(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の畝部を、前記複数の突稜により形成し、前記複数の凹部を、前記複数のピンの前記先端部により形成し、そして前記複数の溝部を、前記複数の凹溝に沿って形成する、請求項1に記載の方法。
前記複数のピンのそれぞれが、前記先端部の先端に平坦面を備え、前記賦形された不織布を形成するステップにおいて、前記平坦面を、前記予熱された、賦形すべき不織布の第2面と並行になるように接触させ、前記凹部の前記底部を形成する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
前記複数のピンのそれぞれが、前記先端部に、前記平坦面を間に挟んで、前記一方向に隣接する、一対のテーパー面をさらに備え、前記一対のテーパー面が、前記一方向において前記先端部が前記先端に向かって先細となるように配置されている、請求項6に記載の方法。
前記一対の賦形部材により賦形される直前の、前記予熱された、賦形すべき不織布の搬送速度が、前記一対の賦形部材により賦形された直後の、前記賦形された不織布の搬送速度よりも速い、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
前記賦形された不織布を形成するステップにおいて、前記賦形すべき不織布を、前記一方向と直交する他方向において、前記ピンと、前記突稜との間で、前記賦形すべき不織布の破断伸長率以上に伸長し、破断させることにより、前記凹部の、前記他方向の周壁部に孔部を形成する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
前記賦形された不織布を形成するステップにおいて、前記賦形すべき不織布を、前記一方向において、隣接する2つの前記ピンの間で、前記賦形すべき不織布の塑性変形伸長率以上且つ破断伸長率未満に伸長させることにより、前記凹部の、前記一方向の周壁部を破断させない、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
前記一対の賦形部材が、一対の賦形ロールであり、第1賦形部材及び第2賦形部材が、それぞれ、前記予熱された、賦形すべき不織布の搬送方向と直交する方向に回転軸を有する、第1賦形ロール及び第2賦形ロールである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
第1賦形ロールが、その外周面に、前記複数の突稜と、前記複数の凹溝とを備え、第2賦形ロールが、その外周面に、前記複数のピンを備え、前記一方向が、前記搬送方向である、請求項13に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、以下の態様に関する。
[態様1]
第1面及び第2面を有する、吸収性物品用の、賦形された不織布を製造する方法であって、
第1面及び第2面を有し、熱可塑性樹脂繊維を含む、賦形すべき不織布を予熱するステップ、及び
予熱された、上記賦形すべき不織布を、第1賦形部材及び第2賦形部材を備える一対の賦形部材の間に、その第1面及び第2面が、それぞれ、第2賦形部材及び第1賦形部材と接するように通すことにより、上記賦形すべき不織布を賦形し、賦形された不織布を形成するステップ、
を含み、
上記一対の賦形部材において、第1賦形部材が、一方向に延びる、複数の突稜と、上記複数の突稜の間に配置された、複数の凹溝とを備え、第2賦形部材が、上記一方向に沿って間欠的に配置され且つ上記複数の凹溝のそれぞれと噛み合うように配置された、先端部を含む、複数のピンを備え、
上記賦形された不織布が、下記(i)〜(iii);
(i)上記一方向に延びており、第1面側に突出する、複数の畝部;
(ii)上記複数の畝部の間で、上記一方向に延びており、第2面側に窪んでいる、溝底部を有する、複数の溝部;及び
(iii)上記複数の溝部のそれぞれの上記溝底部に設けられ、上記一方向に間欠的に配置されており、第2面側に窪んでおり、底部を有する、複数の凹部:
を備えることを特徴とする、上記方法。
態様1に記載の方法は、不織布から、肌触りに優れる不織布を高速で製造する効果を有する。
【0011】
[態様2]
上記複数の畝部を、上記複数の突稜により形成し、上記複数の凹部を、上記複数のピンの上記先端部により形成し、そして上記複数の溝部を、上記複数の凹溝に沿って形成する、態様1に記載の方法。
態様2に記載の方法は、不織布から、肌触りに優れる不織布を高速で製造する効果を有する。
【0012】
[態様3]
上記賦形された不織布を形成するステップにおいて、第1賦形部材及び/又は第2賦形部材が、賦形温度:T
S(℃)に加熱されており、賦形温度:T
S(℃)と、上記熱可塑性樹脂繊維の融点:T
M(℃)とが、次の関係:
T
M−60<T
S<T
M+30
を満たす、態様1又は2に記載の方法。
態様3に記載の方法は、賦形された不織布を形成するステップにおいて、賦形温度が低いため、不織布から、肌触りに優れる不織布を高速で製造する効果を有する。
【0013】
[態様4]
上記予熱するステップにおいて、上記賦形すべき不織布を、予熱温度:T
P(℃)に加熱された予熱部材に接触させ、予熱温度:T
P(℃)と、上記熱可塑性樹脂繊維の融点:T
M(℃)とが、次の関係:
T
M−60<T
P<T
M
を満たす、態様3に記載の方法。
態様4に記載の方法では、予熱するステップにおいて、賦形すべき不織布を、所定の温度で予熱するため、賦形温度を下げることができる。従って、態様4に記載の方法は、不織布から、肌触りに優れる不織布を高速で製造する効果を有する。
【0014】
[態様5]
賦形温度:T
S(℃)と、予熱温度:T
P(℃)とが、次の関係:
−20≦T
S−T
P≦+20
を満たす、態様4に記載の方法。
態様5に記載の方法では、予熱温度:T
P(℃)と、賦形温度:T
S(℃)との差が所定の範囲内にあるため、賦形された不織布を形成するステップにおいて、予熱された、賦形すべき不織布の温度を所望の範囲に調整するための時間を短くすることができる。従って、態様5に記載の方法は、不織布から、肌触りに優れる不織布を高速で製造する効果を有する。
【0015】
[態様6]
上記複数のピンのそれぞれが、上記先端部の先端に平坦面を備え、上記賦形された不織布を形成するステップにおいて、上記平坦面を、上記予熱された、賦形すべき不織布の第2面と並行になるように接触させ、上記凹部の上記底部を形成する、態様1〜5のいずれか一項に記載の方法。
