(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【実施例】
【0012】
本発明の炭素材料は、フェノール類化合物とアルデヒド類化合物とを水と親水性有機溶媒の複数混合溶媒を用いてゾル−ゲル反応により重合させて有機ヒドロキシゲルを合成するゲル化工程、有機ヒドロキシゲルの乾燥工程、及び、当該有機ヒドロキシゲルを炭素化させる工程により製造される。以下にそれぞれの工程について説明する。
【0013】
本発明のゲル化工程は、フェノール類化合物とアルデヒド類化合物とを水と有機溶媒の混合溶媒中でゾルーゲル法により重合させて有機ヒドロキシゲルを合成する工程である。本発明で用いられるフェノール類化合物としては、いずれの価数のものも用いることができる。一価フェノール類化合物ではフェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、チモール、ナフトール、二価フェノール類化合物ではレゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、ジヒドロキシナフタレン、三価フェノール類化合物ではピロガロール、フロログルシロール等があげられる。このうち、一価フェノール類化合物、より好ましくはフェノールの使用が生産性を高めるうえで好ましい。
【0014】
本発明で用いられるアルデヒド類化合物としては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、サリチルアルデヒド、ベンズアルデヒド等などがあげられる。このうち、反応性の高さからホルムアルデヒドを用いることが好ましい。アルデヒド類は予め水溶媒等に溶解させた原料を使用してもかまわない。
【0015】
本発明で用いられる有機溶媒としては、水に混和できる親水性有機溶媒であれば好ましく、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、ギ酸、1-ブタノール、酢酸、アセトン、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド等があげられる。このうち、汎用性の高さや経済性の面で優れるエタノール、1-プロパノール、2-プロパノールなどの低級アルコールがゾル−ゲル反応を効率的に行う水‐有機溶剤混合溶液を調製しやすい。
【0016】
本発明では、上記原料溶液中、フェノール類化合物(以下Pともいう)とアルデヒド類化合物(以下Fともいう)との反応割合は特に限定されないが、フェノール類化合物(P)に対するアルデヒド類化合物(F)のモル比(F/P)が、通常1〜3、好ましくは1.5〜2.5、より好ましくは、1.75〜2.25である。モル比が1より小さいと三次元構造を構築する架橋の役割を果たすアルデヒド類化合物の量が少なくなるため目的とする微細構造をもつ有機ヒドロキシゲルを製造しにくくなる。また3より大きいと、アルデヒド類化合物の量が過剰となり目的とする付加・縮合反応を阻害しやすくなると同時に、微細構造内部に残存して不純物となりやすい。
【0017】
本発明では、全溶媒中における有機溶媒の割合が25〜55質量%である水‐有機溶剤混合溶液中でフェノール類化合物とアルデヒド類化合物を重合することを特徴とする。好ましくは有機溶剤の種類によってこの範囲において特定の割合に調整することになるが、エタノールの場合は40 〜 55質量%、1-プロパノールの場合は37 〜 53 質量%、2-プロパノールの場合は27 〜 37 質量%の範囲を挙げることができる。有機溶媒の割合が55質量%より高くなると、有機溶媒の割合が大きくなるためアルデヒド類化合物の反応性が低下し、所望の細孔が得にくい。またこの溶媒比率が規定している値よりも低くなると、水溶媒の割合が大きくなるためフェノール類化合物の反応性が低下し、所望の細孔が得にくい。この溶媒比率は用いるフェノール類化合物の種類、量によっても最適値が変化するため適宜調製条件は調節される。また、水と混合する有機溶媒の種類は1種類に限定されるものではない。
