例として、以下のようなものが挙げられる。
【0172】
【化53】
【0173】
【化54】
【0174】
(式中、Rは、炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から5のアルコキシル基、炭素原子数2から5のアルケニル基、炭素原子数2から5のアルケニルオキシ基を表す。但し、一般式(I−V)及は一般式(I−V1)で表される化合物は除く。)
また、一般式(III)で表される化合物として、一般式(VIII−a)、一般式(VIII−c)又は一般式(VIII−d)で表される化合物を1種又は2種以上含有することも好ましい。
【0175】
【化55】
【0176】
(式中、R51およびR52はそれぞれ独立して炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表す。)
【0177】
【化56】
【0178】
(式中、R51およびR52はそれぞれ独立して炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表し、X51およびX52はそれぞれ独立してフッ素原子または水素原子を表し、X51およびX52のいずれか一つはフッ素原子であり、他の一つは水素原子である。)
【0179】
【化57】
【0180】
(式中、R51およびR52はそれぞれ独立して炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表し、X51およびX52はそれぞれ独立してフッ素原子または水素原子を表し、X51およびX52のいずれか一つはフッ素原子であり、他の一つは水素原子である。)
また、一般式(III)で表される化合物として、一般式(V−9.1)から一般式(V−9.3)で表される化合物を1種又は2種以上含有してもよい。
【0181】
【化58】
【0182】
一般式(III)で表される化合物の含有量は、1質量%から60質量%であることが好ましく、10質量%から50質量%であることが好ましく、20質量%から50質量%であることが好ましく、20質量%から40質量%であることが好ましい。
【0183】
より具体的には、一般式(III)で表される化合物の含有量は、組成物中に下限値として、0.5質量%(以下組成物中の%は質量%を表す。)以上含有することが好ましく、1%以上含有することが好ましく、3%以上含有することが好ましく、5%以上含有することが好ましく、8%以上含有することが好ましく、10%以上含有することが好ましく、13%以上含有することが好ましく、15%以上含有することが好ましく、18%以上含有することが好ましく、20%以上含有することが好ましい。また、上限値として、80%以下含有することが好ましく、70%以下含有することが好ましく、65%以下含有することが好ましく、60%以下含有することが好ましく、55%以下含有することが好ましく、50%以下含有することが好ましく、45%以下含有することが好ましく、40%以下含有することが好ましく、38%以下含有することが好ましく、35%以下含有することが好ましく、33%以下含有することが好ましく、30%以下含有することが好ましく、28%以下含有することが好ましく、25%以下含有することが好ましい。
また、一般式(III)で表される化合物として、一般式(N−001)で表される化合物を1種又は2種以上含有してもよい。
【0184】
【化59】
【0185】
(式中、RN1及びRN2はそれぞれ独立して炭素原子数1から8のアルキル基、炭素原子数1から8のアルコキシル基、炭素原子数2から8のアルケニル基又は炭素原子数2から8のアルケニルオキシル基を表し、L及びLはそれぞれ独立して水素原子、フッ素原子、CH又はCFを表す。ただし、L及びLの両方がフッ素原子を表すものを除く。)
N1及びRN2は、炭素原子数1から5のアルキル基を表すことが好ましい。
【0186】
本発明の液晶組成物は、一般式(I−IV)、一般式(I)、一般式(II−1A−1)及び一般式(III−F)の化合物を同時に含有することが好ましく、一般式(I−IV)、一般式(I)、一般式(II−1A−1)及び一般式(III−H)の化合物を同時に含有することが好ましく、一般式(I−IV)、一般式(I)、一般式(II−1)、一般式(II−2A−1)及び一般式(III−F)の化合物を同時に含有することが好ましく、一般式(I−IV)、一般式(I)、一般式(II−1)、一般式(II−2A−1)及び一般式(III−H)の化合物を同時に含有することが好ましく、一般式(I−IV)、一般式(I)、一般式(II−1)、一般式(II−2A−2)及び一般式(III−F)の化合物を同時に含有することが好ましく、一般式(I−IV)、一般式(I−1)、一般式(II)、一般式(II−2A−2)及び一般式(III−H)の化合物を同時に含有することが好ましく、一般式(I−IV)、一般式(I)、一般式(II−1B−1)及び一般式(III−F)の化合物を同時に含有することが好ましく、一般式(I−IV)、一般式(I)、一般式(II−1B−1)及び一般式(III−H)の化合物を同時に含有することが好ましく、一般式(I−IV)、一般式(I)、一般式(II−1B−3)及び一般式(III−F)の化合物を同時に含有することが好ましく、一般式(I−IV)、一般式(I)、一般式(II−1B−3)及び一般式(III−H)の化合物を同時に含有することが好ましく、一般式(I−IV)、一般式(I)、一般式(II−1)、一般式(II−2B−1)及び一般式(III−F)の化合物を同時に含有することが好ましく、一般式(I−IV)、一般式(I)、一般式(II−1)、一般式(II−2B−1)及び一般式(III−H)の化合物を同時に含有することが好ましく、一般式(I−IV)、一般式(I)、一般式(II−1)、一般式(II−2B−2)及び一般式(III−F)の化合物を同時に含有することが好ましく、一般式(I−IV)、一般式(I)、一般式(II−1)、一般式(II−2B−2)及び一般式(III−H)の化合物を同時に含有することが好ましい。
【0187】
本発明の液晶組成物は、一般式(I−IV)、一般式(I)、一般式(II−1A−1)、一般式(II−1B−1)及び一般式(III−H)の化合物を同時に含有することが更に好ましく、一般式(I−IV)、一般式(I)、一般式(II−1A−1)、一般式(II−1B−1)及び一般式(III−H)の化合物を同時に含有することが更に好ましく、一般式(I−IV)、一般式(I)、一般式(II−1)、一般式(II−2A−1)、一般式(II−2B−2)及び一般式(III−H)の化合物を同時に含有することが更に好ましく、一般式(I−IV)、一般式(I)、一般式(II−1A−1)、一般式(II−2B−1)及び一般式(III−H)の化合物を同時に含有することが更に好ましく、一般式(I−IV)、一般式(I)、一般式(II−1A−1)、一般式(II−2B−2)及び一般式(III−H)の化合物を同時に含有することが更に好ましい。
【0188】
