(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
フォトリソグラフィは、半導体業界において一般的に用いられる処理である。最新のフォトリソグラフィは、典型的には、マスクを照明し、従って、シリコンウェーハ上のフォトレジスト材料を露光する超狭帯域光パルスを供給するためにレーザ光源を使用する。しかし、半導体デバイスパラメータの進歩により、使用するレーザ光源の性能特性に対する要求が増大している。精度及び作動速度の改善が益々必要とされている。
【0003】
図1をここで参照すると、最新のフォトリソグラフィ処理に使用することができるレーザシステム100のブロック図を見ることができる。レーザシステム100内の光の供給源は、主発振器(MO)チャンバ120である。
【0004】
公知のように、MOチャンバ120が発射した時に、得られる光は、「線狭化モジュール(LNM)」110に入り、そこで、それは、プリズム(実際にいくつかのプリズム)を通過してLNM110内の回折格子上に衝突する。これは、LNM110内のプリズムの位置を変えるとレーザ光の波長が変わるという点で、光波長セレクタとして作用する。例えば、この変更後の波長のレーザ光は、MOチャンバ120を再び通過して出力カプラ(OC)130に進み、次に、例えば、半導体ウェーハを処理して露光させることを担うステッパ−スキャナデバイス(図示せず)上に通される。
【0005】
出力カプラ130は、レーザ光出力をMOチャンバ120から「線中心解析モジュール(LAM)」170にも通す。LAM170は、MOチャンバ120からの光出力の波長を測定する波長サンプラである。レーザ光出力測定値は、次に、LAM170から制御コンピュータ160に通される。
【0006】
制御コンピュータ160は、光出力測定値を使用して、次のレーザ発射イベントに向けてLNM110内のプリズムを再位置決めして望ましいレーザ光出力波長を達成するためにどのような変更を行う必要があるかを判断する。LNM110内のプリズムの位置は、LNM110内のプリズムに接続した圧電子変換器(PZT)140に印加される電圧により制御される。制御コンピュータ160は、従って、新しい望ましいプリズム位置を達成するためにどの電圧をPZT140に印加すべきかを判断する。
【0007】
制御コンピュータ160は、LNM110内のプリズムに行うべき望ましい電圧変更を示すデジタル信号をPZT駆動電子機器150に出力する。PZT駆動電子機器は、制御コンピュータ160デジタル信号をアナログ電圧信号に変換するデジタル/アナログ変換器(DAC)と、高周波電気ノイズを低減してアナログDAC電圧信号を増幅するアナログローパスフィルタとを含む。このアナログ電圧信号は、次に、PZT駆動電子機器150からPZT140に通され、これは、LNM110内のプリズムを再位置決めし、これは、次に、次のレーザ発射イベント時に出力カプラ130を通じてMOチャンバ120から出力される光の波長の変化を引き起こす。
【0008】
この処理は、ステッパ−スキャナが、指定のパルス繰返し数、開始時間、及び波長でレーザシステムから光パルスの更に別のシーケンス又はバーストを要求する時に続行される。
【0009】
フォトリソグラフィ処理が長年にわたって進歩したので、様々な問題が発生している。例えば、半導体特徴サイズの縮小は、望ましい焦点を維持するためにレーザ光源の望ましい波長の縮小をもたらしている。波長を縮小するには、出力レーザ光に更に大きい精度改善が必要である。
【0010】
更に別の問題は、167から600マイクロ秒まで変動するパルス周期により生じる。高いパルス繰返し数では、LAM170が、測定を行ってそれを制御コンピュータ160に伝え、制御コンピュータ160が、LNM110内のプリズムに対する新しい電圧値を計算してそれをPZT駆動電子機器150に伝え、PZT駆動電子機器150が、それをアナログ変換してフィルタリングし、それをPZT140に伝え、かつPZT140が、次のレーザ光パルスが発生する前にMOチャンバ120からの光の波長を変えるためにプリズム位置を変えるために利用可能な時間は殆どない。
【0011】
図2をここで参照すると、上述のシーケンスのタイミング図を見ることができる。バースト内の一連のこのようなパルスからの2つのレーザ発射イベントが示されており、第1のものは、時間t
0で発生するように示され、第2のものは、時間t
3で発生するように示されている。時間t
0での第1のレーザ発射イベント後に、得られる出力波長は、LAM170により測定される(
