特許第5982180号(P5982180)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5982180
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】洗浄装置及び洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20160818BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   H01L21/304 643A
   H01L21/78 L
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-121363(P2012-121363)
(22)【出願日】2012年5月28日
(65)【公開番号】特開2013-247299(P2013-247299A)
(43)【公開日】2013年12月9日
【審査請求日】2015年2月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】宮成 淳
【審査官】 溝本 安展
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−038933(JP,A)
【文献】 特開2007−073670(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その片面に粘着テープが貼着され、上記粘着テープの外周に枠部が取り付けられている基板を、洗浄液により洗浄する洗浄手段を備える洗浄装置であって、
上記基板の外縁部分よりも外側にはみ出した粘着テープの露出面と、上記枠部とに、これらを洗浄液から保護する保護膜を形成し、上記基板上には保護膜を形成しない保護膜形成手段をさらに備えており、
上記保護膜形成手段は、上記洗浄液に不溶な保護膜材料を上記粘着テープの露出面及び上記枠部に塗布して乾燥させて、保護膜を形成するようになっている
ことを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
上記保護膜形成手段は、上記保護膜材料を上記枠部の外周部にさらに塗布するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
上記基板は、上記粘着テープが貼着されている面に背向する面に接着剤を介して支持板が貼着されており、
上記基板から上記支持板を剥離する剥離手段をさらに備え、
上記洗浄手段は、上記支持板が剥離された上記基板上に残存している付着物を洗浄して除去するようになっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
上記保護膜を除去する除去手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の洗浄装置。
【請求項5】
上記保護膜は、上記洗浄液に不溶で且つ水溶性の保護膜材料により形成されており、
上記除去手段は、上記保護膜に水を供給し、上記保護膜を除去することを特徴とする請求項4に記載の洗浄装置。
【請求項6】
その片面に粘着テープが貼着され、上記粘着テープの外周に枠部が取り付けられている基板を洗浄する洗浄方法であって、
上記基板の外縁部分よりも外側にはみ出した粘着テープの露出面と、上記枠部とに、これらを洗浄液から保護する保護膜を形成し、上記基板上には保護膜を形成しない保護膜形成工程と、
上記保護膜を形成した後に、上記基板を洗浄液により洗浄する洗浄工程と、
を包含し、
上記保護膜形成工程では、上記洗浄液に不溶な保護膜材料を上記粘着テープの露出面及び上記枠部に塗布して乾燥させて、保護膜を形成する
ことを特徴とする洗浄方法。
【請求項7】
上記洗浄液に対して可溶な樹脂により形成されている枠部が取り付けられている基板を洗浄することを特徴とする請求項6に記載の洗浄方法。
【請求項8】
上記基板は、上記粘着テープが貼着されている面に背向する面に接着剤を介して支持板が貼着されており、
上記洗浄工程の前に、上記基板から上記支持板を剥離する剥離工程をさらに備え、
上記洗浄工程において、上記支持板が剥離された上記基板上に残存している付着物を洗浄して除去することを特徴とする請求項6または7に記載の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外周に枠部が取り付けられている粘着テープが貼着されている基板を洗浄する洗浄装置及び洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、デジタルAV機器及びICカード等の高機能化に伴い、搭載される半導体シリコンチップ(以下、チップ)を小型化及び薄板化することによって、パッケージ内にチップを高集積化する要求が高まっている。パッケージ内のチップの高集積化を実現するためには、チップの厚さを150μm以下にまで薄くする必要がある。
【0003】
