特許第5984678号(P5984678)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5984678改善されたきらめき効果を有する顔料組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5984678
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】改善されたきらめき効果を有する顔料組成物
(51)【国際特許分類】
   C09C 3/06 20060101AFI20160823BHJP
   C09C 1/42 20060101ALI20160823BHJP
   C09C 1/30 20060101ALI20160823BHJP
   C09C 1/40 20060101ALI20160823BHJP
   C09C 1/36 20060101ALI20160823BHJP
   C09C 1/22 20060101ALI20160823BHJP
   C09C 1/00 20060101ALI20160823BHJP
   C09C 1/28 20060101ALI20160823BHJP
   C09D 11/322 20140101ALI20160823BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20160823BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20160823BHJP
   C09D 5/29 20060101ALI20160823BHJP
   C09D 11/037 20140101ALI20160823BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20160823BHJP
   C08K 7/00 20060101ALI20160823BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20160823BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20160823BHJP
   C04B 35/80 20060101ALI20160823BHJP
   C04B 41/86 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
   C09C3/06
   C09C1/42
   C09C1/30
   C09C1/40
   C09C1/36
   C09C1/22
   C09C1/00
   C09C1/28
   C09D11/322
   C09D201/00
   C09D7/12
   C09D5/29
   C09D11/037
   C08L101/00
   C08K7/00
   A61K8/25
   A61K8/19
   C04B35/80 Z
   C04B41/86
【請求項の数】10
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2012-551585(P2012-551585)
(86)(22)【出願日】2011年1月31日
(65)【公表番号】特表2013-518953(P2013-518953A)
(43)【公表日】2013年5月23日
(86)【国際出願番号】EP2011051288
(87)【国際公開番号】WO2011095447
(87)【国際公開日】20110811
【審査請求日】2014年1月28日
(31)【優先権主張番号】61/301,245
(32)【優先日】2010年2月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ライムント シュミート
(72)【発明者】
【氏名】キャロリン ラヴァリー
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン エイ. ジョーンズ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ キャロル
【審査官】 仁科 努
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/007248(WO,A1)
【文献】 特表2010−532808(JP,A)
【文献】 特開2004−292816(JP,A)
【文献】 特開昭59−008766(JP,A)
【文献】 特表2004−506581(JP,A)
【文献】 特表2011−525557(JP,A)
【文献】 特表2009−536231(JP,A)
【文献】 特表2012−511598(JP,A)
【文献】 特表2013−509466(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/051122(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09C 3/06
C09C 1/00
C09C 1/22
C09C 1/28
C09C 1/30
C09C 1/36
C09C 1/40
C09C 1/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)パーライトからなる薄片と、
B)効果顔料
とを含み、
前記効果顔料は小片状基材から選択され、前記小片状基材はTiO2、ZrO2、Fe23、Fe34、Cr23、ZnO、SnO2から選択される金属酸化物、または前記金属酸化物の混合物の1つまたはそれより多くの層で被覆され、前記小片状基材が天然マイカ、合成マイカ、SiO2薄片、Al23薄片、TiO2薄片、Fe23薄片、BiOCl、およびガラス薄片から選択され、あるいは
前記効果顔料は、Fe23、TiO2、Al23、SiO2、またはSiO2/Fe23から選択された酸化物で被覆されたアルミニウムに基づく顔料である、顔料組成物。
【請求項2】
小板状基材が、高屈折率および低屈折率の少なくとも3層の交互の層で被覆されている、請求項1に記載の顔料組成物。
【請求項3】
効果顔料が以下の層構造:
【表1】
を有し、前記TRASUBは、天然または合成マイカ、ガラス、Al23またはSiO2からなる群から選択される低屈折率を有する透明基材である、請求項1または2に記載の顔料組成物。
【請求項4】
パーライトは、150μm未満且つ5μmより大きい中央粒径を有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の顔料組成物。
【請求項5】
小板状基材が、10〜300μmの中央粒径を有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の顔料組成物。
【請求項6】
効果顔料の中央粒径がxμmであって、且つ、添加されるパーライトの中央粒径がxμm±25%である、請求項4または5に記載の顔料組成物。
【請求項7】
中央粒径12〜30μmを有する、マイカに基づく顔料と、中央粒径12〜30μmを有するパーライトとを組み合わせる、請求項4または5に記載の顔料組成物。
【請求項8】
塗料、インクジェット印刷における、テキスタイルの染色のための、被覆物、印刷インク、プラスチック、化粧品、セラミックスおよびガラス用上薬を顔料着色するための、請求項1から7までのいずれか1項に記載の顔料組成物の使用。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項に記載の顔料組成物を用いて顔料着色された塗料、印刷インク、プラスチック、化粧品、セラミックスおよびガラス。
【請求項10】
効果顔料とパーライトからなる薄片とを混ぜ合わせることを含む、請求項1から4までのいずれか1項に記載の顔料組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、A) ペレット状のパーライトと、B) 効果顔料とを含む、調整可能および/または改善されたきらめき効果を有する顔料組成物、およびそれらの製造方法、およびそれらを塗料、インクジェット印刷において、布地の染色のために、コーティング(塗料)、印刷インク、プラスチック、化粧品、セラミックスおよびガラス用上薬を着色するために用いる使用に関する。該顔料組成物は、改善されたきらめき効果、特に、魅力的な高いきらめき強度を全ての視野角で示す。
【0002】
物体上でのきらめき効果とは、指向性光における隣接領域と比較してより高い強度の光が観察される位置として定義することができる。それらは、物体表面上のコーティング内に混合される光反射性顔料によって、または光反射顔料を有する物体の原料着色によって引き起こされる。
【0003】
顔料の光反射特性は、粒径、粒子形状、および化学組成に依存している。弱い光反射は、直径<5μmを有する薄片が入射光を反射する場合に知覚される。人間の目は、直径20μm以上を有する薄片によってもたらされる光反射を、強いとして知覚している。
【0004】
天然または合成マイカに基づく顔料は、塗料またはプラスチックに混合される場合にきらめき効果を引き起こす。
【0005】
過去においては、効果顔料のきらめき挙動は文言上で記載されているだけであった。薄片の直径に依存して、きらめき効果が知覚され、且つ、「繊細」(薄片直径〜5μm − 15μm)、「強い」(薄片直径〜15 − 25μm)、「目を引く」(薄片直径〜2.5 − 100μm)、および最終的に「極度」(薄片直径>100μm)として記載される。
【0006】
この分類はきらめき効果の定量的な記載の観点において充分ではなかったので、過去10年の間に測定装置が開発された。一例は、Byk−Gardner GmbH(Lausitzer Strasse 8, 82538 Geretsried, ドイツ)製のByk−macである。この装置により、薄片の特徴について、きらめきおよび粒状性を測定することが可能になっている。3つの異なる照射角について、薄片のきらめき挙動が以下のパラメータを用いて評価される:
・ きらめき面積(S_a)は、所定の測定内の光反射の数に相応する;
・ きらめき強度(S_i)は、光反射の強度に相応する。
【0007】
拡散光の下では、きらめき効果を観察することはできない。拡散光条件下でのきらめき粒子の視覚的な外観は、文言上は、きめ、粗さ、または粒状性を用いて記載されている。Byk−macは、その効果を記載するために、粒状性の値のGdiffを測定する。
【0008】
最も一般的なきらめき効果顔料は、金属酸化物で被覆されたガラス薄片または金属酸化物で被覆されたアルミナ薄片に基づく。かかる効果顔料は、特徴的なきらめき効果を提供する。
【0009】
EP1469042号は、ガラス薄片に基づく効果顔料を含有する成分Aと、有機および/または無機薄片の形態の、針形状の、球状または結晶性の着色剤および/または充填剤を含有する成分Bとを含む顔料混合物を開示している。被覆されたガラス薄片に1つまたはそれより多くの着色剤を混合することにより、適用系にレインボー効果を付与し、色彩効果を増大させ、且つ、新規の色彩効果を達成することが可能になる。
【0010】
US7387669号は、顕著なきらめきを有し、鉄酸化物で被覆され且つ下塗り状態で、平均小板サイズ8〜30μm、平均小板厚さ300〜600nmおよびアスペクト比15〜70を有するアルミニウム小板に基づく光輝顔料を開示している。
【0011】
US6517628号(EP1045014号)は、成分Aと成分Bとを含む顔料混合物に関し、成分Aはマイカ、SiO2薄片、ガラス薄片、アルミナ薄片またはポリマー薄片基材が、低屈折率の少なくとも1つの層と隣接する高屈折率の少なくとも1つの層を含む、1つまたはそれより多くの層で被覆されており、且つ、成分Bは、成分Aの定義には入らない小板形状の、針状の、または球状の着色剤および/または充填剤を含む。成分Bは、パール光輝顔料、着色されたガラス粒子、カーボンブラック、有機着色顔料および/または無機着色顔料を含んでよい。US6517628号の課題は、比較的高い隠ぺい力が顕著であり、且つ、顔料混合物が使用されるそれぞれの系にそれ自体が良好に混合される、顔料混合物を提供することである。
【0012】
US6294010号は、成分Aと成分Bとを含む顔料混合物であって、成分Aが1つまたはそれより多くの金属、金属酸化物または金属硫化物で被覆されたAl23薄片を含み、且つ成分Bが1つまたはそれより多くの機能性顔料を含む、前記顔料混合物に関する。TiO2、Fe23、またはTiO2とFe23との組み合わせで被覆されたAl23薄片が好ましい。成分Bは、導電性顔料、磁性顔料、IR反射顔料、レーザーマーキング可能な顔料、またはそれらの混合物を含む。US6294010号は、成分Bによってもたらされる追加的な機能(伝導性、磁性、IR反射)を有する顔料混合物を提供する。
【0013】
US6267810号は、成分Aと成分Bとを含む顔料混合物であって、成分Aが1つまたはそれより多くの金属、金属酸化物または金属硫化物で被覆されたAl23薄片を含み、且つ成分Bが特別な効果顔料を含む、前記顔料混合物に関する。成分B)は、i) 1つまたはそれより多くの金属酸化物で被覆された1つまたはそれより多くの金属小板、ii) グラファイト小板、iii) アルミニウム小板、iv) フィロシリケート、v) 1つまたはそれより多くの金属酸化物で被覆されていない、または被覆された、Fe23薄片、SiO2薄片、またはTiO2薄片、vi) ガラス小板、および/またはvii) セラミックス小板を含み得る。用語「特別な効果顔料」は、パール光輝顔料、即ち、1つまたはそれより多くの金属酸化物で被覆されたマイカ薄片顔料、例えば Merck KGaA, Darmstadtから、商標Iriodin(登録商標)、Afflair(登録商標)およびTimiron(登録商標)として入手可能なものも含み得る。US6267810号は、被覆されたAl23薄片(=きらめきについて公知)と、当時公知であった全ての他の効果顔料とのブレンドを記載している。Al23薄片に基づく顔料の欠点は、複雑且つ費用のかかる製造工程である。
