特許第5989233号(P5989233)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5989233リソグラフィ装置およびデバイス製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989233
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】リソグラフィ装置およびデバイス製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/207 20060101AFI20160825BHJP
   G03F 9/02 20060101ALI20160825BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   G03F7/207 H
   G03F9/02 H
   G03F7/20 503
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-513080(P2015-513080)
(86)(22)【出願日】2013年5月7日
(65)【公表番号】特表2015-522838(P2015-522838A)
(43)【公表日】2015年8月6日
(86)【国際出願番号】EP2013059434
(87)【国際公開番号】WO2013174646
(87)【国際公開日】20131128
【審査請求日】2014年12月17日
(31)【優先権主張番号】61/651,435
(32)【優先日】2012年5月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(72)【発明者】
【氏名】バセルマンズ,ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ループストラ,エリック
【審査官】 松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−072127(JP,A)
【文献】 特開昭61−278141(JP,A)
【文献】 特開平11−121322(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0122383(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0019169(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20−7/24、9/00−9/02
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持する基板テーブルと、
パターン付き放射ビームを前記基板のターゲット部分上に投影する投影システムであって、光軸を有する投影システムと、
一対の実質的に平行なプレートと、前記プレートに作用して前記光軸に直交する平面における前記放射ビームの位置を調整し、および/または前記放射ビームの焦点を調整するアクチュエータと、を備えるフィールドマニピュレータと、を備え
前記アクチュエータは、前記平面に対して前記プレートのうちの少なくとも一方を傾かせて直交面における前記放射ビームの前記位置を調整する、
リソグラフィ装置。
【請求項2】
前記フィールドマニピュレータは、フィールド面に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記放射ビームをパターン付けするのに使用されるパターニングデバイスを支持するサポート構造をさらに備え、
前記フィールドマニピュレータは、前記投影システムと前記サポート構造との間に配置される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記フィールドマニピュレータは、前記投影システムと前記基板テーブルとの間に配置される、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
基板を保持する基板テーブルと、
パターン付き放射ビームを前記基板のターゲット部分上に投影する投影システムであって、光軸を有する投影システムと、
一対の実質的に平行なプレートと、前記プレートに作用して前記光軸に直交する平面における前記放射ビームの位置を調整し、および/または前記放射ビームの焦点を調整するアクチュエータと、を備えるフィールドマニピュレータと、を備え、
前記アクチュエータは、前記プレートのうちの少なくとも一方の曲率を変化させて前記放射ビームの前記焦点を調整する
リソグラフィ装置。
【請求項6】
前記アクチュエータは、前記プレートのうちの少なくとも一方の少なくとも1つの側縁部に沿って設けられた複数のアクチュエータを備える、請求項に記載の装置。
【請求項7】
