(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989608
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】フォトマスクプラズマエッチングの為の方法および装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/302 20060101AFI20160825BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20160825BHJP
G03F 1/80 20120101ALI20160825BHJP
【FI】
H01L21/302 201A
H01L21/302 101C
G03F1/80
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-155964(P2013-155964)
(22)【出願日】2013年7月26日
(62)【分割の表示】特願2010-236700(P2010-236700)の分割
【原出願日】2005年6月3日
(65)【公開番号】特開2014-13899(P2014-13899A)
(43)【公開日】2014年1月23日
【審査請求日】2013年8月26日
【審判番号】不服2015-10405(P2015-10405/J1)
【審判請求日】2015年6月3日
(31)【優先権主張番号】10/882084
(32)【優先日】2004年6月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】アジャイ クマール
(72)【発明者】
【氏名】マドハヴィ チャンドラクウド
(72)【発明者】
【氏名】スコット アラン アンダーソン
(72)【発明者】
【氏名】ペーター サティプンワチャ
(72)【発明者】
【氏名】ワイ ファン ヤウ
【合議体】
【審判長】
河口 雅英
【審判官】
深沢 正志
【審判官】
加藤 浩一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平2−184029(JP,A)
【文献】
特開2004−165298(JP,A)
【文献】
特開2000−277497(JP,A)
【文献】
特開平8−148473(JP,A)
【文献】
特開平9−082689(JP,A)
【文献】
特開平8−102460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/302
H01L 21/3065
H01L 21/461
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマエッチングの為の装置であって:
処理チャンバと;
前記処理チャンバ内に配置され、フォトマスク用レチクルを上部に受けるように適合された基板支持用ペデスタルと;
前記処理チャンバ内でプラズマを形成する為に、前記処理チャンバに誘導的に結合されているRF電源と;
前記基板支持用ペデスタル上方の前記処理チャンバ内に配置されたイオン−ラジカル用シールドであって、前記イオン−ラジカル用シールドは、前記プラズマの帯電種及び中性種の空間的分布を制御するように適合された複数のアパーチャと、前記基板支持用ペデスタルの上方、3.81cmから10.16cmの間の距離で前記イオン−ラジカル用シールドを支えるために利用されている複数の脚部とを備える前記イオン−ラジカル用シールドと、
前記基板支持用ペデスタル上に配置され、直接上方に向かって伸び、前記イオン−ラジカル用シールドと直接かつ垂直に接触する前記複数の脚部を有するエッジリングと、を備える前記装置。
【請求項2】
前記イオン−ラジカル用シールドは、セラミック、石英、陽極処理されたアルミニウム、又は、それらの組み合わせから製造される実質的に平坦な部材を備える、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記実質的に平坦な部材は、前記処理チャンバから電気的に絶縁されている、請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記アパーチャは、1.25cmの直径を有し、前記アパーチャは、矩形グリッドパターンに配置されており、前記グリッドの並び方が矩形である、請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記イオン−ラジカル用シールドは、前記基板支持用ペデスタルの面積範囲より大きい面積範囲を有する、請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記基板支持用ペデスタルの上面の周りに配置された前記エッジリングを更に備える、請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記複数の脚部は、前記基板支持用ペデスタルに対し、実質的に平行に間隔をあけて配置された前記イオン−ラジカル用シールドを維持する、請求項1記載の装置。
