特許第5983456号(P5983456)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立金属株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5983456-フェルール固定部材 図000002
  • 特許5983456-フェルール固定部材 図000003
  • 特許5983456-フェルール固定部材 図000004
  • 特許5983456-フェルール固定部材 図000005
  • 特許5983456-フェルール固定部材 図000006
  • 特許5983456-フェルール固定部材 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5983456
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】フェルール固定部材
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/36 20060101AFI20160818BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   G02B6/36
   G02B6/42
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-27520(P2013-27520)
(22)【出願日】2013年2月15日
(65)【公開番号】特開2014-157214(P2014-157214A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2015年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071526
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100099597
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 賢二
(74)【代理人】
【識別番号】100119208
【弁理士】
【氏名又は名称】岩永 勇二
(74)【代理人】
【識別番号】100124235
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100124246
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 和光
(74)【代理人】
【識別番号】100128211
【弁理士】
【氏名又は名称】野見山 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100145171
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩行
(72)【発明者】
【氏名】石神 良明
(72)【発明者】
【氏名】須永 義則
(72)【発明者】
【氏名】平野 光樹
(72)【発明者】
【氏名】安田 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正尭
(72)【発明者】
【氏名】柳 主鉉
(72)【発明者】
【氏名】小林 拓実
【審査官】 右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−064682(JP,A)
【文献】 特開昭58−187908(JP,A)
【文献】 特開2010−224353(JP,A)
【文献】 特表2009−514038(JP,A)
【文献】 特開2000−180669(JP,A)
【文献】 特開昭61−204608(JP,A)
【文献】 実開昭59−151215(JP,U)
【文献】 特開2008−102247(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/24 − 6/27
G02B 6/30 − 6/34
G02B 6/36 − 6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバと、
前記光ファイバを保持するフェルールと、
前記フェルールが挿入される保持穴が形成された保持部材と、
前記フェルールを前記保持部材に固定するフェルール固定部材とを有し、
前記保持部材は、前記フェルール固定部材を装着するための筒状の溝部と、前記フェルール固定部材が前記フェルールの挿入方向に移動するのを規制するための鍔部と、からなる係止部を有し、
前記フェルール固定部材は、
前記保持部材に形成された前記溝部装着して係止され、前記保持部材に対する前記フェルールの挿入方向、及び該挿入方向に直交する方向への移動が規制される被係止部と、
弾性変形により前記フェルールを前記保持穴の奥側に弾性的に押し付ける本体部とを一体に有し、
前記被係止部は、前記保持穴が形成された前記保持部材の溝部を挟んで前記フェルールの挿入方向に交差する方向に延出された一対のアームからなり、
前記一対のアームは、前記本体部とは反対側の先端部に、前記一対のアーム間が前記溝部の直径よりも狭く、前記溝部を抱え込むように形成された括れ部を有する、
光サブアセンブリ。
【請求項2】
前記本体部は、基端部から前記フェルールの挿入方向に交差する方向に延出する一対の延出部を有し、
