特許第5989416号(P5989416)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989416
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】ロボットハンド
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20160825BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   B25J15/08 P
   H01L21/68 A
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-138592(P2012-138592)
(22)【出願日】2012年6月20日
(65)【公開番号】特開2014-654(P2014-654A)
(43)【公開日】2014年1月9日
【審査請求日】2015年5月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】特許業務法人東京アルパ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100087099
【弁理士】
【氏名又は名称】川村 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100063174
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 功
(74)【代理人】
【識別番号】100124338
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 健
(72)【発明者】
【氏名】山中 聡
【審査官】 木原 裕二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−135026(JP,A)
【文献】 特開2010−098130(JP,A)
【文献】 特開平01−120032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 − 21/02
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を備える環状フレームの一方の面に粘着テープが貼着され該開口部を塞ぐ該粘着テープの粘着面に板状ワークが貼着されて構成されるワークセットをカセットの一対の側板の内壁の間に収納するロボットにおいて、該ロボットに装着するための装着部を備え、該ロボットに備えた移動手段によって駆動されて移動するロボットハンドであって、
該環状フレームは、該開口部を挟んで平行に切り欠いた一対の第1の位置決め面と、該一対の第1の位置決め面に直交する一対の第2の位置決め面とを外周部に備え、
該ロボットハンドは、
水平方向に自由度をもたせてワークセットが載置される載置面と、
該載置面の先端部に形成され、該載置面に載置されたワークセットの前端部を支持し、該載置面からの該ワークセットの落下を防止する落下防止爪と、
該落下防止爪に対応して該装着部の近傍に配置され、該一対の第2の位置決め面のうち該ワークセットの後端部に位置する一方の第2の位置決め面を支持する支持部と、を備えており、
該ロボットハンドに載置された該ワークセットをカセットに収納するとき、該移動手段の進行方向は、該カセットの該内壁と平行な方向であり、該進行方向から該ワークセットに外力が与えられ、該内壁と該フレームの外周とが接触した際に、該一対の第2の位置決め面のうち該ワークセットの該後端部の一方の第2の位置決め面が該支持部に支持され、該後端部の該支持部に支持された点を支点として該ワークセットが該載置面の上で回転して該ワークセットを該カセットに収納可能とするロボットハンド。
【請求項2】
前記装着部の近傍において、少なくとも2つの支持部を配設している請求項1記載のロボットハンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着テープを介して環状フレームに板状ワークが支持されて構成されるワークセットを搬送するロボットハンドに関する。
【背景技術】
【0002】
加工装置において板状ワークを加工する際には、まず、中央部が開口した環状フレームの一方の面に粘着テープを貼着し、環状フレームの開口部から露出した粘着テープの粘着面に板状ワークを貼着してワークセットを形成する。このようなワークセットを構成する
板状ワークを加工する加工装置は、ワークセットを収納するカセットと、カセットからワークセットを搬出及びカセットにワークセットを搬入するロボットハンドと、ワークセットを仮置きするための仮置きテーブルと、ワークセットを保持する加工テーブルと、加工テーブルに保持されたワークセットに加工を施す加工手段と、加工されたワークセットに洗浄を施す洗浄手段と、を少なくとも備えている。
