(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
素子実装面を有する板部材と、前記板部材に接合された、基板実装面を有する枠部材とを備え、前記基板実装面に開口を有するとともに前記素子実装面が内表面の一部を構成している内部空間が形成されている筐体と、
前記素子実装面に実装された光学素子と、
前記素子実装面に実装され、前記光学素子と接続した電子素子と、
を備え、前記板部材と前記枠部材とは、前記板部材に形成された電気的配線と前記枠部材に形成された電気的配線とを接続する導電性材料からなる第1接合材と、前記第1接合材の間を埋めるように配置された第2接合材とによって接合している光モジュールが前記基板実装面において実装された回路基板であって、
前記第1接合材は、半田または金属バンプであり、
前記第2接合材は、前記第1接合材よりも熱による変形が少ない樹脂材料からなる接着剤であり、
当該回路基板と前記基板実装面は、前記第1接合材よりも融点が低い低融点半田で接合されていることを特徴とする回路基板。
前記光モジュールは、前記光学素子に対応して配置されたマイクロレンズアレイ素子と、前記マイクロレンズアレイ素子を保持するホルダとをさらに備え、前記マイクロレンズアレイ素子はガラスからなり、前記マイクロレンズアレイ素子は、エポキシ樹脂からなる接着剤で前記ホルダに接着されていることを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、かかるボード間光インターコネクションで使用される光モジュールには、高さが低く(低背化)、実装されている電子素子等の放熱性が高いこと等が求められている。しかしながら、これらの低背化と高放熱性とを実現しようとすると、光モジュールの筐体の機械的強度の不足が生じるおそれがあるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、十分な筐体強度を確保しつつ、低背化と高放熱性とを実現できる光モジュール、これを実装した回路基板および通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る光モジュールは、素子実装面を有する板部材と、前記板部材に接合された、基板実装面を有する枠部材とを備え、前記基板実装面に開口を有するとともに前記素子実装面が内表面の一部を構成している内部空間が形成されている筐体と、前記素子実装面に実装された光学素子と、前記素子実装面に実装され、前記光学素子と接続した電子素子と、を備え、前記板部材と前記枠部材とは、前記板部材に形成された電気的配線と前記枠部材に形成された電気的配線とを接続する導電性材料からなる第1接合材と、前記第1接合材の間を埋めるように配置された第2接合材とによって接合していることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る光モジュールは、上記の発明において、前記第2接合材は、前記第1接合材よりも熱による変形が少ない材料からなることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る光モジュールは、上記の発明において、前記第1接合材は、半田または金属バンプであることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る光モジュールは、上記の発明において、前記第2接合材は、樹脂材料からなる接着剤であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る光モジュールは、上記の発明において、前記第2接合材は、接着性を有する板材であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る光モジュールは、上記の発明において、前記筐体は、前記板部材と前記枠部材とを貫通するように形成された貫通孔を有し、前記貫通孔に支持部材が挿入されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る光モジュールは、上記の発明において、前記筐体は、前記電子素子の裏面側から貫通するように形成された放熱構造を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る光モジュールは、上記の発明において、前記放熱構造は、前記筐体に埋設された放熱部材であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る光