前記一対の延出部の間には、前記フェルールの外周に沿った円弧状の凹部が形成された、
請求項1に記載の光サブアセンブリ。
【請求項3】
前記一対の延出部は、それぞれの前記基端部とは反対側の先端部が、前記フェルールを前記凹部に導くようにテーパ状に形成された、
請求項2に記載の光サブアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバを保持するフェルールを保持部材に固定するフェルール固定部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、TOSA(Transmitter Optical Sub-Assembly:光送信サブアセンブリ)又はROSA(Receiver Optical Sub-Assembly:光受信サブアセンブリ)からなる光サブアセンブリを備え、この光サブアセンブリに固定されるフェルールに保持された光ファイバを信号伝送媒体として通信を行う光トランシーバが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に記載の光トランシーバは、光サブアセンブリからフェルールが外れないようにフェルールを固定するロック機構を備えている。このロック機構は、フェルールの長手方向に沿って延びる一対のクリップと、一対のクリップをその中央部で連結するブリッジ部と、フェルールに固定された前方ストップリングと、ブリッジ部と前方ストップリングとの間に配置されたコイル状のばねとを有して構成されている。また、ばね及びブリッジ部は、後方ストップリングとして機能するロック装置によってフェルールの長手方向に沿った移動が規制されている。
【0004】
一対のクリップには、光サブアセンブリ側の端部にL型フィンガが設けられ、このL型フィンガとは反対側の端部にフィンガレバーが設けられている。一対のクリップは、フィンガレバーが把持されることによってブリッジ部を中心に揺動し、L型フィンガが拡開する。一方、光アセンブリには、L型フィンガに係合する環状のカラーが設けられている。
【0005】
ユーザがフェルールを光サブアセンブリに取り付ける際には、一対のクリップのフィンガレバーを把持してクリップを揺動させ、それぞれのクリップのL型フィンガを拡開させてカラーの外周部に配置する。そして、フィンガレバーを離すことによってL型フィンガを光サブアセンブリのカラーに係合させる。これにより、フェルールが光サブアセンブリに固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2009−514038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のロック機構では、一対のクリップ及びブリッジ部とコイル状のばねとが別部材であり、また前方ストップリング及びロック装置によってブリッジ部及びばねを挟持する必要があるため、部品のコスト及び組み付け工数が増大してしまう。
【0008】
そこで、本発明は、簡素な構成でフェルールを固定することができ、以って低コスト化が可能なフェルール固定部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、光ファイバを保持するフェルールを、前記フェルールが挿入される保持穴が形成された保持部材に固定するフェルール固定部材であって、前記保持部材に形成された係止部に係止され、前記保持部材に対する前記フェルールの挿入方向、及び該挿入方向に直交する方向への移動が規制される被係止部と、弾性変形により前記フェルールを前記保持穴の奥側に弾性的に押し付ける本体部とを一体に有するフェルール固定部材を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るフェルール固定部材によれば、簡素な構成でフェルールを固定することができ、低コスト化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態に係るフェルール固定部材、及びフェルール固定部材によって固定される光サブアセンブリとフェルールを示す全体構成図である。
図2】フェルールの構成例を示す斜視図である。
図3】光サブアセンブリの構成例を示し、(a)は斜視図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
図4】本発明の実施の形態に係るフェルール固定部材の構成例を示し、(a)は斜視図、(b)は展開図である。
図5】フェルール固定部材により、光サブアセンブリにフェルールを固定する工程を示し、(a)はフェルールが光サブアセンブリに挿入される前の状態における説明図、(b)はフェルール固定部材を装着する途中の状態における説明図、(c)はフェルール固定部材が装着された後の状態における説明図である。
図6】(a)は図5(b)のB−B線断面図、(b)は図5(b)のC矢視図、(c)は図5(c)のD−D線断面図、(d)は図5(c)のE矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係るフェルール固定部材5、及びフェルール固定部材5によって固定されるフェルール11と光サブアセンブリ12とを示す全体構成図である。図2は、フェルール11の構成例を示す斜視図である。
【0013】
