【0035】
さらに一般式(I)及び一般式(II)で表される化合物は合成の容易さの観点及び、液晶材料に使用する場合には液晶性の観点から、A
1及びA
2は各々独立して無置換又は、各々独立してシアノ基、ニトロ基、各々独立して1個以上の水素原子がフッ素原子又は塩素原子により置き換えられても良く又は/及びこのアルキル基上の1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−に置き換えられても良い炭素原子数1から10のアルキル基若しくは、P−Sp−で表される基によって置換されても良い1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、ピリジン−2,6−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基である場合が好ましく、各々独立して無置換又は、各々独立してシアノ基、ニトロ基、各々独立して1個以上の水素原子がフッ素原子又は塩素原子により置き換えられても良く又は/及びこのアルキル基上の1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−に置き換えられても良い炭素原子数1から10のアルキル基によって置換されても良い1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、1,4−シクロヘキシレン基である場合がより好ましく、各々独立して無置換又は、各々独立して1個以上の水素原子がフッ素原子により置き換えられても良く又は/及びこのアルキル基上の1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−に置き換えられても良い炭素原子数1から10のアルキル基によって置換されても良い1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基である場合が特に好ましく、
Z
11、Z
12、Z
21及びZ
22は各々独立して−O−、−S−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CH
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CF
2CH
2−、−CF
2CF
2−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−、−CY=CY−(式中、Yは各々独立して水素原子、炭素原子数1から12のアルキル基を表す。)、−C≡C−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=N−N=CH−、各々独立して1個以上の水素原子がフッ素原子又は塩素原子により置き換えられても良く又は/及び1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−S−、−COO−、−OCO−に置き換えられても良い炭素原子数1から20のアルキレン基又は単結合が好ましく、各々独立して−O−、−S−、−OCH
2−、−CH
2O−、−COO−、−OCO−、−CH
2CH
2−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−、−CY=CY−(式中、Yは各々独立して水素原子、炭素原子数1から12のアルキル基を表す。)、−C≡C−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=N−N=CH−、各々独立して1個以上の水素原子がフッ素原子により置き換えられても良い炭素原子数1から20のアルキレン基又は単結合がより好ましく、
m11及びm21は各々独立して1から5の整数である場合が好ましく、1から3の整数である場合がより好ましく、1又は2である場合が特に好ましく、
R
1及びW
1は各々独立してR
1及びW
1のうち両方がカルボキシル基を表すか若しくは、R
1及びW
1のうち一方がカルボキシル基を表し、他方が水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基又は、各々独立して1個以上の水素原子がフッ素原子又は塩素原子により置き換えられても良く又は/及び1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−S−、−COO−、−OCO−に置き換えられても良い炭素原子数1から20のアルキル基又はR
1及びW
1はP−Sp−で表される基を表す場合が好ましく、R
1及びW
1のうち両方がカルボキシル基を表すか若しくは、R
1及びW
1のうち一方がカルボキシル基を表し、他方が水素原子、フッ素原子又は、各々独立して1個以上の水素原子がフッ素原子により置き換えられても良い炭素原子数1から12のアルキル基又はR
1及びW
1はP−Sp−で表される基を表す場合がより好ましく、
R
2及びW
2は各々独立してR
2及びW
2のうち両方がヒドロキシル基、メルカプト基及び/又はアミノ基から選ばれる基を表すか若しくは、R
2及びW
2のうち一方がヒドロキシル基、メルカプト基及び/又はアミノ基から選ばれる基を表し、他方が水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基又は、各々独立して1個以上の水素原子がフッ素原子又は塩素原子により置き換えられても良く又は/及び1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−S−、−COO−、−OCO−に置き換えられても良い炭素原子数1から20のアルキル基又はR
2及びW
2はP−Sp−で表される基を表す場合が好ましく、R
2及びW
2のうち両方がヒドロキシル基を表すか若しくは、R
2及びW
2のうち一方がヒドロキシル基を表し、他方が水素原子、フッ素原子又は、各々独立して1個以上の水素原子がフッ素原子により置き換えられても良い炭素原子数1から12のアルキル基又はR
