特許第5986594号(P5986594)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5986594
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】光デバイス
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/02 20060101AFI20160823BHJP
   G02B 6/036 20060101ALI20160823BHJP
   G02B 6/04 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
   G02B6/02 461
   G02B6/02 411
   G02B6/036 301
   G02B6/04 B
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-26624(P2014-26624)
(22)【出願日】2014年2月14日
(65)【公開番号】特開2015-152774(P2015-152774A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2014年12月24日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年度、独立行政法人情報通信研究機構、「高度通信・放送研究開発委託研究/革新的光通信インフラの研究開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(73)【特許権者】
【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
(74)【代理人】
【識別番号】100143764
【弁理士】
【氏名又は名称】森村 靖男
(74)【代理人】
【識別番号】100129296
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 博昭
(72)【発明者】
【氏名】植村 仁
(72)【発明者】
【氏名】竹永 勝宏
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 晋聖
【審査官】 奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−522677(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/161809(WO,A1)
【文献】 特表2012−524302(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/00− 6/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側コアと前記内側コアの外周面を隙間なく包囲する外側コアとから成る複数のコアと、
前記コアの外周面を隙間なく包囲し前記外側コアの屈折率より低い屈折率とされるクラッドと、
を備え、
それぞれの前記コアは、長手方向の一方側から他方側に向かって縮径されるテーパ部を有し、
それぞれの前記内側コアは、低屈折率部と、前記低屈折率部の外周面を隙間なく包囲し前記低屈折率部の屈折率よりも高い屈折率とされる高屈折率部とから成り、
前記外側コアは、前記高屈折率部より低い屈折率とされ
前記低屈折率部は、前記外側コアの屈折率以下の屈折率とされ、
前記低屈折率部は、前記クラッドの屈折率と等しい屈折率とされ、
前記内側コアの半径をrとし、前記外側コアの外周の半径をrとし、前記低屈折率部の直径をdとし、前記内側コアの前記クラッドに対する比屈折率差をΔとし、前記外側コアの前記クラッドに対する比屈折率差をΔとし、前記コアの縮径後の直径を1とする場合における縮径前の直径をRとする場合に、以下の式を満たす
ことを特徴とする光デバイス。
【数1】
【請求項2】
前記コアの縮径後の直径を1とする場合における縮径前の直径が3から5とされる
ことを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項3】
下記式を満たす
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の光デバイス。
0.3<d/2r<0.6
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光デバイスに関し、複数のモードの光を入出力させる場合に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
一般に普及している光ファイバ通信システムに用いられる光ファイバは、1本のコアの外周がクラッドにより囲まれた構造をしており、このコア内を光信号が伝搬することで情報が伝送される。そして、近年、光ファイバ通信システムの普及に伴い、伝送される情報量が飛躍的に増大している。
【0003】
こうした光ファイバ通信システムの伝送容量増大を実現するために、複数のコアの外周が1つのクラッドにより囲まれたマルチコアファイバを用いて、それぞれのコアを伝搬する光により、複数の信号を伝送させることが知られている。
