(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5984801
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】4−ヒドロキシピリジン類の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 213/68 20060101AFI20160823BHJP
C07D 213/61 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
C07D213/68
C07D213/61
【請求項の数】13
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-516014(P2013-516014)
(86)(22)【出願日】2011年6月20日
(65)【公表番号】特表2013-530984(P2013-530984A)
(43)【公表日】2013年8月1日
(86)【国際出願番号】IB2011052681
(87)【国際公開番号】WO2011161612
(87)【国際公開日】20111229
【審査請求日】2014年6月17日
(31)【優先権主張番号】10166877.0
(32)【優先日】2010年6月22日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/357,128
(32)【優先日】2010年6月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100122389
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 栄一
(74)【代理人】
【識別番号】100111741
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 夏夫
(72)【発明者】
【氏名】マイワルド,フォルカー
(72)【発明者】
【氏名】メンゲス,フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】フォーゲルバッハー,ウーヴェ ヨーゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ラック,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】カイル,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】グランメノス,ヴァッシリオス
(72)【発明者】
【氏名】ブレットー−シュルテス,マリアンナ
(72)【発明者】
【氏名】ローマン,ヤン クラース
(72)【発明者】
【氏名】ミューラー,ベルント
(72)【発明者】
【氏名】ヤブス,トルステン
【審査官】
清水 紀子
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭58−170758(JP,A)
【文献】
特開昭52−151175(JP,A)
【文献】
米国特許第05625069(US,A)
【文献】
米国特許第05292885(US,A)
【文献】
Facile synthesis of caerulomycin E by the formation of 2,2'-bipyridine,Tetrahedron,2010年,66,5432−5434
【文献】
Synthesis of 2-methyl-4H-pyran-4-one,Journal of Organic Chemistry,1967年,32(12),4105−7
【文献】
New method for the synthesis of 4-hydroxy-2-trifluoromethylpyridine,Chemistry of Heterocyclic Compounds,1997年,Vol.33, No.8,995−996
【文献】
Chemistry of Keto Acetals: Part II. β,β'-Keto Diacetal and,Russian Journal of Organic Chemistry,2005年,Vol.41, No.8,1113−1115
【文献】
Organic Process Researh & Development,2002年,6,242−245
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 213/68
C07D 213/61
CAplus/CASREACT/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの4-ヒドロキシピリジン類の製造方法であって、
【化1】
[式中、
R
1は、水素、C
1-C
4-アルキル、C
1-C
4-ハロアルキル、アリールまたはヘタリールであり、ここで、最後に述べた2つのラジカルは、非置換であるか、またはハロゲン、C
1-C
4-アルキル、C
1-C
4-ハロアルキル、C
1-C
4-アルコキシおよびC
1-C
4-ハロアルコキシから選択される1、2、3もしくは4の置換基により置換されており、
R
2、R
3およびR
4は、水素、C
1-C
4-アルキルまたはC
1-C
4-ハロアルキルであ
る。]
a)式IIの化合物を、式IIIaの化合物、およびアルカリ金属メチラートおよびアルカリ金属エチラートから選択される少なくとも1つの塩基と混合して、反応混合物を形成し、
