(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について、好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。
【0016】
先ず、本発明の新規化合物について説明する。
本発明の新規化合物は、上記一般式(1)で表わされ、Xで表わされるn価の特定の原子又は基に、n個の特定の基が結合した構造を有する。このn個の基(上記一般式(1)からXを除いた部分)は、互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0017】
上記一般式(1)におけるAが表すベンゼン環、ナフタレン環又はアントラセン環を置換してもよいハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、
炭素原子数1〜8のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s−ブチル、t−ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、t−アミル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、イソヘプチル、t−ヘプチル、1−オクチル、イソオクチル、t−オクチル等が挙げられ、
炭素原子数1〜8のアルコキシ基としては、メチルオキシ、エチルオキシ、イソプロピルオキシ、ブチルオキシ、s−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、アミルオキシ、イソアミルオキシ、t−アミルオキシ、ヘキシルオキシ、2−ヘキシルオキシ、3−ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、4−メチルシクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、2−ヘプチルオキシ、3−ヘプチルオキシ、イソヘプチルオキシ、t−ヘプチルオキシ、1−オクチルオキシ、イソオクチルオキシ、t−オクチルオキシ等が挙げられ、
炭素原子数1〜8のハロゲン化アルキル基及びハロゲン化アルコキシ基としては、上記アルキル基及びアルコキシ基の水素原子の1個又は複数個がハロゲン原子で置換されているものであり、ハロゲン原子としては上記で挙げたものである。
【0018】
上記一般式(1)におけるR
2で表される、エポキシ基、4−ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基を有さない炭素原子数1〜35の炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基及びこれらが複数結合した基が挙げられる。
脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s−ブチル、t−ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、t−アミル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、イソヘプチル、t−ヘプチル、1−オクチル、イソオクチル、t−オクチル、ノニル、ビニル、アリル等が挙げられ、
脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等が挙げられ、
芳香族炭化水素基としては、フェニル、ナフチル、ベンジル、フルオレニル、インデニル等が挙げられ、
これらが複数結合した基としては、例えば下記式(イ)〜(ト)で表されるものが挙げられる。尚、下記式(イ)〜(ト)中の*は、これらの式で表される基が、*部分で、隣接する酸素原子と結合することを意味する(以下同様)。
また、これらの炭化水素基中のメチレン基は、酸素原子及び/又は窒素原子が隣り合わない条件で−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−NH−、NHCO−で1〜4回中断されていてよく、また、これらの炭化水素基はハロゲン原子又は水酸基により置換されていてもよい。
【0026】
R
2が表すエポキシ基、4−ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基から選ばれる基を少なくとも一つ有している炭素原子数1〜35の炭化水素基は、上記炭化水素基の水素原子の好ましくは1〜5個がそれぞれ独立にエポキシ基、4−ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基で置換されているものである。その好ましい具体例としては、下記式(R−1)〜(R−18)で表される基が挙げられる。
【0028】
上記一般式(1)におけるXは、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子、又は炭素原子数35以下のn価の有機基を表し、上記一般式(1)におけるnが如何なる整数をとるかによってXがとり得る構造は異なる。以下、nが1〜6の場合に分けて、Xについてさらに説明する。
【0029】
<nが1の場合>
nが1の場合、Xは炭素原子数35以下の1価の有機基を表す。炭素原子数35以下の1価の有機基としては、例えば、−OR
10、−SR
10、−NR
10R
11及び−PR
10R
11(これらの基において、R
10及びR
11は、水素原子又は炭素原子数1〜20の炭化水素基を表す)、並びに置換基を有してもよい炭素原子数1〜35の1価の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6〜35の1価の芳香族炭化水素基及び炭素原子数2〜35の1価の複素環基が挙げられる。
【0030】
上記R
10及びR
11で表される炭素原子数1〜20の炭化水素基としては、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基等が挙げられる。
上記炭素原子数1〜20(好ましくは炭素原子数1〜8)のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s−ブチル、t−ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、t−アミル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、イソヘプチル、t−ヘプチル、1−オクチル、イソオクチル、t−オクチル等が挙げられ、
上記炭素原子数6〜20のアリール基としては、フェニル、ナフチル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、4−ビニルフェニル、3−iso−プロピルフェニル、4−iso−プロピルフェニル、4−ブチルフェニル、4−iso−ブチルフェニル、4−tert−ブチルフェニル、4−ヘキシルフェニル、4−シクロヘキシルフェニル、4−オクチルフェニル、4−(2−エチルヘキシル)フェニル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル、2,5−ジ−tert−ブチルフェニル、2,6−ジ−tert−ブチルフェニル、2,4−ジ−tert−ペンチルフェニル、2,5−ジ−tert−アミルフェニル、2,4,5−トリメチルフェニル等が挙げられ、
上記炭素原子数7〜20のアリールアルキル基としては、ベンジル、フェネチル、2−フェニルプロパン−2−イル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、スチリル、シンナミル等が挙げられる。
【0031】
従って、例えば、−OR
10で表される基としては、メチルオキシ、エチルオキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブチルオキシ、第二ブチルオキシ、第三ブチルオキシ、イソブチルオキシ、アミルオキシ、イソアミルオキシ、第三アミルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、イソヘプチルオキシ、第三ヘプチルオキシ、n−オクチルオキシ、イソオクチルオキシ、第三オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ等のアルコキシ基;フェノキシ、ナフチルオキシ等のアリールオキシ基等が挙げられ、
−SR
10で表される基としては、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、第二ブチルチオ、第三ブチルチオ、イソブチルチオ、アミルチオ、イソアミルチオ、第三アミルチオ、ヘキシルチオ、シクロヘキシルチオ、ヘプチルチオ、イソヘプチルチオ、第三ヘプチルチオ、n−オクチルチオ、イソオクチルチオ、第三オクチルチオ、2−エチルヘキシルチオ等のアルキルチオ基;フェニルチオ、ナフチルチオ等のアリールチオ基等が挙げられる。
【0032】
Xが表す上記の置換基を有してもよい炭素原子数1〜35の1価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、シクロペンチル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、シクロヘキシル、ビシクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル等のアルキル基;ビニル、1−メチルエテニル、2−メチルエテニル、2−プロペニル、1−メチル−3−プロペニル、3−ブテニル、1−メチル−3−ブテニル、イソブテニル、3−ペンテニル、4−ヘキセニル、シクロヘキセニル、ビシクロヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、デセニル、ぺンタデセニル、エイコセニル、トリコセニル等のアルケニル基等が挙げられる。
【0033】
