【実施例】
【0051】
次に本発明の平角銅線及び太陽電池用平角銅線の製造方法について実施例に基づき詳細に説明する。
【0052】
平角銅線の製造;
本発明で使用する銅(合金を含む)素線は体積抵抗率2.5μΩ・cm以下のものを採用する。体積抵抗率2.5μΩ・cm以下の材料としては、無酸素銅(OFC)、りん脱酸銅、タフピッチ銅(TPC)、高純度銅(純度99.9999%以上)等の銅素線である。
【0053】
平角銅線の製造は、先ず、体積抵抗率2.5μΩ・cm以下の銅素材から銅荒引線を製造する。銅荒引線の製造方法としてベルト&ホイール法、双ベルト法、ディップフォーミング法、熱間押出法、アップキャスト法等がある。
この荒引線を伸線、圧延し断面平角形状に加工する(圧延方式)。この圧延方式は連続して均一な平角銅線を製造するのに適している。
なお、種々な幅の平角銅線を製造するには、体積抵抗率2.5μΩ・cm以下の銅素材(インゴット)を条形状の銅板に圧延し、この銅条をスリット加工して平角銅線とする方式を採用することもできる。
【0054】
これらの平角銅線を通電方式もしくはバッチ式で焼鈍処理を行う。連続して焼鈍を行う場合は通電方式の方が効率的で好ましい。ここで、焼鈍処理は300〜800℃の温度で10秒〜1時間である。
【0055】
焼鈍処理後この平角銅線に冷間加工を施す。加工方法は冷間圧延或いは冷間伸線、これらの組み合わせがある。所望する材質および形状に仕上げる加工方法を選択する。
平角銅線の形状が決まっている場合は圧延加工或いは伸線加工に変えて伸び(引張り加工)を付与する。冷間引張り加工は例えばレベラーによる方式で行う。
【0056】
このようにして製造された平角銅線をめっき浴槽に浸漬し、はんだめっき層を被覆する。はんだ合金については前述したが、本実施例ではSn系はんだ(Sn−Pb、Sn−Ag、Sn−Ag−Cu、Sn−Cu等)を使用する。はんだ浴槽温度は高すぎると平角銅線に施した前記加工が焼鈍効果により消失するおそれがあるので、はんだ合金融点+50℃以下、望ましくは+20℃以下とし、浸漬時間も短時間とする。
【0057】
実施例1〜3
体積抵抗率2.5μΩ・cm以下の銅素材としてタフピッチ銅を使用し、ベルト&ホイール法で銅荒引線に伸線加工し、次いで通電加熱により、400℃で焼鈍処理した後加工率5〜15%の冷間圧延を施し、幅2.0mm、厚さ0.16mmの平角銅線を得た(以下めっき前平角線という)。このめっき前平角銅線を250℃に保たれたSn−3%Ag−0.5%Cuの浴槽に浸漬し、約40μm厚さのはんだめっき層を平角銅線全体に設け、太陽電池用平角銅線を作成した。
【0058】
作成した太陽電池用平角銅線の評価は下記のようにして行った。
(1)熱収縮量の測定
長さ150mmのめっき前平角銅線を250℃まで加熱したときの長さとその後室温まで冷却した時の長さ(熱収縮量)を測定し、その差を表2に記載した。
【0059】
(2)シリコンウェハの反り量と割れの測定
次に種々のはんだめっき平角線を150×150×0.2mmのシリコンウェハにはんだ接続し、室温まで冷却した時のシリコンウェハ2の反り量と割れについて調べた。
反り量は
図4に示すようにウェハの両端を水平面に置いた時のシリコンウェハの反りの最大値とし、レーザー変位計等で測定した。結果を表2に記載した。
ウェハの割れの評価は、割れが発生しなかったものを「良」と判定して表に「○」印を付し、割れが発生したものを「不可」と判定して表に「×」印を付した。結果を表2に記載した。
【0060】
(3)シリコンウェハの寿命の判定
ウェハの寿命は、25℃⇔100℃で10,000サイクルの熱疲労試験によって評価した。
判定は、割れが発生しなかったものを「良」と判定して表に「○」印を付し、割れが発生したもの、又は評価不能のものを「不可」と判定して表に「×」印を付し、ウェハ表面にクラックがはいったものを「不可(クラック発生)」と判定して「△」印を付した。結果を表2に記載した。
