特許第5980600号(P5980600)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5980600
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】テープ拡張装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20160818BHJP
【FI】
   H01L21/78 W
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-156298(P2012-156298)
(22)【出願日】2012年7月12日
(65)【公開番号】特開2014-22382(P2014-22382A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2015年6月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(72)【発明者】
【氏名】高澤 徹
【審査官】 内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−173269(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/125662(WO,A1)
【文献】 特開昭59−084438(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状のテープを拡張するテープ拡張装置において、
テープの第1辺を挟持する第1の挟持手段と、該第1辺と対向するテープの第2辺を挟持する第2の挟持手段と、該第1辺および該第2辺と直交するテープの第3辺を挟持する第3の挟持手段と、該第3辺と対向するテープの第4辺を挟持する第4の挟持手段と、該第1の挟持手段と該第2の挟持手段と該第3の挟持手段と該第4の挟持手段をそれぞれ挟持する各辺に対して直交する方向に移動せしめる拡張手段と、を具備し、
該第1の挟持手段と該第2の挟持手段と該第3の挟持手段と該第4の挟持手段は、それぞれ下側挟持部材と上側挟持部材とを備え、該下側挟持部材の上面には挟持した辺に沿った方向に回転する複数のコロが配設されており、該上側挟持部材の下面には挟持した辺に沿った方向に回転する複数のコロが配設されている、
ことを特徴とするテープ拡張装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエーハが貼着された粘着テープを拡張してウエーハに外力を付与するためのテープ拡張装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体ウエーハの表面に格子状に配列されたストリートと呼ばれる分割予定ラインによって複数の領域が区画され、この区画された領域にIC、LSI等のデバイスを形成する。そして、半導体ウエーハをストリートに沿って切断することによりデバイスが形成された領域を分割して個々のデバイスを製造している。また、サファイヤ基板の表面に窒化ガリウム系化合物半導体等が積層された光デバイスウエーハも所定の分割予定ラインに沿って切断することにより個々の発光ダイオード、レーザーダイオード等の光デバイスに分割され、電気機器に広く利用されている。
【0003】
上述した半導体ウエーハや光デバイスウエーハ等の被加工物を分割する方法として、その被加工物に対して透過性を有する波長のパルスレーザー光線を用い、分割すべき領域の内部に集光点を合わせて照射し、被加工物の内部にストリートに沿って変質層を連続的に形成し、この変質層が形成されることによって強度が低下したストリートに沿って外力を加えることにより、被加工物を分割する方法が実用化されている。(例えば、特許文献1参照。)
【0004】
そして、変質層が形成されることによって強度が低下したストリートに沿って外力を付与する技術として、ウエーハが貼着された粘着テープを拡張し、その後、粘着テープを拡張した状態で環状のフレームを個々のデバイスに分割されたウエーハを囲繞して粘着テープに貼着する技術が下記特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3408805号公報