Xが表す上記の置換基を有してもよい炭素原子数6〜35の1価の芳香族炭化水素基としては、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、スチリル、シンナミル等のアリールアルキル基;フェニル、ナフチル等のアリール基等が挙げられる。 Xが表す上記の置換基を有してもよい炭素原子数2〜35の1価の複素環基としては、ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、ピペリジル、ピラニル、ピラゾリル、トリアジル、ピロリル、キノリル、イソキノリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、トリアゾリル、フリル、フラニル、ベンゾフラニル、チエニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、チアジアゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、2−ピロリジノン−1−イル、2−ピペリドン−1−イル、2,4−ジオキシイミダゾリジン−3−イル、2,4−ジオキシオキサゾリジン−3−イル等が挙げられる。
【0034】
以上の置換基を有してもよい炭素原子数1〜35の1価の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6〜35の1価の芳香族炭化水素基及び炭素原子数2〜35の1価の複素環基の置換基としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;アセチル、2−クロロアセチル、プロピオニル、オクタノイル、アクリロイル、メタクリロイル、フェニルカルボニル(ベンゾイル)、フタロイル、4−トリフルオロメチルベンゾイル、ピバロイル、サリチロイル、オキザロイル、ステアロイル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル、カルバモイル等のアシル基;アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等のアシルオキシ基;アミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、2−エチルヘキシルアミノ、ドデシルアミノ、アニリノ、クロロフェニルアミノ、トルイジノ、アニシジノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ,ナフチルアミノ、2−ピリジルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、ホルミルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ等の置換アミノ基;スルホンアミド基、スルホニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホ基、水酸基、ニトロ基、メルカプト基、イミド基、カルバモイル基、スルホンアミド基等が挙げられ、これらの基は更に置換されていてもよい。また、カルボキシル基及びスルホ基は塩を形成していてもよい。
また、上記の置換基を有してもよい炭素原子数1〜35の1価の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6〜35の1価の芳香族炭化水素基及び炭素原子数2〜35の1価の複素環基中のメチレン基は、−COO−、−O−、−OCO−、−NHCO−、−NH−又は−CONH−で中断されていてもよい。
【0035】
<nが2の場合>
nが2の場合、Xは、酸素原子、硫黄原子、又は炭素原子数35以下の2価の有機基を表す。
炭素原子数35以下の2価の有機基としては、例えば、−NR
10−及び−PR
10−(これらの基において、R
10は水素原子又は炭素原子数1〜20の炭化水素基を表す)、並びに置換基を有してもよい炭素原子数1〜35の2価の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6〜35の2価の芳香族炭化水素基及び炭素原子数2〜35の2価の複素環基が挙げられる。さらに、これらの基を炭素原子数35以下の範囲で複数組み合わせた基;これらの基に、−O−、−S−及び−SO
2−から選択される1以上を組み合わせてなる基も挙げられる。
R
10で表される炭素原子数1〜20の炭化水素基としては、nが1の場合に例示したものが挙げられる。置換基を有してもよい炭素原子数1〜35の2価の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6〜35の2価の芳香族炭化水素基及び炭素原子数2〜35の2価の複素環基としては、nが1の場合に例示した1価の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基及び複素環基に対応するものがそれぞれ挙げられる。
【0036】
nが2の場合に上記一般式(1)におけるXが表す基の好ましい例としては、下記一般式(2)で表される基が挙げられる。
【0041】
上記一般式(2)におけるX
1で表わされる2置換である炭素原子数1〜30の鎖状炭化水素としては、メタン、エタン、プロパン、iso−プロパン、ブタン、sec−ブタン、tert−ブブタン、iso−ブタン、ヘキサン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、ヘプタン、2−メチルヘプタン、3−メチルヘプタン、iso−ヘプタン、tert−ヘプタン、1−メチルオクタン、iso−オクタン、tert−オクタン等の鎖状炭化水素が、Z
1及びZ
2で置換された(2置換である)基が挙げられ、
2置換である炭素原子数3〜30の脂環式炭化水素としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、2,4−ジメチルシクロブタン、4−メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素が、Z
1及びZ
2で置換された(2置換である)基等が挙げられ、
2置換である炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素としては、フェニレン、ナフチレン、ビフェニル等の芳香族炭化水素が、Z
1及びZ
2で置換された(2置換である)基等が挙げられ、
2置換である炭素原子数3〜30の複素環としては、ピリジン、ピラジン、ピペリジン、ピペラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、ヘキサヒドロトリアジン、フラン、テトラヒドロフラン、クロマン、キサンテン、チオフェン、チオラン等の複素環が、Z
1及びZ
2で置換された(2置換である)基が挙げられる。
これらの基はハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基又は炭素原子数1〜8のアルコキシ基でさらに置換されていてもよい。
【0042】
上記一般式(2)におけるX
1中の基であるR
20及びR
21で表される炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基及び炭素原子数7〜20のアリールアルキル基としては、上記一般式(1)におけるX中の基であるR
10の説明で例示した基が挙げられる。
【0043】
<nが3の場合>
nが3の場合、Xは、窒素原子、リン原子、又は炭素原子数35以下の3価の有機基を表す。
炭素原子数35以下の3価の有機基としては、置換基を有してもよい炭素原子数1〜35の3価の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6〜35の3価の芳香族炭化水素基及び炭素原子数2〜35の3価の複素環基が挙げられ、それらの具体例としては、nが1の場合に例示した1価の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基及び複素環基に対応するものがそれぞれ挙げられる。
また、炭素原子数35以下の3価の有機基としては、上記の置換基を有してもよい炭素原子数1〜35の3価の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6〜35の3価の芳香族炭化水素基又は炭素原子数2〜35の3価の複素環基に、nが2の場合のXとして挙げた炭素原子数35以下の2価の有機基、並びに−O−、−S−及び−SO
2−から選択される1以上を組み合わせてなる基も挙げられる。さらに、炭素原子数35以下の3価の有機基としては、窒素原子又はリン原子に、nが2の場合のXとして挙げた炭素原子数35以下の2価の有機基、並びに−O−、−S−及び−SO
2−から選択される1以上を組み合わせてなる3価の基も挙げられる。
【0044】
nが3の場合に上記一般式(1)におけるXが表す基の好ましい例としては、下記一般式(3)で表される基が挙げられる。
【0046】
上記一般式(3)におけるX
2で表わされる3置換である炭素原子数1〜30の鎖状炭化水素としては、上記一般式(2)におけるX
1の説明で例示した鎖状炭化水素が、Z
1、Z
2及びZ
3で置換された(3置換である)基が挙げられ、
3置換である炭素原子数3〜30の脂環式炭化水素としては、上記一般式(2)におけるX
1の説明で例示した脂環式炭化水素が、Z
1、Z
2及びZ
3で置換された(3置換である)基が挙げられ、
3置換である炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素としては、上記一般式(2)におけるX
1の説明で例示した芳香族炭化水素が、Z
1、Z
2及びZ
3で置換された(3置換である)基が挙げられ、
3置換である炭素原子数6〜30の複素環としては、上記一般式(2)におけるX
1の説明で例示した複素環が、Z
1、Z
2及びZ
3で置換された(3置換である)基が挙げられる。
【0047】
上記一般式(3)におけるX
2中の基であるR
30で表される炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数6〜25のアリール基又は炭素原子数7〜25のアリールアルキル基としては、上記一般式(2)におけるR
20の説明で例示した基が挙げられる。
【0048】
<nが4の場合>
nが4の場合、Xは、炭素原子、又は炭素原子数1〜35の4価の有機基を表す。
炭素原子数1〜35の4価の有機基としては、置換基を有してもよい炭素原子数1〜35の4価の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6〜35の4価の芳香族炭化水素基及び炭素原子数2〜35の4価の複素環基が挙げられ、それらの具体例としては、nが1の場合に例示した1価の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基及び複素環基に対応するものがそれぞれ挙げられる。