【0004】
マルチコアファイバに対する光の入出力を行う光デバイスとして、例えば下記特許文献1に開示されたものがある。この光デバイスは、キャピラリに形成される複数の空孔のそれぞれに単芯の光ファイバを一体化させると共に延伸することで作製されており、当該光ファイバが一端側から他端側に向かって縮径されている。また、それぞれの光ファイバは、コアが内側コアと内側コアを隙間なく包囲する外側コアとから成る二重の構造とされており、内側コアの屈折率が外側コアの屈折率よりも高くされ、クラッドの屈折率は外側コアよりも低い屈折率とされる。また、縮径されていない上記一端側では、内側コアをシングルモードの光が伝搬し易いように内側コアの直径及び内側コアと外側コアとの屈折率差が設定され、縮径された上記他端側では、光が外側コアまで広がって内側コアと外側コアとを合わせたコアをシングルモードの光を伝搬し易いよう外側コアの外径及び外側コアとクラッドとの屈折率差が設定される。
【0005】
この光デバイスにおいては、それぞれの光ファイバの一端側から他端側に伝搬するシングルモードの光は、一端側において内側コアを伝搬するが、縮径により内側コアが所定の直径よりも小さくなると、内側コアから外側コアへの光の染み出しが大きくなる。このため内側コアが所定の直径よりも小さくなってからは、光は外側コアまで広がって内側コアと外側コアとを合わせたコアを伝搬する。このためこの光デバイスでは、光ファイバ間の距離が小さくされるにもかかわらず、それぞれの光ファイバを伝搬する光のモードフィールド径(MFD:Mode Field Diameter)の変化が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2013−522677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載の光デバイスは、シングルモードの光を伝搬することが前提とされている。従って、この光デバイスは、シングルモードの光が上記のように伝搬するように内側コアや外側コアの屈折率や径といった条件が設定される。
【0008】
ところで、光通信では、LP01モード(基本モード)の光に情報を重畳させると共に、LP11モード等の基本モードよりも高次のモードの光に情報を重畳させて情報通信を行う多モード通信が知られている。そこで、上記特許文献1のようにコアを二重とする構成において、多モードの光を伝搬させるためにコア径を大きくする場合に、光の損失が大きくなる場合があることが本発明者等により見出された。
【0009】
この原因は、次の様に考えられる。LP01モードの光は、コアの中心に強度のピークがあり、コアの外周に向かうにつれて小さくなる。従って、LP01モードの光の強度は、コアの中心以外にピークが存在しない。一方、高次モードの光の強度は、コアの中心以外にピークが存在する。例えば、奇モードの光の強度は、コアの中心でゼロであり、コアの中心以外にピークが存在する。また例えば、LP01モード以外の偶モードの光の強度は、コアの中心にピークが存在するが、コアの中心以外にもピークが存在する。このため、上記光デバイスを伝搬するLP01モードの光は、縮径により内側コアの直径が小さくなる場合であっても、内側コアを伝搬する傾向がある。その一方、高次モードの光は、コアの中心以外に強度のピークを有するため、LP01モードの光が内側コアを伝搬するような条件であっても、内側コアのみを伝搬することができずに外側コアまで広がって、内側コアと外側コアとを合わせたコアを伝搬する傾向がある。このため、光デバイスの縮径されていない一方側から多モードの光を入射する場合、縮径されている他方側から、LP01モードの光が内側コアを伝搬する状態で出射し、高次モードの光が内側コアと外側コアとを合わせたコアを伝搬する状態で出射する場合がある。この場合、他方側ではコアが縮径されているため、LP01モードの光のモードフィールド径は、高次モードの光のモードフィールド径と比べて小さくなる。
【0010】
このようにLP01モードの光のモードフィールド径とLP11モードの光のモードフィールド径とが異なる出射光が光デバイスに接続されるマルチコアファイバに入射すると、入射後に少なくとも一方のモードの光のモードフィールド径が急激に変わり光の損失が大きくなり易い。
【0011】
そこで、本発明は、光の損失を抑制することができる光デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる課題を解決するため本発明の光デバイスは、内側コアと前記内側コアの外周面を隙間なく包囲する外側コアとから成る複数のコアと、前記コアの外周面を隙間なく包囲し前記外側コアの屈折率より低い屈折率とされるクラッドと、を備え、それぞれの前記コアは、長手方向の一方側から他方側に向かって縮径されるテーパ部を有し、それぞれの前記内側コアは、低屈折率部と、前記低屈折率部の外周面を隙間なく包囲し前記低屈折率部の屈折率よりも高い屈折率とされる高屈折率部とから成り、前記外側コアは、前記高屈折率部より低い屈折率とされることを特徴とするものである。
【0013】
