【文献】
Journal of the American Chemical Society,1991年,113(10),p.4040-4042
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る化合物は、下記式(1)で表されるものである。
【0016】
上記式(1)中、R
1及びR
2は、それぞれ独立に水素原子又は有機基を示すが、R
1及びR
2の少なくとも一方は有機基を示す。
R
1及びR
2における有機基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。この有機基は、該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。
この有機基は、通常は1価であるが、環状構造を形成する場合等には、2価以上の有機基となり得る。
【0017】
R
1及びR
2は、それらが結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合をさらに含んでいてもよい。環状構造としては、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基等が挙げられ、縮合環であってもよい。
【0018】
R
1及びR
2の有機基中の炭化水素基以外の結合としては、本発明の効果が損なわれない限り特に限定されず、酸素原子、窒素原子、珪素原子等のヘテロ原子を含む結合が挙げられる。具体例としては、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、イミノ結合(−N=C(−R)−、−C(=NR)−:Rは水素原子又は有機基を示す)、カーボネート結合、スルホニル結合、スルフィニル結合、アゾ結合等が挙げられる。
耐熱性の観点から、R
1及びR
2の有機基中の炭化水素基以外の結合としては、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、イミノ結合(−N=C(−R)−、−C(=NR)−:Rは水素原子又は1価の有機基を示す)、カーボネート結合、スルホニル結合、スルフィニル結合が好ましい。
【0019】
R
1及びR
2の有機基中の炭化水素基以外の置換基としては、本発明の効果が損なわれない限り特に限定されず、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシル基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、ヒドロキシイミノ基、アルキルエーテル基、アルケニルエーテル基、アルキルチオエーテル基、アルケニルチオエーテル基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アミノ基(−NH
2、−NHR、−NRR’:R及びR’はそれぞれ独立に炭化水素基を示す)等が挙げられる。上記置換基に含まれる水素原子は、炭化水素基によって置換されていてもよい。また、上記置換基に含まれる炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれでもよい。
R
1及びR
2の有機基中の炭化水素基以外の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシル基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、ヒドロキシイミノ基、アルキルエーテル基、アルケニルエーテル基、アルキルチオエーテル基、アルケニルチオエーテル基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基が好ましい。
【0020】
以上の中でも、R
1及びR
2としては、少なくとも一方が炭素数1〜12のアルキル基若しくは炭素数1〜12のアリール基であるか、互いに結合して炭素数2〜20のヘテロシクロアルキル基若しくはヘテロアリール基を形成するものであることが好ましい。ヘテロシクロアルキル基としては、ピペリジノ基、モルホリノ基等が挙げられ、ヘテロアリール基としては、イミダゾリル基、ピラゾリル基等が挙げられる。
【0021】
上記式(1)中、R
3は、単結合又は有機基を示す。
R
3における有機基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基等から1個の水素原子を除いた基が挙げられる。この有機基は、該有機基中に置換基を含んでいてもよい。置換基としては、R
1及びR
2において例示したものが挙げられる。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよい。
【0022】
以上の中でも、R
3としては、単結合、又は炭素数1〜12のアルキル基若しくは炭素数1〜12のアリール基から1個の水素原子を除いた基であることが好ましい。
【0023】
上記式(1)中、R
4及びR
5は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、又は有機基を示す。
R
4及びR
5における有機基としては、R
1及びR
2において例示したものが挙げられる。この有機基は、R
1及びR
2の場合と同様に、該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。
【0024】
以上の中でも、R
4及びR
5としては、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜13のシクロアルキル基、炭素数4〜13のシクロアルケニル基、炭素数7〜16のアリールオキシアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基、シアノ基を有する炭素数2〜11のアルキル基、水酸基を有する炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数2〜11のアミド基、炭素数1〜10のアルキルチオ基、炭素数1〜10のアシル基、炭素数2〜11のエステル基(−COOR、−OCOR:Rは炭化水素基を示す)、炭素数6〜20のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換した炭素数6〜20のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換したベンジル基、シアノ基、メチルチオ基であることが好ましい。より好ましくは、R
4及びR
5の両方が水素原子であるか、又はR
4がメチル基であり、R
5が水素原子である。
【0025】
上記式(1)中、R
6、R
7、R
8、及びR
9は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基、又は有機基を示す。
