(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ステップ(b)は(ii)前記第1のPAPRが前記予め定められた制約を満たさない場合に前記第2のグループ内の前記任意の非ゼロ値キャリア種類に基いて第2のPAPRを計算すること及び(iii)前記計算されたPAPRが予め定められた制約を満たすかどうかを決定することを更に備えている請求項3の方法。
ステップ(b)は(ii)前記第1のPAPRが前記予め定められた制約を満たさない場合に前記第2のグループ内の前記任意の非ゼロ値キャリア種類に基いて第2のPAPRを計算すること及び(iii)前記計算されたPAPRが予め定められた制約を満たすかどうかを決定することを更に備えている請求項11のプログラム。
【背景技術】
【0002】
当業者に知られているように、DVBはデジタル地上波テレビジョンの放送伝送のための欧州コンソーシアム標準である。DVBシステムは、直交周波数分割多重化(OFDM)のような多重キャリア変調を用いて、圧縮されたデジタルオーディオ/ビデオストリームを伝送する。信号を伝送する他の一般的な方法は、デジタルビデオ地上波放送(DVB−T)である。放送局がこの方法を採用している場合、送信された信号はケーブルを介しては伝送されない。その代わりに、送信された信号は、空中アンテナから空中アンテナへ、そして信号ブラスタ(signal blaster)からホーム受信機へ伝送される。
【0003】
DVB−T放送局は、動画専門家グループ(MPEG)−2規格に基く全体プロセスで圧縮されたデジタルオーディオ−ビデオストリームを用いてデータを送信する。これらの送信は、高詳細度テレビジョン(HDTV)及び他の強力な方法を含むあらゆる種類のデジタル放送を含み得る。これは別個のストリームの伝送を必要とする旧式のアナログ信号の改良である。
【0004】
インパルス雑音は、伝送されたデジタルデータに対するその否定的な影響を理由としてDVB−T伝送において高まりつつある関心事であり、そしてOFDMベースのシステムにおいて一般的である。OFDMベースのDVB−Tシステム受信機は、インパルス雑音に対してあるレベルの固有の耐性をもたらすものの、この耐性は、デジタルTVテレビ信号が適用規格に従って確実に伝送されることを確保するには不十分である。例としては、OFDMシステムは多重キャリア上で同時に送信されるデータを含む。実際上は、データが送信される場合、データはデータチャネルを介して受け渡される。このデータチャネルは次いで、これらのキャリアが受信側で受信されるときにこれらのキャリアの多くのうちの1つに対する増加性の障害(multiplicative impairment)(例えばインパルス雑音)として現れる。
【0005】
インパルス雑音は北米のTV受像機市場においては伝統的に無視されてきたが、欧州市場における幾つかの規格/仕様は、インパルス雑音に対する高い耐性を要求している。OFDMシステムの他の厄介な側面はPAPRであり、PAPRはインパルス雑音の存在及び影響に影響を与える。PAPRを低減することによって、インパルス雑音の影響は対応して低減され得る。
【0006】
OFDMシステムにおいてPAPRを低減するための従来の技術の幾つかは、例として、トーンリザベーション(tone reservation)、トーン導入(tone injection)、又はアダプティブコンステレーション拡張(adaptive constellation extension)を含む。これらの技術の各々は、関連分野を含めた当業者によって理解されるであろうから、ここでは深くは論じない。しかし、これらの技術は全て、データレートの減少又は受信に必要な信号対雑音比(SNR)の増大のいずれかを引き起こす。従って、これらの技術は限定された有用性を有しているのみである。
【0007】