この光デバイスでは、それぞれのコアの縮径されていない一方側から縮径されている他方側へ伝搬する光は、内側コアを伝搬し、テーパ部の途中から外側コアまで広がって内側コアと外側コアとを合わせたコア全体を伝搬する。このとき内側コアの屈折率の構成は、低屈折率部が高屈折率部によって包囲される構成とされるため、コアの屈折率が一様である場合と比べてLP01モードの光の強度分布がコアの外周方向へ広がり易い。従って、LP01モードの光が、コアの縮径に伴い、内側コアを伝搬する状態から内側コアと外側コアとを合わせたコア全体を伝搬する状態に移行し易くすることができる。また、他のモードの光もコアの縮径に伴い、内側コアを伝搬する状態から内側コアと外側コアとを合わせたコア全体を伝搬する状態に移行することができる。こうして、コアが縮径された状態でLP01モードの光が内側コア内に留まることを抑制して、それぞれのモードの光のモードフィールド径が大きく異なった状態で光が出射することを抑制することができ、光の損失を抑制することができる。
【0014】
また、前記低屈折率部は、前記高屈折率部の屈折率と外側コアの屈折率との間の屈折率とされることとしても良い。
【0015】
また、前記低屈折率部は、前記外側コアの屈折率以下の屈折率とされることとしても良い。
【0016】
この場合、前記低屈折率部は、前記外側コアの屈折率と等しい屈折率とされることが好ましい。この場合、低屈折率部の屈折率が外側コアの屈折率と異なる場合と比べて、コアの屈折分布が一定となる状態に近づけることができる。
【0017】
また、前記低屈折率部は、前記外側コアの屈折率とクラッドの屈折率との間の屈折率とされることとしても良い。
【0018】
また、前記低屈折率部は、前記クラッドの屈折率以下の屈折率とされることとしても良い。
【0019】
また、前記低屈折率部は、前記クラッドの屈折率と等しい屈折率とされることとしても良い。このような構成において、クラッド屈折率が純粋石英レベルの場合、前期低屈折率部は石英に添加物を入れないことで作製できるため、屈折率の制御、およびガラスの作製が容易となる。
【0020】
この場合、前記内側コアの半径をrとし、前記外側コアの外周の半径をrとし、前記低屈折率部の直径をdとし、前記内側コアの前記クラッドに対する比屈折率差をΔとし、前記外側コアの前記クラッドに対する比屈折率差をΔとし、前記コアの縮径後の直径を1とする場合における縮径前の直径をRとする場合に、以下の式を満たすことが好ましい。
【数1】
【0021】
本発明者等は、光デバイスが上記条件を満たすことで、LP01モードの光のモードフィールド径が入射側と出射側とで略同じとなり、かつ、LP11モードの光のモードフィールド径が入射側と出射側とで略同じとなることを見出した。従って、LP01モードの光とLP11モードの光とで多モード通信を行う際に、光のモードフィールド径の管理が容易となり、これらのモードの光を用いた多モード通信を容易に行うことができる。
【0022】
また、前記コアの縮径後の直径を1とする場合における縮径前の直径が3から5とされることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
以上のように本発明によれば、光の損失を抑制することができる光デバイスが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1実施形態における光デバイスを示す図である。
図2】大径部及び小径部における光デバイスの長手方向に垂直な断面の様子を示す図である。
図3】中継ファイバのコアをLP01モードの光及びLP11モードの光が伝搬する様子を示す図である。
図4】第2実施形態における光デバイスを示す図である。
図5図4の光デバイスの長手方向に垂直な断面の様子を示す図である。
図6】実施例1における外側コアの比屈折率差Δと半径rとの関係を示す図である。
図7】実施例2における外側コアの比屈折率差Δと半径rとの関係を示す図である。
図8】実施例3における外側コアの比屈折率差Δと半径rとの関係を示す図である。
図9】実施例4における外側コアの比屈折率差Δと半径rとの関係を示す図である。
図10】比較例1における外側コアの比屈折率差Δと半径rとの関係を示す図である。
図11】高屈折率部の屈折率差体積Vと外側コアの比屈折率差体積Vとの関係を示す図である。
図12】屈折率差体積Vを延伸比Rで除した値と比屈折率差体積Vとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る光デバイスの好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態における光デバイスを示す図である。図1に示すように、本実施形態の光デバイス1は、複数の中継ファイバ10と、キャピラリ20とを主な構成要素として備える。なお、本例では中継ファイバ10の数が7本とされる。
【0027】
中継ファイバ10は、キャピラリ20の一端から他端までキャピラリ20内に挿入されており、中継ファイバ10とキャピラリ20とが隙間なく一体とされている。また、中継ファイバ10におけるキャピラリ20内に挿入されていない部分は露出している。
【0028】
