(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
研磨装置の定盤の研磨面に当接する複数のガラス基板の位置を変化させるモータの電力又は電流の検出値に基づいて、前記研磨面において研磨速度差が小さくなるように、前記ガラス基板の研磨条件を制御する、ガラス基板の研磨方法であって、
前記研磨面は、内周端と外周端がある円盤形状を有するものであって、
前記検出値に基づいて、前記研磨面の内周端側と外周端側との研磨速度差が小さくなるように、前記研磨条件を制御する、ガラス基板の研磨方法。
前記検出値に基づき、前記研磨面の外周端側の研磨速度が前記研磨面の内周端側の研磨速度より高いと判定した場合、前記研磨面の温度が上がるように前記研磨条件を制御し、
前記検出値に基づき、前記研磨面の内周端側の研磨速度が前記研磨面の外周端側の研磨速度より高いと判定した場合、前記研磨面の温度が下がるように前記研磨条件を制御する、請求項1に記載のガラス基板の研磨方法。
前記検出値は、前記モータのうち特定の駆動モータの電力を、前記特定の駆動モータの電力と前記モータのうち前記特定の駆動モータとは別の駆動モータの電力とを合わせた総電力で除した値である、又は、前記特定の駆動モータの電流を、前記特定の駆動モータの電流と前記別の駆動モータの電流とを合わせた総電流で除した値である、請求項6に記載のガラス基板の研磨方法。
前記検出値は、前記モータのうち特定の駆動モータの電力を、前記モータのうち前記特定の駆動モータとは別の駆動モータの電力で除した値である、又は、前記特定の駆動モータの電流を、前記別の駆動モータの電流で除した値である、請求項6に記載のガラス基板の研磨方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について説明するが、本発明は以下に記載される実施形態に限られない。
【0011】
まず、磁気記録媒体用ガラス基板10の斜視図を
図1に、磁気記録媒体用ガラス基板10を切断したものの断面斜視図を
図2に示す。
図1と
図2において各符号は、磁気記録媒体用ガラス基板10の主平面101、内周側面102、外周側面103、内周面取り部104、外周面取り部105をそれぞれ示す。
図2中、A1とA6は磁気記録媒体用ガラス基板10の外径側領域(外周側面103側の領域)の板厚を示す。A2とA5は磁気記録媒体用ガラス基板10の中間領域(外周側面103側の領域と内周側面102側の領域とに挟まれた領域)の板厚を示す。A3とA4は磁気記録媒体用ガラス基板10の内径側領域(内周側面102側の領域)の板厚を示す。
【0012】
磁気記録媒体用ガラス基板の両主平面の平行度としては、磁気記録媒体用ガラス基板の各領域における板厚(例えば、A1〜A6)が均一であるほど優れており、各領域における板厚が不均一(板厚偏差が大きい)であるほど劣ることになる。
【0013】
図3は、両面研磨装置20の概略図である。
図3において、10は磁気記録媒体用ガラス基板、30は上定盤の研磨面、40は下定盤の研磨面、50はキャリア、201は上定盤、202は下定盤、203はサンギア、204はインターナルギアを示す。
【0014】
磁気記録媒体用ガラス基板10は、キャリア50のガラス基板保持穴に保持された状態で、上定盤の研磨面30と下定盤の研磨面40との間に狭持される。ガラス基板の両主平面に上定盤の研磨面30と下定盤の研磨面40を互いに押圧させた状態で、ガラス基板の両主平面に研磨液が供給されるとともに、ガラス基板と研磨面が相対的に動かされて、ガラス基板の両主平面が同時に研磨される。
【0015】
両面研磨装置20は、サンギア203とインターナルギア204をそれぞれ所定の回転比率で回転駆動することにより、キャリア50を自転させながらサンギア203の周りを公転するように移動させる(遊星駆動させる)。両面研磨装置20は、遊星駆動させるとともに、上定盤201と下定盤202をそれぞれの回転数で回転駆動し、ガラス基板の両主平面を同時に研磨する。
【0016】
上定盤201と下定盤202のガラス基板と対向する面には、研磨パッドが装着されている。上定盤201と下定盤202に装着された研磨パッドは、上定盤の研磨面30と下定盤の研磨面40をそれぞれ所定の形状とするため、ドレス治具を用いてドレス処理が施される。ドレス処理は、ドレス治具と研磨パッドとの間にドレス水を供給するとともに、ドレス治具と研磨パッドを相対的に動かして、研磨パッドの表面(上定盤の研磨面30と下定盤の研磨面40となる面)を削ることにより行われる。
【0017】