R
6、R
7、R
8、及びR
9における有機基としては、R
1及びR
2において例示したものが挙げられる。この有機基は、R
1及びR
2の場合と同様に、該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。
【0026】
なお、上記式(1)中、R
6及びR
7が水酸基となることはない。R
6又はR
7が水酸基である場合、特許文献2に記載されているとおり、電磁波照射及び加熱によって環化反応が生じる。このため、このような化合物をネガ型感光性樹脂組成物に含有させても、光エネルギが環化のために消費され、良好な微小パターニング特性を得ることができない。これに対して上記式(1)で表される化合物は、R
6及びR
7が水酸基となることはないため、環化反応は生じず、ネガ型感光性樹脂組成物に含有させた際に良好な微小パターニング特性を得ることが可能である。
【0027】
R
6、R
7、R
8、及びR
9は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。環状構造としては、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基等が挙げられ、縮合環であってもよい。例えば、R
6、R
7、R
8、及びR
9は、それらの2つ以上が結合して、R
6、R
7、R
8、及びR
9が結合しているベンゼン環の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン等の縮合環を形成してもよい。
【0028】
以上の中でも、R
6、R
7、R
8、及びR
9としては、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜13のシクロアルキル基、炭素数4〜13のシクロアルケニル基、炭素数7〜16のアリールオキシアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基、シアノ基を有する炭素数2〜11のアルキル基、水酸基を有する炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数2〜11のアミド基、炭素数1〜10のアルキルチオ基、炭素数1〜10のアシル基、炭素数2〜11のエステル基、炭素数6〜20のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換した炭素数6〜20のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換したベンジル基、シアノ基、メチルチオ基、ニトロ基であることが好ましい。
また、R
6、R
7、R
8、及びR
9としては、それらの2つ以上が結合して、R
6、R
7、R
8、及びR
9が結合しているベンゼン環の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン等の縮合環を形成している場合も、吸収波長が長波長化する点から好ましい。
より好ましくは、R
6、R
7、R
8、及びR
9の全てが水素原子であるか、又はR
6、R
7、R
8、及びR
9のいずれか1つがニトロ基であり、残り3つが水素原子である。
【0029】
上記式(1)中、R
10は、水素原子又は有機基を示す。
R
10における有機基としては、R
1及びR
2において例示したものが挙げられる。この有機基は、R
1及びR
2の場合と同様に、該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。
上記式(1)で表される化合物は、ベンゼン環のパラ位に−OR
10基を有するため、有機溶剤への溶解性が良好である。
【0030】
以上の中でも、R
10としては、水素原子、又は炭素数1〜12のアルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
【0031】
上記式(1)で表される化合物のうち、特に好ましい具体例としては、下記式で表される化合物が挙げられる。
【0035】
上記式(1)で表される化合物は、後述する実施例のようにして合成することが可能である。
【0036】
このような上記式(1)で表される化合物は、有機溶剤への溶解性が良好であり、また、ネガ型感光性樹脂組成物に含有させた際に良好な微小パターニング特性を得ることが可能である。ネガ型感光性樹脂組成物としては、例えば、アルカリ可溶性樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤、上記式(1)で表される化合物、及び有機溶剤を含有するものが挙げられる。以下、このネガ型感光性樹脂組成物について詳細に説明する。
【0037】
ネガ型感光性樹脂組成物に含有されるアルカリ可溶性樹脂としては、特に限定されず、従来公知のアルカリ可溶性樹脂を用いることができる。このアルカリ可溶性樹脂は、エチレン性不飽和基を有するものであってもよく、エチレン性不飽和基を有さないものであってもよい。
なお、本明細書においてアルカリ可溶性樹脂とは、樹脂濃度20質量%の樹脂溶液(溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)により、膜厚1μmの樹脂膜を基板上に形成し、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液に1分間浸漬した際に、膜厚0.01μm以上溶解するものをいう。
【0038】
エチレン性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、エポキシ化合物と不飽和カルボン酸との反応物を、さらに多塩基酸無水物と反応させることにより得られる樹脂を用いることができる。
【0039】
その中でも、下記式(a−1)で表される樹脂が好ましい。この式(a−1)で表される樹脂は、それ自体が、光硬化性が高い点で好ましい。
【0041】
上記式(a−1)中、X
aは、下記式(a−2)で表される基を示す。
【0043】
上記式(a−2)中、R
a1は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又はハロゲン原子を示し、R
a2は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、W
aは、単結合又は下記式(a−3)で表される基を示す。
【0045】
また、上記式(a−1)中、Y
aは、ジカルボン酸無水物から酸無水物基(−CO−O−CO−)を除いた残基を示す。ジカルボン酸無水物の例としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸等が挙げられる。
【0046】
また、上記式(a−1)中、Z