態様6に記載の方法は、上記ピンの先端部の先端に平坦面を含み、そして当該平坦面が、賦形された不織布の凹部の底部を形成するので、凹部の底部が孔部を有しにくい。従って、態様6に記載の方法は、賦形された不織布が剛性に優れる効果を有する。
【0016】
[態様7]
上記複数のピンのそれぞれが、上記先端部に、上記平坦面を間に挟んで、上記一方向に隣接する、一対のテーパー面をさらに備え、上記一対のテーパー面が、上記一方向において上記先端部が上記先端に向かって先細となるように配置されている、態様6に記載の方法。
【0017】
態様7に記載の方法では、先端部が、一方向において、平坦面に隣接する、一対のテーパー面を含み、先端部が先細となるように配置されているため、賦形された不織布において、凹部の一方向の周壁部に、孔部が形成されにくい。また、第2の賦形部材の、一対のテーパー面が、賦形すべき不織布を、第1の賦形部材の方向に押し込むため、賦形された不織布を形成するステップを高速で実施した場合であっても、凹部が所望の形状に賦形されやすい。従って、態様7に記載の方法は、不織布から、肌触りに優れる不織布を高速で製造する効果を有する。
【0018】
[態様8]
上記一対の賦形部材により賦形される直前の、上記予熱された、賦形すべき不織布の搬送速度が、上記一対の賦形部材により賦形された直後の、上記賦形された不織布の搬送速度よりも速い、態様1〜7のいずれか一項に記載の方法。
態様8に記載の方法では、予熱された、賦形すべき不織布の搬送速度が、賦形された不織布の搬送速度よりも速いので、予熱された、賦形すべき不織布が、一対の賦形部材のところで、搬送方向に変形しにくくなり、予熱された、賦形すべき不織布を安定して賦形することができる。従って、態様8に記載の方法は、不織布から、肌触りに優れる不織布を高速で且つ安定的に製造する効果を有する。
【0019】
[態様9]
上記凹部の底部の繊維密度が、上記畝部の繊維密度よりも高い、態様1〜8のいずれか一項に記載の方法。
態様9に記載の方法は、不織布から、剛性に優れる賦形された不織布を高速で製造する効果を有する。
【0020】
[態様10]
上記凹部の底部において、上記熱可塑性樹脂繊維が融着していない、態様1〜9のいずれか一項に記載の方法。
態様10に記載の方法では、賦形された不織布の凹部の底部の可塑性樹脂繊維が融着していないため、賦形された不織布が肌触りに優れる。従って、態様10に記載の方法は、不織布から、肌触りに優れる、賦形された不織布を高速で製造する効果を有する。
【0021】
[態様11]
上記賦形された不織布を形成するステップにおいて、上記賦形すべき不織布を、上記一方向と直交する他方向において、上記ピンと、上記突稜との間で、上記賦形すべき不織布の破断伸長率以上に伸長し、破断させることにより、上記凹部の、上記他方向の周壁部に孔部を形成する、態様1〜10のいずれか一項に記載の方法。
態様11に記載の方法では、賦形された不織布の凹部の、他方向の周壁部に孔部を形成する。その結果、使用者が、賦形された不織布の第1面を滑らせた際に、滑らかさを感じ、そして孔部が肌に触れにくいので、違和感又は異物感を覚えにくい。従って、態様11に記載の方法は、不織布から、肌触りに優れる、賦形された不織布を高速で製造する効果を有する。
【0022】
[態様12]
上記賦形された不織布を形成するステップにおいて、上記賦形すべき不織布を、上記一方向において、隣接する2つの上記ピンの間で、上記賦形すべき不織布の塑性変形伸長率以上且つ破断伸長率未満に伸長させることにより、上記凹部の、上記一方向の周壁部を破断させない、態様1〜11のいずれか一項に記載の方法。
態様12に記載の方法では、賦形された不織布の凹部の、一方向の周壁部を破断させない。その結果、賦形された不織布の剛性が向上する。従って、態様12に記載の方法は、不織布から、剛性に優れる、賦形された不織布を高速で製造する効果を有する。
【0023】
[態様13]
上記一対の賦形部材が、一対の賦形ロールであり、第1賦形部材及び第2賦形部材が、それぞれ、上記予熱された、賦形すべき不織布の搬送方向と直交する方向に回転軸を有する、第1賦形ロール及び第2賦形ロールである、態様1〜12のいずれか一項に記載の方法。
態様13に記載の方法では、第1賦形部材及び第2賦形部材が、それぞれ、第1賦形ロール及び第2賦形ロールである。従って、態様13に記載の方法は、不織布から、肌触りに優れる不織布を高速で製造する効果を有する。
【0024】
[態様14]
第1賦形ロールが、その外周面に、上記複数の突稜と、上記複数の凹溝とを備え、第2賦形ロールが、その外周面に、上記複数のピンを備え、上記一方向が、上記搬送方向である、態様13に記載の方法。
態様14に記載の方法では、第1賦形ロール及び第2賦形ロールが、所定の構造を有する。従って、態様14に記載の方法は、不織布から、肌触りに優れる不織布を高速で製造する効果を有する。
【0025】
[態様15]
上記賦形すべき不織布が、エアスルー不織布又はスパンボンド不織布である、態様1〜14のいずれか一項に記載の方法。
態様15に記載の方法は、不織布から、肌触りに優れる不織布を高速で製造する効果を有する。
【0026】
以下、本開示の、吸収性物品用の、賦形された不織布を製造する方法を、図面を用いて説明する。なお、本明細書において、「吸収性物品用の、賦形された不織布を製造する方法」を、単に『方法』と称する場合がある。
【0027】
図1〜
図5は、本開示の実施形態の1つ(以下、「第1実施形態」と称する)に従う、吸収性物品用の、賦形された不織布を製造する方法を説明するための図である。
図6〜
図8は、第1実施形態に従う方法により製造された、賦形された不織布を説明するための図である。
図6〜
図8は、第1実施形態に従う方法で製造された、賦形された不織布7を説明する図である。
【0028】
具体的には、
図1は、第1実施形態に従う方法に用いられる製造装置1を模式的に示す図である。
図2は、一対の賦形ロール19及び21を模式的に示す要部拡大斜視図である。
図3は、第2賦形ロール21のピン21aの配置を模式的に示す要部拡大図である。
図4(a)は、第2賦形ロール21のピン21aの斜視図であり、そして
図4(b)は、第2賦形ロール21のピン21aの一方向D
O(搬送方向MD)の断面図である。
図5は、第1賦形ロール19と、第2賦形ロール21との噛み合わせを示す要部拡大図である。
図5は、第1賦形ロール19と、第2賦形ロール21との噛み合わせ時における、
図3のV−V断面における断面図に相当する。
図6〜
図8は、それぞれ、第1実施形態に従う方法で製造された、賦形された不織布7を模式的に示す、平面図、一部破断斜視図、及び
図6のVIII−VIII断面における断面図である。
【0029】