キャピラリ20は、断面の形状が円形とされ、長手方向に沿って大径部21とテーパ部22と小径部23とが形成されている。このような形状は次の様に形成される。まず、挿入される中継ファイバ10の数と同様の貫通孔が形成され、太さが一定のキャピラリを準備して、中継ファイバ10がそれぞれの貫通孔に個別に挿入される。その後、加熱によりキャピラリと中継ファイバ10とが一体とされて、キャピラリと中継ファイバとの一体物が溶融延伸される。この延伸によりテーパ部22と小径部23とが形成される。従って、キャピラリ20のテーパ部22内ではそれぞれの中継ファイバ10もキャピラリ20の縮径に伴い縮径しており、小径部23内ではそれぞれの中継ファイバ10も小径化している。
【0029】
図2は、光デバイス1のキャピラリ20含む位置における長さ方向に垂直な断面の様子を示す図である。具体的に図2の(A)は当該断面における構造の様子を示し、図2(B)は当該断面におけるX−X線での屈折率分布の様子を示す。なお、本例の場合、キャピラリ20の外径と中継ファイバ10の外径との比は、キャピラリの長手方向に垂直な断面であれば、大径部21、テーパ部22、小径部23の何れであっても同じである。従って、キャピラリ20のどの位置における断面図かは特定する必要がない。
【0030】
上記のように本実施形態の中継ファイバ10の数は7本とされ、1本の中継ファイバ10がキャピラリ20の中心に配置され、当該中心に配置された中継ファイバ10の周囲に6本の中継ファイバ10が配置される。この状態で、それぞれの中継ファイバ10の中心を結ぶ線が三角格子状とされ、それぞれの中継ファイバ10の中心間距離は等しくされる。
【0031】
図1図2(A)に示すように、それぞれの中継ファイバ10は、コア13とコア13の外周面を隙間なく包囲するクラッド15とを有する単芯の光ファイバであり、コア13は、内側コア11と外側コア12とから成る。また、図1では省略しているが、中継ファイバ10の内側コア11は、中心に位置する低屈折率部11aと低屈折率部11aの外周面を隙間なく包囲する高屈折率部11bとから成る。また、上記のようにキャピラリ20の外径に対するそれぞれの中継ファイバ10の直径の比率は、大径部21、テーパ部22及び小径部23の何れであっても変わらない。従って、それぞれの中継ファイバ10はテーパ部22において大径部21側から小径部23側に向かって縮径されている。このため、中継ファイバ10のコア13を構成する低屈折率部11a、高屈折率部11b、外側コア12及びクラッド15は、それぞれの径の比率が維持されたまま大径部21側から小径部23側に向かって縮径されている。
【0032】
また、図2(B)に示すように、高屈折率部11bの屈折率は低屈折率部11aの屈折率よりも高くされる。外側コア12の屈折率は高屈折率部11bの屈折率よりも低くされる。クラッド15の屈折率は、外側コアの屈折率よりも低くされる。また、本実施形態では、低屈折率部11aはクラッド15の屈折率が同じ屈折率とされ、キャピラリ20の屈折率は、クラッド15の屈折率と同等とされる。
【0033】
なお、本実施形態では、低屈折率部11aの直径がdで示され、内側コア11の直径(高屈折率部11bの外径)が2rとされ、コア13の直径(外側コア12の外径)が2rとされる。また、高屈折率部11bのクラッド15に対する比屈折率差がΔとされ、外側コア12のクラッド15に対する比屈折率差がΔとされる。
【0034】
ところで、一般的な光ファイバのクラッドの外径は125μmである、一方、一般的なマルチコアファイバのコア間距離は30μm〜50μm程度である。そこで、大径部21では中継ファイバ10の外径が一般的な光ファイバの外径と同等となり、小径部23ではコア間距離が一般的なマルチコアファイバのコア間距離とされることが好ましい。また、縮径前におけるキャピラリ20の貫通孔間の壁厚は、強度を確保しながら小型化する観点から通常10μm〜25μmとなることが好ましい。そうすると、縮径後である小径部23のキャピラリ20の外径を1とする場合に縮径前である大径部21のキャピラリ20の外径、すなわち大径部21と小径部23との延伸比は、(125+(10〜25))/(30〜50)=3〜5とされることが好ましい。なお、この延伸比は、コア13の延伸比と同じになる。
【0035】
このような光デバイス1のそれぞれのコア13には次のように光が伝搬する。図3は、それぞれの中継ファイバ10のコア13をLP01モードの光及びLP11モードの光が伝搬する様子を示す図である。具体的には図3(A)は大径部21側と小径部23側のコア13の様子を示し、図3(B)は、大径部21側と小径部23側におけるLP01モードの光とLP11モードの光の電界の様子を示している。
【0036】
図3に示すように中継ファイバ10が縮径されていない大径部21においては、外側コア12が内側コア11に対するクラッドとして機能し、それぞれのモードの光は、内側コア11を伝搬する。このように光が伝搬するには、例えば、光の波長が1550nmである場合に、高屈折率部11bのクラッド15に対する比屈折率差Δが1.82とされ、外側コア12のクラッド15に対する比屈折率差Δが1.11とされ、低屈折率部11aの直径dが4.22μmとされ、大径部21における内側コア11の直径2rが8.44μmとされれば良い。
【0037】
