(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は上述の図面を参照しつつより詳細に記載される。なお、これらの図面は、本発明の理解を容易にすると共に図面の記載を簡略化するために、実際の構成要素の大きさ、縮尺、形状と同一に描かれていない場合があることに留意されたい。
【0019】
(第一の実施形態)
これより、本発明の第一の実施形態について説明する。第一の実施形態に係る、吸収性物品用の吸収体を製造する方法では、
図1に示す吸収体製造システム10が用いられ、その結果物として、
図2〜5に示す吸収体1を得ることができる。
【0020】
図2及び
図3を参照すると、第一の実施形態に係る製造方法の結果物たる吸収体1は、長手方向LD及び長手方向LDに直交する短手方向SDを有する略小判形状を有しており、平面視によって視認することのできる第一の面FFと、第一の面FFの反対側の第二の面FSとを有する。吸収体1は、第二の面FS側に位置する積繊体3と、第一の面FF側に位置するカバーシート5とを含む。また、第一の実施形態では、
図2に示すように、吸収体1の短手方向SDにおいて、カバーシート5の寸法は、積繊体3の寸法よりも小さい。なお、第一の実施形態に係る方法によって製造される吸収体1は、生理用ナプキンの製造に使用されるものである。
【0021】
これより、
図1に示す吸収体製造システム10について詳細に説明する。
図1に示す吸収体製造システム10では、いわゆる「縦流し」製法が採用されており、つまり吸収体1の長手方向LDが、個々に切断することによって吸収体1となる吸収体半製品1wの搬送方向MDと一致する。
【0022】
吸収体製造システム10は、周面11sにおいてセルロース系吸水性繊維3cを堆積させて積繊体3を形成するサクションドラム11と、サクションドラム11の周面11sに繊維をガイドするダクト13と、積繊体3と積層されるカバーシート5を繰り出すカバーシート繰出部15とを有する、カバーシート5に積繊体3を積層させて吸収体半製品1wを形成する吸収体半製品形成工程を行う吸収体半製品形成装置16を備える。吸収体製造システム10はさらに、吸収体半製品1wに対してエンボス部7を形成するエンボス工程を行うエンボス装置17と、吸収体半製品1wに対して切り込み9を入れるカット工程を行うカット装置19と、吸収体半製品1wを切断して個々の吸収体1を形成する切断工程を行う切断装置21とを備える。
【0023】
サクションドラム11は、開繊されたセルロース系吸水性繊維3cがダクト13を介して上方から供給される周面11sを有する。サクションドラム11の周面11sには、積繊体3の短手方向SDの寸法に対応した幅を有しかつ周面11sの周方向に延びる溝11gが形成されている。溝11gの底面には、ダクト13によって覆われているサクション区域SZにおいてサクションドラム11の外部がサクションドラム11の内部と連通するように、セルロース系吸水性繊維3cを吸入しない程度の大きさの径を有する多数の小孔(図示しない)が設けられている。サクションドラム11の内部に対して、ブロワや真空ポンプなどのサクションドラム11内部の空気を排出する排気装置(図示しない)が接続されており、サクションドラム11の内部が負圧にされている。それにより、サクションドラム11の吸引作用によって、ダクト13上方から供給されたセルロース系吸水性繊維3cが、サクションドラム11の溝11g内に吸着されて堆積することができる。
【0024】
ダクト13は、鉛直方向に延びる中空のものであって、その内部上方から開繊されたセルロース系吸水性繊維3cが供給される。また、ダクト13には、ダクト13の内部に開口する高吸収性材料供給部13pが設けられており、高吸収性材料供給部13pからサクションドラム11の周面11sに、セルロース系吸水性繊維3cと一緒に、所望の分量の高吸収性材料SAを供給することができる。
【0025】
カバーシート繰出部15は、第一の実施形態では、サクションドラム11において積繊体3が形成されるのと並行して、カバーシート5を繰り出すことができ、当該カバーシート5は搬送方向MDに搬送される。
【0026】
そして、
図1に示す構成により、吸収体半製品形成装置16は、カバーシート5の上に、サクションドラム11の周面11sから積繊体3を積層することができる。その結果、吸収体半製品1wが形成されて、吸収体半製品1wがその後の工程に向けて搬送される。
【0027】
このような構成により、吸収体半製品1wの下面が吸収体1のカバーシート5が位置する第一の面FFに対応し、吸収体半製品1wの上面が吸収体1の第一の面FFの反対側の第二の面FSに対応する。よってここで、吸収体半製品1wについても、カバーシート5が位置する側の面(
図1では下面)を第一の面FFと、第一の面FFの反対側の面(
図1では上面)を第二の面FSと定義する。
【0028】
エンボス装置17は、上側にアンビルロール17aと、下側にエンボスロール17eとを備える。エンボスロール17eは、その周面から半径方向外側に突出する突起17epを有する、全体的に略円柱形のロールである。突起17epは、
図6に示すように千鳥状に設けられており、吸収体1には、
図2及び
図3に示すように、前記突起17epに対応する位置にエンボス部7が設けられる。また、アンビルロール17aは、滑らかな周面を有する、全体的に略円柱形のロールである。エンボス装置17は、吸収体半製品1wをアンビルロール17aとエンボスロール17eとの間に挿入させて、吸収体半製品1wの下面に、つまりカバーシート5に突起17epを押し当てて圧搾することにより、吸収体半製品1wにエンボス部7を形成することができる。
【0029】
突起17epは各々、全体的に略円筒形形状をしており、その結果、第一の実施形態では、吸収体1においてエンボス部7のそれぞれはドット形状を有する。しかしながら、エンボスロール17eの突起17epの形状は、特に制限されず、各突起17epの形状としては、例えば、吸収体1に点状の又は線状のエンボス部を形成するように決定することができる。上記点状のエンボス部としては、ドット形状以外にも、例えば、円形、楕円形、矩形、三角形、星形、ハート形等が挙げられる。さらに、突起17epの配置は、特に制限されず、第一の実施形態のように千鳥状、特に、角千鳥状、60°千鳥状等の配置で配置することができる。
【0030】
カット装置19は、上側にアンビルロール19aと、下側にカッタロール19cとを備える。カッタロール19cは、その周面から半径方向外側にそれぞれ突出しかつカッタロール19cの略幅方向にそれぞれ延びる刃19cbを、
図7に示すような配置で有する、全体的に略円柱形のロールである。また、アンビルロール19aは、滑らかな周面を有する、全体的に略円柱形のロールである。カット工程では、吸収体半製品1wをアンビルロール19aとカッタロール19cとの間に挿入させて、吸収体半製品1wの第一の面FFに刃19cbを押し当てて、吸収体半製品1wを、第一の実施形態ではカバーシート5を押し切ることにより、吸収体半製品1wに切り込みを入れることが可能となっている。
【0031】
第一の実施形態では、カッタロール19cの周面からの刃19cbの突出高さと、アンビルロール19a及びカッタロール19cの軸間距離とは、できるだけ積繊体3に切り込みが入らず、カバーシート5を確実に貫通するように調節されている。上述の突出高さ及び軸間距離は、吸収体半製品1wの厚さ、カバーシート5の材料などによって異なるが、切り込みを入れるときの、それぞれの刃19cbの刃先とアンビルロール19aの周面との距離が、好ましくは5〜200μm、より好ましくは10〜150μm、さらに好ましくは30〜100μmになるように決定される。