【0014】
WO2006110359号は、半透明金属酸化物膜で被覆された合成小板を含む効果顔料に関し、前記合成小板はD10が少なくとも9.5ミクロン、D50が約20〜40ミクロン未満の間、且つD90が35より上から85ミクロン未満であることを特徴とするサイズ分布を有している。該金属酸化物膜は、二酸化チタンまたは鉄酸化物を含むことができる。該合成小板は、アルミニウム酸化物、二酸化ケイ素、オキシ塩化ビスマス、ホウ素窒化物、およびガラスから選択される。WO2006110359号は、きらめき効果を最適化するために顔料の粒径分布をどのように修正するかについて教示している。
【0015】
WO2004061012号は、少なくとも2つの異なる材料の被覆混合物を含む効果顔料を開示しており、そこでは、前記少なくとも2つの異なる材料の各々は前記少なくとも2つの異なる材料の合計に対して少なくとも5質量パーセントから約95質量パーセントまで存在し、且つ、前記効果顔料は視覚的な均質性を示す。該効果顔料は、被覆された層状小板の混合物、好ましくは金属酸化物で被覆された層状小板の混合物であり、該小板は異なる材料、例えばガラスおよびマイカの混合物であり、且つ、異なる小板を混ぜ合わせ、その後、被覆することによって製造される効果顔料は視覚的な均質性を示す。WO2004061012号は、異なる基材を混ぜ合わせ、その後、被覆することによって調製される効果顔料の配合物の色特性(クロマ)が、既に前もって被覆されている基材を混ぜ合わせることによって得られる効果顔料の配合物よりもはるかに良好であることを教示している。
【0016】
US2004191198号A1は、成分Aがガラス薄片に基づく効果顔料を含み、且つ成分Bが薄片形態、針形状、球状または結晶性着色料または充填剤を含む、少なくとも2つの化合物を有する顔料混合物、およびそれらの使用、特に化粧品配合物における、および着色剤のための、または食品および医薬品分野における製品のコーティングとしての使用に関する。被覆されたガラス薄片に1つまたはそれより多くの着色剤を混合することにより、適用系にレインボー効果を付与し、色彩効果を増大させ、且つ、新規の色彩効果を達成することを可能にする。成分Bとして、薄片形態、針形状、球状、および結晶性着色剤または充填剤であって、粒径0.01〜1μmを有するものが好ましい。
【0017】
US2008305184号は、少なくとも2つの成分からなる顔料混合物に関し、成分Aは被覆されていない、単層被覆された、または多層被覆されたガラスラメラであり、且つ、成分Bはフィロシリケート、SiO2ラメラ、Fe23ラメラ、またはAl23ラメラに基づく真珠光顔料である。該ガラス薄片は、完全または部分的にTiO2および/またはFe23で被覆されている。成分Bは、TiO2および/またはFe23で被覆されたフィロシリケートに基づく真珠箔顔料であってもよい。フィロシリケートは好ましくは天然または合成マイカである。被覆されていない、単層被覆または多層被覆されたガラスラメラの添加を通じて、真珠光沢顔料の輝度および光沢が改善される。
【0018】
US2002120051号A1は、(a)主に二次元形状を有する金属または強く光を反射する顔料粒子または小板を含む光輝性顔料と、(b)本質的に等大の物体形状を有し且つ10〜200μmの直径を有する中空または中実の充填剤粒子とを含むプラスチック部品を開示している。
【0019】
FR2924929号(A1)は、少なくとも脂肪質の相と、少なくともパーライト粒子(0.05質量%)とを含む、唇のメイクアップおよび/またはケア用の化粧品組成物に関する。
【0020】
FR2924935号A1は、少なくとも10質量%の充填剤、および融点20〜60℃を有する少なくとも1つのシリコーン化合物を含む唇のケアおよびメイクアップ用の化粧品組成物に関する。FR2924935号A1の実施例1の化粧品組成物は、パーライト(Optimat 1430(登録商標)、World minerals製)と着色剤としての顔料とを含む。
【0021】
WO2009074960号A2 (FR2924936号A1)は、少なくとも1つのオルガノポリシロキサンエラストマーと少なくとも1つの炭化水素に基づくペースト状化合物とを含有する脂肪相を含む唇のケアおよび/またはメイクアップ用の化粧品組成物を保護することに関する。WO2009074960号A2 (FR2924936号A1)の実施例1において、リップスティックのスティックは、パーライト(Optimat 1430(登録商標)、World minerals製)および染料(鉄酸化物、黄色6 レーキ、赤色7、赤色28 レーキ)を含むことが記載されている。
【0022】
DE3224558号A1は、二酸化チタン/マイカのパール光輝または色光輝、オキシ塩化ビスマスのパール光輝またはオキシ塩化ビスマス/マイカのパール光輝顔料であって「pearl lustre pigments for cosmetics」の名称で公知の市販品として知られるものを、汚染性の有毒な重金属を含まない金属質の光輝性着色顔料として印刷技術において、必要であれば、微細に分割されたマイカの混合物、または膨張バーミキュライトまたはパーライトを、特にガラス瓶上のゴールドまたは金属効果を有するラベル、または広範な梱包材料、または物品、例えば本の背、皮材料、プラスチック材料のために用いる使用に関する。該充填剤を添加することによって、色を漸次変色させることができる。
【0023】
金属酸化物で被覆されたガラス薄片または金属酸化物で被覆されたアルミナ薄片の欠点は、合成に費用がかかること(高エネルギー、廃棄物)および価格が高いことである。
【0024】
金属被覆された、または酸化物被覆された、天然または合成マイカに基づく通常のパール顔料は、Byk−macでの測定の際、15°の照射角で高いきらめき強度を示す。より高い照射角では、きらめき強度はより低い値を示している。例えば、金属酸化物で被覆された合成マイカ顔料は、高いきらめき強度S_iおよび高いきらめき面積S_aを面角内で示す。ダウンフロップ(=より高い角度)においては、光の反射の数(S_a)およびそれらの強度(S_i)ははるかに低い。
【0025】
今、意外なことに、効果顔料と小板状パーライトとのブレンドが、改善されたきらめき挙動、特に、想定外の魅力的なより高いきらめき強度を全ての角度で示すことが判明した。前記の効果は、意外であり、且つ予想できなかった。さらに、きらめき面積S_a、およびS_aの角度依存性を調整できる。
【0026】
従って、本発明は、
A) ペレット状のパーライト、および
B) 誘電体材料、および/または金属で被覆された効果顔料、例えば小板状基材、
を含む、改善されたきらめき効果を有する顔料組成物、およびそれらの製造方法、およびそれらを塗料、インクジェット印刷において、布地の染色のために、コーティング(塗料)、印刷インク、プラスチック、化粧品、セラミックスおよびガラス用上薬を着色するために用いる使用を提供する。
【0027】
誘電体材料は特に、高屈折率または低屈折率を有する(金属)酸化物である。例は以下に示される。
【0028】
用語「誘電体材料および/または金属で被覆された」とは、基材が誘電体材料の層または(半透明または不透明な)金属の層で被覆され得る、またはそれが2つまたはそれより多くの誘電体材料および/または金属層で被覆され得ることを意味する。いわゆる「多層」顔料の例は以下に示される。かかる多層系の一部としての金属層は特に、薄い半透明金属層である。
【0029】
設計の観点からは、高価な顔料を使用する必要なく、角度に依存するきらめき効果という点についての様式をカスタマイズするための可能性をより多く有することが望ましい。前記課題は、改善された且つ調整可能なきらめき効果を有する本発明の顔料組成物によって解決される。
【0030】
主に、小板状のパーライト(パーライト)は、本発明の効果が得られる限りは、任意の量で含有され得る。典型的には、小板状のパーライト(パーライトに基づくもの)は、パーライトと被覆された小板状基材(効果顔料)との合計に対して、0.5〜80質量%、特に2〜50質量%の量で含有される。パーライトが3〜40質量%、特に5〜30質量%の量で含有される場合に、顕著な効果が得られる。
【0031】
S_aの強い角度依存性が望ましい場合は、パーライトの量は2〜20質量%であるべきである。S_aの低い角度依存性が望ましい場合は、パーライト基材の量は好ましくは30〜80質量%であるべきである。
【0032】
図1は、本発明の顔料(Pro1〜Pro4)および比較用顔料(ComPro1)のきらめき強度(S_i)対きらめき面積(S_a)を示すグラフである。比較例のComPro1は、赤色の鉄酸化物被覆マイカである。Pro1は、きらめき効果がより高い角度で著しくより高いきらめき強度(高いS_i)に調整され、且つ、反射の数の角度依存性が強いままである(より高い観察角で低いS_a)改変版である。Pro4は、高いきらめき強度S_iを全ての角度で有し、且つ高い光反射数を全ての角度で有する(=S_aの角度依存性が小さい)改変版である。
【0033】
図2は、本発明の顔料(Pro5〜Pro7)および比較用顔料(ComPro2)のきらめき強度(S_i)対きらめき面積(S_a)を示すグラフである。
【0034】
図3は、本発明の顔料(Pro8)および比較用顔料(ComPro3)のきらめき強度(S_i)対きらめき面積(S_a)を示すグラフである。
【0035】
図4は、本発明の顔料(Pro9〜Pro12)および比較用顔料(ComPro4)のきらめき強度(S_i)対きらめき面積(S_a)を示すグラフである。
【0036】
図5は、本発明の顔料(Pro13〜Pro16)および比較用顔料(ComPro5)のきらめき強度(S_i)対きらめき面積(S_a)を示すグラフである。
【0037】
図6は、本発明の顔料(Pro17〜Pro20)および比較用顔料(ComPro6)のきらめき強度(S_i)対きらめき面積(S_a)を示すグラフである。
【0038】
図7は、本発明の顔料(Pro21〜Pro24)および比較用顔料(ComPro7)のきらめき強度(S_i)対きらめき面積(S_a)を示すグラフである。
【0039】
図8は、本発明の顔料(Pro25〜Pro28)および比較用顔料(ComPro8)のきらめき強度(S_i)対きらめき面積(S_a)を示すグラフである。
【0040】
本発明は、効果顔料をパーライトと共に使用することによって、どのように新規のきらめき顔料組成物を作ることができるかについて記載している。
【0041】
当該の顔料組成物は、効果顔料とパーライトとを混ぜ合わせることによって得られる。本発明では、きらめきのパラメータS_aおよびS_iを、適切な材料組成を選択することによって調整できる。
【0042】
無機(金属または非金属の)、または有機の小板形状の粒子または顔料は、効果顔料(特に金属効果顔料または干渉顔料)、即ち、適用媒体に色を付与する他に、さらなる特性、例えば色の角度依存性(フロップ)、光輝(表面のつやではない)、または質感を付与する顔料である。金属効果顔料上では、方向性を持って配向した顔料粒子のところで、本質的に配向した反射が起きる。干渉顔料の場合、色の付与効果は、薄い高屈折率層における光の干渉現象による。効果顔料は公知である。例えば、Gerhard Pfaff and Peter Reynders, Chem. Rev. 99 (1999) 1963〜1981; 「Spezielle Effektpigmente」 (G. Pfaff, Vincentz Network, Hannover, 第二改訂版、2007、およびMetalleffekt−Pigmente (P.Wissling, Vincentz Network, Hannover, 2005)が参照される。
【0043】
小板状の有機顔料、例えば小板状のキナクリドン、フタロシアニン、フルオロルビン、ジオキサジン、またはジケトピロロピロールを成分Aとして有利に使用できる。例は、小板状の銅フタロシアニン、1,9−ジクロロキナクリドン、または1,9−ジクロロアントラキノンである。小板状の形態の2,9−ジクロロキナクリドンは、例えばWO08/055807号内に記載されている。そこに記載される小板状の形態の2,9−ジクロロキナクリドンは、長さ1〜45μm、幅0.1〜20μm、および平均厚さ0.01〜5μmを有する。
【0044】
成分Bとして使用できる液晶のゴニオクロマチック(goniochromatic)粒子の例は、Chenix社によって販売されているもの、およびWacker社によってHelicone(登録商標) HCの名称で販売されている製品を含む。
【0045】