本実施の形態に係るフェルール固定部材5は、光ファイバ9を保持するフェルール11と光サブアセンブリ12とを固定する固定部材である。フェルール11は、図2に示すように、光ファイバ9を保持する筒状のキャピラリ111と、キャピラリ111から外方に向けて張り出して形成されたフランジ部112とを一体に有している。フランジ部112は、光ファイバ9の延伸方向における幅が、例えば1.8mmである。光ファイバ9は、フェルール11に取り付けられたゴムブーツ113に沿って引き出されている。
【0014】
光サブアセンブリ12は、送信用光サブアセンブリ(TOSA:Transmitter Optical Sub-Assembly)又は受信用光サブアセンブリ(ROSA:Receiver Optical Sub-Assembly)を適用することができる。
【0015】
送信用光サブアセンブリ(TOSA)は、例えばLD(Laser Diode)やVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)等の発光素子を備え、送信用光サブアセンブリ(TOSA)が搭載される回路基板の他の電子部品から伝送された電気信号を光信号に変換し、光ファイバ9に向けて光を出射する。
【0016】
一方、受信用光サブアセンブリ(ROSA)は、例えばPD(Photo Diode)等の受光素子を備え、光ファイバ9を伝搬する光を入射して光信号を電気信号に変換し、受信用光サブアセンブリ(ROSA)が搭載される回路基板の他の電子部品に電気信号を伝送する。
【0017】
以下、光サブアセンブリ12として受信用光サブアセンブリ(ROSA)を適用した場合について、より具体的に説明する。
【0018】
光サブアセンブリ12は、前述の受光素子を有する光モジュール2と、フェルール11が挿入される保持穴320が形成された保持部材3とを有している。
【0019】
フェルール固定部材5は、保持部材3に対するフェルール11の挿入方向、及びその挿入方向に直交する方向への移動が規制される被係止部51と、弾性変形によりフェルール11を保持穴320の奥側(光モジュール2側)に弾性的に押し付ける本体部5aとを一体に有している。フェルール11のフランジ部112は、フェルール11がフェルール固定部材5の本体部5aによって保持穴320の奥側に押し付けられることにより、保持穴320の開口端面320aに接触する。
【0020】
(光サブアセンブリ12の構成)
図3は、光サブアセンブリ12の構成例を示し、(a)は斜視図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【0021】
光サブアセンブリ12は、前述の受光素子を有する光モジュール2と、挿入されるフェルール11を保持する保持部材3とを備える。光モジュール2は、受光素子を収容するステム21及びレンズキャップ22を有している。ステム21は、レンズキャップ22と共にCANパッケージを構成している。ステム21は、複数(本実施の形態では4つ)のリードピン210によって、光サブアセンブリ12が搭載される図略の回路基板と電気的に接続される。本実施の形態では、光ファイバ9から出射された光はレンズ222で集光されて受光素子に入射し、受光素子で光信号から電気信号に変換される。この電気信号は、複数のリードピン210を介して回路基板上に搭載された他の電子部品に電気信号が伝送される。
【0022】
レンズキャップ22は、光ファイバ9を伝搬する光を集光するレンズ222と、レンズ222を保持するキャップシェル221とを有している。キャップシェル221は、例えばFeNi合金やステンレス等の導電性材料からなり、ステム21とは反対側の端部中央に開口221aを有している。レンズ222は、例えば光学ガラス製のボールレンズであり、キャップシェル221の開口221aに低融点ガラス等を用いてガラス封止された状態で固定されている。
【0023】
保持部材3は、光モジュール2を収容するための収容空間310が形成されたモジュール収容部31と、フェルール11が挿入される保持穴320が形成された筒部としてのフェルール保持部32と、モジュール収容部31及びフェルール保持部32の間に配置された係止部33とを一体に有している。モジュール収容部31、フェルール保持部32、及び係止部33は、それぞれ円筒形状である。フェルール保持部32は、フェルール11の挿入方向における幅が、例えば5.15mmである。
【0024】
係止部33は、その外周に、後述するフェルール固定部材5の被係止部51を装着するための溝部331と、被係止部51がフェルール11の挿入方向に移動するのを規制するための鍔部332とが形成されている。鍔部332は、フェルール保持部32の外方に張り出して形成され、フェルール11の挿入方向における幅は、例えば0.55mmである。
【0025】
(フェルール固定部材5の構成)
図4は、本発明の実施の形態に係るフェルール固定部材5の構成例を示し、(a)は斜視図、(b)は展開図である。
【0026】
フェルール固定部材5は、所定の形状に打ち抜かれた単板の板状素材を屈曲して成形され、保持部材3の係止部33に係止される被係止部51と、弾性変形によりフェルール11を保持穴320の奥側(光モジュール2側)に押し付ける押え部52と、押え部52の基端部523から被係止部51側に向かって延在する基部53とを一体に有している。基部53は長方形状であり、その長手方向がフェルール11の挿入方向に平行である。本実施の形態では、本体部5a(図1参照)は、押え部52及び基部53で構成されている。
【0027】