多重パス歪を克服することにおいて受信機を支援するために、既知のデータパターンを伴うパイロット信号が伝送される。しばしばパイロットトーン又は単にパイロットと称されるパイロット信号は、チャネル推定動作を支援するために用いられる。従来のチャネル推定動作は、通信チャネルによって導入される振幅及び位相歪を推定することを試み、そして結果として上で論じたSNR損失を補償することができる。チャネル推定技術は、他の技術の多くと比べて効果的ではあるものの、全SNR損失を完全に補償するには正確性が十分ではない。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の以下の詳細な説明は、本発明に従う例示的な実施形態を示す添付の図面を参照する。他の実施形態が可能であり、また本発明の精神及び範囲内で実施形態に対して修正がなされ得る。従って、詳細な説明は本発明を限定することを意図されていない。むしろ、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって画定される。
【0023】
以下に説明するように、本発明がソフトウエア、ハードウエア、ファームウエア、及び/又は図面に示される構成要素の多くの異なる実施形態において実施され得ることは当業者にとって明らかであろう。本発明を実施するための、ハードウエアの特定の制御を伴ういかなる実際上のソフトウエアコードも本発明を限定するものではない。従って、本発明の動作上の態様は、ここで提示されている詳細さの水準を前提として実施形態の修正及び変化が可能であるとの理解のもとで説明されることになる。
【0024】
図1は標準的なOFDM移動通信システムの送信端局/受信端局の構成を示すブロック図である。
図1を参照すると、OFDMスキームを用いる移動通信システムは、送信端局100及び受信端局150を含む。送信端局100は、データ送信機102、符号器104、シンボルマッピング器(symbol mapper)106、シリアル・パラレル(S/P)変換器108、パイロットシンボル挿入器110、逆高速フーリエ変換(IFFT)ユニット112、パラレル・シリアル(P/S)変換器114、ガードインターバル挿入器116、デジタル・アナログ(D/A)変換器118、及びラジオ周波数(RF)プロセッサ120を含む。
【0025】
送信端局100において、データ送信機102は、符号器104へ伝送されるべきユーザデータビット及び制御データビットを生成すると共に出力する。符号器104は、データ送信機102から出力された信号を受信すると共に予め定められた符号化スキームに従って符号化し、次いで符号化された信号をシンボルマッピング器106へ出力する。符号器104は、予め定められた符号化レートを有する畳み込み符号化スキーム又はターボ符号化スキームによって符号化を実行し得る。シンボルマッピング器106は、符号器104から出力される符号化されたビットを対応する変調スキームに従って変調し、それにより変調シンボルを生成し、そして変調シンボルをS/P変換器108へ出力する。ここで、シンボルマッピング器106が追従し得る変調スキームは、例えば、2値位相シフトキーイング(BPSK)スキーム、4値位相シフトキーイング(QPSK)スキーム、16直交振幅変調(QAM)スキーム、64QAMスキーム、又は他のスキームを含む。
【0026】
S/P変換器108は、シンボルマッピング器106から出力されたシリアル変調シンボルを受信すると共にパラレル変調シンボルへ変換し、そして変換されたパラレル変調シンボルをパイロットシンボル挿入器110へ出力する。パイロットシンボル挿入器110は、S/P変換器108から出力される変換されたパラレル変調シンボルにパイロットシンボルを挿入し、次いでそれらをIFFTユニット112へ出力する。
【0027】
IFFTユニット112は、パイロットシンボル挿入器110から出力された信号を受信し、信号に対してN点IFFTを実行し、次いでそれらをP/S変換器114へ出力する。P/S変換器114は、IFFTユニット112から出力された信号を受信し、それら信号をシリアル信号へ変換し、そして変換されたシリアル信号をガードインターバル挿入器116へ出力する。ガードインターバル挿入器116は、P/S変換器114から出力された信号を受信し、受信した信号にガードインターバルを挿入し、そしてそれらをD/A変換器118へ出力する。ここで、挿入されたガードインターバルは、OFDM通信システムにおいて送信されるOFDMシンボル間での干渉を防止し、即ち、挿入されたガードインターバルは、先行するOFDMシンボル周期の間に送信された先行するOFDMシンボルと現在のOFDMシンボル周期の間に送信されることになる現在のOFDMシンボルとの間での干渉を防止する。