【0032】
また、第一の実施形態では、刃19cbは、カッタロール19cの略幅方向に延びる直線状の形状をしているが、本発明はこれに限定されない。例えば、吸収体半製品1wに対して、波線状、十字状、その他の任意の形状に切り込み9を入れることができるように、カッタロール19cの周面上において刃19cbの形状を画定することができる。また、複雑な形状の切り込み9を吸収体半製品1wに入れるために、複数のカット装置19を設けて、吸収体半製品1wに切り込みを複数回入れてもよい。
【0033】
切断装置21は、吸収体半製品1wを、
図2及び
図3に示すような吸収体1の形状になるようにそれぞれ切り分けることができるような形状の刃を外周面に有するカッタロールと、滑らかな周面を有するアンビルロールとを備える。
【0034】
次に、上記構成を有する吸収体製造システム10を用いて、第一の実施形態に係る製造方法を実施する場合について説明する。第一の実施形態に係る製造方法は、開繊工程、積繊体形成工程及びカバーシート繰り出し工程、吸収体半製品形成工程、エンボス工程、カット工程、並びに切断工程を含む。
【0035】
まず、特に図示はしていないが、例えばセルロース系吸水性繊維3cから形成されるシートなどを、カード機などの開繊機によって開繊して、開繊したセルロース系吸水性繊維3cを、ダクト13を介してサクションドラム11の周面11sに供給する開繊工程が行われる。このとき、開繊したセルロース系吸水性繊維3cの供給量は、積繊体3が所望の坪量となるように調節される。またこのとき、第一の実施形態では、セルロース系吸水性繊維3cと一緒に、所定の量の高吸収性材料SAが高吸収性材料供給部13pから供給される。
【0036】
次に、サクションドラム11の周面11sに供給されたセルロース系吸水性繊維3cを、当該周面11sにサクションドラム11の上記吸引作用により吸着させて、周面11sに形成されている溝11g内に堆積させる積繊体形成工程が行われる。このとき、堆積したセルロース系吸水性繊維3cが吸引力によって互いに交絡して、セルロース系吸水性繊維3c同士が一定の結合力を持つことになる。
【0037】
セルロース系吸水性繊維としては、パルプ、例えば、針葉樹又は広葉樹を原料として得られる木材パルプ、バガス、ケナフ、竹、麻、綿(例えば、コットンリンター)等の非木材パルプ;レーヨン繊維等の再生セルロース繊維;アセテート繊維等の半合成繊維等が挙げられる。上記パルプとしては、工業的に安価に得られ且つ安全性が高いクラフトパルプが好ましい。
【0038】
また、第一の実施形態では、高吸収性材料SAは、積繊体3の総質量の、好ましくは約5〜約80質量%、より好ましくは約10〜約60質量%、そしてさらに好ましくは約20〜約40質量%の範囲で、積繊体3に含まれる。高吸水性材料としては、例えば、デンプン系、セルロース系、合成ポリマー系の高吸水性材料が挙げられる。
【0039】
さらに、積繊体形成工程と並行して、カバーシート繰出部15から搬送方向MDにカバーシート5を繰り出す、カバーシート繰り出し工程が行われる。
【0040】
第一の実施形態では、カバーシート5には、ポリオレフィン系繊維(例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等)やポリエステル系繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート等)などの合成繊維からなる不織布などの液透過性シートが用いられる。しかしながら、第一の実施形態において、カバーシート5は、経血等の体液を透過させることができるものであれば特に制限されず、上述の不織布以外にも、プラスチックフィルムや織布等の任意のシート材料を用いることができる。
【0041】
カバーシート5が不織布や織布などの繊維構造体からなる場合、こうした繊維構造体の坪量は特に制限されないが、液透過性や柔軟性、強度などの観点から、好ましくは約10g/m
2〜約70g/m
2であり、更に好ましくは約20g/m
2〜約40g/m
2である。また、カバーシート5の厚さについても特に制限されないが、上記と同様の観点から、好ましくは約0.1mm〜約5.0mmであり、更に好ましくは約0.2mm〜約2.0mmである。
【0042】
次に、搬送方向MDに搬送されているカバーシート5上に、積繊体3を積層することによって、吸収体半製品1wを形成する吸収体半製品形成工程が行われる。なお、カバーシート5の上に積繊体3を積層させる箇所において、サクションドラム11は、積繊体3を吸引しないように構成されており、積繊体3はその自重によってカバーシート5上に積層されることになる。これにより、第一の実施形態において、吸収体1に使用される全ての構成要素が揃い、これ以降、吸収体半製品1wを加工する工程に移る。
【0043】
次に、吸収体半製品1wをエンボス装置17に、具体的にはアンビルロール17aとエンボスロール17eとの間に挿入して、吸収体半製品1wの第一の面FFにエンボスロール17eの突起17epを押し当てて圧搾することによって、吸収体半製品1wにエンボス部7を形成するエンボス工程が行われる。エンボス部7は、
図4に示されるように、吸収体1の第一の面FF及び第二の面FSにおいて凹んだ形状となり、繊維3cが凝縮していることから、その他の圧搾されていない部分と比較して固くなり、かつ繊維3cが動きにくくなる。
【0044】
エンボスロール17e及びアンビルロール17aは、吸収体半製品1wにエンボス部7を形成しやすいように加熱されており、加熱温度は、通常約80〜約160℃、好ましくは約120〜約160℃である。エンボス装置17によって吸収体半製品1wのエンボス部7になる部分に付与される圧力は通常、約10〜約3000N/mm、好ましくは約50〜約500N/mmであり、加圧時間は通常約0.0001〜約5秒、好ましくは約0.005〜約2秒である。
【0045】
また、吸収体1の面積に対するエンボス部7の面積率は、好ましくは約1〜約20%、より好ましくは約2〜約15%、そしてさらに好ましくは約3〜約10%である。上記面積率が約1%を下回ると、後述するエンボス部7の作用が現れにくい傾向があり、そして上記面積率が約10%を上回ると、着用者が吸収体に固さを感じる傾向がある。なお、「吸収体の面積」及び「エンボス部の面積」は、吸収体を平面視した際の面積を意味する。
【0046】
さらに、各エンボス部7の面積は、好ましくは0.1〜20.0mm
2、より好ましくは1.0〜15.0mm
2、そしてさらに好ましくは2.0〜10.0mm
2の面積を有する。上記面積が0.1mm
2を下回ると、エンボスロール17eの突起17epが鋭角となり、吸収体1が破れる場合があり、そして上記面積が20.0mm
2を上回ると、吸収体1が固くなりすぎる傾向がある。
【0047】
次に、吸収体半製品1wをカット装置19に、具体的にはアンビルロール19aとカッタロール19cとの間に挿入して、吸収体半製品1wの第一の面FFにカッタロール19cの刃19cbを押し当てて、吸収体半製品1wを、第一の実施形態ではカバーシート5を押し切るように切り込み9を入れるカット工程が行われる。上述のカッタロール19cの刃19cbの配置及び形状により、
