特許第5987807号(P5987807)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5987807薬液容器交換装置、容器載置モジュール及び薬液容器の交換方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5987807
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】薬液容器交換装置、容器載置モジュール及び薬液容器の交換方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20160825BHJP
   G03F 7/30 20060101ALI20160825BHJP
   G03F 7/16 20060101ALI20160825BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   H01L21/30 562
   G03F7/30 501
   G03F7/16 501
   B05C11/10
【請求項の数】14
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2013-211066(P2013-211066)
(22)【出願日】2013年10月8日
(65)【公開番号】特開2015-76472(P2015-76472A)
(43)【公開日】2015年4月20日
【審査請求日】2015年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091513
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100162008
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 宣明
(72)【発明者】
【氏名】中島 常長
【審査官】 佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−031000(JP,A)
【文献】 特開2003−266006(JP,A)
【文献】 特開2010−171258(JP,A)
【文献】 特開2003−071367(JP,A)
【文献】 特開2001−118782(JP,A)
【文献】 特開2006−218391(JP,A)
【文献】 特開昭63−252538(JP,A)
【文献】 特開2004−087873(JP,A)
【文献】 特開2000−153213(JP,A)
【文献】 実開平05−082896(JP,U)
【文献】 特開平04−043900(JP,A)
【文献】 特開2011−204944(JP,A)
【文献】 特開2010−192855(JP,A)
【文献】 特開2001−046945(JP,A)
【文献】 特開2008−066520(JP,A)
【文献】 特開平07−080388(JP,A)
【文献】 特開2015−076473(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 5/00 −21/00 、
G03C 3/00 、
G03F 7/00 − 7/18 、 7/26 − 7/42 、
H01L21/027、21/30 、21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々薬液供給路の基端側が装着された薬液容器が配置される複数の配置位置が設けられた容器配置部と、
前記容器配置部の各配置位置に配置されている薬液容器に対して、前記薬液供給路の基端側を着脱する着脱機構と、
前記容器配置部とは異なる位置に設けられ、基板に対して液処理を行うための薬液が貯留されている新たな薬液容器を搬入し、使用済みの薬液容器を搬出するための搬入出ポートと、
前記容器配置部の各配置位置から使用済みの薬液容器を前記搬入出ポートに搬送し、搬入出ポートから新たな薬液容器を前記容器配置部の各配置位置に搬送する共通の容器搬送機構と、を備え
前記容器配置部、搬入出ポート、及び容器搬送機構による薬液容器の搬送領域は、外部雰囲気から区画された空間に設けられていることを特徴とする薬液容器交換装置。
【請求項2】
前記薬液供給路が取り外された後の使用済みの薬液容器の薬液取り出し口を蓋部により閉じ、新たな薬液容器の蓋部を取り外して薬液取り出し口を開く蓋部開閉機構を備えたことを特徴とする請求項1に記載の薬液容器交換装置。
【請求項3】
前記蓋部開閉機構は、容器配置部に配置された薬液容器に対して蓋部の開閉を行うように設けられていることを特徴とする請求項2に記載の薬液容器交換装置。
【請求項4】
前記外部雰囲気から区画された空間に清浄気体を供給する気体供給部を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の薬液容器交換装置。
【請求項5】
前記外部雰囲気から区画された空間に不活性ガスを供給するための不活性ガス供給部を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一つに記載の薬液容器交換装置。
【請求項6】
前記容器配置部は、前記複数の配置位置を横方向に並べ棚段が上下方向に複数段、積み重ねられた容器棚として構成されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか一つに記載の薬液容器交換装置。
【請求項7】
前記容器棚は、基板が複数枚収納されたキャリアが配置されるキャリアブロックと、前記キャリアブロックに対して横方向に並べて設けられ、当該キャリアブロックに配置されたキャリアから取り出された基板に対して前記薬液供給路を介して送られた薬液を供給して液処理を行う液処理モジュールを備えた処理ブロックとの間に設けられていることを特徴とする請求項6に記載の薬液容器交換装置。
【請求項8】
基板が複数枚収納されたキャリアが配置される前方側のキャリアブロックと、前記キャリアブロックの後方側に横方向に並べて設けられ、当該キャリアブロックに配置されたキャリアから取り出された基板に対して前記薬液供給路を介して送られた薬液を供給して液処理を行う液処理モジュールを備えた処理ブロックと、に対し、
前記容器棚は、前記キャリアブロックの前方側であって前記キャリアが配置される位置の上方側、または前方側から見て前記キャリアブロックの両脇に設けられていることを特徴とする請求項6に記載の薬液容器交換装置。
【請求項9】
前記容器配置部は、前記複数の配置位置を横方向に並べて構成され、前記容器配置部と、前記薬液供給路を介して送られた薬液を基板に供給して液処理を行う液処理モジュールを備えた処理ブロックとが積み重ねて配置されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか一つに記載の薬液容器交換装置。
【請求項10】
前記容器配置部には、予め設定された前記複数の配置位置に種類の異なる薬液を貯溜した薬液容器が対応付けて配置され、
前記搬入出ポートに搬入された薬液容器に貯留されている薬液の種類を識別する識別情報を取得する取得部と、前記容器搬送機構を制御する搬送制御部と、を備え、
前記搬送制御部は、前記取得部にて取得された識別情報が示す薬液の種類が、前記搬入出ポートに搬入された薬液容器の搬送先の配置位置に対応付けられている薬液の種類と一致している場合に、当該配置位置へ薬液容器を搬送することを特徴とする請求項1ないしのいずれか一つに記載の薬液容器交換装置。
【請求項11】
前記取得部は、前記識別情報であるバーコードを読み取るためのバーコードリーダであり、前記バーコードリーダは、前記搬入出ポートに搬入された薬液容器に対応付けられたバーコードを読み取る位置に配置されていることを特徴とする請求項10に記載の薬液容器交換装置。
【請求項12】