基板を保持する基板テーブルと、
パターン付き放射ビームを前記基板のターゲット部分上に投影する投影システムであって、光軸を有する投影システムと、
一対の実質的に平行なプレートと、前記プレートに作用して前記光軸に直交する平面における前記放射ビームの位置を調整し、および/または前記放射ビームの焦点を調整するアクチュエータと、を備えるフィールドマニピュレータと、を備え、
前記アクチュエータは、前記プレート間の間隔を変化させ、
前記プレート間の前記間隔は局部のみが変化する、
リソグラフィ装置。
【請求項8】
局所的な間隔の変化は、前記プレートのうちの少なくとも一方を変形させることによって提供される、請求項に記載の装置。
【請求項9】
基板を保持する基板テーブルと、
パターン付き放射ビームを前記基板のターゲット部分上に投影する投影システムであって、光軸を有する投影システムと、
一対の実質的に平行なプレートと、前記プレートに作用して前記光軸に直交する平面における前記放射ビームの位置を調整し、および/または前記放射ビームの焦点を調整するアクチュエータと、を備えるフィールドマニピュレータと、を備え、
各対の一方のプレートが互いに対向する二対のプレートを備え、前記対向プレートのうちの少なくとも一方は、前記アクチュエータに接続されており、
前記対向プレート間の空間はガスで満たされている、
リソグラフィ装置。
【請求項10】
前記対向プレートは、その間に光学活性要素を画定する、請求項に記載の装置。
【請求項11】
前記対向プレートは、凹状であって、その間にレンズ状空間を画定する、請求項に記載の装置。
【請求項12】
ガスまたは液体が前記プレート間に提供される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記液体の温度を制御するコントローラをさらに備える、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
焦点エラーおよび/またはオーバーレイエラーを検出する検出器と、
検出されたエラーに応答して前記アクチュエータを制御するコントローラと、
をさらに備える、請求項1〜13のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
[0001] 本願は、2012年5月24日に出願した米国仮出願第61/651,435号の優先権を主張し、その全体を本願に参考として組み込む。
【0002】
[0002] 本発明は、リソグラフィ装置、デバイス製造方法、および位置制御および/または焦点制御を提供するフィールドマニピュレータに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上、通常、基板のターゲット部分上に付与する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に用いることができる。その場合、ICの個々の層上に形成される回路パターンを生成するために、マスクまたはレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを用いることができる。このパターンは、基板(例えば、シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、ダイの一部、または1つ以上のダイを含む)に転写することができる。通常、パターンの転写は、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層上への結像によって行われる。一般には、単一の基板が、連続的にパターニングされる隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。公知のリソグラフィ装置としては、ターゲット部分上にパターン全体を一度に露光することにより各ターゲット部分を照射する、いわゆるステッパ、および放射ビームによってある特定の方向(「スキャン」方向)にパターンをスキャンすると同時に、この方向に平行または逆平行に基板をスキャンすることにより各ターゲット部分を照射する、いわゆるスキャナが含まれる。
【0004】
[0004] リソグラフィは、ICや他のデバイスおよび/または構造の製造における重要なステップの1つとして広く認識されている。しかしながら、リソグラフィを使用して作られるフィーチャの寸法が小さくなるにつれ、リソグラフィは、小型ICあるいは他のデバイスおよび/または構造を製造できるようにするためのより一層重要な要因になりつつある。
【0005】
[0005] パターン印刷の限界の理論推定値を、式(1)に示す解像度に関するレイリー基準によって得ることができる。
【数1】
