(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
フィルム2が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、及びアルミニウム箔からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の多層材料。
前記包装用印刷インクが、さらに、バインダーとしてニトロセルロースを含み、その際全樹脂に対する超分岐ポリエステルの質量比が、少なくとも50質量%であり、100質量%未満であることを特徴とする、請求項1に記載の多層材料。
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に包装適用のための、印刷インクの製造に関する。積層包装は、多層材料から構成される。それは、少なくとも2個のポリマーフィルム、及び包装用印刷インクで印刷した層も含み、該包装用印刷インクは、官能基を有するある超分岐ポリエステルを含む。本発明は、さらに、官能基を有するある超分岐ポリエステルを含む包装用印刷インクに、及び多層材料を製造するための該印刷インクの使用に関する。
【0002】
包装、特に食品包装のための多層材料は公知である。この種類の多層材料は、互いに、例えば適した貼り合わせ用接着剤を使用して積層することによって連結される、2つ以上のポリマーフィルム、ポリオレフィンフィルム、例えば金属箔又は金属化ポリマーフィルムから構成される。フィルム(箔を含む)は、それぞれ、同時押出によって製造された、単層又は多層のフィルムであってよい。積層品は、さらに、例えばにおい遮閉層又は防湿層である他の機能層を含んでよい。
【0003】
包装のための多層材料は、通常印刷又は被覆される。印刷インクは、フィルムの一方の内部表面に適用されてよく(すなわち裏刷り)、又は2つのフィルム間に適用されてよい。印刷ワニスは、プライマーとして印刷基材に適用されて基材へのインクの接着を改良することができる。印刷ワニスは、着色剤を含まないが、しかし一般にそれらの組成物において印刷インクに類似するものを除く。
【0004】
多層包装材料を製造するために適している印刷ワニス及び印刷インクに課せられる要求は多様である。非吸収性印刷基材、例えばポリマーフィルム又は金属箔上へ印刷する場合に、印刷インクは、基材中に浸透しないが、代わりに、溶剤を蒸発させた後に基材上で乾燥させたフィルムを残すことができる。かかる基材のための印刷インクは、従って、非常に良好なフィルム形成特性及び良好な接着強度を有する必要があり、その結果印刷されたインクフィルムは、機械的応力下で基材フィルムから離れない。印刷インクは、異なる種類の基材に均一に良好に接着することも要求し、それというのも積層品は、しばしば、例えば極性ポリアミド、又はPETフィルム及び非極性ポリオレフィンフィルムである、互いに化学的に異なる適切なフィルムを含むからである。従って、接着剤を使用して、積層構造は、共に多層を保持するために最小の結合強度を有する必要がある。積層の結合強度は、互いとは別にフィルム層を剥離することによって要求される力を測定することによって評価され、通常、引張試験機を使用する。
【0005】
デンドリマー、アルボロール、スターバーストポリマー及び超分岐ポリマーは、ポリマー構造についての名称であり、多数の分岐部位及び高い機能性を有する分岐構造を特徴とする。デンドリマーは、高い対称的な構造を有する分子的に均一な高分子である。しかしながら、それらは、多数の合成工程を含み非常に複雑にのみ合成され、かつその結果少量だけが入手でき、かつ非常に高コストである。
【0006】
対称的に、超分岐ポリマーは、分子的及び構造的に不均一である。それらは、長さ及び分岐において異なる腕を含む。超分岐ポリマーの一般の定義は、P.J. Flory, J. Am. Chem. Soc. 1952, 74, 2718〜2723頁において、及びH. Frey et al., Chem. Eur. J. 2000, 6, no. 14, 2499〜2506頁において示され、参照をもって本明細書に組み込まれたものとする。
【0007】
超分岐ポリマーを含む印刷インクで印刷された多層材料は、US 2005/0147834号A1において開示されている。前記文献は、一般に超分岐ポリエステル及び印刷インクにおける、とりわけ多層材料を製造するためのそれらの使用を開示している。アジピン酸及びトリメチロールプロパン又はグリセロールの縮合によって製造されたポリエステルが明確に開示されている。コバインダー(co−binder)としてニトロセルロースを有する超分岐ポリエステルを含む印刷インクが明確に開示されている。しかしながら、全てのバインダーに対する超分岐ポリエステルの割合は低く、かつ実施例において0.43を超えてない。
【0008】
US 2007/0213501号A1は、少なくとも1つの二酸、少なくとも1つのジオール、及び少なくとも1つの少なくとも三官能性アルコール又は少なくとも1つの少なくとも三官能性酸の重縮合によって製造された超分岐ポリエステルを開示している。さらに、かかる超分岐ポリエステルの印刷インクにおける使用を教示している。さらに、コバインダーとしてニトロセルロースを有する超分岐ポリエステルを含む印刷インクが明確に開示されている。しかしながら、全てのバインダーに対する超分岐ポリエステルの割合は低く、かつ実施例において0.43を超えてない(US 2007/0213501号A1における式1)。
【0009】
本発明の課題は、市販の製品に対して少なくとも相容性である積層結合強度を呈する、包装を製造するための多層材料を提供することである。一方で、本発明の樹脂で製造される印刷インクは、フレキソ印刷又はグラビア印刷のための基本的な要求、例えばテープ接着、及び前記先行技術の印刷インクと少なくとも同レベルでの耐ブロッキング特性を満たす必要がある。本発明は、高い不揮発性濃縮物、又はさらに低いVOC、高い顔料配合、先行技術からの印刷インクの粘度よりも高くない粘度を有するインクを可能にする。高い不揮発性濃縮物は、高い色密度、良好な光沢、及び/又は高い不透明性をもたらす。
【0010】
本発明の課題は、少なくとも
ポリマー材料のフィルム1の1つ
包装用印刷インクでの印刷又は被覆によって得られる印刷層の1つ
他のフィルム2の1つ
を含む、包装を製造するための多層材料であって、
前記包装用印刷インクは、少なくとも2つのバインダーを含み、
第一のバインダーが、OH基、COOH基及びCOOR基[ここでエステル化されたカルボキシル基における基Rは、炭素原子1〜60個を有する基を含み、かつ場合によりヘテロ原子又は他の置換基を含んでよい]からなる群から選択される官能基を含む少なくとも1つの超分岐ポリエステルを含み、
その際、前記超分岐ポリエステルは、
フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸及びメチルヘキサヒドロフタル酸又はそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの脂環式又は芳香族ジカルボン酸(A
2)又はそれらの誘導体と
トリメチロールプロパン、グリセロール及びペンタエリトリトールからなる群から選択されるOH基x個を含む、少なくとも1つの少なくとも三価の脂肪族アルコール(C
x)と
を反応させることによって得られ、
実質的にOH基2個を含む脂環式ジオール(B
2)は存在せず、
前記ポリエステルの分子量M
nは、少なくとも300g/molであり、かつ多分散性M
w/M
nは1.2〜10であり、かつ
反応混合物における全ての成分の反応基の割合は、ヒドロキシル基とカルボキシル基又はそれらの誘導体とのモル比が2:1〜1:2であるように選択され、