前記薬液供給路は、基板にレジストを塗布するレジスト塗布モジュールと、露光後の基板に対して現像液を供給する現像モジュールとに接続され、前記複数の容器載置部には、レジスト液または現像液を貯溜した薬液容器が載置されることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか一つに記載の薬液容器交換装置。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれか一つに記載の薬液容器交換装置に設けられ、前記薬液容器の配置位置を構成する容器載置モジュールであって、
前記容器載置モジュールに載置され、基板に対して液処理を行うための薬液が貯留されている前記薬液容器に対して、前記薬液供給路の基端側を着脱する着脱機構と、
前記容器載置モジュール内に清浄気体を供給する気体供給部と、を備えたことを特徴とする容器載置モジュール。
【請求項14】
請求項1ないし12のいずれか一つに記載の薬液容器交換装置を用い、基板に対して液処理をおこなうための薬液を供給する薬液容器の交換方法であって、
使用済みの薬液容器に装着された薬液供給路の基端側を取り外す工程と、
前記薬液供給路の基端側を新たな薬液容器に取り付ける工程と、を含み、
前記取り外し工程と前記取り付け工程とを前記外部雰囲気から区画された空間にて行うことを特徴とする薬液容器の交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液を用いて基板の処理を行う基板処理装置にて、この薬液を貯溜した薬液容器を交換する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程の一つであるフォトレジスト工程においては、基板である半導体ウエハ(以下、ウエハという)の表面にレジストを塗布し、このレジストを所定のパターンで露光した後に現像してレジストパターンを形成している。この処理は、レジストの塗布、現像を行う塗布、現像装置(基板処理装置)に、露光装置を接続したシステムを用いて行われる。
【0003】
塗布、現像装置は、液処理モジュールを用いてウエハに各種の薬液を順次供給することによってレジスト塗布処理や現像処理など、フォトレジスト工程に係る各種の処理を実行する。このため、塗布、現像装置には、各種の薬液を貯溜した薬液容器の収容領域が設けられ、ここから各液処理モジュールへと薬液が供給される。
【0004】
多数枚のウエハに対して処理が行われ、薬液容器内の薬液が空になった場合には、使用済みの薬液容器は、例えばオペレータによって収容領域から取り出され、新たな薬液容器と交換される。ところが、塗布、現像装置で用いられる薬液の中には、空気との接触などにより性状が変質するものも存在し、前記収容領域を開放して薬液容器を交換する作業は、ウエハ間で均質な処理を実行する際の不安定要因ともなる。また、薬液容器の交換時に、外部のパーティクルが当該容器内に進入すると、パーティクルの混入した薬液がウエハに供給され、ウエハを汚染してしまうおそれもある。
【0005】
ここで特許文献1には、液体取り出しパイプが設けられたキャップに対して昇降自在に構成されたテーブル上に、レジスト液などを貯留する容器を載置して、このテーブルを昇降させることによって容器に対して液体取り出しパイプの挿入、抜出を行う液体の連続供給装置が記載されている。また、特許文献2には、レジスト塗布処理や現像処理を行う基板処理装置にて、処理液の収容容器にその内容物の情報を記憶したICタグシールを添付しておき、複数の収容容器を設置可能な設置区画に収容容器が設置された後、ICタグシールから読み取った情報と、各設置区画に配置されるべき収容容器の内容物についての情報とを照合することにより、誤った処理液を収容した収容容器が設置されることを抑制する技術が記載されている。
しかしながらこれらの特許文献のいずれにおいてもテーブルや設置区画に配置されている使用済みの容器と新しい容器とを交換する際に、液の変質やパーティクルの混入を抑制する技術は言及されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平5−82896号公報:段落0006〜0007、図1
【特許文献2】特開2010−171258号公報:請求項1、段落0082〜0083、0135〜0136、図6
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は、清浄な雰囲気下で薬液容器の交換をすることが可能な薬液容器交換装置、容器載置モジュール及び薬液容器の交換方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の薬液容器交換装置は、各々薬液供給路の基端側が装着された薬液容器が配置される複数の配置位置が設けられた容器配置部と、
前記容器配置部の各配置位置に配置されている薬液容器に対して、前記薬液供給路の基端側を着脱する着脱機構と、
前記容器配置部とは異なる位置に設けられ、基板に対して液処理を行うための薬液が貯留されている新たな薬液容器を搬入し、使用済みの薬液容器を搬出するための搬入出ポートと、
前記容器配置部の各配置位置から使用済みの薬液容器を前記搬入出ポートに搬送し、搬入出ポートから新たな薬液容器を前記容器配置部の各配置位置に搬送する共通の容器搬送機構と、を備え
前記容器配置部、搬入出ポート、及び容器搬送機構による薬液容器の搬送領域は、外部雰囲気から区画された空間に設けられていることを特徴とする。
【0009】
前記薬液容器交換装置は、以下の構成を備えていてもよい。
(a)前記薬液供給路が取り外された後の使用済みの薬液容器の薬液取り出し口を蓋部により閉じ、新たな薬液容器の蓋部を取り外して薬液取り出し口を開く蓋部開閉機構を備えたこと。この蓋部開閉機構は、容器配置部に配置された薬液容器に対して蓋部の開閉を行うように設けられていること。
(b)前記外部雰囲気から区画された空間に清浄気体を供給する気体供給部を備えたこと。また、前記外部雰囲気から区画された空間に不活性ガスを供給するための不活性ガス供給部を備えたこと。
(c)前記容器配置部は、前記複数の配置位置を横方向に並べ棚段が上下方向に複数段、積み重ねられた容器棚として構成されていること。このとき、前記容器棚は、基板が複数枚収納されたキャリアが配置されるキャリアブロックと、前記キャリアブロックに対して横方向に並べて設けられ、当該キャリアブロックに配置されたキャリアから取り出された基板に対して前記薬液供給路を介して送られた薬液を供給して液処理を行う液処理モジュールを備えた処理ブロックとの間に設けられていること。または、基板が複数枚収納されたキャリアが配置される前方側のキャリアブロックと、前記キャリアブロックの後方側に横方向に並べて設けられ、当該キャリアブロックに配置されたキャリアから取り出された基板に対して前記薬液供給路を介して送られた薬液を供給して液処理を行う液処理モジュールを備えた処理ブロックと、に対し、前記容器棚は、前記キャリアブロックの前方側であって前記キャリアが配置される位置の上方側、または前方側から見て前記キャリアブロックの両脇に設けられていること。
(d)前記容器配置部は、前記複数の配置位置を横方向に並べて構成され、前記容器配置部と、前記薬液供給路を介して送られた薬液を基板に供給して液処理を行う液処理モジュールを備えた処理ブロックとが積み重ねて配置されていること。
)前記容器配置部には、予め設定された前記複数の配置位置に種類の異なる薬液を貯溜した薬液容器が対応付けて配置され、前記搬入出ポートに搬入された薬液容器に貯留されている薬液の種類を識別する識別情報を取得する取得部と、前記容器搬送機構を制御する搬送制御部と、を備え、前記搬送制御部は、前記取得部にて取得された識別情報が示す薬液の種類が、前記搬入出ポートに搬入された薬液容器の搬送先の配置位置に対応付けられている薬液の種類と一致している場合に、当該配置位置へ薬液容器を搬送すること。このとき、前記取得部は、前記識別情報であるバーコードを読み取るためのバーコードリーダであり、前記バーコードリーダは、前記搬入出ポートに搬入された薬液容器に対応付けられたバーコードを読み取る位置に配置されていること。
