(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記絶縁性基材の前記第1の面とは反対側の第2の面に形成され、前記第2の面から露出する前記複数の線状導体と電気的に接続された第1配線層を有することを特徴とする請求項1に記載の電気的接続部材。
前記絶縁性基材の前記第2の面上に積層され、前記第1配線層を含む配線層と該配線層上に積層される層間絶縁層とが交互に積層されてなる配線構造が形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の電気的接続部材。
前記絶縁層を第1絶縁層としたときに、厚さ方向に貫通する複数の第3貫通孔が前記第1貫通孔と連通するように形成され、前記絶縁性基材の第1の面とは反対側の第2の面を被覆する第2絶縁層と、を有し、
前記線状導体が前記第1貫通孔、前記第2貫通孔及び前記第3貫通孔に充填され、前記
線状導体の他方の端部が前記第2絶縁層から突出されていることを特徴とする請求項1に記載の電気的接続部材。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して各実施形態を説明する。なお、添付図面は、特徴を分かりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、各部材の断面構造を分かりやすくするために、一部の部材のハッチングを省略している。
【0009】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態を
図1〜
図8に従って説明する。
図1(a)に示すように、電気的接続部材1は、コアシート10と、そのコアシート10上に積層された配線構造20とを有している。コアシート10は、絶縁性基材11と、絶縁層12と、複数の線状導体13とを有している。
【0010】
絶縁性基材11は、第1の面(
図1(a)では、上面)11Aと第2の面(
図1(a)では、下面)11Bとを有している。絶縁性基材11には、その絶縁性基材11の厚さ方向に貫通する複数の貫通孔11Xが形成されている。すなわち、各貫通孔11Xは、絶縁性基材11の上面11Aと下面11Bとの間を貫通するように形成されている。これら複数の貫通孔11Xは平行に隣接して形成されている。また、これら複数の貫通孔11Xは、絶縁性基材11の上面11A又は下面11Bが延びる方向(平面方向)全体に亘って形成されている。これら複数の貫通孔11Xの配置形態については、特に限定されず、例えばヘキサゴナル状に配置されていてもよいし、グリッド状に配置されていてもよい。
【0011】
各貫通孔11Xは、その平面形状が例えば円形であり、その直径が例えば10〜1000nm程度とすることができる。貫通孔11Xは、隣接する貫通孔11Xとの間隔P1が貫通孔11Xの直径Φ1よりも小さくなる程度に高密度に形成されていることが好ましい。このような貫通孔11Xのピッチは例えば20〜2000nm程度とすることができる。
【0012】
上記絶縁性基材11の材料としては、例えばアルミナ(酸化アルミニウム)、ムライト、窒化アルミニウム、ガラスセラミックス(ガラスとセラミックスの複合材料)、チタン酸バリウムストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタンジルコン酸鉛等の無機材料を用いることができる。ここで、絶縁性基材11がキャパシタとして利用されるような用途で電気的接続部材1を使用する場合には、絶縁性基材11の材料としては誘電率の高い無機材料を用いることが好適である。例えば上記アルミナの誘電率は8〜10、上記ムライトの誘電率は6.5である。なお、絶縁性基材11の厚さは、例えば70〜150μm程度とすることができる。
【0013】
絶縁層12は、絶縁性基材11の上面11Aを覆うように形成されている。絶縁層12には、上記複数の貫通孔11Xのそれぞれと対向する位置に、当該絶縁層12の厚さ方向に貫通する複数の貫通孔12Xが形成されている。各貫通孔12Xはそれぞれ、貫通孔11Xと連通しており、その開口径が貫通孔11Xの開口径と略同一となるように形成されている。
【0014】
上記絶縁層12は、絶縁性基材11よりも弾性率の低い絶縁層である。すなわち、絶縁層12は、絶縁性基材11を形成する無機材料よりも弾性率の低い低弾性材料によって形成されている。この低弾性材料としては、室温付近におけるヤング率が1MPa以上100MPa以下の材料であることが好ましい。このような低弾性材料としては、例えばシリコーン系、フッ素系、ポリオレフィン系やウレタン系のエラストマーを用いることができる。
【0015】
各線状導体13は、貫通孔11X,12X内を充填するように形成されている。この各線状導体13は、絶縁性基材11及び絶縁層12を厚さ方向に貫通するように形成されている。このため、各線状導体13は、一方の端面(
図1(a)では、上面)13Aが絶縁層12の第1の面(
図1(a)では、上面)12Aから露出されており、他方の端面(
図1(a)では、下面)13Bが絶縁性基材11の下面11Bから露出されている。これら複数の線状導体13は平行に隣接して形成されている。また、これら複数の線状導体13は、絶縁性基材11及び絶縁層12の平面方向全体に亘って形成されている。これら複数の線状導体13の配置形態については、特に限定されず、例えばヘキサゴナル状に配置されていてもよいし、グリッド状に配置されていてもよい。
【0016】
また、各線状導体13は、その上面13A側の端部13Cが絶縁層12の上面12Aから鉛直方向(ここでは、上方)に向かって突出するように形成されている。この絶縁層12から突出された線状導体13の端部13Cの高さは、例えば0.1μm未満とすることができる。一方、各線状導体13の下面13Bは、絶縁性基材11の下面11Bと略面一となるように形成されている。各線状導体13は、その平面形状が例えば円形であり、その直径が例えば10〜1000nm程度とすることができる。また、
