(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
蛍光体を含有する第1封止部材により複数の発光ダイオードを個別に封止した後、複数の第1封止部材を一の第2封止部材により一括して封止することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、添付した図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態について説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するフローチャートである。
【0020】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る発光装置の製造方法は、導線13上の実装部に複数の発光ダイオード11が実装された発光装置を製造する方法であり、第1工程S1と、第2工程S2と、第3工程S3と、第4工程S4と、を有している。
【0021】
[第1工程S1]
第1工程S1は、導線13上の隣り合う実装部間の直線距離がL2(L2<L1)となるように導線13を保持する工程である。L1及びL2は0より大きい実数であり、L1は隣り合う実装部間の導線13に沿った距離である。導線13に沿った距離とは、具体的には、導線13の長さである。
【0022】
(導線13)
導線13としては、導電性を有する様々な材料を用いることができるが、導電性に優れた材料を用いることが好ましい。例えば、銅、金、アルミニウム、銀などの電気抵抗率が低い金属線あるいはそれらの複合材(銅クラッドアルミ線、合金線など)を好ましく用いることができる。また、曲げやすいものが好ましく、曲げても破損しにくい(疲労しにくい)ものが好ましい。なお、導線13には、パラジウム、Pt、Agなどの貴金属メッキ、またはスズ系メッキが施されていてもよい。特にAgめっきは光反射率が高いため、発光装置の明るさを向上でき、好ましい。また、後述の発光ダイオード11を実装部に実装する部材との相性がよいものが好ましい。具体的には、例えば、実装する部材に半田材料を用いる場合は、貴金属メッキやスズ系メッキが施されたものが好ましい。
【0023】
導線13としては、金属線の周りが絶縁部材で被覆された被覆付導線を用いてもよい。被覆付導線を用いれば、複数の導線を接触させることができるため、様々な回路を組むことが可能となる。被覆付導線としては、例えばマグネットワイヤ(エナメル線、平角銅線、リボン線、平行電線、銅クラッドアルミ線、横巻線)などを用いることができる。
【0024】
また、導線13としては、平角線を用いたり、プレスやロールで部分的に平たくつぶされた丸線などを用いたりすることもできる。このようにすれば、発光ダイオード11との接合面積を確保することができ、発光ダイオード11を容易に実装することができる。また、導線13は、例えば縒り線のような複数の線材の集合体でもよい。導線13の太さまたは幅は、発光装置に求められる特性や、実装される発光ダイオード11の大きさ等に鑑み、0.数mm〜数mmのものを用いることができる。
【0025】
また、導線13としては、絶縁体の糸の表面を導電体で被膜し、さらにこれを絶縁体で被覆した部材を用いることができる。このような導線を用いることにより、被覆付導線を用いた場合と同様に、複数の導線を接触させることができるため、様々な回路を組むことが可能となるとともに、軽量な発光装置とすることができる。
【0026】
(隣り合う実装部間の直線距離L2)
隣り合う実装部間の直線距離をL2にする方法としては、導線13を曲げる、折る、捻るなどの方法があり、この際、棒部材などの補助部材を用いてもよい。なお、後述する織物式曲げ方法、棒凸式曲げ方法、棒巻式曲げ方法、棒切断式曲げ方法などは、隣り合う実装部間の直線距離をL2にする方法の一例である。
【0027】
(実装部)
実装部は、複数あればよく、2点でもよいし、3点以上であってもよい。
【0028】
導線13として被覆付導線を用いる場合、導線13上の実装部においては、発光ダイオード11との電気的接続が可能となるよう、研磨や、エアーヒータや半田・光などの熱などによって被覆を取り除いて芯線を露出させる。
【0029】
実装部は、導線13上の実装部をプレスなどにより平坦化した後、被覆を取り除いて芯線を露出させることが好ましい。このようにすれば、発光ダイオード11の実装が安定する。
【0030】
[第2工程S2]
第2工程S2は、保持された導線13上の各実装部に複数の発光ダイオード11を実装する工程である。
【0031】
(発光ダイオード11の実装)
発光ダイオード11の実装態様としては、例えば、パッケージングされる前の発光ダイオード11を実装する場合には、ワイヤーボンディングとダイボンディングとを組み合わせたものや、フリップチップ実装などを一例として挙げることができる。特にフリップチップ実装によれば、発光ダイオード11の導線13上への載置と発光ダイオード11と導線13との電気的な接続とを同時に行うことができるため、量産性を向上させることができる。フリップチップ実装を行う場合は、正負の電極となる2本以上の導線13を第1工程S1において保持する。
