(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の電池監視システム及び電圧検出回路の一例を
図6及び
図7に示す。なお、ここでは、具体的一例として、
図6に示すように、電池セル群12のうち3つの電池セルCについて図示している。従来の電池監視システム100の電圧検出回路200では、各電池セルC毎に、
図7に示した電圧検出回路200を備えている。
【0006】
電圧検出回路200は、電池セルCの電池電圧(高電位側の電圧と低電位側の電圧との差)を抵抗Ra及び抵抗Rbで分圧した電圧を基準電圧発生回路により発生された基準電圧と比較して、比較結果を出力する比較回路(コンパレータ300)を備えている。
【0007】
図6に示すように、従来の電池監視システム100では、隣接する電池セルCの電池電圧が異なる場合には、電池セル群12と電圧検出回路200との間に接続されているノイズ除去フィルタ14の影響により、電池セルCの電池電圧が正確に検出できないという問題があった。
【0008】
従来の電圧検出回路200の動作を
図8を参照して説明する。
図8に示すように、電池セルC1に流れる電流をI1、電圧検出回路200の入力電圧をV1とする。同様に、電池セルC2に流れる電流をI2、電圧検出回路200の入力電圧をV2とし、電池セルC3に流れる電流をI3、電圧検出回路200の入力電圧をV3とする。
【0009】
ノイズ除去フィルタ14は、RC回路よりなるLPF(ローパスフィルタ)である。なお、RC回路の同一の符号が付された抵抗の抵抗値は等しくなっている。
【0010】
まず、隣接する電池セルCの電池電圧が等しい場合について説明する。具体的には、電池セル群12の電池セルC(C1〜C3)の電池電圧が全て等しい状態になっている。
【0011】
ノイズ除去フィルタ14の抵抗Raに流れる電流は、低電位側(下段)の電池セルCから流れる電流の向きと高電位側(上段)の電池セルCから流れる電流の向きとが逆になっている。電池セルCの電池電圧が等しいため、両電流値は等しく、抵抗R1に流れる電流は相殺されて抵抗R1での電圧降下は発生しない。従って、電池セルCの電池電圧が等しい場合には、各電池セルCの電池電圧が電圧検出回路200の入力電圧Vとなり、誤差が発生しない。
【0012】
なお、最上位の電池セルC3に接続される抵抗R2には、1方向の電流(上述の低電位側の電池セルから流れる電流に該当)しか流れないため、抵抗R2での電圧降下が発生し、最上位の電池セルC3の電池電圧と電圧検出回路200の入力電圧Vとの間に誤差が生じてしまうが、抵抗R2の抵抗値を小さくし、誤差の影響を軽減する対策が一般にとられている。
【0013】
次に、隣接する電池セルCの電池電圧が等しくない場合について説明する。具体的一例として、電池セルC1の電池電圧が他の電池セルC(C2、C3)よりも小さい場合について説明する。この場合、I1≠I2となる。
【0014】
電池セルC1と電池セルC2とに接続されるノイズ除去フィルタ140のR1に流れる電流は、電流I1と電流I2の引き算となる。電池セルC1より電池セルC2の方が電池電圧が大きいため、電流I1より電流I2の方が大きくなる。従って、抵抗R1を流れる電流が実質的にゼロにならず、電流I1と電流I2との差の電流により、電圧降下が発生してしまう。このため、電圧検出回路200の入力電圧Vと電池セルCの電池電圧との間に誤差が生じてしまい、正確な電圧検出ができなくなるという問題が生じる。
【0015】
本発明は、上述した問題を解決するために提案されたものであり、電池セルの電池電圧のばらつきにかかわらず、電池電圧を正確に検出することができる、半導体装置及び電池監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明の半導体装置は、直列に接続された複数の電池セルの隣接する電池セルの各々の間に、抵抗素子を介して接続された複数の配線と、
前記直列に接続された複数の電池セルの各々に対応して設けられ、前記電池セルの各々の高電位側に接続された前記配線と低電位側に接続された前記配線によって得られる電圧に応じて前記電池セルの電池電圧値を検出可能な
複数の電圧検出手段と、
前記直列に接続された複数の電池セルの各々に対応して設けられると共に、直列に接続され、且つ、前記複数の配線の各々の高電位側の電池セルによって前記抵抗素子に第1の方向にて流れる第1の電流と、前記複数の配線の各々の低電位側の電池セルによって前記抵抗素子に第2の方向にて流れる第2の電流と、を相殺させるための調整が可能な
