(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5986988
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】基板処理システムの流量制御装置を較正する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20160823BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20160823BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
H01L21/302 101G
H01L21/205
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-508127(P2013-508127)
(86)(22)【出願日】2011年4月25日
(65)【公表番号】特表2013-529381(P2013-529381A)
(43)【公表日】2013年7月18日
(86)【国際出願番号】US2011033780
(87)【国際公開番号】WO2011137071
(87)【国際公開日】20111103
【審査請求日】2014年4月24日
(31)【優先権主張番号】12/915,345
(32)【優先日】2010年10月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/330,056
(32)【優先日】2010年4月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100101502
【弁理士】
【氏名又は名称】安齋 嘉章
(72)【発明者】
【氏名】クルーズ ジェームズ ピー
(72)【発明者】
【氏名】レーン ジョン ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】グレゴール マリウシュ
(72)【発明者】
【氏名】バッキウス ドゥク
(72)【発明者】
【氏名】ダラン ベリン
(72)【発明者】
【氏名】コッブ コリー リン
(72)【発明者】
【氏名】シュウ ミング
(72)【発明者】
【氏名】ヌグエン アンドリュー
【審査官】
▲高▼須 甲斐
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2006/0212233(US,A1)
【文献】
国際公開第2005/083753(WO,A1)
【文献】
特開2005−079141(JP,A)
【文献】
特開2007−208085(JP,A)
【文献】
特表2005−503603(JP,A)
【文献】
特開2001−159549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/205
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理システムであって、
中央真空搬送チャンバに結合している第1処理チャンバ及び第2処理チャンバを備えたクラスタツールと、
前記第1処理チャンバ及び前記第2処理チャンバへの処理ガスの流れを制御する多チャネル式流量制御装置であって、
前記第1処理チャンバに前記処理ガスを供給する第1流量制御装置と、
前記第2処理チャンバに前記処理ガスを供給する第2流量制御装置と、
前記第1処理チャンバに前記処理ガスを供給する第3流量制御装置を含む多チャネル式流量制御装置と、
前記処理ガスを前記第1及び第2流量制御装置に供給する共有ガスパネルと、
前記第1及び第2流量制御装置の各々からの流量を検証する質量流量検証器と、
前記第1流量制御装置を前記質量流量検証器に選択的に結合する第1導管と、
前記第2流量制御装置を前記質量流量検証器に選択的に結合する第2導管と、
前記第3流量制御装置からの流量を検証するために、前記第3流量制御装置を前記質量流量検証器に選択的に結合する第3導管を備え、
前記第1、第2、又は第3流量制御装置のうちのいずれか1つが前記質量流量検証器によって検証されている間に、前記第1、第2、又は第3流量制御装置のうちの残りの2つは、前記それぞれの流量制御装置が結合される前記処理チャンバに前記処理ガスを流すことができる、基板処理システム。
【請求項2】
前記第1導管と第2導管とのフローコンダクタンスは同一である、請求項1記載の基板処理システム。
【請求項3】
前記質量流量検証器はさらに、
臨界ノズルを備え、前記臨界ノズルを通って流れる第1ガスの流量は、前記第1導管内の前記フローコンダクタンスとは無関係であり、前記臨界ノズルを通って流れる第2ガスの流量は、前記第2導管内の前記フローコンダクタンスとは無関係である、請求項2記載の基板処理システム。
【請求項4】
第1処理チャンバ及び第2処理チャンバへの処理ガスの流れを制御する多チャネル式流量制御装置であって、
前記処理ガスを前記第1処理チャンバの第1範囲に供給する第1流量制御装置と、
前記処理ガスを前記第1処理チャンバの第2範囲に供給する第2流量制御装置を含む多チャネル式流量制御装置と、
前記処理ガスを前記第1及び第2流量制御装置に供給する共有ガスパネルと、
前記第1及び第2流量制御装置の各々からの流量を検証する質量流量検証器と、
前記第1流量制御装置を前記質量流量検証器に選択的に結合する第1導管と、
前記第2流量制御装置を前記質量流量検証器に選択的に結合する第2導管を備え、
前記第1又は第2流量制御装置のうちの一方が前記質量流量検証器によって検証されている間に、前記第1又は第2流量制御装置のうちの他方は、前記それぞれの流量制御装置が結合される前記第1処理チャンバの前記範囲に前記処理ガスを流すことができる、基板処理システム。
【請求項5】
中央真空搬送チャンバに結合されている第1処理チャンバ及び第2処理チャンバを備えた基板処理システムにおいて複数の流量制御装置を較正する方法であって、前記方法は、