【0032】
発光ダイオード11を実装部に実装する接合材料(後述する
図3、4中の符号12を参照)としては、発光ダイオード11と導線13(実装部)との電気的接続を行う場合には、Au−SnやSn−Cu−Ag、Sn−Cu、Sn−Bi、Sn−Znをはじめとする半田や異方性導電ペースト、銀ペースト、銅ペースト、カーボンペースト、Auなどの金属材料のバンプなどの電性接合材料を用いることができる。また、電気的接続を行わない場合には、絶縁性のエポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂を用いることができる。また、例えば超音波溶接やヒュージング法のように、接合材料を用いずに、発光ダイオード11の電極と導線13とを直接接合することもできる。
【0033】
ワイヤーボンディングに用いられるワイヤーは、Au、Ag、Al、Cuなどの金属及びその合金やメッキされた合金の細線を用いることができる。フリップチップ実装に用いられるバンプとしては、Au及びその合金を好適に用いることができる。
【0034】
(発光ダイオード11)
発光ダイオード11としては、例えば、表面実装型LED、砲弾型LED、LEDチップ、チップサイズパッケージLEDなどの様々な発光ダイオードを用いることができる。また、サファイア基板などの透光性基板の上に青色発光を行うGaN系半導体が積層されたLEDチップなどは、発光ダイオード11として、後述する波長変換部材と組み合わせることで、照明装置として用いる発光装置に特に好ましく用いることができる。
【0035】
フリップチップ実装を行う場合には、発光ダイオード11として、正負の電極が略等しい大きさで形成されたLEDチップを用いることが好ましい。特に、実装用の電極と半導体層と接する電極との間に絶縁膜が設けられ、実装用の電極が半導体層と接する電極より広い面積で設けられたLEDチップ(このようなLEDチップの一例を
図2に示す。)を用いることが好ましい。これにより、実装面積が限られた導線上での実装が容易になるため、発光装置の明るさと量産性とを両立することができる。
【0036】
図2は、LEDチップの一例を示す図であり、
図2(a)は平面図、
図2(b)は
図2(a)中のA−A断面を示す断面図である。
図2に示した一例に係るLEDチップは、サファイア基板1と、p型半導体層2a及びn型半導体層2bと、p電極3a及びn電極3bと、絶縁層4と、p側パッド電極5a及びn側パッド電極5bと、を備えている。
【0037】
絶縁膜4は、p側パッド電極5aとn側パッド電極5bとの間に設けられ、n側パッド電極5bは、絶縁膜4の上にn型半導体層2bとn電極3bとの接触面積よりも、広い面積で設けられている。また、p側パッド電極5aとn側パッド電極5bとは、略等しい大きさで形成されている。上述したように、このようなLEDチップを発光ダイオード11として用いれば、実装面積が限られた導線13上での実装が容易になるため、発光装置の明るさと量産性を両立することができる。例えば、
図2のLEDチップでは、2つの電極がLEDチップの矩形状の長手方向の両端部に矩形の幅と同じ程度の幅で設けられ、長手方向に見て一方の電極と他方の電極との間に、電極が形成されていない電極火形成部があり、電極非形成部は2つの電極より小さい。これを本発明の実施形態に係る発光装置に用いることにより、比較的小さいLEDチップを、容易に任意の間隔にフリップチップ実装することができる。また、LEDチップは、一辺が0.1mmから3mm程度の矩形の大きさのものを好ましく用いることができる。
【0038】
[第3工程S3]
第3工程S3は、隣り合う実装部間の直線距離がL3(L2<L3≦L1)となるように複数の発光ダイオード11が実装された導線13の保持を解除する、または導線13の保持を調整する工程である。L3は0より大きい実数である。なお、後述する実施例では、L3=L1である場合を一例として採り上げている。L3<L1として用いると、発光ダイオードの間の距離を実装後に調節することができる。
【0039】
[第4工程S4]
第4工程S4は、導線13上に実装された複数の発光ダイオード11を透光性の封止部材15で封止する工程である。透光性の封止部材15としては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ガラスなどを用いることができる。透光性とは入射した光を50%以上透過することをいう。封止部材15には発光ダイオード11からの光を異なる波長の光に波長変換する蛍光体を含有させてもよい。このようにすれば、白色、電球色をはじめとして、様々な色調、発光スペクトルを提供できるため、多種多様な市場の要求に対応できる。
【0040】