aは、テトラカルボン酸二無水物から2個の酸無水物基を除いた残基を示す。テトラカルボン酸二無水物の例としては、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
また、上記式(a−1)中、mは、0〜20の整数を示す。
【0047】
また、エチレン性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、多価アルコール類と一塩基酸又は多塩基酸とを縮合して得られるポリエステルプレポリマーに(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレート;ポリオールと2個のイソシアネート基を持つ化合物とを反応させた後、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリウレタン(メタ)アクリレート;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノール又はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、レゾール型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸ポリグリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエステル、脂肪族又は脂環式エポキシ樹脂、アミンエポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等を用いることもできる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸とメタクリル酸との両方を意味する。同様に、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートとの両方を意味する。
【0048】
一方、エチレン性不飽和基を有さないアルカリ可溶性樹脂としては、不飽和カルボン酸と脂環式基を有さないエポキシ基含有不飽和化合物と脂環式基含有不飽和化合物とを少なくとも共重合させて得られる樹脂を用いることができる。
【0049】
不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等のジカルボン酸;これらジカルボン酸の無水物;等が挙げられる。これらの中でも、共重合反応性、得られる樹脂のアルカリ溶解性、入手の容易性等の点から、(メタ)アクリル酸及び無水マレイン酸が好ましい。これらの不飽和カルボン酸は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0050】
脂環式基を有さないエポキシ基含有不飽和化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エポキシアルキルエステル類;α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸6,7−エポキシヘプチル等のα−アルキルアクリル酸エポキシアルキルエステル類;o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類;等が挙げられる。これらの中でも、共重合反応性、硬化後の樹脂の強度等の点から、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、及びp−ビニルベンジルグリシジルエーテルが好ましい。これらのエポキシ基含有不飽和化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0051】
脂環式基含有不飽和化合物としては、脂環式基を有する不飽和化合物であれば特に限定されない。脂環式基は、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。具体的に、脂環式基含有不飽和化合物としては、例えば下記式で表される化合物が挙げられる。
【0053】
上記式中、R
a3は水素原子又はメチル基を示し、R
a4は単結合又は炭素数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、R
a5は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。R
a4としては、単結合、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。R
a5としては、例えばメチル基、エチル基が好ましい。
【0054】
このアルカリ可溶性樹脂中における上記不飽和カルボン酸に由来する構成単位の割合は、3〜25質量%であることが好ましく、5〜25質量%であることがより好ましい。また、上記エポキシ基含有不飽和化合物に由来する構成単位の割合は、71〜95質量%であることが好ましく、75〜90質量%であることがより好ましい。また、上記脂環式基含有不飽和化合物に由来する構成単位の割合は、1〜25質量%であることが好ましく、3〜20質量%であることがより好ましく、5〜15質量%であることがさらに好ましい。上記の範囲とすることにより、得られる樹脂のアルカリ溶解性を適度なものとしながら、ネガ型感光性樹脂組成物の基板への密着性、ネガ型感光性樹脂組成物の硬化後の強度を高めることができる。
【0055】
アルカリ可溶性樹脂の質量平均分子量は、1000〜40000であることが好ましく、2000〜30000であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、良好な現像性を得ながら、十分な耐熱性、膜強度を得ることができる。
【0056】
アルカリ可溶性樹脂の含有量は、ネガ型感光性樹脂組成物の固形分に対して5〜80質量%であることが好ましく、15〜50質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、現像性のバランスがとりやすい傾向がある。
【0057】
ネガ型感光性樹脂組成物に含有される光重合性モノマーとしては、単官能モノマーと多官能モノマーとがある。
単官能モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0058】
一方、多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(すなわち、トリレンジイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN−メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物等の多官能モノマーや、トリアクリルホルマール等が挙げられる。これらの多官能モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0059】
