(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基材樹脂フィルムを構成する層のうち少なくとも1層が、スチレン−水添イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−水添ブタジエン−スチレン共重合体およびスチレン−水添イソプレン/ブタジエン−スチレン共重合体から選ばれた少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1に記載の制振性粘着シート。
前記基材樹脂フィルムを構成する層のうち少なくとも1層が、(A)成分としてポリプロピレン系樹脂100質量部に対し、(B)成分としてスチレン−水添イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−水添ブタジエン−スチレン共重合体およびスチレン−水添イソプレン/ブタジエン−スチレン共重合体から選ばれた少なくとも1種30〜100質量部を含有する樹脂組成物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の制振性粘着シート。
前記基材樹脂フィルムを構成する層のうち少なくとも1層が、(A)成分を連続相とし、(B)成分を分散相とし、当該分散相の平均直径が15nm以上であることを特徴とする請求項3に記載の制振性粘着シート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の好ましい実施形態を説明する。
[粘着シート]
本発明の好ましい粘着シートの実施形態は
図1に示すように基材樹脂フィルム1と、基材樹脂フィルム1上に粘着剤層2が形成されている。
本発明において、損失係数の値は、該粘着シートを幅5mmに加工した試験片を用いて、動的粘弾性測定装置により測定した温度23℃で周波数10〜100Hzにおける損失係数の最小値が0.15以上である。
【0009】
一般的な動的粘弾性の測定方法は、試験体に周期的な微小歪を与え、それに対する応答を測定する方法であり、この方法を用いることにより、試験体における弾性要素と粘性要素の両方の要素をどの程度有するのか知ることができる。試験体が完全な弾性体であれば、それに対する応答は同位相で現れ、貯蔵弾性率と、損失弾性率の比で求められる損失係数は零となる。しかし粘性要素が存在すると、応答に遅れが生じ、損失係数は、正の値をとる。
貯蔵弾性率は弾性要素に起因して現れ、弾性要素は応力印加によって変形した際、それに対する応答を受け、力学的エネルギーが保存される性質を有するのに対し、損失弾性率は粘性要素に起因して現れ、応力印加によって変形した際、印加した応力に応じた力学的エネルギーは熱として消費される性質を有する。
【0010】
本発明においては、粘着シートの損失係数が特定の値以上であれば、輸送時の振動に対する内部デバイスの振動を抑制できるため、機器の破損を回避し、かつ電子機器の作動・操作を精密に制御することができる。
また動的粘弾性は印加される電子機器固有の周波数と測定温度によりその値は変化するため、温度を一定とし周波数特性を採取することや、一定周波数を印加して温度特性を採取することが可能である。
【0011】
本発明においては、損失係数は、動的粘弾性測定装置(例えば、ユービーエム社製、商品名「Rheogel−E4000」)で、測定される貯蔵引張弾性率(E’)と、損失引張弾性率(E’’)の比(E’/E’’)から求めることができる。温度23℃での周波数10〜100Hzにおける損失係数の最小値は、温度を23℃に固定することにより、その応答から求めることができる。
温度23℃で周波数10〜100Hzは、室温において、電子機器を輸送する際の振動に相当し、温度23℃で周波数10〜100Hzにおける損失係数の最小値を0.15以上とすることで、電子機器を輸送する際の振動によるデバイスの破壊を免れることができる。粘着シートの損失係数の最小値は0.15以上が適当であるが、好ましくは0.20以上、更に好ましくは0.30以上である。
【0012】
本発明におい
ては、基材樹脂フィルムと、該基材樹脂フィルム上に粘着剤層が形成された粘着シートであって、該粘着シートを幅5mmに加工した試験片を用いて、動的粘弾性測定装置により測定した温度23℃で周波数100〜1000Hzにおける損失係数の最小値が0.25以上である粘着シートである。温度23℃で周波数100〜1000Hzは落下時の衝撃に対応し、内部デバイスへの衝撃を緩和できるため、機器の破損を回避することができる。測定方法は周波数以外、前記と同様であり、粘着シートの損失係数の最小値は0.25以上が適当であるが、好ましくは0.30以上、更に好ましくは0.40以上である。
【0013】
本発明は、基材樹脂フィルムと、該基材樹脂フィルム上に粘着剤層が形成された粘着シートであって、該粘着シートを幅5mmに加工した試験片を用いて、動的粘弾性測定装置により測定した温度23℃で周波数10〜100Hzにおける損失係数の最小値が0.15以上であり、かつ周波数100〜1000Hzにおける損失係数の最小値が0.25以上である粘着シートである。この粘着シートにより、輸送時の振動及び落下時の衝撃双方に対応することができる。温度23℃で周波数10〜100Hzにおける損失係数の最小値は0.15以上が適当であるが、好ましくは0.20以上、更に好ましくは0.30以上である。また、温度23℃で周波数100〜1000Hzにおける損失係数の最小値は0.25以上が適当であるが、好ましくは0.30以上、更に好ましくは0.40以上である。
