特許第5989085号(P5989085)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5989085改良された非−ニュートン粘度特性を有する潤滑剤組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989085
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】改良された非−ニュートン粘度特性を有する潤滑剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C10M 145/14 20060101AFI20160825BHJP
   C10N 20/02 20060101ALN20160825BHJP
   C10N 20/04 20060101ALN20160825BHJP
   C10N 30/02 20060101ALN20160825BHJP
   C10N 40/04 20060101ALN20160825BHJP
   C10N 40/08 20060101ALN20160825BHJP
   C10N 40/20 20060101ALN20160825BHJP
   C10N 40/25 20060101ALN20160825BHJP
   C10N 50/10 20060101ALN20160825BHJP
【FI】
   C10M145/14
   C10N20:02
   C10N20:04
   C10N30:02
   C10N40:04
   C10N40:08
   C10N40:20
   C10N40:25
   C10N50:10
【請求項の数】33
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2014-502650(P2014-502650)
(86)(22)【出願日】2012年3月23日
(65)【公表番号】特表2014-512432(P2014-512432A)
(43)【公表日】2014年5月22日
(86)【国際出願番号】US2012030415
(87)【国際公開番号】WO2012135054
(87)【国際公開日】20121004
【審査請求日】2015年3月20日
(31)【優先権主張番号】61/467,726
(32)【優先日】2011年3月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ユージーン スキャンロン
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン デサンティス
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルジニー ベット
(72)【発明者】
【氏名】ヨヘン ペッツォルト
【審査官】 松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−214185(JP,A)
【文献】 特開2008−031459(JP,A)
【文献】 特開2003−253285(JP,A)
【文献】 特開平09−003131(JP,A)
【文献】 特開平07−048421(JP,A)
【文献】 特開2011−052047(JP,A)
【文献】 米国特許第06124249(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10M 101/00−177/00
C10N 10/00− 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
改良された非ニュートン粘度特性を有しかつASTM D2983に従って−40℃で測定された20,000mPa・s未満のブルックフィールド粘度を有する潤滑剤組成物で使用するための潤滑剤用添加剤であって、
A.前記潤滑剤用添加剤の総質量に対して10〜80質量パーセントの希釈油と、
B.前記潤滑剤用添加剤の総質量に対して30〜80質量パーセントのランダムコポリマー性粘度指数向上剤であって、少なくとも、
(i)前記粘度指数向上剤の総質量に対して5〜15質量パーセントのメチルメタクリレートと、
(ii)前記粘度指数向上剤の総質量に対して5〜95質量パーセントの2−プロピルヘプチルメタクリレートと
によるフリーラジカル重合生成物であり、10,000〜200,000g/molの数平均分子量および20,000〜500,000g/molの質量平均分子量を有する、粘度指数向上剤と
を含む潤滑剤用添加剤。
【請求項2】
前記粘度指数向上剤が、10,000〜50,000g/molの数平均分子量および20,000〜100,000g/molの質量平均分子量を有する、あるいは
前記粘度指数向上剤が、10,000〜15,000g/molの数平均分子量および20,000〜30,000g/molの質量平均分子量を有する、
請求項1に記載の潤滑剤用添加剤。
【請求項3】
前記粘度指数向上剤が、1.7〜1.8の多分散指数を有する、あるいは
前記粘度指数向上剤が、1.7〜3の多分散指数を有する、
請求項2に記載の潤滑剤用添加剤。
【請求項4】
前記メチルメタクリレートの質量パーセントがさらに、前記粘度指数向上剤の総質量に対して5〜10質量パーセントとして定義される、請求項1に記載の潤滑剤用添加剤。
【請求項5】
前記メチルメタクリレートの質量パーセントがさらに、前記粘度指数向上剤の総質量に対して5〜10質量パーセントとして定義され、かつ前記2−プロピルヘプチルメタクリレートの質量パーセントがさらに、前記粘度指数向上剤の総質量に対して5質量パーセントとして定義される、請求項1に記載の潤滑剤用添加剤。
【請求項6】
前記フリーラジカル重合生成物がさらに、前記メチルメタクリレート、前記2−プロピルヘプチルメタクリレート、ならびに前記粘度指数向上剤の総質量に対して7〜80質量パーセントのC12〜C18アルキル(メタ)アクリレートおよび/または前記粘度指数向上剤の総質量に対して3〜8質量パーセントの第二級または第三級アミン官能性(メタ)アクリレートによるフリーラジカル重合生成物として定義される、請求項に記載の潤滑剤用添加剤。
【請求項7】
前記メチルメタクリレートの質量パーセントがさらに、前記粘度指数向上剤の総質量に対して5〜10質量パーセントとして定義され、かつ前記2−プロピルヘプチルメタクリレートの質量パーセントがさらに、前記粘度指数向上剤の総質量に対して2〜25質量パーセントとして定義される、請求項に記載の潤滑剤用添加剤。
【請求項8】
前記フリーラジカル重合生成物がさらに、前記メチルメタクリレート、前記2−プロピルヘプチルメタクリレート、ならびに前記粘度指数向上剤の総質量に対して65〜70質量パーセントのC12〜C18アルキル(メタ)アクリレートおよび/または前記粘度指数向上剤の総質量に対して3〜8質量パーセントの第二級または第三級アミン官能性(メタ)アクリレートによるフリーラジカル重合生成物として定義される、請求項7に記載の潤滑剤用添加剤。
【請求項9】
前記メチルメタクリレートの質量パーセントがさらに、前記粘度指数向上剤の総質量に対して5〜10質量パーセントとして定義され、かつ前記2−プロピルヘプチルメタクリレートの質量パーセントがさらに、前記粘度指数向上剤の総質量に対して4〜45質量パーセントとして定義される、請求項に記載の潤滑剤用添加剤。
【請求項10】
前記フリーラジカル重合生成物がさらに、前記メチルメタクリレート、前記2−プロピルヘプチルメタクリレート、ならびに前記粘度指数向上剤の総質量に対して40〜45質量パーセントのC12〜C18アルキル(メタ)アクリレートおよび/または前記粘度指数向上剤の総質量に対して3〜8質量パーセントの第二級または第三級アミン官能性(メタ)アクリレート、によるフリーラジカル重合生成物として定義される、請求項9に記載の潤滑剤用添加剤。
【請求項11】
前記メチルメタクリレートの質量パーセントがさらに、前記粘度指数向上剤の総質量に対して5〜10質量パーセントとして定義され、かつ前記2−プロピルヘプチルメタクリレートの質量パーセントがさらに、前記粘度指数向上剤の総質量に対して6〜70質量パーセントとして定義される、請求項に記載の潤滑剤用添加剤。
【請求項12】
前記フリーラジカル重合生成物がさらに、前記メチルメタクリレート、前記2−プロピルヘプチルメタクリレート、ならびに前記粘度指数向上剤の総質量に対して20〜25質量パーセントのC12〜C18アルキル(メタ)アクリレートおよび/または前記粘度指数向上剤の総質量に対して3〜8質量パーセントの第二級または第三級アミン官能性(メタ)アクリレートによるフリーラジカル重合生成物として定義される、請求項11記載の潤滑剤用添加剤。
【請求項13】
前記メチルメタクリレートの質量パーセントがさらに、前記粘度指数向上剤の総質量に対して1〜15質量パーセントとして定義される、請求項1に記載の潤滑剤用添加剤。
【請求項14】
前記メチルメタクリレートの質量パーセントがさらに、前記粘度指数向上剤の総質量に対して10〜15質量パーセントとして定義され、かつ前記2−プロピルヘプチルメタクリレートの質量パーセントがさらに、前記粘度指数向上剤の総質量に対して5質量パーセントとして定義される、請求項1に記載の潤滑剤用添加剤。
【請求項15】
前記フリーラジカル重合生成物がさらに、前記メチルメタクリレート、前記2−プロピルヘプチルメタクリレート、ならびに前記粘度指数向上剤の総質量に対して7〜80質量パーセントのC12〜C18アルキル(メタ)アクリレートおよび/または前記粘度指数向上剤の総質量に対して3〜8質量パーセントの第二級または第三級アミン官能性(メタ)アクリレートによるフリーラジカル重合生成物として定義される、請求項14に記載の潤滑剤用添加剤。
【請求項16】
前記メチルメタクリレートの質量パーセントがさらに、前記粘度指数向上剤の総質量に対して10〜15質量パーセントとして定義され、かつ前記2−プロピルヘプチルメタクリレートの質量パーセントがさらに、前記粘度指数向上剤の総質量に対して5〜10質量パーセントとして定義される、請求項に記載の潤滑剤用添加剤。
【請求項17】
前記フリーラジカル重合生成物がさらに、前記メチルメタクリレート、前記2−プロピルヘプチルメタクリレート、ならびに前記粘度指数向上剤の総質量に対して70〜80質量パーセントのC12〜C18アルキル(メタ)アクリレートおよび/または前記粘度指数向上剤の総質量に対して3〜8質量パーセントの第二級または第三級アミン官能性(メタ)アクリレートによるフリーラジカル重合生成物として定義される、
請求項16に記載の潤滑剤用添加剤。
【請求項18】
前記メチルメタクリレートの質量パーセントがさらに、前記粘度指数向上剤の総質量に対して10〜15質量パーセントとして定義され、かつ前記2−プロピルヘプチルメタクリレートの質量パーセントがさらに、前記粘度指数向上剤の総質量に対して2〜40質量パーセントとして定義される、請求項に記載の潤滑剤用添加剤。
【請求項19】
前記フリーラジカル重合生成物がさらに、前記メチルメタクリレート、前記2−プロピルヘプチルメタクリレート、ならびに前記粘度指数向上剤の総質量に対して40〜60質量パーセントのC12〜C18アルキル(メタ)アクリレートおよび/または前記粘度指数向上剤の総質量に対して3〜8質量パーセントの第二級または第三級アミン官能性(メタ)アクリレートによるフリーラジカル重合生成物として定義される、
請求項18に記載の潤滑剤用添加剤。
【請求項20】
前記メチルメタクリレートの質量パーセントがさらに、前記粘度指数向上剤の総質量に対して10〜15質量パーセントとして定義され、かつ前記2−プロピルヘプチルメタクリレートの質量パーセントがさらに、前記粘度指数向上剤の総質量に対して4〜60質量パーセントとして定義される、請求項に記載の潤滑剤用添加剤。
【請求項21】
前記フリーラジカル重合生成物がさらに、前記メチルメタクリレート、前記2−プロピルヘプチルメタクリレート、ならびに前記粘度指数向上剤の総質量に対して20〜40質量パーセントのC12〜C18アルキル(メタ)アクリレートおよび/または前記粘度指数向上剤の総質量に対して3〜8質量パーセントの第二級または第三級アミン官能性(メタ)アクリレートによるフリーラジカル重合生成物として定義される、
請求項20に記載の潤滑剤用添加剤。
【請求項22】
前記メチルメタクリレートの質量パーセントがさらに、前記粘度指数向上剤の総質量に対して1〜15質量パーセントとして定義され
前記2−プロピルヘプチルメタクリレートの質量パーセントがさらに、前記粘度指数向上剤の総質量に対して5〜10質量パーセントとして定義され、かつ
前記フリーラジカル重合生成物がさらに、前記メチルメタクリレート、前記2−プロピルヘプチルメタクリレート、ならびに前記粘度指数向上剤の総質量に対して7〜80質量パーセントのC12〜C18アルキル(メタ)アクリレートおよび前記粘度指数向上剤の総質量に対して3〜5質量パーセントの第二級または第三級アミン官能性(メタ)アクリレート、によるフリーラジカル重合生成物として定義され;または
前記メチルメタクリレートの質量パーセントがさらに、前記粘度指数向上剤の総質量に対して5質量パーセントとして定義され、
前記2−プロピルヘプチルメタクリレートの質量パーセントがさらに、前記粘度指数向上剤の総質量に対して2〜25質量パーセントとして定義され、かつ
前記フリーラジカル重合生成物がさらに、前記メチルメタクリレート、前記2−プロピルヘプチルメタクリレート、ならびに前記粘度指数向上剤の総質量に対して6〜70質量パーセントのC12〜C18アルキル(メタ)アクリレートおよび前記粘度指数向上剤の総質量に対して3〜5質量パーセントの第二級または第三級アミン官能性(メタ)アクリレート、によるフリーラジカル重合生成物として定義され;または
前記メチルメタクリレートの質量パーセントがさらに、前記粘度指数向上剤の総質量に対して1〜15質量パーセントとして定義され、
前記2−プロピルヘプチルメタクリレートの質量パーセントがさらに、前記粘度指数向上剤の総質量に対して2〜50質量パーセントとして定義され、かつ
前記フリーラジカル重合生成物がさらに、前記メチルメタクリレート、前記2−プロピルヘプチルメタクリレート、および前記粘度向上剤の総質量に対して3〜70質量パーセントのC12〜C18アルキル(メタ)アクリレート、によるフリーラジカル重合生成物として定義される、
請求項1に記載の潤滑剤用添加剤。
【請求項23】
改良された非ニュートン粘度特性を有する潤滑剤組成物であって、
A.前記組成物の総質量に対して少なくとも85質量パーセントの基油と、
B.前記組成物の総質量に対して1〜15質量パーセントの潤滑剤用添加剤であって、
(i)前記添加剤の総質量に対して10〜80質量パーセントの希釈油と、
(ii)前記添加剤の総質量に対して30〜80質量パーセントのランダムコポリマー性粘度指数向上剤であって、少なくとも
