(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1〜6のいずれかに記載の硫黄含有複環式化合物又は1,3,5,7−テトラメチル−2,4,6,8,9,10−ヘキサチアアダマンタンであるアッベ数向上材料。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、公知の低廉な樹脂をベース樹脂として組み合わせた場合であっても、高い屈折率を発現することができる硫黄含有複環式化合物を提供することである。
本発明の他の目的は、高屈折率かつ高アッベ数を有する硫黄含有複環式化合物を含む組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、以下の硫黄含有複環式化合物等が提供される。
1.下記式(1)で表わされる硫黄含有複環式化合物。
【化1】
(式中、R
1は、それぞれ水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、又は−R’−R
aで表わされる基であり、少なくとも1つのR
1は、−R’−R
aで表わされる基である。
R
aは、水素原子、カルボキシル基、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、2つの置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基がエステル結合によって結合した基、又は置換若しくは無置換の1,3,5,7−テトラメチル−2,4,6,8,9,10−ヘキサチアアダマンチル基である。但し、R
aが置換若しくは無置換の1,3,5,7−テトラメチル−2,4,6,8,9,10−ヘキサチアアダマンチル基である場合、R’は、1,3,5,7−テトラメチル−2,4,6,8,9,10−ヘキサチアアダマンチル基のメチル基を構成する炭素原子と結合する。
R’は、−S−、−S−S−、−S−S−S−、又は−S−R
b−S−で表される2価の基である。
R
bは、−S−で表される2価の基、置換もしくは無置換の2価の脂肪族炭化水素基及び置換もしくは無置換の2価の芳香族炭化水素基から選ばれる基を2以上組み合わせた2価の基、置換もしくは無置換の2価の脂肪族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の2価の芳香族炭化水素基である。)
2.下記式(2)で表わされる1に記載の硫黄含有複環式化合物。
【化2】
(R
2は、それぞれ水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、又は−S−R
cで表わされる基であり、少なくとも1つのR
2は、−S−R
cで表わされる基である。
R
cは、水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、又は2つの置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基がエステル結合によって結合した基である。)
3.12個のR
2のうち、1〜3個のR
2が、それぞれ−S−R
cで表わされる基である2に記載の硫黄含有複環式化合物。
4.下記式(3)で表わされる1に記載の硫黄含有複環式化合物。
【化3】
(式中、R
4は、それぞれ水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、又は−S−R
eで表わされる基である。
R
eは、水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、又は2つの置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基がエステル結合によって結合した基である。
R’は、−S−、−S−S−、−S−S−S−、又は−S−R
b−S−で表される2価の基である。
R
bは、−S−で表される2価の基、置換もしくは無置換の2価の脂肪族炭化水素基及び置換もしくは無置換の2価の芳香族炭化水素基から選ばれる連結基を2以上組み合わせた2価の基、置換もしくは無置換の2価の脂肪族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の2価の芳香族炭化水素基である。)
5.下記式(4)で表わされる1に記載の硫黄含有複環式化合物。
【化4】
(式中、R
3は、それぞれ水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、又は−S−R
dで表わされる基であり、少なくとも1つのR
3は−S−R
dで表わされる基である。
R
dは、それぞれ水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、又は2つの置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基がエステル結合によって結合した基である。)
6.下記式(5)で表わされる1に記載の硫黄含有複環式化合物。
【化5】
(式中、R
4は、それぞれ水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、又は−S−R
eで表わされる基である。
R
eは、水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、又は2つの置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基がエステル結合によって結合した基である。
Aは、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、カルボキシル基、又は2つの置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基がエステル結合によって結合したである。)
7.下記式(6)で表わされる化合物と下記式(7)で表わされるチオール化合物を塩基性条件下で反応させる硫黄含有複環式化合物の製造方法。
【化6】
(式中、R
11は、それぞれ水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、又は−R’−R
Aで表わされる基である。
R
Aは、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、又は2つの置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基がエステル結合によって結合した基である。