2及びW
2はP−Sp−で表される基を表す場合がより好ましく、
R
1及びW
1の両方がカルボキシル基を表す場合には、R
2及びW
2の一方のみがヒドロキシル基、メルカプト基及び/又はアミノ基から選ばれる基を表す場合が好ましく、R
2及びW
2の一方のみがヒドロキシル基を表す場合がより好ましく、
R
2及びW
2の両方がヒドロキシル基、メルカプト基及び/又はアミノ基から選ばれる基を表す場合には、R
1及びW
1の一方のみがカルボキシル基を表す場合が好ましい。
【実施例】
【0047】
以下、実施例を挙げて本発明を更に記述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。
【0048】
化合物の純度はGC又はHPLCによって分析した。分析条件は以下の通りである。
(GC分析条件)
カラム:J&W DB−1,30m×0.25mm×0.25μm
温度プログラム:100℃(1分間)−(10℃/分間)−300℃(12分間)
注入口温度:300℃
検出器温度:300℃
(HPLC分析条件)
カラム:Inertsil ODS−3,5μm,4.6mmφ×250mm
溶出溶媒:アセトニトリル/水(90:10)
流速:0.5mL/min
検出器:UV,210nm
カラムオーブン:40℃
(実施例1)式(I−1)で表される化合物(特許文献3記載の化合物)の製造
【0049】
【化10】
【0050】
撹拌装置、温度計及び2つの滴下ロートを備えた反応容器にクロロギ酸エチル5.00g(46ミリモル)及びテトラヒドロフラン25mLを加えた。氷冷しながら酢酸2.77g(46ミリモル)のテトラヒドロフラン溶液10mL及びトリブチルアミン10.2g(55ミリモル)のテトラヒドロフラン溶液20mLを各々別の滴下ロートから(酢酸溶液):(トリブチルアミン溶液)=1:2の滴下速度で同時に滴下した。氷冷下30分間撹拌した後、ジクロロメタンを用いて分液処理し溶媒を留去することにより式(I−1)で表される化合物7.16gを得た。収率98%、純度99.97%であった。得られた化合物の
1H NMR、
13C NMR及びマススペクトルを測定した結果、特許文献3記載の方法によって得られた化合物の測定データと一致した。
(比較例1)特許文献3記載の製法
撹拌装置、温度計及び滴下ロートを備えた反応容器に、クロロギ酸エチル5.00g(46ミリモル)及びテトラヒドロフラン25mLを加えた。−10℃に冷却しながら酢酸2.77g(46ミリモル)のトリブチルアミン10.2g(55ミリモル)及びテトラヒドロフラン 20mLからなる溶液を0℃以下で滴下した。氷冷下30分間撹拌した後、ジクロロメタンを用いて分液処理し溶媒を留去することにより式(I−1)で表される化合物を得た。収率92%、純度99.89%であった。
(実施例2)式(I−2)で表される化合物(特許文献3記載の化合物)の製造
【0051】
【化11】
【0052】
撹拌装置、温度計及び2つの滴下装置を備えた反応容器にメタンスルホニルクロリド15.0g(0.13モル)及びテトラヒドロフラン30mLを加えた。氷冷しながら式(I−2−1)で表される化合物34.6g(0.13モル)のテトラヒドロフラン溶液200mL及びトリブチルアミン28.9g(0.16モル)のテトラヒドロフラン溶液100mLを各々別の滴下装置から(式(I−2−1)で表される化合物の溶液):(トリブチルアミン溶液)=2:1の滴下速度で同時に滴下した。氷冷しながら1時間撹拌した後、ジクロロメタンを用いて分液処理し溶媒を留去することにより式(I−2)で表される化合物43.9gを得た。収率98%、純度95.53%であった。得られた化合物の
1H NMR、
13C NMR及びマススペクトルを測定した結果、特許文献3記載の方法によって得られた化合物の測定データと一致した。
(比較例2)
実施例2と同様の反応スケールで比較例1と同様の方法により式(I−2)で表される化合物を製造した。収率94%、純度95.50%であった。
(実施例3)式(I−3)で表される化合物の製造
【0053】
【化12】
【0054】
撹拌装置、温度計及び2つの滴下装置を備えた反応装置にメタンスルホニルクロリド5.00g(43.6ミリモル)及びテトラヒドロフラン10mLを加えた。氷冷しながら式(I−3−1)で表される化合物12.9g(44.1ミリモル)のテトラヒドロフラン溶液60mL及びトリエチルアミン5.25g(51.9ミリモル)のテトラヒドロフラン溶液30mLを各々別の滴下装置から(式(I−3−1)で表される化合物の溶液):(トリエチルアミン溶液)=2:1の滴下速度で同時に滴下した。氷冷しながら1時間撹拌した後、4−ジメチルアミノピリジン2.64g(21.6ミリモル)及び2−(4−ヒドロキシフェニル)エタノール2.69g(19.4ミリモル)を加えた。氷冷しながらトリエチルアミン5.25g(51.9ミリモル)を滴下した。7時間撹拌した後、溶媒を留去し、ジクロロメタン及び5%塩酸を加え分液処理した。有機層を食塩水で洗浄し中和した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再沈殿(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−3)で表される化合物12.2gを得た。収率82%、純度99.63%であった。
1H NMR(CDCl
3)δ 1.45−1.54(m,8H),1.72(m,4H),1.83(m,4H),3.08(t,2H),4.03(quin,4H),4.18(quin,4H),4.51(t,2H),5.83(d,2H),6.13(dd,2H),6.38(d,2H),6.89(d,2H),6.96(d,2H),7.15(d,2H),7.32(d,2H),7.96(d,2H),8.13(d,2H)ppm.
LRMS(EI) m/z 686(100).