しかしながら、チップのベースとなる半導体ウエハ(以下、ウエハ)は、研削することにより肉薄にするため、その強度は弱くなり、ウエハにクラック又は反りが生じ易くなる。また、薄化することによって強度が弱くなったウエハを自動搬送することは困難であるため、人手によって搬送しなければならず、その取り扱いが煩雑である。
【0004】
そのため、研削するウエハに支持板(以下、サポートプレート)と呼ばれる、ガラス又は硬質プラスチック等からなるプレートを貼り合わせることによってウエハの強度を保持し、クラックの発生及びウエハの反りを防止するウエハサポートシステムが開発されている。このウエハサポートシステムによりウエハの強度を維持することができるため、薄化したウエハの搬送を自動化することができる。
【0005】
ウエハとサポートプレートとは、接着テープ、熱可塑性樹脂又は接着剤等を用いて貼り合わせられており、ウエハをダイシングする前にサポートプレートをウエハから剥離する。このとき、例えばウエハとサポートプレートとの貼り合わせに接着テープを用いる場合は、ウエハをサポートプレートから引き剥がすことによって剥離し、熱可塑性樹脂を用いる場合は、樹脂を加熱して溶解させることによって剥離し、接着剤を用いる場合は、溶解液を用いて溶解させることによって剥離する。
【0006】
また、ウエハからサポートプレートを剥離する際に、ウエハの膜厚に応じて、ウエハのサポートプレートが接着されている面とは反対側の面をダイシングテープ等の粘着テープに貼り合わせることがある。ウエハはダイシングテープによって支持されることにより、膜厚が薄く強度が低い場合であってもクラック等の発生を抑えることができる。ダイシングテープの外周にはダイシングフレームと呼ばれる枠部が取り付けられる。
【0007】
また、ウエハを加工する技術の他の例として、特許文献1及び2には、ウエハからチップを形成するために、該ウエハにレーザー光線を照射して各チップに切り分けるレーザー加工について記載されている。このレーザー加工では、レーザーによってウエハを切断する際に発生するデブリの影響を防止するために、当該切断時にウエハの表面に保護膜を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−188475号公報(2004年7月8日公開)
【特許文献2】特開2004−322168号公報(2004年11月18日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、ウエハの表面にはその製造工程において汚れが付着することがあるため、この付着物を除去してウエハの表面を清浄にしなくてはならない。特に、ウエハに接着剤を介して接着させたサポートプレートを剥離すると、ウエハの表面に接着剤等が残存してしまう。また、接着剤を溶解させたときに接着剤中のフィラーなどに由来する溶解残渣物がウエハの表面に残存していることもある。そのため、ウエハをダイシングすることによって各チップに分割する前に、ダイシングテープに貼り合わせた状態でウエハの表面を洗浄する必要がある。
【0010】
ウエハの洗浄方法としては、例えば図3に示すように処理を自動化して効率よく洗浄する方法がある。図3は、外周にダイシングフレームが取り付けられているダイシングテープに貼着されたウエハ表面を洗浄する従来の洗浄方法の一例を示す図である。
【0011】
図3の(a)に示す方法では、ウエハ100に対してノズル108から勢いよく洗浄液106を吐出することによって、残存接着剤103及び溶解残渣物104等の付着物を一緒に流してウエハ100上から除去する。しかしながらこの方法では、ウエハ100の外縁部分よりも外側にはみ出したダイシングテープ101の露出面に付着物が流れ、溶解残渣物104が付着して汚染されてしまう。これでは、その後のダイシングプロセスにおいて、ダイシングテープ101に付着した付着物がダイシングブレードに巻き込まれ、再びウエハ100を汚してしまうことがある。
【0012】
また、図3の(b)に示す方法では、この汚染を防ぐためにダイシングテープ101上に水をかけながら洗浄液を吐出しているが、残存接着剤103がウエハ100の表面に大量に残っている状態で水を吐出すると、水と残存接着剤103とが反応して溶解残渣物104が析出してしまうことがある。
【0013】
なお、特許文献1及び2にはウエハの洗浄時におけるダイシングテープ及びダイシングフレームの汚染については何ら記載されていない。
【0014】
さらに、図3の(a)に示す方法では、ダイシングテープ101の露出面よりもさらに外側にはみ出したダイシングフレーム102にまで洗い流した付着物が付着するので、その後の工程においてロボットアームによりダイシングフレーム102を把持したときに、ロボットアームが付着物により汚染されてしまう。
【0015】
また、近年、平坦で剛性のある樹脂製のダイシングフレームが開発されている。樹脂製のダイシングフレームは、従来広く用いられているステンレススチール(SUS)製のダイシングフレームと比較して軽量であるため有用である。しかしながら、従来の金属製又は合金製のダイシングフレームでは、洗浄液に対する耐性を考慮する必要はなかったが、樹脂製のダイシングフレームを用いる場合には、洗浄液に対して溶解する可能性があり、洗浄液が付着することにより、ダイシングフレームが劣化する虞がある。