図1を再び参照されたい)。出力波長を測定してそれを制御コンピュータ160に供給するLAM170処理の遅延は、時間t
0から時間t
1までのLAM遅延として図に示されている。新しい制御信号が次にLNM110内のプリズムに印加される時間は、時間t
2として示されている。時間t
1とt
2の間の遅延は、新しい電圧を計算し、その新しい電圧をPZT駆動電子機器150を通してPZT140まで伝播させて、レーザがt
3で反射する前にプリズムを再位置決めするのに制御コンピュータ160が掛かる時間である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
提供するものは、半導体フォトリソグラフィに使用されるレーザの波長を制御する最新のシステム及び方法である。レーザシステムにおけるプリズムをどのように再位置決めすべきかを判断する前にレーザ光測定値を待つのではなく、この最新システム及び方法は、プリズムの運動特性及び公知の外乱挙動のモデルを使用して周期的にレーザシステムにおけるプリズムの次の位置を予測する。これらの予測の周期性は、予測間の間隔が典型的にレーザ発射イベント間の間隔よりも短いように、レーザ発射イベントの周期性よりも典型的に迅速である。これは、プリズムを再位置決めする前にレーザ光測定値を受信することに対する従来技術の依存性を排除する。レーザ出力波長の測定値は、依然としてレーザ発射イベントが発生する時に得られ、プリズム位置予測を更新するか又は改善するのに使用される。更新の有無に関わらず、予測プリズム位置は、プリズム位置を制御するPZTを駆動するのに使用される制御信号を計算するのに使用される。このようにして、予測が周期的に行われ、制御信号が周期的に計算され、プリズムが、相応に周期的に再位置決めされる。
【0020】
本明細書に説明する最新レーザ制御システム及び方法は、「高速離散/低速離散フィルタ」と考えることができる。プリズム位置の予測が出力波長測定値を待つことなく行われるので、予測は、レーザ発射繰返し数及び得られる出力波長測定値(いわゆる「低速離散」)よりも頻繁に(いわゆる「高速離散」)行うことができる。その結果、プリズムは、レーザ発射イベントよりも頻繁に発生する可能性がある個別の時点に再位置決めすることができる。更に、予測が行われる時のレーザ発射イベントが発生する時からのこの分離は、プリズム制御を更新する頻度が、レーザ出力波長を測定するのにかかる時間によってもはや制限されないことを意味する(2つの図の「LAM遅延」)。これはまた、レーザ測定及び得られるレーザ制御信号印加よりも1パルス遅れであることによる性能劣化を低減することを意味する。
【0021】
図3をここで参照すると、上述のシーケンスのタイミング図を見ることができる。周期的レーザ発射イベントは、時間t
0及びt
4で発生するように示されており、波長測定データは、時間t
2で利用可能になるように示されている。更に、より頻繁に発生しているのは、T
コントローラとして示されたプリズム制御信号間の間隔で時間t
1、t
3、t
5、及びt
6に示すように印加された新しいプリズム制御信号である。これらのプリズム制御信号は、制御信号印加の各サイクル中に行われている新しいプリズム予測の結果である。更に、これらのプリズム予測は、波長測定データが利用可能になるのを待つことなく行われる。しかし、上述のように、新しい波長測定データが利用可能である時に、それは、プリズム位置予測を更新するのに使用される。図示のように、新しい制御信号が印加される頻度は、レーザ発射イベントの頻度よりも迅速に発生する。これらの作動の詳細、変形、及び代替に対しては、本明細書の他の箇所で更に説明する。
【0022】
図1を再び参照して、本発明の装置の一実施形態を説明する際にレーザシステム100のブロック図を使用する。
【0023】
制御コンピュータ160は、本明細書の他の箇所でより完全に説明するように、レーザシステム100内のプリズムの移動のモデルを使用してLNM110内のプリズム位置の周期的な予測を行う。制御コンピュータ160は、周期的なプリズム位置予測を使用して、LNM110内でプリズムに印加すべき望ましい電圧を示すデジタル制御信号をPZT駆動電子機器150に周期的に出力する。PZT駆動電子機器150DACは、アナログ電圧信号に制御コンピュータ160デジタル信号を変換し、PCT駆動電子機器150アナログローパスフィルタは、高周波電気ノイズを低減してアナログDAC電圧信号を増幅する。このアナログ電圧信号は、次に、PZT駆動電子機器150からPZT140に通され、これは、新しい制御信号の印加である。この電圧更新イベントによりLNM110内のプリズムが再位置決めされ、それによって次のレーザ発射イベント時に出力カプラ130を通じてMOチャンバ120からの光出力の波長の変化が生じる。