第二のバインダーが、ポリビニルブチラール、ニトロセルロース、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリケトン、ポリカーボネート、ポリアクリレート及びポリアクリレートコポリマーからなる群から選択され、
その際、全てのバインダーの合計量に対する超分岐ポリエステルの質量比が少なくとも50質量%である、
多層材料によって達せられることを見出している。
【0011】
本発明は、第二に、少なくとも1つの溶剤又は種々の溶剤の混合物、少なくとも1つの顔料及び/又は染料、少なくとも1つのポリマーバインダー、及び場合により添加剤を含むフレキソ印刷及び/又はグラビア印刷のための包装用印刷インクを提供する。少なくとも1つのポリマーバインダーは、OH基、COOH基及びCOOR基からなる群から選択される官能基を含む前記超分岐ポリエステルを含む。
【0012】
本発明は、さらに、印刷ポリマーフィルム又は金属箔上に前記包装用印刷インクを印刷する方法、及び多層材料を製造するための方法を提供する。
【0013】
本発明は、さらに、少なくとも1つの溶剤又は種々の溶剤の混合物、少なくとも1つのポリマーバインダー、及び場合により添加剤を含むフレキソ印刷及び/又はグラビア印刷のための印刷ワニスを提供する。少なくとも1つのポリマーバインダーは、OH基、COOH基及びCOOR基からなる群から選択される官能基を含む前記の少なくとも1つの超分岐ポリエステルを含む。
【0014】
OH基、COOH基及びCOOR基を含む前記超分岐ポリエステルを含むバインダーを有する包装用印刷インクの使用によって、印刷インクのVOC含有率を著しく減少することができ、それというのも、超分岐ポリエステルバインダーは、市販の高分子ポリウレタンバインダー又は先行技術のポリウレタンバインダー、例えばEP 1743911号Aにおいて記載されているバインダーに由来する印刷インクと比較して、低減された粘性を有する印刷インクを可能にするからである。さらに、前記超分岐ポリエステルを、印刷インク中で多量に使用することができ、その結果他のバインダー、特にニトロセルロースの量を低減することができ、かつ顔料の装填量を増加することができる。
【0015】
本発明の詳細を以下に示す。
【0016】
多層材料についてのフィルム1は、ポリマー材料から構成される。包装材料に適したフィルムは、例えば、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, 6th Edt., 2000, Electronic Releaseにおいて公表されている。それらは、例えばポリオレフィンフィルム、例えばポリエチレン、ポリプロピレン又はポリ(4−メチル−1−ペンテン)又はポリスチレンのフィルムを含む。ポリエチレンフィルムは、HDPE、LDPE又はLLDPEのフィルムであってよい。それらは、コポリマー、例えばエチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレン−ビニルアルコールコポリマー(EVOH)、エチレン−アクリル酸コポリマー(EAA)、エチレン−メタクリル酸コポリマー(EMM)、又はスチレン/ブタジエンコポリマーのフィルムであってよい。
【0017】
さらに、ポリプロピレンフィルム、有利には延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム又は二軸延伸(BOPP)フィルムを使用してもよい。
【0018】
ポリスチレン(PS)、PVC、PVdC、ポリ乳酸(PLA)又はポリカーボネートフィルムを使用することも可能である。
【0019】
さらに、極性材料のフィルムを使用してよく、例えばセロファンフィルム、ポリエステルフィルム、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレートのフィルム、例えば又はポリアミドフィルム、例えばPA66、PA6、PA12、PA6/66、PA6/12又はPA11のフィルムである。
【0020】
フィルム1は、有利には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル又はポリアミドのフィルムであり、PET、PEN及びポリアミドフィルムがより特に好ましい。
【0021】
フィルム1は単層フィルムであってよい。代わりに、多層フィルムであってよい。多層フィルムは、有利には同時押出によって製造される。層は、化学的に同一の、類似した又は異なるポリマーから構成されてよい。例えば、ポリビニルアルコール層は、2つのポリオレフィンフィルムの間に又はLDPEと組合せたLLDPEの間に埋め込まれてよい。"多層"の用語は、ポリマーフィルム及び金属箔、特にアルミニウム箔の積層品も含む。
【0022】
フィルムは被覆されてもよい。本明細書で挙げられてよい例は、金属化フィルム、特にAlで蒸気被覆したフィルム、又は酸化ケイ素(SiO
2)もしくは酸化アルミニウム(Al
2O
3)で(蒸気)被覆したフィルムを含む。
【0023】
フィルム2について、金属化ポリマーフィルムを含むポリマーフィルム、又は金属箔を使用することが可能である。適したポリマーフィルムは、特にフィルム1について開示された材料を含む。使用される金属箔は、特に、アルミニウム箔であるが、例えばスズ箔、銅箔又は金箔である箔も可能である。
【0024】
特に好ましい多層材料は、非極性フィルムと組合せた極性フィルムの少なくとも1つを含む。挙げてよい例は、ポリアミドフィルム又はポリエステルフィルムと、ポリオレフィンフィルム、特にポリエチレンもしくはポリプロピレンフィルムとの積層品を含む。さらに、ポリアミド及びポリエステルフィルムの多層材料、又はそれぞれの場合にポリアミドのみもしくはポリエステルフィルムのみを含む積層品が好ましい。
【0025】
有利には、フィルム1は、PE、PP、PET、及びポリアミドからなる群から選択され、より有利には、PE、PP、及びPETからなる群から選択され、かつさらにより有利には、PE、OPP、及びPETからなる群から選択される。
【0026】
有利には、フィルム2は、場合により金属化されたPE、非金属化PE、OPP、及びPETからなる群から選択され、より有利には、場合により金属化された又は金属化されていないPE、OPP及びPETからなる群から選択され、かつさらにより有利にはPE、OPP及びPETからなる群から選択される。
【0027】
本発明の一実施態様において、フィルム1及びフィルム2の双方はOPPである。
【0028】
本発明の他の実施態様において、フィルム1はPETであり、かつフィルム2はPEである。
【0029】
本発明の多層材料は、さらに、少なくとも1つのフィルムを包装用印刷インクで印刷又は被覆することによって得られる少なくとも1つの印刷層を含む。
【0030】
印刷された層は、多層材料の外側にあってよい。有利には、しかしながら、印刷層は、2つのフィルムの間にあり、すなわち積層品中に埋め込まれる。印刷層は、フィルムの1つの上に直接置かれてよく、又はフィルムと印刷層との間に1つ以上の他の層であってよい。印刷層は、有利には、フィルム1上に又はフィルム2上に直接印刷される。
【0031】
多層材料は、2つ以上の印刷層を含んでもよい。好ましくは、全ての印刷層は、始めに定義された官能基を含む本発明による超分岐ポリエステルを含む。しかしながら、最少の要求は、少なくとも1つの印刷層が前記超分岐ポリエステルを含むことである。印刷層は、互いの上に印刷されてよい。例えば、第一層はカラーであり、例えばフィルム、続いて白色又は多色の装飾を有する第二層上に印刷されてよい。代わりに、プライマーを一方のフィルム上に、そして装飾を他方のフィルム上に印刷し、又はプライマーを片面上に、及び装飾を同様のフィルムの他方の面上に印刷してよい。
【0032】