図1(b)に示すように、各線状導体13は、隣接する線状導体13との間隔P1が線状導体13の直径Φ1よりも小さくなる程度に密度に形成されている。このような線状導体13のピッチは例えば20〜2000nm程度とすることができる。
【0017】
図1(a)に示した各線状導体13は、コアシート10の一方の面(例えば、絶縁層12の上面12A側)に配置される導体(第1部材)と、他方の面(例えば、絶縁性基材11の下面11B側)に配置される導体(第2部材)とを接続するビアとしての機能を有する。但し、当該電気的接続部材1が第1部材と第2部材との間に介在された状態において、複数の線状導体13の一部の線状導体13は導体には接続されず、電気的に孤立(フローティング)した状態であっても構わない。このような線状導体13の材料としては、例えば銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)又はそれらの合金を用いることができる。
【0018】
配線構造20は、絶縁性基材11の下面11B及び線状導体13の下面13Bに配線層と層間絶縁層とが交互に積層されてなる。配線層は任意の層数とすることができ、層間絶縁層は各配線層が互いに絶縁されるような層厚とすることができる。
図1(a)に示す例では、配線構造20は、第1配線層21と、層間絶縁層22と、第2配線層23とを有している。
【0019】
第1配線層21は、絶縁性基材11の下面11B及び線状導体13の下面13Bに形成されている。
図2に示すように、第1配線層21は各々、絶縁性基材11の下面11B(
図2では図示略)から露出した複数の線状導体13の下面13Bと電気的に接続されている。すなわち、第1配線層21に対して、複数の線状導体13が束になって電気的に接続されている。この第1配線層21は、
図3(a)に示すように、信号用の配線パターン21sと、接地(グランド)用の配線パターン21gとを有している。
図3(b)に示すように、接地用の配線パターン21gは、信号用の配線パターン21sを取り囲むように形成されている。具体的には、接地用の配線パターン21gは、信号用の配線パターン21sの周囲に、その配線パターン21sと所定の間隔を空けて対向配置されている。第1配線層21(配線パターン21s,21g)の材料としては、例えば銅又は銅合金を用いることができる。この第1配線層21の厚さは、例えば3〜20μm程度とすることができる。
【0020】
図3(a)に示すように、層間絶縁層22は、第1配線層21を覆うように絶縁性基材11及び線状導体13の下面11B,13Bに形成されている。層間絶縁層22には、厚さ方向に貫通して第1配線層21の下面21Bを露出するビアホールVH1が形成されている。この層間絶縁層22は、絶縁性基材11及び線状導体13の下面11B,13Bを保護する保護層として機能する。このような層間絶縁層22の材料としては、例えばエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。なお、第1配線層21の下面21Bから層間絶縁層22の下面22Bまでの厚さは、例えば20〜30μm程度とすることができる。
【0021】
第2配線層23は、層間絶縁層22上に形成された最上層(最外層)の配線層である。第2配線層23は、ビアホールVH1内に充填され上記配線パターン21sに電気的に接続されたビア配線24sと、そのビア配線24sに接続され層間絶縁層22上に形成された信号用の配線パターン25sとを有している。また、第2配線層23は、ビアホールVH1内に充填され上記配線パターン21gに電気的に接続されたビア配線24gと、そのビア配線24gに接続され層間絶縁層22上に形成された接地用の配線パターン25gとを有している。そして、信号用の配線パターン25s、ビア配線24s、信号用の配線パターン21s、及び該配線パターン21sに接続された複数の線状導体13には、信号配線(図示略)が電気的に接続され、その信号配線を介して所定の信号電流が流れる。ここで、配線パターン21sは、例えば半導体チップ40(
図4参照)に形成される電極パッド41の平面形状に合わせて形成され、配線パターン25sは、例えば検査用基板50(
図4参照)に形成されるパターン電極51の平面形状に合わせて形成されている。また、接地用の配線パターン25g、ビア配線24g、接地用の配線パターン21g、及び該配線パターン21gに接続された複数の線状導体13には、グランド配線(図示略)が電気的に接続される。このため、信号電流が流れる複数の線状導体13の周囲には、所定の間隔を空けてグランド配線に接続された複数の線状導体13が配置されることになる。
【0022】
ビアホールVH1及びビア配線24s,24gは、上側(線状導体13側)から下側(配線パターン25s,25g側)に向かうに連れて径が大きくなるテーパ状に形成されている。また、これらビアホールVH1及びビア配線24s,24gの平面形状は例えば円形であり、その直径は例えば50〜75μm程度とすることができる。配線パターン25s,25gの厚さは、例えば15〜35μm程度とすることができる。このようなビア配線24s,24g及び配線パターン25s,25gを含む第2配線層23の材料としては、例えば銅又は銅合金を用いることができる。
【0023】
(電気的接続部材の適用例)
次に、上記電気的接続部材1を適用した形態の一例を説明する。ここでは、半導体検査装置に電気的接続部材1を適用した場合について説明する。
【0024】
