(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の成形材料は、
(A)長さ5mm以上の炭素繊維からなる繊維基材、(B)エポキシ(メタ)アクリレート樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂の少なくともいずれか、(C)アスペクト比が2.0以上であり、長さ3mm未満である(すなわち長さ3mm以上の成分を含まない)、(C−1)断面積0.8μm
2以上の繊維状無機充填剤、又は(C−2)断面積0.05μm
2以上の鱗片状無機充填剤、及び(D)ポリイソシアネート化合物、を含む。以下、各構成要件につき詳細に説明する。
【0013】
(A)長さ5mm以上の炭素繊維からなる繊維基材
本発明の成形材料は、(A)長さ5mm以上の炭素繊維からなる繊維基材(以下「成分(A)」と称す)を含有する。
成分(A)を構成する炭素繊維としては、例えばポリアクリロニトリル(PAN)系、レーヨン系、及びピッチ系の炭素繊維が挙げられる。これらの中でも圧縮強度に優れることからPAN系炭素繊維が好ましい。
成分(A)の形態は、炭素繊維束(トウ)を特定の長さに切断してなる短繊維束であってもよく、また連続繊維を一方向に引き揃えた形態、連続繊維を経緯にして織物とした形態、トウを一方向に引き揃え横糸補助糸で保持した形態、複数枚の一方向の強化繊維のシートを異なる方向に重ねて補助糸で留めてマルチアキシャルワープニットとした形態、不織布などであってもよい。
特に、前記成分(A)として炭素繊維トウを特定の長さに切断してなる短繊維束を使用し、これを含む成形材料、すなわちSMCとすることが好ましい。一般に、SMCを用いて作製された繊維強化複合材料は、プリプレグ等を用いて作製させた繊維強化複合材料より機械的特性に劣る傾向があるが、本発明により機械的特性を効果的に向上させることができる。
【0014】
また、成分(A)として炭素繊維トウを特定の長さに切断してなる短繊維束と、前述した他の形態の炭素繊維基材を併用することもできる。併用することにより、SMCとプリプレグの長所を併せ持つ成形材料とすることができ、例えば細かい凹凸部を有する大型の成形品を作製する際に、成形品全体の機械的特性を向上させることができる。
成分(A)を構成する炭素繊維の長さは5mm以上であり、好ましくは10mm以上である。
成分(A)として、特定の長さに切断してなる炭素繊維の短繊維束を使用する場合には、前記短繊維は5mm以上60mm以下であることが好ましい。5mm以上とすることにより、これを含む成形材料を用いて作製される繊維強化複合材料が、高い機械的特性を有することができる。60mm以下とすることにより、例えば成形材料をプレス成形する際に良好な流動性が得られるので好ましい。一般にSMCに使用される強化繊維の長さとすることが好ましく、より好ましくは25mm以下である。
成分(A)として、特定の長さに切断してなる炭素繊維の短繊維束を使用する場合、成形材料中に、好ましくは前記短繊維束の目付けが50mg/m以上4000mg/m以下、より好ましくは1000mg/m以上4000mg/m以下の束として二次元ランダムに分布し堆積している。短繊維束の目付けは、原料とした炭素繊維トウの目付がそのまま、もしくは、それが分割されることにより決定される。短繊維束の目付が、50mg/m以上4000mg/m以下であれば、より均一で高物性の成形品が得られるので好ましい。特に、短繊維束の目付が1000mg/m以上の場合、本発明の成形材料を硬化して得られる繊維強化複合材料の弾性率はより高くなるため好ましい。
本発明の成形材料における成分(A)の含有量は、30質量%以上70質量%以下であることが好ましく、40質量%以上60質量%以下であることがより好ましい。30質量%以上とすることにより、得られる繊維強化複合材料の機械的特性の向上効果が顕著になり、また70質量%以下とすることで、成形材料をプレス成形する際に良好な流動性が得られるので好ましい。
【0015】
(B)エポキシ(メタ)アクリレート樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂
本発明の成形材料は、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂のうち少なくとも一方(以下「成分(B)」と称する)を含有する。
本発明の成形材料における成分(B)の含有量は、30質量%以上70質量%以下であることが好ましく、40質量%以上60質量%以下であることがより好ましい。30質量%以上とすることにより、成形材料が十分な流動性を有し、成形性が良好となるため好ましく、また70質量%以下とすることで、得られる繊維強化複合材料の機械的特性が十分高くなるため好ましい。
【0016】
(B−1)エポキシ(メタ)アクリレート樹脂
