(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基板処理部内の処理モジュールに処理時間が互いに異なる基板が混在する場合に、前記パラメータ選択部は、処理時間が最も短い基板のレシピに応じて決定される処理枚数と前記搬送パラメータに対応した処理枚数とを比較した結果に基づいて前記搬送パラメータを選択することを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
前記レシピに応じて決定される処理枚数は、基板が前記載置部に載置された後、当該基板に設定されたレシピを参照して得られることを特徴とする請求項2に記載の基板処理装置。
前記パラメータ選択部は、前記載置部に載置された複数の基板と当該基板の搬送先の処理モジュールとを搬送経路に沿って対応付けてこれらの基板が搬送される順序を時系列に並べて作成された搬送スケジュールに基づいて前記処理時間が最も短い基板のレシピに応じて決定される処理枚数を特定することを特徴とする請求項2ないし4のいずれか一つに記載の基板処理装置。
前記パラメータ記憶部内の前記搬送パラメータは、前記動作速度の設定値に加えて基板搬送機構の加速度の設定値と、前記基板処理部における単位時間あたりの基板処理枚数と、を対応させていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一つに記載の基板処理装置。
処理対象の基板が載置される載置部と、処理を実行する複数の処理モジュールを備えた基板処理部との間で基板搬送機構により基板を搬送し、前記処理モジュールにて基板を処理する基板処理方法において、
前記基板処理部における処理枚数に応じた基板搬送機構の動作速度の設定値と、前記基板処理部における単位時間あたりの基板の処理枚数と、を対応させた複数組の搬送パラメータから、前記基板の処理に係るレシピに応じて決定される、前記基板処理部における単位時間あたりの基板の処理枚数と、前記搬送パラメータに対応した処理枚数とを比較し、前記レシピに応じて決定される処理枚数以上の前記搬送パラメータに対応した処理枚数のうち、最小の処理枚数に対応した搬送パラメータを選択する工程と、
前記選択された搬送パラメータの設定値に基づいて前記基板搬送機構を制御する工程と、を含むことを特徴とする基板処理方法。
前記基板処理部内の処理モジュールに処理時間が互いに異なる基板が混在する場合に、前記搬送パラメータは、処理時間が最も短い基板のレシピに応じて決定される処理枚数と前記搬送パラメータに対応した処理枚数とを比較した結果に基づいて選択することを特徴とする請求項7に記載の基板処理方法。
前記レシピに応じて決定される処理枚数は、基板が前記載置部に載置された後、当該基板に設定されたレシピを参照して得られることを特徴とする請求項8に記載の基板処理方法。
前記搬送パラメータを選択する工程では、前記載置部に載置された複数の基板と当該基板の搬送先の処理モジュールとを搬送経路に沿って対応付けてこれらの基板が搬送される順序を時系列に並べて作成された搬送スケジュールに基づいて前記処理時間が最も短い基板のレシピに応じて決定される処理枚数を特定することを特徴とする請求項8ないし10のいずれか一つに記載の基板処理方法。
前記搬送パラメータは、前記動作速度の設定値に加えて基板搬送機構の加速度の設定値と、前記基板処理部における単位時間あたりの基板処理枚数と、を対応させていることを特徴とする請求項7ないし11のいずれか一つに記載の基板処理方法。
基板の処理を行う基板処理装置に用いられるコンピュータプログラムを格納した記憶媒体であって、前記プログラムは請求項7ないし12のいずれか一つに記載された基板処理方法を実行するためにステップが組まれていることを特徴とする記憶媒体。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態の一例として、基板であるウエハWの洗浄を行う液処理装置1に本発明を適用した例を説明する。
図1、
図2に示すように、液処理装置1は、複数のウエハWを収容したキャリアであるFOUP100を載置する載置ブロック11と、載置ブロック11に載置されたFOUP100からのウエハWの搬入・搬出を行う搬入出ブロック12と、搬入出ブロック12と後段の液処理ブロック14との間でウエハWの受け渡しを行う受け渡しブロック13と、ウエハWに液処理を施すための液処理ブロック14と、この液処理ブロック14に設けられた液処理モジュール2との間でウエハWの搬送が行われる搬送ブロック142a、142bとを備えている。
【0014】
液処理ブロック14は本例の基板処理部に相当し、
図2、
