特許第5980917号(P5980917)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5980917
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】貯蔵貨物を保護するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   A01F 25/13 20060101AFI20160818BHJP
   A01P 7/04 20060101ALI20160818BHJP
   A01N 25/00 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   A01F25/13 Z
   A01P7/04
   A01N25/00 102
【請求項の数】17
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2014-517655(P2014-517655)
(86)(22)【出願日】2012年6月26日
(65)【公表番号】特表2014-520513(P2014-520513A)
(43)【公表日】2014年8月25日
(86)【国際出願番号】EP2012062351
(87)【国際公開番号】WO2013000906
(87)【国際公開日】20130103
【審査請求日】2015年6月23日
(31)【優先権主張番号】61/501,318
(32)【優先日】2011年6月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100122389
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 栄一
(74)【代理人】
【識別番号】100111741
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 夏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100169971
【弁理士】
【氏名又は名称】菊田 尚子
(74)【代理人】
【識別番号】100125508
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 愛
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイザー,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ビールマイヤー,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】カイザー,クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ファーバー,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】イスキェルド,アグスティン
(72)【発明者】
【氏名】シャファート,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】シュテロ,ニルス
(72)【発明者】
【氏名】グレッシェル,トルステン
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,ウド
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭46−033086(JP,Y1)
【文献】 特開2010−088337(JP,A)
【文献】 特表2010−530851(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01F 25/00−25/22
A01M 1/00−99/00
A47C 29/00
A01N 25/00
A01P 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の農薬で処理されたネット(30、31)により形成される1以上の貯蔵構造体(2)を含み、貯蔵貨物(50)を囲むことができる、貯蔵室(1)における貯蔵貨物(50)を保護するためのシステムであって、
貯蔵構造体(2)が、支持枠(10)、支持枠を吊るすための手段(35)を更に含み、
前記システムが、支持枠(10)が吊るされた状態で貯蔵構造体(2)の少なくとも1の部分(13)を開閉するための手段、および、ネット(30、31)が絡まり、ネット(30、31)にかかる力が支持枠(10)または吊るす手段(35)の一定の最大荷重許容量を超える場合に貯蔵構造体の全体の構造崩壊を避けるための手段(32)を更に含み、全体の構造崩壊を避けるための手段(32)は、ネット(30)を引っ張る力が支持枠(10)または吊るす手段(35)の一定の最大荷重を超える場合に全体の構造崩壊を避けるための手段がネットを支持枠から解放るように、ネット(30)を支持枠(10)に固定するために適応されることを特徴とする、前記システム。
【請求項2】
支持枠を吊るすための手段(35)が、
A)支持枠(10)を貯蔵室(1)の天井(6)に取り付けるために適応され、吊るす手段(35)を貯蔵室(1)の天井(6)および/または支持構造に取り付けるための固定手段(35a)並びに支持枠(10)を固定手段(35a)に連結するための連結要素(35b)を含む、または、
B)支持枠(10)を貯蔵室(1)の少なくとも2の壁(5)に取り付けるために適応され、吊るす手段(35)を壁(5)に取り付けるための固定手段(35a)および支持枠(10)を固定手段(35a)に連結するための連結要素(35b)を含み、ここで、固定手段(35a)は、クランプ(40)、ブラケットおよび/またはボルト(44)を含む、または、
C)貯蔵室(1)の床(4)上に置かれるおよび/または固定されるために適応され、強固な桁(83)および支持枠(10)を支えるための連結要素を含む台(80)として構成されている、
請求項1に記載のシステムであって、
連結要素は、強固な桁(83)、ロープ、ケーブル、鎖および/または滑車を含み、ロープ、ケーブルおよび/または鎖は引張要素を備え、連結要素は固定要素を使用して支持枠(10)に固定され、固定要素はねじ、ナット、くぎおよび/またはにかわを含む
前記システム。
【請求項3】
農薬が殺虫剤である、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
貯蔵構造体(2)の全ての4つの側面および頂部を形成している単一の3次元ネット30である1つのネット(30)が用いられる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
追加のネット材料(106)が開閉するための部分(31)と、開閉するための部分(31)に隣接するネット(30)の2つの側面の間の継目(102)の位置またはその近くに含まれる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
1以上のネット(30、31)の一部分(52)床(4)上に溜まる、および/または重り付きロープを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
支持枠(10)が1以上の部分(12)から構成され、各部分(12)は強固な桁、ロープ、ケーブルおよび/または鎖を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のシステムであって、各部分は、案内ロープ、クランプ、溝、ボルト、ホックおよび/またはローラーを含む1以上の農薬で処理されたネット(30、31)を固定するための手段を備え、支持枠(10)は、枠の部分(12)を結合するための結合要素(14)を更に含み、支持枠(10)は、支持枠(10)を支持枠を吊るすための手段(35)に連結するための連結要素(16)を含む、前記システム。
【請求項8】
支持枠(10)の少なくとも1の部分(12)が押出形材部品(18)である強固な桁を含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
貯蔵構造体(2)の少なくとも1の部分を開閉するための手段がモーター(54)およびモーターを制御するための手段を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
支持枠(10)の少なくとも1の部分(13)上のネットが、ロープをモーター(54)により引っ張ることができるように準備されたロープ(58)を備えている、請求項9に記載のシステムであって、ロープ(58)はネット(31)の底部まで伸びる、またはロープ(58)は支持枠(10)から吊るされ、ネット(31)を保持するストラップを形成する、前記システム。
【請求項11】
モーターを制御するための手段が有線式遠隔操作(60)、RFもしくはIR無線式遠隔操作(62)または運動センサの内の1である、請求項9または10に記載のシステム。
【請求項12】
全体の構造崩壊を避けるための手段が、破壊点を備える、1以上の面ファスナー(Velcro strips)、圧縮クランプストリップ(32)、保持用クランプ、ボルトまたはホックである、請求項1〜11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
害虫の感染を監視するための手段を更に含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載のシステムを貯蔵室(1)に設置する工程および貨物(50)を貯蔵構造体(2)の内部に置く工程を含み、システムは昆虫および害虫がシステム内部の空間に入ることを妨げる、貯蔵室(1)において害虫から貯蔵貨物(50)を保護するための方法
【請求項15】
支持枠(10)の少なくとも1の部分(13)上のネット(31)が貯蔵構造体(2)を開閉するための手段を備えている請求項14に記載の方法であって、貯蔵構造体(2)は、貨物(50)を貯蔵構造体(2)の中にまたは貯蔵構造体(2)から移動する/取り出す前に開けられ、その後閉められる、前記方法。
【請求項16】
貯蔵構造体(2)を開閉するための手段がモーターおよび前記モータを制御するための運動センサを含む、請求項15に記載の方法であって、貯蔵構造体(2)の開口部分(13)は運動センサが既定時間中に全く動きを検出しなかった場合に自動的に閉められる、前記方法。
【請求項17】
害虫レベルが監視される、請求項14〜16のいずれか1項に記載の方法であって、1以上のネット(30、31)は害虫レベルが上昇したら新しいものと交換される、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、害虫から貯蔵室における貯蔵貨物を保護するためのシステムおよび該システムを適用することにより害虫から貯蔵室における貯蔵貨物を保護するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天然起源の多くの食物、たばこおよびその他製品は、それらを小売業者および消費者に配達する前に、長距離にわたって輸送される必要がある、またはかなりの長時間、例えば
熟成工程の一部として貯蔵しなければならない。この間、これらの製品は、様々な害虫により寄生される傾向がある。例えば、毎年、4億USドルのたばこが、害虫の寄生により失われている。貯蔵されたココアおよびコーヒーのそれぞれ4%および5%にあたる5億USドル以上もまた、1年ごとに害虫により失われている。
【0003】
従って、輸送および貯蔵中の害虫に対する食物およびその他製品の損失を最小限にすることは、継続的な挑戦である。
【0004】
現在では、主に燻蒸、加熱および凍結処理が貯蔵所における害虫を制御するために使用される。しかしながら、すべての燻蒸は貯蔵施設または貯蔵所の一部の密閉を必要とする。加えて、大部分の燻蒸はヒトに対して高い毒性である。したがって、正しく処理されなかった場合、それらは、従事する作業者にとって潜在的な健康被害を提示する。加えて、貯蔵製品における燻蒸剤の残余を避けなければならない。
【0005】
それ故、現在実施されている方法の代わりとなる方法が、非常に望まれている。
【0006】
国際公開第2007/144401号は、たばこを有害生物に対して保護活性を有するネットで覆うことにより、貯蔵中に有害生物からたばこを保護する方法を記載している。
【0007】
国際公開第2008/052913号は、1以上の植物を安定化構造およびメッシュ生地を含む装置で覆う工程を含む有害生物から作物を保護する方法であって、該メッシュ生地は、農薬を染み込ませてあり、光、空気および水を通すことができる、前記方法を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2007/144401号
【特許文献2】国際公開第2008/052913号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、これらの文献のいずれもが、現代の世界的な輸送および物流の貯蔵所における貨物を保護するという個別の要求に向けられていない。このような環境において実現可能となるためには、貨物を保護するためのシステムが様々な要求、例えば、
−作業者に対する健康被害および貯蔵貨物中の農薬残余の回避、
−システムを異なる種類の世界的な貯蔵所に適応するための柔軟性、
−貯蔵所床スペースの最小限の使用、
−腐食環境に耐える能力、
−取り付けおよび使用の容易性、
−物理的安定性、
−操作中の取り扱いの容易性および安全性、
を満たさなくてはならない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記要求は、農薬(より一般的には有害生物防除剤)で処理されたネットにより形成される1以上の貯蔵構造体を含み、貯蔵貨物を囲むことができる、貯蔵室における貯蔵貨物を保護するためのシステムにより満たされ得ることが判明した。
【0011】
