【実施例】
【0058】
実験部分
以下、「m.p.」という用語は融点を意味し、「aq.」は水性を意味し、「r.m.」は反応混合物を意味し、「r.t.」は室温を意味し、「DIPEA」はN,N−ジイソプロピルエチルアミンを意味し、「DIPE」はジイソプロピルエーテルを意味し、「THF」はテトラヒドロフランを意味し、「DMF」はジメチルホルムアミドを意味し、「DCM」はジクロロメタンを意味し、「EtOH」はエタノールを意味し、「EtOAc」は酢酸エチルを意味し、「AcOH」は酢酸を意味し、「iPrOH」はイソプロパノールを意味し、「iPrNH
2」はイソプロピルアミンを意味し、「MeCN」はアセトニトリルを意味し、「MeOH」はメタノールを意味し、「Pd(OAc)
2」は酢酸パラジウム(II)を意味し、「rac」はラセミ体を意味し、「sat.」は飽和を意味し、「SFC」は超臨界流体クロマトグラフィーを意味し、「SFC−MS」は超臨界流体クロマトグラフィー/質量分析法を意味し、「LC−MS」は液体クロマトグラフィー/質量分析法を意味し、「GCMS」はガスクロマトグラフィー/質量分析法を意味し、「HPLC」は高速液体クロマトグラフィーを意味し、「RP」は逆相を意味し、「UPLC」は超高速液体クロマトグラフィーを意味し、「R
t」は保持時間(単位:分)を意味し、「[M+H]
+」は化合物の遊離塩基のプロトン化質量を意味し、「DAST」はジエチルアミノサルファートリフルオライドを意味し、「DMTMM」は4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロライドを意味し、「HATU」はO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートを意味し、「キサントホス」は(9,9−ジメチル−9H−キサンテン−4,5−ジイル)ビス[ジフェニルホスフィン]を意味し、「TBAT」はテトラブチルアンモニウムトリフェニルジフルオロシリケートを意味し、「TFA」はトリフルオロ酢酸を意味し、「Et
2O」はジエチルエーテルを意味し、「DMSO」はジメチルスルホキシドを意味し、「MeCN」はアセトニトリルを意味する。
【0059】
重要な中間体ならびに幾つかの最終化合物では、キラル中心の絶対配置(Rおよび/またはSとして示す)は、既知の配置を有するサンプルとの比較、または、VCD(円偏光二色性)もしくはX線結晶構造解析などの絶対配置の決定に好適な分析方法の使用により確定される。キラル中心での絶対配置が未知の場合、それを恣意的にR
*と示す。
【0060】
A.中間体の製造
実施例A1
中間体の製造1。
【化8】
エチル2−(3−ブロモ−フェニル)−2−オキソ−アセテート[(CAS 62123−80−2)、80g、329mmol]および(S)−2−メチル−2−プロパンスルフィンアミド(47.9g、395mmol)をn−ヘプタン(740mL)に混合した撹拌混合物に、チタン(IV)イソプロポキシド(202mL、658mmol)を添加した。混合物を80℃で4時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、水を添加した。得られた混合物を珪藻土パッドで濾過し、n−ヘプタンで洗浄した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO
4)、濾過し、減圧濃縮した。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:n−ヘプタン/EtOAc 100/0〜50/50)で精製した。所望の画分を回収し、減圧濃縮して中間体1(91g、収率74%)を得た。
【0061】
実施例A2
中間体2の製造。
【化9】
中間体1(91g、243mmol)をDCM(1500mL)に溶解した撹拌溶液に、シクロプロピルマグネシウムブロマイド(1M、300mL、300mmol)を−40℃で滴下した。混合物をこの温度で30分間撹拌した後、飽和NH4Cl水溶液、続いて水を添加することにより反応を停止させた。混合物をDCMで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO
4)、濾過し、溶媒を減圧蒸発させて、中間体2(100g、収率99%)を得、これをそのまま次の工程に使用した。
【0062】
実施例A3
中間体3の製造。
【化10】
1M NaOH水溶液(750mL、750mmol)を、粗中間体2(100g、240mmol)のMeOH(400mL)溶液に添加した。得られた混合物を4時間還流撹拌した。混合物を室温に冷却した後、水とEtOAcとの間で分配した。水層を分離し、1M HCl水溶液(750mL)を添加することにより中和した後、DCMで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、溶媒を減圧蒸発させた。残留物をDIPE/MeCNでトリチュレートし、得られた固体を濾別し、減圧乾燥して中間体3(37g、収率41%)を得た。
α
D:+37.59°(589nm、c0.564w/v%、MeOH、20℃)。絶対配置は、X線回折で測定した。
【0063】
実施例A4
中間体4の製造。
【化11】
中間体3(37g、99mmol)をHClの4Mジオキサン溶液(74mL)および1,4−ジオキサン(75mL)中、室温で30分間撹拌した。得られた懸濁液にDIPEを添加し、沈殿物を濾別し、減圧乾燥して中間体4(28g、収率92%)を得た。
α
D:−68.89°(589nm、c0.646w/v%、MeOH、20℃)
【0064】
実施例A5
中間体5の製造。
【化12】
1M NaOH水溶液(182.6mL、182.6mmol)を中間体4(28g、91.3mmol)の溶液に添加し、混合物を氷浴で冷却した。この混合物に、クロロアセチルクロライド(21.8mL、274mmol)のTHF(280mL)溶液を15℃で1時間にわたり滴下すると同時に、25%NaOH水溶液を添加してpHを約10〜11に維持した。反応終了後、濃HCl水溶液を反応混合物にpH2になるまで慎重に添加した。混合物を部分的に減圧濃縮し、得られた沈殿物を濾別し、DIPEで洗浄し、減圧乾燥して中間体5(26g、収率82%)を得た。
α
D:−6.49°(589nm、c0.5855w/v%、MeOH、20℃)
【0065】
実施例A6
中間体6の製造。
【化13】
中間体5(0.7g、2.02mmol)およびNaHCO
3(0.34g、4.04mmol)をDMF(17mL)に溶解し、反応混合物を80℃で2時間撹拌した。混合物を部分的に減圧濃縮し、室温に冷却した後、珪藻土で濾過した。濾液を減圧濃縮し、残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:n−ヘプタン/EtOAc 100/0〜50/50)で精製した。所望の画分を回収し、減圧濃縮して中間体6(0.54g、収率86%)を得た。