もちろん、多層積層品は、フィルム1及び2に加えて他のフィルムを含んでもよい。積層品におけるフィルムの順序は、所望の特性及び多層材料の意図された使用に従って当業者によって決定される。
【0033】
多層材料は、それぞれの場合に特定の特性を得ることができる追加の層を含んでもよい。特に、いくつかの又は全ての層と互いに連結するために使用されてよい接着層を挙げてよい。さらに、追加のバリヤー層を導入することもできる。一例として、ポリビニルアルコール層又はエチレン−ポリビニルアルコール層を、水蒸気バリヤーとして導入してよい。におい又は芳香バリヤーを導入することもできる。この目的のために適した材料は、例えば、EP−A 707 956号又はEP−A 802 045号において開示されている。
【0034】
多層材料における印刷層は、フィルムを適切な包装用印刷インクで印刷又は被覆することによって得られる。印刷は、有利にはフレキソ法又はグラビア法によって実施されるが、スクリーン印刷又はインクジェット印刷を特定の場合において使用することができる。
【0035】
本発明の目的のための"包装用印刷インク"又は"包装のための印刷インク"の用語は、溶剤の蒸発によって硬化するフレキソ印刷及び/又はグラビア印刷のための溶剤含有印刷インクを意味する。"包装のための印刷インク"の用語は、自明であり限定的である。包装のための印刷インクは、ASTM D2196(Brookfield)に従って、25℃で、剪断速度30rpmで、スピンドル数62で、およそ50〜200mPas(ミリパスカル)、有利には80〜150mPasの低い粘性を有する速乾性印刷インクである。従って、それらは比較的低い沸点の溶剤を含む。それらの沸点は、一般に1013hPa(ヘクトパスカル)で50℃〜140℃である。
【0036】
スクリーン印刷インクは、フレキソインク又はグラビアインクとほぼ同じ方法で調合できるが、わずかに高い粘度に調整され、かつ通常、1013hPaで沸点60℃〜170℃を有する溶剤を含む。
【0037】
本発明に従って、印刷インクは、最初に定義したOH基、COOH基及びCOOR基からなる群から選択される官能基を含む超分岐ポリエステルを基礎とするバインダー成分を含む。さらに"バインダー"の用語は、自明であり、同時に限定的である。バインダーは、印刷インクの主な構成成分の1つであり、かつフィルムの実際の調合物である。それらをインクフィルムにおける顔料及び充填剤の固着について及び基材への接着について提供し、かつこの効果を達成するために十分な量で使用される。
【0038】
本発明は、実際に超分岐ポリエステル、すなわち分子的及び構造的に不均一な高分岐ポリエステルで実施される。
【0039】
超分岐ポリエステルは、デンドリマーについてと同様であるが不均一性を欠いた分岐の鎖長を有する方法で中心分子から出発して合成されてよい。他方で、それらは官能性側基を有する直鎖構造であってよく、又は、2つの極端の組合せとして、直鎖及び分枝鎖の部分を含んでよい。デンドリマー及び超分岐ポリマーの定義に関しては、P.J. Flory, J. Am. Chem. Soc. 1952, 74, 2718及びH. Frey et al., Chemistry − A European Journal, 2000, 6, No. 14, 2499も参照する。超分岐ポリマーを得るための種々の合成戦略の概説は、C. Gao, D. Yan, Prog. Polym. Sci. 29 (2004), 183 − 275において示されている。
【0040】
超分岐ポリマーは、それらの分岐度(DB)によって特徴付けられてよい。DBは、
DB(%)=(T+Z)/(T+Z+L)×100
によって定義され、その際
Tは末端結合モノマーの中間数であり、
Zはモノマーを生じる分岐の中間数であり、
Lは直鎖結合モノマーの中間数である。
【0041】
本発明に関する"超分岐"は、分岐度(DB)、言い換えれば、デンドリマー結合の平均数と分子毎の末端基の平均数との合計が、10%〜99.9%、有利には20%〜95%、より有利には25%〜90%、及び最も有利には30%〜80%であることを意味する。
【0042】
本発明の記載内容における"デンドリマー"は、分岐度が99.9%〜100%であることを意味する。分岐度の定義に関しては、H. Frey et al., Acta Polym. 1997, 48, 30−35を参照する。
【0043】
本発明による超分岐ポリエステルは、OH基、COOH基及びCOOR基からなる群から選択される1つ以上の官能基を含む。
エステル化カルボキシル基における基Rは、有利には炭素原子1〜60個を有する基を含む。前記基は、ヘテロ原子又は他の置換基を含んでもよい。
【0044】
基Rは、ヘテロ原子又は他の置換基を含んでもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基を含む基から選択され、有利には、ヘテロ原子又は他の置換基を含んでもよいC
1〜C
20−アルキル基、C
3〜C
12−シクロアルキル基、C
6〜C
20−アリール基、及びC
7〜C
20−アラルキル基を含む群から選択され、かつより有利には、ヘテロ原子又は他の置換基を有さないC
1〜C
8−アルキル基、C
5〜C
12−シクロアルキル基、C
6〜C
12−アリール基、及びC
7〜C
10−アラルキル基を含む群から選択され、かつ最も有利にはヘテロ原子又は他の置換基を有さないC
1〜C
8−アルキル基であってよい。
【0045】
Rの例は、C
1〜C
8アルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、又はC
6〜C
12アリール基又はアリールアルキル基、例えばベンジル基を含む。好ましくは、鎖中で酸素原子を含み、式−(CHR’−CHR"O)
nH[式中、nは通常1〜20の自然数であり、かつR’及びR"は、互いに独立して、H又はメチル基もしくはエチル基であり、有利には水素原子である]を有する基まで及ぶ。
【0046】
COOR基は、既にポリマーについてのモノマー単位で存在してよく、代わりに、COOH基又はそれらの誘導体のその後の官能化によって生じてよい。
【0047】
官能基は、実質的に末端基であるが、官能基は、ペンダント状に配置されてもよい。
【0048】
特に好ましくは、本発明に従って使用される超分岐ポリエステルは、OH基及びCOOH基の双方を含む。
【0049】
使用されるポリエステルは、通常、それらのヒドロキシル数及びそれらの酸数によって特徴付けられてよい。10〜200mg KOH/g、有利には20〜180mg KOH/g、より有利には50〜150mg KOH/g及び特に有利には70〜130mg KOH/gの酸数、並びに50〜500mg KOH/g、有利には100〜400mg KOH/g、より有利には120〜300mg KOH/g、及び特に有利には150〜250mg KOH/gのヒドロキシル数を有する超分岐ポリエステルを使用することが好ましいが、本発明をそれらに制限しない。
【0050】
酸数は、前記DIN 53402に従って決定されている。ヒドロキシル数は、DIN 53240、第2部に従って決定されている。
【0051】
モル質量は、意図される適用のタイプに従って当業者によって選択される。適切に実験されている製品は、少なくとも300g/mol、有利には少なくとも400g/mol、より有利には少なくとも500g/mol、及び特に有利には少なくとも600g/molの数平均分子量M
nを有するものである。モル質量M
nの上限は、有利には25000g/molであり、より有利には15000g/mol以下であり、より特に有利には10000g/mol以下であり、及び特に有利には5000g/mol以下である。
【0052】
超分岐ポリエステルの均一性は、通常M
w/M
nの比によって示される。M