【特許文献2】特開2006−229021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
而して、上記特許文献2に記載されているウエーハが貼着された粘着テープを拡張する技術は、粘着テープの対向する2辺を挟持して引っ張る方法であるため、直交する2辺が縮小して粘着テープに貼着され個々の分割されたデバイスが損傷するという問題がある。また、直交する2辺を挟持した状態で対向する2辺を引っ張ると粘着テープが十分拡張しないという問題がある。
【0007】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、粘着テープの対向する2辺を挟持して引っ張り粘着テープを拡張しても直交する2辺が縮小しないとともに、直交する2辺を挟持した状態でも粘着テープを十分拡張することができるテープ拡張装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、矩形状のテープを拡張するテープ拡張装置において、
テープの第1辺を挟持する第1の挟持手段と、該第1辺と対向するテープの第2辺を挟持する第2の挟持手段と、該第1辺および該第2辺と直交するテープの第3辺を挟持する第3の挟持手段と、該第3辺と対向するテープの第4辺を挟持する第4の挟持手段と、該第1の挟持手段と該第2の挟持手段と該第3の挟持手段と該第4の挟持手段をそれぞれ挟持する各辺に対して直交する方向に移動せしめる拡張手段と、を具備し、
該第1の挟持手段と該第2の挟持手段と該第3の挟持手段と該第4の挟持手段は、それぞれ下側挟持部材と上側挟持部材とを備え、該下側挟持部材の上面には挟持した辺に沿った方向に回転する複数のコロが配設されており、該上側挟持部材の下面には挟持した辺に沿った方向に回転する複数のコロが配設されている、
ことを特徴とするテープ拡張装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明に従って構成されたテープ拡張装置おいては、第1の挟持手段と第2の挟持手段と第3の挟持手段と第4の挟持手段は、それぞれ下側挟持部材と上側挟持部材とを備え、下側挟持部材の上面には挟持した辺に沿った方向に回転する複数のコロが配設されており、上側挟持部材の下面には挟持した辺に沿った方向に回転する複数のコロが配設されているので、例えば粘着テープの第3辺および第4辺を挟持して拡張する際に、第3辺および第4辺と直交する第1辺および第2辺を挟持する第1の挟持手段および第2の挟持手段の下側挟持部材および上側挟持部材によって挟持していても、下側挟持部材および上側挟持部材に配設された複数のコロが回転するので、粘着テープは十分に拡張される。また、粘着テープの第1辺および第2辺を挟持して拡張する際に、第1辺および第2辺と直交する第3辺および第4辺を挟持する第3の挟持手段および第4の挟持手段の下側挟持部材および上側挟持部材によって挟持していても、下側挟持部材および上側挟持部材に配設された複数のコロが回転するので、粘着テープは十分に拡張される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に従って構成されたテープ拡張装置の斜視図。
図2図1に示すテープ拡張装置の挟持手段を構成する下側挟持部材および上側挟持部材の要部を拡大して示す正面図。
図3図1に示すテープ拡張装置を用いて実施するテープ挟持工程の説明図。
図4図1に示すテープ拡張装置を用いて実施する第1のテープ拡張工程の説明図。
図5図1に示すテープ拡張装置を用いて実施する第2のテープ拡張工程の説明図。
図6】第1のテープ拡張工程および第2のテープ拡張工程が実施された粘着テープに貼着された個々に分割されたデバイスの状態を示す説明図。
図7図1に示すテープ拡張装置を用いて実施するフレーム装着工程の説明図。
図8図7に示すフレーム装着工程が実施され個々に分割されたデバイス間に間隔(s)が形成されたウエーハ10が粘着テープを介して環状フレームに支持された状態を示す断面図。