図1に示されるように、製造装置1は、賦形すべき不織布3がロール状に巻かれ、賦形すべき不織布3を搬送方向MDに向けて巻き出す巻出装置9と、賦形すべき不織布3を予熱する予熱装置11と、予熱された、賦形すべき不織布5を賦形し、賦形された不織布7を形成するための賦形装置17とを備えている。
【0030】
予熱装置11は、一対の予熱ロール、すなわち、第1予熱ロール13及び第2予熱ロール15を備えており、賦形すべき不織布3を、回転している第1予熱ロール13に巻き付けて予熱した後、回転している第2予熱ロール15に受け渡し、予熱された、賦形すべき不織布5を形成する。
【0031】
賦形装置17は、一対の賦形ロール、すなわち、上方の第1賦形ロール19と、下方の第2賦形ロール21とを備えている。
図2に示されるように、第1賦形ロール19は、一方向D
O(搬送方向MD)に延びる、複数の突稜19aと、複数の突稜19aの間に配置され、一方向D
O(搬送方向MD)に延びる、複数の凹溝19bとを備え、第2賦形ロール21が、一方向D
O(搬送方向MD)に沿って間欠的に配置され且つ複数の凹溝19bのそれぞれと噛み合うように配置された、先端部23を含む、複数のピン21aを備える。複数のピン21は、第2賦形部ロール21の外周面21bに形成されている。
【0032】
なお、複数の突稜19aと、複数の凹溝19bとは、一方向D
O(搬送方向MD)と直交する他方向D
A(幅方向CD)に、交互に配置されている。
なお、第1実施形態では、一方向D
O及び他方向D
Aが、それぞれ、搬送方向MD及び幅方向CDと平行である。
【0033】
図2及び
図3に示されるように、複数のピン21aは、一方向D
O(搬送方向MD、第2賦形ロール21の周方向)において、間欠的に、具体的には、ピッチP
Mでほぼ直線的に配設されている。複数のピン21aはまた、方向D
A(幅方向CD、第2賦形ロール21の幅方向)において、第1賦形ロール19の突稜19aと接触しないピッチP
Wで配設されている。さらに、複数のピン21aは、第2賦形ロール21の外周面21bにおいて、千鳥状に配置されている。
【0034】
図4及び
図5に示されるように、ピン21aは、先端部23の先端23aに平坦面25を備える。平坦面25は、賦形ステップにおいて、予熱された、賦形すべき不織布5の第2面103と並行になるように接触し、賦形された不織布において、凹部111の底部113を形成する。ピン21aは、先端部23に、平坦面25を間に挟んで、一方向D
Oに隣接する、一対のテーパー面27,27をさらに備える。一対のテーパー面27,27は、一方向D
Oにおいて先端部23が先端23aに向かって先細となる角度で配置されている。
一対のテーパー面27はまた、略三角形の形状を有し、平坦面25から離れるに従って、その幅が小さくなる。
【0035】
製造装置1を用いて、賦形された不織布7を製造するために、巻出装置9から巻き出された、賦形すべき不織布3を予熱するステップと、予熱された、賦形すべき不織布5を賦形して、賦形された不織布7を形成するステップを実施する。
なお、本明細書では、「賦形すべき不織布を予熱するステップ」を、単に『予熱ステップ』と称する場合があり、そして「賦形された不織布を形成するステップ」を、『賦形ステップ』と称する場合がある。
【0036】
予熱ステップでは、巻出装置9から巻き出され、搬送方向MDに搬送されている、賦形すべき不織布3を、予熱装置11の、回転している一対の予熱ロール(第1予熱ロール13及び第2予熱ロール15)の外周面に順次接触させることにより予熱する。
【0037】
賦形ステップでは、予熱された、賦形すべき不織布5を、賦形装置17において、噛み合いながら回転している第1賦形ロール19及び第2賦形ロール21の間に通し、予熱された、賦形すべき不織布5を、噛み合っている上方の第1賦形ロール19の突稜19a及び凹溝19bと、下方の第2賦形ロール21のピン21aとの間で延伸することにより賦形する。なお、賦形ステップを実施するに際しては、予熱された、賦形すべき不織布5を不均一に延伸し、賦形しやすくするように、第1賦形ロール19及び第2賦形ロール21を加熱することが好ましい。
【0038】
図6〜
図8に示されるように、賦形された不織布7は、下記(i)〜(iii)の構成を備える。
(i)一方向D
Oに延びており、第1面101側に突出する、複数の畝部105
(ii)複数の畝部105の間で、一方向D
Oに延びており、第2面103側に窪んでいる、溝底部109を有する、複数の溝部107
(iii)複数の溝部107のそれぞれの溝底部109に設けられ、一方向D
Oに間欠的に配置されており、第2面103側に窪んでおり、底部113を有する、複数の凹部111
【0039】
上方の第1賦形ロール19は、突稜19aを、予熱された、賦形すべき不織布5の第2面103と接触させ、接触している部分を下方の第2賦形ロール21の方向に押し込むことにより、畝部105を賦形する。
下方の第2賦形ロール21は、一方向D
O(搬送方向MD)に一列に並んでいる複数のピン21aを、予熱された、賦形すべき不織布5の第1面101と接触させ、ピン21aの先端部23に接触している部分を、上方の第1賦形ロール19の凹溝19b内に押し込む。その結果、予熱された、賦形すべき不織布5のうち、ピン21aの先端部23と接触していた部分は、凹溝19b内に強く押し込まれて賦形され、底部113を有する凹部111が形成される。また、予熱された、賦形すべき不織布5のうち、凹溝19bに沿って溝部107が形成される。
【0040】
また、凹部111は、ピン21aの先端部23と接触していた部分により形成される底部113と、周壁部115とを有する。周壁部115は、溝部107と、底部113とを連結し、そして畝部105及び溝部107が延びる方向である一方向に存在する、一方向の周壁部115aと、一方向と直交する方向である他方向に存在する、他方向の周壁部115bとを含む。
【0041】
なお、凹部111の底部113は、賦形の際、上方の第1賦形ロール19と下方の第2賦形ロール21とが、予熱された、賦形すべき不織布5を噛み込んだ状態で、ピン21aの先端部23、具体的には先端部23の先端23aの平坦面25が、予熱された、賦形すべき不織布5の当接部分を凹溝19b内に押し込むことにより形成される。従って、底部113は、他の部分、例えば、畝部の頂部よりも高い繊維密度を有し、剛性に優れる。従って、賦形された不織布7は、凹部111の底部113に起因して、剛性に優れる。
【0042】