上の式では、λは使用される放射の波長であり、NAはパターンを印刷するために使用される投影システムの開口数であり、kはレイリー定数とも呼ばれるプロセス依存調整係数であり、CDは印刷されたフィーチャのフィーチャサイズ(またはクリティカルディメンジョン)である。式(1)から、フィーチャの最小印刷可能サイズの縮小は、以下の3つの方法、露光波長λを短縮することによって、開口数NAを増加させることによって、あるいはkの値を低下させることによって達成することができる、と言える。
【0006】
[0006] パターンを印刷するためにレーザが使用されるところでは、波長を大幅に変更することはできない。レイリー定数kを下げるために知られている技術はあるが、パターンの解像度を高めるための一般的な方法は、開口数NAを増大させる方法である。
【発明の概要】
【0007】
[0007] リソグラフィにおける、例えば極端紫外線(EUV)の使用によって、クリティカルディメンションはより小さく、リソグラフィシステムに要求される性能はより厳しくなっている。特に高いオーバーレイ性能を提供するためにXY平面における焦点および/または位置などの1つ以上のパラメータの高分解能制御を投影システムにおいて提供する必要性が増している。例えば、エッジロールオフ影響に対応するために純粋な焦点操作を用いることができる一方、フィールド内高次位置補正技術のためにXY位置操作を使用することができる。
【0008】
[0008] さらなる問題は、多数のマニピュレータのために投影システム内で利用可能な限られた空間である。例えば、XY位置制御および焦点制御の両方を提供することができる単一のマニピュレータを提供することが望ましい。
【0009】
[0009] 一態様によると、基板を保持するように構築された基板テーブルと、パターン付き放射ビームを基板のターゲット部分上に投影するように構成された投影システムであって、光軸を有する投影システムと、一対の実質的に平行なプレートとプレートに作用して光軸に直交する平面における放射ビームの位置を調整し、および/または放射ビームの焦点を調整するアクチュエータとを備えるフィールドマニピュレータとを備える、リソグラフィ装置が提供される。
【0010】
[00010] 一実施形態では、フィールドマニピュレータはフィールド面に配置される。例えば、フィールドマニピュレータは投影システムと放射ビームをパターン付けするのに使用されるパターニングデバイスを支持するように構成されたサポート構造との間に配置されてもよい。一実施形態では、フィールドマニピュレータは、投影システムと基板テーブルとの間に配置されてもよい。
【0011】
[00011] 一実施形態では、アクチュエータは、平面に対してプレートを傾かせて直交面における放射ビームの位置を調整するように構成される。
【0012】
[00012] 一実施形態では、アクチュエータは、プレートのうちの少なくとも一方の曲率を変化させて放射ビームの焦点を調整するように構成される。例えば、アクチュエータは、少なくとも1つのプレートを変形させるようにプレートのうちの少なくとも一方の少なくとも1つの側縁部に沿って設けられた複数のアクチュエータを備えてよい。
【0013】
[00013] 一実施形態では、アクチュエータは、プレート間の間隔を変化させるように構成される。一実施形態では、プレート間の間隔は局部のみが変化する。局所的な間隔の変化は、プレートのうちの少なくとも一方を変形させることによって提供することができる。
【0014】
[00014] 一実施形態では、各対の一方のプレートが互いに対向する二対のプレートを備えてよく、対向プレートのうちの少なくとも一方はアクチュエータに接続されている。一実施形態では、対向プレートは、その間に光学活性要素を画定する。一実施形態では、対向プレート間の空間はガス(例えば、空気または別のガス)で満たされていてよい。例えば、対向プレートは、凹状であって、その間にレンズ状空間を画定してもよい。
【0015】
[00015] 一実施形態では、液体がプレート間に提供される。一実施形態では、液体の温度を制御するように温度コントローラを備えてもよい。液体は水であってもよい。
【0016】
[00016] 一実施形態では、プレートは長方形である。
【0017】
[00017] 一実施形態では、焦点エラーおよび/またはオーバーレイエラーを検出するように構成された検出器と、検出されたエラーに応答してアクチュエータを制御するコントローラとを備えてもよい。
【0018】
[00018] 別の態様によると、リソグラフィ装置を用いてデバイスを製造する方法が提供される。この方法は、パターニングデバイスからのパターン付き放射ビームを基板のターゲット部分上に投影システムを用いて投影することと、光軸と直交する平面における放射ビームの位置を制御および/または放射ビームの焦点を制御するためにアクチュエータを用いてフィールドマニピュレータの一対の実質的に平行なプレートに作用することとを含む。
【0019】