図3に示すように上段側の第1処理ブロック141aと下段側の第2処理ブロック141bとに分かれ、これらの処理ブロック141a、141bが上下に積層して配置されている。処理ブロック141a、141bには複数台の液処理モジュール2が設けられていて複数枚のウエハWを並行して処理することができる。
また載置ブロック11を手前としたとき、載置ブロック11、搬入出ブロック12、受け渡しブロック13、液処理ブロック14は、手前側からこの順に、隣接して設けられている。
【0015】
載置ブロック11は、複数のウエハWを水平状態で収容するFOUP100を載置台111上に載置する。即ち、載置ブロック11は、FOUP100を介してウエハWが載置される本例の載置部に相当する。搬入出ブロック12は、FOUP100から払い出されたウエハWの搬送を行う。受け渡しブロック13は、ウエハWの受け渡しを行う。搬入出ブロック12および受け渡しブロック13は、筐体内に収められている。
【0016】
搬入出ブロック12は、ウエハ搬送機構121を有している。ウエハ搬送機構121は、ウエハWを保持する搬送アーム122、および搬送アーム122を前後(X方向)に移動させる機構を有している。またウエハ搬送機構121は、FOUP100の配列方向(Y方向)に延びる水平ガイド123(
図1参照)に沿って移動する機構、垂直方向(Z方向)に設けられた不図示の垂直ガイドに沿って移動する機構、水平面内で搬送アーム122を鉛直軸周り(θ方向)に回転させる機構を有している。このウエハ搬送機構121により、FOUP100と受け渡しブロック13との間でウエハWが搬送される。
【0017】
受け渡しブロック13は、ウエハWを載置可能な受け渡し棚131を有している。
図2に示すように受け渡し棚131は、上段側の第1処理ブロック141aとの間でウエハWの搬入、搬出が行われる第1受け渡し棚131aと、下段側の第2処理ブロック141bとの間でウエハWの搬入、搬出が行われる第2受け渡し棚131bと、に上下に分けて設けられている。第1処理ブロック141aで処理されるウエハWは、一旦、下段側の第2受け渡し棚131bに載置され、前後方向(X方向)に移動自在な搬送アーム133を備え、上下方向(Z方向)に昇降自在に構成された移載機構132(
図1参照)によって第1受け渡し棚131aに移載される。そして、処理を終えたウエハWは、同じく移載機構132によって第1受け渡し棚131aから第2受け渡し棚131bに移載され、ウエハ搬送機構121によってFOUP100へ向けて搬送される。
【0018】
既述のように液処理ブロック14は、第1処理ブロック141aと第2処理ブロック141bとが上下に積層して設けられており、各処理ブロック141a、141bには複数の液処理モジュール2が配置されている。手前側(載置ブロック11)側から見ると、各処理ブロック141a、141bは、搬送ブロック(上段側の第1の搬送ブロック142a、下段側の第2の搬送ブロック142b)を挟んで左右に複数台の液処理モジュール2を並べた構成となっている。
【0019】
本例では、受け渡しブロック13との接続部を基端として、前後方向に伸びる搬送ブロック142a、142bに沿って5台の液処理モジュール2が2列ずつ、上下2段に配置されている。従って、本例の液処理装置1は、合計20台の液処理モジュール2を備えていることになる。
【0020】
各段の搬送ブロック142a、142bにはウエハ搬送機構143が設けられている。これらウエハ搬送機構143は互いにほぼ同じ構成を備えており、例えば
図1に示すようにウエハWを保持し、各液処理モジュール2に向かって前後方向(X方向)にスライド自在に構成された2枚の搬送アーム144を備え、液処理モジュール2の配列方向(Y方向)及び上下方向(Z方向)に移動自在、鉛直軸回り(θ方向)に回転自在に構成されている。
【0021】
処理ブロック141a、141b内に設けられている各液処理モジュール2は、例えばスピン処理によりウエハWの液処理を1枚ずつ行うことができる。
図3の縦断正面図に例示するように液処理モジュール2は、カップ21内に配置されたウエハ保持部22にてほぼ水平に保持されたウエハWを鉛直軸周りに回転させる。そしてノズルアーム24に保持されたノズル231を回転するウエハWの上方に進入させ、各種の薬液(例えばSC1液(アンモニアと過酸化水素水の混合液)や酸性薬液である希フッ酸水溶液(以下、DHF(Diluted HydroFluoric acid))など)やリンス液を予め定められた順に供給することによりウエハの上面側(表面を上面に向けて保持されている場合には表面、裏面を上面に向けている場合には裏面)の液処理が行われる。
【0022】
以上に説明した構成を備えた液処理装置1内において、ウエハWは、載置ブロック11上のFOUP100→搬入出ブロック12→受け渡しブロック13→搬送ブロック142a、搬送ブロック142b→各液処理モジュール2の順に構成される搬送経路内を通って液処理装置1内を搬送され、液処理モジュール2内にて予め設定された液処理が実行される。そして液処理を終えたウエハWは、搬入時の経路とは反対の搬送経路を通って元のFOUP100に戻される。