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、エポキシ樹脂成分と不飽和一塩基酸成分との反応から得られる不飽和酸エポキシエステルである。エポキシ樹脂成分としては1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物が使用され、例えば、ビスフェノールA、ビスフノールF、ブロム化ビスフェノールAで代表されるビスフェノール化合物を主骨格としたジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノールもしくはクレゾールノボラック、ブロム化フェノールノボラックで代表される多核フェノール化合物を主骨格としたポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ダイマー酸、トリメリット酸で代表される有機多塩基酸を主骨格とするポリグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ビスフェノールAのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイド付加物、グリコール、及び水添ビスフェノールA等のジオール化合物を主骨格としたグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、などのエポキシ樹脂が挙げられる。これらのエポキシ樹脂はエポキシ樹脂成分として単独又は併用で使用することができる。
【0017】
不飽和基一塩基酸成分としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ソルビン酸などの重合性不飽和基を持つ一塩基酸が挙げられ、これらの重合性不飽和基を持つ一塩基酸は不飽和基一塩基酸成分として単独又は併用で使用することができる。
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、特定の樹脂を単独で使用してもよく、また複数種の樹脂を併用してもよい。
【0018】
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、一般に、反応性希釈剤としてスチレン等の重合性ビニル単量体を添加して使用される。
市販されているエポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、「エポキシエステル3002M」、「エポキシエステル3000M」(以上、共栄社化学(株)の製品)などが挙げられ、反応性希釈剤としてスチレンが添加された市販製品としては、「ネオポール8051」、「ネオポール8101」(以上、日本ユピカ(株)の製品)などが挙げられる。
【0019】
(B−2)不飽和ポリエステル樹脂
不飽和ポリエステル樹脂は、α,β−オレフィン系不飽和ジカルボン酸と2価のグリコールとの縮合で合成されるものである。前記ポリエステルの合成には、これら2成分のほかに飽和ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸あるいはジカルボン酸と反応するジシクロペンタジエンなども併用することができる。
α,β−オレフィン系不飽和カルボン酸の例としては、例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、およびこれらジカルボン酸の無水物が挙げられる。これらα,β−オレフィン系ジカルボン酸と併用されるジカルボン酸の例としては、例えばアジピン酸、セバシル酸、コハク酸、グルコン酸、フタル酸無水物、o−フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラクロロフタル酸などが挙げられる。
2価のグリコールとしては、例えばアルカンジオール、オキサアルカンジオール、ビスフェノールAにエチレンオキシドやプロピレンオキシドなどのアルキレンオキサイドを付加したジオール等が用いられる。これに加えてモノオールや3価トリオールを用いてもよい。
アルカンジオールの例としては、例えばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオールなどが挙げられる。オキサアルカンジオールとしては、例えばジオキシエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール等が挙げられる。これらグリコールと併用される1価あるいは3価のアルコールとしては、例えばオクチルアルコール、オレイルアルコール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
不飽和ポリエステル樹脂は、特定の樹脂を単独で使用してもよく、また複数種の樹脂を併用してもよい。
不飽和ポリエステル樹脂も、前述のエポキシ(メタ)アクリレート樹脂と同様、一般に、反応性希釈剤としてスチレン等の重合性ビニル単量体を添加して使用される。
【0020】
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂または不飽和ポリエステル樹脂を単独で使用してもよいし、両者を併用してもよい。併用する場合、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂と不飽和ポリエステル樹脂の配合量は、各々の樹脂の種類により適宜選択すればよいが、質量比で、通常1:4〜4:1、好ましくは1:2〜2:1である。