[00019] 本発明の別の態様によると、放射ビームの位置および焦点の制御を提供するフィールドマニピュレータが提供される。このフィールドマニピュレータは、一対の実質的に平行なプレートとアクチュエータとを備え、アクチュエータは、光軸と直交する平面における放射ビームの位置を調整および/または放射ビームの焦点を調整するためにプレートに作用するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
[00020] 本発明のいくつかの実施形態を、添付の図を参照して以下に説明する。
図1】[00021] 図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置の概略図である。
図2】[00022] 図2は、本発明の一実施形態の概略図である。
図3】[00023] 図3は、第1方向のプレートの傾きを示す図2の実施形態の概略図である。
図4】[00024] 図4は、第2方向のプレートの傾きを示す図2の実施形態の概略図である。
図5】[00025] 図5は、図2の実施形態の概略平面図である。
図6】[00026] 図6は、本発明の一実施形態の概略図である。
図7】[00027] 図7は、本発明の一実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[00028] 図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示す。このリソグラフィ装置は、本発明の一実施形態によるEUV放射源を含む。この装置は、放射ビームB(例えば、EUV放射)を調整するように適合された照明システムILと、パターニングデバイスMA(例えば、マスク)を保持するように構築され、かつパターニングデバイスを投影システムPSに対して正確に位置決めするようにアライメントマークM1,M2と共に構成された第1位置決めデバイスPMに連結されたサポート構造MT(例えば、マスクテーブル)とを備える。投影システムPSは、パターニングデバイスMAによってビームBに付けられたパターンを基板Wのターゲット部分C上に転写(例えば、結像)するように適合される。装置は、さらに、基板W(例えば、レジストコートウェーハ)を保持するように構成され、かつ基板を投影システムPSに対して正確に位置決めするようにアライメントマークP1,P2と共に構成された第2位置決めデバイスPWに連結された基板テーブルWT(例えば、ウェーハテーブル)を備える。
【0022】
[00029] 照明システムとしては、放射を誘導し、整形し、または制御するために、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、またはその他のタイプの光コンポーネント、あるいはそれらのあらゆる組合せなどのさまざまなタイプの光コンポーネントを含むことができる。
【0023】
[00030] サポート構造MTは、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計、および、パターニングデバイスが真空環境内で保持されているか否かなどの他の条件に応じた態様で、パターニングデバイスMAを保持する。サポート構造は、機械式、真空式、静電式またはその他のクランプ技術を使って、パターニングデバイスを保持することができる。サポート構造は、例えば、必要に応じて固定または可動式にすることができるフレームまたはテーブルであってもよい。サポート構造は、パターニングデバイスを、例えば、投影システムに対して所望の位置に確実に置くことができる。
【0024】
[00031] 「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分内にパターンを作り出すように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用できるあらゆるデバイスを指していると、広く解釈されるべきである。放射ビームに付けたパターンは、集積回路などのターゲット部分内に作り出されるデバイス内の特定の機能層に対応することができる。
【0025】
[00032] パターニングデバイスは、透過型であっても、反射型であってもよい。パターニングデバイスの例としては、マスク、プログラマブルミラーアレイ、およびプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクは、リソグラフィでは公知であり、バイナリ、レべンソン型(alternating)位相シフト、およびハーフトーン型(attenuated)位相シフトなどのマスク型、ならびに種々のハイブリッドマスク型を含む。プログラマブルミラーアレイの一例では、小型ミラーのマトリックス配列が用いられており、各小型ミラーは、入射する放射ビームを様々な方向に反射させるように、個別に傾斜させることができる。傾斜されたミラーは、ミラーマトリックスによって反射される放射ビームにパターンを付ける。
【0026】
