【実施例】
【0081】
以下に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
ただし、実施例1、3及び5はいずれも参考例である。
【0082】
吸水性樹脂及び吸水シート構成体の性能は、以下の方法により測定、評価した。
【0083】
<吸水性樹脂の生理食塩水保水能>
吸水性樹脂2.0gを、綿袋(メンブロード60番、横100mm×縦200mm)中に計り取り、500mL容のビーカーに入れた。綿袋に生理食塩水(0.9質量%塩化ナトリウム水溶液、以下同様)500gを一度に注ぎ込み、吸水性樹脂のママコが発生しないように生理食塩水を分散させた。綿袋の上部を輪ゴムで縛り、1時間放置して、吸水性樹脂を十分に膨潤させた。遠心力が167Gとなるよう設定した脱水機(国産遠心機株式会社製、品番:H−122)を用いて綿袋を1分間脱水し、脱水後の膨潤ゲルを含んだ綿袋の質量Wa(g)を測定した。吸水性樹脂を用いずに同様の操作を行い、綿袋の湿潤時空質量Wb(g)を測定し、次式により吸水性樹脂の生理食塩水保水能を求めた。
吸水性樹脂の生理食塩水保水能(g/g)=[Wa−Wb](g)/吸水性樹脂の質量(g)
【0084】
<吸水性樹脂の2.07kPa荷重下及び4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能>
吸水性樹脂の2.07kPa荷重下及び4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能は、
図1に概略構成を示した測定装置Xを用いて測定した。以下に2.07kPa荷重下を例に説明する。
【0085】
図1に示した測定装置Xは、ビュレット部1と導管2、測定台3、測定台3上に置かれた測定部4からなるものであった。ビュレット部1は、ビュレット10の上部にゴム栓14、下部に空気導入管11とコック12が連結されており、さらに、空気導入管11の上部にはコック13を有していた。ビュレット部1から測定台3までは、導管2が取り付けられており、導管2の直径は6mmであった。測定台3の中央部には、直径2mmの穴があいており、導管2が連結されていた。測定部4は、円筒40と、この円筒40の底部に貼着されたナイロンメッシュ41と、重り42とを有していた。円筒40の内径は、2.0cmであった。ナイロンメッシュ41は、200メッシュ(目開き75μm)に形成されていた。そして、ナイロンメッシュ41上に所定量の吸水性樹脂5を均一に撒布した。重り42は、直径1.9cm、質量59.8gであった。この重り42は、吸水性樹脂5上に置かれ、吸水性樹脂5に対して2.07kPaの荷重を均一に加えることができるようになっていた。
【0086】
このような測定装置Xを用いた荷重下での生理食塩水吸水能の測定は以下の手順によって実施した。測定は温度25℃、湿度45〜75%の室内にて行われた。まずビュレット部1のコック12とコック13を閉め、25℃に調節された生理食塩水をビュレット10上部から入れ、ゴム栓14でビュレット上部の密栓をした後、ビュレット部1のコック12、コック13を開けた。次に、測定台3中心部における導管2の先端と空気導入管11の空気導入口とが同じ高さになるように測定台3の高さの調整を行った。
【0087】
一方、円筒40のナイロンメッシュ41上に0.10gの吸水性樹脂5を均一に撒布して、この吸水性樹脂5上に重り42を置いた。測定部4は、その中心部が測定台3中心部の導管口に一致するようにして置いた。
【0088】
吸水性樹脂5が吸水し始めた時点から継続的に、ビュレット10内の生理食塩水の減少量(吸水性樹脂5が吸水した生理食塩水量)Wc(mL)を読み取った。
【0089】
測定装置Xを用いた測定において、吸水開始から60分間経過後における吸水性樹脂5の荷重下での生理食塩水吸水能を、次式により求めた。
吸水性樹脂の2.07kPa荷重下での生理食塩水吸水能(mL/g)=Wc(mL)÷0.10(g)
【0090】
測定装置Xを用いた測定において、重り42の質量を質量59.8gから119.6gに変更する以外は同様に測定を実施することで、吸水性樹脂の4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能を求めた。
【0091】
<吸水性樹脂の初期吸水速度及び有効吸水量>
吸水性樹脂の初期吸水速度及び有効吸水量は、
図2に示す測定装置を用いて測定した。
【0092】
当該測定装置は、ビュレット部1と導管2、測定台3、不織布45、架台65、クランプ75からなるものであった。ビュレット部1は、0.1mL単位で目盛が記載されたビュレット10の上部にゴム栓14、下部に空気導入管11とコック12が連結されており、さらに、ビュレット10の下部の先端にコック13を有していた。ビュレット部1はクランプ75で固定されていた。ビュレット部1と測定台3の間には、導管2が取り付けられており、導管2の内径は6mmであった。測定台3の中央部には、直径2mmの穴があいており、導管2が連結されていた。測定台3は架台65によって適切な高さに支持されていた。
【0093】