【0021】
(C)アスペクト比が2.0以上であり、長さ3mm未満である(すなわち長さ3mm以上の成分を含まない)無機充填剤
本発明の成形材料は、(C)アスペクト比が2.0以上であり、長さ3mm以上の成分を含まない無機充填剤(以下「成分(C)」と称することがある)を含有する。
成分(C)は、以下の(C−1)及び(C−2)のいずれかである。
(C−1)断面積0.8μm
2以上の繊維状無機充填剤
(C−2)断面積0.05μm
2以上の鱗片状無機充填剤
成分(C)は後述するように、本発明の成形材料の機械的特性を向上させる効果を有する。なお(C−1)及び(C−2)は、各々単独で使用してもよく、両者を併用してもよい。
一般に、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂や不飽和ポリエステル樹脂を含むSMCは、マトリックス樹脂組成物を強化繊維基材に含浸させた後、酸化マグネシウムやポリイソシアネート化合物等の増粘剤により増粘させて製造する。本発明者らの検討によると、本発明における成分(C)は、酸化マグネシウムにより増粘される成形材料に配合しても、得られる繊維強化複合材料の機械的特性を向上させる効果を有しないが、ポリイソシアネート化合物により増粘される成形材料に配合すると、得られる繊維強化複合材料の機械的特性が大きく向上することが判明した。
【0022】
その理由としては、例えば、
・酸化マグネシウムにより増粘させた成形材料を用いて作製された繊維強化複合材料は、ポリイソシアネート化合物により増粘させた成形材料を用いて作製されたものより脆い傾向があり、成分(C)による機械的特性向上効果が発揮される前に複合材料自体が破壊してしまう、
・例えば成分(C)として炭素繊維からなる無機充填剤を使用した場合。ポリイソシアネート化合物は炭素繊維表面に存在する極性基と反応可能である。そのため、ポリイソシアネート化合物を含むマトリックス樹脂組成物と、成分(C)とは高い接着性を有する、
・例えば成分(C)として炭素繊維からなる無機充填剤を使用した場合。増粘工程において、ポリイソシアネート化合物と成分(B)が有する水酸基との反応により生じるウレタン結合は、炭素繊維との良好な接着性を有する。従って、ポリイソシアネート化合物を含むマトリックス樹脂組成物と、成分(C)とは高い接着性を有することなどが考えられ、結果として後述する(D)ポリイソシアネート化合物を含む成形材料において、得られる繊維強化複合材料の強度・弾性率等の機械的特性の向上効果が得られると考えられる。
また成分(C)は、これを含む成形材料により得られる繊維強化複合材料の機械的特性のバラつきを低減し、高品質の成形品を再現性よく製造することができる。
【0023】
成分(C)のアスペクト比は、繊維強化複合材料の弾性率向上効果の観点から、通常2.0以上であり、好ましくは3.0以上、より好ましくは4.0以上である。また成分(C)は長さ3mm以上の成分を含まないが、成形材料の製造工程における工程通過性の点から、長さ1mm以上の成分を含まないことが好ましい。
本発明の成形材料における成分(C)の含有量は、好ましくは0.2質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは0.2質量%以上10質量%以下、特に好ましくは0.4質量%以上8質量%以下、最も好ましくは0.4質量%以上6質量%以下である。20質量%以下とすることにより、成形材料における成分(A)への他成分の含浸性が良好になり、また成形材料が十分な流動性を有するため成形性が良好になる。また0.2質量%以上とすることにより、上述した繊維強化複合材料の機械的特性の向上効果や、特性のばらつき低減効果が十分奏される。
【0024】
(C−1)断面積0.8μm
2以上の繊維状無機充填剤
本発明における成分(C)として、(C−1)断面積0.8μm
2以上の繊維状無機充填剤(以下「成分(C−1)」と称することがある)が挙げられる。
繊維強化複合材料において、引張りまたは圧縮により発生する応力は、繊維状無機充填剤に働く荷重をその繊維状無機充填剤の断面積で除したものになる。そのため、断面積を大きくして強度・弾性率を向上させる観点から、成分(C−1)断面積は0.8μm
2以上であることが好ましい。より好ましくは20μm
2以上である。
また、成形材料の製造工程におけるプロセス通過性の点から、断面積は190000μm
2以下であることが好ましく、320μm
2以下がより好ましく、260μm
2以下が特に好ましい。
【0025】
なお繊維状無機充填剤の断面積は、繊維の半径RからπR
2で算出される。
【0026】
成分(C−1)の素材は、無機充填剤として通常使用されるものであれば特に制限は無く、例えばガラス繊維、炭素繊維、アルミニウム繊維、チタン酸カリウム繊維などを必要に応じて微細に粉砕したものや、窒化ケイ素ウィスカー、アルミナウィスカー、炭化ケイ素ウィスカー、ニッケルウィスカー等の針状結晶等が挙げられる。