【0028】
ガードインターバルを挿入する場合、ゼロデータ(null data)を挿入する方法が提案されてきた。しかし、ガードインターバルとしてゼロデータを挿入すると、OFDMシンボルの開始点を受信機が誤って推定してしまい、サブキャリア間で干渉する可能性があるので、受信されたOFDMシンボルに対して開始点の誤った決定の蓋然性が高くなる。そこで、周期的前置方法(cyclic prefix method)又は周期的後置方法(cyclic postfix method)がガードインターバルを挿入する場合に通常は用いられる。周期的前置方法では、OFDMシンボルの予め定められた数の最後のビットが複写され、そしてOFDMシンボルに挿入される。周期的後置方法では、OFDMシンボルの予め定められた数の最初のビットが複写され、そしてOFDMシンボルに挿入される。
【0029】
D/A変換器118は、ガードインターバル挿入器116から出力された信号を受信し、それら信号をアナログ信号へ変換し、そして変換されたアナログ信号をRFプロセッサ120へ出力する。RFプロセッサ120はフィルタ及びフロントエンドユニットを含んでいる。RFプロセッサ120は、D/A変換器118からの信号を受信し、それら信号をRF処理し、次いでTxアンテナを通してそれら信号を空中へ送信する。以下、受信端局150を説明する。
【0030】
受信端局150は、RFプロセッサ152、アナログ・デジタル(A/D)変換器154、ガードインターバル除去器156、S/P変換器158、高速フーリエ変換(FFT)ユニット160、パイロットシンボル抽出器162、チャネル推定器164、等化器166、P/S変換器168、シンボルデマッピング器(symbol demapper)170、復号器172、及びデータ受信機174を含む。
【0031】
送信端局100から送信された信号は多重パスチャネルを通り、そして信号に雑音が含まれている状態で受信端局150のRxアンテナによって受信される。Rxアンテナを介して受信された信号はRFプロセッサ152へ入力され、そしてRFプロセッサ152は、受信した信号を中間周波数(IF)帯の信号へダウンコンバートし、次いでIF信号をA/D変換器154へ出力する。A/D変換器154は、RFプロセッサ152から出力されたアナログ信号をデジタル信号へ変換し、次いでデジタル信号をガードインターバル除去器156へ出力する。
【0032】
ガードインターバル除去器156は、A/D変換器154によって変換され且つ出力されたデジタル信号を受信し、それらデジタル信号からガードインターバルを除去し、次いでそれらをS/P変換器158へ出力する。S/P変換器158は、ガードインターバル除去器156から出力されたシリアル信号を受信し、それらシリアル信号をパラレル信号へ変換し、次いでそれらパラレル信号をFFTユニット160へ出力する。FFTユニット160は、S/P変換器158から出力された信号に対してN点FFTを実行し、次いでそれらを等化器166及びパイロットシンボル抽出器162の両方へ出力する。等化器166は、FFTユニット160からの信号を受信し、それら信号をチャネル等化し、次いでチャネル等化された信号をP/S変換器168へ出力する。P/S変換器168は、等化器166から出力されたパラレル信号を受信し、それらパラレル信号をシリアル信号へ変換し、次いで変換されたシリアル信号をシンボルデマッピング器170へ出力する。
【0033】
図示されるように、FFTユニット160から出力される信号はまた、パイロットシンボル抽出器162へも入力される。パイロットシンボル抽出器162は、FFTユニット160から出力された信号からパイロットシンボルを検出し、そして検出されたパイロットシンボルをチャネル推定器164へ出力する。チャネル推定器164は、それらパイロットシンボルを用いてチャネル推定を実行し、そしてチャネル推定の結果を等化器166へ出力する。ここで、受信端局150は、チャネル推定の結果に対応するチャネル品質情報(以下「CQI」と称する)を生成し、そしてCQI送信機(図示せず)を介してCQIを送信端局100へ送信する。