[00033] 投影システムは、照明システムのように、使われている露光放射にとって、あるいは真空の使用といった他の要因にとって適切な、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、またはその他のタイプの光コンポーネント、あるいはそれらのあらゆる組合せなどのさまざまなタイプの光コンポーネントを含むことができる。ガスは放射を吸収しすぎることがあるので、EUV放射に対しては真空を使用することが望ましい場合がある。したがって、真空壁および真空ポンプを用いてビームパス全体に真空環境を提供することができる。一部のガスは、例えば、汚染物がリソグラフィ装置の光学部品に届く可能性を低くするためにガス流が使用されるようにリソグラフィ装置の一部に提供されてもよい。
【0027】
[00034] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上のテーブル(例えば、2つ以上の基板テーブルおよび/または2つ以上のマスクテーブル)を有する型のものであってもよい。そのような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルは並行して使うことができ、または予備工程を1つ以上のテーブル上で実行しつつ、別の1つ以上のテーブルを露光用に使うこともできる。
【0028】
[00035] 図1に示すとおり、装置は、透過型マスクMAを採用している透過型のものである。また、装置は、プログラマブルミラーアレイを採用している反射型のものであってもよい。
【0029】
[00036] イルミネータILは、放射源SOから放射ビームを受ける。イルミネータILは、外側および/または内側半径範囲を定めるように構成された調整デバイスADと、インテグレータINと、コンデンサCOとを備える。また、例えば、適切な誘導ミラーおよび/またはビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムBDも設けられる。放射源SOおよびビームデリバリシステムBDを組み合わせて投影システムに適切な放射ビームを提供する放射システムを形成する。
【0030】
[00037] 投影システムPSは、投影システムPSの開口数を基板レベルである選択値に設定するために使用される調整可能な開口部を有する絞りを含むことができる。
【0031】
[00038] 放射ビームBは、サポート構造MT上に保持されているパターニングデバイスMAに入射する。パターニングデバイスを通り抜けた後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは、基板Wのターゲット部分C上にビームの焦点をあわせる。第2位置決めデバイスPW、アライメントマークP1,P2および位置センサIF(例えば、干渉計デバイス)を使って、さまざまなターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置決めするように、基板テーブルWTを正確に動かすことができる。同様に、第1位置決めデバイスPM、アライメントマークM1,M2および別の位置センサを使い、パターニングデバイスMAをビームBの経路に対して正確に位置決めすることもできる。通常、サポート構造MTおよび基板テーブルWTの移動は、粗動位置決めのためのロングストロークモジュールおよび微動位置決めのためのショートストロークモジュールを使って達成することができるが、ステッパの場合は(スキャナとは対照的に)、サポート構造は、ショートストロークアクチュエータのみに連結されてもよく、または固定されてもよい。
【0032】
[00039] 例示の装置は、以下のモードのうち少なくとも1つのモードで使用できる。
1.ステップモードにおいては、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MTおよび基板テーブルWTを基本的に静止状態に保ちつつ、放射ビームに付けられたパターン全体を一度にターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一静的露光)。その後、基板テーブルWTは、Xおよび/またはY方向に移動され、それによって別のターゲット部分Cを露光することができる。
2.スキャンモードにおいては、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MTおよび基板テーブルWTを同期的にスキャンする一方で、放射ビームに付けられたパターンをターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一動的露光)。サポート構造(例えば、マスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPSの(縮小)拡大率および像反転特性によって決めることができる。