さらに、金属の効果顔料を、成分Bとして有利に使用できる。前記粒子内に存在できる金属の中で、例えばAg、Au、Cu、Al、Ni、Sn、Mg、Cr、Mo、Ti、Zr、Pt、V、WおよびZn、およびそれらの混合物または合金を挙げることができる。Ag、Au、Cu、Al、Zn、NiおよびTiおよびそれらの混合物または合金(例えば鋼、ブロンズおよび真鍮)が好ましい金属である。それらの粒子の実例として、アルミニウム粒子(小板形状および実質的に円形(1ドル銀貨型)またはあまり規則的ではない表面形態(コーンフレーク型)、例えば、名称Sparkle Silver(登録商標)、Starbrite(登録商標)およびSilbercote(登録商標)としてSiberline社によって販売されているもの、Alpate(登録商標)の系列でToyo社によって販売されているもの、およびSTAPA(登録商標)の系列でEckart社によって販売されているものを挙げることができる。名称STAPA(登録商標) HydrolanまたはVisionaireとしてEckart社から販売されているシリカ被覆アルミニウム粒子、および銅の合金であり、Eckart社から販売されている「Rotosafe Bronze」を挙げることができる。1ドル銀貨型またはコーンフレーク型のアルミニウム粒子のメジアン粒径(d50)は、好ましくは5〜100μm、特に10〜60μmの範囲であり、且つ、平均厚さは80nm〜700nmの範囲である。
【0046】
本発明による顔料組成物中で使用できる対称性の多層干渉構造の例は、例えば以下の構造:
Cr/MgF2/Al/MgF2/Cr、この構造を有する顔料は、名称Chromaflair(登録商標)としてFlex社によって販売されている; および、MoS2/SiO2/Al/SiO2/MoS2またはFe23/SiO2/Al/SiO2/Fe23層を有する他の可変色顔料である。着色されたアルミニウム顔料(Fe23/Al/Fe23)も使用できる。
【0047】
小板状基材の例は、天然のマイカ状鉄酸化物、合成およびドープされたマイカ状鉄酸化物、マイカ、塩基性炭酸鉛、薄片状硫酸バリウム、SiO2、Al23、TiO2、ガラス、ZnO、ZrO2、SnO2、BiOCl、クロム酸化物、BN、MgO薄片、Si34、グラファイト、アルミニウム、チタン、アルミニウム合金、ブロンズ、鉄、有機薄片、例えば銅フタロシアニン、または1,9 ジクロロアントラキノンである。好ましい基材は、マイカ、SiO2薄片、Al23薄片、TiO2薄片、Fe23薄片、BiOClおよびガラス薄片である。
【0048】
好ましくは、小板状基材は、天然マイカ、特に白雲母、合成マイカ、特にフルオロ金雲母、SiO2薄片、Al23薄片、TiO2薄片、Fe23薄片、BiOCl、ガラス薄片および金属薄片、特にアルミニウム薄片から選択される。
【0049】
用語「マイカ」は、天然マイカ、例えば黒雲母、バーミキュライト、絹雲母、白雲母、金雲母、フルオロ金雲母、カオリナイトまたは関連物、並びに合成マイカ、例えば合成フルオロ金雲母を含む。
【0050】
適した効果顔料の例は、天然または合成マイカ(白雲母、金雲母、フルオロ金雲母、合成フルオロ金雲母、タルク、カオリン)であって1つまたはそれより多くの金属、金属酸化物または金属硫化物で被覆されているもの、Al23薄片であって1つまたはそれより多くの金属、金属酸化物または金属硫化物で被覆されているもの、金属小板、例えばアルミニウム小板、金属小板、例えばアルミニウムであって1つまたはそれより多くの金属酸化物で被覆されているもの、グラファイト小板、SiO2薄片であって1つまたはそれより多くの金属、金属酸化物または金属硫化物で被覆されているもの、またはTiO2薄片であって未被覆または1つまたはそれより多くの金属酸化物で被覆されているもの、ガラス小板であって1つまたはそれより多くの金属、金属酸化物または金属硫化物で被覆されているもの、BiOClであって1つまたはそれより多くの金属、金属酸化物または金属硫化物で被覆されているもの、およびセラミックス小板であって1つまたはそれより多くの金属、金属酸化物または金属硫化物で被覆されているものである。
【0051】
好ましくは、小板状基材、特に透明な小板状基材は、TiO2、ZrO2、Fe23、Fe34、Cr23、ZnO、SnO2から選択される1つまたはそれより多くの金属酸化物、または前記金属酸化物の混合物で被覆される。
【0052】
好ましい実施例において、本発明は、天然または合成マイカに基づく効果顔料、特に、TiO2および/またはFe23で被覆された天然または合成マイカに基づく顔料を含む顔料組成物に関する。
【0053】
他の好ましい実施態様において、本発明は、アルミニウム薄片に基づく効果顔料、特にFe23またはSiO2/Fe23で被覆されたアルミニウム薄片またはアルミニウムに基づく顔料を含む顔料組成物に関する。
【0054】
天然および合成マイカは、生物学的に不活性であり、従って広範な用途のために受け容れられる。基材のマイカは、厚さ約300〜600nmおよび定義された粒径分布を有する薄い小板からなる。
【0055】
金属酸化物、例えば鉄酸化物、チタン酸化物または金属、例えばニッケルまたは銀等で被覆された天然または合成マイカに基づく真珠箔顔料は、それらのきらめき効果を、ホウ珪酸塩またはアルミナに基づくきらめき顔料などの高価な材料を使用することなくカスタマイズできないという点において不利である。
【0056】
本発明の好ましい実施態様において、小板状基材は白雲母、天然マイカである。白雲母のマイカは、厚さ約300〜600nmおよび定義された粒径分布を有する。
【0057】
本発明の他の好ましい実施態様において、小板状基材は合成マイカである。合成マイカがフルオロ金雲母であることが好ましい。フルオロ金雲母、KMg3AlSi3102は、湿式法の工程を使用して剥離される。市販のフルオロ金雲母は、SEM測定によって測られる場合に、典型的には平均厚さ0.4〜1.3ミクロンを有する。かかる湿式工程は中国特許公報CN1693200A号内に記載されている。中国特許公報CN1693199A号は、湿式法によって合成されたマイカ粉末を正確に分級するための方法を開示する関連特許である。両方の特許はSanbaoguangjing Mica Sci.&Tec.に譲渡され、且つ、ここで参照をもって開示されるものとする。該湿式工程は、いくつかの段階において媒体として水を使用する製造方法に関する。第一に、マイカ粉末を高圧の水ポンプを通過させて水圧式破砕を実施し、その後、脱水のために遠心分離した後、ローラーミルによって粉砕およびパルプ化する。マイカがローラーミルを通過した後、該マイカを分級プール内に供給し、そして最終的に乾燥ストーブまたはオーブン内に供給してマイカの湿分含有率が1%未満になるまでベークする。製造されたフルオロ金雲母は、合成マイカの有利な特性、例えば輝度、非腐食性(non−corrodibility)および有害物質、例えばHg、Pb、As等の不在を示す。他の明確な品質の特徴には、高純度、特に低いFe含有率(<0.2%)が含まれる。
【0058】
マイカに基づく顔料粒子は一般に、5〜500μmの間の中央直径(medium diameter)(D50 (D(v,0.5)))を有する。中央直径は、好ましくは10〜300μm、より好ましくは10〜150μmの範囲である。マイカに基づく顔料粒子は、好ましくはチタン酸化物および/または鉄酸化物のいずれかで被覆されている。
【0059】
例えば、22ミクロンのD50を有するマイカに基づく顔料の粒径分布とは、以下のように説明できる: 50容積%の小板が22ミクロンまで、且つ22ミクロンを含む大きさを有している。
【0060】
原則的に、パーライトとマイカに基づく基材との間の、大きさの組み合わせの多くが可能である。
【0061】
効果顔料の最も一般的な粒径分布は、d50値を用いて記載される場合、10μm、15μm、20μm、30μm、50μm、100μm、および150μmである。
【0062】
本発明の他の好ましい実施態様において、効果顔料は、アルミニウム顔料、アルミニウムベースの顔料であって(金属)酸化物、例えばFe23、TiO2、Al23、SiO2、またはSiO2/Fe23で被覆されたもの、小板状の銅フタロシアニン、小板状の1,9−ジクロロキナクリドン、または小板状の1,9−ジクロロアントラキノンである。
【0063】
本発明のきらめき顔料組成物の他の成分は、パーライトからなり、それはWO2009/007248号およびWO2010/066605号 (欧州特許出願第08171357.0号)内に記載されている。粉砕された発泡パーライト内に含有される3Dのツイン構造粒子の量を、例えば沈殿または遠心分離によって、5質量%未満、特に3質量%未満、非常に特に1質量%に減少させることにより、3Dのツイン構造粒子の艶消し効果が減少され、そのことは全ての種類の用途においてより良好な色の均質性をもたらす。
【0064】
小板状パーライト粒子は一般に、長さ2μm〜5mm、幅2μm〜2mm、および平均厚さ4μm未満を有し、且つ、長さに対する厚さの比は少なくとも5:1であり、2つの実質的に平行な面を有し、その間の距離は粒子の最短軸である。好ましくは150μm未満且つ5μmより大きな中央粒径(medium particle size)が使用される。
【0065】
パーライトは典型的には、約72〜75%のSiO2、12〜14%のAl23、0.5〜2%のFe23、3〜5%のNa2O、4〜5%のK2O、0.4〜1.5%のCaO(質量に対して)、および低濃度の他の金属元素を含有する水和された天然ガラスである。パーライトは、化学的に結合された水の含有率がより高いこと(2〜10質量%)、ガラス質のパール状の光輝が存在すること、および特徴的な同心または弓状のタマネギのような(即ち真珠状)の割れ目によって、他の天然ガラスと区別される。パーライト薄片を、粉砕、スクリーニング、および熱膨張を含み得る、WO02/11882号内に開示される方法によって製造できる。制御された粒径分布、低い浮遊物含有率、および高い青色光輝度を有するパーライト薄片が好ましい。
【0066】
該パーライト薄片は10容積パーセント未満の浮遊物含有率、特に5容積パーセント未満の浮遊物含有率、非常に特に2容積パーセント未満の浮遊物含有率を有する。該パーライト薄片は80より高い、特に82より高い、非常に特に85より高い青色光輝度を有する。
【0067】
本発明において使用されるパーライト薄片は、均一な形状のものではない。粒子は、常に完全に平坦なわけではなく、即ち、凹面であることがある。それにもかかわらず、簡潔にするために、パーライト薄片は「直径」を有するとして示す。該パーライト薄片は<2μm、特に200〜1000nm、非常に特に200〜600nmの平均厚さを有する。薄片の直径(メジアン粒径(d50))が、約10〜50μmの好ましい範囲内、より好ましくは約20〜40μmの範囲であることが、現在のところは好ましい。
【0068】
パーライトのFe23含有率は、好ましくは2%未満、特に0%である。
【0069】
現在のところ最も好ましいパーライトはOptimat(商標)2550(World Minerals)である。パーライト、例えばOptimat(商標) 1735 (World Minerals)、Perlite # 000 (Whittemore Company Inc.)、Super Perlite T100 (PVP Corp.)、Harborlite(登録商標) 200 (World Minerals)、Dicalite(商標) 416 (Dicalite、Dicaperl Minerals、Inc)、and Celatom(商標) CP600 (EP Minerals,LLC.)も使用できる。5μm未満および85μmを上回る粒径、および/または3Dのツイン構造粒子を有する粒子は、例えば沈殿または遠心分離によって除去される。
【0070】
本発明は、所定の粒径分布のマイカに基づく顔料のきらめき挙動をカスタマイズすることを可能にし、その顔料のきらめき効果を、パーライトとマイカに基づく顔料との合計に対して0.5〜80質量%、特に2〜50質量%のパーライトを添加することによって調整することを可能にする。
【0071】
原則的に、異なる種類の粒径分布の、マイカに基づく顔料とパーライトとを組み合わせることができる。極めて異なる大きさを有する、マイカに基づく顔料とパーライトとを組み合わせることができる。例えば、中央粒径15μmを有する、マイカに基づく顔料のなめらかなきらめきの外見を、中央粒径100μmを有する少量のパーライトを用いて改質できる。選択的に、中央粒径100μmを有する、マイカに基づく顔料を、中央粒径15μmを有する少量のパーライトを用いて改質できる。
【0072】
本発明の好ましい実施態様においては、同様の粒径を有する、マイカに基づく顔料とパーライトとを組み合わせる。例えば、中央粒径12〜30μm、例えば約12μm、約15μm、約20μm、約25μm、または約30μmを有する、マイカに基づく顔料を、中央粒径12〜30μm、例えば約15μm、約17μm、約20μm、約25μmまたは約30μmを有するパーライトと組み合わせることができる。
【0073】
例えば約20μmのd50および赤色を有する、マイカに基づく顔料、特にFe23で被覆されたマイカ基材を、約25μmのd50を有するパーライトと組み合わせると、より高い照射角でのきらめき強度は、2〜30質量%のパーライトが添加された場合、非常に増加している。最良の効果は、4〜15質量%のパーライトを添加することによって達成される。図1が参照される。
【0074】
例えば、約20μmのd50を有する、合成マイカに基づくパール顔料、特にTiO2で被覆された合成マイカ基材を、同様の大きさのパーライトと組み合わせると、より高い照射角でのきらめき強度は、2〜50質量%のパーライトが添加された場合、非常に増加している。最良の効果は、4〜15質量%のパーライトを添加することによって達成される。図2が参照される。
