【文献】
Gregoire, B.R.; Un-Ku Moon,An Over-60dB True Rail-to-Rail Performance Using Correlated Level Shifting and an Opamp with 30dB Lo,Solid-State Circuits Conference, 2008. ISSCC 2008. Digest of Technical Papers. IEEE International,米国,2008年,pages 540,541,634
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔第1の実施形態〕
本発明の第1の実施形態を、
図3〜
図9に基づいて説明する。
【0019】
1.回路構成
1−1.オペアンプ300
図3は、本発明の第1の実施形態に係る信号出力回路であるオペアンプの構成を示すブロック図である。
【0020】
図3に記載のオペアンプ300は、複数の入力端子301、302に接続された増幅段310と、増幅段310および出力端子303との間に接続された出力段としてのスイッチトキャパシタ型出力段320とから構成される。増幅段310はオペアンプ300の入力段であって、利得段が含まれていてもよい。
【0021】
ここで、増幅段310は、量子化されず、標本化されていない信号を伝達する連続信号回路(Continuous回路)であるといえ、スイッチトキャパシタ型出力段320は、量子化されず、標本化された信号を伝達する離散信号回路であるといえる。
【0022】
また、本発明に係るオペアンプをSC級アンプと命名する。
【0023】
スイッチトキャパシタ型出力段320は、増幅段310によって差動入力電圧が増幅された電圧あるいは電流が入力される。
【0024】
1−2.増幅段310
図4は、
図3に記載のオペアンプ300の増幅段310を示す回路構成図である。
図4に記載の増幅段310は、電源401と、電源401にドレインが接続されたトランジスタ402、403と、トランジスタ402のソースにドレインが接続されたトランジスタ404と、トランジスタ403のソースにドレインが接続されたトランジスタ405と、トランジスタ404、405のソースに接続された電流源406とを備える。トランジスタ404、405は差動対を構成し、それぞれゲートが負入力の入力端子301、正入力の入力端子302に接続される。また、トランジスタ403のソースは出力端子407に接続される。VDDは電源401の電源電圧であり、Voは出力端子407から出力段320への出力電圧である。
【0025】
図4に記載の回路は、本実施形態の増幅段に用いる回路の一例であるが、本実施形態の増幅段は、
図4に示した差動の増幅段の回路構成に制限されるものではなく、シングル入力の増幅段、複数段の増幅段、カスケード増幅段等、さまざまな増幅段等が適用可能である。また、増幅段310は、入力段のみであってもよく、さらに利得段を含んでいてもよい。
【0026】
1−3.スイッチトキャパシタ型出力段320
図5は、オペアンプ300のスイッチトキャパシタ型出力段320を示す回路構成図である。
図5に記載のスイッチトキャパシタ型出力段320は、スイッチトキャパシタ回路510と、スイッチトキャパシタ回路510に電圧を提供する電源501と、スイッチトキャパシタ回路510に入力電圧Voを供給する入力端子502と、スイッチトキャパシタ回路510から電圧Voutを出力する出力端子503とを備える。
【0027】
スイッチトキャパシタ回路510は、電源501に一端が接続されたスイッチ1 511と、出力端子503に一端が接続されたスイッチ2 502と、入力端子502に一端が接続されたスイッチ3 513、スイッチ4 514と、スイッチ1 511およびスイッチ4 514の他端と、スイッチ2 512の他端との間に接続されたフライングコンデンサ515とを備える。スイッチ2 512の他端とスイッチ3 513の他端は接続されている。VDDは電源501の電源電圧であり、Voは増幅段310の出力電圧であり、Voutはオペアンプ300の出力電圧である。
【0028】
図6は、
図5に示したスイッチトキャパシタ型出力段320の状態と、各スイッチの開閉状態を示す。スイッチトキャパシタ型出力段320がサンプリング期間であるとき、スイッチ1とスイッチ3がONし、フライングコンデンサ515に、電源電圧VDDと、増幅段310の出力電圧Voとの差分電圧である、(Vo−VDD)がサンプリングされる。このとき、スイッチ2、スイッチ4はOFF状態である。
【0029】
次に、トランスファ期間では、スイッチ2、スイッチ4がONし、スイッチ1、スイッチ3がOFFする。サンプリング期間にスイッチ1がONすることにより、電位が電源電圧VDDとなったフライングコンデンサの片側端子が、増幅段301の出力側に接続され、出力端子503における電圧Voutは(Vo−VDD)+Vo=2Vo−VDDとなる。
【0030】
なお、本実施形態では、スイッチトキャパシタ型出力段320には、電源501から電源電圧が入力されるが、電圧VDDの供給は電源501に限るものではなく、グラウンド電圧や一定電圧が入力されてもよい。また、入力される電圧は、内部回路あるいは外部回路から供給されてもよい。
【0031】