図4に示すように、上記電気的接続部材1は、半導体チップ40と検査用基板50との間に介在され、半導体チップ40の電極パッド41と検査用基板50のパターン電極51とを電気的に接続する部材として使用される。この場合には、テスタ60と電気的に接続された検査用基板50上に電気的接続部材1が接合されている。具体的には、検査用基板50のパターン電極51と電気的接続部材1の配線パターン25s,25gとが電気的に接続されるように、検査用基板50上に電気的接続部材1が接合されている。より具体的には、信号用のパターン電極51sと信号用の配線パターン25sとが電気的に接続され、且つ接地用のパターン電極51gと接地用の配線パターン25gとが電気的に接続されるように、検査用基板50上に電気的接続部材1が接合されている。そして、このように検査用基板50上に接合された電気的接続部材1に対して半導体チップ40を図中の上側から押し付けることにより、半導体チップ40と検査用基板50とが電気的接続部材1を介して電気的に接続される。詳述すると、半導体チップ40に形成された電極パッド41が電気的接続部材1の線状導体13の上面13Aに接続される。具体的には、各電極パッド41には、絶縁層12の上面12Aから突出された複数の線状導体13が束になって電気的に接続される。より具体的には、各電極パッド41はそれぞれ、上記信号用の配線パターン21sと対向する位置に形成され、その配線パターン21sに接続された複数の線状導体13と電気的に接続される。これにより、コアシート10を介して対向配置された電極パッド41と配線パターン21sとが単軸状に導電接続される。ここで、「単軸状に導電接続される」とは、配線層等を厚さ方向と直交する平面方向に引き回すことなく、コアシート10の厚さ方向に形成された導体(ここでは、複数の線状導体13)により接続することをいう。そして、半導体チップ40の電極パッド41が、電気的接続部材1の線状導体13と、信号用の配線パターン21sと、ビア配線24sと、信号用の配線パターン25sとを介して検査用基板50のパターン電極51に電気的に接続される。これにより、半導体チップ40の検査が可能となる。すなわち、テスタ60から検査用基板50及び電気的接続部材1を介して半導体チップ40に形成された回路に電気信号が供給され、同回路から出力される信号が電気的接続部材1及び検査用基板50を介してテスタ60に供給される。この供給された信号に基づいて回路の動作を検査することにより、半導体チップ40の良否を判定することができる。
【0025】
(電気的接続部材の作用)
電気的接続部材1では、接続対象(検査対象)である半導体チップ40の電極パッド41が接続される(押し付けられる)線状導体13の上面13A側に低弾性材料からなる絶縁層12を形成するようにした。この絶縁層12によって、半導体チップ40を電気的接続部材1に押し付ける際に線状導体13に加わる応力を分散させることができる。このため、線状導体13や絶縁性基材11が損傷することが抑制される。
【0026】
また、電気的接続部材1では、信号電流が流れる複数の線状導体13の周囲に、所定の間隔を空けてグランド配線に接続された複数の線状導体13が配置されている。この構造は、同軸線路と同等の構造であるため、シールド(遮蔽)効果を奏することができる。また、隣接して配置され、異なる信号電流が流れる複数の線状導体13間には、グランド配線に接続された複数の線状導体13が配置されることになる。このため、隣接して配置され、異なる信号電流が流れる複数の線状導体13間に生じる電気的結合(容量結合)を低減することができ、信号電流が流れる複数の線状導体13自体がノイズ源となることを抑制することができる。
【0027】
(電気的接続部材の製造方法)
次に、上記電気的接続部材1の製造方法を説明する。
図5(a)に示す工程では、まず、絶縁性基材11(
図1(a)参照)の母材となる絶縁性基材71を準備する。絶縁性基材71の厚さは、例えば厚さ70〜150μm程度とすることができる。絶縁性基材71の材料としては、絶縁性基材11と同様に、例えばアルミナ(酸化アルミニウム)、ムライト、窒化アルミニウム、ガラスセラミックス(ガラスとセラミックスの複合材料)、チタン酸バリウムストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタンジルコン酸鉛等の無機材料を用いることができる。
【0028】
続いて、上記準備した絶縁性基材71全体に亘ってその厚さ方向に貫通する複数の貫通孔71Xを形成する。この貫通孔71Xは、後述する
図6(a)に示す工程において、絶縁性基材71が薄化されることにより、貫通孔11X(
図1(a)参照)となるものである。この各貫通孔71Xの深さは、例えば70〜150μm程度とすることができる。各貫通孔71Xは、例えば平面視略円形とすることができ、その場合の直径は例えば10〜1000nm程度とすることができる。また、貫通孔71Xは、隣接する貫通孔71Xとの間隔が貫通孔71Xの直径よりも小さくなる程度に高密度に形成されている。このような貫通孔71Xのピッチは例えば20〜2000nm程度とすることができる。
【0029】
このような微小径でアスペクト比(孔深さと孔径の比)が高く、且つ高密度に配置された貫通孔71Xの形成方法の一例を以下に示す。貫通孔71Xは、例えば陽極酸化法を用いて形成することができる。ここでは、酸化アルミニウムからなる絶縁性基材71に貫通孔71Xを形成する方法について説明する。
【0030】
具体的には、アルミニウム(Al)の基板の一方の面を絶縁被膜したAl基板、又はガラス基板上にスパッタリング等によりAlの電極層を形成したAl電極層を用意する。その用意したAl基板又はAl電極層の表面を洗浄後、電解液(好適には硫酸水溶液)中に浸漬し、浸漬したAl基板又はAl電極層を陽極とし、これに対向配置される白金(Pt)電極を陰極として通電(パルス電圧を印加)する。これにより、Al基板又はAl電極層の表面に多孔質金属酸化膜(微小径の孔が規則正しく形成された酸化アルミニウムの膜)を形成することができる。
【0031】
この後、陽極酸化とは逆電位の電圧を各電極に印加(Al基板又はAl電極層を陰極とし、白金電極を陽極として通電)することで、多孔質金属酸化膜をAl配線基板又はAl電極層から分離する。これによって、所望の微小径の貫通孔71Xが高密度に形成された絶縁性基材71が得られる。