【0014】
本発明の粘着シートは、JIS B 7721にて、90度引きはがし法により、引張速さ50mm/minで測定したときの粘着力は0.2〜2.0N/25mmであ
る。粘着力がこの範囲で必要な貼合性を示す。0.2N/25mm以上とすることで被着体に固定することが可能であり、かつ経時による自己剥離も発生しない。好ましくは0.4N/25mm以上、更に好ましくは0.5N/25mmである。
上限を2.0N/25mm以下とすることで、的確な位置に貼合できない場合、剥離し、再度貼合することが可能となる。好ましくは1.5N/25mm以下、更に好ましくは1.0N/25mm以下である。粘着力が大きすぎるとリワーク性が悪くなる。
【0015】
(基材樹脂フィルム)
本発明の粘着シートに用いられる基材樹脂フィルムには、輸送時の振動もしくは落下時の衝撃に耐えうる材料であれば特に制限なく使用することができる。本発明においては、基材樹脂フィルムの樹脂には、プラスチック、熱可塑性エラストマー、ゴムなどシート状に成形できるものを含むものとする。この樹脂として例えば、スチレン−水添イソプレン−スチレンブロック共重合体(以下、「SEPS」という)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(以下、「SIS」ということがある。)、スチレン−水添ブタジエン−スチレン共重合体(以下、「SEBS」ということがある。)およびスチレン−水添イソプレン/ブタジエン−スチレン共重合体(以下、「SEEPS」ということがある。)から選ばれた少なくとも1種を挙げることができる。基材樹脂フィルム1は単層でも複層でもよく、複層の場合は異なる材料でも、同一の材料でもよい。
前記基材樹脂フィルムを構成する層が複層の場合は、少なくとも1層が、スチレン−水添イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−水添ブタジエン−スチレン共重合体およびスチレン−水添イソプレン/ブタジエン−スチレン共重合体から選ばれた少なくとも1種を含有するのが好ましい。このSEPS、SIS、SEBS、SEEPSから選ばれた少なくとも1種からなる層は、積層して組み合わせて用いることもできる。
【0016】
さらに好ましい基材樹脂フィルムを構成する層を以下に述べる。
前記基材樹脂フィルムを構成する層のうち少なくとも1層が、(A)成分としてポリプロピレン系樹脂100質量部に対し、(B)成分としてスチレン−水添イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−水添ブタジエン−スチレン共重合体およびスチレン−水添イソプレン/ブタジエン−スチレン共重合体から選ばれた少なくとも1種30〜100質量部を含有する樹脂組成物であることが好ましい。
【0017】
さらにSEPS、SIS、SEBS、SEEPSから選ばれた少なくとも1種からなる層には、ポリプロピレン、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン・プロピレン共重合体、プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体加硫物、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリアミド、アイオノマー、ニトリルゴム、ブチルゴム、スチレンイソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、天然ゴムおよびその水添加物または変性物等などを配合した樹脂組成物とすることができる。
【0018】
基材樹脂フィルムを構成する層のうち少なくとも1層は、(A)成分としてポリプロピレン系樹脂と、(B)成分としてスチレン−水添イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−水添ブタジエン−スチレン共重合体およびスチレン−水添イソプレン/ブタジエン−スチレン共重合体から選ばれた少なくとも1種を含有する樹脂組成物とすることが好ましい。この場合のポリプロピレン系樹脂は、ポリプロピレンホモポリマー、エチレン・プロピレン共重合体、プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体加硫物等を含み、共重合体の場合はランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれでもよく、適宜選択される。
【0019】
本発明において、(A)成分のポリプロピレン系樹脂と、(B)成分のSEPS、SIS、SEBSおよびSEEPSから選ばれた少なくとも1種との配合量は、フィルム強度と制振性のバランスを考慮して適宜決定できる。
具体的には、(A)成分のポリプロピレン系樹脂100質量部に対して、(B)成分のSEPS、SIS、SEBSおよびSEEPSから選ばれた少なくとも1種を30〜100質量部とすることが好ましい。(A)成分100質量部に対して、(B)成分のSEPS、SIS、SEBSおよびSEEPSから選ばれた少なくとも1種が30質量部未満の場合は、十分な制振性が得られ
ない場合がある。また、(A)成分100質量部に対して、(B)成分のSEPS、SIS、SEBSおよびSEEPSから選ばれた少なくとも1種が100質量部を越えると、フィルム自体が軟らかくなりすぎ、取扱いに支障が生じる。