また、炭素原子数1〜35の4価の有機基としては、上記の置換基を有してもよい炭素原子数1〜35の4価の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6〜35の4価の芳香族炭化水素基及び炭素原子数2〜35の4価の複素環基のいずれかに、nが2の場合のXとして挙げた炭素原子数35以下の2価の有機基、並びに−O−、−S−及び−SO
2−から選択される1以上を組み合わせてなる4価の基も挙げられる。
【0049】
nが4の場合に上記一般式(1)におけるXが表す基の好ましい例としては、下記一般式(4)で表される基が挙げられる。
【0051】
上記一般式(4)におけるX
3で表わされる4置換である炭素原子数1〜30の鎖状炭化水素としては、上記一般式(2)におけるX
1の説明で例示した鎖状炭化水素が、Z
1、Z
2、Z
3及びZ
4で置換された(4置換である)基が挙げられ、
4置換である炭素原子数3〜30の脂環式炭化水素としては、上記一般式(2)におけるX
1の説明で例示した脂環式炭化水素が、Z
1、Z
2、Z
3及びZ
4で置換された(4置換である)基が挙げられ、
4置換である炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素としては、上記一般式(2)におけるX
1の説明で例示した芳香族炭化水素が、Z
1、Z
2、Z
3及びZ
4で置換された(4置換である)基が挙げられ、
4置換である炭素原子数6〜30の複素環としては、上記一般式(2)におけるX
1の説明で例示した複素環が、Z
1、Z
2、Z
3及びZ
4で置換された(4置換である)基が挙げられる。
【0052】
<nが5又は6の場合>
nが5又は6の場合、Xは炭素原子数1〜35の5価又は6価の有機基をそれぞれ表す。炭素原子数1〜35の5価又は6価の有機基としては、置換基を有してもよい炭素原子数1〜35の5価又は6価の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6〜35の5価又は6価の芳香族炭化水素基及び炭素原子数2〜35の5価又は6価の複素環基が挙げられ、それらの具体例としては、nが1の場合に例示した1価の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基及び複素環基に対応するものがそれぞれ挙げられる。
また、炭素原子数1〜35の5価又は6価の有機基としては、上記の置換基を有してもよい炭素原子数1〜35の5価又は6価の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6〜35の5価又は6価の芳香族炭化水素基、及び炭素原子数2〜35の5価又は6価の複素環基のいずれかに、nが2の場合のXとして挙げた炭素原子数35以下の2価の有機基、並びに−O−、−S−及び−SO
2−から選択される1以上を組み合わせてなる5価又は6価の基も挙げられる。
【0053】
nが5又は6の場合に上記一般式(1)におけるXが表す基の好ましい例としては、それぞれ、下記一般式(5)又は(6)で表される基が挙げられる。
【0056】
上記一般式(5)におけるX
3で表わされる5置換である炭素原子数1〜30の鎖状炭化水素としては、上記一般式(2)におけるX
1の説明で例示した鎖状炭化水素が、Z
1、Z
2、Z
3、Z
4及びZ
5で置換された(5置換である)基が挙げられ、
5置換である炭素原子数3〜30の脂環式炭化水素としては、上記一般式(2)におけるX
1の説明で例示した脂環式炭化水素が、Z
1、Z
2、Z
3、Z
4及びZ
5で置換された(5置換である)基が挙げられ、
5置換である炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素としては、上記一般式(2)におけるX
1の説明で例示した芳香族炭化水素が、Z
1、Z
2、Z
3、Z
4及びZ
5で置換された(5置換である)基が挙げられ、
5置換である炭素原子数6〜30の複素環としては、上記一般式(2)におけるX
1で説明で例示した複素環が、Z
1、Z
2、Z
3、Z
4及びZ
5で置換された(5置換である)基が挙げられる。
【0057】
上記一般式(6)におけるX
3で表わされる6置換である炭素原子数1〜30の鎖状炭化水素としては、上記一般式(2)におけるX
1の説明で例示した鎖状炭化水素が、Z
1、Z
2、Z
3、Z
4、Z
5及びZ
6で置換された(6置換である)基が挙げられ、
6置換である炭素原子数3〜30の脂環式炭化水素としては、上記一般式(2)におけるX
1の説明で例示した脂環式炭化水素が、Z
1、Z
2、Z
3、Z
4、Z
5及びZ
6で置換された(6置換である)基が挙げられ、
6置換である炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素としては、上記一般式(2)におけるX
1の説明で例示した芳香族炭化水素が、Z
1、Z
2、Z
3、Z
4、Z
5及びZ
6で置換された(6置換である)基が挙げられ、
6置換である炭素原子数6〜30の複素環としては、上記一般式(2)におけるX
1の説明で例示した複素環が、Z
1、Z
2、Z
3、Z
4、Z
5及びZ
6で置換された(6置換である)基が挙げられる。
【0058】
上記一般式(1)で表される化合物の中でも、R
1が水素原子のもの;R
2が水素原子のもの;R
2が、エポキシ基、4−ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基から選ばれる基を少なくとも一つ有している炭素原子数1〜30の脂肪族炭化水素基のもの;nが2であり、Xが下記群1から選ばれる基であるもの;nが3であり、Xが下記群2から選ばれる基であるもの;nが4であり、Xが下記群3から選ばれる基であるものは、原料の入手や製造が容易であるため好ましい。
また、上記一般式(1)で表わされる化合物の中でも、nが3以上であるものは、特に耐熱性に優れるため好ましく、また、Xが下記群5から選ばれる基であるものは、特に耐熱性及び溶解性に優れるため好ましい。
上記一般式(1)で表される化合物の中でも、Aがベンゼン環であるもの;R
1が水素原子のもの;nが1であり、Xが−NR
10R
11(特にR
10及びR
11が、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜4のヒドロキシアルキル基、フェニル基、ベンジル基、スチリル基、トルイル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基であるもの)であるもの;nが2であり、Xが群1から選ばれる基であるもの;nが3であり、Xが群2から選ばれる基であるもの;nが4であり、Xが群3から選ばれる基であるもの;nが5であり、Xが群4から選ばれる基であるもの;nが6であり、Xが群5から選ばれる基であるものは、原料の入手や製造が容易であるため好ましい。
また、nが2の時、Xが群1から選ばれる基であるものの中でも、下記群1−Aから選ばれるものが特に好ましい。
また、nが3の時、Xが群2から選ばれる基であるものの中でも、下記群2−Aから選ばれるものが特に好ましい。
【0059】
【化18-1】
【化18-2】
【化18-3】
(上記式中、R
10は、上記一般式(1)におけるR
10と同じ基であり、R
10が基中に二つ以上ある場合、同じであっても異なっていてもよく、Z
10、Z
11及びZ
12は、各々独立して下記群Aから選ばれる二価の基を表し、pは1〜3の整数を表し、qは1〜3の整数を表し、rは1〜19の整数を表し、sは1〜3の整数を表わす。)
【0060】
【化19-1】
(式中、qは群1と同じである。)
【化19-2】
(上記式中、R
10、Z
10、Z
11、p、及びrは群1と同義である。)
【0061】
【化20】
(上記式中、R
10は、上記一般式(2)におけるR
10と同じ基であり、基中に二つ以上ある場合、同じであっても異なっていてもよく、Z
10、Z
11及びZ
12は各々独立して上記群Aから選ばれる2価の基を表す。)
【0062】
【化20A】
(式中、R
10、Z
10、Z
11、Z
12及びrは群2と同義である。)
【0063】
【化21】
(上記式中、R
10は、上記一般式(2)におけるR
10と同じ基であり、基中に二つ以上ある場合、同じであっても異なっていてもよく、Z
10、Z
11、Z
12及びZ
13は各々独立して上記群Aから選ばれる2価の基を表す。)
【0064】
【化22】
(上記式中、R
10は、上記一般式(2)におけるR
10と同じ基であり、基中に二つ以上ある場合、同じであっても異なっていてもよく、Z
10、Z
11、Z
12、Z
13及びZ
14は各々独立して上記群Aから選ばれる2価の基を表す。)
【0065】
【化23】
(上記式中、R
10は、上記一般式(2)におけるR
10と同じ基であり、基中に二つ以上ある場合、同じであっても異なっていてもよく、Z
10、Z
11、Z
12、Z
13、Z
14及びZ
15は各々独立して上記群Aから選ばれる2価の基を表す。)
【0066】
上記一般式(1)で表わされる化合物の具体例としては、下記化合物No.1〜No.117が挙げられるが、本発明はこれらの化合物に制限されない。
【0089】
上記一般式(1)で表される本発明の化合物の製造方法は特に限定されないが、例えば下記反応式に従って製造することができる。
即ち、下記α−シアノアクリル酸化合物(9)と下記アルコール化合物(10)とを塩基性条件下、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)で反応させることにより、上記一般式(1)で表わされる本発明の化合物を得ることができる。例えば、下記α−シアノアクリル酸化合物(9)として、α−シアノ桂皮酸化合物を用いれば、一般式(1)におけるAがベンゼン環である本発明の化合物を得ることができる。
【0091】
本発明の新規化合物は、着色剤として好適に用いることができ、中でも、下記で説明するように、染料として液体に溶解して用いるのに特に好適である。染料として用いる他には、不溶性の液体に分散し顔料として用いる、又は樹脂と溶融混練して相溶樹脂組成物として用いる等の用途が挙げられる。
【0092】
次に、本発明の染料について説明する。尚、特に説明しない点については、本発明の新規化合物においてした説明が適宜適用される。
本発明の染料は、上記一般式(1)で表される本発明の化合物を少なくとも一種含有していればよく、該化合物を単独で又は複数種を組み合わせて含有するものである。また、上記一般式(1)で表される本発明の化合物以外に公知の染料を含有することも可能である。公知の染料としては例えば、アゾ染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、トリアリールメタン染料、キサンテン染料、アリザリン染料、アクリジン染料スチルベン染料、チアゾール染料、ナフトール染料、キノリン染料、ニトロ染料、インダミン染料、オキサジン染料、フタロシアニン染料、シアニン染料等の染料等が挙げられ、これらは複数を混合して用いてもよい。
