(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の分割予定ラインによって格子状に区画されたデバイスが表面に形成されたウエーハに、パルス発振のレーザー光線を該分割予定ラインに沿って照射し、レーザー加工溝を形成するウエーハのレーザー加工方法であって、
該ウエーハに集光される集光スポットの重なり率が95%以下になるように該レーザー光線を該分割予定ラインに沿って照射し、第一のレーザー加工溝を形成する第一加工溝形成ステップと、
該ウエーハに集光される集光スポットの重なり率が97%以上になるように該レーザー光線を該第一のレーザー加工溝に沿って照射し、該第一のレーザー加工溝の底部に第二のレーザー加工溝を形成する第二加工溝形成ステップと、を少なくとも含んで構成され、
該第一のレーザー加工溝の深さより第二のレーザー加工溝の深さの方が深く、かつ、該第一のレーザー加工溝の幅より第二のレーザー加工溝の幅の方が狭く、
該第二加工溝形成ステップで発生したデブリが該第一のレーザー加工溝内に付着して該ウエーハの表面に突出しないウエーハのレーザー加工方法。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係るウエーハのレーザー加工方法を行うレーザー加工装置の構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るウエーハのレーザー加工方法によりレーザー加工が施されるウエーハなどの斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るウエーハのレーザー加工方法によりレーザー加工が施されるウエーハが環状フレームに保持された斜視図である。
【
図4】
図4(a)は、実施形態に係るレーザー加工装置の集光スポットを楕円形にしたレーザー光線照射手段の集光器の構成のY軸方向の説明図であり、
図4(b)は、実施形態に係るレーザー加工装置の集光スポットを楕円形にしたレーザー光線照射手段の集光器の構成のX軸方向の説明図であり、
図4(c)は、実施形態に係るレーザー加工装置のレーザー光線照射手段の集光器により楕円形に形成された集光スポットの平面図である。
【
図5】
図5(a)は、実施形態に係るレーザー加工装置の集光スポットを円形にしたレーザー光線照射手段の集光器の構成のY軸方向の説明図であり、
図5(b)は、実施形態に係るレーザー加工装置の集光スポットを円形にしたレーザー光線照射手段の集光器の構成のX軸方向の説明図であり、
図5(c)は、実施形態に係るレーザー加工装置のレーザー光線照射手段の集光器により円形に形成された集光スポットの平面図である。
【
図6】
図6(a)は、実施形態に係るレーザー加工装置の第一のレーザー加工溝を形成する状態の側断面を模式的に示す図であり、
図6(b)は、
図6(a)中のVIb−VIb線に沿う断面図である。
【
図7】
図7(a)は、実施形態に係るレーザー加工装置の第二のレーザー加工溝を形成する状態の側断面を模式的に示す図であり、
図7(b)は、
図7(a)中のVIIb−VIIb線に沿う断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係るウエーハのレーザー加工方法のフローである。
【
図9】
図9は、実施形態に係るウエーハのレーザー加工方法の集光スポットの重なり率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0012】
〔実施形態1〕
図1は、実施形態に係るウエーハのレーザー加工方法を行うレーザー加工装置の構成例を示す図である。
図2は、実施形態に係るウエーハのレーザー加工方法によりレーザー加工が施されるウエーハなどの斜視図である。
図3は、実施形態に係るウエーハのレーザー加工方法によりレーザー加工が施されるウエーハが環状フレームに保持された斜視図である。
図4は、実施形態に係るレーザー加工装置の集光スポットを楕円形にしたレーザー光線照射手段の説明図である。
図5は、実施形態に係るレーザー加工装置の集光スポットを円形にしたレーザー光線照射手段の説明図である。