これらの中でも、先に説明したポリイソシアネート樹脂やウレタン結合部分との接着性の観点から炭素繊維が特に好ましく、より具体的には炭素繊維ミルドファイバーが特に好ましい。なお、炭素繊維はPAN系及びピッチ系のいずれであってもよい。
成分(C−1)は、重量平均繊維長が210μm以下であって、繊維長350μm以下の繊維の含有率が85質量%以上であることが特に好ましい。成分(C−1)の重量平均繊維長を210μm以下とし、かつ繊維長350μm以下の繊維の含有率を85質量%以上とすることにより、成形材料における均一な分散が容易になり、また得られる繊維強化複合材料の機械的特性の向上や、物性のバラつき低減につき高い効果が得られる。さらに後述する成形材料の製造においても、ドクターブレード等、一般的な装置を用いた製造プロセスへの適応性が高く、産業上も好ましい。
重量平均繊維長を100μm以下とし、かつ繊維長350μm以下の繊維の含有率を95質量%以上とすることが特に好ましい。
【0027】
(C−2)断面積0.05μm
2以上の鱗片状無機充填剤
本発明における成分(C)として、(C−2)断面積0.05μm
2以上の鱗片状無機充填剤(以下「成分(C−2)」と称することがある)が挙げられる。
繊維強化複合材料において、引張りまたは圧縮で発生する応力は、鱗片状無機充填剤に働く荷重をその鱗片状無機充填剤の断面積で除したものになる。そのため、断面積を大きくして強度・弾性率を向上させる観点から、断面積は0.05μm
2以上であることが好ましい。鱗片状無機充填剤は、これを含む繊維強化複合材料を二次元的に補強可能であるため、比較的小さな断面積を持つものでも、高い効果を奏する。断面積として、より好ましくは0.2μm
2以上である。
また成形材料の製造工程におけるプロセス通過性の点から、断面積は500000μm
2以下であることが好ましく、100μm
2以下がより好ましく、1μm
2以下が特に好ましい。
【0028】
なお鱗片状無機充填剤の断面積は、平均粒径bと厚みhの積(bh)で算出される。
【0029】
成分(C−2)の素材は、無機充填剤として通常使用されるものであれば特に制限は無く、例えばタルク、マイカ、クレー、ガラスフレーク、硫酸カルシウム、水酸化アルミニウム、ベーマイト等が挙げられる。中でも繊維強化複合材料の機械的特性向上効果が高い点から、ベーマイトが特に好ましい。
【0030】
(D)ポリイソシアネート化合物
本発明の成形材料において、ポリイソシアネート化合物(以下「成分(D)」と称することがある)は増粘剤として作用する。
ポリイソシアネート化合物としては、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどのジイソシアネートあるいは多官能のポリイソシアネート、あるいは水酸基を持ったポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールとジイソシアネート化合物との反応により得られる末端にイソシアネート基を有するイソシアネートプレポリマーなどが挙げられる。
【0031】
ポリイソシアネート化合物の含有量は、(B−1)エポキシ(メタ)アクリレート樹脂または(B−2)不飽和ポリエステル樹脂に含まれるエポキシアクリレートの水酸基1個に対してポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の数が0.1個以上1.5個以下、好ましくは0.5個以上1.2個以下の範囲である。
成形材料中の成分(D)を十分に増粘させるためには、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の数が0.1個以上であることが好ましい。また余分なイソシアネート基が水分と反応して発泡するのを防ぎ、成形後に発泡が成形物(すなわち繊維強化複合材料)内部に残らないために、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の数が1.5個以下であることが好ましい。
なお、本発明の成形材料における成分(D)の含有量は、通常5質量%以上20質量%以下程度となる。
【0032】
(E)重合開始剤
本発明の成形材料は、必要に応じて、通常のエポキシ(メタ)アクリレート樹脂や不飽和ポリエステル樹脂の硬化の際に使用される、重合開始剤および硬化促進剤を含んでいてもよい。
本発明に使用される重合開始剤としては、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキイシイソプロピルカーボネート、メチルエチルケトンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物が挙げられる。重合開始剤は1種を用いても、複数種を併用しても良い。
重合開始剤の使用量は、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂組成物100重量部に対して、0.1重量部以上5重量部以下が好ましく、より好ましくは0.5重量部以上3重量部以下である。