)前記薬液供給路は、基板にレジストを塗布するレジスト塗布モジュールと、露光後の基板に対して現像液を供給する現像モジュールとに接続され、前記複数の容器載置部には、レジスト液または現像液を貯溜した薬液容器が載置されること。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、薬液容器が配置される容器配置部を設け、容器搬送機構を用いて容器配置部における薬液容器の交換を行い、薬液供給路の着脱動作を着脱機構により実行するので、外部雰囲気と区画された領域内に容器配置部を設け、人手を介さずに薬液容器の交換をすることが可能となる。この結果、パーティクルなどの汚染物質が薬液容器に混入することを避けると共に、容器配置部に不活性ガスを供給して薬液の変質などを低減することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】発明の実施の形態に係る塗布、現像装置の外観斜視図である。
図2】前記塗布、現像装置の横断平面図である。
図3】前記塗布、現像装置の縦断側面図である。
図4】前記塗布、現像装置に設けられている薬液ブロックの縦断正面図である。
図5】前記薬液ブロックに設けられている容器搬送機構の第1の説明図である。
図6】前記容器搬送機構の第2の説明図である。
図7】前記薬液ブロックに設けられている容器配載置モジュールの第1の説明図である。
図8】前記容器載置モジュールの第2の説明図である。
図9】薬液ノズルへの薬液供給路を示す説明図である。
図10】前記薬液ブロックにて薬液容器を交換する動作に係る流れ図である。
図11】前記容器搬送機構の他の例を示す平面図である。
図12】前記容器搬送機構のさらに他の例を示す正面図である。
図13】塗布、現像装置にて薬液ブロックを配置可能な位置を示す模式図である。
図14】前記薬液ブロックの第2の配置例を示す外観斜視図である。
図15】前記薬液ブロックの第3の配置例を示す外観斜視図である。
図16】前記薬液ブロックの第4の配置例を示す外観斜視図である。
図17】第2の実施の形態に係る塗布、現像装置の外観斜視図である。
図18】前記第2の塗布、現像装置の横断平面図である。
図19】前記第2の塗布、現像装置の縦断側面図である。
図20】前記第2の塗布、現像装置の薬液ブロックに設けられている容器搬送機構の構成例を示す側面図である。
図21】容器搬送機構のアーム及びトレーの他の構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明が適用される塗布、現像装置1(基板処理装置)の構成について図1図9を参照しながら説明する。図1に示すように、本例の塗布、現像装置1は、キャリアブロックD1と、薬液ブロックD2と、処理ブロックD3と、インターフェイスブロックD4と、が直線状に接続されている。インターフェイスブロックD4にはさらに露光装置D5が接続されている。以下、ブロックD1〜D4の配列方向を前後方向、キャリアブロックD1が配置されている一端側を手前側として説明を行う。
【0013】
キャリアブロックD1は、同一ロットのウエハWを複数枚収容したFOUP(Front Opening Unified Pod)などからなるキャリアCと、塗布、現像装置1との間でウエハWを搬入出する役割を有する。図2に示すようにキャリアブロックD1は、キャリアCの載置台21と、キャリアCの蓋の開閉を行う開閉部22と、キャリアCからウエハWを取り出して搬送するための搬送アーム23とを備えている。
【0014】
図1図3に示すように、処理ブロックD3は、ウエハWに液処理を行う第1〜第6の単位ブロックB1〜B6が下から順に積層されている。説明の便宜上ウエハWに下層側の反射防止膜を形成する処理を「BCT」、ウエハWにレジスト膜を形成する処理を「COT」、露光後のウエハWにレジストパターンを形成するための処理を「DEV」と夫々表現する場合がある。本例では、下からBCT層B1、B2、COT層B3、B4、DEV層B5、B6が2層ずつ積み上げられている。同種の単位ブロックにおいては、互いに並行してウエハWの搬送及び処理が行われる。
【0015】
これらの単位ブロックを代表して、図2にはCOT層B3、B4を例示してある。COT層B3、B4には、キャリアブロックD1からインターフェイスブロックD4へ向かう方向に伸びるように搬送領域31が設けられ、搬送領域31の一方側(例えば手前側から見て左手)の側方に複数の棚ユニットUが前後方向に並んで配置されている。また、前記搬送領域31の他方側(例えば手前側から見て右手)の側方には回転するウエハWの表面に各種薬液を供給して液処理を行う液処理モジュールであるレジスト膜形成モジュールCOTや保護膜形成モジュールITCが前後方向に並べて設けられている。
【0016】
レジスト膜形成モジュールCOTは、ウエハWにレジストを供給してレジスト膜を形成する。保護膜形成モジュールITCは、レジスト膜上に所定の処理液を供給し、当該レジスト膜を保護する保護膜を形成する。また各棚ユニットUは、不図示の加熱モジュールを備え、前記搬送領域31には、ウエハWの搬送機構である搬送アームF3、F4が設けられている。
【0017】
他の単位ブロックB1、B2、B5及びB6は、ウエハWに供給する薬液が異なることを除き、単位ブロックB3、B4とほぼ同様に構成される。単位ブロックB1、B2は、液処理モジュールとして、レジスト膜形成モジュールCOTや保護膜形成モジュールITCの代わりに反射防止膜形成モジュールBCTを備え、単位ブロックB5、B6は、現像モジュールDEVを備える。図3では各単位ブロックB1〜B6の搬送アームはF1〜F6と示している。
【0018】
処理ブロックD3における前方側には、各単位ブロックB1〜B6に跨って上下方向に伸びるタワーT1と、タワーT1に設けられた複数のモジュール間でのウエハWの受け渡しを行うための昇降自在な受け渡しアーム32とが設けられている。タワーT1には、複数のモジュールが上下方向に互いに積層されて設けられ、これらのモジュールのうち、各単位ブロックB1〜B6の高さに対応して設けられている受け渡しモジュールTRSは、単位ブロックB1〜B6内の搬送アームF1〜F6との間でウエハWの受け渡しを行う際に用いられる。
【0019】
タワーT1に設けられているモジュールの具体例を挙げると、単位ブロックB1〜B6との間でのウエハWを受け渡す際に用いられる既述の受け渡しモジュールTRS、ウエハWの温度調整を行う温調モジュールCPL、複数枚のウエハWを一時的に保管するバッファモジュールBU、ウエハWの表面を疎水化する疎水化処理モジュールADHなどがある。説明を簡単にするため、前記疎水化処理モジュールADH、温調モジュールCPL、バッファモジュールBUについての図示は省略してある。
【0020】
インターフェイスブロックD4は、単位ブロックB1〜B6に跨って上下方向に伸びるタワーT2、T3、T4を備えている(図2図3)。インターフェイスブロックD4には、タワーT2とタワーT3との間でウエハWの受け渡しを行うための昇降自在なインターフェイスアーム41と、タワーT2とタワーT4との間でウエハWの受け渡しを行うための昇降自在なインターフェイスアーム42と、タワーT2と露光装置D5との間でウエハWの受け渡しを行うためのインターフェイスアーム43とが設けられている。
【0021】
タワーT2は、受け渡しモジュールTRS、露光処理前の複数枚のウエハWを格納して滞留させるバッファモジュールBU、露光処理後の複数枚のウエハWを格納するバッファモジュールBU、及びウエハWの温度調整を行う温調モジュールCPLなどが互いに積層されて構成されているが、タワーT1の場合と同様に、バッファモジュールBU及び温調モジュールCPLの図示は省略する。
【0022】
また、手前側から見てタワーT2の右手に配置されているタワーT3には、露光処理後のウエハWの洗浄処理を行う複数台の露光後洗浄モジュールPIRが上下方向に積層されて配置されている。一方、タワーT2の左手に配置されているタワーT4には露光装置D5に搬入される前のウエハWの裏面洗浄を行う複数台の裏面洗浄モジュールBSTが上下方向に積層されて配置されている。これらのモジュールの記載についても図示は省略してある。