a)前記粘度指数向上剤の総質量に対して5〜15質量パーセントのメチルメタクリレートと、
b)前記粘度指数向上剤の総質量に対して5〜95質量パーセントの2−プロピルヘプチルメタクリレートと
によるフリーラジカル重合生成物である、粘度指数向上剤と
を含む潤滑剤用添加剤と
を含み、ASTM D2983に従って−40℃で測定された20,000mPa・s未満のブルックフィールド粘度を有する、潤滑剤組成物。
【請求項24】
ASTM D445に従って100℃で測定された2〜50mm2/sの動粘度を有する、請求項23に記載の潤滑剤組成物。
【請求項25】
さらに、CEC−L−48−00に従って測定された30パーセント未満のDKA酸化の増加を有する、請求項24に記載の潤滑剤組成物。
【請求項26】
前記粘度指数向上剤が、10,000〜200,000g/molの数平均分子量および20,000〜500,000g/molの質量平均分子量を有する;または
前記粘度指数向上剤が、10,000〜15,000g/molの数平均分子量および20,000〜30,000g/molの質量平均分子量を有する;または
前記粘度指数向上剤が、10,000〜30,000g/molの数平均分子量、20,000〜50,000g/molの質量平均分子量、および1.7〜1.8の多分散度指数を有する、
請求項24または25に記載の潤滑剤組成物。
【請求項27】
前記メチルメタクリレートの質量パーセントがさらに、前記粘度指数向上剤の総質量に対して5〜10質量パーセントとして定義される、請求項23に記載の潤滑剤組成物。
【請求項28】
前記メチルメタクリレートの質量パーセントがさらに、前記粘度指数向上剤の総質量に対して5〜10質量パーセントとして定義され、かつ前記潤滑剤用添加剤がさらに、前記メチルメタクリレート、前記2−プロピルヘプチルメタクリレート、ならびにC12〜C18アルキル(メタ)アクリレートおよび/または第二級もしくは第三級アミン官能性(メタ)アクリレート、によるフリーラジカル重合生成物として定義される、請求項23に記載の潤滑剤組成物。
【請求項29】
前記C12〜C18アルキル(メタ)アクリレートが、ラウリルメタクリレートとして定義される、請求項28に記載の潤滑剤組成物。
【請求項30】
改良された非ニュートン粘度特性を有する潤滑剤組成物で使用するための潤滑剤用添加剤を形成する方法であって、前記潤滑剤用添加剤が、前記潤滑剤用添加剤の総質量に対して10〜80質量パーセントの希釈油と前記潤滑剤用添加剤の総質量に対して30〜80質量パーセントのランダムコポリマー性粘度指数向上剤とを含み、前記粘度指数向上剤が、少なくとも:前記粘度指数向上剤の総質量に対して5〜15質量パーセントのメチルメタクリレートと前記粘度指数向上剤の総質量に対して5〜95質量パーセントの2−プロピルヘプチルメタクリレートと、によるフリーラジカル重合生成物であり、
A.前記希釈油、前記メチルメタクリレート、前記2−プロピルヘプチルメタクリレート、およびフリーラジカル開始剤を提供する工程;
B.反応器に前記希釈油を流し入れる工程;
C.前記メチルメタクリレートおよび前記2−プロピルヘプチルメタクリレートを、フリーラジカル開始剤から独立して、反応器に流し入れる工程;および
D.前記フリーラジカル開始剤を反応器に流し入れて、それにより、前記希釈油、前記メチルメタクリレート、前記2−プロピルヘプチルメタクリレート、および前記フリーラジカル開始剤の組み合わせにより、フリーラジカル重合反応を開始させ、前記粘度指数向上剤が形成される工程
を含み、
前記粘度指数向上剤が、10,000〜200,000g/molの数平均分子量および20,000〜500,000g/molの質量平均分子量を有し、ならびに、前記潤滑剤組成物が、ASTM D2983に従って−40℃で測定された20,000mPa・s未満のブルックフィールド粘度を有する、
前記方法。
【請求項31】
前記粘度指数向上剤が、10,000〜15,000g/molの数平均分子量および20,000〜30,000g/molの質量平均分子量を有する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記粘度指数向上剤が、1.7〜1.8の多分散指数を有する、請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
前記潤滑剤用添加剤が、前記メチルメタクリレート、前記2−プロピルヘプチルメタクリレート、ならびにC12〜C18アルキル(メタ)アクリレートおよび/または第二級もしくは第三級アミン官能性(メタ)アクリレート、によるフリーラジカル重合生成物として定義される、請求項30に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、改良された非ニュートン粘度特性と、低温で測定された特定のブルックフィールド粘度とを有する潤滑剤組成物に関する。より詳細には、当該潤滑剤組成物は、希釈油と、少なくともメチルメタクリレートおよびC8〜C10アルキル(メタ)アクリレートによるフリーラジカル重合生成物であるコポリマー性粘度指数向上剤とを含む潤滑剤用添加剤を含む。
【0002】
関連分野の説明
潤滑剤組成物は、一般的に、当該技術分野において周知であり、油ベースまたは水ベースの組成物、すなわち、それぞれ、高い質量百分率の非極性化合物(例えば、油(基油))または高い質量百分率の水を含む組成物、として大きく分類される。潤滑剤組成物は、典型的には、エンジン油、駆動系油、ギヤ油、オートマティックおよびマニュアルトランスミッション液および油、油圧油、工業用ギヤ油、タービン油、さびおよび酸化(R&O)防止油、コンプレッサー油、抄紙機用油などとして、さらに分類される。これらの組成物はそれぞれ、特定の仕様および設計要件を有している。しかしながら、多くが、低温での許容できない粘度の増加および高温での許容できない粘度の低下による影響を受けやすい。
【0003】
このような理由のために、低温および高温での当該組成物の特性を改良するために添加剤を用いることができる。これらの添加剤は、ポリアルキルメタクリレート、スチレン化ポリエステル、アルキル化ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル、酢酸ビニル−フマレート、エステル化オレフィン、スチレンマレイン酸無水物、およびアルキル化ナフタレンである。しかしながら、これらの添加剤は、他の成分と悪い相互作用を生じ、剪断場において安定性を欠き、ゲル化指数を増加し得ることから、製造および購入のコストが高くなる傾向があり、典型的には、潤滑剤組成物において大量に(すなわち、高い添加量において)使用しなければならない。結果、潤滑剤組成物のコストが増加する。さらに、多機能性添加剤であることが知られるこれらの添加剤のいくつかは、最小限の効果しかなく、製造、購入両方のコストが高くなる傾向がある。したがって、改良された組成物および添加剤を開発する余地がある。
【0004】
本開示および利点の概要
本開示は、改良された非ニュートン粘度特性を有する潤滑剤組成物を提供する。当該組成物は、それぞれ当該組成物の総質量に対して、少なくとも85質量パーセントの基油と1〜15質量パーセントの潤滑剤用添加剤とを含む。添加剤自体は、それぞれ当該添加剤の総質量に対して、10〜80質量パーセントの希釈油と30〜80質量パーセントのランダムコポリマー性粘度指数向上剤とを含む。当該ランダムコポリマー性粘度指数向上剤は、それぞれ当該粘度指数向上剤の総質量に対して少なくとも5〜15質量パーセントのメチルメタクリレートおよび5〜95質量パーセントのC8〜C10アルキル(メタ)アクリレートによるフリーラジカル重合生成物である。当該組成物は、ASTM D2983に従って−40℃で測定された、約20,000mPa・s未満のブルックフィールド粘度を有する。
【0005】
本開示は、当該添加剤を形成する方法も提供する。当該方法は、希釈油、メチルメタクリレート、C8〜C10アルキル(メタ)アクリレート、およびフリーラジカル開始剤を提供する工程を含む。当該方法はさらに、希釈油を反応器に流し入れる工程、メチルメタクリレートおよびC8〜C10アルキル(メタ)アクリレートをフリーラジカル開始剤から独立して反応器に流し入れる工程、ならびにフリーラジカル開始剤を反応器に流し入れる工程も含み、それにより、希釈油、メチルメタクリレート、C8〜C10アルキル(メタ)アクリレート、およびフリーラジカル開始剤の組み合わせによりフリーラジカル重合反応が開始され、粘度指数向上剤が形成される。
【0006】
当該添加剤におけるメチルメタクリレートは、当該組成物の使用および当該添加剤の解重合に関して、添加剤の、および組成物全体の清浄度に貢献する。C8〜C10アルキル(メタ)アクリレートは、添加剤を組成物に対して可溶とし、添加剤自体、組成物両方の低温での非ニュートン粘度特性を向上するために組成物中に存在し得るワックスと当該コポリマーとの共結晶化を最小限にする、または防ぐ。さらに、当該粘度指数向上剤は、低温において非常にしっかりとコイル化するので、添加剤または潤滑剤組成物の粘度にほとんど影響を及ぼさない。当該粘度指数向上剤は、高温において脱コイル化し、添加剤、潤滑剤組成物両方の低粘度化による粘度の低下を抑制するように作用する。さらに、当該添加剤は、低い添加量において用いた場合に当該組成物の非ニュートン粘度特性を効果的に向上させる。その上、当該添加剤は、組成物中に存在する他の成分と最小限にしか相互作用せず、剪断場において安定性を示し、ゲル化指数を最小化し、結果、当該組成物の非ニュートン粘度特性を向上させる。
【0007】
本開示の詳細な説明
本開示は、潤滑剤組成物(以下において、「組成物」と呼ぶ)を提供する。当該組成物は、さらに、最終組成物もしくは究極的組成物として、完全に配合された潤滑剤として、あるいは、エンジン油、油圧作動液、トランスミッション液などとして、説明することができる。一実施形態において、「完全に配合された潤滑剤」なる用語は、最終的な商業用油/作動液であるすべての最終組成物を意味する。当該組成物はさらに、オートマティックトランスミッション液、マニュアルトランスミッション液、油圧油、グリース、ギヤ液、金属加工液、工業用作動液、エンジン油用途、クランク室モーター油、および緩衝装置用作動液として定義することも、またはそれらにおいて利用することもできる。
【0008】
当該組成物は、改良された非ニュートン粘度特性を有する。当該技術分野において既知であるように、「非ニュートン」なる用語は、通常、粘度が負荷応力に応じて変化する作動液、すなわち、流速における勾配が変化する場合にその粘度も変化する作動液を説明するものである。当該組成物は、典型的には低温での低粘度および高温での高粘度によって証明されるように、改良された非ニュートン粘度特性を有している。
【0009】
当該組成物は、ASTM D2983に従って−40℃で測定された約20,000mPa・s未満のブルックフィールド粘度を有する。様々な実施形態において、当該組成物は、ASTM D2983に従って−40℃で測定された、5,000〜10,000、10,000〜15,000、15,000〜20,000、15,000未満、10,000未満、9,000未満、8,000未満などのブルックフィールド粘度を有する。最も典型的には、当該組成物は、非絶縁No.4LVまたは絶縁No.4B2スピンドル、ならびに約400,000〜約1,000,000mPa・sの粘度を有する作動液の場合の約0.6rpmから、約500〜約9,800mPa・sの粘度を有する作動液の場合の約60.0rpmまでの回転速度を使用して測定される。他の実施形態において、当該組成物は、ASTM D445により、1〜100、2〜50、または2.5〜40mm2/sの動粘度を有する。さらに、当該組成物は、ミニ回転式粘度計(MRV)を使用して特定される場合、ASTM D4684に従って−15℃で測定された、60,000、50,000、または40,000mPa・s未満の粘度を有し得ることも想到される。当該組成物はさらに、コールドクランキングシミュレータ(CCS)を使用して特定される場合に、ASTM D5293に従って−30℃で測定された、約5,000、4,000、または3,000mPa・s未満の粘度も有し得る。さらに、当該組成物は、40℃または100℃において、CEC−L−48−00に記載の方法を用いて測定される場合、30、25、20、15、10、または5パーセント未満のDKA酸化の増加を有し得る。
【0010】
基油:
当該組成物は、当該組成物の総質量に対して少なくとも約85質量パーセントの基油を含む。様々な実施形態において、当該組成物は、当該組成物の総質量に対して少なくとも約90、少なくとも約95、または少なくとも約99質量パーセントの基油を含む。他の実施形態において、当該組成物は、当該組成物の総質量に対して(約)85〜99.9、85〜99、85〜95、85〜90、90〜99.9、90〜99、90〜95、95〜99.9、95〜99、または99〜99.9質量パーセントの基油を含む。
【0011】
基油は、特に限定されず、さらに、潤滑粘度を有する1種以上の油、例えば、天然および合成潤滑油もしくは基油ならびにそれらの混合物など、を含むと定義され得る。一実施形態において、基油はさらに、潤滑剤として定義される。別の実施形態において、基油はさらに、潤滑粘度の油として定義される。さらに別の実施形態において、基油はさらに、自動車およびトラックエンジン、2サイクルエンジン、航空ピストンエンジン、ならびに船舶および鉄道ディーゼルエンジンなどのスパーク点火式および圧縮点火式内燃エンジンのためのクランク室潤滑油として定義される。あるいは、基油はさらに、ガスエンジン、定置出力エンジン、およびタービンにおいて使用される油として定義することができる。基油はさらに、重量用または軽量用エンジン油として定義され得る。一実施形態において、基油はさらに、重量用ディーゼルエンジン油として定義される。あるいは、基油は、例えば米国特許第6,787,663号および米国特許出願公開第2007/0197407号において開示される、潤滑粘度の油または潤滑油として説明してもよく、なお、当該各文献は、基油に関して、参考として本明細書で援用される。あるいは、基油は、エンジン油、駆動系油、ギヤ油、オートマティックおよびマニュアルトランスミッション液もしくは油、油圧油、工業用ギヤ油、タービン油、さびおよび酸化(R&O)防止油、コンプレッサー油、抄紙機用油などにおいて、またはそのようなものとして使用することができる。
【0012】
基油はさらに、基油ストックとして定義され得る。あるいは、基油はさらに、同じ製造者仕様を満たし、一意的な処方、製品識別番号、またはその両方によって識別される同じ仕様(供給源または製造者の場所にかかわらない)に対して単一の製造者によって製造される成分として定義してもよい。基油は、様々な異なるプロセスを用いて製造または誘導してもよく、そのようなプロセスとしては、これらに限定されるわけではないが、蒸留、溶剤精製、水素処理、オリゴマー化、エステル化、および再精製が挙げられる。通常、再精製ストックは、製造、混入、または以前の使用によって導入された物質を、実質的に含有しない。一実施形態において、基油はさらに、当該技術分野において公知のように、ベースストックスレートとして定義される。