【0032】
なお、上記陽極酸化法では、電解液の種類、電圧、時間などの条件を変更することにより、絶縁性基材71の厚さ(貫通孔71Xの深さ)、貫通孔71Xの径や貫通孔71Xのピッチを調整することができる。
【0033】
次に、
図5(b)に示す工程では、絶縁性基材71に形成された貫通孔71Xに金属材料を充填して線状導体13(ビア)を形成する。線状導体13は、例えばスクリーン印刷法やインクジェット法等を用いて、例えば銀や銅等の導電性ペーストを貫通孔71Xに充填することにより形成することができる。また、絶縁性基材71の一方の面に電極を設けた電解めっき法によっても線状導体13を形成することができる。
【0034】
さらに、必要に応じて機械研磨、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)等により両面を研磨して平坦化してもよい。これにより、線状導体13の両端を絶縁性基材71の両面から露出させることができ、線状導体13の長さの均一性を確保することができる。
【0035】
次に、
図5(c)に示す工程では、絶縁性基材71の下面71B及び線状導体13の下面13Bに第1配線層21(
図1(a)参照)となる金属層72を形成する。
まず、絶縁性基材71の下面71B及び線状導体13の下面13Bを覆うようにシード層73を形成する。このシード層73は、例えばスパッタ法により形成することができる。例えば絶縁性基材71の下面71B及び線状導体13の下面13Bを覆うようにチタン(Ti)をスパッタリングにより堆積させて金属膜74を形成する。その後、その金属膜74上に銅をスパッタリングにより堆積させて金属膜75を形成し、2層構造(Ti/Cu)のシード層73を形成する。金属膜74の厚さは例えば50nm程度とすることができ、金属膜75の厚さは例えば100nm程度とすることができる。続いて、シード層73を給電層とする電解めっき法により、シード層73上に導電層76を形成する。導電層76の厚さは例えば3〜20μm程度とすることができる。これらにより、シード層73及び導電層76からなる金属層72を形成することができる。この金属層72は、絶縁性基材71の下面71Bを後工程のエッチング処理等から保護する保護層として機能し、製造工程中において比較的薄い絶縁性基材71の機械的強度を補強する補強層としても機能する。なお、導電層76の材料としては、例えば銅又は銅合金を用いることができる。また、上記シード層73の金属膜74(Ti膜)は、金属膜75(Cu膜)や導電層76から絶縁性基材71に銅が拡散することを抑制する機能を有するとともに、絶縁性基材71と金属膜(Cu膜)75との密着性を高める機能を有する。このような金属膜74の材料としては、チタンの他に、窒化タンタル(TaN)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)等を用いることができる。
【0036】
次に、絶縁性基材71の上面71A側から絶縁性基材71を厚さ方向に薄化して、
図6(a)に示すように、線状導体13の上面13A側の端部(一部)を露出させる。具体的には、
図5(c)に示した絶縁性基材71の上面71A側の一部を線状導体13に対して選択的に除去する。この絶縁性基材71の薄化により、
図6(a)に示すように、絶縁性基材71が絶縁性基材11になると共に貫通孔71Xが貫通孔11Xになり、その絶縁性基材11の上面11Aから線状導体13の端部が突出(露出)される。本工程では、絶縁性基材11の上面11Aから線状導体13が例えば5μm程度突出されるように、上記絶縁性基材71の薄化が行われる。このような絶縁性基材71の薄化は、例えばアルカリ性水溶液をエッチング液に用いたウェットエッチングなどによって行うことができる。上記アルカリ性水溶液としては、例えば水酸化ナトリウム(NaOH)や水酸化カリウム(KOH)などの水酸化物、アンモニア系化合物の水溶液を用いることができる。この水溶液中の化合物濃度は例えば0.5〜5wt%程度とすることができ、上記水溶液のpHは12〜14程度とすることができる。なお、上記ウェットエッチングにおいて、金属層72はエッチングマスクとして機能する。
【0037】
一般に、アルミニウムが陽極酸化して形成された酸化アルミニウムの結晶は、アルミナ(Al
2O
3)であることが知られている。アルミナは耐久性に優れ、酸やアルカリにも強い。但し、本実施形態での絶縁性基材71は、完全なアルミナではなく、ベーマイトの状態で酸化アルミニウムを形成している。このため、絶縁性基材71はアルカリに弱く、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムによって容易に絶縁性基材71の表面をエッチングすることができる。
【0038】
続いて、
図6(b)に示す工程では、絶縁性基材11から露出された線状導体13を覆うように、絶縁性基材11の上面11Aに絶縁層12(
図1(a)参照)となる絶縁層77を形成する。具体的には、絶縁性基材11から露出された線状導体13の全面(上面13A及び側面)を覆うように、絶縁性基材11の上面11A上に絶縁層77を形成する。この絶縁層77は、例えばスピンコート法やディスペンサによって、液状又はペースト状のシリコーン系エラストマー前駆体を絶縁性基材11の上面11A上に塗布することにより形成することができる。本工程では、各線状導体13間に形成される微小な空間(凹部)を充填するように上記絶縁層77を形成するため、絶縁性基材11の上面11Aに塗布される材料としては、粘度の低い材料であることが好ましい。
【0039】
次いで、
図6(c)に示す工程では、絶縁性基材11の下面11B及び線状導体13の下面13Bに第1配線層21(信号用の配線パターン21s及び接地用の配線パターン21g)を形成する。この第1配線層21は、サブトラクティブ法やセミアディティブ法等の各種の配線形成方法を用いて形成できるが、一例としてサブトラクティブ法を用いて第1配線層21を形成する方法を以下に示す。
