(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記中継装置を2つ有し、これら2つの中継装置と、前記送電装置および前記受電装置との間隔を調整することで前記入力インピーダンスが所望の値になるようにすることを特徴とする請求項1に記載の電力伝送システム。
前記送電装置を構成する前記第1および前記第2電極、前記受電装置を構成する前記第3および前記第4電極、ならびに、前記中継装置を構成する前記第5および前記第6電極は、平板状の導体によって構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電力伝送システム。
前記送電装置、前記中継装置、および、前記受電装置を構成する各電極が対向するとともに、平行になるように配置されていることを特徴とする請求項3に記載の電力伝送システム。
前記送電装置および一の中継装置が地上側に配置され、前記受電装置および他の一の中継装置が車両に搭載され、前記2つの中継装置の位置を固定し、前記受電装置と前記送電装置の位置を調整することにより前記入力インピーダンスを調整することを特徴とする請求項4に記載の電力伝送システム。
前記送電装置、および、前記受電装置は、同一平面上に配置されるとともに、前記中継装置がこれらの中間の前記同一平面上に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の電力伝送システム。
前記送電装置、および、前記受電装置は、略直交する平面上に配置されるとともに、前記中継装置がこれらの中間に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の電力伝送システム。
前記送電装置、および、前記中継装置は、同一平面上に配置されるとともに、前記受電装置は前記送電装置または前記中継装置と電極同士が対向する位置に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の電力伝送システム。
前記受電装置は前記送電装置または前記中継装置と電極同士が対向する位置に配置され、前記受電装置と対向する中継装置または送電装置に隣接する中継装置であって、前記送電装置から遠い側の中継装置は前記第3インダクタンスによる電極同士の接続が開放状態にされることを特徴とする請求項8に記載の電力伝送システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された技術では、電力伝送が適正に行われるのは、送受電コイルが対向しており、その対向間隔が5〜10mmのときとされており(特許文献1の段落
【0005】
参照)、電力を伝送する距離を大きくできないという問題点がある。
【0006】
そこで、本発明は、電力を効率良く、長い距離を伝送できる電力伝送システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、送電装置から受電装置に対して交流電力を伝送する電力伝送システムにおいて、前記送電装置は、所定の距離を隔てて配置され、当該所定の距離を含む合計幅が近傍界であるλ/2π以下の長さを有する第1および第2電極と、前記第1および第2電極と交流電力発生部の2つの出力端子とをそれぞれ電気的に接続する第1および第2接続線と、前記第1および第2電極と前記交流電力発生部の2つの出力端子の少なくとも一方の間に挿入される第1インダクタと、を有し、前記受電装置は、所定の距離を隔てて配置され、当該所定の距離を含む合計幅が近傍界であるλ/2π以下の長さを有する第3および第4電極と、前記第3および第4電極と負荷の2つの入力端子とをそれぞれ電気的に接続する第3および第4接続線と、前記第3および第4電極と前記負荷の2つの入力端子の少なくとも一方の間に挿入される第2インダクタと、
を有し、前記送電装置と前記受電装置の間に少なくとも1つ配置され
、所定の距離を隔てて配置され、当該所定の距離を含む合計幅が近傍界であるλ/2π以下の長さを有する第5および第6電極と、前記第5および第6電極の間に接続された第3インダクタと、を有する中継装置を備え、前記中継装置は、前記送電装置および前記受電装置の間のインピーダンスを調整することにより前記送電装置の入力インピーダンスが所望の値になるようにする、ことを特徴とする。
このような構成によれば、電力を効率良く伝送できる電力伝送システムを提供することができる。
【0008】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記中継装置を2つ有し、これら2つの中継装置と、前記送電装置および前記受電装置との間隔を調整することで前記入力インピーダンスが所望の値になるようにすることを特徴とする。
このような構成によれば、入力インピーダンスを所望の値に調整することで、伝送距離によらず、電力を効率良く伝送することができる。
【0009】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記送電装置を構成する前記第1および前記第2電極、前記受電装置を構成する前記第3および前記第4電極、ならびに、前記中継装置を構成する前記第5および前記第6電極は、平板状の導体によって構成されていることを特徴とする。
このような構成によれば、電極を容易に構成することができる。
【0010】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記送電装置、前記中継装置、および、前記受電装置を構成する各電極が対向するとともに、平行になるように配置されていることを特徴とする。
このような構成によれば、入力インピーダンスの調整を容易に行うことができる。