【0023】
以上に説明した構成を備えた本例の塗布、現像装置1は、液処理モジュールである反射防止膜形成モジュールBCT、膜形成モジュールCOT、保護膜形成モジュールITCや現像モジュールDEVに供給される薬液を貯留した複数の薬液容器50を収容するための薬液ブロックD2を備えている。以下、当該薬液ブロックD2の詳細な構成について説明する。
【0024】
本例の薬液ブロックD2は、塗布、現像装置1が配置されている工場内の雰囲気(外部雰囲気)及び他のブロックD1、D3から区画された筐体内に設けられ、キャリアブロックD1や処理ブロックD3の並び方向に沿って、これらキャリアブロックD1と処理ブロックD3との間に前後を挟まれるように配置されている。
薬液ブロックD2には、外部から搬入された薬液容器50がトレー50に収容された状態で載置されるトレー載置台69と、各液処理モジュールへ薬液を供給するために薬液容器50が配置される容器配置部を構成する複数の容器載置モジュール6と、これらトレー載置台69と各容器載置モジュール6との間で薬液容器50を搬送する容器搬送機構7と、を備えている。
【0025】
図4に示すようにトレー載置台69は、薬液ブロックD2の側壁面に形成され、開閉部641によって開閉自在に構成された容器搬入出口64aと対向する位置に設けられている。トレー載置台69は、オペレータによって容器搬入出口64aを介して薬液容器50の搬入、搬出が行われる位置と、容器搬送機構7との間で薬液容器50の受け渡しを行う位置との間を横方向に移動することができる。
【0026】
容器搬送機構7との間で薬液容器50の受け渡しを行う位置に移動したトレー載置台69の上方側には、上下方向へ向けて薬液容器50を搬送するための容器搬入出路64bが形成されている。容器搬入出路64bの上端部は、薬液ブロックD2の天井面へ向けて開口し、この開口部は開閉部641によって開閉自在に構成されている。一方、本例の塗布、現像装置1が配置されている工場の天井部には、軌道に沿って薬液容器50を搬送するOHT(Overhead Hoist Transport)101が配置されている。OHT101は、把持部102を降下、上昇させることによって、容器搬入出路64bの開口部を介して、その下方位置に移動したトレー載置台69との間で薬液容器50の受け渡しを行う。
トレー載置台69や容器搬入出口64a、容器搬入出路64bは、本実施の形態の搬入出ポートを構成している。
【0027】
容器搬入出口64aや容器搬入出路64bを介して薬液ブロックD2内に搬入される薬液容器50は、トレー51に収容されている。図2図5に示すようにトレー51は、上面が開口した直方体形状の容器であり、薬液を貯留した薬液容器50の本体がこのトレー51内に収容される。トレー51内の底部には、予め設定された位置に薬液容器50を固定するための容器受部511が設けられている。また、トレー51の側面には、OHT101の把持部102により、トレー51を把持するための不図示の取手部が設けられている。さらにトレー51の底部には、後述する容器搬送機構7のアーム722を挿入するための切り欠き部512が形成されている(図5図7などを参照)。
【0028】
薬液容器50は、例えばプラスチック製やガラス製の細口ビンとして構成され、その開口部(薬液取り出し口)がねじ蓋などからなる蓋部501によって密封された状態で薬液ブロックD2内に搬入される。薬液容器50の本体の外面には、薬液容器50に貯留されている薬液の種類を識別するための識別情報であるバーコード502が貼付されている。また、容器搬送機構7との薬液容器50の受け渡し位置に移動したトレー載置台69の近傍には、薬液を識別する情報の取得部であるバーコードリーダ81が配置されている。このバーコードリーダ81によってバーコード502を読み取ることにより、搬入された薬液容器50内に貯留されている薬液の種類を識別することができる。このバーコード502はトレー51に設けてもよい。
ここで薬液の種類を識別する識別情報を取得する手法は、バーコード502とバーコードリーダ81との組み合わせに限られるものではない。ICタグを薬液容器50やトレー51に設け、このICタグと通信を行って識別情報を取得する通信部をトレー載置台69の近傍に配置してもよい。
【0029】
図2図5などに示すように、薬液容器50の搬送を行う容器搬送機構7は、本体部71に、薬液容器50を保持する2組のアーム(第1アーム721及び第2アーム722)を設けた構成となっている。第1、第2アーム721、722は、互いに連結された状態で本体部71の上面側に設けられ、本体部71から各アーム721、722を伸張させて、トレー載置台69や容器載置モジュール6との間で薬液容器50の受け渡しを行う位置と、本体部71上に各アーム721、722を折り畳んで薬液容器50の搬送を行う位置との間で伸縮自在に構成されている。さらに第1アーム721の伸縮方向の先端部及び後端部には、搬送中におけるトレー51の位置ずれを防止するために、トレー51の保持位置を前後から規制するトレーガイド723が設けられている。
【0030】
本体部71は、回転軸73を介して支持部74上に保持され、鉛直軸周りに回転自在に構成されている。この結果、トレー載置台69との間で薬液容器50の受け渡しを行う向き(図2に実線で示してある)と、各容器載置モジュール6との間で薬液容器50の受け渡しを行う向き(同図中に破線で示してある)との間で、各組のアーム721、722の伸縮方向を変更することができる。
【0031】
また、図2図3に示すように、本体部71を保持する支持部74は、上下方向に伸びる2本の昇降レール751に支持され、さらにこれら昇降レール751の上端部及び下端部は、薬液ブロックD2の天井部近傍、及び床面近傍に沿って横方向に伸びる移動レール752によって支持されている。そして、昇降レール751、移動レール752に設けられた不図示の駆動機構により、支持部74が上下方向に昇降自在、昇降レール751が左右方向に移動自在に構成されていることにより、薬液ブロックD2の内壁面に沿った任意の位置に本体部71を移動させることができる。そして、前述のトレー載置台69と各容器載置モジュール6との間で容器搬送機構7(本体部71)が移動する領域が、薬液容器50の搬送領域となる。
【0032】
容器搬送機構7は、第2アーム722に設けられた前後のトレーガイド723の間に位置するトレー51の載置領域を、既述の切り欠き部512を介してトレー51の下方側に進入させ、次いで第2アーム722を上昇させることによりトレー載置台69や容器載置モジュール6から薬液容器50を受け取る(図5)。そして第1、第2アーム721、722を折り畳み、本体部71上にトレー51を配置した状態で薬液容器50の搬送を行う(図6)。なお、本体部71には、切り欠き部512の左右位置から下方側へ向けて伸びるトレー51の側壁の下端部との干渉を避けるための溝部711が形成されている(例えば、容器搬送機構7の変形例に係わる図12に記載の溝部711参照)。
【0033】
容器搬送機構7が上下左右に移動する薬液ブロックD2の内壁面に対向する領域には、互いに区画された複数の容器載置モジュール6が格子棚状に上下左右に並べて配置された容器配置部である容器棚60が設けられている(図4)。本例では、5個の容器載置モジュール6を横方向に並べてなる棚段が、上下方向に4段積み重ねられて容器棚60が構成されている。この容器棚60には、後述するウエハ搬送路65が配置される位置を除いて合計19個の容器載置モジュール6が設けられている。
【0034】
塗布、現像装置1においては、濃度や成分の異なる複数種類のレジスト液が使い分けられる他、露光後のレジスト膜の現像を行う現像液、ウエハの表面でレジスト液を広がり易くするためのシンナー、レジスト膜の上面や下面に形成される反射防止膜や保護膜の原料液など、多種類の薬液が用いられる。容器棚60内の容器載置モジュール6は、これら各種の薬液を貯留した薬液容器50が1つずつ配置される配置位置となっている。また、ある薬液容器50内の薬液が空になった場合に、他の薬液容器50から継続して液処理モジュールへ薬液を供給できるように、同種の薬液を貯留した薬液容器50を複数の容器載置モジュール6に配置し、これらの薬液容器50を切り替えて薬液を供給する場合もある。