図9】テープ拡張装置によって拡張される粘着テープの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明によって構成されたテープ拡張装置の好適な実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図9には、テープ拡張装置によって拡張される粘着テープの平面図が示されている。図示の粘着テープ1は、正方形(矩形)に形成されており、第1辺1aと、該第1辺1aと対向する第2辺1bと、該第1辺1aおよび該第2辺1bと直交する第3辺1cと、該第3辺1cと対向する第4辺1dを備えている。このように形成された粘着テープ1の表面には粘着層が塗布されており、この表面の中央部にウエーハ10が貼着されている。なお、ウエーハ10は、図示の実施形態においては表面10aに複数のストリート101が格子状に形成されているとともに、該複数のストリート101によって区画された複数の領域にそれぞれデバイス102が形成された半導体ウエーハからなっており、ストリート101に沿って個々のデバイス102に分割されているものとする。
【0013】
次に、上述した個々のデバイス102に分割されたウエーハ10が貼着されている粘着テープ1を拡張するテープ拡張装置について、図1および図2を参照して説明する。
図1には、本発明に従って構成されたテープ拡張装置の一実施形態の斜視図が示されている。
図1に示す実施形態におけるテープ拡張装置2は、固定基台20と、該固定基台20の中央部上面に配設され上記粘着テープ1を載置する円形状の保持テーブル3と、該保持テーブル3に載置された上記粘着テープ1を挟持する第1の挟持手段4aと第2の挟持手段4bと第3の挟持手段4cと第4の挟持手段4dと、該第1の挟持手段4aと該第2の挟持手段4bと該第3の挟持手段4cと該第4の挟持手段4dをそれぞれ円形状の保持テーブル3の径方向に移動せしめる第1のテープ拡張手段5aと第2のテープ拡張手段5bと第3のテープ拡張手段5cと第4のテープ拡張手段5dを具備している。
【0014】
上記固定基台20は矩形状に形成され、その上面には互いに90度の角度を持って上記円形状の保持テーブル3の中心に向かって形成された第1の案内溝201aと第2の案内溝201bと第3の案内溝201cと第4の案内溝201dが形成されている。また、固定基台20の上記第1の案内溝201aと第2の案内溝201bと第3の案内溝201cと第4の案内溝201dが形成された外周部は、外方に突出して形成されている。
【0015】
上記円形状の保持テーブル3は、固定基台20の上面に支持手段30によって支持されている。この支持手段30は、図示の実施形態においては保持テーブル3を上下方向に移動可能に構成されている。
【0016】
上記第1の挟持手段4aと第2の挟持手段4bと第3の挟持手段4cと第4の挟持手段4dは、上記固定基台20に形成された第1の案内溝201aと第2の案内溝201bと第3の案内溝201cと第4の案内溝201d上にそれぞれ配設されている。即ち、4個の挟持手段4a、4b、4c、4d、は、周方向に互いに等角度をもって配設されている。このように固定基台20上に配設された第1の挟持手段4aと第2の挟持手段4bと第3の挟持手段4cと第4の挟持手段4dは、図示の実施形態においては同一の構成であり、それぞれL字状に形成された可動基台41と、該可動基台41に上下方向に移動可能に装着された下側挟持機構42および上側挟持機構43と、該下側挟持機構42および上側挟持機構43をそれぞれ上下方向に移動せしめる第1の移動機構44および第2の移動機構45とを具備している。可動基台41は、移動部411と、該移動部411の上面から立設して形成された支持部412とからなっている。移動部411の下面にはそれぞれ上記第1の案内溝201a、第2の案内溝201b、第3の案内溝201c、第4の案内溝201dに嵌合する被案内レール411aが設けられており、この被案内レール411aをそれぞれ上記第1の案内溝201a、第2の案内溝201b、第3の案内溝201c、第4の案内溝201dに嵌合することにより、可動基台41は固定基盤20にそれぞれ上記第1の案内溝201a、第2の案内溝201b、第3の案内溝201c、第4の案内溝201dに沿って移動可能に構成される。また、移動部411には、雌ネジ411bが貫通して形成されている。上記支持部412の内側の面(互いに対向する側の面)には上下方向に延びる案内レール412aが設けられており、外側の面には上下方向に延びる長溝412bが形成されている。また、案内レール412aには、内側の面から上記長溝412bに達し上下方向に延びる長穴412cが形成されている。
【0017】