【0023】
本例の液処理装置1は、単位時間あたりにウエハWを処理する枚数に応じて、上述の搬送経路内にてウエハWの搬送を実行するウエハ搬送機構121、移載機構132、ウエハ搬送機構143(以下、これらをまとめて基板搬送機構とも呼ぶ)の動作速度を変更することができる。以下、これら基板搬送機構の動作速度の変更を行うための構成について説明する。
【0024】
図4のブロック図に電気的構成を示すように、液処理装置1は、制御部4とメモリ3とを有するコンピュータを備えている。制御部4はCPU(Central Processing Unit)41とプログラム格納部42とからなり、プログラム格納部42には当該液処理装置1の作用、即ち、載置ブロック11に載置されたFOUP100からウエハWを取り出し、搬送経路に沿ってウエハWを搬送した後、各液処理モジュール2にて液処理を実行し、処理後のウエハWを搬送経路に沿って搬送し、FOUP100に格納するまでの動作に係わる制御についてのステップ(命令)群が組まれたプログラムが記録されている。このプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリーカードなどの記憶媒体に格納され、そこからコンピュータにインストールされる。なお
図4においては、プログラム格納部42と後述のメモリ3とは別々の記憶媒体として記載しているが、これらを共通の記憶媒体により構成してもよい。
また、制御部4には、液処理装置1の筐体に設けられたタッチパネル式の液晶ディスプレイなどにより構成される運転操作部43が接続されている。
【0025】
これらの動作を実行するためのプログラムに加え、基板搬送機構(ウエハ搬送機構121、移載機構132、ウエハ搬送機構143)の動作速度の変更を行う動作に係るプログラムとして、プログラム格納部42にはFOUP100内のウエハWの搬送先及び搬送順序を時系列に並べた搬送スケジュールを作成するスケジューラプログラム421と、各基板搬送機構の動作速度の選択を行うパラメータ選択プログラム422とが格納されている。
【0026】
ウエハWの搬送スケジュールを作成するためのデータとして、メモリ3には搬送レシピ32、処理レシピ31が記憶されている。搬送レシピ32はFOUP100と液処理モジュール2との間をウエハWが搬送される搬送経路(載置ブロック11−搬入出ブロック12−受け渡しブロック13−搬送ブロック142a、搬送ブロック142b)を示す情報が設定されている。複数のモジュールを備えたブロック13、142a、142bにおいては、各モジュール(受け渡しブロック13の第1受け渡し棚131a、第2受け渡し棚131b、第1処理ブロック141a、第2処理ブロック141bの各液処理モジュール2)を識別して搬送先の選択を行うことができる。なお
図13〜
図15においては、各液処理モジュール2の識別情報として、1番〜20番の番号を付してある。搬送レシピ32は処理レシピ31の選択結果などに応じて複数種類の中から選択することができる。
【0027】
処理レシピ31には、各液処理モジュール2にて実行される処理の内容(液処理、乾燥処理)、や供給される処理液の種類(薬液、リンス液)、ウエハWの回転速度や処理時間、各処理の実行順序などに関する情報が設定されている。処理レシピ31は、FOUP100内のウエハWに設定されている情報に応じて、複数種類の中から選択することができる。
【0028】
一方、工場内を搬送され、各処理装置にて処理が実行されるFOUP100内のウエハWには、予め液処理装置1内にて実行される処理の内容が設定されている。例えば
図5に示すように、FOUP100内のウエハWには、コントロールジョブ(CJ)及びプロセスジョブ(PJ)が設定されている。CJは、各ウエハWに対して設定されるPJのグループ単位であり、本例ではFOUP100毎に設定される。PJは、各ウエハWに対して実施される処理レシピを特定する情報などが設定される。
【0029】
例えば各FOUP100はウエハWを水平姿勢で保持する25段のスロットを上下方向に積み重ねた構成となっているとする。
図5に例示したCJ、PJの設定、確認画面(例えば運転操作部43に表示される)に示すように、CJには、各CJの個別番号であるIDと、当該IDを持つCJが設定されるFOUP100を特定する情報とが含まれる。
【0030】
各CJには、複数のPJを設定することが可能であり、PJには、各PJの個別番号であるIDと、当該IDを持つPJが設定されるウエハWを特定する情報や実施される処理レシピ31を特定する情報とが含まれる。各PJが実施されるウエハWは、FOUP100のスロットの位置によって特定される。
