特許第5987917号(P5987917)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5987917ゼリーロール型電極組立体、パウチ型二次電池、電池パックおよびデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5987917
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】ゼリーロール型電極組立体、パウチ型二次電池、電池パックおよびデバイス
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20160825BHJP
   H01M 4/02 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   H01M10/04 W
   H01M4/02 Z
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-545845(P2014-545845)
(86)(22)【出願日】2013年11月7日
(65)【公表番号】特表2015-504589(P2015-504589A)
(43)【公表日】2015年2月12日
(86)【国際出願番号】KR2013010089
(87)【国際公開番号】WO2014073890
(87)【国際公開日】20140515
【審査請求日】2014年5月15日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0126317
(32)【優先日】2012年11月8日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2013-0134438
(32)【優先日】2013年11月6日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チュン、ジョー−ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ヒュン−チュル
(72)【発明者】
【氏名】チュン、ジェ−ビン
(72)【発明者】
【氏名】アン、イン−グ
【審査官】 冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−035484(JP,A)
【文献】 特開平10−270068(JP,A)
【文献】 特開2007−214086(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/041399(WO,A1)
【文献】 特表2012−513088(JP,A)
【文献】 特開2010−192462(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2005−0113860(KR,A)
【文献】 特開平06−187998(JP,A)
【文献】 特開平05−288989(JP,A)
【文献】 特開2000−058103(JP,A)
【文献】 特開2006−012813(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
H01M 4/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰極電流集電体の両面に陰極活物質がコーティングされた陰極活物質コーティング層及び電極タップを含む陰極と、
陽極電流集電体の両面に陽極活物質がコーティングされた陽極活物質コーティング層及び電極タップを含む陽極と、
前記陰極と陽極との間に介在した分離膜と、を含んで巻取して形成され、
前記陽極及び陰極は、陰極活物質及び陽極活物質がコーティングされない無地部を含み、前記無地部は巻取されて積層された電極組立体の各陰極及び陽極に対して重なり、ゼリーロールの巻取中心面を基準に前面及び後面で鏡像を形成し、前記無地部で曲がり、
前記電極タップは、陰極活物質コーティング層及び陽極活物質コーティング層が形成された領域に位置し、
前記陰極及び陽極は、巻取方向に対して水平方向に形成された一つまたは複数個の無地部、及び巻取方向に対して垂直方向に形成された一つまたは複数個の無地部を有し、
前記水平方向に形成された無地部は、無地部の両側に活物質コーティング層が位置されることを特徴とする、ゼリーロール型電極組立体。
【請求項2】
前記無地部は、円、楕円、対角線、文字、弧、または図形からなるグループより選択された少なくとも一つの形状を有する、請求項1に記載のゼリーロール型電極組立体。
【請求項3】
前記無地部の面積は、電極の全体面積に対して1%〜95%である、請求項1または請求項2に記載のゼリーロール型電極組立体。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のゼリーロール型電極組立体と、
前記ゼリーロール型電極組立体が収納されたパウチ型外装材と、
前記パウチ型外装材に注入された電解液と、を含む、パウチ型二次電池。
【請求項5】
請求項のパウチ型二次電池を二つ以上含む、電池パック。
【請求項6】
請求項のパウチ型二次電池を一つ以上含む、デバイス。
【請求項7】
前記デバイスは、携帯電話、携帯用コンピュータ、スマートフォン、スマートパッド、ネットブック、LEV(Light Electronic Vehicle)、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグ−インハイブリッド電気自動車、または電力貯蔵装置である、請求項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルゼリーロール型二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池(secondary battery)は、充電が不可能な一次電池とは異なって、充電及び放電が可能な電池であり、その使用範囲は携帯できる小型電子機器からハイブリッド自動車などの大型機器の電源に及ぶまで非常に広い範囲にわたる。