このような測定装置を用いた、初期吸水速度及び有効吸水量の測定は以下の手順によって実施した。測定は温度25℃、湿度45〜75%の室内にて行われた。まずビュレット部1のコック12とコック13を閉め、25℃に調節された生理食塩水をビュレット10上部から入れ、ゴム栓14でビュレット上部の密栓をした後、ビュレット部1のコック12、コック13を開けた。次に、気泡を除去しながら導管2内部に生理食塩水を満たし、測定台3中心部の導管口から出てくる生理食塩水の水面と、測定台3の上面とが同じ高さになるように測定台3の高さの調整を行った。
【0094】
次いで、測定台3中心部の導管口に30mm×30mmに裁断した不織布45(目付量25g/m
2の親水性レーヨンスパンレース)を敷き、平衡になるまで不織布に吸水させた。不織布が吸水している状態では、空気導入管11からビュレット10への気泡発生が見られたが、数分内に気泡発生が停止したことを確認して、平衡に到達したと判断した。平衡後、ビュレット10の目盛を読んで、ゼロ点を確認した。
【0095】
別途、吸水性樹脂5を0.10g正確に測りとり、不織布45の中心部に一気に投入した。ビュレット10内の生理食塩水の減少量(すなわち、吸水性樹脂5の粒子が吸水した生理食塩水量)を適宜読み取り、吸水性樹脂5の投入から起算して30秒後の生理食塩水の減量分Wd(mL)を吸水性樹脂0.10gあたりの吸水量として記録した。なお、30秒経過後も減量分の計測を続け、30分後に測定を完了した。測定は1種類の吸水性樹脂に対して5回実施し、30秒経過後の値において最低値と最高値を除いた3点の平均値とした。
【0096】
吸水性樹脂5の投入から30秒後に、ビュレット10内の生理食塩水の減少量(吸水性樹脂5が吸水した生理食塩水量)Wd(mL)を吸水性樹脂1gあたりの吸水量に変換し、さらに30(秒)で割って得られた商を、当該吸水性樹脂の初期吸水速度(mL/s)とした。すなわち、初期吸水速度(mL/s)=Wd÷(0.10×30)である。
【0097】
また、吸水性樹脂5の投入から30分間経過後に、ビュレット10内の生理食塩水の減少量(吸水性樹脂5が吸水した生理食塩水量)We(mL)を吸水性樹脂1gあたりの吸水量に変換し、当該吸水性樹脂の生理食塩水有効吸水量(mL/g)とした。すなわち、有効吸水量(mL/g)=We÷0.10である。
【0098】
<吸水性樹脂の生理食塩水吸水速度>
本試験は、25℃±1℃に調節された室内で行なった。100mL容のビーカーに、生理食塩水50±0.1gを量りとり、マグネチックスターラーバー(8mmφ×30mmのリング無し)を投入し、ビーカーを恒温水槽に浸漬して、液温を25±0.2℃に調節した。次に、マグネチックスターラー上にビーカーを置いて、回転数600r/minとして、生理食塩水に渦を発生させた後、吸水性樹脂2.0±0.002gを、前記ビーカーに素早く添加し、ストップウォッチを用いて、吸水性樹脂の添加後から液面の渦が収束する時点までの時間(秒)を測定し、吸水性樹脂の吸水速度とした。
【0099】
<吸水性樹脂の質量平均粒径>
吸水性樹脂100gに、滑剤として、0.5gの非晶質シリカ(デグサジャパン株式会社製、Sipernat 200)を混合し、測定用の吸水性樹脂を調
製した。
【0100】
前記吸水性樹脂を、JIS標準篩の目開き250μmの篩を用いて通過させ、その50質量%以上が通過する場合には(A)の篩の組み合わせを、その50質量%以上が篩上に残る場合には(B)の篩の組み合わせを用いて質量平均粒子径を測定した。
【0101】
(A)JIS標準篩を上から、目開き425μmの篩、目開き250μmの篩、目開き180μmの篩、目開き150μmの篩、目開き106μmの篩、目開き75μmの篩、目開き45μmの篩及び受け皿の順に組み合わせた。
(B)JIS標準篩を上から、目開き850μmの篩、目開き600μmの篩、目開き500μmの篩、目開き425μmの篩、目開き300μmの篩、目開き250μmの篩、目開き150μmの篩及び受け皿の順に組み合わせた。
【0102】
組み合わせた最上の篩に、前記吸水性樹脂を入れ、ロータップ式振とう器を用いて20分間振とうさせて分級した。
【0103】
分級後、各篩上に残った吸水性樹脂の質量を全量に対する質量百分率として計算し、粒子径の大きい方から順に積算することにより、篩の目開きと篩上に残った吸水性樹脂の質量百分率の積算値との関係を対数確率紙にプロットした。確率紙上のプロットを直線で結ぶことにより、積算質量百分率50質量%に相当する粒子径を質量平均粒子径とした。
【0104】
<不織布の親水度>
本明細書において、不織布の親水度は、紙パルプ試験方法No.68(2000)に記載の「はっ水性試験方法」に記載の装置を用いて測定した。
【0105】
すなわち、45度の傾斜をもつ試験片取り付け装置に、幅×長さが10cm×30cmの短冊状で、長手方向が不織布の縦方向(機械方向)となるように切断した試験片を取り付けた。ビュレットのコック開口部を30秒あたり10gの蒸留水を供給するように調整したビュレットを一旦乾燥させ、傾斜を持つ装置に取り付けた試験片の最上部から垂直方向に5mm上の部分にビュレットの先端が配置するように固定した。ビュレット上部から蒸留水約60gを仕込み、ビュレット先端から不織布試験片に液体が滴下され始めてから、試験片が液体を保持しきれずに下部から液体がもれ出るまでの時間(秒)を測定し、不織布の親水度とした。数値が大きいほど親水度が高いと判断される。
【0106】
通常、不織布の素材自身が親水性を有するか、親水化処理を施した不織布では、親水度の数値は5以上となる一方、親水性の低い素材の不織布では、表面近傍で液体が走り、より早く下部から液体がもれ出る傾向がある。