図4に、磁気記録媒体用ガラス基板の製造工程で使用されるキャリア50の概略図を示す。図中、50はキャリア、501はガラス基板保持穴を示す。ガラス基板保持穴501には、内径側保持穴501Aと、中間部保持穴501Bと、外径側保持穴501Cとが含まれている。磁気記録媒体用ガラス基板は、キャリア50のガラス基板保持穴501に保持された状態で、ガラス基板の両主平面が同時に研磨される。ガラス基板を研磨するとき、キャリア50の全てのガラス基板保持穴501にガラス基板をセットしなくても良い。また、キャリア50のガラス基板保持穴501の数は任意に設定できる。
【0018】
キャリア50のガラス基板保持穴501は、キャリア50の中央を中心とした同心円状に形成される。両面研磨装置20を用いてガラス基板を研磨するとき、ガラス基板を保持したキャリア50は自転しながらサンギア203の周りを公転する(遊星駆動)。そのため、研磨されるガラス基板の周速は、キャリア50の保持されている位置で異なる。
【0019】
両面研磨装置20でガラス基板を研磨するとき、ガラス基板と研磨面との相対速度は、ガラス基板が研磨面の内周端側より外周端側を通過するときに速くなる。研磨されるガラス基板の研磨速度は、ガラス基板と研磨面との相対速度が速いと高く(研磨量が多く)なり、ガラス基板と研磨面との相対速度が遅いと低く(研磨量が少なく)なる。
【0020】
両面研磨装置20を用いてガラス基板を研磨する場合、キャリア50内での研磨量のバラツキを抑制し、内径側保持穴501Aと外径側保持穴501Cに保持されたガラス基板間の板厚や平行度にバラツキが生じないようにする必要がある。
【0021】
両面研磨装置20でガラス基板を研磨するとき、平行度に優れる磁気記録媒体用ガラス基板10を得るには、例えば、研磨パッド表面(研磨面)の状態が研磨面内で均一と仮定すると、上定盤の研磨面30と下定盤の研磨面40は、平行または軽度の内当たりの研磨面形状であることが好ましく、軽度の内当たりがより好ましい。
【0022】
研磨速度は、例えば「研磨速度=研磨パッド表面(研磨面)の摩擦係数×研磨圧力×相対速度」の式で与えられる。研磨面の内周端側の相対速度は、研磨面の外周端側の相対速度よりも低い。そのため、研磨面内の研磨速度の分布を均一にして平行度の優れるガラス基板を得るためには、研磨面の内周端側における「研磨係数×研磨圧力」は、研磨面の外周端側における「摩擦係数×研磨圧力」以上となることが好ましい。
【0023】
図5は、D1<D2である研磨面の形状を模式的に示した断面図であり、内周端60側で上定盤の研磨面30と下定盤の研磨面40との距離が短く、内周端60側が強く当たる、内当たり状態の研磨面形状を示したものである。Dは、研磨面内の任意の位置における上定盤の研磨面30と下定盤の研磨面40との距離を表す。D1は、内周端60側における上定盤の研磨面30と下定盤の研磨面40との距離を表す。D2は、外周端70側における上定盤の研磨面30と下定盤の研磨面40との距離を表す。
【0024】
上定盤の研磨面30と下定盤の研磨面40との距離Dは、例えば渦電流変位計を用いて計測できる。上定盤の研磨面30と下定盤の研磨面40との距離Dは、上定盤の研磨面30の測定位置と下定盤の研磨面40の測定位置が最も近くなる場所で計測される。例えば、上定盤の研磨面30の測定位置から下定盤の研磨面40に対して垂直に下した位置を下定盤の研磨面40の測定位置とする。
【0025】
平行度に優れる磁気記録媒体用ガラス基板10を得るには、上定盤の研磨面30と下定盤の研磨面40とを平行または軽度の内当たりの状態にするため、例えば、D2−D1を、0〜+30μmに、更には0〜+25μmに、更には0〜+20μmにすることが好ましい。
【0026】
研磨面が過度の内当たり状態になる場合(例えば、D2−D1が+30μmを超える場合)、内周端60側で上定盤の研磨面30と下定盤の研磨面40が強く当たりすぎ、内周端側の研磨力が外周端側の研磨力に対して過大となり、研磨面内での研磨力分布が不均一となる。そのため、過度の内当たりの研磨面形状でガラス基板を研磨すると、ガラス基板の主平面内の各領域間の研磨量や、同一ロット内で研磨されたガラス基板間の研磨量が不均一となり、平行度に優れる磁気記録媒体用ガラス基板10を得ることが難しくなるおそれがある。
【0027】
なお、同一ロット内で研磨されたガラス基板とは、同一研磨装置を用いて同時に研磨加工された複数のガラス基板のことをいう。
【0028】
一方、
図6は、D1>D2である研磨面の形状を模式的に示した断面図であり、外周端70側で上定盤の研磨面30と下定盤の研磨面40との距離が短く、外周端70側が強く当たる、外当たり状態の研磨面形状を示したものである。
【0029】
上定盤の研磨面30と下定盤の研磨面40が外周端70側で強く当たる、外当たりの研磨面形状でガラス基板を研磨した場合(D2−D1が0μm未満(例えば、−20μm)の場合)、ガラス基板に対する研磨加工の荷重は、研磨面の外周端70側で高くなる。そのため、研磨されるガラス基板は、研磨面の外周端70側を通過するときに研磨速度が速くなり、研磨量が多くなる。
【0030】