w/M
nは、一般に、1.1〜20、有利には1.2〜15、より特に好ましくは1.2〜10、及び特に1.3〜5である。
【0053】
多分散性について、及び数平均分子量及び質量平均分子量M
n及びM
wについて示された図は、ここで、基準としてポリメチルメタクリレート、及び溶出液としてテトラヒドロフラン、ジメチルアセトアミド又はヘキサフルオロイソプロパノールを使用するゲル透過クロマトグラフィーによって得られた測定値を言う。前記方法は、Analytiker Taschenbuch Vol. 4, 433 〜442頁, Berlin 1984において記載されている。
【0054】
本発明に従って好ましいポリエステルは、0〜100℃、有利には25〜55℃及びより有利には30〜50℃のガラス転移温度を有する。
【0055】
ガラス転移温度T
gは、ASTM 3418/82に従ってDSC法(示差走査熱分析)によって測定される。
【0056】
超分岐ポリエステルの合成は、有利には、以下で図示されるように実施してよく、本発明は、これにより、この製造方法によって合成されたポリエステルの使用に限定されない。
【0057】
本発明による超分岐ポリエステルは、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸及びメチルヘキサヒドロフタル酸又はそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの脂環式又は芳香族ジカルボン酸(A
2)と、トリメチロールプロパン、グリセロール及びペンタエリトリトールからなる群から選択されるxOH基を含む少なくとも1つの少なくとも三価の脂肪族アルコール(C
x)との反応によって得られる。
【0058】
ジカルボン酸(A
2)は、脂環式又は芳香族、有利には脂環式であってよい。
【0059】
本発明に従って、ジカルボン酸(A
2)は、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸及びメチルヘキサヒドロフタル酸又はそれらの誘導体からなる群から選択され、有利には、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸及びメチルヘキサヒドロフタル酸又はそれらの誘導体からなる群から選択され、より有利には、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸並びにそれらの誘導体からなる群から選択され、かつ特に有利には1,2−シクロヘキサンジカルボン酸又はそれらの誘導体である。
【0060】
脂環式ジカルボン酸におけるカルボン酸基は、シス配置で又はトランス配置で、有利にはシス配置であってよい。使用される脂環式ジカルボン酸は、シス配置とトランス配置の生成物の混合物であってもよく、その際シス配置が主要な異性体である。
【0061】
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物の場合に、シス異性体が、有利には主要な異性体である。
【0062】
ジカルボン酸は、それ自体、又は誘導体の形で使用されてよい。
【0063】
誘導体に関して、有利には
− モノマー又は他のポリマー形での対応する無水物
− モノアルキル又はジアルキルエステル、有利にはモノ−又はジ−C
1〜C
4アルキルエステル、より有利にはモノメチルエステルもしくはジメチルエステル又は対応するモノエチルエステルもしくはジエチルエステル、
− さらにモノビニルエステル及びジビニルエステル、並びに
− 混合エステル、有利には種々のC
1〜C
4アルキル成分を有する混合エステル、より有利には混合メチルエチルエステル
を意味する。
【0064】
本明細書の目的のためのC
1〜C
4アルキルは、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル及びtert−ブチル、有利にはメチル、エチル及びn−ブチル、より有利にはメチル及びエチル、並びにより有利にはメチルを意味する。
【0065】
有利には、ジカルボン酸(A
2)は、遊離酸として、無水物として又はジC
1〜C
4アルキルエステルとして、有利には無水物として又はジC
1〜C
4アルキルエステルとして、特に無水物として又はジメチルエステルとして、及び特に無水物として使用されてよい。
【0066】
分子内無水物の形成は、通常、芳香族1,2−カルボン酸において、及びシス配置を有する脂環式1,2−及び1,3−カルボン酸においてのみ可能である。
【0067】
明確にするために、ジカルボン酸(A
2)は、ヒドロキシル基とカルボキシル基のモル比の測定のために無水物として使用され、1つの無水物基は2つのカルボキシル基として数える。
【0068】
本発明の記載内容の範囲内で、ジカルボン酸と1つ以上のその誘導体との混合物を使用することもできる。同様に、本発明の記載内容の範囲内で、1つ以上のジカルボン酸の2つ以上の誘導体の混合物を使用することができる。
【0069】
xOH基を有する少なくとも1つの三価の脂肪族アルコール(C
x)は、トリメチロールプロパン、グリセロール及びペンタエリトリトールからなる群から選択され、有利にはトリメチロールプロパン又はペンタエリトリトールであり、及びより有利にはトリメチロールプロパンである。
【0070】
本発明によって、少なくとも三価の脂肪族アルコール(C
x)は三価又は四価、有利には三価である。
【0071】
種々の少なくとも三価の脂肪族アルコール(C
x)、例えば1〜3個、有利には1又は2個、及びより有利には1個の混合物を使用することができる。
【0072】
本発明による超分岐ポリエステルは、実質的にジオール(B
2)を含まない。本発明による好ましい超分岐ポリエステルは、実質的に、ジカルボン酸(A
2)及び脂肪族アルコール(C
x)からなり、本発明によるより好ましい超分岐ポリエステルは、ジカルボン酸(A
2)及び脂肪族アルコール(C
x)のみからなる。
【0073】
ジオール(B
2)は、ヒドロキシル基2個を有する脂肪族、脂環式又は芳香族化合物であってよい。本発明によるポリエステルにおけるアルコール(C
x)及びジオール(B
2)からのヒドロキシル基の合計量に対するジオール(B
2)からのヒドロキシル基の割合は、通常、0.2以下であり、有利には0.1以下、及びより有利には0である。
【0074】
少なくとも三価の脂肪族アルコール(C
x)におけるヒドロキシル基と、ジカルボン酸(A
2)におけるカルボキシル基とのモル比は、2:1〜1:2、有利には1.5:1〜1:2、特に1.5:1〜1:1.5である。
【0075】
最も単純な場合に、反応混合物は、互いと反応されるべき成分の混合物のみからなる。しかしながら、反応混合物は、溶剤、適したエステル化触媒又はトランスエステル化触媒、及び適宜他の添加剤を含むこともできる。
【0076】
前記超分岐ポリエステルの製造方法を、バルクで又は溶剤の存在で実施できる。適した溶剤の例は、炭化水素、例えばパラフィン又は芳香族化合物を含む。特に適したパラフィンは、n−ヘプタン及びシクロヘキサンである。特に適した芳香族化合物は、トルエン、オルト−キシレン、メタ−キシレン、パラ−キシレン、キシレン異性体混合物、エチルベンゼン、シクロベンゼン及びオルト−及びメタ−ジクロロベンゼンである。酸触媒の不在で溶剤として適している他の溶剤は、より有利には、エーテル、例えばジオキサン又はテトラヒドロフラン、並びにケトン、例えばメチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンである。
【0077】