したがって、本発明の1つの側面は、農薬で処理されたネットにより形成される1以上の貯蔵構造体を含み、貯蔵貨物を囲むことができる、貯蔵室における貯蔵貨物を保護するためのシステムであって、貯蔵構造体が更に、支持枠、
支持枠を吊るすための手段、
吊るされた状態における少なくとも1の部分上の貯蔵構造体を開閉するための手段、
および、ネットが絡まった場合に全体の構造崩壊を避けるための手段
を含む、前記システムである。
【0012】
本発明の更なる側面では、貯蔵室において本発明によるシステムを取り付ける工程および貨物を貯蔵構造体の内部に置く工程を含む、貯蔵室における貯蔵貨物を保護するための方法を提供する。
【0013】
本発明のシステムは、様々な利点、例えば、
−作業者に対する健康被害および貯蔵貨物中の農薬残余の回避、
−システムを異なる種類の世界的な貯蔵所に適応するための柔軟性、
−貯蔵所床スペースの最小限の使用、
−腐食環境に耐える能力、
−取り付けおよび使用の容易性、
−物理的安定性、
−操作中の取り扱いの容易性および安全性、
を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1aは、本発明の支持枠の底面図を示す。図1bは、本発明の支持枠の上面図を示す。図1cは、支持枠の更なる実施形態を示す。
図2図2aおよびbは、支持枠の2つの枠部分を結合するための結合要素の2つの実施形態を示す。
図3a図3aおよびbは、押出形材部品の断面図を示す。
図3b図3aおよびbは、押出形材部品の断面図を示す。
図4図4a、bおよびcは、支持枠を吊るすための手段の3つの異なる実施形態を示す。
図5図5は、吊るされた状態における支持枠の実施形態を示す。
図6図6aは、ネットが取り付けられた、吊るされた状態における支持枠により形成される貯蔵構造体を示す。図6bは、床上に溜まるネットを示す。
図7a図7aは、貯蔵構造体の実施形態を示す。
図7b図7bは、開放機構の好適な実施形態を示す。
図7c-d】図7cおよびdは、3次元ネットの2つの実施形態を示す。
図8図8aおよびbは、押出形材部品の更なる実施形態を示す。
図9図9は、支持枠の2つの押出形材部品を結合するために適応される結合要素の別の実施形態を示す。
図10図10は、支持枠上のネットの展開を示す。
図11図11は、支持枠の更なる実施形態を示す。
図12図12は、吊るされた状態における支持枠の別の実施形態を示す。
図13図13は、床に固定するために適応される吊るす手段を含む貯蔵構造体の実施形態を示す。
図14図14は、横桁を含む支持枠の更なる実施形態を示す。
図15図15は、支持枠を吊るすための手段の更なる実施形態を示す。
図16図16は、いくつかの貯蔵構造体を有する貯蔵所の配置の概観図を示す。
図17図17aおよびbは、本発明の支持枠の強固な枠部分の2つの更なる実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
システムは、貯蔵構造体のサイズおよび数を変更することにより、小さな貯蔵室から工業規模の貯蔵所まで、どんなサイズの貯蔵室にも適応することができる。貯蔵室に依存して、システムは貯蔵貨物の側面および頂部または側面または頂部のいずれかを囲む。
【0016】
害虫が保護される貯蔵構造体に入ることを可能としてはならない。しっかりとした密閉を達成するために、ネットは貯蔵構造体の基部に溜まる。隙間が基部に形成されないことを確実にするために、ネットは重り付きロープを含むことが好ましい。
【0017】
システムの適応性は支持枠を備えることにより達成され、ここで、支持枠は1以上の部分を含み、支持枠の各部分は強固なまたは柔軟な要素、例えば強固な桁、ロープ、ケーブルおよび/または鎖のいずれかであり、各部分は案内ロープ、クランプ、溝、ボルト、ホックおよび/またはローラーを含む農薬で処理されたネットを固定するための手段を備え、支持枠は、枠の部分を結合するための結合要素および枠を支持枠を吊るすための手段に連結するための連結要素を更に含む。
【0018】
支持枠は貯蔵貨物を保護するために必要などんな形にも適応することができ、強固な桁または強靭なケーブルを使用して長距離を容易につなぐことができる。強固な枠は丸い形状の使用を可能とし、ネットの不必要な動きに対する安定性をシステムに与える。柔軟な枠はより軽く、利用可能なスペースがほとんどない状況や、より重い強固な枠の重さを支持することができない場合において、システムの取り付けを可能にする。
【0019】
長距離をつなぐために、2以上の支持枠をそれらの強度を上げるように積み重ねることができる。
【0020】
本発明の好適な実施形態では、支持枠は強固な桁製であって、強固な桁は押出形材部品である。アルミニウム製の押出形材部品が特に好ましい。
【0021】
この好適な実施形態では、枠の異なる部分を結合するための結合要素および支持枠を吊るす手段に連結するための連結要素は、押出部品中の溝、ナットおよびボルトを含む。
【0022】
枠の部分はまた、支持枠の選択された形状が、異なる貯蔵状況への変更または適応を意図しない場合、互いに溶接され得る。
【0023】
システムの支持枠は、
A)吊るす手段を貯蔵室の天井および/または支持構造に取り付けるための固定要素並びに支持枠を固定要素に連結するための連結要素を含む吊るす手段を使用して支持枠を貯蔵室の天井に固定する工程であって、固定要素はクランプ、ブラケットおよび/またはボルトを含む、前記工程、
または、
B)吊るす手段を壁に取り付けるための固定要素および支持枠を固定要素に連結するための連結要素を含む吊るす手段を使用して支持枠を貯蔵室の少なくとも2の壁上に固定する工程であって、固定要素はクランプ、ブラケットおよび/またはボルトを含む、前記工程、
または、
C)支持枠を貯蔵室の床上に置かれているおよび/または固定されている台上に固定する工程であって、台が強固な桁および支持枠を支えるための連結要素を含む、前記工程
のいずれかにより固定され、
ここで、連結要素は強固な桁、ロープ、ケーブル、鎖および/または滑車を含み、ロープ、ケーブルおよび/または鎖は引張要素を備え、連結要素は固定要素を使用して支持枠に固定される。
【0024】
システムの最初の取り付けでは、支持枠が地上にある間または支持枠が吊るされた後に、農薬で処理されたネットを支持枠に固定することができる。システムの最初の取り付け後は、貯蔵貨物を貯蔵構造体から移動する必要がないように、支持枠が吊るされた状態のままでネットを交換することが好ましい。
【0025】
好適な固定要素は熟練者により知られており、例えばボルト、ねじ、ナット、クランプおよびブラケットを含む。
【0026】
吊るす手段が貯蔵室の天井に固定される場合、吊るす手段を建造物の支持構造に固定することが好ましい。クランプは円型またはI字型の桁の場合の吊るす手段を取り付けるための固定手段として好ましく、また、ボルトはコンクリート構造の場合の好適な固定手段である。
【0027】
支持枠を床上に組み立てることが望ましい場合では、連結要素が滑車を含み、支持枠の高さを調節することができるように準備された吊るす手段が好ましい。
【0028】
支持枠が台により吊るされている場合、蝶番を含む台の使用が好ましい。台上の蝶番は支持枠を支えるための連結要素を有する桁を折りたたむことができるように準備される。折りたたまれた状態では、台を取り付け場所に容易に移動することができる。さらに、折りたたみ機構は、ロープ/ケーブル/鎖および/または滑車と組み合わせれば、持ち上げ機構として機能することができる。これは、支持枠を貯蔵所の床上に組み立てることを可能とする。
【0029】
さらなる実施形態では、台は台を移動するための手段を含む。これらの手段は、例えば車輪およびブレーキを含み、台の容易な移動および安全な配置を可能とする。
【0030】
本発明の別の実施形態では、台は可膨張性要素を含む。これは、台の重量を減少し、圧縮空気を使用して台を膨張させることにより迅速な取り付けを可能とする。
【0031】
好適な実施形態では、台は貯蔵所の基部に台を固定するための固定手段を含む。この実施形態は、台の高さが貯蔵構造体の幅および/または長さよりも長いまたはほぼ同じくらいである場合に特に好ましい。固定手段はクランプ、ブラケット、ねじおよび/またはボルトを含む。支持台、支持枠およびネットの合計重量が貯蔵所基部の最大許容荷重よりも大きい場合は、別の基部を支持台に使用することが好ましい。
【0032】
支持枠が支持枠の吊るす手段への連結において長距離でつながなければならない場合、強度を改善するために、横桁および/または追加のケーブル/ロープ/鎖を構造体に組み入れることができる。横桁はまた、貯蔵構造体の不必要な動きを制限して構造体の剛性をあげるために使用することができる。同じことが吊るす手段に適用される。吊るす手段の強度および剛性は横桁および/またはケーブル/ロープ/鎖の組み込みにより改善することができる。
【0033】
吊るす手段における追加の横桁および/またはケーブル/ロープ/鎖の組み込みは、貯蔵所の構造が特定の場所でのみ吊るす手段の固定を可能とする場合に特に好ましい。
【0034】
追加の横桁および/またはケーブル/ロープ/鎖はまた、ネットによる歪みを受け入れるために支持枠に含まれ得る。
【0035】
本発明の1つの重要な側面は、貯蔵所の日々の仕事におけるシステムの使用の容易性である。システムは、保護される貨物の簡単な配置および移動を可能としなければならない。これは、ネットを持ち上げるまたはネットをわきに寄せることにより開けることができる少なくとも1の部分を貯蔵構造体に備えることにより達成される。
【0036】
支持枠は、ネットの少なくとも1の部分を手動で開閉するための手段を備えることができる。これらの手段は、ケーブル/ロープ/鎖および滑車を含む。貯蔵構造体の手動操作は、フォークリフトの運転手がネットを操作するために降りなければならなくなるので、大きな工業規模の貯蔵所の日々の操作を妨害し得る。
【0037】
貯蔵所の日々の仕事を妨害しないためには、ネットの少なくとも1の部分は迅速に、好適には1分未満で自動化機構により開閉することができることが好ましい。これは、モーターおよびモーターを制御するための手段を支持枠に備えることにより達成される。
【0038】
本発明の1つの実施形態では、支持枠の少なくとも1の部分は支持枠からネットの底部に伸びるロープを備えており、これらのロープはモーターにより引っ張ることができるように準備される。その後、ネットは、モーターを動かすことにより昇降することができる。
【0039】
本発明の別の実施形態では、ロープは支持枠から吊るされ、ネットを保持するストラップを形成する。その後、ネットは、ロープの一方の端を引っ張り、ストラップのサイズを小さくすることにより持ち上げることができる。
【0040】
本発明の好適な実施形態では、持ち上げられるネットは、桁集合体(pooling beam)をさらに含む。これは、ネットがその部分の全体の長さにわたり均一に持ち上げられることを可能とし、ネットの望まれない動きを減少する。
【0041】
単一の3次元ネットが貯蔵構造体を形成するために使用される場合、ネットの仕立ての様式(sewing pattern)は、貯蔵構造体を開けるための手段により開けられる面と2つの隣接する側面との間の継目のところまたはその近くに追加のネット材料を含むことが好ましい。これは、ネットがおよそ長方形のはっきりとした開口部分を形成することを可能にする。
【0042】
本発明の別の実施形態では、支持枠の少なくとも1の部分上のネットはローラーを使用して取り付けられ、これらのローラーはモーターにより動かしてネットを引くことができるようになっている。
【0043】
フォークリフトの運転手は、ネットを操作するために降りる必要がないことが好ましい。これは、有線式遠隔操作、無線周波数(RF)もしくは赤外線(IR)無線式遠隔操作または運動センサの形態のモーターを制御するための手段を備えることにより達成される。
【0044】
有線式遠隔操作は、フォークリフトの運転手がフォークリフトの内部から遠隔操作をすることができるように、天井から吊るすまたは台に設置することにより準備することができる。無線式遠隔操作は、フォークリフトの内部を含めて、貯蔵構造体の近くのどんな場所からでも操作することができる。無線式遠隔操作の場合では、各使用するフォークリフトまたは各作業者にこれらの遠隔操作を装備させることが好ましい。
【0045】
貯蔵貨物の保護のためのシステムが1よりも多い貯蔵構造体を含む場合、固有のコードを各貯蔵構造体に割り当てることが好ましい。その後、操作員は、無線式遠隔操作を使用して対応するコードを送ることにより、開閉する貯蔵構造体を選択することができる。
【0046】
本発明のさらなる実施形態では、各貯蔵構造体は、遠隔操作により送られた検出信号のためのIR検出器を備えており、各貯蔵構造体のIR検出器は、IR無線遠隔操作を貯蔵構造体の方向に向けることにより開けるべき貯蔵構造体が選択されるようになっている。これは、異なるコードを思い出すまたは記録する必要性をなくし、したがって、開けるべきネットの簡単で直観的な選択を可能にする。
【0047】
さらに、使用するのに簡単で安全であるシステムを提供することが本発明の重要な側面である。日々の貯蔵所の仕事では、フォークリフトが使用される。これらの装置は強い力を有し、吊るされたネットに対して潜在的な脅威を提示する。フォークリフトはネットの溜まっている部分上を走る可能性があり、またはネットがフォークリフトのフォークに絡まることもあり得る。両方の場合に、強い力がネットおよびネットを吊るす構造体にかかる。これらの力は、ネットを引き裂き、使用することができない状態にし得る。この力が支持枠または吊るす手段の最大荷重許容量を超える場合、この力が貯蔵構造体の完全な崩壊を引き起こすことさえあり得る。
【0048】
それ故、全体の構造崩壊を避けるための手段を備えることが本発明の重要な側面である。これらの手段は、ネットを引っ張る力が一定の最大荷重を超えたときに固定器具が解放されるように、ネットを支持枠に固定するために使用される。これらの手段は、破壊点を備える、1以上の面ファスナー(Velcro strips)、圧縮クランプストリップ、保持用クランプ、ボルトまたはホックであり得る。
【0049】