(比較例3〜6)
実施例3と同様の反応スケールで第一工程における試薬の加え方のみを下記の方法に変更し式(I−3)で表される化合物を製造した。
比較例3の試薬の加え方:メタンスルホニルクロリドと式(I−3−1)で表される化合物を混合したテトラヒドロフラン溶液に対し、トリエチルアミンのテトラヒドロフラン溶液を滴下した。
比較例4の試薬の加え方:トリエチルアミンのテトラヒドロフラン溶液に対し、メタンスルホニルクロリドと式(I−3−1)で表される化合物を混合したテトラヒドロフラン溶液を滴下した。
比較例5の試薬の加え方:メタンスルホニルクロリドのテトラヒドロフラン溶液に対し、トリエチルアミンのテトラヒドロフラン溶液を滴下し、その後、式(I−3−1)で表される化合物のテトラヒドロフラン溶液を滴下した。
比較例6の試薬の加え方:メタンスルホニルクロリドのテトラヒドロフラン溶液に対し、トリエチルアミンと式(I−3−1)で表される化合物を混合したテトラヒドロフラン溶液を滴下した。
結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
【化13】
【0057】
(実施例4)式(I−4)で表される化合物の製造
【0058】
【化14】
【0059】
実施例3において式(I−3−1)で表される化合物を式(I−4−1)で表される化合物に置き換えた以外は実施例3と同様の方法によって、式(I−4)で表される化合物を製造した。収率79%、純度99.55%であった。
1H NMR(DMSO−d
6)δ 2.11(m,4H),3.05(t,2H),4.15(t,2H),4.18(t,2H),4.28(m,4H),4.46(t,2H),5.96(d,2H),6.19(dd,2H),6.32(d,2H),7.04(d,2H),7.12(d,2H),7.19(d,2H),7.39(d,2H),7.88(d,2H),8.06(d,2H)ppm.
13C NMR(DMSO−d
6)δ 28.3,34.2,61.5,65.1,65.3,114.9,115.1,121.5,122.2,122.4,128.7,130.3,131.6,132.0,132.0,132.4,136.2,149.7,162.8,163.5,164.6,165.7,165.9ppm.
LRMS(EI) m/z 602(100).
(比較例7)
実施例4と同様の反応スケールで第一工程における試薬の加え方のみを、メタンスルホニルクロリドのテトラヒドロフラン溶液に対し、トリエチルアミンと式(I−4−1)で表される化合物を混合したテトラヒドロフラン溶液を滴下する方法に変更し、式(I−4)で表される化合物を製造した。収率76%、純度99.05%であった。
(実施例5)式(I−5)で表される化合物の製造
【0060】
【化15】
【0061】
実施例4と同様の方法によって、式(I−4−2)で表される化合物を含む反応液を調製した。即ち、撹拌装置、温度計及び2つの滴下装置を備えた反応装置にメタンスルホニルクロリド5.00g(43.6ミリモル)及びテトラヒドロフラン10mLを加えた。氷冷しながら式(I−4−1)で表される化合物11.0g(44.1ミリモル)のテトラヒドロフラン溶液50mL及びトリエチルアミン5.25g(51.9ミリモル)のテトラヒドロフラン溶液25mLを各々別の滴下装置から(式(I−4−1)で表される化合物の溶液):(トリエチルアミン溶液)=2:1の滴下速度で同時に滴下した。
【0062】
その後氷冷しながら1時間撹拌した後、4−ジメチルアミノピリジン0.53g(4.3ミリモル)及びメチルヒドロキノン2.68g(21.6ミリモル)を加えた。氷冷しながらトリエチルアミン5.25g(51.9ミリモル)を滴下した。1時間撹拌した後、溶媒を留去し、ジクロロメタン及び5%塩酸を加え分液処理した。有機層を食塩水で洗浄し中和した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再沈殿(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−5)で表される化合物12.3gを得た。収率97%、純度99.73%であった。
1H NMR(CDCl
3)δ 2.22(m,7H),4.17(t,4H),4.39(t,4H),5.85(d,2H),6.14(dd,2H),6.43(d,2H),6.99(dd,4H),7.08(dd,1H),7.14(d,1H),7.18(d,1H),8.16(dd,4H)ppm.
13C NMR(CDCl
3)δ 16.4,28.5,61.6,64.6,114.2,114.3,120.0,121.7,121.9,122.9,124.1,128.2,131.0,131.7,132.3,147.0,148.4,163.0,163.1,164.4,164.8,166.1ppm.
LRMS(EI) m/z 588(100).
(比較例8)
実施例5と同様の反応スケールで第一工程における試薬の加え方のみを、メタンスルホニルクロリドのテトラヒドロフラン溶液に対し、トリエチルアミンと式(I−4−1)で表される化合物を混合したテトラヒドロフラン溶液を滴下する方法に変更し、式(I−5)で表される化合物を製造した。収率93%、純度99.65%であった。
(実施例6)式(I−6)で表される化合物の製造
【0063】
【化16】
【0064】
撹拌装置、温度計及び2つの滴下装置を備えた反応容器にメタンスルホニルクロリド5.00g(43.6ミリモル)及びテトラヒドロフラン10mLを加えた。氷冷しながら4−アセトキシ安息香酸7.95g(44.1ミリモル)のテトラヒドロフラン溶液50mL及びトリエチルアミン5.25g(51.9ミリモル)のテトラヒドロフラン溶液25mLを各々別の滴下装置から(4−アセトキシ安息香酸の溶液):(トリエチルアミン溶液)=2:1の滴下速度で同時に滴下した。氷冷しながら30分間撹拌した後、4−ジメチルアミノピリジン0.53g(4.3ミリモル)及び2,4−ジメチルフェノール5.32g(43.6ミリモル)を加えた。氷冷しながらトリエチルアミン5.25g(51.9ミリモル)を滴下した。1時間撹拌した後、溶媒を留去し、ジクロロメタン及び5%塩酸を加え分液処理した。有機層を食塩水で洗浄し中和した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再沈殿(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−6−2)で表される化合物12.0g(42.2ミリモル)を得た。収率97%、純度99.85%であった。
【0065】
撹拌装置及び滴下装置を備えた反応容器に式(I−6−2)で表される化合物12.0g(42.2ミリモル)を加え、トルエン20mL及びテトラヒドロフラン20mLに溶解させた。ブチルアミン4.62g(63.3ミリモル)を滴下し室温で7時間撹拌した。5%塩酸及び食塩水で分液及び洗浄処理した後、再結晶(メタノール/水)により精製を行い、式(I−6−3)で表される化合物10.0g(41.3ミリモル)を得た。
【0066】
撹拌装置、温度計及び滴下装置を備えた反応容器に式(I−6−3)で表される化合物10.0g(41.3ミリモル)、式(I−4−1)で表される化合物10.3g(41.3ミリモル)及び4−ジメチルアミノピリジン0.50g(4.1ミリモル)を加え、ジクロロメタン50mLに懸濁させた。氷冷しながらN,N’−ジイソプロピルカルボジイミド6.25g(49.5ミリモル)を反応温度が15℃を超えないよう滴下した。室温で5時間撹拌した後、溶媒を留去しカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再沈殿(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−6)で表される化合物16.9g(35.5ミリモル)を得た。
1H NMR(CDCl
3)δ 2.19〜2.25(m,5H),2.34(s,3H),4.17(t,2H),4.39(t,2H),5.85(dd,1H),6.14(dd,1H),6.42(dd,1H),6.98〜7.08(m,5H),7.36(d,2H),8.16(d,2H),8.29(d,2H)ppm.