【0033】
(F)その他添加物
本発明の成形材料は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記成分(C)以外の無機充填剤、内部離型剤、安定剤(重合禁止剤)、顔料、着色料等の添加物を含むことができる。
【0034】
成分(C)以外の無機充填剤の種類は、特に制限は無く、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、シリカ、溶融シリカ、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、リン酸カルシウム、タルク、マイカ、クレー、ガラスパウダー等の公知の材料を使用することができ、これらは2種以上を併用することができる。
無機充填剤の含有量は軽量化の点から必要最小限の添加にすることが望ましい。
【0035】
内部離型剤の種類には、特に制限は無い。例えばステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩や、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム等の界面活性剤など公知の材料を使用することができる。
【0036】
(成形材料の製造方法)
本発明の成形材料の製造方法に特に制限は無く、前記成分(B)、(C)、(D)、及び必要に応じて成分(E)ほか任意の成分を含む樹脂組成物を調製し、これを成分(A)に含浸させ、一定期間保持して増粘させることにより得ることが出来る。
中でも、成分(A)として成分(A)’:長さ5mm以上60mm以下の炭素繊維からなる短繊維束、を含有する成形材料は、以下の方法で製造することが好ましい。
すなわち、成分(A)’:長さ5mm以上60mm以下の炭素繊維からなる短繊維束と、成分(B):エポキシ(メタ)アクリレート樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂の少なくともいずれかと、成分(C):アスペクト比が2.0以上であり、長さ3mm未満である無機充填剤と、成分(D):ポリイソシアネート化合物とを含む成形材料を製造するに際し、前記成分(B)、(C)及び(D)を混合して樹脂組成物を調製する工程、ドクターブレードを用いて前記樹脂組成物をキャリアフィルム上に塗布し、樹脂組成物層を形成する工程、前記樹脂組成物層の表面に、前記成分(A)’を散布する工程、前記成分(A)’が散布された樹脂組成物層の表面に、前記樹脂組成物層が設けられた他のキャリアフィルムを、前記樹脂組成物層が対向するように積層し、積層フィルムを作製する工程、前記積層フィルムを加圧し、前記成分(A)’に前記樹脂組成物を含浸させる工程、及び含浸後の前記積層フィルムをほぼ等温で保持し、前記樹脂組成物を増粘させる工程を含む、成形材料の製造方法が好ましい。
このような製造方法は、例えば
図1に示されるようなSMCマシーン等の公知の装置にて実施することができる。詳しくは、前記樹脂組成物層の表面に、前記成分(A)’を散布して、二次元ランダムに配向した短い炭素繊維束が堆積したシートを作製し、これに樹脂組成物を含浸させ、その後に10℃以上50℃以下の温度で数日間熟成し、増粘させることで成形材料を製造することができる。
【0037】
図1に示されるようなSMCマシーンを用いる場合は、樹脂組成物は成分(A)’への含浸が可能でありかつキャリアフィルム2の脇から液ダレが起こらないような粘度であることが好ましい。また熟成後、すなわちほぼ等温で保持し、増粘させた後の樹脂組成物の粘度は、キャリアフィルムを容易に剥がすことができるような粘度であることが好ましい。
【実施例】
【0038】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は実施例に限定されるものではない。また実施例および比較例の結果をまとめたものを表1〜5に記載する。
【0039】
・炭素繊維ミルドファイバーの製造
(製造例1)
フィラメント数が60000本(60K)の炭素繊維束(三菱レイヨン株式会社製 製品名:TRH50 60M、単繊維の断面積28.3μm
2)を5本束ねて10mm長にカットした。これを、スクリーン径1mmを設置した連続ミル装置(セイシン企業製 製品名:オリエントミルVM−32)に供給量50kg/hで供給し、風量30m
3/分の排出量で排出して、炭素繊維ミルドファイバー(M1)を得た。
【0040】
(製造例2)
炭素繊維束を5本束ねて30mm長にカットし、スクリーン径を3mmとした以外は、製造例1と同様にして、炭素繊維ミルドファイバー(M2)を得た。
【0041】
(製造例3)
供給量を25kg/hとした以外は製造例2と同様にして、炭素繊維ミルドファイバー(M3)を得た。
【0042】
・繊維長分布の測定
得られた炭素繊維ミルドファイバーを約50mg秤量分取し、約15gのエタノール中に投入後、攪拌して分散させた。得られた分散液から速やかに2mlを取り、内部の直径50mmのシャーレに移して静置し、炭素繊維ミルドファイバーが十分に沈殿したのちに、実体顕微鏡(Olympus製、SZX12)を用いて、エタノール中に沈殿した炭素繊維ミルドファイバーを50倍に拡大した画像を、透過光照明によって撮影した。