【0018】
本発明は、必要により、ゲル化工程においてフェノール類化合物とアルデヒド類化合物との反応時に上記原料溶液に弱塩基性触媒を配合すると、フェノール類化合物とアルデヒド類化合物との反応性を向上させ、3次元網目構造の形成を促進することができるため好ましい。本発明で用いられる弱塩基性触媒としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウムなどがあげられる。このうち、安全性の高さや経済的な面から炭酸ナトリウムが好ましい。酸性触媒を使用する場合、フェノール類化合物に対して直鎖状に分子が結合するため三次元ネットワーク構造が構築されず、無細孔のノボラック樹脂となり、所望の細孔が得にくい。また水酸化ナトリウム等の強アルカリを使用する場合、弱塩基触媒よりも極めて反応性が高いため、三次元ネットワーク構造が形成される前に硬化し、所望の細孔を得にくい。
【0019】
弱塩基性触媒を用いる場合、その配合量は、弱塩基性触媒の種類や、該触媒の溶媒への溶解度などを考慮して適宜最適な範囲を選択することができるが、好ましくはフェノール類化合物と該触媒のモル比(P/C)が1〜200、より好ましくは30〜80である。触媒配合量が該範囲内にあるとコロイド粒子が短時間に数多く発生するため、所望の三次元構造が構築されやすくなるので好ましい。
【0020】
ゲル化工程において、ゾル−ゲル反応させる際の反応条件としては特に限定されないが、反応温度は、通常60〜120℃、好ましくは80〜100℃である。反応温度が60℃未満であると、ゾル−ゲル反応に時間がかかり過ぎて、生産性が大幅に低下しやすい。また反応温度が100℃を超えると、溶媒の沸点を超えるため反応容器内の圧力が急激に増加し、高価な圧力容器を利用する必要が生じるため経済的に好ましくない。また、反応時間は、通常7〜240時間、好ましくは24〜120時間である。反応時間が7時間未満であると、ゾル−ゲル反応の進行が不十分であるために有機ヒドロキシゲルの構造が不安定になりやすく強度の低下が生じやすい。また、反応時間が240時間を超えると、反応系中の溶媒の積算蒸発量が大きくなり、これに伴って有機ヒドロキシゲルが収縮して、有機ヒドロキシゲルの特異な構造が失われやすい。
【0021】
前記有機ヒドロキシゲルを乾燥させ有機ドライゲルを得ることができる。当該有機ヒドロキシゲルを構成する微粒子の三次元的ネットワーク構造を保持したまま、三次元的ネットワーク構造中に残存する溶媒を除去できる乾燥方法を適宜選択することができる。本発明で用いられる乾燥方法には、温風乾燥、真空乾燥、凍結乾燥、超臨界乾燥、マイクロ波乾燥等があげられる。このうち、経済性の面から凍結乾燥、温風乾燥、マイクロ波乾燥が好ましい。
【0022】
本発明における凍結乾燥において、凍結温度としては特に限定されないが、通常-30〜-5℃、このましくは、-15〜-10℃である。凍結温度が該範囲内にあると、一般的に利用される凍結乾燥装置を用いる事ができ、乾燥速度も比較的大きくすることができるため好ましい。また、マイクロ波乾燥を行う場合、マイクロ波の出力としては特に限定されないが、通常0.1〜10 kW/kg、好ましくは0.5〜5 kW/kgである。マイクロ波の出力が該範囲内にあると、溶媒の急激な気化による有機ヒドロキシゲルの構造破壊を抑制することができると共に、乾燥速度も比較的大きくすることができるため好ましい。また、温風乾燥を行う場合、設定温度としては特に限定されないが、通常20〜150℃、好ましくは、30〜90℃である。設定温度が該範囲内にあると、一般的に利用される温風器、乾燥器を用いる事ができ、乾燥速度も比較的大きくすることができるため好ましい。
【0023】