【0011】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記送電装置および一の中継装置が地上側に配置され、前記受電装置および他の一の中継装置が車両に搭載され、前記2つの中継装置の位置を固定し、前記受電装置と前記送電装置の位置を調整することにより前記入力インピーダンスを調整することを特徴とする。
このような構成によれば、車両の種類によらず、電力を効率良く伝送することが可能になる。
【0012】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記送電装置、および、前記受電装置は、同一平面上に配置されるとともに、前記中継装置がこれらの中間の前記同一平面上に配置されていることを特徴とする。
このような構成によれば、長い距離を効率良く電力を伝送することができる。
【0013】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記送電装置、および、前記受電装置は、略直交する平面上に配置されるとともに、前記中継装置がこれらの中間に配置されていることを特徴とする。
このような構成によれば、直交する場所に対して電力を効率良く伝送することができる。
【0014】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記送電装置、および、前記中継装置は、同一平面上に配置されるとともに、前記受電装置は前記送電装置または中継装置と電極同士が対向する位置に配置されていることを特徴とする。
このような構成によれば、受電装置の位置が変化する場合であっても、電力を効率良く伝送することができる。
【0015】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記受電装置は前記送電装置または前記中継装置と電極同士が対向する位置に配置され、前記受電装置と対向する中継装置または送電装置に隣接する中継装置であって、前記送電装置から遠い側の中継装置は
前記第3インダクタンスによる電極同士の接続が開放状態にされることを特徴とする。
このような構成によれば、電力の反射を防ぐことで、受電装置の位置が変化する場合であっても、電力を効率良く伝送することが可能になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電力を効率良く伝送できる電力伝送システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態の動作原理を説明するための図である。
【
図3】
図2に示す等価回路の伝送特性を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る送電用カプラの構成例を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る送電用カプラと受電用カプラの構成例を示す図である。
【
図6】
図5に示す実施形態の送電用カプラの入力インピーダンスのスミスチャートである。
【
図7】
図5に示す実施形態のパラメータS11,S21,η21の周波数特性を示す図である。
【
図8】本発明の第1実施形態を説明するための図である。
【
図9】
図8に示す実施形態の送電用カプラの入力インピーダンスのスミスチャートである。
【
図10】
図8に示す実施形態のパラメータS11,S21,η21の周波数特性を示す図である。
【
図11】本発明の第1実施形態の構成例を示す図である。
【
図13】
図11に示す実施形態の送電用カプラの入力インピーダンスのスミスチャートである。
【
図14】
図11に示す実施形態のパラメータS11,S21,η21の周波数特性を示す図である。
【
図15】本発明の第2実施形態の構成例を示す図である。
【
図16】
図15に示す実施形態の送電用カプラの入力インピーダンスのスミスチャートである。
【
図17】
図15に示す実施形態のパラメータS11,S21,η21の周波数特性を示す図である。
【
図18】本発明の第3実施形態の構成例を示す図である。
【
図19】
図18に示す実施形態の送電用カプラの入力インピーダンスのスミスチャートである。
【
図20】
図18に示す実施形態のパラメータS11,S21,η21の周波数特性を示す図である。
【
図21】本発明の第4実施形態の構成例を示す図である。
【
図22】
図21に示す実施形態の送電用カプラの入力インピーダンスのスミスチャートである。
【
図23】
図21に示す実施形態のパラメータS11,S21,η21の周波数特性を示す図である。
【
図24】本発明の第5実施形態の構成例を示す図である。
【
図25】
図24に示す実施形態の送電用カプラの入力インピーダンスのスミスチャートである。
【
図26】
図24に示す実施形態のパラメータS11,S21,η21の周波数特性を示す図である。
【
図27】末端の中継用カプラを開放しない場合の構成例である。
【
図28】
図27に示す構成例の送電用カプラの入力インピーダンスのスミスチャートである。
【
図29】
図27に示す構成例のパラメータS11,S21,η21の周波数特性を示す図である。
【
図30】本発明の第6実施形態の構成例を示す図である。
【
図31】本発明の第7実施形態を説明するための図である。
【
図32】
図31に示す構成例の送電用カプラの入力インピーダンスのスミスチャートである。
【
図33】
図31に示す構成例のパラメータS11,S21,η21の周波数特性を示す図である。
【
図34】本発明の第7実施形態を説明するための図である。
【
図35】
