【実施例】
【0049】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例は有限要素法を用いた計算機シミュレーションによるものである。
【0050】
(実施例1)
第1実施形態の光デバイス1をモデルとしてシミュレーションを行った。本モデルでは、第1実施形態と同様に低屈折率部11aをクラッド15の屈折率と同じ屈折率とした。また、内側コア11の低屈折率部11aの直径dと高屈折率部11bの外径2r
1の比(d/2r
1)を0.3とした。
【0051】
次に大径部21において、LP01モードの光の実効コア断面積A
effが110μm
2となり、LP11モードの光の実効コア断面積A
effが170μm
2となるための条件を求めた。具体的には、外側コア12のクラッド15に対する比屈折率差Δ
2が0.5,1.0,1.5のそれぞれにおいて、内側コア11の半径r
1及び高屈折率部11bのクラッド15に対する比屈折率差Δ
1を求めた。その結果を表1に示す。
【表1】
【0052】
次に、表1の条件で、コア13の小径部23での直径を1とする場合における大径部の直径が3,4,5の場合、すなわち延伸比Rが3,4,5の場合のそれぞれにおいて、LP01モードの光の実効コア断面積が大径部21と小径部23とで同じ大きさとなるための外側コア12の半径r
2、及び、LP11モードの光の実効コア断面積が大径部21と小径部23とで同じ大きさとなるための外側コア12の半径r
2を求めた。その結果を
図6に示す。
【0053】
図6において、延伸比Rが3の場合に、LP01モードの光が大径部21と小径部23とで同じ実効コア断面積となるΔ
2とr
2との関係、及び、LP11モードの光が大径部21と小径部23とで同じ実効コア断面積となるΔ
2とr
2との関係が菱型印で示される。また、延伸比Rが4の場合に、LP01モードの光が大径部21と小径部23とで同じ実効コア断面積となるΔ
2とr
2との関係、及び、LP11モードの光が大径部21と小径部23とで同じ実効コア断面積となるΔ
2とr
2との関係が丸印で示される。また、延伸比Rが5の場合に、LP01モードの光が大径部21と小径部23とで同じ実効コア断面積となるΔ
2とr
2との関係、及び、LP11モードの光が大径部21と小径部23とで同じ実効コア断面積となるΔ
2とr
2との関係が三角印で示される。さらに、LP01モードの光について、菱型印同士を結ぶ線、丸印同士を結ぶ線、三角印同士を結ぶ線が破線で示され、LP11モードの光について、菱型印同士を結ぶ線、丸印同士を結ぶ線、三角印同士を結ぶ線が実線で示されている。
【0054】
図6から明らかなように、上記三角同士を結ぶ破線と実線とが、Δ
2が1.5でr2が8.1μmの近辺で交差している。このことは、延伸比Rが5の場合に、大径部21を伝搬するLP01モードの光と小径部23を伝搬するLP01モードの光とが等しい実効コア断面積とされ、かつ、大径部21を伝搬するLP11モードの光と小径部23を伝搬するLP11モードの光と等しい実効コア断面積とされることを示す。従って、延伸比Rが5の場合において、LP01モードの光及びLP11モードの光のそれぞれについて、入射光と出射光とが等しい実効コア断面積とされる条件を有することが示された。
【0055】
(実施例2)
内側コア11の低屈折率部11aの直径dと高屈折率部11bの外径2r
1の比(d/2r
1)を0.4としたこと以外は、実施例1と同様にして、大径部21において、LP01モードの光の実効コア断面積A
effが110μm
2となり、LP11モードの光の実効コア断面積A
effが170μm
2となるための条件を求めた。その結果を表2に示す。
【表2】
【0056】
次に、表2の条件で、延伸比Rが3,4,5の場合のそれぞれにおいて、LP01モードの光の実効コア断面積が大径部21と小径部23とで同じ大きさとなるための外側コア12の半径r
2、及び、LP11モードの光の実効コア断面積が大径部21と小径部23とで同じ大きさとなるための外側コア12の半径r
2を求めた。その結果を
図6と同様の方法で
図7に示す。
【0057】
図7から明らかなように、上記三角印同士を結ぶ破線と上記三角印同士を結ぶ実線とが、Δ
2が1.0でr
2が7.8μmの近辺で交差している。このことは、延伸比Rが5の場合に、大径部21を伝搬するLP01モードの光と小径部23を伝搬するLP01モードの光とが等しい実効コア断面積とされ、かつ、大径部21を伝搬するLP11モードの光と小径部23を伝搬するLP11モードの光と等しい実効コア断面積とされることを示す。また、上記丸印同士を結ぶ破線と上記丸印同士を結ぶ実線とが、Δ
2が1.5でr