13C NMR(CDCl
3)δ 16.1,20.8,28.5,61.1,64.7,113.1,114.3,121.3,121.6,122.0,127.0,127.5,128.2,129.8,131.0,131.7,131.8,132.4,135.6,147.2,155.2,163.3,164.2,164.3,166.1ppm.
LRMS(EI)m/z 474(100)
(比較例9)
実施例6と同様の反応スケールで第一工程における試薬の加え方のみを、メタンスルホニルクロリドのテトラヒドロフラン溶液に対し、トリエチルアミンと4−アセトキシ安息香酸を混合したテトラヒドロフラン溶液を滴下する方法に変更し、式(I−6−2)で表される化合物を製造した。収率94%、純度99.68%であった。
【0067】
その後、実施例6と同様の方法によって式(I−6)で表される化合物を製造した。
(実施例7)式(I−7)で表される化合物(学術文献1記載の化合物)の製造
【0068】
【化17】
【0069】
学術文献1記載の方法によって式(I−7−1)で表される化合物を製造した。
【0070】
撹拌装置、温度計及び2つの滴下装置を備えた反応容器にクロロギ酸メチル11.6mL(150ミリモル)及びジクロロメタン50mLを加えた。氷冷しながら式(I−7−1)で表される化合物14g(75.2ミリモル)のテトラヒドロフラン溶液50mL及びトリエチルアミン21mL(150ミリモル)のテトラヒドロフラン溶液25mLを各々別の滴下装置から(式(I−7−1)で表される化合物の溶液):(トリエチルアミン溶液)=2:1の滴下速度で同時に滴下した。氷冷しながら2時間撹拌した後、溶媒を留去した。ジエチルエーテルに懸濁させ、濾過及び濃縮することにより式(I−7−2)で表される化合物17.1g(69.9ミリモル)を得た。
【0071】
得られた式(I−7−2)で表される化合物17.1g(69.9ミリモル)を用いて学術文献1記載の方法によって還元し、式(I−7)で表される化合物7.82gを得た。収率65%、純度99.98%であった。得られた化合物の
1H NMR及びマススペクトルを測定した結果、非特許文献1記載の方法によって得られた化合物の測定データと一致した。
1H NMR δ 5.86(m,1H),5.46(d,1H),5.28(d,1H),3.29(d,1H),2.44(s,1H),1.51(s,1H),1.44(s,3H),1.33(s,3H)ppm.
LRMS(EI) m/z 173,157,141,83,69.
(比較例10)非特許文献1記載の製法
非特許文献1記載の方法によって式(I−7−1)で表される化合物を製造した。
【0072】
撹拌装置、温度計及び滴下装置を備えた反応容器に式(I−7−1)で表される化合物14g(75.2ミリモル)のジクロロメタン溶液50mLに氷冷しながらトリエチルアミン21mL(150ミリモル)及びクロロギ酸メチル11.6mL(150ミリモル)を滴下した。氷冷しながら2時間撹拌した後、溶媒を留去した。ジエチルエーテルに懸濁させ、濾過及び濃縮することにより式(I−7−2)で表される化合物16.4gを得た。得られた式(I−7−2)で表される化合物16.4gを用いて非特許文献1記載の方法によって還元し、式(I−7)で表される化合物7.03gを得た。収率54%、純度99.34%であった。
(実施例8)式(I−8)で表される化合物(特許文献2記載の化合物)の製造
【0073】
【化18】
【0074】
特許文献2記載の製造方法において、3,4−ジ−(6−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)安息香酸のテトラヒドロフラン溶液50mL及びジイソプロピルエチルアミンのテトラヒドロフラン溶液50mLを各々別の滴下装置から(3,4−ジ−(6−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)安息香酸の溶液):(ジイソプロピルエチルアミン溶液)=1:1の滴下速度で同時に滴下した以外は同様の方法によって式(I−8)で表される化合物を製造した。収率46%、純度99.30%であった。得られた化合物のIRスペクトル、
1H NMR及びマススペクトルを測定した結果、特許文献2記載の方法によって得られた化合物の測定データと一致した。
IR(KBr) 2937,1717,1632,1598,1516,1495,1474,1410,1295,1265,1207,1189,1160,1078,992,812,756cm
−1.