図34に示す構成例の送電用カプラの入力インピーダンスのスミスチャートである。
【
図36】
図34に示す構成例のパラメータS11,S21,η21の周波数特性を示す図である。
【
図37】本発明の第7実施形態の構成例を示す図である。
【
図38】
図37に示す構成例の送電用カプラの入力インピーダンスのスミスチャートである。
【
図39】
図37に示す構成例のパラメータS11,S21,η21の周波数特性を示す図である。
【
図40】本発明の第7実施形態の他の構成例を示す図である。
【
図41】
図40に示す構成例の送電用カプラの入力インピーダンスのスミスチャートである。
【
図42】
図40に示す構成例のパラメータS11,S21,η21の周波数特性を示す図である。
【
図43】本発明の第8実施形態の他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態について説明する。
【0019】
(A)実施形態の動作原理の説明
まず、第1実施形態について説明する前に、本発明の動作原理について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る電力伝送システム1の動作原理を説明するための図である。この図の例では、電力伝送システム1は、送電装置10、および、受電装置20を有している。
【0020】
ここで、送電装置10は、電極11,12、インダクタ13,14、接続線15,16、および、交流電力発生部17を有している。また、受電装置20は、電極21,22、インダクタ23,24、接続線25,26、および、負荷27を有している。電極11,12およびインダクタ13,14は送電用カプラを構成する。電極21,22およびインダクタ23,24は受電用カプラを構成する。
【0021】
ここで、電極11,12は、導電性を有する部材によって構成され、所定の距離d1を隔てて配置されている。
図1の例では、電極11,12,21,22として、略同一のサイズを有する矩形形状を有する平板状の電極が例示されている。また、電極11と電極21は距離d2を隔てて対向するように平行に配置され、電極12と電極22も同じ距離d2を隔てて対向するように平行に配置されている。なお、電極11,12,21,22としては、
図1に示す以外の形状の電極であってもよい。例えば、円形または楕円形状の平板電極であったり、球形等の立体形状であったり、平板ではなく湾曲した形状または屈曲した形状の電極であったりしてもよい。
【0022】
電極11および電極12の距離d1を含む合計幅Dは、これらの電極から放射される電界の波長をλとした場合に、λ/2πで示される近傍界よりも狭くなるように設定されている。同様に、電極21および電極22の距離d1を含む合計幅Dは、λ/2πで示される近傍界よりも狭くなるように設定されている。また、電極11と電極21および電極12と電極22の間の距離d2についても、λ/2πで示される近傍界よりも短くなるように設定されている。
【0023】
インダクタ13,14は、例えば、導電性の線材(例えば、銅線)を巻回して構成され、
図1の例では、電極11,12の端部にそれぞれの一端が電気的に接続されている。接続線15はインダクタ13の他端と交流電力発生部17の出力端子の一端とを接続する導電性の線材(例えば、銅線)によって構成される。接続線16はインダクタ14の他端と交流電力発生部17の出力端子の他端とを接続する導電性の線材によって構成される。なお、接続線15,16は、同軸ケーブルまたは平衡ケーブルによって構成される。
【0024】
交流電力発生部17は、所定の周波数の交流電力を発生し、接続線15,16を介してインダクタ13,14に供給する。
【0025】
電極21,22は、電極11,12と同様に、導電性を有する部材によって構成され、所定d1の距離を隔てて配置されている。
【0026】
インダクタ23,24は、例えば、導電性の線材を巻回して構成され、
図1の例では、電極21,22の端部にそれぞれの一端が電気的に接続されている。接続線25はインダクタ23の他端と負荷27の入力端子の一端とを接続する導電性の線材(例えば、銅線)によって構成される。接続線26はインダクタ24の他端と負荷27の入力端子の他端とを接続する導電性の線材によって構成される。なお、接続線25,26は、同軸ケーブルまたは平衡ケーブルによって構成される。
【0027】
負荷27は、交流電力発生部17から出力され、送電用カプラおよび受電用カプラを介して伝送された電力が供給される。なお、負荷27は、例えば、整流装置および二次電池等によって構成されている。もちろん、これ以外であってもよい。
【0028】
図2は、
図1に示す電力伝送システム1の等価回路を示す図である。この
図2において、インピーダンス2は交流電力発生部17の出力インピーダンスを示し、インピーダンス27は負荷27の入力インピーダンスを示す。ここでは、ともにZ0の値を有するとして説明する。なお、等価回路に明示されない接続線15,16及び接続線25,26の特性インピーダンスもZ0とする。インダクタ3はインダクタ13,14に対応し、Lの素子値を有している。キャパシタ4は、電極11,12の間に生じる素子値Cのキャパシタから、電極11,12と電極21,22の間に生じる素子値Cmのキャパシタを減じた素子値(C−Cm)を有する。キャパシタ5は、電極11,12と電極21,22の間に生じるキャパシタを示し、Cmの素子値を有している。キャパシタ6は、電極21,22の間に生じる素子値Cのキャパシタから、電極11,12と電極21,22の間に生じる素子値Cmのキャパシタを減じた素子値(C−Cm)を有する。インダクタ7はインダクタ23,24に対応し、Lの素子値を有している。
【0029】