2が8.1μmの近辺で交差している。このことは、延伸比Rが4の場合に、大径部21を伝搬するLP01モードの光と小径部23を伝搬するLP01モードの光とが等しい実効コア断面積とされ、かつ、大径部21を伝搬するLP11モードの光と小径部23を伝搬するLP11モードの光と等しい実効コア断面積とされることを示す。従って、延伸比Rが4及び5のそれぞれの場合に、LP01モードの光及びLP11モードの光のそれぞれについて、入射光と出射光とが等しい実効コア断面積とされる条件を有することが示された。
【0058】
(実施例3)
内側コア11の低屈折率部11aの直径dと高屈折率部11bの外径2r
1の比(d/2r
1)を0.5としたこと以外は、実施例1と同様にして、大径部21において、LP01モードの光の実効コア断面積A
effが110μm
2となり、LP11モードの光の実効コア断面積A
effが170μm
2となるための条件を求めた。その結果を表3に示す。
【表3】
【0059】
次に、表3の条件で、延伸比Rが3,4,5の場合のそれぞれにおいて、LP01モードの光の実効コア断面積が大径部21と小径部23とで同じ大きさとなるための外側コア12の半径r
2、及び、LP11モードの光の実効コア断面積が大径部21と小径部23とで同じ大きさとなるための外側コア12の半径r
2を求めた。その結果を
図6と同様の方法で
図8に示す。
【0060】
図8から明らかなように、上記三角印同士を結ぶ破線と上記三角印同士を結ぶ実線とが、Δ
2が0.8%でr
2が7.5μmの近辺で交差している。このことは、延伸比Rが5の場合に、大径部21を伝搬するLP01モードの光と小径部23を伝搬するLP01モードの光とが等しい実効コア断面積とされ、かつ、大径部21を伝搬するLP11モードの光と小径部23を伝搬するLP11モードの光と等しい実効コア断面積とされることを示す。また、上記丸印同士を結ぶ破線と上記丸印同士を結ぶ実線とが、Δ
2が1.1%でr
2が7.8μmの近辺で交差している。このことは、延伸比Rが4の場合に、大径部21を伝搬するLP01モードの光と小径部23を伝搬するLP01モードの光とが等しい実効コア断面積とされ、かつ、大径部21を伝搬するLP11モードの光と小径部23を伝搬するLP11モードの光と等しい実効コア断面積とされることを示す。また、上記菱型印同士を結ぶ破線と上記菱型印同士を結ぶ実線とが、Δ
2が1.5%でr
2が8.2μmの近辺で交差している。このことは、延伸比Rが3の場合に、大径部21を伝搬するLP01モードの光と小径部23を伝搬するLP01モードの光とが等しい実効コア断面積とされ、かつ、大径部21を伝搬するLP11モードの光と小径部23を伝搬するLP11モードの光と等しい実効コア断面積とされることを示す。従って、延伸比Rが3、4及び5のそれぞれの場合に、LP01モードの光及びLP11モードの光のそれぞれについて、入射光と出射光とが等しい実効コア断面積とされる条件を有することが示された。
【0061】
(実施例4)
内側コア11の低屈折率部11aの直径dと高屈折率部11bの外径2r
1の比(d/2r
1)を0.6としたこと以外は、実施例1と同様にして、大径部21において、LP01モードの光の実効コア断面積A
effが110μm
2となり、LP11モードの光の実効コア断面積A
effが170μm
2となるための条件を求めた。その結果を表4に示す。
【表4】
【0062】
次に、表4の条件で、延伸比Rが3,4,5の場合のそれぞれにおいて、LP01モードの光の実効コア断面積が大径部21と小径部23とで同じ大きさとなるための外側コア12の半径r
2、及び、LP11モードの光の実効コア断面積が大径部21と小径部23とで同じ大きさとなるための外側コア12の半径r
2を求めた。その結果を
図6と同様の方法で
図9に示す。
【0063】
図9から明らかなように、上記三角印同士を結ぶ破線と上記三角印同士を結ぶ実線とが、Δ
2が0.7%でr
2が7.4μmの近辺で交差している。このことは、延伸比Rが5の場合に、大径部21を伝搬するLP01モードの光と小径部23を伝搬するLP01モードの光とが等しい実効コア断面積とされ、かつ、大径部21を伝搬するLP11モードの光と小径部23を伝搬するLP11モードの光と等しい実効コア断面積とされることを示す。また、上記丸印同士を結ぶ破線と上記丸印同士を結ぶ実線とが、Δ
2が0.9%でr
2が7.7μmの近辺で交差している。このことは、延伸比Rが4の場合に、大径部21を伝搬するLP01モードの光と小径部23を伝搬するLP01モードの光とが等しい実効コア断面積とされ、かつ、大径部21を伝搬するLP11モードの光と小径部23を伝搬するLP11モードの光と等しい実効コア断面積とされることを示す。また、上記菱型印同士を結ぶ破線と上記菱型印同士を結ぶ実線とが、Δ
2が1.2%でr
2が7.9μmの近辺で交差している。このことは、延伸比Rが3の場合に、大径部21を伝搬するLP01モードの光と小径部23を伝搬するLP01モードの光とが等しい実効コア断面積とされ、かつ、大径部21を伝搬するLP11モードの光と小径部23を伝搬するLP11モードの光と等しい実効コア断面積とされることを示す。従って、延伸比Rが3、4及び5のそれぞれの場合に、LP01モードの光及びLP11モードの光のそれぞれについて、入射光と出射光とが等しい実効コア断面積とされる条件を有することが示された。