【0107】
<吸水シート構成体の生理食塩水保水能>
吸水シート構成体を、7cm四方の正方形に切断したものをサンプルとし、質量Wf(g)を測定した。綿袋(メンブロード60番、横100mm×縦200mm)中にサンプルを入れ、さらに綿袋を500mL容のビーカーに入れた。綿袋に生理食塩水500gを一度に注ぎ込んだのち、綿袋の上部を輪ゴムで縛り、1時間放置して、サンプルを十分に膨潤させた。遠心力が167Gとなるよう設定した脱水機(国産遠心機株式会社製、品番:H−122)を用いて綿袋を1分間脱水し、脱水後の膨潤サンプルを含んだ綿袋の質量Wg(g)を測定した。サンプルを用いずに同様の操作を行い、綿袋の湿潤時空質量Wh(g)を測定し、次式により吸水シート構成体の生理食塩水保水能を求めた。
吸水シート構成体の生理食塩水保水能(g/m
2)=[Wg−Wh−Wf](g)/0.0049(m
2)
【0108】
<吸水シート構成体の強度>
吸水シート構成体の強度は、以下の方法によって評価した。
得られた吸水シート構成体を10cm×10cmの大きさに切断した。次いで2枚の10cm×10cmアクリル板(質量約60g)の各片面の全面に両面テープを貼り付けた。
図3に示すように、前記吸水シート構成体をアクリル板22に重なるように貼り付けた後、アクリル板21、22の対角線が45度を成すように、かつ両面テープが吸水シート構成体23側を向くようにしてアクリル板21を吸水シート構成体23に貼り付け、動かないよう圧着した。
【0109】
このように調製された吸水シート構成体の強度テストピースを、前記<吸水性樹脂の質量平均粒径>の項で用いた、篩の金属製受け皿の中に入れて蓋をした後、ロータップ振とう機で3分間回転タッピングした。タッピング後の強度テストピースの外観に基づいて、以下の基準によって吸水シート構成体の強度を評価した。
【0110】
○:外観に変化無く、アクリル板をずらそうとしても容易には動かなかった。
△:外観に変化無いが、アクリル板をずらすと、吸水シート構成体は分裂した。
×:吸水シート構成体は分裂し、内容物が散乱していた。
【0111】
<吸水シート構成体の触感>
吸水シート構成体の触感は、以下の方法により評価した。得られた吸水シート構成体を10cm×30cmに切断したものをサンプルとして用いた。サンプルが吸水シート構成体の柔らかさと形態保持性を両立しているか否かを、以下の基準によって、パネラー10名に3段階評価してもらい、その評価値を平均することで、吸水シート構成体の触感を評価した。
【0112】
段階A:折り曲げる際の感触が柔らかい。内部からの散逸物も見られない。(評価値:5)。
段階B:折り曲げる際に抵抗を感じる。又は、感触は柔らかいものの、内部からの散逸物が散見される。(評価値:3)。
段階C:折り曲げにくく、曲げた後の復元力も乏しい。又は、柔らかすぎて、内部からの散逸物がバラバラ落ちたり、不織布が簡単にめくれたりする。(評価値:1)。
【0113】
<吸水シート構成体の製造時における作業性>
後述する実施例、比較例に記載された製造プロセスに従って、同じ吸水シート構成体を不織布の機械方向長さで、積算して20m分となるよう、断続的に製造した。
【0114】
得られた吸水シート構成体及び製造後におけるシート製造機械の状態を、作業者3名に、表1に示す基準によって3段階評価してもらい、各項目の評価値を平均することで、吸水シート構成体の製造時における作業性を評価した。
【0115】
【表1】
【0116】
<吸水シート構成体の剥離強度(N/7cm)>
吸水シート構成体の剥離強度は、以下の方法により測定した。得られた吸水シート構成体を7cm×7cmの正方形に切断し、次いで、吸水シート構成体を形成する不織布の縦方向(機械方向)が引っ張り方向となるように、試験片の片側を、幅2cm分だけ均一に剥離させた。
【0117】
剥離させた2cm幅の部分を、幅8.5cmのチャックを取り付けた引っ張り試験機(島津製作所製、オートグラフAGS−J)の上下のチャックにそれぞれ取り付け、チャック間距離をゼロに設定した。
【0118】
試験片を0.5cm/分の速度で180°の方向に引っ張り、チャック間距離4cmまでの試験値(荷重)をコンピューターで連続的に記録した。引っ張り距離0〜4cmにおける、試験値(荷重)の平均値を、吸水シート構成体の剥離強度(N/7cm)とした。測定は5回行い、最大値と最小値を除いた3つの数値を平均した値を用いた。
【0119】
<吸水シート構成体の乾燥状態の厚みの測定>
吸水シート構成体を10cm×30cmの短冊状で、長手方向が不織布の縦方向(機械方向)となるように切断したものを、サンプルとして使用した。厚み測定器(株式会社尾崎製作所製、型番:J−B)を用いて、長手方向に左端、中央、右端の3箇所(左から3cmを左端、15cmを中央、27cmを右端)を測定した。幅方向は中央部を測定した。厚みの測定値は各箇所で3回測定して平均した。さらに、左端、中央、右端の値を平均して、吸水シート構成体全体の厚みとした。
【0120】
<吸水シート構成体の合計浸透速度及び逆戻り量の評価>
吸水シート構成体を10cm×30cmの短冊状で、長手方向が不織布の縦方向(機械方向)となるように切断したものを、サンプルとして使用した。
【0121】