本発明の1つの重要な側面は、害虫レベルを制御するために必要な農薬の量をへらすこと、特に貯蔵所の燻蒸を避けることである。これは、昆虫および害虫がシステム内部の保護される貯蔵空間に入ることを効率的に妨げることにより達成される。したがって、貯蔵所および貯蔵貨物に最初に害虫がいないことは非常に重要である。
【0050】
必要な最初の害虫レベルを達成するために、貯蔵所の燻蒸はまだ必要であり得る。それ故、システムの構造体に使用される材料を腐食性の環境に耐え得るように選択し、したがって適切な位置にシステムを有する貯蔵所の燻蒸が可能であることが好ましい。
【0051】
さらに、システムの有効性を評価するために貯蔵所中および貯蔵構造体の内部の害虫レベルを監視することが重要である。
【0052】
したがって、システムの好適な実施形態では、システムは、害虫の感染を監視するための手段を更に含む。好適な実施形態では、これらの手段は、貯蔵貨物の近くの保護される領域および/または貯蔵構造体の外に配置されたフェロモントラップを含む。
【0053】
本発明の更なる側面では、支持枠を取り付け場所で組み立てる工程、支持枠を吊るすための手段を取り付け場所で取り付ける工程、および支持枠を吊るすための手段に支持枠を連結する工程、支持枠を持ち上げる工程並びにネットを支持枠に固定する工程を含む、貯蔵室における貯蔵貨物を保護するためのシステムを取り付けるための方法を提供する。
【0054】
本発明の1つの実施形態では、支持枠に必要な部分および/または支持枠を吊るすための手段は、キット形式で運ばれ、取り付け場所で組み立てられる。キットは貯蔵および輸送中の必要な空間を減らし、容易に運ぶことができる。取り付けの場所では、わずかなスペースしか必要としない。支持枠は貯蔵貨物の周りで組み立てることができる。支持枠を吊るすための手段は、はしごまたはリフトを使用して天井および/または壁に固定することができる、または支持台を地上で組み立てることができる。支持枠を吊るすための手段に固定した後、支持枠および取り付けたネットを目的の高さに持ち上げる。
【0055】
本発明の1つの実施形態では、枠を床上に置いている間にネットを支持枠に取り付け、ネットを交換する必要がある場合に、支持枠を再び床に降ろすことができる。
【0056】
本発明の好適な実施形態では、支持枠が吊るされている状態で、ネットを支持枠に固定する。ネットの交換が必要な場合は、支持枠を吊るした状態のままで交換することが好ましい。ネットは処理されたネットの効力が落ちた、またはネットが損傷した場合に交換すべきである。
【0057】
支持枠が吊るされた状態でネットを支持枠に固定するときは、ネットを移動することが可能な手段を使用してネットを枠に最初に取り付けることが好ましい。好適な手段は、ローラー、ホックおよび/またはストラップを含む。ネットが支持枠から完全に吊るされ、正しい位置に移動した後は、ネットはネットをしっかりと張ることが可能な手段を使用して支持枠に取り付けられる。ネットを支持枠にしっかりと張った状態で取り付けるための好適な手段は、圧縮クランプストリップ、面ファスナー(Velcro strips)および/または保持用クランプを含む。
【0058】
本発明の別の実施形態では、支持枠および/または支持枠を吊るすための手段は工場内で部分的にまたは完全に前もって組み立てられる。
【0059】
本発明の更なる側面では、貯蔵室において本発明によるシステムを取り付ける工程および貨物を貯蔵構造体の内部に置く工程を含む、貯蔵室における貯蔵貨物を保護するための方法を提供する。
【0060】
本発明の好適な実施形態では、支持枠の少なくとも1の部分上のネットは貯蔵構造体を開閉するための手段を備えており、貯蔵構造体は、貨物を貯蔵構造体の中にまたは貯蔵構造体から移動する/取り出す前に開けられ、その後閉められる。
【0061】
貯蔵構造体は常に閉めたままであるべきであり、ネットは、貨物を貯蔵構造体の中に置く、または貨物を貯蔵構造体から取り出すために開けるのみにすべきである。したがって、本発明の好適な実施形態は、運動センサを更に含み、貯蔵構造体の開いた部分は運動センサが既定時間中に全く動きを検出しなかった場合に自動的に閉められる。
【0062】
本発明の好適な実施形態では、貨物は、貨物を貯蔵構造体の内部に置く前に害虫に対して処理される。害虫に対する処理は燻蒸を含むことができる。
【0063】
別の好適な実施形態では、貯蔵構造体および/または貯蔵所の内部の害虫レベルは、監視される。レベルは、害虫に対するシステムの有効性を評価することができるように経時的に追跡される。害虫レベルが上昇する場合および/またはネットが特定の既定の期間使用された後は、農薬で処理されたネットを交換すべきである。
【0064】
本発明の1つの実施形態では、ネットの交換は支持枠を床に降ろす工程、使用したネットを取り外す工程、新しいネットを支持枠に取り付ける工程および支持枠を貯蔵構造体の目的とする高さに持ち上げる工程を含む。
【0065】
本発明の好適な実施形態では、支持枠はネットの交換工程中、吊るされた状態のままである。
【0066】
使用したネットは、廃棄のために製造業者に戻すことが好ましい。
【0067】
本発明で使用されるネットは、1以上の農薬を染み込ませる。一般に、農薬は、材料中(例えば、プラスチックマトリックス中に)に組み込まれるもしくは材料の表面に適用されるまたはその両方である。
【0068】
好適な実施形態では、材料は、
a)少なくとも1の農薬(成分A)および
b)少なくとも1の高分子結合剤(成分B)
を含む組成物で処理される。
【0069】
このような組成物は、例えば国際公開第2007/144401号に開示されている。
【0070】
本明細書で使用される用語「農薬」は、殺虫剤、忌避剤および殺菌剤を含む。
【0071】
本明細書で使用される用語「殺虫剤」は、文脈に述べられている場合を除き、殺節足動物(特に、殺昆虫、ダニ駆除(acaricidal)および殺ダニ(miticidal))、軟体動物駆除(molluscicidal)および殺鼠活性を有する薬剤を含む。
【0072】
本明細書で使用される用語「殺菌剤」は、文脈に述べられている場合を除き、殺真菌(fungicidal)、殺微生物(microbicidal)および殺ウイルス活性を有する薬剤を含む。
【0073】
好適には、農薬は、殺虫剤、または忌避剤である。
【0074】
農薬(成分A)
好適には、農薬は、昆虫を迅速に麻痺または殺す効果を有し、低い哺乳類毒性である殺虫剤および/または忌避剤である。好適な殺虫剤および/または忌避剤は、当業者により知られている。好適な殺虫剤および忌避剤は、例えばE.C. Tomlinら、 The Pesticide Manual、 13ed.、 The British Crop Protection Council、 Farnham 2003およびそこで引用されている文献に開示されている。
【0075】
好適な殺虫剤および/または忌避剤を下記に記載する:
ピレスロイド化合物、例えば
エトフェンプロックス: 2−(4−エトキシフェニル)−2−メチルプロピル−3−フェノキシベンジル エーテル、
クロルフェナピル: 4−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)−1−エトキシメチル−5−(トリフルオロメチル)ピロール−3−カルボニトリル、
フェンバレレート: (RS)−アルファ−シアノ−3−フェノキシベンジル (RS)−2−(4−クロロフェニル)−3 メチルブチレート、
エスフェンバレレート: (S)−アルファ−シアノ−3−フェノキシベンジル (S)−2−(4−クロロフェニル)−3−メチルブチレート、
フェンプロパトリン: (RS)−アルファ−シアノ−3−フェノキシベンジル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート、
シペルメトリン: (RS)−アルファ−シアノ−3−フェノキシベンジル (1RS)−cis, trans−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
アルファ−シペルメトリン: (S)−α−(1R)および(R)−α−(1S)ジアステレオマーを含むラセミ体、
ペルメトリン: 3−フェノキシベンジル(1RS)−cis, trans−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
シハロトリン: (RS)−アルファ−シアノ−3−フェノキシベンジル (Z)−(1RS)−cis−3−(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロぺ−1−エニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、 ラムダ−シハロトリン、
デルタメトリン: (S)−アルファ−シアノ−3−フェノキシベンジル (1R)−cis−3−(2,2−ジブロモビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
シクロプロトリン: (RS)−アルファ−シアノ−3−フェノキシベンジル (RS)−2,2−ジクロロ−1−(4−エトキシフェニル)シクロプロパンカルボキシレート、
フルバリネート: アルファ−シアノ−3−フェノキシベンジル N−(2−クロロ−アルファ, アルファ, アルファ, アルファ−トリフルオロ−p−トリル)−D−バリネート、
ビフェントリン: (2−メチルビフェニル−3−イルメチル)0(Z)−(1RS)−cis−3−(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロぺニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
2−メチル−2−(4−ブロモジフルオロメトキシフェニル)プロピル (3−フェノキシベンジル)エーテル、
トラロメトリン: (S)−アルファ−シアノ−3−フェノキシベンジル (1R−cis)3((1’RS)(1’, 2’, 2’, 2’−テトラ−ブロモエチル))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
シラフルオフェン: 4−エトキシフェニル(3−(4−フルオロ−3−フェノキシフェニル)プロピル}ジメチルシラン、
D−フェノトリン: 3−フェノキシベンジル (1R)−cis, trans)−クリサンテメート、
シフェノトリン: (RS)−アルファ−シアノ−3−フェノキシベンジル (1R−cis, trans)−クリサンテメート、
D−レスメトリン: 5−ベンジル−3−フリルメチル (1R−cis, trans)−クリサンテメート、
アクリナトリン: (S)−アルファ−シアノ−3−フェノキシベンジル (1R−cis(Z))−(2,2−ジメチル−3−(オキソ−3−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピルオキシ)プロぺニル(シクロプロパンカルボキシレート、
シフルトリン: (RS)−アルファ−シアノ−4−フルオロ−3−フェノキシベンジル 3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
テフルトリン: 2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル (1RS−cis (Z))−3−(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−プロぺ−1−エニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
トランスフルトリン: 2,3,5,6−テトラフルオロベンジル (1R−trans)−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチル−シクロプロパンカルボキシレート、
テトラメトリン: 3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル (1RS)−cis, trans−クリサンテメート、
アレトリン: (RS)−3−アリル−2−メチル−4−オキソシクロペンテ−2−エニル (1RS)−cis, trans−クリサンテメート、
プラレトリン: (S)−2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)シクロペンテ−2−エニル (1R)−cis, trans−クリサンテメート、
エンペントリン: (RS)−1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル (1R)−cis,trans−クリサンテメート、
イミプロトリン: 2,5−ジオキソ−3−(プロピ−2−イニル)イミダゾリジン−1−イルメチル (1R)−cis, trans−2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)−シクロプロパンカルボキシレート、
D−フラメトリン: 5−(2−プロピニル)−フルフリル (1R)−cis, trans−クリサンテメート、 および 5−(2−プロピニル)フルフリル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート;
ピリプロキシフェン: 4−フェノキシフェニル (RS)−2−(2−ピリジルオキシ)プロピル エーテル;
除虫菊(pyrethrum);
d−d, trans−シフェノトリン: (RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (1RS,3RS;1RS,3SR)−2,2−ジメチル−3−(2−メチルプロペ−1−エニル)シクロプロパンカルボキシレート;
ラムダ−シハロトリン:
(Z)−(1R,3R),R−エステル および (Z)−(1S,3S), S−エステルの1:1 混合物として、α−シアノ−3−フェノキシベンジル−3−(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペ−1−エニル)−2,2−ジメチルシクロプロパン カルボキシレート、