【0034】
シンボルデマッピング器170は、P/S変換器168から出力された信号を受信し、それら信号を送信端局100の変調スキームに対応する復調スキームに従って復調し、次いで復調された信号を復号器172へ出力する。復号器172は、シンボルデマッピング器170からの信号を送信端局100の符号化スキームに対応する復号化スキームに従って復号化し、そして復号化された信号をデータ受信機174へ出力する。
【0035】
OFDMシステムにおいては、データは多重キャリア周波数を介して送信されまた受信される。幾つかのOFDMシステムにおいては、例えば、約528メガヘルツの帯域を占有する約128個の独立したOFDMサブキャリア(即ちトーン)があり得る。これらのシステムにおいては、それらのサブキャリアの多くを介してデータは変調されそして送信される。概ね10個のサブキャリアは必ずしも情報を搬送しない。パイロットトーンとも称されるこれらのサブキャリアは、システムのフィルタリング要求を単純化し、又は復調器のための参照位相/振幅情報を提供するために、情報搬送サブキャリアを監視する(guard)のに用いられ得る。パイロットトーンの位置は、通信標準に従って規定されてよく、又はシステムのユーザ/設計者によって規定されてよい。幾つかのパイロットトーンは周波数スペクトラムの2端に位置し、そして幾つかのパイロットトーンは周波数スペクトラム内に散在させられる(interspersed)。
【0036】
伝送されたキャリア信号の各々に対して、OFDM受信機は、通常は、伝送チャネルによって誘起された歪(distortion)を補償することを試みる。このことは、通常、チャネル推定動作及びチャネル補償動作を包含する。多重パス歪を克服することにおいて受信機を支援するために、既知のデータパターンを伴うパイロット信号が伝送される。しばしばパイロットトーン又は単にパイロットと称されるパイロット信号が、チャネル推定動作を支援するために用いられる。このようなチャネル推定動作は、通常は、通信チャネルによって導入された振幅歪及び位相歪を推定することを試みる。
【0037】
パイロットのパターン構造は、通信チャネルのインパルス応答及び変化の速度に対するナイキスト(Nyquist)サンプリング基準が満たされていることを条件に、本質的に任意の様態にあってよい。伝送されるパイロットの数は、多くの場合、予期されるマルチパス歪遅延及びチャネル状態の変化の予想される速度の関数である。一方、パイロットの伝送はパイロットを伝送するために用いられる伝送スロットにおけるデータの伝送を不可能にするので、効率性を目的として、伝送されるパイロットの数を最小化することが望ましい。
【0038】
DVB−T_OFDMシステムは、しばしばチャネル推定を容易にする目的でそれらのパイロットトーンを用いる。しかし、これらのトーンの希薄性(sparseness)は、チャネルを速く且つ効率的なメモリ使用及び計算で推定することを困難にしている。
【0039】
チャネル推定は、最新のワイヤレス受信機のための重要且つ必須な機能である。ワイヤレスチャネル特性の限られた認識によってさえも、受信機は、送信機によって送られた情報の理解を得ることができる。チャネル推定の目標は、既知の又は部分的に既知の伝送に対するチャネルの効果を測定することである。チャネルは、状態及びトポロジを変化させることによって変化するであろう。OFDMシステムはチャネル推定に特に適している。サブキャリアは狭い間隔で並んでおり、そしてシステムは概して、最小遅延でチャネル推定を計算することができる高速アプリケーション内で用いられる。既知の電力及び構造(make-up)で送られるサブキャリアは、パイロットと称され、そして同期のために用いられる。上述したように、本発明はチャネル推定を達成することに対する固有且つ新規な手法を提供する。
【0040】
より特定的には、本発明は、トーンリザベーション(tone reservation)のような既知のチャネル推定技術に対する強化を提供する。トーンリザベーションにおいては、例えば、PAPRを低減するためにキャリアがリザーブされ(reserved)そして任意の値が投入される(populated with)。
【0041】