光重合性モノマーの含有量は、ネガ型感光性樹脂組成物の固形分に対して1〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、感度、現像性、解像性のバランスがとりやすい傾向がある。
【0060】
ネガ型感光性樹脂組成物に含有される光重合開始剤としては、特に限定されず、従来公知の光重合開始剤を用いることができる。
【0061】
光重合開始剤として具体的には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾル−3−イル],1−(o−アセチルオキシム)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−ベンゾイル−4’−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシル安息香酸、4−ジメチルアミノ−2−イソアミル安息香酸、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテン、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキシド、2−メルカプトベンゾイミダール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン(すなわち、ミヒラーズケトン)、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン(すなわち、エチルミヒラーズケトン)、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、p−メトキシトリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン等が挙げられる。これらの中でも、オキシム系の光重合開始剤を用いることが、感度の面で特に好ましい。これらの光重合開始剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0062】
光重合開始剤の含有量は、ネガ型感光性樹脂組成物の固形分100質量部に対して0.5〜20質量部であることが好ましい。上記の範囲とすることにより、十分な耐熱性、耐薬品性を得ることができ、また塗膜形成能を向上させ、硬化不良を抑制することができる。
【0063】
ネガ型感光性樹脂組成物は、上記のとおり、上記式(1)で表される化合物を含有する。この化合物は、有機溶剤への溶解性が良好であり、また、ネガ型感光性樹脂組成物に含有させた際に良好な微小パターニング特性を得ることが可能である。
【0064】
上記式(1)で表される化合物の含有量は、上記光重合開始剤100質量部に対して0.5〜95質量部であることが好ましく、1〜50質量部であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、良好な現像性を得ながら、良好な微小パターニング特性を得ることができる。
【0065】
ネガ型感光性樹脂組成物は、さらに、着色剤を含有していてもよい。着色剤を含有することにより、例えば、液晶表示ディスプレイのカラーフィルタ形成用途として好ましく使用される。また、ネガ型感光性樹脂組成物は、着色剤として遮光剤を含むことにより、例えば、カラーフィルタにおけるブラックマトリクス形成用途として好ましく使用される。
【0066】
着色剤としては、特に限定されないが、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを用いることが好ましい。
【0067】
C.I.ピグメントイエロー1(以下、「C.I.ピグメントイエロー」は同様であり、番号のみを記載する。)、3、11、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、55、60、61、65、71、73、74、81、83、86、93、95、97、98、99、100、101、104、106、108、109、110、113、114、116、117、119、120、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、166、167、168、175、180、185;
C.I.ピグメントオレンジ1(以下、「C.I.ピグメントオレンジ」は同様であり、番号のみを記載する。)、5、13、14、16、17、24、34、36、38、40、43、46、49、51、55、59、61、63、64、71、73;
C.I.ピグメントバイオレット1(以下、「C.I.ピグメントバイオレット」は同様であり、番号のみを記載する。)、19、23、29、30、32、36、37、38、39、40、50;
C.I.ピグメントレッド1(以下、「C.I.ピグメントレッド」は同様であり、番号のみを記載する。)、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48:1、48:2、48:3、48:4、49:1、49:2、50:1、52:1、53:1、57、57:1、57:2、58:2、58:4、60:1、63:1、63:2、64:1、81:1、83、88、90:1、97、101、102、104、105、106、108、112、113、114、122、123、144、146、149、150、151、155、166、168、170、171、172、174、175、176、177、178、179、180、185、187、188、190、192、193、194、202、206、207、208、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、242、243、245、254、255、264、265;
C.I.ピグメントブルー1(以下、「C.I.ピグメントブルー」は同様であり、番号のみを記載する。)、2、15、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、66;
C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン37;
C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントブラウン26、C.I.ピグメントブラウン28;
C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7。
【0068】
また、着色剤を遮光剤とする場合、遮光剤としては黒色顔料を用いることが好ましい。黒色顔料としては、カーボンブラック、チタンブラック、銅、鉄、マンガン、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、カルシウム、銀等の金属酸化物、複合酸化物、金属硫化物、金属硫酸塩、金属炭酸塩など、有機物、無機物を問わず各種の顔料を挙げることができる。これらの中でも、高い遮光性を有するカーボンブラックを用いることが好ましい。