カルバメート化合物、例えば、
アラニカルブ: S−メチル−N[[N−メチル−N−[N−ベンジル−N(2−エトキシ−カルボニルエチル)アミノ−チオ]カルバモイル]チオアセトイミデート、
ベンジオカルブ: 2,2−ジメチル−1,3−ベンゾジオキソール−4−イル−メチルカルバメート)、
カルバリル(1−ナフチル N−メチルカルバメート、
イソプロカルブ: 2−(1−メチルエチル)フェニル メチルカルバメート、
カルボスルファン: 2,3 ジヒドロ−2,2−ジメチル−7−ベンゾフラニル[(ジブチルアミノ)チオ]メチル−カルバメート、
フェノキシカルブ: エチル[2−(4−フェノキシフェノキシ)エチル]カルバメート、
インドキサカルブ: メチル−7−クロロ−22,3,4°,5−テトラヒドロ−2−[メトキシカルボニル (−4−トリフルオロメトキシフェニル)]
プロポキスル: 2−イソプロピルオキシフェノール メチルカルバメート、
ピリミカルブ: 2−ジメチルアミノ−5,6−ジメチル−4−ピリミジニル−ジメチルカルバメート、
チオジオカルブ: ジメチル N,N’(チオビス((メチルイミノ)カルボノイルオキシ)ビスエタンイミジオチオエート)、
メトミル: S−メチル N−((メチルカルバモイル)オキシ)チオアセトアミデート、
エチオフェンカルブ: 2−((エチルチオ)メチル)フェニル メチルカルバメート、
フェノチオカルブ: S−(4−フェノキシブチル)−N,N−ジメチル チオカルバメート、
カルタップ: S,S’−(2−5 ジメチルアミノ)トリメチレン)ビス(チオカルバメート)ヒドロクロライド、
フェノブカルブ: 2−sec−ブチルフェニルメチル カルバメート、
XMC: 3,5−ジメチルフェニル−メチル カルバメート、
キシリルカルブ:3,4−ジメチルフェニルメチルカルバメート;
有機リン化合物、例えば、
トリクロルホン: リン酸、 (2,2,2−トリクロロ−1−ヒドロキシエチル)−, ジメチル エステル、
フェニトロチオン: O,O−ジメチル O−(4−ニトロ−m−トリル)ホスホロチオエート、
ダイアジノン: O,O−ジエチル−O−(2−イソプロピル−6−メチル−4−ピリミジニル)ホスホロチオエート、
ピリダフェンチオン: O−(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−1−フェニルピラジジン−3−イル) O,O−ジエチル ホスホロチオエート、
ピリミホス−エチル: O,O−ジエチル O−(2−(ジエチルアミノ)6−メチル−ピリミジニル)ホスホロチオエート、
ピリミホス−メチル: O−[2−(ジエチルアミノ)−6−メチル−4 ピリミジニル] O,O−ジメチル ホスホロチオエート、
エトリムホス: O−6−エトキシ−2−エチル−ピリミジン−4−イル−O,O−ジメチル−ホスホロチオエート、
フェンチオン: O,O−ジメチル−O−[−3−メチル−4−(メチルチオ)フェニル ホスホロチオエート、
ホキシム: 2−(ジエトキシホスフィノトイルオキシイミノ)−2−フェニルアセトニトリル、
クロルピリホス: O,O−ジエチル−O−(3,5,6−トリクロロ−2−ピリニル)ホスホロチオエート、
クロルピリホスメチル: O,O−ジメチル O−(3,5,6−トリクロロ−2−ピリジニル)ホスホロチオエート、
シアノホス: O,O−ジメチル O−(4 シアノフェニル)ホスホロチオエート、
ピラクロホス: (R,S)[4−クロロフェニル)−ピラゾール−4−イル]−O−エチル−S−n−プロピル ホスホロチオエート、
アセフェート: O, S−ジメチル アセチルホスホロアミドチオエート、
アザメチホス: S−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−オキソ−1,3−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−3−イルメチル ホスホロチオエート、
マラチオン: ジエチル メルカプトスクシネートのO,O−ジメチル ホスホロジチオエート エステル、
テメホス: (O,O’(チオジ−4−1−フェニレン) O,O,O,O−テトラメチル ホスホロジチオエート、
ジメトエート: ((O,O−ジメチル S−(n−メチルカルバモイルエチル)ホスホロジチオエート、
ホルモチオン: S[2−ホルミルメチルアミノ]−2−オキソエチル]−O,O−ジメチル ホスホロジチオエート、
フェントエート: O,O−ジメチル S−(アルファ−エトキシカルボニルベンザル)−ホスホロジチオエート;
ヨードフェンホス: O−(2,5−ジクロロ−4−ヨードフェニル)−O,O−ジメチル−ホスホロチオエート
成虫の蚊を防除する効果を有する殺虫剤、例えば、
1−(アルファ−(クロロ−アルファ−シクロプロピルベンジリデンアミノ−オキシ)−p−トリル)−3−(2,6−ジフルオロベンゾイル)尿素、
ジフルベンズロン: N−(((3,5−ジクロロ−4−(1,1,2,2−テトラフロウロエトキシ)フェニルアミノ)カルボニル)2,6 ジフルオロ ベンズアミド、
トリフルムロン: 2−クロロ−N−(((4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−アミノ−)カルボニル)ベンズアミド、 またはトリアジン、例えば、N−シクロプロピル−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン。
【0076】
忌避剤は、N,N−ジエチル−メタ−トルアミド(DEET)、N,N−ジエチルフェニルアセトアミド(DEPA)、1−(3−シクロヘキサン−1−イル−カルボニル)−2−メチルピペリン、(2−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)酢酸ラクトン、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、インダロン、メチルネオデカンアミド(MNDA)、昆虫制御のために使用されないピレスロイド、例えば、{(+/−)−3−アリル−2−メチル−4−オキソシクロペンテ−2−(+)−エニル−(+)−trans−クリサンテメート(エスビオトリン)、リモネン、オイゲノール、(+)−オイカマロル(1),(−)−1−エピ−オイカマロルのような植物抽出物またはユーカリプツスマクラータ(Eucalyptus maculata)、ハマゴウ(Vitex rotundifolia)、シムボポガンマルチニ(Cymbopogan martinii)、シムボポガンシトラツス(Cymbopogan citratus)(レモングラス)、シモポガンナルトヅス(Cymopogan nartdus)(シトロネラソウ)のような植物からの粗植物抽出物またはそれに由来する忌避剤、IR3535(エチル ブチルアセチルアミノプロピオネート)、イカリジン(1−ピペリジン−カルボン酸 2−(2−ヒドロキシエチル)−1−メチルプロピルエステル)から選択されることが好ましい。
【0077】
好適な殺菌剤は、例えば、
アゾール、例えば、ビテルタノール(Bitertanol)、ブロモコナゾール(Bromoconazole)、シプロコナゾール(Cyproconazole)、ジフェノコナゾール(Difenoconazole)、ジニトロコナゾール(Dinitroconazole)、エポキシコナゾール(Epoxiconazole)、フェンブコナゾール(Fenbuconazole)、フルキコナゾール(Fluquiconazole)、フルシラゾール(Flusilazole)、フルトリアホール(Flutriafol)、ヘキサコナゾール(Hexaconazole)、イマザリル(Imazalil)、イプコナゾール(Ipconazole)、メトコナゾール(Metconazole)、ミクロブタニル(Myclobutanil)、ペンコナゾール(Penconazole)、
プロピコナゾール(Propiconazole)、プロクロラズ(Prochloraz)、プロチオコナゾール(Prothioconazole)、シメコナゾール(Simeconazole)、テブコナゾール テトラ−コナゾール(Tebuconazole Tetra−conazol)、トリアジメホン(Triadimefon)、トリアジメノール(Triadimenol)、トリフルミゾール(Triflumizol)、トリチコナゾール(Triticonazol);
ストロビルリン(Strobilurines)、例えば、アゾキシストロビン(Azoxystrobin)、ジモキシストロビン(Dimoxystrobin)、フルオキサストロビン(Fluoxastrobin)、クレソキシム−メチル(Kresoxim−methyl)、メトミノストロビン(Metominostrobin)、オリサストロビン(Orysastrobin)、ピコキシストロビン(Picoxystrobin)、ピラクロストロビン(Pyraclostrobin)およびトリフロキシストロビン(Trifloxystrobin);
アシルアラニン(Acylalanines)、例えば、ベナラキシル(Benalaxyl)、メタラキシル(Metalaxyl)、メフェノキサム(Mefenoxam)、オフレース(Ofurace)、オキサジキシル(Oxadixyl);
アミン誘導体、例えば、アルジモルフ(Aldimorph)、ドジン(Dodine)、ドデモルフ(Dodemorph)、フェンプロピモルフ(Fenpropimorph)、フェンプロピジン(Fenpropidin)、グアザチン(Guazatine)、イミノクタジン(Iminoctadine)、スピロキサミン(Spiroxamin)、トリデモルフ(Tridemorph);
アニリノピリミジン、例えば、ピリメタニル(Pyrimethanil)、メパニピリム(Mepanipyrim)、シプロジニル(Cyprodinil);
ジカルボキシイミド、例えば、イプロジオン(Iprodion)、ミクロゾリン(Myclozolin)、プロシミドン(Procymidon)、ビンクロゾリン(Vinclozolin);
桂皮酸アミドおよび誘導体、例えば、ジメトモルフ(Dimethomorph)、フルメトバー(Flumetover)、フルモルフ(Flumorph);
シクロヘキシミド(Cycloheximide)、グリセオフルビン(Griseofulvin)、カスガマイシン(Kasugamycin)、ナタマイシン(Natamycin)、ポリオキシン(Polyoxin)、ストレプトマイシン(Streptomycine)のような抗生物質;
ジチオカルバメート、例えば、フェルバム(Ferbam)、ナバム(Nabam)、マネブ(Maneb)、マンコゼブ(Mancozeb)、メタム(Metam)、メチラム(Metiram)、プロピネブ(Propineb)、ポリカルバメート(Polycarbamat),チラム(Thiram)、ジラム(Ziram)、ジネブ(Zineb);
複素環式化合物、例えば、アニラジン(Anilazin)、ベノミル(Benomyl)、ボスカリド(Boscalid)、カルベンダジム(Carbendazim)、カルボキシン(Carboxin)、オキシカルボキシン(Oxycarboxin)、シアゾファミド(Cyazofamid)、ダゾメット(Dazomet)、ジチアノン(Dithianon)、ファモキサドン(Famoxadon)、フェナミドン(Fenamidon)、フェナリモル(Fenarimol)、フベリダゾール(Fuberidazol)、フルトラニル(Flutolanil)、フラメトピル(Furametpyr)、イソプロチオラン(Isoprothiolan)、メプロニル(Mepronil)、ヌアリモル(Nuarimol)、ピコベンズアミド(Picobenzamid)、プロベナゾール(Probenazol)、プロキナジド(Proquinazid)、ピリフェノックス(Pyrifenox)、ピロキロン(Pyroquilon)、キノキシフェン(Quinoxyfen)、シルチオファム(Silthiofam)、チアベンダゾール(Thiabendazol)、チフルザミド(Thifluzamid)、チオファネート−メチル(Thiophanat−methyl)、チアジニル(Tiadinil)、トリシクラゾール(Tricyclazol)、トリホリン(Triforine)、M アノルガニカ(M Anorganika);
ニトロフェニル誘導体、例えば、ビナパクリル(Binapacryl)、ジノカップ(Dinocap)、ジノブトン(Dinobuton)、ニトロフタル−イソプロピル(Nitrophthal−isopropyl);
フェニルピロール、例えば、フェンピクロニル(Fenpiclonil)、フルジオキソニル(Fludioxonil);
スルフェン酸誘導体、例えば、キャプタホール(Captafol)、キャプタン(Captan)、ジクロフルアニド(Dichlofluanid)、ホルペット(Folpet)、トリルフルアニド(Tolylfluanid);
その他殺菌剤、例えば、アシベンゾラール−S−メチル(Acibenzolar−S−methyl)、ベンチアバリカルブ(Benthiavalicarb)、カルプロパミド(Carpropamid)、クロロタロニル(Chlorothalonil)、シフルフェナミド(Cyflufenamid)、シモキサニル(Cymoxanil)、ダゾメット(Dazomet)、ジクロメジン(Diclomezin)、ジクロシメット(Diclocymet)、ジクロフルアニド(Diclofluanid)、ジエトフェンカルブ(Diethofencarb)、エジフェンホス(Edifenphos)、エタボキサム(Ethaboxam)、フェンヘキサミド(Fenhexamid)、フェンチン−アセテート(Fentin−Acetat)、フェノキサニル(Fenoxanil)、フェリムゾン(Ferimzone)、フルアジナム(Fluazinam)、ホゼチル(Fosetyl)、ホゼチル−アルミニウム(Fosetyl−Aluminium)、リン酸(Phosphoric Acid)、イプロバリカルブ(Iprovalicarb)、ヘキサクロロベンゼン(Hexachlorbenzene)、メトラフェノン(Metrafenon)、ペンシクロン(Pencycuron)、プロパモカルブ(Propamocarb)、フタリド(Phthalid)、トロクロホス−メチル(Toloclofos− methyl)、キントゼン(Quintozene)、ゾキサミド(Zoxamid)。
