(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明の一実施例に係る試験管方向判定装置の構成例を表すブロック図である。
【0016】
図1において、試験管方向判定装置100は、試験管方向判定機構20と制御部30とPC10が通信手段15によって接続されて構成される。PC10は、試験管の種類を記憶している記憶部11と、記憶された試験管を選択する操作部12からなる。操作部12は、その種類の一覧をモニターで表示する表示部13と、選択する試験管を入力する入力部14がある。
【0017】
図3に操作部の表示例を示す。本実施例では、操作部12はタッチパネルとなっており、パネルに表示された選択一覧には、試験管の製造メーカ、試験管の形状、長さの情報が表示される。その中から、選択したい試験管を指で触れることで入力することができる。試験管の種類の入力が完了すると、その情報は記憶部11から、通信手段15を通じて試験管方向判定装置100の制御部40へ出力される。
【0018】
制御部40は試験管方向判定機構20と通信手段15で接続されている。試験管方向判定機構20の駆動量は予め設定されており、試験管の種類によって異なる。操作部12から試験管の種類の情報が出力されると、その試験管の種類で設定されている駆動量を制御部40が試験管方向判定機構20に出力する。
【0019】
図4は試験管方向判定機構20の構造例である。
図4において、制御部40は試験管方向判定機構20のパルスモータ27と通信手段15によって接続されている。パルスモータ27の動力は、プーリ28、タイミングベルト29を介して駆動部22へ伝達される。駆動部22には接触部23がバネ25を介して固定されており、駆動部22の移動にあわせて接触部23も移動する構造となっている。ここで、接触部は試験管内部に挿入可能である。なお、駆動部22と接触部23との接続は、弾性体であればバネ25以外であっても良い。また、駆動部22と接触部23との相対的な位置関係の変化が検知できるようなものであれば、
図4の実施例に限られず、他の方式であっても良い。
【0020】
駆動部22の移動方向には試験管待機部21が配置されており、試験管待機部21上に試験管開口部と試験管底部の向きが180度異なった複数の試験管が混在している。試験管待機部21の側方には、試験管待機部壁部21aが取り付けられており、試験管待機部壁部21aから接触部23先端の初期位置までの距離は一定となる。以下の実施例では、この距離はa=120mmあるとする。
【0021】
操作部12の試験管1の選択項目において、
図2の試験管Aタイプ(100mm)を選択した場合の実施例を以下に説明する。なお、
図5は試験管Aの開口部、底部の判定方法の説明図である。(a)は試験管Aの底部が接触部23の方に向いている場合を示し、(b)は試験管Aの開口部が接触部23の方に向いている場合を示している。
【実施例1】
【0022】
本実施例では、試験管の開口部と底部の向きを判定する方法について説明する。
【0023】
制御部40が試験管Aタイプ(100mm)に対応した移動量:x
1を駆動部22へ出力する。ここで移動量:x
1は、試験管の上端から下端までの長さb
1、開口部に対する試験管の下端からの底部の高さc
1、およびセンサ30が反応するのに要する移動距離αによって決定される。本実施例の場合は、試験管Aの長さb
1=100mm、試験管Aは下端に試験管底部があるためc
1=0mm、センサが反応する十分な距離は一律α=4mmであるとすると、x
1=a−b
1+c
1+α=120−100+0+4=24mmと決定される。よって、駆動部22は決定された第一の移動量x
1=24mmの距離だけ、試験管Aのある方向へ接触部23を移動させる。
【0024】
なお、例えば
図2の試験管Dタイプ(92mm)を選択した場合は、試験管Dの長さb
2=92mm、試験管Dの底部の下端からの高さc
2=40mm、センサが反応するのに十分な距離α=4mmであるため、移動量:x
2は、x
2=a−b
2+c
2+α=120−92+40+4=72mmと決定される。
【0025】
このように移動量x
1、x
2だけ接触部23を駆動させると、試験管の底部が接触部23の方に向いている場合(
図5の(a))は、駆動部22にバネ25を介して固定された接触部23の先端が試験管Aの底部に接触し、試験管Aを試験管待機部壁部21aの方向へ押すこととなる。
【0026】