上記下側挟持機構42は、上記可動基台41の支持部412に設けられた案内レール412aに沿って移動可能に配設された支持アーム421と、該支持アーム421に取り付けられた下側挟持部材422とからなっている。支持アーム421の基端には上記案内レール412aと嵌合する被案内溝421aが設けられており、この被案内溝421aを案内レール412aに嵌合することにより、支持アーム421は可動基台41の支持部412に案内レール412aに沿って上下方向に移動可能に構成される。また、支持アーム421の基部には雌ネジ421bを備えた雌ネジブロック421cが設けられており、この雌ネジブロック421cが上記長穴412cを挿通して配設される。上記下側挟持部材422は、図示の実施形態においては直方体状に形成されており、長手方向が被案内レール411aと直交する方向に向けて配設されている。このように構成された下側挟持部材422の挟持面側である上面には、下側挟持部材422の長手方向に回転する複数のコロ423が配設されている。
【0018】
上記上側挟持機構43は、上記可動基台41の支持部412に設けられた案内レール412aに沿って移動可能に配設された支持アーム431と、該支持アーム431に取り付けられた上側挟持部材432とからなっている。支持アーム431の基端には上記案内レール412aと嵌合する被案内溝431aが設けられており、この被案内溝431aを案内レール412aに嵌合することにより、支持アーム431は可動基台41の支持部412に案内レール412aに沿って上下方向に移動可能に構成される。また、支持アーム431の基部には雌ネジ431bを備えた雌ネジブロック431cが設けられており、この雌ネジブロック431cが上記長穴412cを挿通して配設される。上記上側挟持部材432は、図示の実施形態においては直方体状に形成されており、長手方向が被案内レール411aと直交する方向に向けて配設されている。このように構成された上側挟持部材432の挟持面側である下面には、上側挟持部材432の長手方向に回転する複数のコロ433(図2参照)が配設されている。この複数のコロ433は、図2に示すように上記下側挟持機構42の下側挟持部材422に配設された複数のコロ423と対向するように配設されている。
【0019】
上記下側挟持機構42を上下方向に移動せしめる第1の移動機構44は、上記可動基台41の支持部412に形成された長溝412b内に案内レール412aと平行に配設され上記支持アーム421の基部に設けられた雌ネジブロック421cの雌ネジ421bと螺合する雄ネジロッド441と、可動基台41の支持部412に配設され雄ネジロッド441の一端部を回転可能に支持する軸受442と、雄ネジロッド441の他端に連結され雄ネジロッド441を回転駆動するためのパルスモータ443とからなっている。このように構成された第1の移動機構44は、パルスモータ443を駆動して雄ネジロッド441を一方向または他方向に回動することにより、下側挟持機構42を案内レール412aに沿って上下方向に移動せしめる。
【0020】
上記上側挟持機構43を上下方向に移動せしめる第2の移動機構45は、上記第1の移動機構44と同様の構成で第1の移動機構44の上側に配設されている。即ち、第2の移動機構45は、上記可動基台41の支持部412に形成された長溝412b内に案内レール412aと平行に配設され上記支持アーム431の基部に設けられた雌ネジブロック431cの雌ネジ431bと螺合する雄ネジロッド451と、可動基台41の支持部412に配設され雄ネジロッド451の一端部を回転可能に支持する軸受452と、雄ネジロッド451の他端に連結され雄ネジロッド451を回転駆動するためのパルスモータ453とからなっている。このように構成された第2の移動機構45は、パルスモータ453を駆動して雄ネジロッド451を一方向または他方向に回動することにより、上側挟持機構43を案内レール412aに沿って上下方向に移動せしめる。
【0021】