図2に示すように、吸収体1には千鳥状に切り込み9が入れられ、それぞれの切り込み9は、吸収体1の略短手方向SDに延びる直線状の形状をしている。また
図5に示すように、切り込み9はカバーシート5をちょうど貫通するような深さで入れられている。そして、第一の実施形態におけるカット工程では、
図2に示すようにエンボス部7以外の部分、ひいてはエンボス部7同士の間に入れられており、カバーシート5の周縁5pにも入れられている。しかしながら、切り込み9は、その一部がエンボス部7に入れられていてもよい。
【0048】
そして最後に、切断装置21を用いて、吸収体半製品1wを、
図2及び
図3に示す吸収体1の形状になるように切断する切断工程を行う。これにより、吸収体1の製造が完了する。
【0049】
これより、第一の実施形態に係る吸収性物品用の吸収体1を製造する方法及び当該方法によって製造された吸収体1の作用効果について説明する。
【0050】
(1)吸収体半製品1wにおいて、エンボス工程が行われてエンボス部7が形成されていることによって、エンボス部7において圧搾された繊維が動きにくくなっていることにより、着用時に吸収体1がヨレ難い。その上で、吸収体1は、第一の実施形態ではカバーシート5が設けられている第一の面FF側から切り込み9がカバーシート5を貫通するように入れられていることにより、通常は積繊体3よりも変形しにくいカバーシート5が伸びやすく、ひいては変形し易くなり、吸収体1が着用時に着用者の体型にフィットする柔軟性を有する。
【0051】
(2)搬送する際に、セルロース系吸水性繊維3cを積繊したままの積繊体3のみでは、搬送の張力に耐えられず搬送中に裂けてしまうおそれがあるが、第一の実施形態では、積繊体3は、積繊体3よりも引張強度の高いカバーシート5の上に積層され、共に後工程に搬送されるので、吸収体半製品1wの搬送が容易である。
【0052】
(3)第一の実施形態では、カバーシート5の周縁5pに切り込み9が入れられていることから、周縁5p付近の切り込み9によって細分化された部分5sが個々に動くことができるため、カバーシート5の周縁5p付近の部分が変形し易くなる。さらに、
図2に示すように、吸収体1の短手方向SDにおいて、カバーシート5の寸法は、積繊体3の寸法よりも小さく、吸収体1の短手方向SDの端部までカバーシート5が至っていないことから、吸収体1の短手方向SDの端部では、他の部分に比べて変形し易い。その結果、吸収性物品を、吸収性物品の着用時に着用者の体型によりフィットさせることができる。また、本実施形態における積繊体3及びカバーシート5の上記寸法関係とは逆に、吸収体1の短手方向SDにおいて、カバーシート5の寸法が積繊体3の寸法よりも大きいと、カット工程の際にカバーシート5の周縁5p付近の部分を積繊体3が支持しないことから、カバーシート5の周縁5p付近の部分に切り込み9を入れることが困難となる。しかしながら、本実施形態では、積繊体3及びカバーシート5の上記寸法関係により、カット工程の際にカバーシート5の周縁5p付近の部分を積繊体3が支持することから、カバーシート5の周縁5pに確実に切り込み9を入れることができる。
【0053】
(4)第一の実施形態では、切り込み9は、カバーシート5を貫通するが、できるだけ積繊体3に入らないように入れられており、つまり吸収体1の第二の面FSに達しないように入れられている。吸収体1に含まれる積繊体3を、吸収体1の厚さ方向に完全に切断してしまうと、切り離された部分同士の間では、吸収した経血などの体液を移動させることができず、吸収体1の吸収性能を低下させてしまうおそれがあるが、第一の実施形態では、切り込み9部分においても積繊体3は切断されずつながっているので、吸収体1の吸収性能の低下を抑制することができる。
【0054】
(5)第一の実施形態では、エンボス部7はそれぞれドット状の形状を有しており、ひいては吸収体1の長手方向LDに不連続に形成されている。つまり、吸収体1には、吸収体1の長手方向LDの全体にわたって延在するエンボス部が形成されていない。これにより、吸収性物品の着用時に、上述のように固くなっているエンボス部7がない部分が吸収体1の長手方向LDのいずれかの箇所に存在し、当該箇所ではより変形し易いため、吸収体1が全体的に変形し易くなり、その結果、吸収性物品を、吸収性物品の着用時に着用者の体型にフィットさせることができる。
【0055】
(6)第一の実施形態では、切り込み9がエンボス部7同士の間に形成されている。これにより、上述のように吸収体1のエンボス部7以外の変形し易い箇所をさらに変形し易くすることができる。その結果、吸収性物品を、吸収性物品の着用時に着用者の体型にさらにフィットさせることができる。
【0056】
(7)第一の実施形態では、カット工程はエンボス工程の後に行われる。これにより、エンボス工程によって吸収体半製品1wを構成する繊維を圧搾して動きにくくすることにより、吸収体半製品1wをヨレにくくした上で、カット工程を行うことによって、切り込み9を入れるときの吸収体半製品1wの動きを抑制するので、所望の箇所に切り込み9を入れることができる。
【0057】
第一の実施形態では、積繊体3をカバーシート5と積層したが、別の実施形態では、積繊体3が積繊体3を構成する繊維同士の交絡によって搬送の張力に耐えることができる十分な引張強度を有し、カバーシート5を使用せずに、積繊体3を搬送することによって、その後のエンボス工程、カット工程などを行う。その結果、当該別の実施形態では、吸収体1はカバーシート5を含まず、積繊体3のみによって構成される。このとき、切り込み9は、積繊体3の厚さ方向の途中まで入れられることになる。この場合においても、エンボス工程において、エンボスロール17eの突起17epを押し当てられて、第二の面FS側よりも全体的に固くなっている第一の面FF側に、カット工程において切り込み9を入れることにより、吸収体1が着用者の体型に沿って変形し易くなるので好ましい。
【0058】
第一の実施形態では、切り込み9はカバーシート5の周縁5pにも入れられているが、別の実施形態では、切り込み9は、周縁5p以外の箇所に入れられる。つまり、当該別の実施形態に係る吸収体1では、カバーシート5の端部は切れていない。このようにすると、カバーシート5の周縁5p付近の部分が一体化され、吸収体1の製造中にカバーシート5が部分的にがめくれて折れ曲がることを抑制して、吸収性物品の外観を損ねてしまうことを防ぐことができる。なお、吸収性物品では、吸収体1が、ひいてはカバーシート5がトップシート等の別のシートによって覆われることになるが、この場合においても、当該別のシートが透けることによって、カバーシート5がめくれていることをユーザが視認できる場合があることに留意されたい。
【0059】
第一の実施形態では、切り込み9は、
図5に示すように、カバーシート5のみを切断するような深さで、つまり吸収体1の第二の面FSに達しないように入れられている。別の実施形態では、切り込み9は、積繊体3の厚さ方向の途中まで切断するように入れられている。さらに別の実施形態では、切り込み9は、吸収体1を貫通するように入れられている。このように、切り込み9を深く入れることにより、吸収体1をより変形し易くすることができ、ひいては吸収体1のフィット性をさらに向上させることができる。
【0060】