具体的には、発光ダイオード11が青色光を発する場合には、黄色発光するYAG系蛍光体、緑色発光をするLAG系蛍光体、SiAlON系蛍光体、赤色発光のCASN蛍光体、SCASN蛍光体などを蛍光体の一例として挙げることができる。これらの蛍光体を封止部材15に含有させれば、青色発光の発光ダイオード11に、緑色発光のSiAlON系蛍光体と赤色発光のCASN蛍光体とを組み合わせることができるため、色再現性が高く、テレビなどのバックライト用の光源に適した発光装置とすることができる。また、緑色〜黄色発光のLAG系やYAG系蛍光体や赤色発光の蛍光体などを組み合わせて封止部材15に含有させれば、一種類の蛍光体を用いる場合よりも演色性(Ra)が高く、照明用の光源に適した白色・電球色の光を発する発光装置とすることができる。
【0041】
さらには光を散乱させる光拡散部材を含有させても良い。これにより、所望の配光を得る、または色むらを防止することができる。光拡散部材の材質としては、TiO
2、SiO
2、Al
2O
3、MgO、MgCO
3、CaCO
3、Mg(OH)
2、Ca(OH)
2などがあげられる。
【0042】
封止部材15は、発光ダイオード11に加えて、実装部や実装部の周辺の導線13を封止することが好ましい。これにより、発光装置の強度を高め、歩留まりを向上させることができるため、発光装置を安価に形成することができる。
【0043】
封止部材15による封止は、キャスティングケースを用いたモールディング、発光ダイオード11上へのポッティング、印刷、トランスファーモールド、コンプレッションモールド、射出成形など、種々の方法で行うことができる。また、封止部材15による封止は、一つ一つの発光ダイオード11を個別に行うこともできるし(後述する封止方法の第1例)、複数の発光ダイオード11を一括して行うこともできる(後述する封止方法の第2例)。
【0044】
本工程は、第2工程の後であれば、第3工程の前に行ってもよいし、後に行ってもよい。つまり、発光ダイオード11が実装部に実装された後であれば、実装部間の距離がL2とされた状態で封止されてもよく、L3とされた状態で封止されてもよい。本工程を第3工程の前に行うことで、発光ダイオード11の実装と同様の理由でタクトを高めることができ、安価な発光装置とすることができる。
【0045】
図3は、封止方法の第1例を説明する図であり、
図3(a)は平面図、
図3(b)は側面図であり、
図3(c)は正面図である。
【0046】
図3に示すように、本発明の実施形態においては、蛍光体を含有するドーム状の第1封止部材15aにより複数の発光ダイオード11を個別に封止した後、第1封止部材15aをドーム状の第2封止部材15bによりさらに個別に封止してもよい。このようにすれば、発光ダイオード11に加えて実装部や実装部の周辺の導線13を封止することができる。また、封止部材15が複数層に形成されるため、発光ダイオード11の保護と発光装置の機械的強度とを両立することができる。
【0047】
図4は、封止方法の第2例を説明する図であり、
図4(a)は平面図、
図4(b)は側面図であり、
図4(c)は正面図である。
【0048】
図4に示すように、本発明の実施形態においては、蛍光体を含有する第1封止部材15aにより複数の発光ダイオード11を個別に封止した後、複数の第1封止部材15aを第2封止部材15bにより一括して封止してもよい。このようにしても、発光ダイオード11に加えて実装部や実装部の周辺の導線13を封止することができる。また、封止部材15が複数層に形成されるため、発光ダイオード11の保護と発光装置の機械的強度とを両立することができる。
【0049】
以上説明した封止方法の第1例及び第2例においては、発光ダイオード11としてLEDチップを用い、このLEDチップを第1封止部材15aにより直接被覆することが好ましい。このようにすれば、構成部材の削減や工程の短縮によるコスト削減が可能となる。
【0050】
さらに、第1封止部材15aとしては、第2封止部材15bよりも軟らかい材料を用いることが好ましい(第2封止部材15bとしては、第1封止部材15aよりも堅い材料を用いることが好ましい)。このようにすれば、材料の熱膨張の違いなどにより発生する応力による例えばワイヤーの断線のような電気的接続不良を防止できる。なお、「軟らかい材料」とは、ガラス転移点が低い材料、例えばシリコーン系樹脂などの材料があげられ、「堅い材料」とは、ガラス転移点が高い材料、例えばエポキシ系樹脂などの材料があげられる。
【0051】
以上説明した本発明の実施形態に係る発光装置の製造方法によれば、導線13上の実装部に複数の発光ダイオード11が実装された発光装置を製造するにあたり、導線13上の隣り合う実装部間の直線距離L2がこの実装部間の導線13に沿った距離L1よりも短くなるため、マウント装置(発光ダイオード11を導線13上に実装する装置)のタクトタイムを低減させることが可能となり、単位時間あたりに実装できる発光ダイオード11の数を増やすことができる。