一方、本発明は以下の例において説明される。既知のキャリアに対して非任意の値が選択され得ると仮定する。即ち、例えば所与のシンボルにおいて、キャリア3、キャリア7、及びキャリア10が利用可能であり、これらのキャリアの各々に対して任意の値を用いる代わりに、これらのキャリアは5つの値(−2、−1、0、1、及び2)をとることができる。従って、125の選択肢(即ち5
3)がある。125の選択肢の各々は、PAPRが上述したように任意の値を用いるPAPR低減と同等の量まで低減し得るように、十分な細かさを含むものと仮定する。このシナリオにおいては、PAPRは、任意の値を用いた場合に低減され得たであろうのとほとんど同じくらいに低減される。一方、非任意の値の少数のセットを用いることによって、受信機は、チャネル推定及び等化を実行するのに関連するより多くの情報を有する。この情報を受信機に提供する能力によって、これらのキャリアはパイロットとして用いられることが可能になる。従来的には、専用のパイロットのみがチャネル推定をもたらすために用いられ得た。本発明は、追加的な非パイロットチャネルキャリアがチャネル推定をもたらすために用いられることを可能にする。
【0042】
図2は既知のチャネル推定技術に従って編成されるパイロットパターンシーケンス200のグラフ的な説明図である。パイロットパターンシーケンス200は、Y軸204に沿って配列される9個のOFDMシンボルのシンボルグループ202を含む。Y軸204は、例えば200マイクロ秒(μs)から1ミリ秒までの段階(gradations)内にあってよい。これらの段階の忠実性(fidelity)は、OFDMシンボルの各々の全継続(total duration)に依存する。
図2のグラフはまたX軸206を含む。
【0043】
シンボルグループ202内のシンボルの各々は、データキャリア(d
ij)、連続的なパイロット(c
ij)、分散パイロット(s
ij)、及びリザーブされたトーン(r
ij)からなる異なるキャリアの種類を含む。リザーブされたトーン(r
ij)は一般的には使用されない。パイロットシーケンス200は、DVB−T2システムにおける使用のために構成されるシーケンスを代表しているが、任意のOFDMシステムに適用可能である。
【0044】
キャリア種類下付き文字(例えばd
ij)の第1番目の要素はキャリアインデックスを表す。下付き文字の第2番目の要素は時間インデックスを表す。例えば、
図2においては、時間0で発生する第1のOFDMシンボル207は、連続的なパイロットc
0,0、データキャリアd
1,0、データキャリアd
2,0、等を含む。
【0045】
1つのOFDMシンボルにおいては、複数のデータキャリアが実際の伝送されるデータを代表する。連続的なパイロット及び分散パイロットは、チャネル推定を実行することを可能にするために設けられている。シンボル207に対しては、連続的なパイロットはc
0,0及びc
0,15である。シンボル207はまた、分散パイロットs
12,0を含む。2つの異なる種類のパイロットが用いられる理由についての考え方は当業者によって十分に理解されるので、ここでは論じない。
【0046】
パイロット信号の他の側面に焦点を合わせると、大抵のOFDMシステムは、任意の特定のシステム内に配置されていないパイロットを有する概念を含む。例えば、シンボルグループ202においては、全ての連続的なパイロットは他のキャリアパイロットと同一のキャリアインデックスを有しており、それらが他の複数の連続的なパイロットを伴う複数の垂直列内にあることを意味している。例えば、キャリアインデックス「0」及びキャリアインデックス「15」に連続的なパイロットがある。連続的なパイロットが全て垂直列内に一緒にあるという事実は、異なるシンボルにわたってパイロット位置が同一のままであることを示している。即ち、キャリア0がシンボル0(即ちシンボル207)内のパイロットである場合には、キャリア0はシンボル208内のパイロットでもあり、キャリア0はシンボル210内のパイロットでもあり、以下同様である。このプロセスはDVB−Tシステム及びワイヤレスローカルエリアネットワーク(LAN)システムに特有である。
【0047】
しかし、