【0016】
したがって、ダイシングフレームが取り付けられたダイシングテープが貼着されたウエハを、ダイシングテープ及びダイシングフレームの汚染を防ぎ、かつダイシングテープ及びダイシングフレームの劣化を防ぎながら効率よく洗浄することができる技術の開発が強く求められている。
【0017】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、外周に枠部が取り付けられている粘着テープが貼着されている基板を効率よく洗浄することができる洗浄装置及び洗浄方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明に係る洗浄装置は、その片面に粘着テープが貼着され、上記粘着テープの外周に枠部が取り付けられている基板を、洗浄液により洗浄する洗浄手段を備える洗浄装置であって、上記基板の外縁部分よりも外側にはみ出した粘着テープの露出面と、上記枠部とに、これらを洗浄液から保護する保護膜を形成する保護膜形成手段をさらに備えていることを特徴としている。
【0019】
本発明に係る洗浄方法は、その片面に粘着テープが貼着され、上記粘着テープの外周に枠部が取り付けられている基板を洗浄する洗浄方法であって、上記基板の外縁部分よりも外側にはみ出した粘着テープの露出面と、上記枠部とに、これらを洗浄液から保護する保護膜を形成する保護膜形成工程と、上記保護膜を形成した後に、上記基板を洗浄液により洗浄する洗浄工程とを包含することを特徴としている。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、例えば、外周に枠部が取り付けられている粘着テープが貼着されている基板を効率よく洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る洗浄装置の構成を示す上面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る洗浄方法の処理の流れを示す図である。
図3】外周にダイシングフレームが取り付けられているダイシングテープに貼着されたウエハ表面を洗浄する従来の洗浄方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔洗浄装置〕
本発明に係る洗浄装置は、その片面に粘着テープが貼着され、上記粘着テープの外周に枠部が取り付けられている基板を、洗浄液により洗浄する洗浄手段を備える洗浄装置であって、上記基板の外縁部分よりも外側にはみ出した粘着テープの露出面と、上記枠部とに、これらを洗浄液から保護する保護膜を形成する保護膜形成手段をさらに備えていることを特徴としている。本発明の一実施形態に係る洗浄装置について、図1を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る洗浄装置80の構成を示す上面図である。
【0023】
図1に示すように、洗浄装置80は、塗布(保護膜)ユニット50及び除去ユニット60を備えており、塗布ユニット50は保護膜形成手段4を備え、除去ユニット60は第1の洗浄手段5(洗浄手段)を備えている。除去ユニット60は、第2の洗浄手段6(除去手段)をさらに備えていてもよい。また、洗浄装置80は、被処理体収納部8、搬送手段40、及び剥離ユニット54(剥離手段)を備えていてもよい。なお、本発明の洗浄装置は、例示した洗浄装置80の構成に限定されない。
【0024】
洗浄装置80は、サポートプレート(支持板)が剥離された後のウエハ(基板)を被処理体9として洗浄処理を施すようになっている。
【0025】
(被処理体)
本実施形態において、洗浄処理の対象となる被処理体は、その外周にダイシングフレーム(枠部)が取り付けられたダイシングテープ(粘着テープ)に貼着されたウエハ(基板)である。ウエハは回路(素子)が形成された基板であり、半導体など従来公知の材質の基板を用いることができる。
【0026】
ダイシングテープは、ウエハの強度を補強するためにウエハの片面に接着される。ダイシングテープとしては、例えばベースフィルムに粘着層が形成された構成のダイシングテープを用いることができる。ベースフィルムとしては、例えば、PVC(ポリ塩化ビニル)、ポリオレフィン又はポリプロピレン等の樹脂フィルムを用いることができる。ダイシングテープの外径はウエハの外径よりも大きく、これらを貼り合わせるとウエハの外縁部分にダイシングテープの一部が露出した状態になっている。
【0027】
ダイシングテープの露出面のさらに外周には、ダイシングテープの撓みを防止するためのダイシングフレームが取り付けられている。すなわち、ダイシングテープの外縁部分には、ダイシングフレームが露出した状態になっている。ダイシングフレームとしては、例えば、アルミニウム等の金属製のダイシングフレーム、ステンレススチール(SUS)等の合金製のダイシングフレーム、及び樹脂製のダイシングフレームが挙げられる。樹脂製のダイシングフレームとしては、例えば、信越ポリマー社製、ディスコ社製の樹脂製ダイシングフレーム等が挙げられる。
【0028】