なお、フライングコンデンサ515は、ICに内蔵されていても外付けであってもよい。本発明においては、オペアンプ300のスイッチトキャパシタ型出力段320は、アイドリング電流を必要とせず、フライングコンデンサ515は不要な電荷をオペアンプ300の出力にトランスファする必要が無く、負荷を駆動するための最低限の電荷をトランスファできればよい。オペアンプ300の負荷によって、フライングコンデンサ515をICに内蔵することができるので、ICの外付け部品を少なくすることができる。
【0032】
図7は、
図3に示したオペアンプ300の正入力、負入力の微小電位差を増幅する増幅段310の動作帯域と、増幅段310の出力を入力とし、信号を出力するスイッチトキャパシタ型出力段320の動作周波数との関係を示す。
図7に示すように、増幅段310の周波数軸における動作帯域よりも、スイッチトキャパシタ型出力段320の動作周波数が、高速になるように、増幅段の動作帯域と、スイッチトキャパシタ型出力段の動作周波数を設定している。
【0033】
図8は、
図5に示したスイッチトキャパシタ型出力段320が動作することにより生成される、オペアンプ300の出力電圧であるVoutと、スイッチトキャパシタ型出力段320の入力電圧であるVo、および電源電圧であるVDDとの関係を示す。Vout=2Vo−VDDであるため、スイッチトキャパシタ回路の入力電圧Voに対する出力電圧Voutの電圧変化は2倍であることがわかる。また、出力信号レンジは+VDDから−VDDであるため、従来技術において必要であった、オペアンプ210とは別のチャージポンプ220による負電源電圧が無くとも、負の信号出力が可能であることが分かる。
【0034】
2.等価回路
図9は、
図6に示した動作帯域、動作周波数に設定した場合における、
図3に示す本発明の第1の実施形態にかかるオペアンプ300の等価回路900を示すブロック図である。
図9に示す出力段920は、増幅段910の動作帯域よりも高速で動作する。
図5に記載のスイッチトキャパシタ型出力段320は、入力電圧Voを2倍し、電源電圧VDDだけマイナスして出力電圧を生成するため、出力抵抗922を2倍増幅器921に取り付けた、出力抵抗付きの信号増幅器として等価的に示すことができる。この出力抵抗付きの信号増幅器は、増幅段910の出力信号を入力信号として受け、この入力信号に基づいた信号を出力する。
【0035】
図9に示した増幅器921の増幅率は、出力段920が、増幅段910の出力信号をサンプリング、あるいはトランスファに用いるか否かで異なる。サンプリングのみに増幅段910の出力信号を用いる場合では、サンプリングされた増幅段910の出力信号が、ある電圧基準でトランスファされるため、増幅器821の増幅率は1倍である。トランスファのみに増幅段910の出力信号を用いる場合では、サンプリングされた電圧が、増幅段910の出力信号を基準としてトランスファされるため、この場合においても増幅器921の増幅率は1倍である。サンプリングとトランスファの双方共に増幅段910の出力信号を用いる場合では、サンプリングされた増幅段910の出力信号が、さらに増幅段910の出力信号を基準としてトランスファされるため、増幅器921の増幅率は2倍である。
【0036】
図9に示した出力抵抗922は、スイッチトキャパシタ型出力段920が備えるコンデンサの容量と、動作周波数とにより決まる。スイッチトキャパシタ型出力段320のコンデンサにサンプリングされる電荷をQ、コンデンサの容量をC、コンデンサの2端子間の電圧をVとすると、Q=CVの式が成り立つ。この式の両辺を時間tで微分すると、dQ/dt=I=C×dV/dtとなる。ここで、Iはスイッチトキャパシタ型出力段320が、オペアンプ300の出力へとトランスファする電流を示す。さらに、出力抵抗722をR、スイッチトキャパシタ型出力段の動作周波数をfsとすると、R=V/I=V/(C×dV/dt)=1/C×dt=1/(C×fs)となる。出力抵抗822は、スイッチトキャパシタ型出力段320が備えるコンデンサの容量値と、動作周波数に反比例する抵抗とみなせる。
【0037】
図5に示すスイッチトキャパシタ型出力段320を、オペアンプ300の出力段として用いた場合、
図6に示したサンプリング期間において、オペアンプ300の出力がHi−Zになるため、出力電圧を保持するために、オペアンプ300の出力とグラウンドとの間に、平滑コンデンサを備えてもよい。
【0038】
3.第1の実施形態の適用例
図10は、
図3に記載のオペアンプ300を用いた反転増幅回路1000の構成を示すブロック図である。
【0039】
反転増幅回路1000は、入力信号であるVinを、抵抗1001、抵抗1002の比に基づいて増幅し、Voutとして信号出力する。Vrefはオペアンプ300の正の入力端子302に接続される、リファレンス電圧である。抵抗1001と抵抗1002の片側の端子は、オペアンプの負の入力端子301に接続される。反転増幅回路1000は、スイッチトキャパシタ型出力段320の出力端子303から抵抗1002を介して増幅段310の負の入力端子301にいたるフィードバックループが形成され、出力信号Voutはオペアンプ310の入力にフィードバックされる。この構成によれば、出力信号Voutをオペアンプ300の入力端子にフィードバックすることで、オペアンプ300のスイッチトキャパシタ出力段320において発生するノイズや歪みなどの成分を、入力段としての増幅段310において抑え込むことができる。