第一の実施形態では、エンボス部7は千鳥状に配置されており、ひいては、吸収体1の長手方向LDに不連続に形成されているが、別の実施形態では、吸収体1の長手方向LDの一端から他端まで連続して形成されている。これにより、吸収体1をさらにヨレにくくすることができる。
【0061】
第一の実施形態では、吸収体1には、ドット形状のエンボス部7が複数設けられているが、別の実施形態では、吸収体1には、例えば線状の1つのみエンボス部7が設けられている。
【0062】
第一の実施形態では、カット工程はエンボス工程の後に行われるが、別の実施形態では、カット工程はエンボス工程の前に行われる。
【0063】
第一の実施形態では、エンボス部7は、アンビルロール17a及びエンボスロール17eからなるエンボス装置17によって形成されたが、本発明はこれに制限されない。例えば、エンボス部7は、吸収体半製品1wを間欠搬送して、エンボスプレス機を用いて形成されてもよい。
【0064】
第一の実施形態では、切り込み9は、アンビルロール19a及びカッタロール19cからなるカット装置19によって入れられたが、本発明はこれに制限されない。例えば、切り込み9は、回転刃や、レーザーカッタなどによって入れられてもよい。
【0065】
第一の実施形態では、エンボス工程の後にカット工程を行ったが、別の実施形態ではカット工程の後にエンボス工程を行う。
【0066】
(第二の実施形態)
これより、本発明の第二の実施形態に係る、吸収性物品用の吸収体の製造方法について図面に基づいて説明する。第二の実施形態については、第一の実施形態との差異点について主に説明する。また、第一の実施形態における第二の実施形態との差異点以外の構成は、第二の実施形態に適用可能であり、当業者は自明の範囲内でこれら構成要素を任意に組み合わせることができることに留意されたい。第一の実施形態では、積繊体3の材料にセルロース系吸水性繊維3cのみを使用したが、第二の実施形態では、積繊体3の材料には、セルロース系吸水性繊維3cに熱可塑性樹脂繊維3tを混合させたものを用い、セルロース系吸水性繊維3c及び熱可塑性樹脂繊維3tを所望の比率に混合するように開繊する混合開繊工程を、第一の実施形態に係る製造方法の前記開繊工程の代わりに含む点で、第一の実施形態と異なる。
【0067】
これより、
図8に示されている、前記混合開繊工程を行う混合装置101について説明する。第二の実施形態に係る混合装置101は、積繊体3を構成する繊維3c、3tからウェブ102を形成するウェブ形成装置103を備えている。さらに、前記ウェブ形成装置103から連続的に供給されたウェブ102を開繊して、前記ダクト13を介して前記サクションドラム11の周面11sに供給される繊維3c、3tを形成する開繊装置105とを備えている。
また、前記ウェブ形成装置103と開繊装置105との間には、該ウェブ形成装置103で形成されたウェブ102の少なくとも幅方向の一部を該ウェブ102の全長にわたって厚さ方向に圧縮する圧縮装置110が配設されている。
【0068】
図8に示すように、前記ウェブ形成装置103は、積繊体3を構成する繊維3c、3tを少なくとも1つ含有する複数の繊維群を、予め定めた割合でそれぞれ積層して、一定の厚さの前記ウェブ102を熱融着することなく形成するものである。具体的に、このウェブ形成装置103は、軸線回りに回転自在の複数のサクションドラム131,132と、これらの各サクションドラム131,132の外周面に前記複数の繊維群のうちの少なくとも1つの繊維群をそれぞれ供給する繊維群供給装置133,134とを有している。さらに、前記ウェブ形成装置103は、形成されたウェブ102を前記サクションドラム132の外周面から引き剥がして搬送するウェブ引き剥がし装置120を備えている。
【0069】
この実施形態においては、相反する方向に同じ周速で回転する上下一対の第1サクションドラム131及び第2サクションドラム132を有していて、該第1サクションドラム131に対しては第1の繊維群供給装置133が、第2サクションドラム132に対しては第2の繊維群供給装置134がそれぞれ設けられている。
また、前記第1の繊維群供給装置133は、第1サクションドラム131に対して第1の繊維群を、前記第2の繊維群供給装置134は第2サクションドラム132に第2の繊維群をそれぞれ供給する構成となっていて、この実施の形態の場合、第1の繊維群はセルロース系吸水性繊維3c、第2の繊維群は熱可塑性樹脂繊維3tである。
【0070】
前記第1及び第2サクションドラム131,132は、第1及び第2の繊維群供給装置133,134からそれぞれ供給された第1及び第2の繊維群を回転しながら吸引して該第1及び第2の繊維群をそれぞれの外周面に吸付かせることにより、それらの第1及び第2の繊維群を予め定めた厚さにまで積繊した、帯状の第1及び第2の積繊体をそれぞれ形成するもので、略円柱状に形成されている。
【0071】
これらの第1及び第2サクションドラム131,132は、外周面が、複数の吸引孔(図示しない)が穿設されたメッシュ状に形成されていて、サクションドラム131,132の内方側から吸引力を加えることにより外周面に前記繊維群を吸着して一定の厚さまで積繊させることが可能となっている。これにより、第1のサクションドラムは第1の積繊体135を、第2のサクションドラムは第2の積繊体136をそれぞれ形成する。また、前記第1及び第2サクションドラム131,132は、各々回転しながら第1及び第2の繊維群をそれぞれ吸引しているため、回転中においては、これらの第1及び第2の繊維群がそれぞれの外周面に沿って積繊され続け、結果として第1及び第2の積繊体135,136は、長さ方向に向けて連続的に延設されることとなる。
【0072】
さらに、前記第1及び第2サクションドラム131,132は、外周面において第1及び第2の繊維群を吸引する吸引範囲をそれぞれ設定することが可能となっている。即ち、第1及び第2サクションドラム131,132が回転している間において、その回転に伴って該吸引範囲内に入った吸引孔のみに順次吸引力を付与する一方で、吸引範囲外に出た吸引孔については吸引力の付与を停止して前記繊維群を吸引できなくすることができるようになっている。
これらの第1及び第2サクションドラム131,132における各吸引範囲については、前記第1及び第2の繊維群供給装置133,134が第1及び第2の繊維群を供給する範囲、及び前記第1及び第2の繊維群供給装置133,134における後述する繊維群供給路137,138の開口137a,138aの位置や、第1及び第2サクションドラム131,132の間に形成される後述のギャップ119の位置に応じて設定される。
【0073】
具体的に、前記第1サクションドラム131については、
図8に示すように、前記繊維群供給路137の開口137aの上端側に対向する位置から、前記ギャップ119が形成されている位置の手前(ギャップ119の入口側)の位置までの間の範囲を吸引範囲A
1としている。
前記第2サクションドラムについては、同じく
図8に示すように、前記繊維群供給路138の開口138aの下端側に対向する位置から、前記ギャップ119が形成されている位置を過ぎた位置(ギャップ119の出口側)までの範囲を吸引範囲A
2としている。
【0074】
ところで、
図8に示すように、前記第1及び第2サクションドラム131,132は、該第1サクションドラム131の外周面と第2サクションドラム132の外周面同士が対向し、且つこれらの外周面が最も接近している位置において、両外周面の間に前記ギャップ119(隙間)が形成されるようにそれぞれ配設されている。