予熱された、賦形すべき不織布5において、ピン21aの先端部23の、他方向(幅方向CD)の両端部に接触していた部分は、突稜19aが賦形すべき不織布3を下方の第2賦形ロール21の方向に押し込み且つピン21aが上方の第1賦形ロール19の方向に押し込む際に発生する張力等により、熱可塑性樹脂繊維を破断して、破断端部125を有する、破断された熱可塑性樹脂繊維123を形成する。
【0043】
その結果、凹部111に、破断された熱可塑性樹脂繊維123の破断端部125が含まれる孔部117が形成される。なお、一部の熱可塑性樹脂繊維は、孔部117の内部空間119に架け渡された状態で残り、また、一部の、破断された熱可塑性樹脂繊維123の破断端部125は、内部空間119に延出した状態となる。孔部117は、他方向の周壁部115bに形成される。
【0044】
溝部107の溝底部109には、溝部107の溝底部109よりも第2面103側に位置する、底部113を備え且つ一方向D
Oに間欠的に設けられた複数の凹部111が設けられている。複数の凹部111のそれぞれは、溝底部109と連続した状態で第2面103側に向けて延びる立壁状の周壁部115と、周壁部115の下端側に設けられた底部113とを備えている。
【0045】
複数の凹部111のそれぞれは、平面視略矩形状の開口と、周壁部115と、底部113とを有する上方開口の略直方体状の空間を備えている。複数の凹部111のそれぞれは、賦形された不織布7の第2面103側に突出し、且つ他の凹部111から相互に独立している。
【0046】
また、周壁部115は、他方向D
Aに沿うように延びる一対の一方向の周壁部115a,115aと、一方向D
Oに沿うように延びる一対の他方向の周壁部115b,115bとを備えている。一対の一方向の周壁部115a,115aは、相互に向かい合う位置に配設されており、そして一対の他方向の周壁部115b,115bは、相互に向かい合う位置に配設されている。
【0047】
他方向の周壁部115bのそれぞれには、他方向の周壁部115bを貫通し、賦形された不織布7の第2面103に通じる孔部117が形成されている。孔部117は、一方向の周壁部115aにおいて、底部113よりの位置に形成されている。一方向の周壁部115aのそれぞれは、孔部117を有せず、一方向の周壁部115aのそれぞれは、下端側の全部が底部113と直接的に連結されている。
【0048】
孔部117は、賦形された不織布7に含まれている熱可塑性樹脂繊維を溶融することなく、熱可塑性樹脂繊維を破断することにより形成された内部空間119を備えている。
より具体的には、孔部117の内部空間119には、賦形された不織布7の熱可塑性樹脂繊維のうち、破断により形成された破断端部125を備えた破断された熱可塑性樹脂繊維123におけるその破断端部125が含まれている。従って、孔部117の内部空間119は、熱可塑性樹脂繊維が溶融によって硬化した部分は存在せず、柔軟な熱可塑性樹脂繊維の一部、あるいは、熱可塑性樹脂繊維のうち破断によって形成された破断端部125を有する破断された熱可塑性樹脂繊維123により形成されている。それにより、使用者の肌が孔部117の内部空間119に触れたとしても、溶融により硬化した熱可塑性樹脂繊維が存在しないため、不織布の硬さ及び粗さを感じにくい。
【0049】
ここで、破断された熱可塑性樹脂繊維123は、他方向の周壁部115bを形成する熱可塑性樹脂繊維の一部の繊維であって、その熱可塑性樹脂繊維を、長さ方向に引っ張ったり物理的に切断して破断したりすることにより形成された破断端部125を備える。
従って、破断端部125は、熱可塑性樹脂繊維を溶融した場合のように、繊維の端部が溶けて丸くなって繊維径が大きくなることはなく、引き裂かれることにより先細りになったか、又は繊維径の変化がほとんど生じていない。それにより、使用者の肌が孔部117の内部空間119に触れた場合であっても、ごわつき、繊維の引っ掛かりによる違和感等を覚えにくい。
【0050】
孔部117の内部空間119には、熱可塑性樹脂繊維のうちの一部の熱可塑性樹脂繊維127が架け渡されている。また、一部の、破断された熱可塑性樹脂繊維123については、その破断端部125が孔部117の内部空間119に延出した状態となっている。
従って、孔部117の内部空間119内には、その内部空間119に架け渡された熱可塑性樹脂繊維127と、一部の延出した繊維とが混在した状態となっていて、完全に開放された空間とはなっていない。
【0051】
賦形された不織布7は、凹部111の他方向の周壁部115bに、熱可塑性樹脂繊維を溶融することなく形成された、内部空間119を備えた孔部117を有する。そのため、畝部105及び畝部105の繊維の移動の自由度が増す上、孔部117によって畝部105の引張力が緩和されて畝部105全体が柔らかくなるため、賦形された不織布7を、厚さ方向に押した際には柔らかく感じ、また肌を不織布の平面方向に滑らせた際には滑らかさを感じる。
【0052】
凹部111の孔部117は、繊維を溶融することなく形成された内部空間119を有し、内部空間119は、破断により形成された破断された熱可塑性樹脂繊維123の破断端部125を含み、溶融によって硬化した部分を含まない。それにより、賦形された不織布7は、優れた硬軟感(厚さ方向の柔軟性)及び優れた粗滑感(平面方向の滑らかさ)を有し、肌に対して柔軟な感触を与える。
【0053】
本開示の方法では、予熱ステップにおいて、賦形すべき不織布を予熱する手段は、特に制限されず、例えば、第1実施形態におけるように、賦形すべき不織布を、予熱部材、具体的には、予熱ロールに巻き付けることにより、賦形すべき不織布を予熱することができる。また、賦形すべき不織布に、加熱された流体、例えば、加熱された空気を吹付けることにより、賦形すべき不織布を予熱してもよい。賦形された不織布を高速で製造する観点からは、予熱部材を用いて予熱ステップを実施することが好ましい。
【0054】
予熱ステップにおいて、予熱部材及び加熱された流体の予熱温度:T
P(℃)は、賦形すべき不織布を構成する熱可塑性樹脂繊維の融点:T
m(℃)と、好ましくは、T
M−60<T
P<T
M、より好ましくは、T
M−40<T
P<T
M−5、そしてさらに好ましくは、T
M−30<T
P<T
M−10の関係にある。続く賦形ステップにおいて、高速で賦形を行う観点からである。賦形ステップを高速で実施する観点からは、予熱温度は、熱可塑性樹脂繊維の融点に近い方が好ましいが、予熱温度が高すぎると、熱可塑性樹脂繊維同士が融着し、賦形された不織布が硬くなる傾向がある。
なお、熱可塑性樹脂繊維等が、複数種の熱可塑性樹脂を含む場合、例えば、複合繊維である場合には、上記融点は、複数種の熱可塑性樹脂のうち、融点の低い方の熱可塑性樹脂の融点を意味する。
【0055】