R’は、−S−、−S−S−、−S−S−S−、又は−S−R
b−S−で表される2価の基である。
R
bは、−S−で表される2価の基、置換もしくは無置換の2価の脂肪族炭化水素基及び置換もしくは無置換の2価の芳香族炭化水素基から選ばれる連結基を2以上組み合わせた2価の基、置換もしくは無置換の2価の脂肪族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の2価の芳香族炭化水素基である。
Aは、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、カルボキシル基、又は2つの置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基がエステル結合によって結合した基である。
nは、1又は2の整数である。)
8.下記式(6)で表わされる化合物と下記式(8)で表わされるチオール化合物を塩基性条件下で反応させる硫黄含有複環式化合物の製造方法。
【化7】
(式中、R
11は、それぞれ水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、又は−R’−R
Aで表わされる基である。
R
Aは、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、又は2つの置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基がエステル結合によって結合した基である。
R’は、−S−、−S−S−、−S−S−S−、又は−S−R
b−S−で表される2価の基である。
R
bは、−S−で表される2価の基、置換もしくは無置換の2価の脂肪族炭化水素基及び置換もしくは無置換の2価の芳香族炭化水素基から選ばれる連結基を2以上組み合わせた2価の基、置換もしくは無置換の2価の脂肪族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の2価の芳香族炭化水素基である。
R’’は、置換もしくは無置換の2価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の2価の芳香族炭化水素基、−S−で表わされる2価の基、又は−S−で表わされる2価の基、置換もしくは無置換の2価の脂肪族炭化水素及び置換もしくは無置換の2価の芳香族炭化水素基から選ばれる基を2又は3組み合わせた2価の基である。)
9.下記式(9)で表わされる化合物と下記式(7)で表わされるチオール化合物を塩基性条件下で反応させる硫黄含有複環式化合物の製造方法。
【化8】
(式中、R
11は、それぞれ水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、又は−R’−R
Aで表わされる基である。
R
Aは、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、又は2つの置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基がエステル結合によって結合した基である。
R’は、−S−、−S−S−、−S−S−S−、又は−S−R
b−S−で表される2価の基である。
R
bは、−S−で表される2価の基、置換もしくは無置換の2価の脂肪族炭化水素基及び置換もしくは無置換の2価の芳香族炭化水素基から選ばれる連結基を2以上組み合わせた2価の基、置換もしくは無置換の2価の脂肪族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の2価の芳香族炭化水素基である。
Aは、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、カルボキシル基、又は2つの置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基がエステル結合によって結合した基である。
nは、1又は2の整数である。)
10.1〜6のいずれかに記載の硫黄含有複環式化合物又は1,3,5,7−テトラメチル−2,4,6,8,9,10−ヘキサチアアダマンタンである高屈折率材料。
11.1〜6のいずれかに記載の硫黄含有複環式化合物又は1,3,5,7−テトラメチル−2,4,6,8,9,10−ヘキサチアアダマンタンであるアッベ数向上材料。
12.1〜6のいずれかに記載の硫黄含有複環式化合物又は1,3,5,7−テトラメチル−2,4,6,8,9,10−ヘキサチアアダマンタンを含む組成物。
13.12に記載の組成物からなる光学用部材。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、公知の低廉な樹脂をベース樹脂と組み合わせた場合であっても、高い屈折率を発現することができる硫黄含有複環式化合物が提供できる。
本発明によれば、高屈折率かつ高アッベ数を有する硫黄含有複環式化合物を含む組成物が提供できる
【発明を実施するための形態】
【0011】
[硫黄含有複環式化合物]
本発明の硫黄含有複環式化合物は、下記式(1)で表わされる化合物である。
【化9】
(式中、R
1は、それぞれ水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、又は−R’−R
aで表わされる基であり、少なくとも1つのR
1は、−R’−R
aで表わされる基である。
R
aは、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、2つの置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基がエステル結合によって結合した基、又は置換若しくは無置換の1,3,5,7−テトラメチル−2,4,6,8,9,10−ヘキサチアアダマンチル基である。但し、R
aが置換若しくは無置換の1,3,5,7−テトラメチル−2,4,6,8,9,10−ヘキサチアアダマンチル基である場合、R’は、1,3,5,7−テトラメチル−2,4,6,8,9,10−ヘキサチアアダマンチル基のメチル基を構成する炭素原子と結合する。
R’は、−S−、−S−S−、−S−S−S−、又は−S−R
b−S−で表される2価の基である。
R
bは、−S−で表される2価の基、置換もしくは無置換の2価の脂肪族炭化水素基及び置換もしくは無置換の2価の芳香族炭化水素基から選ばれる連結基を2以上組み合わせた2価の基、置換もしくは無置換の2価の脂肪族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の2価の芳香族炭化水素基である。)