そして、前記ギャップ119内において前記第1及び第2のサクションドラム131,132の外周面に形成された第1及び第2の積繊体135,136を相互に重ね合わせて一体化し、これにより前記ウェブ102を形成することができるようになっている。
また、前記第1及び第2サクションドラム131,132間のギャップ119は、前記ウェブ102の予め定めた厚さよりも小さくなっていて、前記第1及び第2の積繊体135,136を相互に重ね合わせる際に、これらの第1及び第2の各積繊体135,136を厚さ方向に一体化し、前記ウェブ102を形成することが可能となっている。
【0075】
具体的には、前記ギャップ119については、形成すべきウェブ102の厚さの約5〜約75%程度の大きさとすることが好ましい。さらに好ましくは約10〜約60%、より好ましくは約15〜約50%程度である。
前記ギャップ119の大きさが、形成すべきウェブ102の厚さの約5%未満であると、第1及び第2の積繊体を一体化する際にこれらの第1及び第2の積繊体に圧力がかかりすぎ、却って一体化がうまくいかずにウェブ102の形成効率が悪くなる。また、前記第1及び第2サクションドラム131,132にも大きな負荷が作用するため、破損等の強度的な問題が発生する可能性がある。
一方、前記ギャップ119の大きさが、形成すべきウェブ102の厚さの約75%を超えると、第1及び第2サクションドラム131,132の間の空間が大きくなりすぎて、第1の積繊体135と第2の積繊体136との重ね合わせを安定的に行うことができず、やはり一体化がうまくいかない可能性が高くなる。特に、ウェブ102を高速で形成する場合には、第1の積繊体135と第2の積繊体136との安定的な一体化が一層難しくなる。
例えば、形成すべウェブ102の厚さが約20mmであるとき、前記ギャップ119は約3〜約10mm程度とすることができる。
【0076】
さらに、前記第1及び第2サクションドラム131,132のうち、下方側に位置する第2サクションドラム132は、前記ギャップ119において形成されたウェブ102を、引き続き外周面に載せた状態で次工程に向けて搬送することができるようになっている。したがって、前記ウェブ102は、形成後しばらくの間は第2サクションドラム132の外周面に沿って搬送されることとなる。
【0077】
ここで、この第2サクションドラム132によるウェブ102の搬送については、前述のように、第1及び第2サクションドラム131,132の吸引範囲の設定により実行可能となっている。
即ち、前記第1のサクションドラム131の吸引範囲は前記ギャップ119が形成されている位置の手前の位置までである一方で、前記第2サクションドラム132の吸引範囲は、前記ギャップ119を過ぎた位置までが吸引範囲となっているため、前記ウェブ102は形成時においては第2サクションドラム132の吸引範囲に入っている。したがって、前記ウェブ102は、第2サクションドラム132の外周面に吸引された状態で搬送されはじめ、該第2サクションドラム132の吸引範囲を脱した後は、該ウェブ102の自重によって第2サクションドラム132の外周面に載って該外周面の回転と共に移動し、次工程に向けて搬送される。
【0078】
一方、前記第1及び第2の繊維群供給装置133,134は、前記第1及び第2サクションドラム131,132に供給すべき第1及び第2の繊維群を、これらの第1及び第2サクションドラム131,132に各々搬送、供給する前記繊維群供給路137,138をそれぞれ備えている。そして、これらの各繊維群供給路137,138の下流側には、第1及び第2サクションドラム131,132の外周面に臨む前記開口137a,138aがそれぞれ形成されている。
この実施の形態の場合、前記第1サクションドラム131にセルロース系吸水性繊維3cからなる第1の繊維群を供給する前記第1の繊維群供給装置133は、例えばパルプシート等を定量ずつ粉砕して開繊することにより形成したセルロース系吸水性繊維3cを、前記繊維群供給路137を通じてエア搬送して前記第1サクションドラム131に供給する構成となっている。
また、前記第2サクションドラムに熱可塑性樹脂繊維3tからなる第2の繊維群を供給する前記第2の繊維群供給装置134は、例えば各種熱可塑性樹脂繊維3tを含むベール状の繊維群を予備開繊した後に開繊を行い、その後、開繊した熱可塑性樹脂繊維3tを定量ずつ供給する定量供給装置から、前記繊維群供給路138を通じてエア搬送して前記第2サクションドラム132に供給する構成となっている。
【0079】
さらに、前記ウェブ引き剥がし装置120は、前記サクションドラム、特にこの実施の形態の場合は前記第2サクションドラム132の外周面に載せられているウェブ102を該外周面から引き剥がして次工程に搬送するものである。
図8に示すように、このウェブ引き剥がし装置120は、前記第2サクションドラム132の外周面のウェブ102の進行方向を変更することにより該ウェブ102を該第2サクションドラム132から引き剥がす引き剥がし用ロール121を有している。この引き剥がし用ロール121が前記第2サクションドラム132と同じ方向に回転することにより、前記第2サクションドラム132の外周面に載っている前記ウェブ102を掻き上げて、該ウェブ102の進行方向を、第2サクションドラム132の回転方向から該引き剥がし用ロール121の回転方向に変更する。これにより、前記第2サクションドラム132の外周面に張り付いていた前記ウェブ102は、該外周面から引き剥がされることとなる。
そして、前記ウェブ102は、前記引き剥がし用ロール121により第2サクションドラム132の外周面から引き剥がされた後は、該引き剥がし用ロール121の外周面に沿って搬送されることとなる。
【0080】
前記引き剥がし用ロール121の外周面と前記第2サクションドラム132の外周面との間の距離は、ウェブ102の厚さの約5〜約75%程度の大きさとすることが好ましい。さらに好ましくはウェブ102の厚さの約10〜約60%程度、より好ましくはウェブ102の厚さの約15〜約50%程度とすることである。ウェブ102の厚さが約5%未満であると、後の開繊工程での開繊性が悪くなり、約75%を超えるとウェブ102の一体化状態が保ちにくくなる。
例えば、ウェブ102の厚さが約10mmである場合、前記距離は約1〜約5mm程度とすることができる。
【0081】
前記開繊装置105は、
図8に示すように、軸線回りに回転自在の略円柱状に形成されたミキシングシリンダ151の外周面に複数の開繊用の刃が設置されて、該ミキシングシリンダ151を回転させることにより回転する、ミキシングシリンダ151の周方向にわたって設けられている開繊用の回転刃152(
図8では回転刃152の一部のみが図示されている。)と、該回転刃152の刃先との間に一定の空間を空けて固定的に設置された固定刃153とを有している。
そして、回転する回転刃152と固定刃153との間に前記ウェブ102を挿入させることにより、該ウェブ102はこれらの回転刃152と固定刃153とに挟まれるようにして開繊され、前記ダクト13を介してサクションドラム11の周面11sに供給される繊維3c、3t形成される。
【0082】
前記圧縮装置110は、前記ウェブ形成装置103と開繊装置105との間においてウェブ102の幅方向の一部を該ウェブ102の全長にわたって厚さ方向に圧縮して、該ウェブ102の長さ方向の引っ張り強度を向上させるものである。