【0052】
したがって、本発明の実施形態に係る発光装置の製造方法によれば、作業効率の向上を図ることができ、発光ダイオード11を使用した発光装置を従来よりも安価に製造することができる。
【0053】
次に、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0054】
まず、本発明の実施例1として、織物式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法について説明する。織物式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法は、複数の棒部材に導線13を交差させて隣り合う実装部間の直線距離をL2とする方法である。この方法によれば、発光ダイオード11の実装密度を高めることで、マウント装置のタクトタイムを低減させて、大量生産やコストダウンを促進することが可能になる。また、この方法は、導線13上の実装部を2次元(導線13が延長される方向と、それに垂直な方向)に配置することができるため、面状の発光装置とするのに適している。
【0055】
[織物式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法例(その1)]
図5は、織物式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法例(その1)を示す図であり、
図5(a)は、複数の棒部材17とこれに交差している導線13との上面図、
図5(b)は、複数の棒部材17とこれに交差している導線13との側面図、
図5(c)は、伸ばされた導線13の上面図である。
【0056】
図5に示すように、織物式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法例(その1)では、8本の導線13を略平行に複数本配列させて複数の棒部材17に交差させている。このようにすれば、8本の導線13上の隣り合う実装部間の直線距離を同時にL2にすることができる。
【0057】
8本の導線13は、2本1組として用いられており、複数の発光ダイオード11は、1組の導線13の一方(アノード)と他方(カソード)とに跨がって実装されている。
【0058】
8本の導線13は、複数の棒部材17の上面を見た状態において、隣り合う2組の導線13が異なる棒部材17の上面に現れるように交差されている。このようにすれば、隣り合う2組の導線13上の実装部が同一の棒部材17の上面に現れるように交差される場合よりも近づくため、発光ダイオード11の実装密度が高まり、マウント装置のタクトタイムを低減させて、大量生産やコストダウンを促進することが可能になる。
【0059】
隣り合う実装部間の直線距離がL3(L3=L1)となるように複数の発光ダイオード11が実装された導線13を伸ばし、複数の発光ダイオード11を、それぞれ封止部材15で封止した。このようにして製造された発光装置は、
図5(c)に示すように、複数の発光ダイオード11が並列接続されている。なお、導線13を「伸ばす」態様は、導線13の保持を解除する形態の一例である。また、本実施形態のような発光装置においては、L2+発光ダイオードの大きさ≦L3となる。
【0060】
[織物式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法例(その2)]
図6は、織物式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法例(その2)を示す図であり、
図6(a)は、複数の棒部材17とこれに交差している導線13との上面図、
図6(b)は、複数の棒部材17とこれに交差している導線13との側面図、
図6(c)は、伸ばされた導線13の上面図である。
【0061】
図6に示すように、織物式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法例(その2)では、6本の導線13を整列された複数の棒部材17に交差させている。
【0062】
6本の導線13は、複数の棒部材17の上面を見た状態において、隣り合う導線13が奇数番目の棒部材17の上面に現れるように交差されている。
【0063】
6本の導線13は、2本1組として用いられており、複数の発光ダイオード11は、隣り合う導線13の一方(アノード)と他方(カソード)とに跨がってフリップチップ実装されている。但し、複数の発光ダイオード11は、(1+n×4)番目の棒部材17と(3+n×4)番目の棒部材17とにおいて(nは0以上の整数とする。)、跨がる導線13が異なっている。つまり、(1+n×4)番目の棒部材17の上面においてアノードとして用いられた導線13は、(3+n×4)番目の棒部材17の上面においてカソードとして用いられ、(1+n×4)番目の棒部材17の上面においてカソードとして用いられた導線13は、(3+n×4)番目の棒部材17の上面においてアノードとして用いられる。