【0013】
あるいは、基油は、水素化分解、水素化、水素化仕上げ、精製および再精製油、またはそれらの混合物から誘導され得る、またはそのような油の1種以上を含み得る。一実施形態において、基油はさらに、潤滑粘度の油、例えば、天然もしくは合成油および/またはそれらの組み合わせなど、として定義される。天然油としては、これらに限定されるわけではないが、動物油および植物油(例えば、ひまし油、ラード油)、ならびに液体石油系油、および溶媒処理もしくは酸処理された鉱油系潤滑油、例えば、パラフィン油、ナフテン油、または混合パラフィン−ナフテン油など、が挙げられる。
【0014】
様々な他の実施形態において、基油はさらに、石炭またはシェールから誘導される油として定義され得る。好適な油の非限定的な例としては、炭化水素油、例えば、重合および共重合オレフィン(例えば、ポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレン−イソブチレンコポリマー、ポリ(1−ヘキセン)、ポリ(1−オクテン)、ポリ(1−デセン)、およびそれらの混合物;アルキルベンゼン(例えば、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジノニルベンゼン、およびジ(2−エチルヘキシル)ベンゼン)など;ポリフェニル(例えば、ビフェニル、テルフェニル、およびアルキル化ポリフェニル)、アルキル化ジフェニルエーテル、およびアルキル化ジフェニルスルフィド、ならびにそれらの誘導体、類似体、および同族体が挙げられる。
【0015】
さらなる他の実施形態において、基油はさらに、末端ヒドロキシル基が、エステル化、エーテル化、または類似の反応によって修飾される、1種以上のアルキレンオキシドポリマーおよびインターポリマーならびにそれらの誘導体を含み得る合成油として定義され得る。通常、これらの合成油は、さらに反応して油を形成することができるポリオキシアルキレンポリマーを形成する、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドの重合を介して製造される。例えば、これらのポリオキシアルキレンポリマーのアルキルおよびアリールエーテル(例えば、1,000の平均分子量を有するメチルポリイソプロピレングリコールエーテル;500〜1,000の分子量を有するポリエチレングリコールのジフェニルエーテル;ならびに1,000〜1,500の分子量を有するポリプロピレングリコールのジエチルエーテル)ならびに/あるいはそれらのモノカルボン酸およびポリカルボン酸エステル(例えば、酢酸エステル、混合C3〜C8脂肪酸エステル、またはテトラエチレングリコールのC13オキソ酸ジエステル)も用いることができる。
【0016】
さらなる実施形態において、基油は、ジカルボン酸(例えば、フタル酸、コハク酸、アルキルコハク酸およびアルケニルコハク酸、マレイン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、アジピン酸、リノール酸二量体、マロン酸、アルキルマロン酸、ならびにアルケニルマロン酸)と様々なアルコール(例えば、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエーテル、およびプロピレングリコール)とのエステルを含み得る。これらのエステルの具体例としては、これらに限定されるわけではないが、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)、フマル酸ジ−n−ヘキシル、セバシン酸ジオクチル、アゼライン酸ジイソオクチル、アゼライン酸ジイソデシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジデシル、セバシン酸ジエイコシル、リノール酸二量体の2−エチルヘキシルジエステル、1モルのセバシン酸と2モルのテトラエチレングリコールおよび2モルの2−エチルヘキサン酸との反応によって形成される複合エステル、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。基油としてまたは基油中に含まれるものとして有用なエステルは、C5〜C12モノカルボン酸とポリオールおよびポリオールエーテル、例えば、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、およびトリペンタエリトリトール、とから形成されるものも含む。
【0017】
あるいは、基油は、精製油および/または再精製油、あるいはそれらの組み合わせとして説明され得る。未精製油は、通常、さらなる精製処理をせずに天然源または合成源から得られる。例えば、レトルト処理操作から直接得られるシェール油、蒸留から直接得られる石油、またはエステル化プロセスから直接得られ、さらなる処理を行わずに使用されるエステル油はすべて、この開示において用いることができるであろう。精製油は、典型的には1つ以上の特性を向上させるために精製されていることを除いて、未精製油と同じである。多くのそのような精製技術、例えば、溶媒抽出、酸または塩基抽出、濾過、パーコレーション、および同様の精製技術、は、当業者に公知である。再精製油は、再生油または再処理油としても知られており、多くの場合、使用済み添加剤および油分解生成物の除去を目的とする技術によって追加的に処理されている。
【0018】
あるいは、基油は、米国石油協会(API)のBase Oil Interchangeability Guidelinesに規定されるように説明され得る。換言すれば、基油は、5つの基油の群:I群(硫黄含有率>0.03質量%、および/または<90質量%の飽和、粘度指数80〜120);II群(硫黄含有率0.03質量%以下、および90質量%以上の飽和、粘度指数80〜120);III群(硫黄含有率0.03質量%以下、および90質量%以上の飽和、粘度指数120以上);IV群(全てのポリアルファオレフィン(PAO));およびV群(群I、II、III、またはIVに含まれていない他の全て)のうちの1つまたは2つ以上の組み合わせとして、さらに説明され得る。一実施形態において、基油は、APIのI群、II群、III群、IV群、V群およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。別の実施形態において、基油は、APIのII群、III群、IV群、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。さらなる別の実施形態において、基油はさらに、APIのII群、III群、またはIV群の油として定義され、最大で約49.9質量%、典型的には最大で約40質量%まで、より典型的には最大で約30質量%まで、さらにより典型的には最大で約20質量%まで、さらにより典型的には最大で約10質量%まで、さらにより典型的には最大で約5質量%までの潤滑油(APIのI群またはV群の油)を含む。水素化処理、水素化仕上げ、水素化異性化、または他の水素化品質向上プロセスによって製造されたII群およびII群のベースストックが、上記において説明したAPIのII群に含まれ得ることも想到される。さらに、基油は、フィッシャー・トロプシュまたはガス・ツー・リキッドGTL油を含み得る。これらは、例えば、米国特許出願公開第2008/0076687号に開示されており、なお、当該文献は、参考として本明細書で援用される。一実施形態において、基油はさらに、市販のモーター油として定義される。別の実施形態において、基油は、基油に関して参考として本明細書で援用される米国特許出願公開第2008/0108533号に記載される通りである。
【0019】
潤滑剤用添加剤:
当該組成物は、基油以外に、当該組成物の総質量に対して、約1〜約15質量パーセントの潤滑剤用添加剤(以下において、「添加剤」と呼ぶ)も含む。様々な実施形態において、当該組成物は、上記において説明した質量パーセントのうちの1つの基油と、残りの質量パーセントの添加剤とを含む。他の実施形態において、当該添加剤は、当該組成物の総質量に対して、1〜14、2〜13、3〜12、4〜11、5〜10、6〜9、または7〜8質量パーセントの量において存在する。
【0020】
希釈油:
添加剤自体は、当該添加剤の総質量に対して、約10〜約80質量パーセントの希釈油を含む。様々な実施形態において、当該希釈油は、添加剤の総質量に対して、約20〜約70、約30〜約60、約30〜約50、または約40〜約50質量パーセントの量において存在する。あるいは、当該希釈油は、添加剤の総質量に対して、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、または75質量パーセントを超える量(それぞれに対して80質量パーセントまで)において存在してもよい。当該希釈油は、基油と同じであってもよく、上記において説明した基油に対する選択肢のうちの任意の1つ以上であってもよく、または上記において説明した選択肢とは異なっていてもよい。一実施形態において、希釈油はさらに、鉱油として定義される。
【0021】
ランダムコポリマー性粘度指数向上剤:
当該添加剤は、添加剤の総質量に対して、約30〜約80質量パーセントのランダムコポリマー性粘度指数向上剤(以下において、「粘度向上剤」と呼ぶ)も含む。「ランダム」なる用語は、通常、当該技術分野において公知のランダムコポリマー(グラジエントコポリマー、ブロックコポリマー、または星形コポリマーではない)としての粘度向上剤を説明するものである。様々な実施形態において、当該粘度向上剤は、添加剤の総質量に対して、約40〜約70、または約50〜約60質量パーセントの量において存在する。あるいは、当該粘度向上剤は、添加剤の総質量に対して、約35〜約75、約45〜約65、または約55〜約60質量パーセントの量において存在してもよい。一実施形態において、当該粘度向上剤は、添加剤の総質量に対して約50〜約75質量パーセントの量において添加剤に含まれ、ならびに当該組成物はさらに、オートマティックトランスミッション液として定義される。別の実施形態において、当該粘度向上剤は、添加剤の総質量に対して約40〜約60質量パーセントの量において添加剤に含まれ、ならびに当該組成物はさらに、油圧油として定義される。さらに別の実施形態において、当該粘度向上剤は、添加剤の総質量に対して約65〜約80質量パーセントの量において添加剤に含まれ、ならびに当該組成物はさらに、マニュアルトランスミッション液として定義される。様々な実施形態において、当該添加剤は、希釈油および粘度向上剤から実質的になる、またはそれらからなる。希釈油および粘度向上剤から実質的になる実施形態において、当該添加剤は、典型的には、添加剤、例えば、これらに限定されるわけではないが、本開示を表さない添加剤、ブチルメタクリレートおよび/またはC2〜C4(メタ)アクリレートの(コ)ポリマーなど、の基本特性、ならびに/あるいは添加剤の基本特性を変えると当業者が認めるであろう添加剤の量、当該組成物の非ニュートン粘度特性に良い影響を及ぼす添加剤の能力、および/またはブルックフィールド粘度、動粘度、および上記において説明される他の粘度に良い影響を及ぼす添加剤の能力、ならびに/あるいは組成物のDKA酸化の増加、に影響を及ぼす材料または材料化合物を含有しない。
【0022】
コポリマー性粘度指数向上剤自体は、最も典型的には、分岐鎖状ランダムコポリマー、例えば、分岐鎖状の側鎖を有する直鎖状骨格を含むランダムコポリマー、である。あるいは、当該分岐鎖状ランダムコポリマーは、分岐鎖状の骨格と直鎖状の側鎖、または分岐鎖状の骨格と分岐鎖状の側鎖を含み得る。いかなる特定の理論にも束縛されることを意図しないが、分岐鎖状側鎖は、当該組成物が使用される際、粘度向上剤へのワックスの結晶化を低下させ、ならびに当該組成物が使用される際、ゲル化および固体形成を低下させると考えられる。しかしながら、粘度向上剤自体が、架橋されてもよく、構造化されてもよく、軽度に構造化されてもよく、または直鎖状であってもよいことも想到される。
【0023】
当該粘度向上剤は、数平均分子量、質量平均分子量、および/または多分散度指数に関して特に限定されない。しかしながら、様々な実施形態において、当該粘度向上剤は、約10,000〜約200,000、約10,000〜約150,000、約10,000〜約100,000、約10,000〜約75,000、約5,000〜約50,000、約10,000〜約40,000、または約20,000〜約30,000、または約10,000〜約15,000g/molの数平均分子量を有する。他の実施形態において、当該粘度向上剤は、約20,000〜約500,000、約20,000〜約450,000、約20,000〜約400,000、約20,000〜約350,000、約20,000〜約300,000、約20,000〜約250,000、約20,000〜約200,000、約20,000〜約150,000、約20,000〜約100,000、約10,000〜約70,000、約20,000〜約60,000、または約30,000〜約50,000、約40,000〜50,000、または約20,000〜約30,000g/molの質量平均分子量を有する。さらにさらなる実施形態において、当該粘度向上剤は、約1〜約5、約1〜約4、約1〜約3、約1〜約2、約1.5〜約2、または約1.7〜約1.8の多分散度指数(PDI)を有する。あるいは、当該粘度向上剤は、1〜4、1〜3、1〜2、1.5〜3.5、1.5〜2.5、または1.5〜2のPDIを有していてもよい。さらなる他の実施形態において、当該粘度向上剤が約200,000g/molを超える質量平均分子量を有する場合、当該粘度向上剤は、2〜4または最大約4までのPDIを有する。さらに他の実施形態において、当該粘度向上剤が約100,000g/mol未満または約50,000g/mol未満の質量平均分子量を有する場合、当該粘度向上剤は、1〜4、1〜3、1〜2、1.5〜3.5、1.5〜2.5、または1.5〜2のPDIを有する。
【0024】
当該粘度向上剤は、組成物中において使用される場合、改良された増粘効果も有し得る。通常、この効果は、(組成物のmm2/s)/(粘度向上剤のモル)で測定される。様々な実施形態において、粘度向上剤は、約40,000〜約300,000、約200,000〜約600,000、または約500,000〜約2,500,000mm2/s/粘度向上剤のモルの増粘効果を有する。前述の値は、粘度向上剤の分子量に関連し得、したがって、前述の値の範囲も変わり得ることが想到される。例えば、大きな分子量を有する粘度向上剤は、直上で説明した値を上回る程度にまで増粘される場合がある。
【0025】
フリーラジカル重合生成物:
当該粘度向上剤は、メチルメタクリレートおよびC8〜C10アルキル(メタ)アクリレート(それぞれ、以下において詳細に説明する)によるフリーラジカル重合生成物であり得る、またはそのようなフリーラジカル重合生成物を含み得る。最も典型的には、粘度向上剤は、フリーラジカル重合生成物である。一実施形態において、粘度向上剤はさらに、メチルメタクリレート、C8〜C10アルキル(メタ)アクリレート、および1つ以上の追加のモノマー(これについても、以下においてより詳細に説明される)によるフリーラジカル重合生成物として定義される。典型的には、当該フリーラジカル重合生成物自体、ひいては粘度向上剤は、本開示を表さない外来性の重合生成物(フリーラジカルまたは他の方法による)、外来性のモノマー、有機または無機の外来性の溶媒または作動液、および/または当業者によって理解される他の化合物、を含有しない。別の実施形態において、粘度向上剤は、C2〜C7アルキル(メタ)アクリレート、例えば、ブチル(メタ)アクリレートなど、を、重合形態またはモノマー形態のどちらにおいても含有しない。さらに別の実施形態において、粘度向上剤は、遊離状態の、あるいは単独で重合された、またはメチルメタクリレートもしくはC8〜C10アルキル(メタ)アクリレートと重合された、C11以上のアルキル(メタ)アクリレートを含有しない。さらなる実施形態において、粘度向上剤は、遊離状態の、あるいは単独で重合された、またはメチルメタクリレートもしくはC8〜C10アルキル(メタ)アクリレートと重合された、C19以上のアルキル(メタ)アクリレートを含有しない。粘度向上剤は、少量の1種以上の前述の化合物を、当業者によって理解されるように、当該粘度向上剤の基本特性または開示全体に影響を及ぼさない限り、少量含んでもよいことも想到される。「(メタ)アクリレート」なる用語は、本明細書において使用される場合、メタクリレートおよびアクリレート(メチル基を有さない)の両方を説明するものである。
【0026】
メチルメタクリレート:
再びメチルメタクリレート(MMA)について説明すると、MMAは、フリーラジカル重合生成物を形成するために、フリーラジカル重合反応において用いられる。最も典型的には、MMAは、粘度向上剤の総質量に対して約5〜約15質量パーセントの量において使用される。別の言い方をすれば、粘度向上剤は、特定の質量パーセントの、以下において説明するC8〜C10アルキル(メタ)アクリレートと、それに加えて、粘度向上剤の総質量に対して約5〜約15質量パーセントのMMAとによるフリーラジカル重合生成物である。様々な実施形態において、MMAは、粘度向上剤の総質量に対して、約5〜約10、約10〜約15、約5〜約14、約6〜約13、約7〜約12、約8〜約11、または約9〜約10、質量パーセントの量において使用される。MMAは、上記において説明される範囲内の全量または部分量または範囲量において存在/使用され得ることが想到される。
8〜C10アルキル(メタ)アクリレート:
8〜C10アルキル(メタ)アクリレートは、特に限定されず、ならびに、(メタ)アクリレートのアルキル基が8個、9個、または10個の炭素原子を含む任意の1種以上のアルキルアクリレートおよび/またはアルキルメタクリレート、それらの異性体、およびそれらの組み合わせを含み得る。単なる例示目的として、C8〜C10アルキル(メタ)アクリレートは、直下において説明される化学構造:
【化1】
[式中、Rは、8個、9個、または10個の炭素原子を有するアルキル基である]を有する。当該アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、または環状であってもよい。一実施形態において、C8〜C10アルキル(メタ)アクリレートはさらに、以下:
【化2】
に示される2−エチルヘキシルメタクリレート(C8)として定義される。別の実施形態において、C8〜C10アルキル(メタ)アクリレートはさらに、以下:
【化3】
に示される2−プロピルヘプチルメタクリレート(2−PHMA)(C10)(2−プロペン酸、2−メチル−、2−プロピルヘプチルエステルとしても知られる)として定義される。さらなる他の実施形態において、C8〜C10アルキル(メタ)アクリレートはさらに、2−プロペン酸、2−メチル−、2−プロピルヘプチルエステル;2−プロペン酸、2−メチル−、4−メチル−2−プロピルヘキシルエステルと、2−プロペン酸、2−メチル−、5−メチル−2−プロピルヘキシルエステルとの組み合わせまたは混合物として定義される。
【0027】
最も典型的には、C8〜C10アルキル(メタ)アクリレートは、フリーラジカル重合生成物を形成するために、粘度向上剤の総質量に対して約5〜約95質量パーセントの量において、フリーラジカル重合反応において用いられる。様々な実施形態において、C8〜C10アルキル(メタ)アクリレートは、粘度向上剤の総質量に対して、約10〜約90、約15〜約85、約20〜約80、約25〜約75、約30〜約70、約35〜約65、約40〜約60、約45〜約55、または約45〜約50質量パーセントの量において用いられる。C8〜C10アルキル(メタ)アクリレートは、上記において説明される範囲内の全量、または部分量、または範囲量において存在/使用され得ることが想到される。
【0028】
1種以上の追加のモノマー:
説明を戻して、上記において最初に導入された1種以上の追加のモノマーは、1種以上のC12〜C18アルキル(メタ)アクリレートを含み得る。当該C12〜C18アルキル(メタ)アクリレートは、特に限定されず、ならびに、(メタ)アクリレートのアルキル基が12個、13個、14個、15個、16個、17個、または18個の炭素原子を含む任意の1種以上のアルキルアクリレートおよび/またはアルキルメタクリレート、それらの異性体、およびそれらの組み合わせを含み得る。単なる例示目的として、C12〜C18アルキル(メタ)アクリレートは、直下に示される化学構造:
【化4】
[式中、Rは、12個、13個、14個、15個、16個、17個、または18個の炭素原子を有するアルキル基である]を有する。当該アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、または環状であってもよい。一実施形態において、C12〜C18アルキル(メタ)アクリレートはさらに、ラウリルメタクリレートとして当該技術分野において公知の1種以上の化合物として定義される。典型的には、ラウリルメタクリレートは、12個、14個、16個、および場合により18個、の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレートの混合物を含む。様々な実施形態において、前述のメタクリレートはさらに、C12〜C16アルキル(メタ)アクリレートとして、および/または主にC12、C14、およびC16エステルを含むと定義される。当該C12〜C18アルキル(メタ)アクリレートは、12個、13個、14個、15個、16個、17個、または18個の炭素原子を有するアルキル基に関して参考として本明細書で援用される米国特許出願公開第2008/0108533号に記載される通りであり得る。
【0029】
一実施形態において、C12〜C18アルキル(メタ)アクリレートは、フリーラジカル重合生成物を形成するために、粘度向上剤の総質量に対して約5〜約90質量パーセントの量において、フリーラジカル重合反応で用いられる。様々な実施形態において、C12〜C18アルキル(メタ)アクリレートは、粘度向上剤の総質量に対して、約10〜約85、約15〜約80、約20〜約75、約25〜約70、約30〜約65、約35〜約60、約40〜約55、約45〜約505質量パーセントの量において用いられる。当該C12〜C18アルキル(メタ)アクリレートは、上記において説明される範囲内の全量、または部分量、または範囲量において存在/使用され得ることが想到される。
【0030】
当該追加のモノマーのうちの1種以上はさらに、(メタ)アクリレートのアルキル基が16個、17個、18個、19個、20個、21個、または22個の炭素原子を含む任意の1種以上のアルキルアクリレートおよび/またはアルキルメタクリレート、それらの異性体、およびそれらの組み合わせを含み得るC16〜C22アルキル(メタ)アクリレートとして定義される、またはそれらを含み得ることも想到される。単なる例示目的として、C16〜C22アルキル(メタ)アクリレートは、直下に示される化学構造:
【化5】
[式中、Rは、16個、17個、18個、19個、20個、21個、または22個の炭素原子を有するアルキル基である]を有する。当該アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、または環状であってもよい。最も典型的には、C16〜C22アルキル(メタ)アクリレートは、単独で重合して、場合により組成物、添加剤、あるいは組成物および添加剤の両方に含まれてもよい流動点降下剤(PPD)を形成する。
【0031】
さらに、または代替において、当該1種以上のモノマーは、1種以上の第二級または第三級アミン官能性(メタ)アクリレートを含み得る。一実施形態において、当該アミン官能性(メタ)アクリレートは、以下の構造:
【化6】
[式中、Yは、第二級または第三級アミンを含み、および/または以下の式:
(a)N(R122N(R32(この場合、各R1は、独立して、水素原子、または1〜5個の炭素原子を有するアルキル基であり、R2は、独立して、1〜5個の炭素原子を有するアルキル基であり、R3は、独立して、1〜5個の炭素原子を有するアルキル基または水素原子である)、または、
(b)OR4N(R56)(この場合、R4は、1〜5個の炭素原子を有するアルキル基であり、R5およびR6のそれぞれは、独立して、水素原子または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である)
を有する]を有する。
【0032】
式(a)N(R122N(R32に関して、各アルキル基は、独立して、1個、2個、3個、または4個の炭素原子を有していてもよい。各アルキル基は、同じ数の炭素原子を有していてもよく、または異なる数の炭素原子を有していてもよい。当該アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、または環状であってもよい。典型的には、式(b)に関して、当該化合物はさらに、アクリルアミドとして定義される。一実施形態において、Yはさらに、NR12N(CH32[式中、R1は、水素原子または1〜5個の炭素原子を有するアルキル基であり、R2は、1〜5個の炭素原子を有する第二アルキル基であり、R3はメチル基である]として定義される。別の実施形態において、当該化合物はさらに、以下の構造:
【化7】
を有するジメチルアミノプロピルメタクリルアミド(当該技術分野においてDMAPMAとしても知られる)として定義される。
【0033】
式(b)OR4N(R56)に関して、R4はさらに、1個、2個、3個、または4個の炭素原子を有するアルキル基として定義され得る。同様に、R5およびR6のそれぞれは、独立して、水素原子、または1個、2個、3個、または4個の炭素原子を有するアルキル基である。前述のアルキル基のそれぞれは、互いに同じまたは異なっていてもよく、ならびにそれぞれは、独立して、直鎖状、分岐鎖状、または環状であってもよい。典型的には、式(b)に関して、当該化合物はさらに、ジメチルアミノエチルメタクリレートもしくはジエチルアミノエチルメタクリレートまたはそれらの組み合わせとして定義される。これらの化合物の構造を直下に示す。
【0034】
【化8】
【0035】
特定の理論に束縛されることを意図するわけではないが、これらのアミンは、当該添加剤および当該組成物の酸化安定性に貢献し、当該組成物に分散性を付与し、ならびに当該組成物の増粘能力を高めると考えられる。
【0036】
追加の実施形態:
一実施形態において、メチルメタクリレートの質量パーセントはさらに、粘度向上剤の総質量に対して約5〜約10質量パーセントとして定義され、C8〜C10アルキル(メタ)アクリレートはさらに、2−プロピルヘプチルメタクリレートとして定義され、ならびに当該2−プロピルヘプチルメタクリレートの質量パーセントはさらに、粘度向上剤の総質量に対して約5質量パーセントとして定義される。別の関連する実施形態において、フリーラジカル重合生成物はさらに、メチルメタクリレート、2−プロピルヘプチルメタクリレート、ならびに粘度向上剤の総質量に対して約75〜約80質量パーセントのC12〜C18アルキル(メタ)アクリレートおよび/または同様に粘度向上剤の総質量に対して約3〜約7質量パーセントの第二級または第三級アミン官能性(メタ)アクリレート、例えば、DMAEMAおよび/またはDMAPMA、によるフリーラジカル重合生成物として定義される。
【0037】
別の実施形態において、メチルメタクリレートの質量パーセントはさらに、粘度向上剤の総質量に対して約5〜約10質量パーセントとして定義され、C8〜C10アルキル(メタ)アクリレートはさらに、2−プロピルヘプチルメタクリレートとして定義され、ならびに当該2−プロピルヘプチルメタクリレートの質量パーセントはさらに、粘度向上剤の総質量に対して約20〜約25質量パーセントとして定義される。関連する実施形態において、フリーラジカル重合生成物はさらに、メチルメタクリレート、2−プロピルヘプチルメタクリレート、ならびに粘度向上剤の総質量に対して約65〜約70質量パーセントのC12〜C18アルキル(メタ)アクリレートおよび/または同様に粘度向上剤の総質量に対して約3〜約7質量パーセントの第二級または第三級アミン官能性(メタ)アクリレート、例えば、DMAEMAおよび/またはDMAPMA、によるフリーラジカル重合生成物として定義される。
【0038】
さらなる実施形態において、メチルメタクリレートの質量パーセントはさらに、粘度向上剤の総質量に対して約5〜約10質量パーセントとして定義され、C8〜C10アルキル(メタ)アクリレートはさらに、2−プロピルヘプチルメタクリレートとして定義され、ならびに当該2−プロピルヘプチルメタクリレートの質量パーセントはさらに、粘度向上剤の総質量に対して約40〜約45質量パーセントとして定義される。関連する実施形態において、フリーラジカル重合生成物はさらに、メチルメタクリレート、2−プロピルヘプチルメタクリレート、ならびに粘度向上剤の総質量に対して約40〜約45質量パーセントのC12〜C18アルキル(メタ)アクリレートおよび/または同様に粘度向上剤の総質量に対して約3〜約7質量パーセントの第二級または第三級アミン官能性(メタ)アクリレート、例えば、DMAEMAおよび/またはDMAPMA、によるフリーラジカル重合生成物として定義される。
【0039】