【0035】
図7図8に示すように、各容器載置モジュール6は、容器搬送機構7に対向する前面が開放され、互いに区画された棚内に設けられ、液処理モジュールへの薬液供給路の基端側を構成する吸引ノズル611と、薬液容器50に対してこの吸引ノズル611の着脱を行うノズル着脱機構61と、薬液容器50を密封する蓋部501の開閉を行う蓋部開閉機構62と、容器載置モジュール6の空間内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部63と、を備えている。
【0036】
ノズル着脱機構61は、下方側へ向けて伸び出し、下端部が開口した樹脂製や金属製の細管からなる吸引ノズル611の上端部を支持し、水平方向に伸びる支持アーム612と、前記吸引ノズル611の支持位置とは反対側の支持アーム612の基端部を支持し、上下方向に伸縮自在に構成された昇降機構613と、を備えている。
【0037】
吸引ノズル611は、吸引ノズル611を薬液容器50内に挿入したとき、開口部の形成された下端部が、薬液容器50の底面近傍まで進入することが可能な長さを備え、薬液容器50内に貯留されている薬液のほぼ全量を吸引することが可能なストロー管として構成されている。吸引ノズル611は、吸引ノズル611を薬液容器50内に挿入したとき、薬液容器50の開口を上面側から押さえて当該開口を塞ぐ、例えばゴム製の保持部614を介して支持アーム612に保持されている。昇降機構613は、支持アーム612を昇降させることにより、吸引ノズル611の全体が薬液容器50の開口部の上方側に抜き出された抜出位置(図7)と、吸引ノズル611を薬液容器50内に挿入した装着位置(図8)との間で、吸引ノズル611を移動させる。
【0038】
蓋部開閉機構62は、蓋部501の開閉を実行する開閉部621と、開閉部621を保持する支持アーム622と、支持アーム622を昇降させる昇降機構623と、を備えている。
開閉部621は、薬液容器50を密封する蓋部501の外周面に密着して嵌合する開口を備えた部材であり、前記開口を下方側へ向けて支持アーム622の先端部に保持されている。開閉部621は、支持アーム622内に設けられた不図示の駆動機構により、蓋部501を開ける方向と、閉じる方向とに、鉛直軸周りに回転自在に構成されている。
【0039】
本例の支持アーム622は、昇降機構623に支持された基端側のアームと、開閉部621を保持する先端側のアームとが鉛直方向に伸びる回転軸を介して連結されている。これにより、薬液容器50上端部に開閉部621を対向させて蓋部501の開閉を行う開閉位置(図7)と、この開閉位置から開閉部621を側方に退避させ、ノズル着脱機構61による吸引ノズル611の着脱動作との干渉を避ける退避位置(図8)との間で、開閉部621を移動させることができる。また開閉部621は、退避位置への移動時に、取り外した蓋部501を持った状態で退避位置へと移動する。
【0040】
また本例の蓋部開閉機構62において、昇降機構623は例えば隣り合う容器載置モジュール6を区画する区画壁の壁面に設けられ、開閉位置に移動させた開閉部621を降下させて蓋部501に嵌合させる動作や、蓋部501の開閉時、蓋部501の移動にあわせて開閉部621を昇降させる動作を実行する。
【0041】
不活性ガス供給部63は、開閉部621により蓋部501の開閉動作が行われる領域へ開口部を向けて配置された不活性ガス供給管631と、この不活性ガス供給管631に介設され、容器載置モジュール6に供給される不活性ガス中のパーティクルを除去するフィルタ632と、不活性ガス供給管631の基端部に設けられ、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガスの供給を実行する不活性ガス供給源633と、を備えている。
【0042】
不活性ガス供給管631は、蓋部501の開閉動作時に、開放された薬液容器50内への空気の進入を抑制するため、薬液容器50の開口部へ向けて不活性ガスを供給する。図8に示すように、吸引ノズル611を薬液容器50内に挿入した際、保持部614によって薬液容器50の開口を塞ぐ構成となっている場合には、薬液を払い出すことによって薬液容器50内が真空雰囲気とならないように、薬液容器50内に不活性ガスを供給する機構をノズル着脱機構61に設けてもよい。
また、薬液容器50の開口を密閉せずに、当該開口から周囲の気体を取り込んで薬液容器50内の圧力を維持する場合には、容器載置モジュール6の前面に開閉扉(シャッタ)を設けて容器載置モジュール6内を密閉可能とし、この区画内に不活性ガスを供給しながら薬液を払い出してもよい。
【0043】
フィルタ632は、フィルタカートリッジ内にHEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタなどのガスフィルタを格納した構成となっている。また不活性ガス供給源633は、不活性ガスが貯留されたガス貯溜部と、流量調節部とを備え、不活性ガスの給断や流量調節を実行することが可能である。例えば不活性ガス供給源633は、各々容器載置モジュール6へ不活性ガスを供給する複数の不活性ガス供給管631に対して共通に設けられる。
【0044】
ここで全ての容器載置モジュール6に対して不活性ガス供給部63を設けることは必須の要件ではなく、例えば大気との接触に伴う薬液の変質が少なく、不活性ガスを供給する効果が小さい薬液を貯留した薬液容器50が配置される容器載置モジュール6に対しては、不活性ガス供給部63を設けなくてもよい。
【0045】
図9には、吸引ノズル611が装着された薬液容器50から各液処理モジュール33の薬液ノズル336までの薬液供給路338を示してある。各容器載置モジュール6に配置された薬液容器50は、薬液供給路338に介設されている薬液ポンプ681によって薬液容器50から吸引され、各薬液ノズル336に送液される。薬液ポンプ681の下流には開閉バルブ682が配置され、この開閉バルブ682を駆動させることにより、各薬液ノズル336への薬液の給断が行われる。各薬液供給路338に介設された薬液ポンプ681や開閉バルブ682は、図3図4に示すポンプ配置部68にまとめて配置され、薬液容器50から払い出された薬液がポンプ配置部68に設けられた薬液ポンプ681によって各層B1〜B6の液処理モジュール33へ向けて供給される。
【0046】
液処理モジュール33の概要について説明しておくと、ノズルアーム337は、液処理モジュール33にて実行される液処理の種類に応じて、1種類、または複数種類の薬液の供給を行うために、1本または複数本の薬液ノズル336を保持している。そして回転駆動部332によって鉛直軸周りに回転するスピンチャック331上に1枚ずつ保持されたウエハWの表面に、薬液ノズル336から所定量の薬液を順次、供給することによりウエハWに対して枚葉毎に液処理が行われる。回転するウエハWから振り飛ばされた薬液は、スピンチャック331の周囲に配置されたカップ体333により受け止められて、排液口335を介して外部へ排出される。また、カップ体333内に流れ込んだ気流は排気口334を介して外部へ排出される。
【0047】
ここで、薬液ブロックD2に収容された薬液容器50からの薬液の供給先は、上述の液処理モジュール33に加え、例えばウエハWの表面を疎水化する疎水化処理モジュールADHに疎水化処理ガスを供給する疎水化処理ガスの発生機構であってもよい。
【0048】
容器載置モジュール6に載置された薬液容器50内の薬液の量は、例えば容器載置モジュール6内に設けられた不図示の液面計や薬液供給路338に設けられた不図示の流量計などによって監視される。これらの例では、薬液容器50内の薬液量が予め設定された液面高さを下回った場合や、薬液ポンプ681を稼働させ、開閉バルブ682を薬液ノズル336に連通させても所定の流量が検出されない場合などに、薬液容器50の交換時期との判断がされる。