本発明の液晶組成物は一般式(I−IV)、一般式(I)、一般式(II−1)、一般式(II−2A−2)、一般式(II−2B−2)及び一般式(III−K)の化合物を同時に含有することが更に好ましく、一般式(I−IV)、一般式(I)、一般式(II−1A−1)、一般式(II−1B−1)及び一般式(III−K)の化合物を同時に含有することが更に好ましく、一般式(I−IV)、一般式(I)、一般式(II−1A−1)、一般式(II−1B−1)、一般式(II−1B−3)及び一般式(III−K)の化合物を同時に含有することが更に好ましい。
【0189】
本発明の液晶組成物は、一般式(I−IV)で表される化合物、一般式(I)で表される化合物、及び一般式(II−1)で表される化合物の合計の含有量が、50から99質量%であることが好ましく、55〜99質量%であることが更に好ましく、60〜99質量%であることが更に好ましく、65〜99質量%であることが更に好ましく、70〜99質量%であることが更に好ましく、75〜99質量%であることが特に好ましい。
【0190】
より具体的には、一般式(I−IV)で表される化合物、一般式(I)で表される化合物、及び一般式(II−1)で表される化合物の合計の含有量は、組成物中に下限値として、30質量%(以下組成物中の%は質量%を表す。)以上含有することが好ましく、35%以上含有することが好ましく、40%以上含有することが好ましく、45%以上含有することが好ましく、50%以上含有することが好ましく、55%以上含有することが好ましく、60%以上含有することが好ましく、65%以上含有することが好ましく、70%以上含有することが好ましく、75%以上含有することが好ましく、78%以上含有することが好ましく、80%以上含有することが好ましく、83%以上含有することが好ましく、85%以上含有することが好ましく、90%以上含有することが好ましく、91%以上含有することが好ましい。また、上限値として、 100%以下含有することが好ましく、99%以下含有することが好ましく、95%以下含有することが好ましく、90%以下含有することが好ましく、85%以下含有することが好ましく、80%以下含有することが好ましく、75%以下含有することが好ましく、70%以下含有することが好ましく、65%以下含有することが好ましく、60%以下含有することが好ましく、55%以下含有することが好ましく、50%以下含有することが好ましい。
【0191】
本発明の液晶組成物は、一般式(I−IV)で表される化合物、一般式(I)で表される化合物、一般式(II−1)で表される化合物、及び一般式(LC3)〜一般式(LC5)で表される化合物群から選ばれる化合物の合計の含有量が、50〜99質量%であることが好ましく、55〜99質量%であることが更に好ましく、60〜99質量%であることが更に好ましく、65〜99質量%であることが更に好ましく、70〜99質量%であることが更に好ましく、75〜99質量%であることが特に好ましい。 本発明の液晶組成物は、一般式(I−IV)で表される化合物、一般式(I)で表される化合物、一般式(LC3)〜一般式(LC5)で表される化合物群から選ばれる化合物、及び一般式(III)で表される化合物の合計の含有量が、70〜100質量%であることが好ましく、80〜100質量%であることが更に好ましく、85〜100質量%であることが更に好ましく、90〜100質量%であることが更に好ましく、95〜100質量%であることが特に好ましい。
【0192】
本発明の液晶組成物は、25℃における誘電率異方性(Δε)が−2.0から−8.0であるが、−2.0から−6.0が好ましく、−2.0から−5.0がより好ましく、−2.5から−4.0が特に好ましい。
【0193】
本発明の液晶組成物は、20℃における屈折率異方性(Δn)が0.08から0.14であるが、0.09から0.13がより好ましく、0.09から0.12が特に好ましい。更に詳述すると、薄いセルギャップに対応する場合は0.10から0.13であることが好ましく、厚いセルギャップに対応する場合は0.08から0.10であることが好ましい。
【0194】
本発明の液晶組成物は、20℃における粘度(η)が10から30mPa・sであるが、10から25mPa・sであることがより好ましく、10から22mPa・sであることが特に好ましい。
【0195】
本発明の液晶組成物は、20℃における回転粘性(γ)が60から130mPa・sであるが、60から110mPa・sであることがより好ましく、60から100mPa・sであることが特に好ましい。
【0196】
本発明の液晶組成物は、ネマチック相−等方性液体相転移温度(Tni)が60℃から120℃であるが、70℃から100℃がより好ましく、70℃から85℃が特に好ましい。
【0197】
本発明の液晶組成物は、上述の化合物以外に、通常のネマチック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、重合性モノマー又は本発明以外の光安定剤(HALS)等を含有してもよい。
【0198】
例えば、本発明の液晶組成物は、通常のネマチック液晶、スメクチック液晶として、25℃における誘電率異方性(Δε)が+2.0から+50.0である液晶化合物を含有しても良く、その含有量は0質量%から50質量%であるが、1質量%から30質量%であることが好ましく、3質量%から30質量%であることが好ましく、5質量%から20質量%であることが好ましい。
【0199】
例えば、液晶組成物は重合性モノマーとしてビフェニル誘導体、ターフェニル誘導体等の重合性化合物を0.01から2質量%含有していてもよい。
【0200】
重合性モノマーとしては、一つの反応性基を有する単官能性の重合性化合物、及び二官能又は三官能等の二つ以上の反応性基を有する多官能性の重合性化合物を一種又は二種以上含有してもよい。反応性基を有する重合性化合物はメソゲン性部位を含んでいても、含んでいなくてもよい。
【0201】
反応性基を有する重合性化合物において、反応性基は光による重合性を有する置換基が好ましい。
【0202】
反応性基を有する重合性化合物のうち、単官能性の反応基を有する重合性化合物として具体的には、下記一般式(VI)
【0203】
【化60】
【0204】
(式中、Xは、水素原子又はメチル基を表し、Spは、単結合、炭素原子数1〜8のアルキレン基又は−O−(CH−(式中、tは2〜7の整数を表し、酸素原子は芳香環に結合するものとする。)を表し、Vは炭素原子数2〜20の直鎖もしくは分岐多価アルキレン基又は炭素原子数5〜30の多価環状置換基を表すが、多価アルキレン基中のアルキレン基は酸素原子が隣接しない範囲で酸素原子により置換されていてもよく、炭素原子数5〜20のアルキル基(基中のアルキレン基は酸素原子が隣接しない範囲で酸素原子により置換されていてもよい。)又は環状置換基により置換されていてもよく、Wは水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜8のアルキレン基を表す。)で表される重合性化合物が好ましい。
【0205】
