(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して各実施形態を説明する。なお、添付図面は、特徴を分かりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、各部材の断面構造を分かりやすくするために、一部の部材のハッチングを省略している。
【0011】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態を
図1〜
図11に従って説明する。
(光モジュールの構造)
図1に示すように、光モジュール1は、配線基板10と、光導波路20と、電子部品30と、ケース40と、そのケース40に収容された複数の光学素子50とを有している。ここで、光学素子50としては、例えば面発光型半導体レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:VCSEL)や発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)等の発光素子を用いることができる。また、光学素子50としては、例えばフォトダイオード(PD)やアバランシェ・フォトダイオード(APD)等の受光素子を用いることができる。また、上記電子部品30としては、例えば光学素子50(発光素子)を駆動するドライバ等のICチップや、光学素子50(受光素子)からの光出力信号を処理するDSP(Digital Signal Processor)やアンプ等を組み込んだICチップを用いることができる。
【0012】
配線基板10は、基板本体11と、最上層の配線パターン12と、最下層の配線パターン13と、ソルダレジスト層14,15とを有している。
基板本体11としては、最表層に配線パターン12,13が形成され、それら配線パターン12,13が基板内部を通じて相互に電気的に接続された構造を有していれば十分である。このため、基板本体11の内部には配線層が形成されていてもよく、配線層が形成されていなくてもよい。なお、基板本体11の内部に配線層が形成される場合には、複数の配線層が層間絶縁層を介して積層され、各配線層と各層間絶縁層に形成されたビアとによって上記配線パターン12,13が相互に電気的に接続される。基板本体11としては、例えばコア基板を有するコア付きビルドアップ基板や、コア基板を有さないコアレス基板等を用いることができる。
【0013】
配線パターン12は、電子部品30及び光学素子50が実装される実装面側(
図1(a)では、上面側)に設けられている。この配線パターン12は、電子部品30の電極端子31と電気的に接続される接続パッドP1と、光学素子50の電極端子51と電気的に接続される接続パッドP2とを有している。配線パターン12の厚さは、例えば15〜35μm程度とすることができる。なお、配線パターン12の材料としては、例えば銅(Cu)や銅合金を用いることができる。
【0014】
配線パターン13は、上記実装面とは反対側の面側(
図1(a)では、下面側)に設けられている。この配線パターン13は、外部接続用パッド13Pを有している。配線パターン13の厚さは、例えば15〜35μm程度とすることができる。なお、配線パターン13の材料としては、例えば銅や銅合金を用いることができる。
【0015】
ソルダレジスト層14は、配線パターン12を覆うように基板本体11の上面に形成されている。このソルダレジスト層14には、配線パターン12の一部を上記接続パッドP1として露出させるための開口部14Xが形成されている。この接続パッドP1上には、その接続パッドP1と電子部品30の電極端子31とを電気的に接続するはんだ16が形成されている。なお、必要に応じて、上記開口部14Xから露出する配線パターン12上にOSP(Organic Solderbility Preservative)処理を施してOSP膜を形成し、そのOSP膜上に上記はんだ16を形成するようにしてもよい。また、開口部14Xから露出する配線パターン12上に金属層を形成し、その金属層上に上記はんだ16を形成するようにしてもよい。金属層の例としては、例えば金(Au)層、ニッケル(Ni)/Au層(配線パターン12上にNi層とAu層をこの順番で積層した金属層)や、Ni/パラジウム(Pd)/Au層(配線パターン12上にNi層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)などを挙げることができる。
【0016】
なお、
図1(b)に示すように、開口部14X及び接続パッドP1の平面形状は例えば円形状であり、その直径は例えば50〜200μm程度とすることができる。これら開口部14X及び接続パッドP1は、平面視でY方向に沿って直線状に並んで配置されている。基板本体11の上面からソルダレジスト層14の上面までの厚さは、例えば10〜100μm程度とすることができる。このソルダレジスト層14の材料としては、例えばエポキシ系又はアクリル系の絶縁性樹脂を用いることができる。
【0017】
図1(a)に示すように、ソルダレジスト層15は、配線パターン13を覆うように基板本体11の下面に形成されている。このソルダレジスト層15には、配線パターン13の一部を上記外部接続用パッド13Pとして露出させるための開口部15Xが形成されている。この外部接続用パッド13Pには、当該配線基板10をマザーボード等に実装する際に使用されるはんだボールやリードピン等の外部接続端子が接続される。なお、必要に応じて、上記開口部15Xから露出する配線パターン13上にOSP処理を施してOSP膜を形成し、そのOSP膜に上記外部接続端子を接続するようにしてもよい。また、上記開口部15Xから露出する配線パターン13上に金属層を形成し、その金属層に上記外部接続端子等を接続するようにしてもよい。金属層の例としては、Au層、Ni/Au層や、Ni/Pd/Au層などを挙げることができる。また、上記開口部15Xから露出する配線パターン13(あるいは、配線パターン13上にOSP膜や金属層が形成されている場合には、それらOSP膜又は金属層)自体を、外部接続端子としてもよい。
【0018】
なお、開口部15X及び外部接続用パッド13Pの平面形状は例えば円形状であり、その直径は例えば200〜300μm程度とすることができる。基板本体11の下面からソルダレジスト層15の下面までの厚さは、例えば20〜40μm程度とすることができる。このソルダレジスト層15の材料としては、例えばエポキシ系又はアクリル系の絶縁性樹脂を用いることができる。
【0019】
電子部品30は、その一方の面(
図1(a)では、下面)に電極端子31が形成されている。電子部品30は、電極端子31及びはんだ16を介して、配線基板10の接続パッドP1と電気的に接続されている。すなわち、電子部品30は、配線基板10にフリップチップ実装されている。なお、上記電極端子31としては、例えば金バンプやはんだバンプを用いることができる。はんだバンプの材料としては、例えば鉛(Pb)を含む合金、錫(Sn)と銅の合金、錫と銀(Ag)の合金、錫と銀と銅の合金などを用いることができる。
【0020】
これら配線基板10と電子部品30との間には、アンダーフィル樹脂17が形成されている。このアンダーフィル樹脂17は、電子部品30の電極端子31と配線基板10の接続パッドP1との接続部分の接続強度を向上させるための樹脂であり、配線基板10(ソルダレジスト層14)の上面と電子部品30の下面との隙間を充填するように形成されている。なお、アンダーフィル樹脂17の材料としては、例えばエポキシ系の絶縁性樹脂を用いることができる。
【0021】
光導波路20は、配線基板10の基板本体11の上面であって、上記ソルダレジスト層14が形成されていない領域に形成されている。この光導波路20は、第1クラッド層21と、コア部22と、第2クラッド層23とを有している。
【0022】
第1クラッド層21は、ソルダレジスト層14が形成されていない領域の基板本体11の上面に形成されている。コア部22は、光信号の伝搬を行うためのものであり、第1クラッド層21上に形成されている。第2クラッド層23は、コア部22を覆うように第1クラッド層21上に形成されている。このように、光導波路20は、基板本体11の上面に、第1クラッド層21とコア部22と第2クラッド層23とがこの順番で積層された構造を有し、コア部22が第1クラッド層21及び第2クラッド層23で囲まれた構造を有している。
【0023】