【0069】
カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック等の公知のカーボンブラックを用いることができるが、遮光性に優れるチャンネルブラックを用いることが好ましい。また、樹脂被覆カーボンブラックを使用してもよい。
【0070】
樹脂被覆カーボンブラックは、樹脂被覆のないカーボンブラックに比べて導電性が低いことから、液晶表示ディスプレイのブラックマトリクスとして使用した場合に電流のリークが少なく、信頼性の高い低消費電力のディスプレイを製造できる。
【0071】
また、カーボンブラックの色調を調整するために、補助顔料として上記の有機顔料を適宜添加してもよい。
【0072】
また、着色剤をネガ型感光性樹脂組成物において均一に分散させるために、さらに分散剤を使用してもよい。このような分散剤としては、ポリエチレンイミン系、ウレタン樹脂系、アクリル樹脂系の高分子分散剤を用いることが好ましい。特に、着色剤としてカーボンブラックを用いる場合には、分散剤としてアクリル樹脂系の分散剤を用いることが好ましい。
【0073】
また、無機顔料及び有機顔料は、それぞれ単独で用いてもよく、併用してもよいが、併用する場合には、無機顔料と有機顔料との総量100質量部に対して、有機顔料を10〜80質量部の範囲で用いることが好ましく、20〜40質量部の範囲で用いることがより好ましい。
【0074】
着色剤の含有量は、ネガ型感光性樹脂組成物の用途に応じて適宜決定すればよいが、一例として、ネガ型感光性樹脂組成物の固形分100質量部に対して、5〜70質量部が好ましく、25〜60質量部がより好ましい。
特に、ネガ型感光性樹脂組成物を使用してブラックマトリクスを形成する場合には、ブラックマトリクスの膜厚1μm当たりのOD値が4以上となるように、ネガ型感光性樹脂組成物における遮光剤の量を調整することが好ましい。ブラックマトリクスにおける膜厚1μm当たりのOD値が4以上あれば、液晶表示ディスプレイのブラックマトリクスに用いた場合に、十分な表示コントラストを得ることができる。
【0075】
なお、着色剤は、分散剤を用いて適当な濃度で分散させた分散液とした後、ネガ型感光性樹脂組成物に添加することが好ましい。
【0076】
ネガ型感光性樹脂組成物における有機溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル部炭酸メチル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、蟻酸n−ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。これらの有機溶剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0077】
上記有機溶剤の中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、3−メトキシブチルアセテートは、上記アルカリ可溶性樹脂、上記光重合性モノマー、上記光重合開始剤、及び上記式(1)で表される化合物に対して優れた溶解性を示すとともに、上記着色剤の分散性を良好にすることができるため好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテートを用いることが特に好ましい。
【0078】
有機溶剤の含有量は、ネガ型感光性樹脂組成物の固形分濃度が1〜50質量%となる量が好ましく、5〜30質量%となる量がより好ましい。
【0079】
ネガ型感光性樹脂組成物は、必要に応じて、各種の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、増感剤、硬化促進剤、充填剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤、熱重合禁止剤、消泡剤、界面活性剤等が挙げられる。
【0080】
このようなネガ型感光性樹脂組成物は、上記の各成分を撹拌機で混合することにより調製される。なお、調製されたネガ型感光性樹脂組成物が均一なものとなるよう、メンブランフィルタ等を用いて濾過してもよい。
【実施例】
【0081】
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0082】
<上記式(1)で表される化合物及び比較化合物>
上記式(1)で表される化合物としては、下記式で表される化合物1〜20を準備した。この化合物1〜20の合成法を下記に示す。また、比較のため、下記式で表される比較化合物1〜11を準備した。
【0083】
【化11】
【0084】
【化12】
【0085】
【化13】
【0086】
[化合物1の合成法]
3−(4−メトキシフェニル)アクリル酸クロリド5.90g(30mmol)を50mlの乾燥したエーテルに溶解し、トリエチルアミン4.59ml(当量比1.1)、ジエチルアミン2.41ml(当量比1.1)を加え、室温にて1時間撹拌した。水50ml、飽和NaHCO
3水溶液50ml、及び1N塩酸で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。ヘキサン−酢酸エチルを展開溶媒とし、シリカゲルを支持担体としてカラムクロマトグラフィにより精製を行い、対応する化合物1(4.65g,20mmol)を得た。アクリル酸クロリド基準の収率は67%であった。
【0087】
[化合物2の合成法]
3−(4−メトキシフェニル)アクリル酸クロリド5.90g(30mmol)を50mlの乾燥したエーテルに溶解し、トリエチルアミン4.59ml(当量比1.1)、アニリン3.07ml(当量比1.1)を加え、室温にて1時間撹拌した。水50ml、飽和NaHCO
3水溶液50ml、及び1N塩酸で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。ヘキサン−酢酸エチルを展開溶媒とし、シリカゲルを支持担体としてカラムクロマトグラフィにより精製を行い、対応する化合物2(6.31g,25mmol)を得た。アクリル酸クロリド基準の収率は83%であった。
【0088】
[化合物3の合成法]
3−(4−メトキシフェニル)アクリル酸クロリド5.90g(30mmol)を50mlの乾燥したエーテルに溶解し、トリエチルアミン4.59ml(当量比1.1)、イミダゾール2.25ml(当量比1.1)を加え、室温にて1時間撹拌した。水50ml、飽和NaHCO
3水溶液50ml、及び1N塩酸で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。ヘキサン−酢酸エチルを展開溶媒とし、シリカゲルを支持担体としてカラムクロマトグラフィにより精製を行い、対応する化合物3(3.41g,15mmol)を得た。アクリル酸クロリド基準の収率は50%であった。