ダイシングフレームとして、金属製又は合金製のダイシングフレームを用いれば、剛性があり、ひずみにくい上に安価であるが、樹脂製のダイシングフレームと比較すると重いため、搬送時に作業者又は搬送ロボットに負担が掛かる。近年、平坦で剛性のある樹脂製のダイシングフレームが開発されており、従来広く用いられている金属性又は合金製のダイシングフレームと比較して軽量であるという利点がある。樹脂製のダイシングフレームは、軽量であるため搬送が容易であり、さらに金属製のフレームカセットに出し入れするときに、摩擦による発塵が少ないという利点がある。
【0029】
洗浄装置80は、特に、ウエハ製造工程において一時的に保持されたサポートプレートを剥離した後のウエハを洗浄する用途に好適に用いることができる。
【0030】
つまり、ウエハの表面にはその製造工程において汚れが付着することがあるため、この付着物を除去してウエハの表面を清浄にしなくてはならない。特に、接着剤を介して接着させたサポートプレートを剥離すると、ウエハの表面に接着剤等が残存してしまう。また、接着剤を溶解させたときに接着剤中のフィラーなどに由来する溶解残渣物がウエハの表面に残存していることもある。そのため、ウエハをダイシングして各チップに分割する前に、ダイシングテープに貼り合わせた状態でウエハの表面を洗浄する必要がある。
【0031】
ただし、ウエハに対して洗浄液を吐出することによって、残存接着剤及び溶解残渣物等の付着物を一緒に流してウエハ上から除去する従来の方法では、ウエハの外縁部分よりも外側にはみ出したダイシングテープの露出面に付着物が付着し、ダイシングテープを汚染させてしまう。また、ダイシングテープに洗浄液が直接接触する場合には、洗浄液の種類によってはダイシングテープを劣化させてしまう。さらに、ダイシングテープに付着した付着物がダイシングブレードに巻き込まれ、再びウエハを汚してしまう。
【0032】
また、ダイシングテープの露出面よりもさらに外側にはみ出したダイシングフレームにまで洗い流した付着物が付着するので、その後の工程においてロボットアームによりダイシングフレームを掴んだときに、ロボットアームが付着物により汚染されてしまう。
【0033】
また、従来の金属製又は合金製のダイシングフレームでは、洗浄液に対する耐性を考慮する必要はなかったが、樹脂製のダイシングフレームを用いる場合には、洗浄液の種類によっては耐溶剤性がなく、洗浄液に対して溶解する可能性があり、洗浄液が付着することにより、ダイシングフレームが劣化する虞がある。
【0034】
洗浄装置80によれば、このような問題を防ぎ、被処理体を好適に洗浄処理することができる。
【0035】
(搬送手段)
搬送手段40は、被処理体9が収容されている被処理体収納部8から、被処理体9を取り出して塗布ユニット50に搬送するようになっている。また、搬送手段40は、塗布ユニット50から剥離ユニット54又は除去ユニット60に、被処理体9を搬送するようになっている。
【0036】
搬送手段40は、搬送ロボット42と、直線走行を実現するための走行路46とを有している。搬送ロボット42は、軸を中心として回転可能であり、2つの連結アーム44aと、ハンド44bとを有している。
【0037】
連結アーム44aは、関節における回転動作によって伸縮動作を実行するようになっている。ハンド44bは連結アーム44aの先端に設けられ、被処理体9又はウエハを把持するようになっている。搬送ロボット42は、連結アーム44aの伸縮動作と軸を中心とした回転動作とによって、水平面内における被処理体9又はウエハの移動を可能としている。
【0038】
(塗布ユニット)
塗布ユニット50は、被処理体9に保護膜を形成するようになっている。具体的には、保護膜形成手段4が、ウエハの外縁部分よりも外側にはみ出したダイシングテープの露出面とダイシングフレームとに、これらを洗浄液から保護する保護膜を形成する。保護膜形成手段4は、ダイシングテープの露出面及びダイシングフレームに対して、洗浄液に不溶な保護膜材料を塗布して保護膜を形成するようになっている。これにより、容易かつ確実に保護膜を形成することができる。
【0039】
保護膜形成手段4は、例えば、ノズル等の吐出手段から液状の保護膜材料を吐出するような構成にすればよい。しかしながら、保護膜形成手段4の構成は、このように液状の保護膜材料を吐出するような構成に限定されるものではない。例えば、予め可撓性フィルム等のフィルム上に上述したいずれかの保護膜材料含む保護層を形成した後、乾燥させておき、このフィルムを、ダイシングテープの露出面及びダイシングフレームに貼り付けるような構成であってもよい。
【0040】
保護膜形成手段4は、ダイシングテープの露出面及びダイシングフレームと、さらにダイシングフレームの外周部に、保護膜材料を塗布するようになっていてもよい。これにより、ダイシングフレームの外周部にまで保護膜が形成されるので、洗浄液がダイシングフレームの外周部にまで到達したとしても、ダイシングフレームを洗浄液から確実に保護することができる。
【0041】
また、塗布ユニット50は、例えば保護膜材料を塗布する前に、ダイシングテープの露出面に紫外線を照射するようになっていてもよい。これにより、ダイシングテープの濡れ性を向上させることができる。