【0061】
実施例4〜6
体積抵抗率2.5μΩ・cm以下の銅素材として無酸素銅を使用し、ベルト&ホイール法で銅荒引線に伸線加工し、通電加熱による400℃で熱処理を行って焼鈍した後5〜15%の冷間圧延を施し、幅2.0mm、厚さ0.16mmのめっき前平角銅線を得た。このめっき前平角銅線を浴槽が250℃に保たれたSn−3%Ag−0.5%Cuの浴槽に浸漬し、約40μm厚さのはんだめっき層を平角銅線全体に設け、太陽電池用平角銅線を作成した。
【0062】
作成した太陽電池用平角銅線の評価は前記実施例と同様、熱収縮量、反り、シリコンウェハの割れと寿命をそれぞれ測定、評価し、結果を表2に記載した。
【0063】
比較例7〜10
実施例1と同じタフピッチ銅を使用し、冷間圧延加工率を2%、3%、20%、30%とした他は実施例1と同じ工程で平角銅線を作成し、実施例1と同じ条件でめっき層を設け、実施例1と同じ測定、評価を行った。結果を表2に併記した。
【0064】
比較例11〜14
実施例4と同じ無酸素銅を使用し、冷間圧延加工率を2%、3%、20%、30%とした他は実施例4と同じ工程で平角銅線を作成し、実施例4と同じ条件でめっき層を設け、実施例4と同じ評価を行った。結果を表2に併記した。
【0065】
従来例15
実施例1と同じタフピッチ銅を使用して平角銅線を作成し、焼鈍処理することなく冷間圧延加工率を99%とした平角銅線を作成し、実施例1と同じ条件でめっき層を設け、実施例1と同じ測定、評価を行った。結果を表2に併記した。
【0066】
従来例16
実施例1と同じタフピッチ銅を使用して平角銅線を作成し、実施例1と同じ焼鈍処理を施して平角銅線を作成し、実施例1と同じ条件でめっき層を設け、実施例1と同じ測定、評価を行った。結果を表2に併記した。
【0067】
従来例17
実施例4と同じ無酸素銅を使用して平角銅線を作成し、焼鈍処理することなく冷間圧延加工率を99%とした平角銅線を作成し、実施例4と同じ条件でめっき層を設け、実施例4と同じ測定、評価を行った。結果を表2に併記した。
【0068】
従来例18
実施例4と同じ無酸素銅を使用して平角銅線を作成し、実施例4と同じ焼鈍処理を施して平角銅線を作成し、実施例4と同じ条件でめっき層を設け、実施例4と同じ測定、評価を行った。結果を表2に併記した。
【0069】
表2から明らかなように、実施例1〜6の平角銅線は焼鈍処理した銅素線に加工率5〜15%の冷間圧延加工を施している。このように、銅素線に所定量の加工率が付与されているので、熱処理後に冷間圧延加工を行わない従来例16、18に対しては熱収縮量が小さくなっている。
また、これらの平角銅線を使用したはんだめっき被覆平角銅線は、焼鈍処理を行わず、かつ、所定量以上の加工率が付与された従来例15、17に比較してシリコンウェハと接続した際のウェハの反りが小さく、ウェハに割れが発生しなかった。
また、ウェハにかかる負荷も小さいため熱サイクルに対する寿命も良好であった。
【0070】
一方、比較例9、10、13、14は加工率が15%より大きい冷間圧延加工が施されたもので、何れも熱収縮量は小さくなったが、付加される応力が大きいためウェハに割れが発生した。また加工率が5%未満の冷間圧延加工が施された比較例7、8、11、12は、はんだ接続時にウェハに割れは発生しなかったものの熱サイクルに対してはウェハ表面に微細なクラックが発生し、何れも本発明の目的を満足するものではなかった。
【0071】
【表2】
【0072】
実施例20〜22
体積抵抗率2.5μΩ・cm以下の銅素材としてタフピッチ銅を使用し、ベルト&ホイール法で銅荒引線に伸線加工し、通電加熱による400℃で熱処理を行って焼鈍した後
加工率5〜15%の冷間伸線加工を施し、幅2.0mm、厚さ0.16mmのめっき前平角銅線を得た。このめっき前平角銅線を浴槽が250℃に保たれたSn−3%Ag−0.5%Cuの浴槽に浸漬し、約40μm厚さのはんだめっき層を平角銅線全体に設け、太陽電池用平角銅線を作成した。