第1ガスを、多チャネル式流量制御装置の第1流量制御装置から第1処理チャンバへ第1流量にて供給するステップと、
前記第1ガスを、第1導管を介して質量流量検証器へ迂回させるステップと、
前記質量流量検証器を使用して前記第1流量を決定するステップと、
第2ガスを、前記多チャネル式流量制御装置の第2流量制御装置から第2処理チャンバへ第2流量にて供給するステップと、
前記第2ガスを、第2導管を介して前記質量流量検証器へ迂回させるステップと、
前記質量流量検証器を使用して前記第2流量を決定するステップであって、前記第1ガスと前記第2ガスは、前記第1処理チャンバと前記第2処理チャンバが共有する共通のガスパネルから前記第1流量制御装置と第2流量制御装置に供給される工程と、
第3ガスを、第1処理チャンバに結合された第3流量制御装置から第3流量にて供給するステップと、
前記第3ガスを、第3導管を介して前記質量流量検証器に迂回させる工程を備え、前記第1、第2、第3流量制御装置のうちのいずれか1つが前記質量流量検証器によって検証されている間に、前記第1、第2、第3流量制御装置のうちの残りの2つは、前記それぞれの流量制御装置が結合される前記処理チャンバに前記処理ガスを流すことができる方法。
【請求項6】
前記質量流量検証器が決定した前記第1流量に基づいて、前記第1流量制御装置を較正するステップと、
前記質量流量検証器が決定した前記第2流量に基づいて、前記第2流量制御装置を較正するステップをさらに備える、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記第1流量制御装置を前記質量流量検証器に結合する第1導管と、前記第2流量制御装置を前記質量流量検証器に結合する第2導管とは、実質的に同一のフローコンダクタンスを有する、請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記第1流量制御装置を前記質量流量検証器に結合する第1導管と、前記第2流量制御装置を前記質量流量検証器に結合する第2導管とは異なるフローコンダクタンスを有し、前記質量流量検証器はさらに、前記第1導管から前記質量流量検証器に入る前記第1ガスの流量は前記第1導管内のフローコンダクタンスとは無関係であり、また、前記第2導管を通って前記質量流量検証器に入る前記第2ガスの流量は前記第2導管内のフローコンダクタンスとは無関係であるように構造されているか、又は、
前記第1流量制御装置を前記質量流量検証器に結合する第1導管と、前記第2流量制御装置を前記質量流量検証器に結合する第2導管とは異なる容量を有し、前記質量流量検証器はさらに、前記第1導管から前記質量流量検証器に入る前記第1ガスの流量が前記第1導管内の前記容量とは無関係であり、また、前記第2導管を通って前記質量流量検証器に入る前記第2ガスの流量は前記第2導管内の容量とは無関係であるように構造されているかのいずれかである、請求項5記載の方法。
【請求項9】
前記第1ガス及び第2ガスは同一のガスである、請求項5記載の方法。
【請求項10】
前記第1流量制御装置の前記第1流量の決定が完了した後に、前記第1質量流量制御装置による前記第1ガスの前記第1処理チャンバへの流れを再び開始するステップと、
前記第2流量制御装置の前記第2流量を決定する間、前記第1流量制御装置による前記第1処理チャンバへの前記第1ガスの流れを維持するステップをさらに備える、請求項5記載の方法。
【請求項11】
前記第1ガスを、第3流量制御装置から第1処理チャンバへ第3流量にて供給するステップと、
前記第1ガスを、第3導管によって前記質量流量検証器へ迂回させるステップと、
前記質量流量検証器を使用して前記第3流量を決定するステップをさらに備え、前記第1流量制御装置は、前記第1ガスを前記第1処理チャンバの第1ガス入口に供給し、前記第3流量制御装置は、前記第1ガスを前記第1処理チャンバの第2ガス入口に供給する、請求項5記載の方法。
【請求項12】
流量比を決定するために、前記決定された第1及び第3流量を比較するステップと、
前記決定された流量比に基づいて、前記第1流量制御装置と第3流量制御装置を較正するステップとをさらに備える、請求項11記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は一般的に、基板処理設備に関する。
【背景技術】
【0002】
エッチング処理のような基板処理の最中に、処理チャンバの内容積が1種又は複数種の処理ガスに曝されることがある。多くの場合、このような処理ガスは、内容積に処理ガスを提供する1又は複数の流量制御装置によって制御された所望の流量で提供される。発明者は、いくつかの処理チャンバ構造、例えば共用のガスパネルが複数の処理チャンバに処理ガスを供給する処理チャンバ構造では、共用のガスパネルからの処理ガスが、流量制御装置によって各チャンバに正確に分割されていることを確認する方法が存在しないことを発見した。加えて、発明者は、例えばシステムの異なるチャンバ上でドリフトを検出したり、又はこれら異なるチャンバの流量制御装置間でのドリフトを比較したりして、各チャンバの流量制御装置を監視する、マルチチャンバ型基板処理システムに利用できるオン・ツール・タイプの、例えば一般的にはクラスタツールのような装置が全く存在しないことに気付いた。
【0003】
そのため、発明者達は、基板処理システム内で複数の流量制御装置を較正する方法及び装置を提供した。
【発明の概要】
【0004】
本明細書では、基板処理システムにおいて複数のガス流を較正する方法及び装置を提供する。いくつかの実施形態では、基板処理システムは、中央真空搬送チャンバに結合している第1処理チャンバ及び第2処理チャンバを備えたクラスタツールと、処理ガスを第1処理チャンバに供給する第1流量制御装置と、処理ガスを第2処理チャンバに供給する第2流量制御装置と、第1及び第2制御装置の各々からの流量を検証する質量流量検証器と、第1流量制御装置を質量流量検証器に選択的に結合する第1導管と、第2流量制御装置を質量流量検証器に選択的に結合する第2導管とを設けていてよい。
【0005】