撮影した画像を、画像解析ソフト(三谷商事株式会社製二次元画像解析ソフトウェア、WinROOF)を用いて以下の手順で解析した。
画像における黒線(炭素繊維ミルドファイバーに含まれる個々の炭素繊維短繊維を示す)を直線であると規定し、画像解析ソフトの針状分離機能によって、画面内のすべての黒線(i)の長さLi(単位はμm)を定義した。但し、画面の端と接触している黒線は、長さを定義する対象としなかった。
シャーレ内の重複しない任意の5か所について同様の顕微鏡画像撮影及び画像解析を実施した。
5か所分の画像に含まれる長さを定義したすべての黒線(i)の長さLiのリストから、繊維長の質量積算分布を求めるとともに、式(1)を用いて炭素繊維ミルドファイバーの重量平均繊維長Lwを算出した。
【0043】
【数1】
但し、式(1)において記号Σは、長さを定義する対象とした全ての黒線について総和を求めることを意味する。
【0044】
製造例1〜3でそれぞれ得られた炭素繊維ミルドファイバー(M1〜M3)と、日本ポリマー産業株式会社製の炭素繊維ミルドファイバー(製品名:MP30X)の質量積算分布図を
図2に示す。各炭素繊維ミルドファイバーの重量平均繊維長と350μ以下の繊維の含有率は以下のとおりである。なお、いずれも長さ3mm以上の繊維を含まない。
炭素繊維ミルドファイバー(M1): 192μm 85質量%
炭素繊維ミルドファイバー(M2): 256μm 80質量%
炭素繊維ミルドファイバー(M3): 301μm 73質量%
炭素繊維ミルドファイバー(MP30X): 95μm 99質量%
【0045】
(実施例1)
・樹脂ペースト(樹脂組成物)の調製
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(日本ユピカ株式会社製、製品名:ネオポール8051。ビスフェノールAジグリシジルエーテルのメタクリル酸付加物)100質量部、硬化剤として1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサンの75%溶液(日本油脂株式会社製、製品名:パーヘキサC−75(EB))0.5質量部とt−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートの74%溶液(化薬アクゾ株式会社製、製品名:カヤカルボンBIC−75)0.5質量部、内部離型剤としてリン酸エステル系誘導体組成物(アクセルプラスチックリサーチラボラトリー社製、製品名:MOLD WIZ INT−EQ−6)0.35質量部、増粘剤として変性ジフェニルメタンジイソシアネート(三井化学株式会社製、製品名:コスモネートLL)15.5質量部、安定剤として1,4−ベンゾキノン0.02質量部、および炭素繊維ミルドファイバー(M1)5質量部をそれぞれ用いて、それらを十分に混合撹拌し樹脂ペーストを得た。
【0046】
・SMCの製造
得られた樹脂ペーストをドクターブレードを用いてポリエチレン製のキャリアフィルム上に厚さ1.0mmになるように塗布し、その上に、フィラメント数が15000本の炭素繊維束(三菱レイヨン株式会社製、TR50S 15L)を長さ25mmにチョップしたものを炭素繊維の目付が略均一になるように、かつ、チョップした炭素繊維の方向がランダムになるように散布した。さらに、同じ樹脂ペーストを厚さ1.0mmになるように塗布した、もう一方のポリエチレン製のキャリアフィルムとで樹脂ペースト側を内にして挟み込み、ロールの間を通して押圧して、樹脂ペーストを炭素繊維束に含浸させSMC前駆体を得た。得られたSMC前駆体を室温(23℃)にて72時間静置することにより、SMC前駆体中の樹脂ペーストを十分に増粘させて、炭素繊維束にエポキシアクリレート樹脂組成物が良好に含浸したSMCを得た。得られたSMCに対する炭素繊維ミルドファイバーを除く炭素繊維の含有率は50質量%であった。
【0047】
なお、SMCの製造に関し、以下の基準で評価した。
a:ドクターブレードを用いて、キャリアフイルム上に均一厚さで樹脂ペーストの塗布が出来ている。
b:ドクターブレードの樹脂溜まり内で炭素繊維ミルドファイバーの一部が濃縮されて、ドクターブレードの隙間を通過できなかったため、キャリアフイルム上に均一厚さで樹脂ペーストの塗布が出来ていない。
また、樹脂ペーストを炭素繊維束に含浸させSMC前駆体を得た際に、含浸性を目視と触感で評価した。評価基準は以下のとおりである。
A:樹脂ペーストが、炭素繊維束に十分に含浸している。
B:樹脂ペーストが、炭素繊維束に部分的に含浸していない。
C:樹脂ペーストが炭素繊維束に含浸していない。
【0048】
・平板状のCFRP成形体の成形
得られたSMCを、成形用金型にチャージ率(金型面積に対するSMCの面積の割合)65%でチャージし、金型温度140℃、圧力8MPaの条件で2分間加熱加圧硬化させ、厚さ2mm、300mm角の平板状のCFRP成形体(成形板)を得た。
【0049】
・成形板の機械特性の測定