上記一般式(VI)において、Xは、水素原子又はメチル基を表すが、反応速度を重視する場合には水素原子が好ましく、反応残留量を低減することを重視する場合にはメチル基が好ましい。
【0206】
上記一般式(VI)において、Spは、単結合、炭素原子数1〜8のアルキレン基又は−O−(CH−(式中、tは2〜7の整数を表し、酸素原子は芳香環に結合するものとする。)を表すが、炭素鎖があまり長くないことが好ましく、単結合又は炭素原子数1〜5のアルキレン基が好ましく、単結合又は炭素原子数1〜3のアルキレン基がより好ましい。また、Spが−O−(CH−を表す場合も、tは1〜5が好ましく、1〜3がより好ましい。
【0207】
上記一般式(VI)において、Vは炭素原子数2〜20の直鎖もしくは分岐多価アルキレン基又は炭素原子数5〜30の多価環状置換基を表すが、多価アルキレン基中のアルキレン基は酸素原子が隣接しない範囲で酸素原子により置換されていてもよく、炭素原子数5〜20のアルキル基(基中のアルキレン基は酸素原子が隣接しない範囲で酸素原子により置換されていてもよい。)又は環状置換基により置換されていてもよく、2つ以上の環状置換基により置換されていることが好ましい。
【0208】
一般式(VI)で表される重合性化合物は更に具体的には、一般式(X1a)
【0209】
【化61】
【0210】
(式中、Aは水素原子又はメチル基を表し、
は単結合又は炭素原子数1〜8のアルキレン基(該アルキレン基中の1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立して酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよく、該アルキレン基中の1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていてもよい。)を表し、
及びAはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基(該アルキル基中の1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立して酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよく、該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子は、それぞれ独立してハロゲン原子又は炭素原子数1〜17のアルキル基で置換されていてもよい。)を表わし、
及びAはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基(該アルキル基中の1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立して酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよく、該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子は、それぞれ独立してハロゲン原子又は炭素原子数1〜9のアルキル基で置換されていてもよい。)を表し、
pは1〜10を表し、
、B及びBは、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基(該アルキル基中の1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立して酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよく、該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子は、それぞれ独立してハロゲン原子又は炭素原子数3〜6のトリアルコキシシリル基で置換されていてもよい。)を表わす化合物が挙げられる。
【0211】
また、一般式(VI)で表される重合性化合物は具体的には、一般式(X1b)
【0212】
【化62】
【0213】
(式中、Aは水素原子又はメチル基を表し、
6員環T、T及びTはそれぞれ独立して
【0214】
【化63】
【0215】
のいずれか(ただしqは1から4の整数を表す。)を表し、
qは0又は1を表し、
及びYはそれぞれ独立して単結合、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH−、−CHCHCHO−、−OCHCHCH−、−CH=CHCHCH−又は−CHCHCH=CH−を表し、
は単結合、−COO−又は−OCO−を表し、
は炭素原子数1〜18の炭化水素基を表す。)で表わす化合物も挙げられる。
【0216】
更に、一般式(VI)で表される重合性化合物は具体的には、一般式(X1c)
【0217】
【化64】
【0218】
(式中、R70は水素原子又はメチル基を表し、R71は縮合環を有する炭化水素基を表す。)で表わす化合物も挙げられる。
【0219】
また、 反応性基を有する重合性化合物の内、多官能性の反応基を有する重合性化合物が、下記一般式(VII)
【0220】
【化65】
【0221】
(式中、X及びXはそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し、Sp及びSpはそれぞれ独立して、単結合、炭素原子数1〜8のアルキレン基又は−O−(CH−(式中、sは2〜7の整数を表し、酸素原子は芳香環に結合するものとする。)を表し、Uは炭素原子数2〜20の直鎖もしくは分岐多価アルキレン基又は炭素原子数5〜30の多価環状置換基を表すが、多価アルキレン基中のアルキレン基は酸素原子が隣接しない範囲で酸素原子により置換されていてもよく、炭素原子数5〜20のアルキル基(基中のアルキレン基は酸素原子が隣接しない範囲で酸素原子により置換されていてもよい。)又は環状置換基により置換されていてもよく、kは1〜5の整数を表す。)で表される重合性化合物が好ましい。
上記一般式(VII)において、X及びXはそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表すが、反応速度を重視する場合には水素原子が好ましく、反応残留量を低減することを重視する場合にはメチル基が好ましい。
【0222】
上記一般式(VII)において、Sp及びSpはそれぞれ独立して、単結合、炭素原子数1〜8のアルキレン基又は−O−(CH−(式中、sは2〜7の整数を表し、酸素原子は芳香環に結合するものとする。)を表すが、炭素鎖があまり長くないことが好ましく、単結合又は炭素原子数1〜5のアルキレン基が好ましく、単結合又は炭素原子数1〜3のアルキレン基がより好ましい。また、Sp及びSpが−O−(CH−を表す場合も、sは1〜5が好ましく、1〜3がより好ましく、Sp及びSpの少なくとも一方が、単結合であることがより好ましく、いずれも単結合であることが特に好ましい。
【0223】