前記ウェブ形成装置103において形成されたウェブ102は、熱処理を行っていないことにより、熱可塑性樹脂繊維3t同士が溶融接合していないため、引っ張り強度が低い状態であることが考えられる。そのため、搬送中に前記ウェブ102に作用する張力等により、該ウェブ102がちぎれてしまうことが考えられる。したがって、搬送中おいて、前記ウェブ102が受けるダメージを極力減らすためには、特に長さ方向の引っ張り強度をしっかり確保することが肝要である。
そのため、この実施の形態においては、前記圧縮装置110によって、前記ウェブ102の全長にわたって該ウェブ102の厚さ方向に圧縮し、長さ方向の引っ張り強度を確保するようにしている。
【0083】
具体的に、前記圧縮装置110は、
図8に示すように、前記引き剥がし用ロール121と、該引き剥がし用ロール121の上方側に配設された圧縮用ロール111とにより構成されている。
前記引き剥がし用ロール121及び圧縮用ロール111の外周面の間に前記ウェブ102が挿入され、ウェブ102を圧縮した際には、この圧縮部分は、前記ウェブ102の全長にわたって形成されるため、該ウェブ102の長さ方向の引っ張り強度が確保されることとなる。
【0084】
なお、前記圧縮用ロール111の外周面と引き剥がし用ロール121の外周面との間のギャップは、ウェブ102を確実且つ安定的に圧縮することができれば任意の大きさとすることができ、例えば、搬送対象となるウェブ102の厚さや使用されている繊維の種類や繊維長等にもよるが、約0〜約5mmとすることができ、さらには約0〜約2mmとすることが好ましい。なお、前記圧縮用ロール111と引き剥がし用ロール121とは、エアシリンダ等の各種付勢手段により、相互に圧接する方向にそれぞれ付勢されている。
【0085】
次に、前記構成を有する混合装置101を用いて、前記混合開繊工程を行う場合について説明する。この混合開繊工程の実施の形態の場合、基本的には、ウェブ形成工程、ウェブ引き剥がし工程、圧縮工程、開繊工程の順で工程を実施する。
なお、準備段階として、前記第1及び第2の繊維群供給装置133,134において、第1及び第2サクションドラム131,132のそれぞれに供給すべき第1及び第2繊維群を形成しておく。
【0086】
そして、前記混合開繊工程の第1の工程として、ウェブ形成工程を実施する。
このウェブ形成工程は前記ウェブ形成装置103を用いて行われ、具体的には、まず前記第1の繊維群供給装置133から、回転(
図8においては左回りに回転)する第1サクションドラム131の外周面に向けて第1の繊維群(この実施の形態の場合はセルロース系吸水性繊維3c)を供給すると共に、前記第2の繊維群供給装置134から、回転(第1サクションドラム131とは相反する方向に回転)する第2サクションドラム132の外周面に向けて第2の繊維群(この実施の形態の場合は熱可塑性樹脂繊維3t)を供給する。このとき、第1及び第2の繊維群供給装置133,134それぞれから供給される第1及び第2繊維群の量は、形成すべき吸収体に含有される混合割合が予め定めた割合となるように調整される。
そして、前記第1及び第2サクションドラム131,132が、供給された第1及び第2の繊維群をそれぞれ吸引して、第1サクションドラム131の外周面において第1の積繊体135を、第2サクションドラム132の外周面において第2の積繊体136をそれぞれ形成する。
【0087】
その後、第1及び第2サクションドラム131,132の回転に伴って、各サクションドラム131,132の外周面に形成された第1及び第2の積繊体135,136が第1及び第2サクションドラム131,132の外周面の間に形成されたギャップ119内の空間に移動する。その際、このギャップ119内おいて、これらの第1の積繊体135と第2の積繊体136とを相互に重ね合わせて一体化することにより前記ウェブ102を形成する。
そして、前記ウェブ102が形成された後は、第2サクションドラム132の回転を利用して該ウェブ102を次工程に搬送する。即ち、前記ウェブ102がこの第2サクションドラム132の外周面上に載せられた状態を維持して、該ウェブ102を第2サクションドラム132の回転方向に搬送する。
【0088】
前記ウェブ形成工程が終了した後、前記混合開繊工程の第2の工程として、前記ウェブ102が載せられている第2サクションドラム132の外周面から該ウェブ102を引き剥がして次工程に搬送するウェブ引き剥がし工程を実施する。
このウェブ引き剥がし工程は、前記ウェブ引き剥がし装置120を使用して行われる。具体的には、前記第2サクションドラム132の回転方向と同じ方向に回転する前記引き剥がし用ロール121により、該第2サクションドラム132に張り付いている前記ウェブ102を掻き上げて、該ウェブ102の進行方向を第2サクションドラム132から離れる方向に変更することにより、そのウェブ102を第2サクションドラム132の外周面から引き剥がす。
前記第2サクションドラム132の外周面から引き剥がされたウェブ102は、その後前記は引き剥がし用ロール121の外周面に載り、該ロール121の回転と共に次工程に搬送される。
【0089】
前記ウェブ引き剥がし工程が終了した後、前記混合開繊工程の第3の工程として、前記ウェブ形成工程で形成されたウェブ102の少なくとも幅方向の一部を、該ウェブ102の長さ方向にわたって厚さ方向に圧縮する圧縮工程を実施する。
この圧縮工程は、圧縮装置110を用い、回転している前記引き剥がし用ロール121と回転(該引き剥がし用ロール121と相反する方向に回転)している圧縮用ロール111との間に、第2サクションドラム132の外周面から引き剥がされて該引き剥がし用ロール121の外周面に載って搬送されているウェブ102を通すことにより行う。これにより、前記引き剥がし用ロール121と圧縮用ロール111とによって前記ウェブ102が圧縮されて、該ウェブ102の長さ方向の引っ張り強度が向上し、吸収体の製造方法における一連の工程中に該ウェブ102がちぎれることが抑止される。
【0090】
前記圧縮工程の終了後、前記混合開繊工程の第4の工程として、圧縮装置110から送り出されたウェブ102を開繊して、繊維3c、3tを形成する開繊工程を実施する。
この開繊工程は、前記開繊装置105を用いて行い、具体的には、軸線回りに回転自在の回転刃152と、該回転刃152の刃の刃先に対して一定の間隔を空けて設置された固定刃153の刃先との間に前記ウェブ102を挿入することにより該ウェブ102を開繊し、繊維3c、3tを形成する。
そして、この開繊工程によって形成された繊維3c、3tは、ダクト13を通して回転刃152の下方側に落下することにより、サクションドラム11の周面11sに供給されることとなる。
【0091】
これ以降の、第二の実施形態に係る、吸収性物品用の吸収体の製造方法は、第一の実施形態に係る製造方法と同じであるので、説明を省略する。
【0092】
これより、本発明の第二の実施形態に係る、吸収性物品用の吸収体の製造方法によって製造された吸収体について、
図9及び
図10を参照しつつ説明する。なお、
図9及び
図10では、説明のため、熱可塑性樹脂繊維3tを太くかつ長く、セルロース系吸水性繊維3cを、熱可塑性樹脂繊維3tよりも細くかつ短く表示しているが、実際の繊維の太さ及び長さを反映するものではない。さらに、
図9及び
図10では便宜上、吸収体1のうち、積繊体3のみが示され、カバーシート5の記載は省略されている。