図2の配置のようなパイロット配置に伴う問題は、連続的なパイロットの密度がチャネル推定を適切に実行するには典型的には不十分であることである。この連続的なパイロット密度の不足を補償するために、定まらない(roving)又は「分散された(scattered)」複数のパイロットが、連続的なパイロットのチャネル推定能力を増大させるために設けられている。
図2においては、上で論じられたように、シンボル207においては、分散パイロットはs
12,0として示されている。シンボル208は分散パイロットs
9,1等を含む。これらは標準的なOFDMシステムにおいて見出され得る典型的な種類のパイロットである。
【0048】
図3は既知のチャネル推定技術に従うリザーブされたトーン値を選択するのに先立つ単一のシンボルシーケンスのグラフ的な説明
図300である。より具体的には、
図3は
図2に示される単一のシンボル207の説明図であり、また時間インデックス「0」で生じる単一のシンボルを代表している。
図3においては、簡略化を目的として、それぞれの「0」は時間インデックス列から取り除かれている。
【0049】
背景として、リザーブされたトーン、例えばリザーブされたトーン(r
ij)に適切な非ゼロ値が割り当てられる前に、データキャリア(d
ij)、連続的なパイロット(c
ij)、及び分散パイロット(s
ij)に先ず特定の値が割り当てられる。この割り当ての後に、データキャリア、連続的なパイロット、及び分散パイロットに割り当てられた値に高速フーリエ変換(FFT)302が適用されて、時間領域信号304が生成される。この新たに算出された時間領域信号304は、例えば、潜在的に高いPAPRを有しているであろう。時間領域信号304が高いPAPRを有しており且つリザーブされたトーンが無い場合には、チャネル推定を実行してデータキャリア(d
ij)内に組み込まれているデータを復調(及び記録)するために、連続的なパイロット(c
ij)及び分散パイロット(s
ij)が用いられ得る。
図3においては、リザーブされたトーン(r
5)及び(r
19)に対する値としてゼロが選ばれている。
【0050】
図4は既知のチャネル推定技術に従うリザーブされたトーン値を選択するのに先立つ単一のシンボル207のグラフ的な説明
図400である。
図4においては、リザーブされたトーン(r
ij)に対する任意の値が選択される。例として、当業者によく理解される方法を用いて、リザーブされたトーン(r
5)及び(r
19)に対する任意の非ゼロの複素値が選択され得る。リザーブトーン(reserve tone)の決定及び選択のための方法は、例えば、ジェー・テラドによる論文、多重キャリア変調のためのピーク対平均電力の低減、博士論文、スタンフォード、カリフォルニア、スタンフォード大学、2000(J. Tellado, Peak to average power reduction for multicarrier modulation, Ph.D. dissertation, Stanford, CA: Stanford Univ., 2000)に提供されている。
図3においては、(r
5)及び(r
19)に対する値はゼロである。
【0051】
図4においては、これらのリザーブトーン値は、任意であるが、非ゼロ値に選択される。より具体的には、連続的なパイロット(c
ij)、分散パイロット(s
ij)、及びデータキャリア(d
ij)は固定されているから、非ゼロ値は、FFT402がそれらに適用された場合に、最小PAPRが達成され得るように選択される。
【0052】
リザーブされたトーンの適用の前に全てのキャリアはなんらかの値を有している必要がある。最大送信電力は規制により制限されているので、キャリアが用いられない場合には、その値は0に設定されて、有用なキャリアはより大きな電力で送信され得る。しかし、本発明の目的のために、これらの値はランダムに選択され得る。このランダムな選択は、極めて高い蓋然性で、等価時間領域信号が高いPAPRを有することをもたらすであろう。
【0053】
本発明の実施形態においては、リザーブトーン値(r
5)及び(r
19)を任意の値として選択することに代えて、それらはいくらか限定されたセットからのパイロットパターンの一部として選択され、限定されたセットはリザーブされたキャリアパイロットのサブセットからのものである。本発明では、リザーブトーン値は