これらのCJやPJに係る情報は、各FOUP100やその内部に格納されたウエハWに対して個別に設定されており、制御部4は、工場内の装置を管理するホストコンピュータとの通信などによりこれらの情報を取得する。
【0031】
スケジューラプログラム421により作動する制御部4は、PJに設定されている情報に基づいて当該ウエハWに実行される処理レシピ31を選択し、この処理レシピ31に設定されている処理を実行可能な液処理モジュール2を選択する。そして、載置ブロック11に載置されたFOUP100と、処理レシピ31に基づいて選択された液処理モジュール2との間でウエハWを搬送する経路を設定する搬送レシピ32を選択する。
【0032】
このようにしてFOUP100内の各ウエハWに対して、ウエハWの搬送順に搬送経路を決定し、これらのウエハWが搬送される順序を時系列に並べた搬送スケジュールを作成する。この搬送スケジュールにより、基板搬送機構(ウエハ搬送機構121、移載機構132、ウエハ搬送機構143)は、時系列に沿って実行される各搬送ステップにおいて、どの搬送元からどの搬送先へ(ウエハ搬送機構121については、載置ブロック11上のFOUP100の各スロットと、第2受け渡し棚131bのスロットとの間、移載機構132については第2受け渡し棚131bのスロットと第1受け渡し棚131aのスロットとの間、搬送ブロック142aのウエハ搬送機構143については、第1受け渡し棚131aのスロットと、第1処理ブロック141aの各液処理モジュール2との間、搬送ブロック142bのウエハ搬送機構143については、第2受け渡し棚131bのスロットと、第2処理ブロック141bの各液処理モジュール2との間)、どのウエハWを搬送するのかを特定することができる。
【0033】
この搬送スケジュールが作成されると、制御部4は、各基板搬送機構がウエハWを搬送する時点において、液処理装置1内の各液処理モジュール2では、どの処理レシピ31に基づく処理が実行されているのかを特定することができる。
基板搬送機構(ウエハ搬送機構121、移載機構132、ウエハ搬送機構143)の動作速度を設定する際、制御部4は、この搬送スケジュールを参照してどの程度の動作速度が適切であるかの判断を行う。
【0034】
メモリ3には、基板搬送機構の動作設定を行うためのデータである搬送パラメータ33が記憶されている。搬送パラメータ33はウエハ搬送機構121、移載機構132、ウエハ搬送機構143の各々に対して用意されており、
図6に示すように複数種類のスループットに対応させて当該スループット用の設定値が記憶されている。
図6に示すように、本例においては、スループットが100wphの場合を最小値として、50wph刻みでスループットを増加させた複数セットの搬送パラメータ33が記憶されている。
【0035】
既述のように、本例においては各基板搬送機構(ウエハ搬送機構121、移載機構132、ウエハ搬送機構143)を基準として、搬送アーム122、133、144のスライド方向をX方向、
図1の平面図で見て、このスライド方向と交差する基板搬送機構の移動方向をY方向、上下方向をZ方向、鉛直軸周りの回転方向をθ方向として動作速度の制御が行われる(但し、移載機構132には、Y方向、θ方向に移動する機能は設けられていない)。
図7に示すように本例の搬送パラメータ33は、これらの各方向へ移動する動作速度(v
X、v
Y、v
Z、v
θ)、及びこれらの動作速度に達するまでの各方向の加速度(a
X、a
Y、a
Z、a
θ)を選択して設定することができる。なお、搬送パラメータ33には、加速度の設定を行わず、動作速度のみを設定してもよい。
【0036】
図8に示すように、各基板搬送機構には、移動可能な方向に応じて、搬送パラメータ33を用いた動作速度の変更が行われる。例えば
図8に示した例では、搬入出ブロック12のウエハ搬送機構121及び搬送ブロック142a、142bのウエハ搬送機構143は、X、Y、Z、θ方向のいずれにも移動することが可能であるが、これらの方向の内、スループットに対する影響の大きなX、Y方向の動作速度、加速度の設定が搬送パラメータ33を用いて変更される。一方、Z、θ方向の動作速度及び加速度は、搬送パラメータ33を用いた変更は行われず、例えば固定値が設定されている。また移載機構132は、X、Z方向にのみ移動が可能であり、これらの全方向についての動作速度、加速度の設定が搬送パラメータ33を用いて変更される。
これら動作速度、加速度が設定される方向は、必要に応じて適宜、変更してよい。
【0037】
これら動作速度及び加速度の設定が変更されることにより、搬送スケジュールの各搬送動作において、基板搬送機構は、
図9に示すように動作速度v
1、及びこの動作速度v
1に達するまでの加速度a
1が、各々動作速度v
2、加速度a