図3は、送電装置10と受電装置20の間のSパラメータの周波数特性を示している。具体的には、
図3の横軸は周波数を示し、縦軸は送電装置10から受電装置20への挿入損失(S21)を示している。この
図3に示すように、送電装置10から受電装置20への挿入損失は、周波数f
Cでインピーダンス極大値を有し、周波数f
Lおよびf
Hでインピーダンス整合点、すなわち、共振点を有している。ここで、周波数f
Cは、
図2に示すインダクタ3,7のインダクタンス値Lと、電極11,12または電極21,22によって形成されるキャパシタのキャパシタンス値Cによって定まる。また、周波数f
Lおよびf
Hは、
図2に示すインダクタ3,7のインダクタンス値Lと、電極11,12および電極21,22によって形成されるキャパシタのキャパシタンス値Cmと、ならびに、電極11,12の間および電極21,22の間にそれぞれ生じるキャパシタのキャパシタンス値Cによって近似値として定まる。
【0030】
交流電力発生部17が発生する交流電力の周波数は、
図3に示すf
Lまたはf
Hと等しくなるように設定される。このように、交流電力発生部17の周波数を設定することにより、送電装置10から受電装置20への挿入損失が略0dBとなることから、送電装置10から受電装置20に対して損失なく電力を送信することができる。
【0031】
図1に示す実施形態では、送電装置10の電極11,12と受電装置20の電極21,22は、電界共振結合されており、送電装置10の電極11,12から受電装置20の電極21,22に対して電界によって交流電力が伝送される。
【0032】
つまり、
図1に示す実施形態では、送電装置10の電極11,12と受電装置20の電極21,22は、近傍界であるλ/2πよりも短い距離d2だけ隔てて配置されているので、電極11,12から放射される電界成分が支配的である領域に電極21,22が配置される。また、電極11,12の間に形成されるキャパシタおよびインダクタ13,14による共振周波数と、電極21,22の間に形成されるキャパシタおよびインダクタ23,24による共振周波数とは略等しくなるように設定されている。このように、送電装置10の電極11,12と受電装置20の電極21,22は、電界共振結合されていることから、送電装置10の電極11,12から受電装置20の電極21,22に対して電界によって交流電力が効率よく伝送される。
【0033】
(B)実施形態の構成の説明
つぎに、本発明の第1実施形態について説明する。以下では、まず、中継装置を有しない構成について説明した後、中継装置を有する第1実施形態について説明する。
【0034】
図4,5は、中継装置を有しない構成例を示す斜視図である。ここで、
図4は、実施形態に係る送電用カプラ110の構成例を示している。また、
図5は送電用カプラ110と受電用カプラ120とを配置した状態を示す斜視図である。
【0035】
図4に示すように、送電用カプラ110は、矩形の板状形状を有する絶縁部材によって構成される回路基板118の表(おもて)面118A上に、矩形形状を有する導電性部材によって構成される電極111,112が配置されて構成される。回路基板118の裏面118Bには、この
図4の例では、電極等は配置されていない。具体的な構成例としては、例えば、ガラスエポキシ基板やガラスコンポジット基板等によって構成される回路基板118上に、銅等の導電性の薄膜によって電極111,112が形成される。電極111,112は、所定の距離d1だけ離れた位置に平行に配置されている。また、距離d1を含む電極111,112の幅Dは、これらの電極から放射される電界の波長をλとした場合に、λ/2πで示される近傍界よりも狭くなるように設定されている。なお、具体的なDの長さとしては、例えば、使用周波数が13.56MHzの場合には、50cm程度とし、また、これと直交する方向の長さLについても50cm程度とすることができる。
【0036】
回路基板118の電極111,112の短手方向の端部には、インダクタ113,114の一端がそれぞれ接続されている。また、インダクタ113,114の他端は、接続線115,116の一端にそれぞれ接続されている。接続線115,116は、電極111,112の領域およびこれらに挟まれる領域を回避するように配置されるとともに、これらの領域から遠ざかる方向(
図4の左下方向)に伸延するように配置されている。より詳細には、電極111,112のそれぞれの矩形領域と、これら2つの電極111,112によって挟まれた領域を回避して配置されるとともに、これらの領域から遠ざかる方向に伸延するように配置されている。このように配置することで、電極111,112と接続線115,116の間の干渉を少なくすることができるので、伝送効率の低下を防止できる。接続線115,116は、例えば、同軸ケーブルまたは平衡ケーブルによって構成されている。なお、接続線115,116の他端は、図示しない交流電力発生部の出力端子にそれぞれ接続されている。接続線115,116によって送電用カプラ110に交流電力発生部が接続されることにより、送電装置が構成される。
【0037】
送電用カプラ110は、電極111,112が所定の距離d1を隔てて配置されることによって形成されるキャパシタのキャパシタンスCと、インダクタ113,114のインダクタンスLによる直列共振回路を構成するので、これらによる固有の共振周波数f
Cを有している。
【0038】
受電用カプラ120は、送電用カプラ110と同様の構成とされ、回路基板128の表面128A上に、矩形形状を有する導電性部材によって構成される電極121,122およびインダクタ123,124が配置され、インダクタ123,124の他端に接続線125,126が接続されて構成される。電極121,122によって形成されるキャパシタのキャパシタンスCと、インダクタ123,124のインダクタンスLによる直列共振回路の共振周波数f
