特許第5987721号(P5987721)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5987721ケーブルコネクタおよびケーブルアッセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5987721
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】ケーブルコネクタおよびケーブルアッセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6477 20110101AFI20160825BHJP
   H01R 13/6586 20110101ALI20160825BHJP
【FI】
   H01R13/6477
   H01R13/6586
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-27819(P2013-27819)
(22)【出願日】2013年2月15日
(65)【公開番号】特開2014-157718(P2014-157718A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2015年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
(72)【発明者】
【氏名】石松 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】南畝 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】深作 泉
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−257997(JP,A)
【文献】 特開2011−028903(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0197467(US,A1)
【文献】 特開2013−016310(JP,A)
【文献】 特開2002−110295(JP,A)
【文献】 特開2005−203217(JP,A)
【文献】 特開昭59−171480(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/6477
H01R 13/655−13/6586
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の内部導体と、該内部導体の外周を個別にまたは一括して覆うように設けられる絶縁体と、該絶縁体の外周を覆うように設けられる外部導体と、を備えたケーブルの端部に設けられるケーブルコネクタであって、
細長い板状に形成され、前記内部導体が電気的に接続される信号端子と、
細長い板状に形成され、前記外部導体が電気的に接続され、前記信号端子と共に整列配置される接地端子と、
前記信号端子と前記接地端子とを、その整列方向と垂直方向である厚さ方向から挟み込み、前記信号端子および前記接地端子を整列状態で保持する樹脂ハウジングと、
状の本体部と、該本体部から前記接地端子側に突出し、前記接地端子に当接して電気的に接続される接地アームと、前記本体部の前記ケーブル側の端部に設けられ、前記外部導体に当接して電気的に接続される外部導体接続部とを有し、前記本体部が前記樹脂ハウジングの外壁に固定されて前記樹脂ハウジングに保持される2つの接地シェルと、を備え、
前記外部導体と前記接地端子とが、前記接地シェルの前記外部導体接続部、前記本体部、前記接地アームを介して電気的に接続され
前記信号端子は、前記厚さ方向の中心に位置すると共に、前記樹脂ハウジングは、前記厚さ方向の中心及び前記配列方向の中心に対して対称となるように前記信号端子を覆っている
ことを特徴とするケーブルコネクタ。
【請求項2】
前記信号端子を前記整列方向から挟み込むように、前記整列方向の最外に一対の前記接地端子を配置し、
前記本体部の前記整列方向の両側に前記接地アームを形成した
請求項1記載のケーブルコネクタ。
【請求項3】
前記信号端子および前記接地端子の長さ方向に沿って、複数の前記接地アームを形成した
請求項1または2記載のケーブルコネクタ。
【請求項4】
前記接地アームは、使用周波数の実効波長の1/4以下の間隔で設けられる
請求項3記載のケーブルコネクタ。
【請求項5】
前記接地アームは、少なくとも、前記接地端子と前記本体部の先端部同士、および前記接地端子と前記本体部の基端部同士を接続するように設けられる
請求項1〜4いずれかに記載のケーブルコネクタ。
【請求項6】
前記接地アームは、性変形により前記接地端子に密着される
請求項1〜5いずれかに記載のケーブルコネクタ。
【請求項7】