本発明における炭素化工程は、上記の有機ドライゲルを非酸化性ガス雰囲気下で加熱することで、熱分解・炭素化させ微細孔を有する炭素材料を製造する工程である。本発明で用いられる炭素化温度としては特に限定されないが、通常200〜1200℃、好ましくは300〜1000℃である。炭素化温度が200℃より低すぎると該有機ドライゲルが十分に熱分解・炭素化されないため好ましくない。逆に炭素化温度が1200℃より高すぎると、熱分解が過度に進んで該有機ドライゲルの構造が崩れやすくなり、構造の破壊や強度の低下が起こりやすくなるため好ましくない。また処理時間としては特に限定されないが、通常1〜20時間、好ましくは、2〜10時間である。処理時間が1時間よりも少ないと、該有機ドライゲルが十分に熱分解・炭素化されないため好ましくない。逆に処理時間が20時間よりも多いと、熱分解が過度に進んで該有機ドライゲルの構造が崩れやすくなり、構造の破壊や強度の低下が起こりやすくなるため好ましくない。
【0024】
本発明は、以上の方法により、有機ヒドロキシゲルを構成する微粒子の三次元ネットワーク構造が実質的に保たれたまま三次元的ネットワーク構造中に残存する溶媒を除去することができ、乾燥時における構造の破壊が生じない有機ドライゲルが得られる。さらに該有機ドライゲルを炭素化することで三次元ネットワーク構造を保持したまま微細孔を発達させたカーボンゲルを得ることができる。本発明では、該有機ドライゲルあるいはカーボンゲルは、ミクロ孔、メソ孔の発達したものである。本発明で得られる有機ドライゲルあるいはカーボンゲルは、上下水処理、排ガス処理等に用いられる吸着剤および各種電極材料や触媒担体として使用することができる。
【0025】
本発明より得られる炭素材料は、BET表面積が500 〜 1000 m
2/gの炭素材料であることが好ましい。また、メソ平均細孔直径が2 〜 50 nmであることが好ましい。さらに、メソ細孔容積が0.5 〜 2 ml/gである炭素材料であることが好ましい。さらに、その密度が0.5 〜 2 g/cm
3の炭素材料であることが好ましい。このように、本発明の炭素材料は、メソ細孔容積が発達し、かつその平均細孔直径が小さく、高い表面積を有している多孔質材料である。したがって、本発明の炭素材料は吸着剤、電極材料、触媒担体の用途に好適である。
【0026】
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例になんら限定されるものではない。
【0027】
(実施例1)フェノール類化合物としてフェノール(P)188質量部、アルデヒド類化合物(F)として37質量%ホルムアルデヒド水溶液325質量部(F/Pモル比 = 2)、溶媒として水100質量部、有機溶媒としてエタノール334質量部、触媒として炭酸ナトリウム4質量部を20 mlのガラス瓶に入れ、適度に攪拌後、90℃にて72時間重合反応を行い、有機ヒドロキシゲル950質量部を得た。この有機ヒドロキシゲル中に残存する混合溶媒を、tert-ブチルアルコールで置換したあと、凍結温度-10℃で72時間凍結乾燥を行い、有機ドライゲルを得た。有機ドライゲルを、1000℃で不活性ガス雰囲気下、4時間の熱分解によって本発明の炭素材料を得た。
【0028】
(実施例2)フェノール類化合物としてフェノール(P)188質量部、アルデヒド類化合物(F)として37質量%ホルムアルデヒド水溶液325質量部(F/Pモル比 = 2)、溶媒として水154質量部、有機溶媒として1-プロパノール298質量部、触媒として炭酸ナトリウム4質量部を20 mlのガラス瓶に入れ、適度に攪拌後、90℃にて72時間重合反応を行い、有機ヒドロキシゲル950質量部を得た。この有機ヒドロキシゲル中に残存する混合溶媒を、tert-ブチルアルコールで置換したあと、凍結温度-10℃で72時間凍結乾燥を行い、有機ドライゲルを得た。有機ドライゲルを、1000℃で不活性ガス雰囲気下、4時間の熱分解によって本発明の炭素材料を得た。
【0029】