外当たりの研磨面形状でガラス基板を研磨すると、ガラス基板が研磨面の外周端70側を通過するときに研磨加工の荷重が高く、ガラス基板と研磨パッドとの相対速度も速くなる。これにより、キャリア50内の外径側保持穴501Cに保持されたガラス基板の研磨量は、内径側保持穴501Aに保持されたガラス基板の研磨量に比べて多くなる。そのため、外当たりの研磨面形状でガラス基板を研磨すると、ガラス基板の主平面内の各領域間の研磨量や、同一ロット内で研磨されたガラス基板間の研磨量が不均一となり、平行度に優れる磁気記録媒体用ガラス基板10を得ることが難しくなるおそれがある。
【0031】
ところで、研磨装置を用いてガラス基板を研磨すると、研磨中の発熱により定盤温度は変化する。定盤温度が変化すると、定盤は温度膨張により体積変化するため、定盤形状が変形し、定盤の研磨面に反り(そり)が発生する。研磨中に研磨面が反ることは、ガラス基板の加工精度に大きな影響を及ぼす。研磨中に研磨面が反ることにより、研磨面とガラス基板との当接の状態が変化するため、研磨面内における研磨圧力分布のばらつきが発生し、研磨面内において研磨速度のばらつき(研磨量のばらつき)が発生する。
【0032】
本発明の実施形態では、研磨面と該研磨面に当接している複数のガラス基板との当接状態が、該複数のガラス基板の位置を変化させるモータの電力又は電流と相関関係があることが利用されている。
【0033】
図7は、両面研磨装置20の研磨面と該研磨面に当接している複数のガラス基板との当接状態と、該複数のガラス基板の位置を変化させるモータの電力との相関関係を示した実測データをプロットしたグラフの一例である。各グラフの横軸のD2−D1は、研磨面とガラス基板との当接状態を表し、D2−D1が正の値のとき内当たり状態を表し(
図5参照)、負の値のとき外当たり状態を表している(
図6参照)。
図7(a)の縦軸は、下定盤202を回転させるモータが消費する電力を表す。
図7(b)の縦軸は、上定盤201を回転させるモータが消費する電力を表す。
図7(c)の縦軸は、インターナルギア204を回転させるモータが消費する電力を表す。
図7(d)の縦軸は、サンギア203を回転させるモータが消費する電力を表す。以下、モータが消費する電力を、「モータの消費電力」ともいう。
【0034】
下定盤、上定盤及びサンギア用の各モータの消費電力は、研磨面が内当たりの場合、上定盤と下定盤との内周端60側の距離D1が狭くなるにつれて(例えば、研磨面の内周端60側で研磨圧力又は研磨速度が高くなるにつれて)、下降する傾向を有する。一方、下定盤、上定盤又はサンギア用の各モータの消費電力は、研磨面が外当たりの場合、上定盤と下定盤との外周端70側の距離D2が狭くなるにつれて(例えば、研磨面の外周端70側で研磨圧力又は研磨速度が高くなるにつれて)、上昇する傾向を有する。下定盤、上定盤及びサンギア用の各モータの消費電流も同じ傾向を有する。
【0035】
これに対し、インターナルギア用のモータの消費電力は、研磨面が内当たりの場合、上定盤と下定盤との内周端60側の距離D1が狭くなるにつれて(例えば、研磨面の内周端60側で研磨圧力又は研磨速度が高くなるにつれて)、上昇する傾向を有する。一方、インターナルギア用のモータの消費電力は、研磨面が外当たりの場合、上定盤と下定盤との外周端70側の距離D2が狭くなるにつれて(例えば、研磨面の外周端70側で研磨圧力又は研磨速度が高くなるにつれて)、下降する傾向を有する。インターナルギア用のモータの消費電流も同じ傾向を有する。
【0036】
したがって、ガラス基板の位置を研磨面内において変化させるモータの電力又は電流の大きさの検出値に基づいて、研磨面がどの程度の内当たり状態なのか外あたり状態なのかを判定できる。また、上定盤の研磨面と下定盤の研磨面が平行なのか否かを判定できる。
【0037】
本発明の実施形態は、ガラス基板研磨中の少なくとも一つの上記モータの電力又は電流の挙動をモニタし、このモニタ結果を用いて研磨力(研磨速度)の研磨面内における分布を判定する。そして、その判定結果に従って、研磨中における研磨面の内周端側と外周端側との研磨速度差が小さくなるように、研磨条件を制御しながらガラス基板を研磨する。これにより、研磨面内における研磨速度(研磨量)のばらつきが抑えられる。
【0038】
研磨面の内周端側と外周端側との研磨速度差とは、上定盤の研磨面の内周端側と外周端側との研磨速度の差でもよいし、下定盤の研磨面の内周端側と外周端側との研磨速度の差でもよい。また、研磨面の内周端側と外周端側との研磨速度差とは、内周端側において上定盤の研磨面と下定盤の研磨面との研磨速度の和と、外周端側において上定盤の研磨面と下定盤の研磨面との研磨速度の和との差でもよい。
【0039】