内側コア11を伝搬する光が大径部21側から小径部23側に進むと、テーパ部22において、コア13が縮径する。このため、内側コア11を伝搬するそれぞれのモードの光は、内側コア11から外側コア12への光の染み出しが大きくなる。従って、小径部23側においては、それぞれの光が外側コア12まで広がって、内側コア11と外側コア12とを合わせたコア13全体を伝搬する。ただし、LP01モードの光とLP11モードの光とがテーパ部22の同じ場所において外側コア12まで広がるわけではなく、少なくとも小径部23に達するまでにそれぞれのモードの光が外側コア12まで広がって、内側コア11と外側コア12とを合わせたコア13を伝搬するのである。このように光が伝搬するには、例えば、上記のように光の波長が1550nmである場合に、外側コア12のクラッド15に対する比屈折率差は上記と同様であるので、小径部23におけるコア13の直径2rが3.93μmとされれば良い。
【0038】
ところで、LP11モードの光は、光の強度のピークが光の中心からずれた位置に存在する。このため、内側コア11を伝搬するLP11モードの光は、内側コア11が縮径すると外側コア12まで広がりやすい。しかしLP01モードの光の強度のピークは、コアの中心に位置する。従って、内側コア11を伝搬するLP01モードの光は、内側コア11の径方向における屈折率が一定であるには、内側コア11が縮径しても外側コア12まで広がりづらい傾向にある。しかし、本実施形態の光デバイス1では内側コア11は内側コア11の中心に位置する低屈折率部11aが高屈折率部11bで包囲される構成とされるため、内側コア11の屈折率が一定である場合と比べて、内側コア11の縮径によりLP01モードの光が外側コア12まで広がり易い。なお、低屈折率部11aの直径dと高屈折率部11bの外径2rとの比が0.3以上0.6以下であることが好ましい。この比が0.3以上であることにより、テーパ部においてLP01モードの光を外側コア12まで広がり易くすることができ、この比が0.6以下であることにより、縮径前に内側コア11内を光が伝搬し易くすることができる。
【0039】
以上説明したように本実施形態の光デバイスによれば、LP01モードの光及びLP11モードの光を、コア13の縮径に伴い、内側コア11を伝搬する状態から内側コア11と外側コア12とを合わせたコア13全体を伝搬する状態に移行し易くすることができる。従って、それぞれのモードの光のモードフィールド径の差が入射時と比べて大きくなって出射することを抑制できる。従って、小径部23にマルチコアファイバが接続される場合等に、それぞれのコア13から出射する光がマルチコアファイバ等に入射する場合に光の損失を抑制することができる。
【0040】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して特に説明する場合を除き重複する説明は省略する。
【0041】
図4は、本発明の第2実施形態に係る光デバイスを示す図であり、図5は、図4の光デバイス2の長手方向に垂直な断面の様子を示す図である。図4図5に示すように本実施形態の光デバイス2は、コア13の外周面が第1実施形態のキャピラリ20と同様のガラス体でなるクラッド25で隙間なく包囲されており、コア13がクラッド25内にのみ位置している点において、第1実施形態の光デバイスと異なる。すなわち、本実施形態の光デバイス2は、第1実施形態の光デバイス1において、中継ファイバ10のキャピラリ20から露出している部分を除去して、それぞれのクラッド15を除去して、クラッド15が除去されることで生じる空間をキャピラリ20で埋めたものと同等である。
【0042】
このような光デバイスは、断面の構造が図5のようにされ、大径部21と同じ太さのマルチコアファイバを作成し、作成したマルチコアファイバを溶融延伸してテーパ部22及び小径部23を形成すれば良い。
【0043】
なお、本実施形態の光デバイス2においても、大径部21と小径部23との延伸比は第1実施形態の大径部21と小径部23との延伸比と同様であることが好ましい。
【0044】
このようなマルチコアファイバを用いた光デバイス2であっても、第1実施形態の光デバイス1と同様にして多モードの光を伝搬することができる。
【0045】
以上、本発明について、上記実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0046】
例えば、第1実施形態における中継ファイバ10の数や第2実施形態におけるコア13の数は適宜変更可能である。
【0047】
また第1実施形態において、クラッド15の屈折率とキャピラリ20の屈折率とが互いに等しくされたが、クラッド15の屈折率とキャピラリ20の屈折率とが互いに異なるようにされても良い。
【0048】