【0075】
本発明の他の好ましい実施態様において、異なる粒径を有する、マイカに基づく顔料とパーライトとが組み合わされる。例えば、約45μmのd50を有する、合成マイカに基づく顔料、特にTiO2で被覆された合成マイカ基材を、約25μmのd50を有するパーライトと組み合わせると、より高い照射角でのきらめき強度は、5〜50質量%のパーライトが添加された場合、非常に増加している。最良の効果は、5〜20質量%のパーライトを添加することによって達成される。
【0076】
例えば、約12μmのd50を有する、合成マイカに基づく顔料、特にTiO2で被覆された合成マイカ基材を、約17.5μmのd50を有するパーライトと組み合わせると、より高い照射角でのきらめき強度は、10〜40質量%のパーライト顔料が添加された場合、非常に増加している。
【0077】
色彩の観点から、以下の配合が有利である: 光反射効果顔料の中央粒径がxμmである場合、添加されるパーライトの中央粒径はxμm±25%であるべきである。
【0078】
本発明のさらに特に好ましい実施態様において、顔料組成物は、TiO2で被覆されたアルミニウム薄片を含む。5〜30%のパーライトの添加は、きらめき効果をさらに高める。
【0079】
パーライトと、1ドル銀貨型またはコーンフレーク型のアルミニウム顔料との混合物も好ましい。5〜30%のパーライトを含有する混合物は、パーライトを有さない元の顔料よりもはるかに強いきらめき効果を示す。
【0080】
パーライトと、不透明な、着色された薄片、例えば鉄酸化物で被覆された1ドル銀貨型またはコーンフレーク型のアルミニウム薄片との組み合わせも好ましい。
【0081】
パーライトと、金属酸化物で被覆された透明基材、例えば天然または合成マイカ、または干渉色をもたらす酸化膜を有するガラスとの組み合わせも好ましい。5〜30%のパーライトの添加は、特により急峻な角度でより強いきらめき効果をもたらす。
【0082】
マイカおよびパーライト成分の選択は、所望の設計に依存している。
【0083】
基材上のコーティングは、好ましくはTiO2および/またはFe23、またはTiO2、Fe23および/またはSiO2(TiO2、Fe23、TiO2&Fe23、TiO2/SiO2/TiO2、Fe23/SiO2/Fe23、TiO2/SiO2/Fe23、Fe23/SiO2/TiO2およびTiO2&Fe23/SiO2/TiO2)からなる。ドーピング剤、例えばSnO2、および基板処理剤、例えばシランまたはシリカも存在することがある。金属化基材、例えばNiまたはAgで被覆された透明薄片も可能である。配合の選択は意図する様式に依存する。
【0084】
顔料組成物は、1つより多くの効果顔料を含むことができる。きらめき効果を有する本発明の顔料組成物を、単数または複数の(金属)酸化物および/または金属で被覆された基材(合成または天然)およびパーライトを乾式混合することによって製造できる。
【0085】
従って、本発明は、本発明の顔料組成物の製造方法であって、効果顔料、例えば誘電体材料および/または金属で被覆された小板状マイカ基材と、小板状パーライトとを混合することを含む前記製造方法に関する。
【0086】
基材を様々な方法で被覆することができる。
【0087】
(半透明な)金属層のために適した金属は、例えばCr、Ti、Mo、W、Al、Cu、Ag、AuまたはNiである。半透明の金属層は、典型的には5〜25nm、特に5〜15nmの厚さを有する。
【0088】
本発明によれば、用語「アルミニウム」はアルミニウムおよびアルミニウム合金を含む。アルミニウム合金は、例えばG.WassermannのUllmanns Enzyklopaedie der lndustriellen Chemie, 4. Auflage, Verlag Chemie, Weinheim,第7巻、281〜292ページ内に記載されている。特に適しているのは、WO00/12634号の10〜12ページに記載されている腐食安定性のアルミニウム合金であり、それはアルミニウムの他に、ケイ素、マグネシウム、マンガン、銅、亜鉛、ニッケル、バナジウム、鉛、アンチモン、スズ、カドミウム、ビスマス、チタン、クロムおよび/または鉄を20質量パーセント未満、好ましくは10質量パーセント未満の量で含む。
【0089】
該金属層は、湿式の化学的被覆によって、または化学気相堆積、例えば金属カルボニルの気相堆積によって得られる。基材を、水性および/または有機溶剤を含有する媒体中で、金属化合物の存在下で懸濁させ、そして還元剤を添加することによって基材上に堆積させる。該金属化合物は、例えば、硝酸銀またはアセチルアセトナトニッケル(WO03/37993号)である。
【0090】
US−B−3536520号によれば、金属化合物として塩化ニッケルを使用でき、且つ、還元剤として次亜リン酸塩を使用できる。EP−A−353544号によれば、以下の化合物を還元剤として湿式の化学的被覆のために使用できる:アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンザルアルデヒド)、ケトン(アセトン)、カルボン酸およびその塩(酒石酸、アスコルビン酸(ascorbinic acid))、レダクトン(イソアスコルビン酸、トリオースレダクトン、レダクチン酸(reductine acid))、および還元糖(グルコース)。しかしながら、還元アルコール(アリルアルコール)、ポリオールおよびポリフェノール、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、亜ジチオン酸塩、次亜リン酸塩、ヒドラジン、ホウ素と窒素との化合物、金属水素化物、およびアルミニウムとホウ素との錯体水素化物を使用することも可能である。金属層の堆積をさらに、CVD法を用いて実施できる。この種の方法は公知である。この目的のために、流動床反応器が好ましく用いられる。EP−A−0741170号は、アルキルアルミニウム化合物を炭化水素を使用して不活性ガスの流れの中で還元することによるアルミニウム層の堆積を記載している。さらには、金属層を、EP−A−045851号内に記載の通り、加熱可能な流動床反応器内で、相応する金属カルボニルの気相分解によって堆積できる。この方法に関するさらなる詳細は、WO93/12182号内に提供されている。この場合、金属層を基材へ適用するために使用できる、薄い金属層の堆積のためのさらなる方法は、高真空中での金属の気相堆積のための公知の方法である。それはVakuum−Beschichtung [真空コーティング]、第1〜5巻;Frey, Kienel and Lobl編集, VDI−Verlag,1995 内に詳細に記載されている。スパッタ法においては、担体と、板の形態での被覆材料(ターゲット)との間でガスの放電(プラズマ)を起こす。被覆材料はプラズマからの高エネルギーのイオン、例えばアルゴンイオンで照射され、それによって取り出されるか、または原子化される。原子化された被覆材料の原子または分子が担体上に沈着し、そして所望の薄層を形成する。スパッタ法は、Vakuum−Beschichtung [真空コーティング], 第1〜5巻;Frey, Kienel and Lobl編集, VDI−Verlag,1995 内に記載されている。屋外用途、特に車両用塗料における用途において使用するために、該顔料はさらなる天候安定化保護層、いわゆるポストコーティングを有して提供されてもよく、それは同時に結合剤系に対する最適な適合をもたらす。この種のポストコーティングは、例えばEP−A−0268918号およびEP−A−0632109号内に記載されている。
【0091】
より強い金属的な外観を有する顔料が求められる場合、金属層の厚さは、25nmより上〜100nm、好ましくは30〜50nmである。着色された金属効果を有する顔料が求められる場合、着色された、または無色の金属酸化物、金属窒化物、金属硫化物および/または金属の追加的な層を堆積できる。それらの層は、透明または半透明である。高屈折率の層と低屈折率の層とが交互になっていること、または屈折率が徐々に変化する1つの層が存在することが好ましい。追加的なコーティングを用いて耐候性を高め、それが同時に結合剤系への最適な適合をもたらすことが可能である(EP−A−268918号およびEP−A−632109号)。
【0092】
金属および/または金属酸化物で被覆された薄片を、WO06/131472号内に記載されるとおり、プラズマトーチで処理できる。該処理は、例えば均質な結晶性および/またはコーティングの緻密化を促進する。特定の粒子についての迅速な溶融および凝固は、金属および/または金属酸化物コーティングに関連して、強化された特性、例えばバリア特性、結合特性、および結晶性の表面形成をもたらすことができる。反応ゾーン内での短い滞留時間は、迅速な処理を可能にする。さらに、該加工条件は、選択的な溶融および再凝固に調整されることができ、且つ、粒子の表面および表面近傍を結晶化する。さらには、表面のレベリングを達成でき、そのことは最小限の欠陥を有する均質な表面をもたらす。とりわけ、このことは、粒子の凝集を回避することを助けることができる。
【0093】
該方法は、
(A) 被覆された薄片を準備すること、
(B) 前記被覆された薄片をガス流中に連行して、プラズマトーチへと輸送すること、
(C) 前記ガス流中でプラズマを発生させて、被覆された薄片の外表面を加熱すること、
(D) 前記被覆された薄片を冷却させておくこと、および
(E) 前記被覆された薄片を収集すること
を含む。
【0094】
プラズマトーチは好ましくは誘導プラズマトーチである。本発明の方法において使用するために好ましい誘導プラズマトーチは、Tekna Plasma Systems, Inc. of Sherbrooke(ケベック、カナダ)から入手可能である。Boulos et al., US−A−5200595号は、プラズマ誘導トーチの構造および稼働に関するその教示について、ここで参照をもって開示されるものとする。
【0095】
本発明の1つの好ましい実施態様において、顔料は基材上に、
(a) 誘電体層
(b) 金属層、および
(c) 誘電体層
を含む。かかる顔料は、高い赤外反射および高い可視光透過を有する。
【0096】
好ましくは、金属銀が金属層として使用され、なぜなら、それは赤外線について高い反射率を有すると共に、太陽光についての高い透過率を有し、その反射損失を最小化するからである。高純度の金属銀の膜が好ましいが、特定の不純物および/または合金金属は、それらが赤外線反射率を著しく低減したり、可視吸収係数を著しく高めたりしない限り、許容できる。金属銀の膜厚は、3〜20nmの範囲内である。
【0097】
層(c)のために適した材料は、使用される厚さにおいて、太陽光および赤外線に対して透明である材料である。追加的に、それらの材料は、銀層による可視光の反射を最小化するための反射防止コーティングとして作用し、且つ、それらの材料は好ましくは高い屈折率を有する。層(c)のために適したいくつかの材料は、限定されずに、二酸化チタン、二酸化ケイ素、一酸化ケイ素、酸化ビスマス、酸化スズ、酸化インジウム、酸化クロム、硫化亜鉛、およびフッ化マグネシウムを含む。二酸化チタンが好ましい材料であり、なぜなら、それは屈折率が高く、且つ、銀との相互核酸が最小であることが判明しているからである。
【0098】
層(a)のために適した材料は、層(b)と協同して、銀層による可視光の反射損失を最小化する透明材料である。層(c)のために適した透明材料は、層(a)のためにも適しており、且つ、二酸化チタンもこの層のために好ましい材料である。層(a)を、層(c)と同一の材料から、または異なる材料から形成でき、その場合は、おそらく、異なる厚さを有するであろう。
【0099】
層(c)および層(a)についての厚さは、太陽光の透過率および赤外線の反射率を最大化するように選択される。約15〜約50nmの厚さが層(c)のために適していることが判明した。その際、層(a)の厚さは、いくつかの考慮事項、例えば、最適な太陽光透過率、透過率と熱反射率との最適な比、またはそれらの最適値の間のいくつかの組み合わせを達成するために望ましいかどうかに基づいて選択される。
【0100】
ほとんどの場合、望ましい光学特性は、約15nm〜約50nmの層厚を選択することによって達成できる。
【0101】
本発明の1つの好ましい実施態様において、効果顔料は、ここで約1.65よりも高い屈折率として定義される"高"屈折率を有する材料と、随意に、ここで約1.65以下の屈折率として定義される"低"屈折率を有する材料とを含む。使用できる様々な(誘電体)材料は、無機材料、例えば金属酸化物、金属亜酸化物、金属フッ化物、金属オキシハロゲン化物、金属硫化物、金属カルコゲナイド、金属窒化物、金属酸窒化物、金属炭化物、それらの組み合わせ、およびその種のもの、並びに有機誘電体材料を含む。それらの材料は、すぐに利用可能であり、且つ、物理または化学気相堆積法によって、または湿式の化学的被覆法によって容易に適用される。
【0102】
随意にSiO2層を、基材と高屈折率を有する材料との間に配置できる。SiO2層をパーライト、マイカまたはガラス基材上に適用することにより、その表面が、化学的な変質、例えば膨張、およびパーライト、マイカまたはガラス成分の浸出に対して保護される。SiO2層の厚さは、5〜200nm、特に20〜150nmの範囲である。SiO2層は好ましくは、有機シラン化合物、例えばテトラエトキシシラン(TEOS)を使用することによって製造される。SiO2層を、Al23、Fe23またはZrO2の薄層(厚さ1〜20nm)によって置き換えることができる。