【0040】
まず、
図6(b)に示した金属層72の下面に配線パターン21s,21gに対応する位置の金属層72を覆うレジスト層(図示略)を形成する。続いて、そのレジスト層をマスクにして、レジスト層に覆われていない部分の金属層72をエッチングにより除去する。その後に上記レジスト層を除去する。これにより、配線パターン21s,21gを含む第1配線層21が形成される。
【0041】
次に、
図7(a)に示す工程では、絶縁性基材11の下面11B及び線状導体13の下面13Bに、第1配線層21を覆うように層間絶縁層22を形成する。この層間絶縁層22は、例えば絶縁性基材11の下面11Bに樹脂フィルムをラミネートした後に、樹脂フィルムを押圧しながら130〜190℃程度の温度で熱処理して硬化させることにより形成することができる。また、樹脂フィルムのラミネートに代えて、液状又はペースト状の樹脂をスピンコート法等により塗布するようにしてもよい。
【0042】
続いて、
図7(b)に示す工程では、第1配線層21の下面21Bの一部が露出されるように、層間絶縁層22の所定箇所にビアホールVH1を形成する。このビアホールVH1は、例えばCO
2レーザ、YAGレーザ等によるレーザ加工法によって形成することができる。なお、層間絶縁層22が感光性樹脂を用いて形成されている場合には、例えばフォトリソグラフィ法により所要のビアホールVH1を形成するようにしてもよい。
【0043】
次いで、ビアホールVH1をレーザ加工法によって形成した場合には、デスミア処理を行って、ビアホールVH1内の樹脂残渣(樹脂スミア)を除去する。このデスミア処理は、例えば過マンガン酸塩法などを用いて行うことができる。
【0044】
次に、
図8(a)に示す工程では、層間絶縁層22のビアホールVH1にビア導体を充填してビア配線24s,24gを形成するとともに、それらビア配線24s,24gをそれぞれ介して配線パターン21s,21gに電気的に接続される配線パターン25s,25gを層間絶縁層22上に形成する。これらビア配線24s,24g及び配線パターン25s,25g、つまり第2配線層23は、例えばセミアディティブ法やサブトラクティブ法などの各種の配線形成方法を用いて形成できるが、一例としてセミアディティブ法を用いて第2配線層23を形成する方法を以下に示す。
【0045】
まず、無電解めっき法又はスパッタ法により、ビアホールVH1の内壁面を含む層間絶縁層22の表面及びビアホールVH1内に露出する第1配線層21上にシード層(図示略)を形成する。その後、シード層上に、第2配線層23に対応する開口部を有するレジスト層(図示略)を形成する。続いて、上記シード層をめっき給電層に利用した電解めっき法により、レジスト層の開口部に導電パターン(図示略)を形成する。次いで、レジスト層を除去した後に、導電パターンをマスクにしてシード層をエッチングすることにより、第2配線層23を得ることができる。
【0046】
このような工程により、絶縁性基材11の下面11Bに、第1配線層21、層間絶縁層22及び第2配線層23を有する配線構造20が形成される。なお、この配線構造20を形成する際に、上記絶縁層77は絶縁性基材11から露出される線状導体13をエッチング処理などから保護する保護層として機能する。
【0047】
次に、絶縁層77の上面77A側から絶縁層77を厚さ方向に薄化して、
図8(b)に示すように、線状導体13の上面13A側の端部(一部)を露出させる。具体的には、
図8(a)に示した絶縁層77の上面77A側の一部を線状導体13に対して選択的に除去する。この絶縁層77の薄化により、
図8(b)に示すように、絶縁層77が絶縁層12になり、その絶縁層12の上面12Aから線状導体13の端部13Cが突出(露出)される。本工程では、絶縁層12の上面12Aから突出される線状導体13の端部13Cの高さが例えば0.1μm未満となるように、上記絶縁層77の薄化が行われる。このような絶縁層77の薄化は、例えばプラズマエッチングによって行うことができる。以上の製造工程により、
図1に示した電気的接続部材1を製造することができる。
【0048】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)電気的接続部材1では、接続対象(検査対象)である半導体チップ40の電極パッド41が接続される線状導体13の上面13A側に低弾性材料からなる絶縁層12を形成するようにした。この絶縁層12によって、半導体チップ40を電気的接続部材1に押し付ける際に線状導体13に加わる応力を分散させることができる。このため、線状導体13や絶縁性基材11が損傷することを抑制することができ、ひいては電気的接続部材1の耐久性を向上することができる。したがって、絶縁層12の上面12Aから突出される線状導体13を短くすることができる。これにより、線状導体13の直径が小さくなった場合であっても、絶縁層12の上面12Aから突出された線状導体13の自立状態を保持することができる。
【0049】
(2)線状導体13の上面13A側の端部13Cを絶縁層12の上面12Aから突出させるようにした。これにより、接続対象の半導体チップ40の電極パッド41がどのような形状であっても、電極パッド41を線状導体13の上面13Aに対向させて半導体チップ40を電気的接続部材1に押し付けるだけで、電極パッド41と線状導体13との電気的な接続を容易に確保することができる。また、電極パッド41と線状導体13とを電気的に接続する際に、半導体チップ40と電気的接続部材1とを接着又は粘着する必要がないため、多数の半導体チップ40に対する検査工程で電気的接続部材1を繰り返し使用することができる。
【0050】