【0003】
図5に示す従来のロボットハンド10は、先端側が二股に分岐しワークセットが載置される載置面11を備えている。この載置面11の先端部には、載置面11よりも高い面を有する落下防止爪12が形成されており、該載置面11からワークセットが脱落することを防止している。また、載置面11の後部側には、載置面11よりも高い面を有する段差部13が形成されており、載置面11に載置されたワークセットが位置ずれする範囲を規制している。このようなロボットハンド10の載置面11にワークセットを載置することを容易にするため、載置面11の大きさはワークセットの外径よりも大きく形成されている。したがって、ワークセットは、載置面に載置された状態で載置面に平行な水平方向に多少の移動が可能となっている。
【0004】
上記のように構成される従来のロボットハンドは、例えば、カセットからワークセットを取り出して、加工テーブルに搬送する前に仮置きテーブルに搬送することができる。また、ワークセットを構成する板状ワークが加工装置によって加工された後、ロボットハンドは、加工テーブルから洗浄テーブルにワークセットを搬送することができる。さらに、ロボットハンドは、洗浄テーブルで洗浄及び乾燥されたワークセットを洗浄テーブルから搬出しカセットに収納することができる(例えば、下記の特許文献1及び特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−035281号公報
【特許文献2】特開2011−131284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ロボットハンドの載置面に載置されたワークセットが、ワークセットの中心を軸にワークセットの回転方向に位置ずれしてしまうことがある。この状態のまま、ロボットハンドがワークセットをカセットに収納しようとすると、ワークセットの外周部とカセットの内壁とが接触してワークセットをカセットに収納できないという問題がある。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、ロボットハンドによってワークセットをカセットに収納する際、ワークセットの外周部がカセットの内壁に接触したとしても、カセットに収納することができるようにすることに発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、開口部を備える環状フレームの一方の面に粘着テープが貼着され開口部を塞ぐ粘着テープの粘着面に板状ワークが貼着されて構成されるワークセットをカセットの一対の側板の内壁の間に収納するロボットにおいて、ロボットに装着するための装着部を備え、ロボットに備えた移動手段によって駆動されて移動するロボットハンドに関し、環状フレームは、開口部を挟んで平行に切り欠いた一対の第1の位置決め面と、一対の第1の位置決め面に直交する一対の第2の位置決め面とを外周部に備え、ロボットハンドは、水平方向に自由度をもたせてワークセットが載置される載置面と、載置面の先端部に形成され、載置面に載置されたワークセットの前端部を支持し、載置面からのワークセットの落下を防止する落下防止爪と、落下防止爪に対応して装着部の近傍に配置され、一対の第2の位置決め面のうちワークセットの後端部に位置する一方の第2の位置決め面を支持する支持部と、を備えており、ロボットハンドに載置されたワークセットをカセットに収納するとき、移動手段の進行方向は、該カセットの内壁と平行な方向であり、進行方向からワークセットに外力が与えられ、内壁とフレームの外周とが接触した際に、一対の第2の位置決め面のうちワークセットの後端部の一方の第2の位置決め面が支持部に支持され、後端部の支持部に支持された点を支点としてワークセットが載置面の上で回転してワークセットをカセットに収納可能とする。
【0009】
上記の装着部の近傍には、少なくとも2つの支持部が配設されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るロボットハンドには、載置面に載置されたワークセットの前端部を支持し該載置面からのワークセットの落下を防止する落下防止爪と、ロボットハンドと移動手段とを装着する装着部の近傍に配置されワークセットの後端部を支持する支持部とを備えているため、載置面に載置されたワークセットをカセットに収納するとき、移動手段の進行方向からワークセットの外周部に外力が加わると、支持部は、ワークセットの後端部を支持するとともに、この支持部で支持した点を支点としてワークセットを載置面の上で回転させることができる。その結果、ロボットハンドの載置面においてワークセットの位置ずれが修正される。したがって、カセットの内壁にワークセットの外周部が接触したとしても、カセットにワークセットを確実に収納することができる。