【0042】
なお、塗布ユニット50は、例えば、保護膜形成手段4が保護膜の材料を塗布するとき、被処理体9を回転させるような構成になっていてもよい。
【0043】
(保護膜材料)
保護膜形成手段4が塗布する保護膜材料は、洗浄液に不溶な材料からなる構成であれば特に限定されないが、水溶性の材料からなることがより好ましい。このような保護膜材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、及びアミド系樹脂の中から選ばれる少なくとも1種の水溶性樹脂を用いることができる。
【0044】
アクリル系樹脂としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、アクリロイルモルホリン等のモノマーを構成成分とするポリマー又はコポリマーが挙げられる。
【0045】
ビニル系樹脂としては、例えば、N−ビニルピロリドン、ビニルイミダゾリジノン、酢酸ビニル等のモノマーを構成成分とするポリマー又はコポリマーが挙げられる。
【0046】
セルロース系樹脂としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースヘキサヒドロフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロール、セルロールアセテートヘキサヒドロフタレート、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース等が挙げられる。
【0047】
さらに、アミド系樹脂の中で水溶性のものも用いることができる。その中でも、ビニル系樹脂が好ましく、特にポリビニルピロリドン又はポリビニルアルコールが好ましい。
【0048】
これらの水溶性樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。上記樹脂の中でも、保護膜が形成されたダイシングテープの露出面の接着強度が、保護膜形成前の接着強度の値と比べて50%以下になる樹脂を用いればよく、30%以下になる樹脂を用いることがより好ましい。これにより、粘着性のあるダイシングテープに、残存接着剤、溶解残渣物等が付着するのを好適に防ぐことができる。
【0049】
(剥離ユニット)
剥離ユニット54は、ウエハにおいて、ダイシングテープが貼着されている面に背向する面に接着剤を介して貼着されたサポートプレートを、ウエハから剥離するようになっている。剥離ユニット54の構成は、ウエハとサポートプレートとの間に介在する接着層の構成に応じて適宜変更すればよく、例えば、接着剤を溶解するための溶剤を供給可能な構成であってもよいし、反応層を分解させるために光を照射可能な構成であってもよい。サポートプレートとして穴あきサポートプレートを用いた場合には、剥離ユニット54によって、サポートプレートの貫通孔を介して溶剤を接着層に供給して接着剤を溶解し、ウエハとサポートプレートとを剥離してもよい。
【0050】
なお、剥離ユニット54による剥離処理は、塗布ユニット50によって保護膜が形成される前でも後でもよい。
【0051】
(除去ユニット)
除去ユニット60は、第1の洗浄手段5によりウエハの表面に付着している付着物を洗浄し、第2の洗浄手段6によりダイシングテープの露出面及びダイシングフレームに形成された保護膜を除去するようになっている。
【0052】
第1の洗浄手段5の構成は、洗浄液を用いてウエハを洗浄するようになっている限り、特に限定されるものではないが、例えば、ノズル等の吐出手段により洗浄液を吐出するようになっていてもよい。第1の洗浄手段5は、サポートプレートが剥離されたウエハ上に対して洗浄液を吐出し、ウエハ上に残存している付着物を洗浄して除去してもよい。
【0053】
第2の洗浄手段6の構成は、保護膜を除去可能な限り、特に限定されるものではなく、保護膜の材料又は形態に応じて適宜変更可能である。例えば、ノズル等の吐出手段を用いて保護膜に洗浄液を吐出するような構成でもよいし、保護膜フィルムを剥離するような構成であってもよい。
【0054】
保護膜が洗浄液に不溶で且つ水溶性の保護膜材料により形成されている場合、第2の洗浄手段6は、保護膜に水を供給し、保護膜を除去するようになっていることが好ましい。これにより、容易かつ確実に保護膜を除去することができる。
【0055】
また、除去ユニット60は、第2の洗浄手段6による洗浄(保護膜除去)処理の後に、例えば、ウエハの表面をさらにドライ処理等をするようになっていてもよい。これにより、第1の洗浄手段5による洗浄では完全に除去しきれなかった接着剤等の付着物があったとしても、さらなる除去処理によってウエハの表面をより清浄にすることができる。そのような処理としては、例えば、酸素プラズマを発生させて、ウエハの表面に残存している接着剤を除去するプラズマ処理が挙げられる。
【0056】
除去ユニット60は、第1の洗浄手段5及び第2の洗浄手段6による処理がそれぞれ行なわれるとき、被処理体9を回転させるような構成になっていてもよい。
【0057】
(洗浄液)