【請求項8】
プラズマエッチングの為の装置であって:
処理チャンバと;
前記処理チャンバ内に配置され、フォトマスク用レチクルを上部に受けるように適合された基板支持用ペデスタルと;
前記処理チャンバ内でプラズマを形成する為に、前記処理チャンバに誘導的に結合されているRF電源と;
前記基板支持用ペデスタル上方の前記処理チャンバ内に配置されたイオン−ラジカル用シールドであって、前記イオン−ラジカル用シールドは、前記プラズマの帯電種及び中性種の空間的分布を制御するように適合された複数のアパーチャと、セラミック、石英、陽極処理されたアルミニウム、又は、それらの組み合わせから製造される実質的に平坦な部材と、を備え、複数の脚部が、前記基板支持用ペデスタルの上方、3.81cmから10.16cmの間の距離で前記イオン−ラジカル用シールドを支えるために利用されている前記イオン−ラジカル用シールドと、
前記基板支持用ペデスタル上に配置され、直接上方に向かって伸び、前記イオン−ラジカル用シールドと直接かつ垂直に接触する前記複数の脚部を有するエッジリングと、を備える前記装置。
【請求項9】
前記基板支持用ペデスタルの上面の周りに配置された前記エッジリングを更に備える、請求項8記載の装置。
【請求項10】
前記実質的に平坦な部材は、前記処理チャンバから電気的に絶縁されている、請求項8記載の装置。
【請求項11】
前記複数の脚部は、前記基板支持用ペデスタルに対し、実質的に平行に間隔をあけて配置された前記イオン−ラジカル用シールドを維持する、請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記イオン−ラジカル用シールドは、前記基板支持用ペデスタルの面積範囲より大きい面積範囲を有する、請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記イオン−ラジカル用シールドは、前記アパーチャが貫通して形成されたプレートを備え、前記アパーチャは、2%から90%の間で前記プレートの開口領域を画成する、請求項12記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、全体的にフォトマスクのプラズマエッチングの為の方法及び装置、より具体的には、類似リモートプラズマを用いてフォトマスクをエッチングする為の方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路(IC)またはチップの製造において、異なる層を表示するパターンは、チップデザイナーにより作られる。一連のマスクやフォトマスクは、製造処理中、各チップ層のデザインを半導体基板に転写する為に、これらのパターンから作られる。マスクパターン生成システムは、高精度レーザまたは電子ビームを使用し、各マスク上にチップの各層のデザインを映す。その後、マスクは、かなり写真陰画のように用いられ、各層の回路パターンを半導体基板上に転写する。これらの層は、連続処理により蓄積され、小さなトランジスタや、各々の完全なチップを構成する電気回路へと変質させる。そのため、マスクにおける、どんな欠陥もチップに転写され、潜在的に性能に悪影響を与えるおそれがある。深刻な欠陥は、マスクを完全に不能にする。通常、15から30個のマスクの組がチップを構成する為に使用され、反復して使用可能である。
【0003】
マスクは、通常、一側部にクロム層を有するガラスか石英基板である。また、マスクは、モリブデン(Mb)でドープされた窒化シリコン(SiN)層を含んでもよい。クロム層は、耐反射被覆で覆われ、紫外線光にレジストの一部を露出すること、現像液に可溶性露光部をマスクすることによりマスク上に書き込まれる。レジストの可溶部は、その後、除去され、露出した、下にあるクロムがエッチング可能になる。エッチング処理は、レジストが除去された場所からクロムと耐反射層をマスクから除去、すなわち、露出されたクロムが除去される。
【0004】