定電流を発生させる複数の調整手段と、を備える。
また、上記目的を達成するために、本発明の半導体装置は、
直列に接続された複数の電池セルの隣接する電池セルの各々の間に、抵抗素子を介して接続された複数の配線と、前記電池セルの各々の高電位側に接続された前記配線と低電位側に接続された前記配線とによって得られる電圧に応じて前記電池セルの電池電圧を検出可能な電圧検知部と、前記複数の電池セルの各々の高電位側に接続されている配線の電池セルによって前記抵抗素子に第1の方向にて流れる第1の電流と、前記複数の電池セルの各々の低電圧側に接続されている配線中の他の電池セルによって前記抵抗素子に第2の方向にて流れる第2の電流と、を相殺させるための調整が可能な調整部と、を備え、前記調整部は、定電流源であると共に前記複数の電池セルの各々に対応して設けられ、且つ、各々の前記調整部は直列に接続されていることを特徴とする。
また、上記目的を達成するために、本発明の半導体装置は、直列に接続された複数の電池セルの隣接する電池セルの各々の間に、抵抗素子を介して接続された複数の配線と、
前記電池セルの各々の高電位側に接続された前記配線とグランドとの間に直列に接続された抵抗と第1定電流源、電源線と前記電池セルの各々の低電位側に接続された前記配線との間に第2定電流源と直列に接続され前記第2定電流源の定電流により基準電圧を生成する基準電圧生成部、及び直列に接続された抵抗と前記第1定電流源との交点の電圧と前記基準電圧との差を出力する比較回路を備え、前記電池セルの各々の高電位側に接続された前記配線と低電位側に接続された前記配線によって得られる電圧に応じて前記電池セルの電池電圧値を検出可能な電圧検出手段と、
グランド電位を基準として定電流を生成する前記第1定電流源、及び電源電圧を基準として定電流を生成する前記第2定電流源であり、前記複数の配線の各々の高電位側の電池セルによって前記抵抗素子に第1の方向にて流れる第1の電流と、前記複数の配線の各々の低電位側の電池セルによって前記抵抗素子に第2の方向にて流れる第2の電流と、を相殺させるための調整が可能な調整手段と、を備える。
【0017】
また、本発明の電池監視システムは、直列に接続された複数の電池セルと、前記複数の電池セルの高電位側に接続された、抵抗素子及び容量素子からなるノイズ除去手段と、前記複数の電池セルの隣接する電池セルの各々の間に、前記ノイズ除去手段の前記抵抗素子を介して接続された複数の配線と、
前記直列に接続された複数の電池セルの各々に対応して設けられ、前記電池セルの各々の高電位側に接続された前記配線と低電位側に接続された前記配線によって得られる電圧に応じて前記電池セルの電池電圧値を検出可能な
複数の電圧検出手段と、
前記直列に接続された複数の電池セルの各々に対応して設けられると共に、直列に接続され、且つ、前記複数の配線の各々の高電位側の電池セルによって前記抵抗素子に第1の方向にて流れる第1の電流と、前記複数の配線の各々の低電位側の電池セルによって前記抵抗素子に第2の方向にて流れる第2の電流と、を相殺させるための調整が可能な
定電流を発生させる複数の調整手段と、を備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電池セルの電池電圧のばらつきにかかわらず、電池電圧を正確に検出することができる、という効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1の実施の形態]
以下、図面を参照して第1の実施の形態の電圧検出回路、及び当該電圧検出回路により電池セルの電圧を検出する電池監視システムについて詳細に説明する。
【0021】
まず、本実施の形態の電池監視システムの構成について説明する。
図1に、本実施の形態の電池監視システムの概略構成の一例を示す。
図1に示した本実施の形態の電池監視システム10は、複数の電池セルCを含む電池セル群12(本実施の形態では、電池セル群12のうち、三個の電池セルCについて図示している)と、ノイズ除去フィルタ14と、電池セル群12の各電池セルの電池電圧を検出する電圧検出回路20を備えた半導体装置16と、を備えている。
【0022】
半導体装置16は、電圧検出回路20と、MCU22と、を備えており、電池セル群12の各電池セルC(C1〜C3)の高電位側と、低電位側とが、端子(パッド)23を介して各電圧検出回路20