さらなる実施形態において、メチルメタクリレートの質量パーセントはさらに、粘度向上剤の総質量に対して約5〜約10質量パーセントとして定義され、C8〜C10アルキル(メタ)アクリレートはさらに、2−プロピルヘプチルメタクリレートとして定義され、ならびに当該2−プロピルヘプチルメタクリレートの質量パーセントはさらに、粘度向上剤の総質量に対して約60〜約70質量パーセントとして定義される。関連する実施形態において、フリーラジカル重合生成物はさらに、メチルメタクリレート、2−プロピルヘプチルメタクリレート、ならびに粘度向上剤の総質量に対して約20〜約25質量パーセントのC12〜C18アルキル(メタ)アクリレートおよび/または同様に粘度向上剤の総質量に対して約3〜約7質量パーセントの第二級または第三級アミン官能性(メタ)アクリレート、例えば、DMAEMAおよび/またはDMAPMA、によるフリーラジカル重合生成物として定義される。
【0040】
別の実施形態において、メチルメタクリレートの質量パーセントはさらに、粘度向上剤の総質量に対して約10〜約15質量パーセントとして定義され、C8〜C10アルキル(メタ)アクリレートはさらに、2−プロピルヘプチルメタクリレートとして定義され、ならびに当該2−プロピルヘプチルメタクリレートの質量パーセントはさらに、粘度向上剤の総質量に対して約5質量パーセントとして定義される。関連する実施形態において、フリーラジカル重合生成物はさらに、メチルメタクリレート、2−プロピルヘプチルメタクリレート、ならびに粘度向上剤の総質量に対して約70〜約80質量パーセントのC12〜C18アルキル(メタ)アクリレートおよび/または同様に粘度向上剤の総質量に対して約3〜約7質量パーセントの第二級または第三級アミン官能性(メタ)アクリレート、例えば、DMAEMAおよび/またはDMAPMA、によるフリーラジカル重合生成物として定義される。
【0041】
追加の実施形態において、メチルメタクリレートの質量パーセントはさらに、粘度向上剤の総質量に対して約10〜約15質量パーセントとして定義され、C8〜C10アルキル(メタ)アクリレートはさらに、2−プロピルヘプチルメタクリレートとして定義され、ならびに当該2−プロピルヘプチルメタクリレートの質量パーセントはさらに、粘度向上剤の総質量に対して約5〜約10質量パーセントとして定義される。関連する実施形態において、フリーラジカル重合生成物はさらに、メチルメタクリレート、2−プロピルヘプチルメタクリレート、ならびに粘度向上剤の総質量に対して約70〜約80質量パーセントのC12〜C18アルキル(メタ)アクリレートおよび/または同様に粘度向上剤の総質量に対して約3〜約7質量パーセントの第二級または第三級アミン官能性(メタ)アクリレート、例えば、DMAEMAおよび/またはDMAPMA、によるフリーラジカル重合生成物として定義される。
【0042】
さらなる実施形態において、メチルメタクリレートの質量パーセントはさらに、粘度向上剤の総質量に対して約10〜約15質量パーセントとして定義され、C8〜C10アルキル(メタ)アクリレートはさらに、2−プロピルヘプチルメタクリレートとして定義され、ならびに当該2−プロピルヘプチルメタクリレートの質量パーセントはさらに、粘度向上剤の総質量に対して約20〜約40質量パーセントとして定義される。関連する実施形態において、フリーラジカル重合生成物はさらに、メチルメタクリレート、2−プロピルヘプチルメタクリレート、ならびに粘度向上剤の総質量に対して約40〜約60質量パーセントのC12〜C18アルキル(メタ)アクリレートおよび/または同様に粘度向上剤の総質量に対して約3〜約7質量パーセントの第二級または第三級アミン官能性(メタ)アクリレート、例えば、DMAEMAおよび/またはDMAPMA、によるフリーラジカル重合生成物として定義される。
【0043】
さらなる実施形態において、メチルメタクリレートの質量パーセントはさらに、粘度向上剤の総質量に対して約10〜約15質量パーセントとして定義され、C8〜C10アルキル(メタ)アクリレートはさらに、2−プロピルヘプチルメタクリレートとして定義され、ならびに当該2−プロピルヘプチルメタクリレートの質量パーセントはさらに、粘度向上剤の総質量に対して約40〜約60質量パーセントとして定義される。関連する実施形態において、フリーラジカル重合生成物はさらに、メチルメタクリレート、2−プロピルヘプチルメタクリレート、ならびに粘度向上剤の総質量に対して約20〜約40質量パーセントのC12〜C18アルキル(メタ)アクリレートおよび/または同様に粘度向上剤の総質量に対して約3〜約7質量パーセントの第二級または第三級アミン官能性(メタ)アクリレート、例えば、DMAEMAおよび/またはDMAPMA、によるフリーラジカル重合生成物として定義される。
【0044】
別の実施形態において、メチルメタクリレートの質量パーセントはさらに、粘度向上剤の総質量に対して約10〜約15質量パーセントとして定義され、C8〜C10アルキル(メタ)アクリレートはさらに、2−プロピルヘプチルメタクリレートとして定義され、ならびに当該2−プロピルヘプチルメタクリレートの質量パーセントはさらに、粘度向上剤の総質量に対して約5〜約10質量パーセントとして定義され、フリーラジカル重合生成物はさらに、メチルメタクリレート、2−プロピルヘプチルメタクリレート、ならびに粘度向上剤の総質量に対して約75〜約80質量パーセントのC12〜C18アルキル(メタ)アクリレートおよび同様に粘度向上剤の総質量に対して約3〜約5質量パーセントの第二級または第三級アミン官能性(メタ)アクリレート、によるフリーラジカル重合生成物として定義される。
【0045】
さらなる実施形態において、メチルメタクリレートの質量パーセントはさらに、粘度向上剤の総質量に対して約5質量パーセントとして定義され、C8〜C10アルキル(メタ)アクリレートはさらに、2−プロピルヘプチルメタクリレートとして定義され、ならびに当該2−プロピルヘプチルメタクリレートの質量パーセントはさらに、粘度向上剤の総質量に対して約20〜約25質量パーセントとして定義され、フリーラジカル重合生成物はさらに、メチルメタクリレート、2−プロピルヘプチルメタクリレート、ならびに粘度向上剤の総質量に対して約65〜約70質量パーセントのC12〜C18アルキル(メタ)アクリレートおよび同様に粘度向上剤の総質量に対して約3〜約5質量パーセントの第二級または第三級アミン官能性(メタ)アクリレート、によるフリーラジカル重合生成物として定義される。
【0046】
さらなる実施形態において、メチルメタクリレートの質量パーセントはさらに、粘度向上剤の総質量に対して約10〜約15質量パーセントとして定義され、C8〜C10アルキル(メタ)アクリレートはさらに、2−プロピルヘプチルメタクリレートとして定義され、ならびに当該2−プロピルヘプチルメタクリレートの質量パーセントはさらに、粘度向上剤の総質量に対して約20〜約50質量パーセントとして定義され、ならびにフリーラジカル重合生成物はさらに、メチルメタクリレート、2−プロピルヘプチルメタクリレート、および同様に粘度向上剤の総質量に対して約35〜約70質量パーセントのC12〜C18アルキル(メタ)アクリレート、によるフリーラジカル重合生成物として定義される。
【0047】
さらに別の実施形態において、当該組成物は、少なくとも約99質量パーセントの基油と約1質量パーセント以下の潤滑剤用添加剤とから実質的になる。この実施形態において、当該添加剤は、当該添加剤の総質量に対して、約10〜約80質量パーセントの希釈油と約30〜約80質量パーセントの粘度向上剤とを含む。再びこの実施形態において、粘度向上剤は、約5〜約15質量パーセントのメチルメタクリレート、約5〜約72質量パーセントの2−プロピルヘプチルメタクリレート、約20〜約80質量パーセントのラウリルメタクリレート、ならびに約3〜約8質量パーセントの第二級または第三級アミン官能性(メタ)アクリレート、によるフリーラジカル重合生成物である。さらにこの実施形態において、粘度向上剤は、約1.7〜約3の多分散度を有する。 さらに、この実施形態において、当該組成物は、流動点降下剤も含む。
【0048】
追加の成分:
当該組成物は、当該添加剤以外に、1種以上の追加の成分、例えば、これらに限定されるわけではないが、界面活性剤、分散剤、酸化防止剤、消泡添加剤、流動点降下剤、摩耗防止添加剤、摩擦調整剤、および当該技術分野において公知の油もしくは作動液用添加剤など、も含んでいてもよい。当該組成物は、当該添加剤を含む限り、特にこの開示に限定されない。様々な実施形態において、当該組成物は、基油、添加剤、ならびに界面活性剤、分散剤、酸化防止剤、消泡添加剤、流動点降下剤、摩耗防止添加剤、摩耗調整剤、および当該技術分野において公知の油もしくは作動液用添加剤のうちの1つ以上から実質的になる、またはそれらからなる。基油、添加剤、ならびに前述の化合物のうちの1つ以上から実質的になる実施形態において、当該組成物は、典型的には、当該組成物、例えば、これらに限定されるわけではないが、本開示を表さない油および作動液用添加剤、ブチルメタクリレートおよび/またはC2〜C4(メタ)アクリレートの(コ)ポリマーなど、の基本特性、ならびに/あるいは添加剤および/または組成物の基本特性を変えると当業者が認めるであろう添加剤の量、当該組成物の非ニュートン粘度特性に良い影響を及ぼす添加剤の能力、および/またはブルックフィールド粘度、動粘度、および上記において説明される他の粘度に良い影響を及ぼす添加剤の能力、ならびに/あるいは組成物のDKA酸化の増加、に影響を及ぼす材料または材料化合物を含有しない。
【0049】
当該1種以上の追加の成分は、参考として本明細書で援用される米国特許出願公開第2008/0108533号に記載されている通りであり得る。一実施形態において、追加の粘度指数向上剤および/または流動点降下剤、例えば、BASF CorporationからIrgaflo(登録商標)の商標名において市販されているもの、も用いることができる。他の実施形態において、当該添加剤、および/または当該組成物は、当該添加剤および/または組成物の総質量に対して、10、20、30、40、50、または60質量パーセントまでの追加の粘度指数向上剤および/または流動点降下剤を含んでいてもよい。当該1種以上の追加の成分の非限定的な例としては、摩耗防止添加剤、金属の不動態化剤、防錆剤、分散剤、界面活性剤、および耐摩耗添加剤が挙げられる。当該1種以上の追加の成分は、初めに記載し、上記で説明したように灰含有または無灰であってもよい。このタイプの組成物は、一般的に、エンジン油として、または工業油、例えば、油圧油、タービン油、R&O(錆止めおよび酸化防止の)油、またはコンプレッサー油など、として見なされる。一実施形態において、1種以上の追加の成分は、通例の油用添加剤に関して参考として本明細書で援用される米国特許出願公開第2008/0108533号に記載されている通りである。
【0050】
流動点降下剤:
当該組成物、当該添加剤、または組成物、添加剤の両方は、流動点降下剤を含んでいてもよい。流動点降下剤は、必ずしも必要ではなく、特に限定されず、ならびに当該技術分野において公知の任意のものであってもよい。一実施形態において、流動点降下剤は、上記において説明される通りであり、1種以上のC16〜C22アルキル(メタ)アクリレートによるフリーラジカル重合生成物を含む。別の実施形態において、流動点降下剤は、当該組成物の総質量に対して0.5〜10質量パーセントの量において存在する。さらなる他の実施形態において、流動点降下剤は、当該組成物の総質量に対して1〜9、2〜8、3〜7、4〜6、または4〜5質量パーセントの量において存在する。
【0051】
摩耗防止添加剤:
上記において初めに記載される摩耗防止添加剤は、特に限定されず、当該技術分野において公知の任意のものであってよい。これは、初めに記載され、上記で説明されるように、灰含有または無灰であってもよい。一実施形態において、当該摩耗防止添加剤は、ZDDP、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、およびそれらの組み合わせの群から選択される。あるいは、摩耗防止添加剤は、硫黄含有および/またはリン含有および/またはハロゲン含有化合物、例えば、硫化オレフィンおよび植物油、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、アルキル化トリフェニルホスフェート、トリトリルホスフェート、トリクレジルホスフェート、塩素化パラフィン、アルキルおよびアリールジ−およびトリスルフィド、モノ−およびジアルキルホスフェートのアミン塩、メチルホスホン酸のアミン塩、ジエタノールアミノメチルトリルトリアゾール、ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチルトリルトリアゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールの誘導体、エチル3−[(ジイソプロポキシホスフィノチオイル)チオ]プロピオネート、トリフェニルチオホスフェート(トリフェニルホスホロチオエート)、トリス(アルキルフェニル)ホスホロチオエートおよびそれらの混合物(例えば、トリス(イソノニルフェニル)ホスホロチオエート)、ジフェニルモノノニルフェニルホスホロチオエート、イソブチルフェニルジフェニルホスホロチオエート、3−ヒドロキシ−1,3−チアホスフェタン3−オキシドのドデシルアミン塩、トリチオリン酸5,5,5−トリス[イソオクチル2−アセテート]、2−メルカプトベンゾチアゾールの誘導体、例えば、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]−2−メルカプト−1H−1,3−ベンゾチアゾール、エトキシカルボニル−5−オクチルジチオカルバメート、ならびに/あるいはそれらの組み合わせを含んでいてもよい。一実施形態において、摩耗防止添加剤は、例えば、ホスホロチオネートおよび/またはジチオホスフェートエステル中に、リンおよび硫黄を含む。
【0052】
当該摩耗防止添加剤は、典型的には、組成物100質量部当たり、0.1〜20質量部、0.5〜15質量部、1〜10質量部、5〜10質量部、5〜15質量部、5〜20質量部、0.1〜1質量部、0.1〜0.5質量部、または0.1〜1.5質量部の量において組成物中に存在する。あるいは、当該摩耗防止添加剤は、組成物100質量部当たり、20質量部未満、15質量部未満、10質量部未満、5質量部未満、1質量部未満、0.5質量部未満、または0.1質量部未満の量において存在していてもよい。
【0053】
酸化防止剤:
好適な非限定的酸化防止剤としては、アルキル化モノフェノール、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−イソブチルフェノール、2,6−ジシクロペンチル−4−メチルフェノール、2−(α−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジオクタデシル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリシクロヘキシルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシメチルフェノール、2,6−ジ−ノニル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6(1’−メチルウンデカ−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルヘプタデカ−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルトリデカ−1’−イル)フェノール、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0054】
好適な酸化防止剤の他の非限定的な例としては、アルキルチオメチルフェノール、例えば、2,4−ジオクチルチオメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−メチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−エチルフェノール、2,6−ジドデシルチオメチル−4−ノニルフェノール、およびそれらの組み合わせが挙げられる。ヒドロキノンおよびアルキル化ヒドロキノン、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−アミルヒドロキノン、2,6−ジフェニル−4−オクタデシルオキシフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルステアレート、ビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)アジペート、およびそれらの組み合わせも用いることができる。
【0055】
さらに、ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、例えば、2,2’−チオビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−オクチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−2−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(3,6−ジ−sec−アミルフェノール)、4,4’−ビス−(2,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ジスルフィド、およびそれらの組み合わせも使用することができる。
【0056】
アルキリデンビスフェノール、例えば、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−エチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)フェノール]、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−ノニル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(6−tert−ブチル−4−イソブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[6−(α−メチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−(α,α−ジメチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(6−tert−ブチル−2−メチルフェノール)、1,1−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、2,6−ビス(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール、1,1,3−トリス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチル−フェニル)−3−n−ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコールビス[3,3−ビス(3’−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)ブチラート]、ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル−フェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−6−tert−ブチル−4−メチルフェニル]テレフタレート、1,1−ビス−(3,5−ジメチル−2−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−n−ドデシルメルカプトブタン、1,1,5,5−テトラ−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ペンタン、およびそれらの組み合わせを酸化防止剤として用いることができることも想到される。
【0057】
O−、N−およびS−ベンジル化合物、例えば、3,5,3’、5’−テトラ−tert−ブチル−4,4’−ジヒドロキシジベンジルエーテル、オクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンジルメルカプトアセテート、トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)アミン、ビス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)ジチオールテレフタレート、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、イソオクチル−3,5ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルメルカプトアセテート、およびそれらの組み合わせも用いることができる。
【0058】
ヒドロキシベンジル化マロネート、例えば、ジオクタデシル−2,2−ビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンジル)−マロネート、ジ−オクタデシル−2−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−マロネート、ジ−ドデシルメルカプトエチル−2,2−ビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]−2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、およびそれらの組み合わせも、酸化防止剤としての使用に適している。
【0059】
トリアジン化合物、例えば、2,4−ビス(オクチルメルカプト)−6−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,2,3−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルエチル)−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)−ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、およびそれらの組み合わせも使用することができる。
【0060】
酸化防止剤の追加の好適な、しかしながら非限定的な例としては、芳香族ヒドロキシベンジル化合物、例えば、1,3,5−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,4−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)フェノール、およびそれらの組み合わせが挙げられる。ベンジルホスホネート、例えば、ジメチル−2,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジエチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ3−メチルベンジルホスホネート、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸のモノエチルエステルのカルシウム塩、およびそれらの組み合わせも用いることができる。さらに、アシルアミノフェノール、例えば、4−ヒドロキシラウルアニリド、4−ヒドロキシステアルアニリド、オクチルN−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)カルバメート。
【0061】
[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と、一価または多価アルコールとのエステル、例えば、メタノール、エタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン、およびそれらの組み合わせとのエステルも使用することができる。さらに、β−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸と、一価または多価アルコールとのエステル、例えば、メタノール、エタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン、およびそれらの組み合わせとのエステルを使用することができることも想到される。13−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と一価または多価アルコールとのエステル、例えば、メタノール、エタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N、N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン、およびそれらの組み合わせとのエステルも使用することができる。さらに、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸と、一価または多価アルコールとのエステル、例えば、メタノール、エタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N、N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン、およびそれらの組み合わせとのエステルを用いることもできる。
【0062】
好適な酸化防止剤の追加の非限定的な例としては、窒素を含むもの、例えば、β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド、例えば、N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)トリメチレンジアミン、N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジンが挙げられる。酸化防止剤の他の好適な非限定的な例としては、アミン性酸化防止剤、例えば、N,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−エチル−3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジシクロヘキシル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(2−ナフチル)−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチル−ブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1−メチルヘプチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、4−(p−トルエンスルファモイル)ジフェニルアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N−アリルジフェニルアミン、4−イソプロポキシジフェニルアミン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、N−フェニル−2−ナフチルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、例えば、p,p’−ジ−tert−オクチルジフェニルアミン、4−n−ブチルアミノフェノール、4−ブチリルアミノフェノール、4−ノナノイルアミノフェノール、4−ドデカノイルアミノフェノール、4−オクタデカノイルアミノフェノール、ビス(4−メトキシフェニル)アミン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ジメチルアミノメチルフェノール、2,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,2−ビス[(2−メチル−フェニル)アミノ]エタン、1,2−ビス(フェニルアミノ)プロパン、(o−トリル)ビグアニド、ビス[4−(1’,3’−ジメチルブチル)フェニル]アミン、tert−オクチル化N−フェニル−1−ナフチルアミン、モノ−およびジアルキル化tert−ブチル/tert−オクチルジフェニルアミンの混合物、モノアルキル化およびジアルキル化イソプロピル/イソヘキシルジフェニルアミンの混合物、モノアルキル化およびジアルキル化tert−ブチルジフェニルアミンの混合物、2,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−4H−1,4−ベンゾチアジン、フェノチアジン、N−アリルフェノチアジン、N,N,N’,N’−テトラフェニル−1,4−ジアミノブタ−2−エン、N,N−ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリド−4−イル−ヘキサメチレンジアミン、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリド−4−イル)セバケート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン、および2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール、ならびにそれらの組み合わせなど、が挙げられる。
【0063】