【0003】
上記二次電池は、陽極と陰極との間に絶縁体の分離膜を介在させた電極組立体をケースに内蔵設置し、上記ケースに外部端子が形成されたキャップ組立体を設置して構成される。上記陽極及び陰極は、集電体に活物質がコーティングされたコーティング部、及びコーティングされない無地部からなり、上記陽極及び陰極の無地部にはそれぞれ陽極及び陰極で発生した電流を集電するための役割として電極タップ(tap)がそれぞれ付着され、この電極タップは電極組立体に溶接などで付着されて、陽極及び陰極で発生した電流をそれぞれ陽極及び陰極端子に誘導する。
【0004】
最近では、デバイスのデザインがユーザーの製品選択において非常に重要な要素となりつつあり、人体工学的な設計によるデザインの多様化により、多様な形態を有する電池の開発が求められている。特に、外面に曲面の形態を有するデザインのデバイスに安定的に装着し、不要な空間を減らすことができる曲がった形状の電極に対するニーズが高くなる実情にある。
【0005】
しかし、活物質がコーティングされた部分を曲げた場合、非可逆的に変形し、集電体表面の電極活物質が脱離して電極の短絡が発生するなど、電池の安定性が低下するという問題が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一側面は、可逆的に曲がることができ、集電体表面の電極活物質が脱離しないフレキシブルゼリーロール型二次電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1具現例によると、陰極電流集電体の両面に陰極活物質がコーティングされた陰極活物質コーティング層及び電極タップを含む陰極と、陽極電流集電体の両面に陽極活物質がコーティングされた陽極活物質コーティング層及び電極タップを含む陽極と、上記陰極と陽極との間に介在した分離膜と、を含んで巻取して形成され、上記陽極及び陰極は、陰極活物質及び陽極活物質がコーティングされない無地部を含み、上記無地部は巻取して積層された電極組立体の各陰極及び陽極に対して重なり、ゼリーロールの巻取中心面を基準に前面及び後面で鏡像を形成し、上記無地部で曲がるゼリーロール型電極組立体が提供される。
【0008】
上記陰極及び陽極は、巻取方向に対して水平方向に形成された一つまたは複数個の無地部を有することができる。
【0009】
上記陰極及び陽極は、巻取方向に対して垂直方向に形成された一つまたは複数個の無地部を有することができる。
【0010】
上記無地部は、円、楕円、対角線、文字、弧、または図形からなるグループより選択された少なくとも一つの形状を有することができる。
【0011】
上記無地部の面積は、電極の全体面積に対して1%〜95%であることができる。
【0012】
上記電極タップは、陰極活物質コーティング層及び陽極活物質コーティング層が形成された領域に位置することができる。
【0013】
上記電極タップは、無地部に位置することができる。
【0014】
本発明の第2具現例によると、上記ゼリーロール型電極組立体と、上記ゼリーロール型電極組立体が収納されたパウチ型外装材と、上記パウチ型外装材に注入された電解液と、を含むパウチ型二次電池が提供される。
【0015】
本発明の第3具現例によると、上記パウチ型二次電池を二つ以上含む電池パックが提供される。
【0016】
本発明の第4具現例によると、上記パウチ型二次電池を一つ以上含むデバイスが提供される。
【0017】
上記デバイスは、携帯電話、携帯用コンピュータ、スマートフォン、スマートパッド、ネットブック、LEV(Light Electronic Vehicle)、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグ−インハイブリッド電気自動車、または電力貯蔵装置であることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の曲がるゼリーロール型電極組立体を用いることにより、集電体表面の電極活物質が脱離するという問題をもたらさず、可逆的に曲がることができるフレキシブルゼリーロール型二次電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】陰極及び陽極が巻取方向に対して垂直方向に形成された二つの無地部を有するゼリーロール型電極組立体を概略的に示したものである。
図2】陰極及び陽極が巻取方向に対して水平方向に形成された一つの無地部を有するゼリーロール型電極組立体を概略的に示したものである。
図3】陰極及び陽極が対角線状の無地部を有するゼリーロール型電極組立体を概略的に示したものである。
図4】陰極及び陽極が弧状の無地部を有するゼリーロール型電極組立体を概略的に示したものである。
図5陰極及び陽極が楕円状の無地部を有するゼリーロール型電極組立体を概略的に示したものである。
図6陰極及び陽極が四角状の無地部を有するゼリーロール型電極組立体を概略的に示したものである。
図7】陰極及び陽極が三角状の無地部を有するゼリーロール型電極組立体を概略的に示したものである。
図8】陰極及び陽極が巻取方向に対して垂直及び水平方向に形成された無地部を有するゼリーロール型電極組立体を概略的に示したものである。
図9】本発明のフレキシブルゼリーロール型二次電池の使用例を概略的に示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、添付の図面を参照し、本発明の好ましい実施例について説明する。しかし、本発明の実施例は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施例に限定されない。また、本発明の実施例は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0021】