【0020】
また、前記基材樹脂フィルムを構成する層のうち少なくとも1層が、(A)成分を連続相とし、(B)成分を分散相とし、当該分散相の平均直径が15nm以上とすることができる。
【0021】
(A)成分としてポリプロピレン系樹脂と、(B)成分としてスチレン−水添イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−水添ブタジエン−スチレン共重合体およびスチレン−水添イソプレン/ブタジエン−スチレン共重合体から選ばれた少なくとも1種を含有する樹脂組成物においては、(A)成分を連続相とし、(B)成分を分散相とし、当該分散相粒子の平均直径が15nm以上であることが好ましい。この分散相の粒子の上限には特に制限はないが、大きすぎると、局所的にフィルム強度がばらつく場合があり、好ましくは25nm以下とする。
【0022】
(A)成分を連続相とし、(B)成分を分散相とした樹脂組成物において、応力印加時における引張りもしくはその復元過程で、(B)成分同士の分子鎖もしくは側鎖の衝突により、エネルギー損失を生じる。(B)成分の分散相の平均直径が15nm未満の場合には、隣接する分子鎖が少ないため、チッピング抑制するためのエネルギー損失が十分に得られず、ダイシング時に発生したチップの振動を減衰させにくい場合がある。
【0023】
基材樹脂フィルムの粘着剤層と接する面には密着性を向上するために、コロナ処理を施したり、プライマー等の他の層を設けてもよい。基材樹脂フィルム1の厚さは特に制限されないが、制振性を得る為には50um以上が好ましく、より好ましくは70um以上であり、更に好ましくは140um以上である。厚みが大きくなりすぎると小型機器内への設置が難しいことから、1mm以下の厚みがこのましく、より好ましくは800um以下であり、更に好ましくは600um以下、最も好ましくは200um以下である。また、基材樹脂フィルム1が複層で構成される場合には、上記SEPS、SIS、SEBS又はSEEPS含有層の厚さは5〜500μmであることが好ましい。
【0024】
(粘着剤層)
前記粘着剤層を形成する粘着剤がアクリル系粘着剤であることが好ましいが、粘着剤層は、種々の粘着剤により形成され得る。このような粘着剤としては、何ら限定されるものではないが、たとえばゴム系、アクリル系、シリコーン系、ポリビニルエーテル系等をベースポリマーとした粘着剤が用いられる。
これらのベースポリマーに凝集力を付加するために架橋剤を配合することができる。
該架橋剤としては、ベースポリマーに対応して、例えばイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン樹脂などが挙げられる。さらに粘着剤には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、各種添加成分を含有させることができる。
上記のゴム系あるいはアクリル系のベース樹脂は、天然ゴム、各種の合成ゴムなどのゴム系ポリマー、あるいはポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとこれと共重合可能な他の不飽和単量体との共重合物などのアクリル系ポリマーが使用される。
【0025】
また上記の粘着剤中に、イソシアネート系硬化剤を混合することにより、初期の粘着力を任意の値に設定することができる。このような硬化剤としては、具体的には多価イソシアネート化合物、たとえば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、リジンイソシアネートなどが用いられる。
硬化剤の量は、適宜粘着力を考慮して定められるが、粘着剤に対して好ましくはベースポリマー100質量部に対し0.1〜15質量部、より好ましくは1〜10質量部である。
粘着剤層の厚さは特に制限されないが、好ましくは4〜30μm、特に好ましくは5〜25μmである。
【0026】
[制振粘着テープとしての使用方法]
本発明の制振粘着テープは該粘着シートを電子デバイスに貼合し、これを組み込んだ電子機器を携帯用途に用いることができる。これにより振動に弱い電子部品等のデバイスを輸送時の振動・衝突に対する耐性を高めることができる。
【0027】
このような用途の好ましい実施形態を
図2を参照して説明する。
図2は本発明の粘着シートを、電子機器内に設置する際の組立例を示す模式図である。
図中、10は本発明の粘着シートであり、基材フィルム11に粘着剤層12を有している。13は粘着シート10の粘着剤層12を貼合する電子基板である。この粘着剤層12を貼合した電子基板13(貼合工程)を収納する筐体は、正面筐体14と背面の筐体板15とを組み立て(組立工程)てなる。
図中矢印は、上述の粘着剤層3を貼合した電子基板4収納するように各部材を組み立てる動作を示す。
電子基板13上には、正面筐体14と背面の筐体板15とを組み合わせた筐体内の空間を利用して図示しないが回路が形成されており、適宜にモバイル電子機器(例えばスマートフォン)では非常に微細な各種の電子部品が高密度にマウントされている。これは筐体内の狭小空間を利用して行われる。
【実施例】
【0028】
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例で用いた粘着剤、基材構成樹脂は以下のとおりである。
【0029】
[粘着剤]