図8は、両面研磨装置20の構成例を示したブロック図である。両面研磨装置20は、上定盤201等を回転させる複数の駆動モータを有する駆動部を備えている。モータ21は、上定盤201を回転させる駆動モータである。モータ22は、下定盤202を回転させる駆動モータである。モータ23は、キャリア50の外周と噛み合う外歯を有するサンギア203を回転させる駆動モータである。モータ24は、キャリア50の外周と噛み合う内歯を有するインターナルギア204を回転させる駆動モータである。これらのモータは、制御部90からの制御信号に従って制御され、研磨面とキャリア50との相対的な位置を変化させるものである。モータの駆動によってキャリア50の位置が変化すると、キャリア50に保持されたガラス基板の位置も研磨面内において変化する。
【0040】
モータ21〜24それぞれの電力又は電流は、モータ状態検出センサ27によって検出される。モータ状態検出センサ27には、例えば、モータ21〜24に流れる負荷電流を検出する電流検出センサ、モータ21〜24の回転数を検出する回転数検出センサなどが含まれる。モータ状態検出センサ27は、モータ21〜24それぞれで消費される消費電力又は消費電流の検出値を制御部90に対して出力する。制御部90が、モータ状態検出センサ27から出力されるセンサ信号に基づいて、モータ21〜24それぞれで消費される消費電力又は消費電流の検出値を算出してもよい。
【0041】
制御部90は、モータ21〜24の少なくとも一つの電力又は電流の検出値に基づいて、研磨面の内周端側と外周端側との研磨力差(研磨速度差)が小さくなるように、ガラス基板の研磨条件を制御する。制御部90は、モータ21〜24の少なくとも一つの電力又は電流の検出値に基づいて、研磨面内の研磨速度分布が均一になるように、ガラス基板の研磨条件を制御するものでもよい。制御部90は、モータ21〜24の少なくとも一つの電力又は電流の検出値に基づいて、上定盤の研磨面と下定盤との研磨面との距離が研磨面内のいずれの部位においても均しくなるように、ガラス基板の研磨条件を制御するものでもよい。ガラス基板の研磨条件とは、例えば、研磨液温度、研磨液流量、定盤回転数、研磨加工の荷重などである。
【0042】
制御部90は、例えば、研磨液供給装置25に構成される温度調整装置及びポンプの動作を制御することによって、研磨液供給装置25から供給される研磨液の温度及び流量を制御する。制御部90は、例えば、モータ21の回転駆動を制御することによって、上定盤201の回転数を制御し、モータ22の回転駆動を制御することによって、下定盤202の回転数を制御する。制御部90は、例えば、研磨圧力調整装置26に構成されるシリンダの動作を制御することによって、上定盤の研磨面30がキャリア50に保持されたガラス基板に加える研磨加工の荷重の増減を制御する。制御部90の具体例として、CPUを備えるコンピュータが挙げられる。
【0043】
例えば、ガラス基板の研磨により発生した(摩擦)熱で、定盤の研磨面が膨張して定盤が反るように変形すると、内周端60側における上定盤の研磨面30と下定盤の研磨面40との距離D1が狭くなる場合がある。この場合、定盤の研磨面の内周端60側で研磨速度が高くなる(内当たりの状態)。
【0044】
そこで、制御部90は、モータの検出値を用いて内当たりの状態(特には、過度の内当たり状態)と判定した場合、熱で膨張した研磨面による定盤の反りが戻るように、研磨面を冷却する制御を行う。このような制御により、熱で膨張した定盤の研磨面を収縮させて定盤の反りを戻すことで距離D1が広がるため、研磨面内における内周端側と外周端側の研磨力差(研磨速度差)を均一にすることができる。
【0045】
具体的な研磨条件の制御方法としては、例えば、研磨面内に供給される研磨液の温度を下げる、研磨面内に供給される研磨液の流量を上げる等が挙げられる。また、制御部90は、上定盤201及び/又は下定盤202の回転数を下げる、研磨面による研磨加工の荷重を下げる等によって研磨条件を制御し、研磨面を冷却してもよい。
【0046】
または、制御部90は、モータの検出値を用いて内当たりの状態(特には、過度の内当たり状態)と判定した場合、熱で膨張した研磨面による定盤の反りが抑えられるように、定盤の研磨面と反対側の面を加熱する制御を行ってもよい。このような制御により、定盤の研磨面と反対側の面を膨張させて定盤の反りを戻すことで距離D1が広がるため、研磨面内における内周端側と外周端側の研磨力差(研磨速度差)を均一にすることができる。
【0047】
具体的な研磨条件の制御方法としては、例えば、定盤の研磨面とは反対側の面に温風を当てる、定盤の研磨面とは反対側の面に流れる定盤温度調整水の水温を上げる、または定盤温度調整水の流量を下げる等が挙げられる。
【0048】