上記第1の挟持手段4a、第2の挟持手段4b、第3の挟持手段4c、第4の挟持手段4dをそれぞれ円形状の保持テーブル3の径方向に移動せしめる第1のテープ拡張手段5a、第2のテープ拡張手段5b、第3のテープ拡張手段5c、第4のテープ拡張手段5dは、それぞれ上記固定基台20に形成された上記第1の案内溝201a、第2の案内溝201b、第3の案内溝201c、第4の案内溝201dに沿って配設されている。この第1のテープ拡張手段5a、第2のテープ拡張手段5b、第3のテープ拡張手段5c、第4のテープ拡張手段5dは、それぞれ第1の案内溝201a、第2の案内溝201b、第3の案内溝201c、第4の案内溝201dと平行に配設され上記可動基台41の移動部411に形成された雌ネジ411bと螺合する雄ネジロッド51と、上記固定基台20に配設され雄ネジロッド51の一端部を回転可能に支持する軸受52と、雄ネジロッド51の他端と連結され雄ネジロッド51を回転駆動するためのパルスモータ53とからなっている。このように構成された第1のテープ拡張手段5a、第2のテープ拡張手段5b、第3のテープ拡張手段5c、第4のテープ拡張手段5dは、それぞれパルスモータ53を駆動して雄ネジロッド51を一方向または他方向に回動することにより、第1の挟持手段4a、第2の挟持手段4b、第3の挟持手段4c、第4の挟持手段4dをそれぞれ円形状の保持テーブル3の径方向に移動せしめる。
【0022】
図1および図2に示す実施形態におけるテープ拡張装置2は以上のように構成されており、以下その作用について説明する。
上記図9に示す表面中央部にウエーハ10(個々のデバイス102に分割されている)が貼着されている粘着テープ1は、図示しない搬送装置によって保持テーブル3上に載置される。このとき粘着テープ1は、第1辺1aを第1の挟持手段4aに向け、第2辺1bを第2の挟持手段4bに向け、第3辺1cを第3の挟持手段4cに向け、第4辺1dを第4の挟持手段4dに向けて載置される。なお、このとき保持テーブル3は、上面が上記第1の挟持手段4a、第2の挟持手段4b、第3の挟持手段4c、第4の挟持手段4dを構成する下側挟持機構42の下側挟持部材422と上側挟持機構43の上側挟持部材432との中間位置の高さに位置付けられている。
【0023】
次に、第1のテープ拡張手段5a、第2のテープ拡張手段5b、第3のテープ拡張手段5c、第4のテープ拡張手段5dを作動して第1の挟持手段4a、第2の挟持手段4b、第3の挟持手段4c、第4の挟持手段4dの下側挟持機構42および上側挟持機構43を粘着テープ1を挟持できる位置に位置付ける。そして、第1の挟持手段4a、第2の挟持手段4b、第3の挟持手段4c、第4の挟持手段4dを構成する第1の移動機構44および第2の移動機構45を作動して、図2および図3に示すように下側挟持機構42の下側挟持部材422と上側挟持機構43の上側挟持部材432とによって粘着テープ1の各辺を挟持する(テープ挟持工程)。
【0024】
図2および図3に示すように下側挟持機構42の下側挟持部材422と上側挟持機構43の上側挟持部材432とによって粘着テープ1の各辺を挟持したならば、例えば第3のテープ拡張手段5cおよび第4のテープ拡張手段5dを作動し、図4に示すように第3の挟持手段4cおよび第4の挟持手段4dを構成する下側挟持機構42および上側挟持機構43を図4において矢印A1およびA2で示す方向(図4において左右方向)に移動せしめる。この結果、粘着テープ1は、矢印A1およびA2で示す方向(図4において左右方向)に引っ張られて拡張する(第1のテープ拡張工程)。このとき、第3の挟持手段4cおよび第4の挟持手段4dを構成する下側挟持機構42および上側挟持機構43に挟持された粘着テープ1の第3辺1cおよび第4辺1dと直交する第1辺1aおよび第2辺1bを挟持する第1の挟持手段4aおよび第2の挟持手段4bの下側挟持機構42および上側挟持機構43を構成する下側挟持部材422および上側挟持部材432には長手方向(第1辺1aおよび第2辺1bに沿った方向)に回転する複数のコロ423および433が配設されているので、粘着テープ1が矢印A1およびA2で示す方向(図4において左右方向)に引っ張られて拡張すると、下側挟持部材422および上側挟持部材432に配設された複数のコロ423および433が回転する。従って、粘着テープ1の第3辺1cおよび第4辺1dを挟持して拡張する際に、第3辺1cおよび第4辺1dと直交する第1辺1aおよび第2辺1bを挟持する第1の挟持手段4aおよび第2の挟持手段4bの下側挟持機構42および上側挟持機構43によって挟持していても、下側挟持機構42および上側挟持機構43の下側挟持部材422および上側挟持部材432に配設された複数のコロ423および433が回転するので、粘着テープ1は十分に拡張される。