【0012】
本発明の硫黄含有複環式化合物は、1,3,5,7−テトラメチル−2,4,6,8,9,10−ヘキサチアアダマンタン(TMHTA)構造を含有する化合物であって、TMHTA構造にさらに特定の置換基が結合していることによって、TMHTAよりも高い光学特性(高屈折率、及び高アッベ数)を発現することができる。
尚、1,3,5,7−テトラメチル−2,4,6,8,9,10−ヘキサチアアダマンタンとは、下記構造の化合物である。
【化10】
【0013】
式(1)で表わされる硫黄含有複環式化合物は、好ましくは以下に示す式(2)〜(5)のいずれかで表わされる硫黄含有複環式化合物である。
【0014】
式(2)で表わされる硫黄含有複環式化合物は、下記化合物である。
式(2)で表わされる化合物において、より好ましくは12個のR
2のうち、1〜3個のR
2が、それぞれ−S−R
cで表わされる基である。
【化11】
(R
2は、それぞれ水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、又は−S−R
cで表わされる基であり、少なくとも1つのR
2は、−S−R
cで表わされる基である。
R
cは、水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、又は2つの置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基がエステル結合によって結合した基である。)
【0015】
式(3)で表わされる硫黄含有複環式化合物は、TMHTAの二量体構造を含む下記化合物である。式(1)では、少なくとも1つのR
1が−R’−R
aで表わされる基であるが、式(3)では、二量体の連結部分と一方のTMHTA構造が−R’−R
aで表わされる基に対応する。従って、式(1)の「少なくとも1つのR
1が−R’−R
aで表わされる基」という限定は、式(3)は含まない。
【化12】
(式中、R
4は、それぞれ水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、又は−S−R
eで表わされる基である。
R
eは、水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、又は2つの置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基がエステル結合によって結合した基である。
R’は、−S−、−S−S−、−S−S−S−、又は−S−R
b−S−で表される2価の基である。
R
bは、−S−で表される2価の基、置換もしくは無置換の2価の脂肪族炭化水素基及び置換もしくは無置換の2価の芳香族炭化水素基から選ばれる連結基を2以上組み合わせた2価の基、置換もしくは無置換の2価の脂肪族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の2価の芳香族炭化水素基である。)
【0016】
式(4)で表わされる硫黄含有複環式化合物は、下記化合物である。
【化13】
(R
3は、それぞれ水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、又は−S−R
dで表わされる基であり、少なくとも1つのR
3は−S−R
dで表わされる基である。
R
dは、それぞれ水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、又は2つの置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基がエステル結合によって結合した基である。)
【0017】
式(5)で表わされる硫黄含有複環式化合物は、下記化合物である。
【化14】
(式中、R
4は、それぞれ水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、又は−S−R
eで表わされる基である。
R
eは、水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、又は2つの置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基がエステル結合によって結合した基である。
Aは、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、カルボキシル基、又は2つの置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基がエステル結合によって結合した基である。)
【0018】
式(1)〜(5)の化合物の各置換基について説明する。
R
1、R
2、R
3及びR
4のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
R
a及びAのアルカリ金属原子としては、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、ルビジウム原子、セシウム原子、フランシウム原子が挙げられる。
R
a及びAのアルカリ土類金属原子としては、ベリリウム原子、マグネシウム原子、カルシウム原子、ストロンチウム原子、バリウム原子、ラジウム原子が挙げられる。
【0019】
R
1、R
2、R
3、R
4、R
a、R
c、R
d、R
e及びAの脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基及び不飽和脂肪族炭化水素基を含む。
飽和脂肪族炭化水素基としては、例えばアルキル基が挙げられ、不飽和脂肪族炭化水素基としては、例えばアルケニル基が挙げられる。
脂肪族炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ウンデシル基、各種ドデシル基、各種トリデシル基、各種テトラデシル基、各種ペンタデシル基、各種ヘキサデシル基、各種ヘプタデシル基、各種オクタデシル基、ネオペンチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−ペンチルヘキシル基、1−ブチルペンチル基、1−ヘプチルオクチル基、3−メチルペンチル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、各種ブテニル基、各種ヘキセニル基、各種オクテニル基、各種デセニル基、各種ドデセニル基、各種テトラデセニル基等のアルケニル基が挙げられる。