【化2】
[式中、R
1は上記定義の通りであり、
XはハロゲンまたはC
1-C
4-アルコキシである。]
【化3】
[式中、R
2、R
3、R
4は上記定義の通りであり、
Yは独立してハロゲンまたはC
1-C
4-アルコキシであり、
または式IIIaの化合物中の2つのラジカルYは一緒に-O-(CH
2)
n-O-基を形成し、ここでアルカンジイル部分-(CH
2)
n-は非置換であるかまたはハロゲンおよびC
1-C
4-アルキルから選択される1、2もしくは3の置換基で置換されており、
nは2、3または4である。]
b)工程a)の反応時間経過後、反応混合物を少なくとも1つの酸で処理し、
c)工程b)の反応時間経過後、反応混合物を少なくとも1つのアンモニア源で処理する、
工程を含む、前記製造方法。
【請求項2】
塩基をアルカリ金属メチラートから選択する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
塩基がナトリウムメチラートである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
塩基を一価のC1-C4-アルコールに溶解する、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
一価のC1-C4-アルコールがメタノールである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
工程a)、b)およびc)において、いずれの中間化合物も単離することなく実施する、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
酸を鉱酸から選択する、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
アンモニア源をアンモニア水溶液、ハロゲン化アンモニウム、カルボン酸アンモニウムおよび硫酸アンモニウムから選択する、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
R1が水素、C1-C4-アルキルまたはC1-C4-ハロアルキルである、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
R1がC1-C4-パーハロアルキルである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
R2、R3、R4が水素である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
式Vの4-クロロピリジンの製造方法であって、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法により化合物Iを得て、次いで、化合物Iを塩素化剤で処理することで、式Vの4-クロロピリジンを生成することを含む、上記方法。
【化4】
式中、R
1、R
2、R
3およびR
4は請求項1で定義した通りである。
【請求項13】
塩素化剤が塩化チオニルまたは塩化ホスホリルである、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4-ヒドロキシピリジン類の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
置換ピリジン類の合成は、優れた多様性並びに活性物質、特に医療用薬剤および植物保護剤の構成成分としての用途のために、広範な研究対象となっている。
【0003】
強塩基であるカリウムtert-ブトキシドの存在下におけるアセチルアセトンエノールエーテルとエチルパーフルオロアルカノアートの反応に続いて、酸触媒環化により置換ピラノンを生成することがTyvorskiiらにより開示されている(Tetrahedron 54 (1998), 2819-2826)。同様の合成方法による2-トリフルオロメチル-4H-ピラン-4-オンの製造が、Tyvorskiiらにより開示されている(Chem. Heterocycl. Comp. 33 (1997), 995)。ピラノンを単離し、ピラノン溶液にアンモニア水を加えることで4-ヒドロキシ-2-トリフルオロメチルピリジンが得られた。その総収率はわずか40%×70%=28%であった。
【0004】
国際公開2008/074474号には、O-修飾した4-ヒドロキシピリジン誘導体の多段階での製造方法が記載されており、1,3-ジケトンとアンモニアの反応に続いて、生成したα,β-不飽和β-アミノケトンのカルボン酸ハロゲン化物またはカルボン酸無水物によるN-アシル化、その後分子内アルドール縮合による環形成の3工程によって約50〜60%の収率で置換4-ヒドロキシピリジンが得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開2008/074474号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Tyvorskii et al. Tetrahedron 54 (1998), 2819-2826
【非特許文献2】Tyvorskii et al. Chem. Heterocycl. Comp. 33 (1997), 995
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、容易に入手可能である出発物質から始めて、高収率で非常に経済的に実施することができる、置換4-ヒドロキシピリジン類の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、式Iの4-ヒドロキシピリジン類の製造方法に関する。