これら第1及び第2クラッド層21,23及びコア部22の材料としては、基本的には同じ材料を用いることができる。例えば、第1及び第2クラッド層21,23及びコア部22の材料としては、光学素子50が使用する波長域において光透過性を有する樹脂材を用いることができる。具体的には、第1及び第2クラッド層21,23及びコア部22の材料としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂やシリコーン系樹脂などを用いることができる。但し、光信号の伝搬がコア部22内でのみ行われるようにするために、コア部22を構成する材料としては、そのコア部22の上下両面に形成される第1及び第2クラッド層21,23を構成する材料よりも屈折率の高い材料が選定されている。なお、コア部22と第1クラッド層21及び第2クラッド層23との屈折率の差は、特に限定されないが、例えば0.3〜5.5%程度が好ましく、0.8〜2.2%程度がより好ましい。
【0024】
図1(b)に示すように、ケース40に搭載される光学素子50の数(具体的には、チャンネル数)に応じた数(ここでは、4個)のコア部22がY方向に沿って並設されている。各コア部22は、平面視帯状に形成され、X方向に直線状に延在されている。この各コア部22は、ケース40に固定された各光学素子50の受発光部52の位置に対応する平面位置に形成されている。具体的には、各コア部22は、ケース40の任意の点(ここでは、ケース40の任意の角部A1)を基準位置(例えば、原点)としたときの、各光学素子50の光軸中心A2の平面位置(XY座標位置)に応じた平面位置に形成されている。より具体的には、各コア部22は、上記角部A1と位置合わせされるアライメントマークM1の交差点を上記基準位置としたときの、各光学素子50の光軸中心A2の座標位置(平面位置)に応じた平面位置に形成されている。ここで、上記平面位置とは、光導波路20の積層方向(厚さ方向)と直交する平面方向(図中のX方向及びY方向)における位置のことである。特に、光学素子50の並設方向となるY方向における各コア部22の形成位置が上記各光学素子50の光軸中心A2の座標位置に応じて決定される。また、上記光軸中心A2は、光学素子50が発光素子である場合には発光点となり、光学素子50が受光素子である場合には受光エリアの中心点となる。
【0025】
なお、
図1(a)に示した第1クラッド層21の厚さ、具体的には配線パターン12上に形成された第1クラッド層21の厚さは、例えば10〜15μm程度とすることができる。コア部22の厚さは例えば30〜80μm程度とすることができ、各コア部22のパターン幅は例えば300〜500μm程度とすることができる。また、コア部22のピッチは例えば125〜300μm程度とすることができる。このコア部22上に形成された第2クラッド層23の厚さは、例えば30〜80μm程度とすることができる。
【0026】
光導波路20には、コア部22を露出する溝部24が形成されている。溝部24は、第2クラッド層23の上面からコア部22を貫通して第1クラッド層21の厚さ方向の途中まで形成され、第2クラッド層23及びコア部22を分断するようにして形成される。この溝部24は、光路を90度変換するための傾斜面24Aと、その傾斜面24Aと交差する側壁面24Bとを有している。例えば、溝部24では、側壁面24Bが光導波路20(コア部22)の延在方向と直交する垂直面に形成され、傾斜面24Aが光導波路20(コア部22)の延在方向に対して所定の角度(例えば45度)傾斜して形成されている。すなわち、傾斜面24Aは、コア部22を伝搬する光の進行方向に対して45度傾斜して形成されている。このため、溝部24の断面形状は、略直角三角形状に形成されている。なお、溝部24の側壁面24Bは垂直面である必要はなく、例えば光導波路20の内側(図中の左側)に多少傾いた傾斜面であってもよい。すなわち、溝部24を断面視略V字状に形成するようにしてもよい。
【0027】
上記傾斜面24Aには、光路を90度変換するための反射ミラー25が形成されている。この反射ミラー25の材料としては、例えば良好な光反射性を有する金(Au)、銀(Ag)やアルミニウム(Al)を用いることができる。
【0028】
図1(b)に示すように、上記反射ミラー25は、Y方向に延在して形成され、複数のコア部22と直交する帯状溝として形成されている。この反射ミラー25は、当該光導波路20上に実装された光学素子50の受発光部52と対向する位置に形成されている。例えば、反射ミラー25は、ケース40の角部A1を基準位置としたときの、各光学素子50の光軸中心A2の座標位置に応じた平面位置に形成されている。より具体的には、上記アライメントマークM1の交差点を上記基準位置としたときの、各光学素子50の光軸中心A2の座標位置(平面位置)に応じた平面位置に形成されている。
【0029】
図1(a)に示すように、光導波路20には、配線パターン12の一部を上記接続パッドP2として露出させるための開口部20Xが形成されている。この接続パッドP2上には、その接続パッドP2と光学素子50の電極端子51とを電気的に接続するはんだ26が形成されている。なお、必要に応じて、上記開口部20Xから露出する配線パターン12上にOSP処理を施してOSP膜を形成し、そのOSP膜上に上記はんだ26を形成するようにしてもよい。また、開口部20Xから露出する配線パターン12上に金属層を形成し、その金属層上に上記はんだ26を形成するようにしてもよい。金属層の例としては、例えばAu層、Ni/Au層や、Ni/Pd/Au層などを挙げることができる。
【0030】
ケース40は、そのケース40内に固定された光学素子50が光導波路20の積層された配線基板10に実装されることにより、配線基板10に搭載されている。
図2に示すように、このケース40は、平面視略矩形状に形成された板状の底壁41と、その底壁41の周縁部に一体的に形成され該周縁部から立設された枠状の側壁部42とを有し、有底箱状に形成されている。ケース40には、これら底壁41と側壁部42とによって凹部(収容部)43が形成されている。この凹部43には、複数(ここでは、4個)の光学素子50が格納されている。例えば、各光学素子50は、はんだペーストや接着樹脂等によって凹部43の底面43A上に固定され、凹部43内に収容されている。この凹部43内、つまり各光学素子50とケース40との隙間に絶縁性の接着樹脂やアンダーフィル樹脂を充填するようにしてもよい。また、各光学素子50は、電極端子51の形成された面53が凹部43の開口側に露出するように凹部43内に収容されている。各光学素子50は、隣接する光学素子50と密着するように収容されている。本実施形態では、1つの発光部52Aを有する単チャンネルの光学素子50(発光素子50A)と、1つの受光部52Bを有する単チャンネルの光学素子50(受光素子50B)とが2つずつ上記凹部43内に収容されている。具体的には、単チャンネルの発光素子50Aと単チャンネルの受光素子50Bとが交互に並んでケース40に収容されている。これら単チャンネルの発光素子50A及び受光素子50B(総称する場合には、「光学素子50」という。)は、2つの電極端子51と、1つの発光部52A又は1つの受光部52Bとを有している。2つの電極端子51は、その一方の電極端子51が光学素子50内のカソード電極(図示略)に接続され、他方の電極端子51が光学素子50内のアノード電極(図示略)に接続されている。なお、本明細書では、発光部52A及び受光部52Bを総称する場合には「受発光部52」と称する。
【0031】
上記ケース40の材料としては、光学素子50を収容することができる材料を用いることができる。ケース40の材料としては、例えば300度程度の耐熱性を有する材料であることが好ましい。例えば、ケース40の材料としては、半導体材料やガラス材料などを用いることができる。本実施形態では、ケース40の材料としては、光学素子50の基材となる半導体材料(例えば、シリコン)と同一の半導体材料を用いている。これにより、ケース40とそのケース40に収容される光学素子50との間の熱膨張係数の差がなくなるため、熱による応力を緩和することができる。
【0032】
なお、上記ケース40に収容される光学素子50としては、複数チャネルの発光部又は受光部を有する複数チャンネルの光学素子であってもよい。また、ケース40に収容される複数の光学素子50としては、全て発光素子を用いるようにしてもよいし、全て受光素子を用いるようにしてもよい。
【0033】
図1(a)に示すように、ケース40及びそのケース40に固定された複数の光学素子50は、光導波路20が積層(一体化)された配線基板10に実装されている。具体的には、ケース40に固定された各光学素子50は、電極端子51及びはんだ26を介して、配線基板10の接続パッドP2と電気的に接続されている。これにより、各光学素子50は、電極端子51、配線パターン12及び電極端子31を通じて上記電子部品30と電気的に接続されている。なお、1つの光学素子50に対応して1つの電子部品30を設けるようにしてもよいし、複数の光学素子50に対応して1つの電子部品30を設けるようにしてもよい。
【0034】