本発明は、可逆的に曲がることができるフレキシブルゼリーロール型二次電池に関するものである。一般に、ゼリーロール型二次電池は、陰極、陽極、及び上記陰極と陽極との間に介在した分離膜が積層されてゼリーロール状に巻取されて形成される。上記陰極及び陽極には活物質がコーティングされない無地部11が含まれることができるが、上記無地部11で曲がることにより、電池の短絡が発生せずに可逆的に曲がることができるゼリーロール型二次電池を得ることができる。
【0022】
本発明の第1具現例によると、陰極電流集電体の両面に陰極活物質がコーティングされた陰極活物質コーティング層10a及び電極タップ12aを含む陰極と、陽極電流集電体の両面に陽極活物質がコーティングされた陽極活物質コーティング層10b及び電極タップ12bを含む陽極と、上記陰極と陽極との間に介在した分離膜13と、を含んで巻取して形成され、上記陽極及び陰極は、陰極活物質及び陽極活物質がコーティングされない無地部11を含み、上記無地部11は、巻取されて積層された電極組立体の各陰極及び陽極に対して重なり、ゼリーロールの巻取中心面を基準に前面及び後面で鏡像を形成し、上記無地部で曲がるゼリーロール型電極組立体が提供される。
【0023】
本発明のフレキシブル電池を得るためには、上記陰極電流集電体及び陽極電流集電体の一部領域において活物質コーティング層10a、10bが断絶されるようにすることが好ましい。即ち、各電極の一部領域に電極活物質がコーティングされない無地部11を形成することにより、各電極の電流集電体を露出させる。このとき、上記無地部11は、陰極及び陽極において対応する領域に形成されることが好ましい。
【0024】
このように電極活物質コーティング層10a、10bを有さない無地部11を各電極に形成して電池を曲げる場合、電極活物質がコーティングされない上記無地部11で曲がるようになり、電極活物質の脱離を原則的に防止することができるため、電池内部の短絡を防ぐことができる。また、上記無地部11は可逆性を有するため、フレキシブルな電池を得ることができる。
【0025】
上記無地部11は、望む通り、電池を曲げようとする領域に二つ以上形成されることができる。ただし、上記無地部11が多すぎる場合は、電池容量の減少をもたらす可能性があり、これを補償すべく、より多くの組立電池を積層する必要がある。したがって、上記無地部11の面積は、電極の全体面積に対して1%〜95%の範囲であることが好ましい。上記無地部11が複数個形成される場合は、無地部11の幅が相対的に狭く形成されることが好ましく、その幅は必要に応じて適宜選択することができる。
【0026】
また、上記無地部11は、巻取されて積層された電極組立体の各陰極及び陽極に対して重なることが求められる。このとき、上記無地部11は、ゼリーロールの巻取中心面を基準に前面及び後面で鏡像を形成する必要がある。
【0027】
上記無地部11は、電池の屈曲にあわせて多様に形成されることができる。特に限定されないが、図1のように巻取方向に対して垂直方向に二つの無地部11が形成されることができ、図2のように巻取方向に対して水平方向に無地部11が形成されることもできる。また、図3のように対角線状の無地部11が形成されることもできる。このように、方向及び数に特に制限されず、無地部11を形成することができる。
【0028】
また、巻取されたゼリーロールには、図4から図8のように電極の横または縦方向の中心線を基準に、四角形、三角形、楕円のような多様な形態の多角形、対角線または弧状の図形、鏡像の文字などの形態に無地部11が形成されることによって対称をなすことができ、電極に対する横及び縦方向の中心線が合う地点を中心に円、楕円、または多様な形態の図形が位置して対称を形成することもできる。
【0029】
一方、陰極及び陽極は、電極タップ12a、12bを含むことができる。このとき、上記電極タップ12a、12bは、陰極活物質コーティング層10a及び陽極活物質コーティング層10bが形成された領域に位置したり、無地部11に位置することができる。上記電極タップは、必要に応じて、各電極の同一端部に形成されることができ、相対する端部にそれぞれ形成されることができる。例えば、陰極タップ12aは電極の上端部に形成され、陰極タップ12bは電極の下端部に形成されることができる。また、それとは反対に形成されることもできる。
【0030】
本発明によって得られたゼリーロール型電極組立体を用いることにより、フレキシブルなパウチ型二次電池を得ることができる。上記パウチ型二次電池は、上記電極組立体をパウチ外装材に収納してから密閉した後、パウチ外装材内に電解液を注入して電極を含浸することにより得られることができる。さらに、上記パウチ型二次電池を二つ以上含む電池パックを得ることができる。
【0031】
一方、上記パウチ型二次電池を含むデバイスを提供する。上記デバイスは、携帯電話、携帯用コンピュータ、スマートフォン、スマートパッド、ネットブック、LEV(Light Electronic Vehicle)、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグ−インハイブリッド電気自動車、または電力貯蔵装置であることができる。
【0032】
本発明のゼリーロール型電極組立体は、多様な形態に曲がったり、折れることができるため、これを用いて多様な形態の二次電池を製造することができる。これに限定されないが、下記図9に示されているように、内部に空き空間が形成された4角柱状のフレキシブル二次電池を製造する場合、電子製品の外郭に二次電池が位置し、内部に部品が位置するように製品を構成することができる。このように、本発明のフレキシブル二次電池を用いることにより、空間を多様に活用することができる。
【0033】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有するものには明らかである。
【符号の説明】
【0034】
10a 陰極活物質コーティング層
10b 陽極活物質コーティング層
11 無地部
12a、12b 電極タップ
13 分離膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9