【0078】
本発明の農薬組成物の好適な殺虫剤および/または忌避剤は、1または混合物であり得る。農薬の好適な混合物は、同様の拡散/移動特性を有する殺虫剤および/または忌避剤の混合物である。この殺虫剤および/または忌避剤の群は、合成ピレスロイド、例えば、アルファシペルメトリン、シフルトリン、デルタメトリン、エトフェンプロックスおよびペルメトリン、他のピレスロイド、例えばビフェントリン、並びにピレスロイドではない、例えばクロルフェナピルを含み得る。
【0079】
仕上げ
本発明による用語「仕上げ」は、殺虫剤混合物によるネットのあらゆる種類の処理を意味し、この処理を用いることで、ネットの表面または中に混合物の均一な分布が達成される。これに関連して、均一は、特定の殺虫剤の濃度が領域におけるいずれの点でも本質的に同じであることを意味する。
【0080】
1つの実施形態では、仕上げは、ネットまたは、好適には、ネットを製造する単一繊維(モノフィラメント)もしくは多重繊維(マルチフィラメント)もしくは繊維(ファイバー)を、結合剤と一緒に殺虫剤混合物により塗布することにより実施される(変形A)。
【0081】
さらなる実施形態では、仕上げは、殺虫剤混合物をポリマーに混合し、ポリマーおよび殺虫剤混合物を共押出することにより実施され、単一繊維を得て、この繊維を加工処理して、本発明によるネットを得る(変形B)。
【0082】
殺虫剤混合物を含む結合剤により塗布することによる仕上げ(変形A)
結合剤の機能は殺虫剤混合物を、ネットを製造する単一繊維もしくは多重繊維もしくは繊維上、または完成したネット上に(「塗布工程の最後」)固定することである(以下、ネットに関して記載される)。これが達成された結果、活性化合物は浸出できなくなるか、または少なくとも非常にゆっくりとなる。
【0083】
高分子結合剤は原則として、結合剤が殺虫剤混合物を特に繊維製品に固定することができることを条件として、どんな結合剤の形態をもとり得る。それ故に、好適な結合剤は、繊維製品の仕上げおよびその塗布の分野において既知のものである。もちろん、複数の異なる結合剤の混合物を使用することもできる。
【0084】
実例は、(メタ)アクリレート、またはポリウレタン、ポリイソシアヌレートまたはワックス、例えばポリエチレンワックスを含むホモ−またはコポリマーを含む。
【0085】
例えば、結合剤は、エチレン性不飽和モノマー、好適には(メタ)アクリレート、特に(メタ)アクリル酸のC〜C12エステル、架橋基を有する(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、マレイン酸もしくはマレイン酸エステル、アクリロニトリル、スチレン、ビニルアセテート、ビニルアルコール、エチレン、プロピレン、アリルアルコールまたはビニルクロライドからなる群より選択される少なくとも1のモノマーを重合することにより得ることができる結合剤であり得る。
【0086】
本発明の好適な実施形態では、結合剤はモノマーとして50〜95重量%の少なくとも1の一般式HC=CHR−COOR(式中、RはHまたはメチルであり、Rは1〜12の炭素原子、好適には2〜10の炭素原子を有する脂肪族で直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基である)の(メタ)アクリレート(A)を含むエチレン性不飽和モノマーのコポリマーである。Rは好適にはHである。好適な基Rの例は、特にメチル、エチル、n-ブチルまたは2-エチルヘキシル基を含み、エチル、n-ブチルまたは2-エチルヘキシル基が好ましい。さらに、コポリマーは1〜20重量%の(メタ)アクリル酸または追加の官能基を有する(メタ)アクリル酸誘導体(B)を含む。これは特に(メタ)アクリル酸エステルおよび/または(メタ)アクリルアミドの形態をとり得る。官能基は結合剤をネットに結合するのに役立ち、更に架橋するために使用することができる。例えば、ω-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル、例えばグリシジルエステルなど、(メタ)アクリルアミドまたはそれらの誘導体、例えば式HC=CH(CH)−CO−NH−CH−OHの(メタ)アクリル酸メチロールアミドなどの形態をとり得る。同時に、AおよびBとは異なり、エチレン性不飽和、好適にはモノエチレン性不飽和の追加のモノマー(C)、例えばアクリロニトリルまたはスチレンを用いることも可能である。一般に、追加のモノマーの量は0〜30重量%である。特に好適には、70〜90重量%の式HC=CH−COOR(式中、Rは4〜8のC原子を含み、n-ブチルおよび/または2-エチルヘキシルが好ましい)のアクリル酸エステル、更に10〜20重量%のアクリロニトリル、1〜10重量%の(メタ)アクリル酸または官能基を有する(メタ)アクリル酸誘導体、特に(メタ)アクリル酸メチロールアミドを含む結合剤である。
【0087】
上記の好適な結合剤は、好適には当業者により知られる方法、好適には乳化重合により製造することができる。アクリレート結合剤が好ましく、特にコポリマーは、構成成分B1〜B4および場合によりB5の乳化重合により入手することができる。
【0088】
構成成分B1としては、1またはそれ以上の、好適には1、2または3の、特に好適には1の式(I)の(メタ)アクリレートを使用する。
【化1】
【0089】
上の式の記号は次の意味を示す。
【0090】
はHまたはCHであり、Hが好ましく、
はC−C10−アルキルであり、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、i−アミル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニルまたはn−デシルが好ましく、メチル、エチル、n−ブチルまたは2−エチルヘキシルが特に好ましく、エチル、n−ブチルまたは2−エチルヘキシルが極めて特に好ましい。
【0091】
構成成分B1として、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートおよびメチルメタクリレートが好ましい。さらには、ブチルアクリレート単独またはメチルメタクリレートまたはエチルアクリレートとの混合物が好ましい。特にn−ブチルアクリレートが好ましい。
【0092】
構成成分B2として用いる物質は、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N’−ビス−メチロールマレイン酸ジアミド、およびN,N’−ビスメチロールフマル酸ジアミドからなる群の少なくとも1のモノマーである。
【0093】
N−メチロールアクリルアミドおよびN−メチロールメタクリルアミド、特にN−メチロールメタクリルアミドが好ましい。
【0094】
構成成分B3として用いる物質は、1またはそれ以上のモノマーであり、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルスルホン酸、マレイン酸、およびフマル酸からなる群より選択される1または2のモノマーが好ましい。アクリル酸およびメタクリル酸が好ましく、アクリル酸が特に好ましい。
【0095】
構成成分B4として用いる物質は、1またはそれ以上のモノマーであり、群B4Aおよび/またはB4Bから選択される1または2のモノマーが好ましい。
【0096】
群B4Aのモノマーは式(II)および/または(III)のモノマーで、並びに、例えば欧州特許出願公開第0346734号に記載された(メタ)アクリル酸修飾ベンゾフェノンである。
【化2】
【0097】
式中、記号は次の意味を示す。
【0098】
はHまたはCHであり、Hが好ましく、
XはZ、−CO−NH−CH−NH−CO−CR=CHまたはCOO−CH−CO−CH−COORであり、Zが好ましく、
ZはCONH、CONH−CH−OR、COO−Y−OH、COO−グリシジル、CHO、CO−Y−OHと等しく、CONHが好ましく、
YはC−C−アルキレンであり、C−C−アルキレンが好ましく、
、Rは同じであるかまたは異なり、直鎖状または分岐鎖状C−C10−アルキル基である。
【0099】
群B4Aのモノマーとしては、アセトアセチルアクリレート、アセトアセチルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸ジアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート、6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルアクリレート、3−ヒドロキシ−3−クロロプロピルメタクリレート、グリシジルアクリレートおよびグリシジルメタクリレートが好ましい。特にアクリルアミド、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ブタンジオールモノアクリレートアセチルアセテート、グリシジルメタクリレート、および4−アクリルオキシベンゾフェノンが好ましい。
【0100】
群B4Bからモノマーとして用いる物質は、アリルアクリレート、メタリルアクリレート、アリルメタクリレート、メタリルメタクリレート、ジアリルマレエート、ジメチルアリルマレエート、アリルフマレート、メタリルフマレート、ジアリルフタレート、ジメチルアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ジメタリルテレフタレート、p−ジビニルベンゼン、ブタン−1,4−ジオールジアリルエーテルおよびブタン−1,4−ジオールジメチルアリルエーテルである。
【0101】
群B4のモノマーは、群B4Aのモノマーが好ましく、この群からの1または2のモノマーの使用が好ましい。
【0102】
群B5のモノマーは、群B5Aのモノマー、更には群B5Bのビニル芳香族モノマーが好ましい。
【0103】
構成成分B5Aとしては、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを用いることが好ましく、アクリロニトリルが好ましい。
【0104】
構成成分B5Bとしては、スチレンおよびα−メチルスチレンが好ましく、特にスチレンが好ましい。
【0105】
好適な実施形態では、アクリロニトリルを構成成分B5のモノマーとしてアクリレート結合剤の製造に用いる。
【0106】
アクリレート結合剤(B)は、下記b1)〜b5)の乳化重合により入手できる(重量%のデータはそれぞれの場合においてBの全量に基づいている)。
【0107】
b1) 20〜93重量%、好適には50〜90重量%、特に好適には60〜90重量%、特には75〜85重量%の構成成分B1;
b2) 1〜5重量%、好適には1.5〜3重量%の構成成分B2;
b3) 0.2〜5重量%、好適には0.5〜4重量%、特に好適には0.75〜4重量%、特には1〜3重量%の構成成分B3;
b4) 0〜7重量%、好適には0〜5重量%、特に好適には0〜4.5重量%、特には0または0.2〜4.5重量%の構成成分B4および
b5) 0〜40重量%、好適には5〜40重量%、特に好適には5〜30重量%、特には0または5〜26重量%の構成成分B5。
【0108】
好適な方法は当業者により知られており、例えば国際公開第2005/064072号(20頁20行目〜23頁15行目)に記載されている。
【0109】
得られる非架橋乳化ポリマーの重量平均分子量は一般に(GPC(ゲル透過クロマトグラフィー)により決定して)40000〜250000である。分子量は一般に連鎖停止剤、例えば有機硫黄化合物を通常の量使用することにより調節される。
【0110】
一般にアクリレート結合剤は水性分散液の形態で得ることが特に好ましく、普通は本発明による殺虫製剤の形態で使用する。
【0111】
好適なアクリレート結合剤は当業者に知られている通常の添加剤、例えば、塗膜形成剤および/または可塑剤、例えばアジペート、フタレート、ブチルジグリコール、ジカルボン酸と直鎖状または分岐鎖状アルコールを反応することにより得ることができるジエステルの混合物を更に含むことができる。好適なジカルボン酸およびアルコールは当業者により知られている。
【0112】
上記結合剤とは別に、好適な他のものは、シリコーンオイルおよびシリコーンワックス、ポリシロキサン、フッ化炭化水素基を有する樹脂、メラミン/ホルムアルデヒド縮合物、メチロールウレア誘導体並びに硬化性ポリエステルがあり、シリコーンオイルが好ましい。
【0113】
一般に好適なシリコーンオイルおよびシリコーンワックスは直鎖状または環状ポリオルガノシロキサンの形態をとり、ポリアルキル−および/またはポリフェニルシロキサンが好ましく、アルキルは例えばメチル、エチル、プロピルまたはオクチルがあり、メチルが好ましい。特に、ポリジメチルシロキサン、ポリ(メチルフェニルシロキサン)およびそれらのメチル基の一部をより長鎖のアルキル基に置換した対応する化合物が好ましい。分子量は1000〜150000が好ましい。場合により、シリコーンオイルおよび特にシリコーンワックスは、粘度調整剤、例えばステアリン酸リチウムのような金属石鹸、高分散性シリカ、PTFE、窒化ホウ素またはウレアを含み得ることで、ペースト状または脂肪状の粘度を得る。
【0114】
本発明によるネット、特に網の製造には、結合剤は溶媒中での製剤の形態で使用しても良く、水性製剤として用いるのが好ましい。しかしながら、本発明には溶媒のない製剤の使用も含む。
【0115】
好適な実施形態では、使用される水性製剤は55〜99重量%の水、好適には85〜98重量%の水および1〜45重量%、好適には2〜15重量%の固形分を含む(与えられた重量%値はそれぞれの場合において製剤中の全構成成分の全量に基づく)。正確な濃度はまた、繊維基材の吸着性にも依存する。
【0116】