上記一般式(VII)において、Uは炭素原子数2〜20の直鎖もしくは分岐多価アルキレン基又は炭素原子数5〜30の多価環状置換基を表すが、多価アルキレン基中のアルキレン基は酸素原子が隣接しない範囲で酸素原子により置換されていてもよく、炭素原子数5〜20のアルキル基(基中のアルキレン基は酸素原子が隣接しない範囲で酸素原子により置換されていてもよい。)、環状置換基により置換されていてもよく、2つ以上の環状置換基により置換されていることが好ましい。
【0224】
上記一般式(VII)において、Uは具体的には、以下の式(VII−1)から式(VII−5)を表すことが好ましく、式(VII−1)から式(VII−3)を表すことがより好ましく、式(VII−1)を表すことが特に好ましい。
【0225】
【化66】
【0226】
(式中、両端はSp又はSpに結合するものとする。)
Uが環構造を有する場合、前記Sp及びSpは少なくとも一方が単結合を表すことが好ましく、両方共に単結合であることも好ましい。
【0227】
上記一般式(VII)において、kは1〜5の整数を表すが、kが1の二官能化合物、又はkが2の三官能化合物であることが好ましく、二官能化合物であることがより好ましい。
【0228】
更に詳述すると、一般式(M)
【0229】
【化67】
【0230】
で表される重合性化合物を一種又は二種以上含有することが好ましい。
【0231】
一般式(M)において、X201及びX202は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基又は−CF基を表す。X201及びX202は、いずれも水素原子であるジアクリレート誘導体、いずれもメチル基であるジメタクリレート誘導体が好ましく、一方が水素原子でありもう一方がメチル基である化合物も好ましい。用途により好ましい化合物を用いることができるが、PSA表示素子においては、一般式(M)で表される重合性化合物はメタクリレート誘導体を少なくとも1個有することが好ましく、2個有することも好ましい。
【0232】
一般式(M)において、Sp201及びSp202は、それぞれ独立して、単結合、炭素原子数1〜8のアルキレン基又は−O−(CH−(式中、sは2から7の整数を表し、酸素原子は環に結合するものとする。)を表す。Sp201及びSp202は、PSA型の液晶表示素子においては少なくとも一方が単結合であることが好ましく、いずれも単結合である化合物又は一方が単結合でもう一方が炭素原子数1〜8のアルキレン基又は−O−(CH−であることが好ましく、この場合、炭素原子数1〜4のアルキレン基が好ましく、sは1〜4が好ましい。
【0233】
一般式(M)において、M201、M202及びM203は、それぞれ独立して、トランス−1,4−シクロヘキシレン基(基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH−は−O−又は−S−によって置換されていてもよい。)、1,4−フェニレン基(基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH=は−N=によって置換されていてもよい。)、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表し、基中の水素原子は、それぞれ独立して、フッ素原子、−CF基、炭素原子数1から10のアルキル基、炭素原子数1から10のアルコキシル基又は式(R−1)から式(R−15)のいずれかによって置換されていてもよい。
【0234】
【化68】
【0235】
一般式(M)において、Z201及びZ202は、それぞれ独立して、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CFO−、−OCF−、−CHCH−、−CFCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CY=CY−(式中、Y及びYは、それぞれ独立して、フッ素原子又は水素原子を表す。)、−C≡C−又は単結合を表すが、−COO−、−OCO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−C≡C−又は単結合が好ましく、−COO−、−OCO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−又は単結合が更に好ましい。
【0236】
一般式(M)において、n201は、0、1又は2を表すが、0又は1が好ましい。但し、M202及びZ202が複数存在する場合、それぞれ異なっていても良く、同じでもよい。
【0237】
一般式(M)で表される重合性化合物を少なくとも1種含有していても良く、1種〜5種含有することが好ましく、1種〜3種含有することが更に好ましい。
一般式(M)の含有量は0.01〜2.00質量%であることが好ましく、0.05〜1.00質量%であることが更に好ましく、0.10〜0.50質量%であることが特に好ましい。
【0238】
更に具体的には、一般式(M)においてn201が0の場合、Sp201及びSp202の間の環構造は、式(XXa−1)から式(XXa−5)であることが好ましく、式(XXa−1)から式(XXa−3)であることが更に好ましく、式(XXa−1)又は式(XXa−2)であることが特に好ましい。但し、式の両端はSp201又はSp202に結合するものとする。
【0239】
【化69】
【0240】
【化70】
【0241】
【化71】
【0242】
【化72】
【0243】
【化73】
【0244】
これらの骨格を含む一般式(M)で表される重合性化合物は重合後の配向規制力がPSA型の液晶表示素子に最適であり、良好な配向状態が得られることから、表示ムラが抑制されるか、又は、全く発生しない効果がある。
【0245】
以上のことから、重合性モノマーとして、式(XX−1)から一般式(XX−10)で表される化合物が好ましく、式(XX−1)から式(XX−4)が更に好ましい。
【0246】
【化74】
【0247】
式(XX−1)から一般式(XX−10)中、Spxxは炭素原子数1〜8のアルキレン基又は−O−(CH−(式中、sは2から7の整数を表し、酸素原子は環に結合するものとする。)を表す。
【0248】
式(XX−1)から一般式(XX−10)中、1,4−フェニレン基中の水素原子は、更に、−F、−Cl、−CF、−CH、式(R−1)から式(R−15)のいずれかによって置換されていてもよい。
【0249】
一般式(M)においてn201が1の場合、例えば、式(M31)から式(M48)のような重合性化合物が好ましい。
【0250】
【化75】
【0251】
式(M31)から式(M48)中の1,4−フェニレン基及びナフタレン基中の水素原子は、更に、−F、−Cl、−CF、−CH、式(R−1)から式(R−15)のいずれかによって置換されていてもよい。
【0252】
これらの骨格を含む一般式(M)で表される重合性化合物は重合後の配向規制力がPSA型の液晶表示素子に最適であり、良好な配向状態が得られることから、表示ムラが抑制されるか、又は、全く発生しない効果がある。
【0253】
一般式(M)においてn201が1、なおかつ、式(R−1)又は式(R−2)を複数個有する場合、例えば、式(M301)から式(M316)のような重合性化合物が好ましい。