3.別のモードにおいては、プログラマブルパターニングデバイスを保持した状態で、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MTを基本的に静止状態に保ち、また基板テーブルWTを動かす、またはスキャンする一方で、放射ビームに付けられているパターンをターゲット部分C上に投影する。このモードにおいては、通常、パルス放射源が採用されており、さらにプログラマブルパターニングデバイスは、基板テーブルWTの移動後ごとに、またはスキャン中の連続する放射パルスと放射パルスとの間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、前述の型のプログラマブルミラーアレイといったプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0033】
[00040] 上述の使用モードの組合せおよび/またはバリエーション、あるいは完全に異なる使用モードもまた採用可能である。
【0034】
[00041] 投影システムの精度はリソグラフィ装置の性能における重要な要素である。投影システムのエラーは、投影システム内部および外部の両方における多数の要素から生じ得る。そのようなエラーを修正する方法を提供することが望ましい。特に、例えば、XY位置の制御および焦点の操作の両方を行う方法を提供することが望ましい。これは、特に、クリティカルディメンションが小さくなるにつれて一層厳しくなるオーバーレイ性能を満たすために望ましい。オーバーレイ性能は、多層デバイスを構築することができる精度に関する。1つの層が形成された後、次の層は、第1の層と比べて一層高い精度で形成される。
【0035】
[00042] 例えば、公知の現象はエッジロールオフである。基板の端近傍領域(縁部から1mm〜5mmの距離として定義することができる)における形状の統一性の変化は、基板の中心と比較して縁部の近傍の変化により問題をもたらし得る。結果となる形状または厚さの変化はエッジロールオフ(ERO)として公知であり、これはリソグラフィ焦点制御に影響を与え得る。したがって、優れた焦点制御を提供することが望ましい。
【0036】
[00043] 加えてまたは代替的に、例えば、オーバーレイエラーを補正することができるフィールド内高次位置補正スキームで用いるXY位置の制御を与えるデバイスを提供することが望ましい。
【0037】
[00044] 一実施形態では、XY位置および焦点ずれの両方を高空間分解能で制御することができるフィールドマニピュレータが提供される。
【0038】
[00045] 図2は本発明の一実施形態を示している。図2は、パターニングデバイスステージ1、投影システム2および基板ステージ3を非常に概略的に示している。ステージ1と投影システム2との間には、X方向およびY方向(光軸と垂直の方向)の両方に傾くように適合することができるプレート4が配置される。図3および図4はプレート4の傾きを示している。プレートをY方向に傾かせることにより、X方向のイメージシフトが引き起こされる一方、X方向のプレートの傾きはY方向のイメージシフトをもたらす。当然のことながら、プレート4をX方向およびY方向の両方に傾かせて複合XY配置調整を生じさせることもできる。
【0039】
[00046] プレートは所望の厚さ、例えば1mm〜10mmの厚さであってよい。当然のことながら、図3および図4において傾きの範囲は明確性のために非常に誇張されている。例えば、厚さ1mmを有する長さ120mmのプレートは、XY平面における20nmシフトを補正するために0.013度だけ傾く必要がある。より厚いプレートは、より小さい傾きを必要とする。例えば、厚さ10mmのプレートは、20nmシフトを補正するために0.0013度だけ傾く必要がある。
【0040】
[00047] プレート4は、当該放射、例えばEUV放射を透過するあらゆる材料から成ってよく、適切な材料としてはガラスが挙げられる。一実施形態では、傾斜運動に加えてまたはその代わりにプレートが湾曲して焦点をシフトさせることができるように可撓性材料から成る。一実施形態では、プレートは図5に示すように長方形であり、プレートの湾曲は、プレート4の1つ以上の縁部に沿う1つ以上の配置に設けられた1つ以上のアクチュエータ10によって作り出すことができる。アクチュエータは、例えば、ピエゾアクチュエータであってもよい。このピエゾアクチュエータは、本明細書中にさらに述べるようにイメージコントローラによって供給される制御信号に正確かつ迅速に応答できるため適切である。
【0041】
[00048] プレート4はフィールド面の近くに配置される必要がある。それによって、プレートは、(図に示すように)パターニングデバイスの近くまたは基板の近くにあることができる。代替として、プレートは、中間または共役面の近くに配置されてもよい。この文脈における「近くに」という用語は、プレートと中間または共役面との間に屈折力を有する光学素子が配置されていないという意味として定義することができる。