モジュールは、上記の発明において、前記放熱構造は、前記筐体に形成されたビアホールであることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る光モジュールは、上記の発明において、前記筐体は、前記基板実装面と交差している側面側に形成され、前記開口および前記内部空間に繋がる導波路導入口を有し、前記基板実装面において回路基板に実装された場合に、前記回路基板の表面に突出する光導波路が前記導波路導入口から前記内部空間に導入されることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る回路基板は、前記基板実装面において実装された、上記の発明の光モジュールを備えることを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る回路基板は、基板表面に突出する光導波路と、前記光導波路が前記導波路導入口から前記内部空間に導入されるように、前記基板実装面において実装された、上記の発明の光モジュールと、を備えることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る光モジュールは、外部と光結合される光学素子と、外部と接続される電子素子とを備える光電子部品を前記電子素子との電気的な結合を持つ基板に接合する際に、前記電気的結合をもたらす第1接合材と、前記接合材よりも熱による変化の少ない第2接合材によって行われ、前記光モジュールと前記基板が接合されることを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る通信システムは、上記の光モジュールまたは回路基板を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、十分な筐体強度を確保しつつ、低背化と高放熱性とを実現できるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図面を参照して本発明に係る光モジュールおよび回路基板の実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、各図面において、同一または対応する要素には適宜同一の符号を付している。さらに、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る光モジュールの模式的な斜視図である。
図2は、
図1に示す光モジュールの分解図である。
図3は、
図1に示す光モジュールの平面図である。
図4は、
図3のA−A線断面図である。
図5は、
図1に示す光モジュールの正面図である。
図6は、
図3のB−B線断面図である。以下、
図1〜
図6を用いて本実施の形態1に係る光モジュールについて説明する。
【0024】
光モジュール100は、筐体10と、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)アレイ素子20と、ICドライバ30と、マイクロレンズアレイ素子40と、レンズアレイ素子ホルダ50と、スペーサ60と、を備えている。
【0025】
筐体10は、矩形状の板部材11と、コの字状の枠部材12とを有している。板部材11は、たとえば樹脂などの誘電体と、配線パターンを形成する銅箔とを交互に例えば5層ずつ積層した積層基板の構造を有する。枠部材12は、たとえば樹脂などの誘電体と、配線パターンを形成する銅箔とを交互に例えば9層ずつ積層した積層基板の構造を有する。板部材11と枠部材12とは、板部材11と枠部材12との間の配線パターンを接続し、その導通を確保するように、接合層13において半田やAuバンプや導電性の樹脂等の第1接合材としての金属接合材13aで接合され、かつ金属接合材13aの間を埋めるように配置された第2接合材としての樹脂接着剤13bによって接合されている。板部材11と枠部材12とが接合されることによって、筐体10には、内部空間14と、素子実装面11aと、導波路導入口15とが形成される。内部空間14は、枠部材12の板部材11に接合している面とは反対側の基板実装面12aに開口14aを有し、枠部材12に囲まれている。素子実装面11aは、枠部材12が接合されていない板部材11の表面であり、内部空間14の内表面の一部を構成する。導波路導入口15は、基板実装面12aと交差している側面側に、枠部材12の開口によって形成され、開口14aおよび内部空間14に繋がっている。
【0026】