α
D:−15.68°(589nm、c0.37w/v%、MeOH、20℃)
【0066】
実施例A7
中間体7の製造。
【化14】
中間体6(4.2g、13.54mmol)のTHF(55mL)溶液に、TBAT(0.73g、1.35mmol)を添加した。次いで、(トリフルオロメチル)トリメチルシラン(4.0mL、27mmol)を滴下し、反応混合物を室温で2時間撹拌した。混合物をNaCl水溶液で反応停止させ、EtOAcで抽出し、有機相を分離し、乾燥し(MgSO
4)、減圧濃縮した。得られた油状物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:DCM/EtOAc 100/0〜0/100)で精製した。所望の画分を回収し、減圧濃縮して中間体7(3g、収率58%)をシス異性体とトランス異性体との混合物として得、これをそのまま次の工程に使用した。
【0067】
実施例A8
中間体8の製造。
【化15】
中間体7(3g、7.9mmol)をDCM(20mL)に溶解し、DAST(1.16mL、9.5mmol)を室温で滴下した。反応混合物を室温で1時間撹拌した後、反応混合物を減圧濃縮した。残留物をDCMと飽和NaHCO
3水溶液との間で分配した。有機層を分離し、水層をDCMで抽出した。合わせた有機層を乾燥し(MgSO
4)、濾過し、溶媒を減圧蒸発させた。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:n−ヘプタン/EtOAc 100/0〜0/100)で精製した。所望の画分を回収し、減圧濃縮して中間体8(2g、収率66%)をシス異性体とトランス異性体との混合物として得、これをそのまま次の工程に使用した。
【0068】
実施例A9
中間体9の製造。
【化16】
P
2S
5(1.16g、5.23mmol)を、中間体8(2g、5.23mmol)のTHF(43mL)溶液に室温で添加した。混合物を70℃で3時間撹拌した。次いで、混合物を室温に冷却し、濾別し、有機溶媒を減圧蒸発させた。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:n−ヘプタン/DCM 80/100〜0/100)で精製した。所望の画分を回収し、減圧蒸発させて中間体9(1.6g、収率77%)をシス異性体とトランス異性体との混合物として得た。
【0069】
実施例A10
中間体10および中間体11の製造。
【化17】
中間体9(4.2g、10.55mmol)をアンモニアの7N MeOH溶液(16mL)とNH
4OH水溶液(40mL)との混合物に添加し、反応混合物を140℃で1時間マイクロ波を照射して撹拌した。次いで、溶媒を蒸発させて、残留物をDCMに溶解し、乾燥し(MgSO
4)、濾過し、溶媒を減圧蒸発させた。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:n−ヘプタン/EtOAc 100/0〜50/50)で精製した。所望の画分を回収し、減圧濃縮して中間体10(2.44g、収率61%)および中間体11(0.7g、収率17%)を得た。
【0070】
実施例A11
中間体12の製造。
【化18】
中間体10(2.44g、6.4mmol)をNaN
3(1.04g、16mmol)、CuI(1.52g、8.0mmol)およびNa
2CO
3(1.357g、12.8mmol)とDMSO(92mL)中で混合し、反応を脱気した。その後、N,N’−ジメチルエチレンジアミン(1.2mL、11.2mmol)を添加し、混合物を110℃で、反応が終了するまで、約6時間加熱した。反応混合物をDCMに注いだ。水酸化アンモニウム(28%水溶液)を添加し、有機層を分離し、水酸化アンモニウム溶液で3回洗浄した。次いで、有機層を乾燥し(Mg
2SO
4)、濾過し、減圧濃縮して中間体12(2g、収率98%)を得た。
【0071】
実施例A12
中間体13の製造。
【化19】
5−ブロモ−2−フルオロアセトフェノン(25g、115mmol)およびNH
4Cl(18.5g、345mmol)をNH
3/MeOH(150mL)に溶解した撹拌溶液に、トリメチルシリルシアニド(30.7mL、230mmol)を添加した。混合物を室温で3日間撹拌した。次いで、溶媒を減圧蒸発させ、残留物をEtOAc(80mL)に溶解した。固体を濾過し、濾液を減圧蒸発させて、中間体13(27.9g、定量的収率)を得、これをさらに精製することなく次の工程に使用した。
【0072】
実施例A13
中間体14の製造。
【化20】
中間体13(27g、111mmol)をHCl(37%H
2O溶液)(130mL)および酢酸(130mL)に溶解し、混合物を16時間還流した。室温に冷却した後、混合物を減圧濃縮した。水を添加し、水層をEtOAcで抽出した。水層をNaOH水溶液(25%)でpH7に塩基性化した。水層を部分的に減圧濃縮した。混合物を氷浴中で冷却し、沈殿物を濾別し、水、次いでEt
2Oで洗浄し、減圧乾燥して中間体14(18g、収率62%)を白色固体として得た。
【0073】
実施例A14
中間体15の製造。
【化21】
中間体14(15g、57.2mmol)をH
2SO
4の10%メタノール溶液(330mL)に混合した混合物を48時間還流した。反応混合物を減圧濃縮した。水を添加し、溶液を飽和NHCO
3水溶液でpH8に塩基性化した。次いで、水層をEtOAcで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO
4)、濾過し、減圧濃縮して中間体15(15g、収率95%)を得た。
【0074】
実施例A15
中間体16の製造。
【化22】
中間体15(10g)を、(Chiralpak(登録商標)Daicel AD 30×250mm)、移動相(CO
2、0.2%iPrNH
2を含有するMeOH)での分取SFCにより対応する鏡像異性体に分離し、中間体16(4.2g、収率42%)を得た。
α
D:−10.1°(365nm、c0.762w/v%、MeOH、20℃)。
【0075】
実施例A16
中間体17の製造。
【化23】
中間体16(40g、145mmol)をNaOH(1M H
2O溶液、360mL)に溶解した溶液に、THF(150mL)を添加した。混合物を室温で4時間撹拌した。混合物を減圧濃縮して中間体17(42g)を白色固体として得、これをそのまま次の反応工程に使用した。
【0076】
実施例A17
中間体18の製造。
【化24】
中間体17(41.3g、145mmol)をH