添加される溶剤の量は、本発明に従って、反応されるべき使用される出発材料の質量に対して、少なくとも0.1質量%、有利には少なくとも1質量%、及びより有利には少なくとも10質量%である。反応されるべき使用される出発材料の質量に対して、溶剤の過剰量、例えば1.01〜10倍を使用することもできる。反応されるべき使用される出発材料の質量に対して100倍より多い溶剤の量は、有利ではなく、それというのも、著しく低い反応物濃度で、反応速度は著しく低下し、経済的ではない長い反応時間を導くからである。
【0078】
好ましい一実施態様において、反応を、溶剤を添加せずに実施する。
【0079】
前記方法は、他の方法よりも高い固体含有率の超分岐ポリエステルをもたらす。
【0080】
本発明の方法を実施するために、反応の始まりで添加される添加剤として、水除去剤の存在で実施することができる。適した例は、分子ふるい、特に分子ふるい4Å、MgSO
4及びNa
2SO
4を含む。反応中に、他の水除去剤を添加すること、又は炭水除去剤によって水除去剤を置き換えることもできる。反応中に、形成された水及び/又はアルコールを上流によって除去すること、及び例えば、水が共沸剤の使用で除去される場合に、水分離器を使用することもできる。
【0081】
水の分離を、ストリッピングによって、例えば、反応条件下で不活性であるガスを反応混合物に通過し、さらに適宜蒸留することによって実施してもよい。適した不活性ガスは、有利には、窒素、希ガス、二酸化炭素、燃焼ガス、又は酸素含有率、例えば4〜10体積%を有する酸素欠乏空気(リーン空気)を含む。
【0082】
本発明の方法を、触媒の不在で実施できる。
【0083】
本発明の一実施態様において、反応を、少なくとも1つの触媒の存在で実施する。触媒は、有利には、酸性無機触媒、有機金属触媒もしくは有機触媒、又は酸性無機触媒、有機金属触媒もしくは有機触媒の2つ以上の混合物である。
【0084】
本発明の目的のための酸性無機触媒は、例えば硫酸(H
2SO
4)、硫酸塩及び硫酸水素塩、例えば硫酸水素ナトリウム(NaHSO
4)、リン酸(H
3PO
4)、ホスホン酸(H
3PO
3)、高リン酸(H
3PO
2)、硫酸アルミニウム水和物、ミョウバン、酸性シリカゲル(pH<6、特に<5)及び酸性酸化アルミニウムである。使用されてよい他の酸性無機触媒は、例えば一般式Al(OR
1)
3のアルミニウム化合物及び一般式Ti(OR
1)
4のチタン酸塩を含み、その際遊離基R
1は、それぞれの場合に同一又は異なり、かつ互いに独立して、
C
1〜C
20アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、n−ドデシル、n−ヘキサデシル又はn−オクタデシル
C
3〜C
12シクロアルキル基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル及びシクロドデシル、有利にはシクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチル
から選択することができる。
【0085】
Al(OR
1)
3及び/又は式Ti(OR
1)
4における基R
1は、有利には、互いに同一であり、かつn−ブチル、イソプロピル及び2−エチルヘキシルから選択される。
【0086】
好ましい酸性有機金属触媒は、例えば、ジアルキルスズオキシドR
12SnO又はジアルキルスズエステルR
12Sn(OR
2)
2[式中、R
1は前記で定義されたものであり、かつ同一又は異なってよい]から選択される。
【0087】
R
2は、R
1と同様の定義を有してよく、かつさらにC
6〜C
12アリール、例えばフェニル、o−、m−又はp−トルイル、キシリル又はナフチルであってよい。R
2は、それぞれの場合に同一又は異なってよい。
【0088】
有機スズ触媒の例は、スズ(II)n−オクタノエート、スズ(II)2−エチルヘキサノエート、スズ(II)ラウレート、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシド、ジブチルスズジクロリド、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジマレエート又はジオクチルスズジアセテートである。
【0089】
酸性有機金属触媒の特に好ましい代表例は、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシド及びジフェニルスズジラウレートである。さらに可能な有機金属触媒は、有機金属ビスマス又はジルコニウム化合物である。
【0090】
好ましい酸性有機触媒は、例えばホスフェート基、スルホ酸基、スルフェート基又はホスホン酸基を含む酸性有機化合物である。スルホン酸、例えばパラ−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、及びトリフルオロメタンスルホン酸が特に好ましい。酸性イオン交換体を、酸性有機触媒として使用することもでき、例えばスルホン酸基を含み、ジビニルベンゼン約2mol%と架橋されているポリスチレン樹脂である。
【0091】
2つ以上の前記触媒の組合せを使用することもできる。固定化された形で別々の分子の形である、有機触媒又は有機金属触媒又は無機触媒を、シリカゲル上で又はゼオライト上で使用することもさらに可能である。
【0092】
酸性触媒、有機金属触媒又は無機触媒を使用することが所望される場合に、使用される触媒の量は、本発明に従って、0.1質量%〜10質量%、有利には0.2質量%〜2質量%である。
【0093】
一実施態様において、エステル化触媒は酵素である。リパーゼ及びエステラーゼの使用が好ましい。特に適した例は、カンジダ・アンタルクチカ(Candida antarctica)リパーゼBである。前記酵素は、例えばNovozymes Biotech Inc.社(デンマーク)から市販されている。
【0094】
前記酵素は、有利には、固定された形で、シリカゲル又はLewatit(登録商標)上で使用される。酵素を固定する方法は、例えばKurt Faber, "Biotransformations in organic chemistry", 3rd edition 1997, Springer Verlag, section 3.2 "Immobilization" 345−356頁から、それ自体公知である。固定化された酵素は、例えばNovozymes Biotech Inc.社(デンマーク)から市販されている。使用される酵素の量は、全体で使用される出発材料の質量に対して、1〜20質量%、特に10〜15質量%である。
【0095】
本発明のプロセスを実施するために、酵素を使用しない実施態様が好ましい。
【0096】
他の好ましい実施態様において、非金属含有触媒を、前記プロセスを実施するために使用する。
【0097】
特に好ましい一実施態様において、触媒を、前記プロセスを実施するために使用しない。後者は、特に、本発明による多層材料を食品包装として使用する場合に好ましい。後者は、さらに、化合物(A
2)が酸無水物である場合に特に好ましい。
【0098】
前記超分岐ポリエステルの製造のための方法を、有利には、不活性ガス雰囲気下、すなわち反応条件下で不活性であるガス、例えば二酸化炭素、燃焼ガス、例えば4〜10体積%の酸素含有率を有する酸素欠乏空気(リーン空気)の下で実施し、中でもアルゴンが特に挙げられてよい。
【0099】
本発明のプロセスは、60〜250℃の温度で実施される。80〜200℃、より有利には100〜180℃の温度で操作することが好ましい。酵素を使用する場合に、100℃を超えるべきでない。
【0100】
本発明のプロセスの圧力条件は、一般に重要でない。著しく低減された圧力、例えば10〜500mbarで操作することが好ましい。本発明の方法は、500mbarより高い圧力でも実施できる。単純な理由で、大気圧での反応が好ましく、しかしながら例えば1200mbarまでのわずかに高い圧力でのその実施も可能である。著しく高い圧力下で、例えば10barまでの圧力で操作することもできる。減圧又は大気圧下での反応が好ましく、特に大気圧が好ましい。