素子実装面11aにはマーカ11aaと、ICドライバ30を実装するための凹部11abとが形成されている。基板実装面12aには、例えば直径450μmの平面電極パッド16を例えばピッチ1mmで格子状に並べたランドグリッドアレイが形成されている。平面電極パッド16には、たとえば電源用の平面電極パッド16a、差動高周波信号用の平面電極パッド16b、グラウンド用の平面電極パッド16c、制御信号用の平面電極パッド16d、がある。図中、同種の平面電極パッドは同種のハッチングで表している。
【0027】
また、筐体10には、枠部材12から板部材11まで貫通するように形成された、位置合わせ(アラインメント)用の3個のガイド孔17を有する。ガイド孔17は、
図3において、二等辺三角形を形成するように配置されている。
【0028】
光学素子であるVCSELアレイ素子20は、複数(例えば12個)のVCSEL素子が1次元アレイ状に配列された素子であって、素子実装面11aの凹部11abの近傍に実装されている。電子素子であるICドライバ30はVCSELアレイ素子20を駆動するためのものであって、素子実装面11aの凹部11abに実装されている。マイクロレンズアレイ素子40は、VCSELアレイ素子20に対応させて配置されるものであり、VCSELアレイ素子20のVCSEL素子の数に対応した、例えば12個のマイクロレンズが1次元アレイ状に配列されて構成された素子である。マイクロレンズアレイ素子40は石英系ガラスなどのガラスや樹脂等のVCSELアレイ素子の出射光に関して透光性の材料からなるものである。
【0029】
レンズアレイ素子ホルダ50は、マイクロレンズアレイ素子40を、主表面51に形成された保持孔52によって保持し、かつマイクロレンズアレイ素子40の各マイクロレンズの光軸がVCSELアレイ素子20の対応する各VCSEL素子の光軸と一致するように保持する。レンズアレイ素子ホルダ50は、保持孔52の両側に形成された、アラインメント用のガイド孔53を有する。このガイド孔53を用いることで、MT型光コネクタを光モジュール100に嵌合させることができ、光モジュール100の特性を容易に評価することが可能となる。MT型光コネクタとは、JIS C5981に規定されたMTコネクタのように接続端面の両端に嵌合ピンの挿入可能なガイドピン孔を持ち、その間に光ファイバを配列した光コネクタを指す。スペーサ60は、板部材11の素子実装面11aとレンズアレイ素子ホルダ50との間に介挿される。このスペーサ60の厚みを変えると、マイクロレンズアレイ素子40とVCSELアレイ素子20との間の距離が変化することになる。それに伴い、VCSELアレイ素子20からマイクロレンズアレイ素子40を通して出射されたレーザ光の集光位置も変化する。これによって、筐体10の内部空間14の高さの公差によって生じる、基板実装面12aからマイクロレンズアレイ素子40の集光点までの距離のばらつきを補正することが可能である。レンズアレイ素子ホルダ50は、枠部材12に面する側面54の一部が、主表面51に対して傾斜するように面取り加工されている。なお、レンズアレイ素子ホルダ50およびスペーサ60はたとえば銅などの熱伝導性の高い金属材料からなるものが好ましい。
【0030】
この光モジュール100の動作を説明する。まず、ICドライバ30は、外部から平面電極パッド16および筐体10に形成された配線パターンを介して電源電圧、差動高周波信号、制御信号等を供給され、これらの信号を基にVCSELアレイ素子20を駆動する。VCSELアレイ素子20の各VCSEL素子は、差動高周波信号を含む、たとえば波長1.1〜1.5μmのレーザ光信号を出力する。マイクロレンズアレイ素子40の各マイクロレンズは、各VCSEL素子から出力されたレーザ光信号を受け付けて集光し、例えば外部の光学部品との所定の光学結合を実現する。なお、光学結合を実現する場合は、マイクロレンズアレイ素子40のようなレンズ素子を用いた方が、レンズ素子を用いないいわゆるバットカップリングよりも結合効率を高くできるので好ましい。
【0031】
つぎに、この光モジュール100の組立方法について説明する。まず、板部材11と枠部材12とを接合する。接合する際は、複数の金属接合材13aと、金属接合材13aの間を埋めるように配置した樹脂接着剤13bによって行う。金属接合材13aは半田リフローやAuバンプの圧接等によって接合する。このとき、融点が例えば融点が220℃程度のSnAuC系半田を用いる。または、たとえば金属ナノ粒子ペーストを用いた半田のように、リフロー時の溶融温度よりも、リフロー後の再溶融温度の方が高いような半田を用いてもよい。また、板部材11と枠部材12との間のアラインメントは、3個のガイド孔17を用いて行うことができる。