【0040】
また、オペアンプ300の出力に抵抗性の負荷がある場合、負荷抵抗に電流が流れるため、オペアンプ300の出力電圧が変化する。ここで、
図10で示したように、オペアンプ300の出力と、オペアンプ300の負の入力とにフィードバックパス(抵抗1001、1002)を設けておくことで、オペアンプ300の出力電圧の変化がフィードバックされ、増幅段310で増幅され、オペアンプ300の出力電圧の変化を打ち消すようにフィードバックループが働く。フィードバックループが働くことにより、スイッチトキャパシタ型出力段300のサンプリング期間とトランスファ期間とを合わせた1周期に、負荷抵抗より流れ出す電荷と等量の電荷が、スイッチトキャパシタ型出力段320より、オペアンプ300の出力へトランスファされる。したがって、オペアンプ300の出力に抵抗性負荷が存在しても、一定の電圧を出力する。
【0041】
図10の回路は、反転増幅回路にオペアンプ300を用いた例であるが、オペアンプ300は、
図10に示した反転増幅回路1000、正転増幅回路(非反転増幅回路)、微分回路、積分回路、フィルタ回路、ボルテージフォロア回路等、様々なオペアンプを用いた信号処理回路に適用可能である。
【0042】
なお、増幅段310は、差動入力電圧を増幅した、電圧あるいは電流を出力し、そのステージ構成は、1、2、3またはそれ以上のステージ構成であってもよい。
【0043】
以上説明したように、オペアンプ300の出力段をスイッチトキャパシタ型出力段320とすることにより、別途、オペアンプの正、あるいは負の電源電圧をチャージポンプ回路などで生成することなく、電源電圧を上回る出力信号振幅、あるいはグラウンド電圧を下回る出力信号振幅を、出力することができる。
【0044】
〔第2の実施形態〕
本発明の第2の実施形態を、
図11および
図12に基づいて説明する。本実施形態に係る信号出力回路であるオペアンプは、
図3に記載のオペアンプ300を構成するスイッチトキャパシタ型出力段320の変形したスイッチトキャパシタ型出力段1100を備えるオペアンプである。
【0045】
図11は、本実施形態に係る信号出力回路であるオペアンプのスイッチトキャパシタ型出力段1100を示す回路構成図である。
図11に記載のスイッチトキャパシタ型出力段1100は、スイッチトキャパシタを2以上の整数個、並列に備える。すなわち、スイッチトキャパシタ型出力段1100は、スイッチトキャパシタ1(1110−1)、スイッチトキャパシタ2(1110−2)、スイッチトキャパシタ3(1110−3)、…、スイッチトキャパシタn(1110−n)と、スイッチトキャパシタ回路をn個(nは2以上の整数)並列接続したスイッチトキャパシタ回路1110により構成される。
【0046】
各スイッチトキャパシタ(1110−1〜1110−n)は、電源1101、入力端子1102および出力端子1103に接続される。ここで、スイッチトキャパシタ1は電源1101に一端が接続されたスイッチ1 1111−1と、出力端子1103に一端が接続されたスイッチ2 1112−1と、入力端子1112−1に一端が接続されたスイッチ3 1113−1、スイッチ4 1114−1と、スイッチ1 1111−1およびスイッチ4 1114−1の他端と、スイッチ2 1112−1の他端との間に接続されたフライングコンデンサ1115−1とを備える。スイッチ2 1112−1の他端とスイッチ3 1113−1の他端は接続されている。VDDは電源1101の電源電圧であり、Voは増幅段320の出力電圧であり、Voutはオペアンプ300の出力電圧である。スイッチトキャパシタ1110−2〜1110−nも、スイッチトキャパシタ1110−1と同様の構成である。
【0047】
図11に示す複数個のスイッチトキャパシタ1〜nは、サンプリング期間とトランスファ期間とを繰り返す。ここで、スイッチトキャパシタ1において、サンプリング期間であるとき、スイッチ1 1111−1とスイッチ3 1113−1がONし、フライングコンデンサ1115−1に、電源電圧VDDと、増幅段310の出力電圧Voとの差分電圧である、(Vo−VDD)がサンプリングされる。このとき、スイッチ2 1112−1、スイッチ4 1114−1はOFF状態である。
【0048】
次に、トランスファ期間では、スイッチ2 1112−1、スイッチ4 1114−1がONし、スイッチ1 1111−1、スイッチ3 1113−1はOFFとなる。サンプリング期間にスイッチ1 1111−1がONすることで電位が電源電圧VDDとなったフライングコンデンサの片側端子が、増幅段320の出力に接続され、出力電圧Voutが(Vo−VDD)+Vin=2Vo−VDDとなる。スイッチトキャパシタ1110−2〜1110−nも、スイッチトキャパシタ1110−1と同様の動作を行う。
【0049】
図12は、それぞれのスイッチトキャパシタ(1−n)のサンプリング期間、およびトランスファ期間を示す。
【0050】
図12に示されるように、それぞれのスイッチトキャパシタ(1−n)の、サンプリング期間およびトランスファ期間は、それぞれ位相がずれており、全時間において少なくとも1つのスイッチトキャパシタが、トランスファ期間となっている。このトランスファ期間であるスイッチトキャパシタにより、全時間においてオペアンプ100の出力がHi−Zになることは無く、サンプリングされた電圧を出力にトランスファすると共に、出力電圧を保持する役割を兼ねる。
