【実施例】
【0104】
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0105】
<透明性の評価>
sample No.1〜207の各重合体のフィルムについて、目視により透明性を評価した。
<屈折率、アッベ数および屈折率分布の測定>
カールツァイス社製インターファコ干渉顕微鏡を用いて測定した。
【0106】
<ガラス転移温度(Tg)の測定>
SIIナノテクノロジー株式会社製示差熱分析装置(型番:DSC6220C)を用いて、以下の条件でガラス転移温度(Tg)の測定を行った。
・窒素気流下(流量100mL/分)
・測定温度範囲:スタート温度30℃、リミット温度200℃
・昇温速度:10℃/分
なお、評価試料の前処理は、以下のとおりである。
sample No.1〜207の各重合体のフィルムまたはロッドレンズの試料を150℃で5分間溶融させた状態で維持し、ドライアイスで1分間急冷して、残留応力を除去した後、デシケータ内に15分以上放置して、試料に付着した霜を除去した。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、公知の方法で求めた。すなわち、測定により得られたDSC曲線から、ガラス領域におけるベースラインの延長線と、ガラス転移領域付近に現れるDSC曲線の変曲点における接線との交点をガラス転移温度(Tg)とした。
【0107】
<共役長TC及び解像度(平均MTF)の測定>
空間周波数12ラインペア/mm(Lp/mm)を有するラインチャートを用いて測定した。
具体的には、光軸に垂直な両端面を研磨したロッドレンズアレイに光源からの光(波長470nm、525nmまたは630nm)を、ラインチャートを通して入射させ、結像面に設置したCCDラインセンサにより格子画像を読み取り、その測定光量の最大値(i
max)と最小値(i
min)を測定し、下記式(9)によりMTF(モデレーション・トランスファー・ファンクション)を求めた。
MTF(%)={(i
max−i
min)/(i
max+i
min)}×100 ・・・(9)
【0108】
その際、ロッドレンズアレイの入射端とラインチャートとの距離と、ロッドレンズアレイの出射端とCCDラインセンサとの距離を等しくした。そして、ラインチャートとCCDラインセンサをロッドレンズアレイに対し対称的に動かしてMTFを測定し、MTFが最大になるときの、ラインチャートとCCDラインセンサとの距離を共役長TCとした。
次に、ラインチャートとCCDラインセンサとの距離を共役長に保ったまま、ロッドレンズアレイ全幅について走査してMTFを50点測定し、これらの平均値(平均MTF)を求めて、解像度の指標とした。平均MTFの値が大きい程、解像度が優れる。
ここで空間周波数とは、白ラインと黒ラインとの組み合わせを1ラインとし、このラインの組み合わせが1mmの幅の中に何組設けてあるかを示すものである。
【0109】
<光量の測定>
解像度の測定で用いたラインチャートの代わりに、オパール型拡散板を用いて光量を測定する。
具体的には、光源からの光(波長525nm)を拡散板を通して、ロッドレンズアレイに入射させ、結像面に設置したCCDラインセンサにより光量出力を測定し、測定光量の最大値(i
max)を記録する。この際のロッドレンズアレイの入射端と拡散板との距離と、ロッドレンズアレイの出射端とCCDラインセンサとの距離は等しく、拡散板とCCDラインセンサとの距離は共役長である。
次に、拡散板とCCDラインセンサとの距離を共役長に保ったまま、ロッドレンズアレイ全幅について走査して光量出力を50点測定し、これらの平均値(平均光量)を求めた。ここで、一般的に使用されているロッドレンズであるセルフォック(登録商標)レンズアレイSLA12D(日本板硝子社製)の平均光量を100%としたときの、対象レンズの光量百分率(%)を光量の指標とした。光量の値が大きい程、高速での印刷に対応することができる。
【0110】
<耐熱試験>
温度70℃、湿度90%RHに設定した恒温恒湿器中にロッドレンズアレイを配し、1000時間保持した。試験前後での470nm、525nmまたは630nmの波長における平均MTFの値を求めた。
【0111】
[重合体混合物(sample No.1〜207)の製造例]
表1〜7に示す単量体および重合体の混合物100質量部に対して、光硬化触媒として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(HCPK)0.25質量部を混合し、2枚のスライドガラスの間に挟み、2KWの高圧水銀灯3本にて5000mJ/cm
2の紫外光を8回照射することによって硬化させて、厚さ0.3mmのフィルム状重合体混合物sample No.1〜207(PMMAとその他の重合体の混合物)を得た。
【0112】
sample No.1〜131について、重合体混合物の透明性、屈折率、ガラス転移温度を評価した結果を表1〜5に示す。この結果のうち、透明性について三角相図で整理した結果を
図5〜9に、さらに、芳香環含有単量体(a)の含有量と炭素数が3以上の分岐炭化水素基を有する(メタ)アクリレート(b)単位の含有量とで整理した結果を
図10に示す。また、この結果のうち、ガラス転移温度について三角相図で整理した結果を
図11〜15に、さらに、炭素数が3以上の分岐炭化水素基を有する(メタ)アクリレート(b)単位の含有量とフッ素含有単量体(c)単位の含有量とで整理した結果を
図16に示す。
【0113】
【表1】
【0114】
【表2】
【0115】
【表3】
【0116】
【表4】
【0117】
【表5】
【0118】
sample No.132〜207について、重合体混合物の透明性、屈折率、ガラス転移温度、アッベ数を評価した結果を表6〜7に示す。この結果のうち、透明性について芳香環含有単量体(a)の含有量と炭素数が3以上の分岐炭化水素基を有する(メタ)アクリレート(b)単位の含有量とで整理した結果を
図18に示す。
【0119】
【表6】
【0120】
【表7】
【0121】
[実施例1]
ポリメチルメタクリレート(PMMA)45質量部、メチルメタクリレート(MMA)20質量部、フェニルメタクリレート(PhMA)35質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(HCPK)0.25質量部、およびハイドロキノン(HQ)0.1質量部を70℃に加熱混練して第1層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.5と同じ組成である。
PMMA45質量部、MMA40質量部、PhMA15質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第2層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.26と同じ組成である。
【0122】
PMMA45質量部、MMA40質量部、PhMA7.5質量部、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート(4FM)7.5質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第3層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.27と同じ組成である。
PMMA50質量部、MMA10質量部、PhMA10質量部、t−ブチルメタクリレート(TBMA)20質量部、4FM10質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第4層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.77と同じ組成である。
【0123】
PMMA25質量部、PhMA17.5質量部、TBMA40質量部、4FM17.5質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第5層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.99と同じ組成である。
なお、HCPKは光硬化触媒、HQは重合禁止剤である。
各層の原液の組成を表8に示す。
【0124】