いくつかの実施形態では、基板処理システムは、処理ガスを第1処理チャンバの第1範囲に供給する第1流量制御装置と、処理ガスを第2処理チャンバの第2範囲に供給する第2流量制御装置と、第1及び第2流量制御装置の各々からの流量を検証する質量流量検証器と、第1流量制御装置を質量流量検証器に選択的に結合する第1導管と、第2流量制御装置を質量流量検証器に選択的に結合する第2導管とを設けていてよい。
【0006】
いくつかの実施形態では、基板処理システムにおいて複数の流量制御装置を較正する方法は、中央真空搬送チャンバに結合している第1処理チャンバ及び第2処理チャンバを備えている。いくつかの実施形態では、この方法は、第1ガスを、第1処理チャンバに結合した第1流量制御装置からの第1流量にて提供するステップと、第1ガスを、第1導管を介して質量流量検証器へ迂回させるステップと、質量流量検証器を使用して第1流量を決定するステップと、第2ガスを、第2処理チャンバに結合した第2流量制御装置からの第2流量にて供給するステップと、第2ガスを、第2導管を介して質量流量検証器へ迂回させるステップと、質量流量検証器を使用して第2流量を決定するステップとを設けていてよい。
【0007】
いくつかの実施形態では、基板処理システムにおいて複数の流量制御装置を較正する方法を提供する。いくつかの実施形態では、この方法は、第1処理チャンバの第1範囲に結合している第1流量制御装置によって第1ガスを質量流量検証器に供給するステップと、質量流量検証器を使用して第1ガスの第1流量を決定するステップと、第1処理チャンバの第2範囲に結合している第2流量制御装置によって第2ガスを質量流量検証器に供給するステップと、質量流量検証器を使用して第2ガスの第2流量を決定するステップとを設けていてよく、ここで、第1流量制御装置は第1ガスを第1範囲に提供することができ、一方、第2流量制御装置は第2ガスを質量流量検証器に供給することができる。
【0008】
本発明のその他の及びさらなる実施形態を以下で述べる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
上で簡単に要約し、以下で詳細に説明する本発明の実施形態は、添付図面に示された本発明の例示的な実施形態を参照することで理解できる。しかし、添付図面は本発明の典型的な実施形態のみを例示しており、また、本発明はその他の同等に有効な実施形態を許容するものであることから、本発明の範囲の限定として解釈されるべきでない点に留意しなければならない。
【
図1A】本発明のいくつかの実施形態によるマルチチャンバ形基板処理システムの略平面図を示す。
【
図2】本発明のいくつかの実施形態による基板処理システムにおいて複数の流量制御装置を較正する方法のフローチャートを示す。
【
図3】本発明のいくつかの実施形態による基板処理システムにおいて複数の流量制御装置を較正する方法のフローチャートを示す。
【0010】
理解しやすくするために、可能な個所では、全図面にわたって共通した同一の要素に同一の参照符号を使用して示している。図面は縮尺どおりには描かれておらず、明瞭化の目的で簡略化されている場合がある。
【0011】
1つの実施形態の要素及び特徴は、その他の実施形態に、それ以上参照されずとも有効に組み込まれると考えられる。
【0012】
ここでは、基板処理システム内で複数の流量制御装置を較正する方法及び装置を開示する。本発明の方法及び装置は、標準品(例えば、質量流量検証器)と、多様な構造の1又は複数の処理チャンバに結合した他の流量制御装置との両方と直接比べて、1又は複数の流量制御装置から提供された1又は複数の流量の測定を有効に促進する。したがって、本発明のシステム及び方法は、各々の流量制御装置の較正に要する時間を有効に短縮し、流量制御装置の測定値の均一性を改善することで、チャンバマッチングの改善(例えば、同様の処理条件下で動作する、2つの異なるチャンバの処理結果の均一性の改善)を促進できる。
【0013】
図1を参照すると、いくつかの実施形態において、クラスタツール、又はマルチチャンバ型処理システム100は一般的に、工場インターフェース102、真空気密式の処理プラットフォーム104、システム制御装置144を備えていてよい。本明細書が提供する示唆に従って適切に改造できる処理システムには、例えば、アプライドマテリアルズ社(Applied Materials, Inc.、カリフォルニア州、サンタクララ)より市販されている、Centura(登録商標)統合処理システム、PRODUCER(登録商標)シリーズの処理システムの1つ(例えば、PRODUCER(登録商標)GT(商標))、ADVANTEDGE(商標)処理システム、又はこれ以外の適切な処理システムがある。その他の処理システム(別の製造業者の製品を含む)を適用することで本発明から利益を得ることも可能であると考えられる。ここで示す示唆に従って本発明を組み込むように改造できる2チャンバ式処理システムの1例が、2010年4月30日出願の、Ming Xu等による「Twin chamber Processing System」というタイトルの米国特許仮特許出願第61/330、156号に記載されている。
【0014】
プラットフォーム104は複数の処理チャンバ(図示では6個)110、111、112、132、128、120と、搬送チャンバ136に結合した少なくとも1つのロードロックチャンバ(図示では2個)122とを含んでいてよい。処理チャンバの内容積を搬送チャンバ136の内容積と選択的に流体結合させるために、各々の処理チャンバは、スリットバルブ又はその他の選択的な密封可能な開口部を設けている。同様に、各ロードロックチャンバ122は、各ロードロックチャンバ122の内容積を搬送チャンバ136の内容積と選択的に流体結合させるためのポート125を含む。工場インターフェース102は、ロードロックチャンバ122を介して搬送チャンバ136に結合している。
【0015】
いくつかの実施形態では、例えば