また、第1実施形態では低屈折率部11aの屈折率がクラッド15の屈折率と等しくされ、第2実施形態では低屈折率部11aの屈折率がクラッド25の屈折率に等しくされた。しかし、低屈折率部11aの屈折率は、高屈折率部11bの屈折率より低い限りにおいて、適宜変えることができる。例えば、低屈折率部11aは、高屈折率部11bの屈折率と外側コア12の屈折率との間の屈折率とされることとしても良い。また、低屈折率部11aは、外側コア12の屈折率以下の屈折率とされることとしても良く、この場合、低屈折率部11aは、外側コア12の屈折率と等しい屈折率とされることが好ましい。低屈折率部11aの屈折率と外側コア12の屈折率とが等しい場合、低屈折率部11aの屈折率が外側コア12の屈折率と異なる場合と比べて、コア13の屈折分布が一定となる状態に近づけることができる。また、低屈折率部11aは、外側コア12の屈折率とクラッド15,25の屈折率との間の屈折率とされることとしても良い。また、低屈折率部11aは、クラッド15,25の屈折率以下の屈折率とされることとしても良く、この場合に上記実施形態のように、低屈折率部11aは、クラッド15,25の屈折率と等しい屈折率とされることとしても良い。
【実施例】
【0049】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例は有限要素法を用いた計算機シミュレーションによるものである。
【0050】
(実施例1)
第1実施形態の光デバイス1をモデルとしてシミュレーションを行った。本モデルでは、第1実施形態と同様に低屈折率部11aをクラッド15の屈折率と同じ屈折率とした。また、内側コア11の低屈折率部11aの直径dと高屈折率部11bの外径2rの比(d/2r)を0.3とした。
【0051】
次に大径部21において、LP01モードの光の実効コア断面積Aeffが110μmとなり、LP11モードの光の実効コア断面積Aeffが170μmとなるための条件を求めた。具体的には、外側コア12のクラッド15に対する比屈折率差Δが0.5,1.0,1.5のそれぞれにおいて、内側コア11の半径r及び高屈折率部11bのクラッド15に対する比屈折率差Δを求めた。その結果を表1に示す。
【表1】
【0052】
次に、表1の条件で、コア13の小径部23での直径を1とする場合における大径部の直径が3,4,5の場合、すなわち延伸比Rが3,4,5の場合のそれぞれにおいて、LP01モードの光の実効コア断面積が大径部21と小径部23とで同じ大きさとなるための外側コア12の半径r、及び、LP11モードの光の実効コア断面積が大径部21と小径部23とで同じ大きさとなるための外側コア12の半径rを求めた。その結果を図6に示す。
【0053】
図6において、延伸比Rが3の場合に、LP01モードの光が大径部21と小径部23とで同じ実効コア断面積となるΔとrとの関係、及び、LP11モードの光が大径部21と小径部23とで同じ実効コア断面積となるΔとrとの関係が菱型印で示される。また、延伸比Rが4の場合に、LP01モードの光が大径部21と小径部23とで同じ実効コア断面積となるΔとrとの関係、及び、LP11モードの光が大径部21と小径部23とで同じ実効コア断面積となるΔとrとの関係が丸印で示される。また、延伸比Rが5の場合に、LP01モードの光が大径部21と小径部23とで同じ実効コア断面積となるΔとrとの関係、及び、LP11モードの光が大径部21と小径部23とで同じ実効コア断面積となるΔとrとの関係が三角印で示される。さらに、LP01モードの光について、菱型印同士を結ぶ線、丸印同士を結ぶ線、三角印同士を結ぶ線が破線で示され、LP11モードの光について、菱型印同士を結ぶ線、丸印同士を結ぶ線、三角印同士を結ぶ線が実線で示されている。
【0054】
図6から明らかなように、上記三角同士を結ぶ破線と実線とが、Δが1.5でr2が8.1μmの近辺で交差している。このことは、延伸比Rが5の場合に、大径部21を伝搬するLP01モードの光と小径部23を伝搬するLP01モードの光とが等しい実効コア断面積とされ、かつ、大径部21を伝搬するLP11モードの光と小径部23を伝搬するLP11モードの光と等しい実効コア断面積とされることを示す。従って、延伸比Rが5の場合において、LP01モードの光及びLP11モードの光のそれぞれについて、入射光と出射光とが等しい実効コア断面積とされる条件を有することが示された。
【0055】
(実施例2)
内側コア11の低屈折率部11aの直径dと高屈折率部11bの外径2rの比(d/2r)を0.4としたこと以外は、実施例1と同様にして、大径部21において、LP01モードの光の実効コア断面積Aeffが110μmとなり、LP11モードの光の実効コア断面積Aeffが170μmとなるための条件を求めた。その結果を表2に示す。
【表2】
【0056】
次に、表2の条件で、延伸比Rが3,4,5の場合のそれぞれにおいて、LP01モードの光の実効コア断面積が大径部21と小径部23とで同じ大きさとなるための外側コア12の半径r、及び、LP11モードの光の実効コア断面積が大径部21と小径部23とで同じ大きさとなるための外側コア12の半径rを求めた。その結果を図6と同様の方法で図7に示す。
【0057】
図7から明らかなように、上記三角印同士を結ぶ破線と上記三角印同士を結ぶ実線とが、Δが1.0でrが7.8μmの近辺で交差している。このことは、延伸比Rが5の場合に、大径部21を伝搬するLP01モードの光と小径部23を伝搬するLP01モードの光とが等しい実効コア断面積とされ、かつ、大径部21を伝搬するLP11モードの光と小径部23を伝搬するLP11モードの光と等しい実効コア断面積とされることを示す。また、上記丸印同士を結ぶ破線と上記丸印同士を結ぶ実線とが、Δが1.5でrが8.1μmの近辺で交差している。このことは、延伸比Rが4の場合に、大径部21を伝搬するLP01モードの光と小径部23を伝搬するLP01モードの光とが等しい実効コア断面積とされ、かつ、大径部21を伝搬するLP11モードの光と小径部23を伝搬するLP11モードの光と等しい実効コア断面積とされることを示す。従って、延伸比Rが4及び5のそれぞれの場合に、LP01モードの光及びLP11モードの光のそれぞれについて、入射光と出射光とが等しい実効コア断面積とされる条件を有することが示された。