図6は、実施形態に係るウエーハのレーザー加工方法の第一加工溝形成ステップを示すウエーハの断面図である。
図7は、実施形態に係るウエーハのレーザー加工方法の第二加工溝形成ステップを示すウエーハの断面図である。
図8は、実施形態に係るウエーハのレーザー加工方法のフローである。
図9は、実施形態に係るウエーハのレーザー加工方法の集光スポットの重なり率を示す図である。
【0013】
本実施形態に係るウエーハWのレーザー加工方法は、
図1に示されたレーザー加工装置1により行われる。レーザー加工装置1は、ウエーハWを保持したチャックテーブル10と、レーザー光線照射手段20とを相対移動させながら、ウエーハWにパルス発振のレーザー光線Lを分割予定ラインRに沿って照射し、ウエーハWにアブレーション加工を施して、ウエーハWにレーザー加工溝S(
図7に示す)を形成する方法である。
【0014】
ここで、ウエーハWは、レーザー加工装置1によりレーザー加工される加工対象であり、本実施形態ではシリコン、サファイア、ガリウムなどを母材とする円板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハである。ウエーハWは、
図2及び
図3に示すように、複数の分割予定ラインRによって格子状に区画されたデバイスDが表面WSに形成されている。ウエーハWは、
図3に示すように、デバイスDが複数形成されている表面WSの反対側の裏面が粘着テープTに貼着され、ウエーハWに貼着された粘着テープTに環状フレームFが貼着されることで、環状フレームFに固定される。
【0015】
レーザー加工装置1は、
図1に示すように、チャックテーブル10と、レーザー光線照射手段20と、撮像手段30と、図示しない制御手段とを含んで構成されている。なお、レーザー加工装置1は、更に、チャックテーブル10とレーザー光線照射手段20とをX軸方向に相対移動させるX軸移動手段40と、チャックテーブル10とレーザー光線照射手段20とをY軸方向に相対移動させるY軸移動手段50と、チャックテーブル10とレーザー光線照射手段20とをZ軸方向に相対移動させるZ軸移動手段60とを含んで構成されている。
【0016】
チャックテーブル10は、表面を構成する部分がポーラスセラミック等から形成された円盤形状であり、図示しない真空吸引経路を介して図示しない真空吸引源と接続され、レーザー加工前のウエーハWが載置されて、当該ウエーハWを吸引することで保持する。なお、チャックテーブル10は、レーザー加工装置1の装置本体2に設けられたテーブル移動基台3(
図1に示す)に着脱可能である。なお、テーブル移動基台3は、X軸移動手段40によりX軸方向に移動自在に設けられかつY軸移動手段50によりY軸方向に移動自在に設けられているとともに図示しない基台駆動源により中心軸線(Z軸と平行である)回りに回転自在に設けられている。
【0017】
レーザー光線照射手段20は、レーザー光線L(
図4及び
図5に示す)をウエーハWの表面WSに照射するものである。レーザー光線照射手段20は、チャックテーブル10に保持されたウエーハWに対して、Z軸移動手段60によりZ軸方向に移動自在に設けられている。レーザー光線照射手段20は、図示しないレーザー光線発振手段と、レーザー光線発振手段により発振されたレーザー光線LをウエーハWの表面WSに照射する集光器21(
図4及び
図5に示す)とを含んで構成されている。
【0018】
レーザー光線発振手段は、ウエーハWに吸収性を有する波長のレーザー光線Lをパルス発振するものであり、ウエーハWの種類、加工形態などに応じて適宜選択することができ、例えば、YAGレーザー発振器やYVOレーザー発振器などを用いることができる。また、レーザー光線発振手段は、繰り返し周波数が例えば10kHzでレーザー光線Lをパルス発振する。集光器21は、
図4及び
図5に示すように、レーザー光線発振手段により発振されたレーザー光線Lを通す第一のシリンドリカルレンズ22、第二のシリンドリカルレンズ23及びレーザー光線Lを集光する集光レンズ24などを含んで構成される。第一のシリンドリカルレンズ22は、凸レンズで構成され、第二のシリンドリカルレンズ23は、凹レンズで構成されている。