ドライエッチング、反応性イオンエッチング、プラズマエッチングとして知られた、あるエッチング処理では、 マスクの露出領域で化学反応を高める為にプラズマが使用され、所望の層を除去する。好ましくないことに、エッチング処理は、マスク上にパターニングされた回路設計の完全な複製を作らない。クロムエッチング用フォトレジストのプロファイルやマスク材料の選択性の為にパターンの収縮がエッチングされたマスクで生じる。この収縮は、エッチングバイアスと呼ばれる。さらに、エッチングバイアスは、全マスクにわたり均一ではない場合がある。この現象は、重大な寸法均一性またはCDUと呼ばれる。従来のマスクエッチング処理において、エッチングバイアスは、通常、約60ナノメートル(nm)から70nmの範囲であり、CDUは約10nmから15nmの範囲である。65nm規模の特徴部に必要な許容誤差は、エッチングバイアスに対し約20nmであり、重要な寸法均一性に対し約5nmである。そのため、チップ上に形成される特徴部の接続点サイズは収縮し続けるので、既存処理の能力は、特に接続点の大きさが65nm規模に近づくにつれて、だんだんと望ましくなくなる。
【0005】
そのため、フォトマスクを製造する為の改善されたエッチング処理が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、全体的に、フォトマスクをエッチングする為の方法および装置を提供する。一実施形態において、フォトマスクをエッチングする方法は、上部でフォトマスク用基板(時々、技術的にレチクルと呼ばれる)を受けるように、基板支持用ペデスタルを適合させた処理チャンバを提供するステップを含む。イオン−ラジカル用シールドは、ペデスタルの上方に配置される。基板は、イオン−ラジカル用シールドの下のペデスタル上に置かれる。処理ガスは、処理チャンバ内に導入され、処理ガスからプラズマが形成される。基板は、シールドを通過するラジカルを用いて主にエッチングされる。
【0007】
本発明の他の態様において、フォトマスク用基板をエッチングする為の装置が提供される。一実施態様において、処理チャンバは、上部に配置された基板支持用ペデスタルを有する。ペデスタルは、フォトマスク用基板を支持するように適合されている。RF電源は、チャンバ内でプラズマを形成する為にチャンバに結合されている。イオン−ラジカル用シールドは、ペデスタル上方のチャンバ内に配置されている。シールドは、プラズマの帯電種及び中性種の空間分布を制御するように適合されている。シールドは、チャンバ壁から電気的に絶縁された実質的に平坦な部材を含み、その平坦部材を通って垂直に伸びる複数のアパーチャを備える。
【0008】
前述された本発明の特徴が詳細に理解される方式、簡潔に要約された本発明の具体的な説明は、実施形態を参照し、その中の一部が添付図面に例示されている。しかし、注意すべき点は、添付図面は単に本発明の典型的な実施形態だけを例示するにすぎないので、本発明の範囲を制限するものではなく、他の均等な有効な実施形態を受け入れるものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、イオン−ラジカル用シールドを有するエッチング用リアクタの概略図である。
【
図2】
図2は、
図1のイオン−ラジカル用シールドの一実施形態の部分的斜視図である。
【
図3】
図3は、フォトマスクをエッチングする方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、リソグラフィフォトマスクまたはレチクルのエッチングを改善する為の方法および装置を提供する。この装置は、プラズマ処理チャンバ内に配置されたイオン−ラジカル用シールドを含む。イオン−ラジカル用シールドは、処理中、チャンバ内の帯電種及び中性種の空間分布を制御する。イオン−ラジカル用シールドは、プラズマとレチクルとの間に配置され、シールド上方のチャンバの準リモート上部処理領域内で形成される。
【0011】
一実施形態において、イオン−ラジカル用シールドは、一以上のアパーチャが貫通して形成されたセラミックプレートを備える。このプレートは、ペデスタル上方のチャンバ内に配置されている。このプレートは、チャンバ壁およびペデスタルから電気的に絶縁されているので、プレートから接地部まで接地経路は備えられていない。処理中、プラズマからの電子衝突の結果、プレートの表面に電位が蓄積される。電位は、プラズマからイオンを吸引し、プラズマからイオンを有効に遮断するが、中性の帯電ラジカルはプレートのアパーチャを通過することができる。そのため、イオン−ラジカル用シールドは、イオンが、エッチングされるレチクルの表面に到達することを実質的に防止する一方、制御された方式でラジカルがレチクルと反応しエッチングすることを許容するので、パターン化されたクロムの側壁上にレジストがスパッタリングされることを減少させると同時に、フォトマスクのレジストの腐食を減少させる。そのため、減じられた腐食とスパッタリングが、エッチングバイアスおよび重要な寸法均一性を改善する。
【0012】