2に変更される。そして、搬送スケジュールにて特定される搬送元と搬送先との間の距離(
図9の各台形の面積)が等しくなるように搬送時間の調節が行われる。
これら動作速度や加速度については、予め動作確認が行われており、各基板搬送機構が搬送不良を起こさずにウエハWを搬送できることが担保された値を搬送パラメータ33として設定している。そして、これら動作速度や加速度は、液処理ブロック14にて、各々所定の処理枚数のウエハWの処理を実現可能なように設定される設定値である。従って、動作速度や加速度は、液処理ブロック14における処理枚数に応じて設定されているといえる。
【0038】
このように、複数の搬送パラメータ33の中から各基板搬送機構の動作速度を設定するにあたり、パラメータ選択プログラム422に基づいて作動する制御部4は、液処理装置1内で実行されている液処理に基づいて液処理装置1のスループットを算出し、このスループットに基づいて適切な搬送パラメータ33を選択する。パラメータ選択プログラム422に基づき動作する制御部4は、本例のパラメータ選択部に相当する。以下、スループットの算出方法の例を説明する。
【0039】
既述のように、搬送スケジュールが作成されると、各基板搬送機構がウエハWを搬送する搬送ステップにおいて、液処理モジュール2ではどの処理レシピ31を選択して処理が行われているのかを把握することができる。
図10に模式的に示すように処理レシピ31には薬液処理P1やリンス処理P2、乾燥処理P3にて使用される処理液の種類や処理の実行順、処理時間などの情報が設定されている。そこで、制御部4は、処理レシピ31に記憶されている情報に基づいて液処理装置1におけるウエハWのスループットを算出し、この算出結果に基づいて
図6に示した搬送パラメータリストの中から、液処理装置1のスループットに制約を加えない搬送パラメータ33を選択する。
【0040】
例えば
図10に示されているようにある処理レシピ31で実施される薬液処理P1、リンス処理P2、乾燥処理P3の処理時間が各々t
1、t
2、t
3であったとする(複数種類の薬液を切り替えて供給する場合は、t
1〜t
3は各薬液処理、リンス処理、乾燥処理の各々トータルの時間を示している)。このとき、液処理モジュール2とウエハ搬送機構143との間のウエハWの受け渡し時間を除いた正味の液処理時間Tは、これらの処理時間の合計である。
【0041】
また、同じ液処理を並行して実行可能な液処理モジュール2の数が増加するほど、液処理装置1のスループットは増加することから、前記液処理時間Tを液処理モジュール2の数で除した値が液処理装置1全体で1枚のウエハWを処理するのに必要な液処理時間となる。従って、液処理装置1のスループットは、3600秒(1時間)を、液処理装置1が1枚のウエハWを処理する時間(液処理時間T/液処理モジュール2の数)で除した値として算出できる(
図10参照)。
【0042】
制御部4は、搬送スケジュールの作成結果から、各基板搬送機構における液処理装置1のスループットを算出し、このスループットと搬送パラメータ33に設定されているスループットとを比較する。そして、液処理装置1のスループット以上のスループットが設定された搬送パラメータ33群の中から、スループットの値が最小の搬送パラメータ33を選択する。以下、説明の便宜上、搬送パラメータ33に設定されているスループットを、ウエハWの処理可能枚数と呼び、処理レシピ31に基づいて算出されるスループットを、ウエハWの処理実行枚数と呼んで、これらのスループットを区別する。
【0043】
さらに
図1〜
図3を用いて説明したように、本例の液処理装置1は、ウエハWの搬送経路が途中で第1処理ブロック141aと第2処理ブロック141bとに向かって分岐している。そして基板搬送機構(ウエハ搬送機構121、移載機構132、ウエハ搬送機構143)は、分岐後の分岐路(搬送ブロック142a、搬送ブロック142b)内でウエハWを搬送するウエハ搬送機構143(独立基板搬送機構に相当する)と、これらの分岐路を繋ぐ共通の搬送経路(FOUP100−搬入出ブロック12―受け渡しブロック13)にてウエハWを搬送するウエハ搬送機構121、移載機構132(共通基板搬送機構に相当する)と、に分けることができる。
【0044】
制御部4は、これら独立基板搬送機構(ウエハ搬送機構143)と共通基板搬送機構(ウエハ搬送機構121、移載機構132)とに対して別々に処理実行枚数の算出の基準となる液処理モジュール2の範囲を設定して搬送パラメータ33の選択を行うことができる。この機能については、
図13〜
図15の動作説明にて詳述する。
【0045】
本例においては、上述の基準で選択される搬送パラメータ33に対応付けて設定されている処理可能枚数(例えば