1〜20
3に接続されている(
図2参照、)。
【0023】
MCU22は、CPUやROM、RAM等のメモリから構成されており、各電圧検出回路20(20
1〜20
3)から出力された出力OUTが所定の電位であるか否かにより、予め定められた処理を行う機能を有するものである。
【0024】
本実施の形態では、電圧検出回路20は、電池セルC(C1〜C3)毎に電圧検出回路20
1〜20
3が設けられている。本実施の形態の各電圧検出回路20
1〜20
3と電池セル群12との関係を
図2に示す。なお、以下では、電圧検出回路20
1〜20
3の個々についていう場合は、個々を示す符号を付していい、総称する場合は、単に電圧検出回路20という。
【0025】
電池セル群12と電圧検出回路20(半導体装置16)との間には、ノイズ除去フィルタ14が接続されている。ノイズ除去フィルタ14はRC回路よりなるLPF(ローパスフィルタ)である。ノイズ除去フィルタ14は、高周波成分をカットすることにより、各電池セルCで発生した急峻な電圧変動を抑制する機能を有するものである。ノイズ除去フィルタ14のRC回路の抵抗は、最高電位の電池セルC(C3)の高電位側に接続された抵抗R2のみ、他のRC回路の抵抗R1よりも抵抗値が小さくなっている(詳細後述)。
【0026】
各電圧検出回路20は、各電池セルCの電池電圧を検出する機能を有している。本実施の形態の電圧検出回路20の概略構成の一例の回路図を
図3に示す。
【0027】
本実施の形態の電圧検出回路20は、電圧検出回路20の入力電圧Vの間(電池セルCの高電位側に接続された配線lと低電位側に接続された配線lとの間)に、抵抗Raと、定電流源I0とが直列に接続されており、その交点の電圧がコンパレータ30の非反転端子に入力されている。一方、コンパレータ30の反転端子には、基準電圧発生回路で発生された基準電圧が入力されるように接続されている。コンパレータ30は、非反転端子に入力された電圧と反転端子に入力された基準電圧との差を出力する。抵抗Raには、定電流源I0の定電流I0が流れるため、コンパレータ30の非反転端子に入力される電圧は、V−I0×Raになる。一方、反転端子には、基準電圧発生回路で発生された基準電圧が入力されるため、定電流I0及び抵抗Raに応じた基準電圧を設定しておくことにより、コンパレータ30からは、入力電圧V(または、入力電圧Vに応じた電圧)が出力される。
【0028】
次に本実施の形態の電圧検出回路20の電圧検出動作について
図4を参照して説明する。
図4では、具体的一例として、電池セル群12が3個の電池セルCによりなり、電池セルC3が最高電位、電池セルC1が最低電位に接続されている場合を示している。
図4に示した電圧検出回路20
1〜20
2は、略同様であり、各抵抗Ra(Ra
1〜Ra
3)の抵抗値、及び定電流源I0(I0
1〜I0
3)の電流値は等しく、基準電圧発生回路は同様の構成となっている。
【0029】
また、
図4では、電池セルC1に流れる電流をI1、電圧検出回路20
1の入力電圧をV1とし、電池セルC2に流れる電流をI2、電圧検出回路20
2の入力電圧をV2とし、電池セルC3に流れる電流をI3、電圧検出回路20
3の入力電圧をV3としている。
【0030】
定電流源I0
1〜I0
3により、各電池セルCに流れる電流は、各電池セルCの電池電圧にかかわらず、I1=I2=I3=定電流I0になる。
【0031】
従って、電池セルC1と電池セルC2との間に接続されたノイズ除去フィルタ14の抵抗R1では、電流I1と電流I2との電流値が定電流I0と等しくなり、かつ流れる方向が逆向きであるため、相殺される。従って、抵抗R1を流れる電流が実質的にゼロになり、抵抗R1による電圧降下は発生しない。また、電池セルC2と電池セルC3との間に接続されたノイズ除去フィルタ14の抵抗R1でも同様に、抵抗R1を流れる電流が実質的にゼロになり、抵抗R1による電圧降下は発生しない。
【0032】
なお、電池セルC3の高電位側に接続されたノイズ除去フィルタ14の抵抗R2には、電流I3(一方向の電流)しか流れないため、抵抗R2での電圧降下が発生し、電池セルC3の電池電圧と入力電圧V3との間に誤差が生じてしまう。そのため、本実施の形態では、抵抗R2の抵抗値を小さく(少なくとも、抵抗R1よりも小さく)し、誤差の影響を軽減するように構成している。
【0033】