2O(150mL)に溶解した冷却溶液に、クロロアセチルクロライド(24mL、304.5mmol)の1,4−ジオキサン(75mL)溶液を滴下した。それと同時に、NaOH(5M H
2O溶液、29mL)を添加して、pHを10〜11に調節した。有機層を分離し、水層をEt
2Oで抽出した。次いで、水層をHCl(6M H
2O溶液)でpH2になるまで酸性化した。沈殿した白色固体を濾過により回収し、H
2Oで洗浄し、乾燥して中間体18(42g、収率86%)を得た。
【0077】
実施例A18
中間体19の製造。
【化25】
中間体18(42g、124mmol)およびNaHCO
3(20.8g、248mmol)をDMF(1000mL)に溶解し、反応混合物を80℃で3時間撹拌した。混合物を部分的に減圧濃縮し、室温に冷却した後、珪藻土で濾過した。濾液を減圧濃縮し、残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:MeOH/DCM 0/100〜5/95)で精製した。所望の画分を回収し、減圧濃縮して中間体19(36g、収率96%)を得た。
【0078】
実施例A19
中間体20の製造。
【化26】
中間体19(10g、21.5mmol)のTHF(105mL)溶液をN
2雰囲気下で−78℃に冷却した。次いで、ジイソブチルアルミニウムハイドライド(43mL、43mmol)をゆっくり添加した。反応混合物を2時間撹拌して、それを室温にゆっくり加温した。反応混合物を0℃に冷却し、1N HCl水溶液をゆっくり添加することにより反応停止させた。次いで、混合物をEtOAcで抽出し、有機層を分離し、乾燥し(Na
2SO
4)、濾過し、溶媒を減圧蒸発させて中間体20(6.6g、定量的収率、ジアステレオ異性体80/20の混合物)を得、これをそのまま次の反応工程に使用した。
【0079】
実施例A20
中間体21の製造。
【化27】
中間体20(6.3g、20.7mmol)をDCM(84mL)に溶解し、反応を0℃に冷却した。次いで、DAST(3mL、24.9mmol)を滴下した。0℃で20分後、反応混合物を飽和NaHCO
3水溶液で反応停止させ、DCMで抽出した。合わせた有機層を乾燥し(MgSO
4)、濾過し、溶媒を減圧蒸発させた。粗生成物をDIPEに懸濁し、濾別し、60℃で真空乾燥して、中間体21(4.2g、収率66%、ジアステレオ異性体80/20の混合物)を得た。
【0080】
実施例A21
中間体22の製造。
【化28】
中間体22は、実施例A9に記載したのと同じ方法に従って合成した。中間体21(4.2g、13.7mmol)から出発し、中間体22を得た(3g、収率68%、ジアステレオ異性体60/40の混合物)。
【0081】
実施例A22
中間体23および中間体24の製造。
【化29】
中間体22(6g、18.6mmol)をアンモニアの7N MeOH溶液(300mL)に溶解し、反応混合物を60℃で18時間撹拌した。溶媒を蒸発させて、追加のアンモニアの7N MeOH溶液を添加し(300mL)、混合物を60℃でさらに18時間撹拌した。次いで、溶媒を蒸発させて、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:アンモニアの7Mメタノール溶液/DCM 0/100〜10/90)で精製した。所望の画分を回収し、減圧濃縮して中間体23(3.7g、収率65%)および中間体24(0.6g、収率11%)を得た。
【0082】
実施例A23
中間体25の製造。
【化30】
中間体23(1.6g、5.24mmol)をNaN
3(0.85g、13mmol)、CuI(1.25g、6.5mmol)およびNa
2CO
3(1.1g、10.5mmol)とDMSO(75mL)中で混合し、反応を脱気した。その後、N,N’−ジメチルエチレンジアミン(1mL、9.1mmol)を添加し、混合物を110℃で、反応が終了するまで、約4時間加熱した。反応混合物をDCMに注いだ。水酸化アンモニウム(28%水溶液)を添加し、有機層を分離し、水酸化アンモニウムで3回洗浄した。次いで、有機層を乾燥し(Mg
2SO
4)、濾過し、減圧濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:アンモニアの7Mメタノール溶液/DCM 0/100〜10/90)で精製した。所望の画分を回収し、減圧濃縮して中間体25(0.3g、収率24%)を得た。
【0083】
実施例A24
中間体26の製造。
【化31】
中間体19(11.6g、38.5mmol)のTHF(117mL)溶液に、TBAT(2.08g、3.85mmol)を添加した。次いで、(トリフルオロメチル)トリメチルシラン(12.5mL、84.6mmol)を滴下し、反応混合物を室温で20分間撹拌した。混合物をNaCl水溶液で反応停止させ、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を乾燥し(MgSO
4)、濾過し、減圧濃縮して中間体26(14g、収率98%)をシス異性体とトランス異性体との混合物として得、これをそのまま次の工程に使用した。
【0084】
実施例A25
中間体27の製造。
【化32】
中間体26(14g、37.6mmol)をDCM(600mL)に溶解して、0℃に冷却し、次いで、塩化チオニル(11.2mL、150mmol)を滴下した。反応混合物を0℃で30分間撹拌した後、ピリジン(18.2mL、225.7mmol)を添加した。30分後、反応を1N HCl水溶液で加水分解し、次いで、DCMで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO
4)、濾過し、減圧蒸発させた。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:アンモニアの7Mメタノール溶液/DCM 0/100〜2/98)で精製した。所望の画分を回収し、減圧濃縮して中間体27(6g、収率41%、ジアステレオ異性体の混合物)を得た。
【0085】
実施例A26
中間体28の製造。
【化33】
中間体27(7g、17.9mmol)および亜鉛−銅カップル(8.55g、66.3mmol)を酢酸(420mL)中、室温で16時間撹拌した。反応混合物を濾過し、DCMで洗浄し、減圧濃縮した。水酸化アンモニウム溶液(28%水溶液)およびDCMを添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。有機層を分離し、水層をDCMで抽出した。合わせた有機層を乾燥し(MgSO
4)、濾過し、減圧蒸発させて中間体28(6g、収率99%)を白色粉末として得た。
【0086】
実施例A27
中間体29の製造。
【化34】
P
2S