制御部90は、下定盤、上定盤及びサンギア用のモータのいずれかの電力又は電流を検出する場合、ガラス基板の研磨中にその検出値が所定の目標値未満になったとき、研磨面が内当たりの状態と判定する。または、制御部90は、下定盤、上定盤及びサンギア用のモータのいずれかの電力又は電流を検出する場合、ガラス基板の研磨中にその検出値が所定の目標値未満になったとき、研磨面の内周端側の研磨速度が研磨面の外周端側の研磨速度より高いと判定してもよい。これらのような場合、制御部90は、下定盤、上定盤及びサンギア用のモータのいずれかの電力又は電流の検出値が上昇してその目標値に収束するまで、研磨面の温度が下がる、又は定盤の研磨面と反対側の面の温度が上がるように、研磨条件を上記のように制御する。
【0049】
これに対し、制御部90は、インターナルギア用のモータの電力又は電流を検出する場合、ガラス基板の研磨中にその検出値が所定の目標値以上になったとき、研磨面が内当たりの状態と判定する。または、制御部90は、インターナルギア用のモータの電力又は電流を検出する場合、ガラス基板の研磨中にその検出値が所定の目標値未満になったとき、研磨面の内周端側の研磨速度が研磨面の外周端側の研磨速度より高いと判定してもよい。これらのような場合、制御部90は、インターナルギア用のモータの電力又は電流の検出値が下降してその目標値に収束するまで、研磨面の温度が下がる、又は定盤の研磨面と反対側の面の温度が上がるように、研磨条件を上記のように制御する。
【0050】
例えば、制御部90は、下定盤用のモータの電力の検出値が目標値7.2kW未満のとき(
図7(a)参照)、内当たり状態と判定することができる。また、例えば、制御部90は、インターナルギア用のモータの電力の検出値が目標値0.15kWを超えるとき(
図7(c)参照)、内当たり状態と判定することができる。
【0051】
なお、設定される「目標値」には、目標値に幅を持たせた「目標範囲」の意味が含まれてよい。例えば、平行及び軽度の内当たり状態に対応する電力範囲が「目標範囲」に設定されるとよい。例えば
図7(a)の場合、6.6kW以上7.2kW以下が「目標範囲」に設定されるとよい。
【0052】
一方、外周端70側における上定盤の研磨面30と下定盤の研磨面40との距離D2が狭くなり、定盤の研磨面の外周端70側で研磨速度が高くなる場合がある(外当たりの状態)。
【0053】
そこで、制御部90は、モータの検出値を用いて外当たりの状態と判定した場合、研磨面を加熱して、距離D1が狭まるように、定盤の研磨面側を膨張させて定盤の反りを戻す制御をする。このような制御により、研磨面内の研磨速度分布が一定範囲内に収束するため、研磨面内の研磨速度ばらつきを抑えることができる。
【0054】
具体的な研磨条件の制御方法としては、例えば、研磨面内に供給される研磨液の温度を上げる、研磨面内に供給される研磨液の流量を研磨液の流量を下げる等が挙げられる。また、制御部90は、上定盤201及び/又は下定盤202の回転数を上げる、研磨面による研磨加工の荷重を上げる等によって研磨条件を制御し、研磨面を加熱してもよい。
【0055】
または、制御部90は、モータの検出値を用いて外当たりの状態と判定した場合、熱で膨張した研磨面による定盤の反りが抑えられるように、定盤の研磨面と反対側の面を冷却する制御を行ってもよい。このような制御により、定盤の研磨面と反対側の面を収縮させて定盤の反りを戻すことで距離D2が広がるため、研磨面内における内周端側と外周端側の研磨力差(研磨速度差)を均一にすることができる。
【0056】
具体的な研磨条件の制御方法としては、例えば、定盤の研磨面とは反対側の面に冷風を当てる、定盤の研磨面とは反対側の面に流れる定盤温度調整水の水温を下げる、または定盤温度調整水の流量を上げる等が挙げられる。
【0057】
制御部90は、下定盤、上定盤及びサンギア用のモータのいずれかの電力又は電流を検出する場合、ガラス基板の研磨中にその検出値が所定の目標値以上になったとき、研磨面が外当たりの状態と判定する。または、制御部90は、下定盤、上定盤及びサンギア用のモータのいずれかの電力又は電流を検出する場合、ガラス基板の研磨中にその検出値が所定の目標値以上になったとき、研磨面の外周端側の研磨速度が研磨面の内周端側の研磨速度より高いと判定してもよい。これらのような場合、制御部90は、下定盤、上定盤及びサンギア用のモータのいずれかの電力又は電流の検出値が下降してその目標値に収束するまで、研磨面の温度が上がる、又は定盤の研磨面と反対側の面の温度が下がるように、研磨条件を上記のように制御する。
【0058】
これに対し、制御部90は、インターナルギア用のモータの電力又は電流を検出する場合、ガラス基板の研磨中にその検出値が所定の目標値未満になったとき、研磨面が外当たりの状態と判定する。または、制御部90は、インターナルギア用のモータの電力又は電流を検出する場合、ガラス基板の研磨中にその検出値が所定の目標値未満になったとき、研磨面の外周端側の研磨速度が研磨面の内周端側の研磨速度より高いと判定してもよい。これらのような場合、制御部90は、インターナルギア用のモータの電力又は電流の検出値が上昇してその目標値に収束するまで、研磨面の温度が上がる、又は定盤の研磨面と反対側の面の温度が下がるように、研磨条件を上記のように制御する。