【0073】
作成した太陽電池用平角銅線の測定、評価を実施例1と同様に行い、結果を表3に記載した。
【0074】
実施例23〜25
体積抵抗率2.5μΩ・cm以下の銅素材として無酸素銅を使用し、ベルト&ホイール法で銅荒引線に伸線加工し、通電加熱による400℃で熱処理を行って焼鈍した後
加工率5〜15%の冷間伸線加工を施し、幅2.0mm、厚さ0.16mmのめっき前平角銅線を得た。このめっき前平角銅線を浴槽が250℃に保たれたSn−3%Ag−0.5%Cuの浴槽に浸漬し、約40μm厚さのはんだめっき層を平角銅線全体に設け、太陽電池用平角銅線を作成した。
【0075】
作成した太陽電池用平角銅線の測定、評価は実施例1と同様、熱収縮量、反り、シリコンウェハの割れと寿命をそれぞれ測定、評価し、結果を表3に記載した。
【0076】
比較例26〜29
実施例20と同じタフピッチ銅を使用し、冷間伸線加工率を2%、3%、20%、30%とした他は実施例20と同じ工程で平角銅線を作成し、実施例20と同じ条件でめっき層を設け、実施例20と同じ測定、評価を行った。結果を表3に併記する。
【0077】
比較例30〜33
実施例23と同じ無酸素銅を使用し、冷間伸線加工率を2%、3%、20%、30%とした他は実施例23と同じ工程で平角銅線を作成し、実施例23と同じ条件でめっき層を設け、実施例23と同じ測定、評価を行った。結果を表3に併記する。
【0078】
従来例34〜37
表2に示す従来例15〜18の冷間圧延加工に変えて冷間伸線加工を施した以外は従来例15〜18と同じ加工処理、測定、評価を行った。結果を表3に併記する。
【0079】
表3から明らかなように、実施例20〜25の平角銅線は焼鈍処理した銅素材に5〜15%の冷間伸線加工を施している。このように、銅素材に所定量の加工率が付与されているので、熱処理後に冷間伸線加工を行わない従来例35、37に比較して熱収縮量が小さくなっている。
また、これらの平角銅線を使用したはんだめっき被覆平角銅線は、焼鈍処理を行わず、かつ、所定量以上の加工率が付与された従来例34、36に比較してシリコンウェハと接続した際のウェハの反りが小さく、ウェハに割れが発生しなかった。
また、ウェハにかかる負荷も小さいため熱サイクルに対する寿命も良好であった。
【0080】
一方、比較例28、29、32、33は加工率15%より大きい冷間伸線加工が施されたもので、何れも熱収縮量は小さくなった。しかし、付加される応力が大きいためウェハに割れが発生した。また加工率5%未満の冷間伸線加工を施した比較例26、27、30、31は、はんだ接続時にウェハに割れは発生しなかったものの熱サイクルに対しては微細なクラックが表面に発生し、何れも本発明の目的を満足するものではなかった。
【0081】
【表3】
【0082】
実施例40〜63
タフピッチ銅をベルト&ホイール法で製造した銅荒引線を伸線加工し、通電加熱により400℃で熱処理を行って焼鈍した後、加工率0〜15%の冷間圧延加工を施し平角銅線とした。この平角銅線に、はんだめっき前に0.5〜1%の
伸び率を与える引張加工を施して後はんだめっきし、または、はんだめっき後に0.5〜1%の
伸び率を与える引張加工を施し、最終断面形状が幅2.0mm、厚さ0.16mmの太陽電池用平角銅線を製作した。はんだ層は250℃に保持したSn−3%Ag−0.5%Cuのはんだ浴槽に浸漬させることで約40μmの厚さに施した。
【0083】
実施例40〜63の条件で製作した太陽電池用平角銅線に実施例1と同じ測定、評価を行い、その結果を表4に記載した。
【0084】
実施例64〜87
無酸素銅をベルト&ホイール法で製造した銅荒引線を伸線加工し、通電加熱により400℃で熱処理を行って焼鈍した後、加工率0〜15%の冷間圧延加工を施し平角線とした。この平角銅線に、はんだめっき前に0.5〜1%の
伸び率を与える引張加工を施して後はんだめっきし、または、はんだめっき後に0.5〜1%の