5(5.95g、26.8mmol)を、中間体28(6g、17.9mmol)のTHF(145mL)溶液に室温で添加した。混合物を70℃で90分間撹拌した。次いで、混合物を室温に冷却し、濾別し、有機溶媒を減圧蒸発させ、中間体29(5.9g)を得、これをそのまま次の工程に使用した。
【0087】
実施例A28
中間体30の製造。
【化35】
中間体30は、実施例A22に記載したのと同じ方法に従って合成した。中間体29(5.9g、16.8mmol)から出発し、中間体30を得た(4.04g、収率72%)。
【0088】
実施例A29
中間体31の製造。
【化36】
中間体31は、実施例A23に記載したのと同じ方法に従って合成した。中間体30(3.6g、10.7mmol)から出発し、中間体31を得た(1.52g、収率52%)。
【0089】
実施例A30
中間体32の製造。
【化37】
中間体27(3g、7.68mmol)の酢酸(136mL)溶液に、亜鉛(1.26g、19.2mmol)を添加した。次いで、反応混合物を80℃で3時間撹拌し、その後、反応を熱濾過し、減圧濃縮した。残留物をDCMに溶解し、水酸化アンモニウム溶液で洗浄した。有機相を分離し、乾燥し(MgSO
4)、溶媒を減圧濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:アンモニアの7Mメタノール溶液/DCM 0/100〜3/97)で精製した。所望の画分を回収し、減圧濃縮して中間体32(2.7g、収率99%)を得た。
【0090】
実施例A31
中間体33の製造。
【化38】
中間体32(6g、16.85mmol)をTHF(68mL)に溶解した溶液に、ローソン試薬(6.82g、16.85mmol)を室温で添加した。混合物を60℃で4時間撹拌した。次いで、混合物を室温に冷却し、濾別し、有機溶媒を減圧蒸発させた。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:ヘプタン/DCM 100/0〜50/50)で精製した。所望の画分を回収し、減圧蒸発させ、中間体33(6g、収率96%)を帯黄色油状物として得た。
【0091】
実施例A32
中間体34および中間体35の製造。
【化39】
中間体33(6g、16.1mmol)をアンモニアの7N MeOH溶液(97mL)に溶解し、反応混合物を80℃で24時間撹拌した。次いで、溶媒を蒸発させて、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:アンモニアの7Mメタノール溶液/DCM 0/100〜2/98)で精製した。所望の画分を回収し、減圧濃縮して中間体34(3.4g、収率59%)および中間体35(0.75g、収率13%)を得た。
【0092】
実施例A33
中間体36の製造。
【化40】
中間体34(3.4g、9.6mmol)をNaN
3(1.56g、24mmol)、CuI(2.28g、12mmol)およびNa
2CO
3(2.03g、19.1mmol)とDMSO(137mL)中で混合し、反応を脱気した。その後、N,N’−ジメチルエチレンジアミン(1.8mL、16.8mmol)を添加し、混合物を110℃で、反応が終了するまで、約1時間加熱した。反応混合物を濾別し、濾過ケーキをEtOAcで洗浄した。水およびEtOAcを濾液に添加し、HCl(1M H
2O溶液)を添加することにより混合物を酸性化した。次いで、有機層を分離し、水層をEtOAcで洗浄した。次いで、水層をアンモニア水溶液で塩基性化し、EtOAcで再度抽出した。合わせた有機層を乾燥し、(Na
2SO
4)濾過し、減圧濃縮して中間体36(2.5g、収率90%)を得た。
α
D:−94.91°(0589nm、c0.393w/v%、MeOH、20℃)
【0093】
B.最終化合物の製造
実施例B1
化合物1:(5R,6S)−5−シクロプロピル−6−フルオロ−5−{3−[(3−メトキシピリジン−2−イル)アミノ]フェニル}−6−(トリフルオロメチル)−5,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−アミンの製造
【化41】
中間体12(0.07g、0.221mmol)をイソプロパノール(5mL)に溶解し、2−ブロモ−3−メトキシピリジン(0.083g、0.441mmol)および硫酸(0.108g、1.1mmol)を添加した。混合物を80℃で40時間撹拌した。混合物を室温に冷却した。DCMおよび飽和NaHCO
3水溶液を添加した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO
4)、濾過し、溶媒を減圧蒸発させた。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:アンモニアの7Mメタノール溶液/DCM 0/100〜10/90)で精製した。所望の画分を回収し、減圧濃縮した。次いで、残留物をDIPEに溶解し、HClのイソプロパノール溶液を添加することによりHCl塩に変換した。得られた固体を濾過し、減圧乾燥して化合物1(0.025g、収率25%)を塩酸塩として得た。
【0094】
実施例B2
化合物2:(5R,6R)−6−フルオロ−5−{2−フルオロ−5−[(3−メトキシピリジン−2−イル)アミノ]フェニル}−5−メチル−5,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−アミンの製造
【化42】
中間体25(0.3g、1.24mmol)をイソプロパノール(15mL)に溶解し、2−ブロモ−3−メトキシピリジン(0.467g、2.49mmol)および硫酸(0.61g、6.22mmol)を添加した。混合物を80℃で40時間撹拌した。混合物を室温に冷却した。DCMおよび飽和NaHCO
3水溶液を添加した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO
4)、濾過し、溶媒を減圧蒸発させた。粗生成物を(RP Vydac Denali(登録商標)C18−10μm、200g、5cm)、移動相(0.25%NH4HCO3水溶液、CH3CN)での分取HPLCにより精製し、化合物2(0.044g、収率10%)を得た。
【0095】
実施例B3
化合物3:(5R)−6−(ジフルオロメチリデン)−5−{2−フルオロ−5−[(3−メトキシピリジン−2−イル)アミノ]フェニル}−5−メチル−5,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−アミンの製造
【化43】
中間体31(0.35g、1.29mmol)をイソプロパノール(15mL)に溶解し、2−ブロモ−3−メトキシピリジン(0.485g、2.58mmol)および硫酸(0.34mL、6.45mmol)を添加した。混合物を80℃で72時間撹拌した。混合物を室温に冷却した。DCMおよび飽和NaHCO