本開示の方法では、賦形ステップにおいて、予熱された、賦形すべき不織布を賦形する一対の賦形部材は、第1賦形部材が、一方向に延びる、複数の突稜と、複数の突稜の間に配置された、複数の凹溝とを備え、第2賦形部材が、一方向に沿って間欠的に配置され且つ複数の凹溝のそれぞれと噛み合うように配置された、複数のピンを備えている限り、それらの形状は、特に制限されない。例えば、一対の賦形部材が、平面状の基板に、突稜、凹溝、ピン等を有するものであってもよい。一対の賦形部材が、一対の賦形ロールである場合には、賦形された不織布を、高速で製造することができる。
【0056】
本開示の方法では、賦形ステップにおいて、予熱された、賦形すべき不織布を加熱することが好ましい。賦形された不織布を高速で製造する観点からである。予熱された、賦形すべき不織布を加熱するために、第1賦形部材及び第2賦形部材の一方又は両方を加熱することが好ましい。
【0057】
上記観点からは、第1賦形部材及び/又は第2賦形部材が、賦形温度:T
S(℃)に加熱されており、賦形温度:T
S(℃)と、上記熱可塑性樹脂繊維の融点:T
M(℃)との間に、好ましくは、T
M−60<T
S<T
M+30、より好ましくは、T
M−40<T
S<T
M+10、そしてさらに好ましくはT
M−30<T
S<T
Mの関係が成立する。
【0058】
本開示の方法では、賦形温度:T
S(℃)と、予熱温度:T
P(℃)との間に、好ましくは、−20≦T
S−T
P≦+20、より好ましくは、−10≦T
S−T
P≦+10、そしてさらに好ましくは−5≦T
S−T
P≦+5の関係が成立する。そうすることにより、賦形ステップにおいて、予熱された、賦形すべき不織布を、賦形温度まで調整する時間を短縮化することができ、賦形された不織布を高速で製造することができる。なお、予熱ステップから賦形ステップまでの間に、予熱された、賦形すべき不織布の温度が下がることを考慮し、予熱温度:T
P(℃)が、賦形温度:T
S(℃)より高くてもよい。
【0059】
本開示の方法では、第1賦形部材の突稜のピッチ(凹溝のピッチ)は、賦形された不織布の所望の性能により適宜設定されうるが、肌触りに優れる、賦形された不織布を形成する観点からは、突稜のピッチ(凹溝のピッチ)は、好ましくは0.25〜5.0mm、より好ましくは0.5〜3.0mm、そしてさらに好ましくは、0.75〜2.0mmである。
【0060】
本開示の方法では、第1賦形部材の突稜の高さ(突稜の根本から先端までの高さ)は、賦形された不織布の所望の性能により適宜設定されうるが、肌触りに優れる、賦形された不織布を形成する観点からは、突稜の高さは、0.25〜5.0mm、より好ましくは0.5〜3.0mm、そしてさらに好ましくは、1.0〜2.5mmである。
【0061】
本開示の方法では、第1賦形部材と、第2賦形部材との噛込深さは、好ましくは0.5〜3.0mm、そしてより好ましくは1.0〜2.0mmである。噛込深さが0.5mm未満であると、賦形された不織布に、畝部及び溝部が形成されにくくなり、そして噛込深さが3.0mmを超えると、賦形された不織布の畝部が高く且つ溝部が深くなり、賦形された不織布の強度が低下する傾向がある。
なお、本明細書において、噛込深さは、
図5に符号Dで示されるように、第1賦形部材の突稜の先端と、第2賦形部材のピンの先端との間の高さを意味する。
【0062】
本開示の方法において、複数のピンのそれぞれが、先端部の先端に平坦面を備えることが好ましい。賦形された不織布において、凹部の底部が、孔部を有しにくく、そして凹部の底部の繊維密度が、畝部の繊維密度より高くなり、賦形された不織布が剛性に優れるからである。その場合には、平坦面の面積は、賦形された不織布の所望の性能により適宜設定されうるが、肌触りに優れる、賦形された不織布を形成する観点からは、好ましくは0.1〜1.0mm
2、そしてより好ましくは0.2〜0.8mm
2の面積を有する。
【0063】
本開示の方法において、複数のピンのそれぞれの先端部が、平坦面と、上述の一対のテーパー面とを備えることが好ましい。賦形された不織布において、凹部の一方向の周壁部に、孔部が形成されにくくなるからである。また、第2賦形部材の、一対のテーパー面が、賦形すべき不織布を、第1の賦形部材の方向に押し込むため、賦形された不織布を形成するステップを高速で実施した場合であっても、凹部が所望の形状に賦形されやすいためである。上記一対のテーパー面は、平坦面を間に挟んで、一方向に隣接していることが好ましい。凹部の一方向の周壁部に、孔部を形成しない観点からである。
【0064】
一対のテーパー面のそれぞれと、上記平坦面とが形成する角度は、好ましくは30〜60°、そしてより好ましくは40〜50°である。凹部を高速で所望の形状に賦形する観点、一対のテーパー面が配置されている方向に、凹部の周壁部を設けない観点からである。
【0065】
一対のテーパー面は、平坦面から離れるにつれ、その幅が小さくなることが好ましく、例えば、略三角形、略台形等の形状を有することが好ましい。賦形された不織布において、凹部の一方向の周壁部に、孔部が形成されにくなるからである。
【0066】
本開示の方法は、一対の賦形部材、すなわち、一方向に延びる、複数の突稜と、複数の突稜の間に配置された、複数の凹溝とを備える第1賦形部材と、一方向に沿って間欠的に配置され且つ複数の凹溝のそれぞれと噛み合うように配置された、先端部を含む、複数のピンを備えた第2賦形部材とにより賦形が行われる。上記一対の賦形部材を用いて、賦形された不織布を製造することにより、一対の賦形部材が、賦形すべき不織布により摩耗されにくく、長期にわたって且つ高速で、賦形された不織布を製造することができる。
【0067】
本開示の方法では、賦形された不織布の凹部の底部の繊維密度が、畝部の繊維密度、より具体的には、畝部の頂部の繊維密度よりも高いことが好ましい。賦形された不織布が剛性に優れるからである。
また、本開示の方法では、賦形された不織布の凹部の底部において、熱可塑性樹脂繊維が融着していないことが好ましい。肌触りの観点からである。
【0068】
第1実施形態に従う方法では、凹部の、他方向の周壁部に孔部を形成したが、本開示の別の実施形態に従う方法では、凹部の、他方向の周壁部に孔部を形成しない。
第1実施形態に従う方法では、凹部の、一方向の周壁部を破断させていない、すなわち、一方向の周壁部に孔部を形成していないが、本開示の別の実施形態に従う方法では、凹部の、一方向の周壁部に孔部を形成する。
【0069】
凹部の周壁部、すなわち、一方向の周壁部及び/又は他方向の周壁部は、以下の通り形成され、そして孔部は、以下の通り調整される。