【0024】
上述のように、レーザシステム100内の光の供給源は、主発振器(MO)チャンバ120である。MOチャンバ120がレーザを発射した時に、得られる光は、「線狭化モジュール(LNM)」110に入り、次に、プリズム(実際には本明細書の他の箇所でより完全に説明するように複数のプリズム)を通って光波長セレクタとして作用するLNM110内の回折格子に衝突する。変更後の波長レーザ光は、再びMOチャンバ120を通過して出力カプラ130に進み、出力カプラ130は、レーザ光出力をMOチャンバ120から「線中心解析モジュール(LAM)」170まで通過させる。LAM170は、レーザ光の波長を測定して制御コンピュータ160まで測定値を通過させる。制御コンピュータ160がLAM170からレーザ光出力測定値を受信すると、制御コンピュータ160は、本明細書の他の箇所でより完全に説明するように測定値を使用して予測プリズム位置を更新する。
【0025】
この処理は、例えば、
図3に示すように、その後のプリズム制御信号印加/電圧信号更新サイクルに向けて周期的に繰り返される。更に、
図3において時間t
2で発生するような万一新しい波長測定値が利用可能になった場合に、制御コンピュータ160は、この新たに受信した測定データを使用して予測プリズム位置を更新する。
【0026】
上述のように、制御コンピュータ160は、レーザシステム100内のプリズムの移動のモデルを使用してLNM110内のプリズム位置の周期的な予測を行う。プリズムの移動のモデルは、プリズムの物理的移動の様々な特性の知識に基づくものであり、このモデルは、レーザシステム100内のプリズムの振動作用及びレーザシステム100内の外乱を考慮する。好ましい実施形態では、使用されるモデルは、その積分形式で以下の通りである。
ここで、x(t+T)は、初期状態x(t)よりT秒先んじた予測状態であり、e
ATは、線形システムの標準な状態遷移行列であり、Bは、標準入力行列である。
【0027】
すなわち、上述の式(A)は、過去のイベントの状態又は予測に基づいて将来のイベントの予測を行う。例えば、
図3を再度参照すると、式(A)を用いて、時間t
5に対する前に行った予測に基づいて時間t
6に対するプリズム位置予測を行うことができ、この場合、式(A)においてT=t
6−t
5である。初期予測に対して初期条件が仮定されることに注意されたい(例えば、レーザ起動時に、初期条件は、所定の定数であり、一連のレーザパルスの開始時に、初期条件は、前のレーザパルスシーケンスの終了時からの最後の状態に設定値変更のようなあらゆるバースト間作動を加えたものである)。
【0028】
上述の式は、レーザシステム100内の波長の外乱を考慮していることも理解すべきである。例えば、バースト遷移及び定常状態外乱は、不要なレーザ光波長変動の原因になる。バースト遷移の開始は、典型的には、測定波長に見られ、これは、レーザチャンバ音響効果の関数でありかつ更に問題を複雑化するレーザ発射速度と共に変化することが公知である衝撃波によって引き起こされると考えられている。これらのバースト遷移の開始は、ランダムウォーク過程としてモデル化される。定常状態外乱は、波長信号において正弦曲線として出現し、かつそのようにモデル化される。これらの正弦曲線の定常状態外乱は、レーザシステム100において他の震動源の中でもとりわけファンによって引き起こされると考えられている。レーザシステム100内で識別されるこれらの外乱及びあらゆる他のものは、全て、プリズム位置予測に使用されるモデルにおいて考慮することができる。
【0029】
上述しかつ本明細書の他の箇所でより完全に説明するように、プリズム位置予測は、次に、新しいレーザ光測定値を受信した時に更新される。プリズム位置予測の更新は、以下の式を通じて行われる(B)。
上述の方程式において、
・kは、レーザ発射イベントを示している。
・Iは、適切なサイズの恒等行列である(n行xn列、ここで、nは状態ベクトルxの要素数である)。
・L
kは、「新しいデータを信頼すること及び前の予測を信じること」の間の妥協点を捕捉する利得行列である。
・C
kは、予測状態から予測出力への標準的マッピング、例えば、y=Cxである。
・x(k/k)は、指標kでの最新データが与えられて更新された予測である。