10L容の容器に、塩化ナトリウム60g、塩化カルシウム二水和物1.8g、塩化マグネシウム六水和物3.6g及び適量の蒸留水を入れ、完全に溶解させた。次に、1質量%ポリ(オキシエチレン)イソオクチルフェニルエーテル水溶液15gを添加し、さらに蒸留水を添加して、水溶液全体の質量を6000gに調整した後、少量の青色1号で着色して、試験液を調製した。
【0122】
サンプル(吸水シート構成体)の上部に、サンプルと同じ大きさ(10cm×30cm)、目付量22g/m
2のポリエチレン製エアスルー型多孔質液体透過性シートを載せた。また、サンプルの下にこのシートと同じ大きさ、目付量のポリエチレン製液体不透過性シートを置き、簡易的な吸収性物品を作製した。この吸収性物品の中心付近に、内径3cmの円筒型シリンダーを置き、50mLの試験液を一度に投入するとともに、ストップウォッチを用いて、試験液が完全に吸収性物品に浸透するまでの時間を測定し、1回目の浸透速度(秒)とした。次いで、30分後及び60分後にも1回目と同じ位置に円筒型シリンダーを置いて同様の操作を行い、2回目及び3回目の浸透速度(秒)を測定した。1回目〜3回目の秒数の合計を合計浸透速度とした。
【0123】
1回目の試験液投入開始から120分後にシリンダーを取り除き、吸収性物品上の液体投入位置付近に、あらかじめ質量(Wi(g)、約70g)を測定しておいた10cm四方の濾紙(約80枚)を置き、その上に底面が10cm×10cmの5kgの重りを載せた。5分間の荷重後、濾紙の質量(Wj(g))を測定し、増加した質量を逆戻り量(g)とした。
逆戻り量(g)=Wj−Wi
【0124】
<傾斜における漏れ試験>
傾斜における漏れ試験は、
図4に示す装置を用いて行った。
概略としては、市販の実験設備用の架台31を用いて、アクリル板32を傾斜させて固定した後、板上に載置した吸収性物品33に鉛直上方から滴下ロート34で前記の試験液を投入し、漏れ量を天秤35で計量する装置である。以下に詳細な仕様を示す。
【0125】
アクリル板32は傾斜面方向の長さが45cmで、架台31によって水平に対して成す角45±2°になるよう固定した。アクリル板32は幅100cm、厚さ1cmで、複数の吸収性物品33を並行して測定することも可能であった。アクリル板32の表面は滑らかなので、板に液体が滞留したり吸収されたりすることはなかった。
【0126】
架台31を用いて、滴下ロート34を傾斜アクリル板32の鉛直上方に固定した。滴下ロート34は、容量100mL、先端部の内径が4mmであり、8mL/秒で液体が投入されるようにコックの絞りを調整した。
【0127】
アクリル板32の下部には、金属製のトレイ36を載置した天秤35が設置されており、漏れとして流れ落ちる試験液をすべて受けとめ、その質量を0.1gの精度で記録した。
【0128】
このような装置を用いた傾斜における漏れ試験は、以下の手順で行った。幅×長さが10cm×30cmの短冊状で、長手方向が不織布の縦方向(機械方向)となるように切断した吸水シート構成体の質量を測定した後、同サイズのエアスルー型ポリエチレン製液体透過性不織布(目付量22g/m
2)を上方から付し、さらに、同サイズ、同目付量のポリエチレン製液体不透過性シートを下方から付して作製した簡易的な吸収性物品33を、アクリル板32上に貼り付けた(漏れを作為的に止めないために、吸収性物品33の下端はアクリル板32上には貼り付けなかった)。
【0129】
吸収性物品33の上端から2cm下方向の箇所に目印をつけ、滴下ロート34の投入口を、目印から鉛直上方距離8±2mmになるように固定した。
【0130】
天秤35を起動させ、表示をゼロに補正した後、滴下ロート34に前記試験液80mLを一度に投入した。試験液が吸収性物品33に吸収されずに傾斜したアクリル板32を流れ、金属製トレイ36に入った液量を測定し、1回目の漏れ量(g)とした。この1回目の漏れ量(g)の数値をLW1とした。
【0131】
1回目の投入開始から10分間隔にて、同様に2回目、3回目の試験液を投入して、2回目、3回目の漏れ量(g)を測定し、その数値をそれぞれLW2、LW3とした。
【0132】
次いで、以下の式に従って漏れ指数を算出した。指数が小さいほど、吸水シート構成体の傾斜における漏れ量、特に初期の漏れ量が少なく、優れた吸水シート構成体と判断される。
漏れ指数:L=LW1×10+LW2×5+LW3
【0133】
(製造例1:吸水性樹脂A)
還流冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入管、撹拌機として翼径50mmの4枚傾斜パドル翼を2段で有する撹拌翼を備えた内径100mmの丸底円筒型セパラブルフラスコを準備した。このフラスコにn−ヘプタン500mLをとり、界面活性剤としてのHLB3のショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ株式会社製、リョートーシュガーエステルS−370)0.92g、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体(三井化学株式会社製、ハイワックス1105A)0.92gを添加し、80℃まで昇温して界面活性剤を溶解したのち、50℃まで冷却した。
【0134】