試験管Aタイプの場合、試験管Aの底部と接触部23の先端の位置関係がどのようになっていても、駆動部22が接触部23を120−100=20mm駆動すれば、試験管Aの開口部を試験管待機部壁部21aに接触させることができる。また、接触部23を24mm駆動すれば、試験管Aを試験管待機部壁部21aに押し付けることにより、接触部23を駆動部22に固定していたバネ25が収縮し、駆動部22と接触部23の相対位置がずれ、この試験管が接触部23に対して底部を向けていたことを検知することができる。
【0027】
また、
図2の試験管Dタイプ(92mm)の場合、試験管Dの底部と接触部23の先端の位置関係がどのようになっていても、駆動部22が接触部23を120−92+40=68mm駆動すれば、試験管Dの開口部を試験管待機部壁部21aに接触させることができる。また、接触部23を72mm駆動すれば、試験管Dを試験管待機部壁部21aに押し付けることにより、接触部23を駆動部22に固定していたバネ25が収縮し、駆動部22と接触部23の相対位置がずれ、この試験管が接触部23に対して底部を向けていたことを検知することができる。
【0028】
なお、駆動部22にはセンサ30が固定されており、駆動部22の移動に伴い、センサ30も移動する。また、接触部23には検知部材31が固定されており、接触部23の移動に伴い、この検知部材31も同様の移動を行う。駆動部22と接触部23の相対位置がずれるとセンサ30が検知部材31を検知する。従い、上述のように決定された移動量x
1、x
2だけ接触部23を駆動させたときに検知部材31による検知がされると、試験管は接触部に対して底部を向けていることを判定することができるのである。
【0029】
図5の(b)には、試験管Aタイプ(100mm)の開口部が接触部の方に向いている場合を示す。この場合は、駆動部22が接触部23をx
1=24mm、試験管Aのある方向へ移動しても、接触部23の先端は試験管A内部へ挿入されるため、試験管Aとは接触せずセンサ30は検知されない。駆動部22は制御部40によって指令された移動量をすべて使い切り停止する。所定の距離を移動してもセンサ30を検知しない場合は、試験管Aが開口部を向けていることを判定する。
【0030】
試験管Dタイプ(92mm)の場合も同様に、予め決められた所定の距離(68mm)だけ接触部23を駆動してもセンサ30を検知しない場合には、当該試験管は接触部23に対して開口部を向けていると判定する。
【実施例2】
【0031】
本実施例では、試験管の開口部および底部の向きを判定し、且つ、どのような向きの試験管に対しても位置を調節する方法について説明する。
【0032】
本実施例においては、接触部23に、駆動部22との固定位置と接触部23の先端との間に突起部24が設けられている。本実施例において突起部は、接触部23の先端から距離:d=47mmの位置にあるとする。この突起部24の位置dは、接触部が試験管内部に接触せず、かつ、底部が底上げされているような試験管Dタイプにも対応できるよう、d<b−c、かつ、c<dであることが望ましい。ここで、b:試験管の上端から下端までの長さ、c:試験管の下端から底部までの高さである。
【0033】
なお、試験管の向きを判定する方法については実施例1と同様である。つまり、試験管Aタイプ(100mm)の場合、制御部40が当該試験管に対応した移動量x
1=24mmだけ駆動部22に結合された接触部23を駆動させる。試験管Aの底部が接触部23の方に向いている場合は、センサ30が検知することで試験管Aが底部を向けていることを判定する(
図5の(a))。この場合には、接触部が移動量x
1だけ駆動することによって、試験管Aを試験管待機部壁部21aに対して一列に整列させることができる。
【0034】
一方、試験管Aの開口部が接触部23の方に向いている場合は、移動量x
1を使い切って停止することで試験管Aが開口部を向けていることを判定する(
図5の(b))。このとき、試験管は整列されていない。従い、制御部40は試験管を整列させるために、更に試験管のタイプに対応した移動量:yを駆動部22へ出力する。
【0035】
ここで、移動量:yは接触部の位置dおよび試験管の下端から底部までの距離:cに基づき、y=d−cと決定される。このように決定することによって、試験管の開口部と接触部23の先端の位置関係がどのようになっていても、駆動部22が接触部23をxに加えて更にy移動させれば、試験管Aの開口部に突起部24を接触させることができるためである。試験管Aタイプ(100mm)の場合は、駆動部22の移動量y
1=d−c
1=47−0=47mmと決定される。制御部は、接触部をx
1=24mm移動してもセンサが検知しなかった場合、さらにy