・x(k/k−1)は、前のレーザ発射イベントk−1からのデータが与えられてレーザ発射指標kでの状態の「古い」予測である。
【0030】
上述の式(B)は、従って、本明細書の他の箇所でより完全に説明するように前に行われた予測を更新する。
【0031】
図4をここで参照すると、本発明の方法の一実施形態の流れ図を見ることができる。図では、本方法は、3つの部分に論理的に分割されることが分るが、説明する機能性は、代替構成で実施することができることは理解されるものとする。測定値更新部分401は、新しいレーザ光測定値を受信した時に行われる更新処理のためのものである。計算制御部分402は、プリズム位置予測を使用して新しい制御信号を計算する際に行われる作動に関連している。時間更新部分403は、主として、その後の電圧更新イベントに対する予測を行うために生じる作動に関連している。これらの各々を一実施形態の関連でここでより詳細に以下に説明する。
【0032】
例えば、
図1の制御コンピュータ160上で実行される処理は、処理が例えば制御コンピュータ160内のタイマにより周期的に開始される時に測定値更新部分401において始まる。
【0033】
新しい波長測定値が判断ブロック405において利用可能でない場合に、処理は、測定値更新部分401を出て計算制御部分402に入る。計算制御部分402において、前に行われた次のプリズム位置予測を段階430で使用してLNM110における粗い波長プリズムに関する値を計算する。公知のように、LNM110の典型的な構成は、1つよりも多いプリズムを含み、1つのプリズムは、PZTをその中域電圧の近くに保つために使用される粗い波長プリズムであり、別のプリズムは、精密波長制御に使用される本明細書で一般的に言及するプリズムである。
図4には図示していないが、粗い波長制御プリズムに対する新しい値は、制御コンピュータ160から適切な駆動電子機器に出力される。
【0034】
段階435で、前に行った次のプリズム位置予測を使用して、デルタPZT電圧を計算する。PZT電圧のデルタ又は変化は、以下の式により計算する。
(C) Δu(mτc) = -Kx(mτc)
・mは、制御イベント(すなわち、電圧更新イベント)を示す。
・τcは、コントローラサンプル期間であり、従って、x(mτc)を(到来)電圧更新時の状態にする。
・Kは、制御エネルギ及び波長性能の加重和を最小にするために計算される状態フィードバック行列である。
【0035】
次に、段階440でΔPZT電圧を使用して新しいPZT制御信号を計算する。新しいPZT制御信号は、以下の式により計算する。
(D) V(mτc) = V((m-1)τc) + Δu(mτc)
・V((m−1)τc)は、前の更新からのPZT制御信号である。
・Δu(mτc)は、方程式(C)の出力である。
・V(mτc)は、新しいPZT制御信号である。
前後関係が明確な時には、V(mτc)のような信号は、簡潔さを期すためにVmとして示すことになることに注意されたい。
【0036】
図4には図示していないが、PZT制御信号は、次に、例えば、プリズムに印加されるように
図1のPZT駆動電子機器150に出力される。
【0037】
処理は、計算制御部分402を出て、次に段階445で
図5を参照して説明するようにその後の電圧更新イベント(プリズムへの新しい制御信号のその後の印加)前にレーザが再び発射することになるか否かを判断する時間更新部分403に入ることによって継続される。
【0038】
図5で分るように、V
m-1、V
m、及びV
m+1として図に示す新しい制御信号が周期的に印加されることになる。しかし、現在の処理は、時間C
mであるように示されており、レーザがその後の電圧更新イベントの前に発射することになる考慮すべき2つの可能なシナリオが存在する。
【0039】
これらの2つのシナリオを説明する前に、処理のこの時点、すなわち、C
mでは、その後の電圧更新イベントは、新しい制御信号V
mの印加である次の電圧更新イベントではなく、新しい制御信号V
m+1の印加であることは理解されるものとする。次の電圧更新イベントとその後の電圧更新イベントの間のこの区別は、単に、周期的な処理がそのサイクルのどこにあるかの関数である。同様に、その後の電圧更新イベントは、次のサイクルの次の電圧更新イベントになる。
【0040】
上述のように、時点C
mでは、レーザが次の電圧更新イベントの前に発射することになる2つのシナリオがある。第1のシナリオは、MOチャンバ120が再びレーザを発射するために図の時点T