【0101】
本発明の方法の反応時間は、通常、10分〜48時間、有利には30分〜24時間、及びより有利には1〜12時間である。
【0102】
反応が終わった後に、高い官能性の超分岐ポリエステルを、例えば適宜、触媒を濾過すること及び溶媒をストリッピングすることによって容易に単離することができ、この場合、溶剤のストリッピングは通常減圧下で実施される。さらにより高い適した処理方法は、ポリマーの沈澱、続いて水の添加、続いて洗浄及び乾燥である。
【0103】
本発明の記載内容の範囲内で、本発明の超分岐ポリエステルは、他のバインダーとの混合物で使用されてもよい。
【0104】
本発明の印刷インクのための他のバインダーの例は、ポリビニルブチラール、ニトロセルロース、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリケトン、ポリカーボネート、ポリアクリレート又はポリアクリレートコポリマーを含む。好ましい他のバインダーは、ニトロセルロース、ポリウレタン、及びポリビニルブチラールからなる群から選択され、特に、他のバインダーとしてニトロセルロース及び/又はポリウレタンが好ましい。特に有利に実施されている組合せは、超分岐ポリエステルとニトロセルロースとの組合せである。本発明の印刷インクにおける全てのバインダーの合計量は、通常、全ての構成成分に対して、5質量%〜35質量%、有利には6質量%〜30質量%、及びより有利には10質量%〜25質量%である。
【0105】
全てのバインダーの合計量に対する超分岐ポリエステルの質量比は、少なくとも50質量%、有利には少なくとも60質量%、及び特に有利には少なくとも70質量%である。
【0106】
全てのバインダーの合計量に対する超分岐ポリエステルの質量比は、100質量%未満、有利には90質量%以下、特に有利には80質量%以下である。
【0107】
バインダーとしてのニトロセルロースは、12.6質量%未満までの窒素含有率(85%までのニトロ化の程度)で使用されてよい。好ましいニトロセルロースは、窒素含有率11.88〜12.2質量%でエステル溶性、及び窒素含有率10.9〜11.3質量%でアルコール溶性であり、より有利にはアルコール溶性ニトロセルロースである。
【0108】
バインダーとしてのポリウレタンは、例えばEP 1743911号A1、段落番号[0018]〜[0070]又はUS 5,556,925号4段落9行目〜9段落24行目において記載されており、双方の開示は、参照をもって本明細書に組み込まれたものとする。
【0109】
1つの溶剤、又は2以上の溶剤の混合物を使用するべきである。主に適した溶剤は、印刷インク、特に包装用インクのための通常の溶剤を含む。本発明の印刷インクのための溶剤として特に適しているのは、アルコール、例えばエタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、置換したアルコール、例えばエトキシプロパノール、並びにエステル、例えば酢酸エチル、酢酸イソプロピル、及び酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、又は酢酸t−ブチルである。水は、原則として適した溶剤でもある。特に好ましい溶剤は、エタノール、又は大部分はエタノール及び酢酸エチルから構成される混合物である。可能な溶剤の中で、原則として、当業者は、超分岐ポリエステルの溶解性及び印刷インクによって要求される所望された乾燥速度に従って適切に選択する。遅乾性溶剤が、本発明で配合されてもよい。典型的な遅乾性溶剤は、グリセロールエーテル、例えばDowanol(登録商標)PM(プロピレングリコールモノメチルエーテル)もしくはDPM(ジプロピレングリコールメチルエーテル)、又はエトキシプロパノールである。通常、印刷インクの全体の構成成分の合計に対して、40質量%〜80質量%の溶剤を使用する。
【0110】
従来の直鎖ポリウレタンと配合された包装用白色インクの典型的な積層品は、溶剤40質量%〜70質量%を含む。本発明による比較可能な超分岐ポリエステルを基礎とする白色インクは、同じ印刷粘性で、5〜20質量%、有利には10〜12質量%の少ない溶剤を有する。この測定値で、超分岐ポリエステルを基礎とするウインクにおけるVOCの量は、従来の直鎖ポリウレタンを基礎とするインクよりも低い。
【0111】
使用されてよい着色剤は、通常の染料及び、特に通常の顔料を含む。例えば、制限されることなく、無機顔料、例えば二酸化チタン顔料又は酸化鉄顔料、干渉顔料、カーボンブラック、金属粉末、例えば特にアルミニウム、黄銅もしくは銅粉末、並びに有機顔料、例えばアゾ顔料、フタロシアニン顔料又はイソインドリン顔料である。好ましい有機顔料の例は、フタロシアニンブルー15:4、フタロシアニングリーン7、緑36、黄12、黄14、赤57:1、及び赤52:1である。もちろん、種々の染料又は着色剤の混合物を使用することもでき、可溶性有機染料も可能である。通常、全ての構成成分の合計に対して、着色剤5質量%〜25質量%を使用する。
【0112】
本発明の包装用インクは、場合により、他の添加剤及び助剤を含んでよい。添加剤及び助剤の例は、充填剤、例えば炭酸カルシウム、酸化アルミニウム水和物又はケイ酸アルミニウム及び/又はケイ酸マグネシウムである。ロウは、耐摩耗性を高め、かつ潤滑性を高めるのに役立つ。例えば、特に、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、石油ロウ又はセレシンロウである。脂肪酸アミドを、表面平滑性を高めるために使用してよい。可塑剤は、乾燥したフィルムの弾性を高めることに役立つ。例は、フタレート、例えばジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジオクチルフタレート、クエン酸エステル又はアジピン酸のエステルである。顔料を分散するために、分散助剤を使用できる。インクのその基剤フィルムへの接着を改良するために、接着促進剤を使用できる。例はチタンキレートである。本発明の印刷インクの場合に、有利には、接着促進剤なしに実施することができるが、これは接着促進剤の使用を除外することを意図しない。全ての添加剤及び助剤の合計量は、通常、印刷インクの全ての構成成分の合計に対して、20質量%を超えず、有利には0質量%〜10質量%である。
【0113】
本発明の包装用インクを、原則として公知である方法で、例えば通常の装置、例えば溶解機、撹拌ボールミル又は三本ロールミルで構成成分を激しく撹拌及び/又は分散することによって製造できる。有利には、濃縮顔料分散液を、最初に構成成分の一部及び溶剤の一部で製造し、続いてさらに、追加の構成成分及び他の溶剤で仕上げの印刷インクに加工する。
【0114】
他の好ましい側面において、本発明は、少なくとも1つの溶剤又は種々の溶剤の混合物、少なくとも1つのポリマーバインダー及び場合により他の添加剤(その際少なくとも1つのポリマーバインダーは本発明の超分岐高官能性ポリエステルを含む)を含む印刷ワニスを提供し、かつ、保護ワニスとして下塗りのための本発明の印刷ワニスの使用について、及び多層材料の製造についても提供する。
【0115】
本発明の印刷ワニスは、もちろん、着色剤を含まないが、既に概説された本発明の印刷インクと同様の構成成分を有することを除く。残りの構成成分の量は相応して増加する。
【0116】
驚くべきことに、印刷インク、特に包装用インク、及び超分岐ポリエステルを基礎とするバインダーを有する印刷ワニスの使用によって、個々の間で顕著な接着を有する多層材料が得られる。接着促進剤の添加は、有利にはもはや必要ではない。