一方、500mLの三角フラスコに80.5質量%のアクリル酸水溶液92gをとり、外部より冷却しつつ、20.0質量%の水酸化ナトリウム水溶液154.1gを滴下して75モル%の中和を行ったのち、過硫酸カリウム0.11g、N,N’−メチレンビスアクリルアミド9.2mgを加えて溶解し、第1段目の単量体水溶液を調製した。
【0135】
撹拌機の回転数を600r/minとして、前記単量体水溶液全量を前記セパブルフラスコに添加して、系内を窒素で置換しながら、35℃で30分間保持した後、70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合を行うことにより、第1段目の重合後スラリーを得た。
【0136】
一方、別の500mLの三角フラスコに80.5質量%のアクリル酸水溶液128.8gをとり、外部より冷却しつつ、24.7質量%の水酸化ナトリウム水溶液174.9gを滴下して75モル%の中和を行ったのち、過硫酸カリウム0.16g、N,N’−メチレンビスアクリルアミド12.9mgを加えて溶解して、第2段目の単量体水溶液を調製し、温度を約25℃に保持した。
【0137】
前記重合後スラリーの入った撹拌機の撹拌回転数を1000r/minに変更した後、25℃に冷却し、前記第2段目の単量体水溶液全量を系内に添加し、窒素で置換しながら30分間保持した。再度、フラスコを70℃の水浴に浸漬して、昇温し、重合を行うことにより、第2段目の重合後スラリーを得た。
【0138】
次いで、120℃の油浴を使用して昇温し、水とn−ヘプタンを共沸することにより、n−ヘプタンを還流しながら、269.8gの水を系外へ抜き出した後、エチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水溶液8.83gを添加し、80℃で2時間保持した。その後、n−へプタンを蒸発させて乾燥することによって、球状粒子が凝集した形態の吸水性樹脂Aを231.2g得た。得られた吸水性樹脂Aの性能は、質量平均粒径:350μm、生理食塩水吸水速度:33秒、生理食塩水保水能:43g/g、2.07kPa荷重下での生理食塩水吸水能:33mL/g、4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能:18mL/g、初期吸水速度:0.17mL/s、有効吸水量:64mL/gであった。
【0139】
(製造例2:吸水性樹脂B)
前記製造例1において、第1段目重合後スラリーの冷却温度を25℃から28℃に変更した以外は吸水性樹脂Aの製造例1と同様の操作を行い、球状粒子が凝集した形態の吸水性樹脂Bを231.3g得た。得られた吸水性樹脂Bの性能は、質量平均粒径:300μm、生理食塩水吸水速度:24秒、生理食塩水保水能:42g/g、2.07kPa荷重下での生理食塩水吸水能:32mL/g、4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能:18mL/g、初期吸水速度:0.19mL/s、有効吸水量:62mL/gであった。
【0140】
(製造例3:吸水性樹脂C)
還流冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入管、撹拌機として翼径50mmの4枚傾斜パドル翼を2段で有する撹拌翼を備えた内径100mmの丸底円筒型セパラブルフラスコを準備した。このフラスコにn−ヘプタン500mLをとり、界面活性剤としてのHLB3のショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ株式会社製、リョートーシュガーエステルS−370)0.92g、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体(三井化学株式会社製、ハイワックス1105A)0.92gを添加し、80℃まで昇温して界面活性剤を溶解したのち、50℃まで冷却した。
【0141】
一方、500mLの三角フラスコに80.5質量%のアクリル酸水溶液92gをとり、外部より冷却しつつ、20.0質量%の水酸化ナトリウム水溶液154.1gを滴下して75モル%の中和を行ったのち、過硫酸カリウム0.11g、N,N’−メチレンビスアクリルアミド9.2mgを加えて溶解し、第1段目の単量体水溶液を調製した。
【0142】
撹拌機の回転数を450r/minとして、前記単量体水溶液全量を前記セパブルフラスコに添加して、系内を窒素で置換しながら、35℃で30分間保持した後、70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合を行うことにより、第1段目の重合後スラリーを得た。
【0143】
一方、別の500mLの三角フラスコに80.5質量%のアクリル酸水溶液128.8gをとり、外部より冷却しつつ、24.7質量%の水酸化ナトリウム水溶液174.9gを滴下して75モル%の中和を行ったのち、過硫酸カリウム0.16g、N,N’−メチレンビスアクリルアミド12.9mgを加えて溶解して、第2段目の単量体水溶液を調製し、温度を約25℃に保持した。
【0144】
前記重合後スラリーの入った撹拌機の撹拌回転数を1000r/minに変更した後、25℃に冷却し、前記第2段目の単量体水溶液全量を系内に添加し、窒素で置換しながら30分間保持した。再度、フラスコを70℃の水浴に浸漬して、昇温し、重合を行うことにより、第2段目の重合後スラリーを得た。
【0145】