図1に示すように、処理チャンバ110、111、112、132、128、120を、互いに隣接し合った対、つまり処理チャンバ110と111、112と132、128と120にグループ分けすることができる。いくつかの実施形態では、処理チャンバの各々の対は2チャンバ式処理システム(101、103、105)の一部であってよく、この2チャンバ式処理システムでは、処理チャンバの各々の対を、特定の共有リソースを持った共通ハウジング内に設けることができる。各々の2チャンバ式処理システム101、103、105は、相互に隔離し合った独立した処理容積の対を設けていてよい。例えば、各2チャンバ式処理システムは、それぞれが第1処理容積と第2処理容積を設けた第1処理チャンバと第2処理チャンバを含んでいてよい。第1処理容積と第2処理容積を互いから隔離させることで、それぞれの処理チャンバ内で実質的に独立した基板処理を促進できる。2チャンバ式処理システム内部で処理チャンバごとに処理容積が隔離されていることで、処理中に処理容積同士が流体結合する複数基板処理システムが原因で起こる処理上の問題を有効に減少、又は排除することができる。
【0016】
加えて、2チャンバ式処理システムは、共有リソースを有効に利用することで、システムフットプリント、ハードウェア費用、電気などの公共サービスの使用量、経費、メンテナンスなどを縮小しながら、より高い基板スループットを実現することもできる。例えば、
図1に示すように、処理リソース146A、146B、146C(集合的に「146」)(つまり、処理ガス供給部、電源、真空ポンプシステムなど)のそれぞれが、各2チャンバ式処理システム101、103、105の処理チャンバの各対の間、つまり110と111と、112と132と、128と120との間で、及び/又は、処理チャンバの各対内で共用されるように処理チャンバを構成することができる。これ以外の共用ハードウェア及び/又はリソースの例は、1又は複数のプロセスフォアライン、粗引きポンプ、交流配電、直流電源、冷却水流通部、冷却器、多チャネル式温度制御器、ガスパネル、制御装置などのうち、1又は複数を含んでいてよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、基板搬送を促進するために、工場インターフェース102は少なくとも1つのドッキングステーション108と、少なくとも1つの工場インターフェースロボット(図示では2個)114とを設けている。ドッキングステーション108は、1又は複数(図示では2個)の前開き一体形ポッド(FOUP)106A〜106Bを受容するように構成されている。いくつかの実施形態において、工場インターフェースロボット114は一般的に、ロボット114の一端に設置されたブレード116を備えており、このブレード116は、基板をロードロックチャンバ122を通って処理するべく工場インターフェース102から処理プラットフォーム104へ搬送するように構成されている。オプションで、1又は複数の計測ステーション118を工場インターフェース102の終端部126に接続して、FOUP106A〜106Bから入来した基板の測定を促進するようにできる。
【0018】
いくつかの実施形態では、各ロードロックチャンバ122は工場インターフェース102に結合した第1ポート123と、搬送チャンバ136に結合した第2ポート125とを設けていてよい。ロードロックチャンバ122は、これをポンプダウン及び通気する圧力制御システムに結合していてよく、これによって、基板が、搬送チャンバ136の真空環境と、工場インターフェース102の実質的な周囲(例えば、大気)環境との間を通過しやすくなる。
【0019】
いくつかの実施形態では、搬送チャンバ136には真空ロボット130が内設されている。真空ロボット130は一般的に、可動アーム131に結合した1又は複数の搬送ブレード(図示では2枚)134を備えている。例えば
図1に示すように処理チャンバ110、111、112、132、128、120が2個ずつのグループに分けて配置されているいくつかの実施形態では、真空ロボット130は、真空ロボット130が2枚の基板124、126を、ロードロックチャンバ122から処理チャンバの各々の対(例えば、110と111、112と132、120と128)へ同時に搬送できるように構成された、2枚の平行な搬送ブレード134を設けることができる。
【0020】
処理チャンバ110、111、112、132、120、128は、基板処理で利用されるあらゆるタイプの処理チャンバであってよい。しかし、共有リソースを利用するには、各々の対の処理チャンバをエッチングチャンバ、堆積チャンバなどの同タイプのチャンバにする必要がある。本明細書で提示する示唆に従って改造できる適切なエッチングチャンバの非限定的な例には、アプライドマテリアルズ社(Applied Materials, Inc.、カリフォルニア州サンタクララ)より市販されている、Decoupled Plasma Source(DPS)シリーズのいずれかのチャンバ、HART(商標)、E−MAX(登録商標)、ENABLER(登録商標)エッチングチャンバがある。これ以外の製造業者からの他のエッチングチャンバを利用することも可能である。
【0021】
処理チャンバの各々の対110と111、112と132、120と128は、共有リソース146A、146B、又は146Cを設けていてよい。例えば、いくつかの実施形態では、共有リソースには、以下で述べる処理ガスを提供するための共有ガスパネル(例えば、
図1で共有リソース146B、146Cとして図示したようなもの)を含んでいてよい。さらに共有リソースは、各処理チャンバを、隣接するチャンバと組み合わせて又は単独でポンプダウンするための共有真空ポンプを設けていてもよい。あるいは、又はこの共有真空ポンプと組み合わせて、各処理チャンバに、各処理チャンバの内容積をポンプダウンするための独立した真空ポンプ(図示せず)を設けることもできる。
【0022】
いくつかの実施形態では、共有リソースは、処理チャンバ同士の間の共有ガスパネルを含む。例えば、共有リソース146Bは、