【0011】
また、2つの支持部が装着部の近傍に配設されているため、ワークセットが載置面において位置ずれする方向に対応して、いずれか一方の支持部でワークセットの後端部を支持することができ、この支持部に支持された点を支点としてワークセットを該載置面の上で回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】ワークセットを保持したロボットハンド及びカセットを示す斜視図である。
図2】ロボットハンドの構成を示す斜視図である。
図3】カセットにワークセットを収納する際、ワークセットの位置決め面がカセットの内壁に接触した状態を示す断面図である。
図4】カセットにワークセットを収納する状態を示す断面図である。
図5】従来のロボットハンドの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示すカセット4は、板状ワークなどの被加工物を複数収納することができるカセットである。カセット4は、Z軸方向に立設された一対の側板40と、一対の側板40の上端部に連接された天板41と、一対の側板40の下端部に連接された底板42と、により箱状に形成されている。一対の側板40の内壁43には、Z軸方向に所定の間隔を設けて水平方向に突出する一対の収納部44が複数配設されている。また、天板41の上面には、カセット4を運搬するための取っ手45が配設されている。
【0014】
一対の収納部44には、ロボットハンド2によってワークセット8が収納される。ワークセット8は、粘着テープ6が貼着された環状フレーム5に板状ワーク7を貼着することにより形成されている。各収納部44間のZ軸方向(高さ方向)の間隔は、ワークセット8を保持したロボットハンド2が進入可能な間隔となっている。
【0015】
図2に示す搬送ロボット1は、図1に示したワークセット8を載置可能なロボットハンド2を搭載したロボットである。この搬送ロボット1は、図1に示したワークセット8を載置するためのロボットハンド2と、ロボットハンド2に載置されたワークセット8をカセット4に搬入及びカセット4から搬出する移動手段3と、ロボットハンド2を移動手段3に装着するための装着部24と、を備えている。
【0016】
図2に示すように、ロボットハンド2は、ワークセット8が載置される載置面20を備えており、載置面20は先端側が二股に分岐して形成されている。載置面20は、その外径が、図1に示したワークセット8の外径よりも大きく形成されている。したがって、水平方向に自由度をもたせてワークセット8を載置することができる。
【0017】
図2に示すように、ロボットハンド2には、二股に分岐された載置面20のそれぞれの先端部に落下防止爪21を備えている。落下防止爪21は、その表面の高さが載置面20よりも高く形成されており、図1に示したように、載置面20に載置されたワークセット8の前端部9aを支持するとともに、載置面20からワークセット8が落下するのを防止することができる。
【0018】
さらに、ロボットハンド2の装着部24の近傍には、ワークセット8の後端部9bを支持する2つの支持部22が配設されている。この2つの支持部22は、円柱状に形成されており、例えば数センチメートルほど離れて形成されており、いずれか一方の支持部22にワークセット8の後端部9bが接触することで、その接触した点を支点としてワークセット8を載置面20の上で回転させることができる。また、図2に示すように、2つの支持部22の近傍には、載置面20の面よりも高い面を有する段差部23が形成されている。
【0019】
移動手段3は、支持台30と、支持台30に対して上下動及び回転可能に配設され屈曲可能なアーム31及びアーム32と、アーム32の一端に配設された保持部33と、を備えている。保持部33には、ロボットハンド2が回転可能に連結されている。
【0020】
移動手段3は、アーム31及び32の動きによって、保持部33に連結されたロボットハンド2を移動させることにより、ロボットハンド2をX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動させることができる。
【0021】
図3に示すように、ワークセット8は、中央に開口部54が形成された環状フレーム5と、環状フレーム5の一方の面に貼着された粘着テープ6と、粘着テープ6のうち開口部54を塞ぐ部分に貼着された板状ワーク7とによって一体となって形成されている。
【0022】
環状フレーム5には、円形に形成された外周の一部を開口部54を挟んで平行に切り欠いて形成した一対の位置決め面50及び一対の位置決め面51を備えている。図示の例では、位置決め面50と位置決め面51とは直交する関係にある。また、位置決め面50と位置決め面51との間には、円弧状の外周部52及び外周部53が形成されている。
【0023】
