【実施例】
【0030】
次に、実施例について説明する。なお、この実施例は理解を容易にするためのものであり、本発明を制限するものではない。すなわち、本発明の技術思想の範囲内における、他の実施例及び変形は、本発明に含まれるものである。
【0031】
(実施例1)
ランタンの原料として、純度99.9%のランタンを使用した。この原料を70kWのEB溶解炉を用い、真空度6.0×10
−5〜7.0×10
−4mbar、溶解出力10kWで溶解した。これを鋳造し、冷却してランタンインゴットを作成した。
次に、このインゴットを大気中、400°Cの温度でこねくり鍛造し、その後さらに300〜500°Cで据え込み鍛造して径を大きくし、かつターゲット原形に形状を整え、さらにこれを機械加工してφ140×14t(単位は、いずれもmmである。以下同様。)の円盤状ターゲットとした。このターゲットの重量は1.42kgであった。これをさらに銅−クロム合金バッキングプレートに拡散接合して、ランタンスパッタリング用ターゲットとした。
このようにして作製したランタンスパッタリング用ターゲットの硬度はビッカース硬度で70となり、本願発明の条件を満たしていた。
【0032】
次に、このようにして得たランタンスパッタリング用ターゲットの組織を観察するために、1wt%硝酸水溶液を用いてエッチングした。この結果の顕微鏡写真(×50)を
図2に示す。ターゲットの組織は未再結晶組織であった。この
図2に示すように、ランタンスパッタリング用ターゲットの表面にはマクロ模様のムラは観察されなかった。
一方、この実施例で得たランタンスパッタリング用ターゲットをX線回折(XRD)による結晶方位の測定した結果を
図3に示す。後述する比較例1のランタンターゲットに比べ、(100)のピーク強度よりも(101)ピーク強度が強くなっているという結果が出たが、それ以外の点については、大きな差異はなかった。この結果、結晶方位の相違は、本願発明のマクロ模様のムラの発生には、大きく影響はしていないと考えられた。
【0033】
さらに、ランタンスパッタリング用ターゲットを用いて、パワー100Wの条件でスパッタリングを実施した。この結果、パーティクルの発生はなく、基板への均一な膜が形成された。また、長時間のスパッタリングを実施しても、バッキングプレートからターゲットの浮き上がりやターゲットとバッキングプレートとの間の剥がれがなく、良好なスパッタリングが可能であった。この結果、銅−クロム合金バッキングプレートに拡散接合が有効であることが確認できた。
【0034】
(比較例1)
ランタンの原料として、純度99.9%のランタンを使用した。この原料を70kWのEB溶解炉を用い、真空度6.0×10
−5〜7.0×10
−4mbar、溶解出力10kWで溶解した。これを鋳造し、冷却してランタンインゴットを作成した。
次に、このインゴットを真空中、800°Cの温度でホットプレス(HP)し、これによって、径を大きくすると共にターゲット原形に形状を整え、さらにこれを機械加工してφ140×14tの円盤状ターゲットとした。このターゲットの重量は1.42kgであった。これをさらに銅バッキングプレートに拡散接合して、ランタンスパッタリング用ターゲットとした。
【0035】
このようにして作製したランタンスパッタリング用ターゲットの硬度はビッカース硬度で51となり、本願発明の条件を満たしていなかった。
次に、このようにして得たランタンスパッタリング用ターゲットの組織を観察するために、1wt%硝酸水溶液を用いてエッチングした。この結果の顕微鏡写真(×100)を
図4に示す。この
図4に示すように、ターゲットの組織は結晶粒径が200〜300μmの粗大結晶組織であり、ランタンスパッタリング用ターゲットの表面にはマクロ模様のムラが観察された。
【0036】
一方、この実施例で得たランタンスパッタリング用ターゲットをX線回折(XRD)による結晶方位の測定した結果を
図5に示す。前記実施例のランタンターゲットに比べ、(
101)のピーク強度よりも(
100)ピーク強度が強くなっているという結果が出たが、それ以外の点については、大きな差異はなかった。この結晶方位は、マクロ模様のムラの発生には、大きく影響はしていないと考えられた。
【0037】
さらに、ランタンスパッタリング用ターゲットを用いて、パワー100Wの条件でスパッタリングを実施した。この結果、パーティクルの発生が実施例に比べて多くなり、基板への成膜も不均一となった。
また、スパッタリング実施時に、ターゲットとバッキングプレートとの間の剥がれはなかったが、若干バッキングプレートからターゲットが浮き上がる傾向が見られた。これは、スパッタリング時間が短時間であったため、大きな影響がなかったと思われる。
しかし、これを長時間実施したところ、予想通りターゲットとバッキングプレートとの間の剥がれが発生した。これにより、実施例に示す銅−クロム合金製バッキングプレートが好ましいことが確認することができた。
【0038】
(比較例2)
ランタンの原料として、純度99.9%のランタンを使用した。この原料を70kWのEB溶解炉を用い、真空度6.0×10
−5〜7.0×10
−4mbar、溶解出力10kWで溶解した。これを鋳造し、冷却してランタンインゴットを作成した。
次に、このインゴットを大気中、600°Cの温度でこねくり鍛造し、その後さらに300〜500°Cで据え込み鍛造して径を大きくし、かつターゲット原形に形状を整え、さらにこれを機械加工してφ140×14tの円盤状ターゲットとした。このターゲットの重量は1.42kgであった。これをさらに銅バッキングプレートに拡散接合して、ランタンスパッタリング用ターゲットとした。
このようにして作製したランタンスパッタリング用ターゲットの硬度はビッカース硬度で52となり、本願発明の条件を満たしていなかった。
【0039】
次に、このようにして得たランタンスパッタリング用ターゲットの組織を観察するために、1wt%硝酸水溶液を用いてエッチングした。ターゲットの組織は結晶粒径が150〜250μmの粗大結晶組織であり、ランタンスパッタリング用ターゲットの表面にはマクロ模様のムラが観察された。このことから、インゴットを300〜500°Cの温度でこねくり鍛造することが良いことが確認できた。
【0040】
一方、この比較例で得たランタンスパッタリング用ターゲットをX線回折(XRD)による結晶方位を測定した。実施例1のランタンターゲットと同様に、(100)のピーク強度よりも(101)ピーク強度が強くなっているという結果が出た。この結晶方位は、マクロ模様のムラの発生には、大きく影響はしていないと考えられた。
さらに、ランタンスパッタリング用ターゲットを用いて、パワー100Wの条件でスパッタリングを実施した。この結果、パーティクルの発生が実施例に比べて多くなり、基板への成膜も不均一となった。
【0041】
また、スパッタリング実施時に、ターゲットとバッキングプレートとの間の剥がれはなかったが、若干バッキングプレートからターゲットが浮き上がる傾向が見られた。これは、スパッタリング時間が短時間であったため、大きな影響がなかったと思われる。
しかし、これを長時間実施したところ、予想通りターゲットとバッキングプレートとの間の剥がれが発生した。これにより、実施例に示す銅−クロム合金製バッキングプレートが好ましいことが確認することができた。