図9(a)は、賦形直前の、予熱された、賦形すべき不織布5を示す図であり、
図5に相当する断面図である。
図9(b)は、第1賦形ロール19及び第2賦形ロール21が噛み合った状態における、予熱された、賦形すべき不織布5を示す図であり、
図5に相当する断面である。
図9(a)に示されるように、予熱された、賦形すべき不織布5は、他方向D
A(幅方向CD)おいて、突稜19aの先端部19aaの端縁に接する点131と、ピン21aの先端部23の端縁に接する点132との間の距離:Lを有する。第1賦形ロール19及び第2賦形ロール21が噛み合った状態では、
図9(b)に示されるように、賦形すべき不織布5の、点131及び点132の間の距離:Lは、距離:L'に延ばされている。
【0070】
第1賦形ロールの突稜の高さ及びピッチ、第2賦形ロールのピンの高さ、一対の賦形ロールの噛込深さ等を調節することにより、予熱された、賦形すべき不織布の他方向の伸長率(L'/Lの比率)を調整し、凹部の他方向の周壁部、孔等を形成することができる。
【0071】
具体的には、賦形すべき不織布の他方向の伸長率(L'/Lの比率)を、予熱された、賦形すべき不織布5の塑性変形伸長率以上且つ破断伸長率未満に伸長することにより、凹部に、孔部を有しない他方向の周壁部が形成される。また、賦形すべき不織布の他方向の伸長率(L'/Lの比率)を、予熱された、賦形すべき不織布5の破断伸長率超に伸長することにより、凹部に、孔部を有する他方向の周壁部が形成される。
なお、予熱された、賦形すべき不織布5を、その塑性変形伸長率未満、すなわち弾性変形の範囲で伸長すると、予熱された、賦形すべき不織布5に、少なくとも凹部は形成されにくい。予熱された、賦形すべき不織布5が、元の形状に回復するからである。
なお、賦形すべき不織布の塑性変形伸長率及び破断伸長率は、賦形温度にて、賦形すべき不織布の引張試験を行うことにより見積もることができる。
【0072】
図10(a)は、賦形直前の、予熱された、賦形すべき不織布5を示す図であり、
図3のX−X断面における断面図である。
図10(b)は、第1賦形ロール19及び第2賦形ロール21が噛み合った状態における、予熱された、賦形すべき不織布5を示す図であり、
図3のX−X断面における断面図である。
図10(a)に示されるように、予熱された、賦形すべき不織布5は、一方向D
Oにおいて、ピン21aの先端部23の端縁に接する点133と、隣接するピン21aの先端部23の端縁に接する点134との距離:Mを有する。第1賦形ロール19及び第2賦形ロール21が噛み合った状態では、
図10(b)に示されるように、予熱された、賦形すべき不織布5は、突稜19aにより、下方に引っ張られるので、賦形すべき不織布5の、点133及び点134の間の距離:Mは、距離:M'に延ばされている。
【0073】
第2賦形ロールのピンの高さ及びピッチ、第1賦形ロールの突稜の高さ及びピッチ、一対の賦形ロールの噛込深さ等を調節することにより、予熱された、賦形すべき不織布の一方向の伸長率(M'/Mの比率)を調整し、凹部の一方向の周壁部、孔部を形成することができる。
【0074】
具体的には、賦形すべき不織布の一方向の伸長率(M'/Mの比率)を、予熱された、賦形すべき不織布5の塑性変形伸長率以上且つ破断伸長率未満に伸長することにより、凹部に、孔部を有しない一方向の周壁部が形成される。また、賦形すべき不織布の一方向の伸長率(M'/Mの比率)を、予熱された、賦形すべき不織布5の破断伸長率超に伸長することにより、凹部に、孔部を有する一方向の周壁部が形成される。
なお、予熱された、賦形すべき不織布5を、その塑性変形伸長率未満、すなわち弾性変形の範囲で伸長すると、予熱された、賦形すべき不織布5に、少なくとも凹部は形成されにくい。予熱された、賦形すべき不織布5が、元の形状に回復するからである。
なお、賦形すべき不織布の塑性変形伸長率及び破断伸長率は、賦形温度にて、賦形すべき不織布の引張試験を行うことにより見積もることができる。
【0075】
本開示の方法において、一対の賦形部材により賦形される直前の、予熱された、賦形すべき不織布の搬送速度が、一対の賦形部材により賦形された直後の、賦形された不織布の搬送速度よりも速いことが好ましく、より好ましくは0%超且つ5%以下そしてさらに好ましくは1%超且つ3%以下速い。そうすることにより、予熱された、賦形すべき不織布が、一対の賦形部材のところで、搬送方向に変形しにくくなり、予熱された、賦形すべき不織布を安定して賦形することができる。
【0076】
本開示の方法において、賦形された不織布は、好ましくは0.25〜5.0mm、より好ましくは0.5〜3.0mm、そしてさらに好ましくは、0.75〜2.0mmの畝部(溝部)のピッチを有する。上記ピッチが0.25mm未満であると、賦形された不織布において、畝部及び溝部の高さが低くなり、畝部による肌との接触面積があまり減らず、肌触りが低下する可能性がある。上記ピッチが、5.0mm超であると、畝部及び溝部による柔軟な肌触りが得られにくい。
上記ピッチは、第1賦形部材において、複数の突稜のピッチを上記範囲に調節することにより形成されうる。
【0077】
また、本開示の方法において、賦形された不織布は、好ましくは0.25〜5.0mm、より好ましくは0.5〜3.0mm、そしてさらに好ましくは、0.75〜2.0mmの、畝溝の高さ(溝部の溝底部から、畝部の頂部までの距離)を有することが好ましい。上記畝溝の高さが0.25mm未満であると、畝部及び溝部による柔軟な肌触りが得られにくく、上記畝溝の高さが5.0mm超であると、畝部及び溝部が潰れやすくなり、柔軟な肌触りが得られにくくなる。
上記高さは、第1賦形部材の突稜の高さ、第2賦形部材のピンの高さ、一対の賦形部材の噛込深さ等により達成されうる。
【0078】
本開示の方法において、賦形された不織布が凹部を有することにより、使用者が、賦形された不織布の第1面に触れた場合に、溝部の溝底部が肌に触れにくくなる。賦形された不織布は、使用者が、賦形された不織布の第1面に触れた場合に、畝部、次いで溝部の溝底部の順に使用者に触れやすくなるが、畝部が最も柔軟性が高いため、溝底部よりも畝部が使用者に触れる機会が多いことが好ましく、そして柔軟性の観点からは、肌に触れる接触面積が少ない方が好ましい。従って、賦形された不織布が凹部を有することにより、溝部の溝底部が使用者に触れにくくなり、使用者が、賦形された不織布に柔軟性を感じやすくなる。
【0079】
また、凹部を溝部の溝底部に設けることにより、使用者が、賦形された不織布の第1面に触れた場合に、凹部が使用者に触れにくく、使用者が、凹部による違和感及び異物感を覚えにくい。
【0080】