前記外部導体接続部は、前記本体部から前記ケーブル側に傾斜して設けられ、弾性変形により前記外部導体に密着される
請求項1〜6いずれかに記載のケーブルコネクタ。
【請求項8】
前記信号端子の前記ケーブル側の端部に形成され、前記内部導体と当接する当接部と、
前記厚さ方向の中心及び前記配列方向の中心に対して対称となるように前記当接部の周囲を覆う樹脂モールドと、を備える
請求項1〜7いずれかに記載のケーブルコネクタ。
【請求項9】
前記樹脂ハウジングは、その外壁から外方に突出する固定用突起を有し、
前記接地シェルの前記本体部は、前記固定用突起される固定用穴を有し、
記固定用穴に通された前記固定用突起は、その先端部押し拡げられることで前記固定用穴の周縁に係止される
請求項1〜8いずれかに記載のケーブルコネクタ。
【請求項10】
1つ以上の内部導体と、該内部導体の外周を個別にまたは一括して覆うように設けられる絶縁体と、該絶縁体の外周を覆うように設けられる外部導体と、を備えたケーブルと、
当該ケーブルの端部に設けられるケーブルコネクタと、
を備えたケーブルアッセンブリであって、
前記ケーブルコネクタは、
細長い板状に形成され、前記内部導体が電気的に接続される信号端子と、
細長い板状に形成され、前記外部導体が電気的に接続され、前記信号端子と共に整列配置される接地端子と、
前記信号端子と前記接地端子とを、その整列方向と垂直方向である厚さ方向から挟み込み、前記信号端子および前記接地端子を整列状態で保持する樹脂ハウジングと、
状の本体部と、該本体部から前記接地端子側に突出し、前記接地端子に当接して電気的に接続される接地アームと、前記本体部の前記ケーブル側の端部に設けられ、前記外部導体に当接して電気的に接続される外部導体接続部とを有し、前記本体部が前記樹脂ハウジングの外壁に固定されて前記樹脂ハウジングに保持される2つの接地シェルと、を備え、
前記外部導体と前記接地端子とが、前記接地シェルの前記外部導体接続部、前記本体部、前記接地アームを介して電気的に接続され
前記信号端子は、前記厚さ方向の中心に位置すると共に、前記樹脂ハウジングは、前記厚さ方向の中心及び前記配列方向の中心に対して対称となるように前記信号端子を覆っている
ことを特徴とするケーブルアッセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハ型のケーブルコネクタおよびケーブルアッセンブリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、バックプレーンなどにおいて多くのケーブルを高密度に接続する際に、ウエハ型のケーブルコネクタが用いられている。ウエハ型のケーブルコネクタとは、つまり厚さが薄い板状のコネクタであり、厚さ方向にスタックして用いられるのが一般的である。
【0003】
従来のウエハ型のケーブルコネクタとして、例えば、図9に示すものが知られている。
【0004】
このケーブルコネクタ91では、2本のケーブル92それぞれに含まれる2本の内部導体93を、それぞれ4つの信号端子96に電気的に接続し、かつ、2本のケーブル92の外部導体94と電気的に接続された接地導体(ドレイン線)95を、一括して1つの接地端子97に電気的に接続し、信号端子96と接地端子97を上下から挟み込むように接地シェル98を設けた構造となっている。
【0005】
ケーブルコネクタ91では、信号端子96と接地端子97は、同一平面上に配置され、接地端子97が中央となるように整列配置されており、上下の接地シェル98と接地端子97とが、それぞれ接地アーム99により1箇所で電気的に接続されている。
【0006】
接地シェル98は、複数のケーブルコネクタ91をスタックした際に隣り合うケーブルコネクタ91間でクロストークを抑制し、外部からのノイズ混入を抑制すると共に、信号端子96を上下から挟み込んで構造の対称性を維持し、伝送特性の劣化を抑制する役割を果たしている。
【0007】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2005−522004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述の従来のケーブルコネクタ91では、接地導体95が無いタイプのケーブルには対応できないという問題がある。
【0010】
例えば伝送速度10Gbps以上の高速伝送用のケーブルでは、構造の対称性を崩し特性劣化の要因となる接地導体95を省略することが望まれており、このような更なる高速化に対応するために、接地導体95が無いタイプのケーブルにも対応可能なケーブルコネクタが望まれている。
【0011】