Cは送電用カプラ110と略同じに設定される。接続線125,126は、例えば、同軸ケーブルまたは平衡ケーブルによって構成されている。受電用カプラ120の接続線125,126の他端には、図示しない負荷が接続される。接続線125,126によって受電用カプラ120に負荷が接続されることにより、受電装置が構成される。
【0039】
図5は、送電用カプラ110と受電用カプラ120を対向配置した状態を示す図である。この図に示すように、送電用カプラ110と受電用カプラ120は、回路基板118,128の表面118A,128Aが対向するように距離d2を隔て、回路基板118,128が平行になるように配置される。送電用カプラ110と受電用カプラ120は、送電用カプラ110の2枚の電極111と112の間に生じる電界と受電用カプラ120の2枚の電極121と122の間に生じる電界を略平行とし、送電用カプラ110の2枚の電極111と112のギャップのx方向の位置と受電用カプラ120の2枚の電極121と122のギャップのx方向の位置が略同じ場合に、最も効率良く電力伝送ができる。
【0040】
つぎに、
図5に示す実施形態の動作について説明する。
図6は、送電用カプラ110と受電用カプラ120を40cm隔てて対向配置した場合(d2=40cmの場合)における送電用カプラ110のインピーダンスS11のスミスチャートを示している。この場合、測定器のポートインピーダンスは接続線路の特性インピーダンスZ0(実数値)
と等しい値に設定している。この図に示すように、本実施形態では、送電用カプラ110および受電用カプラ120のインピーダンスの軌跡は、スミスチャートの円の中心付近を通過することから、この付近において伝送を行うように設定することにより反射を抑えて効率良く電力を伝送することができる。
【0041】
図7は、送電用カプラ110と受電用カプラ120を40cm隔てて対向配置した場合(d2=40cmの場合)における送電用カプラ110と受電用カプラ120の間のSパラメータの周波数特性を示す図である。この図において、実線はパラメータS21の絶対値の周波数特性を示し、間隔が長い破線はパラメータS11の絶対値の周波数特性を示し、間隔が短い破線は伝送効率η21(=|S21|^2)の周波数特性を示している。ここで、パラメータS11は送電用カプラ110から入力した信号の反射を示し、パラメータS21は送電用カプラ110から受電用カプラ120への信号の通過を示し、伝送効率η21は送電用カプラ110から受電用カプラ120への信号の伝送効率を示す。この
図7に示すように、周波数13.56MHzにおいて、送電用カプラ110に入力した信号の反射が最小になるとともに、送電用カプラ110から受電用カプラ120への通過が最大になる。これにより、送電用カプラ110から受電用カプラ120への信号の伝送効率η21が約97%で最大となる。つまり、d=40cmにおいて、この電力伝送システム1はインピーダンスが整合すると言える。
【0042】
つぎに、
図8に示すように、送電用カプラ110と受電用カプラ120を60cm隔てて対向配置した場合(d2=60cmの場合)について説明する。このような場合、
図9のスミスチャートに示すように、入力インピーダンスは、円の中心から離れた位置を通るため、給電系と送電用カプラ110のインピーダンス整合がとれなくなることを示す。このため、
図10に示すように、ピーク周波数である13.56MHzにおけるパラメータS11の値が増加し、パラメータS21が減少し、伝送効率η21が減少している。つまり、
図5に示す実施形態では、伝送距離を40cm以上にすることは困難といえる。
【0043】
そこで、本発明の第1実施形態では、
図11に示すように、送電用カプラ110と受電用カプラ120の間に中継装置である中継用カプラ130を配置している。この例では、送電用カプラ110と中継用カプラ130の間の距離d21は40cmとされ、中継用カプラ130と受電用カプラ120の間の距離d22も40cmとされている。これにより、送電用カプラ110と受電用カプラ120の間の距離(伝送距離)は80cmとなる。
図12は、中継用カプラ130の詳細な構成例を示している。中継用カプラ130は、
図4と同様の構成を有するカプラのインダクタ133,134の他端同士が接続線135によって接続されて構成されている。なお、これらのインダクタ133,134を1つの構成としてもよい。この中継用カプラ130の共振周波数f
Cは、送電用カプラ110および受電用カプラ120と略同じになるように設定される。送電用カプラ110、受電用カプラ120及び中継用カプラ130は、各カプラの電極間に生じる電界を略平行とし、各カプラの2枚の電極間のギャップのx方向の位置が略同じ場合に、最も効率良く電力伝送ができる。
【0044】
図13は
図11に示す実施形態のスミスチャートを示し、
図14は
図11に示す実施形態のSパラメータの周波数特性を示している。
図13に示すように、
図14に示す実施形態では、伝送距離を40cmの2倍の距離となる80cmにした場合であっても、中継用カプラ130を用いることで、正規化された入力インピーダンスを1、すなわち、入力インピーダンスを供給系のインピーダンスと整合する50Ωにすることができる。このため、
図14に示すように、パラメータS11を周波数13.56MHzにおいて0に近くなるようにするとともに、パラメータS21を同周波数において1に近くなるように設定することができる。これにより、同周波数において、伝送効率η21を約97%程度にすることができる。つまり、第1実施形態では、中継用カプラ130を用いることで、伝送効率を殆ど低下させることなく、伝送距離を40cmから、2倍の80cmに延長することができる。