固形分は少なくとも1の結合剤、殺虫剤混合物、場合により少なくとも1の架橋剤および場合により追加の構成成分の形態をとる。
【0117】
少なくとも1の水分散性架橋剤を用いることが好ましい。特に、好適なアクリレート結合剤の場合は、これは遊離のイソシアネート基を有する架橋剤の形態をとる事が好ましい場合がある。これらは、遊離のイソシアネート基を有するイソシアヌレート、好適には4〜12の炭素原子を有する脂肪族、脂環式または芳香族ジイソシアネート由来のイソシアヌレートの形態をとる事が好ましい場合がある。例には、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカンジイソシアネート、2,2’−および2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートまたは2,4−トリルジイソシアネートを含む。1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートに基づくイソシアヌレートが好ましい。特にポリエチレンオキシド基のような追加の親水性基を有するイソシアヌレートが特に好ましい。このようなイソシアヌレートの製造は当業者により知られている。これらは例えばエチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートのような極性非プロトン性溶媒中の溶液として使用するのが好ましい。イソシアネート基を有する好適な架橋剤に関する更なる詳細は、国際公開第2008/052913号の34頁6行目〜35頁3行目に記載されている。特に1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)に基づく、追加のポリエチレンオキシド基を有するイソシアヌレートであって、プロピレンカーボネート中に溶解した該イソシアヌレート(プロピレンカーボネート中に70重量%のHMDI)を用いるのが好ましい。遊離のイソシアネート基は、溶液に基づき約11〜12重量%である。架橋剤は、製剤の全固形分量に基づき1〜10重量%の量を用いることが好ましい。イソシアヌレートに基づく架橋剤は、特に上記コポリマーを架橋するのに適している。
【0118】
製剤は典型的な添加剤および助剤、UV安定剤並びに着色剤を更に含み得る。これらの添加剤の例は、国際公開第2008/052913号の35頁17行目〜37頁5行目に記載されている。
【0119】
架橋剤および増粘剤は、湿らす事が難しいために不均一になってしまう可能性がある、例えばポリオレフィン繊維のようなネットの処理溶液による均一塗布を可能にするために使用され得る。この目的のためには、水混和性溶媒を使用することもできるが、環境に悪影響を与えるために好ましくない。当業者は慣習的に使用される助剤およびその濃度について熟知している。
【0120】
製剤は、抗酸化剤、過酸化物捕捉剤、UV吸収剤および光安定剤を含むことが好ましい場合がある。これは、野外や温室中で増加するUV照射にさらされるネットの場合に特に推奨される。上記添加剤は放射線による分解から基材となる繊維だけでなく、活性成分も保護する。
【0121】
好適なUV吸収剤は、例えば国際公開第02/46503号または国際公開第2007/077101号に記載されている。第一にUV吸収剤は仕上げのために製剤中に成分として使用しても良く、第二に、それらは、例えばポリオレフィンおよびポリエステルの場合のように、繊維を製造する間のような早期に組み込んでも良い。また、異なる保護効果を有する複数の安定剤の混合物を使用することも有利な可能性がある。一般に、未処理のネットの重量に基づき、0.2〜5重量%、好適には0.25〜4重量%、極めて特に好適には0.5〜3.5重量%の安定剤が使用される。製剤中の量は当業者により適宜調整される。
【0122】
殺虫剤混合物を単一繊維中に組み込むことによる変形Bによる仕上げ
本発明の更なる実施形態では、仕上げは、本発明による混合物を、例えば本発明によるネットを構成するまたはネットに含まれる繊維を得るために処理される単一繊維中に直接組み込むことにより実施される。この変形におけるネットは網が好ましい。
【0123】
本発明による混合物を組み込むことができる単一繊維にとって好適なポリマー材料は、熱可塑性ポリマーであり、オレフィン性不飽和モノマーに基づく熱可塑性ポリマー、例えば、ポリオレフィン、ポリビニルクロライド、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリレート、他にも、ポリエステルおよびポリカーボネート、並びに場合により上記ポリマーの互いの、または熱可塑性エラストマーとの混合物が好ましい。特に、ポリエチレン、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)、例えば直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)および高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレンと少なくとも3つの炭素原子を有するアルファ−オレフィンのコポリマーのようなポリエチレン樹脂、ポリプロピレンホモポリマー、プロピレンと4およびそれ以上の炭素原子を有するアルファ−オレフィンのランダムコポリマーおよびブロックコポリマー、エチレンと不飽和カルボン酸化合物とのコポリマー、例えば、ポリ(エチレン/メチルメタクリレート)、ポリ(エチレン/ビニルアセテート)またはポリ(エチレン/アクリル酸)、並びにこのようなポリマーとコポリマーの混合物が好ましい。熱可塑性エラストマーの例には、オレフィン−およびスチレンベースの熱可塑性エラストマーを含む。主な構成成分としてエチレンまたはプロピレンを有するコポリマーが好ましく、他にもポリスチレンおよびポリイソプレンおよび/またはポリブタジエンブロックを含むブロックコポリマー、並びにこのようなコポリマーの水素化誘導体がある。
【0124】
熱可塑性ポリマーマトリックス中に本発明による殺虫剤混合物を含む単一繊維の製造のために、殺虫剤混合物およびポリマーは、溶融混練により混合され得る。また、始めに、殺虫剤混合物およびポリマーの適量を溶融混練することによりマスターバッチを製造することも可能であり、その後マスターバッチを追加量のポリマーと溶融混練により目的の濃度に希釈する。マスターバッチ法を使用する場合は、マスターバッチおよびその後の希釈に異なるポリマーを使用することも可能であり、例えばマスターバッチにLLDPEを、マスターバッチの希釈にHDPEを使用することも可能である。
【0125】
本発明によるポリマーおよび殺虫剤混合物の他に、ポリマー組成物は、場合により、好適には、タルク、カオリン、ローム、微細粉末状SiO、カーボンおよびデキストリンの群からの粉末状担体物質を含む。粉末状担体物質は、存在するのであれば、0.01〜10重量%が好ましい。粉末状担体物質は殺虫剤混合物およびポリマーと溶融混練により混合することができるが、始めに殺虫剤混合物および粉末状物質を混合し、その後この混合物とポリマーを、例えば溶融混練により混合することが好ましい。特に粉末状物質および殺虫剤混合物の混合物をマスターバッチを製造するのに用いることが好ましい。
【0126】
ポリマー、殺虫剤混合物および場合により粉末状担体の他に、ポリマー組成物は場合により顔料、抗酸化剤、潤滑剤などのような熱可塑性成形材料に対する通例の添加物を含む。
【0127】
本発明のこれらの実施形態によるフィラメントを製造するために、混合物を、例えばポリマー、殺虫剤混合物および、場合により追加の添加剤の溶融混練により、好適には高い温度で製造し、その混合物を押出し、押出物をペレット状になるように加工処理する。このようなペレットは押出法による溶融紡糸により、延伸することができ、本発明によるネットを例えばラッセル法により織ることのできるフィラメントが得られる。
【0128】
本発明のこの実施形態のためのネットの材料およびその製造の詳細は例えば国際公開第2008/004711号に記載されている。
【0129】
ネット(網)
好適なネットの例は繊維製品、非繊維プラスチック製品、紙、革、合成皮革、フィルムおよび他の、好適には柔軟性に富んだ製品である。
【0130】
使用するネットは繊維製品の形態をとることが好ましい。これらは天然繊維または合成繊維のネットの形態をとることができる。もちろん、これらはまた、2またはそれ以上の異なる繊維の混合物の形態をとることができる。天然繊維の例には、綿繊維、ジュート繊維または麻繊維を含む。これらは、好適なポリマー製の合成繊維の形態をとることが好ましい。例にはポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリルまたはポリオレフィンを含む。好適には、それらは、ポリアミド、ポリオレフィンおよびポリエステル、特に好適には、ポリオレフィン、特にはポリプロピレンまたはポリエチレン、およびポリエステルの形態をとる。極めて特に好適にはポリエステル繊維であり、特にポリエチレンテレフタレート(PET)である。
【0131】
繊維は単一繊維、オリゴ繊維または多重繊維の形態をとっても良く、滑らかであって、テキスチャード加工していても良い。
【0132】
ポリプロピレンおよびポリエチレンは、ポリプロピレンまたはポリエチレンホモポリマーの形態をとり得る。しかしながら、それらはまた、エチレンまたはプロピレンの他に、少量の他のコモノマーを含むコポリマーの形態をもとり得る。好適なコモノマーは、特に、他のオレフィン、例えば、エチレンまたはプロピレンおよびブテ−1−エン、ブテ−2−エン、イソブテン、ペンテ−1−エン、ヘキセ−1−エン、ヘプテ−1−エン、オクテ−1−エン、スチレンまたはα−メチルスチレン、ジエンおよび/またはポリエンの形態をとり得る。一般に、ポリエチレンまたはポリプロピレン中のコモノマーは、20重量%以下であり、10重量%以下が好ましい。コモノマーの種類および量は目的とする繊維特性に従い当業者により選択される。
【0133】
繊維製造にとって特に好適である製品は、比較的高分子量の粘性のある製品であり、それは、慣例的に(ISO 1133に従い決定される)メルトフローインデックスにより評価される。それらは、0.1〜60g/10分のメルトフローインデックスMFR(230℃、2.16kg)を有する少なくとも1のポリプロピレンまたはポリエチレンの形態をとることが好ましい場合がある。それらは、1〜50g/10分の、特に好適には10〜45g/10分の、例えば30〜40g/10分のメルトフローインデックスMFR(230℃、2.16kg)を有するポリプロピレンの形態をとることが好ましい。ポリプロピレンのこのような種類は、繊維の製造に特に適している。もちろん、複数の異なる種類のポリプロピレンの混合物もまた使用され得る。
【0134】
ネットの種類により、繊維布には0.05〜0.6mmの太さがあり、0.1mm〜0.4mmが好ましく、0.12〜0.35mmが特に好ましく、0.2〜0.3mmが極めて特に好ましい。
【0135】
ネットは、偶数個の角があるメッシュパターンを有することが好ましい。これに関連して、ネットはある1種類のメッシュのみ、例えば四角形のメッシュのみからなるか、もしくは六角形のメッシュのみからなるのが好ましい場合があり、または、それらはまた、2またはそれ以上の種類の異なるメッシュ、例えば八角形と四角形のメッシュの組み合わせを含み得る。
【0136】
これに関連して、ネットのメッシュは好適には実質上同じ種類であるべきであり、すなわち、ネットは実際にはメッシュの形状やサイズの点で小さな偏差を示し得るが、その値は平均値周辺において過度には変化しない。
【0137】
好適なメッシュサイズ(四角形のメッシュの一辺の長さ)は、上限の5mm、好適には2.5mm、特には1.5mmから、下限の0.1mm、好適には0.25mm、特に好適には0.5mm、特には0.7mmまでの範囲である。
【0138】
ネットのメッシュは四角形、六角形または八角形のメッシュの群から選択することが好ましい。
【0139】
四角形のメッシュは、一辺がaとbである平行四辺形の形状のメッシュの形態をとる。本来、用語「平行四辺形」はまた、用語「長方形」および「正方形」を含む。平行四辺形の二辺の間の小さい方の角度は一般に60〜90°である。90°の境界においては、平行四辺形は長方形の形態をとる。a=bであり90°の境界においては、それは正方形の形態をとる。更に、平行四辺形は高さhを有する。長方形または正方形の場合には、高さhは辺aの長さに相当する。正方形のメッシュが特に好ましい。
【0140】
六角形のメッシュの場合には、お互いにそれぞれ平行である3対の辺a、bおよびcは、間隔h、hおよびhで配置される。八角形のメッシュの場合には、お互いにそれぞれ平行である4対の辺a、b、cおよびdは、間隔h、h、hおよびhで配置される。当業者は連続したパターンが八角形で作ることが出来ないことを理解している。それ故に、八角形のメッシュを含むネットは少なくとも1つの第2の種類のメッシュを更に含む。これらは四角形のメッシュの形態をとり得る。
【0141】
本発明の特定の実施形態では、平行四辺形、六角形および八角形の高さhは、0.1〜0.99mmであり、0.1〜0.9mmが好ましく、0.12〜0.8mmが特に好ましく、0.25〜0.7mmが極めて特に好ましい。
【0142】
平行四辺形では、長さと高さの比b/hは1:1〜5:1であり、1:1〜4:1が好ましく、2:1〜4:1が特に好ましい。それ故に、比b/hが1:1の場合、メッシュは0.1〜0.99mmの1辺の長さを有する正方形の形態をとり得る。より大きな比b/hの場合、それらは、一方向の軸に沿って伸長する構造体の形態をとる。0.99mm以下である間隔hにより、比較的小さい昆虫でさえも効果的にネットの通過を防ぎ、一方で長さは実際に0.99mmより大きくても良いので、ネットの通気性は過度に妨げられない。
【0143】
六角形の場合、比((h+h)/2)/hは1:1〜5:1であり、1:1〜4:1が好ましく、2:1〜4:1が特に好ましい。ここで、この状況は平行四辺形の場合と類似する。1:1の比では、3つの等しい辺を有する正六角形となり、それぞれがお互いから0.99mm以下の等しい間隔を有する。より大きな比((h+h)/2)/hでは、一方向の軸に沿って伸長する六角形となる。昆虫および空気の通過に関する効果は平行四辺形の場合と同じである。