上記配線基板10に実装された各光学素子50は、受発光部52が上記反射ミラー25に対向するように配置されている。具体的には、ケース40に固定された各光学素子50は、その受発光部52が上記反射ミラー25の真上に配置されるように配線基板10に実装されている。
【0035】
これらケース40及びそのケース40に固定された複数の光学素子50と光導波路20及び配線基板10との間には、アンダーフィル樹脂27が形成されている。このアンダーフィル樹脂27は、光学素子50の電極端子51と配線基板10の接続パッドP2との接続部分の接続強度を向上させるための樹脂であり、光導波路20(第2クラッド層23)の上面と各光学素子50の下面との隙間を充填するように形成されている。なお、アンダーフィル樹脂27の材料としては、光学素子50が使用する波長域において光透過性を有する樹脂材を用いることができる。具体的には、アンダーフィル樹脂27の材料としては、第1クラッド層21、コア部22及び第2クラッド層23と同一の樹脂材を好適に用いることができる。
【0036】
光学素子50が発光素子50Aである場合には、発光部52Aの光軸中心A2(発光点)から出射された光は、図中矢印で示すように、光導波路20の開口部(溝部24)に入射される。その溝部24に入射された光は、その傾斜面24Aに形成された反射ミラー25により光路が90度曲げられて光導波路20のコア部22に入射される。そして、コア部22に入射された光は、コア部22で全反射を繰り返して伝搬される。一方、光学素子50が受光素子50Bである場合には、光導波路20のコア部22内を伝搬してきた光は、反射ミラー25で反射されて光導波路20の開口部(溝部24)から出射され、受光素子50Bの光軸中心A2(受光部52Bの中心)に入射される。
【0037】
(光モジュールの作用)
コア部22及び反射ミラー25は、ケース40に固定された各光学素子50の受発光部52の位置に対応する平面位置に形成されている。具体的には、コア部22及び反射ミラー25は、ケース40の角部A1を基準位置としたときの、各光学素子50の光軸中心A2の座標位置に応じた平面位置に形成されている。より具体的には、コア部22及び反射ミラー25は、ケース40の角部A1と位置合わせされるアライメントマークM1を基準位置としたときの、各光学素子50の光軸中心A2の座標位置に応じた平面位置に形成されている。このように、ケース40に固定された各光学素子50の光軸中心A2の実際の位置に対応してコア部22が形成される。このため、ケース40に複数の光学素子50を搭載する際の位置合わせ精度が低い場合であっても、すなわち所望の搭載位置からずれた位置に光学素子50が搭載される場合であっても、その位置ずれした位置に対応してコア部22を形成することができる。また、ケース40の形状ばらつきや光学素子50の形状ばらつきが存在する場合であっても、それらの形状ばらつきによってずれた位置に対応してコア部22を形成することができる。ここで、配線基板10に実装される各光学素子50がケース40に固定されるため、ケース40の角部A1(基準位置)と各光学素子50の光軸中心A2との相対的な位置関係は実装前後で変わらない。このため、各光学素子50を配線基板10に実装する際に、ケース40の角部A1とアライメントマークM1の位置合わせを精度良く行うことにより、ケース40に固定された全ての光学素子50の光軸中心A2と、反射ミラー25の位置と、各光学素子50に対応して形成されるコア部22の位置とを精度良く位置合わせすることができる。すなわち、ケース40を配線基板10に実装する際の1回の位置合わせを精度良く行うことにより、ケース40に搭載された多数の光学素子50を反射ミラー25及びコア部22に対して精度良く位置合わせすることができる。
【0038】
また、ケース40に収容される各光学素子50は、隣接する光学素子50に密着するように凹部43内に固定される。このとき、本例のようにケース40に発光素子50Aと受光素子50Bとを混載する場合であっても、隣接する発光素子50Aと受光素子50Bを密着するように凹部43内に固定される。そして、このようにケース40に固定された複数の光学素子50とケース40とが一つの部材として配線基板10に実装される。このため、発光素子50Aと受光素子50Bとを一つの部材として配線基板10に実装することができる。これにより、例えばケース40を用いずに発光素子と受光素子とを個別に実装する場合に比べて実装面積を縮小することができる。
【0039】
ここでは、例えば
図3に示すように、6チャンネルの発光素子65と、6チャンネルの受光素子66とを個別に配線基板に実装する場合について説明する。発光素子65には、その発光素子65に形成された6つの発光部にそれぞれ対応して6つのコア部67が形成されている。また、受光素子66には、その受光素子66に形成された6つの受光部にそれぞれ対応して6つのコア部68が形成されている。コア部67のピッチD1及びコア部68のピッチD1は、例えば250μmである。これら発光素子65及び受光素子66を個別に実装する場合には、実装時の治具干渉を避けるために、発光素子65と受光素子66とを離間させて配置する必要がある。このため、隣接するコア部67とコア部68との間隔D2は、上記ピッチD1よりも広くなる。したがって、コア部67,68の全体の幅D3は、各コア部67,68のピッチD1の合計値よりも広くなる。このような問題は、単チャンネルの発光素子と単チャンネルの受光素子とを個別に実装する場合にも同様に生じる。
【0040】
これに対し、本実施形態では、発光素子50Aと受光素子50Bとをケース40に固定した状態で、そのケース40と共に一つの部材として配線基板10に実装することができるため、実装時の治具干渉等を考慮する必要がない。このため、ケース40内に発光素子50Aと受光素子50Bとを密着させて固定させることができ、コア部22の全体の幅を狭くすることができる。
【0041】
(光モジュールの製造方法)
次に、上記光モジュール1の製造方法について説明する。
図4(a)に示す工程(第1工程)では、ケース40の凹部43内に複数の光学素子50を固定して収容する。具体的には、各光学素子50の電極端子51及び受発光部52の形成された面53とは反対側の面が凹部43の底面43Aと対向するように、各光学素子50を底面43A上にはんだペーストや接着樹脂等により固定する。本例では、凹部43の最も左側に固定される光学素子50は、ケース40の短手方向に延びる一方(図中の左側)の側壁部42Aの内壁面に密着するように固定されるとともに、ケース40の長手方向に延びる一方(図中の上側)の側壁部42Bの内壁面に密着するように固定される。また、残りの光学素子50は、
図4(b)に示すように、隣接する光学素子50に密着するように固定されるとともに、上記側壁部42Bの内壁面に密着するように固定される。
【0042】
次に、
図4(b)に示す工程(第2工程)では、ケース40の任意の角部A1とケース40に収容された各光学素子50の光軸中心A2との位置を画像処理等により検出し、角部A1の位置を基準位置として、上記各光軸中心A2の座標位置をデータ化する。例えばCCDカメラなどの撮像装置60を用いてケース40及びそのケース40に収容された各光学素子50が撮像され、その撮像データが処理装置61に出力される。ここで、処理装置61は、図示は省略するが、例えば中央処理装置と、各種データや各種制御プログラムを格納するROMと、各種データを格納するRAMとを有している。そして、この処理装置61は、撮像データに基づいて、ケース40の角部A1の位置及び各光学素子50の光軸中心A2の位置を検出し、上記角部A1の位置を基準位置(例えば、原点)にしたときの各光軸中心A2の平面位置(XY座標位置)を示す座標データを生成する。また、処理装置61では、撮像データに基づいて、上記各光軸中心A2と併せて、各光学素子50の電極端子51の中心点A3の位置を検出するようにしてもよい。この場合には、上記角部A1の位置を基準位置にしたときの各中心点A3の平面位置を示すデータを上記座標データに含めるようにする。
【0043】
続いて、処理装置61は、上記座標データに基づいて光導波路20(コア部22)のパターンを設計した設計データを生成する。具体的には、処理装置61は、上記角部A1を基準位置として、その基準位置と各コア部22との相対的な位置関係(つまり、形成すべき各コア部22の平面位置)及び各コア部22の平面形状を示す設計データを生成する。なお、上記座標データに各電極端子51の中心点A3の位置データが含まれている場合には、処理装置61は、コア部22のパターンと併せて、配線パターン12のパターン(平面位置及び平面形状)を設計した設計データを生成する。
【0044】
次に、
図5〜
図7(a)に示す工程では、光導波路20が一体化される前段階の配線基板10を製造する。まず、