【0019】
また、集光器21は、
図5に示す第一のシリンドリカルレンズ22と第二のシリンドリカルレンズ23とを接合する位置と、
図4に示す第一のシリンドリカルレンズ22から第二のシリンドリカルレンズ23が離間した位置とに亘って、図示しないモータの駆動力により第二のシリンドリカルレンズ23を移動自在に設けている。集光器21は、
図5(a)及び
図5(b)に示すように、第一のシリンドリカルレンズ22と第二のシリンドリカルレンズ23とを接合させると、
図5(c)に示すように、レーザー光線Lの集光スポットC1を円形に形成する。また、集光器21は、
図4(a)及び
図4(b)に示すように、第一のシリンドリカルレンズ22から第二のシリンドリカルレンズ23を離間させると、
図4(c)に示すように、レーザー光線Lの集光スポットC2を楕円形に形成する。
【0020】
撮像手段30は、チャックテーブル10に保持されたウエーハWの表面WSを撮像するものである。撮像手段30は、チャックテーブル10に保持されたウエーハWに対して、Z軸移動手段60によりレーザー光線照射手段20と一体にZ軸方向に移動自在に設けられている。撮像手段30は、チャックテーブル10に保持されたウエーハWの表面WSの画像を制御手段に出力する。
【0021】
制御手段は、レーザー加工装置1を構成する上述した構成要素をそれぞれ制御して、ウエーハWに対する加工動作をレーザー加工装置1に行わせるものである。また、制御手段は、レーザー光線照射手段20からウエーハWの表面WSにレーザー光線Lを照射させて、第一のレーザー加工溝S1を形成させた後に、第一のレーザー加工溝S1の底部に第二のレーザー加工溝S2を形成させて、ウエーハWにレーザー加工溝Sを形成するものでもある。なお、制御手段は、例えばCPU等で構成された演算処理装置やROM、RAM等を備える図示しないマイクロプロセッサを主体として構成されており、加工動作の状態を表示する図示しない表示手段や、オペレータが加工内容情報などを登録する際に用いる図示しない操作手段と接続されている。
【0022】
次に、本実施形態に係るウエーハWのレーザー加工方法について説明する。本実施形態に係るウエーハWのレーザー加工方法は、パルス発振のレーザー光線LをウエーハWの表面WSに形成された分割予定ラインRに沿って照射し、アブレーション加工を施してレーザー加工溝Sを形成する方法であって、第一加工溝形成ステップと、第二加工溝形成ステップと、を少なくとも含んで構成されている。
【0023】
ウエーハWのレーザー加工方法では、オペレータが加工内容情報を制御手段に登録し、オペレータから加工動作の開始指示があった場合に、レーザー加工装置1が加工動作を開始する。加工動作において、環状フレームFに粘着テープTを介して貼着されたウエーハWをチャックテーブル10上に載置され、制御手段が、
図8中のステップST1において、ウエーハWをチャックテーブル10に吸引保持させて、ステップST2に進む。
【0024】
そして、制御手段は、X軸移動手段40及びY軸移動手段50によりチャックテーブル10を移動して、撮像手段30の下方にチャックテーブル10に保持されたウエーハWを位置付け、撮像手段30に撮像させる。撮像手段30は、撮像した画像を制御手段に出力する。そして、制御手段が、チャックテーブル10に保持されたウエーハWの分割予定ラインRとレーザー光線照射手段20の集光器21との位置合わせを行なうためのパターンマッチング等の画像処理を実行し、レーザー光線照射手段20のアライメントを遂行して、ステップST3に進む。
【0025】
次に、制御手段は、ステップST3では、ウエーハWに集光される集光スポットC2の重なり率が50%以上でかつ95%以下となるように、X軸移動手段40によりチャックテーブル10を矢印X1方向(
図6(a)に示す)に移動させながら、レーザー光線Lを分割予定ラインRに沿って照射させる。制御手段は、
図6(a)及び
図6(b)に示すように、第一のレーザー加工溝S1(レーザー加工溝Sを構成する)を形成する。第一のレーザー加工溝S1は、比較的浅く形成されており、第一のレーザー加工溝S1が形成される際に生じるウエーハWの溶融物で構成されるデブリDB1(