【0049】
また塗布、現像装置1の天井部にはFFU(Fan Filter Unit)67が設けられ、塗布、現像装置1の各ブロックD1〜D4内に清浄空気の下降流を形成することができる。そして図3に示すように、FFU67は薬液ブロックD2を構成する筐体内に清浄空気の下降流を形成し、この雰囲気内で蓋部501の開閉、吸引ノズル611の着脱を行うことにより、パーティクルなどの汚染物質の薬液への混入が抑えられる。この観点においてFFU67は、本例の清浄気体供給部に相当する。
【0050】
ここで既述のように、薬液ブロックD2は、キャリアブロックD1と処理ブロックD3との間に前後を挟まれるように配置されている。このためキャリアブロックD1にて取り出されたウエハWや処理ブロックD3にて処理を終えたウエハWは、この薬液ブロックD2を通り抜けて搬送先のブロックD3、D1へと搬送される。
【0051】
一方、各種の薬液を貯留した薬液容器50の蓋部501の開閉が行われる薬液ブロックD2内にはこれらの薬液やその溶剤が揮発する可能性があるため、多種の薬液成分が浮遊しているおそれのある雰囲気中に、処理前や処理後のウエハWを晒すことは好ましくない。また容器搬送機構7に加えて、ブロックD3、D1間でウエハWを搬送する搬送機構が頻繁に往来することによってパーティクルが発生し、薬液ブロックD2内が汚染されることも好ましくない。
【0052】
そこで図3図4に示すように、本例の薬液ブロックD2には、キャリアブロックD1と処理ブロックD3とを接続する角管状のウエハ搬送路65が、薬液ブロックD2を水平方向に貫通するように配置され、このウエハ搬送路65によって薬液ブロックD2内の雰囲気と、他のブロックD1、D3の雰囲気とが区画されている。ウエハ搬送路65内にはシャトルアーム66が配置され、このシャトルアーム66によって両ブロックD1、D3間のウエハWの搬送が行われる。シャトルアーム66は、キャリアブロックD1の搬送アーム23と、処理ブロックD3内のタワーT1に配置された受け渡しモジュールTRS0との間でウエハWの搬送を行う。
【0053】
ウエハ搬送路65は、前記受け渡しモジュールTRS0から、前方のキャリアブロックD1へ向けて横方向に伸び出すように設けられている。このため、当該ウエハ搬送路65が容器棚60を貫通している位置には、容器載置モジュール6が設けられていない(図4)。
また、移動レール752の伸びる方向に沿って横方向に移動する昇降レール751との干渉を避けるため、ウエハ搬送路65には昇降レール751を通過させるための切り欠き部651が設けられている(図3)。切り欠き部651の幅は、昇降レール751を通過させることが可能であり、且つ、薬液ブロックD2内、ウエハ搬送路65内の各々の雰囲気が混じり合うことによって、既述の薬液成分やシャトルアーム66にて発生したパーティクルによる汚染が問題とならない程度に十分に狭くなっている。また、これらの雰囲気の混じり合いが発生しにくくなるように、切り欠き部651を形成するウエハ搬送路65の切り欠き面の一方側から、他方側へ向けて清浄空気を流してエアカーテンを形成してもよい。
【0054】
以上に説明した構成を備えた塗布、現像装置1は、図2図5図7図9などに示すように制御部8と接続されている。制御部8はCPUと記憶部とを備えたコンピュータからなり、記憶部には塗布、現像装置1の作用、即ち各ブロックD1〜D4におけるウエハWの搬送やウエハWの処理、薬液ブロックD2内における薬液容器50の搬送や容器載置モジュール6の薬液容器50交換に係る動作についてのステップ(命令)群が組まれたプログラムが記録されている。このプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリーカード等の記憶媒体に格納され、そこからコンピュータにインストールされる。
【0055】
特に、薬液ブロックD2における薬液容器50の搬送に関して、制御部8には、容器棚60に設けられた複数の容器載置モジュール6(薬液容器50の載置位置)を識別する情報と、各容器載置モジュール6に配置されるべき薬液容器50に貯留されている薬液の種類とが予め対応付けて記憶されている。また、バーコードリーダ81にて読み取られるバーコード502の情報と薬液の種類との対応関係についても記憶されている。これらの情報により、ある容器載置モジュール6にて薬液容器50を交換する必要が発生したとき、この容器載置モジュール6にいずれの薬液を貯留した容器載置モジュール6が搬送されるべきかを判断して、容器搬送機構7による薬液容器50の搬送先を特定することができる。この観点において、制御部8は容器搬送機構7による薬液容器50の搬送可否や搬送先の制御を行う搬送制御部を構成しているといえる。
【0056】
以下、本実施の形態に係る塗布、現像装置1の作用について説明する。なお、説明の便宜上、図示を省略したモジュールにおける処理など、一部の処理の説明を省略する場合がある。
ウエハWは、キャリアCからロット毎に1枚ずつ搬出され、搬送アーム23により、ウエハ搬送路65内のシャトルアーム66に受け渡され、当該ウエハ搬送路65内を搬送された後、前記受け渡しモジュールTRS0に載置される。受け渡しモジュールTRS0のウエハWは、受け渡しアーム32により、受け渡しモジュールTRS1、TRS2を介してBCT層B1、B2に振り分けられる。
【0057】
BCT層B1、B2内に搬入されたウエハWは、反射防止膜形成モジュール→加熱モジュール→TRS1(TRS2)の順に搬送されつつ処理が行われ、続いて受け渡しアーム32により、各々受け渡しモジュールTRS3、TRS4を介してCOT層B3、B4に振り分けられる。
COT層B3、B4内に搬入されたウエハWは、レジスト膜形成モジュール→加熱モジュール→保護膜形成モジュールITC→加熱モジュール→タワーT2の受け渡しモジュールTRSの順に搬送されつつ処理が行われる。
【0058】
タワーT2の受け渡しモジュールTRSに搬入されたウエハWは、不図示のバッファモジュールSBUに搬入された後、インターフェイスアーム42によってタワーT4の裏面洗浄モジュールBSTに搬入され裏面洗浄が行われる。裏面洗浄後のウエハWは、各インターフェイスアーム42、41、43によりタワーT2の温調モジュールCPL(不図示)を介して露光装置D5へ搬入される。
【0059】
露光後のウエハWは、インターフェイスアーム43、41によりタワーT2の受け渡しモジュールTRS→タワーT3の露光後洗浄モジュールPIRに搬入され、洗浄が行われた後、タワーT2の受け渡しモジュールTRS5、TRS6を介してDEV層B5、B6に振り分けられる。
DEV層B5、B6に搬入されたウエハWは、加熱モジュール→現像モジュール→加熱モジュール→タワーT1の受け渡しモジュールTRSの順に搬送されつつ処理が行われ、キャリアブロックD1との受け渡し用の受け渡しモジュールTRS0に移載された後、シャトルアーム66によってウエハ搬送路65内を搬送され、搬送アーム23に受け渡されてキャリアCに戻される。
【0060】
上述のウエハWの搬送、処理動作と並行して、薬液ブロックD2では薬液容器50の搬入出や容器載置モジュール6における薬液容器50の交換動作が実行される。以下、当該動作の内容について図10の流れ図を参照しながら説明する。
図4に示すように容器棚60の各容器載置モジュール6には薬液容器50が配置され、各液処理モジュール33と接続された薬液容器50から、液処理の進行状況に応じて薬液が供給されている(スタート)。この際、各容器載置モジュール6における薬液容器50の薬液の液面などを監視し、使用済みの薬液容器50があるか否かを検知する(ステップS101)、使用済みの薬液容器50がなければそのまま監視を継続する(ステップS101;NO)。
【0061】