【化1】
【0009】
式中、
R
1は、水素、C
1-C
4-アルキル、C
1-C
4-ハロアルキル、アリール、またはヘタリールであり、ここで、最後に述べた2つのラジカルは、非置換またはハロゲン、C
1-C
4-アルキル、C
1-C
4-ハロアルキル、C
1-C
4-アルコキシおよびC
1-C
4-ハロアルコキシから選択される置換基により置換されており、
R
2、R
3およびR
4は、独立して、水素、C
1-C
4-アルキル、C
1-C
4-ハロアルキル、NR
5R
6またはアリールであり、ここでアリール基は非置換またはハロゲン、C
1-C
4-アルキル、C
1-C
4-ハロアルキル、C
1-C
4-アルコキシおよびC
1-C
4-ハロアルコキシから選択される1、2、3もしくは4つの置換基により置換されており、
または、ラジカルR
3およびR
4は、それらが結合している炭素原子と一緒に飽和、部分的不飽和もしくは最大不飽和である3-、4-、5-、6-もしくは7-員炭素環または環員としてO、SおよびNから選択される1、2もしくは3のヘテロ原子を含む飽和、部分的不飽和もしくは最大不飽和である3-、4-、5-、6-もしくは7-員複素環を形成し、ここで炭素環または複素環は非置換またはハロゲン、C
1-C
4-アルキル、C
1-C
4-ハロアルキル、C
1-C
4-アルコキシおよびC
1-C
4-ハロアルコキシから選択される1、2、3もしくは4つの置換基により置換されており、
R
5は、水素、C
1-C
4-アルキルまたはC
1-C
4-ハロアルキルであり、
R
6は、水素、C
1-C
4-アルキル、C
1-C
4-ハロアルキル、フェニルおよびフェニル-C
1-C
4-アルキルであり、
または、R
5およびR
6は一緒に直鎖C
4-もしくはC
5-アルキレンブリッジまたは-CH
2CH
2OCH
2CH
2-基もしくは-CH
2CH
2NR
7CH
2CH
2-基を形成し、
R
7は水素またはC
1-C
4-アルキルである。
【0010】
方法は、下記工程を含む。
【0011】
a)式IIの化合物を、式IIIaまたはIIIbの化合物およびアルカリ金属メチラートまたはアルカリ金属エチラートから選択される少なくとも1つの塩基と混合して、反応混合物を形成し、
【化2】
【0012】
式中、R
1は上記定義の通りであり、
XはハロゲンまたはC
1-C
4-アルコキシであり、
【化3】
【0013】
式中、R
2、R
3、R
4は上記定義の通りであり、
Yは独立してハロゲンまたはC
1-C
4-アルコキシであり、
または式IIIaの化合物中の2つのラジカルYは一緒に-O-(CH
2)
n-O-基を形成し、ここでアルカンジイル部分-(CH
2)
n-は非置換またはハロゲンおよびC
1-C
4-アルキルから選択される1、2もしくは3つの置換基で置換されており、
nは2、3または4である。
【0014】
b)第1の反応時間経過後、反応混合物を少なくとも1つの酸で処理し、
c)第2の反応時間経過後、反応混合物を少なくとも1つのアンモニア源で処理する。
【0015】
他で定義しない限り、本明細書で使用する一般的な用語は次の意味をもつ。
【0016】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素、特にフッ素、塩素または臭素を示す。
【0017】
用語「C
1-C
4-アルキル」は、1〜4個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖のアルキルラジカル、例えばメチル、エチル、プロピル、1-メチルエチル(イソプロピル)、ブチル、1-メチルプロピル(sec-ブチル)、2-メチルプロピル(イソブチル)または1,1-ジメチルエチル(tert-ブチル)を示す。
【0018】
用語「C
1-C
4-ハロアルキル」は、1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基を示し、ここで、これらの基の水素原子のいくつかまたは全てがハロゲン原子に置き換わっている。その例は、クロロメチル、ブロモメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロフルオロメチル、ジクロロフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、1-クロロエチル、1-ブロモエチル、1-フルオロエチル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2-クロロ-2-フルオロエチル、2-クロロ-2,2-ジフルオロエチル、2,2-ジクロロ-2-フルオロエチル、2,2,2-トリクロロエチル、ペンタフルオロエチル、3,3,3-トリフルオロプロピ-1-イル、1,1,1-トリフルオロプロピ-2-イル、3,3,3-トリクロロプロピ-1-イル、ヘプタフルオロイソプロピル、1-クロロブチル、2-クロロブチル、3-クロロブチル、4-クロロブチル、1-フルオロブチル、2-フルオロブチル、3-フルオロブチル、4-フルオロブチルなどである。
【0019】
同様に、用語「C
1-C
4-パーハロアルキル」は1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基を示し、ここで、これらの基の水素原子の全てがハロゲン原子に置き換わっている。その例は、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピルなどである。