得られた成形板より、長さ100mm、幅25mmの曲げ強度試験片を切り出した。5kNインストロン万能試験機を用い、L/D=40、クロスヘッド速度5mm/分で3点曲げ試験を実施した。5本の試験片について測定し、それぞれ求めた曲げ強度と弾性率の平均値を成形板の曲げ強度と弾性率とした。さらに標準偏差を平均値で割って変動係数(CV(%))を求めた。成形板の曲げ強度は375MPa(変動係数18.4%)、曲げ弾性率は26GPa(変動係数10.3%)と、良好な曲げ特性が得られた。
【0050】
(実施例2)
炭素繊維ミルドファイバー(M1)に代えて炭素繊維ミルドファイバー(MP30X)を用いた以外は、実施例1と同様にしてSMCを得て、平板状のCFRP成形体を成形し、成形板の機械特性を評価した。成形板の曲げ強度は338MPa(変動係数21%)、曲げ弾性率は26.4GPa(変動係数17%)と、良好な曲げ特性が得られた。
【0051】
(比較例1)
炭素繊維ミルドファイバーを用いずに樹脂ペーストを調製した以外は、実施例1と同様にしてSMCを得て、平板状のCFRP成形体を成形し、成形板の機械特性を評価した。曲げ強度は274MPa(変動係数26.1%)、曲げ弾性率は19.8GPa(変動係数21.6%)の曲げ特性が得られた。
【0052】
(比較例2)
エポキシアクリレート樹脂としてMgO増粘型エポキシアクリレート樹脂(日本ユピカ株式会社製、製品名:ネオポール8026)100質量部、内部離型剤としてステアリン酸亜鉛(日本油脂株式会社製、製品名:ジンクステアレート)2質量部、増粘剤として酸化マグネシウム(協和化学製、製品名:キョウワマグ#150)6質量部を用いた他は実施例1と同様にしてSMCを得て、平板状のCFRP成形体を成形し、成形板の機械特性を評価した。曲げ強度は263MPa(変動係数10.6%)、曲げ弾性率は22.7GPa(変動係数12.0%)の曲げ特性が得られた。
【0053】
(比較例3)
炭素繊維ミルドファイバーを用いなかった以外は、比較例2と同様にしてSMCを得て、平板状のCFRP成形体を成形し、成形板の機械特性を評価した。曲げ強度は272MPa(変動係数15.9%)、曲げ弾性率は23.8GPa(変動係数17.8%)の曲げ特性が得られた。
【0054】
(比較例4)
炭素繊維ミルドファイバーを用いず、得られたSMCにおける、炭素繊維ミルドファイバーを除く炭素繊維の含有率を52質量%とした以外は、実施例1と同様にして(即ち、実施例1における炭素繊維ミルドファイバーを、同量の炭素繊維チョップドファイバーに置き換えて)SMCを調製した。得られたSMCを用いて、平板状のCFRP成形体を成形し、成形板の機械特性を評価した。曲げ強度は325MPa(変動係数17.1%)、曲げ弾性率は22.1GPa(変動係数12.6%)の曲げ特性が得られた。
【0055】
実施例1、実施例2、比較例1〜比較例4の結果を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
(実施例3)
炭素繊維ミルドファイバー(MP30X)と炭素繊維ミルドファイバー(M3)を質量比50:50で均一に混合して、炭素繊維ミルドファイバー(M4)(重量平均繊維長198μm、繊維長350μm以下が86質量%)を得た。
・樹脂ペーストの調整
炭素繊維ミルドファイバーとして、得られた炭素繊維ミルドファイバー(M4)を用いたほかは実施例1と同様にして、樹脂ペーストを得、これを用いてSMCを製造した。
得られたSMCを用いて、実施例1と同様に平板状のCFRP成形体を成形し、成形板の機械特性を評価した。結果を表2に示す。
【0058】
(実施例4〜6)
炭素繊維ミルドファイバー(MP30X)、(M1)及び(M2)を用い、表2に記載の混合比率(質量比)で各々均一に混合し、炭素繊維ミルドファイバー(M8)、(M9)及び(M10)を調製した。
得られた炭素繊維ミルドファイバー(M8)、(M9)及び(M10)を用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂ペーストを得、これを用いてSMCを製造した。
得られたSMCを用いて、実施例1と同様に平板状のCFRP成形体を成形し、成形板の機械特性を評価した。結果を表2に示す。
【0059】
【表2】
【0060】
(実施例7〜11)
炭素繊維ミルドファイバー(M1)の量を表3に記載の通り変更した以外は、実施例1と同様にして樹脂ペーストを得、これを用いてSMCを製造した。
得られたSMCを用いて、実施例1と同様に平板状のCFRP成形体を成形し、成形板の機械特性を評価した。結果を表3に示す。
【0061】
【表3】
【0062】
(実施例12)
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(日本ユピカ株式会社製、製品名:ネオポール8051。ビスフェノールAジグリシジルエーテルのメタクリル酸付加物)の量を65質量部とし、不飽和ポリエステル樹脂(日本ユピカ株式会社製、製品名:ユピカ7579。)を35質量部配合した以外は、実施例1と同様にして樹脂ペーストを得、これを用いてSMCを製造した。