(実施例3)フェノール類化合物としてフェノール(P)188質量部、アルデヒド類化合物(F)として37質量%ホルムアルデヒド水溶液325質量部(F/Pモル比 = 2)、溶媒として水184質量部、有機溶媒として2-プロパノール289質量部、触媒として炭酸ナトリウム4質量部を20 mlのガラス瓶に入れ、適度に攪拌後、90℃にて72時間重合反応を行い、有機ヒドロキシゲル950質量部を得た。この有機ヒドロキシゲル中に残存する混合溶媒を、tert-ブチルアルコールで置換したあと、凍結温度-10℃で72時間凍結乾燥を行い、有機ドライゲルを得た。有機ドライゲルを、1000℃で不活性ガス雰囲気下、4時間の熱分解によって本発明の炭素材料を得た。
【0030】
(比較例1)フェノール類化合物としてフェノール(P)188質量部、アルデヒド類化合物(F)として37質量%ホルムアルデヒド水溶液325質量部(F/Pモル比 = 2)、溶媒として水329質量部、有機溶媒としてエタノール153質量部、触媒として炭酸ナトリウム4質量部を20 mlのガラス瓶に入れ、適度に攪拌後、90℃にて72時間重合反応を行い、有機ヒドロキシゲル950質量部を得た。この有機ヒドロキシゲル中に残存する混合溶媒を、tert-ブチルアルコールで置換したあと、凍結温度-10℃で72時間凍結乾燥を行い、有機ドライゲルを得た。有機ドライゲルを、1000℃で不活性ガス雰囲気下、4時間の熱分解によって炭素材料を得た。
【0031】
(比較例2)フェノール類化合物としてフェノール(P)188質量部、アルデヒド類化合物(F)として37質量%ホルムアルデヒド水溶液325質量部(F/Pモル比 = 2)、溶媒として水58質量部、有機溶媒として1-プロパノール375質量部、触媒として炭酸ナトリウム4質量部を20 mlのガラス瓶に入れ、適度に攪拌後、90℃にて72時間重合反応を行い、有機ヒドロキシゲル950質量部を得た。この有機ヒドロキシゲル中に残存する混合溶媒を、tert-ブチルアルコールで置換したあと、凍結温度-10℃で72時間凍結乾燥を行い、有機ドライゲルを得た。有機ドライゲルを、1000℃で不活性ガス雰囲気下、4時間の熱分解によって炭素材料を得た。
【0032】
(比較例3)フェノール類化合物としてフェノール(P)188質量部、アルデヒド類化合物(F)として37質量%ホルムアルデヒド水溶液325質量部(F/Pモル比 = 2)、溶媒として水54質量部、有機溶媒として2-プロパノール368質量部、触媒として炭酸ナトリウム4質量部を20 mlのガラス瓶に入れ、適度に攪拌後、90℃にて72時間重合反応を行い、有機ヒドロキシゲル900質量部を得た。この有機ヒドロキシゲル中に残存する混合溶媒を、tert-ブチルアルコールで置換したあと、凍結温度-10℃で72時間凍結乾燥を行い、有機ドライゲルを得た。有機ドライゲルを、1000℃で不活性ガス雰囲気下、4時間の熱分解によって炭素材料を得た。
【0033】
(比較例4)フェノール類化合物としてフェノール(P)188質量部、アルデヒド類化合物(F)として37質量%ホルムアルデヒド水溶液325質量部(F/Pモル比 = 2)、溶媒として水522質量部、触媒として炭酸ナトリウム4質量部を20 mlのガラス瓶に入れ、適度に攪拌後、90℃にて72時間重合反応を行い、有機ヒドロキシゲル1000質量部を得た。この有機ヒドロキシゲル中に残存する混合溶媒を、tert-ブチルアルコールで置換したあと、凍結温度-10℃で72時間凍結乾燥を行い、有機ドライゲルを得た。有機ドライゲルを、1000℃で不活性ガス雰囲気下、4時間の熱分解によって炭素材料を得た。
【0034】
(比較例5)フェノール類化合物としてフェノール(P)188質量部、アルデヒド類化合物(F)として37質量%ホルムアルデヒド水溶液325質量部(F/Pモル比 = 2)、溶媒として水34質量部、有機溶媒としてエタノール323質量部、触媒として37質量%塩酸水溶液66質量部を20 mlのガラス瓶に入れ、適度に攪拌後、90℃にて72時間重合反応を行い、有機ヒドロキシゲル900質量部を得た。この有機ヒドロキシゲル中に残存する混合溶媒を、tert-ブチルアルコールで置換したあと、凍結温度-10℃で72時間凍結乾燥を行い、有機ドライゲルを得た。有機ドライゲルを、1000℃で不活性ガス雰囲気下、4時間の熱分解によって炭素材料を得た。