図4からの任意の値とは同一ではない。その代わりに、リザーブトーン値(r
5)及び(r
19)は、結果としての信号が低いPAPRを有するように、
図4からのリザーブトーン値と十分に近くなるように選択される。この値選択プロセスの結果として、リザーブトーン(r
5)及び(r
19)は、チャネル推定プロセスを支援し且つ改善するためにパイロットとして使用され得る。このプロセスは以下の
図5及び6に更に明確に示されている。
【0054】
上述した論文において強調されている方法のような既知の方法に従い、リザーブトーン値は決定され得る。これらの値の全ては、前もって早めに決定され得る。一方、それらはまた、受信機初期化の間に開始する反復プロセスの間に動的に決定され得る。一般的に、これらの方法の全ては、低減信号(reduction signal)を生成するために、リザーブされたトーンへの信号ピークの投影を用いる。この低減信号は次いで、OFDM送信機のPAPRを低減するためにピークキャンセルの目的で用いられる。
【0055】
第1の方法では、最初のk個のリザーブされたトーンは、{a+ib、aは0.08の倍数であり、bも同様である}のような既知の大きなセットからの任意の複数の要素として許容される。後者のリザーブされたトーンは、前者のトーンを既知のフィルタでフィルタリングすることによって生成される。このシナリオにおいては、受信機は従来の方法を用いて最初のk個のリザーブされたトーンを推定するであろうし、また残りはそれらに追従するであろう。64個の異なるフィルタ(6ビットのシグナリングのみを必要とする)を可能にし、a及びbが−2及び+2の間にあることを可能にし、そしてkが小さい数(例えば15)であることを可能にして、多くの見込みのあるトーンパターンが大きなPAPR低減を提供することができる。
【0056】
リザーブトーン値を選択するための第2の方法は、本質的には上述の第1の方法と同一である。しかし、第2の方法では、a及びbは線形フィードバックシフトレジスタ(LFSR)を用いて生成される。リザーブトーン値を選択するための他の多くのよく知られた技術が利用可能である。
【0057】
図5は、本発明の実施形態に従い、複数のリザーブされたトーン値を既知の複数のパターンサブセットから選択した後の単一のシンボルシーケンス207のグラフ的な説明図である。
図5においては、例えば、PAPRを低減するために、連続的なパイロット(c
0及びc
15)及び分散パイロットs
12と同様の特性を有するリザーブされたトーン(r
5)及び(r
19)を用いて、強化されたチャネル推定を支援する。
図5の例においては具体的に専用とされたリザーブトーンが用いられているが、リザーブされたトーンの代わりに分散パイロットが用いられてもよい。
【0058】
図5においては、リザーブされたトーン(r
5)及び(r
19)の値は、上述の方法の1つを用いて決定され得る。より具体的には、それぞれ(r
5’)及び(r
19’)で示される(r
5)及び(r
19)に対するリザーブされたトーン値は、非ゼロ且つ非任意であるとして選択される。FFT502が値(r
5’)及び(r
19’)に適用されて、低いが必ずしも最小ではないPAPR504が生成される。
【0059】
本発明は、より正確なチャネル推定をもたらすために、リザーブされたトーンを用いて既知の値をOFDM受信機に送信する実施形態を含む。リザーブされたトーンに対して選択される中間値が、
図5に示される技術に従って全てのキャリアに対して加算され又は減算され得る。中間値は、PAPR低減に対して不利な影響を与えないであろう種々の方法で制約され得る値である(即ち他の値を加算し又は減算すること)。これらの値は、
図5に示される制約集合(constraint sets)A5及びA19によって表されるようになんらかの方法で制約されてよく、これらは有限集合から派生する。このようにして、OFDM受信機は、より正確なチャネル推定をもたらし又は実際に伝送された値をより正確に復号化し若しくはデマッピングする(de-map)ために使用され得る追加的な情報を有することとなる。このプロセスはまた、トーン導入(tone injection)に対しても使用することができる。