なお、クロストーク光やフレア光を抑制する目的で、加熱混練前の第4層形成用原液および第5層形成用原液中に、原液100質量部に対して染料Blue ACR(日本化薬株式会社製)0.57質量部、染料MS Yellow HD−180(三井化学染料株式会社製)およびMS Magenta HM−1450(三井化学染料株式会社製)をそれぞれ0.14質量部、染料Diaresin Blue 4G(三菱化学株式会社製)およびKayasorb CY−10(日本化薬株式会社製)をそれぞれ0.02質量部添加した。
【0125】
この5種類の原液を、中心から外周に向かって硬化後の屈折率が順次低くなるように配列して、同心円状5層複合紡糸ノズルから同時に押し出し、糸状体を得た。複合防止ノズルの温度は50℃とした。
各層の吐出比は、ロッドレンズの半径方向の各層の厚さ(第1層目においては半径)の比に換算して、第1層目/第2層目/第3層目/第4層目/第5層目=24.0/31.1/40.2/2.2/2.5とした。
ここで、第1層は最も内側で、第5層は最も外側である。
【0126】
次いで、得られた原液から、
図2に示すプラスチック製ロッドレンズ原糸の製造装置10を用いてロッドレンズ原糸を製造した。
具体的には、不活性ガス導入管13から収容体12内に窒素ガスを導入すると共に不活性ガス排出管14から収容体12内の不活性ガスを排出させた。
また、同心円状複合紡糸ノズル11から押し出された糸状体Aを、引取りローラ(ニップローラ)17で引き取り(390cm/分)、長さ30cmの相互拡散処理部12bを通し、各層間同士で相互拡散を生じさせた。
【0127】
続いて、長さ120cm、40Wのケミカルランプ18本が中心軸の周囲に等間隔に配設された第1硬化処理部(光照射部)12cの中心上に糸状体Aを通過させて、各層間同士で相互拡散させながら、硬化させた。引き続き、2KWの高圧水銀灯3本が中心軸の周囲に等間隔に配設された第2硬化処理部(光照射部)12dの中心上に糸状体Aを通過させて、さらに硬化させた。なお、相互拡散処理部12bにおける窒素流量は72L/分とした。
これにより得られたロッドレンズ原糸の半径は0.215mmであった。
次いで、得られたロッドレンズ原糸を166mmの長さに切断し、ロッドレンズを得た。
【0128】
このようにして得られたロッドレンズの半径rは0.215mm、Tgは110℃であった。また、ロッドレンズの中心屈折率n
0は525nmの波長において1.513、中心から外周に向かう0.2r〜0.8rの範囲において屈折率分布が前記式(6)に近似され、525nmの波長において屈折率分布定数gは0.85mm
−1であり、レンズ中心と外周部の屈折率差は0.025であった。ロッドレンズは透明であり、ロッドレンズの外周部には染色層が形成されていた。
【0129】
得られたロッドレンズを多数本使用して、配列ピッチが0.445mm(隣接レンズ間の隙間15μm)の2列のロッドレンズアレイを作製した(レンズ長が4.5mm)。
作製したロッドレンズアレイの525nmの波長における、光量と耐熱試験前後での平均MTFを測定したところ、光量は良好であり、また耐熱試験後の解像度の低下はほとんどなく、耐熱性が極めて良好であった。結果を表10に示す。
また、作製したロッドレンズアレイを用いてLEDプリンタヘッドを作製し、印字を行ったところ鮮明な画像が得られ、また耐熱試験後も印字画像に変化はなかった。
【0130】
[実施例2]
PMMA45質量部、MMA10質量部、PhMA45質量部、HCPK0.25質量部、HQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第1層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.2と同じ組成である。
PMMA45質量部、MMA30質量部、PhMA25質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第2層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.23と同じ組成である。
【0131】
PMMA45質量部、MMA40質量部、PhMA7.5質量部、4FM7.5質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第3層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.27と同じ組成である。
PMMA45質量部、MMA25質量部、PhMA10質量部、TBMA5質量部、4FM15質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第4層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.57と同じ組成である。
【0132】
PMMA40質量部、PhMA10質量部、TBMA20質量部、4FM30質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第5層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.83と同じ組成である。
各層の原液の組成を表8に示す。
なお、第4層形成用原液および第5層形成用原液中には、実施例1と同じ染料を同じ量添加した。
【0133】
上述した組成で調製した各層の原液を用いたことと、引取り速度を288cm/分とした以外は、実施例1と同様にしてロッドレンズ原糸を製造し、これを切断して長さ166mm、半径0.250mmのロッドレンズを得た。
【0134】
このようにして得られたロッドレンズの半径rは0.250mm、Tgは108℃であった。また、ロッドレンズの中心屈折率n
0は525nmの波長において1.520、中心から外周に向かう0.2r〜0.8rの範囲において屈折率分布が前記式(6)に近似され、525nmの波長において屈折率分布定数gは0.91mm
−1であり、レンズ中心と外周部の屈折率差は0.039であった。ロッドレンズは透明であり、ロッドレンズの外周部には染色層が形成されていた。
【0135】
得られたロッドレンズを多数本使用して、配列ピッチが0.515mm(隣接レンズ間の隙間15μm)の2列のロッドレンズアレイを作製した(レンズ長が4.3mm)。
作製したロッドレンズアレイの525nmの波長における、光量と耐熱試験前後での平均MTFを測定したところ、光量は非常に良好であり、また耐熱試験後の解像度の低下も非常に小さく、耐熱性が非常に良好であった。結果を表10に示す。
また、作製したロッドレンズアレイを用いてLEDプリンタヘッドを作製し、印字を行ったところ鮮明な画像が得られ、また耐熱試験後も印字画像にほぼ変化はなかった。
【0136】
[実施例3]
PMMA45質量部、PhMA60質量部、HCPK0.25質量部、HQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第1層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.11と同じ組成である。
PMMA45質量部、MMA20質量部、PhMA35質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第2層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.5と同じ組成である。
【0137】
PMMA45質量部、MMA40質量部、PhMA7.5質量部、4FM7.5質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第3層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.27と同じ組成である。
PMMA45質量部、MMA40質量部、4FM15質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第4層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.25と同じ組成である。
【0138】
PMMA45質量部、MMA20質量部、4FM35質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第5層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.4と同じ組成である。
各層の原液の組成を表8に示す。
なお、第4層形成用原液および第5層形成用原液中には、実施例1と同じ染料を同じ量添加した。