【0254】
【化76】
【0255】
式(M301)から式(M316)中の1,4−フェニレン基及びナフタレン基中の水素原子は、更に、−F、−Cl、−CF、−CHによって置換されていてもよい。
【0256】
一般式(M)で表される重合性化合物として、例えば、式(Ia−1)〜式(Ia−31)のような重合性化合物も好ましい。
【0257】
【化77】
【0258】
【化78】
【0259】
【化79】
【0260】
【化80】
【0261】
また、酸化防止剤は、一般式(H−1)から一般式(H−4)で表されるヒンダードフェノールが好ましい。
【0262】
【化81】
【0263】
一般式(H−1)から一般式(H−4)中、RH1は炭素原子数1から10のアルキル基、炭素原子数1から10のアルコキシル基、炭素原子数2から10のアルケニル基又は炭素原子数2から10のアルケニルオキシ基を表すが、基中に存在する1個の−CH−又は非隣接の2個以上の−CH−はそれぞれ独立して−O−又は−S−に置換されても良く、また、基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子又は塩素原子に置換されてもよい。更に具体的には、炭素原子数2から7のアルキル基、炭素原子数2から7のアルコキシル基、炭素原子数2から7のアルケニル基又は炭素原子数2から7のアルケニルオキシ基であることが好ましく、炭素原子数3から7のアルキル基又は炭素原子数2から7のアルケニル基であることが更に好ましい。
一般式(H−4)中、MH4は炭素原子数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の−CH−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−に置換されていてもよい。)、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CFO−、−OCF−、−CFCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−C≡C−、単結合、1,4−フェニレン基(1,4−フェニレン基中の任意の水素原子はフッ素原子により置換されていてもよい。)又はトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表すが、炭素原子数1から14のアルキレン基であることが好ましく、揮発性を考慮すると炭素原子数は大きい数値が好ましいが、粘度を考慮すると炭素原子数は大き過ぎない方が好ましいことから、炭素原子数2から12が更に好ましく、炭素原子数3から10が更に好ましく、炭素原子数4から10が更に好ましく、炭素原子数5から10が更に好ましく、炭素原子数6から10が更に好ましい。
一般式(H−1)から一般式(H−4)中、1,4−フェニレン基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH=は−N=によって置換されていてもよい。また、1,4−フェニレン基中の水素原子はそれぞれ独立して、フッ素原子又は塩素原子で置換されていてもよい。
一般式(H−1)から一般式(H−4)中、1,4−シクロヘキシレン基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH−は−O−又は−S−によって置換されていてもよい。また、1,4−シクロヘキシレン基中の水素原子はそれぞれ独立して、フッ素原子又は塩素原子で置換されていてもよい。
更に具体的には、例えば、式(H−11)から式(H−15)が挙げられる。
【0264】
【化82】
【0265】
本発明の液晶組成物は、酸化防止剤を1質量ppm以上含有してもよいが、10質量ppm以上が好ましく、20質量ppm以上が好ましく、50質量ppm以上が好ましい。酸化防止剤の含有量の上限は10000質量ppmであるが、1000質量ppmが好ましく、500質量ppmが好ましく、100質量ppmが好ましい。
【0266】
本発明の液晶組成物を用いた液晶表示素子は、表示不良がない又は抑制された、表示品位の優れた応答速度の速いものであり、特に、アクティブマトリックス駆動のVA型、PSVA型、PSA型、FFS型、IPS型又はECB型に適用できる。なお、PSVA型とPSA型は実質的に同義である。
【実施例】
【0267】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。
実施例において化合物の記載について以下の略号を用いる。
(側鎖)
−n −C2n+1 炭素数nの直鎖状のアルキル基
n− C2n+1− 炭素数nの直鎖状のアルキル基
−On −OC2n+1 炭素数nの直鎖状のアルコキシル基
nO− C2n+1O− 炭素数nの直鎖状のアルコキシル基
−V −CH=CH
V− CH=CH−
−V1 −CH=CH−CH
1V− CH−CH=CH−
−2V −CH−CH−CH=CH
V2− CH=CH−CH−CH
−2V1 −CH−CH−CH=CH−CH
1V2− CH−CH=CH−CH−CH
(連結基)
−CF2O− −CF−O−
−OCF2− −O−CF
−1O− −CH−O−
−O1− −O−CH
−COO− −COO−
−OCO− −OCO−
(環構造)
【0268】
【化83】
【0269】
実施例中、測定した特性は以下の通りである。
【0270】
ni :ネマチック相−等方性液体相転移温度(℃)
Δn :20℃における屈折率異方性
Δε :25℃における誘電率異方性
η :20℃における粘度(mPa・s)
γ :20℃における回転粘性(mPa・s)
33 :20℃における弾性定数K33(pN)
VHR(UV) :高圧水銀ランプでUVを150(J)照射後の電圧保持率(1V、60Hz、60℃)但し、照度は365nmで100mW/cmとした。
(比較例1、実施例1、実施例2、実施例3及び実施例4)
LC−A(比較例1)に一般式(I−28H)又は(I−32H)で表される化合物を添加したLC−1(実施例1)、LC−2(実施例2)、LC−3(実施例3)及びLC−4(実施例4)の液晶組成物を調製し、その物性値を測定した。液晶組成物の構成とその物性値の結果は表1のとおりであった。
【0271】
【表1】
【0272】
本発明の液晶組成物LC−1、LC−2、LC−3及びLC−4は、粘度(η)が小さく、回転粘性(γ)が小さく、K33が大きく、比較例であるLC−Aよりも十分に高いVHR(UV)であることが確認され、特にLC−4は顕著に高いVHR(UV)であることが確認された。また、表示ムラがないことを確認した。
これを使用した液晶表示素子の応答速度を測定したところ、テレビ用途としては十分に高速応答であった。なお、セル厚は3.5μm、配向膜はJALS2096であり、応答速度の測定条件は、Vonは6V、Voffは1V、測定温度は25℃で、AUTRONIC−MELCHERS社のDMS703を用いた。