【0060】
上で論じられた実施形態においては、中間値の使用は、PAPRを低減するために種々の技術が用いられることを可能にする一方で、同時に、リザーブトーンキャリア、例えば
図5に示されるr
5’及びr
19’がパイロットトーンとして用いられることを可能にする。リザーブトーンキャリアに対して任意の複素値が用いられている場合には、より大きなPAPR低減値が達成され得る。しかし、PAPR低減のために、許容可能ではあるが準最適な値を用いる可能性もあり、この場合、2つ又は3つの有力な制約集合解決法があるであろう。例えば、3つのパイロットキャリアが用いられる場合、中間値は例えば1、−1、及び2に選択されてよい。中間値の他の多くの組み合わせが選択され得る。従ってこれらの中間値を伴って、PAPR低減能力には不利な影響を与えないであろう一方で、それぞれr
5’及びr
19’に関連する制約集合A5及びA19に適合するであろうシーケンス(即ち実際に許容される一連の値)を用いることができる。
【0061】
図6は本発明の実施形態を実施する方法の例示的なフローチャート600である。より具体的には、方法600は、キャリアの2つ以上のグループを含む多重キャリア変調信号に対してPAPRを低減するための方法を含む。ステップ602では、第1の時間フレームの間、2つ以上のグループの第1のグループ内のキャリア種類に対して非ゼロ値が割り当てられる。また、非ゼロ値を割り当てた後に、2つ以上のグループの第2のグループ内のキャリア種類に対してゼロ値が割り当てられる。ステップ604における第2の時間フレームの間、第2のグループ内のキャリア種類に対して任意の非ゼロ値が選択される。ステップ606において第3の時間フレームの間、第2のグループ内のキャリア種類に対する非ゼロ値が、予め定められたPAPRスレッショルドに基いて選択される。方法600は、例えば、送信機のトレーニング段階又は初期化プロセスの間に実施され得る。
結論
【0062】
詳細な説明の部は特許請求の範囲を解釈するために用いられることが意図されており、概要及び要約の部はそう意図されていないことが理解されるべきである。概要及び要約の部は、発明者によって熟考された本願発明の1つ以上のしかし全部ではない例示的な実施形態を説明することができ、従って本発明及び添付の特許請求の範囲を限定することが意図されているわけではけっしてない。
【0063】
特定の機能の実装及びそれらの関係性を示す機能構築ブロックを補助として、本発明が上述のように説明されてきた。これらの機能構築ブロックの境界は、こ説明の便宜上ここでは適宜画定されてきた。特定の機能及びそれらの関係が適切に実行される限りにおいて、代替的な境界が画定されてよい。
【0064】
特定の実施形態の上述した説明は、本発明の一般的性質を十分に明らかにするであろうから、他者は、当業者の知識を適用することによって、過度の実験を必要とせず、本発明の概略的概念から逸脱することなく、そのような特定の実施形態を容易に修正し及び/又は種々の応用に適用することができる。従って、そのような適用及び修正は、ここで提示されている教示及び指針に基いて、開示されている実施形態と均等なものの意味及び範囲の範疇にあることが意図されている。ここでの用語等は、本明細書の用語等がここでの教示及び指針の下で当業者によって解釈されるべきであるという点において、説明を目的としたものであって限定を目的としていないことが理解されるべきである。
【0065】
本発明の広さ及び範囲は、上述したいかなる例示的な実施形態によっても限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲及びそれらと均等なものに従ってのみ画定されるべきである。
【0066】
本出願の特許請求の範囲は、親出願又は他の関連出願のそれとは異なる。従って、出願人は、親出願又は本出願に関連する任意の先行する出願においてなされた特許請求の範囲の任意の放棄を撤回する。従って、審査官は、任意のそのような放棄及び無効だとされた引用例が再閲覧される必要があるかもしれないということを助言されている。また、審査官にあっては、本出願においてなされる任意の放棄が親出願において又は親出願に対して読まれるべきではないことを確認されたい。