【0051】
以上説明したように、スイッチトキャパシタ型出力段1100を、並列接続された複数のスイッチトキャパシタ型出力段1110−1〜1110−nとして構成することにより、別途、オペアンプの正、あるいは負の電源電圧をチャージポンプ回路などで生成することなく、本実施形態に係るオペアンプは、電源電圧を上回る出力信号振幅、あるいはグラウンド電圧を下回る出力信号振幅を、出力することができる。
【0052】
〔第3の実施形態〕
本発明の第3の実施形態を、
図13および
図14に基づいて説明する。本実施形態に係る信号出力回路であるオペアンプは、
図3に記載のオペアンプ300を構成するスイッチトキャパシタ型出力段320の変形したスイッチトキャパシタ型出力段1300を備えるオペアンプである。
【0053】
1.スイッチトキャパシタ型出力段1300の回路構成
図13は、本実施形態に係る信号出力回路であるオペアンプのスイッチトキャパシタ型出力段1300を示す回路構成図である。
図13のスイッチトキャパシタ型出力段1300は、
図5に記載の第1の実施形態のオペアンプ300を構成するスイッチトキャパシタ型出力段320を具体化した回路である。
【0054】
図13に記載のスイッチトキャパシタ型出力段1300は、スイッチトキャパシタ回路1310と、タイミング生成回路1320と、タイミング生成回路1320の出力信号であるCLK1、CLK2、CLK3、およびCLK4を入力とし、スイッチトキャパシタ回路1310の4つの制御信号であるVcont1、Vcont2、Vcont3およびVcont4を出力する4つのバッファ1321、1322、1323および1324とを備える。また、スイッチトキャパシタ型出力段1300は、スイッチトキャパシタ回路1310に電源電圧VDDを供給する電源1301と、スイッチトキャパシタ回路1310に増幅段からの出力電圧Voを入力する入力端子1302と、スイッチトキャパシタ回路1310から出力電圧Voutを出力する出力端子1303とを備える。
【0055】
スイッチトキャパシタ型出回路1310は、
図5の1つのスイッチであるスイッチ1 511がP型トランジスタであるP1 1311で構成され、3つのスイッチであるスイッチ2 512、スイッチ3 513、およびスイッチ4 514がそれぞれN型トランジスタであるN2 1312、N3 1313、およびN4 1314により構成されている。 ここで、P型トランジスタP1 1311は、スイッチトキャパシタ回路1310は、ソースが電源1301に、ゲートがバッファ1321に接続され、N型トランジスタN2 1312は、ソースが出力端子1303に、ゲートがバッファ1322に接続され、N型トランジスタN3 1313は、ドレインがN2 1312のドレインに、ゲートがバッファ1323に接続され、N型トランジスタN4 1314は、ソースがN3 1313のソースに、ゲートがバッファ1324に接続されている。また、スイッチトキャパシタ型出回路1310は、N2 1312のドレインおよびN3 1313のドレインの間に接続されたフライングコンデンサ1315を備えている。
【0056】
バッファ1321〜1324からの4つの制御信号であるVcont1、Vcont2、Vcont3およびVcont4は、4つのスイッチであるP1 1311、N2 1312、N3 1313、およびN4 1314のゲートにそれぞれ入力され、スイッチのON制御、OFF制御がなされる。
【0057】
図14は、
図13に記載のスイッチトキャパシタ型出力段1300の動作状態を示す図表である。
図14において、4つの制御信号であるVcont1、Vcont2、Vcont3およびVcont4の、スイッチトキャパシタ型出力段1300の状態に対する具体的な電圧レベルと、2つのスイッチであるN2 1312、N3 1313のゲート、ソース間電圧であるVgsn2、Vgsn3とを示す。
【0058】
図14に示されるように、2つのスイッチであるN2 1312、N3 1313のゲート、ソース間には、最大で(Vo−Vout)だけの電位差が発生する。Voutの最小値は−Voなので、N2 1312、N3 1313のゲート、ソース間には、最大で2×Voだけの電位差が発生する。従って、スイッチトキャパシタ型出力段1300の2つのスイッチである、N2 1312、N3 1313のゲートソース間耐圧は、2×Vo以上であることが好ましい。このとき、回路を構成するトランジスタの耐圧は2×Vo以上であるので、ゲート酸化膜厚が厚いトランジスタを使うとよい。また、一般的にゲート酸化膜厚が厚いトランジスタは、ON状態での抵抗が高いので、ある一定以下のON状態での抵抗値に抑えるために、大きなトランジスタサイズにするとよい。
【0059】
〔第4の実施形態〕
本発明の第4の実施形態を、
図15〜
図18に基づいて説明する。本実施形態に係る信号出力回路であるオペアンプは、
図3に記載のオペアンプ300を構成するスイッチトキャパシタ型出力回路320の変形したスイッチトキャパシタ型出力回路1500を備えるオペアンプである。
【0060】