【0058】
(実施例3)
内側コア11の低屈折率部11aの直径dと高屈折率部11bの外径2rの比(d/2r)を0.5としたこと以外は、実施例1と同様にして、大径部21において、LP01モードの光の実効コア断面積Aeffが110μmとなり、LP11モードの光の実効コア断面積Aeffが170μmとなるための条件を求めた。その結果を表3に示す。
【表3】
【0059】
次に、表3の条件で、延伸比Rが3,4,5の場合のそれぞれにおいて、LP01モードの光の実効コア断面積が大径部21と小径部23とで同じ大きさとなるための外側コア12の半径r、及び、LP11モードの光の実効コア断面積が大径部21と小径部23とで同じ大きさとなるための外側コア12の半径rを求めた。その結果を図6と同様の方法で図8に示す。
【0060】
図8から明らかなように、上記三角印同士を結ぶ破線と上記三角印同士を結ぶ実線とが、Δが0.8%でrが7.5μmの近辺で交差している。このことは、延伸比Rが5の場合に、大径部21を伝搬するLP01モードの光と小径部23を伝搬するLP01モードの光とが等しい実効コア断面積とされ、かつ、大径部21を伝搬するLP11モードの光と小径部23を伝搬するLP11モードの光と等しい実効コア断面積とされることを示す。また、上記丸印同士を結ぶ破線と上記丸印同士を結ぶ実線とが、Δが1.1%でrが7.8μmの近辺で交差している。このことは、延伸比Rが4の場合に、大径部21を伝搬するLP01モードの光と小径部23を伝搬するLP01モードの光とが等しい実効コア断面積とされ、かつ、大径部21を伝搬するLP11モードの光と小径部23を伝搬するLP11モードの光と等しい実効コア断面積とされることを示す。また、上記菱型印同士を結ぶ破線と上記菱型印同士を結ぶ実線とが、Δが1.5%でrが8.2μmの近辺で交差している。このことは、延伸比Rが3の場合に、大径部21を伝搬するLP01モードの光と小径部23を伝搬するLP01モードの光とが等しい実効コア断面積とされ、かつ、大径部21を伝搬するLP11モードの光と小径部23を伝搬するLP11モードの光と等しい実効コア断面積とされることを示す。従って、延伸比Rが3、4及び5のそれぞれの場合に、LP01モードの光及びLP11モードの光のそれぞれについて、入射光と出射光とが等しい実効コア断面積とされる条件を有することが示された。
【0061】
(実施例4)
内側コア11の低屈折率部11aの直径dと高屈折率部11bの外径2rの比(d/2r)を0.6としたこと以外は、実施例1と同様にして、大径部21において、LP01モードの光の実効コア断面積Aeffが110μmとなり、LP11モードの光の実効コア断面積Aeffが170μmとなるための条件を求めた。その結果を表4に示す。
【表4】
【0062】
次に、表4の条件で、延伸比Rが3,4,5の場合のそれぞれにおいて、LP01モードの光の実効コア断面積が大径部21と小径部23とで同じ大きさとなるための外側コア12の半径r、及び、LP11モードの光の実効コア断面積が大径部21と小径部23とで同じ大きさとなるための外側コア12の半径rを求めた。その結果を図6と同様の方法で図9に示す。
【0063】
図9から明らかなように、上記三角印同士を結ぶ破線と上記三角印同士を結ぶ実線とが、Δが0.7%でrが7.4μmの近辺で交差している。このことは、延伸比Rが5の場合に、大径部21を伝搬するLP01モードの光と小径部23を伝搬するLP01モードの光とが等しい実効コア断面積とされ、かつ、大径部21を伝搬するLP11モードの光と小径部23を伝搬するLP11モードの光と等しい実効コア断面積とされることを示す。また、上記丸印同士を結ぶ破線と上記丸印同士を結ぶ実線とが、Δが0.9%でrが7.7μmの近辺で交差している。このことは、延伸比Rが4の場合に、大径部21を伝搬するLP01モードの光と小径部23を伝搬するLP01モードの光とが等しい実効コア断面積とされ、かつ、大径部21を伝搬するLP11モードの光と小径部23を伝搬するLP11モードの光と等しい実効コア断面積とされることを示す。また、上記菱型印同士を結ぶ破線と上記菱型印同士を結ぶ実線とが、Δが1.2%でrが7.9μmの近辺で交差している。このことは、延伸比Rが3の場合に、大径部21を伝搬するLP01モードの光と小径部23を伝搬するLP01モードの光とが等しい実効コア断面積とされ、かつ、大径部21を伝搬するLP11モードの光と小径部23を伝搬するLP11モードの光と等しい実効コア断面積とされることを示す。従って、延伸比Rが3、4及び5のそれぞれの場合に、LP01モードの光及びLP11モードの光のそれぞれについて、入射光と出射光とが等しい実効コア断面積とされる条件を有することが示された。
【0064】
(比較例1)