図5に示す工程では、基板本体11の両面に所要の形状にパターニングされた配線パターン12,13を形成する。このとき、配線パターン13は、所要の箇所に外部接続用パッド13Pが画定されるようにパターニングされる。また、
図5(b)に示すように、配線パターン12は、所要の箇所に接続パッドP1,P2がそれぞれ画定されるようにパターニングされる。
【0045】
例えば、配線パターン12,13を形成する前に、基板本体11の上面にアライメントマークM1,M2を形成する。これらアライメントマークM1,M2は、後工程においてケース40及び光学素子50を配線基板10に実装する際の位置合わせに利用される。具体的には、アライメントマークM1は、ケース40を配線基板10に実装する際に、ケース40の上記角部A1と位置合わせされるマークである。また、アライメントマークM2は、ケース40を配線基板10に実装する際に、上記角部A1以外のケース40の角部と位置合わせされるマークである。ケース40の上記角部A1に対応する位置に形成され、その他のアライメントマークM2は、ケース40の残りの角部に対応する位置に形成される。これらアライメントマークM1,M2は、例えば無電解めっき法や電解めっき法などにより所定のパターンに形成することができる。続いて、上記設計データに基づいて、アライメントマークM1の交差点(つまり、上記角部A1に対応する点)を上記基準位置(例えば、原点)として、実装される各光学素子50の電極端子51の中心点A3の位置に対応する箇所に接続パッドP2が画定されるように配線パターン12を形成する。すなわち、配線パターン12は、アライメントマークM2を基準位置としたときの上記中心点A3の平面位置に基づいて、その中心点A3と接続パッドP2とが平面視で重なるようなパターン形状で形成される。具体的には、配線パターン12は、アライメントマークM2を基準位置としたときの上記中心点A3の平面位置に基づいて、その中心点A3と接続パッドP2の中心点とが一致するようなパターン形状で形成される。
【0046】
次に、
図6に示す工程では、基板本体11の上面の一部に、配線パターン12の一部を接続パッドP1として露出させる開口部14Xを有するソルダレジスト層14を形成する。このソルダレジスト層14は、例えば配線パターン12を覆うように基板本体11の上面にソルダレジスト層14を形成した後、フォトリソグラフィ法によりソルダレジスト層14を露光・現像して開口部14X,14Yを形成する。
図6(b)に示すように、開口部14Yの形成により、光導波路20が形成される領域に形成された基板本体11及び配線パターン12がソルダレジスト層14から露出されることになる。
【0047】
また、
図6(a)に示すように、基板本体11の下面に、配線パターン13の一部を外部接続用パッド13Pとして露出させる開口部15Xを有するソルダレジスト層15を形成する。このソルダレジスト層15は、例えば配線パターン13を覆うように基板本体11の下面にソルダレジスト層15を形成した後、フォトリソグラフィ法によりソルダレジスト層15を露光・現像して開口部15Xを形成する。
【0048】
なお、必要に応じて、接続パッドP1及び外部接続用パッド13P上に、例えばNi層とAu層をこの順番で積層した金属層を形成するようにしてもよい。この金属層は、例えば無電解めっき法により形成することができる。
【0049】
次いで、
図7(a)に示す工程では、ソルダレジスト層14の開口部14Xから露出された接続パッドP1上に、はんだ16を形成する。このはんだ16は、例えばはんだペーストの塗布などにより形成することができる。これにより、配線基板10が製造されたことになる。
【0050】
次に、
図7(b)〜
図10に従って、上記配線基板10の実装面側に光導波路20を積層(一体化)する。まず、
図7(b)に示す工程では、ソルダレジスト層14が形成されていない基板本体11の上面に、配線パターン12を覆うように第1クラッド層21を形成する。例えば、基板本体11の上面全面に第1クラッド層21となる感光性樹脂層(図示略)を形成し、フォトリソグラフィ法に基づいて露光・現像を行った後に、感光性樹脂層を硬化させることにより、上記第1クラッド層21を形成する。この感光性樹脂層の形成方法としては、例えば液状の感光性樹脂を基板本体11の上面全面に塗布するようにしてもよいし、半硬化状態の感光性樹脂シートを基板本体11の上面全面にラミネートするようにしてもよい。ここで、感光性樹脂としては、例えば紫外線(UV)硬化型の樹脂を好適に使用することができる。UV硬化樹脂としては、例えば変性アクリレート(エポキシ樹脂やポリエステル樹脂等)をベース樹脂とし、光重合に必要な反応性アクリルモノマーと光重合開始剤及び添加剤を含んだ樹脂材を用いることができる。このようなUV硬化樹脂の主反応はラジカル重合である。このようなUV硬化樹脂を用いることにより、常温で処理することができ、さらに、熱硬化型の樹脂を用いる場合よりも短時間で硬化するため、作業時間を短縮することができる。なお、上記感光性樹脂層の材料等は、後述するコア層22A及び第2クラッド層23を形成する工程においても同様である。
【0051】
次に、
図7(c)に示す工程では、第1クラッド層21の上面にコア部22となるコア層22Aを形成する。コア層22Aの形成方法としては、例えば、液状の感光性樹脂を第1クラッド層21の上面に塗布するようにしてもよいし、半硬化状態の感光性樹脂シートを第1クラッド層21の上面にラミネートするようにしてもよい。
【0052】
続いて、
図8に示す工程(第3工程)では、上記設計データに基づいて、コア層22Aをパターニングして所望の形状のコア部22を形成する。本例では、
図8(b)に示すように、X方向に直線状に延在された帯状のコア部22が複数個(チャネル数と同数の4個)Y方向に並設される。例えば、設計データに基づいて、コア層22Aの所定の位置(形成すべきコア部22の位置)に対し、活性エネルギー光線又は電子線を選択的に照射し、所望の形状のコア部22をパターン形成する。詳述すると、各コア部22は、上記設計データに基づいて、実装される各光学素子50の光軸中心A2と平面視で重なるようなパターン形状で形成される。すなわち、コア部22は、例えばCCDカメラ等により検出されるアライメントマークM1の交差点を基準位置としたときの上記各光軸中心A2の座標位置に基づいて、その各光軸中心A2と各コア部22の平面位置とが一致するようなパターン形状で形成される。具体的には、コア部22は、各光軸中心A2の座標位置に基づいて、その各光軸中心A2のY座標位置と各コア部22の幅方向の中心のY座標位置とが一致するようなパターン形状で形成される。なお、アライメントマークM1は光透過性を有する樹脂材からなる第1クラッド層21及びコア層22Aによって覆われているため、CCDカメラ等によってその位置を検出することができる。
【0053】
また、活性エネルギー光線又は電子線の照射は、例えば直描方式(マスクレス方式)の露光装置を利用して実施することができる。すなわち、例えばレーザ光のような指向性の良い活性エネルギー光線又は電子線を、マスクを用いずにコア層22Aに直接照射してコア部22を形成する。上記活性エネルギー光線としては、例えば可視光、紫外光、赤外光やレーザ光を用いることができる。また、コア層22Aに電子線を照射する場合には、例えば50〜200KGy程度の照射量で電子線をコア層22Aに照射することができる。
【0054】
ここで、コア層22Aにおいて、活性エネルギー光線又は電子線が照射された部位は、その屈折率が変化し、活性エネルギー光線又は電子線が照射されなかった部位との間で屈折率の差が生じる。なお、コア層22Aの材料により、活性エネルギー光線又は電子線の照射された部位の屈折率は増大する場合も減少する場合もあるが、本例のコア層22Aは、活性エネルギー光線又は電子線の照射された部位の屈折率が増大する。このため、コア層22Aの活性エネルギー光線又は電子線が照射された部位がコア部22となり、コア層22Aの活性エネルギー光線又は電子線が照射されなかった部位がクラッド部22Bとなる。このため、
図8(c)に示すように、隣接するコア部22間には、クラッド部22Bが形成されることになる。なお、クラッド部22Bの屈折率は、第1クラッド層21及び後工程で形成されるクラッド層23Aの屈折率と略等しい。
【0055】
このように、コア部22は、コア層22Aに対する活性エネルギー光線等の照射によってパターン形成される。このため、コア層22Aに対する活性エネルギー光線の照射パターン(照射位置)を、上記アライメントマークM1の交差点を基準位置として上記設計データに基づき設定することにより、所望の平面位置に所望の平面形状のコア部22を形成することができる。これによれば、前工程においてケース40に固定された各光学素子50の光軸中心A2の実際の位置に対応してコア部22を形成することができる。このため、仮に隣接する各光学素子50の光軸中心A2のピッチB1,B2,B3(