図6(b)中に密な平行斜線で示す)は、第一のレーザー加工溝S1の両岸に低い突起として形成される。なお、ステップST3は、第一加工溝形成ステップに相当し、ステップST3の後に、ステップST4に進む。
【0026】
次に、制御手段は、ステップST4では、ウエーハWに集光される集光スポットC2の重なり率が97%以上でかつ100%未満となるように、X軸移動手段40によりチャックテーブル10を矢印X1の逆向きの矢印X2方向(
図7(a)に示す)に移動させながら、レーザー光線Lを第一のレーザー加工溝S1に沿って照射させる。そして、制御手段は、
図7(a)及び
図7(b)に示すように、第一のレーザー加工溝S1の底部に第二のレーザー加工溝S2(レーザー加工溝Sを構成する)を形成する。
【0027】
なお、ステップST4の重なり率がステップST3の重なり率よりも高いために、
図7(a)及び
図7(b)に示すように、第二のレーザー加工溝S2の深さD2の方が、第一のレーザー加工溝S1の深さD1より深く形成されている。また、ステップST4で発生したウエーハWの溶融物で構成されるデブリDB2(
図7(b)中に密な平行斜線で示す)が、第二のレーザー加工溝S2の両岸に突起として形成されて、第一のレーザー加工溝S1内に付着してウエーハWの表面WSに突出しない。また、本実施形態では、第二のレーザー加工溝S2は、ウエーハWを貫通している。なお、ステップST4は、第二加工溝形成ステップに相当し、
図6(a)及び
図7(a)では、デブリDB1,DB2を省略している。
【0028】
本実施形態では、ステップST3及びステップST4では、制御手段がレーザー光線照射手段20の集光器21のシリンドリカルレンズ22,23同士を離間させる。そして、レーザー光線Lは、集光スポットC2が楕円形に形成され、
図4(c)に示すように、集光スポットC2の長尺(長手)側が分割予定ラインR及びX軸に沿って照射される。そして、制御手段がレーザー光線照射手段20からレーザー光線Lをパルス発振させることで、X軸移動手段40により移動されるウエーハWの表面WSに集光される集光スポットC2は、
図9に示された実線及び二点鎖線で示すように、一部が重なり、他の部分が重ならない。
【0029】
本発明でいう重なり率とは、パルス発振されてウエーハWの表面WSに集光される集光スポットC2の長尺(長手)側の径をMAとし、互いに隣り合う集光スポットC2の重ならない部分(
図9に平行斜線で示す)の中央の長尺(長手)側の長さをlとすると、以下の式1で示すことができる。
重なり率(%)=((MA−l)/MA)×100・・・式1
【0030】
また、本実施形態では、ステップST3及びステップST4では、レーザー光線照射手段20は、同じ周波数、同じ繰り返し周波数のレーザー光線Lを、ウエーハWの表面WSにおいて同形の楕円形の集光スポットC2に集光するように照射している。例えば、集光スポットC2の長尺(長手)側の径MA(
図4(c)に示す)が100〜800μmでかつ短尺(短手)側の径MB(
図4(c)に示す)が5〜10μmとなる。さらに、本実施形態では、ステップST3におけるチャックテーブル10の移動速度よりも、ステップST4におけるチャックテーブル10の移動速度を遅くしている。
【0031】
そして、ステップST4の後に、ステップST5に進む。ステップST5では、制御手段は、全ての分割予定ラインRに第一のレーザー加工溝S1及び第二のレーザー加工溝S2が形成されたかを否か、即ち全ての分割予定ラインRにレーザー加工溝Sが形成されたかを否かを判定する。全ての分割予定ラインRに第一のレーザー加工溝S1及び第二のレーザー加工溝S2が形成されていないと判定されると、ステップST3に戻る。
【0032】
なお、全ての分割予定ラインRに第一のレーザー加工溝S1及び第二のレーザー加工溝S2が形成されると、全ての分割予定ラインRに形成された第一のレーザー加工溝S1及び第二のレーザー加工溝S2がウエーハWを貫通して、ウエーハWがデバイスDを含んだチップに分割されている。全ての分割予定ラインRに第一のレーザー加工溝S1及び第二のレーザー加工溝S2が形成されたと判定すると、制御手段は、レーザー光線照射手段20によるレーザー加工を停止して、X軸移動手段40によりチャックテーブル10をレーザー光線照射手段20の下方から退避させる。レーザー加工が施されたウエーハW即ちチップがチャックテーブル10から取り外される。制御手段は、チャックテーブル10にレーザー加工前のウエーハWが載置されると、先ほどの工程と同様にウエーハWにレーザー加工を施す。