(3)信号電流が流れる複数の線状導体13の周囲に、所定の間隔を空けてグランド配線に接続された複数の線状導体13を配置するようにした。この構造は、同軸線路と同等の構造であるため、シールド(遮蔽)効果を奏することができる。また、隣接して配置され、異なる信号電流が流れる複数の線状導体13間には、グランド配線に接続された複数の線状導体13が配置されることになる。このため、隣接して配置され、異なる信号電流が流れる複数の線状導体13間に生じる電気的結合(容量結合)を低減することができ、信号電流が流れる複数の線状導体13自体がノイズ源となることを抑制することができる。
【0051】
(4)コアシート10の一方の面側(絶縁性基材11の下面11側)に、第1配線層21と層間絶縁層22と第2配線層23とを有する多層の配線構造20を形成するようにした。これにより、例えば半導体チップ40の電極パッド41に対応した第1配線層21(配線パターン21s)と、検査用基板50のパターン電極51に対応した第2配線層23(配線パターン23s)とをコアシート10上に形成することができる。このため、半導体チップ40の電極パッド41と検査用基板50のパターン電極51とが対向配置されない場合であっても、それら半導体チップ40と検査用基板50との間に電気的接続部材1のみを介在させることによって電極パッド41とパターン電極51とを電気的に接続することができる。したがって、上記配線構造20に相当する部材をコアシート10とは別に用意する場合と比べて、電極パッド41とパターン電極51とを電気的に接続する際に生じる位置合わせ誤差の合計値を小さくすることができる。
【0052】
(5)第1配線層21を、コアシート10の平面方向全体に亘って形成された複数の線状導体13と電気的に接続するようにした。このため、第1配線層21を形成する位置を任意に選定可能である。したがって、接続対象の半導体チップ40が異なる場合であっても、コアシート10の構造を変更する必要はなく、半導体チップ40の電極パッド41のパターンに対応して第1配線層21のサイズや位置を適宜変更するだけで、上記複数の線状導体13を介して第1配線層21と電極パッド41とを容易に接続することができる。このようにコアシート10の共通化を図ることができるため、製造コストを低減することができる。また、コアシート10に対するアライメント精度等に依存して第1配線層21の径を大きくする必要がないため、第1配線層21の設計自由度を高めることができる。これにより、半導体チップ40の電極パッド41の狭ピッチ化に対応して第1配線層21を容易に狭ピッチ化することができる。
【0053】
(6)微細な線状導体13を、陽極酸化法により形成された絶縁性基材71の貫通孔71Xに導体を充填することによって形成するようにした。これにより、絶縁性基材71の平面方向全体に亘って微小径の線状導体13を高密度に形成することができるため、接続対象の半導体チップ40の電極パッド41の狭ピッチ化に容易に対応することができる。
【0054】
(第1実施形態の変形例)
なお、上記第1実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
【0055】
・
図9に示される製造方法により、第1配線層21を形成するようにしてもよい。詳述すると、先の
図5(a)に示した工程と同様の製造工程により、絶縁性基材71に所望の微小径の貫通孔71Xを高密度に形成する。続いて、
図9(a)に示す工程では、絶縁性基材71の下面71Bにシード層78を形成する。本工程では、貫通孔71Xの一方の開口(ここでは、下面側の開口)を閉塞するようにシード層78が形成される。このシード層78は、例えばスパッタ法により形成することができる。例えばシード層78が2層構造(Ti/Cu)である場合には、絶縁性基材71の下面71Bを覆うようにチタン(Ti)をスパッタリングにより堆積させてTi膜を形成し、そのTi膜上に銅(Cu)をスパッタリングにより堆積してCu膜を形成する。なお、Ti膜の厚さは例えば50nm程度とすることができ、Cu膜の厚さは例えば100nm程度とすることができる。
【0056】
次いで、
図9(b)に示す工程では、シード層78を給電層とする電解めっき法により、貫通孔71Xに導体を充填して上記線状導体13を形成するとともに、シード層78の下面78Bに導電層79を形成する。本工程では、貫通孔71の一方の開口を閉塞するシード層78上に析出するめっき金属により、貫通孔71X内に線状導体13が形成される。これにより、シード層78及び導電層79からなる金属層80を形成することができる。なお、導電層79の材料としては、例えば銅又は銅合金を用いることができる。また、導電層79の厚さは例えば3〜20μm程度とすることができる。
【0057】
さらに、必要に応じて機械研磨、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)等により両面を研磨して平坦化してもよい。これにより、貫通孔71Xに充填された導体が絶縁性基材71の上面71Aから突出した場合であっても、その突出した導体が研磨されるため、
図9(b)に示すような線状導体13を形成することができる。すなわち、上面13Aが絶縁性基材71の上面71Aと同一面となって平坦化された線状導体13が形成される。
【0058】
次に、
図9(c)に示す工程では、先の
図6(a)及び
図6(b)に示した工程と同様に、絶縁性基材71を上面71A側から薄化して絶縁性基材11を形成し、その絶縁性基材11の上面11Aから露出された線状導体13を覆うように絶縁層77を形成する。さらに、
図9(c)に示す工程では、
図6(c)に示した工程と同様に、金属層80をパターニングすることにより、絶縁性基材11の下面11B及び線状導体13の下面13Bに第1配線層21を形成する。
【0059】
このように、線状導体13を形成する際に形成された金属層80(シード層78及び導電層79)をパターニングして第1配線層21を形成するようにしてもよい。
・上記第1実施形態において、接地用の配線パターン21g,25g及びビア配線24gを省略するようにしてもよい。
【0060】