【0032】
ここで、内部空間14の高さを確保しつつ光モジュール100の高さを低く(低背化)して小型化するため、および、ICドライバ30が動作時に発生する熱を外部に効率よく放熱するためには、板部材11の厚さが薄い方が好ましい。しかし、板部材11が薄いと、その機械的強度が確保できないおそれがある。その結果、ICドライバ30からの熱で、板部材11の反りやたわみ等の変形が生じるおそれがある。これによって、たとえばVCSELアレイ素子20とマイクロレンズアレイ素子40との距離が変化し、上記の所定の光学結合の状態が劣化するおそれがある。しかしながら、本実施の形態1では、板部材11と枠部材12とが金属接合材13aだけでなく、金属接合材13aの間を埋めるように配置した樹脂接着剤13bによって接合しているので、板部材11と枠部材12との接合面積が大きくなる。これによって板部材11が薄くても、その機械的強度の不足が補われ、変形が抑制される。さらには、板部材11と枠部材12との接合面積が大きいので、放熱性がさらに高くなる。
【0033】
つぎに、素子実装面11aにVCSELアレイ素子20を実装する。VCSELアレイ素子20は、マーカ11aaを用いてアラインメントを行えば、より正確な位置に実装できるので好ましい。つぎに、素子実装面11aの凹部11abにICドライバ30を実装する。ICドライバ30は、素子実装面11aに形成された電極パッドとワイヤボンディングする。VCSELアレイ素子20とICドライバ30との間もワイヤボンディングする。ICドライバ30が凹部11abに実装されているので、VCSELアレイ素子20とICドライバ30との間の高さの差が小さくなるため、ボンディングワイヤの長さを短くできる。その結果、ICドライバ30からVCSELアレイ素子20にワイヤボンディングを介して出力される差動高周波信号の品質の劣化が抑制される。更に、底部11a、11bの板部材の厚みが薄くなるので、放熱性が向上する。
【0034】
また、平面電極パッド16のうち、電源用の平面電極パッド16aと制御信号用の平面電極パッド16dは、枠部材12の導波路導入口15側(コの字の先端側)に配置されている。これによって、差動高周波信号用の平面電極パッド16bから筐体10内の配線パターンを通してICドライバ30に到る経路には、差動高周波信号以外の信号用の配線パターンが存在しないこととなる。そのため、差動高周波信号用の配線パターンの取り回しが容易となり、パターン長を短くできるので、差動高周波信号の品質の劣化が抑制される。
【0035】
つぎに、接着剤等でスペーサ60を素子実装面11aに接着する。スペーサ60を金属等の、筐体10よりも剛性が高い材料で形成すれば、上記の板部材11の機械的強度の不足がさらに補われ、変形は抑制されるので、所定の光学結合の状態の劣化もさらに抑制される。
【0036】
また、上述したように、枠部材12は誘電体と銅箔とを交互に積層した構造を有するので、その厚さに製造誤差等による設計値からの誤差が生じやすい。枠部材12の厚さに誤差があると、内部空間14の高さにも誤差が生じるため、マイクロレンズアレイ素子40によって実現される所定の光学結合に誤差が生じることとなる。したがって、あらかじめ厚さが異なるスペーサ60を用意しておき、あらかじめ測定した枠部材12の厚さ(内部空間14の高さ)の誤差に応じて、その誤差を相殺するような厚さのスペーサ60を選定して用いれば、上記の光学結合の誤差の問題は解消される。
【0037】
つぎに、レンズアレイ素子ホルダ50の保持孔52にマイクロレンズアレイ素子40を挿入して接着する。つぎに、レンズアレイ素子ホルダ50をスペーサ60に載置し、VCSELアレイ素子20とマイクロレンズアレイ素子40とのアラインメントとを行った後に、レンズアレイ素子ホルダ50をスペーサ60に接着する。このとき、レンズアレイ素子ホルダ50やスペーサ60とICドライバ30との隙間を、シリコーン等の熱伝導性の高い樹脂で充填すれば、ICドライバ30の動作時に発生する熱が樹脂を介してレンズアレイ素子ホルダ50やスペーサ60から放熱されるので好ましい。
【0038】