【0059】
例えば、制御部90は、下定盤用のモータの電力の検出値が目標値7.2kWを超えるとき(
図7(a)参照)、外当たり状態と判定することができる。また、例えば、制御部90は、インターナルギア用のモータの電力の検出値が目標値0.15kW未満のとき(
図7(c)参照)、外当たり状態と判定することができる。
【0060】
なお、設定される「目標値」には、目標値に幅を持たせた「目標範囲」の意味が含まれてよい。
【0061】
ところで、モータ(例えば、インターナルギア、サンギアのモータ)の電力または電流の検出値は、研磨面と該研磨面に当たっている複数のガラス基板との当接状態により変化するが、上定盤の研磨面の摩擦力と下定盤の研磨面の摩擦力との比とも相関関係がある。したがって、モータ(例えば、インターナルギア、サンギアのモータ)の電力又は電流の検出値は、例えば、モータ状態検出センサ27によって測定されたモータの電力又は電流の測定値を、上下研磨面の摩擦力の比α(=下定盤の研磨面に作用する摩擦力/上定盤の研磨面に作用する摩擦力)で補正した値でもよい。モータの電力又は電流の測定値をこのような摩擦力の比で補正することによって、研磨面とガラス基板との当たりの状態を精度良く判定して研磨条件を制御できるため、ガラス基板をさらに高精度に研磨できる。
【0062】
摩擦力の比αは、例えば、ガラス基板研磨中において、上定盤201の回転を制御するモータ21の電力を、下定盤202の回転を制御するモータ22の電力で除した値から求められてよい。モータ21の電力及びモータ22の電力には、ガラス基板研磨中の上定盤の研磨面の摩擦力と下定盤の研磨面の摩擦力が反映されているためである。また、比αは、回転している上定盤201と下定盤202のトルクを所定のセンサ(例えば、回転型トルクセンサ)で測定し、そのトルク比から求められてもよく、上定盤と下定盤の表面温度の測定値から推定された研磨面の温度の比から求められてもよい。
【0063】
例えば、インターナルギア用のモータの消費電力又は消費電流は、研磨面内の半径方向において同じ研磨速度分布であっても、上下研磨面の摩擦力の比αによって線形に変化する。線形の傾きは各ギアの回転数の条件によって変化するが、一般的にインターナルギアがサンギアより早く回転する条件においては上下研磨面の摩擦力の比αが大きくなるとインターナルギア用のモータの消費電力は下降する傾向を有する。
【0064】
また、モータの電力の検出値は、複数のモータのうち特定の駆動モータの電力の測定値Paを、特定の駆動モータの電力とそれらの複数のモータのうち特定の駆動モータとは別の駆動モータの電力とを合わせた総電力Pbで除算した値(電力除算値Pc)でもよい。また、モータの電力の検出値は、複数のモータのうち特定の駆動モータの電力の測定値Paを、それらの複数のモータのうち特定の駆動モータとは別の駆動モータの電力で除算した値でもよい。また、モータの電力の検出値は、研磨加工中のモータの電力の検出値から、研磨加工を行っていない空回し運転中のモータの電力の検出値を減算した値を用いても良い。これにより、研磨に要した電力のみを検出値として取り出すことができる。
【0065】
また、モータの電流の検出値は、複数のモータのうち特定の駆動モータの電流の測定値Iaを、特定の駆動モータの電流とそれらの複数のモータのうち特定の駆動モータとは別の駆動モータの電流とを合わせた総電流Ibで除算した値(電流除算値Ic)でもよい。また、モータの電流の検出値は、複数のモータのうち特定の駆動モータの電流の測定値Iaを、それらの複数のモータのうち特定の駆動モータとは別の駆動モータの電力で除算した値でもよい。また、モータの電流の検出値は、研磨加工中のモータの電流の検出値から、研磨加工を行っていない空回し運転中のモータの電流の検出値を減算した値を用いても良い。これにより、研磨に要した電流のみを検出値として取り出すことができる。
【0066】
別の駆動モータの電力又は電流とは、別の駆動モータが複数ある場合、それらの合計値である。例えば、特定の駆動モータがインターナルギア用のモータに設定された場合、別の駆動モータは、下定盤、上定盤及びサンギア用のモータに設定されるとよい。
【0067】
研磨パッドの目詰まり等による研磨速度変化が発生することによってモータの電力又は電流の検出値は増減するが、電力除算値Pc又は電流除算値Icを指標とすることによりその影響を取り除くことができる。すなわち、研磨速度の全体に変動が生じても、研磨速度分布が同等であれば電力除算値Pc又は電流除算値Icに変化は生じない。
【0068】