・上記第1実施形態における配線構造20を、複数の配線層(第1配線層21及び第2配線層23)が層間絶縁層22を介して積層された多層の配線構造とした。これに限らず、例えば
図10に示されるように、第2配線層23及び層間絶縁層22を省略し、絶縁性基材11の下面11Bに第1配線層21のみを形成するようにしてもよい。このような電気的接続部材1Aは、例えば
図11に示されるようなソケット81に適用することができる。詳述すると、ソケット81のソケット本体82は、板状に形成された支持板83と、この支持板83の外周部に立設された枠状の枠体84とを有している。ソケット本体82内では、支持板83の上面83Aに電気的接続部材1Aが搭載されている。具体的には、支持板83の上面83Aに形成された電極端子(図示略)と電気的接続部材1Aの配線パターン21sとが電気的に接続されるように、支持板83上に電気的接続部材1Aが搭載されている。そして、ソケット本体82内に挿入された半導体チップ42が放熱板85により電気的接続部材1Aに押圧され、半導体チップ42とソケット本体82とが電気的接続部材1Aを介して電気的に接続される。詳述すると、半導体チップ42に形成された電極パッド43が電気的接続部材1Aの線状導体13の上面13Aに接続される。具体的には、電極パッド43は各々、絶縁層12の上面12Aから突出された複数の線状導体の上面13Aと電気的に接続される。より具体的には、電極パッド43は各々、上記信号用の配線パターン21sと対向する位置に形成され、配線パターン21sに接続された複数の線状導体13の上面13Aと電気的に接続される。これにより、コアシート10を介して対向配置された電極パッド43と配線パターン21sとが単軸状に導電接続され、半導体チップ42の電極パッド43が電気的接続部材1Aを介して支持板83の電極端子に電気的に接続される。なお、上記放熱板85は、ソケット本体82に対する蓋体としての機能も有している。また、支持板83の上面83Aに形成された電極端子は、その支持板83の内部配線を介して外部接続端子86と電気的に接続されている。
【0061】
このようなソケット81は、半導体チップ42の良否を判定する検査用の部材として利用することができる。例えば検査用基板52のパターン電極とソケット81の外部接続端子86とが電気的に接続されるように検査用基板52にあらかじめソケット81を接合しておき、このソケット81に半導体チップ42をセットすることにより、半導体チップ42の良否を判定することができる。また、上記ソケット81は、半導体チップ42を実装基板に実装する際に利用することもできる。
【0062】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態を
図12及び
図13に従って説明する。なお、先の
図1〜
図11に示した部材と同一の部材にはそれぞれ同一の符号を付して示し、それら各要素についての詳細な説明は省略する。
【0063】
図12(a)、(b)に示すように、電気的接続部材1Bは、絶縁性基材11と、絶縁層12と、絶縁層14と、複数の線状導体15とを有している。
絶縁層14は、絶縁性基材11の下面11Bを覆うように形成されている。絶縁層14には、絶縁性基材11の貫通孔11Xと対向する位置に、当該絶縁層14の厚さ方向に貫通する貫通孔14Xが形成されている。この貫通孔14Xは、貫通孔11X,12Xと連通しており、その開口径が貫通孔11X,12Xの開口径と略同一となるように形成されている。
【0064】
上記絶縁層14は、絶縁性基材11よりも弾性率の低い絶縁層である。すなわち、絶縁層14は、絶縁性基材11を形成する無機材料よりも弾性率の低い低弾性材料によって形成されている。この低弾性材料としては、室温付近におけるヤング率が1MPa以上100MPa以下の材料であることが好ましい。このような低弾性材料としては、例えば、シリコーン系、フッ素系、ポリオレフィン系やウレタン系のエラストマーを用いることができる。
【0065】
各線状導体15はそれぞれ、貫通孔11X,12X,14X内を充填するように形成されている。この各線状導体15は、絶縁性基材11及び絶縁層12,14を厚さ方向に貫通するように形成されている。これら複数の線状導体15は平行に隣接して形成されている。また、これら複数の線状導体15は、絶縁性基材11及び絶縁層12、14の平面方向全体に亘って形成されている。これら複数の線状導体15の配置形態については、特に限定されず、例えばヘキサゴナル状に配置されていてもよいし、グリッド状に配置されていてもよい。
【0066】
各線状導体15は、一方の端面(
図12では、上面)15Aが絶縁層12の上面12Aから露出されており、他方の端面(
図12では、下面)15Bが絶縁層14の下面14Bから露出されている。この各線状導体15は、上面15A側の端部15Cが絶縁層12の上面12Aから鉛直方向(ここでは、上方)に突出するように形成されている。この絶縁層12から突出された線状導体15の端部15Cの高さは、例えば0.1μm未満とすることができる。また、各線状導体15は、下面15B側の端部15Dが絶縁層14の下面14Bから鉛直方向(ここでは、下方)に突出するように形成されている。この絶縁層14から突出された線状導体15の端部15Cの高さは、例えば0.1μm未満とすることができる。
【0067】
線状導体15は、その平面形状が例えば円形であり、その直径が例えば10〜1000nm程度とすることができる。また、線状導体15は、
図12(b)に示すように、隣接する線状導体15との間隔P2が線状導体15の直径Φ2よりも小さくなる程度に高密度に形成されている。このような線状導体15のピッチは例えば20〜2000nm程度とすることができる。
【0068】