好適な酸化防止剤のさらなる非限定的な例としては、脂肪族または芳香族ホスファイト、チオジプロピオン酸もしくはチオ二酢酸のエステル、またはジチオカルバミン酸もしくはジチオリン酸の塩、2,2,12,12−テトラメチル−5,9−ジヒドロキシ−3,7,1トリチアトリデカンおよび2,2,15,15−テトラメチル−5,12−ジヒドロキシ−3,7,10,14−テトラチアヘキサデカン、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。さらに、硫化脂肪エステル、硫化脂肪、および硫化オレフィン、ならびにそれらの組み合わせを使用することができる。
【0064】
当該1種以上の酸化防止剤は、組成物中の量において特に限定されないが、典型的には、組成物100質量部当たり、0.1〜2質量部、0.5〜2質量部、1〜2質量部、または1.5〜2質量部の量において存在する。あるいは、当該1種以上の酸化防止剤は、組成物100質量部当たり、2質量部未満、1.5質量部未満、1質量部未満、または0.5質量部未満の量において存在していてもよい。
【0065】
金属不活性化剤:
様々な実施形態において、1種以上の金属不活性化剤を組成物中に含ませることができる。当該1種以上の金属不活性化剤の好適な非限定的な例としては、ベンゾトリアゾールおよびその誘導体、例えば、4−もしくは5−アルキルベンゾトリアゾール(例えば、トリアゾール)およびそれらの誘導体、4,5,6,7−テトラヒドロベンゾトリアゾールおよび5,5’−メチレンビスベンゾトリアゾール;ベンゾトリアゾールまたはトリアゾールのマンニッヒ塩基、例えば、1−[ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル)トリアゾールおよび1−[ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル)ベンゾトリアゾール;およびアルコキシアルキルベンゾトリアゾール、例えば、1−(ノニルオキシメチル)ベンゾトリアゾール、1−(1−ブトキシエチル)ベンゾトリアゾールおよび1−(1−シクロヘキシルオキシブチル)トリアゾール、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0066】
当該1種以上の金属不活性化剤の追加の非限定的な例としては、1,2,4−トリアゾールおよびそれらの誘導体、例えば、3−アルキル(またはアリール)−1,2,4−トリアゾール、および1,2,4−トリアゾールのマンニッヒ塩基、例えば、1−[ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル−1,2,4−トリアゾール;アルコキシアルキル−1,2,4−トリアゾール、例えば、1−(1−ブトキシエチル)−1,2,4−トリアゾール;およびアシル化3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、イミダゾール誘導体、例えば、4,4’−メチレンビス(2−ウンデシル−5−メチルイミダゾール)およびビス[(N−メチル)イミダゾール−2−イル]カルビノールオクチルエーテル、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0067】
当該1種以上の金属不活性化剤のさらなる非限定的な例としては、硫黄含有複素環化合物、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールおよびそれらの誘導体;および3,5−ビス[ジ(2−エチルヘキシル)アミノメチル]−1,3,4−チアジアゾリン−2−オン、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。当該1種以上の金属不活性化剤のさらなる非限定的な例としては、アミノ化合物、例えば、サリチリデンプロピレンジアミン、サリチルアミノグアニジンおよびそれらの塩、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0068】
当該1種以上の金属不活性化剤は、組成物中の量において特に限定されないが、典型的には、組成物100質量部当たり、0.01〜0.1質量部、0.05〜0.01質量部、または0.07〜0.1質量部の量において存在する。あるいは、当該1種以上の金属不活性化剤は、組成物100質量部当たり、0.1質量部未満、0.7質量部未満、または0.5質量部未満の量において存在していてもよい。
【0069】
防錆剤および摩擦調整剤:
様々な実施形態において、1種以上の防錆剤および/または摩擦調整剤を組成物中に含ませることができる。当該1種以上の防錆剤および/または摩擦調整剤の好適な非限定的な例としては、有機酸、そのエステル、金属塩、アミン塩および無水物、例えば、アルキル−およびアルケニルコハク酸ならびにそれらの、アルコール、ジオール、またはヒドロキシカルボン酸との部分エステル、アルキル−およびアルケニルコハク酸の部分アミド、4−ノニルフェノキシ酢酸、アルコキシ−およびアルコキシエトキシカルボン酸、例えば、ドデシルオキシ酢酸、ドデシルオキシ(エトキシ)酢酸、およびそれらのアミン塩、ならびにN−オレオイルサルコシン、ソルビタンモノオレエート、ナフテン酸鉛、アルケニルコハク酸無水物、例えば、ドデセニルコハク酸無水物、2−カルボキシメチル−1−ドデシル−3−メチルグリセロール、およびそれらのアミン塩、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。当該1種以上の防錆剤および/または摩擦調整剤の追加の好適な非限定的な例としては、窒素含有化合物、例えば、第1級、第2級、または第3級脂肪族もしくは脂環式アミン、ならびに有機酸および無機酸のアミン塩、例えば、油溶性のアルキルアンモニウムカルボキシレート、ならびに1−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−3−(4−ノニルフェノキシ)プロパン−2−オール、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。当該1種以上の防錆剤および/または摩擦調整剤のさらなる好適な非限定的な例としては、複素環化合物、例えば:置換イミダゾリンおよびオキサゾリン、ならびに2−ヘプタデセニル−1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリンなど、リン含有化合物、例えば:リン酸部分エステルのアミン塩またはリン酸部分エステル、およびジアルキルジチオリン酸亜鉛など、モリブデン含有化合物、例えば、モリブデンジチオカルバメートならびに他の硫黄およびリン含有誘導体など、硫黄含有化合物、例えば:バリウムジノニルナフタレンスルホネート、カルシウム石油スルホネート、アルキルチオ置換脂肪族カルボン酸、脂肪族2−スルホカルボン酸のエステルおよびそれらの塩など、グリセロール誘導体、例えば:グリセロールモノオレエート、1−(アルキルフェノキシ)−3−(2−ヒドロキシエチル)グリセロール、1−(アルキルフェノキシ)−3−(2,3−ジヒドロキシプロピル)グリセロール、および2−カルボキシアルキル−1,3−ジアルキルグリセロールなど、ならびにそれらの組み合わせ、が挙げられる。
【0070】
当該1種以上の防錆剤および/または摩擦調整剤は、組成物中の量において特に限定されないが、典型的には、組成物100質量部当たり、0.05〜0.5質量部、0.01〜0.2質量部、0.05〜0.2質量部、0.1〜0.2質量部、0.15〜0.2質量部、または0.02〜0.2質量部の量において存在する。あるいは、当該1種以上の防錆剤および/または摩擦調整剤は、組成物100質量部当たり、0.5質量部未満、0.4質量部未満、0.3質量部未満、0.2質量部未満、0.1質量部未満、0.5質量部未満、または0.1質量部未満の量において存在してもよい。
【0071】
分散剤:
様々な実施形態において、1種以上の分散剤を組成物中に含ませることができる。当該1種以上の分散剤の好適な非限定的な例としては、ポリブテニルコハク酸アミドもしくはイミド、ポリブテニルホスホン酸誘導体、ならびに塩基性マグネシウム、カルシウム、およびバリウムスルホネートおよびフェノラート、コハク酸エステルおよびアルキルフェノールアミン(マンニッヒ塩基)、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0072】
当該1種以上の分散剤は、組成物中の量において特に限定されていないが、典型的には、組成物100質量部当たり、0.1〜5質量部、0.5〜4.5質量部、1〜4質量部、1.5〜3.5質量部、2〜3質量部、または2.5〜3質量部の量において存在する。あるいは、当該1種以上の分散剤は、組成物100質量部当たり、5、4.5、3.5、3、2.5、2、1.5、または1質量部未満の量において存在してもよい。
【0073】
界面活性剤:
様々な実施形態において、1種以上の界面活性剤を組成物中に含ませることができる。当該1種以上の界面活性剤の好適な非限定的な例のとしては、過塩基化された、または中性の金属スルホン酸塩、フェノラートおよびサリチル酸塩、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0074】
当該1種以上の界面活性剤は、組成物中の量において特に限定されないが、典型的には、組成物100質量部当たり、0.1〜5質量部、0.5〜4.5質量部、1〜4質量部、1.5〜3.5質量部、2〜3質量部、または2.5〜3質量部の量において存在する。あるいは、当該1種以上の界面活性剤は、組成物100質量部当たり、5、4.5、3.5、3、2.5、2、1.5、または1質量部未満の量において存在してもよい。
【0075】
様々な実施形態において、当該組成物は実質的に水を含有せず、例えば、当該組成物の総質量に対して、5、4、3、2、または1質量パーセント未満の水しか含まない。あるいは、当該組成物は、当該組成物の総質量に対して0.5または0.1質量パーセント未満の水を含んでいてもよく、または水を含有していなくてもよい。
【0076】
上記において説明する化合物の幾つかは組成物中において相互作用し得るので、最終形態の当該組成物の成分は、最初に添加されるまたは一緒に組み合わされるそれらの成分とは異なっている場合がある。本開示の組成物をその意図する使用において用いる際に形成される生成物を含め、それによって形成される幾つかの生成物は、容易に説明できない、または説明可能ではない。それにもかかわらず、全てのそのような変更物、反応生成物、および本開示の組成物をその意図する使用において用いる際に形成される生成物は明確に想到され、これにより本願明細書に含まれる。本開示の様々な実施形態は、変更物、反応生成物、および上記において説明される当該組成物を用いて形成される生成物のうちの1つ以上を含む。
【0077】
当該組成物および/または添加剤のそれぞれは、独立して、ASTM D 874に従って、ならびに当該技術分野において公知である、灰含有または無灰のものとしてさらに定義され得る。典型的には、「無灰」なる用語は、(有意な)量の金属、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウムなど、の不在を意味する。当然のことながら、当該組成物および/または添加剤は、灰含有または無灰のどちらかとして定義されることに特に限定されない。
【0078】
添加剤および組成物を形成する方法:
本開示は、当該添加剤を形成する方法および当該組成物を形成する方法も提供する。当該添加剤を形成する当該方法は、希釈油、メチルメタクリレート、C8〜C10アルキル(メタ)アクリレート、およびフリーラジカル開始剤を提供する工程を含む。希釈油、メチルメタクリレート、C8〜C10アルキル(メタ)アクリレート、およびフリーラジカル開始剤は、個別に、全て一緒に、または互いとの1つ以上の組み合わせにおいて提供され得る。さらに、それぞれは、一度にまたは複数に分けて、やはり個別に、全て一緒に、または互いとの1つ以上の組み合わせにおいて提供され得る。
【0079】
当該方法はさらに、希釈油を反応器に流し入れる工程、メチルメタクリレートおよびC8〜C10アルキル(メタ)アクリレートをフリーラジカル開始剤とは独立して反応器に流し入れる工程、ならびにフリーラジカル開始剤を反応器に流し入れる工程も含む。当該方法では、希釈油、メチルメタクリレート、C8〜C10アルキル(メタ)アクリレート、およびフリーラジカル開始剤の組み合わせによりフリーラジカル重合反応が開始され、ランダムコポリマー性粘度指数向上剤が形成される。希釈油、メチルメタクリレート、およびC8〜C10アルキル(メタ)アクリレートのそれぞれを、個別に、全て一緒に、あるいは互いとの1つ以上の組み合わせにおいて、反応器に流し入れてもよい。さらに、それぞれは、一度にまたは複数に分けて、やはり個別に、全て一緒に、あるいは互いとの1つ以上の組み合わせにおいて、反応器に流し入れてもよい。一実施形態において、メチルメタクリレートおよびC8〜C10アルキル(メタ)アクリレートは、一緒に流し入れられる。別の実施形態において、メチルメタクリレートおよびC8〜C10アルキル(メタ)アクリレートは、別々に流し入れられる。
【0080】
一実施形態において、C12〜C18アルキル(メタ)アクリレートも提供され、反応器に流し入れられる。ちょうど上記のように、C12〜C18アルキル(メタ)アクリレートは、個別に、他の成分と全て一緒に、および/または、希釈油、メチルメタクリレート、もしくはC8〜C10アルキル(メタ)アクリレートとの1つもしくは複数の組み合わせにおいて提供され得、および/または反応器に流し入れられ得る。さらに、C16〜C22アルキル(メタ)アクリレートも提供され得、反応器に流し入れられ得る。ちょうど上記のように、C16〜C22アルキル(メタ)アクリレートも、個別に、あるいは基油、メチルメタクリレート、C8〜C10アルキル(メタ)アクリレート、および/またはC12〜C18アルキル(メタ)アクリレートのうちの1つ以上と一緒に提供され得、および/または流し入れられ得る。
【0081】
本開示のフリーラジカル重合条件は、特に限定されず、ならびに、バルク重合、(通常は希釈油または鉱油などの有機溶媒中での)溶液重合、に関連する典型的な条件を含み得る。一実施形態において、溶媒と総モノマー装入量との質量比は、約90:10〜約60:40であり得る。本明細書において使用される場合、「総モノマー装入量」なる用語は、典型的には、初期の、すなわち、未反応の、反応混合物中におけるすべてのモノマーの総量を説明するものである。一実施形態において、すべての成分が、撹拌機、温度計、および還流冷却器を備える反応器に装入され、窒素ブランケット下において撹拌しながら約0.5〜約15時間、約50℃〜約130℃に加熱され、フリーラジカル重合反応が実施される。60〜120、70〜110、80〜100、または90〜100℃の温度を用いることができることも想到される。同様に、当該反応は、1〜14、2〜13、3〜12、4〜11、5〜10、6〜9、または7〜8時間進行し得る。別の実施形態において、当該重合条件は、米国特許出願公開第2008/0108533号に記載されている通りであり、なお、当該文献は、これらの条件に関して参考として本明細書で援用される。