【0035】
(比較例6)フェノール類化合物としてフェノール(P)188質量部、アルデヒド類化合物(F)として37質量%ホルムアルデヒド水溶液325質量部(F/Pモル比 = 2)、溶媒として水87質量部、有機溶媒としてエタノール323質量部、触媒として37質量%塩酸水溶液3.9質量部を20 mlのガラス瓶に入れ、適度に攪拌後、90℃にて72時間重合反応を行い、有機ヒドロキシゲル900質量部を得た。この有機ヒドロキシゲル中に残存する混合溶媒を、tert-ブチルアルコールで置換したあと、凍結温度-10℃で72時間凍結乾燥を行い、有機ドライゲルを得た。有機ドライゲルを、1000℃で不活性ガス雰囲気下、4時間の熱分解によって炭素材料を得た。
【0036】
(比較例7)フェノール類化合物としてフェノール(P)188質量部、アルデヒド類化合物(F)として37質量%ホルムアルデヒド水溶液325質量部(F/Pモル比 = 2)、溶媒として水36質量部、有機溶媒としてエタノール323質量部、触媒として50w/v%水酸化ナトリウム水溶液27質量部を20 mlのガラス瓶に入れ、適度に攪拌後、90℃にて72時間重合反応を行い、有機ヒドロキシゲル850質量部を得た。この有機ヒドロキシゲル中に残存する混合溶媒を、tert-ブチルアルコールで置換したあと、凍結温度-10℃で72時間凍結乾燥を行い、有機ドライゲルを得た。有機ドライゲルを、1000℃で不活性ガス雰囲気下、4時間の熱分解によって炭素材料を得た。
【0037】
(比較例8)フェノール類化合物としてフェノール(P)188質量部、アルデヒド類化合物(F)として37質量%ホルムアルデヒド水溶液325質量部(F/Pモル比 = 2)、溶媒として水90質量部、有機溶媒としてエタノール323質量部、触媒として50w/v%水酸化ナトリウム水溶液2質量部を20 mlのガラス瓶に入れ、適度に攪拌後、90℃にて72時間重合反応を行い、有機ヒドロキシゲル900質量部を得た。この有機ヒドロキシゲル中に残存する混合溶媒を、tert-ブチルアルコールで置換したあと、凍結温度-10℃で72時間凍結乾燥を行い、有機ドライゲルを得た。有機ドライゲルを、1000度で不活性ガス雰囲気下、4時間の熱分解によって炭素材料を得た。
【0038】
実施例および比較例で得られたカーボンゲルについて、BET表面積およびメソ細孔径容積を以下の方法により測定した。結果を表1に示す。
・BET表面積:全自動ガス吸着装置(77K)にてN
2吸脱着等温線を測定し、BET法にて計算して求めた。
・メソ細孔容積:全自動ガス吸着装置(77K)にてN
2吸脱着等温線を測定し、Dollimore-Heal法にて計算し求めた。
【0039】
【表1】
【0040】
実施例1〜3で得られた炭素材料は、BET表面積、メソ孔細孔容積ともに優れた特性を示した。特に実施例1,3では溶媒組成が好ましい範囲にある条件下弱塩基触媒を用いて重合反応を行なっているため、疎水性のフェノールと親水性のホルムアルデヒドの反応が円滑に進行した結果三次元網目構造が形成され、最終的に得られた炭素材料は表面積・メソ孔容積・密度の観点から好ましい材料が得られた。3次元網目構造を有する一方、比較例1 〜
3は、溶媒組成が最適な範囲外であるため反応性が著しく低下し、ミクロ孔、メソ孔ともに発達した炭素材料の作製は困難だった。比較例4は溶媒が水のみで疎水性のフェノールの反応性が著しく低下したため望ましい炭素材料が得られなかった。また、比較例5 〜 8は、弱塩基触媒よりも反応性が高い高濃度塩酸、高濃度水酸化ナトリウムを触媒に用いているため、所望の構造が構築される前に硬化し無細孔となり、所望の構造が得られなかった。