図6の「100wph」や「250wph」を示す情報)が、各基板搬送機構におけるウエハWの搬送ステップを制御する情報として搬送元、搬送先及び搬送されるウエハWを特定する情報と共に搬送スケジュール中に設定される。
【0046】
上述の構成を備えた液処理装置1において、基板搬送機構の動作速度を変更する動作について、
図11〜
図15を参照しながら説明する。
初めに処理対象のウエハWを格納したFOUP100が載置ブロック11に載置されると(
図11のスタート)、各ウエハWに設定されているPJ、及びPJにて特定される処理レシピ31に基づいて、ウエハWの搬送順(例えばFOUP100の最上段のスロットから下段側へ向けた順番)に、ウエハWの搬送スケジュールを作成する(ステップS101)。
【0047】
搬送スケジュールが作成されたら、基板搬送機構(ウエハ搬送機構121、移載機構132、ウエハ搬送機構143)が各ウエハWを搬送する期間中、当該基板搬送機構が担当する液処理モジュール2における最大の処理実行枚数を算出する(ステップS102)。ここで、「基板搬送機構が担当する液処理モジュール2」には、共通基板搬送機構である搬入出ブロック12のウエハ搬送機構121や、受け渡しブロック13の移載機構132に対しては、第1処理ブロック141a、第2処理ブロック141bの合計20台の液処理モジュール2が選択される。また、搬送ブロック142a、搬送ブロック142bに各々設けられた独立基板搬送機構であるウエハ搬送機構143に対しては、搬送ブロック142aのウエハ搬送機構143は、第1処理ブロック141aの10台の液処理モジュール2が担当範囲であり、搬送ブロック142bのウエハ搬送機構143は、第2処理ブロック141bの10台の液処理モジュール2が担当範囲として選択される。
【0048】
また、「最大の処理実行枚数」とは、担当範囲の液処理モジュール2にて処理実行枚数(既述の液処理時間T)が異なる複数種類の液処理が並行して実行されている(混在している)とき、これら担当範囲の全ての液処理モジュール2にて処理実行枚数が大きい(液処理時間Tが短い)液処理を行ったとした場合に算出される処理実行枚数である。
【0049】
最大の処理実行枚数が算出されたら、搬送パラメータリスト(
図6)から、当該処理実行枚数以上の搬送パラメータ33群中の最小の処理可能枚数と対応づけられた搬送パラメータ33を選択する(ステップS103)。そして、各基板搬送機構のすべてのウエハWの搬送ステップについて、この最小の処理可能枚数に関する情報を、他の情報(基板搬送機構がウエハWを搬送する搬送元、搬送先、及び搬送されるウエハWを特定する情報)と共に搬送スケジュールに設定し(ステップS104)、搬送パラメータの選択動作を終える(エンド)。
【0050】
搬送スケジュールの作成、及び搬送パラメータ33の選択を終え、実際に各基板搬送機構がウエハWを搬送するタイミングとなったら(
図12のスタート)、搬送スケジュールに設定されている、搬送対象のウエハWに関する搬送元、搬送先、処理可能枚数の情報を読み出す(ステップS201)。そして、読み出した処理可能枚数に基づいて搬送パラメータ33を選択し、搬送制御部である搬送機構コントローラ151〜153が各基板搬送機構の動作速度や加速度を制御するパラメータ値の設定を行う(ステップS202)。このように設定された搬送パラメータ33に基づき搬送機構コントローラ151〜153が基板搬送機構(ウエハ搬送機構121、移載機構132、ウエハ搬送機構143)を制御し、設定された動作速度にてウエハWが所定の搬送元から搬送先へと搬送される。搬送機構コントローラ151〜153は、本例の搬送制御部に相当する。
【0051】
こうして基板搬送機構の動作速度の選択が行われた液処理装置1の作用について
図13、
図14の模式図を参照して説明する。説明を簡単にするため、これらの図では下段側の第2処理ブロック141bに設けられている1番〜10番までの10台の液処理モジュール2のみを用いて液処理を行う場合について説明する。
【0052】
図13において載置ブロック11上には、処理実行枚数が140wph(FOUP100を斜線のハッチで示している)、及び処理実行枚数が220wph(FOUP100をグレーのハッチで示している)のFOUP100が載置されているとする。そして、液処理装置1内においては、処理実行枚数が140wphのFOUP100からウエハWが取り出され、各液処理モジュール2にて処理されている(140wphのウエハWを処理している液処理モジュール2を斜線のハッチで示している)。
【0053】
このとき、基板搬送機構である搬入出ブロック12のウエハ搬送機構121、受け渡しブロック13の移載機構132、搬送ブロック142bのウエハ搬送機構143は、
図6に示した搬送パラメータリスト中の搬送パラメータ33の中から、処理実行枚数以上の搬送パラメータ33群の内、処理可能枚数の値が最も小さな150wphの搬送パラメータ33を選択して動作速度が設定されている(各基板搬送機構を斜線のハッチで示してある)。