本発明は上記事情に鑑み為されたものであり、接地導体が無いタイプのケーブルにも対応可能なケーブルコネクタおよびケーブルアッセンブリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、1つ以上の内部導体と、該内部導体の外周を個別にまたは一括して覆うように設けられる絶縁体と、該絶縁体の外周を覆うように設けられる外部導体と、を備えたケーブルの端部に設けられるケーブルコネクタであって、前記内部導体が電気的に接続される信号端子と、前記外部導体が電気的に接続され、前記信号端子と共に整列配置される接地端子と、前記信号端子と前記接地端子とを、その整列方向と垂直方向である厚さ方向から挟み込むように設けられる2つの接地シェルと、を備え、前記接地シェルは、板状の本体部と、該本体部から前記接地端子側に突出し、前記接地端子に当接して電気的に接続される接地アームと、前記本体部の前記ケーブル側の端部に設けられ、前記外部導体に当接して電気的に接続される外部導体接続部と、を備え、前記外部導体と前記接地端子とが、前記接地シェルの前記外部導体接続部、前記本体部、前記接地アームを介して電気的に接続されているケーブルコネクタである。
【0013】
前記信号端子を前記整列方向から挟み込むように、前記整列方向の最外に一対の前記接地端子を配置し、前記本体部の前記整列方向の両側に前記接地アームを形成してもよい。
【0014】
前記信号端子および前記接地端子の長さ方向に沿って、複数の前記接地アームを形成してもよい。
【0015】
前記接地アームは、使用周波数の実効波長の1/4以下の間隔で設けられてもよい。
【0016】
前記接地アームは、少なくとも、前記接地端子と前記本体部の先端部同士、および前記接地端子と前記本体部の基端部同士を接続するように設けられてもよい。
【0017】
前記接地アームは、前記接地シェルを取り付けたときに、前記接地端子と干渉して弾性変形し、前記接地端子に密着するよう構成されてもよい。
【0018】
前記外部導体接続部は、前記接地シェルを取り付けたときに、前記外部導体と干渉して弾性変形し、前記外部導体に密着するように構成されてもよい。
【0019】
前記信号端子および前記接地端子を整列状態で保持する樹脂ハウジングを有し、前記接地シェルは、その前記本体部を前記樹脂ハウジングの外壁に固定することで、前記樹脂ハウジングに保持されてもよい。
【0020】
前記樹脂ハウジングは、その外壁から外方に突出する固定用突起を有し、前記接地シェルの前記本体部は、前記固定用突起を通す固定用穴を有し、前記固定用突起を前記固定用穴に通し、前記固定用突起の先端部を加熱して押し拡げ、当該押し拡げた前記固定用突起の先端部を前記固定用穴の周縁に係止させることで、前記本体部が前記樹脂ハウジングに固定されていてもよい。
【0021】
また、本発明は、1つ以上の内部導体と、該内部導体の外周を個別にまたは一括して覆うように設けられる絶縁体と、該絶縁体の外周を覆うように設けられる外部導体と、を備えたケーブルと、当該ケーブルの端部に設けられるケーブルコネクタと、を備えたケーブルアッセンブリであって、前記ケーブルコネクタは、前記内部導体が電気的に接続される信号端子と、前記外部導体が電気的に接続され、前記信号端子と共に整列配置される接地端子と、前記信号端子と前記接地端子とを、その整列方向と垂直方向である厚さ方向から挟み込むように設けられる2つの接地シェルと、を備え、前記接地シェルは、板状の本体部と、該本体部から前記接地端子側に突出し、前記接地端子に当接して電気的に接続される接地アームと、前記本体部の前記ケーブル側の端部に設けられ、前記外部導体に当接して電気的に接続される外部導体接続部と、を備え、前記外部導体と前記接地端子とが、前記接地シェルの前記外部導体接続部、前記本体部、前記接地アームを介して電気的に接続されているケーブルアッセンブリである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、接地導体が無いタイプのケーブルにも対応可能なケーブルコネクタおよびケーブルアッセンブリを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施の形態に係るケーブルコネクタを用いたケーブルアッセンブリを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は樹脂ハウジングと樹脂モールドを省略した側面図である。
図2】(a)は、図1のケーブルアッセンブリにおけるケーブルと信号端子と接地端子のみを抽出した斜視図であり、(b)は、ケーブルと信号端子と接地端子と樹脂モールドのみを抽出した斜視図である。
図3図1のケーブルアッセンブリにおける接地シェルを省略した図であり、(a)は分解斜視図、(b)は斜視図である。
図4】本発明において、分割した樹脂ハウジングの斜視図である。
図5図1のケーブルアッセンブリの分解斜視図である。
図6】(a)は、図1のケーブルアッセンブリの分解側面図であり、(b)は側面図である。
図7】本発明において、ケーブルコネクタ複合体を基板の端部に直接接続したときの斜視図である。