3水溶液を添加した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO
4)、濾過し、溶媒を減圧蒸発させた。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:アンモニアの7Mメタノール溶液/DCM 0/100〜2/98)で精製した。所望の画分を回収し、減圧濃縮した。残留物をDIPE/ヘプタンに懸濁し、濾過し、高真空で乾燥して化合物3(0.279g、収率57%)を白色粉末として得た。
【0096】
実施例B4
化合物4:(5R,6R
*)−6−(ジフルオロメチル)−5−{2−フルオロ−5−[(3−メトキシピリジン−2−イル)アミノ]フェニル}−5−メチル−5,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−アミンの製造
【化44】
化合物3(0.228g、0.603mmol)をEtOAc(4mL)に溶解し、パラジウム炭素(10%)(0.064g、0.06mmol)およびチオフェン(0.4%THF溶液、0.8mL、0.041mmol)を添加した。混合物を室温および大気圧で16時間水素化した。触媒を濾別し、溶媒を減圧蒸発させた。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:アンモニアの7Mメタノール溶液/DCM 0/100〜2/98)で精製した。所望の画分を回収し、減圧濃縮した。残留物をDIPE/ヘプタンに懸濁し、濾過し、高真空で乾燥して化合物4(0.074g、収率32%)を得た。
【0097】
実施例B5
化合物5:(5R,6R)−6−フルオロ−5−[2−フルオロ−5−(ピリミジン−2−イルアミノ)フェニル]−5−メチル−5,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−アミンの製造
【化45】
中間体25(0.048g、0.199mmol)を1,4−ジオキサン(2mL)に溶解し、2−ブロモピリミジン(0.032g、0.199mmol)およびHClの4Mジオキサン溶液(0.1mL、0.4mmol)を添加した。混合物を100℃で16時間撹拌した。混合物を室温に冷却した。DCMおよび飽和NaHCO
3水溶液を添加した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO
4)、濾過し、溶媒を減圧蒸発させた。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:アンモニアの7Mメタノール溶液/DCM 0/100〜5/95)で精製した。所望の画分を回収し、減圧濃縮して化合物5(0.013g、収率20%)を得た。
【0098】
実施例B6
化合物6:(5R,6R)−5−{2−フルオロ−5−[(3−メトキシピリジン−2−イル)アミノ]フェニル}−5−メチル−6−(トリフルオロメチル)−5,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−アミンの製造
【化46】
中間体36(0.1g、0.343mmol)をイソプロパノール(4mL)に溶解し、2−ブロモ−3−メトキシピリジン(0.129g、0.687mmol)および硫酸(0.09mL、1.72mmol)を添加した。混合物を80℃で40時間撹拌した。混合物を室温に冷却した。DCMおよび飽和NaHCO
3水溶液を添加した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO
4)、濾過し、溶媒を減圧蒸発させた。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:アンモニアの7Mメタノール溶液/DCM 0/100〜5/95)で精製し、化合物6(0.013g、収率20%)を得た。
【0099】
実施例B7
化合物7:(5R,6R)−5−[2−フルオロ−5−(ピリミジン−2−イルアミノ)フェニル]−5−メチル−6−(トリフルオロメチル)−5,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−アミンの製造
【化47】
中間体36(0.1g、0.343mmol)を1,4−ジオキサン(3.4mL)に溶解し、2−ブロモピリミジン(0.055g、0.343mmol)およびHClの4Mジオキサン溶液(0.17mL、0.69mmol)を添加した。混合物を100℃で16時間撹拌した。混合物を室温に冷却した。DCMおよび飽和NaHCO
3水溶液を添加した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO
4)、濾過し、溶媒を減圧蒸発させた。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:アンモニアの7Mメタノール溶液/DCM 0/100〜5/95)で精製した。所望の画分を回収し、濃縮した。この粗製物、粗生成物を(Chiralpal Diacel AS 20×250mm)、移動相(CO
2、0.2%iPrNH2を含有するMeOH)での分取HPLCにより精製し、化合物7(0.036g、収率28%)を得た。
【0100】
実施例B8
化合物8:(5R,6R)−6−フルオロ−5−{2−フルオロ−5−[(3−メトキシピラジン−2−イル)アミノ]フェニル}−5−メチル−5,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−アミンの製造
【化48】
中間体25(0.15g、0.622mmol)を1,4−ジオキサン(6mL)に溶解した。2−ヨード−3−メトキシピラジン(0.12g、0.508mmol)、炭酸セシウム(0.405g、1.244mmol、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(0.052g、0.093mmol)およびトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.028g、0.031mmol)を添加した。反応管を密封し、混合物を160℃で1時間、マイクロ波を照射して撹拌した。冷却後、反応混合物をDCMで希釈し、ダイカライト(dicalite)で濾過した。濾液を減圧濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:アンモニアの7Mメタノール溶液/DCM 0/100〜5/95)で精製した。所望の画分を回収し、濃縮した。この粗製物を(Chiralpal Diacel AS 20×250mm)、移動相(CO