また、LC−2を99.6質量%、重合性モノマーとして式(XX−2)を0.4質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−2を99.6質量%、重合性モノマーとして式(XX−4)を0.4質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−2を99.7%、重合性モノマーとして(XX−4)を0.3%で調製した液晶組成物に、更に酸化防止剤として(H−14)を20ppm添加した組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−4を99.6質量%、重合性モノマーとして式(M−302)を0.4質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−4を99.6質量%、重合性モノマーとして式(XX−4)を0.4質量%及び式(Ia−31)を0.1質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−4を99.7質量%、重合性モノマーとして式(XX−4)を0.3質量%で調製した液晶組成物に、更に酸化防止剤として(H−12)を20ppm添加した組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
(比較例2、実施例5、実施例6、実施例7及び実施例8)
LC−B(比較例2)、LC−5(実施例5)、LC−6(実施例6)、LC−7(実施例7)及びLC−8(実施例8)の液晶組成物を調製し、その物性値を測定した。液晶組成物の構成とその物性値の結果は表2のとおりであった。
【0273】
【表2】
【0274】
本発明の液晶組成物であるLC−5、LC−6、LC−7及びLC−8は、粘度(η)が小さく、回転粘性(γ)が小さく、K33が大きく、比較例であるLC−Bよりも顕著に高いVHR(UV)であることが確認され、中でもLC−7およびLC−8は特に高いVHR(UV)であることが確認された。また、表示ムラがないことを確認した。
これを使用した液晶表示素子の応答速度を測定したところ、テレビ用途としては十分に高速応答であった。なお、セル厚は3.5μm、配向膜はJALS2096であり、応答速度の測定条件は、Vonは6V、Voffは1V、測定温度は25℃で、AUTRONIC−MELCHERS社のDMS703を用いた。
また、LC−5を99.6質量%、重合性モノマーとして式(XX−2)を0.4質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−7を99.6質量%、重合性モノマーとして式(XX−4)を0.4質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−5を99.7質量%、重合性モノマーとして式(M−302)を0.3質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−7を99.6質量%、重合性モノマーとして式(XX−4)を0.3質量%及び式(Ia−31)を0.1質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
(比較例3、実施例9及び実施例10)
LC−C(比較例3)、LC−9(実施例9)及びLC−10(実施例10)の液晶組成物を調製し、その物性値を測定した。液晶組成物の構成とその物性値の結果は表3のとおりであった。
【0275】
【表3】
【0276】
本発明の液晶組成物LC−9及びLC−10は、粘度(η)が小さく、回転粘性(γ)が小さく、K33が大きく、比較例であるLC−Cよりも顕著に高いVHR(UV)であることが確認された。また、表示ムラがないことを確認した。
これを使用した液晶表示素子の応答速度を測定したところ、モバイル用途としては十分に高速応答であった。なお、セル厚は3.5μm、配向膜はJALS2096であり、応答速度の測定条件は、Vonは5V、Voffは1V、測定温度は25℃で、AUTRONIC−MELCHERS社のDMS703を用いた。
また、LC−9を99.7質量%、重合性モノマーとして式(XX−2)を0.3質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−9を99.7質量%、重合性モノマーとして式(XX−4)を0.3質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−9を99.5質量%、重合性モノマーとして式(M−302)を0.5質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−9を99.68質量%、重合性モノマーとして式(XX−4)を0.3質量%及び式(Ia−31)を0.02質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−10を99.7質量%、重合性モノマーとして式(XX−2)を0.3質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−10を99.7質量%、重合性モノマーとして式(XX−4)を0.3質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−10を99.5質量%、重合性モノマーとして式(M−302)を0.5質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−10を99.65質量%、重合性モノマーとして式(XX−4)を0.3質量%及び式(Ia−31)を0.05質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
(比較例4、比較例5、実施例11及び実施例12)
LC−D(比較例4)、LC−E(比較例5)、LC−11(実施例11)及びLC−12(実施例12)の液晶組成物を調製し、その物性値を測定した。液晶組成物の構成とその物性値の結果は表4のとおりであった。
【0277】
【表4】
【0278】
本発明の液晶組成物LC−11及びLC−12は、粘度(η)が小さく、回転粘性(γ)が小さく、比較例であるLC−DおよびLC−Eよりも顕著に高いVHR(UV)であることが確認された。また、表示ムラがないことを確認した。
これを使用した液晶表示素子の応答速度を測定したところ、モバイル用途としては十分に高速応答であった。なお、セル厚は3.5μm、配向膜はJALS2096であり、応答速度の測定条件は、Vonは6V、Voffは1V、測定温度は25℃で、AUTRONIC−MELCHERS社のDMS703を用いた。