得られたSMCを用いて、実施例1と同様に平板状のCFRP成形体を成形し、成形板の機械特性を評価した。結果を表4に示す。
【0063】
(比較例5)
炭素繊維ミルドファイバーを用いずに樹脂ペーストを調製した以外は、実施例12と同様にしてSMCを得て、平板状のCFRP成形体を成形し、成形板の機械特性を評価した。結果を表4に示す。
【0064】
(実施例13)
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(日本ユピカ株式会社製、製品名:ネオポール8051。ビスフェノールAジグリシジルエーテルのメタクリル酸付加物)の代わりに、不飽和ポリエステル樹脂(日本ユピカ株式会社製、製品名:ユピカ7579。)を100質量部配合した以外は、実施例1と同様にして樹脂ペーストを得、これを用いてSMCを製造した。
得られたSMCを用いて、実施例1と同様に平板状のCFRP成形体を成形し、成形板の機械特性を評価した。結果を表4に示す。
【0065】
(比較例6)
炭素繊維ミルドファイバーを用いずに樹脂ペーストを調製した以外は、実施例13と同様にしてSMCを得て、平板状のCFRP成形体を成形し、成形板の機械特性を評価した。結果を表4に示す。
【0066】
【表4】
【0067】
〔成形材料の製造方法に関する比較例〕
(比較例7)
・樹脂ペーストの調整
炭素繊維ミルドファイバー(M1)に替えて炭素繊維ミルドファイバー(M2)を用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂ペーストを得た。
・SMCの製造
樹脂ペーストをドクターブレードを用いてポリエチレン製のキャリアフィルム上に厚さ1.0mmになるように塗布したが、ドクターブレードの樹脂溜まり内で炭素繊維ミルドファイバーの一部がドクターブレードの隙間を通過できず、ポリエチレン製のキャリアフィルム上への樹脂ペーストの塗布が困難で、良好な炭素繊維強化シートモールディングコンパウンドを得ることが出来なかった。
【0068】
(比較例8)
・樹脂ペーストの調整
炭素繊維ミルドファイバー(M1)に替えて炭素繊維ミルドファイバー(M3)を用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂ペーストを得た。
・SMCの製造
樹脂ペーストをドクターブレードを用いてポリエチレン製のキャリアフィルム上に厚さ1.0mmになるように塗布したが、ドクターブレードの樹脂溜まり内で炭素繊維ミルドファイバーの一部がドクターブレードの隙間を通過できず、良好な炭素繊維シートモールディングコンパウンドを得ることが出来なかった。
【0069】
(比較例9)
炭素繊維ミルドファイバー(MP30X)と炭素繊維ミルドファイバー(M3)を質量比40:60で均一に混合して、炭素繊維ミルドファイバー(M5)(重量平均繊維長219μm、繊維長350μm以下が83.4質量%)を得た。
・樹脂ペーストの調整
炭素繊維ミルドファイバーとして、得られた炭素繊維ミルドファイバー(M5)を用いたほかは実施例1と同様にして、樹脂ペーストを得た。
・SMCの製造
樹脂ペーストをドクターブレードを用いてポリエチレン製のキャリアフィルム上に厚さ1.0mmになるように塗布したが、ドクターブレードの樹脂溜まり内で炭素繊維ミルドファイバーの一部が濃縮されてドクターブレードの隙間を通過できなかった。
【0070】
(比較例10)
炭素繊維ミルドファイバー(M1)と炭素繊維ミルドファイバー(M3)を質量比90:10で均一に混合して、炭素繊維ミルドファイバー(M6)(重量平均繊維長203μm、繊維長350μm以下が83.8質量%)を得た。
・樹脂ペーストの調整
炭素繊維ミルドファイバーとして、得られた炭素繊維ミルドファイバー(M6)を用いたほかは実施例1と同様にして、樹脂ペーストを得た。
・SMCの製造
樹脂ペーストをドクターブレードを用いてポリエチレン製のキャリアフィルム上に厚さ1.0mmになるように塗布したが、ドクターブレードの樹脂溜まり内で炭素繊維ミルドファイバーの一部が濃縮されてドクターブレードの隙間を通過できなかった。
【0071】
(比較例11)
炭素繊維ミルドファイバー(MP30X)と炭素繊維ミルドファイバー(M2)を質量比27:73で均一に混合して、炭素繊維ミルドファイバー(M7)(重量平均繊維長213μm、繊維長350μm以下が85.1質量%)を得た。
・樹脂ペーストの調整
炭素繊維ミルドファイバーとして、得られた炭素繊維ミルドファイバー(M7)を用いたほかは実施例1と同様にして、樹脂ペーストを得た。
・SMCの製造
樹脂ペーストをドクターブレードを用いてポリエチレン製のキャリアフィルム上に厚さ1.0mmになるように塗布したが、ドクターブレードの樹脂溜まり内で炭素繊維ミルドファイバーの一部が濃縮されてドクターブレードの隙間を通過できなかった。
【0072】
【表5】
【0073】
本発明の成形材料は、増粘剤として酸化マグネシウムを用いた場合、もしくは特定形状の無機充填剤を用いない場合に比べて、強度および弾性率において優れた繊維強化複合材料を、再現性良く作製することができる。