図8(b)参照)が互いに異なる場合であっても、それらのピッチB1,B2,B3にそれぞれ合わせてコア部22のピッチC1,C2,C3(
図8(c)参照)を形成することができる。
【0056】
さらに、本工程では、直描方式の露光装置によりコア部22を形成するようにした。このような直描方式の露光装置(露光技術)を用いることにより、マスクの使用による位置ずれ等が発生しないため、コア部22を所望の平面位置及び平面形状に精度良く形成することができる。
【0057】
次に、
図9(a)に示す工程では、コア層22Aの上面に、コア部22及びクラッド部22Bの上面を被覆するようにクラッド層23Aを形成する。例えば、コア層22Aの上面にクラッド層23Aとなる感光性樹脂層(図示略)を形成し、フォトリソグラフィ法に基づいて露光・現像を行った後に、感光性樹脂層を硬化させることにより、上記クラッド層23Aを形成する。これにより、クラッド部22B及びクラッド層23Aからなる第2クラッド層23が形成される。以上の工程により、配線基板10上に、コア部22が第1クラッド層21及び第2クラッド層23で囲まれた構造の光導波路20が形成される。
【0058】
続いて、
図9(b)に示す工程では、配線パターン12の一部が上記接続パッドP2として露出されるように、光導波路20の所定箇所に開口部20Xを形成する。この開口部20Xは、例えばCO
2レーザやUV−YAGレーザ等によるレーザ加工法によって形成することができる。なお、第1クラッド層21及び第2クラッド層23が感光性樹脂を用いて形成されている場合には、例えばフォトリソグラフィ法により所要の開口部20Xを形成するようにしてもよい。
【0059】
次いで、
図9(c)に示す工程では、光導波路20の開口部20Xから露出された接続パッドP2上に、はんだ26を形成する。このはんだ26は、例えばはんだペーストの塗布などにより形成することができる。
【0060】
次に、
図10に示す工程(第4工程)では、上記設計データに基づいて、光導波路20の所要の箇所に断面視略直角三角形状の溝部24と反射ミラー25とを形成する。例えば、反射ミラー25は、例えばCCDカメラ等により検出される上記アライメントマークM1の交差点を基準位置として、実装される光学素子50の光軸中心A2と平面視で重なる位置に形成される。
【0061】
詳述すると、まず、光導波路20の反射ミラー25が形成される部分を例えば切削装置の回転ブレードによって厚さ方向に切削する。これにより、光導波路20に光路を90度変換するための傾斜面24Aとそれと交差する側壁面24Bとを有する溝部24が形成される。なお、溝部24の形成方法としては、切削加工に限定されず、例えばレーザアブレーション法などの各種の加工方法を用いることができる。
【0062】
続いて、溝部24に対応する開口部を有するマスク(図示略)を用いて、溝部24の傾斜面24A上に光沢のある金属膜を選択的に被着することで、傾斜面24Aに反射ミラー25を形成する。上記金属膜を傾斜面24Aに被着する方法としては、例えばスパッタリング法、蒸着法やめっき法などを用いることができる。なお、金属膜の材料としては、例えば良好な光反射性を有する金、銀やアルミニウムを用いることができる。
【0063】
次に、
図11(a)に示す工程では、電子部品30の電極端子31を配線基板10の接続パッドP1上に位置決めし、はんだ16を溶融させ、電子部品30の電極端子31を接続パッドP1に電気的に接続する。これにより、配線基板10に電子部品30がフリップチップ実装される。
【0064】
また、
図11(a)に示す工程では、ケース40に収容された各光学素子50の受発光部52を下側に向けた状態で、ケース40の角部A1を上記アライメントマークM1(
図10参照)に位置合わせし、ケース40の残りの角部を上記アライメントマークM2(
図10参照)に位置合わせする。すると、各光学素子50の電極端子51が配線基板10の接続パッドP2上に位置決めされたことになるため、この状態ではんだ26を溶融させ、光学素子50の電極端子51を接続パッドP2に電気的に接続する。これにより、光導波路20の積層された配線基板10に各光学素子50及びケース40が実装される。上述のようにコア部22や反射ミラー25の形成の際に利用したアライメントマークM1を基準位置としてケース40を位置合わせして実装することで、そのケース40に固定された各光学素子50を所望の設計位置に精度良く配置することができる。例えば、実装後の各光学素子50の受発光部52が反射ミラー25の真上に配置され、各光学素子50の光軸中心A2のY座標位置と各コア部22の幅方向の中心のY座標位置とが略一致するように配置される。これにより、光学素子50とコア部22又は反射ミラー25との間の光軸のずれが好適に抑制された状態で、光学素子50が反射ミラー25によって光導波路20(コア部22)に光結合される。したがって、光結合損失の発生を好適に抑制することができる。
【0065】
なお、上記アライメントマークM1,M2は光透過性を有する樹脂材からなる第1クラッド層21及び第2クラッド層23によって覆われているため、例えばCCDカメラによってその位置を検出することができる。
【0066】
次に、
図11(b)に示す工程では、配線基板10と電子部品30との隙間を充填するようにアンダーフィル樹脂17を形成する。また、光導波路20の積層された配線基板10とケース40及び光学素子50との隙間を充填するようにアンダーフィル樹脂27を形成する。なお、アンダーフィル樹脂27は、溝部24内にも充填される。
【0067】
以上の製造工程により、
図1に示した光モジュール1を製造することができる。
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)コア部22及び反射ミラー25を、ケース40の角部A1を基準位置としたときの、各光学素子50の光軸中心A2の平面位置に応じた平面位置に形成するようにした。具体的には、コア部22及び反射ミラー25を、ケース40の角部A1と位置合わせされるアライメントマークM1を基準位置としたときの、各光学素子50の光軸中心A2の平面位置に応じた平面位置に形成するようにした。そして、ケース40及びそのケース40に固定された複数の光学素子50を、ケース40の上記角部A1とアライメントマークM1を位置合わせして配線基板10上の所望の位置に実装するようにした。このため、ケース40の角部A1とアライメントマークM1の位置合わせを精度良く行うことにより、ケース40に固定された全ての光学素子50の光軸中心A2と、反射ミラー25の位置と、各光学素子50に対応して形成されるコア部22の位置とを精度良く位置合わせすることができる。すなわち、ケース40を配線基板10に実装する際の1回の位置合わせを精密に行うことにより、ケース40に搭載された多数の光学素子50を反射ミラー25及びコア部22に対して精度良く位置合わせすることができる。したがって、光学素子50とコア部22又は反射ミラー25との間の光軸のずれが好適に抑制された状態で、光学素子50が反射ミラー25によって光導波路20(コア部22)に光結合される。この結果、光結合損失の発生を好適に抑制することができる。
【0068】
このように、本実施形態の光モジュール1では、光信号が通るチャンネル(コア部22)の数が増加した場合であっても、光学素子50とコア部22及び反射ミラー25との位置合わせを容易に行うことができる。このため、多チャンネルの光導波路20(コア部22)を有する光モジュール1を容易に製造することができる。
【0069】
(2)発光素子50A及び受光素子50Bを、ケース40に固定した状態でそのケース40と共に一つの部材として配線基板10に実装するようにした。このため、これら発光素子50A及び受光素子50Bを配線基板10に実装する際に、治具干渉等を考慮する必要がない。したがって、ケース40内に発光素子50Aと受光素子50Bとを密着させて固定させることができ、コア部22の全体の幅を狭くすることができる。
【0070】
また、発光素子(例えば、VCSEL)と受光素子(例えば、PD)とは製造プロセスが異なるため、1つの光学素子に発光素子と受光素子とを混在させることは困難である。これに対し、本実施形態では、別々に製造された発光素子50Aと受光素子50Bとをケース40に固定するようにしたため、発光素子50Aと受光素子50Bとが混載されたケース40を一括して配線基板10に実装することができる。
【0071】
さらに、隣接する発光素子50Aと受光素子50Bとを密着するように固定することができるため、異種の光学素子50であっても等間隔に配置することができる。