1H NMR δ 0.95(t,3H),1.50−1.91(m,18H),2.63(q,2H),4.08−4.21(m,8H),5.82−6.44(m,8H),6.70(d,1H),6.95(d,1H),7.41−7.17(m,4H),7.69(d,1H),7.73(d,1H),7.84−8.23(m,4H),8.82(s,1H)ppm.LRMS(EI)m/z 820(100).
(比較例11)特許文献2記載の製法
0℃以下で、メタンスルホン酸クロリドのテトラヒドロフラン溶液に対し、3,4−ジ−(6−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)安息香酸及びジイソプロピルエチルアミンのテトラヒドロフラン溶液を滴下した。滴下終了後、そのまま30分間撹拌し、マイクロスパチュラ一片の4−ジメチルアミノピリジンとジイソプロピルエチルアミンとテトラヒドロフランの混合溶液を、−10℃以下に保ちながら滴下した。そのまま2時間撹拌を行った後に、反応液を水で洗浄し、1%塩酸とトルエンを加え、油水分離後、有機層を水で2回洗浄した。減圧下、溶媒を留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン)で精製し、ついでメタノールより再沈殿を行い、析出物を濾過して式(I−8)で表される化合物を製造した。収率26%、純度99.31%であった。
(実施例9)式(I−9)で表される化合物(特許文献1記載の化合物)の製造
【0075】
【化19】
【0076】
特許文献1記載の製造方法において、式(I−3−1)で表される化合物のテトラヒドロフラン溶液300mL及びトリエチルアミンのテトラヒドロフラン溶液100mLを各々別の滴下装置から(式(I−3−1)で表される化合物の溶液):(トリエチルアミン溶液)=3:1の滴下速度で同時に滴下した以外は同様の方法によって式(I−9)で表される化合物を製造した。収率82%、純度99.35%であった。得られた化合物の
1H NMR及びマススペクトルを測定した結果、特許文献1記載の方法によって得られた化合物の測定データと一致した。
1H NMR(CDCl
3) δ 8.70(s,2H),8.49(s,1H),8.18−8.11(m,4H),7.93(d,2H),7.40−7.26(m,4H),6.99(d,4H),6.41(d,2H),6.13(dd,2H),5.83(d,2H),4.20−4.06(m,8H),3.60(s,3H),1.85−1.70(m,8H),1.57−1.20(m,8H)ppm.
LRMS(EI) m/z 846(100).
(比較例12)
実施例9と同様のスケールで比較例1と同様の製造方法によって式(I−9)で表される化合物を製造した。収率72%、純度99.31%であった。
(実施例10)式(I−10)で表される化合物(EP0888281B1号公報記載の化合物)の製造
【0077】
【化20】
【0078】
実施例3と同様の方法によって式(I−3−2)で表される化合物の溶液を調製した。即ち、撹拌装置、温度計及び2つの滴下装置を備えた反応装置にメタンスルホニルクロリド5.00g(43.6ミリモル)及びテトラヒドロフラン10mLを加えた。氷冷しながら式(I−3−1)で表される化合物12.9g(44.1ミリモル)のテトラヒドロフラン溶液60mL及びトリエチルアミン5.25g(51.9ミリモル)のテトラヒドロフラン溶液30mLを各々別の滴下装置から(式(I−3−1)で表される化合物の溶液):(トリエチルアミン溶液)=2:1の滴下速度で同時に滴下した。
【0079】
その後、氷冷しながら1時間撹拌した後、4−ジメチルアミノピリジン0.54g(4.41ミリモル)及び式(I−10−1)で表される化合物9.52g(43.6ミリモル)を加えた。氷冷しながらトリエチルアミン5.25g(51.9ミリモル)を滴下した。3時間撹拌した後、溶媒を留去し、ジクロロメタン及び5%塩酸を加え分液処理した。有機層を食塩水で洗浄し中和した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再沈殿(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−10)で表される化合物19.5gを得た。収率91%、純度99.43%であった。得られた化合物の
1H NMR、
13C NMR及びマススペクトルを測定した結果、特表2000−507932号公報記載の方法によって得られた化合物の測定データと一致した。
1H NMR(CDCl
3)δ 0.91(t,3H),1.09(m,2H),1.19−1.54(m,12H),1.73(quin,2H),1.86(m,6H),2.49(t,1H),4.05(t,2H),4.18(t,2H),5.82(d,1H),6.12(dd,1H),6.40(d,1H),6.95(d,2H),7.10(d,2H),7.24(d,2H),8.13(d,2H)ppm.
13C NMR(CDCl
3)δ 14.4,20.0,25.7,25.7,28.5,29.0,33.5,34.4,37.0,39.7,44.1,64.4,68.0,114.2,121.3,121.8,127.7,128.5,130.5,132.2,145.2,148.9,163.3,165.1,166.3ppm.
LRMS(EI) m/z 492(100).