k+1に示すようにレーザシステムがステッパ−スキャナシステムからトリガ信号を既に受信していた時である。この受信したトリガ信号は、次に、既知のレーザトリガ遅延(すなわち、スキャナトリガ信号とその後の発光の間の既知の遅延)と共に使用して、図ではLF
k+1として示す得られるレーザ発射イベントのタイミングを推定し、レーザ発射イベントがその後の電圧更新イベントV
m+1の前に発生することになるか否か(この実施例ではそうなっている)を判断することができる。
【0041】
第2のシナリオは、現在の時間C
m後である図中のその後の時点T’
k+1で受信されるトリガによって示すようにレーザシステムがステッパ−スキャナシステムからトリガ信号をまだ受信していない時である。まだトリガ信号を受信していないので、処理は、代わりに、1つ又はそれよりも多くの前に受信した周期的トリガ信号及び既知のトリガ遅延に基づいて、図中でLF’
k+1として示すレーザ発射イベントを推定する。処理は、次に、この推定レーザ発射イベントLF’
k+1がその後の電圧更新イベントV
m+1の前に発生することになるか否か(この実施例ではそうなっている)を判断する。
【0042】
処理は、この時点で、2つの可能なシナリオの下でレーザがその後の電圧更新イベントV
m+1の前に発射することになるか否かを判断している。
【0043】
図4を再び参照すると、判断ブロック445の結果が、レーザはその後の電圧更新イベントの前に発射しないことである場合に、段階455で、その後の電圧更新イベントに対するプリズム位置予測が行われる。
【0044】
段階455で行うようなその後の電圧更新イベントに対するプリズム位置予測を行う段階に対して、ここで
図6を参照して以下に説明する。以前と同様に、処理は、現在、時間C
mにある。行われる予測は、その後の電圧更新イベントV
m+1に対するものであり、図中で矢印によって示すように、この予測は、V
mとして示す次の電圧更新イベントに対する前に行った予測に基づくものである。好ましい実施形態では、その後の電圧更新イベントに対する予測は、本明細書の他の箇所に説明する式(A)を使用して行われる。
【0045】
図4を再び参照すると、処理は、次に、時間更新部分403において1サイクルの作動を終える。
【0046】
この時点でその後の電圧更新イベントに対する予測が行われたので、新しい測定値が利用可能と判断し、次に、段階430、435、及び440で新しい制御信号を計算するという判断ブロック405のシーケンス、及びレーザは更に別のその後の電圧更新イベントの前に発射しないと判断する判断ブロック445と共に、全ては、
図3のタイミング図に示すように個別の時点でのプリズムの周期的な予測及び再位置決めをもたらすことは理解されるものとする。
【0047】
判断ブロック445に再び戻って、その代わりにレーザがその後の電圧更新イベントの前に発射することになると判断された場合に、段階450で、次の電圧更新イベントに対するプリズム位置予測が行われる。
【0048】
段階450で行われたような次の電圧更新イベントに対するプリズム位置予測を行う段階に関して、ここで
図7を参照して説明する。以前と同様に、処理は、現在、時間C
mにある。更に、この実施例では、
図5を参照して上述したように、レーザは、次の電圧制御更新V
mの後であり、かつその後の電圧制御更新V
m+1の前であるLF
k+1で発射することになることがこの時点で既知である。処理は、この時点で、図中の予測矢印によって示すように、電圧更新イベントV
mに対する前に行った予測に基づいてLF
k+1でレーザ発射イベントに対するプリズム位置予測を行う。好ましい実施形態では、LF
k+1でのレーザ発射イベントに対するこの予測は、本明細書の他の箇所に説明する式(A)を使用して行われる。
【0049】
図4を再び参照すると、処理は、次に、上述のようにその後の電圧更新イベントに対するプリズム位置予測が行われる段階455に進む。かつ前と同様に、処理は、次に、時間更新部分403において1サイクルの作動を終える。
【0050】
判断ブロック405と測定値更新部分401内の周期的に開始される処理の開始とを再び参照すると、その代わりに新しいレーザ出力測定値が受信されており、従って、利用可能である場合に、処理は、以下に更に説明するように、新しい測定値を使用して前の予測及び/又は新しい予測に1つ又はそれよりも多くの更新を行うことによって測定値更新部分401内で継続される。
【0051】
判断ブロック410において、最後に新しいレーザ出力測定値が受信された時からレーザが再び発射されていないと判断された場合に、処理は、次の電圧更新イベントに対する予測を新しい測定値で更新する段階420に進む。