【0054】
これにより、基板搬送機構は、最大スループットを実現する動作速度よりも遅く、且つ、液処理モジュール2における処理速度(処理実行枚数に対応する)に制約を加えない速度で作動する。このため、これらの基板搬送機構を常に最大速度で稼働させる場合に比べて、基板搬送機構の酷使を抑制し、部品の損耗を低減することができる。また、予め設定された搬送パラメータ33中から、適切なものを選択することにより、液処理装置1の設計や製造段階における搬送位置の精度確認や搬送位置ずれの補正が可能となり、動作速度の変更後も正確な位置にウエハWを搬送することができる。
【0055】
このようにしてウエハWの処理を実行し、処理実行枚数が140wphのFOUP100から全てのウエハWが搬出され液処理装置1内に搬入される。次いで、処理実行枚数が220wphのFOUP100からウエハWを取り出す。このとき、当該ウエハWに係る搬送スケジュールには、液処理装置1内を搬送されるウエハWの処理実行枚数(140wphと220wph)の内、最大の処理実行枚数である220wph以上の搬送パラメータ33の選択が行われている。即ち、
図6に示す処理可能枚数が220wph以上の搬送パラメータ33群の内、処理可能枚数の値が最も小さな250wphの搬送パラメータ33を選択する設定がされている。
【0056】
この結果、ウエハ搬送機構121は処理可能枚数250wphに対応して動作速度が変更され、この動作速度に基づいてウエハWを搬送する。そして、受け渡しブロック13の移載機構132や搬送ブロック142bのウエハ搬送機構143に対しても順次、ウエハWの搬送タイミングにて処理可能枚数250wphに対応した動作速度の変更が行われる(
図14中の各基板搬送機構をグレーのハッチで示している)。この結果、第2処理ブロック141b内の液処理モジュール2にて処理実行枚数が140wphのウエハWが処理されている期間中であっても、各基板搬送機構の動作速度が順次、切り替えられ、220wphのウエハWの処理に制限を加えることなく、液処理モジュール2へとウエハWを搬送することができる。
【0057】
次いで、
図15を参照しながら共通基板搬送機構(搬入出ブロック12のウエハ搬送機構121、受け渡しブロック13の移載機構132)と独立基板搬送機構(搬送ブロック142a、搬送ブロック142bのウエハ搬送機構143)にて異なる搬送パラメータ33を設定する場合について説明する。説明を簡単にするため、
図15に示す下段側の第2処理ブロック141bに設けられた1番〜10番の液処理モジュール2にて処理実行枚数が140wphのウエハWを処理し、上段側の第1処理ブロック141aに設けられた11番〜20番の液処理モジュール2にて、処理実行枚数が220wphのウエハWを処理するものとする。各FOUP100、液処理モジュール2や基板搬送機構に付されたハッチは、各々
図13にて説明したものと同様の処理実行枚数、処理可能枚数を示している。
【0058】
この例において、共通基板搬送機構である搬入出ブロック12のウエハ搬送機構121、受け渡しブロック13の移載機構132は、処理実行枚数が140wph及び220wphの双方のウエハWを搬送するところ、これらの内、最大の処理実行枚数220wphに基づいて、処理可能枚数250wphの搬送パラメータ33が選択され、動作速度が設定されている。
【0059】
一方、独立基板搬送機構である搬送ブロック142bのウエハ搬送機構143は、第2処理ブロック141bの液処理モジュール2にて処理されているウエハWの処理実行枚数140wphに基づき、処理可能枚数150wphに応じた搬送パラメータ33が選択され動作速度が設定されている。また、搬送ブロック142aのウエハ搬送機構143は、第1処理ブロック141aの液処理モジュール2にて処理されているウエハWの処理実行枚数220wphに基づき、処理可能枚数250wphに応じた搬送パラメータ33が選択され動作速度が設定されている。
【0060】
分岐路に設けられた独立基板搬送機構については、各ウエハ搬送機構143がウエハWの搬送を担当する液処理モジュール2の範囲を限定して(他の分岐路に設けられている液処理モジュール2を除外して)処理実行枚数を算出することにより、過大な動作速度に設定されることを避けることができる。一方、分岐路を繋ぐ共通の搬送経路に設けられた共通基板搬送機構については、当該共通の搬送経路を通る全ての液処理モジュール2を担当範囲として処理実行枚数を算出することにより、液処理装置1全体のスループットの低下を避けることができる。
【0061】