図13に示すスイッチトキャパシタ型出力段1300においては、一部のトランジスタに必要なゲート、ソース間耐圧への要求が高いため、耐圧の高いトランジスタを用いて回路を構成する必要がある。一般的にゲート、ソース間耐圧が高いトランジスタは、ゲート酸化膜厚が厚く、ON時の抵抗値が高いため、ある一定以下のON時の抵抗値に抑えるために、トランジスタの素子サイズを大きくする必要がある。ここで、本実施形態は、耐圧の低いトランジスタを用いてスイッチトキャパシタ回路を構成することによって、第3の実施形態と同等の機能を有するオペアンプ実現する。
【0061】
1.スイッチトキャパシタ型出力段1500
図15は、本実施形態に係る信号出力回路であるオペアンプのスイッチトキャパシタ型出力段1500を示す回路構成図である。
図15のスイッチトキャパシタ型出力段1500は、
図5に記載の第1の実施形態のオペアンプ300を構成するスイッチトキャパシタ型出力段320を具体化した回路である。
【0062】
図15に記載のスイッチトキャパシタ型出力段1500は、スイッチトキャパシタ回路1510と、タイミング生成回路1520と、タイミング生成回路1520の出力信号であるCLK1、CLK2、CLK3、およびCLK4を入力とし、スイッチトキャパシタ回路1510の4つの制御信号であるVcont1、Vcont2、Vcont3およびVcont4を出力する4つのバッファ1521、1522、1523および1524とを備える。また、スイッチトキャパシタ型出力段1500は、スイッチトキャパシタ回路1510に電源電圧VDDを供給する電源1501と、スイッチトキャパシタ回路1510に増幅段からの出力電圧Voを入力する入力端子1502と、スイッチトキャパシタ回路1510から出力電圧Voutを出力する出力端子1513とを備える。
【0063】
スイッチトキャパシタ型出力段1510は、
図5の2つのスイッチであるスイッチ1 511および513がP型トランジスタであるP1 1511およびP3 1513により構成され、2つのスイッチであるスイッチ2 512およびスイッチ4 514がそれぞれN型トランジスタであるN2 1512およびN4 1514により構成される。
【0064】
ここで、P型トランジスタP1 1511は、ソースが電源1501に、ゲートがバッファ1521に接続され、N型トランジスタN2 1512は、ソースが出力端子1503に、ゲートがバッファ1522に接続され、P型トランジスタP3 1513は、ソースがN2 1512のドレインに、ゲートがバッファ1523に接続され、N型トランジスタN4 1514は、ソースがN3 1513のドレインに、ゲートがバッファ1524に接続される。また、スイッチトキャパシタ出力段1510は、N4 1514のドレインおよびP3 1513のソースの間に接続されたフライングコンデンサ1515を備えている。
【0065】
タイミング生成回路1520からの入力信号CLK1、CLK2、CLK3、およびCLK4は、ハイレベルがVDD、ローレベルがVgndであり、ハイレベルとローレベルの電位差はVDDである。バッファ1521およびバッファ1524は、信号の基準電圧であるローレベルがVgndであり、ハイレベルは(Vgnd+VDD)であり、ハイレベルとローレベルの電位差がVDDである信号をVcont1およびVcont4として出力する。バッファ1522および1523は、信号の基準電圧であるローレベルがVoutであり、ハイレベルが(Vout+VDD)であり、ハイレベルとローレベルの電位差がVDDである信号をVcont2およびVcont3として出力する。4つの制御信号であるVcont1、Vcont2、Vcont3およびVcont4は、4つのスイッチであるP1 1511、N2 1512、P3 1513、およびN4 1514のゲートに入力され、スイッチのON制御、OFF制御がなされる。
【0066】
スイッチトキャパシタ型出力段1500において、第1のトランジスタ群(P1 1511、P3 1513は、第1の導電型(P型)を有し、フライングコンデンサ1515に第1の電圧(Vo)を有する入力信号に基づく電荷をチャージする。また、第2のトランジスタ群(N2 1512、N4 1514)は、第1の導電型とは異なる第2の導電型(N型)を有し、フライングコンデンサ1515の電荷を出力端子1503から出力する。
【0067】
本実施形態では、スイッチトキャパシタ型出力段1500において、第1及び第2のトランジスタ群のトランジスタのうちフライングコンデンサ1515に接続されるトランジスタN2 1512およびP3 1513をON/OFF制御する制御信号の制御電圧が、電源電圧VDDを基準とするように、制御信号を生成する制御信号生成手段を備えたことを特徴とする。この制御信号は、バッファ1522、1523により生成することができる。
【0068】
また、スイッチトキャパシタ型出力段1500には、バッファ1521および1524と、各バッファバッファ1521〜1524に接続されたタイミング生成回路1520がさらに接続されている。タイミング生成回路1520からグラウンド電圧を基準とする電圧を有する信号を、各バッファ1521〜1524へ入力することにより制御信号を生成することができる。
【0069】
図16は、
図15に示す本実施形態におけるスイッチトキャパシタ型出力段1500の動作状態を示す図表である。