【0139】
上述した組成で調製した各層の原液を用いたことと、引取り速度を200cm/分とした以外は、実施例1と同様にしてロッドレンズ原糸を製造し、これを切断して長さ166mm、半径0.30mmのロッドレンズを得た。
このようにして得られたロッドレンズの半径rは0.30mm、Tgは105℃であった。また、ロッドレンズの中心屈折率n
0は525nmの波長において1.527、中心から外周に向かう0.2r〜0.8rの範囲において屈折率分布が前記式(6)に近似され、525nmの波長において屈折率分布定数gは0.88mm
−1であり、レンズ中心と外周部の屈折率差は0.053であった。ロッドレンズは透明であり、ロッドレンズの外周部には染色層が形成されていた。
【0140】
得られたロッドレンズを多数本使用して、配列ピッチが0.615mm(隣接レンズ間の隙間15μm)の2列のロッドレンズアレイを作製した(レンズ長が4.4mm)。
作製したロッドレンズアレイの525nmの波長における、光量と耐熱試験前後での平均MTFを測定したところ、光量は極めて良好であり、また耐熱試験後の解像度の低下は小さく、耐熱性が良好であった。結果を表10に示す。
また、作製したロッドレンズアレイを用いてLEDプリンタヘッドを作製し、印字を行ったところ鮮明な画像が得られ、また耐熱試験後も印字画像にあまり変化はなかった。
【0141】
[実施例4]
PMMA40質量部、PhMA60質量部、HCPK0.25質量部、HQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第1層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.11と同じ組成である。
PMMA45質量部、MMA20質量部、PhMA35質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第2層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.5と同じ組成である。
【0142】
PMMA45質量部、MMA50質量部、4FM5質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第3層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.28と同じ組成である。
PMMA45質量部、MMA40質量部、4FM15質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第4層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.25と同じ組成である。
【0143】
PMMA45質量部、MMA20質量部、4FM35質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第5層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.4と同じ組成である。
各層の原液の組成を表8に示す。
なお、第4層形成用原液および第5層形成用原液中には、実施例1と同じ染料を同じ量添加した。
【0144】
上述した組成で調製した各層の原液を用いたこと以外は、実施例3と同様にしてロッドレンズ原糸を製造し、これを切断して長さ166mm、半径0.30mmのロッドレンズを得た。
このようにして得られたロッドレンズの半径rは0.30mm、Tgは106℃であった。また、ロッドレンズの中心屈折率n
0は525nmの波長において1.527、中心から外周に向かう0.2r〜0.8rの範囲において屈折率分布が前記式(6)に近似され、525nmの波長において屈折率分布定数gは0.88mm
−1であり、レンズ中心と外周部の屈折率差は0.054であった。ロッドレンズは透明であり、ロッドレンズの外周部には染色層が形成されていた。
【0145】
得られたロッドレンズを多数本使用して、配列ピッチが0.615mm(隣接レンズ間の隙間15μm)の2列のロッドレンズアレイを作製した(レンズ長が4.4mm)。
作製したロッドレンズアレイの525nmの波長における、光量と耐熱試験前後での平均MTFを測定したところ、光量が極めて良好であり、また耐熱試験後の解像度の低下は小さく、耐熱性が良好であった。結果を表10に示す。また、作製したロッドレンズアレイを用いてLEDプリンタヘッドを作製し、印字を行ったところ鮮明な画像が得られ、また耐熱試験後も印字画像にあまり変化はなかった。
【0146】
[参考例1]
PMMA45質量部、MMA20質量部、PhMA35質量部、HCPK0.25質量部、HQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第1層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はSampleNo.5と同じ組成である。
PMMA45質量部、MMA30質量部、PhMA25質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第2層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はSampleNo.23と同じ組成である。
【0147】
PMMA45質量部、MMA40質量部、PhMA15質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第3層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.26と同じ組成である。
PMMA50質量部、MMA10質量部、PhMA20質量部、TBMA20質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第4層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.76と同じ組成である。
【0148】
PMMA45質量部、PhMA15質量部、TBMA40質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第5層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.98と同じ組成である。
各層の原液の組成を表8に示す。
なお、第4層形成用原液および第5層形成用原液中には、実施例1と同じ染料を同じ量添加した。
【0149】
上述した組成で調製した各層の原液を用いたことと、引取り速度を165cm/分とした以外は、実施例1と同様にしてロッドレンズ原糸を製造し、これを切断して長さ166mm、半径0.330mmのロッドレンズを得た。
このようにして得られたロッドレンズの半径rは0.330mm、Tgは114℃であった。また、ロッドレンズの中心屈折率n
0は525nmの波長において1.513、中心から外周に向かう0.2r〜0.8rの範囲において屈折率分布が前記式(6)に近似され、525nmの波長において屈折率分布定数gは0.44mm
−1であり、レンズ中心と外周部の屈折率差は0.016であった。ロッドレンズは透明であり、ロッドレンズの外周部には染色層が形成されていた。
【0150】
得られたロッドレンズを多数本使用して、配列ピッチが0.675mm(隣接レンズ間の隙間15μm)の2列のロッドレンズアレイを作製した(レンズ長が8.5mm)。
作製したロッドレンズアレイの525nmの波長における、光量と耐熱試験前後での平均MTFを測定したところ、光量はSLA12Dと同程度であり、また耐熱試験後の解像度の低下はほとんどなく、耐熱性が極めて良好であった。結果を表10に示す。
また、作製したロッドレンズアレイを用いてLEDプリンタヘッドを作製し、印字を行ったところ、光量が少ないためノイズがあったが、耐熱試験前後で印字画像に変化はなかった。
【0151】
[比較例1]
PMMA45質量部、MMA10質量部、PhMA45質量部、HCPK0.25質量部、HQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第1層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.2と同じ組成である。