【0033】
以上のように、本実施形態に係るウエーハWのレーザー加工方法によれば、重なり率95%以下でレーザー光線Lを照射して予め浅い第一のレーザー加工溝S1を形成した後に、その底部に重なり率97%以上で深い第二のレーザー加工溝S2を形成する。このような加工では、重なり率95%以下では低いデブリDB1が発生し、重なり率97%以上では深い溝が形成できかつ発生した高いデブリDB2が第一のレーザー加工溝S1の内部に収まることとなる。このために、第二のレーザー加工溝S2を形成する際に生じる高いデブリDB2が、ウエーハWの表面WSに表出することを抑制できる。よって、ウエーハWを比較的深く加工したりフルカットしたりする場合、このウエーハWのレーザー加工方法によれば、少ないレーザー光線Lの走査数でデブリDB2がウエーハWの表面WSに表出することを抑制しながらも、効率的な加工が可能となる。
【0034】
また、ウエーハWのレーザー加工方法によれば、ステップST3では、重なり率が50%以上としているので、一様の幅の第一のレーザー加工溝S1を形成できて、第二のレーザー加工溝S2を第一のレーザー加工溝S1の底部に確実に形成することができる。また、ステップST4では、重なり率が100%未満としているので、第一のレーザー加工溝S1の底部に第二のレーザー加工溝S2を確実に形成することができる。
【0035】
なお、前述した実施形態では、一本の分割予定ラインRに第一のレーザー加工溝S1を形成した後に、当該第一のレーザー加工溝S1の底部に第二のレーザー加工溝S2を形成している。しかしながら、本発明では、全ての分割予定ラインRに第一のレーザー加工溝S1を形成した後に、当該第一のレーザー加工溝S1の底部に第二のレーザー加工溝S2を形成しても良い。
【0036】
また、前述した実施形態では、ステップST3で第一のレーザー加工溝S1を形成した後に、ステップST4で第二のレーザー加工溝S2を形成している。しかしながら、本発明では、更に、第二のレーザー加工溝S2の底部に少なくとも一以上のレーザー加工溝を形成しても良い。この場合、より後のレーザー加工溝を形成する際には、重なり率を高めても良く、第二のレーザー加工溝S2を形成する重なり率と同じにしても良い。さらに、本発明では、第一のレーザー加工溝S1を複数回形成した後に、第二のレーザー加工溝S2を形成しても良い。
【0037】
また、前述した実施形態では、ステップST3での集光スポットC2と、ステップST4での集光スポットC2とを同形状にしている。しかしながら、本発明では、ステップST3よりステップST4の方が、レーザー光線Lの集光スポットC2の長尺側の長さを長くしても良い。
【0038】
さらに、前述した実施形態では、ステップST3では、重なり率が95%以下となり、ステップST4では、重なり率が97%以上としたが、本発明は、これに限定されない。要するに、本発明では、ステップST3での重なり率よりもステップST4での重なり率を大きくして、第一のレーザー加工溝S1を浅くし、第二のレーザー加工溝S2を第一のレーザー加工溝S1よりも深くして、第二のレーザー加工溝S2を形成する際に生じるデブリDB2を第一のレーザー加工溝S1内に付着させれば良い。即ち、本発明は、先に、比較的浅く第一のレーザー加工溝S1を形成するように、重なり率を低くし、その後、比較的深く第二のレーザー加工溝S2を形成するように、重なり率を高くするステップを含んでいれば良い。
【0039】
また、前述した実施形態では、ウエーハWを貫通するように、第二のレーザー加工溝S2を形成したが、本発明では、第二のレーザー加工溝S2がウエーハWを貫通しなくても良い。
【0040】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。