2、0.2%iPrNH2を含有するMeOH)での分取HPLCによりさらに精製し、化合物8(0.010g、収率5%)を得た。
【0101】
実施例B9
化合物9の製造:
【化49】
中間体25(0.30g、1.244mmol)および2−ブロモニコチノニトリル(455mg、2.487mmol)を1,4−ジオキサン(12.5mL)に溶解した後、HClの4Mジオキサン溶液(0.933mL、3.731mmol)を滴下した。反応混合物を120℃で16時間撹拌した。次いで、飽和NaHCO
3水溶液、続いてDCMを添加した。相を分離し、有機層を減圧濃縮した。得られた油状物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液(elueng):アンモニアの7Mメタノール溶液/DCM 0/100〜5/95)で精製した。所望の画分を回収し、(Chiralcel Diacel OD 20×250mm)、移動相(CO
2、0.2%iPrNH
2を含有するiPrOH)での分取SFCによりさらに精製し、化合物9(0.006g、1%)を得た。
【0102】
実施例B10
化合物10の製造:
【化50】
中間体25(0.482g、2mmol)をiPrOH(24mL)に溶解した後、2,3−ジブロモピリジン(0.948g、4mmol)および硫酸(0.533mL、10mmol)を添加した。反応混合物を80℃で4日間撹拌した。反応を冷却した後、DCMおよび飽和NaHCO
3水溶液を添加した。相を分離し、有機層を乾燥し、減圧濃縮した。得られた油状物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液(elueng):アンモニアの7Mメタノール溶液/DCM 0/100〜10/90)で精製した。所望の画分を回収し、(Chiralpak Daicel AS 20マイクロオーム、500gr)、移動相(CO
2、0.2%iPrNH
2を含有するiPrOH)での分取SFCによりさらに精製し、化合物10(0.135g、17%)を得た。
【0103】
実施例B11
化合物11の製造
【化51】
中間体36(0.358g、1.229mmol)を1,4−ジオキサン(14.7mL)に溶解した。2−ブロモ−3−シアノピリジン(0.191g、1.045mmol)、炭酸セシウム(0.800g、2.458mmol)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(0.104g、0.184mmol)を添加し、混合物をアルゴン雰囲気下で数分間撹拌した。次いで、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.056g、0.062mmol)を添加した。反応管を密封し、混合物を160℃で1時間、マイクロ波を照射して撹拌した。冷却後、反応混合物をDCMで希釈し、ダイカライトで濾過した。濾液を減圧濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:アンモニアの7Mメタノール溶液/DCM 0/100〜5/95)で精製した。所望の画分を回収し、濃縮した。この粗製物を(Chiralpal Diacel AS 20×250mm)、移動相(CO
2、0.2%iPrNH
2を含有するMeOH)での分取SFCによりさらに精製し、化合物11(0.052g、収率11%)を得た。
【0104】
表1〜5の化合物1〜11は、上記実施例の1つと同様に製造した化合物を記載している。塩の形態が示されていない場合、化合物は遊離塩基として得られた。「Ex.No.」は実施例番号を指し、そのプロトコルに従って化合物を合成した。「Co.No.」は化合物番号を意味する。
【0105】
【表1】
【0106】
【表2】
【0107】
【表3】
【0108】
【表4】
【0109】
【表5】
【0110】
C.分析部分
LCMS
本発明の化合物の(LC)MSによるキャラクタリゼーションを行うため、次の方法を使用した。
【0111】
基本手順:
LC測定は、バイナリポンプ、サンプルオーガナイザー、カラムヒーター(55℃に設定)、ダイオードアレイ検出器(DAD)および下記の各方法で明記するカラムを備えるAcquity UPLC(Waters)システムを使用して行った。カラムからの流れをMS分光器に分岐した。MS検出器は、エレクトロスプレーイオン源と共に構成された。質量スペクトルは、0.02秒のデータ収集時間(dwell time)を使用し、0.18秒で100〜1000の走査を行うことにより取得した。キャピラリーニードル電圧は3.5kVであり、イオン源温度は140℃に維持した。窒素をネブライザーガスとして使用した。データ取得は、Waters−Micromass MassLynx−Openlynxデータシステムで行った。
【0112】
方法1
逆相UPLC(超高速液体クロマトグラフィー)は、架橋エチルシロキサン/シリカハイブリッド(BEH)C18カラム(1.7μm、2.1×50mm;Waters Acquity)で、流速0.8ml/分で行った。2種類の移動相(移動相A:10mM酢酸アンモニウムH
2O溶液/アセトニトリル 95/5;移動相B:アセトニトリル)を使用して、A95%およびB5%から、1.3分でA5%およびB95%に変化させ、0.2分間保持する勾配条件を実施した。注入量0.5μlを使用した。
【0113】
コーン電圧は、正イオン化モードでは10V、負イオン化モードでは20Vであった。
【0114】
方法2:
逆相UPLC(超高速液体クロマトグラフィー)は、架橋エチルシロキサン/シリカハイブリッド(BEH)C18カラム(1.7μm、2.1×50mm;Waters Acquity)で、流速0.8ml/分で行った。2種類の移動相(10mM酢酸アンモニウムH
2O溶液/アセトニトリル 95/5;移動相B:アセトニトリル)を使用して、A95%およびB5%から、1.3分でA5%およびB95%に変化させ、0.3分間保持する勾配条件を実施した。注入量0.5μlを使用した。
コーン電圧は、正イオン化モードでは10V、および負イオン化モードでは20Vであった。
【0115】
方法3:
逆相UPLC(超高速液体クロマトグラフィー)は、架橋エチルシロキサン/シリカハイブリッド(BEH)C18カラム(1.7μm、2.1×50mm;Waters Acquity)で、流速0.8ml/分で行った。2種の移動相(10mM酢酸アンモニウムH
2O溶液/アセトニトリル 95/5;移動相B:アセトニトリル)を使用して、A95%およびB5%から、1.3分でA5%およびB95%に変化させ、0.3分間保持する勾配条件を実施した。注入量0.5μlを使用した。
【0116】