PMMA45質量部、MMA30質量部、PhMA25質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第2層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.23と同じ組成である。
【0152】
PMMA45質量部、MMA20質量部、PhMA17.5質量部、4FM17.5質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第3層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.6と同じ組成である。
PMMA20質量部、PhMA30質量部、TBMA5質量部、4FM45質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第4層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.47と同じ組成である。
【0153】
PMMA30質量部、PhMA10質量部、TBMA20質量部、4FM40質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第5層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.84と同じ組成である。
各層の原液の組成を表9に示す。
なお、第4層形成用原液および第5層形成用原液中には、実施例1と同じ染料を同じ量添加した。
【0154】
上述した組成で調製した各層の原液を用いたことと、引取り速度を200cm/分とした以外は、実施例1と同様にしてロッドレンズ原糸を製造し、これを切断して長さ166mm、半径0.300mmのロッドレンズを得た。
このようにして得られたロッドレンズの半径rは0.300mm、Tgは99.0℃であった。また、ロッドレンズの中心屈折率n
0は525nmの波長において1.518、中心から外周に向かう0.2r〜0.8rの範囲において屈折率分布が前記式(6)に近似され、525nmの波長において屈折率分布定数gは0.79mm
−1であり、レンズ中心と外周部の屈折率差は0.043であった。ロッドレンズは透明であり、ロッドレンズの外周部には染色層が形成されていた。
【0155】
得られたロッドレンズを多数本使用して、配列ピッチが0.615mm(隣接レンズ間の隙間15μm)の2列のロッドレンズアレイを作製した(レンズ長が4.7mm)。
作製したロッドレンズアレイの525nmの波長における、光量と耐熱試験前後での平均MTFを測定したところ、光量は非常に良好であったが、耐熱試験後の解像度の低下が極めて大きく、耐熱性が不良であった。結果を表10に示す。
また、作製したロッドレンズアレイを用いてLEDプリンタヘッドを作製し、印字を行ったところ鮮明な画像が得られたが、耐熱試験後の印字画像は不鮮明であった。
【0156】
[比較例2]
PMMA35質量部、PhMA65質量部、HCPK0.25質量部、HQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第1層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.31と同じ組成である。
PMMA45質量部、MMA10質量部、PhMA45質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第2層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.2と同じ組成である。
【0157】
PMMA45質量部、MMA5質量部、PhMA30質量部、TBMA20質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第3層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.71と同じ組成である。
PMMA35質量部、PhMA25質量部、TBMA40質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第4層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.105と同じ組成である。
【0158】
PMMA30質量部、MMA10質量部、PhMA10質量部、TBMA50質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第5層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.127と同じ組成である。
各層の原液の組成を表9に示す。
なお、第4層形成用原液および第5層形成用原液中には、実施例1と同じ染料を同じ量添加した。
【0159】
上述した組成で調製した各層の原液を用いたことと、引取り速度を200cm/分とした以外は、実施例1と同様にしてロッドレンズ原糸を製造し、これを切断して長さ166mm、半径0.300mmのロッドレンズを得た。
このようにして得られたロッドレンズの半径rは0.300mm、Tgは114℃であった。また、ロッドレンズの中心屈折率n
0は525nmの波長において1.530、中心から外周に向かう0.2r〜0.8rの範囲において屈折率分布が前記式(6)に近似され、525nmの波長において屈折率分布定数gは0.77mm
−1であり、レンズ中心と外周部の屈折率差は0.041であった。ロッドレンズは白濁しており、ロッドレンズの外周部には染色層が形成されていた。
【0160】
得られたロッドレンズを多数本使用して、配列ピッチが0.615mm(隣接レンズ間の隙間15μm)の2列のロッドレンズアレイを作製した(レンズ長が5.0mm)。
作製したロッドレンズアレイの525nmの波長における、光量と耐熱試験前後での平均MTFを測定したところ、レンズが白濁しているため光量が極めて小さかった。また拡散光の影響で解像度が非常に低かった。耐熱試験前後での解像度の低下は少なかった。結果を表10に示す。
また、作製したロッドレンズアレイを用いてLEDプリンタヘッドを作製し、印字を行ったところ、白濁しているため光量が極めて不十分であり、また、耐熱試験前であっても解像度が極めて低いため、レンズとしての機能を果たさなかった。
【0161】
【表8】
【0162】
【表9】
【0163】
【表10】
【0164】
[実施例6]
PMMA46質量部、MMA24質量部、TCDMA30質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(HCPK)0.25質量部、およびハイドロキノン(HQ)0.1質量部を70℃に加熱混練して第1層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.132と同じ組成である。
PMMA45質量部、MMA30.6質量部、PhMA3質量部、TCDMA16.4質量部、TBMA5質量部、HCPK0.25質量部、及びHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第2層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.133と同じ組成である。
【0165】
PMMA48質量部、MMA36.2質量部、PhMA5.8質量部、TBMA10質量部、HCPK0.25質量部、及びHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第3層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.134と同じ組成である。
PMMA44.8質量部、MMA13.9質量部、PhMA12.1質量部、TBMA14.2質量部、8FM15質量部、HCPK0.25質量部、及びHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第4層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.135と同じ組成である。
【0166】
PMMA40.3質量部、MMA3.4質量部、PhMA15.9質量部、TBMA10.4質量部、8FM30質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第5層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.136と同じ組成である。