被係止部51は、保持部材3の係止部33(図3に示す)を挟んでフェルール11の挿入方向に交差する方向に延設された一対のアーム(第1のアーム511及び第2のアーム512)からなる。第1のアーム511及び第2のアーム512の把持力により、被係止部51はフェルール11の挿入方向に直交する方向に対する移動が規制されている。つまり、本実施の形態では、フェルール固定部材5の着脱方向への移動が規制されている。これにより、フェルール固定部材5の保持部材3からの脱落が抑制されている。
【0028】
より具体的には、第1のアーム511は、基部53の押え部52とは反対側における一方の側部(基部53の短手方向の端部)からフェルール11の挿入方向に交差する方向に延出している。本実施の形態では、第1のアーム511が基部53に直交する方向に延出している。第1のアーム511の幅方向(短手方向)はフェルール11の挿入方向に平行である。第1のアーム511を成形する単板の厚さ方向は、フェルール11の挿入方向及び第1のアーム511の長手方向に対して交差(本実施の形態では直交)している。
【0029】
同様に、第2のアーム512は、基部53の押え部52とは反対側における他方の側部(基部53の短手方向の端部)からフェルール11の挿入方向に交差する方向に延出している。本実施の形態では、第2のアーム512が基部53に直交する方向に延出している。第2のアーム512の幅方向(短手方向)はフェルール11の挿入方向に平行である。第2のアーム512を成形する単板の厚さ方向は、フェルール11の挿入方向及び第2のアーム512の長手方向に対して交差(本実施の形態では直交)している。
【0030】
第1のアーム511及び第2のアーム512は、基部53(本体部5a)とは反対側の先端部に、保持部材3の係止部33を抱え込むように形成された括れ部511a,512aを有している。
【0031】
押え部52は、基端部523からフェルール11の挿入方向に交差する方向に延出する一対の延出部(第1の延出部521及び第2の延出部522)を有している。第1の延出部521と第2の延出部522との間には、フェルール11の外周に沿った円弧状の凹部524が形成されている。
【0032】
第1の延出部521は、第1のアーム511側に向かって突出するように屈曲された屈曲部521aを有し、その稜線はフランジ部112に接触する。同様に、第2の延出部522は、第2のアーム512側に向かって突出するように屈曲された屈曲部522aを有し、その稜線はフランジ部112に接触する。第1の延出部521及び第2の延出部522は、それぞれの先端部(基端部523とは反対側)が、フェルール11を凹部524に導くようにテーパ状に形成されている。
【0033】
図4(a)及び(b)に示すように、基部53には、第1のアーム511及び第2のアーム512を成形する際に単板の屈曲半径を大きくするための一対の切り欠き531が形成されている。また、基部53の中央部には丸穴532が形成されている。基部53は、フェルール11の挿入方向における短手方向の幅が、例えば7.3mmである。
【0034】
(光サブアセンブリ12及びフェルール11の固定工程)
次に、フェルール固定部材5により、光サブアセンブリ12にフェルール11を固定する工程について、図5及び図6を参照して説明する。
【0035】
図5は、フェルール固定部材5により、光サブアセンブリ12にフェルール11を固定する工程を示し、(a)はフェルール11が光サブアセンブリ12に挿入される前の状態における説明図、(b)はフェルール固定部材5を装着する途中の状態における説明図、(c)はフェルール固定部材5が装着された後の状態における説明図である。図6(a)は、図5(b)のB−B線断面図、(b)は図5(b)のC矢視図、(c)は図5(c)のD−D線断面図、(d)は図5(c)のE矢視図である。
【0036】
光サブアセンブリ12にフェルール11を固定する工程は、フェルール11を光サブアセンブリ12に挿入する挿入工程と、フェルール固定部材5を光サブアセンブリ12及びフェルール11に装着して光サブアセンブリ12にフェルール11を固定する固定工程とを有する。
【0037】
挿入工程では、図5(a)に示すように、フェルール11のフェルール11を光サブアセンブリ12の保持部材3に形成された保持穴320に挿入する。
【0038】
固定工程では、図5(b)に示すように、フェルール固定部材5の被係止部51を保持部材3の溝部331に挿入する。このとき、図6(a)に示すように、第1のアーム511の括れ部511a及び第2のアーム512の括れ部512aが、保持部材3の係止部33の外周面に接触し、第1のアーム511及び第2のアーム512が係止部33の外方に向かって広がる。次に、フェルール固定部材5の押え部52をフェルール11の挿入方向とは反対の方向に引っ張る。これにより、基部53を撓らせて、第1の延出部521の屈曲部521a及び第2の延出部522の屈曲部522aをフェルール11のフランジ部112に接触させる。本体部5a(押え部52及び基部53)は、フェルール11に対して弾性変形による反力が働き、フェルール11を保持穴320の奥側(光モジュール2側)に弾性的に押し付ける。これにより、光サブアセンブリ12とフェルール11とは、フェルール固定部材5によって互いに固定される。
【0039】
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明した実施の形態によれば、以下のような作用及び効果が得られる。