【0025】
次に、上記第4図に示す粘着テープ1の第3辺1cおよび第4辺1dを挟持して拡張した状態で、図5に示すように第1の挟持手段4aおよび第2の挟持手段4bを構成する下側挟持機構42および上側挟持機構43を図5において矢印B1およびB2で示す方向(図5において上下方向)に移動せしめる。この結果、粘着テープ1は、矢印B1およびB2で示す方向(図5において上下方向)に引っ張られて拡張する(第2のテープ拡張工程)。このとき、第1の挟持手段4aおよび第2の挟持手段4bを構成する下側挟持機構42および上側挟持機構43に挟持された粘着テープ1の第1辺1aおよび第2辺1dと直交する第3辺1cおよび第4辺1dを挟持する第3の挟持手段4cおよび第4の挟持手段4dの下側挟持機構42および上側挟持機構43を構成する下側挟持部材422および上側挟持部材432には長手方向(第3辺1cおよび第4辺1dに沿った方向)に回転する複数のコロ423および433が配設されているので、粘着テープ1が矢印B1およびB2で示す方向(図5において上下方向)に引っ張られて拡張すると、下側挟持部材422および上側挟持部材432に配設された複数のコロ423および433が回転する。従って、粘着テープ1の第1辺1aおよび第2辺1bを挟持して拡張する際に、第1辺1aおよび第2辺1bと直交する第3辺1cおよび第4辺1dを挟持する第3の挟持手段4cおよび第4の挟持手段4dの下側挟持機構42および上側挟持機構43によって挟持していても、下側挟持機構42および上側挟持機構43の下側挟持部材422および上側挟持部材432に配設された複数のコロ423および433が回転するので、粘着テープ1は十分に拡張される。
なお、上述した実施形態においては、粘着テープ1の第1辺1aおよび第2辺1bと第3辺1cおよび第4辺1dを挟持した状態で、粘着テープ1の第3辺1cおよび第4辺1dを拡張する第1のテープ拡張工程と粘着テープ1の第1辺1aおよび第2辺1bを拡張する第2のテープ拡張工程を分けて実施する例を示したが、第1のテープ拡張工程と第2のテープ拡張工程を同時に実施してもよい。
【0026】
以上のように粘着テープ1の第3辺1cおよび第4辺1dと第1辺1aおよび第2辺1bを拡張することにより、図6に示すように粘着テープ1に貼着されたウエーハ10が個々に分割されているデバイス102間には、隙間Sが形成される。
なお、デバイスの縦および横の寸法が異なり、ウエーハに配設されたデバイスの縦列と横列の数が異なる場合でも、配設されたデバイスの数に対応して粘着テープ1の第1辺1aおよび第2辺1bの拡張量と第3辺1cおよび第4辺1d拡張量を調整することにより、個々に分割されているデバイス間の隙間Sを一定にできるとともに、隙間を一直線上に形成することができる。
【0027】
次に、上述した粘着テープ1に貼着されたウエーハ10が個々に分割されているデバイス102間に隙間Sを形成した状態で、図7に示すようにウエーハ10が収容される大きさの開口部70を有する環状フレーム7を粘着テープ1の粘着層が塗布された表面に装着する(フレーム装着工程)。この結果、図8に示すように個々に分割されたデバイス102間に間隔(s)が形成されたウエーハ10は、環状フレーム7の開口部70に収容され、粘着テープ1を介して環状フレーム7によって支持されることになる。このようにして、粘着テープ1の表面に環状フレーム7を装着したならば、粘着テープ1を環状フレーム7の外周に沿って切断する。そして、環状フレーム7に粘着テープ1を介して支持されたウエーハ10(デバイス102間に間隔(s)が形成されている)は、デバイスをピックアップするピックアップ工程に搬送される。
【符号の説明】
【0028】
1:粘着テープ
2:テープ拡張装置
20:固定基台
3:円形状の保持テーブル
4a:第1の挟持手段
4b:第2の挟持手段
4c:第3の挟持手段
4d:第4の挟持手段
41:可動基台
42:下側挟持機構
422:下側挟持部材
423:コロ
43:上側挟持機構
432:上側挟持部材
433:コロ
44:第1の移動機構
45:第2の移動機構
5a:第1のテープ拡張手段
5b:第2のテープ拡張手段
5c:第3のテープ拡張手段
5d:第4のテープ拡張手段
7:環状フレーム
10:ウエーハ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9