1だけ接触部を移動させる。すると試験管の開口部と接触部の先端の位置関係に関らず、突起部24が試験管A開口部の縁と接触し、試験管Aを試験管待機部壁部21aへ近づける。
【0036】
接触部を距離:y
1だけ移動させる直前、つまり試験管の向き判定シーケンスが終了した直後の突起部から試験管開口部までの距離は、最大でa−b
1−x
1+d=120−100−24+47=43mmである。つまり、接触部を43mm移動させれば必ず試験管Aを試験管待機部壁部21aに押し当てることが可能となる。さらに駆動部が接触部を移動させ、接触部の移動距離がy
1=47mmとなると、駆動部22と接触部23を固定していたバネ25が収縮し、駆動部22と接触部23の相対位置がずれることでセンサ30が検知部材31を検知する。検知部材31が検知されると駆動部22が停止する。このように駆動させることによって、試験管Aは試験管待機部壁部21aに対して一列に整列される。
【0037】
試験管Aの長さ:b=100mm、試験管Aの下端から底部までの距離:c=0mmに対して、接触部23の先端から突起部24までの距離:d=47mmであることから、d<b−cの関係にあり、接触部23先端が試験管の底部内壁に直接接触することはなく、試験管底部の内面を傷つけるのを防ぐことができる。またc=0であるため、当然にd>cの関係を満たす。
【0038】
図2の試験管Dタイプ(92mm)の場合、
図5の(a)に示すように試験管Dの底部が接触部23の方に向いている場合は、実施例1と同様の動作を行い、接触部を距離xだけ駆動させたときに検知部材31がセンサ30によって検知されれば、試験管Dが底部を向けていると判定する。この動作によって底部を接触部に向けている試験管は試験管待機部壁部21aに対して一列に整列させることができる。
【0039】
一方、
図5の(b)に示すように試験管Dの開口部が接触部23の方に向いている場合は、実施例1と同様の動作を行い、移動量を使い切って停止することで試験管Dが開口部を向けていることを判定する。その後、駆動部22は接触部23を更に移動量:y
2=d−c
2=47−40=7mmだけ移動させ、突起部24を試験管A開口部の縁と接触させる(
図3の(b)の下図)。突起部24が試験管Dの開口部を押すことによって、試験管Dの底部を試験管待機部壁部21aへ近づける。接触部を距離:y
2だけ移動させる直前、つまり試験管の向き判定シーケンスが終了した直後の突起部から試験管開口部までの距離は、最大でa−b
2−x
2+d=120−92−72+47=3mmである。つまり、接触部を3mm移動させれば必ず試験管Dを試験管待機部壁部21aに押し当てることが可能となる。更に駆動部が接触部を移動させ、接触部の移動距離がy
2=7mmとなると、駆動部22と接触部23を固定していたバネ25が収縮し、駆動部22と接触部23の相対位置がずれることでセンサ30が検知部材31を検知する。検知部材31が検知されると駆動部22が停止し、試験管Aは試験管待機部壁部21aに整列される。
【0040】
また、接触部23の先端から突起部24までの距離:d=47mmとすれば、試験管Dの長さ:b=92mm、試験管Dの下端から底部までの距離:c
2=40mmであるため、d<b−c(47<92−40)の関係を満たし、接触部に対して試験管が開口部を向けている場合であっても試験管内壁に接触部が接触することを防ぐ。また、d>c(47>40)の関係も満たす。
【0041】
本実施例の駆動パターンにより、試験管Aタイプのみならず、試験管Dタイプのように底上げされている試験管についても開口部および底部の方向を判定し、さらに試験管を試験管待機部壁部21aに対して一列に整列させることができる。
【実施例3】
【0042】
次に、試験管が置かれていない場合に、試験管待機部21が空であることを検知する方法について説明する。
【0043】
図5の(a)に示すように試験管の底部が接触部23の方に向いている場合は、実施例1と同様に駆動部が接触部を移動量xだけ移動させるシーケンスの実行中に検知部材31がセンサ30によって検知されると、試験管Aが接触部23に対して底部を向けていることを判定する。
【0044】
一方、
図5の(b)に示すように試験管の開口部が接触部23の方に向いている場合は、実施例1のシーケンス中にはセンサ30の出力は検知されない。このとき、駆動部は実施例2と同様に移動量yだけ移動させるシーケンスを行い、この実行中にセンサ30の出力を検知すると、試験管が接触部に対して開口部を向けていること、および試験管待機部壁部21aに対して整列したことを判定する。