本開示の方法において、賦形された不織布は、好ましくは0.05〜2.0mm、より好ましくは0.075〜1.5mm、そしてさらに好ましくは0.1〜1.0mmの凹部の高さ(凹部の底部から、溝部の溝底部までの距離)を有する。上記高さが0.05mm未満であると、底部の剛性を確保しづらくなり、賦形された不織布の厚み方向の強度が不足する傾向がある。上記高さが2.0mmを超えると、賦形された不織布の厚み方向の強度が低下する傾向がある。
【0081】
上述の凹部の高さは、上述の畝溝の高さの、好ましくは10〜80%、より好ましくは15〜70%、そしてさらに好ましくは20〜60%の比率を有する。上記比率が10%未満であると、周壁部において孔部を形成するスペースが確保できない場合がある。上記比率が80%を超えると、凹部の周壁部の厚さが薄くなり、その強度が低下し、凹部の周壁部が毛羽立ちやすくなり、賦形された不織布の肌触りが低下する場合がある。
【0082】
本開示の方法において、賦形された不織布は、好ましくは0.25〜5.0mm、より好ましくは0.5〜3.0mm、そしてさらに好ましくは0.75〜2.0mmの、凹部の一方向の長さを有する。同様に、本開示の方法において、賦形された不織布は、好ましくは0.25〜5.0mm、より好ましくは0.5〜3mm、そしてさらに好ましくは0.75〜2.0mmの、凹部の他方向の長さを有する。凹部の効果の観点からである。
【0083】
本開示の方法において、賦形された不織布が、凹部の、他方向の周壁部に孔部を有する場合には、賦形された不織布は、0.25〜5.0mm、より好ましくは0.5〜3.0mm、そしてさらに好ましくは0.75〜2.0mmの孔部の一方向の長さを有する。上記一方向の長さが0.25mm未満であると、凹部の柔軟性が不十分である場合があり、畝部の十分な柔軟性が確保できない場合がある。上記一方向の長さが5.0mm超であると、孔部が大きく、その周縁部が毛羽立ちやすくなり、不織布の肌触りが低下する場合がある。
【0084】
同様に、本開示の方法において、賦形された不織布が、凹部の、他方向の周壁部に孔部を有する場合には、賦形された不織布は、好ましくは0.1〜5.0mm、より好ましくは0.25〜3.0mm、そしてさらに好ましくは0.5〜2.0mmの孔部の厚さ方向の長さを有する。上記厚さ方向の長さが0.1mm未満であると、凹部の柔軟性を確保できず、畝部の柔軟性が確保できない場合がある。上記厚さ方向の長さが5.0mm超であると、孔部の周縁部が毛羽立ちやすくなり、不織布の肌触りが低下する場合がある。
【0085】
本開示の方法において、賦形された不織布が、凹部の、他方向の周壁部に孔部を有すると、畝部の柔軟性、より具体的には畝部における不織布の厚さ方向への柔軟性、及び不織布の平面方向(特に、他方向)に肌を滑らせた際の柔軟性が向上し、滑らかな感触が得られる。これにより、畝部に、優れた硬軟感(賦形された不織布の厚さ方向への優れた柔らかさ)と、賦形された不織布の他方向への優れた粗滑感(賦形された不織布の平面方向(特に他方向)の優れた滑らかさ)との両方を付与して、賦形された不織布が、優れた硬軟感及び粗滑感を有し、柔軟な肌触りを有する。
【0086】
本開示の方法では、賦形された不織布が、凹部の、一方向の周壁部が破断しないことが好ましい。そうすることにより、不織布の一方向、すなわち、畝部や溝部が延びている方向に肌を滑らせた場合に、凹部の存在による段差が肌に引っ掛かりにくくなり、賦形された不織布の一方向への滑らかさが確保されるためである。すなわち、一方向の周壁部については、溝部の溝底部及び凹部の底部と連続し、継ぎ目なく一体化されているため、使用者が、肌を不織布の一方向に滑らせた場合に、凹部の段差をあまり感じることなく、肌を畝部及び溝部に沿って滑らかに移動させやすい。それにより、畝部の柔軟性及び繊維の柔軟性を生かした、賦形された不織布の一方向への滑らかさを確保することできる。
【0087】
本開示の方法において、賦形された不織布が、凹部の、他方向の周壁部に孔部を有する場合には、孔部を、凹部の他方向の周壁部の、底部よりの位置に設けることが好ましい。孔部を、肌が触れやすい畝部及び溝部の溝底部からできるだけ遠ざけることにより、孔部が肌に触れる機会を減らし、違和感及び異物感を覚えにくくするためである。
それにより、肌を不織布の平面方向に滑らせた際の滑らかさをより確保することができる。
【0088】
本開示の方法において、賦形された不織布が、凹部の、他方向の周壁部に孔部を有する場合には、孔部の内部空間に熱可塑性樹脂繊維の一部が架け渡され低ることが好ましい。使用者の肌が孔部に触れた場合であっても、内部空間に架け渡された熱可塑性樹脂繊維が凹部の周壁部及び底部と、孔部との感触の差が小さくなり、使用者が違和感を覚えにくくなるからである。すなわち、孔部の内部空間に架け渡された熱可塑性樹脂繊維が、肌が孔部を完全に突き抜けて不織布の第2面に至らないので、周壁部及び底部と、孔部との境目の段差が触感上において小さくなる。それにより、肌触りが比較的滑らかになり、使用者が違和感を覚えにくくなる。
【0089】
本開示の方法において、賦形された不織布が、凹部の、他方向の周壁部に孔部を有する場合には、孔部は、好ましくは1〜50%、より好ましくは1.5〜35%、そしてさらに好ましくは2.5〜20%の内部空間の開孔率を有する。上記開孔率が1%未満であると、開孔率が低く、畝部及び畝部の繊維に自由度を付与することが難しくなり、畝部に柔軟性を付与することが難しくなる。上記開孔率が50%以上であると、孔部が設けられた周壁部の強度が低くなりやすい上、孔部の周縁部の境目が触感上分かりやすくなる可能性がある。
【0090】
本開示の方法において、賦形すべき不織布としては、熱可塑性樹脂繊維を含むものであれば特に制限されず、種々の不織布を用いることができる。賦形すべき不織布の例としては、例えば、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布、メルトブローン不織布、及びこれらの組み合わせ(例えば、SMS等)等が挙げられる。
なお、賦形すべき不織布がスパンボンド不織布である場合には、スパンボンド不織布を構成する熱可塑性樹脂繊維を熱融着させるエンボス部が、賦形ステップにおいて破断し、賦形された不織布が、上記エンボス部の周囲に(好ましくは、上記エンボス部に隣接する)開口部を有する。
【0091】
上記熱可塑性樹脂繊維としては、当技術分野で通常用いられているものが挙げられ、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の単繊維、PE及びPPのグラフトポリマーからなる繊維が挙げられる。賦形された不織布を高速で製造する観点からは、融点の低い熱可塑性樹脂繊維、例えば、ポリエチレンが好ましい。