(比較例13)
実施例10と同様のスケールで、式(I−3−1)で表される化合物及びトリエチルアミンを混合したテトラヒドロフラン溶液を滴下した以外は実施例10と同様の方法によって式(I−10)で表される化合物を製造した。収率87%、純度99.41%であった。
(比較例14)EP0888281B1号公報記載の製法
実施例10と同様のスケールで、EP0888281B1号公報記載の方法によって式(I−10)で表される化合物を製造した。収率70%、純度99.01%であった。
(実施例11)式(I−11)で表される化合物(EP1786887B1号公報記載の化合物)の製造
【0080】
【化21】
【0081】
実施例10において、式(I−10−1)で表される化合物を式(I−11−1)で置き換えた以外は実施例10と同様の方法によって、式(I−11)で表される化合物を製造した。収率87%、純度99.41%であった。得られた化合物の
1H NMR、
13C NMR及びマススペクトルを測定した結果、EP1786887B1号公報記載の方法によって得られた化合物の測定データと一致した。
1H NMR(CDCl
3)δ 1.51(m,4H),1.73(quin,2H),1.85(quin,2H),3.84(s,3H),4.06(t,2H),4.19(t,2H),5.82(d,1H),6.12(dd,1H),6.40(d,1H),6.89(d,2H),6.98(d,2H),7.25(d,1H),7.43(m,3H),7.62(d,1H),8.17(d,2H)ppm.
13C NMR(CDCl
3)δ 25.7,25.7,28.5,28.9,55.3,64.4,68.1,86.2,90.5,114.0,114.4,114.7,120.7,122.6,123.9,127.1,128.5,130.5,130.7,132.5,132.9,133.1,147.0,159.9,163.7,163.8,166.3ppm.
LRMS(EI) m/z 532(100).
(比較例15)
実施例11と同様のスケールで、式(I−3−1)で表される化合物及びトリエチルアミンを混合したテトラヒドロフラン溶液を滴下した以外は実施例11と同様の方法によって式(I−11)で表される化合物を製造した。収率85%、純度99.40%であった。
(比較例16)EP1786887B1号公報記載の製法
実施例11と同様のスケールで、EP1786887B1号公報記載の方法によって式(I−11)で表される化合物を製造した。収率65%、純度98.60%であった。
(実施例12)式(I−12)で表される化合物(WO2009−060843号公報に記載の化合物)の製造
【0082】
【化22】
【0083】
撹拌装置、温度計及び2つの滴下装置を備えた反応容器にメタンスルホニルクロリド5.00g(43.6ミリモル)及びジクロロメタン10mLを加えた。氷冷しながら式(I−12−1)で表される化合物5.72g(43.6ミリモル)のテトラヒドロフラン溶液20mL及びトリエチルアミン5.29g(52.3ミリモル)のテトラヒドロフラン溶液20mLを各々別の滴下装置から(式(I−12−1)で表される化合物の溶液):(トリエチルアミン溶液)=1:1の滴下速度で同時に滴下した。氷冷しながら30分間撹拌した後、4−ジメチルアミノピリジン0.53g(4.3ミリモル)及び式(I−12−2)で表される化合物8.43g(43.6ミリモル)を加えた。氷冷しながらトリエチルアミン5.29g(52.3ミリモル)を滴下した。1時間撹拌した後、溶媒を留去し、ジクロロメタン及び5%塩酸を加え分液処理した。有機層を食塩水で洗浄し中和した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−12)で表される化合物11.2g(42.2ミリモル)を得た。収率84%、純度99.93%であった。得られた化合物の
1H NMR、
13C NMR及びマススペクトルを測定した結果、WO2009−060843号公報に記載の方法によって得られた化合物の測定データと一致した。
(比較例17)
実施例12と同様のスケールで、式(I−12−1)で表される化合物及びトリエチルアミンを混合したテトラヒドロフラン溶液を滴下した以外は実施例12と同様の方法によって式(I−12)で表される化合物を製造した。収率82%、純度99.90%であった。
(実施例13)式(I−13)で表される化合物(Journal of the American Chemical Society,131巻,p.3812−3813(2009年)記載の化合物)の製造
【0084】
【化23】
【0085】
撹拌装置、温度計及び2つの滴下装置を備えた反応容器にメタンスルホニルクロリド7.50g(65.5ミリモル)及びジクロロメタン10mLを加えた。氷冷しながら式(I−13−1)で表される化合物37.5g(66.2ミリモル)のジクロロメタン溶液120mL及びトリエチルアミン7.29g(72.1ミリモル)のジクロロメタン溶液60mLを各々別の滴下装置から(式(I−13−1)で表される化合物の溶液):(トリエチルアミン溶液)=2:1の滴下速度で同時に滴下した。氷冷しながら30分間撹拌した後、4−ジメチルアミノピリジン0.80g(6.6ミリモル)及び式(I−13−2)で表される化合物7.50g(62.9ミリモル)を加えた。氷冷しながらトリエチルアミン7.29g(72.1ミリモル)を滴下した。1時間撹拌した後、溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−13)で表される化合物36.9gを得た。収率88%、純度99.91%であった。得られた化合物の
1H NMR、
13C NMR及びマススペクトルを測定した結果、Journal of the American Chemical Society,131巻,p.3812−3813(2009年)記載の方法で得られた化合物の測定データと一致した。
1H NMR(C
6D
6)δ 7.82(s,1H),7.15(s,1H),6.90(s,1H),6.78(1H),6.69(dd,1H),5.82(d,1H),5.65(dd,1H),4.22(m,4H),4.16(d,1H),3.24(m,1H),3.14(m,1H),3.12(s,3H),3.02(s,2H),2.80(m,1H),2.66(m,1H),1.49(s,3H),1.47(s,3H),0.94(m,4H),−0.07(s,9H),−0.11(s,9H)ppm.