【0020】
用語「C
1-C
4-アルコキシ」は、1〜4個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖の飽和アルキル基を示し、それらは酸素原子を介して結合する。C
1-C
4-アルコキシの例は、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、1-メチルエトキシ(イソプロポキシ)、n-ブトキシ、1-メチルプロポキシ(sec-ブトキシ)、2-メチルプロポキシ(イソブトキシ)および1,1-ジメチルエトキシ(tert-ブトキシ)である。
【0021】
用語「アリール」は、6〜14個の炭素原子を有する炭素環芳香族ラジカルを示す。その例は、フェニル、ナフチル、フルオレニル、アズレニル、アントラセニルおよびフェナントレニルを含む。アリールは好ましくはフェニルまたはナフチルであり、特にフェニルである。
【0022】
用語「ヘタリール」は、O、NおよびSから選択される1〜4個のヘテロ原子を有する芳香族ラジカルを示す。その例は、O、SおよびNから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を有する5-および6員環ヘタリールラジカルであり、例えばピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジルおよびトリアジニルがある。
【0023】
用語「化合物I」、「化合物II」、「化合物IIIa」および「化合物IIIb」はそれぞれ、式I、II、IIIaおよびIIIbの化合物をさす。
【0024】
化合物IおよびIIにおいて、R
1は好ましくは水素、C
1-C
4-アルキルまたはC
1-C
4-ハロアルキルである。R
1は、より好ましくは、C
1-C
4-パーハロアルキル、更に好ましくは、C
1-C
2-パーハロアルキル、例えばトリフルオロメチルまたはペンタフルオロエチルであり、特にトリフルオロメチルである。
【0025】
化合物I、IIIaおよびIIIbにおいて、R
2、R
3、R
4は好ましくは水素、C
1-C
4-アルキルまたはC
1-C
4-ハロアルキルであり、特に水素である。
【0026】
化合物IIにおいて、Xは好ましくはC
1-C
4-アルコキシであり、より好ましくはメトキシまたはエトキシである。
【0027】
化合物IIIaおよびIIIbにおいて、Yは好ましくは塩素またはC
1-C
4-アルコキシであり、より好ましくはC
1-C
4-アルコキシであり、特にメトキシまたはエトキシである。
【0028】
また、化合物IIIaおよびIIIbにおいて、R
3およびR
4は、好ましくは、それらが結合している炭素原子と一緒に炭素環または複素環を形成しない方がよく、より好ましくは、それぞれが独立して水素、C
1-C
4-アルキル、C
1-C
4-ハロアルキル、NR
5R
6またはアリールであり、ここでアリール基は非置換またはハロゲン、C
1-C
4-アルキル、C
1-C
4-ハロアルキル、C
1-C
4-アルコキシおよびC
1-C
4-ハロアルコキシから選択される1、2、3または4つの置換基により置換されており、ここでR
5およびR
6は上記定義の通りであり、またはよりいっそう好ましくはR
3およびR
4は水素またはC
1-C
4-アルキルがよい。
【発明を実施するための形態】
【0029】
特に好ましい実施形態は化合物Iの製造に関する。ここで、化合物Iは下記表Pで定義されるラジカルR
1、R
2、R
3およびR
4の次の組み合わせの1つを実施する。また、これらの実施形態は、該当する場合は、化合物II、IIIaおよびIIIbの中においても同じ置換基の定義を示す。
【0031】
本明細書に記載した反応は、このような反応で一般的に使用される反応容器で行われ、例えば撹拌反応器である。加えて、反応はバッチ方法だけでなく、連続式または半連続式方法でも設定可能である。一般的に、当該反応は大気圧下で行われる。しかしながら、反応は、減圧または高圧下で行うこともできる。
【0032】
本発明の方法において、工程a)、b)およびc)を好ましくはいずれの中間化合物も単離することなく実施する。より好ましくは、工程a)、b)およびc)を単一の反応容器で実施する。
【0033】
本発明方法の工程a)において、適した塩基はアルカリ金属メチラートまたはアルカリ金属エチラートであり、例えばリチウムメチラート、ナトリウムメチラートおよびカリウムメチラート並びに、リチウムエチラート、ナトリウムエチラートまたはカリウムエチラートである。好ましくは、塩基はナトリウムメチラートまたはナトリウムエチラートであり、特にナトリウムメチラートである。別の実施形態において、塩基を一価のC
1-C
4-アルコール、好ましくはエタノールまたはメタノール、よりいっそう好ましくはメタノールに溶解する。メタノールに溶解したナトリウムメチラート塩基が特に好ましい。アルキル金属メチラートは、化合物IIと化合物IIIaまたはIIIbとの反応を可能にするだけでなく、不必要な副反応を避け、式Iの目的とする生成物を高収率で確保するために適した塩基性度をもっていると考えられる。
【0034】
本発明方法の工程a)において、化合物IIを好ましくは化合物IIIaと混合する。
【0035】
工程a)において、化合物II、化合物IIIaまたはIIIbおよび塩基はお互いを異なる順序で接触させることができる。しかしながら、一般的には初めに化合物IIおよび化合物IIIaまたは化合物IIIbを、場合により(混合)溶媒中に溶解および/または懸濁させて装填し、化合物IIおよび化合物IIIaまたはIIIbの混合物に塩基を加えることが有利であることが判明している。