図1は、イオン−ラジカル用170を有するエッチングリアクタ100の概略図を示す。本願に開示された教示と用途で適合可能な、適したリアクタは、例えば、分離プラズマ源(DPS(登録商標))IIリアクタ、又はテトラI及びテトラIIフォトマスクエッチングシステムであり、これらの全てはカリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から入手可能である。DPS(登録商標)IIリアクタは、Centura(登録商標)統合型半導体ウエハ処理システムの処理モジュールとして使用可能であり、これもアプライドマテリアルズ社から入手可能である。ここで示されたリアクタ100の特定の実施形態は、例示目的なので、本発明の範囲を制限する為に使用されるものではない。
【0013】
リアクタ100は、導電体(壁)104内に基板ペデスタル124を有する処理チャンバ102と、コントローラ146とを一般的に備える。チャンバ102は、実質的に平坦な誘電性天井108を有する。他のチャンバ102の変形例は、他の型の天井(例えば、ドーム状天井)を有してもよい。アンテナ110は、天井108の上方に配置されている。アンテナ110は、選択的に制御可能な一以上の誘導コイル素子(
図1に示された2つの同軸素子110a、110b)を備える。アンテナ110は、第1整合回路網114を介してプラズマ電源112に結合されている。プラズマ電源112は、通常、約50kHzから約13.56MHzの同調可能な周波数範囲で約3000Wまで生成することができる。
【0014】
基板用ペデスタル(カソード)124は、第2整合回路網142を介してバイアス電源140に結合されている。バイアス電源140は、一般的に、連続的または断続的電力を生成する能力がある、約13.56MHzの周波数で約500Wまでの電源である。あるいは、電源140は、DCまたはパルスDC電源でもよい。
【0015】
一実施形態において、基板支持用ペデスタル124は、静電チャック160を備える。静電チャック160は、少なくとも一つのクランプ用電極132を備え、チャック用電源166により制御される。代替え実施形態において、基板用ペデスタル124は、サセプタクランプリング、メカニカルチャックのような基板保持機構を備えてもよい。
【0016】
レチクルアダプタ182は、基板支持用ペデスタル124上で基板(レチクル)122を固定する為に使用される。レチクルアダプタ182は、一般的に、ペデスタル124の上面(例えば、静電チャック160)を覆うようにフライス加工された、下部184、基板122を保持するような大きさ、形状を有する開口部188を有する最上部186を含む。開口部188は、一般的に、ペデスタル124に対し、実質的に中心にある。アダプタ182は、一般的に、耐エッチング、耐高温材料(例えば、ポリイミド、セラミック、石英)の単体で形成されている。適したレチクルアダプタは、2001年6月26日に発行された、米国特許第6,251,217号に開示されており、これは、参照のため、本発明の請求項の態様と矛盾しない範囲で、本願に組み込まれる。エッジリング126は、アダプタ182を覆い、更に/又はアダプタ182をペデスタル124に固定してもよい。
【0017】
昇降機構138は、アダプタ182によって、基板122を基板支持用ペデスタル124上に、或いは離して上下動させるために使用される。一般的に、昇降機構162は、それぞれのガイド孔136を通って移動する複数のリフトピン130(一個のリフトピンが図示)を備える。
【0018】
動作中、基板122の温度は、基板用ペデスタル124の温度を安定化することにより制御される。一実施形態において、基板支持用ペデスタル124は、抵抗加熱装置144とヒートシンク128を備える。抵抗加熱装置144は、一般的に、少なくとも一つの加熱素子134を備え、加熱装置用電源168により調整される。ガス源156からの裏側のガス(例えば、ヘリウム(He))は、ガス導管158を介してチャネルに提供され、これらのチャネルは、基板122の下方のペデスタル面内に形成されている。裏側ガスは、ペデスタル124と基板122との間の熱伝達を容易にするために使用される。処理中、ペデスタル124は、内蔵された抵抗加熱装置144により定常温度まで加熱可能であり、これは、ヘリウム裏側ガスと組み合わせて、基板122の均一加熱を促進する。そのような熱的制御を用いて、基板122は、約0°から約350℃の間の温度で維持可能である。
【0019】