次に、搬送ロボット1を用いてワークセット8をカセット4に収納する動作について説明する。
【0024】
図1に示すように、ロボットハンド2は、ワークセット8をロボットハンド2の載置面20に載置する。その後、図2に示した移動手段3がロボットハンド2をカセット4の収納部44の近傍に移動させる。次いで、移動手段3がロボットハンド2を進入方向であるY軸方向に移動させると、図3に示すように、ワークセット8が同方向に移動していく。
【0025】
このようにしてカセット4にワークセット8を収納するためには、環状フレーム5の位置決め面51とカセット4の内壁43とを平行にする必要があるが、図3に示すように、ロボットハンド2の載置面20に載置されたワークセット8が、その中心を軸としてワークセット8の回転方向にずれていることがある。図3の例では、ワークセット8が矢印A方向にずれて載置されているために、ワークセット8の一方の外周部52がカセット4の側方に突出した状態となっている。したがって、この位置ずれした状態のままのワークセット8をカセット4の内部に進入させようとしても、環状フレーム5の外周部52がカセット4の内壁43と接触してしまい、ワークセット8を収納部44に収納することができない。なお、ワークセット8のずれの方向は、矢印A方向に限定されるものではなく、矢印A方向と逆の方向に回転することもある。
【0026】
環状フレーム5の外周部52がカセット4の内壁43に接触し、ロボットハンド2を前進させてワークセット8をカセット4の内部に押し込もうとすると、移動手段3の進行方向からワークセット8に外力が加わるため、位置ずれした状態で載置面20に載置されたワークセット8の後端部9bが一方の支持部22に接触して支持される。なお、ワークセット8が逆方向に回転して位置ずれしている場合は、他方の支持部22によってワークセット8の後端部9bが支持される。すなわち、ワークセットが位置ずれする方向に対応して、いずれか一方の支持部22によってワークセット8の後端部9bを支持することができる。
【0027】
図3に示したように、ワークセット8の後端部9bが一方の支持部22に接触して支持された状態からさらにワークセット8をカセット4の方向に押すと、図4に示すように、後端部9bのうち支持部22によって支持された点が支点となり、ワークセット8が、載置面20の上で、ずれの方向と逆の方向、すなわち矢印B方向に回転する。そして、後端部9bがもう1つの支持部22に接触するまで回転すると、ワークセット8の向きが矯正され、なお、環状フレーム5の位置決め面50と位置決め面51とが直交しているため、2つの支持部22を結ぶ直線が、ロボットハンド2の進入方向であるY軸方向に対して直交するX軸方向に形成されていると、位置決め面50がX軸方向に向くように矯正されるため、位置決め面51が自動的にY軸方向に向き、位置決め面51とカセット4の内壁43とが平行になり、ワークセット8をカセット4に円滑に収納することができる。
【0028】
その後、移動手段3は、ロボットハンド2をカセット4の内部に進入させてワークセット8を収納部44の上方に移動させた後、ロボットハンド2を下降させて、ワークセット8を構成する環状フレーム5を収納部44に載せる。このようにして、1つのワークセット8が収納部44に収納される。
【0029】
このように、ロボットハンド2は、載置面20に載置されたワークセット8をカセット4に収納するとき、ワークセット8がロボットハンド2の載置面20において、移動手段3の進行方向からワークセット8の外周部に外力が加わると、支持部22によりワークセット8の後端部9bを支持するとともに、支持部22によって支持された点を支点としてワークセット8を載置面20の上で回転させることができるため、ロボットハンド2の載置面20においてワークセット8の位置ずれを修正することができる。
【0030】
特に、本実施形態において示したように、2つの支持部22を備えていると、ワークセット8が位置ずれする方向に対応して、いずれか一方の支持部22でワークセット8の後端部9bを支持し、回転させることができるとともに、一方の支持部22がワークセット8の回転時の支点を定め、他方の支持部22が回転を規制する位置決め部材として機能するため、ワークセット8を確実に所望の向きに修正することができる。
【符号の説明】
【0031】
1:搬送ロボット
2:ロボットハンド
20:載置面 21:落下防止爪 22:支持部
23:段差部 24:装着部
3:移動手段
30:支持台 31:アーム部 32:アーム部 33:保持部
4:カセット
40:側板 41:天板 42:底板 43:内壁 44:収納部 45:取っ手
5:環状フレーム 50,51:位置決め面 52,53:外周部 54:開口部
6:粘着テープ
7:板状ワーク
8:ワークセット 9a:前端部 9b:後端部
10:ロボットハンド 11:載置面 12:落下防止爪 13:段差部
図1
図2
図3
図4
図5