このように本実施の形態によれば、各電池セルCの高電位側に接続された配線lと低電位側に接続された配線lとの間に抵抗Raと定電流源I0とが直列に接続されており、その交点の電圧がコンパレータ30の非反転端子に入力されるように構成されている。このように、コンパレータ30に入力される電圧を電池セルCの電池電圧に依存しない一定の消費電流(定電流源I0)で発生させているため、各電池セルCに流れる電流は、常に、定電流I0となる
これにより、抵抗R1では、定電流I0が互いに逆方向の向きに流れることになり相殺され、実質的に電流がゼロになる。そのため、抵抗R1による電圧降下が発生せず、電圧検出回路20の入力電圧Vと電池セルCの電池電圧との間に誤差が生じない。上述したようにコンパレータ30からは、入力電圧Vが出力される。本実施の形態ではこのように誤差が生じないため、コンパレータ30からは対応する電池セルCの電池電圧が正確に出力される。従って、電池セルC(C1〜C3)の電池電圧がばらついた場合であっても、正確に電池セルCの電池電圧を検出することができる。
【0034】
[第2の実施の形態]
以下、図面を参照して本発明の第2の実施の形態の電圧検出回路について説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態の電圧検出回路20と略同様の構成、及び動作を含むため、略同様の部分については、その旨を記載し、詳細な説明を省略する。
【0035】
図5、に本実施の形態の電圧検出回路20の概略構成の一例の回路図を示す。本実施の形態の電圧検出回路20では、第1の実施の形態において抵抗Raと直列に接続されていた定電流源I0に対応する定電流源I0
11〜I0
13の他端をグランド(GND)に接続した。これにより、定電流源I0
11〜I0
13は、グランド電位(GND)を基準に定電流I0
11〜I0
13を生成する。
【0036】
また、本実施の形態では、コンパレータ30
1〜30
3の反転端子に入力される基準電の発生源圧を、第1の実施の形態の基準電圧発生回路に替わり、電源電圧VDDを供給する電源線VDDに接続された定電流源I0
21〜I0
23、及びびツェナーダイオード32
1〜32
3としている。
【0037】
本実施の形態では、抵抗Raに応じたツェナーダイオード32を用いることにより、コンパレータ30から入力電圧V(または、入力電圧Vに応じた電圧)が出力される。
【0038】
電池セルC1と電池セルC2との間に接続されたノイズ除去フィルタ14の抵抗R1に電池セルC1から流れる電流I1
1は、定電流源I0
11により、I1
1=定電流I0
11になる。また、定電流源I0
22からツェナーダイオード32
2を流れて生成電池セルC2に流れ込む電流I2
2は、定電流源I0
22により、I2
2=定電流I0
22になる。同様に、電池セルC2と電池セルC3との間に接続されたノイズ除去フィルタ14の抵抗R1に電池セルC2から流れる電流I2
1は、定電流源I0
12により、I2
1=定電流I0
12になる。また、定電流源I0
23からツェナーダイオード32
3を流れて生成電池セルC3に流れ込む電流I3
2は、定電流源I0
23により、I3
2=定電流I0
23になる。
【0039】
定電流源I0
11〜I0
13及び定電流源I0
21〜I0
23の電流値が全て等しい(定電流I0)場合、電池セルC(C1、C2、C3)の電池電圧にかかわらず、I1
1=I2
1=I2
2=I3
2=定電流I0になる。
【0040】
従って、電池セルC1と電池セルC2との間に接続されたノイズ除去フィルタ14の抵抗R1では、電流I1
1と電流I2
2との電流値が定電流I0となり等しく、かつ流れる方向が逆向きであるため、相殺される。従って、抵抗R1を流れる電流が実質的にゼロになり、抵抗R1による電圧降下は発生しない。また、電池セルC2と電池セルC3との間に接続されたノイズ除去フィルタ14の抵抗R1でも同様に、電流I2
1と電流I3
2との電流値が定電流I0となり等しく、かつ流れる方向が逆向きであるため、相殺される。従って、抵抗R1を流れる実質的に抵抗R1を流れる電流がゼロになり、抵抗R1による電圧降下は発生しない。
【0041】
ここで、定電流源I0
1及び定電流源I0
2のいずれか一方のみを備えた場合を考える。例えば、定電流源I0
1のみを備えた場合について考える。この形態は、上述した特許文献1に記載の従来技術に相当するが、この場合、各電池セルCから流れ出す電流(I1