VCSELアレイ素子20とマイクロレンズアレイ素子40とのアラインメントは、VCSELアレイ素子20を動作させてレーザ光を出力させた状態で、マイクロレンズアレイ素子40を透過した光の状態の観測によってアラインメントを行うという、いわゆるアクティブアラインメントによって行うことができる。なお、マイクロレンズアレイ素子40を透過した光の状態の観測は、たとえば顕微鏡を用いて行っても良いし、公知のMTコネクタ付の光ファイバアレイのMTコネクタをマイクロレンズアレイ素子40に対向させて、光ファイバアレイから出力されるレーザ光の強度を測定するようにしてもよい。ガイド孔53は、ガイドピンを介して評価用のMTコネクタと嵌合できるように形成されている位置決めするために設けられている。この場合、MTコネクタのガイド孔とレンズアレイ素子ホルダ50のガイド孔53とにガイドピンを挿通するようにすれば、MTコネクタをレンズアレイ素子ホルダ50と容易に嵌合させることが可能である)。この際にMTコネクタの光接続端面へ光が結合されるように有機導波路の光入出端面との間にスペーサを挿入する.これによって、MTコネクタとマイクロレンズアレイ素子40とを精度良くアラインメントすることができるとともに、光モジュール100の特性を容易に評価することが可能である。これによって、より位置精度の高いアクティブアラインメントが実現される。
【0039】
なお、上述したように、レンズアレイ素子ホルダ50は、枠部材12に面する側面54の一部が面取り加工されているので、レンズアレイ素子ホルダ50をスペーサ60に接着するための接着剤を流し込みやすく、作業性が高い。
【0040】
つぎに、光モジュール100の回路基板への実装方法について説明する。
図7は、光モジュールの回路基板への実装方法を説明する図である。
図7に示すように、回路基板200上には有機光導波路210が接着により搭載されている。有機光導波路210の一端は楔状の楔部211に加工されている。また、回路基板200上には、光モジュール100のガイド孔17の配置に対応させて配置された3個のマーカ220が設けられている。
【0041】
光モジュール100を回路基板200に実装する際は、例えば公知のフリップチップボンダを用いて行うことができる。この場合、フリップチップボンダのヘッドで光モジュール100の裏面11bを吸着して持ち上げ、光モジュール100を回路基板200上の所定の位置に移動させて載置し、ヘッドから、筐体10を介して熱を与えることによって、光モジュール100の各平面電極パッド16と回路基板200上の電極パッドとを半田接合する。これによって、光モジュール100が実装された回路基板1000が完成する。
【0042】
実装の際は、光モジュール100のガイド孔17と回路基板200上のマーカ220とを合わせるようにアラインメントすることによって、光モジュール100を正確に回路基板200の所望の位置に実装することができる。
【0043】
なお、有機光導波路210は回路基板200表面に突出しているが、光モジュール100を回路基板200に実装した際には、有機光導波路210は、導波路導入口15から内部空間14に導入された状態となるので、光モジュール100とは物理的に干渉しないようにできる。
【0044】
また、フリップチップボンダを用いて実装を行う際には、ヘッドから与える熱によって、板部材11と枠部材12とを接合している金属接合材13a、たとえば高融点半田が溶融しないように、この高融点半田よりも融点が低い低融点半田を用いることが好ましい。低融点半田としては、例えば融点が220℃程度のSnAuCu系半田や、融点が183℃程度のSnPb系半田や、融点が137℃程度のSnBi系半田を使用することができる。ただし、枠部材と板部材の接合にSnAgCuを用いた場合でも、溶融後に融点が上昇するため、光モジュール実装時に温度管理を正確に行えばSnAgCu系半田を使用することも可能である。また、マイクロレンズアレイ素子40がガラスからなるものであれば、フリップチップボンダによって実装のための加熱を行った場合でも、熱による変形等が起こりにくいので好ましい。また、マイクロレンズアレイ素子40、レンズアレイ素子ホルダ50、またはスペーサ60の接着に使用する接着剤についても、耐熱性が高いエポキシ樹脂等であれば好ましい。
【0045】
ただし、フリップチップボンダ実装や、ICドライバ30からの発熱によって、板部材11と枠部材12とを接合している金属接合材13aが溶融してしまったとしても、樹脂接着剤13bによって板部材11と枠部材12との接合が維持されるようにして、実装時等に筐体10に掛かる加圧力に耐えうるようにしてもよい。この点で、樹脂接着剤13bは金属接合材13aよりも熱による変形が少ない材料からなることが好ましい。樹脂接着剤13bとしてはたとえばエポキシ樹脂等の耐熱性が高い材料を用いることができる。また、前記金属接合剤13aと混合せず、前記金属接合剤13aが電気的な接続を担っている場合には絶縁性をもつ材料であると都合が良い。