各層の原液の組成を表11に示す。
なお、第4層形成用原液および第5層形成用原液中には、実施例1と同じ染料を同じ量添加した。
【0167】
この5種類の原液を、中心から外周に向かって硬化後の屈折率が順次低くなるように配列して、同心円状5層複合紡糸ノズルから同時に押し出し、糸状体を得た。複合防止ノズルの温度は50℃とした。
各層の吐出比は、ロッドレンズの半径方向の各層の厚さ(第1層目においては半径)の比に換算して、第1層目/第2層目/第3層目/第4層目/第5層目=24.0/31.1/32.2/10.2/2.5とした。
ここで、第1層は最も内側で、第5層は最も外側である。
【0168】
次いで、得られた原液から、
図2に示すプラスチック製ロッドレンズ原糸の製造装置10を用いてロッドレンズ原糸を製造した。
具体的には、不活性ガス導入管13から収容体12内に窒素ガスを導入すると共に不活性ガス排出管14から収容体12内の不活性ガスを排出させた。
また、同心円状複合紡糸ノズル11から押し出された糸状体Aを、引取りローラ(ニップローラ)17で引き取り(200cm/分)、長さ30cmの相互拡散処理部12bを通し、各層間同士で相互拡散を生じさせた。
【0169】
続いて、長さ120cm、40Wのケミカルランプ18本が中心軸の周囲に等間隔に配設された第1硬化処理部(光照射部)12cの中心上に糸状体Aを通過させて、各層間同士で相互拡散させながら、硬化させた。引き続き、2KWの高圧水銀灯3本が中心軸の周囲に等間隔に配設された第2硬化処理部(光照射部)12dの中心上に糸状体Aを通過させて、さらに硬化させた。なお、相互拡散処理部12bにおける窒素流量は72L/分とした。
これにより得られたロッドレンズ原糸の半径は0.30mmであった。
次いで、得られたロッドレンズ原糸を166mmの長さに切断し、ロッドレンズを得た。
【0170】
このようにして得られたロッドレンズの半径rは0.30mm、Tgは105℃であった。また、ロッドレンズの中心屈折率n
0は525nmの波長において1.496、中心から外周に向かう0.2r〜0.8rの範囲において屈折率分布が前記式(6)に近似され、525nmの波長において屈折率分布定数gは0.52mm
−1であった。また、中心から外周に向かって0〜rの範囲において、任意の二点α、β間のKの値の差|K
α−K
β|は最大で4.7であった。ロッドレンズは透明であり、ロッドレンズの外周部には染色層が形成されていた。
【0171】
得られたロッドレンズを多数本使用して、配列ピッチが0.61mm(隣接レンズ間の隙間10μm)の2列のロッドレンズアレイを作製した(レンズ長が8.0mm)。
表13に示すように、このようにして得られたロッドレンズアレイは、波長470nm、525nm、630nmでの共役長Tcがほぼ同じで低色収差レンズとなっていた。また、波長470nm、525nm、630nmにおける耐熱試験後の平均MTFの低下は非常に小さく、耐熱性が非常に良好であった。
また、作製したロッドレンズアレイを用いてカラーイメージセンサヘッドを作製し、読取りを行ったところ色のにじみのない鮮明な画像が得られ、原稿が浮いた状態でも鮮明な画像が得られた。また耐熱試験前後で読取り画像に変化はほぼなかった。
【0172】
[実施例7]
PMMA43質量部、MMA22質量部、PhMA5質量部、TCDMA30質量部、HCPK0.25質量部、HQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第1層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.137と同じ組成である。
PMMA43質量部、MMA19.2質量部、PhMA6.3質量部、TCDMA26.5質量部、TBMA5質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第2層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.138と同じ組成である。
【0173】
PMMA43質量部、MMA17.2質量部、PhMA8質量部、TCDMA21質量部、TBMA10.8質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第3層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.139と同じ組成である。
PMMA47質量部、MMA24.7質量部、PhMA9.9質量部、TCDMA6.6質量部、TBMA11.8質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第4層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.140と同じ組成である。
【0174】
PMMA45質量部、MMA18.5質量部、PhMA14.5質量部、TBMA7質量部、8FM15質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第5層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.141と同じ組成である。
各層の原液の組成を表11に示す。
なお、第4層形成用原液および第5層形成用原液中には、実施例1と同じ染料を同じ量添加した。
【0175】
上述した組成で調製した各層の原液を用いたことと、各層の吐出比を、第1層目/第2層目/第3層目/第4層目/第5層目=24.0/31.1/40.2/2.2/2.5とした以外は、実施例6と同様にしてロッドレンズ原糸を製造し、これを切断して長さ166mm、半径0.30mmのロッドレンズを得た。
このプラスチックロッドレンズ原糸を、135℃の雰囲気下で3.15倍に延伸し、115℃の雰囲気下で緩和率が500/700になるよう緩和処理を行った。
【0176】
このようにして得られたロッドレンズの半径rは0.20mm、Tgは110℃であった。また、ロッドレンズの中心屈折率n
0は525nmの波長において1.503、中心から外周に向かう0.2r〜0.8rの範囲において屈折率分布が前記式(6)に近似され、525nmの波長において屈折率分布定数gは0.68mm
−1であった。また、中心から外周に向かって0〜rの範囲において、任意の二点α、β間のKの値の差|K
α−K
β|は最大で2.8であった。ロッドレンズは透明であり、ロッドレンズの外周部には染色層が形成されていた。
【0177】
得られたロッドレンズを多数本使用して、配列ピッチが0.41mm(隣接レンズ間の隙間10μm)の2列のロッドレンズアレイを作製した(レンズ長が5.5mm)。
表13に示すように、このようにして得られたロッドレンズアレイは、波長470nm、525nm、630nmでの共役長Tcがほぼ同じで低色収差レンズとなっていた。また、波長470nm、525nm、630nmにおける耐熱試験後の平均MTFの低下は非常に小さく、耐熱性が非常に良好であった。
また、作製したロッドレンズアレイを用いてカラーイメージセンサヘッドを作製し、読取りを行ったところ色のにじみのない鮮明な画像が得られ、原稿が浮いた状態でも鮮明な画像が得られた。また耐熱試験前後で読取り画像に変化はほぼなかった。
【0178】
[実施例8]
PMMA44質量部、MMA15質量部、PhMA7.5質量部、TCDMA30質量部、TBMA3.5質量部、HCPK0.25質量部、HQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第1層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.142と同じ組成である。
PMMA44質量部、MMA17質量部、PhMA8質量部、TCDMA25.5質量部、TBMA5.5質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第2層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.143と同じ組成である。
【0179】
PMMA44.5質量部、MMA17.7質量部、PhMA8.8質量部、TCDMA18.5質量部、TBMA10.5質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第3層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.144と同じ組成である。