図1に示すように処理チャンバ112と処理チャンバ132とが共有する共有ガスパネル150を含む。この共有ガスパネル150は、例えば、複数の流量制御装置及び関連装置を介して処理チャンバ112、132に結合した複数の処理ガス源を設けていてよい。ここで用いる「流量制御装置」という用語は、内部に流れる1種又は複数種のガス流の流量を制御するあらゆる装置、例えば質量流量制御装置、流量制御デバイス、流量制御オリフィスなどを意味する。例えば、共有ガスパネル150の各ガス源は、ガス源から所望の流量で流れるガスを測定するための質量流量制御装置に結合していてよい。例えば、ガスパネル150の第1処理ガス源(図示せず)からの第1処理ガスを流量制御装置152で測定し、共有ガスパネル150の第2処理ガス源(図示せず)からの第2処理ガスを流量制御装置154で測定することができる。第1、第2処理ガスは、流量制御装置152、154から排出され、これらの装置のそれぞれの出口に結合している混合器156に入る。第1、第2処理ガスは混合器156内で、流量制御装置152、154が測定した各処理ガスの各分量に関連した比率で混合又は均質化される。
【0023】
混合された第1処理ガスと第2処理ガスは、混合器156の出口から、多チャネル式流量制御装置を介し、又はこれ以外の、各処理チャンバに供給されたガスをそれぞれ制御できる類似の装置を介して、処理チャンバ112、132へ、さらにオプションで所与の処理チャンバ内の2つ以上の範囲へ分配される。例えば、多チャネル式流量制御装置158は、混合器の出口から第1処理ガスと第2処理ガスの混合物を受容する共有入口160を設け、また、第1処理ガスと第2処理ガスの混合物を、例えば質量流量制御装置、流量制御装置、固定オリフィスなどの1又は複数の流量制御装置、又はこれらの組み合わせを介して、処理チャンバ112、132へ分配することができる。
図1の実施形態では、2対の流量制御装置162、164、166、168が、第1の流量制御装置の対(例えば、162、164)が処理チャンバ112に結合した状態、さらに第2の流量制御装置の対(例えば、166、168)が処理チャンバ132に結合した状態にて示されている。
【0024】
例えば、多チャネル式流量制御装置158は、1又は複数の流量制御装置を設け、各々の流量制御装置が第1処理ガスと第2処理ガスの混合物を各処理チャンバ112、132に供給を行える(
図1では、2つの流量制御装置が各チャンバに結合している)。例えば、流量制御装置162、164は、第1処理ガスと第2処理ガスの混合物を処理チャンバ112に供給し、流量制御装置164、166は、第1処理ガスと第2処理ガスの混合物を処理チャンバ132に供給する。流量制御装置の各々の対(例えば、流量制御装置162と164の対)は、第1処理ガスと第2処理ガスの混合物を異なる流量で各処理チャンバ(例えば、処理チャンバ112)に供給できる。例えば、流量制御装置162は、流量制御装置164が処理チャンバ112の第2入口172を介して供給したのと異なる流量で、第1処理ガスと第2処理ガスの混合物を処理チャンバ112の第1入口170から供給できる。例えば、第1入口170と第2入口172は、シャワーヘッド(図示せず)の内側範囲と外側範囲、ガス入口の各範囲などであってよい。
【0025】
マルチチャンバ型基板処理システム100はさらに、上述した各流量制御装置からの流量を検証する質量流量検証器174を設けており、また、システム100で流量の検証が必要な場合にはあらゆる流量制御装置をさらに設けることができる。例えば、このような追加の流量制御装置は、共有リソース146A又は146Cの一部であってよい。共有リソース146A、146Cは、上で共有リソース146Bについて述べたものと類似した、共有ガスパネル及び流量制御装置の構造を設けていてよい。
【0026】
質量流量検証器174は、質量流量制御装置が供給したガスの流量を検証するあらゆる適切な装置であってよい。このような質量流量検証器は、例えば既知の容積の圧力の上昇率をある期間にかけて監視することによって、又は、その他の何らかの、質量流量検証器174が監視する任意の流量制御装置の流量を個別に確認する適切な方法によって働く。いくつかの実施形態では、質量流量検証器174は2チャンバ式処理システム101、103、105のうちの1つに搭載できる。いくつかの実施形態では、質量流量検証器174は、マルチチャンバ型処理システム100の搬送チャンバ136上に、あるいは、マルチチャンバ型処理システム100の各処理チャンバに結合した各々の流量制御装置に結合するのに適した他の位置に搭載できる。
【0027】
質量流量検証器174を、流量制御装置の出口の下(例えば、出口の下流位置)に配置された個々の導管によって、各々の流量制御装置と選択的に結合することができる。本発明の装置は、処理ガス混合を行うマニホルドから延びた1本の導管ではなく個々の導管を介して、各々の流量制御装置を質量流量検証器と選択的に結合することで、1つの制御装置からの流れを検証又は較正している間に、処理ガスの供給が他の流量制御装置の機能に影響を与えることなく、各々の流量制御装置の独立した検証及び/又は較正を促進できるようになる。
【0028】
各導管は、各流量制御装置を処理チャンバか質量流量検証器174のいずれかに選択的に結合できる多方切替バルブ(図示せず)などによって、所与の流量制御装置の下流位置にそれぞれ結合することができる。例えば、流量制御装置の流量を検証することが望ましい場合、通常は流量制御装置の出口から処理チャンバへ流れる処理ガスを、多方切替バルブによって導管内へ迂回させ、質量流量検証器174内に流れさせることが可能である。検証期間中に、検証対象である流量制御装置は処理ガスを処理チャンバに供給しないが、システム100のこれ以外の全ての流量制御装置は、例えば基板などの処理を行うべく、処理ガスを処理チャンバに供給し続けることができる。いくつかの実施形態では、流れを質量流量検証器174を通過させずに、質量流量検証器174の周囲にバイパスして、導管を迅速に排気させることで、検証中の複数のガス流間でガス切替えパージングがスピードアップされる。
【0029】