【0046】
図8は、回路基板上に実装された光モジュールを説明する図である。
図8に示すように、VCSELアレイ素子20は、ボンディングワイヤ101によってICドライバ30と電気的に接続している。また、ICドライバ30は、ボンディングワイヤ102によって素子実装面11aの電極パッド(不図示)と電気的に接続している。さらに、電極パッドは、電気的経路DLで示すように、素子実装面11aに形成された配線パターンから、板部材11、接合層13、枠部材12、各平面電極パッド16を介して、回路基板200の配線パターンと電気的に接続している。
【0047】
光モジュール100のガイド孔17と回路基板200上のマーカ220とを合わせるようにアラインメントしたことによって、光モジュールの100のガイド孔17にVCSEL素子が位置あわせされており、回路基板200上のマーカ220と有機導波路210が位置あわせされているので、マイクロレンズアレイ素子40と有機光導波路210との位置関係が適正になるように実装されている。
【0048】
有機光導波路210は、導波路導入口15から内部空間14に導入されているので、光モジュール100とは物理的に干渉しないようになっている。また、枠部材12の厚さの適正な設定によって、有機光導波路210と、マイクロレンズアレイ素子40およびレンズアレイ素子ホルダ50とが物理的に干渉しないようになっている。このとき、内部空間14にごみ等が入らないように、導波路導入口15をグリスや樹脂等で塞いでも良い。
【0049】
光モジュール100の使用時には、ICドライバ30は、回路基板200から平面電極パッド16を介して電源電圧、差動高周波信号、制御信号等を供給される。VCSELアレイ素子20は、ICドライバ30によって駆動され、各VCSEL素子から、差動高周波信号を含むレーザ光信号Lを出力する。マイクロレンズアレイ素子40の各マイクロレンズは、各VCSEL素子から出力されたレーザ光信号Lを受け付けて、有機光導波路210の上方から有機光導波路210にレーザ光信号Lを集光する。楔部211は、集光されたレーザ光信号Lを反射して有機光導波路210に結合させる。有機光導波路210は、レーザ光信号Lを、例えば他の回路基板に伝送する。
【0050】
上述したように、スペーサ60は、板部材11の変形の抑制の効果、および枠部材12の厚さの公差によって生じる、基板実装面12aからマイクロレンズアレイ素子40の集光点までの距離のばらつきを減少する効果を奏するので、レーザ光信号Lの有機光導波路210への好適な結合が実現される。
【0051】
ここで、回路基板200には、光モジュール100と略同様の構成であるが、VCSELアレイ素子20の代わりに受光素子であるフォトダイオードアレイ素子が実装され、かつICドライバ30の代わりにトランスインピーダンスアンプやリミッティングアンプ等が実装された受信用光モジュールが実装されている。この受信用光モジュールは、他の回路基板から、他の有機光導波路を伝送してきたレーザ光信号を受光することができる。これによって、ボード間での光インターコネクションが実現される。
【0052】
以上説明したように、本実施の形態1に係る光モジュール100によれば、板部材11が薄くても、その変形が抑制されるので、十分な筐体強度を確保しつつ、光モジュール100の低背化と高放熱性が実現される。さらには、VCSELアレイ素子20が出力するレーザ光信号Lと有機光導波路210との好適な光学結合が実現される。
【0053】
(実施の形態2)
図9は、本発明の実施の形態2に係る光モジュールの模式的な断面図である。
図9に示すように、本実施の形態2に係る光モジュール100Aは、実施の形態1に係る光モジュール100において、筐体10を筐体10Aに置き換えた構成を有する点が、光モジュール100とは異なる。筐体10Aは、筐体10において、板部材11を板部材11Aに置き換えた構成を有する点、および、ガイド孔17に支持部材73が挿入されている点が、筐体10とは異なる。
【0054】
板部材11Aは、板部材11において、ICドライバ30の裏面側の凹部11abの底面から貫通するように、複数の棒状の放熱部材71が埋設された構成を有する。放熱部材71は熱伝導率が高い材質からなり、たとえば銅やアルミニウムからなることが好ましい。また、板部材11Aの裏面11bには放熱部材71に接するようにヒートシンク72が設けられている。ヒートシンク72も熱伝導率が高い材質からなり、たとえば銅やアルミニウムからなることが好ましい。
【0055】