【0103】
さらには、SiO2で被覆された、またはTiO2で被覆された薄片を、EP−A−0982376号内に記載されるとおり、窒素ドープされた炭素層で被覆してよい。EP−A−0982376号内に記載される方法は以下の工程を含む:
(a) SiO2またはTiO2で被覆された薄片を液体中に懸濁させる工程、
(b) 適宜、表面改質剤および/または重合触媒を添加する工程、
(c) 工程(b)の前または後に、窒素および炭素原子を含む1つまたはそれより多くのポリマー、またはかかるポリマーを形成できる1つまたはそれより多くのモノマーを添加する工程、
(d) 薄片の表面上にポリマーコーティングを形成する工程、
(e) 被覆された薄片を単離する工程、および
(f) 被覆された薄片を気体雰囲気中で100〜600℃の温度に加熱する工程。
【0104】
該ポリマーは、ポリピロール、ポリアミド、ポリアニリン、ポリウレタン、ニトリルゴムまたはメラミンホルムアルデヒド樹脂、好ましくはポリアクリロニトリルであってよく、または該モノマーはピロール誘導体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、クロトンニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミドまたはクロトンアミド、好ましくはアクリロニトリル、メタクリロニトリルまたはクロトンニトリル、最も好ましくはアクリロニトリルである。
【0105】
好ましくは、該薄片を工程(f)において最初に100℃〜300℃に酸素含有雰囲気中で加熱し、そしてその後、200〜600℃に不活性ガス雰囲気中で加熱する。
【0106】
従って、本発明は、表面全体にわたってケイ素酸化物またはチタン酸化物で被覆された薄片を含み、50〜95質量%の炭素、5〜25質量%の窒素、および0〜25質量%の元素の水素、酸素および/または硫黄(質量によるパーセントのデータは、層の総質量(PAN)に関する)からなる層を含む、薄片に基づく顔料にも関する。
【0107】
窒素ドープされた炭素層の厚さは、一般に10〜150nm、好ましくは30〜70nmである。前記実施態様において、好ましい顔料は、以下の層構造を有する:
基材/TiO2/PAN、基材/TiO2/PAN/TiO2、基材/TiO2/PAN/SiO2/PAN。
【0108】
特に好ましい実施態様において、基材に基づく干渉顔料は、「高」誘電率、即ち、約1.65より高い、好ましくは約2より高い、最も好ましくは約2.2より高い屈折率を有する誘電体材料の層を含み、それがパーライト/マイカ基材の表面全体に適用されている。かかる誘電体材料の例は、亜鉛硫化物(ZnS)、亜鉛酸化物(ZnO)、ジルコニウム酸化物(ZrO2)、二酸化チタン(TiO2)、炭素、インジウム酸化物(In23)、インジウムスズ酸化物(ITO)、五酸化タンタル(Ta25)、クロム酸化物(Cr23)、セリウム酸化物(CeO2)、イットリウム酸化物(Y23)、ユーロピウム酸化物(Eu23)、鉄酸化物、例えば酸化鉄(ll)/酸化鉄(lll) (Fe34) および酸化鉄(lll)(Fe23)、ハフニウム窒化物(HfN)、ハフニウム炭化物(HfC)、ハフニウム酸化物(HfO2)、ランタン酸化物(La23)、マグネシウム酸化物(MgO)、ネオジム酸化物(Nd23)、プラセオジム酸化物(Pr611)、サマリウム酸化物(Sm23)、三酸化アンチモン(Sb23)、一酸化ケイ素(SiO)、三酸化セレニウム(Se23)、スズ酸化物(SnO2)、三酸化タングステン(WO3)、またはそれらの組み合わせである。該誘電体材料は好ましくは金属酸化物である。該金属酸化物が、吸収特性を有する、または有さない、単独の酸化物または酸化物の混合物であることが可能であり、例えば、TiO2、ZrO2、Fe23、Fe34、Cr23、SnO2またはZnOであって、TiO2が特に好ましい。
【0109】
低屈折率の金属酸化物、例えばSiO2、Al23、AlOOH、B23またはそれらの混合物、好ましくはSiO2をTiO2層の上に適用することによって、および随意にさらなるTiO2層を前の層の上に適用することによって、色がより強く、且つより透明な顔料を得ることが可能である(EP−A−892832号、EP−A−753545号、WO93/08237号、WO98/53011号、WO9812266号、WO9838254号、WO99/20695号、WO00/42111号、およびEP−A−1213330号)。使用できる、適した低屈折率(low index)の誘電体材料の限定されない例は、二酸化ケイ素(SiO2)、アルミニウム酸化物(Al23)、および金属フッ化物、例えばマグネシウムフッ化物(MgF2)、アルミニウムフッ化物(AlF3)、セリウムフッ化物(CeF3)、ランタンフッ化物(LaF3)、ナトリウムアルミニウムフッ化物(例えば、Na3AlF6またはNa5Al314)、ネオジムフッ化物(NdF3)、サマリウムフッ化物(SmF3)、バリウムフッ化物(BaF2)、カルシウムフッ化物(CaF2)、リチウムフッ化物(LiF)、それらの組み合わせ、または約1.65以下の屈折率を有する任意の他の低屈折率材料を含む。例えば、ジエンまたはアルケン、例えばアクリレート(例えばメタクリレート)、ペルフルオロアルケンのポリマー、ポリテトラフルオロエチレン(TEFLON)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)のポリマー、パリレン、p−キシレン、それらの組み合わせ、およびその種のものを含む有機モノマーおよびポリマーを低屈折率材料として使用できる。さらに、先述の材料は、蒸着され、縮合され、且つ架橋された透明なアクリレート層を含み、それはUS−B−5877895号内に記載の方法によって堆積でき、その明細書はここで参照を持って開示されるものとする。
【0110】
従って、好ましい干渉顔料は、(a)高屈折率の金属酸化物の他に、さらに(b)低屈折率の金属酸化物を含み、その際、それらの屈折率の差は少なくとも0.1である。
【0111】
湿式化学法によって被覆された小板状基材(薄片)に基づく顔料が、示された順で、特に好ましい:
TiO2、(SnO2)TiO2 (基材; 層: (SnO2)TiO2、好ましくはルチル改質)、チタン亜酸化物、TiO2/チタン亜酸化物、Fe23、Fe34、TiFe25、Cr23、ZrO2、Sn(Sb)O2、BiOCl、Al23、Ce23、MoS2、Fe23・TiO2 (基材; Fe23とTiO2との混合層)、TiO2/Fe2O3 (基材; 第一の層:TiO2、第二の層:Fe23)、TiO2/ベルリンブルー(Berlin blau)、TiO2/Cr23、またはTiO2/FeTiO3。一般に、層厚は1〜1000nm、好ましくは1〜300nmにわたる。
【0112】
他の特に好ましい実施態様において、本発明は、高屈折率と低屈折率との少なくとも3つの交互の層、例えばTiO2/SiO2/TiO2、(SnO2)TiO2/SiO2/TiO2、TiO2/SiO2/TiO2/SiO2/TiO2、Fe23/SiO2/TiO2、またはTiO2/SiO2/Fe23を含有する干渉顔料に関する。
【0113】
好ましくは、層構造は以下のとおりである:
(a) 屈折率>1.65を有するコーティング、
(b) 屈折率≦1.65を有するコーティング、
(c) 屈折率>1.65を有するコーティング、および
(d) 随意に外側の保護層。
【0114】
ベース基材上の高屈折率層および低屈折率層の個々の層の厚さは、顔料の光学特性について決定的である。個々の層、特に金属酸化物層の厚さは、使用分野に依存し、且つ、一般に10〜1000nm、好ましくは15〜800nm、特に20〜600nmである。
【0115】
層(A)の厚さは、10〜550nm、好ましくは15〜400nm、および特に20〜350nmである。層(B)の厚さは、10〜1000nm、好ましくは20〜800nm、および特に30〜600nmである。層(C)の厚さは、10〜550nm、好ましくは15〜400nm、および特に20〜350nmである。
【0116】
層(A)のために特に適した材料は、金属酸化物、金属硫化物または金属酸化物混合物、例えばTiO2、Fe23、TiFe25、Fe34、BiOCl、CoO、Co34、Cr23、VO2、V23、Sn(Sb)O2、SnO2、ZrO2、チタン酸鉄、酸化鉄水和物、チタン亜酸化物(酸化状態2から<4を有する、還元されたチタン種)、バナジウム酸ビスマス、アルミン酸コバルト、およびそれらの化合物のお互いの、または他の金属酸化物との混合物または混合相である。金属硫化物コーティングは、好ましくはスズ、銀、ランタン、希土類金属、好ましくはセリウム、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、コバルト、および/またはニッケルの硫化物から選択される。
【0117】
層(B)のために特に適した材料は、金属酸化物または相応の酸化物の水和物、例えばSiO2、MgF2、Al23、AlOOH、B23またはそれらの混合物、好ましくはSiO2である。
【0118】
層(C)のために特に適した材料は、無色または着色された金属酸化物、例えばTiO2、Fe23、TiFe25、Fe34、BiOCl、CoO、Co34、Cr23、VO2、V23、Sn(Sb)O2、SnO2、ZrO2、チタン酸鉄、酸化鉄水和物、チタン亜酸化物(酸化状態2から<4を有する、還元されたチタン種)、バナジウム酸ビスマス、アルミン酸コバルト、およびそれらの化合物のお互いの、または他の金属酸化物との混合物または混合相である。TiO2層は追加的に、吸収材料、例えば炭素、選択的に吸収着色剤、選択的に吸収金属カチオンを含有し得る、吸収材料で被覆され得る、または部分的に還元され得る。
【0119】
吸収材料または非吸収材料の中間層は、層(A)、(B)、(C)、および(D)の間に存在できる。中間層の厚さは1〜50nm、好ましくは1〜40nm、および特に1〜30nmである。かかる中間層は、例えばSnO2からなることができる。少量のSnO2を添加することによって、ルチル構造を形成させることが可能である(例えば、WO93/08237号参照)。
【0120】
この実施態様において、好ましい干渉顔料は、以下の層構造を有する:
【表1】
【0121】
ここで、TRASUBは、天然または合成マイカ、他の層状シリケート、ガラス、Al23またはSiO2からなる群から選択される、低屈折率を有する透明基材である。
【0122】
金属酸化物層をCVD(hemical apour eposition、化学気相堆積)または湿式の化学的被覆によって適用できる。金属酸化物層は、水蒸気の存在中(比較的低分子量の金属酸化物、例えばマグネタイト)、または酸素、および適宜、水蒸気の存在中(例えばニッケル酸化物およびコバルト酸化物)での金属カルボニルの分解によって得られる。金属酸化物層は特に、金属カルボニル(例えば、鉄ペンタカルボニル、クロムヘキサカルボニル;EP−A−45851号)の酸化性気相分解によって、金属アルコレート(例えば、チタンおよびジルコニウム テトラ−n−および−イソ−プロパノレート; DE−A−4140900号)、または金属ハライド(例えば、四塩化チタン; EP−A−338428号)の加水分解性気相分解によって、有機スズ(organyl tin)化合物(特にアルキルスズ化合物、例えばテトラブチルスズおよびテトラメチルスズ; DE−A−4403678号)の酸化性分解によって、またはEP−A−668329号内に記載される、有機ケイ素(organyl silicon)化合物(特にジ−tert−ブトキシアセトキシシラン)の気相加水分解によって適用され、その塗布作業を流動床型反応器内で実施することが可能である(EP−A−045851号およびEP−A−106235号)。Al23層(B)は有利には、制御された酸化によって、アルミニウム被覆顔料を冷却する間に得られ、それは別な方法では不活性ガス下で実施される(DE−A−19516181号)。
【0123】
リン酸塩、クロム酸塩、および/またはバナジウム酸塩を含有する金属酸化物層、およびまた、リン酸塩およびSiO2を含有する金属酸化物層をDE−A−4236332号およびEP−A−678561号内に記載されるパッシベーション法に従って、金属の酸化物のハライド(例えばCrO2Cl2、VOCl3)、特にリンオキシハライド(例えばPOCl3)、リン酸および亜リン酸エステル(例えばジ−およびトリ−メチル、およびジ−およびトリ−エチルホスフィット)の、およびアミノ基含有有機ケイ素化合物(例えば3−アミノプロピル−トリエトキシおよびトリメトキシ−シラン)の加水分解性または酸化性気相分解によって適用できる。
【0124】
金属のジルコニウム、チタン、鉄および亜鉛の酸化物層、それらの金属の酸化物の水和物、チタン酸鉄、チタン亜酸化物、またはそれらの混合物が、湿式の化学的方法による沈殿によって好ましく適用され、適宜、該金属酸化物が還元されることが可能である。湿式の化学的被覆の場合、真珠箔顔料の製造のために開発された湿式の化学的被覆法を使用することができる; それらは例えばDE−A−1467468号、DE−A−1959988号、DE−A−2009566号、DE−A−2214545号、DE−A−2215191号、DE−A−2244298号、DE−A−2313331号、DE−A−2522572号、DE−A−3137808号、DE−A−3137809号、DE−A−3151343号、DE−A−3151354号、DE−A−3151355号、DE−A−3211602号、およびDE−A−3235017号、DE1959988号、WO93/08237号、WO98/53001号、およびWO03/6558号内に記載されている。