【0082】
説明をフリーラジカル開始剤に戻すと、この化合物は、本開示において特に限定されず、さらに、ハロゲン、アゾ化合物、例えば、AIBNおよびABCN、有機過酸化物、ならびにそれらの組み合わせのうちの1つ以上として定義することができる。有機過酸化物は過酸化物結合(−O−O−)を有し、容易に開裂して2つの酸素中心ラジカルを与える。様々な実施形態において、本開示のフリーラジカル開始剤はさらに、ジ−t(第三級)−ブチルペルオキシド、過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンペルオキシド、1,1−ジ(t−アミルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2−ジ(t−アミルペルオキシ)プロパン、2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルペルオキシネオヘプタノエート、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルペルオキシネオデカノエート、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、a,a’−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、a−クミルペルオキシネオデカノエート、a−クミルペルオキシネオヘプタノエート、ジ(2−エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ(3−カルボキシプロピオニル)ペルオキシド、ジ(n−プロピル)ペルオキシジカーボネート、ジ(sec−ブチル)ペルオキシジカーボネート、ジ(t−アミル)ペルオキシド、ジ(t−ブチル)ペルオキシド、過酸化ジベンゾイル、過酸化ジクミル、過酸化ジデカノイル、過酸化ジドデカノイル、過酸化ジイソノナノイル、ジ−t−ブチルジペルオキシフタレート、エチル−3,3−ジ(t−アミルペルオキシ)ブチレート、エチル3,3−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブチレート、n−ブチル4,4−ジ(t−ブチルペルオキシ)バレレート、OO−t−アミルo−(2−エチルヘキシル)モノペルオキシカーボネート、OO−t−ブチルo−イソプロピルモノペルオキシカーボネート、ポリエーテルテトラキス(t−ブチルペルオキシカーボネート)、t−アミルペルオキシアセテート、t−アミルペルオキシベンゾエート、t−アミルペルオキシネオデカノエート、t−アミルペルオキシピバレート、t−アミルペルオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルa−クミルペルオキシド、t−ブチルペルオキシ−(cis−3−カルボキシ)プロパノエート、t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシイソブチレート、t−ブチルペルオキシイソノナノエート、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシネオヘプタノエート、t−ブチルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、およびそれらの組み合わせとして定義される。
【0083】
様々な実施形態において、当該フリーラジカル開始剤は、連鎖移動剤および溶媒と組み合わせて用いられる。好適な連鎖移動剤としては、これらに限定されるわけではないが、ドデカンチオール、メルカプタン、およびアルコール、例えば、トリデシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、およびエチルメルカプタン、が挙げられる。使用される連鎖移動剤の量は、コポリマーの所望の分子量ならびに当該コポリマーに対する剪断安定性の所望のレベルに基づいて選択され得る。様々な実施形態において、当該連鎖移動剤は、当該コポリマーの総質量に対して0.01〜3質量パーセントの量において用いられる。上記の溶媒は、特に限定されず、さらに、上記において説明した基油、鉱油、アセトン、α−メチルスチレン、ベンゼン、デカン、ドデカン、エチルベンゼン、トルエン、トリクロロエチレン、およびそれらの組み合わせとして定義され得る。それに応じて、様々な実施形態において、当該方法は、連鎖移動剤および/または溶媒を提供するおよび反応器に流し入れる工程も含む。連鎖移動剤および/または溶媒が用いられる場合、それぞれは、互いと組み合わせて一緒に反応器に流し入れてもよく、独立して反応器に流し入れてもよく、および/または添加剤を形成するために使用される前述の成分のうちの任意の1つ以上と組み合わせて反応器に流し入れてもよい。希釈油、メチルメタクリレート、C8〜C10アルキル(メタ)アクリレート、C12〜C18アルキル(メタ)アクリレート、C16〜C22アルキル(メタ)アクリレート、フリーラジカル開始剤、溶媒、および連鎖移動剤を含め、前述の成分のそれぞれは、連続して、または1つもしくは複数のバッチにおいて、任意の順序で反応器に流し入れてもよい。
【0084】
当該組成物を形成する方法も、特に限定されず、典型的には、添加剤と基油とを組み合わせる工程を含む。添加剤および基油は、当該技術分野において公知の任意の技術を用いて組み合わせることができる。当該組成物を形成する方法は、前述の「追加の成分」のうちの1つ以上を基油および/または添加剤と組み合わせる工程を含む。
【0085】
実施例
一連の潤滑剤用添加剤(添加剤1〜63)が、本開示に従って形成される。一連の比較の潤滑剤用添加剤(比較添加剤1〜3)も形成されるが、本開示を表していない。形成後、当該添加剤および比較添加剤は、数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)、および多分散度指数(PDI)を特定するために評価される。
【0086】
より詳細には、当該添加剤および比較添加剤のそれぞれを形成するために、ある量の希釈油を反応器に装入し、窒素下において約95℃に加熱する。続いて、フリーラジカル開始剤を反応器に装入する。計量供給のために、別々の平行な2つの供給を反応器に準備する。第一の供給は、ある量のMMA、2−PHMA、および連鎖移動剤、ならびに場合によりLMAおよび/または2°もしくは3°アミン官能性(メタ)アクリレートの装入量を含む。第二の供給は、追加量のフリーラジカル開始剤を含む。当該2つの供給は、約6時間かけて反応器に計量供給される。第一および第二の供給の両方を同時に開始する。添加剤および比較添加剤を形成するために使用される化合物のそれぞれの特定量は、Mn、Mw、およびPDIそれぞれの値と共に下記の第1表に示されている。
【0087】
第1表
【表1】
【0088】
【表2】
【0089】
*試料がTHFに溶解しないため、Mn、Mw、またはPDIデータが得られない。しかしながら、所望の場合、試料は組成物の形成に好適である。
【0090】
第1表(続き)
【表3】
【0091】
「MMA 質量%」は、添加剤および比較添加剤のいくつかを形成するために使用されるメチルメタクリレートの質量パーセントを表している。
【0092】
「2−PHMA 質量%」は、添加剤および比較添加剤のいくつかを形成するために使用される2−プロピルヘプチルメタクリレート(すなわち、C8〜C10アルキル(メタ)アクリレート)の質量パーセントを表している。
【0093】
「LMA 質量%」は、添加剤のいくつかおよび比較添加剤のいくつかを形成するために使用されるラウリルメタクリレート(すなわち、C12〜C18アルキル(メタ)アクリレート)の質量パーセントを表している。
【0094】
「2°もしくは3°アミン 質量%」は、添加剤のいくつかおよび比較添加剤のいくつかを形成するために使用される第二級または第三級アミン官能性(メタ)アクリレートの質量パーセントを表している。より詳細には、添加剤1〜14および23〜40は、ジメチルアミノプロピルメタクリレート(DMAPMA)を使用して形成される。添加剤15〜22、41〜47、49、50、および53〜62は、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)を使用して形成される。添加剤48は、ジエチルアミノプロピルメタクリレートを使用して形成される。比較添加剤3は、DMAPMAを使用して形成される。
【0095】
「コポリマー 質量%」は、添加剤および比較添加剤を形成するために使用されるコポリマーの質量パーセントを表しており、残りの質量パーセントは希釈油であり、これは他の非相互作用性添加剤を含み得る。
【0096】
「Mn」は、THFおよび当該技術分野において周知の方法を用いて特定された、添加剤および比較添加剤の数平均分子量を表している。
【0097】
「Mw」は、THFおよび当該技術分野において周知の方法を用いて特定された、添加剤および比較添加剤の質量平均分子量を表している。
【0098】
「PDI」は、添加剤および比較添加剤の多分散度指数を表している。
【0099】
形成後、選択した添加剤および選択した比較添加剤の量を、独立して基油に加え、対応する組成物および比較組成物を形成する。次いで、ASTM D2983に従って−40℃でのブルックフィールド粘度を、ならびにASTM D445に従って100℃での動粘度を特定するために、当該組成物および比較組成物を評価する。当該組成物および比較組成物を形成するために使用した添加剤のそれぞれの特定量(添加量)を、動粘度およびブルックフィールド粘度の代表値と共に下記の第2表に示す。
【0100】
第2表
【表4】
【0101】
第2表(続き)
【表5】
【0102】
「添加剤を用いない油の動粘度」は、添加剤の使用が組成物の動粘度を増加させることを実証するための、添加剤を加える前の動粘度の近似測定値である。
【0103】
「添加量」は、組成物および比較組成物を形成するために残りの質量パーセントの基油と組み合わせる、添加剤または比較添加剤の質量パーセントを表している。
【0104】
「組成物の100℃での動粘度」は、ASTM D445に従って測定した組成物および比較組成物の動粘度を表している。組成物は、およそ同等の動粘度および添加量に処方される。
【0105】
−40℃でのブルックフィールド粘度は、非絶縁No.4LVまたは絶縁No.4B2スピンドル、ならびに約400,000〜約1,000,000mPa・sの粘度範囲の作動液に対する約0.6rpmから、約500〜約9,800mPa・sの粘度範囲の作動液に対する約60.0rpmまでの回転速度を用いて、ASTM D2983に従って−40℃で測定した、組成物および比較組成物のブルックフィールド粘度を表している。低い値ほど優れている。
【0106】
上記に示されるデータは、本開示の添加剤を、狭い多分散度指数において効果的に形成可能なことを示している。さらに、当該データは、本開示の組成物が、概して、特定の動粘度を達成するためのブルックフィールド粘度および添加量に関して比較組成物よりもすぐれていることを示している。要するに、本開示の組成物は、優れた非ニュートン粘度特性および低温粘度を有している。比較添加剤と比べて、本開示の添加剤は優れている。
【0107】
当然のことながら、添付の特許請求の範囲は、表現ならびに詳細な説明において説明された特定の化合物、組成物、または方法に限定されず、これらは、添付の特許請求の範囲内に含まれる特定の実施形態の間で変わり得る。なお、特定の特徴または様々な実施形態の態様を説明するために本願明細書において依拠するマーカッシュ群に関して、異なる、特別な、および/または予想外の結果が、全ての他のマーカッシュ要素から独立したそれぞれのマーカッシュ群の各要素から得られる可能性がある。マーカッシュ群のそれぞれの要素は、添付の特許請求の範囲内の特定の実施形態のために、個別におよび/または組み合わせにおいて依拠され得、ならびに適切な根拠を提供する。
【0108】
なお当然のことながら、本開示の様々な実施形態の説明において依拠される任意の範囲および部分範囲は、独立しておよび一括して添付の特許請求の範囲内に含まれ、ならびに、そのような値が明確に本明細書に記載されていない場合でも、全体および/または部分値を含む全ての範囲を説明および想到する。当業者は、計数範囲および部分範囲が本開示の様々な実施形態を十分に説明し且つ可能にし、そのような範囲および部分範囲がさらに関連の2分の1、3分の1、4分の1、5分の1などに詳細に説明され得ることを容易に認識している。単なる一例として、「0.1〜0.9の」範囲は、下側3分の1、すなわち0.1〜0.3、中程の3分の1、すなわち0.4〜0.6、および上側3分の1、すなわち0.7〜0.9へとさらに詳細に説明され得、これは、個別に、および一括して、添付の特許請求の範囲内であり、ならびに添付の特許請求の範囲内の特定の実施形態のために個別におよび/または一括して依拠され得、ならびにこれに適切な根拠を提供し得る。さらに、「少なくとも」、「を超えて」、「未満」、「以下」などの範囲を定義または変更する用語に関しては当然のことながら、部分範囲および/または上限または下限が含まれる。別の例として、「少なくとも10」の範囲は、固有に、少なくとも10〜35の部分範囲、少なくとも10〜25の部分範囲、25〜35の部分範囲などを含み、各部分範囲は、添付の特許請求の範囲内の特定の実施形態のために個別におよび/または一括して依拠され得、ならびにこれに適切な根拠を提供し得る。最後に、開示された範囲内の個々の数は、添付の特許請求の範囲内の特定の実施形態のために依拠され得、ならびにこれに適切な根拠を提供し得る。例えば、「1〜9の」範囲は、様々な個々の整数、例えば3、ならびに小数点(または分数)を含む個々の数、例えば4.1、を含み、これは、添付の特許請求の範囲内の特定の実施形態のために依拠され得、ならびにこれに適切な根拠を提供し得る。
【0109】
さらに、上記において説明される質量パーセントまたは他の数値または値の範囲は、変わり得、ならびに上記において説明されるこれらの範囲および値の内の、任意の値または値の範囲、全部および部分の両方として定義され得、ならびに/あるいは、変動が本開示の範囲内にある限り、上記の値および/または値の範囲から±5%、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%などにおいて変わり得ることが想到される。一例として、本明細書において説明される数値または範囲のいずれもが、さらに、「約」として定義され得、そのため、この段落に従い、変わり得る。
【0110】
本開示は、例示において説明されており、当然のことながら、使用されている用語は、限定よりもむしろ説明の性質であることが意図される。上記の教示を考慮すると、本開示の多くの変更および変動は可能であり、ならびに本開示は、詳細に記載されたもの以外も実践することができる。