脂肪族炭化水素基の炭素数は例えば1〜20であり、好ましくは1〜10であり、より好ましくは1〜5である。
R
b及びR’’の2価の脂肪族炭化水素基としては、上記脂肪族炭化水素基に対応する2価の残基が挙げられる。
【0020】
R
1、R
2、R
3、R
4、R
a、R
c、R
d、R
e及びAの芳香族炭化水素基としては、例えばアリール基が挙げられる。
アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ナフタセニル基、トリフェニリル基、フェナントリル基、クリセニル基、ベンズフェナントリル基、ベンズアントラニル基、ピレニル基、フルオレニル基、インデニル基、アセナフチレニル基、フルオランテニル基、ペリレニル基等が挙げられ、フェニル基及びナフチル基が好ましい。
R
b及びR’’の2価の芳香族炭化水素基としては、上記芳香族炭化水素基に対応する2価の残基が挙げられる。
【0021】
R
aの2つの置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基がエステル結合−C(O)−O−によって結合した基について、2つの置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基は同じでも異なってもよい。
また、結合する「置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基」は、上記と同じ置換基が挙げられる。
【0022】
上記脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基が置換基を有する場合、当該置換基としては、飽和脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。飽和脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基の具体例は、それぞれ上述した通りである。
【0023】
R
aの置換若しくは無置換の1,3,5,7−テトラメチル−2,4,6,8,9,10−ヘキサチアアダマンチル基について、TMHTA基が置換基を有する場合、当該置換基は、TMHTA基のメチル基の水素原子に置換する。
TMHTA基に置換する置換基としては、例えば置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、−S−R
eで表わされる基が挙げられる。
【0024】
R
bの−S−で表される2価の基、2価の脂肪族炭化水素基及び2価の芳香族炭化水素基から選ばれる連結基を2以上組み合わせた2価の基とは、例えば−S−C
6H
4−、−S−CH
2−、−S−S−、−CH
2−C
6H
4−等が挙げられる。
同様に、R
d及びR
eの脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基を組み合わせて構成した基とは、例えば上記脂肪族炭化水素基のアルキル基と上記芳香族炭化水素基のアリール基が結合したアリールアルキル基等が挙げられる。
【0025】
本発明の硫黄含有複環式化合物の具体例を以下に示す。
尚、本発明の硫黄含有複環式化合物の具体例に限定されない。
【化15】
【化16】
【0026】
[硫黄含有複環式化合物の製造方法]
本発明の硫黄含有複環式化合物は、TMHTA誘導体臭化物とチオール化合物を塩基性条件下で反応させることにより製造できる。
例えば、本発明の硫黄含有複環式化合物は、下記に示すように式(6)で表わされる化合物と式(7)で表わされるチオール化合物を塩基性条件下で反応させる;式(6)で表わされる化合物と式(8)で表わされるチオール化合物を塩基性条件下で反応させる;又は式(9)で表わされる化合物と式(7)で表わされるチオール化合物を塩基性条件下で反応させることにより製造できる。
【化17】
(式中、Aは、式(5)のAと同様である。
R
11は、それぞれ水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、又は−R’−R
Aで表わされる基である。
R
Aは、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、又は2つの置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基がエステル結合によって結合した基である。
R’は、−S−、−S−S−、−S−S−S−、又は−S−R
b−S−で表される2価の基である。
R
bは、−S−で表される2価の基、置換もしくは無置換の2価の脂肪族炭化水素基及び置換もしくは無置換の2価の芳香族炭化水素基から選ばれる連結基を2以上組み合わせた2価の基、置換もしくは無置換の2価の脂肪族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の2価の芳香族炭化水素基である。
R’’は、置換もしくは無置換の2価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の2価の芳香族炭化水素基、−S−で表わされる2価の基、又は−S−で表わされる2価の基、置換もしくは無置換の2価の脂肪族炭化水素及び置換もしくは無置換の2価の芳香族炭化水素基から選ばれる連結基を2又は3組み合わせた2価の基である。
nは、1又は2の整数である。)
【0027】
尚、本発明の硫黄含有複環式化合物は上記製造方法に限定されず、例えば式(6)及び(9)のR
11の一部もしくは全てがR
1である化合物であっても製造することができる。
【0028】
チオール化合物である式(7)のA(SH)
nで表わされる化合物は、好ましくは無水水硫化ナトリウム(NaSH)、メチルメルカプタン、チオフェノール、ベンジルメルカプタン、2‐メルカプトエタノール、4−ヒドロキシベンゼンチオールである。なお、無水水硫化ナトリウムを用いた場合には、上記式においてAがナトリウムである化合物が中間体として生成し、この中間体がカップリング反応を起こしたり、さらに無水硫化ナトリウムが複数反応し硫黄−硫黄結合を生成した中間体を経てカップリング反応を起こすことにより、すスルフィド化合物(Sulfide compound)、ジスルフィド化合物(Disulfide compound)、トリスルフィド化合物(Trisulfide compound)の混合物が得られる。
チオール化合物である式(8)のHS−R’’−SHで表わされる化合物は、好ましくは
