(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記サポートブロックの上面は、細長い要素間に金属導電層を備え、前記一組のバールが延在する表面から測定した前記一組のバールの高さと、前記クランプ電極と前記一組のバールとの間の第1ガラス層の高さとの合計により、静電ギャップが規定される、請求項1に記載の基板サポート。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上、通常、基板のターゲット部分上に付与する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に用いることができる。その場合、ICの個々の層上に形成される回路パターンを生成するために、マスクまたはレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを用いることができる。このパターンは、基板(例えば、シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、ダイの一部、または1つ以上のダイを含む)に転写することができる。通常、パターンの転写は、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層上への結像によって行われる。一般には、単一の基板が、連続的にパターニングされる隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。
【0004】
[0004] リソグラフィは、ICおよび他のデバイスおよび/または構造の製造における重要なステップの1つとして広く認識されている。しかし、リソグラフィを使用して作られるフィーチャの寸法が小さくなるにつれ、リソグラフィは、小型のICまたは他のデバイスおよび/または構造の製造を可能にするためのより重要な要因になっている。
【0005】
[0005] パターンプリンティングの限界の理論的な推測は、式(1)に示す解像度についてのレイリー基準によって与えられ得る:
【数1】
【0006】
[0006]
上の式で、λは、使用される放射の波長であり、NAは、パターンを印刷するために使用される投影システムの開口数であり、k
1は、レイリー定数とも呼ばれているプロセス依存調節係数であり、CDは、印刷されたフィーチャのフィーチャサイズ(またはクリティカルディメンジョン)である。式(1)から、フィーチャの最小印刷可能サイズは、露光波長λを短くすること、開口数NAを大きくすること、あるいはk
1の値を小さくすること、の3つの方法によって縮小することができると言える。
【0007】
[0007] 露光波長を短くするため、ひいては、最小印刷可能サイズを縮小するために、極端紫外線(EUV)放射源を使用することが提案されている。EUV放射は、5〜20nmの範囲内、例えば13〜14nmの範囲内の波長を有する電磁放射である。さらに、10nm未満の波長、例えば6.7nmまたは6.8nmといった5〜10nmの範囲内の波長を有するEUV放射を使用できることが提案されている。このような放射は、極端紫外線放射または軟X線放射と呼ばれている。可能な放射源としては、例えば、レーザ生成プラズマ源、放電プラズマ源、または電子蓄積リング(Electron storage ring)によって提供されるシンクロトロン放射に基づく放射源などが含まれる。
【0008】
[0008] EUV放射は、プラズマを使用して生成することができる。EUV放射を生成するための放射システムは、燃料を励起してプラズマを提供するレーザと、プラズマを収容するための放射源コレクタモジュールと、を備え得る。プラズマは、例えば、好適な材料(例えば、スズ)の粒子、または、XeガスもしくはLi蒸気といった好適なガスもしくは蒸気の流れなどの燃料にレーザビームを誘導することにより作り出すことができる。その結果生じるプラズマは、例えばEUV放射などの出力放射を放出し、この出力放射は放射コレクタによって集光される。放射コレクタは、鏡面仕上げの法線入射放射コレクタであってよく、放射を受けてビームへと集束させる。放射源コレクタモジュールは、プラズマを支持するための真空環境を提供するように配置された閉鎖構造またはチャンバを備え得る。このような放射システムは、通常、レーザ生成プラズマ(LPP)源と呼ばれる。
【0009】
[0009] リソグラフィ装置では、投影システムを使用して、パターニングデバイスの像を基板の様々なターゲット部分上へ投影し、かつ基板をスキャンするために、基板は移動させられる。この移動は、基板テーブル(ウェーハテーブルとも呼ばれる)を搬送するチャック(ミラーブロックを備え得る)として知られるものを備えた構成によって行われる。チャックは、位置決めシステムによって移動可能である。チャックは、基板テーブルを介して、基板へとその移動を伝達する。
【0010】
[0010] 基板テーブルは、バールを介して、真空によってまたは静電的にチャック(エンコーダブロックとも呼ばれる)にクランプされる。基板を投影システムの下でより高速で移動させることにより、リソグラフィ装置のスループットをより高くすることができる。この高速の移動は、高加速度によって達成されることになるが、この加速がチャックと基板テーブルとの間に(局所的な)スリップを起こすことがある。チャックと基板テーブルとの間のスリップは、あらかじめ決められた位置とは別の位置に基板を誘導することになり、この基板の誤露光を招くおそれがある。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[0021] 本明細書は、本発明の特徴を組み込んだ1つ以上の実施形態を開示する。開示される実施形態は本発明を例示するに過ぎない。本発明の範囲は開示される実施形態に限定されない。
【0018】