図16は、4つの制御信号であるVcont1、Vcont2、Vcont3およびVcont4の、スイッチトキャパシタ型出力段1500の状態に対する具体的な電圧レベルと、4つのスイッチであるP1 1511、N2 1512、P3 1513、およびN4 1514のゲート、ソース間電圧である、Vgsp1、Vgsn2、Vgsp3、Vgsn4とを示す。
【0070】
図16に示されるように、2つのスイッチであるN2 1512、P3 1513のゲート電圧であるVcont2、Vcont3は、トランジスタをON制御する場合とトランジスタをOFF制御する場合の双方共に、スイッチトキャパシタ型出力段1500の出力電圧であるVoutを基準として生成されている。これにより、N2 1512、P3 1513のゲート、ソース間には、最大でVDDだけの電位差が発生する。従って、本例におけるスイッチトキャパシタ型出力段1500の4つのスイッチである、P1 1511、N2 1512、P3 1513、およびN4 1514のゲートソース間に必要な耐圧は、いずれもVDD以上ある。
【0071】
したがって、本実施形態におけるトランジスタに必要な耐圧はVDD以上となり、従来よりも薄いゲート酸化膜厚である、低い耐圧のトランジスタの使用か可能となる。よって、スイッチトキャパシタ回路の製造プロセスにも制限が無くなる。また、一般的にゲート酸化膜厚が厚いトランジスタは、ON状態での抵抗が高いので、ある一定以下のON状態での抵抗値に抑えるために、大きなトランジスタサイズが好適であったが、本技術を用いることでトランジスタサイズが削減でき、回路規模を小さくできる。
【0072】
2.バッファ1522又はバッファ1523の回路構成
スイッチトキャパシタ型出力段1500において、第1及び第2のトランジスタ群のトランジスタのうちフライングコンデンサ1515に接続されるトランジスタN2 1512およびP3 1513をON/OFF制御する制御信号の制御電圧を、電源電圧VDDを基準とする必要がある。したがって、本実施形態において、バッファ1522およびバッファ1523を以下のように構成する。
【0073】
2−1.バッファの第1の構成例
図17は、
図15に記載のスイッチトキャパシタ型出力段1500のバッファ1522又はバッファ1523の具体的な回路の一例であるバッファ1700の構成を示す回路構成図である。
図17のバッファ1700は、タイミング生成回路1520からの出力信号CLK2(CLK3)を入力する入力端子1701と、電圧Voutを出力する出力端子1703と、制御信号Vcont2(Vcont3)を出力する制御端子1703とを備える。また、バッファ1700は、入力側が入力端子1701に接続されたインバータ1711と、一端が入力端子1701およびインバータ1711に接続されたコンデンサ1712と、一端がインバータ1711の出力端子に接続されたコンデンサ1713とを備える。さらに、バッファ1700は、ドレインがコンデンサ1712の他端および制御端子1703に接続され、ゲートがコンデンサ1713の他端に接続され、ソースが出力端子1702に接続されたN型トランジスタ1714と、ドレインがコンデンサ1713の他端に接続され、ゲートが制御端子1703に接続され、ソースが出力端子1702に接続されたN型トランジスタ1715とを備える。
【0074】
図17のバッファ1700は、入力端子1701において、
図15に記載のスイッチトキャパシタ型出力段1500のタイミング生成回路1520の出力信号である、CLK2(CLK3)を受け、制御端子1703から、スイッチトキャパシタ型出力段1500のN型トランジスタN2 1512(P型トランジスタP3 1513)のゲート電圧であるVcont2(Vcont3)を出力する。CLKは入力信号であり、ハイレベルがVDD、ローレベルがVgndであり、ハイレベルとローレベルの電位差はVDDである。インバータ1711は、入力信号であるCLKの反転信号であるCLKNを出力する。CLKNもハイレベルがVDD、ローレベルがVgndであり、ハイレベルとローレベルの電位差はVDDである。コンデンサ1712、1713は、入力信号であるCLK、あるいはCLKN基準電圧をシフトする。
【0075】
バッファ1700において、制御端子1703からの出力信号であるVcontのローレベルは、N型トランジスタ1714がONすることによりVoutとなり、Vcontのハイレベルは、N型トランジスタ1714がON時の電圧であるVoutから、VDDだけ電圧が上昇した、(Vout+VDD)となる。したがって、信号の基準電圧がVoutであり、ハイレベルとローレベルの電位差がVDDである信号が制御端子1703からVcontとして出力される。
【0076】
3.バッファの第2の構成例
図18は、
図15に記載のスイッチトキャパシタ型出力段1500のバッファ1522又はバッファ1523の具体的な回路の他の例であるバッファ1800の構成を示す回路構成図である。
図18に記載のバッファ1800は、タイミング生成回路1520からの出力信号CLK2(CLK3)を入力する入力端子1801と、電圧Voutを出力する出力端子1803と、制御信号Vcont2(Vcont3)を出力する制御端子1803とを備える。また、バッファ1800は、一端が入力端子1801に接続され、他端が制御端子1803に接続されたコンデンサ1811と、カソードがコンデンサ1811の他端に接続されたダイオード1812と、コンデンサ1811と出力端子1802との間に接続された抵抗1813とを備える。