1、I2
1、I3
1)は、全て定電流I0となり、等しくなる。しかしながら、コンパレータ30(基準電圧を発生源)側から各電池セルCに流れ込む電流(I2
2、I3
2)は、一定とならず、各電池セルCの電池電圧に応じてばらつくことになる。従って、抵抗R1を流れる電流が相殺されることがなく、実質的にゼロにならず、抵抗R1で電圧降下が発生してしまう。定電流源I0
2のみを備えた場合についても同様であり、抵抗R1を流れる電流が相殺されて実質的にゼロにならず、抵抗R1で電圧降下が発生してしまう。従って、本実施の形態のように、定電流源I0
1及び定電流源I0
2の両者を備えることにより、抵抗R1を流れる電流を相殺して実質的にゼロにすることができ、抵抗R1での電圧降下を防止することができる。
【0042】
このように本実施の形態によれば、各電池セルCの高電位側の配線lとグランド(GND)との間に抵抗Raと定電流源I0
1とが直列に接続されており、その交点の電圧がコンパレータ30の非反転端子に入力されるように構成されている。また、電源線VDDと各電池セルCの低電位側の配線lとの間に、定電流源I0
2とツェナーダイオード32とが直列に接続されており、定電流I0及びツェナーダイオード32で生成された基準電圧がコンパレータ30の反転端子に入力されるように構成されている。また、定電流源I0
1と定電流源I0
2とが供給する定電流はいずれも等しく(定電流I0)している。
【0043】
このように、コンパレータ30に入力される電圧、及び基準電圧を電池セルCの電池電圧に依存しない一定の消費電流(定電流源I0)で発生させている。そのため、各電池セルCに流れ込む電流、及び各電池セルCから流れ出す電流は、常に、定電流I0となる
これにより、抵抗R1では、定電流I0が互いに逆方向の向きに流れることになり相殺され、実質的に電流がゼロになる。そのため、抵抗R1による電圧降下が発生せず、電圧検出回路20の入力電圧Vと電池セルCの電池電圧との間に誤差が生じない。従って、電池セルC(C1〜C3)の電池電圧がばらついた場合であっても、正確に電池セルCの電池電圧を検出することができる。
【0044】
また、本実施の形態では、定電流源I0
1を全て、グランド電位(GND)を基準として定電流I0を生成するものとし、かつ定電流源I0
2を全て、電源電圧の電位(VDD)を基準として定電流I0を生成するものとしている。そのため、各電池セルCで共通の定電流源I0
1及び定電流源I0
2を使用することができる。例えば、半導体装置16内に別途、定電流源を備えている場合では、当該定電流源で生成された定電流I0を用いるように構成することができる。一方、第1の実施の形態では、定電流源I0は、各電池セルCの低電位側の電位を基準として定電流I0を生成するため、各電位毎、すなわち、各電池セルC毎に定電流源I0を要する。従って、本実施の形態では、回路規模を削減することができる、という効果が得られる。
【0045】
なお、本実施の形態では、コンパレータ30の基準電圧源としてツェナーダイオード32を用いたがこれに限らず、ダイオードと抵抗を用いてもよいし、抵抗のみを用いてもよい。
【0046】
なお、上述の各実施の形態では、抵抗Raを電池セルCの正極(高電位)側に接続し、コンパレータの基準電圧を電池セルCの負極(低電位)側に接続するように配置したがこれに限らず、両者を逆に配置してもよい。
【0047】
なお、上述の各実施の形態ではMCU22を電圧検出回路20と同じ半導体装置16内部に備えるように構成したが、これに限らず、別の回路(チップ上)に形成するようにしてもよい。また、ノイズ除去フィルタ14は半導体装置16外部に備えるように構成したが、これに限らず、同一回路(チップ上)に形成するようにしてもよい。
【0048】
また、上述の各実施の形態では、電池セル群12の各電池セルC毎に、電圧検出回路20を備えた場合について詳細に説明したがこれに限らず、例えば、電池セル群12に対して1つの電圧検出回路20を設け、適宜スイッチング素子等で電池電圧を検出したい電池セルCと電圧検出回路20とを接続するようにしてもよい。
【0049】
また、上述の各実施の形態で説明した電池監視システム10、半導体装置16、及び電圧検出回路20等の構成や動作等は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更されることは言うまでもない。