PMMA45.8質量部、MMA17質量部、PhMA9.7質量部、TCDMA11.5質量部、TBMA16質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第4層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.145と同じ組成である。
【0180】
PMMA45質量部、MMA5質量部、PhMA15質量部、TCDMA2質量部、TBMA20質量部、4FM13質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第5層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.146と同じ組成である。
各層の原液の組成を表11に示す。
なお、第4層形成用原液および第5層形成用原液中には、実施例1と同じ染料を同じ量添加した。
【0181】
上述した組成で調製した各層の原液を用いたことと、各層の吐出比を、第1層目/第2層目/第3層目/第4層目/第5層目=16.0/11.1/60.2/10.2/2.5とした以外は、実施例6と同様にしてロッドレンズ原糸を製造し、これを切断して長さ166mm、半径0.30mmのロッドレンズを得た。
【0182】
このプラスチックロッドレンズ原糸を、135℃の雰囲気下で2.02倍に延伸し、115℃の雰囲気下で緩和率が500/700になるよう緩和処理を行った。
【0183】
このようにして得られたロッドレンズの半径rは0.25mm、Tgは110℃であった。また、ロッドレンズの中心屈折率n
0は525nmの波長において1.503、中心から外周に向かう0.2r〜0.8rの範囲において屈折率分布が前記式(6)に近似され、525nmの波長において屈折率分布定数gは0.25mm
−1であった。また、中心から外周に向かって0〜rの範囲において、任意の二点α、β間のKの値の差|K
α−K
β|は最大で0.3であった。ロッドレンズは透明であり、ロッドレンズの外周部には染色層が形成されていた。
【0184】
得られたロッドレンズを多数本使用して、配列ピッチが0.515mm(隣接レンズ間の隙間15μm)の2列のロッドレンズアレイを作製した(レンズ長が16.0mm)。
表13に示すように、このようにして得られたロッドレンズアレイは、波長470nm、525nm、630nmでの共役長Tcが同じで無色収差レンズとなっていた。また、波長470nm、525nm、630nmにおける耐熱試験後の平均MTFの低下はほとんどなく、耐熱性が極めて良好であった。
また、作製したロッドレンズアレイを用いてカラーイメージセンサヘッドを作製し、読取りを行ったところ色のにじみのない鮮明な画像が得られ、原稿が浮いた状態でも鮮明な画像が得られた。また耐熱試験前後で読取り画像に変化はなかった。
【0185】
[参考例2]
PMMA40質量部、MMA10質量部、PhMA20質量部、TCDMA20質量部、TBMA10質量部、HCPK0.25質量部、HQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第1層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はSampleNo.200と同じ組成である。
PMMA44質量部、MMA15質量部、PhMA7.5質量部、TCDMA30質量部、TBMA3.5質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第2層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はSampleNo.142と同じ組成である。
【0186】
PMMA44.5質量部、MMA17.7質量部、PhMA8.8質量部、TCDMA18.5質量部、TBMA10.5質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第3層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.144と同じ組成である。
PMMA45.8質量部、MMA17質量部、PhMA9.7質量部、TCDMA11.5質量部、TBMA16質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第4層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.145と同じ組成である。
【0187】
PMMA45.5質量部、MMA7.5質量部、PhMA10.5質量部、TCDMA6.5質量部、TBMA30質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第5層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.152と同じ組成である。
各層の原液の組成を表11に示す。
なお、第4層形成用原液および第5層形成用原液中には、実施例1と同じ染料を同じ量添加した。
【0188】
上述した組成で調製した各層の原液を用いたこと以外は、実施例6と同様にしてロッドレンズ原糸を製造し、これを切断して長さ166mm、半径0.300mmのロッドレンズを得た。
【0189】
このようにして得られたロッドレンズの半径rは0.300mm、Tgは110.0℃であった。また、ロッドレンズの中心屈折率n
0は525nmの波長において1.506、中心から外周に向かう0.2r〜0.8rの範囲において屈折率分布が前記式(6)に近似され、525nmの波長において屈折率分布定数gは0.45mm
−1であった。また、中心から外周に向かって0〜rの範囲において、任意の二点α、β間のKの値の差|K
α−K
β|は最大で10.5であった。ロッドレンズは透明であり、ロッドレンズの外周部には染色層が形成されていた。
【0190】
得られたロッドレンズを多数本使用して、配列ピッチが0.615mm(隣接レンズ間の隙間15μm)の2列のロッドレンズアレイを作製した(レンズ長が8.0mm)。
表13に示すように、このようにして得られたロッドレンズアレイは、波長470nm、525nm、630nmでの共役長Tcが大きく異なり、色収差の大きなレンズとなっていた。また、波長470nm、525nm、630nmにおける耐熱試験後の平均MTFの低下はほとんどなく、耐熱性が極めて良好であった。
また、作製したロッドレンズアレイを用いてカラーイメージセンサヘッドを作製し、読取りを行ったところ色のにじみがあり、不鮮明な画像が得られた。また原稿が浮いた状態で読取りを行ったところ、原稿が浮いていない状態で読取られた画像とほぼ同じ画像が得られた。また耐熱試験前後で読取り画像に変化はなかった。
【0191】
[比較例3]
PMMA46質量部、MMA24質量部、TCDMA30質量部、HCPK0.25質量部、HQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第1層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.132と同じ組成である。
PMMA45質量部、MMA29質量部、BzMA5質量部、TCDMA15質量部、8FM6質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第2層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.188と同じ組成である。
【0192】
PMMA49質量部、MMA37質量部、BzMA6質量部、8FM8質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第3層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.189と同じ組成である。
PMMA47質量部、MMA23質量部、BzMA10質量部、8FM20質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第4層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.190と同じ組成である。
【0193】