【0064】
(比較例1)
内側コア11の低屈折率部11aの直径dと高屈折率部11bの外径2r
1の比(d/2r
1)を0とした(内側コア11となるべき部位が全て高屈折率部11bで埋められている)こと以外は、実施例1と同様にして、延伸比が4,5の場合について、大径部21において、LP01モードの光の実効コア断面積A
effが110μm
2となり、LP11モードの光の実効コア断面積A
effが170μm
2となるための条件を求めた。その結果を表5に示す。
【表5】
【0065】
次に、表5の条件で、延伸比Rが4,5の場合のそれぞれにおいて、LP01モードの光の実効コア断面積が大径部21と小径部23とで同じ大きさとなるための外側コア12の半径r
2、及び、LP11モードの光の実効コア断面積が大径部21と小径部23とで同じ大きさとなるための外側コア12の半径r
2を求めた。その結果を
図6と同様の方法で
図10に示す。
【0066】
図10から明らかなように、上記三角印同士を結ぶ破線と上記三角印同士を結ぶ実線とは交差しない。また、上記丸印同士を結ぶ破線と上記丸印同士を結ぶ実線とは交差しない。このことは、延伸比Rが4及び5のそれぞれの場合に、大径部21を伝搬するLP01モードの光と小径部23を伝搬するLP01モードの光とが等しい実効コア断面積とされ、かつ、大径部21を伝搬するLP11モードの光と小径部23を伝搬するLP11モードの光と等しい実効コア断面積とされるような状態が存在しないことを示す。この結果から延伸比が3の場合にも、大径部21を伝搬するLP01モードの光と小径部23を伝搬するLP01モードの光とが等しい実効コア断面積とされ、かつ、大径部21を伝搬するLP11モードの光と小径部23を伝搬するLP11モードの光と等しい実効コア断面積とされるような状態が存在しないことが分かる。
【0067】
以上より、本発明によればLP01モードの光及びLP11モードの光のそれぞれについて、入射光と出射光とが等しい実効コア断面積とされる条件を有する場合があることが示された。
【0068】
次に、実施例1〜4において、LP01モードの光及びLP11モードの光が共に入射光の実効コア断面積と出射光の実効コア断面積とが等しい条件において、高屈折率部11b及び外側コア12の比屈折率差体積を求めた。高屈折率部11bの比屈折率差体積V
1は、コア13の長手方向に垂直な断面における高屈折率部11bの面積に、高屈折率部11bの比屈折率差Δ
1を乗じて求めることができる。つまり比屈折率差体積V
1は下記式で示される。
【数2】
同様に外側コア12の比屈折率差体積V
2は、コア13の長手方向に垂直な断面における外側コア12の面積に、外側コア12の比屈折率差Δ
2を乗じて求めることができる。つまり比屈折率差体積V
2は下記式で示される。
【数3】
【0069】
求めた高屈折率部11bの比屈折率差体積V
1と外側コア12の比屈折率差体積V
2との関係を
図11に示す。比屈折率差体積V
1は延伸前の実効コア断面積に強く影響するパラメータである。この値は、中心低屈折率部の直径dが大きくなるほど実効的な屈折率低下が起こるため広くする必要がある。一方、比屈折率差体積V
2は延伸後の実効コア断面積に強く影響するパラメータである。延伸前のパラメータV
1が大きい場合、それに応じてパラメータV
2を大きくしないと所望の実効コア断面積A
effを得ることが困難となる。これらの相関から、パラメータV
1とパラメータV
2とに延伸比に応じた比例関係があると考えられる。
【0070】
次に、求めた比屈折率差体積V
1を延伸比Rで除した値と、比屈折率差体積V
2との関係を
図12に示す。前述のとおり比屈折率差体積V
2は延伸後の実効コア断面積に関連するパラメータであり、延伸比Rで除することでパラメータV
1に対してより一般的な関係が得られると考えられる。そこで
図11より、
図12に示すようにV
2とV
1/Rとの関係をプロットして、プロットの最小2乗法よりより、屈折率差体積V
1と比屈折率差体積V
2とが次の関係を満たす領域において、LP01モードの光及びLP11モードの光が共に入射光の実効コア断面積と出射光の実効コア断面積とが等しくなること結果となった。
【数4】
【0071】
以上より、LP01モードの光及びLP11モードの光が共に入射光の実効コア断面積と出射光の実効コア断面積とが等しくなる条件が求められた。
【0072】
なお、低屈折率部11aのクラッドに対する比屈折率差をΔ
0とすると、低屈折率部11aの比屈折率体積V
0は、下記式で示される。
【数5】
この比屈折率差体積V
0と高屈折率部11bの比屈折率差体積V
1とが所定の関係になっていることが、所定の観点から好ましい。