【0045】
つぎに、
図15を参照して第2実施形態について説明する。第2実施形態では、
図15に示すように、送電用カプラ110と受電用カプラ120の間に、2枚の中継用カプラ130,140を配置している。なお、
図15では、図面を簡略化するために、回路基板を省略して表示している。ここで、中継用カプラ130,140は、
図12と同様の構成とされる。この例では、送電用カプラ110と中継用カプラ130の間の距離d21は40cmとされ、中継用カプラ130と中継用カプラ140の間の距離d22は40cmとされ、中継用カプラ140と受電用カプラ120の間の距離d22は40cmとされている。これにより、送電用カプラ110と受電用カプラ120の間の距離(伝送距離)は120cmとなる。送電用カプラ110、受電用カプラ120及び中継用カプラ130,140は、各カプラの電極間に生じる電界を略平行とし、各カプラの2枚の電極間のギャップのx方向の位置が略同じ場合に、最も効率良く電力伝送ができる。
【0046】
図16は
図15に示す第2実施形態のスミスチャートを示し、
図17は
図15に示す実施形態のSパラメータの周波数特性を示している。
図16に示すように、
図15に示す実施形態では、伝送距離を40cmの3倍の距離となる120cmにしても、2枚の中継用カプラ130,140を用いることで、正規化された入力インピーダンスを1、すなわち、入力インピーダンスを供給系のインピーダンスと整合する50Ωにすることができる。このため、
図17に示すように、パラメータS11を周波数13.56MHzにおいて0に近くなるようにするとともに、パラメータS21を同周波数において1に近くなるように設定することができる。これにより、同周波数において、伝送効率η21を約95%程度にすることができる。つまり、第2実施形態では、2枚の中継用カプラ130,140を用いることで、伝送効率を殆ど低下させることなく、伝送距離を40cmから、3倍の120cmに延長することができる。
【0047】
つぎに、
図18を参照して第3実施形態について説明する。第3実施形態では、
図18に示すように、送電用カプラ110と受電用カプラ120が同一平面上に配置され、また、送電用カプラ110と受電用カプラ120の間に2枚の中継用カプラ130,140が列を成すように配置されている。この例では、送電用カプラ110と中継用カプラ130の間の距離d21は11cmとされ、中継用カプラ130と中継用カプラ140の間の距離d22は11cmとされ、中継用カプラ140と受電用カプラ120の間の距離d22は11cmとされている。これにより、送電用カプラ110の端部から受電用カプラ120の端部までの距離(伝送距離)は133cmとなる。なお、
図18では、図面を簡略化するために、回路基板を省略して表示している。送電用カプラ110、受電用カプラ120及び中継用カプラ130、140は、各カプラの電極間に生じる電界を略平行とし、各カプラの2枚の電極間のギャップのx方向の位置が略同じ場合に、最も効率良く電力伝送ができる。
【0048】
図19は
図18に示す第3実施形態のスミスチャートを示し、
図20は
図18に示す実施形態のSパラメータの周波数特性を示している。
図19に示すように、
図18に示す第3実施形態では、同一平面上に送電用カプラ110、受電用カプラ120、および、中継用カプラ130,140を直線上に配置した場合であっても、2枚の中継用カプラ130,140を用いることで、正規化された入力インピーダンスを略1にすることができる。このため、
図20に示すように、パラメータS11を周波数13.56MHzにおいて0に近くなるようにするとともに、パラメータS21を同周波数において1に近くなるように設定することができる。これにより、同周波数において、伝送効率η21を約96%程度にすることができる。つまり、第3実施形態では、2枚の中継用カプラ130,140を用いることで、伝送効率を殆ど低下させることなく、同一平面上に送電用カプラ110、受電用カプラ120、および、中継用カプラ130,140を配置することができる。
【0049】
つぎに、
図21を参照して第4実施形態について説明する。第4実施形態では、
図21に示すように、送電用カプラ110と中継用カプラ130,140が同一平面上に配置され、また、受電用カプラ120と中継用カプラ150が前述した平面と直交する平面上に配置されている。この例では、送電用カプラ110と中継用カプラ130の間の距離d21は11cmとされ、中継用カプラ130と中継用カプラ140の間の距離d22は11cmとされ、中継用カプラ140と中継用カプラ150の間の距離d23は19cmとされ、中継用カプラ150と受電用カプラ120の間の距離d24は11cmとされている。送電用カプラ110、受電用カプラ120及び中継用カプラ130、140、150は、各カプラの電極間に生じる電界を略平行とし、各カプラの2枚の電極間のギャップのx方向の位置が略同じ場合に、最も効率良く電力伝送ができる。
【0050】
図22は
図21に示す第4実施形態のスミスチャートを示し、
図23は
図21に示す第4実施形態のSパラメータの周波数特性を示している。
図22に示すように、
図21に示す第4実施形態では、直交する平面上に送電用カプラ110、受電用カプラ120、および、中継用カプラ130〜150を配置した場合であっても、3枚の中継用カプラ130〜150を用いることで、正規化された入力インピーダンスを略1にすることができる。このため、