次いで、120℃の油浴を使用して昇温し、水とn−ヘプタンを共沸することにより、n−ヘプタンを還流しながら、265.5gの水を系外へ抜き出した後、エチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水溶液6.62gを添加し、80℃で2時間保持した。その後、n−へプタンを蒸発させて乾燥することによって、球状粒子が凝集した形態の吸水性樹脂Cを232.1g得た。得られた吸水性樹脂Cの性能は、質量平均粒径:370μm、生理食塩水吸水速度:41秒、生理食塩水保水能:35g/g、2.07kPa荷重下での生理食塩水吸水能:34mL/g、4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能:25mL/g、初期吸水速度:0.18mL/s、有効吸水量:57mL/gであった。
【0146】
(製造例4:吸水性樹脂Dの製造)
還流冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入管、撹拌機として翼径50mmの4枚傾斜パドル翼を2段で有する撹拌翼を備えた内径100mmの丸底円筒型セパラブルフラスコを準備した。このフラスコにn−ヘプタン550mLをとり、界面活性剤としてのHLB8.6のソルビタンモノラウレート(日油株式会社製、ノニオンLP−20R)0.84gを添加し、50℃まで昇温して界面活性剤を溶解したのち、40℃まで冷却した。
【0147】
一方、500mLの三角フラスコに80.5質量%のアクリル酸水溶液70gを入れ、これを氷冷しながら20.9質量%水酸化ナトリウム水溶液112.3gを滴下して75モル%の中和を行ったのち、過硫酸カリウム0.084gを加えて溶解し、単量体水溶液を調製した。
【0148】
撹拌機の回転数を800r/minとして、前記単量体水溶液全量を前記セパラブルフラスコに添加して、系内を窒素で30分間置換した後、70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合反応を2時間行った。
【0149】
次いで、120℃の油浴を使用して昇温し、水とn−ヘプタンを共沸することにより、n−ヘプタンを還流しながら、85.5gの水を系外へ抜き出した後、エチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水溶液3.50gを添加し、80℃で2時間保持した。その後、n−へプタンを蒸発させて乾燥することによって、顆粒状の吸水性樹脂Dを72.3g得た。得られた吸水性樹脂Dの性能は、質量平均粒径:240μm、生理食塩水吸水速度:3秒、生理食塩水保水能:38g/g、2.07kPa荷重下での生理食塩水吸水能:31mL/g、4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能:15mL/g、初期吸水速度:0.34mL/s、有効吸水量:63mL/gであった。
【0150】
(製造例5:吸水性樹脂E)
アクリル酸ナトリウム(中和率75モル%)の39質量%水溶液2750gに、架橋剤としてのトリメチロールプロパントリアクリレート1.8gを溶解させて反応液とした。次に、この反応液を窒素ガス雰囲気下で30分間脱気した。次いで、シグマ型羽根を2本有する内容積5Lのジャケット付きステンレス製双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器に、上記反応液全量を供給し、反応液を30℃に保ちながら系を窒素ガス置換した。続いて、反応液を攪拌しながら、過硫酸アンモニウム1.2g及びL−アスコルビン酸0.06gを水6gに各々溶解したものを添加したところ、凡そ1分後に重合が開始した。そして、30℃〜80℃で重合を行い、重合を開始して60分後に含水ゲル状重合体を取り出した。
【0151】
得られた含水ゲル状重合体は、その径が約5mmに細分化されていた。この細分化された含水ゲル状重合体を300μmの金網上に広げ、150℃で熱風乾燥した。次いで、ボールミルを用いて乾燥物を粉砕し、さらに850μmの金網で分級することにより、質量平均粒径が390μmの不定形破砕状の吸水性樹脂前駆体を得た。
【0152】
撹拌機を付した1Lセパラブルフラスコに、得られた吸水性樹脂前駆体100gを仕込み、別途調
製したエチレングリコール0.5g、グリセロールポリグリシジルエーテル0.1g、水3g、エタノール1gからなる架橋
剤水溶液を、吸水性樹脂前駆体を撹拌しながらスプレーで噴霧混合した。次いで、上記の混合物を撹拌しながら油浴にて昇温し、195℃で40分間加熱処理することにより、不定形破砕状の吸水性樹脂粒子Eを得た。得られた吸水性樹脂Eの性能は、質量平均粒径:390μm、生理食塩水吸水速度:56秒、生理食塩水保水能:37g/g、2.07kPa荷重下での生理食塩水吸水能:31mL/g、4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能:22mL/g、初期吸水速度:0.38mL/s、有効吸水量:55mL/gであった。
【0153】
(製造例6:吸水性樹脂F)