例えば、
図1に、それぞれの流量制御装置を質量流量検証器174に結合する数本の導管を示す。
図1では、明瞭化の目的で何本かの導管を省略している。しかし、所与の流量制御装置を質量流量検証器174に結合する導管を、処理システム100のそれぞれの流量制御装置に設けることができる。例えば、導管176は、流量制御装置152を質量流量検証器174に結合する。これと同様の導管(図示せず)は、流量制御装置154を質量流量検証器174に結合する。同様に、導管178、180は、質量流量検証器174を流量制御装置162、166のそれぞれに結合し、さらに、隣接する処理チャンバ112、132の関連領域又は範囲に同様(又は同一)のガス流を供給することができる。さらに、複数の流量制御装置に複数の導管を結合し、これらから1つのチャンバに処理ガスを供給することもできる。例えば、導管180が流量制御装置166を質量流量検証器174に、導管182が流量制御装置168を質量流量検証器174に結合し、流量制御装置166、168が処理チャンバ132に処理ガスを供給する。
【0030】
いくつかの実施形態では、システム100のそれぞれ対応する流量制御装置を質量流量検証器174に結合する全ての導管のフローコンダクタンスは、実質的に同等又はほぼ同一であってよい。ここで用いている「実質的に同等(又は、ほぼ同一)」には、コンダクタンスの約±10%の誤差が含まれる。あるいは、いくつかの実施形態では、処理ガスを供給する流量制御装置を異なる処理チャンバの関連領域(例えば、各処理チャンバの第1範囲、各処理チャンバの第2範囲、など)に結合する複数の導管のフローコンダクタンスは、実質的に同様、又はほぼ同一であってよい。例えば、流量制御装置162、166を隣接する処理チャンバ112、132に結合する導管178、180のフローコンダクタンスは実質的に同様、又はほぼ同一であってよいため、質量流量検証器174を用いて各流量制御装置162、166の流量を比較することができる。同様に、流量制御装置152を質量流量検証器174に結合する導管176と、流量制御装置186を質量流量検証器に結合する導管184とは、実質的に同様の、又はほぼ同一のフローコンダクタンスを有してよい。前出の例において、流量制御装置186は、流量制御装置152が2チャンバ式処理システム105に供給するのと同じ処理ガスを2チャンバ式処理システム103に供給する流量制御装置である。
【0031】
上記の代替として、又は全ての導管又はこれらの導管の対ごとに実質的に同様のフローコンダクタンスを持たせることと組み合わせて、質量流量検証器174を、閉塞流れに対応した構造にすることができ、例えば、導管から質量流量検証器174に流入する処理ガスの流量は、その導管内のフローコンダクタンスとは無関係である。例えば、質量流量検証器174はさらに臨界ノズル174を備えていてもよく、これにより、処理ガスは質量流量検証器174に流入する時にこの臨界ノズルを通って流れることができる。臨界ノズル188に入る全てのガスの流量を、そのガスが通ってきた導管内のフローコンダクタンスに関係なく正規化できるようにするために、臨界ノズル188を、例えば入口及び出口の穴径、長さ、形状などに基づいて構造することができる。例えば臨界ノズルは、圧力が少なくとも半減する形で(例えば、臨界ノズルのすぐ上流での第1圧力が、臨界ノズルのすぐ下流での第2圧力の少なくとも2倍になる形で)圧力を臨界ノズル全体にわたり降下させるように規制することができる。上記の代替として、又は全ての導管又はこれらの導管の対ごとに実質的に同様のフローコンダクタンスを持たせること、及び/又は、質量流量検証器174を閉塞流れに対応するよう構造することと組み合わせて、いくつかの実施形態では、下流でのコンダクタンスを最小化することで、より高い流量の使用を可能にするより低い基準圧を提供できるようになる。
【0032】
システム制御装置144は処理システム100と結合しており、処理システム100又はその構成部分を制御できるようになっている。例えば、システム制御装置144は、システム100の処理チャンバ110、111、112、132、128、120の直接制御を用いて、あるいは、処理チャンバ110、111、112、132、128、120、システム100に関連したコンピュータ(又は制御装置)を制御することによって、システム100の動作を制御できる。動作中、システム制御装置144は、各チャンバ及びシステム制御装置144からデータ収集とフィードバックを行えるようにすることで、システム100の性能を最適化する。
【0033】
システム制御装置144は一般的に、中央処理ユニット(CPU)138、メモリ140、サポート回路142を含んでいる。CPU138は、工業セッティングに使用できるあらゆる形式の汎用コンピュータプロセッサの1つであってよい。メモリ、又はコンピュータで読み出し可能な媒体140は、CPU138によるアクセスが可能であり、又は複数の簡単に入手できるメモリ、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、又はその他任意形式のデジタル記憶装置(これらのメモリは全て局部的・遠隔的を問わない)であってよい。従来、サポート回路142はCPU138に接続されており、キャッシュ、クロック回路、入/出力サブシステム、電源などを備えていてよい。ここで示す本発明の方法は一般的に、CPU138によって実行されると1対の処理チャンバに本発明の処理を実施させるソフトウェアルーチンとしてメモリ140(又は、以下で述べる特定の処理チャンバの対のメモリ)に記憶することができる。
【0034】