【0117】
本発明による多層材料は、少なくとも2個のフィルム1及びフィルム2、本発明によるインクで印刷された少なくとも1つの層、及びさらに場合によりインクと一方のフィルムとの間に少なくとも1つの接着層を含む。本発明の好ましい一実施態様において、インクと一方のフィルムとの間の接着層が存在する。
【0118】
接着剤は、典型的に本発明の目的のために使用される接着剤、例えば制限されることなく、ポリウレタン分散剤、ポリアクリレート、単一包装ポリウレタン接着剤、二成分ポリウレタン接着剤及び押出積層法における低融点ポリエチレンから選択されてよい。
【0119】
本発明の印刷ワニスは、当然、着色剤を含まないが、前記で概説された印刷インクと同様の構成成分を含むことを除く。他の構成成分の量は、従って増加する。
【0120】
包装用印刷インクで得られた印刷層は、実質的に、印刷インクと同様の組成物を有するが、存在するいくつか又は全ての溶剤及びあらゆる揮発物が蒸発されることを除く。
【0121】
従って一般的に記載されている本発明の技術は、例証によって提供されるが、制限することを意図しない次の実施例の参照によってより容易に理解できる。
【0122】
実施例:
一般の方法:
分子量を、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定した;溶出液:テトラヒドロフラン(THF);参考材料:PMMA。
酸数(AN)を、前記DIN 53402に従って測定した。
ヒドロキシル価(OH価)を、DIN 53240、第2部に従って測定した。
【0123】
ガラス転移温度(Tg)を、示差走査熱分析(DSC)を使用して測定した。測定中に、試料を、予想されたTgより約50℃低い出発温度まで冷却し、そして予想されたTgより約50℃高い最終温度まで、10℃/分の速さで加熱した。得られたTgは、第二の加熱サイクルの結果を示す。
DBTL=ジブチルスズジラウレート
TMP=トリメチロールプロパン
HPAA=1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物(CAS 85−42−7)。
【0124】
超分岐ポリエステルの合成
比較例1(US 2005/0147834号A1の実施例1の生成物に類似):
機械撹拌機、温度計、ガス入口及び収集フラスコを有する蒸留装置を備えた2リットルの丸底フラスコ中に、アジピン酸680g(4.65mol)及びTMP520g(3.88mol)を置いた。DBTL0.36gを触媒として添加し、そして反応混合物を撹拌下で160℃まで加熱した。その混合物を、160℃で3時間撹拌し、そして反応水を収集した。反応は酸数に従い、酸数87mg KOH/g(ポリマー)を得た場合に、周囲温度まで冷却することによって反応を停止した。
【0125】
生成物を無色の樹脂として得た。AN=87mg KOH/g(ポリマー)、OH価=226mg KOH/g(ポリマー)、M
n=2200g/mol、M
w=13100g/mol、Tg=−30℃。
【0126】
比較例2(US 2005/0147834号A1の実施例2の生成物に類似):
機械撹拌機、温度計、ガス入口及び収集フラスコを有する蒸留装置を備えた2リットルの丸底フラスコ中に、アジピン酸680g(4.65mol)及びTMP520g(3.88mol)を置いた。DBTL0.36gを触媒として添加し、そして反応混合物を撹拌下で160℃まで加熱した。その混合物を、160℃で4時間撹拌し、そして反応水を収集した。反応は酸数に従い、酸数100mg KOH/g(ポリマー)を得た場合に、周囲温度まで冷却することによって反応を停止した。
【0127】
生成物を無色の樹脂として得た。AN=100mg KOH/g(ポリマー)、OH価=215mg KOH/g(ポリマー)、M
n=1100g/mol、M
w=4900g/mol、Tg=−31℃。
【0128】
比較例3(US 2007/213501号A1の実施例12の生成物に類似):機械撹拌機、温度計、ガス入口及び収集フラスコを有する蒸留装置を備えた2リットルの丸底フラスコ中に、アジピン酸742g(5.10mol)、グリセロール257g(2.80mol)及び1,4−ジメチロール−シクロヘキサン201g(1.40mol)を置いた。DBTL0.6gを触媒として添加し、そして反応混合物を撹拌下で160℃まで加熱した。その混合物を、160℃で8時間撹拌し、そして反応水を収集した。反応は酸数に従い、酸数95mg KOH/g(ポリマー)を得た場合に、周囲温度まで冷却することによって反応を停止した。
【0129】
生成物を無色の樹脂として得た。AN=95mg KOH/g(ポリマー)、OH価=151mg KOH/g(ポリマー)、M
n=1920g/mol、M
w=10220g/mol、Tg<−35℃。
【0130】
実施例4:
機械撹拌機、温度計、ガス入口及び収集フラスコを有する蒸留装置を備えた2リットルの丸底フラスコ中に、HPAA580g(3.76mol)、及びTMP420g(3.13mol)を置いた。DBTL0.3gを触媒として添加し、そして反応混合物を撹拌下で160℃まで加熱した。その混合物を、180℃で6時間撹拌し、そして反応水を収集した。反応は酸数に従い、酸数92mg KOH/g(ポリマー)を得た場合に、周囲温度まで冷却することによって反応を停止した。
【0131】
生成物を無色の脆性固体として得た。AN=92mg KOH/g(ポリマー)、OH価=187mg KOH/g(ポリマー)、M
n=500g/mol、M
w=2200g/mol、Tg=44℃。
【0132】
実施例5:
機械撹拌機、温度計、ガス入口及び収集フラスコを有する蒸留装置を備えた1リットルの丸底フラスコ中に、HPAA348g(2.26mol)、及びTMP252g(1.88mol)を置き、そして180℃で5.5時間加熱し、そしてその反応水をその時間除去した。反応は酸数に従い、酸数93mg KOH/g(ポリマー)を得た場合に、周囲温度まで冷却することによって反応を停止した。
【0133】
生成物を無色の脆性固体として得た。AN=92mg KOH/g(ポリマー)、OH価=191mg KOH/g(ポリマー)、M
n=740g/mol、M
w=2400g/mol、Tg=35℃。
【0134】
実施例6:
機械撹拌機、温度計、ガス入口及び収集フラスコを有する蒸留装置を備えた2リットルの丸底フラスコ中に、1,2−フタル酸無水物551g(3.7mol)、及びTMP500g(3.7mol)を置いた。DBTL0.3gを触媒として添加し、そして反応混合物を7時間の撹拌下で180℃まで加熱し、そして反応水を収集した。反応は酸数に従い、酸数40mg KOH/g(ポリマー)を得た場合に、周囲温度まで冷却することによって反応を停止した。
【0135】
生成物を黄色い脆性固体として得た。AN=36mg KOH/g(ポリマー)、OH価=236mg KOH/g(ポリマー)、M
n=1590g/mol、M
w=6530g/mol、Tg=44℃。
【0136】
フレキソ印刷インクを、前記製造例でのニトロセルロースを基礎とする着色分散剤を混合することによって製造した。
【0137】
インク調合物及び試験:インクを、典型的に、着色剤、分散樹脂、分散添加剤及び溶剤を含む着色分散剤と、ポリマーバインダー、添加剤及び溶剤から構成されるレットダウンビヒクル(letdown vehicle)とを混合することによって製造する。
【0138】
着色分散剤を、顔料をLau(登録商標)Disperser DAS H 200−K印刷シェーカーで、研磨媒体として2mmの直径を有するガラスビーズを使用して研磨することによって製造した。以下は、典型的に、白色及び着色インクについて使用した分散剤調合物である。
【0139】
【表1】
【0140】