4,4’−チオビスベンゼンジチオール、ビフェニル−4,4’ジチオール、ベンゼン−1,2−ジチオール、ベンゼン−1,3−ジチオールである。
【0029】
TMHTA誘導体臭化物とチオール化合物の配合比は、例えば、式(6)と式(7)の反応の場合は1:1(モル比)、式(6)と式(8)の反応の場合は2:1(モル比)、式(9)と式(7)の反応の場合は1:2(モル比)である。また、用いるTMHTA誘導体臭化物、チオール化合物の組み合わせや反応条件により、いずれかを過剰に用いてもよい。過剰に用いる場合は当モル量に対して1倍以上1.5倍以下にするのが一般的である。
【0030】
TMHTA誘導体臭化物とチオール化合物の反応を円滑にするため、塩基性条件下でこれらを反応させる。当該塩基性条件は、無機塩基又は有機塩基を添加することにより得られる。
無機塩基としては、例えばアルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属の炭酸水素塩、アルカリ土類金属の炭酸水素塩が挙げられ、具体的には、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムが挙げられる。
有機塩基としては、例えばピリジン系化合物を含むアミン系有機塩基が挙げられ、具体的には、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンが挙げられる。
上記無機塩基及び有機塩基は、それぞれ1種単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。また、無機塩基及び有機塩基の添加量は、例えば、使用するTMHTA誘導体臭化物、又は、チオール化合物に対して1モル当量〜1.5モル当量用い、TMHTA誘導体臭化物、又は、チオール化合物のいずれかを過剰に用いる場合は、いずれか少ない方の1モル当量〜多い方の1.5モル当量の範囲で用いるのが好ましい。1.5モル当量を超えると、反応系中の塩基性度が必要以上に高くなり、生成した本発明の硫黄含有複環式化合物に活性水素が存在する場合においては、その脱離とそれに引き続き進行する環状構造部位の転位反応等が進行する。活性水素が存在しない場合においては、無機塩基を用いた場合には、その金属カチオンが求電子剤として硫黄部位に作用するとともに、アニオン部位が求核反応剤として硫黄の隣接炭素に作用し、炭素−硫黄間の結合を不安定化させ、分解生成物等の意図しない副生成物を与える。活性水素が存在しない場合において有機塩基を用いる場合にも同様に分解生成物等の意図しない副生成物を与える。
【0031】
TMHTA誘導体臭化物とチオール化合物の反応は、有機溶媒の存在下又は不存在下で行うことができるが、有機溶媒を使用する場合には、TMHTA誘導体臭化物の濃度が0.1〜10mol/L程度となるように調節することが好ましい。上記濃度が0.1mol/L以上であると、通常の反応器においても十分な生成量となるため、経済的に好ましく、上記濃度が10mol/L以下であると、反応液の温度制御が容易となり好ましい。
使用可能な有機溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、THF(テトラヒドロフラン)、ジオキサン、DME(ジメトキシエタン)等のエーテル系溶媒;四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒;DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)、HMPA(ヘキサメチルリン酸トリアミド)、HMPT(ヘキサメチル亜リン酸トリアミド)、二硫化炭素等の非プロトン極性溶媒が挙げられ、これらを1種又は2種以上を混合して用いてもよい。
【0032】
反応温度は、通常は−200℃〜200℃であり、好ましくは室温〜100℃である。反応温度が当該範囲内にあることで、反応時間を適度にできる、副反応も抑えることができるため、生産効率を向上させることができる。
反応圧力は、通常は、絶対圧力で0.01〜10MPaであり、好ましくは常圧〜1MPaである。圧力が高すぎる場合は、特別な装置が必要となり、経済的でない。
反応時間は、通常は、1分〜5日であり、好ましくは2〜10時間である。反応時間が当該範囲内にあると、反応が円滑に進行し生産効率を向上させることができる。即ち、反応時間が短すぎると反応が十分に進行せず、長すぎると副生物の生成により生産効率が落ちるおそれがある。
また、反応溶液中において生成した本発明の硫黄含有複環式化合物は、塩基存在下において長く放置しておくと、活性水素の脱離とそれに引き続き進行する環状構造部位の転位反応の進行等に伴い、多数の分解生成物や異性体を生成するため、反応終了後は速やかに精製、単離する必要がある。
【0033】
尚、出発原料であるTMHTA誘導体臭化物は、例えば特開2010−222346に記載の通り、下記式(6’)で表わされる化合物をラジカル反応により臭素化することにより製造できる。
【化18】
(式中、R
1は式(1)と同様である。)
【0034】
上記ラジカル反応は、ラジカル反応開始剤及び臭素化剤を使用する反応が挙げられる。
この反応は、ラジカル反応開始剤を用いることで熱的にラジカル種を発生させ、さらに臭素化剤と反応させることで、テトラヘキサチアアダマンタンの臭素化物を得るものであり、硫黄原子が関与する副反応を抑制することができ、ヘキサチアアダマンタンの臭素化物を選択性良く合成することができる。
【0035】
ラジカル反応開始剤としては特に制限はなく、例えばAIBN〔2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)〕、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1'−アゾビス(1−シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、ジメチル2,2'−アゾビス(イソブチル酸)、ジメチル1,1'−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボン酸)、過酸化ベンゾイル等が挙げられ、(2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル))が好ましい。
臭素化剤としては、特に制限はないが、NBS(N−ブロモスクシンイミド)及び臭素が挙げられ、N−ブロモスクシンイミドが好ましい。
【0036】