支持部材73は、たとえば銅やアルミニウムなどの金属からなり、ガイド孔17に挿入されることによって、筐体10の機械的強度をさらに高めている。なお、支持部材73を圧入により挿入したり、ガイド孔17に接着剤等で固着させたりすれば、筐体10の機械的強度をさらに高めることができるのでより好ましい。
【0056】
この光モジュール100Aでは、放熱部材71とヒートシンク72とによって、ICドライバ30の動作時に発生する熱が放熱されるのでさらに好ましい。なお、板部材11Aに放熱部材71を埋設する代わりにビアホールを形成し、ビアホールに熱伝導率の高い放熱部材71を埋設する。また、支持部材73を回路基板に接触するような構造として、支持部材73を通して光モジュール100Aの熱を回路基板に放熱するようにしてもよい。
あるいは、ホルダ50と回路基板とを熱伝導性樹脂等で熱的に接続させることで放熱するようにしてもよい。
【0057】
光モジュールの実装方法の別の実施例として、半田を用いて実装する場合について説明する。
【0058】
一般的には、光モジュール100の平面電極パット16がある面(基板実装面12a)について、平面電極パット16上に半田ボールが、光モジュール100を作製するする最初の段階で載っている/あるいは光モジュール100を作製した後に載せた、BGA(ボール・グリッド・アレイ)状の光モジュール100とし、その半田を溶かして回路基板(Opto−基板)上にその光モジュール100を実装する。
【0059】
しかし、本実施例では、光モジュール100の平面電極面パット16は図のようにLGA(ランド・グリッド・アレイ)状とし、半田ボールを使用しない方法にて半田実装をおこなった。
【0060】
具体的には、電気的接続を行う所定箇所に穴が空いている約10μmの厚さのマスク板をOpto−基板に置き、その上から半田クリームを塗布し、ヘラのようなものでならして前記の穴に半田クリームを入れるとともに、前記マスク板厚より厚い余分な半田クリームを取除き、電気的接続をおこなう所定箇所に約100μmの厚さの半田クリーム層を形成する。
【0061】
その後、光モジュール100とOpto−基板の位置を合わせ、半田を溶かして実装する。この実装は、フリップチップボンダで実装する方法や、リフロー炉を通すリフロー実装の方法などがある。
その後、一般的なアンダーフィル材にて実装面の隙間を埋める。
【0062】
なお、前記の電気的接続をおこなう所定箇所に形成する約100μmの厚さの半田クリーム層は、光モジュール側に形成してもよい。
【0063】
また、半田ボールを使用しない方法にて半田実装を行った物(光モジュールを実装したOpto−基板)の信頼性に問題がないことを確認した。
【0064】
上記実装方法を用いた場合、BGAに比べて半田層を薄くすることが可能なので、枠部材と回路基板の距離のばらつきを小さくすることが可能であり、結果として、光モジュールから出力される光を安定して有機導波路へ結合させることが可能になる。
【0065】
なお、上記実施の形態では、光モジュールの筐体は導波路導入口を有するが、光導波路が表面に突出していないような回路基板に実装する場合には、導波路導入口を有しない筐体でもよい。すなわち、たとえば枠部材はロの字状などでもよい。コの字状の場合はLGAの配置可能な面積を大きく取れるので好ましい。
【0066】
また、回路基板上に設けられている光導波路は、基板表面に突出しているものとしては、有機光導波路に限らず、たとえばシリコン細線導波路等のリッジ型の光導波路や、光ファイバシート、PLCチップなどの光導波路でもよい。
【0067】
また、上記実施の形態では、第2接合材として樹脂接着剤を利用しているが、樹脂接着剤の代わりに、たとえば表面に接着剤を塗布した接着性を有する板材を、第1接合材の間を埋めるように配置してもよい。
【0068】
また、光モジュールの回路基板への実装方法は、フリップチップボンディングに限らず、たとえばリフローや半田スタッドの圧接によって行っても良い。また、上記の光モジュールまたは上記の回路基板を用いた通信システムを構成してもよい。
【0069】
また、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。たとえば、実施の形態2の支持部材73を実施の形態1に適用してもよい。また、筐体強度が確保されているので、例えば各実施の形態に係る光モジュール上にさらに他の素子を実装してもよい。この場合、当該他の素子をフリップチップボンディングする際に筐体に圧力が掛かっても、筐体の変形は抑制される。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。