本発明において使用した酸化チタンはKemari RODIであった。フタロシアニンブルー15:4はToyo blue 7400Gであった。
【0141】
レットダウンビヒクルを、前記実施例において挙げた超分岐ポリエステル試料を使用して、少なくとも50質量%、しかし75質量%超えない超分岐ポリエステルを標準溶剤、典型的にn−プロパノール中で溶解することによって製造した。ベースインクを、着色分散剤とレットダウンビヒクルとを、適した溶剤の量での標準の比で混合することによって得た。ベースインクのベースインク粘度を、Brookfield(ASTM D2196)を使用して測定し、そして溶剤ミックスでフレキソ印刷について25℃でほとんど100mPasのインク粘度に調整した。インク粘度での最終インク組成(質量%)を、以下の表で白色及び青色インクについてまとめた。全ての実施例はn−プロパノール中で可溶性であり、かつ安定なインクを製造したが、実施例1、2及び3によるポリエステルは除く。実施例1、2及び3からのポリエステルで製造したインクは、25℃で24時間の放置で相分離を呈した。対象インクを、ポリウレタンNeoRez(登録商標)U335インクビヒクルから製造した。DSM NeoResins Inc.社(Wilmington)から入手できるNeoRez(登録商標)U335は、フレキソにおいて及びグラビア印刷インク調合物について推奨された非反応性高分子量半脂肪族ポリウレタンである。
【0142】
【表2】
【0143】
【表3】
【0144】
インクを、表面張力42dyne/cmを有するPETフィルム(Dupont(登録商標)48LBT)上で、K−Coater(RK Print−Coat Instruments Ltd社製)及び6ミクロメートルの湿潤フィルム体積を提供するワイヤ直径0.08mmを有するK−1ロッドを使用してドローダウンした。
【0145】
次の試験プロトコルを使用して、印刷されたフィルムの物理的特性を測定した。
【0146】
テープ接着試験
印刷工業において印刷されたフィルム上のインク接着を調べる一般の方法は、テープ接着(ASTM F 2252−03)である。測定を、インクを1時間室温でドローダウンした後に実施し、溶剤が完全に蒸発されたか確認した。結果を1〜5の尺度で評価する:5は、フィルムからはがれたインクがなく、1は、フィルムから100%はがれた。
【0147】
耐ブロッキング性
耐ブロッキング性を、スプリング式プレス、Koehler Instrument社製のK53000 I.C.ブロック試験器を使用して測定する。この試験は、熱及び圧力を有する貯蔵条件下で印刷したフィルムのロールを評価することである。ブロッキング試験を、10psi、50℃、16時間で設定する。評価は1〜5の尺度である;5はインクはがれがなく良好であり、1はフィルムから100%はがれた。
【0148】
積層品の剥離強度
積層インクについての重大な性能は、印刷されたフィルムと、通常低い融点を有するポリオレフィン、例えばLDPE、低密度ポリエチレンであるシーラントフィルムとを結合する接着剤の使用で完全な積層品を形成する能力である。Tycel(登録商標)UR7975/UR6029(Liofol Corporation社製)を接着剤として使用した。積層品試料の結合強度を、Instron(登録商標)、引張試験機によって評価した。最も一般の構成は、"T"形成をもたらす共に接着されている基材の2つのストリップを引き離すことを含む、標準T−peelである(ASTM D1876)。
【0149】
典型的な剥離力測定は、1分毎に1〜20インチ、有利には1分毎に6〜15インチの一定の剥離速度で実施する。結合強度についての閾値は、包装用フィルムを裂く最少の力である。破壊結合強度が常に好ましい。典型的な積層包装の閾値は、約135グラム−力/直線センチメートルである。135gm/cmに及ぶ結合強度測定は、破壊結合強度を得る最少の力である。
【0150】
白色及び青色インクのインク性能を第3表及び第4表においてまとめる。
【0151】
【表4】
【0152】
【表5】
【0153】
本明細書において例示的に記載されている実施態様を、本明細書において特に開示されていない任意の1つの要素又は複数の要素や、1つの限定又は複数の限定の存在下で適切に実施してよい。従って、例えば‘含有する(comprising)’、‘含む(including)’、‘含む(containing)’等の用語は、拡張して読み、かつ制限されない。さらに、本明細書において使用された用語及び表現は、明細書の用語として使用され、かつ制限されず、そして、示されかつ記載された特徴又はそれらの一部のあらゆる均等物を除外する意図はないが、種々の改変は、請求された技術の範囲内でありうる。さらに、‘実質的に〜からなる(consisting essentially of)’の語句は、特に挙げられたそれらの要素及び請求された技術の基本的な新規の特性に大いに影響しないそれらの追加の要素を含むと解される。‘からなる(consisting of)’の語句は、明記されていない任意の要素を除外する。
【0154】
本明細書において挙げられている全ての刊行物、特許明細書、交付済み特許、及び他の文献は、それぞれ個々の刊行物、特許明細書、交付済み特許又は他の文献がその全体において参照をもって組み込まれるべきことを明確に及び個々に意図しているかのように、参照をもって本明細書に組み込まれる。参照をもって組み込まれる記載内容において含まれる定義は、それらがこの開示における定義に矛盾する範囲を除く。
【0155】
本発明の開示は、本明細書において記載された特定の実施態様の用語内で制限されず、種々の態様の例証として意図される。多くの改変及び変法を、その趣旨及び範囲から逸脱することなく作成することができ、それは当業者に明らかである。本開示の範囲内である機能的に同等の組成物、装置及び方法、本発明において列挙されたものは、前記明細書から当業者に明らかである。かかる改変及び変法は、付属の特許請求の範囲内であると意図される。本発明の開示は、付属の特許請求の範囲が与えられる範囲と同等の完全な範囲に加えて、付属の特許請求の範囲の用語によってのみ限定されるべきである。この開示は、特定の方法、試薬、化合物、組成物又は生物系に制限されず、もちろん変動してよいと解されるべきである。本明細書において使用される専門用語は、特定の実施態様のみを記載する目的のためであり、かつ制限することを意図しない。
【0156】
さらに、開示の特徴又は態様がマーカッシュ群によって記載されている場合に、当業者は、その開示がマーカッシュ群の任意の個々の構成要素又は構成要素の下位の群によっても記載されると認識する。
【0157】
当業者によって理解されるように、任意の及び全ての目的について、特に記載された説明を提供することに関して、本明細書において開示されている全ての範囲は、任意の及び全ての可能な下位の範囲及びそれらの下位の範囲の組合せも包含する。任意の挙げられた範囲は、少なくとも等しい二等分、三分の一、四分の一、五分の一、十分の一等に分類されている同様の範囲を十分に記載し可能にすると容易に認識できる。制限のない例として、本発明において議論されているそれぞれの範囲は、下三分の一、中三分の一、及び上三分の一等に容易に分類できる。当業者によっても理解されるように、全ての言語、例えば‘まで(up to)’、‘少なくとも(at least)’、‘より大きい(greater than)’、‘未満(less than)’等は、限定された数を含み、続いて前記で議論された部分範囲に分類できる範囲に関連する。最終的に、当業者によって理解されるように、範囲は、それぞれ個々の数を含む。
【0158】
ある実施態様が説明及び記載されている一方で、変更及び改変が、続く特許請求の範囲において定義されているその広い態様における技術から逸脱せずに、当業者に従って実施できることを理解すべきである。