伸び率を与える引張加工を施し、最終断面形状が幅2.0mm、厚さ0.16mmの太陽電池用平角銅線を製作した。はんだ層は250℃に保持したSn−3%Ag−0.5%Cuのはんだ浴槽に浸漬させることで約40μmの厚さに施した。
【0085】
実施例64〜87の条件で製作した太陽電池用平角銅線に実施例1と同じ測定、評価を行い、その結果を表4に記載した。
【0086】
比較例88〜115
タフピッチ銅又は無酸素銅をベルト&ホイール法で製造した銅荒引線を伸線加工し、通電加熱により400℃で熱処理を行って焼鈍した後、加工率0〜18%の冷間圧延加工を施し平角銅線とした。この平角銅線に、はんだめっき前に0.5%より小さい
伸び率、又は1%より大きい
伸び率を与える引張加工を施して後はんだめっきし、または、はんだめっき後に0.5%より小さい
伸び率、又は1%より大きい
伸び率を与える引張加工を施し、最終断面形状が幅2.0mm、厚さ0.16mmの太陽電池用平角銅線を製作した。加工条件は表4に記載した。また、はんだ層は250℃に保持したSn−3%Ag−0.5%Cuのはんだ浴槽に浸漬させることで約40μmの厚さに施した。
比較例88〜115の条件で製作した太陽電池用平角銅線に実施例1と同じ測定、評価を行い、その結果を表4に併記した。
【0087】
従来例116〜119
従来例116〜119は銅素線に従来例15〜18と同じ加工を施し、実施例1と同じ測定、評価を行い、その結果を表4に併記した。
【0088】
表4から明らかなように、焼鈍処理した銅素材に加工率0〜15%の冷間圧延加工を施し、次いで
伸び率0.5〜1%の引張加工が施された実施例40〜87の平角銅線は、銅素材に所定量の加工率を付与せず、かつ、引張加工が施されていない従来例117、119に比較して熱収縮量が小さくなっている。
また、これらの平角銅線を使用したはんだめっき被覆平角銅線は、熱処理を行わず、かつ、所定量以上の加工率が付与され、引張加工が施されていない従来例116、118に比較してシリコンウェハと接続した際のウェハの反りが小さく、ウェハに割れが発生しなかった。
また、ウェハにかかる負荷も小さいため熱サイクルに対する寿命も良好であった。
【0089】
表4に示すように
伸び率0.5〜1%の引張加工を施した平角銅線は熱収縮量が小さくなっている。これらの銅線を使用したはんだめっき平角銅線(試料40〜87)で接続した複数のシリコンウェハは反りが小さく、割れが発生せず、さらに従来例と比較してシリコンウェハにかかる負荷も小さい。このため熱サイクルに対する寿命も良好であった。また、焼鈍処理した導体をそのまま使用した場合(試料40〜45、64〜69)と導体に冷間圧延若しくは冷間伸線加工を施した場合(試料46〜63、70〜87)を比較すると冷間圧延若しくは冷間伸線加工を加えた方が反り量は低減する傾向にある。
【0090】
一方、
伸び率が0.5%より小さい引張加工を施した比較例88、89、92、93・・・等は、何れも引張り加工が不十分なため、また、
伸び率が1%より大きい引張加工を施した比較例90、91、94、95・・・等は、引張加工が過剰なため伸びが大きくなり、何れも反り量の改善とならず、ウェハとのはんだ接続に支障が生じ、割れの発生、寿命も本発明の目的を満足するものではなかった。
【0091】
【表4】
【0092】
実施例120〜143
タフピッチ銅をベルト&ホイール法で製造した銅荒引線を伸線加工し、通電加熱により400℃で熱処理を行って焼鈍した後、加工率0〜15%の冷間伸線加工を施し平角銅線とした。この平角銅線に、はんだめっき前に
伸び率0.5〜1%
を与える引張加工を施して後はんだめっきし、または、はんだめっき後に0.5〜1%の
伸び率を与える引張加工を施し、最終断面形状が幅2.0mm、厚さ0.16mmの太陽電池用平角銅線を製作した。はんだ層は250℃に保持したSn−3%Ag−0.5%Cuのはんだ浴槽に浸漬させることで約40μmの厚さに施した。