【0052】
段階420で行うような新しい測定値で次の電圧更新イベントに対する予測を更新する段階に関して、ここで
図8を参照して以下に説明する。以前と同様に、処理は、現在、時間C
mにあり、この時点で、その後の電圧制御イベントV
m+1(図示せず)に対する予測を行う前にレーザ発射イベントLF
kに対するレーザ出力測定値が利用可能となっている。処理は、次の制御信号V
mが印加される前の残りの時間を使用して、新しく利用可能になったレーザ出力測定値を使用してその電圧更新イベントに対する前に行った予測を更新する。このようにして、レーザ発射イベントLF
kから新しく利用可能になったレーザ出力測定値を使用して、新しい制御信号印加V
mに対して前に行っていた予測を更新する。好ましい実施形態では、次の電圧更新イベントに対する予測を更新する段階は、本明細書の他の箇所に説明する式(B)を使用して行われる。
【0053】
再び
図4を参照すると、この時点で、次の電圧更新イベントに対する前に行ったプリズム予測を更新しているので、処理は、上述のように、測定値更新部分401を出て、粗い波長プリズム信号などを計算すること430で始まる計算制御部分402に入ることによって継続される。しかし、この時点で、計算段階430、435、及び440は、次の電圧更新イベントに対する更新された予測を使用し、従って、新たに受信したレーザ出力波長測定データから恩典を受ける。
【0054】
代替的に、測定値更新部分401の判断ブロック410を再び参照すると、最後に新しいレーザ出力測定値が受信された時からレーザが再び発射したと判断された場合に、処理は、前のレーザ発射イベントに対する予測を新しい測定値で更新する段階415に進み、更に、前のレーザ発射イベントに対する更新された予測に基づいて次の電圧更新イベントに対する新しい予測が行われることになる段階425に進み、この各々を更に以下に説明する。
【0055】
段階415で行うような新しい測定値で前のレーザ発射イベントに対する予測を更新する段階に関して、ここで
図9を参照して以下に説明する。以前と同様に、処理は、現在、時間C
mにあり、この時点で、レーザ発射イベントLF
kからのレーザ出力測定値が利用可能となっている。処理は、レーザ発射イベントLF
kからの新しいレーザ出力測定値を使用して、レーザ発射イベントLF
k+1に対する前に行った予測(前の処理サイクルにおいて本明細書の他の箇所に説明するように段階450で行われたような)を更新する。好ましい実施形態では、前のレーザ発射イベントに対する予測を更新する段階は、本明細書の他の箇所に説明する式(B)を使用して行われる。
【0056】
段階420で行うような前のレーザ発射イベントに対する更新された予測に基づいて次の電圧更新イベントに対する新しい予測を行う段階に関しても、ここで
図9を参照して以下に説明する。以前と同様に、処理は、現在、時間C
mにある。段階415からの前のレーザ発射イベントLF
k+1に対する更新された予測を使用して、印加される新しい制御信号V
mとしてかつ予測矢印によって示すように図に示す次の電圧更新イベントに対する予測が行われる。好ましい実施形態では、前のレーザ発射イベントに対する更新された予測に基づいて次の電圧更新イベントに対する新しい予測を行う段階は、本明細書の他の箇所に説明する式(A)を使用して行われる。
【0057】
再び
図4を参照すると、この時点で次の電圧更新イベントに対する新しい予測を行っているので、処理は、他の箇所で説明するように、測定値更新部分401を出て、粗い波長プリズム信号などの計算430で始まる計算制御部分402に入ることによって継続される。しかし、この時点で、計算段階430、435、及び440は、次の電圧更新イベントに対する新たに作成した予測を使用し、従って、新たに受信したレーザ出力波長測定データ及び新しいレーザ発射イベントの既知のタイミングからの恩典を受ける。
【0058】
最後に、処理サイクルは、本明細書の他の箇所に説明するようなその後の電圧更新イベントに対する予測を行うために時間更新部分403において適切な作動を行うことによって終了する。
【0059】
理解しやすいように、発生することになる様々なシナリオを反映する処理段階の様々な異なるシーケンスをここで精査する。
【0060】
第1の可能なシーケンスにおいて、制御信号を計算及び出力してその後の電圧イベントに対する予測を作成する。このシナリオは、新しいレーザ出力波長測定値がなく、かつレーザが次の電圧更新イベントの前に発射しない時に行われる。このシーケンスは、処理段階430、435、440、及び455を含む。