【0093】
本発明の染料において、上記一般式(1)で表わされる本発明の化合物の含有量は、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%である。上記一般式(1)で表わされる本発明の化合物の含有量が50質量%より小さいと、溶媒への溶解性が低下したり、耐熱性が低下したりする場合がある。
【0094】
本発明の染料は、以下に説明する着色感光性組成物及び着色アルカリ現像性感光性組成物に好適に用いられる他、ディスプレイや光学レンズに用いられる光学フィルタ、銀塩写真用感光材料、染物、塗料、光学記録色素等にも用いられる。
【0095】
次に、本発明の着色感光性組成物及び着色アルカリ現像性感光性組成物(以下、これらを合わせて単に着色組成物ともいう)について説明する。尚、特に説明しない点については、本発明の化合物及び本発明の染料においてした説明が適宜適用される。
【0096】
本発明の着色組成物は、本発明の染料(A)、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物(B)(アルカリ現像性を有する、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物(B')を含む)及び光重合開始剤(C)、必要に応じて更に無機顔料及び/又は有機顔料(D)を含有する。
【0097】
<染料(A)>
本発明の染料(A)については上述した通りである。本発明の着色組成物において、本発明の染料(A)の含有量は、着色組成物に含まれる固形分(後記の溶媒(E)を除いた全成分の合計量)中、好ましくは0.01〜50質量%、より好ましくは0.1〜30質量%である。染料(A)の含有量が0.01質量%より小さいと、本発明の着色組成物を硬化させたときに硬化物において所望する濃度の色が得られない場合があり、50質量%より大きいと、着色組成物中で染料(A)の析出が起こる場合がある。
【0098】
<エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物(B)>
上記エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物(B)としては、特に限定されず、従来、感光性組成物に用いられているものを用いることができるが、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン等の不飽和脂肪族炭化水素;(メタ)アクリル酸、α―クロルアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸、フマル酸、ハイミック酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ビニル酢酸、アリル酢酸、桂皮酸、ソルビン酸、メサコン酸、コハク酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、フタル酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等の両末端にカルボキシ基と水酸基とを有するポリマーのモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート・マレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート・マレート、ジシクロペンタジエン・マレート或いは1個のカルボキシル基と2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有する多官能(メタ)アクリレート等の不飽和多塩基酸;(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、下記化合物No.121〜No.124、(メタ)アクリル酸メチル、 (メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノメチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸ポリ(エトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフリル、(メタ)アクリル酸ビニル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、トリ[(メタ)アクリロイルエチル]イソシアヌレート、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー等の不飽和一塩基酸及び多価アルコール又は多価フェノールのエステル;(メタ)アクリル酸亜鉛、(メタ)アクリル酸マグネシウム等の不飽和多塩基酸の金属塩;マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸−無水マレイン酸付加物、ドデセニル無水コハク酸、無水メチルハイミック酸等の不飽和多塩基酸の酸無水物;(メタ)アクリルアミド、メチレンビス−(メタ)アクリルアミド、ジエチレントリアミントリス(メタ)アクリルアミド、キシリレンビス(メタ)アクリルアミド、α−クロロアクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和一塩基酸及び多価アミンのアミド;アクロレイン等の不飽和アルデヒド;(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデン、シアン化アリル等の不飽和ニトリル;スチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−ヒドロキシスチレン、4−クロロスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、ビニル安息香酸、ビニルフェノール、ビニルスルホン酸、4−ビニルベンゼンスルホン酸、ビニルベンジルメチルエーテル、ビニルベンジルグリシジルエーテル等の不飽和芳香族化合物;メチルビニルケトン等の不飽和ケトン;ビニルアミン、アリルアミン、N−ビニルピロリドン、ビニルピペリジン等の不飽和アミン化合物;アリルアルコール、クロチルアルコール等のビニルアルコール;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のビニルエーテル;マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等の不飽和イミド類;インデン、1−メチルインデン等のインデン類;1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の脂肪族共役ジエン類;ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリシロキサン等の重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー類;ビニルクロリド、ビニリデンクロリド、ジビニルスクシナート、ジアリルフタラート、トリアリルホスファート、トリアリルイソシアヌラート、ビニルチオエーテル、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾリン、ビニルカルバゾール、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、水酸基含有ビニルモノマー及びポリイソシアネート化合物のビニルウレタン化合物、水酸基含有ビニルモノマー及びポリエポキシ化合物のビニルエポキシ化合物、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等の水酸基含有多官能アクリレートとトリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の多官能イソシアネートの反応物、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等の水酸基含有多官能アクリレートと無水コハク酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸等の二塩基酸無水物の反応物である酸価を有する多官能アクリレートが挙げられる。
【0103】
また、本発明の着色組成物において、上記エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物(B)として、アルカリ現像性を有する、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物(B')(以下、エチレン性不飽和結合を有するアルカリ現像性化合物(B')ともいう)を用いると、本発明の着色感光性組成物は、着色アルカリ現像性感光性組成物となる。該エチレン性不飽和結合を有するアルカリ現像性化合物(B')としては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレー ト、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メ タ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;N−ビニルピロリドン;スチレン及びその誘導体、α−メチルスチレン等のスチレン類;(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、アルコキ シメチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド類;(メタ)アクリロニトリル、エチレン、プロピレン、ブチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル等のその他のビニル化合物、及びポリメチルメタクリレートマクロモノマー、ポリスチレンマクロモノマー等のマクロモノマー類、トリシクロデカン骨格のモノメタクリレート、N−フェニルマレイミド、メタクリロイルオキシメチル−3−エチルオキセタン等と、(メタ)アクリル酸との共重合体及びこれらに昭和電工(株)社製カレンズMOI、AOIのような不飽和結合を有するイソシアネート化合物を反応させた(メタ)アクリル酸の共重合体や、フェノール及び/又はクレゾールノボラックエポキシ樹脂、ビフェニル骨格、ナフタレン骨格を有するノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ化合物等のノボラック型エポキシ化合物、多官能エポキシ基を有するポリフェニルメタン型エポキシ樹脂、下記一般式(I)で表されるエポキシ化合物等のエポキシ化合物のエポキシ基に不飽和一塩基酸を作用させ、更に多塩基酸無水物を作用させて得られた樹脂を用いることができる。これらの化合物は、1種を単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。また、上記エチレン性不飽和結合を有するアルカリ現像性化合物は、不飽和基を0.2〜1.0当量含有していることが好ましい。