【0036】
工程a)における反応は、溶媒中またはバルク中のいずれにおいても実施することができる。しかしながら、一般的には、使用する塩基を溶解するのに役立つ溶媒を使用することが有利であることが分かっている。好ましくは、適した溶媒を使用した塩基溶液を化合物IIおよび化合物IIIaまたはIIIbの混合物に加える。
【0037】
適した溶媒は塩基の選択に依存する。ここでの有用な有機溶媒の例は、ジメチルホルムアミドもしくはN-メチルピロリドンのようなアミド類、例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、s-ブタノールもしくはtert-ブタノールのような一価のC
1-C
4-アルコール類などの一価もしくは多価アルコール類、例えばエチレングリコールもしくはトリフルオロエタノール、またはこれらの有機溶媒のお互いの混合物を含む。一価のC
1-C
4-アルコール類がより好ましく、特にメタノールである。
【0038】
1つの実施形態において、溶媒を脱気した形態(すなわち、特に酸素がない)で使用する。溶媒の脱気は公知であり、例えば溶媒の1回または多数回の凍結、減圧下での解凍(溶媒に溶解/分散した気体を取り除くため)および不活性ガス、例えば窒素やアルゴンの添加により実施することができる。代わりにまたは加えて、溶媒は超音波で処理することができる。
【0039】
化合物IIは市販品であるかまたは基本的な有機合成方法により入手できる。メチルトリフルオロアセテートおよびエチルトリフルオロアセテートは化合物IIの例として好ましい。
【0040】
化合物IIIaおよびIIIbは市販品であるかまたは基本的な有機合成方法により入手できる。
【0041】
化合物IIおよび化合物IIIaまたはIIIbの相対量は変化することができるが、実際には、およそ等モル量を使用するか、またはわずかにモル過剰の化合物IIを使用する。化合物IIの、化合物IIIaまたはIIIbに対するモル比率は、0.7〜3.0の範囲が一般的に適しており、好ましくは1.0〜2.0のモル比率である。
【0042】
化合物IIIaまたはIIIbに対して少なくとも等モル量の塩基を使用するが、実際上は通例過剰量を使用する。塩基の、化合物IIIaまたはIIIbに対するモル比率は、1.0〜3.0の範囲が一般的に適しており、好ましくは1.0〜1.5のモル比率である。
【0043】
工程a)における反応は、幅広い温度範囲、典型的には-20℃〜150℃で実施することができる。実際的な温度範囲は35〜85℃である。好ましい温度範囲は40〜70℃であり、例えば約60℃である。
【0044】
第1の反応時間は特に限定されず、典型的には10分〜24時間の範囲であり、好ましくは15分〜1時間である。一般に、第1の反応時間は、少なくとも30秒である。
【0045】
第1の反応時間経過後、反応混合物を少なくとも1つの酸で処理する。この工程b)において、反応混合物および酸はお互いを異なる順序で接触させることができる。しかしながら、一般的には、初めに酸を、場合により水に溶解して装填し、反応混合物を加えることが有利であると判明している。
【0046】
酸は、ブレンステッド酸およびそれらの水溶液の意味をもつ。好ましいブレンステッド酸は鉱酸、例えばハロゲン化水素酸、硫酸類、硝酸、リン酸類、ホウ酸もしくはオキシハロゲン酸、特に、HCl、HBr、HI、HF、H
2SO
4、メタンスルホン酸、KHSO
4、HNO
3、HClO
4、H
3PO
4およびH
3BO
3であり、または、非ハロゲン化もしくはハロゲン化C
1-C
22アルカンカルボン酸類、すなわち非置換もしくはお互いに独立して最大5個のF、ClまたはBrのようなハロゲンにより置換されているC
1-C
22アルカンカルボン酸類、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、酪酸、クエン酸、シュウ酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸(カプリン酸)、ドデカン酸(ラウリン酸)、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)もしくはオクタデカン酸(ステアリン酸)がある。これらの中で、好適には非酸化性の酸が選択される。
【0047】
一般的には、酸水溶液の添加が好ましい。酸水溶液の場合、鉱酸を使用する場合の水溶液中のブレンステッド酸の量は、好ましくは5〜80重量%であり、特に好ましくは10〜50重量%である。
【0048】
HCl、H
2SO
4、ギ酸および酢酸はそれらの入手容易性のために好ましく、HCl、H
2SO
4が特に好ましい。
【0049】
酸のモル量は、工程a)で使用する塩基量に対して過剰に使用される。工程a)で使用する塩基量に対する酸のモル比率は1.5〜4.0の範囲が一般的に適しており、好ましくは、1.5〜3.0のモル比率である。
【0050】
工程b)における反応の間、酸は化合物IIおよび化合物IIIaまたはIIIbの縮合生成物を環化して式IVの4-ヒドロキシピラノンを形成するのに役立つ。
【化4】
【0051】
式中、R
1、R
2、R
3およびR
4は上記定義の通りである。
【0052】
本発明方法において、化合物IVは単離されることなく化合物Iである4-ヒドロキシピリジンにその場で転化される。
【0053】
工程b)における反応は、幅広い温度範囲、典型的には-20℃〜150℃で実施することができる。実際的な温度範囲は35〜85℃である。好ましい温度範囲は40〜70℃であり、例えば約60℃である。