そして、使用済みの薬液容器50が検知されたら(ステップS101;YES)、薬液容器の交換が必要である旨の情報や、交換する薬液の種類に関する情報を出力する(ステップS102)。出力された情報は、例えば塗布、現像装置1の外壁面に設けられた不図示のパネルディスプレイに表示されてオペレータに伝達されたり、工場内の装置を管理するホストコンピュータに送信されたりする。
【0062】
この結果、オペレータによって容器搬入出口64aを介して新たな薬液容器50が薬液ブロックD2に搬入され、またはホストコンピュータの指示を受けたOHT101によって、容器搬入出路64bを介して新たな薬液容器50の搬入が行われる。
この期間中、塗布、現像装置1は、新しい薬液容器50の搬入を待ち(ステップS103)、新しい薬液容器50の搬入が検知されるまで待ち状態を継続する(ステップS103;NO)。
【0063】
そして、新しい薬液容器50の搬入が検知されると(ステップS103;YES)、バーコードリーダ81により薬液容器50のバーコード502を読み取り、薬液容器50内に貯留されている薬液の種類を識別する(ステップS104)。そして、使用済みの薬液容器50が配置されている容器載置モジュール6に設定されている薬液の種類と、新しい薬液容器50に貯留されている薬液の種類との照合を行う。
【0064】
この結果、正しい薬液を貯留した薬液容器50が搬入されなかった場合には(ステップS105;NO)、パネルディスプレイやホストコンピュータに薬液種に関するエラーを発報して薬液容器50の交換を待つ(ステップS106)。そして、新しい薬液容器50が搬入されたら(ステップS103;YES)、薬液容器50内に貯留されている薬液の種類の識別を繰り返す(ステップS104)。
【0065】
一方、正しい薬液を貯留した薬液容器50が搬入されている場合には(ステップS105;YES)、トレー載置台69から容器搬送機構7に薬液容器50を受け取って交換対象の容器載置モジュール6へ向けて搬送する(ステップS107)。このとき容器搬送機構7は、図3図4に示したウエハ搬送路65との干渉を避けながら目的の容器載置モジュール6へ向けて移動する。
【0066】
交換対象の容器載置モジュール6においては、使用済みの薬液容器50から吸引ノズル611を抜き出し、蓋部開閉機構62により当該薬液容器50に蓋部501を取り付けた状態で待機している(図7)。この容器載置モジュール6に移動してきた容器搬送機構7は、薬液容器50を保持していない第1、第2アーム721、722を容器載置モジュール6に対向させて、使用済みの薬液容器50を容器載置モジュール6から受け取る。次いで本体部71を回転させ、新たに搬入された薬液容器50を保持している第1、第2アーム721、722を容器載置モジュール6に対向させ、新しい薬液容器50を容器載置モジュール6に受け渡す。容器載置モジュール6は、蓋部開閉機構62により蓋部501を取り外して退避位置まで移動させた後、吸引ノズル611を装着して薬液容器50の交換を完了する(ステップS108、図8)。
【0067】
この後、容器搬送機構7は、使用済みの薬液容器50をトレー載置台69に搬送して搬出を待ち(ステップS109)、当該薬液容器50はオペレータやOHT101によって外部へと搬出される。
以上の動作により、使用済みとなった薬液容器50が、新たな薬液容器50と交換されたら、新たな使用済みの薬液容器50があるか否かの監視を継続する(ステップS101)。
【0068】
本実施の形態に係る塗布、現像装置1によれば以下の効果がある。薬液容器50が配置される複数の容器載置モジュール6を設けて容器棚60(容器載置部)を構成し、容器搬送機構7を用いて容器棚60における薬液容器50の交換を行い、各容器載置モジュール6では、吸引ノズル611の着脱動作をノズル着脱機構61により実行するので、外部雰囲気と区画された薬液ブロックD2内に容器棚60を設け、人手を介さずに薬液容器50の交換をすることが可能となる。この結果、パーティクルなどの汚染物質が薬液容器50に混入すること避けると共に、容器載置モジュール6に不活性ガスを供給して薬液の変質などを低減することもできる。
【0069】
ここで薬液容器50を搬送する容器搬送機構7の構成は図2等に示した例に限定されない。例えば図11図12に他の構成例を示す。これらの例において、既述の容器搬送機構7にて説明したものと共通の機能を持つ構成要素には、先に説明した図に付した符号と共通の符号を付してある(以下、後述する塗布、現像装置1a〜1dにおいても同じ)。
【0070】
図11に示す容器搬送機構7aは、移動レール752の伸びる方向に沿って本体部71が横方向に移動自在に構成されると共に、各組の第1、第2アーム721、722が、本体部71の移動方向と交差する方向、即ち、容器棚60(容器載置モジュール6)の配置方向(図2図3参照)へ向けて伸縮する構成となっている。本体部71を回転させないことにより、容器搬送機構7aの移動に必要なスペースが小さくなり、薬液ブロックD2の設置スペースを小型化できる。この容器搬送機構7aを用いる場合には、容器搬入出口64aの側方や容器搬入出路64bの下方にトレー載置台69を設けることに替えて、当該位置まで容器搬送機構7aを移動させ、容器搬送機構7aとの間で直接、薬液容器50の搬入出を行ってもよい。
【0071】
また、図12に示す容器搬送機構7bは、薬液容器50を上下方向に並べて配置した例を示している。本例では、上下に積み重ねられた搬送棚71a内に、各々第1、第2アーム721、722が配置されている。そして、これらの搬送棚71a全体を回転軸73にて回転させてトレー載置台69や各容器載置モジュール6に対向させ、搬送棚71aを昇降させながら薬液容器50の交換を行う。この例においても搬送棚71aの回転半径が小さくなり、薬液ブロックD2の設置スペースを小型化することができる。
【0072】
次いで、薬液ブロックD2の配置位置のバリエーションについて説明する。図13は、薬液ブロックD2、D2a〜D2eを配置可能な位置を斜線のハッチで塗り潰して示してある。
ウエハ搬送路65を設けることにより、薬液ブロックD2内の雰囲気と区画された空間を介してウエハWの搬送を行う場合には、図3図4に示した例の他、処理ブロックD3におけるタワーT1や受け渡しアーム32の配置領域と、単位ブロックB1〜B6が積層されている領域との間(図13の薬液ブロックD2a)、処理ブロックD3とインターフェイスブロックD4との間(同図の薬液ブロックD2b)、インターフェイスブロックD4と露光装置D5との間(同図の薬液ブロックD2c)にも薬液ブロックD2a〜D2cを配置することができる。例えば図14には、処理ブロックD3とインターフェイスブロックD4との間に薬液ブロックD2aを配置した例を示してある。
【0073】
また、図15の塗布、現像装置1bに示すようにキャリアブロックD1の前方側であって、キャリアCの載置台21の上方側に薬液ブロックD2dを載置してもよい。この他、図16に示したように、塗布、現像装置1cの本体(図16の例ではキャリアブロックD1)を挟んだ左右両脇に薬液ブロックD2eを設けてもよい。図16の例のように塗布、現像装置1cの本体の両脇に薬液ブロックD2eを設けることに替えて、いずれか一方側に薬液ブロックD2eを並べてもよいことは勿論である(図13参照)。
【0074】
次いで、第2の実施の形態に係る塗布、現像装置1dの構成について図17図20を参照しながら説明する。本例の塗布、現像装置1dは、薬液容器50が配置される配置領域である容器載置モジュール6を、複数個、横方向に並べて容器配置部を構成している点が、容器載置モジュール6を上下に積層した容器棚60にて容器配置部を構成した第1の実施の形態に係る塗布、現像装置1と異なっている。
【0075】
図17図19に示すように、本例の薬液ブロックD2fは、処理ブロックD3における単位ブロックB1〜B6が積層された領域の下方側に配置され、外部雰囲気や他のブロックD1、D3、D4から区画された筐体内に形成されている。各容器載置モジュール6の構成は、図7図8を用いて説明した例と同様なので再度の説明を省略する。