上述の装置は、複数の流量制御装置を多様な形で較正するために使用できる。例えば、いくつかの実施形態では、中央真空搬送チャンバに結合している第1処理チャンバ及び第2処理チャンバを備えた基板処理システムにおいて複数の流量制御装置を較正する方法は、第1ガスを第1処理チャンバに結合している第1流量制御装置からの第1流量にて供給するステップと、第1ガスを第1導管により質量流量検証器へ迂回させるステップと、質量流量検証器を使用して第1流量を決定するステップと、第2ガスを第2処理チャンバに結合している第2流量制御装置から第2流量にて供給するステップと、第2ガスを第2導管によって質量流量検証器へ迂回させるステップと、質量流量検証器を使用して第2流量を決定するステップとを含んでもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、基板処理システムにおいて複数の流量制御装置を較正する方法は、第1処理チャンバの第1範囲に結合している第1流量制御装置によって質量流量検証器に第1ガスを供給するステップと、質量流量検証器を使用して第1ガスの第1流量を決定するステップと、第1処理チャンバの第2範囲に結合している第2流量制御装置によって第2ガスを質量流量検証器に供給するステップと、質量流量検証器を使用して第2ガスの第2流量を決定するステップとを含んでいてよく、ここで、第2流量制御装置が質量流量検証器に第2ガスを供給している間も、第1流量制御装置は第1ガスを第1範囲に供給することが可能である。いくつかの実施形態では、第1ガスと第2ガスを、所望の流量を得ることを目的とした各流量にて供給できる。第1流量と第2流量のそれぞれの決定に基づいて、第1流量と第2流量間の実流量を決定することができ、また、この実流量を所望の流量と比較して、所望の流量が得られたかどうかを決定することができる。
【0036】
図2は、本発明のいくつかの実施形態による、基板処理システムにおいて複数の流量制御装置を較正する方法200のフローチャートを示す。以下で、この方法200を
図1で述べた本発明の装置に従って説明する。
【0037】
ステップ202で、第1処理チャンバに結合している第1流量制御装置によって、第1ガスを第1流量で質量流量検証器に供給することができる。例えば、上述したように第1流量制御装置はシステム100のあらゆる流量制御装置であってよいが、以下では、方法200を、2チャンバ式処理システム105の流量制御装置162、166、168に関連して説明する。したがって、方法200を説明する目的から、第1流量制御装置は、通常の動作条件下にある処理チャンバ132に第1ガスを供給する流量制御装置166であってよいが、しかし、流れ検証中には、第1ガスは上述したように導管180を通って質量流量検証器174へ迂回される。例えば、通常条件での動作中に、流量制御装置166は第1入口171を介して処理チャンバに第1ガスを供給する。この第1入口171は、上で処理チャンバ112に関連して述べた第1入口170と実質的に同等である。
【0038】
ステップ204では、質量流量検証器174を用いて流量制御装置166の流量を決定する。例えば、既知の容量における圧力上昇量、又は類似の検証方法を用いて、第1流量を決定できる。上述したように、質量流量検証器174を閉塞流れに対応した構造にしたり、各導管のフローコンダクタンスを既知のものにしたり、又は実質的に類似させることが可能である。例えば、質量流量検証器174が決定した第1流量が、流量制御装置166が読み取った第1流量と実質的に異なる場合には、質量流量検証器174が決定した第1流量に基づいて流量制御装置166を較正することができる。例えば、いくつかの実施形態では、決定された第1流量と流量制御装置166が読み取った第1流量との間に約1〜5%の差がある場合には、流量制御装置166を較正する必要がある。例えば、この差が約1%未満の場合は、流量制御装置166は順調に動作していると考えられる。この差が約5%よりも大きい場合は、流量制御装置166を交換する必要があるかもしれない。
【0039】
ステップ206で、質量流量検証器174が流量制御装置166の第1流量を決定した後に、質量流量検証器174から第1ガスを排除する。例えば、第1ガスを導管180から処理チャンバ132へ迂回させて戻す、及び/又は、流量制御装置166の電源を切ることで、質量流量検証器174から第1ガスを排除できる。導管180を通る第1ガスの流れが止まったら、システム100に結合されているか、システム100の一部である真空ポンプなど(図示せず)によって、第1ガスを質量流量検証器174の出口(図示せず)から除去する。
【0040】
ステップ208で、第2処理チャンバに結合している第2流量制御装置によって、第2ガスを質量流量検証器174に第2流量で供給できる。例えば、第2流量制御装置は、通常の動作条件下にある処理チャンバ112に第2ガスを供給する流量制御装置162であってよいが、流れ検証中には、上で述べたように第2ガスが導管178を通って質量流量検証器174へ迂回される。いくつかの実施形態では、第2ガスは第1ガスと実質的に同等であってよい。いくつかの実施形態では、第2流量は第1流量と実質的に同等であってよい。いくつかの実施形態では、質量流量検証器174が流量制御装置162の流量を検証している間、流量制御装置166は第1ガスを処理チャンバ132に供給することができる。いくつかの実施形態では、流量制御装置162の流量の検証中には、流量制御装置166の電源をオフにすることができる。また、符号202、204における流量制御装置166の検証中に、上述したように流量制御装置162は処理チャンバ112に第1ガスを供給してもよいし、又は流量制御装置162の電源をオフにしてもよい。
【0041】
ステップ210で、質量流量検証器174を用いて流量制御装置162の第2流量を決定する。例えば、符号204に関連して上述した方法のいずれかによって、第2流量を決定できる。例えば、いくつかの実施形態では、決定された第2流量と流量制御装置162が読み取った第2流量との間に約1〜5%の差がある場合には、流量制御装置162を較正する必要がある。例えば、この差が約1%未満である場合には、流量制御装置162は順調に動作していると考えられる。この差が約5%よりも大きい場合は、流量制御装置162を交換する必要があるかもしれない。
【0042】
方法ステップ208〜210の代替として、あるいはこれと組合わせて、方法200は302へ進み(