【0054】
第2の反応時間は、特に限定されず、典型的には30分〜24時間の範囲であり、好ましくは1時間〜5時間である。好ましい実施形態として、第2の反応時間は、2.5時間よりも長くない。
【0055】
第2の反応時間経過後、反応混合物を少なくとも1種のアンモニア源で処理する。この工程c)において、反応混合物およびアンモニア源はお互いを異なる順序で接触させることができる。しかしながら、一般的には、初めに反応混合物を装填し、アンモニア源を加えることが有利であることが分かっている。
【0056】
アンモニア源は適切にはアンモニア水溶液またはガス状アンモニアのようなアンモニア、塩化アンモニウムまたは臭化アンモニウムのようなハロゲン化アンモニウム、ギ酸アンモニウムまたは酢酸アンモニウムのようなカルボン酸アンモニウムおよび硫酸アンモニウムから選択される。容易に入手できるため、アンモニア水溶液が好ましい。アンモニア水溶液は一般に、10〜40重量%の濃度である。あるいは、ガス状アンモニアをアンモニア源として使用することができる。ガス状アンモニアは、反応混合物中に直接通気するかまたは反応混合物上の気相中に通気することで反応混合物に加える。
【0057】
実施形態によっては、アンモニア源の添加前に溶媒を反応混合物に加える。これらの実施形態の中では、好適には、第1の反応時間の経過後、酸水溶液を反応混合物に添加し、アンモニア源の添加前に、水と混和しない溶媒を反応混合物に添加し、二相の反応混合物を形成する実施形態が選択される。
【0058】
水と混和しない適した溶媒は、酢酸エチル、酢酸プロピルまたはプロピオン酸エチルのようなカルボン酸エステル類、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メチルイソブチルエーテルおよびメチルtert-ブチルエーテル(MTBE)のような開鎖エーテル類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンおよびオクタンのような脂肪族炭化水素類、並びに石油エーテル、塩化メチレン、トリクロロメタン、ジクロロエタンおよびトリクロロエタンのようなハロゲン化脂肪族炭化水素類、シクロペンタンおよびシクロヘキサンのような脂環式炭化水素類並びにトルエン、キシレン類、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン類およびメシチレンのような芳香族炭化水素類を含む。
【0059】
また、このような二相溶媒系は、好適には、少なくとも1つの相間移動触媒も含み得る。適した相間移動触媒は当業者によって十分よく知られており、例えば、有機アンモニウム塩のような荷電系、例えばテトラメチルアンモニウムクロライドもしくはブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロライドもしくはブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライドもしくはブロマイド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライドもしくはブロマイド、メチルトリヘキシルアンモニウムクロライドもしくはブロマイド、メチルトリオクチルアンモニウムクロライドもしくはブロマイドまたはベンジルトリメチルアンモニウム水酸化物(トリトンB)のようなテトラ(C
1-C
18-アルキル)アンモニウムクロライド類もしくはブロマイド類、および、さらに、テトラフェニルホスホニウムクロライドもしくはブロマイド、[(フェニル)
m-(C
1-C
18-アルキル)
n] ホスホニウムクロライド類もしくはブロマイド類(ここでmは1〜3であり、nは3〜1であり、nとmの合計は4である)のようなテトラ(C
1-C
18-アルキル)ホスホニウムクロライド類もしくはブロマイド類、および、さらに、メチルピリジニウムクロライドもしくはブロマイドのようなピリジニウム塩類、並びにクラウンエーテル類もしくはアザクラウンエーテル類のような非荷電系、例えば12-クラウン4、15-クラウン-5、18-クラウン-6、ジベンゾ-18-クラウン6もしくは[2,2,2]-クリプタンド(222-クリプトフィックス)、シクロデキストリン類、[1
4]-メタシクロファン、カリクサ[4]アレンおよびp-tert-ブチル-カリクサ[4]アレンのようなカリクサレン類、およびシクロファン類を含む。
【0060】
工程c)における反応は、幅広い温度範囲、典型的には-20℃〜150℃で実施することができる。実際的な温度範囲は15〜85℃である。好ましい温度範囲は20〜70℃である。
【0061】
アンモニア源の添加後の反応時間は、特に限定されず、典型的には30分〜24時間の範囲であり、好ましくは1時間〜5時間である。
【0062】
得られた反応混合物をワークアップ(後処理)し、化合物Iを通例の方法、例えば水系抽出処理により、例えば減圧下における溶媒除去により、またはこれらの方法を組み合わせることにより単離する。更に、精製は、例えば結晶化、蒸留またはクロマトグラフィーにより実施することができる。
【0063】
4-ヒドロキシピリジン化合物Iを塩素化剤で処理することで、式Vに記載した4-クロロピリジンを生成することができる。
【化5】
【0064】
式中、R
1、R
2、R
3およびR
4は上記定義の通りである。
【0065】
適した塩素化剤は無機または有機酸塩化物、例えば、塩化リン(III)、塩化リン(V)、塩化ホスホリル(オキシ塩化リン)、塩化スルフリル、塩化チオニルおよびホスゲンなどを含み、好ましくは塩化チオニルおよび塩化ホスホリルである。