各線状導体15は、電気的接続部材1Bの一方の面(例えば、絶縁層12の上面12A側)に配置される導体(第1部材)と、他方の面(例えば、絶縁層14の下面14B側)に配置される導体(第2部材)とを接続するビアとしての機能を有する。但し、当該電気的接続部材1Bが第1部材と第2部材との間に介在された状態において、複数の線状導体15の一部の線状導体15は導体には接続されず、電気的に孤立(フローティング)した状態であっても構わない。このような線状導体15の材料としては、例えば銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)又はそれらの合金を用いることができる。
【0069】
(電気的接続部材の製造方法)
次に、上記電気的接続部材1Bの製造方法を説明する。
図13(a)に示す工程では、先の
図5(a)及び
図5(b)に示した工程と同様の製造工程により、絶縁性基材71に所望の微小径の貫通孔71Xを高密度に形成し、その貫通孔71Xに金属材料を充填して線状導体15を形成する。
【0070】
次に、絶縁性基材71の両面側から絶縁性基材71を厚さ方向に薄化して、
図13(b)に示すように、線状導体15の両端部を露出させる。具体的には、
図13(a)に示した絶縁性基材71の上面71A側の一部及び下面71B側の一部を線状導体15に対して選択的に除去する。この絶縁性基材71の薄化により、
図13(b)に示すように、絶縁性基材71が絶縁性基材11になると共に貫通孔71Xが貫通孔11Xになり、その絶縁性基材11の上面11A及び下面11Bから線状導体15の両端部が突出(露出)される。本工程では、絶縁性基材11の上面11A及び下面11Bからそれぞれ線状導体15が例えば5μm程度突出されるように、上記絶縁性基材71の薄化が行われる。このような絶縁性基材71の薄化は、例えばアルカリ性水溶液をエッチング液に用いたウェットエッチングなどによって行うことができる。上記アルカリ性水溶液としては、例えば水酸化ナトリウム(NaOH)や水酸化カリウム(KOH)などの水酸化物、アンモニア系化合物の水溶液を用いることができる。この水溶液中の化合物濃度は例えば0.5〜5wt%程度とすることができ、上記水溶液のpHは12〜14程度とすることができる。
【0071】
続いて、
図13(c)に示す工程では、絶縁性基材11から露出された線状導体15を覆うように、絶縁性基材11の上面11Aに絶縁層12(
図12(a)参照)となる絶縁層77を形成するとともに、絶縁性基材11の下面11Bに絶縁層14(
図12(a)参照)となる絶縁層90を形成する。具体的には、絶縁性基材11の上面11Aから露出された線状導体15の全面(上面15A及び側面)を覆うように絶縁層77を形成するとともに、絶縁性基材11の下面11Bから露出された線状導体15の全面(下面15B及び側面)を覆うように絶縁層90を形成する。これら絶縁層77,90は、例えばスピンコート法やディスペンサによって、液状又はペースト状のシリコーン系エラストマー前駆体を絶縁性基材11の上面11A上及び下面11B上に塗布することにより形成することができる。本工程では、各線状導体15間に形成される微小な空間(凹部)を充填するように上記絶縁層77,90を形成するため、絶縁性基材11の上面11A及び下面11Bに塗布される材料としては、粘度の低い材料であることが好ましい。
【0072】
次いで、絶縁層77の上面77A(第1の面)側から絶縁層77を厚さ方向に薄化するとともに、絶縁層90の下面90B(第1の面)側から絶縁層90を厚さ方向に薄化し、
図13(d)に示すように、線状導体15の両端部を露出させる。具体的には、
図13(c)に示した絶縁層77の上面77A側の一部及び絶縁層90の下面90B側の一部を線状導体15に対して選択的に除去する。これら絶縁層77,90の薄化により、
図13(d)に示すように、絶縁層77が絶縁層12になると共に絶縁層90が絶縁層14になり、それら絶縁層12の上面12A及び絶縁層14の下面14Bから線状導体15の端部15C,15Dがそれぞれ突出(露出)される。本工程では、絶縁層12の上面12A及び絶縁層14の下面14Bから突出される線状導体15の端部15C,15Dの高さが例えば0.1μm未満となるように、上記絶縁層77,90の薄化が行われる。このような絶縁層77,90の薄化は、例えばプラズマエッチングによって行うことができる。
【0073】
以上説明した本実施形態によれば、上記第1実施形態の(1)、(2)、(6)と同様の効果を奏する。
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
【0074】
・上記各実施形態における絶縁性基材11,71の材料として、ガラスを用いるようにしてもよい。この場合、例えば
図5(a)に示した貫通孔71Xの形成は、CO
2レーザやYAGレーザ等によるレーザ加工法によって行うことができる。この場合の貫通孔71Xの直径は例えば5μm程度とすることができ、貫通孔71Xのピッチは例えば10μm程度とすることができる。また、
図5(c)に示した金属層72のシード層73の形成は、例えばスパッタ法、無電解めっき法や蒸着法によって行うことができる。また、
図6(a)に示した絶縁性基材71の薄化は、例えばドライエッチングによって行うことができる。
【0075】
・上記各実施形態における貫通孔11X,12X,14X,71Xや線状導体13,15の平面形状は、円形に限らず、例えば矩形状や六角形状などの多角形状、半円状、楕円状や半楕円状であってもよい。
【0076】
・上記各実施形態における電気的接続部材1,1A,1Bの適用範囲は特に限定されない。すなわち、第1の接続端子を有する第1部材と第2の接続端子を有する第2部材との間に電気的接続部材が介在され、その電気的接続部材を介して上記第1の接続端子と第2の接続端子とが電気的に接続される接続構造(構造体)であれば、上記電気的接続部材1,1A,1Bを適用することができる。なお、上記第1実施形態の電気的接続部材1を
図11に示したようなソケット81に適用してもよいし、
図10に示した電気的接続部材1Aを
図4に示したような半導体検査装置に適用してもよい。