イオン−ラジカル用シールド170は、ペデスタル124の上方でチャンバ内に配置されている。イオン−ラジカル用シールド170は、チャンバ壁104とペデスタル124から電気的に絶縁され、一般的に、実質的に平坦なプレート172と複数の脚部176とを備える。プレート172は、脚部176により、ペデスタルの上方、チャンバ102内で支持されている。プレート172は、一以上の開口部(アパーチャ)174を画成し、これらが、プレート172の表面で所望の開口領域を画成する。イオン−ラジカル用シールド170の開口領域は、処理チャンバ102の上部処理容積178で形成されたプラズマから、イオン−ラジカル用シールド170及び基板122間に置かれた下部領域容積180まで通過するイオン量を制御する。開口領域が大きくなるにつれて、より多くのイオンがイオン−ラジカル用シールド170を通過可能になる。そのため、アパーチャ174の大きさは、容積180のイオン密度を制御する。したがって、シールド170は、イオンフィルタである。
【0020】
図2は、シールド170の一つの特定実施形態の斜視図を示す。この実施形態において、イオン−ラジカル用シールド170は、複数のアパーチャ174と複数の脚部176を有するプレート172を備える。プレート172は、セラミック(例えば、アルミナ)、石英、酸化処理されたアルミニウム、処理化学と両立する材料で製作可能である。他の実施形態において、プレート172は、開口領域がアパーチャ174により与えられた所望の開口領域に対応する、スクリーンやメッシュを構成可能である。あるいは、プレートやスクリーン又はメッシュの組み合わせも利用可能である。
【0021】
複数のアパーチャ174は、プレート172の表面にわたる幾何学的配置、大きさ、間隔が異なってもよい。アパーチャ174の大きさは、一般的に、0.03インチ(0.07cm)から約3インチ(7.62cm)の範囲を有する。アパーチャ174は、約2%から約90%のプレート172の表面における開口領域を画成するように配置可能である。一実施形態において、一以上のアパーチャ174は、およそ0.5インチ(1.25cm)径の複数の孔であって、約30%の開口領域を画成する矩形グリッドパターン内に配置されたものを含む。孔は他の幾何学的形状または任意のパターンで配置可能であり、他の大きさの孔や様々な大きさの孔を利用することが意図されている。大きさ、形状、孔のパターンは、下部処理容積180内の所望のイオン密度に応じて変更可能である。例えば、小さな径の多くの孔は、容積180内のラジカルとイオン密度比を高める為に使用可能である。他の状況において、数多くの大きい孔は、容積180内のイオンとラジカル密度比を高める為に、小さな孔を用いて散在させてもよい。或いは、大きな孔は、容積180内のイオン分布に等高線を記す為に、プレート172の特定領域に位置決め可能である。
【0022】
イオン−ラジカル用シールド170が支持される高さは、エッチング処理を更に制御する為に変更可能である。イオン−ラジカル用シールド170が天井108に近く配置されると、上部処理容積は小さくなる。小さい上部処理容積は、より安定したプラズマを促進する。一実施形態において、イオン−ラジカル用シールド170は、天井108から約1インチ(2.54cm)に配置される。より速いエッチング速度は、イオン−ラジカル用シールド170をペデスタル124に近く、すなわち、基板122に近く配置することにより得ることができる。さらに、低いが、より制御されたエッチング速度は、イオン−ラジカル用シールド170をペデスタル124から遠くに配置することにより得ることができる。イオン−ラジカル用シールド170の高さを調節することによりエッチング速度を制御することにより、より速いエッチング速度と、改善された重要な寸法均一性と、減少されたエッチングバイアスとをバランスさせることができる。一実施形態において、イオン−ラジカル用シールド170は、ペデスタル124から約2インチ(5cm)に配置される。イオン−ラジカル用シールド170の高さは、基板122と天井108との間に約6インチ(15.24cm)の間隔を有するチャンバ内で、約1.5インチ(3.81cm)から約4インチ(10.16cm)の範囲にある。イオン−ラジカル用シールド170は、異なる幾何学的形状を有するチャンバ(例えば、大型チャンバや小型チャンバ)内で異なる高さで位置決め可能であることが意図されている。
【0023】
プレート172を基板122に対し離間された関係で維持する為に、プレート172は、ペデスタル124上に配置された複数の脚部176により支持されている。脚部176は、一般的に、ペデスタル124又はエッジリング126の外周の周りに置かれ、プレート172と同一材料で製作可能である。一実施形態において、3本の脚部176が利用可能であり、イオン−ラジカル用シールド170に対し安定した支持を与えている。脚部176は、一般的に、プレートを基板122またはペデスタル124に対し、実質的に平行な方向で維持する。しかし、異なる長さの脚部176を有することにより、角度が付けられた向きが使用可能であることは意図されている。