図23に示すように、パラメータS11を周波数13.56MHzにおいて0に近くなるようにするとともに、パラメータS21を同周波数において1に近くなるように設定することができる。これにより、同周波数において、伝送効率η21を約95%程度にすることができる。つまり、第4実施形態では、3枚の中継用カプラ130〜150を用いることで、伝送効率を殆ど低下させることなく、直交する平面上に送電用カプラ110、受電用カプラ120、および、中継用カプラ130〜150を配置することができる。
【0051】
つぎに、
図24を参照して第5実施形態について説明する。第5実施形態では、
図24に示すように、送電用カプラ110と中継用カプラ130〜150が同一平面上に配置され、また、受電用カプラ120が送電用カプラ110または中継用カプラ130〜150のいずれかと対向配置される。
図24の例では、受電用カプラ120は、中継用カプラ140と対向配置されている。なお、送電用カプラ110と中継用カプラ130の間の距離d21は11cmとされ、中継用カプラ130と中継用カプラ140の間の距離d22は11cmとされ、中継用カプラ140と中継用カプラ150の間の距離d23は11cmとされ、中継用カプラ140と受電用カプラ120の間の距離d24は40cmとされている。送電用カプラ110、受電用カプラ120及び中継用カプラ130、140、150は、各カプラの電極間に生じる電界を略平行とし、各カプラの2枚の電極間のギャップのx方向の位置が略同じ場合に、最も効率良く電力伝送ができる。
【0052】
なお、
図24に示す第5実施形態では、受電用カプラ120と対向する中継用カプラまたは送電用カプラ110に隣接する中継用カプラであって、送電用カプラ110から遠い側の中継用カプラが有するインダクタ133,134の他端同士は接続線135による接続が開放状態とされる。
図24の例では、受電用カプラ120は中継用カプラ140と対向配置されているので、隣接する中継用カプラ130,150のうち、送電用カプラ110から遠い側の中継用カプラ150の接続線155は開放状態とされる。このように、開放状態とするのはつぎのような理由に基づく。すなわち、
図27に示すように、接続線155を開放しない中継用カプラ150Aを用いた場合、
図28に示すように、周波数13.56MHzにおける入力インピーダンスは正規化インピーダンスである1よりも大きい値となってしまうため、
図29に示すように、η21が殆ど0%になることから、電力が受電用カプラ120に伝送されない。
【0053】
そこで、第5実施形態では、中継用カプラ150の接続線155を開放状態にすることで、使用しない中継用カプラ150を無効化することができる。これにより、
図25に示すように、正規化インピーダンスを1に近づけることができるので、
図26に示すように、パラメータS11を周波数13.56MHzにおいて0に近くなるようにするとともに、パラメータS21を同周波数において1に近くなるように設定することができる。これにより、η21を92%にすることができる。
【0054】
なお、受電用カプラ120が移動可能の場合には、受電用カプラ120の位置を検出するとともに、受電用カプラ120よりも左側(
図24の左側)に接続されている中継用カプラの接続線を、例えば、半導体スイッチまたは電磁リレー等によって開放状態にするようにしてもよい。例えば、受電用カプラ120が送電用カプラ110と対向する位置に存在する場合には、中継用カプラ130の接続線135を開放状態とし、受電用カプラ120が中継用カプラ130と対向する位置に存在する場合には、中継用カプラ140の接続線145を開放状態とし、受電用カプラ120が中継用カプラ140と対向する位置に存在する場合には、中継用カプラ150の接続線155を開放状態とすればよい。
【0055】
つぎに、
図30を参照して第6実施形態について説明する。第5実施形態では、
図30に示すように、受電用カプラ120は、機材等の運搬車両であるフォークリフトの底面に配置される受電ユニット300の底部に配置されている。
図30に示す矢印の方向にフォークリフトが移動すると、受電ユニット300が移動するので、受電用カプラ120も移動する。このとき、中継用カプラ130〜150では、受電用カプラ120と対向する中継用カプラの右隣に位置する中継用カプラの接続線135を開放状態とする。このような構成によれば、
図24と同様の動作原理により、フォークリフトの位置が移動方向にずれた場合であっても少ない損失で充電を行うことができる。
【0056】
つぎに、
図31〜42を参照して第7実施形態について説明する。第7実施形態では、カプラ間の距離を調整することで、入力インピーダンスの整合を図り、伝送効率を高めることを目的とする。
図31は送電用カプラ110と受電用カプラ120の距離を60cmに設定した場合の状態を示し、
図34は送電用カプラ110と受電用カプラ120の距離を20cmに設定した場合の状態を示している。どちらも
図5と同様に、送電用カプラ110と受電用カプラ120は、送電用カプラ110の2枚の電極111と112の間に生じる電界と受電用カプラ120の2枚の電極121と122の間に生じる電界を平行とし、送電用カプラ110の2枚の電極111と112のギャップのx方向の位置と受電用カプラ120の2枚の電極121と122のギャップのx方向の位置を同じとしている。
【0057】
図32は
図31のスミスチャートを示し、
図33は
図31のSパラメータの周波数特性を示している。
図32に示すように、
図31の例では正規化インピーダンスは周波数13.56MHzにおいて1よりも小さい0.15程度の値となっている。
図33に示すようにη21は最大で45%となっている。
図35は
図34のスミスチャートを示し、
図36は
図34のSパラメータの周波数特性を示している。