【0077】
図18のバッファ1800は、入力端子1801において、
図15で示したタイミング生成回路1520の出力信号である、CLK2(CLK3)を受け、出力端子1803から、スイッチトキャパシタ型出力段1500のゲート電圧であるVcont2(Vcont3)を出力する。
【0078】
CLKは入力信号であり、ハイレベルがVDD、ローレベルがVgndであり、ハイレベルとローレベルの電位差はVDDである。コンデンサ1811は、入力信号であるCLKの基準電圧をシフトする。ダイオード1812は、アノードが
図15で示したスイッチトキャパシタ型出力段1500の出力電圧であるVoutに接続され、カソードが出力信号であるVcontに接続され、VcontがVoutよりも低い電圧である場合、順方向電流を流す。
【0079】
バッファ1800において、出力信号であるVcontのローレベルは、ダイオード1812が順方向となる、Voutに設定され、Vcontのハイレベルは、VoutからVDDだけ電圧が上昇した、(Vout+VDD)となる。したがって、信号の基準電圧がVoutであり、ハイレベルとローレベルの電位差がVDDである信号が制御端子1803からVcontとして出力される。
【0080】
なお、
図15で示した2つのバッファであるバッファ1521および1524は、一般的なバッファで構成してもよいため、ここでの具体的構成についての説明は省略する。これらバッファ1521および1524は、
図15で示したタイミング生成回路1504の出力信号である、CLK1、あるいはCLK4を受け、スイッチトキャパシタ型出力段102のゲート電圧であるVcont1、あるいはVcont4を出力する。
【0081】
以上説明したように、本実施形態においては、トランジスタのゲート、ソース間にかかる最大電位差を抑えるために、スイッチトキャパシタ型出力段1500を構成するトランジスタをP型あるいはN型に適切に設定し、また、トランジスタのゲート制御電圧を、トランジスタをON制御する場合とトランジスタをOFF制御する場合の双方共に、スイッチトキャパシタ回路の出力信号、あるいは入力信号を基準電圧として生成し、ゲート、ソース間にかかる最大電位差をVDDとした。
【0082】
したがって、電源電圧以上あるいはグラウンド電圧以下の信号を出力するオペアンプのスイッチトキャパシタ回路を、従来よりも耐圧が低いトランジスタにより構成することが可能となるので、ゲート酸化膜厚が薄く、ON状態での抵抗が低いトランジスタで回路を構成することができ、製造プロセスの制限が緩和される。また、同時に、ある一定以下のON状態での抵抗値に抑えるために必要なトランジスタサイズが従来よりも小さくなり、半導体回路構成の規模を小さくすることができる。
【0083】
〔第5の実施形態〕
第4の実施形態のオペアンプを構成するスイッチトキャパシタ回路は、チャージポンプ回路にも応用することができる。
【0084】
本発明の第4の実施形態を、
図19および
図20に基づいて説明する。本実施形態に係るチャージポンプ回路は、
図15に記載のオペアンプ300を構成するスイッチトキャパシタ型出力段320をチャージポンプに応用した回路である。
【0085】
図19は、本実施形態に係るチャージポンプ回路を含む信号出力回路1900を示す回路構成図である。
図19の信号出力回路1900は、チャージポンプ回路1910と、タイミング生成回路1920と、タイミング生成回路1920の出力信号であるCLK1、CLK2、CLK3、およびCLK4を入力とし、チャージポンプ回路1910の4つの制御信号であるVcont1、Vcont2、Vcont3およびVcont4を出力する4つのバッファ1921、1922、1923および1924とを備える。また、スイッチトキャパシタ型出力段1900は、電源電圧VDDを供給する電源1901と、チャージポンプ回路1910から出力電圧Voutを出力する出力端子1902を備える。
【0086】
チャージポンプ回路1910は、2つのスイッチであるスイッチ1およびスイッチ3がそれぞれP型トランジスタであるP1 1911およびP3 1913により構成され、2つのスイッチであるスイッチ2およびスイッチ4がそれぞれN型トランジスタであるN2 1912およびN4 1914により構成されている。ここで、P型トランジスタP1 1911は、ソースが電源1901に、ゲートがバッファ1921に接続され、N型トランジスタN2 1912は、ソースが出力端子1902に、ゲートがバッファ1922に接続され、P型トランジスタP3 1913は、ソースがN2 1912のドレインに、ゲートがバッファ1923に接続され、N型トランジスタN4 1914は、ソースがP3 1913のドレインに、ゲートがバッファ1924に接続されている。
【0087】
また、チャージポンプ回路1910は、N4 1914のドレインおよびP3 1913のソースの間に接続されたフライングコンデンサ1915と、出力端子1902およびP3 1913のドレインの間に接続された平滑化コンデンサ1916とを備えている。なお、P3 1913のドレインと、N4 1914のソースと、平滑化コンデンサ1916の一端は接地されている。
【0088】