【0105】
上記エポキシ化合物のエポキシ基に作用させる上記不飽和一塩基酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸、ヒドロキシエチルメタクリレート・マレート、ヒドロキシエチルアクリレート・マレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート・マレート、ヒドロキシプロピルアクリレート・マレート、ジシクロペンタジエン・マレート等が挙げられる。
また、上記不飽和一塩基酸を作用させた後に作用させる上記多塩基酸無水物としては、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、テトラヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、2,2'−3,3'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、グリセロールトリスアンヒドロトリメリテート、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ナジック酸無水物、メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸−無水マレイン酸付加物、ドデセニル無水コハク酸、無水メチルハイミック酸等が挙げられる。
【0106】
上記エポキシ化合物、上記不飽和一塩基酸及び上記多塩基酸無水物の反応モル比は、以下の通りとすることが好ましい。すなわち、上記エポキシ化合物のエポキシ基1個に対し、上記不飽和一塩基酸のカルボキシル基が0.1〜1.0個で付加させた構造を有するエポキシ付加物において、該エポキシ付加物の水酸基1個に対し、上記多塩基酸無水物の酸無水物構造が0.1〜1.0個となる比率となるようにするのが好ましい。
上記エポキシ化合物、上記不飽和一塩基酸及び上記多塩基酸無水物の反応は、常法に従って行なうことができる。
【0107】
酸価調整して本発明の着色アルカリ現像性感光性組成物の現像性を改良するため、上記エチレン性不飽和結合を有するアルカリ現像性化合物(B')と共に、更に単官能又は多官能エポキシ化合物を用いることができる。上記エチレン性不飽和結合を有するアルカリ現像性化合物(B')は、固形分の酸価が5〜120mgKOH/gの範囲であることが好ましく、単官能又は多官能エポキシ化合物の使用量は、上記酸価を満たすように選択するのが好ましい。
【0108】
上記単官能エポキシ化合物としては、グリシジルメタクリレート、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、イソブチルグリシジルエーテル、t−ブチルグリシジルエーテル、ペンチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、ヘプチルグリシジルエーテル、オクチルグリシジルエーテル、ノニルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ウンデシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、トリデシルグリシジルエーテル、テトラデシルグリシジルエーテル、ペンタデシルグリシジルエーテル、ヘキサデシルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、プロパルギルグリシジルエーテル、p−メトキシエチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、p−メトキシグリシジルエーテル、p−ブチルフェノールグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、2−メチルクレジルグリシジルエーテル、4−ノニルフェニルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、p−クミルフェニルグリシジルエーテル、トリチルグリシジルエーテル、2,3−エポキシプロピルメタクリレート、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、グリシジルブチレート、ビニルシクロヘキサンモノオキシド、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、スチレンオキシド、ピネンオキシド、メチルスチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、プロピレンオキシド、上記化合物No.122及びNo.123等が挙げられる。
【0109】
上記多官能エポキシ化合物としては、ビスフェノール型エポキシ化合物及びグリシジルエーテル類からなる群から選択される一種以上を用いると、特性の一層良好な着色アルカリ現像性感光性組成物を得ることができるので好ましい。該ビスフェノール型エポキシ化合物としては、上記一般式(I)で表されるエポキシ化合物を用いることができる他、例えば、水添ビスフェノール型エポキシ化合物等のビスフェノール型エポキシ化合物も用いることができる。該グリシジルエーテル類としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,8−オクタンジオールジグリシジルエーテル、1,10−デカンジオールジグリシジルエーテル、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、1,1,1−トリ(グリシジルオキシメチル)プロパン、1,1,1−トリ(グリシジルオキシメチル)エタン、1,1,1−トリ(グリシジルオキシメチル)メタン、1,1,1,1−テトラ(グリシジルオキシメチル)メタンが挙げられる。
その他、フェノールノボラック型エポキシ化合物、ビフェニルノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ化合物等のノボラック型エポキシ化合物;3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン等の脂環式エポキシ化合物;フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル等のグリシジルエステル類;テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、N,N−ジグリシジルアニリン等のグリシジルアミン類;1,3−ジグリシジル−5,5−ジメチルヒダントイン、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ化合物;ジシクロペンタジエンジオキシド等のジオキシド化合物;ナフタレン型エポキシ化合物、トリフェニルメタン型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物等を用いることもできる。
【0110】
本発明の着色組成物において、上記エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物(B)(上記エチレン性不飽和結合を有するアルカリ現像性化合物(B')を含む)の含有量は、着色組成物に含まれる固形分(後記の溶媒(E)を除いた全成分の合計量)中、30〜99質量%、特に60〜95質量%が好ましい。上記エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物(B)の含有量が30質量%より小さいと、硬化物の力学的強度が不足しクラックが入ったり、アルカリ現像性を有する場合、現像不良が起こったりする場合があり、99質量%より大きいと、露光による硬化が不十分になりタックが発生したり、アルカリ現像性を有する場合、現像時間が長くなり硬化部分もアルカリで膜やられを起こしたりする場合がある。
【0111】
<光重合開始剤(C)>
上記光重合開始剤(C)としては、従来既知の化合物を用いることが可能であり、例えば、ベンゾフェノン、フェニルビフェニルケトン、1−ヒドロキシ−1−ベンゾイルシクロヘキサン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、1−ベンジル−1−ジメチルアミノ−1−(4'−モルホリノベンゾイル)プロパン、2−モルホリル−2−(4'−メチルメルカプト)ベンゾイルプロパン、チオキサントン、1−クロル−4−プロポキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、エチルアントラキノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルスルフィド、ベンゾインブチルエーテル、2−ヒドロキシ−2−ベンゾイルプロパン、2−ヒドロキシ−2−(4'−イソプロピル)ベンゾイルプロパン、4−ブチルベンゾイルトリクロロメタン、4−フェノキシベンゾイルジクロロメタン、ベンゾイル蟻酸メチル、1,7−ビス(9'−アクリジニル)ヘプタン、9−n−ブチル−3,6−ビス(2'−モルホリノイソブチロイル)カルバゾール、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ナフチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,2−ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1−2’−ビイミダゾール、4、4−アゾビスイソブチロニトリル、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、過酸化ベンゾイル等が挙げられ、市販品としては、N−1414、N−1717、N−1919、PZ−408、NCI−831、NCI−930((株)ADEKA社製)、IRGACURE369、IRGACURE907、IRGACURE OXE 01、IRGACURE OXE 02(BASF(株)社製)等が挙げられる。