【0125】
高屈折率の金属酸化物は、好ましくはTiO2および/または鉄酸化物であり、且つ、低屈折率の金属酸化物は好ましくはSiO2である。TiO2の層は、ルチルまたはアナターゼ改質されていてよく、その際、ルチル改質物が好ましい。TiO2層も、公知の手段、例えばアンモニア、水素、炭化水素、蒸気またはそれらの混合物、または金属粉末によって、EP−A−735114号、DE−A−3433657号、DE−A−4125134号、EP−A−332071号、EP−A−707050号、W093/19131号、またはWO06/131472号内に記載されるとおりに還元することができる。
【0126】
コーティングのために、基材粒子を水中に懸濁させ、且つ1つまたはそれより多くの加水分解可能な金属塩を、加水分解に適したpHで添加し、それは金属酸化物または金属酸化物の水和物が副次的な沈着を生じることなく、直接的に粒子上へ沈着するように選択される。該pHは通常、同時に塩基を計量供給することによって一定に保たれる。該顔料をその後、分離し、洗浄し、乾燥させ、そして適宜、焼成する。焼成温度をその被覆に関して最適化することが可能である。所望の場合、個々のコーティングを適用した後、該顔料を分離し、乾燥させ、そして適宜焼成し、そしてその後、再度、さらなる層を沈着させるために再懸濁させる。
【0127】
例えば、金属酸化物層を、DE−A−19501307号内に記載される方法と類似して、金属酸化物層を、1つまたはそれより多くの金属酸エステルの制御された加水分解によって、適宜、有機溶剤および塩基性触媒の存在中で、ゾル−ゲル法を用いて製造することによって得ることもできる。適した塩基性触媒は例えば、アミン、例えばトリエチルアミン、エチレンジアミン、トリブチルアミン、ジメチルエタノールアミン、およびメトキシプロピルアミンである。有機溶剤は、水混和性有機溶剤、例えばC1〜C4−アルコール、特にイソプロパノールである。
【0128】
適した金属酸エステルは、バナジウム、チタン、ジルコニウム、ケイ素、アルミニウムおよびホウ素の、アルキルおよびアリールアルコレート、カルボキシレート、およびカルボキシル基またはアルキル基またはアリール基置換アルキルアルコレートまたはカルボキシレートから選択される。トリイソプロピルアルミネート、テトライソプロピルチタネート、テトライソプロピルジルコネート、テトラエチルオルソシリケートおよびトリエチルボレートの使用が好ましい。さらに、上述の金属のアセチルアセトナトおよびアセトアセチルアセトナトを使用できる。この種の金属酸エステルの好ましい例は、ジルコニウムアセチルアセトナト、アルミニウムアセチルアセトナト、チタンアセチルアセトナトおよびジイソブチルオレイルアセトアセチルアルミネートまたはジイソプロピルオレイルアセトアセチルアセトナトおよび金属酸エステルの混合物、例えばDynasil(登録商標)(Huels)、混合されたアルミニウム/ケイ素金属酸エステルである。
【0129】
高屈折率を有する金属酸化物として、二酸化チタンが好ましく使用され、US−B−3553001号内に記載される方法が、本発明の実施態様による二酸化チタン層の適用のために使用される。
【0130】
チタン塩水溶液を、被覆される材料の懸濁液にゆっくりと添加し、その懸濁液は約50〜100℃、特に70〜80℃に加熱されており、且つ、同時に塩基、例えばアンモニア水溶液、またはアルカリ金属水酸化物水溶液を計量供給することによって、本質的に一定のpH値、約0.5〜5、特に約1.2〜2.5に維持されている。沈着したTiO2の所望の層厚が達成されたらすぐに、チタン塩溶液および塩基の添加を停止する。出発溶液中へのAl23またはMgOの前駆体の添加は、TiO2層のモフォロジーを改善するための手段である。
【0131】
「滴定法」としても示されるこの方法は、過剰なチタン塩が避けられるという事実が特徴である。そのことは単位時間あたりの加水分解について水和されるTiO2での一様なコーティングに必要であり且つ被覆される粒子の可用な表面によって単位時間あたりに吸収され得る量のみを供給することによって達成される。原理的に、アナターゼ型のTiO2が出発顔料の表面上に形成される。しかしながら、少量のSnO2の添加によって、ルチル構造の形成を強化することが可能である。例えば、WO93/08237号内に記載される通り、二酸化スズを二酸化チタンの沈着の前に堆積でき、且つ、二酸化チタンで被覆された生成物を800〜900℃で焼成できる。
【0132】
本発明の特に好ましい実施態様において、マイカ薄片を密閉された反応器内で蒸留水と混合し、そして約90℃で加熱する。pHを約1.8〜2.2に設定し、そしてTiOCl2、HCl、グリシンおよび蒸留水を含む調製物をゆっくりと添加する一方で、1MのNaOH溶液を連続的に添加することによってpHを一定(1.8〜2.2)に保持する。WO08/104467号が参照される。アミノ酸、例えばグリシンをTiO2の堆積の間に添加することによって、形成されるTiO2被膜の品質を改善することが可能である。有利には、TiOCl2、HCl、およびグリシンおよび蒸留水を含む調製物を水中の基材薄片に添加する。
【0133】
TiO2を随意に、通常の手順によって還元できる: US−B−4948631号 (NH3、750〜850℃)、W093/19131号 (H2、>900℃)またはDE−A−19843014号 (固体の還元剤、例えばケイ素、>600℃)。
【0134】
適宜、SiO2(保護)層を二酸化チタン層の上に適用でき、そのために以下の方法を使用してよい:ソーダ水ガラス溶液を、被覆される材料の懸濁液中に計量供給し、その懸濁液は約50〜100℃、特に70〜80℃に加熱されている。10%の塩酸を同時に添加することによって、pHを4〜10、好ましくは6.8〜8.5に維持する。水ガラス溶液の添加後、攪拌を30分間実施する。
【0135】
TiO2層の上に"低"屈折率、即ち屈折率が約1.65よりも小さい金属酸化物、例えばSiO2、Al23、AlOOH、B23またはそれらの混合物、好ましくはSiO2を適用すること、およびさらにFe23および/またはTiO2層を、その前の層の上に適用することによって、色がより強く且つよりより透明な顔料を得ることが可能である。基材、および高屈折率および低屈折率を有する交互の金属酸化物層を含む、かかる多層被覆干渉顔料を、WO98/53011号およびWO99/20695号内に記載されている方法と類似して製造できる。
【0136】
追加的に、さらなる層、例えば着色された金属酸化物、またはベルリンブルー、遷移金属、例えばFe、Cu、Ni、Co、Crの化合物、または有機化合物、例えば染料またはカラーレーキなどを適用することによって、顔料の粉末の色を修正することが可能である。
【0137】
追加的に、本発明による顔料を、難溶性でしっかりと付着する無機または有機の着色剤で被覆することもできる。好ましいのは、カラーレーキ、および特にアルミニウムカラーレーキの使用である。そのために、第二の段階でカラーレーキを使用することによってレーキ化された(laked)アルミニウム水酸化物層が沈着される(DE−A−2429762号およびDE−A−2928287号)。
【0138】
さらには、本発明による顔料は、錯塩顔料、特にシアノ鉄酸塩錯体を用いたさらなる被覆物を有してもよい(EP−A−141173号およびDE−A−2313332号)。
【0139】
天候および光安定性を強化するために、干渉顔料を用途の分野に依存して表面処理に供することができる。有用な表面処理は、例えばDE−A−2215191号、DE−A−3151354号、DE−A−3235017号、DE−A−3334598号、DE−A−4030727号、EP−A−649886号、WO97/29059号、WO99/57204号、およびUS−A−5759255号内に記載されている。前記の表面処理は、顔料の取り扱い、特に様々な用途の媒体内へのその取り込みを容易にすることもある。
【0140】
本発明の好ましい実施態様において、本発明は基材を含有し、且つAl23/TiO2の混合層を含有する顔料に関する。該混合層は、20モル%までのAl23を含有できる。Al23/TiO2の混合層は、水性のアルミニウムおよびチタン塩の溶液を、被覆される材料の懸濁液にゆっくりと添加することによって得られ、その懸濁液は約50〜100℃、特に70〜80℃に加熱されており、且つ、同時に塩基、例えばアンモニア水溶液、またはアルカリ金属水酸化物水溶液を計量供給することによって、本質的に一定のpH値、約0.5〜5、特に約1.2〜2.5に維持されている。沈着したAl23/TiO2の所望の層厚が達成されたらすぐに、チタンおよびアルミニウム塩溶液、および塩基の添加を停止する。
【0141】
Al23/TiO2の混合層の厚さは一般に、20〜200nm、特に50〜150nmの範囲である。好ましくは、該顔料は1〜50nm、特に10〜20nmの厚さを有するAl23/TiO2の混合層の上のTiO2層を含む。Al23/TiO2の混合層の厚さを変化させることによって、顔料のフロップを強化でき、且つ、望み通りに制御できる。
【0142】
本発明の他の好ましい実施態様において、本発明は、基材、および引き続く層であるTiO2/SnO2/TiO2を含有する顔料であって、基材の次のTiO2層が、厚さ1〜20nmを有し、且つ、好ましくはチタンアルコレート、特にテトライソプロピルチタネートを使用することによって調製される、前記顔料に関する。
【0143】
本発明の顔料組成物を使用すると、カスタマイズされたきらめき効果を有する着色剤を製造できる。従って、本発明は、改善されたきらめき効果を有する顔料組成物の製造方法、および/または、効果顔料と小板状パーライトとを配合することによるきらめき効果の調整方法に関する。本発明の顔料組成物は、優れた明るさ、澄んでおり且つ強い色、および強いきらめき効果を付与できる。
【0144】
従って、本発明は、きらめくコーティング膜を前記表面上に形成することを含み、該きらめくコーティング膜が本発明による顔料組成物を含む、物品表面にきらめく外見を付与するための方法、または、本発明の顔料組成物を高分子量の有機材料中に組み込むことを含む、高分子量の有機材料の原料着色のための方法に関する。
【0145】
一方では、パーライトと、マイカに基づく顔料との混合は、角度に依存するきらめき面積(S_a)の変動をもたらす。他方では、マイカに基づく顔料とパーライトとの混合は、より高いきらめき強度(S_i)をもたらし、これはダウンフロップにおいてより顕著であることすらある。言い換えれば、S_iおよびS_aを望み通りに調節でき、より高いS_iおよび/またはより修正された角度依存性S_aを得ることができる。
【0146】
本発明による顔料組成物を、全ての通例の目的、例えば原料、被覆物(効果仕上げを含む、自動車分野のためのものを含む)、および印刷インク(オフセット印刷、凹版印刷、ブロンズ印刷およびフレキソ印刷を含む)内のポリマーを着色するために、およびさらに、例えば化粧品における、インクジェット印刷における用途のために、テキスタイルを染色するために、セラミックスおよびガラス用上薬のために、使用できる。かかる用途は、参考文献、例えば「Spezielle Effektpigmente」 (G. Pfaff, Vincentz Network、Hannover、第二改訂版、2007)から公知である。
【0147】
本発明の顔料組成物は、通常の透明顔料、例えば有機顔料、例えばジケトピロロピロール、キナクリドン、ジオキサジン、ペリレン、イソインドリノン等と組み合わせるために非常に特に適しており、透明顔料が効果顔料と類似した色を有することが可能である。しかしながら、特に興味深い組み合わせの効果は、例えばEP−A−388932号またはEP−A−402943号と類似して、透明顔料の色および効果顔料の色が相補的である場合に得られる。
【0148】
本発明による顔料組成物を、高分子量の有機材料の顔料着色について優れた結果で使用できる。従って、本発明は、A) 小板状パーライト(パーライト)と、B)効果顔料とを含む、高分子量の有機材料に関する。
【0149】
本発明による顔料組成物を使用できる顔料着色のための高分子量の有機材料は、天然または合成由来のものであってよい。高分子量の有機材料は通常、約103〜108g/molまたはそれより高い分子量を有する。それらは例えば、天然樹脂、乾性油、ゴムまたはカゼイン、またはそれらに由来する天然物質、例えば塩化ゴム、油変性アルキド樹脂、ビスコース、セルロースエーテルまたはエステル、例えばエチルセルロース、セルロースアセテート、プロピオン酸セルロース、セルロースアセトブチレートまたはニトロセルロースであってよいが、しかし特に完全に合成された有機ポリマー(熱硬化性プラスチックおよび熱可塑性プラスチック)、重合、重縮合または重付加によって得られるものであってよい。重合樹脂の類から、特にポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリイソブチレン、および同様に置換されたポリオレフィン、例えば塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルまたはブタジエンの重合生成物、およびさらに前記のモノマーの共重合生成物、例えば特にABSまたはEVAを挙げることができる。
【0150】