PMMA39質量部、MMA3質量部、BzMA17質量部、8FM41質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第5層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.191と同じ組成である。
各層の原液の組成を表12に示す。
【0194】
上述した組成で調製した各層の原液を用いたことと、第1硬化処理部(光照射部)の40Wのケミカルランプを半数の9本にしたこと以外は、実施例6と同様にしてロッドレンズ原糸を製造し、これを切断して長さ166mm、半径0.30mmのロッドレンズを得た。
【0195】
このようにして得られたロッドレンズの半径rは0.30mm、Tgは92℃であった。また、ロッドレンズの中心屈折率n
0は525nmの波長において1.497、中心から外周に向かう0.2r〜0.8rの範囲において屈折率分布が前記式(6)に近似され、525nmの波長において屈折率分布定数gは0.49mm
−1であった。また、中心から外周に向かって0〜rの範囲において、任意の二点α、β間のKの値の差|K
α−K
β|は最大で1.9であった。ロッドレンズは透明であり、ロッドレンズの外周部には染色層が形成されていた。
【0196】
得られたロッドレンズを多数本使用して、配列ピッチが0.615mm(隣接レンズ間の隙間15μm)の2列のロッドレンズアレイを作製した(レンズ長が8.0mm)。
表13に示すように、このようにして得られたロッドレンズアレイは、波長470nm、525nm、630nmでの共役長Tcがほとんど同じで低色収差レンズとなっていたが、波長470nm、525nm、630nmにおける耐熱試験後の平均MTFの低下が極めて大きく、耐熱性が不良であった。
また、作製したロッドレンズアレイを用いてカラーイメージセンサヘッドを作製し、読取りを行ったところ色のにじみのない鮮明な画像が得られ、原稿が浮いた状態でも鮮明な画像が得られた。しかし耐熱試験後に読取りを行ったところ読取り画像は不鮮明であった。
【0197】
[比較例4]
PMMA43質量部、MMA10質量部、PhMA4質量部、TCDMA12質量部、TBMA11質量部、4FM20質量部、HCPK0.25質量部、HQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第1層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.192と同じ組成である。
PMMA43質量部、MMA7質量部、PhMA5質量部、TCDMA10質量部、TBMA10質量部、4FM25質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第2層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.193と同じ組成である。
【0198】
PMMA42質量部、MMA17質量部、PhMA6質量部、TCDMA5質量部、4FM30質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第3層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.194と同じ組成である。
PMMA44質量部、MMA11質量部、PhMA7質量部、TCDMA3質量部、4FM35質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第4層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.195と同じ組成である。
【0199】
PMMA40質量部、MMA5質量部、PhMA10質量部、4FM45質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第5層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.196と同じ組成である。
各層の原液の組成を表12に示す。
なお、第4層形成用原液および第5層形成用原液中には、実施例1と同じ染料を同じ量添加した。
【0200】
上述した組成で調製した各層の原液を用いたこと以外は、比較例3と同様にしてロッドレンズ原糸を製造し、これを切断して長さ166mm、半径0.300mmのロッドレンズを得た。
このようにして得られたロッドレンズの半径rは0.300mm、Tgは95℃であった。また、ロッドレンズの中心屈折率n
0は525nmの波長において1.482、中心から外周に向かう0.2r〜0.8rの範囲において屈折率分布が前記式(6)に近似され、525nmの波長において屈折率分布定数gは0.21mm
−1であった。また、中心から外周に向かって0〜rの範囲において、任意の二点α、β間のKの値の差|K
α−K
β|は最大で4.6であった。レンズは透明体であり、ロッドレンズは透明であり、ロッドレンズの外周部には染色層が形成されていた。
【0201】
得られたロッドレンズを多数本使用して、配列ピッチが0.615mm(隣接レンズ間の隙間15μm)の2列のロッドレンズアレイを作製した(レンズ長が20.0mm)。
表13に示すように、このようにして得られたロッドレンズアレイは、波長470nm、525nm、630nmでの共役長Tcがほとんど同じで低色収差レンズとなっていたが、波長470nm、525nm、630nmにおける耐熱試験後の平均MTFの低下が極めて大きく、耐熱性が不良であった。
また、作製したロッドレンズアレイを用いてカラーイメージセンサヘッドを作製し、読取りを行ったところ色のにじみのない鮮明な画像が得られ、原稿が浮いた状態でも鮮明な画像が得られた。しかし耐熱試験後に読取りを行ったところ読取り画像は不鮮明であった。
【0202】
[比較例5]
PMMA43質量部、MMA22質量部、PhMA5質量部、TCDMA30質量部、HCPK0.25質量部、HQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第1層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.137と同じ組成である。
PMMA44.5質量部、MMA17.7質量部、PhMA8.8質量部、TCDMA18.5質量部、TBMA10.5質量部、HCPK0.25質量部、及びHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第2層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.144と同じ組成である。
【0203】
PMMA30質量部、PhMA10質量部、TCDMA20質量部、TBMA40質量部、HCPK0.25質量部、及びHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第3層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.207と同じ組成である。
PMMA45質量部、MMA18.5質量部、PhMA14.5質量部、TBMA7質量部、8FM15質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第4層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.141と同じ組成である。
【0204】
PMMA44.8質量部、MMA13.9質量部、PhMA12.1質量部、TBMA14.2質量部、8FM15質量部、HCPK0.25質量部、及びHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第5層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.135と同じ組成である。
各層の原液の組成を表12に示す。
なお、第4層形成用原液および第5層形成用原液中には、実施例1と同じ染料を同じ量添加した。
【0205】
上述した組成で調製した各層の原液を用いたこと以外は、実施例6と同様にしてロッドレンズ原糸を製造し、これを切断して長さ166mm、半径0.300mmのロッドレンズを得た。
【0206】
このようにして得られたロッドレンズの半径rは0.300mm、Tgは106℃であった。また、ロッドレンズの中心屈折率n