コーン電圧は、正イオン化モードでは10V、負イオン化モードでは20Vであった。
【0117】
融点
値はピーク値または溶融範囲のいずれかであり、得られた値は、一般にこの分析方法に伴う実験的不確かさを有する。
【0118】
DSC823e(表6にDSCで示す)
多くの化合物について、DSC823e(Mettler−Toledo)で融点を測定した。融点は、30℃/分の温度勾配で測定した。最高温度は400℃であった。
【0119】
【表6】
【0120】
旋光度:
旋光度は、ナトリウムランプを有するPerkin−Elmer 341旋光計で測定し、次のように報告した:[α]
λt℃(cg/100ml、溶媒)。
【0121】
【表7】
【0122】
NMR
多くの化合物について、それぞれ360MHz、400MHzおよび600MHzで動作するBruker DPX−360、Bruker DPX−400またはBruker Avance 600分光計で、クロロホルム−d(重水素化クロロホルム、CDCl
3)またはDMSO−d
6(重水素化DMSO、ジメチル−d6スルホキシド)を溶媒として使用して、
1H NMRスペクトルを記録した。化学シフト(δ)は、内部標準として使用したテトラメチルシラン(TMS)に対するシフトを百万分率(ppm)で報告する。
【0123】
【表8】
【0124】
D.薬理学的実施例
本発明で提供される化合物は、β部位APP切断酵素1(BACE1)の阻害剤である。BACE1、即ち、アスパラギン酸プロテアーゼの阻害は、アルツハイマー病(AD)の治療に重要であると考えられる。β−アミロイド前駆体タンパク質(APP)からのβ−アミロイドペプチド(Aβ)の産生および蓄積は、ADの発症および進行に重要な役割を果たすものと考えられる。Aβは、アミロイド前駆体タンパク質(APP)から、それぞれβ−セクレターゼおよびγ−セクレターゼでAβドメインのN末端側およびC末端側を順次切断することにより産生される。
【0125】
式(I)の化合物は、酵素活性を阻害する能力があるため、BACE1に対してかなり効果があるものと期待される。このような化合物、特に式(I)の化合物の同定に好適な後述の、生化学的蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に基づくアッセイおよびSKNBE2細胞での細胞αLisaアッセイを使用して試験したこのような阻害剤の特性を表9および表10に示す。
【0126】
生化学的FRETに基づくアッセイ
本アッセイは、蛍光共鳴エネルギー移動アッセイ(FRET)に基づくアッセイである。このアッセイの基質は、アミロイド前駆体タンパク質(APP)β−セクレターゼ切断部位の「スウェーデン」Lys−Met/Asn−Leu突然変異を含有するAPP由来の13個のアミノ酸からなるペプチドである。この基質は2つのフルオロフォアも含有し:(7−メトキシクマリン−4−イル)酢酸(Mca)は320nmの励起波長と405nmの発光とを有する蛍光ドナーであり、2,4−ジニトロフェニル(Dnp)は専有の(proprietary)消光剤アクセプターである。これらの2つの基の間の距離は、光励起時に、共鳴エネルギー移動により、ドナー蛍光エネルギーがアクセプターにより著しく消光されるように選択されている。BACE1による切断時に、フルオロフォアMcaは消光基Dnpから分離され、ドナーの全蛍光収量を回復する。蛍光の増加は、タンパク質分解速度と比例関係がある。
【0127】
簡潔に言えば、384ウェルのフォーマットで、最終濃度1μg/mlの組換えBACE1タンパク質を化合物の非存在下もしくは存在下、インキュベーションバッファー(40mMクエン酸バッファーpH5.0、0.04%PEG、4%DMSO)中10μmの基質と共に室温で120分間インキュベートする。次に、タンパク質分解量をT=0およびT=120での蛍光測定により直接測定する(励起320nmおよび発光405nm)。結果を、T120とT0間との差としてRFU(Relative Fluorescence Unit:相対蛍光単位)で表す。
【0128】
最良適合曲線を、最小二乗法により%Controlmin対化合物濃度のプロットに適合させる。これからIC50値(活性の50%阻害を引き起こす阻害濃度)を得ることができる。
LC=低コントロール値の中央値
=低コントロール:酵素なしの反応
HC=高コントロール値の中央値
=高コントロール:酵素を用いた反応
%効果=100−[(サンプル−LC)/(HC−LC)
*100]
%コントロール=(サンプル/HC)
*100
%Controlmin=(サンプル−LC)/(HC−LC)
*100
【0129】
以下に例示する化合物は本質的に前述のように試験され、以下の活性を示した:
【0130】
【表9】
【0131】
SKNBE2細胞での細胞αLisaアッセイ
2つのαLisaアッセイでは、産生され、ヒト神経芽細胞腫SKNBE2細胞の培地中に分泌される全AβおよびAβ1−42の濃度を定量する。アッセイは、野生型アミロイド前駆体タンパク質(hAPP695)を発現するヒト神経芽細胞腫SKNBE2に基づく。化合物を希釈してこれらの細胞に添加し、18時間インキュベートした後、Aβ1−42および全Aβの測定を行う。全AβおよびAβ1−42は、サンドイッチαLisaで測定する。αLisaは、それぞれ全AβおよびAβ1−42を検出するための、ストレプトアビジン被覆ビーズに結合したビオチン化抗体AbN/25および抗体Ab4G8またはcAb42/26結合アクセプタービーズを使用するサンドイッチアッセイである。全AβまたはAβ1−42の存在下でビーズは近接する。ドナービーズの励起により一重項酸素分子の放出が起こり、それによりアクセプタービーズで一連のエネルギー移動が起こり、その結果、発光が生じる。発光は1時間インキュベートした後に測定する(励起650nmおよび発光615nm)。
【0132】
最良適合曲線を、最小二乗法により%Controlmin対化合物濃度のプロットに適合させる。これからIC50値(活性の50%阻害を引き起こす阻害濃度)を得ることができる。
【0133】
LC=低コントロール値の中央値
=低コントロール:αLisaにビオチン化Abを用いることなく、化合物なしで予備インキュベートされた細胞
HC=高コントロール値の中央値
=高コントロール:化合物なしで予備インキュベートされた細胞
%効果=100−[(サンプル−LC)/(HC−LC)
*100]
%コントロール=(サンプル/HC)
*100
%Controlmin=(サンプル−LC)/(HC−LC)
*100
【0134】
以下に例示する化合物は本質的に前述のように試験し、以下の活性を示した:
【0135】
【表10】
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