【0061】
第2の可能なシーケンスにおいて、制御信号を計算及び出力し、次のレーザ発射イベントに関して予測を行い、その後の電圧イベントに対する予測を作成する。このシナリオは、新しいレーザ出力波長測定値がなく、かつレーザが次の電圧更新イベントの前に発射することになる時に行われる。このシーケンスは、処理段階430、435、440、450、及び455を含む。
【0062】
第3の可能なシーケンスにおいて、次の電圧更新イベントに対する予測を更新し、その更新された次の電圧更新イベントに基づいて制御信号を計算してその後の電圧更新イベントに対する予測が行われる。このシナリオは、新しいレーザ出力波長測定値が利用可能になり、レーザが新しい測定値を最後に受信してから再び発射しておらず、かつレーザが次の電圧更新イベントの前に発射しない時に行われる。このシーケンスは、処理段階420、430、435、440、及び455を含む。
【0063】
第4の可能なシーケンスにおいて、次の電圧更新イベントに対する予測を更新し、その更新された次の電圧更新イベントに基づいて制御信号を計算し、次のレーザ発射イベントに対する予測を行い、その後の電圧更新イベントに対する予測が行われる。このシナリオは、新しいレーザ出力波長測定値が利用可能になり、レーザが最後に新しい測定値を受信してから再び発射しておらず、かつレーザが次の電圧更新イベントの前に発射することになる時に行われる。このシーケンスは、処理段階420、430、435、440、450、及び455を含む。
【0064】
第5の可能なシーケンスにおいて、前のレーザ発射イベントに対する予測を更新し、更新された前のレーザ発射イベントに基づいて次の電圧更新イベントに対する予測を行い、次の電圧更新イベントに対するその予測に基づいて制御信号を計算してその後の電圧更新イベントに対する予測が行われる。このシナリオは、新しいレーザ出力波長測定値は利用可能になり、レーザが最後に新しい測定値を受信してから再び発射されており、かつレーザが次の電圧更新イベントの前に発射されない時に行われる。このシーケンスは、処理段階415、425、430、435、440、及び455を含む。
【0065】
第6の可能なシーケンスにおいて、前のレーザ発射イベントに対する予測を更新し、更新された前のレーザ発射イベントに基づいて次の電圧更新イベントに対する予測を行い、次の電圧更新イベントに対するその予測に基づいて制御信号を計算し、次のレーザ発射イベントに対する予測を行い、その後の電圧更新イベントに対する予測が行われる。このシナリオは、新しいレーザ出力波長測定値が利用可能になり、レーザが最後に新しい測定値を受信してから再び発射されており、かつレーザが次の電圧更新イベントの前に発射することになる時に行われる。このシーケンスは、処理段階415、425、430、435、440、450、及び455を含む。
【0066】
本明細書に説明する実施形態は、本発明を例示するものである。本発明のこれらの実施形態を図を参照して説明する時に、説明する方法及び/又は特定の構造の様々な修正又は適応化が当業者に明らかになるであろう。本発明の教示に依存し、かつこれらの教示が当業技術を進歩させた全てのこのような修正、適応化、又は変形は、本発明の精神及び範囲にあると見なされる。本発明は、いかなる点においても例示する実施形態だけに制限されないことが理解されるので、説明及び図面は、従って、制限的な意味で考えるべきではない。
【0067】
1つの可能な代替として、本明細書に説明する最新レーザ制御方法及び装置は、レーザ光の波長の制御に向けて本明細書に説明するのと同様の方式でレーザ光の帯域幅の制御に使用することができると考えられることは理解されるものとする。
【0068】
本明細書に説明する本発明の精神及び意味の範囲で代替シーケンス及び数式を使用することができると考えられることも理解されるものとする。
【0069】
同様に、制御コンピュータ160は、命令がそれ自体コンピュータ可読媒体から由来するか又はコンピュータ可読媒体上に常駐することができる上述の作動を実行するためのソフトウエア命令を実行するパーソナルコンピュータ、サーバ、又は他の処理システムを含むプロセッサ及びメモリを含むあらゆるコンピュータシステムとすることができることは理解されるものとする。代替的に、制御コンピュータ160は、ファームウエアの有無に関わらず、上述の作動を実行するように特に構成された特定用途向け集積回路(ASIC)又は他の配線接続デバイスのようなあらゆる専用ハードウエアとすることができる。