【0042】
[00049] 図6は、図2の単一のプレートが一対の平行する長方形プレート4a,4bで置き換えられた実施形態を示している。一実施形態では、フィールド面は、プレート4aとプレート4bとの間に配置されてもよい。この実施形態は、余分の自由度を与えてXY位置および焦点位置の両方の制御を可能にする。例えば、一方のプレートを他方のプレートに対して移動するかまたは両方のプレートが一緒に移動することができる。プレート間の間隔の局所的変化は、プレートのうちの少なくとも一方を変形することによって与えることができる。さらに、ガスまたは液体がプレート間に提供されてもよい。一実施形態では、液体は水である。これらの異なる自由度も同様に検討することもできるが、実際には、望ましい結果を達成するために組み合わせることもできる。
【0043】
[00050] 両方のプレートを共にZ方向に(すなわち、光軸に沿って)移動することは全く影響を及ぼさないが、プレートを平行に保ちながら一方のプレートを他方のプレートに対してZ方向に移動することはZ方向の焦点位置を変更してしまう。トッププレートまたはボトムプレートのいずれかを移動することができる。プレートのうちの少なくとも一方を可撓性材料から形成し、例えば1つ以上の縁部に配置された(ピエゾ)アクチュエータを用いてそのプレートを変形させ、それによってプレート間の不均一な間隔をもたらして焦点配置のより一層の制御を可能にする。一実施形態では、プレート間に液体、例えば水、が提供される。この液体は、一方のプレートが変形したときに作り出される空間を占有する。使用時、液体はEUV放射を透過すべきである。この目的のためには水が適切な液体であるが、当該放射を透過するという条件で別の可能な材料を用いてもよい。システムの特定の性能は当然のことながら選択された設計パラメータによって決まる一方、通常、プレート間の間隔の変化に対する焦点位置の感度は、約20nm/μmである。
【0044】
[00051] 水(または他の適切な液体)を2つのプレート間の空間のみに供給するか、あるいは光学システムは水(または他の適切な液体)が至る所に存在する液浸型であってもよいことに留意されたい。液体が2つのプレート間の空間のみに供給される実施形態では、1つの可能な設計制約としては、一方のプレートの変形に関わらずプレート間の空間を実質的に一定に保つことによって空間が常に液体で満たされることが挙げられる。あるいは、プレート間の空間のあらゆる増大または縮小に対応するために2方向の液体供給を設けてもよい。
【0045】
[00052] 水(または他の適切な液体)を用いることによって与えられる別の選択肢は、ヒータおよび/またはクーラを含めることによって液体の温度を制御できることである。これは、屈折率が温度の関数として変動し、温度を制御することによって屈折率を制御することができるため有用である。屈折率の変化は、プレート間の間隔の変化と同等である。
【0046】
[00053] 水(または他の適切な液体)を用いることによる利点は、水が間隔をおいて置き換えられることによってプレート間の空間を洗い出すためにその水を使用できることである。
【0047】
[00054] 上記したように、(1つまたは複数の)プレートは、長方形であってパターニングデバイスの形状に適合することが望ましい。(1つまたは複数の)アクチュエータの配置に関する選択肢は多数ある。アクチュエータをプレートの一側面のみに沿って設けることによってある効果を得られるが、アクチュエータを少なくとも2つの直交する側面に沿って設けることが望ましく、プレートの最大限の制御および可能な変形を提供するためには、アクチュエータを4つの全ての側面に設けてもよい。各側面に対するアクチュエータの数は設計制約として選択することができるが、一実施形態では、スキャン方向に実質的に平行に延在するプレートの側面(パターニングデバイスに適合する場合、プレートの短い方の側面)に沿うアクチュエータは少なく、非スキャン方向に沿うアクチュエータの数の方が多い。
【0048】
[00055] 図2の実施形態のように、1つ以上のプレートの傾きを用いてXY位置制御を提供することができる。2つのプレートは、共に平行に傾いていることが望ましい。1つのプレートのみを傾かせることは、プレートの片側から反対側までのプレート間の間隔の差をもたらし、結果的に焦点制御を失うことになる。両方のプレートを同じくらい反対方向に傾かせることも同様に、焦点制御の失うことをもたらす。しかしながら、1つのプレートのみまたは両方のプレートを反対方向に傾かせることは、結果として得られる焦点ずれに対して補償行為が行われる場合は高分解能XY位置制御を生じさせることが可能である。先と同様に、システムの正確な性能特性は選択された設計パラメータによって決まるが、通常、両方のプレートが平行に傾いている場合、XY平面のシフトの感度は、約159nm/mradである。