第1の洗浄手段5がウエハ上を洗浄するために用いる洗浄液は、ウエハとサポートプレートとを接着する接着剤の種類に応じて適宜選択されるものであり、非水溶媒を含む限り、特に限定されるものではないが、例えば、後述するp−メンタン等のテルペン系溶剤を用いた公知の洗浄液を用いることができる。
【0058】
洗浄液の例として、具体的には、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、メチルオクタン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン等の直鎖状の炭化水素、炭素数3から15の分岐状の炭化水素;ゲラニオール、ネロール、リナロール、シトラール、シトロネロール、p−メンタン、o−メンタン、m−メンタン、ジフェニルメンタン、メントール、イソメントール、ネオメントール、リモネン、α−テルピネン、β−テルピネン、γ−テルピネン、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、テルピネン−1−オール、テルピネン−4−オール、1,4−テルピン、1,8−テルピン、カルボン、ヨノン、ツヨン、カンファー、ボルナン、ボルネオール、ノルボルナン、ピナン、α−ピネン、β−ピネン、ツジャン、α−ツジョン、β−ツジョン、カラン、ショウノウ、ロンギホレン、1,4−シネオール、1,8−シネオール等のモノテルペン類、アビエタン、アビエチン酸等のジテルペン類、等の環状の炭化水素(テルペン類)が挙げられる。
【0059】
(接着剤)
洗浄装置80は、ウエハとサポートプレートとを接着するために用いられる接着剤であって、ウエハからサポートプレートを剥離した後にウエハ上に付着する接着剤の残存物及び溶解残渣物を洗浄処理する。このように、洗浄装置80の洗浄処理の対象となる接着剤としては、接着性を有する樹脂を含んでいるものであれば特に限定されないが、さらにフィラーを含んでいるものであってもよい。
【0060】
洗浄処理の対象となる接着剤は、樹脂として、例えば、ゼラチン、セルロース、セルロースエステル(例えば、酢酸セルロース、ニトロセルロース)、ポリフェノール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、塩化ビニリデンとアクリロニトリルとの共重合体、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ塩化ビニル、シリコーン樹脂又はポリウレタン単位を含むブロックコポリマーなどを、単独で又は2種以上混合して含んでいてもよい。
【0061】
また、接着剤は、フィラーとして、例えば、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化スズ、酸化アンチモン、フェライト類、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、セピオライト、イモゴライト、セリサリト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉等を含んでいてもよい。
【0062】
また、接着剤は、公知の方法を用いて、樹脂とフィラーとを混合することによって調製されたものであってもよい。このとき、必要に応じて有機溶剤で希釈した溶液が用いられていてもよい。
【0063】
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール又はジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル又はモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類及びその誘導体;ジオキサンなどの環式エーテル類;乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;及びテルペン系溶剤等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0064】
テルペン系溶剤としては、例えば、α−ピネン、カンフェン、ピナン、ミルセン、ジヒドロミルセン、p−メンタン、3−カレン、p−メンタジエン、α−テルピネン、β−テルピネン、α−フェランドレン、オシメン、リモネン、p−サイメン、γ−テルピネン、テルピノーレン、1,4−シネオール、1,8−シネオール、ローズオキサイド、リナロールオキサイド、フェンコン、α−シクロシトラール、オシメノール、テトラヒドロリナロール、リナロール、テトラヒドロムゴール、イソプレゴール、ジヒドロリナロール、イソジヒドロラバンジュロール、β−シクロシトラール、シトロネラール、L−メントン、ギ酸リナリル、ジヒドロテルピネオール、β−テルピネオール、メントール、ミルセノール、L−メントール、ピノカルベオール、α−テルピネオール、γ−テルピネオール、ノポール、ミルテノール、ジヒドロカルベオール、シトロネロール、ミルテナール、ジヒドロカルボン、d−プレゴン、ゲラニルエチルエーテル、ギ酸ゲラニル、ギ酸ネリル、ギ酸テルピニル、酢酸イソジヒドロラバンジュリル、酢酸テルピニル、酢酸リナリル、酢酸ミルセニル、酢酸ボルニル、