【0066】
塩素化剤による処理は、希釈剤の添加のないバルクまたは適した希釈剤の存在下のいずれにおいても実施することができる。適した希釈剤は脂肪族、脂環式もしくは芳香族の、場合によりハロゲン化された炭化水素類、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン類、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン類、石油エーテル、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタンおよびジメチルホルムアミド(DMF)など、またはこれらの混合物を含み、特にトルエンおよび1,2-ジクロロベンゼンである。
【0067】
塩素化剤による処理を場合により適した反応助剤の存在下で実施することができる。それらに適したものは、トリエチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、ピリジンもしくは4-ジメチルアミノ-ピリジンのような第三級アミン類、および、さらに、触媒量のDMFもしくはN,N-ジブチルホルムアミドのようなホルムアミド類、または塩化マグネシウムもしくは塩化リチウムのような金属ハロゲン化物である。
【0068】
塩素化剤の処理において、反応温度を比較的広い範囲内で変えることができる。一般的には、反応を0℃〜200℃の温度で実施し、好ましくは、10℃〜180℃、特には30℃〜120℃で実施する。
【実施例1】
【0070】
ナトリウムメチラート(90g、30重量%、0.5mol)のメタノール溶液を50mlのN-メチルピロリドン(NMP)に溶解した。4-メトキシ-3-ブテン-2-オン(10.2g、0.1mol)およびメチルパーフルオロ-プロピオネート(21.4g、0.12mol)を滴下添加し、混合物をさらに48時間室温で撹拌した。その後、反応混合物を水で加水分解し、pHを濃塩酸で4に調整した。生成物をメチルtert-ブチルエーテル(MTBE)で抽出し、2回水で洗浄した。有機相を濃縮後、2-パーフルオロエチルピラン-4-オンを含む19gの粗生成物を得た。(HPLC純度82%、収率:73%)
【実施例2】
【0071】
ナトリウムメチラート(16.2g、30重量%、0.09mol)のメタノール溶液を50mlのNMPに溶解した。4-メトキシ-3-ブテン-2-オン(6.3g、0.06mol)およびメチル2,2,3,3-テトラフルオロプロプリオネート(12.09g、0.08mol)を滴下添加し、混合物をさらに48時間室温で撹拌した。その後、反応混合物を水で加水分解し、pHを濃塩酸で4に調整した。生成物をMTBEで抽出し、2回水で洗浄した。有機相を濃縮後、2-(2,2,3,3-テトラフルオロエチル)-ピラン-4-オンを含む6.3gの粗生成物を得た。(HPLC純度96%、収率:51%)
【実施例3】
【0072】
ナトリウムメチラート(11.3g、30重量%、0.06mol)のメタノール溶液を50mlのNMPに溶解した。4-メトキシ-3-ブテン-2-オン(4.2g、0.04mol)およびエチル2,2-ジフルオロプロプリオネート(7.0g、0.05mol)を滴下添加し、混合物をさらに48時間室温で撹拌した。その後、反応混合物を水で加水分解し、pHを濃塩酸で4に調整した。生成物をMTBEで抽出し、2回水で洗浄した。有機相を濃縮後、2-(2,2-ジフルオロエチル)-ピラン-4-オンを含む4.0gの粗生成物を得た。(HPLC純度92%、収率:57%)
【実施例4】
【0073】
ナトリウムメチラート(19.7g、30重量%、0.11mol)のメタノール溶液を30mlのNMPに溶解した。4-メトキシ-3-ブテン-2-オン(2.2g、0.02mol)およびメチル2,2,3,3-テトラフルオロ-3-メトキシ-プロプリオネート(5.01g、0.03mol)を滴下添加し、混合物をさらに48時間室温で撹拌した。その後、反応混合物を水で加水分解し、pHを濃塩酸で4に調整した。生成物をMTBEで抽出し、2回水で洗浄した。有機相を濃縮後、2-(2,2,3,3-テトラフルオロ-3-メトキシ-エチル)-ピラン-4-オンを含む5.5gの粗生成物を得た。(HPLC純度78%、収率:95%)
【実施例5】
【0074】
ナトリウムメチラート(36.9g、30重量%、0.2mol)のメタノール溶液を150mlのNMPに溶解した。4-メトキシ-3-ブテン-2-オン(13.6g、0.14mol)およびエチルパーフルオロブチレート(39.5g、0.16mol)を滴下添加し、混合物をさらに48時間室温で撹拌した。その後、反応混合物を水で加水分解し、pHを濃塩酸で4に調整した。生成物をMTBEで抽出し、2回水で洗浄した。有機相を濃縮後、2-パーフルオロプロピルピラン-4-オンを含む13gの粗生成物を得た。(HPLC純度93%、収率:33%)
【実施例6】
【0075】
4,4-ジメトキシブタノン(20.0g、0.13mol)およびエチルトリフルオロアセテート(28.7g、0.2mol)を三つ口フラスコに装填した。ナトリウムメチラート(30重量%、38ml、0.2mol)のメタノール溶液を0.5時間以内に加え、混合物をさらに0.5時間60℃で撹拌した。その後、塩酸(10重量%、146ml、0.400mol)を添加した。反応混合物が暗赤色に変化した。反応混合物を約2.5時間60〜40℃で撹拌した。
【0076】
その後、アンモニア水(25重量%、45.3ml、0.67mol)を10分以内に40〜50℃で加え、混合物を約18時間50〜22℃で撹拌した。