【0089】
[化合物4の合成法1]
3−(4−メトキシフェニル)アクリル酸クロリド5.90g(30mmol)を50mlの乾燥したエーテルに溶解し、トリエチルアミン4.59ml(当量比1.1)、モルホリン2.25ml(当量比1.1)を加え、室温にて1時間撹拌した。水50ml、飽和NaHCO
3水溶液50ml、及び1N塩酸で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。ヘキサン−酢酸エチルを展開溶媒とし、シリカゲルを支持担体としてカラムクロマトグラフィにより精製を行い、対応する化合物4(3.41g,15mmol)を得た。アクリル酸クロリド基準の収率は50%であった。
【0090】
[化合物4の合成法2]
4−メトキシ桂皮酸p−ニトロフェニルエステル10.78g(30mmol)を50mlの乾燥したエーテルに溶解し、モルホリン2.25ml(当量比1.1)を加え、室温で4時間撹拌した。水50ml、飽和NaHCO
3水溶液50ml、及び1N塩酸で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。ヘキサン−酢酸エチルを展開溶媒とし、シリカゲルを支持担体としてカラムクロマトグラフィにより精製を行い、対応する化合物4(6.62g,15mmol)を得た。桂皮酸フェニルエステル基準の収率は97%であった。
【0091】
[化合物5の合成法]
3−(2−ニトロ−4−メトキシフェニル)アクリル酸クロリド7.25g(30mmol)を50mlの乾燥したエーテルに溶解し、トリエチルアミン4.59ml(当量比1.1)、イミダゾール2.25ml(当量比1.1)を加え、室温にて1時間撹拌した。水50ml、飽和NaHCO
3水溶液50ml、及び1N塩酸で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。ヘキサン−酢酸エチルを展開溶媒とし、シリカゲルを支持担体としてカラムクロマトグラフィにより精製を行い、対応する化合物5(4.08g,15mmol)を得た。アクリル酸クロリド基準の収率は50%であった。
【0092】
[化合物6の合成法]
3−(3−ニトロ−4−メトキシフェニル)アクリル酸クロリド7.25g(30mmol)を50mlの乾燥したエーテルに溶解し、トリエチルアミン4.59ml(当量比1.1)、イミダゾール2.25ml(当量比1.1)を加え、室温にて1時間撹拌した。水50ml、飽和NaHCO
3水溶液50ml、及び1N塩酸で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。ヘキサン−酢酸エチルを展開溶媒とし、シリカゲルを支持担体としてカラムクロマトグラフィにより精製を行い、対応する化合物6(4.08g,15mmol)を得た。アクリル酸クロリド基準の収率は50%であった。
【0093】
[化合物7の合成法]
2−メチル−3−(2−ニトロ−4−メトキシフェニル)アクリル酸クロリド7.67g(30mmol)を50mlの乾燥したエーテルに溶解し、トリエチルアミン4.59ml(当量比1.1)、イミダゾール2.25ml(当量比1.1)を加え、室温にて1時間撹拌した。水50ml、飽和NaHCO
3水溶液50ml、及び1N塩酸で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。ヘキサン−酢酸エチルを展開溶媒とし、シリカゲルを支持担体としてカラムクロマトグラフィにより精製を行い、対応する化合物7(4.29g,15mmol)を得た。アクリル酸クロリド基準の収率は50%であった。
【0094】
[化合物8の合成法]
2−メチル−3−(3−ニトロ−4−メトキシフェニル)アクリル酸クロリド7.67g(30mmol)を50mlの乾燥したエーテルに溶解し、トリエチルアミン4.59ml(当量比1.1)、イミダゾール2.25ml(当量比1.1)を加え、室温にて1時間撹拌した。水50ml、飽和NaHCO
3水溶液50ml、及び1N塩酸で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。ヘキサン−酢酸エチルを展開溶媒とし、シリカゲルを支持担体としてカラムクロマトグラフィにより精製を行い、対応する化合物8(3.41g,15mmol)を得た。アクリル酸クロリド基準の収率は50%であった。
【0095】
[化合物9の合成法]
3−(2−ニトロ−4−メトキシフェニル)アクリル酸クロリド7.25g(30mmol)を50mlの乾燥したエーテルに溶解し、トリエチルアミン4.59ml(当量比1.1)、ジエチルアミン2.41ml(当量比1.1)を加え、室温にて1時間撹拌した。水50ml、飽和NaHCO
3水溶液50ml、及び1N塩酸で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。ヘキサン−酢酸エチルを展開溶媒とし、シリカゲルを支持担体としてカラムクロマトグラフィにより精製を行い、対応する化合物9(5.55g,20mmol)を得た。アクリル酸クロリド基準の収率は67%であった。
【0096】
[化合物10の合成法]
3−(3−ニトロ−4−メトキシフェニル)アクリル酸クロリド7.25g(30mmol)を50mlの乾燥したエーテルに溶解し、トリエチルアミン4.59ml(当量比1.1)、ジエチルアミン2.41ml(当量比1.1)を加え、室温にて1時間撹拌した。水50ml、飽和NaHCO
3水溶液50ml、及び1N塩酸で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。ヘキサン−酢酸エチルを展開溶媒とし、シリカゲルを支持担体としてカラムクロマトグラフィにより精製を行い、対応する化合物9(5.55g,20mmol)を得た。アクリル酸クロリド基準の収率は67%であった。
【0097】
[化合物11の合成法]
2−メチル−3−(2−ニトロ−4−メトキシフェニル)アクリル酸クロリド7.67g(30mmol)を50mlの乾燥したエーテルに溶解し、トリエチルアミン4.59ml(当量比1.1)、ジエチルアミン2.41ml(当量比1.1)を加え、室温にて1時間撹拌した。水50ml、飽和NaHCO
3水溶液50ml、及び1N塩酸で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。ヘキサン−酢酸エチルを展開溶媒とし、シリカゲルを支持担体としてカラムクロマトグラフィにより精製を行い、対応する化合物11(5.83g,20mmol)を得た。アクリル酸クロリド基準の収率は67%であった。
【0098】
[化合物12の合成法]
2−メチル−3−(3−ニトロ−4−メトキシフェニル)アクリル酸クロリド7.67g(30mmol)を50mlの乾燥したエーテルに溶解し、トリエチルアミン4.59ml(当量比1.1)、ジエチルアミン2.41ml(当量比1.1)を加え、室温にて1時間撹拌した。水50ml、飽和NaHCO