【0112】
本発明の着色組成物において、上記光重合開始剤(C)の含有量は、着色組成物に含まれる固形分(後記の溶媒(E)を除いた全成分の合計量)中、0.1〜30質量%、特に0.5〜10質量%が好ましい。上記光重合開始剤(C)の含有量が0.1質量%より小さいと、露光による硬化が不十分になる場合があり、30質量%より大きいと、組成物中に光重合開始剤(C)が析出する場合がある。
【0113】
<無機顔料及び/又は有機顔料(D)>
本発明の着色組成物には、更に無機顔料及び/又は有機顔料(D)を含有させてもよい。これらの顔料は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0114】
上記無機顔料及び/又は有機顔料(D)としては、例えば、ニトロソ化合物、ニトロ化合物、アゾ化合物、ジアゾ化合物、キサンテン化合物、キノリン化合物、アントラキノン化合物、クマリン化合物、フタロシアニン化合物、イソインドリノン化合物、イソインドリン化合物、キナクリドン化合物、アンタンスロン化合物、ペリノン化合物、ペリレン化合物、ジケトピロロピロール化合物、チオインジゴ化合物、ジオキサジン化合物、トリフェニルメタン化合物、キノフタロン化合物、ナフタレンテトラカルボン酸;アゾ染料、シアニン染料の金属錯体化合物;レーキ顔料;ファーネス法、チャンネル法、サーマル法によって得られるカーボンブラック、或いはアセチレンブラック、ケッチェンブラック又はランプブラック等のカーボンブラック;上記カーボンブラックをエポキシ樹脂で調整、被覆したもの、上記カーボンブラックを予め溶媒中で樹脂で分散処理し、20〜200mg/gの樹脂を吸着させたもの、上記カーボンブラックを酸性又はアルカリ性表面処理したもの、平均粒径が8nm以上でDBP吸油量が90ml/100g以下のカーボンブラック、950℃における揮発分中のCO、CO
2から算出した全酸素量が、カーボンブラックの表面積100m
2当たり9mg以上であるもの;黒鉛、黒鉛化カーボンブラック、活性炭、炭素繊維、カーボンナノチューブ、カーボンマイクロコイル、カーボンナノホーン、カーボンエアロゲル、フラーレン;アニリンブラック、ピグメントブラック7、チタンブラック;疎水性樹脂、酸化クロム緑、ミロリブルー、コバルト緑、コバルト青、マンガン系、フェロシアン化物、リン酸塩群青、紺青、ウルトラマリン、セルリアンブルー、ピリジアン、エメラルドグリーン、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、合成鉄黒、アンバー等の無機顔料又は有機顔料を用いることができる。
【0115】
上記無機顔料及び/又は有機顔料(D)としては、市販の顔料を用いることもでき、例えば、ピグメントレッド1、2、3、9、10、14、17、22、23、31、38、41、48、49、88、90、97、112、119、122、123、144、149、166、168、169、170、171、177、179、180、184、185、192、200、202、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、254;ピグメントオレンジ13、31、34、36、38、43、46、48、49、51、52、55、59、60、61、62、64、65、71;ピグメントイエロー1、3、12、13、14、16、17、20、24、55、60、73、81、83、86、93、95、97、98、100、109、110、113、114、117、120、125、126、127、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、166、168、175、180、185;ピグメントグリ−ン7、10、36;ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:5、15:6、22、24、56、60、61、62、64;ピグメントバイオレット1、19、23、27、29、30、32、37、40、50等が挙げられる。
【0116】
本発明の着色組成物において、上記無機顔料及び/又は有機顔料(D)の含有量は、上記エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物(B)100質量部に対して、好ましくは0〜350質量部、より好ましくは0〜250質量部である。350質量部を超える場合、本発明の着色組成物、特に着色アルカリ現像性感光性組成物を用いた硬化物を用いて表示デバイス用カラーフィルタを作製する場合に、表示デバイス用カラーフィルタの光透過率が低下し、表示デバイスの輝度が低下してしまうため好ましくない。
【0117】
<溶媒(E)>
本発明の着色組成物には、更に溶媒(E)を加えることができる。該溶媒としては、通常、必要に応じて本発明の着色組成物に含まれる各成分(本発明の染料(A)等)を溶解又は分散しえる溶媒、例えば、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、ジエチルケトン、アセトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン等のケトン類;エチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸シクロヘキシル、乳酸エチル、コハク酸ジメチル、テキサノール等のエステル系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、イソ−又はn−プロパノール、イソ−又はn−ブタノール、アミルアルコール等のアルコール系溶媒;エチレングリコールモノメチルアセテート、エチレングリコールモノエチルアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート(PGMEA)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エトキシエチルプロピオネート等のエーテルエステル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等のBTX系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;テレピン油、D−リモネン、ピネン等のテルペン系炭化水素油;ミネラルスピリット、スワゾール#310(コスモ松山石油(株))、ソルベッソ#100(エクソン化学(株))等のパラフィン系溶媒;四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエチレン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素系溶媒;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒;カルビトール系溶媒、アニリン、トリエチルアミン、ピリジン、酢酸、アセトニトリル、二硫化炭素、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられ、これらの溶媒は1種で使用してもよく又は2種以上の混合溶媒として使用してもよい。これらの中でもケトン類、エーテルエステル系溶媒等、特にプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、シクロヘキサノン等が、着色組成物においてレジストと光重合開始剤の相溶性がよいので好ましい。
【0118】
本発明の着色組成物において、上記溶媒(E)の使用量は、溶媒(E)以外の成分の合計濃度が5〜30質量%になる量であることが好ましい。5質量%より小さい場合、膜厚を厚くする事が困難であり所望の波長光を十分に吸収できないため好ましくなく、30質量%を超える場合、組成物の析出によって保存性が低下したり、粘度が向上する等してハンドリングが低下するため好ましくない。
【0119】
本発明の着色組成物には、更に無機化合物を含有させることができる。該無機化合物としては、例えば、酸化ニッケル、酸化鉄、酸化イリジウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化カリウム、シリカ、アルミナ等の金属酸化物;層状粘土鉱物、ミロリブルー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、コバルト系、マンガン系、ガラス粉末、マイカ、タルク、カオリン、フェロシアン化物、各種金属硫酸塩、硫化物、セレン化物、アルミニウムシリケート、カルシウムシリケート、水酸化アルミニウム、白金、金、銀、銅等が挙げられ、これらの中でも、酸化チタン、シリカ、層状粘土鉱物、銀等が好ましい。本発明の着色組成物において、無機化合物の含有量は、上記エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物(B)100質量部に対して、好ましくは0.1〜50質量部、より好ましくは0.5〜20質量部であり、これらの無機化合物は1種又は2種以上を使用することができる。
【0120】
これら無機化合物は、例えば、充填剤、反射防止剤、導電剤、安定剤、難燃剤、機械的強度向上剤、特殊波長吸収剤、撥インク剤等として用いられる。
【0121】
本発明の着色組成物において、顔料及び/又は無機化合物を用いる場合、分散剤を加えることができる。該分散剤としては顔料、無機化合物を分散、安定化できるものであれば何でも良く、市販の分散剤、例えばビックケミー社製、BYKシリーズ等を用いることができ、塩基性官能基を有するポリエステル、ポリエーテル、ポリウレタンからなる高分子分散剤、塩基性官能基として窒素原子を有し、窒素原子を有する官能基がアミン、及び/又はその四級塩であり、アミン価が1〜100mgKOH/gのものが好適に用いられる。
【0122】
また、本発明の着色組成物には、必要に応じて、p−アニソール、ハイドロキノン、ピロカテコール、t−ブチルカテコール、フェノチアジン等の熱重合抑制剤;可塑剤;接着促進剤;充填剤;消泡剤;レベリング剤;表面調整剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;分散助剤;凝集防止剤;触媒;効果促進剤;架橋剤;増粘剤等の慣用の添加物を加えることができる。
【0123】