プロピオン酸メンチル、プロピオン酸リナリル、ネロール、カルベオール、ペリラアルコール、ゲラニオール、サフラナール、シトラール、ペリラアルデヒド、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、ベルベノン、d−カルボン、L−カルボン、ピペリトン、ピペリテノン、ギ酸シトロネリル、酢酸イソボルニル、酢酸メンチル、酢酸シトロネリル、酢酸カルビル、酢酸ジメチルオクタニル、酢酸ネリル、酢酸イソプレゴール、酢酸ジヒドロカルビル、酢酸ノピル、酢酸ゲラニル、プロピオン酸ボルニル、プロピオン酸ネリル、プロピオン酸カルビル、プロピオン酸テルピニル、プロピオン酸シトロネリル、プロピオン酸イソボルニル、イソ酪酸リナリル、イソ酪酸ネリル、酪酸リナリル、酪酸ネリル、イソ酪酸テルピニル、酪酸テルピニル、イソ酪酸ゲラニル、酪酸シトロネリル、ヘキサン酸シトロネリル、イソ吉草酸メンチル、β−カリオフィレン、セドレン、ビサボレン、ヒドロキシシトロネロール、ファルネソール及びイソ酪酸ロジニルなどが挙げられる。これらのなかでも、溶解性の観点から、リモネン及びp−メンタンを用いることがより好ましく、p−メンタンを用いることが特に好ましい。
【0065】
なお、ウエハとサポートプレートとの間に介在する接着層の構成は接着剤のみからなるものに限定されず、例えば、接着剤の上に反応層が設けられていてもよい。反応層は、例えばレーザー光等によって分解される光吸収剤を含んでいてもよい。この場合には、洗浄装置80は、反応層に光を照射して分解することによって、ウエハとサポートプレートとを剥離した後にウエハ上を洗浄し、接着剤等の付着物を取り除くようになっていればよい。
【0066】
反応層に含まれる光吸収剤としては、例えば、グラファイト粉、鉄、アルミニウム、銅、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、亜鉛、テルルなどの微粒子金属粉末、黒色酸化チタンなどの金属酸化物粉末、カーボンブラック、又は芳香族ジアミノ系金属錯体、脂肪族ジアミン系金属錯体、芳香族ジチオール系金属錯体、メルカプトフェノール系金属錯体、スクアリリウム系化合物、シアニン系色素、メチン系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素等の染料もしくは顔料が挙げられる。また、光吸収剤は、金属蒸着膜を含む膜状の形態などであってもよい。
【0067】
洗浄装置80によれば、ウエハの外縁部分よりも外側にはみ出したダイシングテープの露出面とダイシングフレームとに、第1の洗浄手段5がウエハを洗浄するために用いる洗浄液からこれらを保護する保護膜を形成する保護膜形成手段4を備えているので、ダイシングテープ及びダイシングフレームに付着物が付着して汚染されるのを防ぐことができる。また、洗浄装置80によれば、ダイシングテープ及びダイシングフレームに付着物が付着するのを防ぐことができるので、これらに接触するダイシングブレード及びロボットアームの汚染を防ぐことができる上に、ウエハが再度汚染されるのも防ぐことができる。
【0068】
さらに、洗浄装置80によれば、ダイシングテープ及びダイシングフレームが保護膜により保護されているので、これらが洗浄液により劣化するのを防ぐことができる。その結果、洗浄液に対して耐性のないダイシングテープ及びダイシングフレームであっても、好適に用いることができる。
【0069】
〔洗浄方法〕
本発明に係る洗浄方法は、その片面に粘着テープが貼着され、上記粘着テープの外周に枠部が取り付けられている基板を洗浄する洗浄方法であって、上記基板の外縁部分よりも外側にはみ出した粘着テープの露出面と、上記枠部とに、これらを洗浄液から保護する保護膜を形成する保護膜形成工程と、上記保護膜を形成した後に、上記基板を洗浄液により洗浄する洗浄工程とを包含することを特徴としている。本発明の一実施形態に係る洗浄方法について、図2を参照して説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る洗浄方法の処理の流れを示す図である。
【0070】
本実施形態において、洗浄方法は、サポートプレートが剥離された後の、ウエハ1を被処理体としており、ウエハ1には、ダイシングフレーム3がその外周に取り付けられたダイシングテープ2が貼着されている。なお、洗浄方法は、ウエハにおいて、ダイシングテープが貼着されている面に背向する面に接着剤を介してサポートプレートが貼着されており、後述する洗浄工程の前に、ウエハからサポートプレートを剥離する剥離工程をさらに備えていてもよい。すなわち、本実施形態では、保護膜形成工程の前にサポートプレートを剥離しているが、保護膜形成工程の後にサポートプレートを剥離してもよい。
【0071】
ウエハ1の表面には、図2の(a)に示すように、ウエハ1とサポートプレートとを接着していた接着剤の残存接着剤10及び溶解残渣物11等の付着物が付着している。なお、以下に示す処理では上述した洗浄装置80を用いる場合について説明する。
【0072】