【0024】
脚部176の上端は、プレート172に形成された対応する孔に圧入されてもよい。あるいは、脚部176の上端は、プレート172にネジ止め又はプレート172の下に固定されたブラケット内にネジ止めされてもよい。処理条件と矛盾しない他の従来の固定方法は、同様に、プレート176に脚部176を固定する為に使用可能である。
【0025】
脚部176は、ペデスタル124、アダプタ182、エッジリング126に載置可能である。あるいは、脚部176は、ペデスタル124、アダプタ182、エッジリング126内に形成された受容孔(図示せず)内に伸びてもよい。他の固定方法は、同様に、イオン−ラジカル用シールド170を、ペデスタル124、アダプタ182、エッジリング126に、ネジ止め、ボルト止め、接着剤などにより、固定することも意図されている。エッジリング126に固定されるとき、イオン−ラジカル用シールド170は、簡単な使用、メンテナンス、交換等の為、容易に交換可能なプロセスキットの一部であってもよい。イオン−ラジカル用シールド170は、既存の処理チャンバ内で簡単に改造されるように構成可能であることが意図されている。
【0026】
あるいは、プレート172は、壁104又は処理チャンバ102内の他の構造体に取り付けられたブラケット(図示せず)を用いることによる、他の手段によりペデスタル124の上方に支持されてもよい。プレート172は、壁104又は処理チャンバ102の他の構造体に取り付けられるとき、プレート172は一般的に接地部106のような接地経路から絶縁されている。
【0027】
図1に戻ると、一以上の処理ガスはガスパネル120から処理チャンバ102に供給される。処理ガスは、通常、基板用ペデスタル124の上方に置かれる、一以上の入口(例えば、開口部、インジェクター等)116を通って供給される。
図1に示される実施形態において、処理ガスは、環状ガスチャネル118を用いて、入口116に供給される。ガスチャネル118は、(図示の)壁104又はガスリングに形成され、これらは壁104に結合されている。エッチング処理中、処理ガスは、プラズマ源112からアンテナ110に電力を印加することにより、プラズマに点火される。
【0028】
チャンバ102内の圧力は、スロットルバルブ162及び真空ポンプ164を用いて制御される。壁104の温度は、壁104を通過する液体含有導管(図示せず)を用いて制御可能である。通常、チャンバ壁104は、金属(例えば、アルミニウム、ステンレス鋼など)から構成され、電気接地部106に結合される。処理チャンバ102は、また、処理制御、内部診断、終点検出などの為の従来のシステムを含む。そのようなシステムは、支援システム154として集合的に示されている。
【0029】
コントローラ146は、詳細に後述するように、CPU150の為の支援回路152、中央処理装置(CPU)644、メモリ148を備え、処理チャンバ102のコンポーネントの制御、よって、エッチング処理の制御を容易にする。コントローラ146は、様々なチャンバやサブプロセッサを制御する為に、工業的設定で使用可能な汎用コンピュータプロセッサという、どんな型式でもよい。メモリ、コンピュータ可読媒体、CPU150の642は、簡単に利用可能なメモリ(例えば、読取り書込み記憶装置(RAM)、読出し専用記憶装置(ROM)、フロッピィディスク、ハードディスク、ローカル又はリモートの他の形式のデジタルストレージ)の一つでよい。支援回路152は、従来方式でプロセッサを支援する為にCPU150に結合される。これらの回路は、キャッシュ、電源、クロック回路、入出力回路、サブシステム等を含む。本発明の方法は、一般的に、メモリ148にソフトウェアルーチンとして保存される。あるいは、そのようなソフトウェアルーチンは、また、CPU150により制御されているハードウェアから、遠隔に置かれた第2のCPU(図示せず)に保存されるか、或いは/更に、第2のCPUにより実行されてもよい。
【0030】
レチクル用基板をエッチングする為に、イオン−ラジカル用シールド170を用いる為の例示的な一つの方法は、
図3のフローチャートに示され、
図1に関し例示されている。この方法300は、処理チャンバ102内に配置されたイオン−ラジカル用シールド170の下の支持用ペデスタル124に、基板122が置かれるステップ302で開始する。イオン−ラジカル用シールド170は、ペデスタル124より約2インチ(5cm)上方に位置決めされる。基板122は、アダプタ182の開口部188に載る。典型的な基板122は、一般的に、金属の透過光シールド層を有し、フォトマスク材料として知られ、石英の表面に配置された、石英(すなわち、二酸化珪素、SiO