内側コア11の低屈折率部11aの直径dと高屈折率部11bの外径2rの比(d/2r)を0とした(内側コア11となるべき部位が全て高屈折率部11bで埋められている)こと以外は、実施例1と同様にして、延伸比が4,5の場合について、大径部21において、LP01モードの光の実効コア断面積Aeffが110μmとなり、LP11モードの光の実効コア断面積Aeffが170μmとなるための条件を求めた。その結果を表5に示す。
【表5】
【0065】
次に、表5の条件で、延伸比Rが4,5の場合のそれぞれにおいて、LP01モードの光の実効コア断面積が大径部21と小径部23とで同じ大きさとなるための外側コア12の半径r、及び、LP11モードの光の実効コア断面積が大径部21と小径部23とで同じ大きさとなるための外側コア12の半径rを求めた。その結果を図6と同様の方法で図10に示す。
【0066】
図10から明らかなように、上記三角印同士を結ぶ破線と上記三角印同士を結ぶ実線とは交差しない。また、上記丸印同士を結ぶ破線と上記丸印同士を結ぶ実線とは交差しない。このことは、延伸比Rが4及び5のそれぞれの場合に、大径部21を伝搬するLP01モードの光と小径部23を伝搬するLP01モードの光とが等しい実効コア断面積とされ、かつ、大径部21を伝搬するLP11モードの光と小径部23を伝搬するLP11モードの光と等しい実効コア断面積とされるような状態が存在しないことを示す。この結果から延伸比が3の場合にも、大径部21を伝搬するLP01モードの光と小径部23を伝搬するLP01モードの光とが等しい実効コア断面積とされ、かつ、大径部21を伝搬するLP11モードの光と小径部23を伝搬するLP11モードの光と等しい実効コア断面積とされるような状態が存在しないことが分かる。
【0067】
以上より、本発明によればLP01モードの光及びLP11モードの光のそれぞれについて、入射光と出射光とが等しい実効コア断面積とされる条件を有する場合があることが示された。
【0068】
次に、実施例1〜4において、LP01モードの光及びLP11モードの光が共に入射光の実効コア断面積と出射光の実効コア断面積とが等しい条件において、高屈折率部11b及び外側コア12の比屈折率差体積を求めた。高屈折率部11bの比屈折率差体積Vは、コア13の長手方向に垂直な断面における高屈折率部11bの面積に、高屈折率部11bの比屈折率差Δを乗じて求めることができる。つまり比屈折率差体積Vは下記式で示される。
【数2】
同様に外側コア12の比屈折率差体積Vは、コア13の長手方向に垂直な断面における外側コア12の面積に、外側コア12の比屈折率差Δを乗じて求めることができる。つまり比屈折率差体積Vは下記式で示される。
【数3】
【0069】
求めた高屈折率部11bの比屈折率差体積Vと外側コア12の比屈折率差体積Vとの関係を図11に示す。比屈折率差体積Vは延伸前の実効コア断面積に強く影響するパラメータである。この値は、中心低屈折率部の直径dが大きくなるほど実効的な屈折率低下が起こるため広くする必要がある。一方、比屈折率差体積V2は延伸後の実効コア断面積に強く影響するパラメータである。延伸前のパラメータVが大きい場合、それに応じてパラメータVを大きくしないと所望の実効コア断面積Aeffを得ることが困難となる。これらの相関から、パラメータVとパラメータVとに延伸比に応じた比例関係があると考えられる。
【0070】
次に、求めた比屈折率差体積Vを延伸比Rで除した値と、比屈折率差体積Vとの関係を図12に示す。前述のとおり比屈折率差体積Vは延伸後の実効コア断面積に関連するパラメータであり、延伸比Rで除することでパラメータVに対してより一般的な関係が得られると考えられる。そこで図11より、図12に示すようにVとV/Rとの関係をプロットして、プロットの最小2乗法よりより、屈折率差体積Vと比屈折率差体積Vとが次の関係を満たす領域において、LP01モードの光及びLP11モードの光が共に入射光の実効コア断面積と出射光の実効コア断面積とが等しくなること結果となった。
【数4】
【0071】
以上より、LP01モードの光及びLP11モードの光が共に入射光の実効コア断面積と出射光の実効コア断面積とが等しくなる条件が求められた。
【0072】
なお、低屈折率部11aのクラッドに対する比屈折率差をΔとすると、低屈折率部11aの比屈折率体積Vは、下記式で示される。
【数5】
この比屈折率差体積Vと高屈折率部11bの比屈折率差体積Vとが所定の関係になっていることが、所定の観点から好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明に係る光デバイスは、光の損失を抑制することができる光デバイスが提供され、マルチコアファイバを取り扱う産業において利用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1,2・・・光デバイス
10・・・中継ファイバ
11・・・内側コア
11a・・・低屈折率部
11b・・・高屈折率部
12・・・外側コア
13・・・コア
15・・・クラッド
20・・・キャピラリ
21・・・大径部
22・・・テーパ部
23・・・小径部
25・・・クラッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12