図3に示す)、第3流量制御装置が第1処理チャンバに第3流量で供給した第1ガスを、質量流量検証器174に供給できる。例えば、第3流量制御装置は、通常の動作条件下にある処理チャンバ132に第1ガスを供給する流量制御装置168であってよいが、流量検証中は、上述したように第1ガスは導管182を通って質量流量検証器174へ迂回される。例えば、通常条件での動作中には、流量制御装置168は第1ガスを第2入口173を介して処理チャンバに供給するが、ここで、第2入口173は、処理チャンバ112に関連して上述した第2入口172と実質的に同等のものである。例えば、方法200は、ステップ206で質量流量検証器174から第1ガスを除去した後に、302へ進むことができる。あるいは、方法200は、質量流量検証器174から第2ガスを除去し(
図2〜3の方法200のフローチャートでは図示せず)、ステップ210で流量制御装置162が検証された後に、ステップ302へ進むことができる。
【0043】
上述したように、共有入口160を設けた流量制御装置166、168は多チャネル式流量制御装置158の一部であってよく、ここで、共有入口は、例えば混合器156の出口から供給された複数の処理ガスの混合物であってもよい第1ガスを受容し、第1ガス(例えば、単体ガス、又は複数ガスの混合物)を、1又は複数の流量制御装置を介して処理チャンバ112、132に(さらにこの例証的な実施形態では、流量制御装置166、168を介して処理チャンバ132に)分配することができる。例えば、流量制御装置166、168は、第1入口171と第2入口173の間の望ましい流量比で、第1ガスを処理チャンバ132に供給できる。望ましい流量比は、例えば流量制御装置166、168の第1流量と第3流量を望ましい流量に設定することで達成できる。望ましい流量比が流量制御装置166,168を介して処理チャンバ132に送られていることは、質量流量検証器174によってそれぞれの流量制御装置の流量を個別に検証することで確認できる。例えば、上述したように、流量制御装置166はステップ204で検証されている。
【0044】
ステップ304で、質量流量検証器174を使用して流量制御装置168の第3流量を決定できる。例えば、第3流量は上でステップ204について述べた方法のいずれを使用しても決定することができる。例えば、いくつかの実施形態では、決定された第3流量と流量制御装置168が読み取った第3流量との間に約±5%の差がある場合には、流量制御装置168を較正する必要がある。
【0045】
上述した実施形態と同様、流量制御装置162、166のいずれか、又は両方をアイドル状態にするか、あるいは、以下で述べるように、流量制御装置168の検証中に処理チャンバ112、132のうちそれぞれ対応する1つにガスを供給することができる。例えば、いくつかの実施形態では、質量流量検証器174が流量制御装置168を検証している間、処理チャンバ112内に配置した基板(図示せず)を処理するために、第2ガスを流量制御装置162を介して(及び/又は流量制御装置164を介して)処理チャンバ112に供給できる。さらに、質量流量検証器174が流量制御装置168を検証している間、流量制御装置166はアイドル状態にあっても、動作していてもよい。
【0046】
さらに、ステップ304で第3流量が決定したら、決定された第1流量と第3流量を比較することで、流量制御装置166、168が第1入口171、第2入口173を介して処理チャンバ132に供給している第1ガスの流量比を決定できる。同様に、また上述したように、第1及び第3流量制御装置を決定された流量比に基づいて別々に較正するか、あるいは、多チャネル式流量制御装置158全体を決定された流量比に基づいて較正することができる。
【0047】
ステップ306で、流量制御装置168についての第3流量の決定が完了したら、質量流量検証器174は第1ガスを排除することができる。例えば、質量流量検証器174は、上述した方法のいずれかを用いて排除できる。ステップ306で質量流量検証器174から第1ガスを排除した後、方法200は、例えばステップ208へ進むか、あるいは別の流量制御装置(例えば、流量制御装置186や、2チャンバ式処理システム103の共有リソース146Cに関連したその他の流量制御装置)を検証するステップへ進むことができる。あるいは、システム100の全ての制御装置を既に方法200で検証し終わっている場合には、方法200を再び開始する、又は定期的に実行する、もしくは所望回数の処理実施後に実行するなどによって、システム100の流量制御装置の較正を検証できる。
【0048】
上でクラスタツール構造に関連して述べたが、上述した示唆を、1つの処理チャンバの多様な範囲に結合している複数の流量計の流れ検証及び較正を行うために、複数の範囲を設けた1つの処理チャンバを改造するべく用いることも可能である。これの代替として、又はこれと組み合わせて、近接配置された複数の処理チャンバを、本明細書で提供した示唆に従って質量流量検証器を共有するように改造することもできる。いくつかの実施形態では、2チャンバ式処理システム(例えば、101)を、本明細書で提供した示唆に従って、クラスタツールに搭載せずに、質量流量検証器を共有するように改造することができる。
【0049】
こうして、基板処理システムにおける複数の流量制御装置を較正する方法及び装置を本明細書で開示した。本発明の方法及び装置は、標準品(例えば、質量流量検証器)と、多様な構造の1又は複数の処理チャンバに結合した他の流量制御装置との両方とを直接比較して、1又は複数の流量制御装置によって提供された1又は複数の流量の測定を有効に促進する。したがって、本発明のシステム及び方法は、各々の流量制御装置の較正に要する時間を有効に短縮し、流量制御装置の測定値の均一性を改善することにより、チャンバマッチングの改善(例えば、同様の処理条件下で動作する2つの異なるチャンバの処理結果の均一性の改善)を促進する。
【0050】
先述は本発明の実施形態に関するものであるが、本発明の基本的範囲から逸脱しない限り、本発明のこれ以外の及びさらなる実施形態が考案される。