また、上記エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物(B)とともに、他の有機重合体を用いることによって、本発明の着色組成物からなる硬化物の特性を改善することもできる。上記有機重合体としては、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−エチルアクリレート共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ウレタン樹脂、ポリカーボネートポリビニルブチラール、セルロースエステル、ポリアクリルアミド、飽和ポリエステル、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミック酸樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられ、これらの中でも、ポリスチレン、(メタ)アクリル酸−メチルメタクリレート共重合体、エポキシ樹脂が好ましい。
他の有機重合体を使用する場合、その使用量は、上記エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物(B)100質量部に対して、好ましくは10〜500質量部である。
【0124】
本発明の着色組成物には、更に、連鎖移動剤、増感剤、界面活性剤、シランカップリング剤、メラミン化合物等を併用することができる。
【0125】
上記連鎖移動剤、増感剤としては、一般的に硫黄原子含有化合物が用いられる。例えばチオグリコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプト酪酸、N−(2−メルカプトプロピオニル)グリシン、2−メルカプトニコチン酸、3−[N−(2−メルカプトエチル)カルバモイル]プロピオン酸、3−[N−(2−メルカプトエチル)アミノ]プロピオン酸、N−(3−メルカプトプロピオニル)アラニン、2−メルカプトエタンスルホン酸、3−メルカプトプロパンスルホン酸、4−メルカプトブタンスルホン酸、ドデシル(4−メチルチオ)フェニルエーテル、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、1−メルカプト−2−プロパノール、3−メルカプト−2−ブタノール、メルカプトフェノール、2−メルカプトエチルアミン、2−メルカプトイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−3−ピリジノール、2−メルカプトベンゾチアゾール、メルカプト酢酸、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)等のメルカプト化合物、該メルカプト化合物を酸化して得られるジスルフィド化合物、ヨード酢酸、ヨードプロピオン酸、2−ヨードエタノール、2−ヨードエタンスルホン酸、3−ヨードプロパンスルホン酸等のヨード化アルキル化合物、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトイソブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトイソブチレート)、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、ブタンジオールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ブタンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、トリスヒドロキシエチルトリスチオプロピオネート、下記化合物No.125、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等の脂肪族多官能チオール化合物、昭和電工社製カレンズMT BD1、PE1、NR1等が挙げられる。
【0127】
上記界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等のフッ素界面活性剤、高級脂肪酸アルカリ塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩等のアニオン系界面活性剤、高級アミンハロゲン酸塩、第四級アンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド等の非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等の界面活性剤を用いることができ、これらは組み合わせて用いてもよい。
【0128】
上記シランカップリング剤としては、例えば信越化学社製シランカップリング剤を用いることができ、その中でもKBE−9007、KBM−502、KBE−403等、イソシアネート基、メタクリロイル基、エポキシ基を有するシランカップリング剤が好適に用いられる。
【0129】
上記メラミン化合物としては、(ポリ)メチロールメラミン、(ポリ)メチロールグリコールウリル、(ポリ)メチロールベンゾグアナミン、(ポリ)メチロールウレア等の窒素化合物中の活性メチロール基(CH
2OH基)の全部又は一部(少なくとも2つ)がアルキルエーテル化された化合物を挙げることができる。ここで、アルキルエーテルを構成するアルキル基としては、メチル基、エチル基又はブチル基等が挙げられ、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、アルキルエーテル化されていないメチロール基は、一分子内で自己縮合していてもよく、二分子間で縮合して、その結果オリゴマー成分が形成されていてもよい。具体的には、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミン、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラブトキシメチルグリコールウリル等を用いることができる。これらのなかでも、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミン等のアルキルエーテル化されたメラミンが好ましい。
【0130】
本発明の着色組成物において、本発明の染料(A)、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物(B)及び光重合開始剤(C)以外の任意成分(但し、無機顔料及び/又は有機顔料(D)及び溶媒(E)は除く)の含有量は、その使用目的に応じて適宜選択され特に制限されないが、好ましくは、上記エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物(B)100質量部に対して合計で50質量部以下とする。
【0131】
本発明の着色組成物は、活性光を照射することにより硬化させることができる。硬化させる際には、本発明の着色組成物は、スピンコーター、ロールコーター、バーコーター、ダイコーター、カーテンコーター、各種の印刷、浸漬等の公知の手段で、ソーダガラス、石英ガラス、半導体基板、金属、紙、プラスチック等の支持基体上に適用することができる。また、一旦フィルム等の支持基体上に施した後、他の支持基体上に転写することもでき、その適用方法に制限はない。
【0132】
また、本発明の着色組成物を硬化させる際に用いられる活性光の光源としては、波長300〜450nmの光を発光するものを用いることができ、例えば、超高圧水銀、水銀蒸気アーク、カーボンアーク、キセノンアーク等を用いることができる。
【0133】
更に、露光光源にレーザー光を用いることにより、マスクを用いずに、コンピューター等のデジタル情報から直接画像を形成するレーザー直接描画法が、生産性のみならず、解像性や位置精度等の向上も図れることから有用であり、そのレーザー光としては、340〜430nmの波長の光が好適に使用されるが、アルゴンイオンレーザー、ヘリウムネオンレーザー、YAGレーザー、及び半導体レーザー等の可視から赤外領域の光を発するものも用いられる。これらのレーザーを使用する場合には、可視から赤外の当該領域を吸収する増感色素が加えられる。
【0134】
本発明の着色組成物(又はその硬化物)は、光硬化性塗料或いはワニス、光硬化性接着剤;プリント基板;カラーテレビ、PCモニタ、携帯情報端末、デジタルカメラ等のカラー表示の液晶表示パネルにおけるカラーフィルタ、CCDイメージセンサのカラーフィルタ;プラズマ表示パネル用の電極材料;粉末コーティング、印刷インク、印刷版、接着剤、歯科用組成物、光造形用樹脂、ゲルコート、電子工学用のフォトレジスト、電気メッキレジスト、エッチングレジスト、液状及び乾燥膜の双方、はんだレジスト;種々の表示用途用のカラーフィルタを製造するための或いはプラズマ表示パネル、電気発光表示装置、及びLCDの製造工程において構造を形成するためのレジスト;電気及び電子部品を封入するための組成物、ソルダーレジスト、磁気記録材料、微小機械部品、導波路、光スイッチ、めっき用マスク、エッチングマスク、カラー試験系、ガラス繊維ケーブルコーティング、スクリーン印刷用ステンシル、ステレオリトグラフィによって三次元物体を製造するための材料、ホログラフィ記録用材料、画像記録材料、微細電子回路、脱色材料、画像記録材料のための脱色材料、マイクロカプセルを使用する画像記録材料用の脱色材料、印刷配線板用フォトレジスト材料、UV及び可視レーザー直接画像系用のフォトレジスト材料、プリント回路基板の逐次積層における誘電体層形成に使用するフォトレジスト材料或いは保護膜等の各種の用途に使用することができ、その用途に特に制限はない。
【0135】
本発明の着色組成物(特に着色アルカリ現像性感光性組成物)及びその硬化物は、カラーフィルタの画素の形成に好適に使用することができ、特に液晶表示パネル等の画像表示装置用の表示デバイス用カラーフィルタの画素を形成するための感光性組成物として有用である。
本発明の表示デバイス用カラーフィルタは、本発明の着色組成物の硬化物を用いて形成されたものである。本発明の染料(A)において上記一般式(1)で表される本発明の化合物のみを用いた場合、本発明の着色組成物の硬化物は、黄色の光学要素となる。本発明の表示デバイス用カラーフィルタは、本発明の着色組成物の硬化物の他に、赤、緑、青、橙、紫及び黒の光学要素を有していてもよい。
【0136】
本発明の表示デバイス用カラーフィルタは、(1)本発明の着色組成物(特に着色アルカリ現像性感光性組成物)の塗膜を基板上に形成する工程、(2)該塗膜に所定のパターン形状を有するマスクを介して活性光を照射する工程、(3)露光後の被膜を現像液(特にアルカリ現像液)にて現像する工程、(4)現像後の該被膜を加熱する工程により好ましく形成される。液晶表示パネル等に用いる本発明の表示デバイス用カラーフィルタの製造は、本発明又はそれ以外の着色組成物を用いて、上記(1)〜(4)の工程を繰り返し行い、2色以上のパターンを組み合わせて作成することができる。