(3)発光素子50Aと受光素子50Bとを交互に並べてケース40の凹部43内に固定するようにした。これにより、発光素子50Aと光結合されるコア部22の隣には、受光素子50Bと光結合されるコア部22が配置される。すなわち、発光素子50Aと光結合される2つのコア部22の間には、受光素子50Bと光結合されるコア部22が配置される。このため、コア部22のピッチC1,C2,C3(
図8(c)参照)を狭く(例えば125μm程度)しても、発光素子50Aと光結合されるコア部22のピッチ(例えばC1+C2)については広く(例えば250μm程度)確保することができる。したがって、コア部22のピッチC1,C2,C3を狭くしても、発光素子50Aのチャンネル間のクロストークの増大が抑制されるとともに、受光素子50Bのチャンネル間のクロストークの増大が抑制される。この結果、コア部22を狭ピッチ化することができ、光モジュール1の小型化に貢献することができる。
【0072】
(4)ここで、例えば多チャンネル(nチャンネル)の光学素子50は、歩留まりが低いことに起因してその価格が単チャンネルの光学素子のn個の合計金額よりも高くなる。これに対し、本実施形態では、ケース40に単チャンネルの光学素子50を複数個収容することにより、多チャンネルの光導波路20(コア部22)を有する光モジュール1を得ることができる。このため、多チャンネルのコア部22を有する光モジュール1を製造する際の製造コストを低減することができる。
【0073】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態を
図12〜
図20に従って説明する。先の
図1〜
図11に示した部材と同一の部材にはそれぞれ同一の符号を付して示し、それら各要素についての詳細な説明は省略する。
【0074】
(光コネクタの構造)
図12に示すように、光コネクタ(光モジュール)2は、ケース70と、光導波路80と、ケース70に収容された複数の光学素子50とを有している。
【0075】
図13(a)に示すように、ケース70は、略直方体状に形成されている。ケース70は、ケース部71と、ケース部71よりも肉厚に形成されたコネクタ部72とを有している。なお、ケース70(ケース部71及びコネクタ部72)の材料としては、上記光学素子50が使用する波長域において光透過性を有する材料を用いることができる。例えば、ケース70の材料としてはガラス材料を用いることができる。
【0076】
ケース部71には、平面視略矩形状の凹部(収容部)73が形成されている。この凹部73の底面73Aには、複数(ここでは、8個のうち6個を図示)の貫通穴73Xが直線状に並んで形成されている。
図13(b)に示すように、凹部73には、複数(ここでは、4個)の光学素子50が格納されている。本実施形態では、凹部73には、単チャンネルの発光素子50Aと、単チャンネルの受光素子50Bとが2つずつ収容されている。具体的には、発光素子50Aと受光素子50Bとが交互に並んでケース70に収容されている。各光学素子50は、隣接する光学素子50に密着するように凹部73内に固定されている。例えば、各光学素子50は、絶縁性の接着樹脂やアンダーフィル樹脂等により凹部73の底面73Aに固定されている。なお、凹部73内、つまり各光学素子50とケース70との隙間に絶縁性の接着樹脂やアンダーフィル樹脂を充填することにより、各光学素子50を凹部73内に固定するようにしてもよい。
【0077】
図12(a)に示すように、各光学素子50は、電極端子51及び受発光部52の形成された面53を凹部73の底面73Aに対向させた状態で凹部73内に固定される。このとき、各光学素子50の電極端子51は、上記凹部73の貫通穴73Xを貫通する。
【0078】
なお、上記凹部73に収容される光学素子50としては、複数チャネルの発光部又は受光部を有する複数チャンネルの光学素子であってもよい。また、凹部73に収容される複数の光学素子50としては、全て発光素子を用いるようにしてもよいし、全て受光素子を用いるようにしてもよい。
【0079】
図13に示すように、コネクタ部72の側面72Aの両端には、ガイド穴72Xが形成されている。各ガイド穴72Xは、コネクタ部72の平面方向を貫通するように形成されている。これら一対のガイド穴72Xには、例えば他のコネクタ(標準化されたMTコネクタなど)と接続する際の位置合わせのために使用されるガイドピン(図示略)が嵌合される。例えば当該光コネクタ2が上記MTコネクタと接続される場合には、ガイド穴の構造(ガイド穴72Xの開口径及びガイド穴72Xのピッチ等)がMTコネクタの標準規格に合致するように形成される。なお、本例ではコネクタ部72にガイド穴72Xを形成するようにしたが、コネクタ部72にガイドピンを形成するようにしてもよい。
【0080】
図12(a)に示すように、光導波路80は、ケース70(ケース部71及びコネクタ部72)の下面70Aに形成されている。この光導波路80は、第1クラッド層81と、コア部82と、第2クラッド層83とを有している。
【0081】
第1クラッド層81は、ケース70の下面70Aに形成されている。コア部82は、光信号の伝搬を行うためのものであり、第1クラッド層81の下に形成されている。第2クラッド層83は、コア部82を覆うように第1クラッド層81の下に形成されている。このように、光導波路80は、ケース70の下面70Aに、第1クラッド層81とコア部82と第2クラッド層83とがこの順番で積層された構造を有し、コア部82が第1クラッド層81及び第2クラッド層83で囲まれた構造を有している。
【0082】
これら第1及び第2クラッド層81,83及びコア部82の材料としては、基本的には同じ材料を用いることができる。例えば、第1及び第2クラッド層81,83及びコア部82の材料としては、光学素子50が使用する波長域において光透過性を有する樹脂材を用いることができる。具体的には、第1及び第2クラッド層81,83及びコア部82の材料としては、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂やシリコーン系樹脂などを用いることができる。但し、光信号の伝搬がコア部82内でのみ行われるようにするために、コア部82を構成する材料としては、そのコア部82の上下両面に形成される第1及び第2クラッド層81,83を構成する材料よりも屈折率の高い材料が選定されている。
【0083】
図12(b)に示すように、ケース70に搭載される光学素子50の数(具体的には、チャンネル数)に応じた数(ここでは、4個)のコア部82がY方向に沿って並設されている。各コア部82は、隣接するコア部82との間隔が広い第1部82Cと、隣接するコア部82との間隔が狭い第2部82Dと、それら第1部82Cと第2部82Dとを曲線状に接続する第3部82Eとを有している。すなわち、光学素子50の受発光部52側のコア部82(第1部82C)のピッチは、ケース70の側面72A側のコア部82(第2部82D)のピッチよりも広くなっている。ここで、例えば当該光コネクタ2が上記MTコネクタと接続される場合には、そのMTコネクタと接続されるコア部82のピッチ(つまり、第2部82Dにおけるコア部82のピッチ)がMTコネクタの標準規格に基づいて設定される。そして、
図12(b)に示すように、上記設定される第2部82Dにおけるコア部82のピッチが第1部82Cにおけるコア部82のピッチ(つまり、光学素子50の光軸中心A2のピッチ)と異なる場合には、そのピッチの違いに対応してコア部82がパターニングされる。なお、当該光コネクタ2のガイド穴72Xに上記MTコネクタのガイドピンが嵌合されて両コネクタが接続されると、コア部82の第2部82Dが例えばMTコネクタのテープファイバと正確に対設されることになる。
【0084】
このような各コア部82は、ケース70に収容された各光学素子50の受発光部52の位置に対応する平面位置に形成されている。具体的には、各コア部82は、ケース70の任意の点(ここでは、ケース70の任意の角部A4)を基準位置(例えば、原点)としたときの、各光学素子50の光軸中心A2の座標位置(平面位置)に応じた平面位置に形成されている。より具体的には、各コア部82は、上記角部A4を基準位置としたときの各光軸中心A2のY座標位置と各コア部82の第1部82Cにおける幅方向の中心のY座標位置とが一致するように形成されている。
【0085】
なお、
図12(a)に示した第1クラッド層81の厚さは、例えば10〜100μm程度とすることができる。コア部82の厚さは例えば30〜80μm程度とすることができ、各コア部82のパターン幅は例えば300〜500μm程度とすることができる。また、第1部82Cにおけるコア部82のピッチは例えば100〜500μm程度とすることができ、第2部82Dにおけるコア部82のピッチは例えば125〜300μm程度とすることができる。このコア部82上に形成された第2クラッド層83の厚さは、例えば10〜100μm程度とすることができる。
【0086】