0は525nmの波長において1.502、中心から外周に向かう0.2r〜0.8rの範囲において屈折率分布が前記式(6)に近似され、525nmの波長において屈折率分布定数gは0.50mm
−1であった。また、中心から外周に向かって0〜rの範囲において、任意の二点α、β間のKの値の差|K
α−K
β|は最大で2.9であった。レンズは白濁しており、ロッドレンズの外周部には染色層が形成されていた。
【0207】
得られたロッドレンズを多数本使用して、配列ピッチが0.615mm(隣接レンズ間の隙間15μm)の2列のロッドレンズアレイを作製した(レンズ長が8.0mm)。
表13に示すように、このようにして得られたロッドレンズアレイは、波長470nm、525nm、630nmでの共役長Tcがほとんど同じで低色収差レンズとなっていたが、レンズが白濁しているため、解像度が低かった。また、波長470nm、525nm、630nmにおける耐熱試験後の平均MTFの低下は非常に小さかった。
また、作製したロッドレンズアレイを用いてカラーイメージセンサヘッドを作製し、読取りを行ったところ色のにじみは少ないが、レンズが白濁しているため、解像度が悪く、不鮮明な画像しか得られなかった。
【0208】
[比較例6]
PMMA48質量部、MMA36.2質量部、PhMA5.8質量部、TBMAI0質量部、HCPK0.25質量部、HQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第1層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.134と同じ組成である。
PMMA45質量部、MMA18.5質量部、PhMA14.5質量部、TBMA7質量部、8FM15質量部、HCPK0.25質量部、及びHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第2層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.141と同じ組成である。
【0209】
PMMA44.8質量部、MMA13.9質量部、PhMA12.1質量部、TBMA14.2質量部、8FM15質量部、HCPK0.25質量部、及びHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第3層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.135と同じ組成である。
PMMA40.3質量部、MMA3.4質量部、PhMA15.9質量部、TBMA10.4量部、8FM30質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第4層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.136と同じ組成である。
【0210】
PMMA40質量部、MMA5質量部、PhMA10質量部、4FM45質量部、HCPK0.25質量部、及びHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第5層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.196と同じ組成である。
各層の原液の組成を表12に示す。
なお、第4層形成用原液および第5層形成用原液中には、実施例1と同じ染料を同じ量添加した。
【0211】
上述した組成で調製した各層の原液を用いたこと以外は、実施例6と同様にしてロッドレンズ原糸を製造し、これを切断して長さ166mm、半径0.300mmのロッドレンズを得た。
【0212】
このようにして得られたロッドレンズの半径rは0.300mm、Tgは95℃であった。また、ロッドレンズの中心屈折率n
0は525nmの波長において1.492、中心から外周に向かう0.2r〜0.8rの範囲において屈折率分布が前記式(6)に近似され、525nmの波長において屈折率分布定数gは0.53mm
−1であった。また、中心から外周に向かって0〜rの範囲において、任意の二点α、β間のKの値の差|K
α−K
β|は最大で8.0であった。ロッドレンズは透明であり、ロッドレンズの外周部には染色層が形成されていた。
【0213】
得られたロッドレンズを多数本使用して、配列ピッチが0.615mm(隣接レンズ間の隙間15μm)の2列のロッドレンズアレイを作製した(レンズ長が8.0mm)。
表13に示すように、このようにして得られたロッドレンズアレイは、波長470nm、525nm、630nmでの共役長Tcが大きく異なり、色収差の大きなレンズとなっていた。また、波長470nm、525nm、630nmにおける耐熱試験後の平均MTFの低下が極めて大きく、耐熱性が不良であった。
また、作製したロッドレンズアレイを用いてカラーイメージセンサヘッドを作製し、読取りを行ったところ色のにじみがあり、不鮮明な画像が得られた。また原稿が浮いた状態で読取りを行ったところ、原稿が浮いていない状態で読取られた画像とほぼ同じ画像が得られた。また耐熱試験後に読取りを行ったところさらに不鮮明な画像が得られた。
【0214】
[比較例7]
PMMA35重量部、TCDMA50重量部、MMA15重量部、HCPK0.2重量部、HQ0.1重量部を70℃に加熱混練して第1層形成用(中心部)原液とした。また、PMMA37重量部、MMA13重量部、TBMA50重量部、HCPK0.2重量部、HQ0.1重量部を70℃に加熱混練して第2層形成用(周辺部)原液とした。
【0215】
この2種類の原液を、同心円状2層複合紡糸ノズルから同時に押し出し、糸状体を得た。複合防止ノズルの温度は60℃とした。
各層の吐出比は、ロッドレンズの半径方向の各層の厚さ(第1層目においては半径)の比に換算して、第1層目/第2層目=1/1とした。ここで、第1層は内側で、第2層は外側である。
【0216】
次いで、得られた原液から、
図2に示すプラスチック製ロッドレンズ原糸の製造装置10を用いてロッドレンズ原糸を製造した。
具体的には、不活性ガス導入管13から収容体12内に窒素ガスを導入すると共に不活性ガス排出管14から収容体12内の不活性ガスを排出させた。
また、同心円状複合紡糸ノズル11から押し出された糸状体Aを、引取りローラ(ニップローラ)17で引き取り(50cm/分)、長さ60cmの相互拡散処理部12bを通し、各層間同士で相互拡散を生じさせた。
【0217】
続いて、長さ120cm、40Wのケミカルランプ12本が中心軸の周囲に等間隔に配設された第1硬化処理部(光照射部)12cの中心上に糸状体Aを通過させて、各層間同士で相互拡散させながら、硬化させた。引き続き、2KWの高圧水銀灯3本が中心軸の周囲に等間隔に配設された第2硬化処理部(光照射部)12dの中心上に糸状体Aを通過させて、さらに硬化させた。なお、相互拡散処理部12bにおける窒素流量は72L/分とした。
これにより得られたロッドレンズ原糸の半径は0.40mmであった。
次いで、得られたロッドレンズ原糸を166mmの長さに切断し、ロッドレンズを得た。
【0218】
このようにして得られたロッドレンズの半径rは0.40mm、Tgは110℃であった。また、ロッドレンズの中心屈折率n
0は525nmの波長において1.504、中心から外周に向かう0.2r〜0.8rの範囲において屈折率分布が前記式(6)に近似され、525nmの波長において屈折率分布定数gは0.46mm
−1であった。また、中心から外周に向かって0〜rの範囲において、任意の二点α、β間のKの値の差|K
α−K
β|は最大で6.6であった。レンズは白濁していた。
【0219】
得られたロッドレンズを多数本使用して、配列ピッチが0.815mm(隣接レンズ間の隙間15μm)の2列のロッドレンズアレイを作製した(レンズ長が9.0mm)。
表13に示すように、このようにして得られたロッドレンズアレイは、波長470nm、525nm、630nmでの共役長Tcが大きく異なり、色収差の大きなレンズとなっていた。またレンズが白濁しているため、画像が歪んでおり、解像度が極めて低かった。また、波長470nm、525nm、630nmにおける耐熱試験後の平均MTFの低下は非常に小さかった。
また、作製したロッドレンズアレイを用いてカラーイメージセンサヘッドを作製し、読取りを行ったところ色のにじみがあり、またレンズが白濁しているため解像度が極めて低く、画像が歪んであり、極めて不鮮明な画像しか得られず、レンズとしての機能を果たさなかった。
【0220】
【表11】
【0221】
【表12】
【0222】
【表13】