13C NMR (C
6D
6)δ 201.1,169.3,154.1,153.7,152.6,141.7,140.5,139.8,130.5,126.7,126.2,116.5,116.0,110.1,88.2,67.0,63.3,57.7,46.2,39.7,27.6,22.7,18.0,17.6,16.4,−1.6,−1.7ppm.
LRMS(EI) m/z 666(100).
(比較例18)
実施例13と同様のスケールで、式(I−13−1)で表される化合物及びトリエチルアミンを混合したジクロロメタン溶液を滴下した以外は実施例13と同様の方法によって式(I−13)で表される化合物を製造した。収率85%、純度99.88%であった。
(実施例14)式(I−14)で表される化合物の製造
【0086】
【化24】
【0087】
撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(式(I−14−1)で表される化合物) 100g(0.53モル)、酢酸300mL、無水酢酸65.1g(0.64モル)、硫酸5gを加え、60℃に加熱し8時間反応させた。反応液に水1Lを加え氷冷しながら1時間撹拌した後、析出した固体を濾過した。得られた固体を水1Lで2度分散洗浄した。固体を乾燥させることにより式(I−14−2)で表される化合物 118.7gを得た。
【0088】
撹拌装置、温度計及び2つの滴下装置を備えた反応容器にメタンスルホニルクロリド5.00g(43.6ミリモル)及びテトラヒドロフラン10mLを加えた。氷冷しながら式(I−14−2)で表される化合物10.2g(44.1ミリモル)のテトラヒドロフラン溶液50mL及びトリエチルアミン5.25g(51.9ミリモル)のテトラヒドロフラン溶液25mLを各々別の滴下装置から(4−アセトキシ安息香酸の溶液):(トリエチルアミン溶液)=2:1の滴下速度で同時に滴下した。氷冷しながら30分間撹拌した後、4−ジメチルアミノピリジン0.53g(4.3ミリモル)及び2,4−ジメチルフェノール5.32g(43.6ミリモル)を加えた。氷冷しながらトリエチルアミン5.25g(51.9ミリモル)を滴下した。1時間撹拌した後、溶媒を留去し、ジクロロメタン及び5%塩酸を加え分液処理した。有機層を食塩水で洗浄し中和した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再沈殿(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−14−4)で表される化合物14.1g(42.2ミリモル)を得た。収率97%、純度99.57%であった。
【0089】
撹拌装置及び滴下装置を備えた反応容器に式(I−14−4)で表される化合物14.1g(42.2ミリモル)を加え、トルエン30mL及びテトラヒドロフラン30mLに溶解させた。ブチルアミン4.62g(63.3ミリモル)を滴下し室温で7時間撹拌した。5%塩酸及び食塩水で分液及び洗浄処理した後、再結晶(メタノール/水)により精製を行い、式(I−14−5)で表される化合物12.1g(41.3ミリモル)を得た。
【0090】
撹拌装置、温度計及び2つの滴下装置を備えた反応容器にメタンスルホニルクロリド4.73g(41.3ミリモル)及びテトラヒドロフラン10mLを加えた。氷冷しながら式(I−14−6)で表される化合物10.3g(41.3ミリモル)のテトラヒドロフラン溶液50mL及びトリエチルアミン5.25g(51.9ミリモル)のテトラヒドロフラン溶液25mLを各々別の滴下装置から(4−アセトキシ安息香酸の溶液):(トリエチルアミン溶液)=2:1の滴下速度で同時に滴下した。氷冷しながら30分間撹拌した後、4−ジメチルアミノピリジン0.53g(4.3ミリモル)及び式(I−14−5)で表される化合物12.1g(41.3ミリモル)を加えた。氷冷しながらトリエチルアミン5.25g(51.9ミリモル)を滴下した。1時間撹拌した後、溶媒を留去し、ジクロロメタン及び5%塩酸を加え分液処理した。有機層を食塩水で洗浄し中和した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再沈殿(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−14)で表される化合物20.8g(39.6ミリモル)を得た。収率96%、純度99.68%であった。
1H NMR(CDCl
3)δ 2.20〜2.26(m,5H),2.35(s,3H),4.18(t,2H),4.40(t,2H),5.85(dd,1H),6.14(dd,1H),6.43(dd,1H),7.01(d,2H),7.07(s,2H),7.11(s,1H),7.46(dd,1H),7.77(d,1H),7.93(d,1H),8.06(d,1H),8.20(d,2H),8.24(dd,1H),8.82(d,1H)ppm.
13C NMR(CDCl
3)δ 16.2,20.8,28.5,61.1,64.7,114.3,118.8,121.6,121.6,122.5,126.2,126.6,127.5,128.1,128.2,129.8,130.4,131.0,131.6,131.8,132.4,135.7,136.4,147.3,150.8,163.2,164.7,165.0,166.1ppm.
LRMS(EI)m/z 524(100).