【0064】
織物式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法例(その2)では、複数の棒部材17を上段と下段とに分けて整列させ、上段に整列された複数の棒部材17と下段に整列された複数の棒部材17との間に間隔保持部材19を設けている。このようにすれば、複数の棒部材17を1段に整列させた場合よりも、導線13の各実装部を互いにより一層近づけることができ、よりタクトタイムを低減することができる。
【0065】
隣り合う実装部間の直線距離がL3(L3=L1)となるように複数の発光ダイオード11が実装された6本の導線13を伸ばし、複数の発光ダイオード11を封止部材15で封止して上面を見ると、
図6(c)で示したように、複数の発光ダイオード11が並直列接続されていることが分かる。なお、上述したとおり、導線13を「伸ばす」態様は、導線13の保持を解除する形態の一例である。
【0066】
[織物式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法例(その3)]
図7は、織物式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法例(その3)を示す図であり、
図7(a)は、スリットの入った絶縁性の可撓性を有するフィルム21(導線を貼り付けることが可能な絶縁性及び可撓性を有する部材の一例)の上面図、
図7(b)は、スリットの入ったフィルム21に貼り付けられた導線13の上面図、
図7(c)は、スリットの入ったフィルム21に貼り付けられた導線13と複数の棒部材17との上面図である。
【0067】
図7に示すように、織物式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法例(その3)では、スリットの入ったフィルム21に導線13を貼り付け、これに複数の発光ダイオード11を実装する点で、フィルム21を用いない上述した製造方法例(その2)と相違する。
【0068】
織物式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法例(その3)によれば、導線13が可撓性を有するフィルム21に貼り付けられるため、製造時および使用時に発光装置にかかる張力がフィルム21の撓みにより受け止められ、電気接合部(すなわち、実装部)にかかる機械応力を低減することが可能となり、断線し易い(多数の切断箇所を有している)発光装置を連続的に製造して低価格に量産することができる。
【実施例2】
【0069】
次に、本発明の実施例2として、棒凸式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法について説明する。棒凸式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法は、交互に配置された複数の棒部材と複数の凸部とに導線13を交差させて隣り合う実装部間の直線距離をL2とする方法である。
【0070】
この方法によれば、導線13の数を増やしても間隔保持部材の位置調整がなく、棒部材を外す方向が上方の1方向とできるため、リール・トゥ・リールでの加工が容易となるため、発光装置の大面積化や製造方法の自動化が容易となり、コストの低減を図ることができる。また、この方法は、導線13上の実装部を2次元に配置することができるため、拡散板などと組み合わせてディスプレイなどに用いられる面状の発光装置とするのに適している。なお、後述する突起23は、凸部の一例である。
【0071】
[棒凸式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法例(その1)]
図8は、棒凸式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法例(その1)を示す図であり、
図8(a)は、複数の棒部材17及び複数の突起23とこれに交差している導線13との上面図、
図8(b)は、複数の棒部材17及び複数の突起23とこれに交差している導線13との側面図、
図8(c)は、伸ばされた導線13の上面図である。
【0072】
図8に示すように、棒凸式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法例(その1)では、交互に配置された複数の棒部材17と複数の突起23とに10本の導線13を交差させることにより導線13上の隣り合う実装部間の直線距離を同時にL2にしている。
【0073】
10本の導線13は、複数の棒部材17の上面を見た状態において、隣接する導線13が各突起23の上面に現れるように交差されている。
【0074】
10本の導線13は、2本1組として用いられており、複数の発光ダイオード11は、隣接する導線13の一方(アノード)と他方(カソード)とに跨がって実装されている。
【0075】