アクリル系ベースポリマー(2−エチルヘキシルアクリレート、メチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートからなる共重合体、重量平均分子量20万、ガラス転移点=−35℃)100質量部にポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製、商品名コロネートL)を表1に示す質量部を混合して得た。
【0030】
[基材構成樹脂]
実施例1〜8、12及び比較例1〜3は、スチレン−水添イソプレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)(クラレ社製、商品名「セプトンKF−2104」)とホモプロピレン(PP)(宇部興産社製、商品名「J−105G」)を表1で示す配合比で混合し、2軸混練機で、約200℃でフィルム押し出し成形にて加工し、厚さ100μmの基材樹脂フィルムを製造した。
実施例11は、中間層をスチレン−水添イソプレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)(クラレ社製、商品名「セプトンKF−2104」)30μmとし、その両側にホモプロピレン(PP)(宇部興産社製、商品名「J−105G」)100質量部に対し、スチレン−水添イソプレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)(KURARAY社製、商品名「セプトンKF−2104」)30質量部からなる樹脂組成物層各35μmとした3層構成の厚さ100μmの基材樹脂フィルムを約200℃でフィルム押し出し成形して得た。
実施例9,10は、上記スチレン−水添イソプレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)に代えて、次の共重合体をそれぞれ表1に示す配合比で混合した以外は、実施例1と同様に行いウエハ貼着用粘着シートを製造した。
スチレン−水添ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS)
(クラレ社製、商品名「セプトン8104」)
スチレン−水添イソプレン/ブタジエン−スチレン共重合体(SEEPS)
(クラレ社製、商品名「セプトン4033」)
比較例4は、アイオノマーとして、三井・デュポンポリケミカル社製、商品名「ハイミラン1554」を使用し、約200℃でフィルム押し出し成形にて加工し、厚さ100μmの基材樹脂フィルムを製造した。
【0031】
[粘着シートの調製]
上記の基材樹脂フィルムの一方の表面に、上記の粘着剤を厚さ10μmに塗工して、粘着剤層を形成し粘着シートを製造した。
【0032】
[粘着シートの試験方法]
このようにして製造した粘着シートを下記の物性について試験した。その結果を下記表1に示した。
(損失係数)
実施例および比較例の粘着シートから、幅5mm×長さ10mmの試験片を切り出した。その試験片を動的粘弾性測定装置(ユービーエム社製、Rheogel−E4000)の支持用治具に固定し、温度23℃、所定の周波数で測定し、その範囲内での損失係数の最小値を得た。
(粘着力)
実施例および比較例の粘着シートに対し、JIS B 7721にて、90度引きはがし法により、引張速さ50mm/minで粘着力を測定した。被着体は#280−SUSである。
(製造性)
ライン速度10m/分以上にて製膜可能な場合、製造性○とした。損失係数が大きくなると、塑性変形をするため、ライン速度アップにより、製膜・巻取り後、ロールに皺が生じる。したがって、10m/分未満での製膜しか対応できない場合は製造性△とした。
(貼合性)
粘着テープを25mm×100mmに切り出し、#280のSUS板(50mm×150mm×2mmt)に貼合した際、以下を目視にて確認した。
◎:貼合7日後問題無し
○:7日後周辺部浮き有り
△:1日後周辺部浮き有り
×:貼合後即自己剥離
(リワーク性)
上記要領にて貼合後、剥離し、以下を確認した。
◎:容易に剥離可能
○:剥離可能
△:剥離後糊残り発生
×:剥離不可
(耐衝撃性試験)
測定機:デュポン式耐衝撃試験機
被着材:ABS板 50mm x 50mm x 4mm
被着材:アクリル板 15mm x 15mm x 4mm
接着面積:15mm x 15mm
[貼り合わせ常温1日放置、測定環境で30分放置後、測定]
測定環境:10°C
下記の各種高さから重さ300gの衝撃をかけて、アクリル板の落下有無を試験した。結果を下記の基準で評価した。落下しない場合は高さで、△、○、◎で示した。落下した場合は×で示す。
測定高さ:10cm(△)、15cm(○)、20cm(◎)。10cmで落下(×)
【0033】
[電子機器への適用]
外寸114mm×57mm×10mmtのスマートフォン内に、上記実施例の粘着シート100mm×45mmに切り出し、筐体内部に貼り付けた(
図2参照)。
【表1】
上記表1の結果から明らかなように、比較例1では損失係数が低く、振動吸収性能が不足し、耐衝撃性試験の結果が不合格であり、比較例2では粘着力が低いため貼合性が悪く、貼合後即自己剥離した。比較例3では、粘着力が高いため貼合後剥離がしにくくなり、リワーク性が悪かった(剥離不可)。比較例4では、損失係数が低く、振動吸収性能が不足したため耐衝撃性試験の結果が不合格であった。これに対し、実施例1〜12では、粘着力が高く、耐衝撃性、製造性、貼合性及びリワーク性が優れるか少なくとも良好であった。