(比較例19)
実施例14と同様の反応スケールで式(I−14−4)で表される化合物を得る工程及び、式(I−14)で表される化合物を得る工程における試薬の加え方のみを、メタンスルホニルクロリドのテトラヒドロフラン溶液に対し、トリエチルアミン及びカルボン酸を混合したテトラヒドロフラン溶液を滴下する方法に変更し、式(I−14)で表される化合物を製造した。各々の工程において得られた化合物は、収率95%、純度98.57%及び、収率92%、純度99.37%であった。
(実施例15)式(I−14)で表される化合物の製造
【0091】
【化25】
【0092】
実施例3と同様の方法によって式(I−3−2)で表される化合物の溶液を調製した。即ち、撹拌装置、温度計及び2つの滴下装置を備えた反応装置にメタンスルホニルクロリド5.00g(43.6ミリモル)及びテトラヒドロフラン10mLを加えた。氷冷しながら式(I−3−1)で表される化合物12.9g(44.1ミリモル)のテトラヒドロフラン溶液60mL及びトリエチルアミン5.25g(51.9ミリモル)のテトラヒドロフラン溶液30mLを各々別の滴下装置から(式(I−3−1)で表される化合物の溶液):(トリエチルアミン溶液)=2:1の滴下速度で同時に滴下した。
【0093】
その後、氷冷しながら1時間撹拌した後、4−ジメチルアミノピリジン0.54g(4.41ミリモル)及び式(I−6−3)で表される化合物10.6g(43.6ミリモル)を加えた。氷冷しながらトリエチルアミン5.25g(51.9ミリモル)を滴下した。3時間撹拌した後、溶媒を留去し、ジクロロメタン及び5%塩酸を加え分液処理した。有機層を食塩水で洗浄し中和した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再沈殿(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行い、式(I−15)で表される化合物21.6gを得た。収率96%、純度99.55%であった。
1H NMR(CDCl
3)δ 1.45〜1.57(m,4H),1.73(quin,2H),1.85(quin,2H),2.19(s,3H),2.34(s,3H),4.06(t,2H),4.18(t,2H),5.82(dd,1H),6.12(dd,1H),6.41(dd,1H),6.97〜7.08(m,5H),7.36(d,2H),8.15(d,2H),8.29(d,2H)ppm.
13C NMR(CDCl
3)δ 16.1,20.8,25.6,25.7,28.5,28.9,64.4,68.1,114.3,121.0,121.6,122.0,126.9,127.2,127.5,128.5,129.8,130.5,131.7,131.8,132.4,135.6,147.2,155.2,163.7,164.3,164.3,166.3ppm.
LRMS(EI)m/z 516(100).
(比較例20)
実施例15と同様のスケールで、式(I−3−1)で表される化合物及びトリエチルアミンを混合したテトラヒドロフラン溶液を滴下した以外は実施例15と同様の方法によって式(I−15)で表される化合物を製造した。収率88%、純度99.43%であった。
(実施例16〜25及び比較例21〜33)フィルムの評価
下記化合物(A):30%、化合物(B):40%及び化合物(C):30%からなる母体組成物(M)を調製した。
【0094】
【化26】
【0095】
母体組成物(M)67.9%、本願発明の製造方法及び公知の製造方法によって製造した式(I−3)、式(I−4)、式(I−5)、式(I−6)、式(I−8)、式(I−9)、式(I−10)及び式(I−11)で表される化合物をそれぞれ29.1%及び光重合開始剤イルガキュア907(チバスペシャリティーケミカル社製)を3%含有する重合性組成物(N)を調整した。この重合性組成物(N)のシクロペンタノン溶液(重合性組成物(N)の濃度25%)を、ラビング処理したポリイミド付きガラスにスピンコート法で塗布し、65℃で3分乾燥した。得られた塗膜を60℃のホットプレート上に置き、紫外線を20mW/cm
2の強度で60秒間照射した。得られた重合体の外観及びイエローインデックス(YI)を評価した。目視によって重合体上にムラ等が無く全体に均一であれば◎、ムラが僅かに見られる場合には△、ムラが多く見られる場合は×とした。また、イエローインデックスはJASCO UV/VIS Spectrophotometer V−560で重合体の吸収スペクトルを測定し、付属のカラー診断プログラムで黄色度(YI)を計算した。YIは、
YI=100(1.28X−1.06Z)/Y (JIS K7373)
から算出した。
【0096】
その後、得られた重合体を200℃で60分ポストベークした。ポストベーク後のYIについても同様に上記式より算出した。
【0097】
なお化合物(I−9)については、化合物そのものが黄色を呈しているため、YIの測定を行わなかった。また、比較例5において製造を検討した化合物(I−3)は、反応収率が低く単離が困難であったことから評価を行っていない。結果を下表に示す。
【0098】
【表2】
【0099】
以上のように、本願発明の製造方法は高収率に目的化合物を得ることができた。また、製造時に生じる不純物含有量が少ないことも確認できた。不純物含有量が多くなるとそれを用いて重合体とした際にムラが生じ、またYIが悪化する。本願製造方法で得られた化合物を含有する重合性液晶組成物を用いて作製した重合体は、ムラが無く、重合後及びポストベーク後のイエローインデックスが十分低い値即ち、変色がほとんど起こらないことが分かった。このため本願発明の製造方法により製造される化合物は特にフィルムの用途に有用である。