棒から導線13を取り外し、隣り合う実装部間の直線距離がL3(L3=L1)となるように複数の発光ダイオード11が実装された10本の導線13を伸ばし、複数の発光ダイオード11を封止部材15で封止して上面を見ると、
図8(c)で示したように、複数の発光ダイオード11が並列接続されていることが分かる。なお、上述したとおり、導線13を「伸ばす」態様は、導線13の保持を解除する形態の一例である。
【0076】
[棒凸式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法例(その2)]
図9は、棒凸式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法例(その2)を示す図であり、
図9(a)は、複数の棒部材17及び複数の突起23とこれに交差している導線13との上面図、
図9(b)は、複数の棒部材17及び複数の突起23とこれに交差している導線13との側面図、
図9(c)は伸ばされた導線13の上面図である。
【0077】
図9に示すように、棒凸式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法例(その2)では、交互に配置された複数の棒部材17と複数の突起23とに6本の導線13を交差させることにより導線13上の隣り合う実装部間の直線距離を同時にL2にしている。
【0078】
6本の導線13は、複数の棒部材17の上面を見た状態において、隣り合う導線13が各突起23の上面に現れるように交差されている。
【0079】
6本の導線13は、2本1組として用いられており、複数の発光ダイオード11は、隣り合う導線13の一方(アノード)と他方(カソード)とに跨がって実装されている。但し、複数の発光ダイオード11は、奇数番目の棒部材17と偶数番目の棒部材17とにおいて、跨がる導線13が異なっている。このようにして、棒凸式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法例(その2)では、複数の発光ダイオード11が導線が交差する部位に実装された網状の発光装置を提供する。
【0080】
隣り合う実装部間の直線距離がL3(L3=L1)となるように複数の発光ダイオード11が実装された6本の導線13を伸ばし、複数の発光ダイオード11を封止部材15で封止して上面を見ると、
図9(c)で示したように、複数の発光ダイオード11が並直列接続されていることが分かる。なお、上述したとおり、導線13を「伸ばす」態様は、導線13の保持を解除する形態の一例である。
【0081】
なお、棒凸式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法例(その2)では、複数の突起23が一体的に形成されている。
【0082】
また、棒凸式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法例(その2)では、複数の突起23の上面にフィルム片25(導線を貼り付け可能な部材の一例)を設けて、隣り合う導線13を接着している。
【0083】
[棒凸式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法例(その3)]
図10は、棒凸式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法例(その3)を示す図であり、
図10(a)〜
図10(c)、
図10(e)、及び
図10(f)は上面図である。また、
図10(d)は上面図及び側面図である。
【0084】
棒凸式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法例(その3)では、3本の導線13を平行に配置し(
図10(a)参照)、3本の導線13を所定の長さにプレスなどの手法で切断する(
図10(b)参照)。
【0085】
次に、切断された3本の導線13を1つの絶縁性及び可撓性を有する基体14(導線13を貼り付けることが可能な絶縁性及び可撓性を有する部材の一例)に貼り付けて一体化し(
図10(c)参照)、これを複数の棒部材17及び複数の突起23に交差させる(
図10(d)参照。なお、
図10(d)の部分拡大図で示すように、基体14は可撓性を有しているため、導線13とともに一部が撓んでいる。)。これにより、導線13上の隣り合う実装部間の直線距離がL2になる。なお、3本の導線13の実装部及びその周囲に反射材18と土手部16とを設ける(
図10(d)参照)。
【0086】
次に、3本の導線13の各実装部に発光ダイオード11を実装してこれらを封止部材15で封止する(
図10(e)参照)。
【0087】
そして、隣り合う実装部間の直線距離がL3(L3=L1)となるように複数の発光ダイオード11が実装された導線13を伸ばす(
図10(f)参照)。上述したとおり、導線13を「伸ばす」態様は、導線13の保持を解除する形態の一例である。