【0093】
第二の実施形態に係る積繊体3では、熱可塑性樹脂繊維3tの少なくとも一部が、吸収体1の第一の面FF側で延在する第1の部分3t’aと、吸収体1の第二の面FS側で延在する第2の部分3t’bと、第1の部分3t’a及び第2の部分3t’bを連結する連結部分3t’cとを有するように、セルロース系吸水性繊維3cと混在している。
【0094】
より具体的には、熱可塑性樹脂繊維3t'は、一方の端部(向かって左側の端部)に、吸収体1の第一の面FF側で延在する第1の部分3t'aと、他方の端部(向かって右側の端部)に、吸収体1の第二の面FS側で延在する第2の部分3t'bと、第1の部分3t'a及び第2の部分3t'bを連結する連結部分3t'cとを有する。また、熱可塑性樹脂繊維3t''は、一方の端部(向かって左側の端部)に、吸収体1の第一の面FF側で延在する第1の部分3t''aと、一方の端部(向かって左側の端部)及び他方の端部(向かって右側の端部)の間の、吸収体1の第二の面FS側で延在する第2の部分3t''b、第1の部分3t''a及び第2の部分3t''bを連結する連結部分3t''cとを有する。
【0095】
第二の実施形態に係る積繊体3、ひいては吸収体1では、熱可塑性樹脂繊維3tの少なくとも一部が、吸収体1の第一の面FF側で延在する第1の部分3t’a、3t”aと、吸収体1の第二の面FS側で延在する第2の部分3t’b、3t”bと、第1の部分3t’a、3t”a及び第2の部分3t’b、3t”bを連結する連結部分3t’c、3”cとを有することにより、当該熱可塑性樹脂繊維3tが、吸収体1の他の成分、例えばセルロース系吸水性繊維3cを保持するための骨格として機能し、吸収体1の強度が向上する。その結果、体圧等の力が加わった際に、吸収体1の内部で層内剥離が生じにくくなり、吸収体1(及び吸収性物品)が、上記熱可塑性樹脂繊維3tを含まない吸収体、例えば、セルロース系吸水性繊維のみを含む吸収体よりもヨレにくくなる。
【0096】
さらに、
図10に示すように、積繊体3では、熱可塑性樹脂繊維3t,3t',3t''及び3t'''の一部が、エンボス部7に取り込まれ、熱可塑性樹脂繊維3t,3t',3t''及び3t'''が、エンボス部7を介して連結されている。従って、積繊体3が、実質的により長い平均繊維長を有する熱可塑性樹脂繊維3tを含むことに等しくなり、熱可塑性樹脂繊維3t,3t',3t''及び3t'''が、積繊体3の他の成分、例えば、セルロース系吸水性繊維3cを保持するための骨格として、連結される前よりも高い機能を有し、吸収体の強度が向上する。
【0097】
その上で、エンボス部7が、熱可塑性樹脂繊維3t,3t',3t''及び3t'''を部分的に固定するため、体圧等が加わった場合でも、積繊体3に含まれる繊維3t、3cが動きにくく、そして熱可塑性樹脂繊維3t,3t',3t''及び3t'''が確実に固定されるため、吸収体1の強度が向上する。
【0098】
このとき、エンボス部7において、熱可塑性樹脂繊維3tが、他の繊維と融着していることが好ましい。つまり、エンボス工程の際に、エンボスロール17eの温度が、熱可塑性樹脂繊維3tの少なくとも一部が融解する温度以上であることが好ましく、例えば、熱可塑性樹脂繊維3tが鞘芯型複合繊維である場合には、上記温度は、鞘成分の一部が溶融を開始する温度以上であればよい。熱可塑性樹脂繊維3tが、他の繊維、特に他の熱融着性繊維と融着することにより、上述の効果が得られやすくなる。
【0099】
その一方で、エンボス部7以外の箇所において、熱可塑性樹脂繊維3tは、セルロース系吸水性繊維3c及び/又は他の熱可塑性樹脂繊維3tと融着されていないことが好ましい。また、熱可塑性樹脂繊維3tは、セルロース系吸水性繊維3c及び/又は他の熱可塑性樹脂繊維3tと絡み合っていることが好ましい。これにより、吸収体1が過剰に固くなってしまうことを抑制することができる。
【0100】
熱可塑性樹脂繊維3tとしては、単一の成分を含むもの、例えば、単一繊維、又は複数の成分を含むもの、例えば、複合繊維が挙げられる。上記成分としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、アイオノマー樹脂等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタラート(PTT)、ポリ乳酸等のポリエステル;ナイロン等のポリアミド等が挙げられる。
【0101】
上記複合繊維の例としては、例えば、芯鞘型繊維、サイドバイサイド型繊維、島/海型繊維等の複合繊維;中空型繊維;扁平、Y型、C型等の異型繊維;潜在捲縮又は顕在捲縮の立体捲縮繊維;水流、熱、エンボス加工等の物理的負荷により分割する分割繊維等が挙げられ、そして工業的に安価に得られ且つ安全性が高い、芯鞘型繊維、特に、PET/PE、PP/PE(芯/鞘)等が好ましい。
【0102】
芯成分/鞘成分との質量比は、好ましくは約10/90〜約90/10、そしてより好ましくは約30/70〜約70/30である。鞘成分の割合が少ないと、融着性が低下し、そして鞘成分の割合が増加すると、紡糸性が低下する傾向がある。
【0103】
第二の実施形態に係る吸収性物品用の吸収体を製造する方法によって得られる吸収体1において、吸収体1の厚さ方向の引張強さは、約100Pa以上であると好ましく、より好ましくは約150Pa以上、さらに好ましくは約200Pa以上、そしてさらにいっそう好ましくは約250Pa以上である。上記引張強さが約100Paを下回ると、吸収体の強度が低く、吸収体がヨレ易くなる傾向がある。また、吸収体1の厚さ方向の引張強さの上限は、特に限定されるものではないが、柔らかさの観点からは、約3,000Pa以下が好ましい。
【0104】
本開示では、上記引張強さは、
図11に示される機器を用いて、以下の通り測定される。
(1)アクリル製の一対の治具31(直径68mm,各治具の質量:200g,つかみ部31aの高さ:50mm)を準備する。
(2)吸収体から、直径68mmのサンプル32を準備する。
(3)直径68mmに切り抜いた両面テープ33(3M社製,接着剤転写テープ950)を2枚準備する。
【0105】
(4)
図11に示されるように、サンプル32を、2枚の両面テープ33を用いて、一対の治具31に固定する。
(5)サンプル32を有する一対の治具31を、保持台35の上に載せ、その上からおもり34(10.5kg)を載せ、3分間静置する。
(6)引張試験器(島津製作所,AG−1kNI)に、一対の治具31を、つかみ間隔70mmでセットする。
【0106】
(7)100mm/分の速度で、サンプル32が層内剥離するまで、サンプル32に引張試験を実施し、その際の最大引張力(N)を記録する。
(8)測定を計5回繰り返し、最大引張力(N)の平均値を求め、以下の式:
引張強さ(Pa)=最大引張力の平均値(N)/0.003632(m
2)
に従って、引張強さ(Pa)を算出する。
なお、測定は、20℃の条件下で実施する。
【0107】
第二の実施形態に係る、吸収性物品用の吸収体を製造する方法は、
図1を用いて説明される第一の実施形態に係る方法と同じである。第二の実施形態では、サクションドラム11の周面11sに対して、ダクト13を介して上方から、セルロース系吸水性繊維3cのみではなく、所与の混合比率で混合されたセルロース系吸水性繊維3c及び熱可塑性樹脂繊維3tが供給される。このように繊維3c、3tを供給することによって、熱可塑性樹脂繊維3tが、サクションドラム11の半径方向、換言すると、サクションドラム11の周面11sから、サクションドラム11の中心方向に向かう方向に堆積する傾向がある。しかしながら、本発明では、熱可塑性樹脂繊維3tの配向は、