上述の複合繊維としては、芯鞘型繊維、サイドバイサイド型繊維、島/海型繊維等の複合繊維が挙げられる。
【0092】
本開示の方法において、賦形すべき不織布は、通常10〜100g/m
2、好ましくは15〜75g/m
2、そしてより好ましくは20〜50g/m
2の坪量を有する。また、賦形すべき不織布は、通常0.1〜5mm、好ましくは0.5〜3mm、そしてより好ましくは0.8〜2mmの厚さを有する。
【0093】
本明細書において、不織布の厚さ(mm)は、以下の通り測定される。
株式会社大栄科学精器製作所製 FS−60DS[測定面44mm(直径),測定圧3g/cm
2]を準備し、標準状態(温度23±2℃,相対湿度50±5%)の下、不織布の異なる5つの部位を加圧し、各部位における加圧10秒後の厚さを測定し、5つの測定値の平均値を不織布の厚さとする。
【0094】
第1実施形態では、凹部111の孔部117が、一方向D
Oに沿うように形成された一対の他方向の周壁部に設けられるが、本開示の別の実施形態に従う方法では、孔部が、一方向に沿うように形成された一対の一方向の周壁部に設けられる。
また、第1実施形態では、孔部117が凹部111の周壁部における底部113よりの位置に配置されているが、本開示の方法では、孔部の位置は特に制限されず、任意の位置に配置されうる。
【0095】
また、第1実施形態では、孔部117の内部空間119に、熱可塑性樹脂繊維の一部の熱可塑性樹脂繊維127が架け渡されているが、本開示の別の実施形態に従う方法では、孔部の内部空間に架け渡された繊維が存在していなくてもよい。
第1実施形態では、凹部111が略直方体状に形成されているが、本開示の方法では、凹部の形状は任意であり、例えば、円柱状、角柱状等が挙げられる。
【0096】
第1実施形態では、畝部105が、賦形された不織布7の一方向に連続的に延びているが、本開示の方法では、畝部は、一方向に間欠的に延びていてもよい。その場合には、凹部は、畝部が連続している部分に挟まれた溝部の溝底部に設けられることが好ましい。それにより、畝部が肌に触れやすくなり、凹部に接触しづらくなるため、凹部による異物感及び違和感をより覚えにくくなる。
【0097】
本開示の方法により製造される、賦形された不織布は、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、尿取りパッド、パンティーライナー等の吸収性物品の、トップシート、防漏壁等、バックシートの外表面として用いられる。
【実施例】
【0098】
[製造例1]
賦形すべきの不織布として、エアスルー不織布を準備した。エアスルー不織布は、上層及び下層の2層から形成されていた。上層は、芯鞘型複合繊維(芯:PET,鞘:PE,繊度:2.8dtex,繊維長:44mm)から形成され、坪量は、20g/m
2であった。下層は、芯鞘型複合繊維(芯:PET,鞘:PE,繊度:2.2dtex,繊維長:44mm)から形成され、坪量は10g/m
2であった。
【0099】
エアスルー不織布を、
図1〜3に示す製造装置に通し、賦形された不織布No.1を形成した。なお、予熱ステップ及び賦形ステップの温度は、両方とも100℃であり、そして搬送速度は、約250m/分であった。
【0100】
[製造例2]
ピン21aを備える第2賦形ロール21に代えて、上方の第1賦形ロール19と同形の賦形ロール、すなわち、突稜及び凹溝を備えた賦形ロールを用いた以外は、製造例1と同様にして、賦形された不織布No.2を形成した。製造例2で用いられた賦形装置では、上方の賦形ロールの突稜及び凹溝と、下方の賦形ロールの凹溝及び突稜とを相互に噛み合わせることにより、不織布を賦形した。なお、一対の賦形ロールの噛込深さは、製造例1と同一であった。
【0101】
[実施例1及び比較例1]
賦形された不織布No.1及びNo.2の表面特性及び圧縮特性を評価した。
表面特性は、カトーテック(株)製の自動化表面試験機 KES−FB4 AUTO−Aを用いて評価した。具体的には、100mm×100mmのサンプル上で、25gの加重が加えられた端子を、1.0mm/秒の速さで滑らせることによって、平均摩擦係数:MIU、その標準偏差:MMD、表面粗さの平均偏差:SMD(μm)を評価した。なお、上記端子は、10mm×10mmのサイズを有し、0.5mm径のピアノ線で巻かれていた。
【0102】
圧縮特性は、カトーテック(株)製の自動化圧縮試験機 KES−FB3 AUTO−Aを用いて評価した。具体的には、サンプルを、面積:200mm
2の円形平面状の端子を有する鋼板の間で圧縮することにより圧縮特性を評価した。圧縮速度は、50sec/mmであり、圧縮最大荷重は、50gf/cm
2であった。回復過程に関しても、同一速度で圧縮特性を測定し、測定から得られた圧縮特性曲線の直線性LCと、圧縮仕事量WC(gf・cm
2)、圧縮回復率RC(%)とを求めた。
結果を表1に示す。比較のため、賦形すべき不織布としての、エアスルー不織布の表面特性及び圧縮特性を、表1に示す。
【0103】
【表1】
【0104】
表1からわかるように、賦形された不織布No.1は、賦形された不織布No.2と比較して、MIU(平均摩擦係数)が、畝部及び溝部が延びる一方向と、他方向との両方とも小さく、賦形された不織布No.1が滑らかであることが分かる。
なお、他方向において、SMD(表面粗さの平均偏差)の値は、賦形された不織布No.1の方が、賦形された不織布No.2よりも高く、賦形された不織布No.1の表面の凹凸が大きいことを意味する。従って、賦形された不織布No.1は、他方向において、表面の凹凸が大きいにもかかわらず、表面が滑らかであることを意味している。
表1から、賦形された不織布No.1は、賦形された不織布No.2よりも、圧縮仕事量WCの値が小さく、厚み方向に柔らかさを感じやすいことがわかる。
【解決手段】吸収性物品用の、賦形された不織布7を製造する方法であって、賦形すべき不織布3を予熱するステップ、及び予熱された、賦形すべき不織布5を、一対の賦形部材17の間に通すことにより、予熱された、賦形すべき不織布5を賦形し、賦形された不織布7を形成するステップを含み、一対の賦形部材17において、第1賦形部材19が、複数の突稜19aと、複数の凹溝19bとを備え、第2賦形部材21が、凹溝19bと噛み合うように配置された、先端部を含む、複数のピン21aを備え、賦形された不織布7が、(i)複数の畝部105、(ii)溝底部109を有する、複数の溝部107、及び(iii)溝部107の溝底部109に設けられ、一方向D