【0088】
なお、
図10(f)に示すように、短絡導線20を導線13上にヒュージングなどの手法で設ければ、複数の発光ダイオード11を直列接続することができる。
【0089】
[棒凸式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法例(その4)]
図11は、棒凸式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法例(その4)を示す図であり、
図11(a)は、導線13及び基体14を複数の棒部材17と複数の突起23とに交差させた様子を示す図であり、
図11(b)は、
図11(a)中のA−A断面を示す図であり、
図11(c)は、導線13及び基体14を伸ばした様子を示す図である。
【0090】
図11に示した例では、導線13を所定の長さにプレスなどの手法で切断し、切断された複数の導線13を網状の基体14に貼り付けて一体化し、これを複数の棒部材17及び複数の突起23と縦横に交差させた。
【0091】
複数の導線13の実装部には発光ダイオード11が実装され、発光ダイオード11は封止部材15で封止されている。なお、実装部の周囲には、封止部材15が不要に広がることを防止すべく、土手部16が設けられている。
【0092】
以上、棒凸式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法例について説明したが、複数の発光ダイオード11の封止は、(その1)〜(その3)で示したように導線13の保持を解除した後に行ってもよいし、(その4)で示したように保持を解除する前に行ってもよい。
【実施例3】
【0093】
次に、本発明の実施例3として、棒巻式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法について説明する。棒巻式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法は、棒部材に導線13を巻いて直線距離をL2とする方法である。この方法によれば、単純な構成の安価な製造装置で発光装置を製造可能となるため、発光装置を安価に製造することができる(装置の設置面積も狭くできる。)。
【0094】
[棒巻式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法例(その1)]
図12は、棒巻式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法例(その1)を示す図であり、
図12(a)は、棒部材17とこれに巻かれた導線13との上面図及び正面図、
図12(b)は、棒部材17とこれに巻かれた導線13との側面図、
図12(c)は伸ばされた導線13の上面図である。棒巻式曲げ方法によれば、織物式曲げ方法、棒凸式曲げ方法より単純な構造となり、直管形LEDランプのような直線状の発光装置を製造するのに適している。
【0095】
図12に示すように、棒巻式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法例(その1)では、棒部材17に2本の導線13が巻かれている。
【0096】
2本の導線13は、2本1組として用いられており、複数の発光ダイオード11は、導線13が巻かれた棒部材17の側面を見た状態において、2本1組の隣り合う導線13の一方(アノード)と他方(カソード)とに跨がって実装されている。
【0097】
隣り合う実装部間の直線距離がL3(L3=L1)となるように複数の発光ダイオード11が実装された2本の導線13を伸ばし、複数の発光ダイオード11を封止部材15で封止して上面を見ると、
図12(c)で示したように、複数の発光ダイオード11が並列接続されていることが分かる。なお、上述したとおり、導線13を「伸ばす」態様は、導線13の保持を解除する形態の一例である。
【0098】
[棒巻式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法例(その2)]
図13は、棒巻式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法例(その2)を示す図であり、
図13(a)は、棒部材17とこれに巻かれた導線13との上面図及び正面図(切断前)、
図13(b)は、棒部材17とこれに巻かれた導線13との上面図及び正面図(切断後)、
図13(c)は、棒部材17とこれに巻かれた導線13との上面図及び正面図(実装後)、
図13(d)は伸ばされた導線13の上面図である。
【0099】
図13に示すように、棒巻式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法例(その2)では、棒部材17に1本の導線13が巻かれる。
【0100】