図18図19に示すように、本例では5個の容器載置モジュール6(配置領域)が横方向に1列に並べられ、これらの列を4列配置することにより、合計20個の薬液容器50を収容可能な容器配置部が構成されている。図18に示すように容器載置モジュール6の列は、容器搬送機構7cが移動するための間隔を開けて配置されており、これらの列の間には容器搬送機構7cの移動経路を成す走行レール76がU字状に配置されている。
【0076】
図20に示すように容器搬送機構7cは、例えば跨座式のモノレールのように走行レール76によって案内されるガイド車輪773を備えた車体部771上に、既述の本体部71や第1、第2アーム721、722、回転軸73等を配置した構成となっており、走行車輪772を用いて薬液ブロックD2fの床面上を移動する。薬液ブロックD2fの天井部からは、例えばダクトを介してFFU67から送気された清浄空気が供給され、当該薬液ブロックD2fの空間内にも清浄空気のダウンフローが形成されている。
【0077】
本例の塗布、現像装置1dでは、図18に示す開閉部641を開いてオペレータがトレー載置台69上に薬液容器50を配置してもよいし、開閉部641を開いた容器搬入出口64aを介して塗布、現像装置1の外方までトレー載置台69が移動できる構成とし、OHT101からこのトレー載置台69上に薬液容器50を載置して薬液ブロックD2f内に取り込む構成としてもよい。
【0078】
また、薬液ブロックD2fは、図17図19に示した例のように互いに積層された単位ブロックB1〜B6の下方側に設ける場合に替えて、これら単位ブロックB1〜B6の上段に薬液ブロックD2fを積み重ねてもよい。この場合には、塗布、現像装置1dの天井面に開閉部641にて開閉自在な開口を設け、この開口を介してOHT101により薬液容器50の搬入出を行ってもよい。
【0079】
本実施の形態に示した塗布、現像装置1dにおいても外部雰囲気と区画された薬液ブロックD2内に容器載置モジュール6を設け、人手を介さずに薬液容器50の交換をすることが可能となり、清浄な雰囲気下で薬液容器50の交換を行い、薬液の汚染を低減できる。また、容器載置モジュール6に不活性ガスを供給して薬液の変質を低減することも可能となる。
【0080】
ここで、薬液供給路338の基端側を薬液容器50に対して着脱する機構は、図7図8に示した吸引ノズル611の着脱機構61の例に限られない。例えば、蓋部501に替えて薬液容器50の開口部に押し込んで取り付けられるゴム部材などからなる蓋部に、薬液供給路338の基端側を接続し、この蓋部を薬液容器50に取り付けた後、薬液容器50の上下を転動させて薬液の払い出しを行ってもよい。この場合は、薬液供給路338と接続された蓋部の着脱を行う機構が前記着脱機構となる。
【0081】
また、各容器載置モジュール6に蓋部開閉機構62を設けることに替えて例えば蓋部開閉機構62と容器搬送機構7との間の薬液容器50の受け渡し位置に共通の蓋部開閉機構62を設け、ここで蓋部501を取った後、開栓した状態で薬液容器50を各容器載置モジュール6に搬送してもよい。薬液容器50から取り外された蓋部501は例えば共通の廃棄ボックス等に集められ、別途、廃棄される。また使用済みの薬液容器50は蓋部501を取り外した状態で搬出される。この例の場合には、蓋部501を取り外した状態で薬液容器50が搬送されるので、薬液の変質を防止するため、薬液ブロックD2の空間内全体を不活性ガスの雰囲気としていてもよい。
【0082】
ここで、容器載置モジュール6に開閉扉(シャッタ)を設ける構成は、既述のように薬液容器50の開口を介して周囲の気体を取り込むために、容器載置モジュール6の区画内に不活性ガスを供給する場合に限定されない。不活性ガスの供給を行わない場合であっても、例えば通常時には開閉扉を閉じておき、薬液容器50の交換時のみ開閉扉を開くことにより、容器搬送機構7が移動する空間からのパーティクルの進入を抑え、清浄な空間内で薬液の供給を行うことができる。
【0083】
さらに容器載置モジュール6は、蓋部開閉機構62を備えることも必須ではない。例えば薬液容器50として、開口部がゴム膜で覆われたバイアル容器を用いる場合には、蓋部開閉機構62を用いて蓋部501を取り外すことに替えて、前記ゴム膜を突き刺すようにして薬液容器50内に吸引ノズル611を挿入してもよい。
【0084】
また、容器載置部(図4の容器棚60や図18の容器載置モジュール6の列)において、隣り合う容器載置モジュール6同士を区画する隔壁を設けることは必須ではなく、共通する横長の棚や台の予め設定された位置(配置領域)に薬液容器50を載置してもよい。この場合には、着脱機構61や蓋部開閉機構62を複数の薬液容器50間で移動自在に構成することにより着脱機構61や蓋部開閉機構62を共有化してもよい。さらにこの場合は、各薬液容器50の配置領域の近傍に、薬液供給路338の基端部や、蓋部501を載置する載置台などを設けるとよい。
【0085】
この他、薬液容器50に吸引ノズル611や薬液供給路338を装着するタイミングは、容器載置モジュール6に薬液容器50を載置した後に限られない。容器載置モジュール6の区画内に薬液容器50を搬送した後、容器搬送機構7によって薬液容器50を保持したまま蓋部501を取り外して吸引ノズル611等の装着を行い、その後、容器載置モジュール6に薬液容器50を載置してもよい。
【0086】
図21は、容器搬送機構7、7a〜7cのアーム722a及びトレー51aの他の構成例を示している。本例のトレー51aの上面には、横方向へ向けて四方へ突出し、OHT101の把持部102によって把持されるフランジ部513が設けられている。このフランジ部513の各側面にはフランジ部513内を横方向に貫通する貫通孔514が開口している。そして、容器搬送機構7、7a〜7cに設けられ、基端部側で互いに連結された2本の直棒状のアーム722aをこれら貫通孔514に挿入してトレー51aを持ち上げることにより、トレー51a内に収容された薬液容器50を搬送することができる。
また、フランジ部513の各側面に沿って8つの貫通孔514を設けることにより、トレー51aのいずれの方向からもアーム722aを挿入できる。この結果、薬液ブロックD2への搬入時に一定の方向にトレー51aの向きを揃えなくても容器搬送機構7、7a〜7cへのトレー51aの受け渡しが可能となる。
【0087】
そして容器搬送機構7、7a〜7cは、トレー51、51aに収容した状態で薬液容器50を搬送することも必須ではなく、ロボットアームなどにより薬液容器50の本体の側面や底面を直接保持して搬送を行ってもよい。
さらに容器搬送機構7は、複数の薬液容器50を同時に搬送する機能を備えていなくてもよい。この場合は、交換が行われる容器載置モジュール6から使用済みの薬液容器50を取り出してトレー載置台69に搬送し、この薬液容器50が搬出された後、新しい薬液容器50を受け取って使用済みの薬液容器50が取り出された容器載置モジュール6に搬送すればよい。
【0088】
さらには、本発明を適用可能な基板処理装置は、ウエハWに対してレジストの塗布、現像を行う塗布、現像装置1に限られるものではない。例えば液処理モジュールとして、ウエハWの表面や裏面にアルカリ性や酸性の薬液を供給して洗浄処理を実行する洗浄モジュールを備え、処理ブロック内にこれらの洗浄モジュールが複数台設けられた洗浄装置にも本発明は適用することができる。
【符号の説明】
【0089】
W ウエハ
D2、D2a〜D2f
薬液ブロック
1、1a〜1d
塗布、現像装置
33 液処理モジュール
336 薬液ノズル
338 薬液供給路
50 薬液容器
501 蓋部
502 バーコード
51、51a
トレー
6 薬液配置モジュール
60 容器棚
61 ノズル着脱機構
611 吸引ノズル
62 蓋部開閉機構
63 不活性ガス供給部
64a 容器搬入出口
64b 容器搬入出路
65 ウエハ搬送路
67 ファンフィルタユニット(FFU)
69 トレー載置台
7、7a〜7c
容器搬送機構
8 制御部
81 バーコードリーダ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図18
図19
図20
図21
図14
図15
図16
図17