【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、本発明は、正極集電体上に正極合剤層が形成されている正極、負極集電体上に負極合剤層が形成されている負極、前記正極と前記負極との間に配置される分離膜で構成された電極組立体、及び電解液を含むリチウム二次電池であって、前記負極が、負極活物質としてリチウムチタン酸化物(Lithium Titanium Oxide:LTO)を含んでおり、前記正極合剤層の4面の長さが、前記負極合剤層の4面の長さと同一またはより長いので、前記正極合剤層の面積が、前記負極合剤層の面積と同一またはより大きいことを特徴とするリチウム二次電池を提供する。
【0014】
上記のように、正極合剤層の4面の長さを前記負極合剤層の4面の長さと同一またはより長くして、前記正極合剤層の面積を前記負極合剤層の面積と同一またはより大きく製造する場合、組立工程を良くするだけでなく、従来、製造過程において正極と負極とがずれて全ての負極が正極と反応できないことによって生じる容量減少の問題を解決することができる。
【0015】
前記負極合剤層の面積が小さすぎる場合には、容量が著しく減少して所望の容量を得ることができないため、詳細には、前記負極合剤層の面積が、前記正極合剤層の面積を基準として80〜100%であってもよく、より詳細には、90〜100%であってもよい。
【0016】
一つの具体的な例において、前記リチウム二次電池は、3.3〜4Vの範囲の充電カットオフ電圧(cut-off voltage)を有し、前記カットオフ電圧に到達した時に、負極の電位は、正極の電位が4.95Vを超えない範囲で0.75〜1.545Vであってもよい。
【0017】
本発明に係る前記充電カットオフ電圧は、カットオフ発生時の正極の電位と負極の電位との差を意味し、このような充電カットオフ電圧は、高電圧で電解液の酸化を防止するために設定される。
【0018】
したがって、一つの具体的な例において、電解液の酸化をより効率的に防止するために、前記カットオフ電圧は、詳細には3.3〜3.5Vであってもよい。この場合、カットオフ電圧に到達した時に、負極の電位は、正極の電位が4.95Vを超えない範囲で1.2〜1.545Vであることが好ましい。
【0019】
本出願の発明者らは、高電圧の正極を使用する場合、容易に電解液の酸化電位に到達して電解液が酸化し、それに伴うガス放出及び副産物の発生により電池性能の低下及び抵抗の増加という問題があることを見出し、鋭意研究と様々な実験を重ねた結果、リチウム二次電池が前記条件を満たす場合には、高電圧正極の使用にもかかわらず、電解液の酸化を防止できることを見出した。すなわち、充電カットオフ電圧が前記範囲の値を有し、負極の電位が前記範囲を満たす場合、正極の電位が電解液が酸化する電位まで上昇する前にカット−オフ電圧に到達することによって、電解液の酸化を防止することができる。
【0020】
一つの具体的な例において、前記負極活物質としてリチウムチタン酸化物は下記化学式1で表すことができ、具体的にLi
0.8Ti
2.2O
4、Li
2.67Ti
1.33O
4、LiTi
2O
4、Li
1.33Ti
1.67O
4、Li
1.14Ti
1.71O
4などであってもよいが、これらに限定されるものではなく、より詳細には、充放電時に結晶構造の変化が少なく、可逆性に優れたスピネル構造のLi
1.33Ti
1.67O
4またはLiTi
2O
4であってもよい。
【0021】
Li
aTi
bO
4(1)
【0022】
上記式中で、0.5≦a≦3、1≦b≦2.5である。
【0023】
前記リチウムチタン酸化物の高い電位に対応して、一つの具体的な例において、前記正極は高電圧正極であってもよく、正極活物質として、高電位酸化物であるスピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物を使用することができ、前記リチウムマンガン複合酸化物は、下記化学式2で表すことができる。
【0024】
Li
xM
yMn
2−yO
4−zA
z(2)
【0025】
上記式中で、0.9≦x≦1.2、0<y<2、0≦z<0.2であり、
Mは、Al、Mg、Ni、Co、Fe、Cr、V、Ti、Cu、B、Ca、Zn、Zr、Nb、Mo、Sr、Sb、W、Ti及びBiからなる群から選択される一つ以上の元素であり、
Aは、−1または−2価の一つ以上の陰イオンである。
【0026】
詳細には、前記リチウムマンガン複合酸化物は、下記化学式3で表されるリチウムニッケルマンガン複合酸化物であってもよく、より詳細には、LiNi
0.5Mn
1.5O
4またはLiNi
0.4Mn
1.6O
4であってもよい。
【0027】
Li
xNi
yMn
2−yO
4(3)
【0028】
上記式中で、0.9≦x≦1.2、0.4≦y≦0.5である。
【0029】
前記リチウムニッケルマンガン複合酸化物(LNMO)は、特にLTOの高い電位によって、相対的に高電位を有するスピネル構造の複合酸化物であり、3.5〜4.3Vの電圧特性を有する既存の正極と比較するとき、4.7Vという高電圧特性を有する物質であるので、本発明は、このような電池の適用にさらに効果的である。
【0030】
一方、従来、負極活物質として炭素系物質を使用する場合、負極表面にリチウム化合物が生成されることによる可逆容量の減少という問題により、負極の容量を正極の容量に比べて大きくしなければならなかったが、LTOを使用することによって、リチウムプレーティングを防止できるようになって負極容量制限のセル設計が可能となった。
【0031】