反応条件としては、通常、ラジカル反応開始剤は、式(6’)で表わされるヘキサチアアダマンタン化合物に対して0.05〜2.0当量が用いられ、臭素化剤は、式(6’)で表わされるヘキサチアアダマンタン化合物に対して1.0〜5.0当量が用いられる。
臭素化剤については、好ましくは式(6’)で表わされるヘキサチアアダマンタン化合物に対して2.0〜4.0当量用いる。
尚、例えば式(9)で表わされる化合物のような2置換体、3置換体及び4置換体を合成する際は、臭素化剤、ラジカル反応開始剤を多く使用して反応を行えばよい。
【0037】
上記ラジカル反応は、有機溶媒の存在下又は不存在下で行うことができるが、有機溶媒を使用する場合には、ヘキサチアアダマンタン化合物濃度が0.1〜10mol/L程度となるように調節することが好ましい。上記濃度が0.1mol/L以上であると、通常の反応器においても十分な生成量となるため、経済的に好ましく、上記濃度が10mol/L以下であると、反応液の温度制御が容易となり好ましい。
使用可能な有機溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、THF(テトラヒドロフラン)、ジオキサン、DME(ジメトキシエタン)等のエーテル系溶媒;四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒;DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)、HMPA(ヘキサメチルリン酸トリアミド)、HMPT(ヘキサメチル亜リン酸トリアミド)、二硫化炭素等の非プロトン極性溶媒が挙げられ、これらを1種又は2種以上を混合して用いてもよい。
【0038】
上記ラジカル反応においては、反応温度は、ラジカル反応開始剤の半減期によって適正温度が決まるため特に制限されないが、通常は−200℃〜200℃であり、好ましくは室温〜100℃である。反応温度が当該範囲内にあることで、反応時間を適度にできる、副反応も抑えることができるため、生産効率を向上させることができる。
反応圧力は、通常は、絶対圧力で0.01〜10MPaであり、好ましくは常圧〜1MPaである。圧力が高すぎる場合は、特別な装置が必要となり、経済的でない。
反応時間は、通常は、1分〜5日であり、好ましくは2〜10時間である。反応時間が当該範囲内にあると、反応が円滑に進行し生産効率を向上させることができる。即ち、反応時間が短すぎると反応が十分に進行せず、長すぎると副生物の生成により生産効率が落ちるおそれがある。
【0039】
[硫黄含有複環式化合物を含む光学材料]
本発明の硫黄含有複環式化合物は、透明性に優れ、且つ高い屈折率及びアッベ数を発現することができ、高屈折率材料、又は高屈折率材料前駆体として好適に使用できる。ここで高屈折率材料とは、その材料から構成された成形体が高屈折率であるという材料と、他の材料、例えばベース樹脂に添加することによりそれら組成物から構成された成形体の屈折率を向上させることができるという材料の両方を意味する。以下では、後者を屈折率向上材料と記載することがある。
例えば、ベース樹脂に無機酸化微粒子を分散させた光学材料と異なり、本発明の硫黄含有複環式化合物を含む光学材料は微粒子を含む必要がなく、長期保存安定性と無機微粒子の分散安定性のバランスを考慮する必要がない。また、基本骨格であるTMHTAは、安価な化合物であるため、産業性にも優れる。
【0040】
光学材料として好適な本発明の組成物は、本発明の硫黄含有複環式化合物を含む。本発明の組成物が含む硫黄含有複環式化合物は、1種単独でも2種以上の混合物でもよい。
組成物中の硫黄含有複環式化合物の含有量は、目的とする屈折率により適宜調整することができるが、透明樹脂に対して1〜50重量%以下とすることが好ましい。1重量%未満では、高屈折率化の観点から効果が十分ではなく、50重量%を超えると透明樹脂由来の機械的強度や安定性が低下したり、硫黄含有複環式化合物が透明樹脂中に充分に分散しなくなったりする問題が生じる。
【0041】
本発明の組成物は、さらに透明樹脂を含むことができる。
上記透明樹脂としては、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエーテルサルホン、ポリスルフォン、ポリ(1,4−フェニレンスルヒド)、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ(1,4−ブチレンテレフタレート)、ポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリヒドロキススチレン、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリオルガノシロキサン等が挙げられる。
【0042】
本発明の組成物は、硫黄含有複環式化合物及び透明樹脂の他に、透明性や本発明目的の高屈折率化、あるいは組成物としての安定性や耐熱性を損なわない範囲で第3の成分を添加物を使用することができる。具体的には紫外線吸収剤、柔軟化剤等の従来公知の樹脂添加剤が挙げられる。
【実施例】
【0043】
以下、本発明を実施例を用いて説明する。
尚、下記実施例使用したTMHTAは、特開2010‐209005号公報に記載の方法で製造した1,3,5,7−テトラメチル−2,4,6,8,9,10−ヘキサチアアダマンタンである。また、TMHTAの一部の水素原子が臭素原子に置換しているブロモ化合物の製造方法は、特開2010−222346号公報に記載の方法で製造したものである。
【0044】
[硫黄含有複環式化合物の調製]
実施例1
下記方法により、モノブロモ化合物から、スルフィド化合物、ジスルフィド化合物及びトリストフィド化合物からなる混合物を製造した。
【化19】
【0045】
100mlの三口フラスコに、モノブロモ化合物である1−ブロモメチル−3,5,7−トリメチル−2,4,6,8,9,10−ヘキサチアアダマンタン0.43g(1.14ミリモル)及び水硫化ナトリウム(無水)0.32g(5.7ミリモル)を仕込み、溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド10mlを加えて撹拌して、室温で5時間反応させた。
薄層クロマトグラフィー(TLC)で原料の消失を確認した後、反応混合物に酢酸エチルを加えて取り出し、水、飽和食塩水の順で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥させた。減圧下で溶媒を除去し、得られた残渣0.7gをシリカゲルカラムクロマトで精製し(溶出液:ヘキサン:酢酸エチル=10:1)、主成分を含む画分を集めて溶媒を除去することで、177mgの白色固体を得た。