2)のような、任意の透過性シリコンベース材料を備える。フォトマスクで使用される金属は、通常、クロム又はクロム・オキシナイトライドを含んでもよい。基板122は、また、石英とクロム間に挿入されモリブデン(Mo)でドープされた窒化シリコン(SiN)の層を含んでもよい。
【0031】
ステップ304では、一以上の処理ガスが、ガス入口116を通って処理チャンバ102内に導入される。例示の処理ガスは、酸素(O
2)又は酸素含有ガス(例えば、一酸化炭素(CO)、及び/又はハロゲン含有ガス(塩素含有ガス)を金属層のエッチングの為に含んでもよい。処理ガスは、更に、不活性ガス又は他の酸素含有ガスを含んでもよい。一酸化炭素は、開口部の表面、特に、パターン化されたレジスト材及びエッチングされた金属層に形成されたパターンや、側壁に不動態化されたポリマー堆積物を形成する為に有利に使用可能である。塩素含有ガスは、塩素(Cl
2)、四塩化シリコン(SiCl
4)、三塩化ボロン(BCl
3)、これらの組み合わせから成る群から選択され、金属層をエッチングする為に高い反応性ラジカルを供給する為に使用される。
【0032】
一実施形態において、クロムを備える基板122は、テトラI、テトラII又はDPS(登録商標)エッチモジュールを用いて、1分当たり10〜1000sccmのレートで塩素、0〜1000sccmのレートで酸素を供給することにより、エッチングされる。5〜500Wの間の基板用バイアス電力は、静電チャック160に印加され、基板122は、約150℃未満の範囲の温度で維持される。処理チャンバ内の圧力は、約1mTから40mTの間で制御される。一つの特定処理レシピは、80sccmのレートで塩素、20sccmのレートで酸素を供給し、15Wのバイアス電力を印加し、基板温度を150℃未満に維持し、圧力を2mTに維持する。この処理は、フォトレジスト上方のクロムに対し、少なくとも1対1でエッチング選択性を与える。
【0033】
ステップ320にて、プラズマは、イオン−ラジカル用シールド170を通過するラジカルを用いて主に基板122をエッチングする為に、一以上の処理ガスから形成される。一般的に、プラズマ電源112からアンテナ110まで、約200Wから約2000ワットの間のRF電力を印加することにより、プラズマが上部処理容積178で形成される。一実施形態において、約350Wの電力レベルのRF電力は、約13.56MHzからの周波数でアンテナ110に印加される。
【0034】
RF電力がステップ320で印加されるとき、プラズマが形成され、電子はプレートに衝突し、イオン−ラジカル用シールド170の表面に電位が形成される。この電位は、プラズマ中に存在するイオンを吸引し、下部処理容積180内へとアパーチャ174を通過するイオン数を制限する。プラズマ内の中性ラジカルは、イオン−ラジカル用シールド170内のアパーチャ174を下部処理容積180へと通過する。そのため、基板122は、プラズマにより形成されたラジカルにより主にエッチングされるが、基板122と衝突するイオン量は制御される。基板122上のイオン衝突の減少は、エッチングバイアスを減少させ、重要な基板122の寸法均一性を改善する。特に、前述した処理を用いた基板をエッチングした後に取られる測定値は、エッチングバイアスが10nm未満に減少し、クロム側壁で観察された良好な垂直プロファイルを示した。特に、側壁は、89°以下の角度を有することが観察された。実質的にリリーフ、フートを持たないシャープなプロファイルが、エッチングされた領域の底部と側壁との間の接合点で観察された。さらに、重要な寸法均一性は5nm未満に改善された。
【0035】
前述したことは、本発明の実施形態に向けられているが、他の、更なる本発明の実施形態は、本発明の基本的範囲を逸脱することなく、案出可能であり、本発明の範囲は、添付された請求項により定められる。
【符号の説明】
【0036】
100…エッチングリアクタ、101…、102…処理チャンバ、104…導電体、チャンバ側壁、108…天井、110…アンテナ、112…プラズマ用電源、114…第1整合回路網、116…ガス入口、118…ガスチャネル、122…基板、124…基板支持用ペデスタル、126…エッジリング、128…ヒートシンク、134…加熱素子、136…ガイド孔、138…昇降機構、140…バイアス用電源、142…第2整合回路網、144…抵抗性加熱装置、146…コントローラ、148…メモリ、150…CPU、152…支援回路、160…静電チャック、162…昇降機構、スロットルバルブ、164…真空ポンプ、166…静電チャック用電源、168…加熱装置用電源、170…イオン−ラジカル用シールド、172…実質的に平坦なプレート、174…開口部(アパーチャ)、176…脚部、178…上部処理容積、180…下部処理容積、182…レチクルアダプタ、184…下部、188…開口部