図2の(b)に示すように、まず、ダイシングテープ2の露出面及びダイシングフレーム3に保護膜材料12を供給する。保護膜材料12の供給方法は特に限定されないが、例えば、図2の(b)に示すようにノズル状の保護膜形成手段4から保護膜材料12を吐出させればよい。
【0073】
保護膜材料12は、ダイシングテープ2の露出面及びダイシングフレームが少なくとも被覆されるように供給すればよく、ダイシングフレーム3の外周部にまで達するまで供給することが好ましい。また、保護膜材料12を供給する前に、例えば予めウエハ1の表面にマスキング処理を施しておいてもよい。これにより、洗浄対象となるウエハ1の表面に保護膜が形成されて十分な洗浄が行なえなくなることを防ぐことができる。
【0074】
また、保護膜材料12を供給しているとき、ウエハ1等の被処理体を回転させてもよい。これにより、吐出した保護膜材料12をダイシングテープ2及びダイシングフレーム3上に効率よく行き渡らせることができる。また、ダイシングテープ2及びダイシングフレーム3に対して材料12を供給する前に、ダイシングテープ2及びダイシングフレーム3に紫外線を照射してもよい。これにより、ダイシングテープ2及びダイシングフレーム3への保護膜材料12の濡れ性を向上させることができる。
【0075】
その後、図2の(c)に示すように吐出した保護膜材料12を乾燥させて、保護膜13を形成する(保護膜形成工程)。乾燥は自然乾燥でよいが、例えば図2の(c)に矢印で示すように被処理体を回転させながら乾燥さてもよい。なお、乾燥方法はこれに限定されるものではなく、例えば、オーブン又はホットプレート等を用いて乾燥させてもよいし、温風をあてて乾燥させてもよい。
【0076】
次に、洗浄液を用いてウエハ1を洗浄する(洗浄工程)。洗浄工程においては、サポートプレートが剥離されたウエハ1上に残存している付着物を洗浄して除去する。ウエハ1の洗浄方法としては、特に限定されないが、図2の(d)に示すようにノズル状の第1の洗浄手段5から洗浄液14をウエハ1上に吐出してもよい。このように、ウエハ1に対して洗浄液14を吐出することにより、残存接着剤10と共に溶解残渣物11を洗い流してウエハ1上から除去することができる(図2の(e))。
【0077】
また、洗浄液14を吐出するとき、ウエハ1等の被処理体を回転させてもよい。これにより、遠心力によって洗浄液14を広範囲に広げてより効率よく洗浄することができる。このとき、ノズルを揺動(スイング)させながら洗浄液を吐出してもよい。
【0078】
本実施形態に係る洗浄方法においては、保護膜形成工程においてダイシングテープ2及びダイシングフレーム3を保護する保護膜を形成した後に、洗浄工程においてウエハ1上を洗浄するので、ダイシングフレーム3が洗浄液に対して可溶な樹脂により形成されていてもよい。
【0079】
ウエハ1の洗浄後、ダイシングテープ2及びダイシングフレーム3に形成されている保護膜13を除去する(図2の(f))。保護膜の除去方法としては特に限定されないが、例えば、保護膜13が水溶性の材料からなる場合には、ノズル状の第2の洗浄手段6から保護膜13に対して水15を吐出し、保護膜13を溶解させて除去すればよい。その後、被処理体を乾燥させる(図2の(g))。このとき、被処理体をさらに回転させてもよい。
【0080】
このように、本実施形態の洗浄方法によれば、ウエハの洗浄時にダイシングテープの露出面及びダイシングフレームが保護されているため、溶解残渣物等の付着を防ぐことができる。よって、その後のダイシングプロセス、搬送プロセス等において、ダイシングブレードやロボットアームが付着物により汚染されることがなく、これらの汚染によりウエハが再度付着物によって汚れることを防ぐことができる。また、洗浄液が直接ダイシングテープに接触しないため、ダイシングテープの劣化を防ぎ、例えばダイシングテープが膨潤するといった問題が起こり難い。さらにダイシングフレームにも洗浄液が直接接触しないので、洗浄液に対して耐性のないダイシングフレームを用いることも可能であり、例えば、軽量化のために、洗浄液に対して可溶な樹脂製のダイシングフレームを用いることもできる。
【0081】
なお、上述した方法により洗浄した後のウエハ1のエッジ部分に接着剤等が残存していることがあるが、これは後のプロセスにおいて妨げにならない程度の量である。しかし、必要に応じてウエハ1のエッジ部に残存し得る残存接着剤を洗浄する工程を設けてもよい。当該工程としては、具体的には、例えば、被処理体の乾燥前、ダイシングテープ2の露出面に水をかけながらウエハ1のエッジ部に洗浄液をかけて洗浄してもよいし、ブレード又はブラシにて除去してもよい。
【0082】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、例えば、半導体ウエハの製造工程において好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0084】
1 ウエハ
2 ダイシングテープ
3 ダイシングフレーム
4 保護膜形成手段
5 第1の洗浄手段(洗浄手段)
6 第2の洗浄手段(除去手段)
8 被処理体収納部
40 搬送手段
50 塗布ユニット
54 剥離ユニット(剥離手段)
60 除去ユニット
80 洗浄装置
図1
図2
図3