前記製造例5において、含水ゲル状重合体の乾燥物を粉砕し、分級する際の金網を1.1mm〜300μmに変更した以外は吸水性樹脂Eの製造例5と同様の操作を行い、不定形破砕状の吸水性樹脂Fを得た。得られた吸水性樹脂Fの性能は、質量平均粒径:530μm、生理食塩水吸水速度:87秒、生理食塩水保水能:36g/g、2.07kPa荷重下での生理食塩水吸水能:32mL/g、4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能:24mL/g、初期吸水速度:0.36mL/s、有効吸水量:53mL/gであった。
【0154】
(製造例7:吸水性樹脂G)
前記製造例5において、含水ゲル状重合体の乾燥物を粉砕し、分級する際の金網を106μmに変更し、ふるいの通過分を採取するようにした以外は吸水性樹脂Eの製造例5と同様の操作を行い、不定形破砕状の吸水性樹脂Gを得た。得られた吸水性樹脂Gの性能は、質量平均粒径:50μm、生理食塩水吸水速度:7秒、生理食塩水保水能:39g/g、2.07kPa荷重下での生理食塩水吸水能:24mL/g、4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能:18mL/g、初期吸水速度:0.40mL/s、有効吸水量:58mL/gであった。
【0155】
(実施例1)
ローラー型散布機(株式会社ハシマ製:シンターエースM/C)の投入口に、接着剤としてのエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA;融点95℃)50質量部と、吸水性樹脂として製造例1の吸水性樹脂Aの240質量部とを均一混合させたものを仕込んだ。一方、散布機下部のコンベアーに、幅30cmのポリプロピレン製スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)不織布に親水化剤により親水化処理したもの(目付量13g/m
2、厚さ:150μm、ポリプロピレン含有率:100%、親水度=16;「不織布A」とする)を敷いた。次いで、散布ローラーと下部コンベアーを稼動させることにより、前記混合物を目付量290g/m
2で前記不織布上に均一に積層した。
【0156】
得られた積層体を、別の不織布Aで挟みつけた後、加熱温度を130℃に設定した熱ラミネート機(株式会社ハシマ製:直線式接着プレスHP−600LF)にて熱融着させることで一体化し、吸水シート構成体を得た。得られた吸水シート構成体の断面を模式的に示せば、
図5のような構造であった。
図5において、吸水シート構成体51は吸収層53が不織布56及び57により当該吸収層53の上方及び下方から狭持された構造であった。吸収層53は、吸水性樹脂52及び接着剤50を含有してなる構造であった。得られた吸水シート構成体を所定の大きさに切断し、前記各種測定及び評価を行った。結果を表3に示す。
【0157】
(実施例2)
加熱温度を150℃に設定したホットメルト塗工機(株式会社ハリーズ製:マーシャル150)上に、幅30cmのポリプロピレン製SMMS不織布に親水化剤により親水化処理したもの(目付量:15g/m
2、厚さ:170μm、ポリプロピレン含有率:100%、親水度=20;「不織布B」とする)を敷いた後、接着剤としてスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS;軟化点85℃)を目付量30g/m
2で当該不織布上に塗布した。
【0158】
次に、ローラー型散布機(株式会社ハシマ製:シンターエースM/C)の投入口に、吸水性樹脂として製造例2の吸水性樹脂Bを仕込んだ。一方、散布機下部のコンベアーに、前記接着剤塗布不織布を敷いた。次いで、散布ローラーと下部コンベアーを稼動させることにより、吸水性樹脂Bを目付量300g/m
2で不織布上に均一に積層した。
【0159】
得られた積層体を、上部から目付量30g/m
2で接着剤としての前記SBSを前記と同様の方法で塗布した別の不織布Bで挟みつけた後、加熱温度を100℃に設定したラミネート機(株式会社ハシマ製:直線式接着プレスHP−600LF)にて熱融着させることでこれらを一体化し、吸水シート構成体を得た。得られた吸水シート構成体を所定の大きさに切断し、前記各種測定及び評価を行った。結果を表3に示す。
【0160】
(実施例3)
実施例2において、使用する不織布を表4に記載の不織布Cに変更し、及び使用する吸水性樹脂を製造例3の吸水性樹脂Cに変更し、吸水性樹脂及び接着剤の含有量等を表2に記載された通りに変更する以外は、実施例2と同様の方法によって吸水シート構成体を得た。得られた吸水シート構成体を所定の大きさに切断し、前記各種測定及び評価を行った。結果を表3に示す。
【0161】
(実施例4)
ローラー型散布機(株式会社ハシマ製:シンターエースM/C)の投入口に、接着剤としての低密度ポリエチレン(融点107℃)70質量部と、吸水性樹脂として製造例4の吸水性樹脂Dの220質量部とを均一混合させたものを仕込んだ。一方、散布機下部のコンベアーに、幅30cmのレーヨン/ポリエチレンテレフタレート製スパンレース不織布(目付量40g/m
2、厚さ:400μm、レーヨン含有率:70%、親水度=55;「不織布D」とする)を敷いた。次いで、散布ローラーと下部コンベアーを稼動させることにより、前記混合物を目付量290g/m
2で前記不織布上に均一に積層した。
【0162】