1本の導線13は、フィルムなどを用いて棒部材17に巻かれた状態で仮固定され、棒部材17の長手方向に沿って切断される。複数の発光ダイオード11は、切断により生じた一端及び他端をアノード及びカソードとして1本の導線13に実装される。
【0101】
隣り合う実装部間の直線距離がL3(L3=L1)となるように複数の発光ダイオード11が実装された1本の導線13を伸ばし、複数の発光ダイオード11を封止部材15で封止して上面を見ると、
図13(d)で示したように、複数の発光ダイオード11が直列接続されていることが分かる。なお、上述したとおり、導線13を「伸ばす」態様は、導線13の保持を解除する形態の一例である。
【0102】
[棒巻式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法例(その3)]
図14は、棒巻式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法例(その3)を示す図であり、
図14(a)は、導線13をローラー27を用いて基体14に貼りつける様子を示す図、
図14(b)は、棒部材17とこれに巻かれた導線13及び基体14との上面図(切断前)、
図14(c)は、棒部材17とこれに巻かれた導線13及び基体14との上面図(切断後)、
図14(d)は、棒部材17とこれに巻かれた導線13及び基体14との上面図及び正面図(被覆除去後)、
図14(e)は、棒部材17とこれに巻かれた導線13及び基体14との上面図及び正面図(実装後)、
図14(f)は伸ばされた導線13の一例を示す図である。
【0103】
図14に示すように、棒巻式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法例(その3)では、1本の導線13が棒部材17に巻かれる。導線13としては、エナメル線が用いられており、エナメル線は、棒部材17に巻かれた後、棒部材17の長手方向に沿って切断される。
【0104】
複数の発光ダイオード11は、切断により生じた一端及び他端をアノード及びカソードとして1本の導線13に実装される。
【0105】
隣り合う実装部間の直線距離がL3(L3=L1)となるように複数の発光ダイオード11が実装された1本のエナメル線を伸ばし、複数の発光ダイオード11を封止部材15で封止して上面を見ると、
図14(f)で示したように、複数の発光ダイオード11が直列接続されていることが分かる。なお、上述したとおり、導線13を「伸ばす」態様は、導線13の保持を解除する形態の一例である。
【実施例4】
【0106】
次に、本発明の実施例4として、棒切断式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法について説明する。棒切断式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法は、棒部材に導線13を巻いた後に棒部材を長手方向に沿って切断して隣り合う実装部間の直線距離をL2とする方法である。この方法によれば、導線13による光吸収が抑制され効率のよい発光装置とすることができる。また、導線13による光の遮蔽が少なくでき、配光角の広い発光装置とすることもできる。
【0107】
図15は、棒切断式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法例を示す図であり、
図15(a)は、棒部材17とこれに巻かれた導線13との上面図及び正面図(切断前)、
図15(b)は、棒部材17とこれに巻かれた導線13との上面図及び正面図(切断後)、
図15(c)は、複数の発光ダイオード11が実装された導線13の上面図及び正面図、
図15(d)は、伸ばされた導線13の上面図及び側面図である。
【0108】
図15に示すように、棒切断式曲げ方法を用いた発光装置の製造方法例では、棒部材17に導線13を巻いた後、棒部材17を長手方向に沿って切断する(したがって、棒部材17に巻かれている導線13も切断される)。
【0109】
複数の発光ダイオード11は、棒部材17に沿って隣接する2つの端部をアノード及びカソードとして導線13に実装される。
【0110】
隣り合う実装部間の直線距離がL3(L3=L1)となるように複数の発光ダイオード11が実装された導線13を伸ばし、複数の発光ダイオード11を封止部材15で封止して上面を見ると、
図15(d)で示したように、複数の発光ダイオード11が直列接続されていることが分かる。なお、上述したとおり、導線13を「伸ばす」態様は、導線13の保持を解除する形態の一例である。
【0111】
なお、
図10、
図11、
図14で示した例においては、導線13を基体14に貼り付け、この基体14に貼り付けられた導線13を保持して発光ダイオード11を実装したが、導線13の基体14の貼り付けは、他の図で示した例においても行うことができる。
【0112】
以上、本発明の実施形態及び実施例について説明したが、これらの説明は、本発明の一例に関するものであり、本発明は、これらの説明によって何ら限定されるものではない。