また、LC−11を99.7質量%、重合性モノマーとして式(XX−2)を0.3質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−11を99.7質量%、重合性モノマーとして式(XX−4)を0.3質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−11を99.5質量%、重合性モノマーとして式(M−302)を0.5質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−11を99.6質量%、重合性モノマーとして式(XX−4)を0.3質量%及び式(Ia−31)を0.1質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−12を99.7質量%、重合性モノマーとして式(XX−2)を0.3質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−12を99.7質量%、重合性モノマーとして式(XX−4)を0.3質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−12を99.5質量%、重合性モノマーとして式(M−302)を0.5質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−12を99.6質量%、重合性モノマーとして式(XX−4)を0.3質量%及び式(Ia−31)を0.1質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。(比較例6、実施例13、実施例14および実施例15)
LC−F(比較例6)、LC−13(実施例13)、LC−14(実施例14)およびLC−15(実施例15)の液晶組成物を調製し、その物性値を測定した。液晶組成物の構成とその物性値の結果は表5のとおりであった。
【0279】
【表5】
【0280】
本発明の液晶組成物LC−13は、粘度(η)が小さく、回転粘性(γ)が小さく、比較例であるLC−Fよりも顕著に高いVHR(UV)であることが確認された。
本発明の液晶組成物LC−13は、ODFの際に滴下痕が発生しなかった。また、この液晶表示素子には配向ムラが発生しなかった。更に、駆動時に焼き付きが発生しないことを確認した。
この液晶表示素子の応答速度を測定したところ、モバイル用途としては十分に高速応答であった。なお、セル厚は3.0μm、配向膜はJALS2096であり、応答速度の測定条件は、Vonは5V、Voffは1V、測定温度は25℃で、AUTRONIC−MELCHERS社のDMS703を用いた。
また、LC−13を99.65質量%、重合性モノマーとして式(XX−2)を0.35質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−13を99.6質量%、重合性モノマーとして式(XX−4)を0.4質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−13を99.7質量%、重合性モノマーとして式(M−302)を0.3質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−13を99.6質量%、重合性モノマーとして式(XX−4)を0.35質量%及び式(Ia−31)を0.05質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−13を99.7質量%、重合性モノマーとして式(XX−2)を0.3質量%で調製した液晶組成物に、更に酸化防止剤として式(H−11)または式(H−14)の化合物を50ppm添加し、PSVA型の液晶表示素子をそれぞれ作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−13を99.5質量%、重合性モノマーとして式(M−302)を0.5質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−13を99.6質量%、重合性モノマーとして式(XX−1)を0.1質量%及び式(M−302)を0.3質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
LC−14およびLC−15についても同様の実験を実施し、同様の結果が得られた。
(比較例7、実施例16、実施例17および実施例18)
LC−G(比較例7)、LC−16(実施例16)、LC−17(実施例17)およびLC−18(実施例18)の液晶組成物を調製し、その物性値を測定した。液晶組成物の構成とその物性値の結果は表6のとおりであった。
【0281】
【表6】
【0282】
本発明の液晶組成物LC−16、LC−17およびLC−18は、粘度(η)が小さく、回転粘性(γ)が小さく、γ/K33が小さなものであって、比較例であるLC−Gよりも顕著に高いVHR(UV)であることが確認された。
本発明の液晶組成物LC−16、LC−17およびLC−18は、ODFの際に滴下痕が発生しなかった。また、この液晶表示素子には配向ムラが発生しなかった。更に、駆動時に焼き付きが発生しないことを確認した。
この液晶表示素子の応答速度を測定したところ、モバイル用途としては十分に高速応答であった。なお、セル厚は3.0μm、配向膜はJALS2096であり、応答速度の測定条件は、Vonは5V、Voffは1V、測定温度は25℃で、AUTRONIC−MELCHERS社のDMS703を用いた。
また、LC−16を99.65質量%、重合性モノマーとして式(XX−2)を0.35質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−17を99.6質量%、重合性モノマーとして式(XX−4)を0.4質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−18を99.7質量%、重合性モノマーとして式(M−302)を0.3質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−18を99.6質量%、重合性モノマーとして式(XX−4)を0.35質量%及び式(Ia−31)を0.05質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−18を99.7質量%、重合性モノマーとして式(XX−2)を0.3質量%で調製した液晶組成物に更に酸化防止剤として式(H−11)または式(H−14)の化合物を50ppm添加し、PSVA型の液晶表示素子をそれぞれ作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−18を99.5質量%、重合性モノマーとして式(M−302)を0.5質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−18を99.6質量%、重合性モノマーとして式(XX−1)を0.1質量%及び式(M−302)を0.3質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
(比較例8、実施例19、実施例20および実施例21)
LC−H(比較例8)、LC−19(実施例19)、LC−20(実施例20)およびLC−21(実施例21)の液晶組成物を調製し、その物性値を測定した。液晶組成物の構成とその物性値の結果は表7のとおりであった。