【0040】
(1)フェルール固定部材5の本体部5aが、弾性変形によりフェルール11を保持部材3の保持穴320の奥側に弾性的に押し付けることにより、光サブアセンブリ12にフェルール11を固定することができる。したがって、簡素に構成されたフェルール固定部材5を固定部材として利用することにより、低コストにつながる。
【0041】
(2)フェルール固定部材5の被係止部51は、円筒状の係止部33を挟んでフェルール11の挿入方向に交差する方向に延設された一対のアーム(第1のアーム511及び第2のアーム512)からなるため、押え部52がフェルール11の挿入方向に向かってフランジ部112に力を加えても、その力によって被係止部51がフェルール11の挿入方向に沿って移動することを抑制することができる。また、被係止部51は、第1のアーム511及び第2のアーム512の把持力により、フェルール11の挿入方向に直交する方向に対する移動が規制されているので、保持部材3の係止部33に確実に係止される。これにより、押え部52における第1の延出部521の屈曲部521a及び第2の延出部522の屈曲部522aをフェルール11のフランジ部112に接触させる際の位置ずれを抑制することができる。したがって、光ファイバ9とレンズ222との位置ずれ(光軸のずれ)が抑制される。
【0042】
(3)被係止部51及び本体部5aは、所定の形状に打ち抜かれた単板の板状素材を屈曲して成形されているため、別途部材を用意する必要がなく、コストを削減することができる。
【0043】
(4)被係止部51の一対のアーム(第1のアーム511及び第2のアーム512)は、それぞれ括れ部511a,512aを有しているため、係止部33の溝部331に挿入する際に第1のアーム511及び第2のアーム512が広がり、挿入しやすくなる。
【0044】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0045】
[1]光ファイバ(9)を保持するフェルール(11)を、前記フェルール(11)が挿入される保持穴(321)が形成された保持部材(3)に固定するフェルール固定部材(5)であって、前記保持部材(3)に形成された係止部(33)に係止され、前記保持部材(3)に対する前記フェルール(11)の挿入方向、及び該挿入方向に直交する方向への移動が規制される被係止部(51)と、弾性変形により前記フェルール(11)を前記保持穴(321)の奥側に弾性的に押し付ける本体部(5a)とを一体に有するフェルール固定部材(5)。
【0046】
[2]前記被係止部(51)は、前記保持穴(321)が形成された前記保持部材(3)の筒部(フェルール保持部32)を挟んで前記フェルール(11)の挿入方向に交差する方向に延出された一対のアーム(第1のアーム511及び第2のアーム512)からなる、[1]に記載のフェルール固定部材(5)。
【0047】
[3]前記被係止部(51)及び前記本体部(5a)は、所定の形状に打ち抜かれた単板の板状素材を屈曲して成形された、[2]に記載のフェルール固定部材(5)。
【0048】
[4]前記被係止部(51)は、その厚さ方向が前記フェルール(11)の挿入方向に対して交差する、[3]に記載のフェルール固定部材(5)。
【0049】
[5]前記一対のアーム(第1のアーム511及び第2のアーム512)は、前記本体部(5a)とは反対側の先端部に、前記筒部(フェルール保持部32)を抱え込むように形成された括れ部(511a,512a)を有する、[2]乃至[4]の何れか1項に記載のフェルール固定部材(5)。
【0050】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【0051】
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態では、保持部材3は、モジュール収容部31と、フェルール保持部32と、係止部33とを一体に有していたが、これに限らず、別部材から形成されたものを組み合わせて構成されていてもよい。
【0052】
また、上記実施の形態では、フェルール固定部材5の基部53は長方形状であったが、これに限らず、フェルール固定部材5を着脱する際の持ち手が形成されていてもよい。
【0053】
また、上記実施の形態では、光サブアセンブリ12は受信用光サブアセンブリ(ROSA)として説明したが、これに限らず、送信用光サブアセンブリ(TOSA)を適用してもよい。
【0054】
また、光モジュール2の構成について、特に制限はない。
【符号の説明】
【0055】
2…光モジュール、3…保持部材、5…フェルール固定部材、5a…本体部、9…光ファイバ、11…フェルール、12…光サブアセンブリ、21…ステム、22…レンズキャップ、31…モジュール収容部、32…フェルール保持部、33…係止部、51…被係止部、52…押え部、53…基部、111…キャピラリ、112…フランジ部、113…ゴムブーツ、210…リードピン、221…キャップシェル、221a…開口、222…レンズ、310…収容空間、320…保持穴、320a…開口端面、331…溝部、332…鍔部、511…第1のアーム、512…第2のアーム、511a,512a…括れ部、521…第1の延出部、522…第2の延出部、521a,522a…屈曲部、523…基端部、524…凹部、531…切り欠き、532…丸穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6