【0046】
得られた白色固体について
1H−NMR(溶媒:重クロロホルム、内部標準:テトラメチルシラン)で分析したところ、2.17ppmにシングレットのピークが観測された。さらに3.77ppm、3.91ppm及び3.99ppmにそれぞれシングレットのピークが、積分比7:4:1の割合で観測された。また、2.17ppmのピークの積分値と、3.77ppm、3.91ppm及び3.99ppmの3つのピークを合計した積分値の比は9:2であった。
【0047】
得られた白色固体についてLC‐MS分析をおこなった結果、親イオンピークとして、それぞれm/z、630,662,694を持つ成分が検出された。H−NMRとLC−MSの分析結果から、得られた化合物は、上記反応式で示した、スルフィド化合物、ジスルフィド化合物、及びトリスルフィド化合物の混合物であって、スルフィド化合物が主成分であり、次いで、ジスルフィド化合物、トリスルフィド化合物の順で得られたことが分かった。
さらにスルフィド化合物のH−NMRピークは2.17ppm及び3.77ppmであり、ジスルフィド化合物のH−NMRピークは2.17ppm及び3.91ppmであり、トリスルフィド化合物のNMRピークは2.17ppm及び3.99ppmであることがわかった。得られたLC−MSチャート(LC−UV(254nm)クロマトグラム)を
図1に示す。
【0048】
実施例2
下記方法により、モノブロモ化合物から、スルフィド化合物、ジスルフィド化合物及びトリストフィド化合物からなる混合物1を製造した。
【化20】
【0049】
100mlの三口フラスコに、1−ブロモメチル−3,5,7−トリメチル−2,4,6,8,9,10−ヘキサチアアダマンタン、1.80g(4.75ミリモル)及び水硫化ナトリウム(無水)0.53g(9.5ミリモル)を仕込み、溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド20mlを加えて撹拌し溶解させ、室温で5時間反応させた。
TLCで反応の進行状態を確認したところ、原料が消失していたので、反応混合物に酢酸エチルを加えて有機層を取り出し、水、飽和食塩水の順で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥させた。減圧下で溶媒を除去し、得られた残渣3.8gをシリカゲルカラムクロマトで精製し(溶出液:ヘキサン:酢酸エチル=20:3)、主成分を含む画分を集めて溶媒を除去して0.70gの白色固体を得た。
【0050】
得られた白色固体をH−NMR(溶媒:重クロロホルム、内部標準:テトラメチルシラン)で分析したところ、実施例1と同様に、2.17ppmにシングレットのピークが観測され、さらに3.77ppm、3.91ppm、3.99ppmにそれぞれシングレットのピークが積分比2:7:1の割合で観測された。また、2.17ppmのピークの積分値と、3.77ppm、3.91ppm、3.99ppmの3つのピークを合計した積分値の比は9:2であった。
【0051】
得られた白色固体について、LC‐MS分析をおこなった結果、親イオンピークとして、それぞれm/z、630,662,694を持つ成分が検出された。H−NMRとLC−MSの分析結果から、得られた混合物1は、実施例1と同様に、スルフィド化合物、ジスルフィド化合物及びトリスルフィド化合物の混合物であるが、主成分はジスルフィド化合物であり、次いでスルフィド化合物、及びトリスルフィド化合物の順で得られたことが分かった。
得られたLC−MSチャート(LC−UV(254nm)クロマトグラム)を
図2に示す。
【0052】
実施例3
下記方法により、モノブロモ化合物から、チオビスフェニルスルフィド化合物である化合物1を製造した。
【化21】
【0053】
100mlの三口フラスコに、炭酸カリウム1.66g(12ミリモル)、4,4’‐チオビスベンゼンチオール1.0g(4.0ミリモル)を仕込み、窒素を導入して窒素雰囲気とした。溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド25mlを加えて攪拌し、原料である1−ブロモメチル−3,5,7−トリメチル−2,4,6,8,9,10−ヘキサチアアダマンタン3.79g(10ミリモル)を固体のまま加えた。90℃のオイルバスで加熱して7時間反応させた後、TLCで、原料が消失したことを確認した。
反応混合物を水200ml中に投入して希釈し、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を合わせて1つにし、飽和食塩水で2回洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を除去した。得られた粗生成物5.1gをシリカゲルカラムクロマトで精製し(溶出液:ヘキサン:酢酸エチル=6:1)主成分の画分を集め、溶媒を除去して、白色固体(収量:0.89g、収率:26%)を得た。
【0054】
得られた白色固体について、H−NMRで分析したところ、目的のチオビスフェニルスルフィド化合物であることを確認した。
H−NMR(ppm:溶媒:重クロロホルム、内部標準:テトラメチルシラン)2.165(s,18H),3.923(s,4H),7.263(dd,4H),7.431(dd,4H)
【0055】
実施例4
下記方法により、モノブロモ化合物から、ベンジルスルフィド化合物を製造した。
【化22】
【0056】
100mlの三口フラスコに、炭酸カリウム0.29g(2.1ミリモル)、ベンジルメルカプタン0.25ml(2.1ミリモル)を仕込み、窒素を導入して窒素雰囲気とした。溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド25mlを加えて攪拌し、原料である1−ブロモメチル−3,5,7−トリメチル−2,4,6,8,9,10−ヘキサチアアダマンタン0.64g(1.7ミリモル)を、固体のまま加えた。室温で撹拌して7時間反応させた後、TLCで原料が消失したことを確認した。
反応混合物を水約100ml中に注ぎいれて希釈し、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を合わせて1つにし、飽和食塩水で2回洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を除去した。得られた粗生成物1.0gをシリカゲルカラムクロマトで精製し(溶出液:ヘキサン:酢酸エチル=20:1)主成分の画分を集め、溶媒を除去して白色固体0.20gを得た(収量:0.20g、収率:28%)。