【0077】
メタノールをロータリーエバポレーターにより反応混合物から除去した。残留物に200gの水および200gのMTBEを加え、混合物を15分間撹拌した。有機相を分離し、水相を50gのMTBEで抽出した。集めた有機相を蒸発させると、4-ヒドロキシ-2-トリフルオロメチルピリジンを85.8重量%含む暗色の油(20.8g)が生成した(収率:82%)。
【実施例7】
【0078】
4-ヒドロキシ-2-トリフルオロメチルピリジン(6.4g、39mmol)を1,2-ジクロロベンゼン(64g)に溶解した。塩化チオニル(23.2g、195mmol)およびDMF(10滴)を反応混合物に加え、その後70〜80℃に加熱した。約2時間後、反応が完了し、過剰の塩化チオニルを高温で除去した。目的の生成物を減圧下(50℃、15mbar)で蒸留し、4-クロロ-2-トリフルオロメチル-ピリジン(6.5g、36mmol、収率:92%)を得た。必要に応じて、残っているDMFを、水性処理を使用して除去した。
本発明は以下の発明を包含する。
(1)式Iの4-ヒドロキシピリジン類の製造方法であり、
【化6】
式中、
R1は、水素、C1-C4-アルキル、C1-C4-ハロアルキル、アリールまたはヘタリールであり、ここで、最後に述べた2つのラジカルは、非置換またはハロゲン、C1-C4-アルキル、C1-C4-ハロアルキル、C1-C4-アルコキシおよびC1-C4-ハロアルコキシから選択される1、2、3もしくは4つの置換基により置換されており、
R2、R3およびR4は、独立して、水素、C1-C4-アルキル、C1-C4-ハロアルキル、NR5R6またはアリールであり、ここでアリールは非置換またはハロゲン、C1-C4-アルキル、C1-C4-ハロアルキル、C1-C4-アルコキシおよびC1-C4-ハロアルコキシから選択される1、2、3もしくは4つの置換基により置換されており、
または、ラジカルR3およびR4は、それらが結合している炭素原子と一緒に飽和、部分的不飽和もしくは最大不飽和である3-、4-、5-、6-もしくは7-員炭素環または環の一部分としてO、SおよびNから選択される1、2もしくは3のヘテロ原子を含む飽和、部分的不飽和もしくは最大不飽和である3-、4-、5-、6-もしくは7-員複素環を形成し、ここで炭素環または複素環は非置換またはハロゲン、C1-C4-アルキル、C1-C4-ハロアルキル、C1-C4-アルコキシおよびC1-C4-ハロアルコキシから選択される1、2、3もしくは4つの置換基により置換されており、
R5は、水素、C1-C4-アルキルまたはC1-C4-ハロアルキルであり、
R6は、水素、C1-C4-アルキル、C1-C4-ハロアルキル、フェニルおよびフェニル-C1-C4-アルキルであり、
またはR5およびR6は一緒に直鎖C4-もしくはC5-アルキレンブリッジまたは-CH2CH2OCH2CH2-基もしくは-CH2CH2NR7CH2CH2-基を形成し、
R7は水素またはC1-C4-アルキルである。
上記方法は、
a)式IIの化合物を、式IIIaまたはIIIbの化合物およびアルカリ金属メチラートおよびアルカリ金属エチラートから選択される少なくとも1つの塩基と混合して、反応混合物を形成し、
【化7】
式中、R1は上記定義の通りであり、
XはハロゲンまたはC1-C4-アルコキシであり、
【化8】
式中R2、R3、R4は上記定義の通りであり、
Yは独立してハロゲンまたはC1-C4-アルコキシであり、
または式IIIaの化合物中の2つのラジカルYは一緒に-O-(CH2)n-O-基を形成し、ここでアルカンジイル部分-(CH2)n-は非置換またはハロゲンおよびC1-C4-アルキルから選択される1、2もしくは3つの置換基で置換されており、
nは2、3または4である。
b)第1の反応時間経過後、反応混合物を少なくとも1つの酸で処理し、
c)第2の反応時間経過後、反応混合物を少なくとも1つのアンモニア源で処理する、
上記工程を含む、前記製造方法。
(2)塩基をアルカリ金属メチラートから選択する、上記(1)に記載の方法。
(3)塩基がナトリウムメチラートである、上記(2)に記載の方法。
(4)塩基を一価のC1-C4-アルコールに溶解する、上記(1)から(3)のいずれかに記載の方法。
(5)一価のC1-C4-アルコールがメタノールである、上記(4)に記載の方法。
(6)式IIIaの化合物を使用する、上記(1)から(5)のいずれかに記載の方法。
(7)工程a)、b)およびc)において、いずれの中間化合物も単離することなく実施する、上記(1)から(6)のいずれかに記載の方法。
(8)酸を鉱酸から選択する、上記(1)から(7)のいずれかに記載の方法。
(9)アンモニア源をアンモニア水溶液、ハロゲン化アンモニウム、カルボン酸アンモニウムおよび硫酸アンモニウムから選択する、上記(1)から(8)のいずれかに記載の方法。
(10)R1が水素、C1-C4-アルキルまたはC1-C4-ハロアルキルである、上記(1)から(9)のいずれかに記載の方法。
(11)R1がC1-C4-パーハロアルキルである、上記(10)に記載の方法。
(12)R2、R3、R4が水素、C1-C4-アルキルまたはC1-C4-ハロアルキルである、上記(1)から(11)のいずれかに記載の方法。
(13)R2、R3、R4が水素である、上記(12)に記載の方法。
(14)化合物Iを塩素化剤で処理することで、式Vの4-クロロピリジンを生成することをさらに含む、上記(1)から(13)のいずれかに記載の方法。
【化9】
式中、R1、R2、R3およびR4は上記(1)で定義した通りである。
(15)塩素化剤が塩化チオニルまたは塩化ホスホリルである、上記(14)に記載の方法。