本実施の形態に係る液処理装置1によれば以下の効果がある。基板搬送機構(ウエハ搬送機構121、移載機構132、ウエハ搬送機構143)の動作速度を制御するための搬送パラメータ33を複数種類用意し、ウエハWに対して実行される処理の時間に応じて、液処理装置1のスループットに制約を加えず、且つ、動作速度が最も小さくなる搬送パラメータ33を選択して基板搬送機構を制御するので、基板搬送機構に加わる負荷を必要最低限に抑えることができる。
【0062】
ここで、処理実行枚数は、
図10に説明した例に基づいて算出する場合に限定されない。例えば、同図に示した液処理時間に、液処理モジュール2に対するウエハWの搬入出時間を考慮して処理実行枚数を算出してもよい。また、例えば、CJ、PJなどに予め処理実行枚数を指定しておき、これらの情報を外部から取得してもよい。
さらに、搬送パラメータ33の選択も、予め作成した搬送スケジュールに設定しておく場合に限られない。例えば、ウエハWの搬送を開始する際に液処理装置1内の液処理モジュール2の稼働状態を確認して処理実行枚数の算出を行い、処理実行枚数に応じた搬送パラメータ33を選択して動作速度の設定を行ってもよい。
【0063】
この他、搬送パラメータ33に基板搬送機構の動作速度の設定値と対応させて設定される数値は、ウエハWのスループットを直接示す値に限られるものではない。例えば、
図10に示したスループットの算出式中の液処理時間Tと処理モジュール2の数との組み合わせのように、スループットを間接的に示す値と動作速度の設定値とを対応させて搬送パラメータ33を構成してもよい。
【0064】
また本発明を適用可能な基板処理装置は、
図1〜
図15を用いて説明した液処理装置1に限定されるものでもない。例えば、
図16、
図17に示す塗布、現像装置5にも本発明は適用することができる。本例の塗布、現像装置5は、FOUP100と塗布、現像装置5との間でウエハWの搬入出を行うためのウエハ搬送機構を備えたキャリアブロックD1と、反射防止膜を形成する処理を行うBCT層と、ウエハWにレジスト膜を形成する処理を行うCOT層と、露光後のウエハWにレジストパターンを形成するための処理を行うDEV層とが2段ずつ積層された処理ブロックD2と、これら各処理層の間でウエハWの搬送を行うと共に、後段の露光装置D4との間でウエハWの受け渡しを行うインターフェイスブロックD3と、を備えている。
【0065】
処理ブロックD2、インターフェイスブロックD3内には、上下方向に積層された受け渡し棚状のタワーT1、T2が設けられ、移載機構により上下方向にウエハWを搬送して、各処理層間でのウエハWの搬送が行われる。また、インターフェイスブロックD3には、露光装置D4との受け渡し用などに他のタワーが設けられているが、ここでは図示、説明を省略する。さらに、上下に積層された各処理層内には、ウエハWに各反射防止膜の原料やレジスト、現像液などの処理液を塗布する液処理モジュールや、処理液が塗布されたウエハWに熱処理を行う加熱処理モジュールなどが設けられ、各層内でウエハWを搬送するためのウエハ搬送機構が設けられている。
【0066】
この塗布、現像装置5に搬入されたウエハWは、キャリアブロックD1→タワーT1→BCT層→タワーT1→COT層→インターフェイスブロックD3(タワーT2)→露光装置D4→インターフェイスブロックD3(タワーT2)→DEV層→タワーT1→キャリアブロックD1の順に搬送されながら、各種の処理が実行される。
【0067】
この場合において、ウエハWの取り出されるFOUP100が切り替わったことにより、例えば処理実行枚数が220wphから280wphに切り替わったとする。そして、
図17に示すように、BCT層、COT層では処理実行枚数280wphのウエハWが処理される一方、DEV層では、処理実行枚数が220wphのウエハWをまだ処理しているとする。この場合においても、互いに独立して処理が行われるBCT層、COT層、DEV層に設けられたウエハ搬送機構は、独立基板搬送機構として、各々、処理を実行しているウエハWの処理実行枚数に対応して処理可能枚数の搬送パラメータ33(例えばBCT層、COT層については、250wph、DEV層については300wph)の選択、ウエハ搬送機構の動作速度の設定が行われる。
【0068】
一方、これら異なる処理層に共通してウエハWの搬送、タワーT1、T2内の移送を行うウエハ搬送機構や移載機構は、共通基板搬送機構として、最大の処理実行枚数280wphに対応した処理可能枚数の搬送パラメータ33が選択され、動作速度が設定される。
【0069】
さらに本発明を適用可能な基板処理装置は、ウエハWに対してエッチングを行うエッチング装置や、CVD(Chemical Vapor Deposition)などによる成膜を行う成膜装置など、各種の装置に適用してもよいことは勿論である。また基板の種類も半導体ウエハWに限定されるものではなく、フラットパネルディスプレイ用のガラス基板などであってもよい。