図35に示すように、
図34の例では正規化インピーダンスは周波数13.56MHzにおいて1よりも大きい7程度の値となっている。
図36に示すようにη21は周波数13.56MHzにおいてが33%となっている。このように、送電用カプラ110と受電用カプラ120が最適な距離である40cmからずれると、伝送効率が悪化する。
【0058】
そこで、
図31の場合には
図37に示すように、送電用カプラ110と受電用カプラ120を中継用カプラ130,140に置換するとともに、送電用カプラ110と受電用カプラ120をこれらの中継用カプラ130,140から50cmずつ離れた位置に配置している。
図38は
図37のスミスチャートを示し、
図39は
図37のSパラメータの周波数特性を示している。
図38に示すように、
図37の構成によれば、周波数13.56MHzにおける正規化インピーダンスを略1にすることができる。また、
図39に示すようにη21の最大値を92%にすることができる。
【0059】
また、
図34の場合には
図40に示すように、送電用カプラ110と受電用カプラ120を中継用カプラ130,140に置換するとともに、送電用カプラ110と受電用カプラ120をこれらの中継用カプラ130,140から28cmずつ離れた位置に配置している。
図41は
図39のスミスチャートを示し、
図42は
図39のSパラメータの周波数特性を示している。
図41に示すように、
図39の構成によれば、周波数13.56MHzにおける正規化インピーダンスを略1にすることができる。また、
図42に示すようにη21の最大値を97%にすることができる。
【0060】
以上に説明したように、送電用カプラ110と受電用カプラ120の間に2つの中継用カプラ130,140を配置し、これらの距離を調整することで、入力インピーダンスが給電系と同じインピーダンスに整合させることで、伝送効率を高めることができる。
【0061】
なお、
図37および
図40に示す実施形態では、2枚の中継用カプラ130,140を配置するようにしたが、3枚以上の中継用カプラを配置し、それぞれの位置を調整することでインピーダンス整合を行うようにしてもよい。
【0062】
つぎに、
図43を参照して第8実施形態について説明する。第8実施形態では、送電用カプラ110が地側装置内に配置され、車両400に受電用カプラ120が配置されている。また、地側装置の上面には中継用カプラ130が配置され、車両400の底面には中継用カプラ140が配置されている。なお、送電用カプラ110には図示しない送電回路に接続される送電ケーブル117が接続され、また、受電用カプラ120には図示しない受電回路に接続される送電ケーブル127が接続されている。
【0063】
第8実施形態では、車両400が内蔵されている二次電池(不図示)を充電する場合には、中継用カプラ130の上に停車する。このとき、中継用カプラ130と中継用カプラ140の間の距離は、車種よって異なる。第7実施形態では、伝送効率が車種によって異なることを防ぐため、地側装置(送電装置)と、車両側に配置されている装置(受電装置)の間で、通信によって伝送効率が最大になるように、これらの距離が調整される。なお、伝送効率が最大になる距離を探索する方法としては、例えば、送電用カプラ110の入力インピーダンスが所望のインピーダンス(例えば、50Ω)になるように調整するか、または、送電用カプラ110における反射が最小になるように調整すればよい。
【0064】
以上の第8実施形態によれば、送電用カプラ110と受電用カプラ120を駆動装置によって駆動して位置を調整することにより、車種によらず、高い効率で電力を伝送して、車両に内蔵された二次電池を充電することができる。
【0065】
(C)変形実施形態の説明
以上の実施形態は一例であって、本発明が上述したような場合のみに限定されるものでないことはいうまでもない。例えば、以上の実施形態では、送電用カプラ110、受電用カプラ120、および、中継用カプラ130〜150の各電極が同じサイズを有するようにしたが、これらが異なるサイズを有するようにしてもよい。
【0066】
また、以上の実施形態では、例えば、第1,2,5,6,7,8に示す実施形態では、送電用カプラ110、受電用カプラ120、および、中継用カプラ130〜150の各電極を対向配置するようにしたが、例えば、これらが
図5に示すX方向またはY方向に多少ずれた状態で配置されるようにしてもよい。あるいは、送電用カプラ110、受電用カプラ120、および、中継用カプラ130〜150が所定の角度だけ相対的に回転するように配置してもよい。
【0067】
また、以上の各実施形態では、送電用カプラ110、受電用カプラ120、および、中継用カプラ130〜150の各電極を矩形形状としたが、矩形形状ではなく、円形または楕円形状であってもよい。あるいは、平板形状ではなく、湾曲したり、屈曲したりした形状であってもよいし、球形等の立体形状であってもよい。
【0068】
また、送電用カプラ110、受電用カプラ120、および、中継用カプラ130〜150のインダクタについては、電極と接続線の間に挿入するようにしたが、これ以外の場所に挿入することも可能である。また、以上の実施形態では、送電用カプラ110、受電用カプラ120、中継用カプラ130〜150に対してそれぞれ2つずつのインダクタを設けるようにしたが、インダクタを1つずつ設けるようにしてもよい。
【0069】
また、以上の実施形態では、インダクタとしては、導体線を円柱状に巻回して構成するようにしたが、例えば、マイクロストリップラインで使用されるような、平面上を蛇行する形状を有するものや、平面上で螺旋形状を有するものによって構成するようにしてもよい。