したがって、電力除算値Pc又は電流除算値Icを用いて研磨面とガラス基板との当接状態を判定し、その判定条件に従って、研磨条件を制御することによって、特定の駆動モータの電力又は電流のみを用いる場合に比べて、ガラス基板を高精度に研磨できる。
〔ガラス基板の製造方法〕
次に、ガラス基板の製造方法における、ガラス基板の研磨方法を、磁気記録媒体用ガラス基板及び磁気ディスクの製造工程を例に挙げて説明する。
【0069】
例えば、磁気記録媒体用ガラス基板及び磁気ディスク(磁気記録媒体の一例)の製造工程は、以下の工程を含む。
(工程1)フロート法、フュージョン法、リドロー法またはプレス成形法で成形されたガラス素基板を、中央部に円孔を有する円盤形状のガラス基板に加工した後、内周側面と外周側面を面取り加工する。
(工程2)ガラス基板の側面部と面取り部を端面研磨する。
(工程3)研磨装置を用い、ガラス基板の主平面に研磨用液を供給しながらガラス基板の主平面を研磨する。研磨工程は、1次研磨のみでもよく、1次研磨と2次研磨を行ってもよく、2次研磨の後に3次研磨を行ってもよい。
(工程4)ガラス基板を洗浄し、磁気記録媒体用ガラス基板を得る。
(工程5)磁気記録媒体用ガラス基板の上に磁性層などの薄膜を形成し、磁気ディスクを製造する。
【0070】
上記磁気記録媒体用ガラス基板及び磁気ディスクの製造工程において、(工程1)または(工程2)の工程の前後のうち少なくとも一方で主平面のラップ(例えば、遊離砥粒ラップ、固定砥粒ラップなど)を実施してもよい。各工程間にガラス基板の洗浄(工程間洗浄)やガラス基板表面のエッチング(工程間エッチング)を実施してもよい。なお、主平面のラップ(例えば、遊離砥粒ラップ、固定砥粒ラップなど)は広義の主平面の研磨である。
【0071】
さらに、磁気記録媒体用ガラス基板に高い機械的強度が求められる場合、ガラス基板の表層に強化層を形成する強化工程(例えば、化学強化工程)を研磨工程前、または研磨工程後、あるいは研磨工程間で実施してもよい。
【0072】
また、磁気記録媒体用ガラス基板は、アモルファスガラスでもよく、結晶化ガラスでもよく、ガラス基板の表層に強化層を有する強化ガラス(例えば、化学強化ガラス)でもよい。また、ガラス基板のガラス素基板は、フロート法で造られたものでもよく、フュージョン法で造られたものでもよく、リドロー法で造られたものでもよく、プレス成形法で造られたものでもよい。
【0073】
本実施形態に係るガラス基板の研磨方法及び研磨装置は、(工程3)の研磨工程又は主平面をラップする研磨工程で使用されると、板厚の均一性が優れたガラス基板が得られる点で、有利である。
【実施例】
【0074】
【表1】
表1は、ガラス基板の研磨条件を制御する方法を変えて、ガラス基板を研磨した結果を示したものである。例1〜例4が、本発明の実施例に係る制御方法で研磨した結果であり、例5が、比較例に係る制御方法で研磨した結果である。
【0075】
研磨具として硬質ウレタン製の研磨パッドと酸化セリウム砥粒を含有する研磨液(平均粒子直径が約1.3μmの酸化セリウムを主成分した研磨液組成物)を用いて、22B型両面研磨装置(スピードファム社製、製品名:DSM22B−6PV−4MH)により上下主平面を研磨した。
【0076】
例5は、モータの電力を用いずに(研磨中の研磨面の状態を感知せずに)ガラス基板を研磨した場合である。スラリー温度を33℃一定で保持した状態で、ガラス基板を研磨した。
【0077】
例4は、インターナルギア用のモータの電力値を用いて研磨面の状態をモニタしながら研磨を制御した場合である。インターナルギア用のモータの電力値が、所定の目標値を超えた場合、内当たり状態と判定し、研磨面を冷却して研磨面内の研磨力分布(研磨速度分布)が均一となるように、研磨面に供給される研磨液温度を下げる。インターナルギア用のモータの電力値が、所定の目標値未満の場合、外当たり状態と判定し、研磨面を加熱して研磨面内の研磨力分布(研磨速度分布)が均一となるように、研磨面に供給される研磨液温度を上げる。このような制御をしながらガラス基板を研磨した。
【0078】
例3は、摩擦力の比αを用いて研磨面の状態をモニタしながら研磨を制御した場合である。すなわち、インターナルギア用のモータの電力の測定値を、上定盤の研磨面と下定盤の研磨面との摩擦力の比αで補正した値(補正値A)に基づいて研磨面の状態を判定する。
【0079】
例3では、
補正値A = (インターナルギア用モータの電力の実測値)−(k
1×α+k
2)
で得られる補正値Aを使用した(k
1,k
2は係数を表す)。
【0080】
上記k
1,k
2の求め方の一例としては、研磨面の上下の摩擦力の比αが異なる状態で、ガラス基板を研磨する。その時、板厚偏差の少ない(研磨力分布が良好な)バッチのデータのみを使用して、αをx軸に、インターナルギア用モータの電力値をy軸にプロットする。そのプロットに対し最小二乗法を用いて近似直線を求め、その直線の傾きをk
1,y切片をk