【0057】
得られた白色固体について、H−NMRで分析したところ、目的のベンジルスルフィド化合物であることを確認した。
H−NMR(ppm:溶媒:重クロロホルム、内部標準:テトラメチルシラン)2.165(s,9H),3.393(s,2H),3.914(s,2H),7.259−7.356(m,5H)
【0058】
実施例5
下記方法により、モノブロモ化合物からアルコール化合物を製造した。
【化23】
【0059】
100mlの三口フラスコに、原料の1−ブロモメチル−3,5,7−テトラトリメチル−2,4,6,8,9,10−ヘキサチアアダマンタン1.90g(5.0ミリモル)炭酸カリウム、0.70g(5.1ミリモル)を仕込み、窒素を導入して窒素雰囲気とした。溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド25ml及び2‐メルカプトエタノール0.45ml(0.50g、6.4ミリモル)を加えて撹拌した。室温で1時間撹拌した後、80℃のオイルバスで5時間加熱して反応させ、TLCで原料が消失したことを確認した。
反応混合物を200mlの水中に注ぎこんで希釈し、酢酸エチルで3回抽出した。抽出液を合わせて1つとし、飽和食塩水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥させた。減圧下で溶媒を除去し、得られた残渣2.5gをシリカゲルカラムクロマトで精製し(溶出液:ヘキサン:酢酸エチル=3:2)主成分の画分を集め、溶媒を除去して、透明の油状物(収量:1.19g、収率:64%)を得た。
【0060】
得られた透明油状物について、H−NMRで分析したところ、目的のアルコール化合物であることを確認した。
H−NMR(ppm:溶媒:重クロロホルム、内部標準:テトラメチルシラン)2.173(s,9H),2.954(t,2H),3.608(s,2H),3.832(q,2H)
【0061】
実施例6
下記方法により、アルコール化合物からアクリレート化合物を製造した。
【化24】
【0062】
100mlの三口フラスコに、実施例5で調製したアルコール化合物0.44g(1.17ミリモル)を仕込み、窒素を導入して窒素雰囲気とした。溶媒としてテトラハイドロフラン25ml、さらにトリエチルアミン0.33ml(2.38ミリモル)を加えて撹拌し、アイスソルトバスで冷却して、反応容器内を0℃に冷却した。アクリロイルクロリド0.20ml(2.47ミリモル)を5mlのテトラハイドロフランで希釈して、温度が5℃を超えない程度にゆっくりと加えた。冷却したままさらに1時間撹拌して反応させ、TLCで、原料のアルコール化合物の消失を確認した。
反応混合物に100mlの水を加えて希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を除去し、透明の油状物を得た(収量:0.16g、収率31%)。
【0063】
得られた透明油状物について、H−NMRで分析したところ、目的のアクリレート化合物であることが確認された。
H−NMR(ppm:溶媒:重クロロホルム、内部標準:テトラメチルシラン)2.171(s,9H),3.021(t,2H),3.629(s,2H),4.384(t,2H),5.864(dd,1H),6.128(dd,1H),6.432(dd,1H)
【0064】
実施例7
下記方法により、ジブロモ化合物からビスフェノール化合物を製造した。
【化25】
【0065】
100mlの三口フラスコに、原料の1,3‐ビス(ブロモメチル)‐5,7−ジメチル−2,4,6,8,9,10−ヘキサチアアダマンタン(ジブロモ化合物)0.36g(0.79ミリモル)、4−ヒドロキシベンゼンチオール0.36g(2.9ミリモル)、炭酸カリウム0.40g(2.9ミリモル)を仕込み、窒素を導入して窒素雰囲気とした。溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド30mlを加えて攪拌し、60℃のオイルバスで3時間加熱して反応させ、TLCで原料のジブロモ化合物の消失を確認した。
反応混合物を約300mlの水に注ぎいれて希釈し、酢酸エチルで3回抽出した。抽出液を合わせて、飽和食塩水で3回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を除去した。1.0gの油状物が得られた。得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトで精製し(溶出液:ヘキサン:酢酸エチル=5:3)主成分の画分を集め、溶媒を除去して白色固体(収量204mg、収率47%)を得た。
【0066】
得られた白色固体について、H−NMRで分析したところ、目的のビスフェノール化合物であることを確認した。
H−NMR(ppm:溶媒:重クロロホルム、内部標準:テトラメチルシラン)2.16(s,6H),3.83(s,4H),5.08(broad,2H),6.78(d,4H),7.44(d,4H)
【0067】
[硫黄含有複環式化合物組成物の評価]
実施例8−25及び比較例1−4
塗布溶媒として1,1,2,2−テトラクロロエタンを用い、硫黄含有複環式化合物及びベースポリマーを表1の組成で有する塗布液を調製した。スピンコーターにシリコン基板を固定し、当該基板上に調製した塗布液を滴下、2000rpmで60秒回転し基板上に均一に塗布した。塗布液被膜を有する基板を、予め100℃に設定したホットプレート上に置き、表1に示す時間だけ加熱乾燥させることにより溶媒を飛ばし、シリコン基板上に表1の組成を有する薄膜を形成した。
得られた薄膜の200〜1700nmの波長範囲における各波長の屈折率を、分光エリプソメトリー装置にて測定、一般分散式化モデルにて解析して求めた。実施例8−25及び比較例1−4の一般分散式化モデルにて解析して求めた波長範囲200〜1700nmの屈折率をそれぞれ
図3−24に示す。また、一般分散式化モデルを解析して求めた屈折率n
D及びアッベ数を表2に示す。
尚、アッベ数は、屈折率の波長分散を表す数値、(n
D−1)/(n
F−n
C)により算出した
n
D:D線(589.3nm)の屈折率
n
F:F線(486.1nm)の屈折率
n
C:C線(656.3nm)の屈折率
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
表1及び表2の結果より、本発明の硫黄含有複環式化合物を含む組成物で形成した薄膜は、高屈折率及び高アッベ数となることが分かる。