図8】(a)は、ケーブルコネクタ複合体の一例を示す斜視図であり、(b)は、(a)のケーブルコネクタ複合体を基板に実装したときの斜視図である。
図9】従来のケーブルコネクタを示す図であり、(a)は接地シェルを透視した平面図、(b)はその9B−9B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0025】
図1は、本実施の形態に係るケーブルコネクタを用いたケーブルアッセンブリを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は樹脂ハウジングと樹脂モールドを省略した側面図である。
【0026】
図1に示すように、ケーブルアッセンブリ1は、ケーブル3の端部にケーブルコネクタ2を設けたものである。
【0027】
図1および図2(a)に示すように、ケーブル3は、信号を伝送する1つ以上の内部導体4と、内部導体4の外周を個別にまたは一括して覆うように設けられる絶縁体5と、絶縁体5の外周を覆うように設けられる外部導体6と、外部導体6の外周を覆うように設けられる絶縁テープ7と、を備えている。
【0028】
本実施の形態では、ケーブル3として、平行に配置した2本の内部導体4の外周を一括して覆うように絶縁体5を設け、その外周に外部導体6と絶縁テープ7を順次設けたツイナックスケーブルを用いた。なお、ケーブル3の具体的構造はこれに限定されるものではない。
【0029】
ケーブルコネクタ2は、内部導体4が電気的に接続される信号端子10と、外部導体6が電気的に接続される接地端子11と、信号端子10と接地端子11を挟み込むように設けられる2つの接地シェル12と、を備えている。
【0030】
本実施の形態では、ケーブル3の2本の内部導体4に対応するように、2つの信号端子10が備えられている。信号端子10と接地端子11は、略同じ形状に形成されており、細長い板状に形成されている。信号端子10と接地端子11は、銅などの電気良導体からなる。信号端子10と接地端子11は、同一平面状に整列配置されており、その整列方向(以下、端子整列方向という)から信号端子10を挟み込むように、端子整列方向の最外に一対の接地端子11を配置している。
【0031】
本実施の形態では、信号端子10と内部導体4は、共にケーブルコネクタ2の厚さ方向の中心、すなわち両接地シェル12から等距離の位置に配置される。この状態で信号端子10と内部導体4とを電気的に接続するために、信号端子10の基端部(ケーブル3側の端部)に、当該基端部を内部導体4の外周に沿う円弧状に成形して、内部導体4と当接する当接部10aを形成している。このように構成することで、ケーブルコネクタ2内での構造の対称性をほぼ維持し、高速伝送における特性劣化を抑制することが可能となる。なお、ここでいう厚さ方向とは、端子配列方向および端子10,11の長さ方向に対して垂直な方向(図1(b)の上下方向)である。
【0032】
信号端子10の当接部10aと内部導体4とは、半田により固定されてもよいし、当接部10aで内部導体4をかしめて固定するように構成してもよい。
【0033】
図2(b)に示すように、本実施の形態では、内部導体4の当接部10aに内部導体4の先端部を当接させた状態で、当該当接部10aの周囲を樹脂モールド13で覆うことで、信号端子10とケーブル3とが固定される。樹脂モールド13は、ケーブルコネクタ2内での構造の対称性を維持すべく、厚さ方向の中心に対して対称であり、かつ、端子配列方向の中心に対して対称な形状に形成される。ここでは、樹脂モールド13を直方体形状に形成した。
【0034】
図1および図3に示すように、ケーブルコネクタ2は、信号端子10および接地端子11を整列状態で保持する樹脂ハウジング14を有している。樹脂ハウジング14は、信号端子10および接地端子11の下面の位置で2分割されており、当該分割された樹脂ハウジング14で信号端子10と接地端子11を挟み込むことで、信号端子10および接地端子11を整列状態で保持するように構成されている。図3および図4に示すように、上側の分割された樹脂ハウジング14には、信号端子10および接地端子11が収容される溝14bが、端子配列方向に等間隔に形成されている。
【0035】
樹脂ハウジング14は、ケーブルコネクタ2内での構造の対称性を維持すべく、厚さ方向の中心に対して対称であり、かつ、端子配列方向の中心に対して対称な形状に形成されている。樹脂モールド13や樹脂ハウジング14を対称形状とすることで、厚さ方向の上下での実効誘電率が均等になり、高周波特性を向上させることが可能になる。
【0036】
図1,5,6に示すように、接地シェル12は、信号端子10と接地端子11とを、厚さ方向から挟み込むように設けられる。
【0037】
接地シェル12は、板状の本体部15と、本体部15から接地端子11側に突出し、接地端子11に当接して電気的に接続される接地アーム16と、本体部15のケーブル3側の端部に設けられ、外部導体6に当接して電気的に接続される外部導体接続部17と、を備えている。