【0093】
実施例120〜143の条件で製作した太陽電池用平角銅線に実施例1と同じ測定、評価を行い、その結果を表5に記載した。
【0094】
実施例144〜167
無酸素銅をベルト&ホイール法で製造した銅荒引線を伸線加工し、通電加熱により400℃で熱処理を行って焼鈍した後、加工率0〜15%の冷間伸線加工を施し平角銅線とした。この平角銅線に、はんだめっき前に0.5〜1%の
伸び率を与える引張加工を施して後はんだめっきし、または、はんだめっき後に0.5〜1%の
伸び率を与える引張加工を施し、最終断面形状が幅2.0mm、厚さ0.16mmの太陽電池用平角銅線を製作した。はんだ層は250℃に保持したSn−3%Ag−0.5%Cuのはんだ浴槽に浸漬させることで約40μmの厚さに施した。
【0095】
実施例144〜167の条件で製作した太陽電池用平角銅線に実施例1と同じ評価を行い、その結果を表5に記載した。
【0096】
比較例168〜185
タフピッチ銅又は無酸素銅をベルト&ホイール法で製造した銅荒引線を伸線加工し、通電加熱により400℃で熱処理を行って焼鈍した後、加工率0〜18%の冷間伸線加工を施し平角銅線とした。この平角銅線に、はんだめっき前に0.5%より小さい
伸び率、又は1%より大きい
伸び率を与える引張加工を施して後はんだめっきし、または、はんだめっき後に0.5%より小さい
伸び率、又は1%より大きい
伸び率を与える引張加工を施し、最終断面形状が幅2.0mm、厚さ0.16mmの太陽電池用平角銅線を製作した。加工条件は表5に記載した。また、はんだ層は250℃に保持したSn−3%Ag−0.5%Cuのはんだ浴槽に浸漬させることで約40μmの厚さに施した。
【0097】
比較例168〜185の条件で製作した太陽電池用平角銅線に実施例1と同じ測定、評価を行い、その結果を表5に併記した。
【0098】
従来例196〜199
従来例196〜199は銅素線に従来例34〜37と同じ加工を施し、実施例1と同じ測定、評価を行い、その結果を表5に併記した。
【0099】
表5から明らかなように、熱処理した銅素材に加工率0〜15%の冷間伸線加工を施し、次いで0.5〜1%の引張加工が施された実施例120〜167の平角銅線は、銅素材に所定量の加工率を付与せず、かつ、伸線加工が施されていない従来例197、199に比較して熱収縮量が小さくなっている。
また、これらの平角銅線を使用したはんだめっき被覆平角銅線は、焼鈍処理を行わず、かつ、所定量以上の加工率が付与され、伸線加工が施されていない従来例196、198に比較してシリコンウェハと接続した際のウェハの反りが小さく、ウェハに割れが発生しなかった。
また、ウェハにかかる負荷も小さいため熱サイクルに対する寿命も良好であった。
【0100】
表5に示すように
伸び率0.5〜1%の引張加工を施した平角銅線は熱収縮量が小さくなった。これらの銅線を使用したはんだめっき平角銅線(試料120〜167)で接続した複数のシリコンウェハは反りが小さく、割れが発生せず、さらに従来例と比較してシリコンウェハにかかる負荷も小さい。このため熱サイクルに対する寿命も良好であった。
また、熱処理した導体をそのまま使用した場合(試料120〜125、144〜149)と導体に冷間圧延若しくは冷間伸線加工を施した場合(試料126〜143、150〜167)を比較すると、冷間圧延若しくは冷間伸線加工を加えた方が反り量は低減する傾向にある。
【0101】
【表5】
【0102】
本発明は銅線に圧延、伸線、引張り等の冷間加工を加え、シリコンウェハと平角銅線との間に生じる熱膨張の差と応力を緩和した平角銅線を提供することができる。
また、本発明は前記平角銅線でシリコンウェハを接続することにより、長期間にわたりシリコンウェハにクラックを発生させず、発電効率が良好で、長寿命となる優れた太陽電池を提供することができる。
さらに、銅線に簡単な加工を加えるだけなので低コストで製造することができる。