2とする。
【0081】
補正値Aが、所定の目標値を超えた場合、内当たり状態と判定し、研磨面を冷却して研磨面内の研磨力分布(研磨速度分布)が均一となるように、研磨面に供給される研磨液温度を下げる。補正値Aが、所定の目標値未満の場合、外当たり状態と判定し、研磨面を加熱して研磨面内の研磨力分布(研磨速度分布)が均一となるように、研磨面に供給される研磨液温度を上げる。このような制御をしながらガラス基板を研磨した。
【0082】
例2は、インターナルギア用のモータ24の電力とモータ21〜24の総電力との電力の比βを用いて研磨面の状態をモニタしながら研磨を制御した場合である。インターナルギア用のモータの電力を総電力で除した値(補正値B)を用いる。
【0083】
補正値Bが、所定の目標値を超えた場合、内当たり状態と判定し、研磨面を冷却して研磨面内の研磨力分布(研磨速度分布)が均一となるように、研磨面に供給される研磨液温度を下げる。補正値Bが、所定の目標値未満の場合、外当たり状態と判定し、研磨面を加熱して研磨面内の研磨力分布(研磨速度分布)が均一となるように、研磨面に供給される研磨液温度を上げる。このような制御をしながらガラス基板を研磨した。
【0084】
例1は、電力の比βと摩擦力の比αを用いて研磨面の状態をモニタしながら研磨を制御した場合である。ここでは、インターナルギア用のモータの電力を総電力で除した値(補正値B)を、上定盤の研磨面と下定盤の研磨面との摩擦力の比αで補正した値(補正値C)を用いる。
【0085】
例1では、
補正値C = 補正値B−(k
1×α+k
2)
で得られる補正値Cを使用した(k
1,k
2は係数を表す)。
【0086】
上記k
1,k
2の求め方の一例としては、研磨面の上下の摩擦力の比αが異なる状態で、ガラス基板を研磨する。その時、板厚偏差の少ない(研磨力分布が良好な)バッチのデータのみを使用して、αをx軸に、補正値Bの電力値をy軸にプロットする。そのプロットに対し最小二乗法を用いて近似直線を求め、その直線の傾きをk
1,y切片をk
2とする。
【0087】
補正値Cが、所定の目標値を超えた場合、内当たり状態と判定し、研磨面を冷却して研磨面内の研磨力分布(研磨速度分布)が均一となるように、研磨面に供給される研磨液温度を下げる。補正値Cが、所定の目標値未満の場合、外当たり状態と判定し、研磨面を加熱して研磨面内の研磨力分布(研磨速度分布)が均一となるように、研磨面に供給される研磨液温度を上げる。このような制御をしながらガラス基板を研磨した。
【0088】
表1の同一ロット内の板厚偏差の測定手順は以下の通りである。
(1)研磨されたガラス基板の板厚aは、レーザ変位計(キーエンス社製、レーザーヘッドはLK−G15/アンプLK-G3000V)を用いて測定。
(2)磁気記録媒体用ガラス基板の中心部から20mmの領域で(記録再生領域の中間部)、0°、90°、180°、270°の計4箇所の位置で測定。
(3)同一ガラス基板面内の4箇所の位置で測定した板厚の平均値をガラス基板の板厚aとする。
【0089】
表1の同一ロット内の平行度の測定手順は以下の通りである。
(1)研磨されたガラス基板の平行度bは、レーザ干渉計(フジノン社製、製品名:G102S)を用いて測定。
(2)平行度bは、ガラス基板両主平面からの反射光の位相差により形成される干渉縞を観察し、干渉縞解析装置(フジノン社製、製品名:A1)を用いて算出(自動計算)。
(3)平行度bの測定領域は、外径65mm、内径20mmの磁気記録媒体用ガラス基板の記録再生領域を含むように設定。本実施例において、測定領域は、円盤中心部から10.0mm〜32.5mm領域に設定。
【0090】
表1の例1〜例4に示されるように、同一研磨装置で同時に研磨したガラス基板間(同一ロットのガラス基板間)の板厚のばらつきが例5に比べて抑えられている。また、ガラス基板の主平面の平行度(最大値、最小値)も例5に比べて小さくなっている。
【0091】
以上、ガラス基板の研磨方法及び製造方法、並びに研磨装置を実施形態例により説明したが、本発明は上記の実施形態例に限定されるものではない。他の実施形態例の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が、本発明の範囲内で可能である。
【0092】
例えば、ガラス基板の種類は、磁気記録媒体用に限られず、フォトマスク用、液晶や有機EL等のディスプレイ用、光ピックアップ素子や光学フィルタ、光学レンズ等の光学部品用などでもよい。
【0093】
また、本発明をガラス基板以外の基板に適用してもよい。ガラス基板以外の基板として、例えば、磁気記録媒体用アルミニウム基板、半導体用シリコン基板などが挙げられる。
【0094】
また、上述の実施形態は両面研磨装置であるが、本発明は、片面研磨装置にも適用できる。例えば、下定盤は、回転不能に固定される定盤でもよい。