【0038】
本実施の形態に係るケーブルコネクタ2では、ケーブル3の外部導体6と接地端子11とが、接地シェル12の外部導体接続部17、本体部15、接地アーム16を介して電気的に接続されている。高速伝送対応の機器では通常シグナルグランドとフレームグランドとが分離されているが、外部導体6と接地端子11と接地シェル12は、シグナルグランドとされることになる。
【0039】
接地シェル12は、その本体部15を樹脂ハウジング14の外壁に固定することで、樹脂ハウジング14に保持される。
【0040】
本実施の形態では、樹脂ハウジング14に、その外壁から外方に突出する固定用突起14aを形成すると共に、接地シェル12の本体部15に、固定用突起14aを通す固定用穴15aを形成し、固定用突起14aを固定用穴15aに通した後、固定用突起14aの先端部に加熱したコテを押しつけるなどして当該先端部を加熱し軟化させて押し拡げ、当該押し拡げた固定用突起14aの先端部を固定用穴15aの周縁に係止させることで、本体部15を樹脂ハウジング14に固定するように構成した。固定用突起14aは、その先端部が押し拡げられるので、本体部15の厚さよりも若干大きい突出長に形成される。
【0041】
固定用穴15aの周縁には、押し拡げられた固定用突起14aの先端部を収容する凹部15bが形成されており、固定用突起14aが接地シェル12から突出しないように構成されている。これは、固定用突起14aが接地シェル12から突出すると、その突出部分に干渉して複数のケーブルコネクタ2を安定してスタックすることが困難になるためである。
【0042】
本実施の形態では、信号端子10を端子整列方向から挟み込むように、端子整列方向の最外に接地端子11を配置しているため、本体部15の端子整列方向の両側に接地アーム16を形成している。樹脂ハウジング14の端子整列方向の両側端部には、接地アーム16を通すための切欠14cが形成されている。
【0043】
接地端子11と本体部15の接続を密とするため、接地アーム16は、信号端子10および接地端子11の長さ方向に沿って複数形成される。接地アーム16の間隔が大きいと、接地シェル12にて帰還電流に含まれる高周波のノイズ成分により定在波が形成され外部に高周波ノイズが放射されてしまうおそれがあるため、接地アーム16は、使用周波数の実効波長の1/4以下の間隔で設けられることが望ましい。本実施の形態では、10GHz程度での使用を想定して接地アーム16の間隔を約3mmとした。
【0044】
また、帰還電流をスムーズに流すために、接地アーム16は、少なくとも、接地端子11と本体部15の先端部(ケーブル3と反対側の端部)同士、および接地端子11と本体部15の基端部(ケーブル3側の端部)同士を接続するように設けられることが望ましい。
【0045】
本実施の形態では、信号端子10および接地端子11の長さ方向および厚さ方向に対して傾斜して形成された3つの第1接地アーム16aと、本体部15の基端部から側面視で半円状に湾曲して形成された1つの第2接地アーム16bと、からなる4つの接地アーム16を、本体部15の両側にそれぞれ形成した。これら接地アーム16は、接地シェル12を取り付けたときに、板バネのように接地端子11と干渉して弾性変形し、接地端子11に密着するよう構成されることが望ましい。
【0046】
外部導体接続部17は、ケーブル3の外部導体6の外周に沿う形状に形成されている。本実施の形態では、図6に示すように、外部導体接続部17を、本体部15からケーブル3側に傾斜して設けており、接地シェル12を取り付けたときに、板バネのように外部導体6と干渉して弾性変形し、外部導体6に密着するように構成している。
【0047】
接地シェル12は、1枚の金属板をプレス加工等により成形することで、接地アーム16や外部導体接続部17を形成してなる。接地シェル12に用いる金属板としては、銅などの電気良導体からなるものを用いる。
【0048】
ケーブルコネクタ2では、信号端子10や接地端子11の大きさや配置間隔、端子10,11と接地シェル12間の距離、樹脂ハウジング14の誘電率等により特性インピーダンスを調整可能であり、その特性インピーダンスがケーブル3の特性インピーダンスと差動モード・同相モード共によく整合するように、各部のサイズ等が調整される。
【0049】
図7に示すように、ケーブルコネクタ2は、例えば、基板71の端部に直接接続され、その端子10,11を基板71の配線パターン72に半田等により電気的に接続して使用される。
【0050】
なお、図7では、4つのケーブルコネクタ2を整列配置し、その接地シェル12を共通とした場合を示している。図7に示すように、ケーブルコネクタ2を横方向(端子配列方向)に複数配置する場合には、接地シェル12や樹脂ハウジング14を一体に形成することで、これら複数のケーブルコネクタ2を一体に形成してケーブルコネクタ複合体70を構成することも可能である。