したがって、一つの具体的な例において、前記負極の容量は、正極の容量と同一またはより小さくすることができる。負極の容量が小さすぎる場合には、容量が著しく減少して所望の容量を得ることができないため、詳細には、前記負極の容量が、前記正極の容量を基準として80〜100%であってもよく、より詳細には、90〜100%であってもよい。
【0032】
本発明によって負極合剤層の面積を正極合剤層の面積と同一またはより小さくする場合には、上記で言及した効果以外に、上記のように、負極の容量を正極の容量と同一またはより小さくする効果も得ることができる。
【0033】
このように、負極の容量を正極の容量と同一またはより小さくすることは、本発明による効果を発揮することができる一つの例となり得る。
【0034】
本発明に係るリチウム二次電池のその他の成分については、以下で説明する。
【0035】
前記正極は、正極集電体上に正極活物質、導電材及びバインダーの混合物を塗布した後、乾燥及びプレスして製造され、必要によっては、前記混合物に充填剤をさらに添加することもある。
【0036】
前記正極集電体は、一般に3〜500μmの厚さに製造する。このような正極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発せずに高い導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、またはアルミニウムやステンレススチールの表面をカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどを使用することができる。集電体は、その表面に微細な凹凸を形成して正極活物質の接着力を高めることもでき、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの様々な形態が可能である。
【0037】
前記正極活物質は、リチウムニッケルマンガン複合酸化物(LNMO)の他に、例えば、リチウムコバルト酸化物(LiCoO
2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO
2)などの層状化合物や、1つまたはそれ以上の遷移金属で置換された化合物;化学式Li
1+xMn
2−xO
4(ここで、xは0〜0.33である。)、LiMnO
3、LiMn
2O
3、LiMnO
2などのリチウムマンガン酸化物;リチウム銅酸化物(Li
2CuO
2);LiV
3O
8、LiFe
3O
4、V
2O
5、Cu
2V
2O
7などのバナジウム酸化物;化学式LiNi
1−xM
xO
2(ここで、M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、BまたはGaであり、x=0.01〜0.3である。)で表されるNiサイト型リチウムニッケル酸化物;化学式LiMn
2−xM
xO
2(ここで、M=Co、Ni、Fe、Cr、ZnまたはTaであり、x=0.01〜0.1である。)またはLi
2Mn
3MO
8(ここで、M=Fe、Co、Ni、CuまたはZnである。)で表されるリチウムマンガン複合酸化物;化学式のLiの一部がアルカリ土類金属イオンで置換されたLiMn
2O
4;ジスルフィド化合物;Fe
2(MoO
4)
3などを使用することができ、共に使用してもよいが、これらに限定されるものではない。
【0038】
前記導電材は、通常、正極活物質を含んだ混合物全体の重量を基準として1〜50重量%で添加される。このような導電材は、当該電池に化学的変化を誘発せずに導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などを使用することができる。
【0039】
前記バインダーは、活物質と導電材などの結合及び集電体に対する結合を助ける成分であって、通常、正極活物質を含む混合物全体の重量を基準として1〜50重量%で添加される。このようなバインダーの例としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴム、様々な共重合体などを挙げることができる。
【0040】
前記充填剤は、正極の膨張を抑制する成分として選択的に使用され、当該電池に化学的変化を誘発せずに繊維状材料であれば特に制限されるものではなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系重合体;ガラス繊維、炭素繊維などの繊維状物質が使用される。
【0041】
反面、前記負極は、負極集電体上に負極活物質を塗布、乾燥及びプレスして製造され、必要に応じて、上述したような導電材、バインダー、充填剤などを選択的にさらに含むことができる。
【0042】
前記負極集電体は、一般に3〜500μmの厚さに製造される。このような負極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発せずに導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム−カドミウム合金などを使用することができる。また、正極集電体と同様に、表面に微細な凹凸を形成して負極活物質の結合力を強化させることもでき、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの様々な形態で使用することができる。
【0043】
前記負極活物質は、リチウムチタン酸化物(LTO)の他に、例えば、難黒鉛化炭素、黒鉛系炭素などの炭素;Li
xFe
2O
3(0≦x≦1)、Li
xWO
2(0≦x≦1)、Sn
xMe
1-xMe’
yO
z(Me:Mn、Fe、Pb、Ge;Me’:Al、B、P、Si、周期律表の1族、2族、3族元素、ハロゲン;0<x≦1;1≦y≦3;1≦z≦8)などの金属複合酸化物;リチウム金属;リチウム合金;ケイ素系合金;錫系合金;SnO、SnO