また、本発明の着色組成物は、現像工程の無いインクジェット方式、転写方式等の方式により作製されるカラーフィルタに用いる着色組成物としても有用である。
【実施例】
【0137】
以下、実施例等を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。
尚、実施例1−1、1−2及び1−4、実施例2−1、2−2及び2−4、並びに評価例2−1、2−2及び2−4は参考例である。【0138】
[実施例1−1]化合物No.1の合成
2−メチルアクリル酸−2−ヒドロキシエチルエステル(1.30g、10mmol)にピリジン(10g)を入れ溶解させ、アルゴン雰囲気下に置換した後、EDC(2.87g、15mmol)を添加し、40℃にて0.5時間攪拌した。攪拌後、反応容器にα−シアノ−p−ジエチルアミノケイ皮酸(ADEKA社製:アデカアークルズTD−4、3.38g、15mmol)のピリジン(4g)溶液を滴下し、滴下終了後45℃で4時間反応させた。その後室温まで冷却し、酢酸エチル/水を加えて二相分離した。酢酸エチル相を抽出して、水洗・脱水・濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:酢酸エチル)により精製した。精製して得られた粉末をヘキサン中で分散洗浄後、乾燥して黄色結晶2.63g(収率73.8%)を得た。得られた黄色結晶が目的物であることは
1H−NMR、IRにて確認した。また、得られた黄色結晶の吸収波長特性を測定した。結果を[表1]〜[表3]に示す。
【0139】
[実施例1−2]化合物No.2の合成
α−シアノ−p−ジエチルアミノケイ皮酸(ADEKA社製:アデカアークルズTD−4、2.44g、10mmol)と水酸化ナトリウム(0.4g、10mmol)にジメチルホルムアミド(18g)を入れて溶解させ、室温で1時間反応させた。その後、1−クロロ−4−ビニルベンゼン(1.67g、11mmol)を添加して、90℃で1時間反応させた。その後、室温まで冷却して酢酸エチル/水を加えて二層分離した。酢酸エチル層を抽出して、水洗・脱水・濃縮し、酢酸エチル/ヘキサンにより再結晶に付して固体を得た。得られた固体を乾燥して、黄色結晶1.2g(収率33.3%)を得た。得られた黄色結晶が目的物であることは
1H−NMR、IRにて確認した。また、得られた黄色結晶の吸収波長特性を測定した。結果を[表1]〜[表3]に示す。
【0140】
[実施例1−3]化合物No.3の合成
α−シアノ−p−ジエチルアミノケイ皮酸(ADEKA社製:アデカアークルズTD−4、2.44g、10mmol)と水酸化ナトリウム(0.4g、10mmol)にジメチルホルムアミド(9g)を入れて溶解させ、室温で1時間反応した。その後、エピブロモヒドリン(1.51g、11mmol)を添加して90℃で1時間反応させた。反応後、室温まで冷却して酢酸エチル/水を加えて二層分離した。酢酸エチル層を抽出して、水洗・脱水・濃縮し、酢酸エチル/イソプロパノールにより再結晶に付して固体を得た。得られた固体を乾燥して、黄色結晶1.02g(収率34%)を得た。得られた黄色結晶が目的物であることは
1H−NMR、IRにて確認した。また、得られた黄色結晶の吸収波長特性を測定した。結果を[表1]〜[表3]に示す。
【0141】
[実施例1−4]化合物No.4の合成
アクリル酸−2−ヒドロキシエチルエステル(1.16g、10mmol)及びピリジン(10g)を入れ溶解させ、アルゴン雰囲気下に置換した後、EDC(2.87g、15mmol)を添加し、40℃にて0.5hr攪拌した。攪拌後、反応容器にα−シアノ−p−ジエチルアミノケイ皮酸 (ADEKA社製:アデカアークルズTD−4)(3.38g、15mmol)のピリジン(4g)溶液を滴下し、滴下終了後45℃で4hr反応させた。その後室温まで冷却し、酢酸エチル/水を加えて二相分離した。酢酸エチル相を抽出して、水洗・脱水・濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:酢酸エチル)により精製した。精製して得られた粉末をヘキサン中で分散洗浄後、乾燥して黄色結晶1.05g(3.4%)を得た。得られた黄色結晶が目的物であることは
1H−NMR、IRにて確認した。また、吸収波長特性を測定した。結果を[表1]〜[表3]に示す。
【0142】
[実施例1−5]化合物No.117の合成
9−ジュロリジンカルボキシアルデヒド(4.02g、20mmol)とシアノ酢酸エチル(2.72g、24mmol)をエタノール(6.33g)中に分散し、撹拌しながら50℃まで加温した。そこにトリエチルアミン(0.2g、2mmol)を滴下し、70℃で3hr反応させた。冷却後、酢酸エチル/イオン交換水で油水分離し、得られた有機層を減圧留去して反応中間体を得た。得られた中間体と水酸化ナトリウム(0.8g、20mmol)、及びジメチルホルムアミド(9g)を溶解させ、室温で1hr反応した。その後、エピブロモヒドリン(3.02g、22mmol)を添加して90℃で1hr反応させた。反応後、室温まで冷却して酢酸エチル/水を加えて二層分離した。酢酸エチル層を抽出して、水洗・脱水・濃縮し、酢酸エチル/イソプロパノールにより再結晶に付した。得られた固体を乾燥して、黄色結晶1.02g(15.7%)を得た。得られた黄色結晶が目的物であることは
1H−NMR、IRにて確認した。また、吸収波長特性を測定した。結果を[表1]〜[表3]に示す。
【0143】
[比較例1−1]比較化合物No.1の合成
上記特許文献4(特開2007−286189号公報)の段落〔0046〕に記載の方法により、下記の比較化合物No.1を得た。得られた比較化合物No.1の吸収波長特性を測定した。結果を[表3]に示す。
【0144】
[比較例1−2]比較化合物No.2の合成
4’−(N,N−ジエチルアミノ)アセトフェノン(3.55g、20mmol)と2−エトキシエチルシアノアセテート(3.77g、24mmol)をエタノール(6.33g)中に分散し、撹拌しながら50℃まで加温した。そこにトリエチルアミン(0.2g、2mmol)を滴下し、70℃で3時間反応させた。冷却後、酢酸エチル/イオン交換水で油水分離し、得られた有機相を減圧留去して粗生成物4.3gを得た。粗生成物を酢酸エチル/ヘキサンの混合溶液で再結晶し、乾燥させて、下記の比較化合物No.2(橙色結晶、収量2.2g及び収率34.8%)を得た。得られた比較化合物No.2の吸収波長特性を測定した。結果を[表3]に示す。
【0145】
【化32】
【0146】
【表1】
【0147】
【表2】
【0148】
【表3】
【0149】
[実施例2−1]着色アルカリ現像性感光性組成物No.1の調製
<ステップ1>アルカリ現像性感光性組成物No.1の調製
(B’)成分としてACA Z250(ダイセルサイテック社製)を30.33g及びアロニックスM−450(東亜合成社製)を11.04g、(C)成分としてイルガキュア907(BASF社製)を1.93g、(E)成分としてPGMEAを36.60g及びシクロヘキサノンを20.08g、並びに、その他成分としてFZ2122(東レ・ダウコーニング社製)を0.01g混合し、不溶物が無くなるまで撹拌し、アルカリ現像性感光性組成物No.1を得た。
<ステップ2>染料液No.1の調製
(A)成分として上記で得られた化合物No.1の0.10gに、ジメチルアセトアミド1.90gを加え、撹拌して溶解させた。
<ステップ3>着色アルカリ現像性感光性組成物No.1の調製
ステップ1で得られたアルカリ現像性感光性組成物No.1の5.0gと、ステップ2で得られた染料液No.1の1.0gとを混合して均一になるまで撹拌し、本発明の着色アルカリ現像性感光性組成物No.1を得た。
【0150】
[実施例2−2]着色アルカリ現像性感光性組成物No.2の調整
実施例2−1のステップ2における(A)成分の化合物No.1を上記で得られた化合物No.2に変更した以外は、実施例2−1と同様の手法で、着色アルカリ現像性感光性組成物No.2を得た。
【0151】
[実施例2−3]着色アルカリ現像性感光性組成物No.3の調整
実施例2−1のステップ2における(A)成分の化合物No.1を上記で得られた化合物No.3に変更した以外は、実施例2−1と同様の手法で、着色アルカリ現像性感光性組成物No.3を得た。
【0152】
[実施例2−4]着色アルカリ現像性感光性組成物No.4の調整
実施例2−1のステップ2における(A)成分の化合物No.1を上記で得られた化合物No.4に変更した以外は、実施例2−1と同様の手法で、着色アルカリ現像性感光性組成物No.4を得た。
【0153】
[実施例2−5]着色アルカリ現像性感光性組成物No.5の調整
実施例2−1のステップ2における(A)成分の化合物No.1を上記で得られた化合物No.117に変更した以外は、実施例2−1と同様の手法で、着色アルカリ現像性感光性組成物No.5を得た。
【0154】
[比較例2−1及び2−2]比較着色アルカリ現像性感光性組成物No.1及びNo.2の調製
実施例2−1のステップ2における(A)成分の化合物No.1を比較化合物No.1及びNo.2にそれぞれ変更した以外は、実施例2−1と同様の手法で、比較着色アルカリ現像性感光性組成物No.1及びNo.2を得た。
【0155】
[評価例2−1〜2−5及び比較評価例2−1及び2−2]焼成による耐熱性評価
上記で得られた着色アルカリ現像性感光性組成物No.1〜No.5並びに比較着色アルカリ現像性感光性組成物No.1及びNo.2をガラス基板に410rpm×7secの条件で塗工し、ホットプレートで乾燥(90℃、90sec)させた。得られた塗膜に超高圧水銀ランプで露光(150mJ/cm
2)した。露光後の塗膜を、230℃×30minの条件で焼成した。用いた化合物(染料)の極大吸収波長(λmax)における焼成前(露光後)の塗膜の吸光度と焼成後の塗膜の吸光度を測定し、焼成前(露光後)の塗膜の吸光度を100としたときの相対強度として評価した。尚、焼成後の塗膜の吸光度が100に近いほど耐熱性が高いことを示す。結果を[表4]に示す。
【0156】
【表4】
【0157】
上記[表4]の結果より、本発明の着色アルカリ現像性感光性組成物は、耐熱性が高いことは明らかである。
【0158】
以上の結果より、本発明の新規化合物を用いた染料は、吸光係数、耐熱性に優れ、これを用いた着色組成物及びその硬化物においても耐熱性が高いことは明白であり、よって、本発明の染料及び着色組成物は表示デバイス用カラーフィルタに有用であることが分かる。