【0049】
[00056] プレートの変形を生成するためにプレートの(1つまたは複数の)縁部に配置されるものとプレートを傾かせるかまたはプレートをZ軸に沿って移動させるために使用されるものを含む全てのアクチュエータは、メトロロジシステムから位置および焦点情報を受信するコントローラから制御信号を受信する。
【0050】
[00057] 図6に示す上記の実施形態に関して、焦点とオーバーレイ感度との比率は重要な要素である。例えば、オーバーレイに対する影響を小さく保ったまま焦点を補正できることが望ましい。焦点の変化は、局所的なプレートの厚さ変化および局所的なプレートの曲率変化によって得られる。XY配置変化は、局所的なプレートの傾き変化(および局所的なプレートのウェッジ変化)に起因する。配置変化は、プレートの厚さによってさらに増す(すなわち、所定のプレートの傾きに対して、より厚いプレートがより大きいXY変化をもたらす)。これは、焦点を変更するときに余分なXYエラーを生成しないようにオーバーレイ感度を減少させるためには、プレートはできる限り薄い必要があることを意味する。
【0051】
[00058] 図7は、4a,4bおよび4c,4dの二対を定義する4つのプレート4a〜4dが存在する実施形態を示す。各対の間には水などの液体5が提供される。パターニングデバイスに最も近いプレート4aおよび基板に最も近いプレート4dの両方は、平坦なプレートである。プレート4bおよび4cの両方は、空気(または他の適切なガス)で満たされかつ光学活性要素を提供するレンズ状空間6がそのプレート間で画定されるように凹状である。プレート4a,4dは操作されないが、プレート4b,4cのうちの1つ以上は上記した1つ以上の側縁部に沿って設けられた1つ以上のアクチュエータによって操作することができ、それによってプレート4b,4cの局所的変形は、レンズ状空間6によって画定される活性要素の曲率の変化をもたらす。操作される要素4b,4cは比較的薄いため、この実施形態は、オーバーレイに過度の悪影響を与えることなく焦点制御を可能にする。プレート4b,4cの他の形状も可能であり、例えば、凸状またはあらゆる望ましい自由形状であってもよい。
【0052】
[00059] 本明細書において、IC製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされているが、本明細書記載のリソグラフィ装置が、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造といった他の用途を有し得ることが理解されるべきである。当業者にとっては当然のことであるが、そのような別の用途においては、本明細書で使用される「ウェーハ」または「ダイ」という用語はすべて、それぞれより一般的な「基板」または「ターゲット部分」という用語と同義であるとみなしてよい。本明細書に記載した基板は、露光の前後を問わず、例えば、トラック(通常、基板にレジスト層を塗布し、かつ露光されたレジストを現像するツール)、メトロロジーツール、および/またはインスペクションツールで処理されてもよい。適用可能な場合には、本明細書中の開示内容を上記のような基板プロセシングツールおよびその他の基板プロセシングツールに適用してもよい。さらに基板は、例えば、多層ICを作るために複数回処理されてもよいので、本明細書で使用される基板という用語は、すでに多重処理層を包含している基板を表すものとしてもよい。
【0053】
[00060] 「レンズ」という用語は、文脈によっては、屈折、反射、磁気、電磁気、および静電型光コンポーネントを含む様々な種類の光コンポーネントのいずれか1つまたはこれらの組合せを指すことができる。
【0054】
[00061] 「EUV放射」という用語は、5〜20nmの範囲内、例えば、13〜14nmの範囲内、例えば、6.7nmまたは6.8nmなどの5〜10nmの範囲内の波長を有する電磁放射を包含しているとみなしてよい。
【0055】
[00062]以上、本発明の具体的な実施形態を説明してきたが、本発明は、上述以外の態様で実施できることが明らかである。例えば、本発明は、上記に開示した方法を表す1つ以上の機械読取可能命令のシーケンスを含むコンピュータプログラムの形態、またはこのようなコンピュータプログラムが記憶されたデータ記憶媒体(例えば、半導体メモリ、磁気ディスクまたは光ディスク)の形態であってもよい。上記の説明は、制限ではなく例示を意図したものである。したがって、当業者には明らかなように、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本記載の発明に変更を加えてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7