【0051】
さらに、図7のケーブルコネクタ複合体70を縦方向(厚さ方向)スタックすることで、図8に示すように、縦横に複数のケーブルコネクタ2を配置した構成のケーブルコネクタ複合体80を構成することもできる。
【0052】
ケーブルコネクタ複合体80は、例えば、その端子10,11を基板81の穴82に挿入し、穴82の周囲に形成された導体83と半田等により電気的に接続されることで、基板81に実装される。なお、ケーブルコネクタ複合体80を基板に実装する構造はこれに限定されるものではなく、例えば、基板81側に専用のコネクタを設けることも可能である。
【0053】
本実施の形態の作用を説明する。
【0054】
本実施の形態に係るケーブルコネクタ2では、内部導体4が電気的に接続される信号端子10と、外部導体6が電気的に接続され、信号端子10と共に整列配置される接地端子11と、信号端子10と接地端子11とを、その整列方向と垂直方向である厚さ方向から挟み込むように設けられる2つの接地シェル12と、を備え、接地シェル12は、板状の本体部15と、本体部15から接地端子11側に突出し、接地端子11に当接して電気的に接続される接地アーム16と、本体部15のケーブル3側の端部に設けられ、外部導体6に当接して電気的に接続される外部導体接続部17と、を備え、外部導体6と接地端子11とが、接地シェル12の外部導体接続部17、本体部15、接地アーム16を介して電気的に接続されている。
【0055】
このように構成することで、接地シェル12を介して外部導体6と接地端子11とが電気的に接続されることとなり、接地導体(ドレイン線)が無いタイプのケーブル3であっても対応が可能になる。
【0056】
また、ケーブルコネクタ2では、信号端子10を端子整列方向から挟み込むように接地端子11を配置し、さらに信号端子10を厚さ方向から挟み込むように接地シェル12を配置しているため、信号端子10がシグナルグランドとなる導体に囲まれることとなり、外部ノイズの混入を抑制できると共に、インピーダンスの整合がとりやすくなる。
【0057】
さらに、ケーブルコネクタ2では、信号端子10および接地端子11の長さ方向に沿って、複数の接地アーム16を形成し、接地端子11と本体部15とを複数箇所で密に接続しているため、帰還電流に含まれるノイズ成分に起因した高周波ノイズを外部に放射してしまうことを抑制できる。
【0058】
さらにまた、ケーブルコネクタ2では、接地アーム16を、少なくとも、接地端子11と本体部15の先端部同士、および接地端子11と本体部15の基端部同士を接続するように設けているため、帰還電流をスムーズに流すことが可能となり、高周波特性を向上できる。
【0059】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0060】
例えば、上記実施の形態ではケーブル3が接地導体を備えないものである場合を説明したが、本発明は、接地導体を備えたケーブルにも適用可能である。この場合、接地導体を接地端子11に電気的に接続して、接地シェル12と接地端子11の両方を外部導体6と電気的に接続することが望ましい。
【0061】
また、上記実施の形態では、接地シェル12の外部導体接続部17を直接外部導体6に接触させたが、例えば、外部導体6に接続金具を設け、その接続金具に外部導体接続部17を電気的に接続するなどして、外部導体接続部17と外部導体6とを間接的に電気的に接続するよう構成してもよい。
【0062】
さらに、上記実施の形態では言及しなかったが、複数のケーブルコネクタ2をスタックして用いる際に、当該スタックした複数のケーブルコネクタ2を固定するための構造を、各ケーブルコネクタ2に設けるようにしてもよい。例えば、樹脂ハウジング14の側面から突出する突起を形成し、当該突起を別途用意した係止部材に係止することで各ケーブルコネクタ2を固定する構造などが考えられるが、その具体的な構造は特に限定されるものではない。
【0063】
さらにまた、上記実施の形態では言及しなかったが、接地シェル12や樹脂ハウジング14を覆うように、保護用の外装を設けてもよい。複数のケーブルコネクタ2をスタックして用いる場合、当該複数のケーブルコネクタ2を一括して覆うように保護用の外装を設けることも可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 ケーブルアッセンブリ
2 ケーブルコネクタ
3 ケーブル
4 内部導体
5 絶縁体
6 外部導体
7 絶縁テープ
10 信号端子
11 接地端子
12 接地シェル
14 樹脂ハウジング
15 本体部
16 接地アーム
17 外部導体接続部
図1
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