図9及び
図10を示し上述したものに限定されるものではない。熱可塑性樹脂繊維3tは、一定の長さを有するように積繊体3内で延在するように混合されていればよい。
【0108】
第二の実施形態では、熱可塑性樹脂繊維3tは、吸収体1の厚さの、好ましくは約2倍以上、より好ましくは約3倍以上、さらに好ましくは約4倍以上、さらにいっそう好ましくは約5倍以上、そしてさらにいっそう好ましくは約7倍以上の倍率の平均繊維長を有する。上記倍率が約2倍未満であると、積繊体3において熱可塑性樹脂繊維3tが、吸収体1の第一の面FF及び第二の面FSの両側で延在することが難しくなる傾向がある。
【0109】
第二の実施形態では、熱可塑性樹脂繊維3tは、吸収体1の厚さの、好ましくは約30倍以下、より好ましくは約20倍以下、そしてさらに好ましくは約15倍以下の倍率の平均繊維長を有する。上記倍率が約30倍超であると、熱可塑性樹脂繊維3tの開繊が不十分になり、吸収体1の均一性が阻害される場合がある。
【0110】
第二の実施形態では、熱可塑性樹脂繊維3tは、好ましくは約6〜約70mm、より好ましくは約10〜約50mm、そしてさらに好ましくは約15〜約40mmの平均繊維長を有する。上記平均繊維長が約6mmを下回ると、積繊体3において熱可塑性樹脂繊維3tが、第一の面FF及び第二の面FSの両方側で延在することが難しくなる傾向があり、そして熱可塑性樹脂繊維3tが、他の熱可塑性樹脂繊維3t及び/又はセルロース系吸水性繊維3cと絡み合いにくくなる傾向がある。
【0111】
また、上記平均繊維長が約70mmを上回ると、熱可塑性樹脂繊維3tの開繊性が著しく低下し、吸収体1が開繊されていない熱可塑性樹脂繊維3tを含むことになり、吸収体1の均一性が低下する傾向がある。なお、上記平均繊維長は、吸収体1が、エアレイド方式により、セルロース系吸水性繊維、例えば、パルプ繊維と混合される場合に特に好ましい。
【0112】
また、上述の実施形態では、セルロース系吸水性繊維3cの平均繊維長は、特に制限されない。また、セルロース系吸水性繊維3cが再生セルロース繊維、半合成繊維等である場合は、約3〜約70mm、約5〜約50mm、約10〜約40mm等の平均繊維長を有することができる。上記再生セルロース繊維、半合成繊維等は、繊維長によっては、乾燥時に熱可塑性樹脂繊維3tと同様の機能を有し、吸収体1にヨレにくさを付与することができる。
【0113】
第二の実施形態では、エンボス部7同士の間隔は、好ましくは熱可塑性樹脂繊維3tの平均繊維長の約2.0倍以下、より好ましくは熱可塑性樹脂繊維3tの平均繊維長の約1.0倍以下、さらに好ましくは熱可塑性樹脂繊維3tの平均繊維長の約0.7倍以下、そしてさらにいっそう好ましくは熱可塑性樹脂繊維3tの平均繊維長の約0.5倍以下である。また、上記間隔が熱可塑性樹脂繊維3tの平均繊維長の約2.0倍より長いと、異なるエンボス部7に固定された熱可塑性樹脂繊維3t同士が絡み合わず、吸収体1の強度が向上しにくい。また、上記間隔が熱可塑性樹脂繊維3tの平均繊維長の約0.5倍以下であると、1本の熱可塑性樹脂繊維3tが、複数のエンボス部7に固定される場合があるため、吸収体1の強度が向上しやすい。
【0114】
第二の実施形態では、熱可塑性樹脂繊維3tは、好ましくは約0.5〜約10dtex、そしてより好ましくは約1.5〜約5dtexの繊度を有する。上記繊度が約0.5dtex未満であると、熱可塑性樹脂繊維3tの開繊性が低下する場合があり、そして上記繊度が約10dtexを超えると、熱可塑性樹脂繊維3tの本数が少なくなり、他の熱可塑性樹脂繊維3t及び/又はセルロース系吸水性繊維3cと絡み合う点の数が少なくなる傾向がある。
【0115】
第二の実施形態に係る吸収体は、熱可塑性樹脂繊維3tと、セルロース系吸水性繊維3cとを、それらの合計100質量部に基づいて、それぞれ、好ましくは約5〜約50質量部及び約50〜約95質量部、そしてより好ましくは約10〜約40質量部及び約60〜約90質量部の比率で含む。熱可塑性樹脂繊維3tの比率が約5質量部未満であると、吸収体の強度が不十分になり、吸収体1がヨレやすくなる傾向があり、そして熱可塑性樹脂繊維3tの比率が約50質量部を超えると、吸収体1の吸液性が不十分になる傾向がある。
【0116】
また、上述の実施形態に係る吸収体1は、一般的には約20〜約1000g/m
2、好ましくは約50〜約800g/m
2、そしてより好ましくは約100〜約500g/m
2の坪量を有する。これは、吸収体1の強度及び吸収性の観点からである。
【0117】
第二の実施形態に係る吸収体1は、好ましくは約0.06〜約0.14g/cm
3、より好ましくは約0.07〜約0.12g/cm
3、そしてさらに好ましくは約0.08〜約0.1g/cm
3の密度を有する。特に第二の実施形態では、吸収体1が、セルロース系吸水性繊維3c及び熱可塑性樹脂繊維3tの比率と、上記密度とを有することにより、吸収体1が吸液性に優れる傾向がある。
上記密度は、吸収体の坪量と、厚さとから算出することができる。なお、上記坪量は、JIS L 1913:2010の「6.2 単位面積当たりの質量(ISO法)に従って測定する。
【0118】
上述の実施形態に係る吸収体1では、吸収体1の用途等によって、その好ましい厚さは異なるが、一般的には約0.1〜約15mm、好ましくは約1〜約10mm、そしてより好ましくは約2〜約5mmの厚さを有する。
【0119】
なお、本開示にあたっては、吸収体の厚さ(mm)は、以下の通り測定される。
株式会社大栄科学精器製作所製 FS−60DS[測定面44mm(直径),測定圧3g/cm
2]を準備し、標準状態(温度23±2℃,相対湿度50±5%)の下、吸収体の異なる5つの部位を加圧し、各部位における加圧10秒後の厚さを測定し、5つの測定値の平均値を吸収体の厚さとする。
【0120】
また、本開示にあたっては、「平均繊維長」について以下のように定義する。
本開示では、熱可塑性樹脂繊維、並びにセルロース系吸水性繊維のうち、パルプ以外のもの、例えば、再生セルロース繊維及び半合成繊維の平均繊維長は、JIS L 1015:2010の附属書Aの「A7.1 繊維長の測定」の「A7.1.1 A法(標準法)目盛りが付いたガラス板上で個々の繊維の長さを測定する方法」に従って測定する。なお、上記方法は、1981年に発行されたISO 6989に相当する試験方法である。
そして、本開示にあたっては、パルプの平均繊維長は、重さ加重平均繊維長を意味し、メッツォオートメーション(metso automation)社製のカヤーニファイバーラボファイバープロパティーズ(オフライン)[kajaaniFiberLab fiber properties(off−line)]により測定されるL(w)値を意味する。
【0121】
本明細書、図面及び特許請求の範囲の記載から当業者によって理解できるような全ての特徴は、本明細書において、これらの特徴が特定の他の特徴に関連してのみ組み合わされて説明されたとしても、それらの特徴が明確に除外されない限り、又は技術的な態様が不可能な若しくは意味のない組み合わせにならない限りにおいて、独立して、またさらに、ここで開示された他の1又は複数の特徴と任意に組み合わせて、結合することができるものとする。