【0045】
ここで、試験管待機部21に試験管Aがない場合は、接触部が移動量xおよびy移動してもセンサ30の出力は検知されない。駆動部は、移動量xおよびy移動してもセンサ30の出力が検知されない場合、制御部40によって指令された移動量をすべて使い切って停止する。
【0046】
停止後、駆動部22は試験管Aの種類に応じた移動量を制御部40によって指令され、一旦初期位置に戻る。その後、再度制御部40によって指令された移動量xおよびyだけ接触部を移動させる。複数回にわたり接触部を駆動させてもセンサ30の出力を検知しない場合は、試験管が試験管待機部21に設置されていないと判定する。
【0047】
本実施例の駆動パターンにより、試験管の方向を判定し、試験管待機部壁部21aに対して整列させるだけでなく、試験管待機部21の試験管の有無を検知することができる。
【0048】
以上の実施例では試験管タイプA(100mm)および試験管タイプD(92mm)について判定する場合の取扱について述べたが、これらの試験管と異なる長さ、タイプにおいても駆動部22の移動量を同様の制御を行うことで方向の判定が可能である。使用する試験管のタイプが決まっている場合には、
図3の試験管種別選択画面で使用する試験管の種別を選択することによって、接触部の移動量を一義に決定する。
【実施例4】
【0049】
本実施例では、複数の試験管タイプが混在している場合について説明する。
【0050】
使用する試験管のタイプが複数混在する場合には、使用する可能性のある試験管を
図3の試験管種別選択画面で複数選択する。まず、試験管の底部を判定する場合には、複数の試験管タイプの夫々に対する移動量xを算出し、最も大きい距離xmaxに基づいて接触部を移動させる。移動量xmaxの駆動中にセンサの出力を検知した場合には、その出力を検知した時は当該試験管が接触部に対して底部を向けていると判定する。また、センサが検知されたときのトータル駆動量に基づいて試験管の種別を判定することも可能である。例えば、センサが検知した時の接触部の駆動量がx
3である場合には、当該試験管の長さb=a−x
3と判定され、予めデータベースに記憶されている試験管の情報から試験管種別が特定される。
【0051】
移動量xmaxだけ接触部を駆動させてもセンサの出力を検知しない場合には、その試験管は接触部に対して開口部を向けていると判定する。接触部23が突起部24を設けている場合は、更に接触部23を駆動させることによって開口部を向けている試験管の種別を判定し、試験管を整列させることが可能である。この場合、突起部24と接触部23先端との距離dは、底部が上げ底されている試験管のうち、上端から底部までの距離が最も短い試験管の、上端から底部までの距離(b−c)minよりも小さいことが望ましい(d<(b−c)min)。これによって、試験管の内壁に接触部の先端が接触することを防止できる。駆動部は接触部を距離xmaxだけ駆動した後に、更に突起部24が試験管開口部に折衝kするまで駆動させる。突起部24が試験管開口部に接触すると、その自転におけるトータル駆動量x
4に基づき、当該試験管の長さはb=a−x
4+dと算出される。算出した試験管長さを予めデータベースに記憶されている試験管情報と照合することで、試験管種別が特定される。
【0052】
なお、試験管種別によっては移動量xmaxだけ駆動させている間に、突起部24が試験管開口部に接触してセンサ30が検知されてしまう事態も想定されうる。このような場合であっても、センサ30を検知したときの駆動量x
5および突起部24の位置dに基づき、当該試験管の長さb=a−x
5+dと算出され、予めデータベースに記憶されている試験管情報から試験管種別が特定される。
【0053】
また、本実施例では、底部を向けている試験管は試験管待機部壁部21aまで押し当てるまで移動するのに対し、開口部を向けている試験管は、接触部23が試験管内部に挿入され、試験管待機部壁部21aまで押し当てられずに駆動部22が停止する。試験管の種別によって、押し出される距離が異なるため、試験管の押し出される駆動量、およびセンサ検知時の駆動量の違いから、試験管の種類を仕分けることもできる。
【0054】
また、本実施例は、パルスモータ27により駆動する説明をしたが、エアーシリンジ等のエアー駆動も可能である。
【0055】
また、本実施例は駆動部22と接触部23との相対的な位置関係の変化を検知することで方向を判定する説明をしたが、接触部先端に接触センサを取り付け、試験管に触れるか否かで方向を判定することも可能である。