3水溶液50ml、及び1N塩酸で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。ヘキサン−酢酸エチルを展開溶媒とし、シリカゲルを支持担体としてカラムクロマトグラフィにより精製を行い、対応する化合物12(5.83g,20mmol)を得た。アクリル酸クロリド基準の収率は67%であった。
【0099】
[化合物13の合成法]
3−(2−ニトロ−4−メトキシフェニル)アクリル酸クロリド7.25g(30mmol)を50mlの乾燥したエーテルに溶解し、トリエチルアミン4.59ml(当量比1.1)、ピペリジン2.81ml(当量比1.1)を加え、室温にて1時間撹拌した。水50ml、飽和NaHCO
3水溶液50ml、及び1N塩酸で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。ヘキサン−酢酸エチルを展開溶媒とし、シリカゲルを支持担体としてカラムクロマトグラフィにより精製を行い、対応する化合物13(5.62g,23mmol)を得た。アクリル酸クロリド基準の収率は77%であった。
【0100】
[化合物14の合成法]
3−(3−ニトロ−4−メトキシフェニル)アクリル酸クロリド7.25g(30mmol)を50mlの乾燥したエーテルに溶解し、トリエチルアミン4.59ml(当量比1.1)、ピペリジン2.81ml(当量比1.1)を加え、室温にて1時間撹拌した。水50ml、飽和NaHCO
3水溶液50ml、及び1N塩酸で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。ヘキサン−酢酸エチルを展開溶媒とし、シリカゲルを支持担体としてカラムクロマトグラフィにより精製を行い、対応する化合物14(5.62g,23mmol)を得た。アクリル酸クロリド基準の収率は67%であった。
【0101】
[化合物15の合成法]
2−メチル−3−(2−ニトロ−4−メトキシフェニル)アクリル酸クロリド7.67g(30mmol)を50mlの乾燥したエーテルに溶解し、トリエチルアミン4.59ml(当量比1.1)、ピペリジン2.81ml(当量比1.1)を加え、室温にて1時間撹拌した。水50ml、飽和NaHCO
3水溶液50ml、及び1N塩酸で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。ヘキサン−酢酸エチルを展開溶媒とし、シリカゲルを支持担体としてカラムクロマトグラフィにより精製を行い、対応する化合物15(5.83g,23mmol)を得た。アクリル酸クロリド基準の収率は67%であった。
【0102】
[化合物16の合成法]
2−メチル−3−(3−ニトロ−4−メトキシフェニル)アクリル酸クロリド7.67g(30mmol)を50mlの乾燥したエーテルに溶解し、トリエチルアミン4.59ml(当量比1.1)、ピペリジン2.81ml(当量比1.1)を加え、室温にて1時間撹拌した。水50ml、飽和NaHCO
3水溶液50ml、及び1N塩酸で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。ヘキサン−酢酸エチルを展開溶媒とし、シリカゲルを支持担体としてカラムクロマトグラフィにより精製を行い、対応する化合物16(5.83g,23mmol)を得た。アクリル酸クロリド基準の収率は67%であった。
【0103】
[化合物17の合成法]
3−(4−メトキシフェニル)アクリル酸クロリド5.90g(30mmol)を50mlの乾燥したエーテルに溶解し、トリエチルアミン4.59ml(当量比1.1)、ピペリジン2.81ml(当量比1.1)を加え、室温にて1時間撹拌した。水50ml、飽和NaHCO
3水溶液50ml、及び1N塩酸で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。ヘキサン−酢酸エチルを展開溶媒とし、シリカゲルを支持担体としてカラムクロマトグラフィにより精製を行い、対応する化合物17(3.41g,15mmol)を得た。アクリル酸クロリド基準の収率は50%であった。
【0104】
[化合物18の合成法]
2−メチル−3−(4−メトキシフェニル)アクリル酸クロリド6.32g(30mmol)を50mlの乾燥したエーテルに溶解し、トリエチルアミン4.59ml(当量比1.1)、イミダゾール2.25ml(当量比1.1)を加え、室温にて1時間撹拌した。水50ml、飽和NaHCO
3水溶液50ml、及び1N塩酸で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。ヘキサン−酢酸エチルを展開溶媒とし、シリカゲルを支持担体としてカラムクロマトグラフィにより精製を行い、対応する化合物18(3.62g,15mmol)を得た。アクリル酸クロリド基準の収率は50%であった。
【0105】
[化合物19の合成法]
2−メチル−3−(4−メトキシフェニル)アクリル酸クロリド6.32g(30mmol)を50mlの乾燥したエーテルに溶解し、トリエチルアミン4.59ml(当量比1.1)、ジエチルアミン2.41ml(当量比1.1)を加え、室温にて1時間撹拌した。水50ml、飽和NaHCO
3水溶液50ml、及び1N塩酸で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。ヘキサン−酢酸エチルを展開溶媒とし、シリカゲルを支持担体としてカラムクロマトグラフィにより精製を行い、対応する化合物19(4.93g,20mmol)を得た。アクリル酸クロリド基準の収率は67%であった。
【0106】
[化合物20の合成法]
2−メチル−3−(4−メトキシフェニル)アクリル酸クロリド6.32g(30mmol)を50mlの乾燥したエーテルに溶解し、トリエチルアミン4.59ml(当量比1.1)、アニリン3.07ml(当量比1.1)を加え、室温にて1時間撹拌した。水50ml、飽和NaHCO
3水溶液50ml、及び1N塩酸で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。ヘキサン−酢酸エチルを展開溶媒とし、シリカゲルを支持担体としてカラムクロマトグラフィにより精製を行い、対応する化合物20(4.29g,25mmol)を得た。アクリル酸クロリド基準の収率は83%であった。
【0107】
[評価]
これらの化合物1〜20、比較化合物1〜10について、吸収スペクトルのピークにおける波長(λ
max)、λ
maxにおけるグラム吸光係数を測定した。また、化合物1〜20、比較化合物1〜10のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PM)及びシクロヘキサノン(AN)に対する溶解性を確認した。結果を下記表1に示す。
【0108】
【表1】
【0109】