得られた積層体を、別の不織布Dで挟みつけた後、加熱温度140℃設定した熱ラミネート機(株式会社ハシマ製:直線式接着プレスHP−600LF)にて熱融着させることで一体化し、吸水シート構成体を得た。得られた吸水シート構成体を所定の大きさに切断し、前記各種測定及び評価を行った。結果を表3に示す。
【0163】
(実施例5)
加熱温度を150℃に設定したホットメルト塗工機(株式会社ハリーズ製:マーシャル150)上に、幅30cmのポリプロピレン製SMS不織布に親水化剤により親水化処理したもの(目付量:11g/m
2、厚さ:120μm、ポリプロピレン含有率:100%、親水度=12;「不織布E」とする)を敷いた後、接着剤としてSBS共重合体(軟化点85℃)を目付量25g/m
2で当該不織布上に塗布した。
【0164】
次に、ローラー型散布機(株式会社ハシマ製:シンターエースM/C)の投入口に、吸水性樹脂としての吸水性樹脂Cを仕込んだ。一方、散布機下部のコンベアーに、前記接着剤塗布不織布を敷いた。次いで、散布ローラーと下部コンベアーを稼動させることにより、吸水性樹脂Cを目付量300g/m
2で不織布上に均一に積層した。
【0165】
得られた積層体を、上部から目付量25g/m
2で接着剤としての前記SBSを前記と同様の方法で塗布した通気性分画層としての別の不織布Eで挟みつけた後、加熱温度を100℃に設定したラミネート機(株式会社ハシマ製:直線式接着プレスHP−600LF)にて熱融着させることでこれらを一体化し、吸水シート構成体中間物を得た。
【0166】
前記と同様に、加熱温度を150℃に設定したホットメルト塗工機上に、吸水シート構成体中間物を敷き、接着剤として前記SBSを目付量10g/m
2で吸水シート構成体中間物上に塗布した。
【0167】
次に、ローラー型散布機の投入口に、吸水性樹脂としての吸水性樹脂Dを仕込んだ。一方、散布機下部のコンベアーに、接着剤が塗布された面を上にして吸水シート構成体中間物を敷いた。次いで、散布ローラーと下部コンベアーを稼動させることにより、吸水性樹脂としての吸水性樹脂Dを目付量50g/m
2で、前記吸水シート構成体中間物の不織布上に均一に積層した。
【0168】
得られた積層体を、上部から目付量10g/m
2で前記SBSを前記と同様の方法で塗布した別の不織布Eで挟みつけた後、加熱温度を100℃に設定したラミネート機(株式会社ハシマ製:直線式接着プレスHP−600LF)にて熱融着させることでこれらを一体化し、吸水シート構成体を得た。得られた吸水シート構成体を所定の大きさに切断し、吸水性樹脂Cを用いた吸収層が上方(1次吸収層)となるようにして、前記各種測定及び評価を行った。結果を表3に示す。なお、本例における吸水シート構成体の剥離強度の測定は、前記吸水シート構成体の剥離強度測定方法に準拠して、次のように実施した。10枚の試験片を用意し、そのうち5枚を用いて、上方の不織布のみを2cm剥離したサンプルを調
製し、1次吸収層の測定を行った。次いで、残り5枚を用いて、下方の不織布のみを2cm剥離したサンプルを調
製し、2次吸収層の測定を行った。
【0169】
(比較例1)
実施例1において、吸水性樹脂を前記製造例5で得られた吸水性樹脂Eに変更した以外は、実施例1と同様の方法によって吸水シート構成体を得た。得られた吸水シート構成体を所定の大きさに切断し、前記各種測定及び評価を行った。結果を表3に示す。
【0170】
(比較例2)
実施例2において、吸水性樹脂を前記製造例6で得られた吸水性樹脂Fに変更し、吸水性樹脂及び接着剤の含有量等を表2に記載された通りに変更する以外は、実施例2と同様の方法によって吸水シート構成体を得た。得られた吸水シート構成体を所定の大きさに切断し、前記各種測定及び評価を行った。結果を表3に示す。
【0171】
(比較例3)
実施例4において、吸水性樹脂を前記製造例7で得られた吸水性樹脂Gに変更し、吸水性樹脂及び接着剤の含有量等を表2に記載された通りに変更する以外は、実施例4と同様の方法によって吸水シート構成体を得た。得られた吸水シート構成体を所定の大きさに切断し、前記各種測定及び評価を行った。結果を表3に示す。
【0172】
(比較例4、5)
実施例2において、接着剤の含有量等を表2に記載された通りに変更する以外は、実施例2と同様の方法によって吸水シート構成体を得た。得られた吸水シート構成体を所定の大きさに切断し、前記各種測定及び評価を行った。結果を表3に示す。
【0173】
【表2】
接着剤の含有割合は、対吸水性樹脂の含有量(質量基準)である。
【0174】
【表3】
【0175】
【表4】
【0176】
以上の結果より、実施例の吸水シート構成体は、比較例のものと対比して、液体の浸透速度が速く、逆戻り量が少なく、液体の傾斜における漏れも少なく、液体吸収性能が良好であることが分かった。さらに、実施例1、2及び3と比較例1、2及び3の結果から、吸水シート構成体に使用される吸水性樹脂の粒径速度指数が0.12秒/μmを超える場合、液体の浸透速度や、逆戻り量が悪く、吸水シート構成体の基本的な液体吸収性能において満足できるものではないことが分かった。この結果から、吸水シート構成物に用いられる各素材の種類や物性、又はシートの製造条件等といった、液体吸収性能に関わる多くの要素の中でも、吸水シート構成体に使用される吸水性樹脂の粒径速度指数が吸水シート構成体の基本的な性能(速い液体浸透速度、十分な保水能、少ない液体逆戻り量、少ない液漏れ量、形態保持性)を決める有力な要素の一つであることが示された。