光導波路80には、コア部82を露出する溝部84が形成されている。溝部84は、第2クラッド層83の下面からコア部82を貫通して第1クラッド層81の厚さ方向の途中まで形成され、第2クラッド層83及びコア部82を分断するようにして形成される。この溝部84は、光路を90度変換するための傾斜面84Aと、その傾斜面84Aと交差する側壁面84Bとを有している。例えば、溝部84では、側壁面84Bが光導波路80(コア部82)の延在方向と直交する垂直面に形成され、傾斜面84Aが光導波路80(コア部82)の延在方向に対して所定の角度(例えば45度)傾斜して形成されている。このため、溝部84の断面形状は、略直角三角形状に形成されている。
【0087】
上記傾斜面84Aには、光路を90度変換するための反射ミラー85が形成されている。この反射ミラー85の材料としては、例えば良好な光反射性を有する金、銀やアルミニウムを用いることができる。
【0088】
図12(b)に示すように、上記反射ミラー85は、Y方向に延在して形成され、複数のコア部82と直交する帯状溝として形成されている。この反射ミラー85は、当該光導波路80上に実装された光学素子50の受発光部52と対向する位置に形成されている。例えば、反射ミラー85は、ケース70の角部A4を基準位置としたときの、各光学素子50の光軸中心A2の座標位置に応じた平面位置に形成されている。
【0089】
図12(a)に示すように、光導波路80には、その光導波路80の厚さ方向を貫通して上記ケース70の貫通穴73Xに連通する開口部80Xが形成されている。この開口部80X内には、ケース70に収容された光学素子50の電極端子51が挿通されている。なお、開口部80Xの平面形状は、円形状に形成されている。また、開口部80Xの開口径は、上記貫通穴73Xの開口径よりも小径に形成されている。
【0090】
(光モジュールの構造)
次に、光モジュール1Aの構造について説明する。
図14に示すように、光モジュール1Aは、配線基板10Aと、上述した複数の光学素子50が実装され光導波路80が一体化された光コネクタ2と、電子部品30とを有している。
【0091】
配線基板10Aは、基板本体11と、最上層の配線パターン12と、最下層の配線パターン13と、ソルダレジスト層15,18とを有している。
ソルダレジスト層18は、配線パターン12を覆うように基板本体11の上面に形成されている。このソルダレジスト層18には、配線パターン12の一部を接続パッドP1として露出させるための開口部18Xが形成されるとともに、配線パターン12の一部を接続パッドP3として露出させるための開口部18Yが形成されている。接続パッドP1上には、その接続パッドP1と電子部品30の電極端子31とを電気的に接続するはんだ16が形成されている。また、接続パッドP3上には、その接続パッドP3と光学素子50の電極端子51とを電気的に接続するはんだ19が形成されている。なお、必要に応じて、上記開口部18X,18Yから露出する配線パターン12上にOSP(Organic Solderbility Preservative)処理を施してOSP膜を形成し、そのOSP膜上に上記はんだ16,19をそれぞれ形成するようにしてもよい。また、開口部18X,18Yから露出する配線パターン12上に金属層を形成し、その金属層上に上記はんだ16,18をそれぞれ形成するようにしてもよい。金属層の例としては、例えばAu層、Ni/Au層や、Ni/Pd/Au層などを挙げることができる。
【0092】
なお、開口部18X,18Y及び接続パッドP1,P3の平面形状は例えば円形状であり、その直径は例えば50〜200μm程度とすることができる。基板本体11の上面からソルダレジスト層18の上面までの厚さは、例えば10〜100μm程度とすることができる。このソルダレジスト層18の材料としては、例えばエポキシ系又はアクリル系の絶縁性樹脂を用いることができる。
【0093】
電子部品30は、電極端子31及びはんだ16を介して、配線基板10Aの接続パッドP1と電気的に接続されている。すなわち、電子部品30は、配線基板10Aにフリップチップ実装されている。
【0094】
光コネクタ2は、ケース70に固定された各光学素子50が、電極端子51及びはんだ19を介して、配線基板10Aの接続パッドP3と電気的に接続されるように、配線基板10A上に実装されている。これにより、各光学素子50は、電極端子51、配線パターン12及び電極端子31を通じて上記電子部品30と電気的に接続されている。
【0095】
これら光コネクタ2と配線基板10Aとの間には、アンダーフィル樹脂28が形成されている。このアンダーフィル樹脂28は光学素子50の電極端子51と配線基板10Aの接続パッドP3との接続部分の接続強度を向上させるための樹脂であり、配線基板10A(ソルダレジスト層18)の上面と光学素子50(光導波路80)の下面との隙間を充填するように形成されている。なお、アンダーフィル樹脂28の材料としては、光学素子50が使用する波長域において光透過性を有する樹脂材を用いることができる。具体的には、アンダーフィル樹脂28の材料としては、第1クラッド層81、コア部82及び第2クラッド層83と同一の樹脂材を好適に用いることができる。
【0096】
(光コネクタの製造方法)
次に、上記光コネクタ2の製造方法について説明する。
図15(a)に示す工程では、まず、凹部73が形成されたケース部71と、一対のガイド穴72Xが形成されたコネクタ部72とが一体に形成されたケース70を用意する。続いて、凹部73内に複数の光学素子50を収容する(第1工程)。具体的には、各光学素子50の電極パッド54(カソード電極又はアノード電極)及び受発光部52の形成された面53が凹部73の底面73Aと対向するように、各光学素子50を底面73A上に絶縁性の接着樹脂やアンダーフィル樹脂等により固定する。また、各光学素子50は、各光学素子50の電極パッド54が凹部73の貫通穴73Xと対向するように、凹部73内に収容される。なお、必要に応じて、貫通穴73Xに導電性樹脂やはんだ等を充填するようにしてもよい。
【0097】
次に、
図15(b)に示す工程(第2工程)では、ケース70の任意の角部A4とケース70に収容された各光学素子50の光軸中心A2との位置を画像処理等により検出し、角部A4の位置を基準位置として、上記各光軸中心A2の座標位置をデータ化する。例えばCCDカメラなどの撮像装置60を用いてケース70及びそのケース70に収容された各光学素子50がケース70の下面側から撮像され、その撮像データが処理装置61に出力される。そして、この処理装置61は、撮像データに基づいて、ケース70の角部A4の位置及び各光学素子50の光軸中心A2の位置を検出し、上記角部A4の位置を基準位置(例えば、原点)にしたときの各光軸中心A2の平面位置(XY座標位置)を示す座標データを生成する。また、処理装置61は、上記MTコネクタの標準規格などによりコネクタ部72の側面72A側(第2部82D)におけるコア部82のピッチや平面位置等が決まっている場合には、上記角部A4の位置を基準位置にしたときの第2部82Dにおけるコア部82の平面位置を示す座標データを生成する。なお、ケース70が光透過性を有するガラス材料からなるため、そのケース70の下面側から撮像装置60によって撮像することにより、各光学素子50の光軸中心A2の位置を検出することができる。
【0098】
続いて、処理装置61は、上記座標データに基づいて光導波路80(コア部82)のパターンを設計した設計データを生成する。具体的には、処理装置61は、上記角部A4を基準位置として、その基準位置と各コア部82との相対的な位置関係(つまり、形成すべき各コア部82の平面位置)及び各コア部82の平面形状を示す設計データを生成する。
【0099】
次に、
図16(b)〜
図18に従って、上記ケース70の下面70A側に光導波路80を積層(一体化)する。まず、
図16(a)に示す工程では、先の
図7(b)に示した工程と同様の製造工程により、ケース70の下面70Aに、その下面70A全面を覆うように第1クラッド層81を形成する。続いて、
図16(b)に示す工程では、第1クラッド層81の下面に、その下面全面を覆うようにコア部82となるコア層82Aを形成する。
【0100】
続いて、
図17に示す工程(第3工程)では、先の
図8に示した工程と同様の製造工程により、上記設計データに基づいて、コア層82Aをパターニングして所望の形状のコア部82を形成する。本例では、