【0144】
八角形の場合、比((h+h+h)/3)/hは1:1〜5:1であり、1:1〜4:1が好ましく、2:1〜4:1が特に好ましい。ここで、この比率は平行四辺形の場合と類似する。1:1の比では、4つの等しい辺を有する正八角形となり、それぞれがお互いから0.99mm以下の等しい間隔を有する。より大きな比((h+h+h)/3)/hでは、一方向の軸に沿って伸長する八角形となる。昆虫および空気の通過に関する効果は平行四辺形の場合と同じである。
【0145】
四角形および六角形のメッシュの他にも、本実施形態においては、例えば、四角形と八角形のメッシュの組み合わせを使用すること、または、ネットの一部のメッシュの形状およびサイズを変更することも可能である。例えば、ネットの縁をより高密度に編むこともでき、または、異なるポリマーから製造したより太い繊維をネットを安定化するためにある間隔で編み込んでも良い。
【0146】
用語「高さ」および「長さ」は、繊維、または塗布された繊維を考慮に入れないそれぞれのメッシュの開放空間に関する。同様に、本発明の目的における用語「メッシュサイズ」はメッシュの穴のサイズ、すなわち繊維、または塗布された繊維を考慮に入れないそれぞれのメッシュの開放空間を意味する。
【0147】
本発明のこの実施形態による繊維ネット製品は欧州特許出願08161456号に記載されている。
【0148】
本発明による繊維製品、特に本発明によるネットを製造するために使用する繊維の太さは、ネットの目的とする特性に従い当業者により選択される。一般に、繊維がより太くなるとネットの機械的安定性はそれだけ増すが、一方で、繊維被覆面積の割合と比較して開放空間の割合はメッシュサイズの減少に伴い減少する。一般に、繊維の太さは、ネットの開放空間がネットの少なくとも20%、好適には少なくとも40%、特には少なくとも50%となるようにすべきである。上記の種類のネットは市販されている。
【0149】
好適には、使用するネットは単一層のネットの形態をとることができる。しかしながら、それらはまた、スペーサーファブリックとして知られるものの形態をとっても良く、これは、2つのネットが個々の織糸によりお互いに結合されて2層を形成しているものである。
【0150】
本発明による保護構造体は、害虫の寄生に対し影響を受けやすい、植物、例えばコーヒー、乾燥果実、ココア、ナッツ、茶、穀物および香辛料(スパイス)から得られる食物や他の製品のような、いずれの種類の貯蔵貨物に対しても有用である。好適な実施形態では、それは、たばこ、たばこ梱またはその他のたばこ製品を保護することに使用される。それは、あらゆる種類のたばこ、例えばニコチアナロスチカ(Nicotiana rostica)およびニコチアナタバカム(Nicotiana tabacum)、特に、ダークたばこ(dark tobacco)、ブライトたばこ(bright tobacco)、バーレーたばこ(burley tobacco)、シェードたばこ(shade tobacco)およびペリック(Perique)から製造されたたばこを保護するために使用することができる。
【0151】
構造体は、たばこを、たばこの輸送および貯蔵中に遭うあらゆる種類の害虫から、特に昆虫、甲虫、ガおよびダニのような貯蔵害虫から保護するために有用である。
【0152】
このような害虫は、
タバコシバンムシ(Lasioderma serricorne)、タバコガ(tobacco moth)(チャマダラメイガ(Ephespha elutella))、ヒラタコクヌストモドキ(Tribolium confusum)、コクヌストモドキ(Tribolium castaneum)、ノコギリヒラタムシ(Oryzaephilus surinamensis)、チャイロコメゴミムシダマシ(Tenebrio molitor)、ガイマイゴミムシダマシ(Alphitobius diaperinus)、グラナリアコクゾウムシ(Sitophilus granarius)、キクイムシ(コナナガシンクイ(Rhyzopertha dominica))、コクゾウ(Sitophilus zeamais)、コクゾウムシ(ココクゾウ(Sitophi−lus oryzae))、バクガ(Sitotroga cerealella)、ノシメマダラメイガ(Plodia interpunctella)、ジンサンシバンムシ(Stegobium paniceum)、コクヌストモドキ(cadelle beetle)(コクヌスト(Tenebroides mauritanicus))、ロングヘッドフラワームシ(longheaded flour beetle)(ラテチカスオリザエ(Latheticus orizae))、コメノゴミムシダマシ(Tenebrio obscurus)、カツオブシムシ(dermestid beetles)、例えば:ヒメカツオブシムシ(black carpet beetle)、オビカツヲブシムシ(larder beetle)、ワードローブムシ(wardrobe beetle)、オッドムシ(odd beetle)、ハラジロカツオブシムシ(hide beetle)、キマダラカツオブシムシ(warehouse beetle)、ニセセマルヒョウホンムシ(spider beetles)、ゾウムシ(weevils)、特にマメゾウムシ(bean weevil)、穀物ダニ(grain mite)、ブラックフラワームシ(black flour beetle)、カクムネヒラタムシ(flat grain beetles)、ショウジョウバエ(fruit flies)、ショウジョウバエ(vinegar flies)、コクゾウムシ(rusty grain beetle)、コキノコムシ(hairy fungus beetle)、カクムネヒラタムシ(flat grain beetle)、ケシキスイ(sap beetles)、シバンムシ(deathwatch beetles)、ゴミムシダマシ(darkling beetles)、およびヒゲブトコキノコムシ(fungus beetles)を含む。
【0153】
本発明による構造体は、たばこ貯蔵における2つの主な害虫である、タバコシバンムシ(Lasioderma serricorne)およびタバコガ(tobacco moth)(チャマダラメイガ(Ephespha elutella))の制御のために特に有用である。
【0154】
本発明は以下の実施例によりさらに説明されるが、それにより発明が制限されることはない。
【実施例】
【0155】
図面の詳細な説明
図1aは、枠部分12を使用して構成された支持枠10の底面を示す。4つの示された枠部分12は、長方形の形状の枠を形成する。枠部分12は結合要素14により互いに結合される。好適な実施形態では、結合要素14はコーナーブラケット26として構成され、枠部分12は押出形材部品18により形成される。
【0156】
この説明では、連結要素は好適な手段により2つの部分を連結するまたは結合するための要素である。これらの手段は、ブラケット、クランプ、プレート、ボルト、ねじおよび/またはナットを含む。
【0157】
結合要素は、支持枠10の2つの枠部分12を結合するために適応される連結要素である。
【0158】
この説明における固定要素は、1部分を貯蔵所1の構造要素に任意の好適な手段により固定するための要素である。これらの手段は、ブラケット、クランプ、プレート、ボルト、ねじ、ナット、ホックおよび/またはリングを含む。
【0159】
この説明における結合要素は、2つの部分を連結要素により結合することができるようにその2つの部分の隙間を埋めるための要素である。好適な結合要素は、ロープ、鎖、ケーブル、桁、柱および/またはくいを含む。
【0160】
用語「固定要素」は、1部分を別の部分に固定するために適応される要素を示す。好適な固定要素は、ねじ、ナット、くぎおよび/またはにかわを含む。
【0161】
図1bは、図1aの支持枠の上面図を示す。示された実施形態では、6つの連結要素16が、上記支持枠を支持枠を吊るすための手段35に連結するために支持枠10上に準備される。備えられる連結要素16の数は、支持枠10の重さ、取り付けられるネット30の重さおよび貯蔵所1の壁/天井/床の積載許容量を含む多くの要因に依存して異なり得る。
【0162】
図1cは、支持枠10の別の好適な実施形態を示し、ここで、支持枠10は柔軟な枠部分12bと硬い部分12aを含む。3つの柔軟な枠部分12bはロープ19により形成され、強固な枠部分12aは押出形材部品18により形成される。異なる枠部分12を結合するための結合要素14は、ロープ19により形成される2つの柔軟な部分12bを結合する2つのリング29およびロープ19により形成される柔軟な枠部分12bを押出形材部品18により形成される強固な枠部分12aに連結するホック28を含む。
【0163】
本発明の支持枠10の更なる実施形態では、支持枠は3つの枠部分12を含み、三角形を形成する。
【0164】
本発明の支持枠10の更なる実施形態では、支持枠は1以上の湾曲型枠部分12を更に含む。
【0165】
本発明の別の実施形態では、支持枠10は、4つよりも多い枠部分12を含み、多角形の形状の支持枠を与える。
【0166】
図2aは、支持枠10の2つの枠部分12を結合するように構成された結合要素14の実施形態を示す。支持枠10の2つの示された枠部分12は、押出形材部品18により形成される。押出形材部品18は溝20を含み、2つのT溝ナット22を支えるのに適応される。コーナーブラケット26は2つの枠部分12上に配置され、ねじ24およびT溝ナット22を使用して押出形材部品18に固定される。支持枠10により囲まれた領域は、ねじ24をしめる前にコーナーブラケット26を溝20の1つに沿って動かすことにより調節することができる。
【0167】
図2bは、支持枠10の2つの枠部分12を結合するために使用される結合要素14の別の実施形態を示す。押出形材部品18は、4面上に溝20を含む枠部分12を形成する。押出形材部品18の1つは、第2の押出形材部品18に面する溝20において2つのT溝ナットで取り付けられる。第2の押出形材部品18は、1面ごとの2つの溝20において2つの固定要素23で取り付けられる。その後、固定要素23およびT溝ナットはねじ24を使用して結合される。
【0168】
図3aは、連結要素16および取り付けられるネット30を有する押出形材部品18の断面図を示す。押出形材部品18は、全ての4つの面上に溝20を含む。押出形材部品18の上面上の溝20は、T溝ナット22、ホック28、ナット25およびケーブル34を含む、連結要素16を支える。T溝ナット22は、押出形材部品18の溝20に差し込まれ、ホック28を支える。ナット25はホック28を固定する。ケーブル34は、糸結び、溶接、はんだ付け、クランピングまたは同様の手段によりホックに取り付けられる。ネット30は、枠部分12に、ネット30を圧縮クランプ32と一緒に溝20に差し込むことによって取り付けられ、固定される。ネット上の積載量が圧縮クランプ32の締付力を超えた場合は、圧縮クランプ32は枠部分12からネット30を解放し、したがって、簡単で有効な保護が、ネットが絡まった場合に構造崩壊から支持枠10を保護するために提供される。
【0169】
図3bは、単一の3次元ネットを取り付けた図3aの押出形材部品18を示す。押出形材部品18は、全ての4つの面上に溝20を含む。押出形材部品18の上面上の溝20は、T溝ナット22、ホック28、ナット25およびケーブル34を含む、連結要素16を支える。T溝ナット22は、押出形材部品18の溝20に差し込まれ、ホック28を支える。ナット25はホック28を固定する。ケーブル34は、糸結び、溶接、はんだ付け、クランピングまたは同様の手段によりホックに取り付けられる。単一の3次元ネット30は、枠部分12に、ネット30を圧縮クランプ32と一緒に溝20に差し込むことによって取り付けられ、固定される。3次元ネット30は貯蔵構造体の頂部および4つの面を覆う。
【0170】
図4a、bおよびcは、支持枠を吊るすための手段35の3つの異なる実施形態を示す。図4に示されるようなこれらの手段は、貯蔵所1の天井6に取り付けられるが、支持枠10を貯蔵所1の壁5から吊るすために使用することもできる。これらの実施形態のいずれが好適であるかは、貯蔵所1およびそこに使用される構造要素に依存する。手段35は本質的に3つの構成要素を含む。第1は、支持枠を吊るすための手段35を貯蔵所1の構造要素に取り付けるための好適な固定要素35aである。第2および第3の部分は、連結要素35bおよび支持枠10に取り付けるための結合要素35cである。固定状況に依存して、支持枠を吊るすための手段35は1よりも多い各要素を含むことができる。
【0171】
図4aは、エンドプレート42を有するクランプ40を貯蔵所1の構造要素の中空部分38に取り付けることによる支持枠を吊るすための手段35の実施形態を示す。図4aにおいて示される実施形態では、中空部分が円の形状であるが、クランプ40はいずれの形の中空部分にでも合うように適応することができる。固定要素49はエンドプレート42に取り付けられ、ケーブル34を支える。その後、ケーブル34は支持枠10の連結要素16に取り付けることができる。
【0172】
図4bは、2以上のクランプ40を貯蔵所1の構造要素のI型の桁44に取り付けることによる支持枠を吊るすための手段35の別の実施形態を示す。必要なクランプ40の数は積載量に依存して異なる。クランプはエンドプレート42をI型の桁44に固定する。エンドプレート42はケーブル34を取り付けるための連結要素49を支える。
【0173】
図4cは、エンドプレート42を貯蔵所1のコンクリート構造46に取り付けることによる支持枠を吊るすための手段35の別の実施形態を示す。示された実施例では、ボルト48はエンドプレート42をコンクリート構造に固定するための固定要素として使用される。エンドプレート42はケーブル34を取り付けるための連結要素49を支える。
【0174】