【0283】
【表7】
【0284】
本発明の液晶組成物LC−19、LC−20およびLC−21は、粘度(η)が小さく、回転粘性(γ)が小さく、γ/K33が小さなものであって、比較例であるLC−Hよりも顕著に高いVHR(UV)であることが確認された。
本発明の液晶組成物LC−19、LC−20およびLC−21は、ODFの際に滴下痕が発生しなかった。また、この液晶表示素子には配向ムラが発生しなかった。更に、駆動時に焼き付きが発生しないことを確認した。
この液晶表示素子の応答速度を測定したところ、モバイル用途としては十分に高速応答であった。なお、セル厚は3.0μm、配向膜はJALS2096であり、応答速度の測定条件は、Vonは5.5V、Voffは1V、測定温度は25℃で、AUTRONIC−MELCHERS社のDMS703を用いた。
また、LC−21を99.65質量%、重合性モノマーとして式(XX−2)を0.35質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−21を99.6質量%、重合性モノマーとして式(XX−4)を0.4質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−21を99.7質量%、重合性モノマーとして式(M−302)を0.3質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−21を99.6質量%、重合性モノマーとして式(XX−4)を0.35質量%及び式(Ia−31)を0.05質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−21を99.7質量%、重合性モノマーとして式(XX−2)を0.3質量%で調製した液晶組成物に更に酸化防止剤として式(H−11)または式(H−14)の化合物を50ppm添加し、PSVA型の液晶表示素子をそれぞれ作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−21を99.5質量%、重合性モノマーとして式(M−302)を0.5質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−21を99.6質量%、重合性モノマーとして式(XX−1)を0.1質量%及び式(M−302)を0.3質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−19を99.65質量%、重合性モノマーとして式(M−302)を0.35質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−19を99.7質量%、重合性モノマーとして式(XX−4)を0.28質量%及び式(Ia−31)を0.02質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−19を99.7質量%、重合性モノマーとして式(XX−2)を0.3質量%で調製した液晶組成物に、更に酸化防止剤として式(H−14)の化合物を30ppm添加し、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
(比較例9、実施例22、実施例23および実施例24)
LC−I(比較例9)、LC−22(実施例22)、LC−23(実施例23)およびLC−24(実施例24)の液晶組成物を調製し、その物性値を測定した。液晶組成物の構成とその物性値の結果は表8のとおりであった。
【0285】
【表8】
【0286】
本発明の液晶組成物LC−22、LC−23およびLC−24は、粘度(η)が小さく、回転粘性(γ)が小さく、γ/K33が小さなものであって、比較例であるLC−Iよりも顕著に高いVHR(UV)であることが確認された。
本発明の液晶組成物LC−22、LC−23およびLC−24は、ODFの際に滴下痕が発生しなかった。また、この液晶表示素子には配向ムラが発生しなかった。更に、駆動時に焼き付きが発生しないことを確認した。
この液晶表示素子の応答速度を測定したところ、モバイル用途としては十分に高速応答であった。なお、セル厚は3.2μm、配向膜はJALS2096であり、応答速度の測定条件は、Vonは6V、Voffは1V、測定温度は25℃で、AUTRONIC−MELCHERS社のDMS703を用いた。
また、LC−22を99.65質量%、重合性モノマーとして式(XX−2)を0.35質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−22を99.6質量%、重合性モノマーとして式(XX−4)を0.4質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−22を99.7質量%、重合性モノマーとして式(M−302)を0.3質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−23を99.6質量%、重合性モノマーとして式(XX−4)を0.35質量%及び式(Ia−31)を0.05質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−23を99.7質量%、重合性モノマーとして式(XX−2)を0.3質量%で調製した液晶組成物に、更に酸化防止剤として式(H−11)の化合物を60ppm添加し、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−23を99.5質量%、重合性モノマーとして式(M−302)を0.5質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−23を99.6質量%、重合性モノマーとして式(M−302)を0.4質量%で調製した液晶組成物に、更に酸化防止剤として式(H−14)の化合物を65ppm添加し、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−23を99.6質量%、重合性モノマーとして式(XX−1)を0.1質量%及び式(M−302)を0.3質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
また、LC−24を99.75質量%、重合性モノマーとして式(M−302)を0.25質量%で調製した液晶組成物を用いて、PSVA型の液晶表示素子を作製したところ、表示不良がなく、十分に高速応答であることを確認した。
【0287】
以上のことから、本発明の液晶組成物は、屈折率異方性(Δn)及びネマチック相−等方性液体相転移温度(Tni)を低下させることなく、粘度(η)が十分に小さく、回転粘性(γ)が十分に小さく、弾性定数(K33)が大きく、VHR(UV)が高く、絶対値が大きな負の誘電率異方性(Δε)を有するものであり、これを用いた液晶表示素子は表示不良がない又は抑制された、表示品位の優れた応答速度の速いものであることが確認された。