2、PbO、PbO
2、Pb
2O
3、Pb
3O
4、Sb
2O
3、Sb
2O
4、Sb
2O
5、GeO、GeO
2、Bi
2O
3、Bi
2O
4、Bi
2O
5などの金属酸化物;ポリアセチレンなどの導電性高分子;Li−Co−Ni系材料;チタン酸化物などを共に使用してもよい。
【0044】
前記分離膜は、正極と負極との間に介在し、高いイオン透過度及び機械的強度を有する絶縁性の薄い薄膜が使用される。一般に、分離膜の気孔径は0.01〜10μmで、厚さは5〜300μmである。このような分離膜としては、例えば、耐化学性及び疎水性のポリプロピレンなどのオレフィン系ポリマー;ガラス繊維またはポリエチレンなどで作られたシートや不織布などが使用される。電解質としてポリマーなどの固体電解質が使用される場合には、固体電解質が分離膜を兼ねることもできる。
【0045】
前記電解液は、リチウム塩を含有しており、非水系有機溶媒、有機固体電解質、無機固体電解質などが使用されるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
前記非水系有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリジノン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロキシフラン(franc)、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ギ酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの非プロトン性有機溶媒を使用することができる。
【0047】
前記有機固体電解質としては、例えば、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキシド誘導体、ポリプロピレンオキシド誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリエジテーションリシン(agitation lysine)、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、イオン性解離基を含む重合体などを使用することができる。
【0048】
前記無機固体電解質としては、例えば、Li
3N、LiI、Li
5NI
2、Li
3N−LiI−LiOH、LiSiO
4、LiSiO
4−LiI−LiOH、Li
2SiS
3、Li
4SiO
4、Li
4SiO
4−LiI−LiOH、Li
3PO
4−Li
2S−SiS
2などのLiの窒化物、ハロゲン化物、硫酸塩などを使用することができる。
【0049】
前記リチウム塩は、前記非水系電解質に溶解しやすい物質であって、例えば、LiCl、LiBr、LiI、LiClO
4、LiBF
4、LiB
10Cl
10、LiPF
6、LiCF
3SO
3、LiCF
3CO
2、LiAsF
6、LiSbF
6、LiAlCl
4、CH
3SO
3Li、(CF
3SO
2)
2NLi、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、4フェニルホウ酸リチウム、イミドなどを使用することができる。
【0050】
また、電解液には、充放電特性、難燃性などの改善の目的で、例えば、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n−グリム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N−置換オキサゾリジノン、N,N−置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2−メトキシエタノール、三塩化アルミニウムなどが添加されてもよい。場合によっては、不燃性を付与するために、四塩化炭素、三フッ化エチレンなどのハロゲン含有溶媒をさらに含ませることもでき、高温保存特性を向上させるために二酸化炭酸ガスをさらに含ませることもでき、FEC(Fluoro−Ethylene Carbonate)、PRS(Propene sultone)などをさらに含ませることができる。
【0051】
一つの具体的な例において、LiPF
6、LiClO
4、LiBF
4、LiN(SO
2CF
3)
2などのリチウム塩を、高誘電性溶媒であるECまたはPCの環状カーボネートと、低粘度溶媒であるDEC、DMCまたはEMCの線状カーボネートとの混合溶媒に添加して、リチウム塩含有非水系電解質を製造することができる。
【0052】
本発明はまた、前記リチウム二次電池を単位電池として含む電池モジュールを提供し、前記電池モジュールを含む電池パックを提供する。
【0053】
前記電池パックは、高温安定性、長いサイクル特性及び高いレート特性などが要求されるデバイスの電源として使用することができる。
【0054】
前記デバイスの具体的な例としては、電気的モータによって動力を受けて動くパワーツール(power tool);電気自動車(Electric Vehicle、EV)、ハイブリッド電気自動車(Hybrid Electric Vehicle、HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(Plug−in Hybrid Electric Vehicle、PHEV)などを含む電気車;電気自転車(E−bike)、電気スクーター(E−scooter)を含む電気二輪車;電気ゴルフカート(electric golf cart);電力貯蔵用システムなどを挙げることができるが、これに限定されるものではない。