重付加樹脂および重縮合樹脂の系から、例えばホルムアルデヒドとフェノールとの縮合生成物、いわゆるフェノプラスト、およびホルムアルデヒドとウレア、チオウレアまたはメラミンとの縮合生成物、いわゆるアミノプラスト、および表面被覆樹脂として使用されるポリエステル(前記は飽和したもの、例えばアルキド樹脂、あるいは不飽和のもの、例えばマレイン酸樹脂のいずれか)、同様に、直鎖ポリエステルおよびポリアミド、ポリウレタンまたはシリコーンを挙げることができる。
【0151】
前記の高分子量化合物は、単独または混合物で、プラスチックの塊または溶融物の形態で存在してよい。それらは、それらのモノマーの形態、または重合された状態で、溶解された形態で、被覆物または印刷インク用の膜形成剤または結合剤として存在してもよく、例えば煮あまに油、ニトロセルロース、アルキド樹脂、メラミン樹脂、およびウレアホルムアルデヒド樹脂、またはアクリル樹脂である。
【0152】
意図される目的に依存して、本発明による顔料組成物をトナーとして、または調製物の形態で使用することが有利であることが証明されている。高分子量の有機材料、特にポリエチレンの着色のための顔料組成物の使用に悪影響を及ぼさない限り、調整方法または意図されている用途に依存して、調整工程の前または後に、特定の量の質感改善剤を顔料組成物に添加することが有利であることがある。適した薬剤は、特に、少なくとも18個の炭素原子を含有する脂肪酸、例えばステアリン酸またはベヘン酸、またはそれらのアミドまたは金属塩、特にマグネシウム塩、およびさらに可塑剤、ワックス、樹脂酸、例えばアビエチン酸、ロジン石鹸、アルキルフェノールまたは脂肪族アルコール、例えばステアリルアルコール、または8〜22個の炭素原子を含有する脂肪族の1,2−ジヒドロキシ化合物、例えば1,2−ドデカンジオール、およびさらに変性コロホニウムマレイン酸樹脂またはフマル酸コロホニウム樹脂である。質感改善剤を、最終生成物に対して好ましくは0.1〜30質量%、特に2〜15質量%の量で添加する。
【0153】
本発明による顔料組成物を、任意の着色に効果的な量で、顔料着色される高分子量の有機材料に添加できる。高分子量の有機材料と、該高分子量の有機材料に対して0.01〜80質量%、好ましくは0.1〜30質量%の本発明による顔料組成物とを含む、顔料着色物質組成物が有利である。実際には、1〜20質量%、特に約10質量%の濃度がしばしば使用される。高濃度、例えば30質量%よりも高い濃度は通常、比較的低い顔料含有率を有する顔料着色材料を製造するための着色剤として使用できる濃縮物("マスターバッチ")の形態であり、本発明による顔料は通例の配合物内で抜群に低い粘度を有しているので、それらを相変わらず良好に加工できる。有機材料の顔料着色のために、本発明による顔料組成物を単独で使用してよい。しかしながら、種々の色相または色の効果を達成するために、本発明による顔料組成物に加えて、任意の所望の量の他の色付与成分、例えば白色、着色、黒色顔料を高分子量の有機物質に添加することもまた可能である。着色顔料が効果顔料と混合されて使用される場合、その総量は高分子量の有機材料に対して好ましくは0.1〜10質量%である。特に、本発明による効果顔料と、他の色、特に補色の着色顔料との好ましい組み合わせによって、高いゴニオクロマチック性が提供され、効果顔料を使用して得られる呈色および着色顔料を使用して得られる呈色は、測定角度10度で、20〜340、特に150〜210の色相(デルタH*)の差を有する。好ましくは、効果顔料を透明な着色顔料と組みあわせ、透明な着色顔料が本発明による効果顔料と同一の媒体中に存在することも、あるいは近い媒体中に存在することも可能である。
【0154】
本発明による顔料組成物を用いた高分子量の有機物質の顔料着色を、例えばかかる顔料組成物を、適宜マスターバッチの形態で、ロールミルまたは混合または粉砕装置を使用して、基材と混合することによって行う。顔料着色された材料をその後、自体公知の方法、例えばカレンダー加工、圧縮成形、押出、塗布、流し込みまたは射出成形を使用して所望の最終形態にもたらす。プラスチック産業において通例の任意の添加剤、例えば可塑剤、充填剤または安定剤を通例の量で、顔料の取り込みの前または後に、ポリマーに添加できる。特に、非硬質の成形物品を製造するために、またはそれらの脆弱性を低減するために、可塑剤、例えばリン酸、フタル酸、またはセバシン酸のエステルを、成形に先だって高分子量化合物に添加することが望ましい。
【0155】
コーティングまたは印刷インクを顔料着色するために、高分子量有機材料および本発明による顔料組成物を、適宜、通例の添加剤、例えば充填剤、他の顔料、乾燥剤または可塑剤などと共に、同一の有機溶剤または溶剤混合物中で微細に分散させるかまたは溶解させ、個々の化合物を別々に溶解または分散させるか、あるいはいくつかの成分を共に溶解または分散させることが可能であり、そしてそれ以降にのみ、全ての成分が一緒にされる。本発明による顔料組成物の加工を、好ましくは、効果顔料がより小さい部分へと崩壊しないように、比較的弱い剪断力のみが生じる条件に供して行う。プラスチックは、本発明の顔料を0.1〜50質量パーセント、特に0.5〜7質量パーセントの量で含む。コーティングの分野においては、本発明の顔料を0.1〜10質量パーセントの量で用いる。結合剤系の顔料着色において、例えば凹版印刷、オフセット印刷またはスクリーン印刷のための塗料および印刷インクのためには、該顔料が印刷インク中に0.1〜50質量パーセント、好ましくは5〜30質量パーセント、および特に8〜15質量パーセントの量で取り込まれる。
【0156】
例えばプラスチック、被覆物または印刷インク中で、特に被覆物または印刷インク中で、さらに特に被覆物中で得られる呈色は、優れた特性によって、特に極めて高い飽和、抜群の固着特性、高い色純度、高いゴニオクロマチック性および全ての角度での高いきらめき強度によって識別できる。
【0157】
顔料着色されている高分子量材料がコーティングである場合、それは特に特殊なコーティング、非常に特に自動車の仕上げである。
【0158】
本発明による顔料組成物は、唇または肌のメイクアップ用に、および髪または爪のカラーリングのためにも適している。
【0159】
従って本発明は、化粧品調製物または配合物の総質量に対して、0.0001〜90質量パーセントの本発明による顔料組成物と、10〜99.999パーセントの化粧品に適した担体材料とを含む、化粧品調製物または配合物にも関する。
【0160】
かかる化粧品調製物または配合物は、例えば、リップスティック、ほお紅、ファンデーション、マニキュアおよび髪用シャンプーである。該顔料組成物を、単独または混合物の形態で使用してよい。さらに、本発明による顔料組成物を、他の顔料および/または着色剤、例えば上に記載されたような組み合わせ、または公知の化粧品調製物と一緒に使用することが可能である。
【0161】
本発明による化粧品調製物および配合物は、好ましくは本発明による顔料を、その調製物の総質量に対して0.005〜50質量パーセントの量で含有する。
【0162】
本発明による化粧品調製物および配合物のために適した担体材料は、かかる組成物中で使用される通例の材料を含む。
【0163】
本発明による化粧品調製物および配合物は、例えば、スティック、軟膏、クリーム、エマルション、懸濁液、分散液、粉末、または溶液の形態であってよい。それらは、例えばリップスティック、マスカラ調製物、ほお紅、アイシャドウ、ファンデーション、アイライナー、粉末またはマニキュアである。
【0164】
調製物がスティックの形態、例えばリップスティック、アイシャドウ、ほほ紅またはファンデーションである場合、該調製物は大部分が脂肪質の化合物で構成され、前記化合物は1つまたはそれより多くのワックス、例えばオゾケライト、ラノリン、ラノリンアルコール、水素化ラノリン、アセチル化ラノリン、ラノリンろう、蜜ろう、カンデリラろう、微結晶ろう、カルナウバろう、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ココアバター、ラノリン脂肪酸、ペトロラタム、ペトロラタムゼリー、モノ-、ジ-またはトリ-グリセリド、または摂氏25度で固体のそれらの脂肪エステル、シリコーンワックス、例えばメチルオクタデカン-オキシポリシロキサンおよびポリ(ジメチルシロキシ)−ステアロキシシロキサン、ステアリン酸モノエタノールアミン、松脂(colophane)およびそれらの誘導体、例えばグリコールアビエテートおよびグリセロールアビエテート、摂氏25度で固体の水素化油、糖グリセリドおよびオレエート、ミリステート、ラノレート(lanolate)、カルシウム、マグネシウム、ジルコニウムおよびアルミニウムのステアレートおよびジヒドロキシステアレートからなってよい。
【0165】
脂肪成分は、少なくとも1つのワックスおよび少なくとも1つの油の混合物からなってもよく、その場合、例えば以下の油が適している: パラフィン油、パーセリン油(purcelline oil)、ペルヒドロスクアレン、甘扁桃油、アボカド油、カロフィルム油、ヒマシ油、ゴマ油、ホホバ油、摂氏約310〜410度の沸点を有する鉱油、シリコーン油、例えばジメチルポリシロキサン、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、オレイルアルコール、穀粒油、例えば麦芽油、イソプロピルラノレート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルミリステート、ブチルミリステート、セチルミリステート、ヘキサデシルステアレート、ブチルステアレート、デシルオレエート、アセチルグリセリド、アルコールおよびポリアルコールの、例えばグリコールおよびグリセロールの、オクタノエートおよびデカノエート、アルコールおよびポリアルコールの、例えばセチルアルコール、イソステアリルアルコールのリシノレエート、イソセチルラノレート、イソプロピルアジペート、ヘキシルラウレートおよびオクチルドデカノール。
【0166】
スティックの形態のかかる調整物中での脂肪成分は、一般に調製物の総質量の99.91質量パーセントまでを構成してよい。本発明による化粧品調製物および配合物は追加的に、さらなる成分、例えばグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、モノアルカノールアミド、無着色ポリマーの、無機の、または有機の充填剤、保存剤、UVフィルタ、または化粧品において通例の他の補助剤および添加剤、例えば天然または合成または部分的に合成されたジ-またはトリ-グリセリド、鉱油、シリコーン油、ワックス、脂肪アルコール、ゲルベ(Guerbet)アルコールまたはそれらのエステル、日焼け防止フィルタを含む親油性の機能性化粧品有効成分、またはかかる物質の混合物などを含んでよい。肌用化粧品に適した親油性の機能性化粧品有効成分、有効成分組成物、または有効成分抽出物は、皮膚または局所的な適用のために認可された成分または成分の混合物である。例として以下のものを挙げることができる:肌表面および髪の洗浄作用を有する有効成分; それらは肌の洗浄のために役立つ全ての物質、例えばオイル、石鹸、合成洗浄剤、および固形物質を含む;脱臭および発刊抑制作用を有する有効成分: それらはアルミニウム塩または亜鉛塩に基づく発汗抑制剤、殺菌性または静菌性脱臭物質、例えばトリクロサン、ヘキサクロロフェン、アルコールおよびカチオン性物質、例えば第四級アンモニウム塩などを含む脱臭剤、および匂い吸収剤、例えばGrillocin(登録商標) (リシノール酸亜鉛と様々な添加剤との組み合わせ)またはトリエチルシトレート(随意に酸化防止剤、例えばブチルヒドロキシトルエンなどとの組み合わせ)またはイオン交換樹脂を含む;日光に対する保護を提供する有効成分(UVフィルタ):適した有効成分は、日光からのUV光線を吸収し、且つそれを熱に変換できるフィルタ物質(日焼け止め)である; 所望の作用に依存して、以下の遮光剤が好ましい:約280〜315nmの領域の日焼けを起こす高エネルギーUV光線を選択的に吸収し(UV−B吸収剤)、且つ、より長波長領域、例えば315〜400nm(UV−A領域)は透過させる遮光剤、並びに315〜400nmのUV−A領域のより長い波長の光線のみを吸収する遮光剤(UV−A吸収剤); 適した遮光剤は、例えばp−アミノ安息香酸誘導体、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、ジフェニルアクリレート誘導体、ベンゾフラン誘導体の類からの有機UV吸収剤、1つまたはそれより多くのオルガノシラン基、ケイ皮酸誘導体、樟脳誘導体、トリアニリノ−s−トリアジン誘導体、フェニル−ベンズイミダゾールスルホン酸およびそれらの塩、メンチルアントラニレート、ベンゾトリアゾール誘導体、および/またはアルミニウム酸化物または二酸化ケイ素で被覆されたTiO2、亜鉛酸化物またはマイカから選択される無機の微細顔料を含む、ポリマーのUV吸収剤である; 虫に対する有効成分(忌避剤)は、虫が肌に触れ、且つそこで活性になることを防ぐことを意図した薬剤である; それらは虫を遠ざけ、そしてゆっくりと蒸発する; 最も頻繁に使用される忌避剤は、ジエチルトルアミド(DEET)である; 他の通例の忌避剤は、例えば「Pflegekosmetik」 (W. RaabおよびU. Kindl, Gustav−Fischer−Verlag Stuttgart/New York, 1991)内の161ページに見出される;化学的および機械的な影響に対して保護するための有効成分: それらは肌と外部の有害物質との間にバリアを形成する全ての物質、例えば水溶液に対する保護のためのパラフィン油、シリコーン油、植物油、PCL製品およびラノリン、有機溶剤の作用に対する保護のための膜形成剤、例えばナトリウムアルギネート、トリエタノールアミンアルギネート、ポリアクリレート、ポリビニルアルコールまたはセルロースエステル、または肌上の苛酷な機械的応力に対する保護のための「潤滑剤」としての鉱油、植物油、またはシリコーン油に基づく物質などを含む;保湿物質: 以下の物質が、例えば保湿調整剤(保湿剤)として使用される: 乳酸ナトリウム、ウレア、アルコール、ソルビトール、グリセロール、プロピレングリコール、コラーゲン、エラスチンおよびヒアルロン酸;角質軟化(keratoplastic)効果を有する有効成分: 過酸化ベンゾイル、レチノイン酸、コロイド硫黄、およびレソルシノール; 抗菌剤、例えばトリクロサンまたは四級アンモニウム化合物; 皮膚に適用できる油性または油溶性ビタミンまたはビタミン誘導体: 例えばビタミンA(遊離酸の形態でのレチノールまたはそれらの誘導体)、パンテノール、パントテン酸、葉酸およびそれらの組み合わせ、ビタミンE(トコフェロール)、ビタミンF; 必須脂肪酸; またはナイアシンアミド(ニコチン酸アミド); ビタミンに基づく胎盤抽出物: 特にビタミンA、C、E、B1、B2、B6、B12、葉酸およびビオチン、アミノ酸、およびエンザイム、並びに微量の元素のマグネシウム、ケイ素、リン、カルシウム、マンガン、鉄または銅の化合物を含む有効成分組成物; 肌修復複合物: ビフィズス属のバクテリアの不活性化および分解された培養物から得られるもの; 植物および植物抽出物: 例えばアルニカ、アロエ、サルオガセ、キヅタ、イラクサ、チョウセンニンジン、ヘンナ、カミツレ、マリーゴールド、ローズマリー、セージ、トクサまたはタイム; 動物抽出物: 例えばローヤルゼリー、蜂膠、タンパク質、または胸腺抽出物(thymus extract);皮膚に適用できる化粧油: Miglyol812型の中性油、杏仁油、アボカド油、ババスー油、綿実油、ルリヂサ油、アザミ油、落花生油、ガンマオリザノール、ローズヒップシード油、ヘンプ油、ヘーゼルナッツ油、黒スグリシード油、ホホバ油、サクランボ種油(cherry−stone oil)、サケ油、あまに油、コーンシード油、マカダミアナッツ油、扁桃油、マツヨイグサ油、ミンク油、オリーブ油、ピーカンナッツ油、桃仁油、ピスタチオナッツ油、菜種油、種もみ油(rice−seed oil)、ヒマシ油、サフラワー油、ゴマ油、ダイズ油、ひまわり油、チャノキ油、グレープシード油または麦芽油。
【0167】
スティックの形態の調製物は好ましくは無水物であるが、しかし特定の場合においては特定の量の水を含み、しかしながら一般には化粧品調製物の総質量に対して40質量パーセントを上回らない。
【0168】
本発明による化粧品調製物および配合物が半固体の製品の形態、即ち軟膏またはクリームの形態である場合、それらは同様に無水物または水性であってよい。かかる調製物および配合物は、例えば、マスカラ、アイライナー、ファンデーション、ほお紅、アイシャドウ、または目の下のクマを処理するための組成物である。
【0169】
他方、かかる軟膏またはクリームが水性である場合、それらは特に、顔料の他に1〜98.8質量パーセントの脂肪相、1〜98.8質量パーセントの水相、および0.2〜30質量パーセントの乳化剤を含む、油中水型または水中油型のエマルションである。
【0170】
かかる軟膏およびクリームは、さらなる通常の添加物、例えば香料、酸化防止剤、保存剤、ゲル化剤、UVフィルタ、着色剤、顔料、真珠箔剤、無着色ポリマー、並びに無機または有機充填剤なども含んでよい。該調製物が粉末の形態である場合、それらは本質的に鉱物または無機または有機充填剤、例えば滑石、カオリン、デンプン、ポリエチレン粉末またはポリアミド粉末、並びに補助剤、例えば結合剤、着色剤等などからなる。
【0171】
かかる調製物は、同様に、化粧品中に通常用いられる様々な補助剤、例えば芳香剤、酸化防止剤、保存剤等を含んでよい。本発明による化粧品調製物および配合物がマニキュアである場合、それらは本質的に溶剤系中の溶液の形態のニトロセルロースおよび天然または合成ポリマーからなり、該溶液は他の補助剤、例えば真珠箔剤を含むことが可能である。
【0172】
本実施態様において、着色ポリマーが約0.1〜5質量パーセントの量で存在する。
【0173】
本発明による化粧品調製物および配合物を、髪のカラーリングのために使用することもでき、その場合、それらは化粧品産業および本発明による顔料において通常用いられるベース物質で構成されるシャンプー、クリームまたはジェルの形態で使用される。本発明による化粧品調製物および配合物は、通常通りに、例えば成分を共に混合または攪拌し、混合物が溶融するように随意に加熱しながら製造される。
【0174】
塗料、印刷インク、プラスチック、化粧品等を、効果顔料および小板状パーライトを別々に配合物に添加することによって製造することもできる。従って、本発明は、A)小板状パーライト(パーライト); B)効果顔料で顔料着色された、塗料、印刷インク、プラスチック、化粧品、セラミックスおよびガラスに関する。小板状パーライト(パーライト)および効果顔料は、上記で定義された通りである。
【0175】
本発明の様々な特徴および態様を以下の実施例においてさらに説明する。それらの実施例は、当業者に対してどのように本発明の範囲で作業するかを示すために存在するが、該実施例は本発明の範囲の限定として提供されるのではなく、かかる範囲は請求項内にのみ定義される。以下の実施例および明細書内の他の場所および請求項において特段示されない限り、全ての部およびパーセントは質量に対するものであり、温度は摂氏度であり、且つ、圧力は大気圧またはその近傍である。
【図面の簡単な説明】
【0176】
図1】Pro1〜Pro4およびComPro1のきらめき強度(S_i)対きらめき面積(S_a)[照射角: 75°、45°、および15°、左手側から右手側に]を示すグラフである。
図2】Pro5〜Pro7およびComPro2のきらめき強度(S_i)対きらめき面積(S_a)を示すグラフである。
図3】Pro8およびComPro3のきらめき強度(S_i)対きらめき面積(S_a)を示すグラフである。
図4】Pro9〜Pro12およびComPro4のきらめき強度(S_i)対きらめき面積(S_a)を示すグラフである。
図5】Pro13〜Pro16およびComPro5のきらめき強度(S_i)対きらめき面積(S_a)を示すグラフである。
図6】Pro17〜Pro20およびComPro6のきらめき強度(S_i)対きらめき面積(S_a)を示すグラフである。
図7】Pro21〜Pro24およびComPro7のきらめき強度(S_i)対きらめき面積(S_a)を示すグラフである。
図8】Pro25〜Pro28およびComPro8のきらめき強度(S_i)対きらめき面積(S_a)を示すグラフである。
【0177】
実施例
パーライトの調製(PerPro1)
パーライト薄片を、WO2010/066605号の実施例1に記載される通りに調製する:
a) パーライト薄片(Optimat(商標) 2550、World Minerals製)を、脱イオン水中に10質量%の量で均質に分散させる。該粒子を5分間、安定化させ、そしてその安定化させた粒子を懸濁液から取り出す。この作業を3回繰り返す。前記の作業は、粉砕された膨張パーライト中に含有される3Dのツイン構造粒子を排除することを可能にする。
【0178】
b) その後、懸濁液中の粒子を、8時間の間、安定化させる。その後、最も小さなパーライト粒子を含有する水を破棄する(disgarded)。この作業を3回繰り返す。その後、粒子をろ過し、そして乾燥させる。Malvern Mastersizer S Longbenchを用いたレーザー(He−Neレーザー632.8nm)光回折によって測定される、得られるパーライト粒子(=PerPro1)の粒径分布は、以下のパラメータを示す:
【表2】
【0179】
実施例1 − 赤い鉄酸化物(Fe23)で被覆されたマイカを有するパーライトの混合物(PerPro1)
赤い鉄酸化物で被覆されたマイカ(d50〜20μm)xgを、ygのPerPro1と、乾式混合機内で乾式混合する。該混合物を、以下の記載のとおり、90:10 black reduction内で噴霧する。
【0180】
【表3】
【0181】
図1は、Pro1〜Pro4およびComPro1のきらめき強度(S_i)対きらめき面積(S_a)[照射角: 75°、45°、および15°、左手側から右手側に]を示すグラフである。
【0182】
実施例2 − PerPro1と、白色のチタン酸化物被覆合成マイカとの混合物
白色のチタン酸化物で被覆された合成マイカ(d50〜20μm)xgを、ygのPerPro1と、乾式混合機内で乾式混合する。該混合物を、以下の記載のとおり、90:10 black reduction内で噴霧する。
【0183】
【表4】
【0184】
図2は、Pro5〜Pro7およびComPro2のきらめき強度(S_i)対きらめき面積(S_a)を示すグラフである。
【0185】
実施例3 − PerPro1と、チタン酸化物で被覆されたガラス薄片との混合物
チタン酸化物で被覆されたガラス薄片(d50〜20μm)xgを、y gのPerPro1と、乾式混合機内で乾式混合する。該混合物を、以下の記載のとおり、90:10 black reduction内で噴霧する。
【0186】
【表5】
【0187】
図3は、Pro8およびComPro3のきらめき強度(S_i)対きらめき面積(S_a)を示すグラフである。
【0188】
実施例4 − PerPro1と、オレンジ色の鉄酸化物で被覆されたアルミニウム薄片との混合物
オレンジ色の鉄酸化物で被覆されたアルミニウム薄片(d50〜21μm)xgを、ygのPerPro1と、乾式混合機内で乾式混合する。該混合物を、以下の記載のとおり、90:10 black reduction内で噴霧する。
【0189】
【表6】
【0190】
図4は、Pro9〜Pro12およびComPro4のきらめき強度(S_i)対きらめき面積(S_a)を示すグラフである。
【0191】
実施例5 − PerPro1とアルミニウム薄片との混合物
1ドル銀貨型アルミニウム薄片(d50〜19μm)xgを、ygのPerPro1と、乾式混合機内で乾式混合する。該混合物を、以下の記載のとおり、90:10 black reduction内で噴霧する。
【0192】
【表7】
【0193】
図5は、Pro13〜Pro16およびComPro5のきらめき強度(S_i)対きらめき面積(S_a)を示すグラフである。
【0194】
実施例6 − PerPro1と、白色のチタン酸化物で被覆されたAl23薄片との混合物
チタン酸化物で被覆されたAl23薄片(d50〜19μm)xgを、ygのPerPro1と、乾式混合機内で乾式混合する。該混合物を、以下の記載のとおり、90:10 black reduction内で噴霧する。
【0195】
【表8】
【0196】
図6は、Pro17〜Pro20およびComPro6のきらめき強度(S_i)対きらめき面積(S_a)を示すグラフである。
【0197】
実施例7 − PerPro1とチタン酸化物で被覆されたマイカとの混合物
白色のチタン酸化物で被覆されたマイカ(d50〜20μm)xgを、ygのPerPro1と、乾式混合機内で乾式混合する。該混合物を、以下の記載のとおり、90:10 black reduction内で噴霧する。
【0198】
【表9】
【0199】
図7は、Pro21〜Pro24およびComPro7のきらめき強度(S_i)対きらめき面積(S_a)を示すグラフである。
【0200】
実施例8 − PerPro1と、青い干渉色を有するチタン酸化物で被覆されたマイカとの混合物
青い干渉色を有するチタン酸化物で被覆されたマイカ(d50〜20μm)xgを、ygのPerPro1と、乾式混合機内で乾式混合する。該混合物を、以下の記載のとおり、90:10 black reduction内で噴霧する。
【0201】
【表10】
【0202】
図8は、Pro25〜Pro28およびComPro8のきらめき強度(S_i)対きらめき面積(S_a)を示すグラフである。
【0203】
きらめき挙動の測定のための試験系
全ての実施例を、ベースコート/クリアコート噴霧塗布にて試験する:
ベースコート:
ポリエステル/CAB、溶剤型、ミディアムソリッド、乾燥膜厚〜20μm
総顔料: 結合剤 (固体) = 0.20
顔料着色: 90部の顔料組成物: 10部のColour Black FW 200 (Evonik Industries)
90部の顔料組成物の乾燥ブレンドを、結合剤中で、10部の黒色顔料と混ぜ合わせる。
【0204】
クリアコート:
1Kクリアコート、〜40μm 乾燥膜厚。
【0205】
角度依存性のきらめき挙動の定量的測定
実施例1〜8の顔料組成のきらめき効果を、Byk−Gardner GmbH(Lausitzer Strasse 8, 82538 Geretsried、ドイツ)製のByk−mac装置を使用して測定する。この装置は、薄片の評価について、きらめきおよび粒状性を測定することができる。従って、製品(Pro1〜Pro28)のきらめき挙動および比較用製品(ComPro1〜ComPro8)を、3つの異なる照射角(直接照明: 垂直から15°、45°、および75°; カメラ検出: 0°)について、以下のパラメータを用いて評価する:
・ きらめき面積(S_a)は、所定の測定内の光反射の数に相応する;
・ きらめき強度(S_i)は、光反射の強度に相応する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8