CLK1、CLK2、CLK3、およびCLK4は入力信号であり、ハイレベルがVin、ローレベルがVgndであり、ハイレベルとローレベルの電位差はVinである。バッファ1921および1924は、信号の基準電圧であるローレベルがVgndであり、ハイレベルは(Vgnd+Vin)であり、ハイレベルとローレベルの電位差がVinである信号をVcont1およびVcont4として出力する。バッファ1922および1923は、信号の基準電圧であるローレベルがVoutであり、ハイレベルが(Vout+Vin)であり、ハイレベルとローレベルの電位差がVinである信号をVcont2およびVcont3として出力する。4つの制御信号であるVcont1、Vcont2、Vcont3およびVcont4は、4つのスイッチであるP1 1911、N2 1912、P3 1913、およびN4 1914のゲートに入力され、スイッチのON制御、OFF制御がなされる。
【0089】
信号出力回路1900において、第1のトランジスタ群(P1 1911、P3 1913)は、第1の導電型(P型)を有し、フライングコンデンサ1915に電圧電圧(VDD)に基づく電荷をチャージし、第2のトランジスタ群(N2 1912、N4 1914は、第1の導電型とは異なる第2の導電型(N型)を有し、フライングコンデンサ1915の電荷をフライングコンデンサ1915と平滑化コンデンサ1916とに再分配する。チャージポンプ回路1910は、電源電圧(VDD)を昇降圧して、出力信号(Vout)を出力する。
【0090】
本実施形態では、このチャージポンプ回路1910において、第1及び第2のトランジスタ群のトランジスタのうちフライングコンデンサ1915に接続されるトランジスタをオン/オフ制御する制御信号の制御電圧が、第1電圧あるいは第2電圧を基準とするように、制御信号を生成する制御信号生成手段を備えたことを特徴とする。この制御信号生成手段としては、制御信号を生成するバッファ1922、1923から構成することができる。
【0091】
また、チャージポンプ回路1910は、タイミング生成回路1920からグラウンド電圧を基準とする電圧を有する信号を、バッファ1921〜1924のそれぞれへ入力することにより制御信号を生成することができる。
【0092】
図20は、
図19に示す本例におけるチャージポンプ回路1910の、4つの制御信号であるVcont1、Vcont2、Vcont3およびVcont4の、チャージポンプ回路1910の状態に対する具体的な電圧レベルと、4つのスイッチであるP1 1911、N2 1912、P3 1913、およびN4 1914のゲート、ソース間電圧である、Vgsp1、Vgsn2、Vgsp3、Vgsn4とを示す。
【0093】
図17に示されるように、2つのスイッチであるN2 1912、P3 1913のゲート電圧であるVcont2、Vcont3は、トランジスタをON制御する場合とトランジスタをOFF制御する場合の双方共に、チャージポンプ回路の出力電圧であるVoutを基準として生成されている。したがって、N2 1912、P3 1913のゲート、ソース間には、最大でVinだけの電位差が発生する。よって、本実施形態におけるチャージポンプ回路1910の4つのスイッチである、P1 1911〜N4 1914のゲートソース間に必要な耐圧は、いずれもVin以上ある。
【0094】
従来技術において回路を構成するトランジスタに必要な耐圧は2×Vin以上であるのに対して、本実施形態におけるトランジスタに必要な耐圧はVin以上であるので、従来よりもゲート酸化膜厚が薄い、低い耐圧のトランジスタが使える。したがって、製造プロセスにも制限が無くなる。また、一般的にゲート酸化膜厚が厚いトランジスタは、ON状態での抵抗が高いので、ある一定以下のON状態での抵抗値に抑えるために、大きなトランジスタサイズが必要であり、回路規模が大なってしまっていたが、本技術を用いることでトランジスタサイズを削減することが可能となったため、回路規模を小さくすることができる。
【0095】
なお、バッファ1921、1924は、一般的なバッファで構成してもよいため、ここでの具体的構成についての説明は省略する。
図16で示した2つのバッファ1922、1923は、
図17又は
図18のバッファと同等であるため、個々の具体的構成についての説明は省略する。
【0096】
以上説明したように、本例では、トランジスタのゲート、ソース間に係る最大電位差を押さえるために、チャージポンプ回路1910を構成するトランジスタをP型あるいはN型に適切に設定し、また、トランジスタのゲート制御電圧を、トランジスタをON制御する場合とトランジスタをOFF制御する場合の双方共にスイッチトキャパシタ回路の出力信号Vout、あるいは入力信号Voを基準として生成し、ゲート、ソース間にかかる最大電位差をVoとした。
【0097】
したがって、電源電圧以上あるいはグラウンド電圧以下の信号を出力するチャージポンプ回路を、従来よりも耐圧が低いトランジスタで構成することが可能となるので、ゲート酸化膜圧が薄く、ON状態での抵抗が低いトランジスタで回路を構成することができる。したがって、製造プロセスの制限が緩和される。また、同時に、ある一定以下のON状態での抵抗値に抑えるために必要なトランジスタサイズが従来よりも小さくなり、半導体回路構成の規模を小さくすることができる。