式(I)
【化1】
の化合物、もしくはその互変異性体もしくは立体異性体の形態
(式中、
R1は、フルオロ、フルオロメチル、ジフルオロメチルもしくはトリフルオロメチルであり;
R2は、水素もしくはトリフルオロメチルであるか;または
R1とR2は、2価の基=CF2を形成し;
R3は、水素、C1〜3アルキル、シクロプロピル、モノ−またはポリハロ−C1〜3アルキルであり;
R4は、水素またはフルオロであり;
Arは、ホモアリールまたはヘテロアリールであり;
ここで、ホモアリールは、フェニルであるか、または、ハロ、シアノ、C1〜3アルキル、C1〜3アルキルオキシ、モノ−およびポリハロ−C1〜3アルキル、モノ−およびポリハロ−C1〜3アルキルオキシからなる群から選択される1個、2個もしくは3個の置換基で置換されたフェニルであり;
ヘテロアリールは、ハロ、シアノ、C1〜3アルキル、C2〜3アルキニル、C1〜3アルキルオキシ、モノ−およびポリハロ−C1〜3アルキル、モノ−およびポリハロ−C1〜3アルキルオキシ、ならびにC1〜3アルキルオキシC1〜3アルキルオキシからなる群から選択される1個、2個または3個の置換基でそれぞれ任意選択により置換された、ピリジル、ピリミジル、ピラジル、ピリダジル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、およびオキサジアゾリルからなる群から選択される)
またはその付加塩。
[2]
R1が、フルオロ、ジフルオロメチルもしくはトリフルオロメチルであり;
R2が、水素もしくはトリフルオロメチルであるか;または
R1とR2が、2価の基=CF2を形成し;
R3が、C1〜3アルキル、シクロプロピル、モノ−またはポリハロ−C1〜3アルキルであり;
R4が、水素またはフルオロであり;
Arが、ヘテロアリールであり;
ここで、ヘテロアリールは、ハロ、シアノ、C1〜3アルキル、C2〜3アルキニル、C1〜3アルキルオキシ、モノ−およびポリハロ−C1〜3アルキル、モノ−およびポリハロ−C1〜3アルキルオキシ、ならびにC1〜3アルキルオキシC1〜3アルキルオキシからなる群から選択される1個、2個または3個の置換基でそれぞれ任意選択により置換された、ピリジルまたはピリミジルである;
[1]に記載の化合物、またはその付加塩。
[3]
R1が、フルオロ、ジフルオロメチルもしくはトリフルオロメチルであり、R2が水素であるか;または
R1がフルオロであり、R2がトリフルオロメチルであるか;または
R1とR2が、2価の基=CF2を形成し;
R3が、メチルまたはシクロプロピルであり;
R4が、水素またはフルオロであり;
Arが、ヘテロアリールであり;
ここで、ヘテロアリールが、メトキシで置換されたピリジル、またはピリミジルである;
[1]に記載の化合物、またはその付加塩。
[4]
前記R3で置換された四級炭素原子がR配置を有する、[1]に記載の化合物。
[5]
(5R,6S)−5−シクロプロピル−6−フルオロ−5−{3−[(3−メトキシピリジン−2−イル)アミノ]フェニル}−6−(トリフルオロメチル)−5,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−アミン;
(5R,6R)−6−フルオロ−5−{2−フルオロ−5−[(3−メトキシピリジン−2−イル)アミノ]フェニル}−5−メチル−5,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−アミン;
(5R)−6−(ジフルオロメチリデン)−5−{2−フルオロ−5−[(3−メトキシピリジン−2−イル)アミノ]フェニル}−5−メチル−5,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−アミン;
(5R,6R*)−6−(ジフルオロメチル)−5−{2−フルオロ−5−[(3−メトキシピリジン−2−イル)アミノ]フェニル}−5−メチル−5,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−アミン;
(5R,6R)−6−フルオロ−5−[2−フルオロ−5−(ピリミジン−2−イルアミノ)フェニル]−5−メチル−5,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−アミン;(5R,6R)−5−{2−フルオロ−5−[(3−メトキシピリジン−2−イル)アミノ]フェニル}−5−メチル−6−(トリフルオロメチル)−5,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−アミン;
(5R,6R)−5−[2−フルオロ−5−(ピリミジン−2−イルアミノ)フェニル]−5−メチル−6−(トリフルオロメチル)−5,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−アミン;
(5R,6R)−6−フルオロ−5−{2−フルオロ−5−[(3−メトキシピラジン−2−イル)アミノ]フェニル}−5−メチル−5,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−アミン;および
(5R,6R)−5−{2−フルオロ−5−[(3−メトキシピラジン−2−イル)アミノ]フェニル}−5−メチル−6−(トリフルオロメチル)−5,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−アミン;
から選択される[1]に記載の化合物の化合物。
[6]
治療有効量の[1]〜[5]のいずれか1項に記載の化合物と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
[7]
薬学的に許容される担体が、治療有効量の[1]〜[5]のいずれか1項に記載の化合物と完全に混合されることを特徴とする、[6]に記載の医薬組成物の製造方法。
[8]
アルツハイマー病(AD)、軽度認知障害、老化現象、認知症、レヴィー小体型認知症、脳アミロイド血管症、多発梗塞性認知症、ダウン症候群、脳卒中に伴う認知症、パーキンソン病に伴う認知症またはβアミロイドに関連する認知症の治療または予防に使用される、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の化合物。
[9]
対象のアルツハイマー病、軽度認知障害、老化現象、認知症、レヴィー小体型認知症、脳アミロイド血管症、多発梗塞性認知症、ダウン症候群、脳卒中に伴う認知症、パーキンソン病に伴う認知症およびβアミロイドに関連する認知症からなる群から選択される障害の治療方法であって、それを必要とする対象に[1]〜[5]のいずれか一項に記載の化合物または[6]に記載の医薬組成物を治療有効量投与することを含む方法。