表1から分かるように、化合物1〜20はいずれも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PM)及びシクロヘキサノン(AN)に対する溶解性が良好であった。
【0110】
<ネガ型感光性樹脂組成物の調製>
[実施例1]
以下の各成分を混合し、3−メトキシブチルアセテート(MA)/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PM)/シクロヘキサノン(AN)=60/20/20(質量比)の混合溶剤に溶解して、固形分濃度15質量%のネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
・アルカリ可溶性樹脂
樹脂(A−1)(固形分55%、溶剤:3−メトキシブチルアセテート)・・・310質量部
・光重合性モノマー
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)・・・65質量部
・光重合開始剤
「OXE−02」(商品名:BASF社製)・・・15質量部
・上記式(1)で表される化合物
上記化合物1・・・5質量部
・着色剤
カーボン分散液「CFブラック」(商品名:御国色素社製 固形分25% 溶剤:3−メトキシブチルアセテート)・・・1200質量部
【0111】
上記樹脂(A−1)の合成法は下記のとおりである。
まず、500ml四つ口フラスコ中に、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量235)235g、テトラメチルアンモニウムクロライド110mg、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール100mg、及びアクリル酸72.0gを仕込み、これに25ml/分の速度で空気を吹き込みながら90〜100℃で加熱溶解した。次に、溶液が白濁した状態のまま徐々に昇温し、120℃に加熱して完全溶解させた。この際、溶液は次第に透明粘稠になったが、そのまま撹拌を継続した。この間、酸価を測定し、1.0mgKOH/g未満になるまで加熱撹拌を続けた。酸価が目標値に達するまで12時間を要した。そして室温まで冷却し、無色透明で固体状の下記式(a−4)で表されるビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレートを得た。
【0112】
【化14】
【0113】
次いで、このようにして得られた上記のビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレート307.0gに3−メトキシブチルアセテート600gを加えて溶解した後、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物80.5g及び臭化テトラエチルアンモニウム1gを混合し、徐々に昇温して110〜115℃で4時間反応させた。酸無水物基の消失を確認した後、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸38.0gを混合し、90℃で6時間反応させ、樹脂(A−1)を得た。酸無水物基の消失はIRスペクトルにより確認した。
なお、この樹脂(A−1)は、上記式(a−1)で表される化合物に相当する。
【0114】
[実施例2〜20、比較例1〜10]
化合物1の代わりにそれぞれ上記化合物2〜20、比較化合物1〜10を用いたほかは、実施例1と同様にしてネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
【0115】
[評価]
実施例1〜20、比較例1〜10のネガ型感光性樹脂組成物を、ガラス基板(100mm×100mm)上にスピンコーターを用いて塗布し、90℃で120秒間プリベークを行い、膜厚1.0μmの塗膜を形成した。次いで、ミラープロジェクションアライナー(製品名:TME−150RTO、株式会社トプコン製)を使用し、露光ギャップを50μmとして、20μmのラインパターンの形成されたネガマスクを介して、塗膜に紫外線を照射した。露光量は、20,40,60,120mJ/cm
2の4段階とした。露光後の塗膜を、26℃の0.04質量%KOH水溶液で40秒間現像後、230℃にて30分間ポストベークを行うことにより、ラインパターンを形成した。
同様に、2,5,10,20μmのラインパターンの形成されたネガマスクを介して、露光ギャップ50μmにて、塗膜に紫外線を照射した。露光量は10mJ/cm
2とした。露光後の塗膜を、26℃の0.04質量%KOH水溶液で40秒間現像後、230℃にて30分間ポストベークを行うことにより、ラインパターンを形成した。
【0116】
形成されたラインパターンについて、OD測定装置D−200II(グレタグマクベス社製)を使用して、膜厚1μm当たりのOD値を測定した。
また、ラインパターンを光学顕微鏡により観察し、パターン直進性を評価した。パターン直進性は、ラインのエッジにがたつきがないものを「良好」、がたつきがあるものを「不良」として評価した。
また、ラインパターンを光学顕微鏡により観察し、パターン密着性を評価した。パターン密着性は、基板から剥がれずラインパターンが形成されたものを「良好」、基板から剥がれてラインパターンが形成されなかったものを「なし」として評価した。
さらに、現像後の未露光部における残渣の有無について評価した。
結果を下記表2〜5に示す。
【0117】
【表2】
【0118】
【表3】
【0119】
【表4】
【0120】
【表5】
【0121】
表2,3から分かるように、上記式(1)で表される化合物1〜20を含有する実施例1〜20のネガ型感光性樹脂組成物を用いた場合には、20mJ/cm
2という低露光量であっても、直進性に優れたラインパターンを形成することができた。また、10mJ/cm
2という低露光量であっても、2μmのラインパターンが基板に密着した。さらに、実施例1〜20のネガ型感光性樹脂組成物を用いた場合には、現像残渣も存在しなかった。
【0122】
これに対して、比較化合物1〜10を含有する比較例1〜10のネガ型感光性樹脂組成物を用いた場合には、表4,5から分かるように、パターン直進性、パターン密着性のいずれも、実施例1〜20より劣っており、良好な微小パターニング特性が得られなかった。
特に、比較例6のネガ型感光性樹脂組成物に含有される比較化合物6は、密着増強剤として知られているアミン系シランカップリング剤であるが、10mJ/cm
2という低露光量では、20μmのラインパターンも基板に密着しなかった。
また、比較例7〜10の感光性樹脂組成物に含有される比較化合物7〜10は、化合物1〜4のベンゼン環のオルト位に水酸基が結合したものであるが、20mJ/cm
2という低露光量では直進性に劣るラインパターンしか形成することができなかった。また、10mJ/cm
2という低露光量では、10μm以上のラインパターンしか基板に密着しなかった。