図5は、本発明の吊るされた状態における支持枠10および支持枠を吊るすための手段35の実施形態を示す。支持枠を吊るすための手段35は貯蔵所1の天井に取り付けられ、ケーブル34を支えるための滑車36を含む。ケーブル34は連結要素16を使用して支持枠10に取り付けられる。追加の案内滑車37はまた、天井6に取り付けられる。ケーブル34は支持枠を吊るすための手段35の滑車36まで上がり、案内滑車37を使用して地面の方に戻る。支持枠10はケーブル34を引っ張ることにより持ち上げることができる。一度支持枠10を目的の位置にすれば、支持枠10をその場所に留めるための好適な手段のいずれかを使用して、ケーブル34を固定することができる。
【0175】
図6aは、ネット30が取り付けられた、吊るされた状態における支持枠10により形成された貯蔵構造体2を示す。支持枠10は、好適な支持枠を吊るすための手段35に取り付けられたケーブル34を使用して天井から吊るされる。ネット30は、支持枠10の全ての4つの側面に取り付けられ、ネット30は支持枠10の頂部を覆う。
【0176】
本発明の好適な実施形態では、単一の3次元ネット30は隙間が全くない状態で支持枠10の全ての4つの側面および頂部を覆う。
【0177】
図6bに、貯蔵構造体2の一部を示す。貨物50は貯蔵構造体2の内部に置かれている。図6bではネット30の1つが見える。このネット30は支持枠10の1側面に取り付けられている。支持枠のサイズは、ネット30が貨物50に触れないように選択される。図6bにおいて見ることができるように、ネット30の一部分52が貯蔵所1の床4上に溜まるように、ネット30の長さは貯蔵構造体2の高さよりも長い。
【0178】
図7aは、貯蔵構造体2の実施形態を示す。ネット30は、支持枠10の全ての4つの側面に取り付けられ、ネット30は支持枠10の頂部を覆う。支持枠10の枠部分13に取り付けられたネット30は、部分的に持ち上げられる。支持枠10の枠部分13はネット31を開閉するための手段を含む。これらの手段は枠部分13上に設置されたモーター54を含む。ネット31は、モーター54がネット31を昇降することができるようにモーター54に連結されたロープ58を含む。示された実施形態では、ネット31はプーリングバー56を更に含む。プーリングバー56は、ネットを均一に持ち上げることを確実にする。ネット31が十分に多数のロープ58を含む場合、プーリングバー56は省くことができる。モーター54は遠隔操作60、62により制御される。有線式遠隔操作60は、フォークリフトに乗ったままで貯蔵所の作業者により操作することができるように貯蔵所の天井から吊るされている。加えて、無線式遠隔操作62もまた装備される。
【0179】
図7bは、ロープ58が支持枠10から吊るされ、ネット30を保持するストラップを形成する、本発明の別の実施形態を示す。好適な実施形態では、ローラー94は、重りとしてロープ58に取り付けられる。その後、ネット30は、手動またはモーター54の使用のいずれかでロープ58の一方の端を引っ張ることにより持ち上げることができる。ロープ58の一方を引っ張ることはストラップのサイズを短くし、したがってネットが持ち上がる。ロープ58をネット30の底部に固定する必要がないので、この実施形態はネット30の簡単な交換を可能とする。
【0180】
図7cは、支持枠10および3次元ネット30を有する貯蔵構造体2を示す。ネット30の仕立ての様式は参照番号100で示される。矢印102は、継目の位置を示す。貯蔵構造体2の1面のネット30は、ロープ58およびモーター54を使用して持ち上げられている。
【0181】
図7cに示されるように、ネット30の前面部分を持ち上げることはまた、ネット30の他の面にも影響を及ぼし、はっきりとした開口部分が形成されない。
【0182】
図7dは、支持枠10および3次元ネット30を有する貯蔵構造体2を示す。ネット30の仕立ての様式は参照番号110で示される。ここで、追加のネット材料106が位置104で3次元ネット中に差し込まれる。位置104は、貯蔵構造体2を開けるための手段により開けられる面と2つの隣接する側面との間の継目102の位置またはその近くに位置する。図に示されている本発明の実施形態では、追加のネット材料106は三角形の形状である。他の好適な形状として、長方形、正方形および円の1部分がある。
【0183】
図7dにおいて見ることができるように、追加のネット材料106はネット30がおよそ長方形の形状のはっきりとした開口部分を形成することを可能にする。
【0184】
図8aは、押出形材部品18の更なる実施形態を示す。押出形材部品18は1面に溝65を備える。下面には溝64が準備され、溝64は、ローラー66に取り付けられたネット30を支える。3次元ネット30はストラップ92およびローラー66に取り付けられたホック90を使用してローラー66に取り付けられる。ローラー66は、ネットを取り付けの間動かすことおよびカーテンと同じように引くことを可能とする。押出形材部品18の上面には、つぎ結合70を使用してブラケット68が取り付けられる。ブラケット68は、支持枠を吊るすための手段35に連結するケーブル34を支える。
【0185】
図8bは、ネット30が完全に取り付けられている押出形材部品18を示す。3次元ネット30は、ローラー66を使用して正しい位置に移動されている。ネット30のたわみを減少するために、ネット30を押出形材部品18の溝64に差し込むことによりネット30をしっかりと張ることが好ましい。圧縮クランプ32は、ネット30をしっかりと張った位置に保持する。
【0186】
図9は、支持枠10の2つの押出形材部品18を結合するために適応される結合要素14の別の実施形態を示す。形材部品18の上面はブラケット72を支えるためのありつぎ結合70が備えられている。その後、2つのブラケット72は角ブラケット74および好適な固定手段、例えば、ねじ24およびナット25を使用して結合される。
【0187】
図10は、図8および9において示されるような支持枠10上のネット30の展開を示す。ネット30は支持枠10にすでに取り付けられており、支持枠10は吊るされた状態である。
【0188】
図10aは、支持枠10を有する貯蔵構造体2であって、全てのネット30を完全に引込めている状態を示す。貯蔵構造体2の4つの面上のネット30は、支持枠10を形成している押出形材部品18の溝64により支えられているローラー66に取り付けられている。支持枠10の頂部を覆うネット30は、支持枠10の押出形材部品18の1つの溝65の中に差し込まれている。
【0189】
図10bは、ネットの展開を示す。貯蔵構造体2の側面上のネット30はカーテンと同じように引くことができる。矢印76は、ネット30の展開の方向を示す。支持枠10の頂部を覆うネット30は、ネット30取り付けられている押出形材部品18から支持枠10の反対側の押出形材部品18にまたがる案内ロープ77を更に含む。案内ロープ77はネット30を支持し、案内することによりネット30の展開段階を助ける。
【0190】
図10cは、支持枠10を有する貯蔵構造体2であって、ネット30が完全に展開されている状態を示す。支持枠10の頂部を覆うネット30は、この状態では圧縮クランプ32を使用して支持枠10の4つの押出形材部品18全てに固定される。
【0191】
貯蔵構造体2の1側面上のネット30は、ネットをカーテンと同じように引くことにより開けることができる。ネット30の開ける必要のない部分は、クランプ79を使用してお互いに更に連結される。
【0192】
本発明の更なる実施形態では、支持枠10の枠部分12の1つはネットの開閉の自動化の為のモーター54を含む。
【0193】
図11では、本発明の別の実施形態が示される。支持枠10は、押出形材部品18を使用して支持枠を吊るすための手段35に連結される。横桁78は補強のために備えられる。
【0194】
図12は、本発明の更なる実施形態を示す。支持枠10は、壁5に固定するために適応される支持枠を吊るすための手段35を使用して、貯蔵所1の側壁5から吊るされる。支持枠10は、ケーブル34および滑車36により支持枠を吊るすための手段35に連結される。支持枠10は、ケーブル34を引っ張ることにより持ち上げられる。その後、支持枠10はケーブル34を固定することにより、目的とする高さに固定される。
【0195】
図13は、2つの強固な枠部分12aおよび2つの柔軟な枠部分12bを含む支持枠10を示す。支持枠10は、支持枠を吊るすための手段35により吊るされる。支持枠を吊るすための手段35は、貯蔵所1の床4上に配置するために適応される。吊るすための手段35は足部81および蝶番82および柱83を含む、折りたたみ式台80として構成される。示された実施形態では、折りたたみ式台80は、支持枠10の各角に一つずつ、柱83として4つの押出形材部品18を含む。4つの柱83のそれぞれは、蝶番82を使用して足部81に固定されている。蝶番82は、柱83が旋回することを可能にし、したがって、折りたたみ式台80の折りたたみが可能となる。
【0196】
図13aは、支持枠10を有する台80の組み立てを示す。本発明の1つの実施形態では、ネット30は台80が組み立てられる前に支持枠10に取り付けられる。本発明の別の実施形態では、ネット30は台80が組み立てられた後に支持枠10に取り付けられる。支持枠10の2つの強固な枠部分12aのそれぞれは、折りたたみ式台80の2つの柱83上に固定される。2つの強固な枠部分12aは柔軟な枠部分12bに連結され、支持枠10を形成する。柔軟な枠部分12bは、折りたたみ式台80に固定される間、支持枠10が折れ曲がることを可能にする。折りたたみ式台80が折りたたまれている状態の間、支持枠は貯蔵所1の床4上に置かれている。支持枠10を吊るすために、台80の柱83を組み立てる。支持枠10は持ち上げられ、支持枠10の柔軟な部分12bは張られるる。本発明の好適な実施形態では、台80は好適な手段により貯蔵所の基部に固定される。好適な手段はボルト、クランプおよび/またはねじを含む。
【0197】
図13bは、台80の組み立てた状態を示す。台の蝶番82は、本質的に垂直の状態で柱83を保持するように固定され、足部81は好適な手段により貯蔵所1の床に固定される。強固な枠部分12aおよび柔軟な枠部分12bを有する支持枠10は支持台80により吊るされ、ネット30を保持する。1つのネット30は支持枠10の4つの面のそれぞれに取り付けられ、1つのネット30は支持枠10の頂部を覆う。組み立てられた貯蔵構造体2は、台80、支持枠10およびネット30を含む。枠部分13に取り付けられたネット30は、枠部分13のネット30をモーター54により持ち上げることができるように、ロープ58およびプーリングバー56を備える。
【0198】
本発明の別の好適な実施形態では、台80は蝶番の代わりに可膨張性の柱80を含む。これは、台80の重量を大きく減少し、圧縮空気を使用する柱80の膨張により迅速な取り付けを可能にする。
【0199】
図14は、本発明の支持枠10の別の実施形態を示す。支持枠10は枠部分12に加えて横桁78を含む。加えられた横桁78は、より重い積載量を支えることができるように、かつ、支持枠10の不必要な動きを減少するように、支持枠10の強度および剛性を上げる。
【0200】
図15aは、支持枠を吊るすための手段35の別の実施形態を示す。支持枠10の目的とする位置は、貯蔵所1の構造要素46の直下ではない。支持枠を吊るすための手段35は、好適な固定手段35aにより貯蔵所1の天井6のコンクリート構造46に取り付けられる。支持枠10は、結合要素35cとして押出形材部品18を使用して取り付けられる。結合要素35cにおけるクロスバー78は、支持枠10の吊り下げを示された位置にすることを可能にする。好適には、支持枠を吊るすための手段35は、天井に対する荷重が2kg/mを超えないように準備される。
【0201】
図15bは、支持枠を吊るすための手段35の別の実施形態を示す。図15aに示された状況と同じように、支持枠10の目的とする位置上に位置する、貯蔵所1の好適な構造要素46は存在しない。吊るすための手段35はクロスケーブル86を含み、支持枠10の吊り下げを示された位置にすることを可能にする。
【0202】
図16はいくつかの貯蔵構造体2を有する貯蔵所1の配置の概念図を示す。貯蔵所1の天井6はいくつかのコンクリート構造46を含む。図16に示されたようなコンクリート構造46の間隔は、貯蔵所1の天井6に固定するために適応される支持枠を吊るすための手段35のみを使用して、支持枠10の吊り下げを目的の位置にすることを可能にするためには大きすぎる。図16は、貯蔵所1の壁5に固定するために適応される固定要素35aを有する吊るすための手段35を更に示す。図16に示される結合要素35cは貯蔵所1の全体の長さに架かり、第2の固定要素35aにより反対側の壁に固定される。連結要素16は、支持枠10を結合要素35cに連結する。
【0203】
図17は、本発明の支持枠10の強固な枠部分12の2つの更なる実施形態を示す。
【0204】
図17aでは、強固な枠部分12は、2つの押出形材部品18を積み重ねることにより形成される。2つの押出形材部品18は、好適な連結要素48により結合される。連結要素16は、枠部分12を支持枠を吊るすための手段35の結合要素35cに連結する。ネット30は、圧縮クランプ32を使用して押出形材部品18に取り付けられる。枠部分12は、単一の押出形材部品18から構成される枠部分と比較して増加した強度を有する。積載許容量および枠部分12により架けることができる距離は大きくなる。
【0205】
図17bでは、強固な枠部分12は、3つの押出形材部品18を積み重ねることにより形成される。3つの押出形材部品18は、好適な連結要素48により結合される。連結要素16は、枠部分12を支持枠を吊るすための手段35の結合要素35cに連結する。ネット30は、圧縮クランプ32を使用して押出形材部品18に取り付けられる。最大積載許容量および枠部分12により架けることができる最大距離は更に大きくなる。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7a
図7b
図7c-d】
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17