図17(b)に示すように、第1部82C、第2部82D及び第3部82Eを有する帯状のコア部82が複数個(チャネル数と同数の4個)Y方向に並設される。例えば、設計データに基づいて、コア層82Aの所定の位置(形成すべきコア部82の位置)に対し、活性エネルギー光線又は電子線を選択的に照射し、所望の形状のコア部82をパターン形成する。詳述すると、各コア部82は、上記設計データに基づいて、実装される各光学素子50の光軸中心A2と第1部82Cにおいて平面視で重なるとともに、上記MTコネクタの標準規格などによって決定される位置に第2部82Dが形成されるようなパターン形状で形成される。すなわち、各コア部82は、例えばCCDカメラ等によりケース70の角部A4を検出し、その角部A4の位置を基準位置としたときの上記各光軸中心A2の座標位置に基づいて、その各光軸中心A2の平面位置と各コア部82の平面位置とが一致するようなパターン形状で形成される。
【0101】
ここでは、コア層82Aの活性エネルギー光線又は電子線が照射された部位がコア部82となり、コア層82Aの活性エネルギー光線又は電子線が照射されなかった部位がクラッド部82Bとなる。このため、隣接するコア部82間には、クラッド部82Bが形成されることになる。
【0102】
このように、コア部82は、コア層82Aに対する活性エネルギー光線等の照射によってパターン形成される。このため、コア層82Aに対する活性エネルギー光線の照射パターン(照射位置)を、上記角部A4を基準位置として上記設計データに基づき設定することにより、所望の平面位置に所望の平面形状のコア部82を形成することができる。
【0103】
次に、
図18(a)に示す工程では、コア部82を被覆するように第2クラッド層83を形成する。以上の工程により、ケース70の下面70Aに、コア部82が第1クラッド層81及び第2クラッド層83で囲まれた構造の光導波路80が形成される。
【0104】
次に、
図18(b)に示す工程(第4工程)では、先の
図10に示した工程と同様の製造工程により、上記設計データに基づいて、光導波路80の所要の箇所に断面視略直角三角形状の溝部84と反射ミラー85とを形成する。例えば、反射ミラー85は、例えばCCDカメラ等により検出される上記角部A4を基準位置として、実装される光学素子50の光軸中心A2と平面視で重なる位置に形成される。
【0105】
このように、コア部82及び反射ミラー85は、ケース70に収容された各光学素子50の実際の位置に応じた位置に形成される。このため、各光学素子50に対して精度良く位置合わせした状態で、コア部82及び反射ミラー85を形成することができる。例えば、ケース70に収容された各光学素子50の受発光部52が反射ミラー85の真上に配置され、各光学素子50の光軸中心A2のY座標位置と第1部82Cにおける各コア部82の幅方向の中心のY座標位置とが略一致するように配置される。これにより、光学素子50とコア部82又は反射ミラー85との間の光軸のずれが好適に抑制された状態で、光学素子50が反射ミラー85によって光導波路80(コア部82)に光結合される。したがって、光結合損失の発生を好適に抑制することができる。
【0106】
続いて、
図19(a)に示す工程では、光導波路80を貫通して凹部73の貫通穴73Xに連通する開口部80Xを形成する。この開口部80Xは、例えばCO
2レーザやUV−YAGレーザ等によるレーザ加工法によって形成することができる。なお、第1クラッド層81及び第2クラッド層83が感光性樹脂を用いて形成されている場合には、例えばフォトリソグラフィ法により所要の開口部80Xを形成するようにしてもよい。
【0107】
次いで、
図19(b)に示す工程では、貫通穴73X及び開口部80Xによって露出される電極パッド54(ここでは、図示略)上に電極端子51を形成する。以上の製造工程により、
図12に示した光コネクタ2を製造することができる。
【0108】
(光モジュールの製造方法)
次に、光モジュール1Aの製造方法について説明する。
図20(a)に示す工程では、まず、配線基板10Aを用意する。この配線基板10Aは、例えば
図5〜
図7(a)に示す工程と同様の製造工程により製造することができる。詳述すると、まず、基板本体11の両面に所要の形状にパターニングされた配線パターン12,13を形成する。続いて、配線パターン12の一部を接続パッドP1,P3としてそれぞれ露出させる開口部18Xを有するソルダレジスト層18を基板本体11の上面に形成する。また、配線パターン13の一部を外部接続用パッド13Pとして露出させる開口部15Xを有するソルダレジスト層15を基板本体11の下面に形成する。その後、ソルダレジスト層18の開口部18X,18Yから露出された接続パッドP1,P3上に、はんだ16,19をそれぞれ形成する。
【0109】
また、
図20(a)に示す工程では、電子部品30の電極端子31を配線基板10Aの接続パッドP1上に位置決めし、はんだ16を溶融させ、電子部品30の電極端子31を接続パッドP1に電気的に接続する。これにより、配線基板10Aに電子部品30がフリップチップ実装される。
【0110】
また、
図20(a)に示す工程では、ケース70に収容された各光学素子50の電極端子51を配線基板10Aの接続パッドP3上に位置決めし、はんだ19を溶融させ、各光学素子50の電極端子51を接続パッドP3に電気的に接続する。これにより、配線基板10Aに光コネクタ2が実装される。
【0111】
次に、
図20(b)に示す工程では、配線基板10Aと電子部品30との隙間を充填するようにアンダーフィル樹脂17を形成する。また、配線基板10Aと光コネクタ2との隙間を充填するようにアンダーフィル樹脂28を形成する。なお、アンダーフィル樹脂28は、開口部80X内及び溝部84内にも充填される。
【0112】
以上の製造工程により、
図14に示した光モジュール1Aを製造することができる。
以上説明した実施形態によれば、第1実施形態の(1)〜(4)の効果に加えて以下の効果を奏する。
【0113】
(5)複数の光学素子50が固定されたケース70に対して光導波路80(コア部82)を形成(積層)するようにした。このため、各光学素子50の光軸中心A2の位置を検出する際に使用した基準点(ここでは、ケース70の角部A4)を、コア部82及び反射ミラー85を形成する際の基準点としても使用することができる。これにより、光軸中心A2を検出する際の基準点と、コア部82及び反射ミラー85を形成する際の基準点との位置ずれの発生が抑制されるため、光学素子50とコア部82又は反射ミラー85との間の光軸のずれをより好適に抑制することができる。
【0114】
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
・上記各実施形態におけるアンダーフィル樹脂17,27,28を省略するようにしてもよい。
【0115】
・上記各実施形態における光モジュール1,1Aのチャンネル数は特に限定されない。
・上記第1実施形態におけるコア部22の平面形状は、直線状に限定されず、例えば湾曲部を有する形状、分岐部や交差部を有する形状、集光部(例えば、他の部分と比べて幅が狭くなっている部分)や光拡散部(例えば、他の部分と比べて幅が広くなっている部分)を有する形状であってもよい。
【0116】
・上記各実施形態における反射ミラー25,85を省略するようにしてもよい。この場合には、溝部24,84の傾斜面24A,84A上に形成される空気層が、光路を90度変換する光路変換部として機能する。
【0117】
・上記各実施形態では、光導波路20,80に傾斜面24A,84Aを有する溝部24,84を形成し、その傾斜面24A,84Aに反射ミラー25,85を形成するようにした。これに限らず、例えば基板本体11の上面(又はケース70の下面70A)に、反射ミラーが形成された傾斜面を有するミラー支持体を形成した後に、そのミラー支持体を覆うように光導波路を形成するようにしてもよい。
【0118】
・上記第2実施形態におけるケース70のコネクタ部72に形成されたガイド穴72Xを省略するようにしてもよい。
・上記各実施形態では、直描方式(マスクレス方式)の露光装置によって、形成すべきコア部22,82に対応するコア層22A,82Aに活性エネルギー光線又は電子線を選択的に照射するようにした。これに限らず、例えば形成すべきコア部22,82のパターンに対応した開口部を有するマスクを用いてコア層22A,82Aに対して活性エネルギー光線又は電子線を選択的に照射するようにしてもよい。
【0119】
あるいは、フォトリソグラフィ法によりコア部22,82を形成するようにしてもよい。すなわち、第1クラッド層21,81上にレジスト層を形成し、コア部22のパターンにレジスト層を露光・現像し、現像された部分(凹部)にコア部22を構成する材料を充填してコア部22を形成するようにしてもよい。この場合でも、露光の際の光の照射位置の設定を、アライメントマークM1や角部A4を基準として位置合わせすることにより、上記各実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0120】
・上記各実施形態におけるケース40,70の形状は特に限定されない。すなわち、ケース40,70の形状は、複数の光学素子を収容可能な形状であれば特に限定されない。