[0022] 説明される(1つ以上の)実施形態、および明細書中の「一実施形態」、「ある実施形態」、「例示的な実施形態」等への言及は、説明される実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含み得ることを示すが、必ずしもすべての実施形態がその特定の特徴、構造、または特性を含んでいなくてもよい。また、かかる表現は、必ずしも同じ実施形態を指すものではない。また、特定の特徴、構造、または特性がある実施形態に関連して説明される場合、かかる特徴、構造、または特性を他の実施形態との関連においてもたらすことは、それが明示的に説明されているか否かにかかわらず、当業者の知識内のことであると理解される。
【0019】
[0023] 本発明の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらのあらゆる組合せにおいて実施され得る。本発明の実施形態はまた、機械可読媒体に記憶され、1つまたは複数のプロセッサにより読み出され実行され得る命令として実施されてもよい。機械可読媒体は、機械(例えばコンピュータデバイス)によって読み取りが可能な形態で情報を記憶または送信するためのあらゆるメカニズムを含み得る。例えば、機械可読媒体は、読出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、または電気、光、音、もしくはその他の形態の伝搬信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号等)、などを含み得る。また、本明細書において、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令が何らかの動作を行うと説明されることがある。しかし、そのような説明は単に便宜上のものであり、かかる動作は実際には、コンピュータデバイス、プロセッサ、コントローラ、またはファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令等を実行する他のデバイスによるものであることが理解されるべきである。
【0020】
[0024] このような実施形態をより詳細に説明する前に、本発明の実施形態が実施され得る例示的な環境を提示することが有益である。
【0021】
[0025]
図1は、本発明の一実施形態に係る放射源コレクタモジュールSOを備えたリソグラフィ装置100を概略的に示している。このリソグラフィ装置は、放射ビームB(例えば、EUV放射)を調整するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えば、マスクまたはレチクル)MAを支持するように構築され、かつパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1ポジショナPMに連結されたサポート構造(例えば、マスクテーブル)MTと、ミラーブロックMB(エンコーダブロックとも呼ばれる)であり得るチャックであって、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、かつ基板を正確に位置決めするように構成された第2ポジショナPWに連結された基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WTが設けられたチャックと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付けられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成された投影システム(例えば、反射投影システム)PSと、を備える。
【0022】
[0026] 照明システムとしては、放射を誘導し、整形し、または制御するために、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、またはその他のタイプの光学コンポーネント、あるいはそれらのあらゆる組合せなどのさまざまなタイプの光学コンポーネントを含むことができる。
【0023】
[0027] サポート構造MTは、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計、および、パターニングデバイスが真空環境内で保持されているか否かなどの他の条件に応じた態様で、パターニングデバイスMAを保持する。サポート構造は、機械式、真空式、静電式またはその他のクランプ技術を使って、パターニングデバイスを保持することができる。サポート構造は、例えば、必要に応じて固定または可動式にすることができるフレームまたはテーブルであってもよい。サポート構造は、パターニングデバイスを、例えば、投影システムに対して所望の位置に確実に置くことができる。
【0024】
[0028] 「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分内にパターンを作り出すように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用できるあらゆるデバイスを指していると、広く解釈されるべきである。放射ビームに付与されたパターンは、集積回路などのターゲット部分内に作り出されるデバイス内の特定の機能層に対応することになる。
【0025】
[0029] パターニングデバイスは、透過型であっても、反射型であってもよい。パターニングデバイスの例としては、マスク、プログラマブルミラーアレイ、およびプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクは、リソグラフィでは公知であり、バイナリ、レべンソン型(alternating)位相シフト、およびハーフトーン型(attenuated)位相シフトなどのマスク型、ならびに種々のハイブリッドマスク型を含む。プログラマブルミラーアレイの一例では、小型ミラーのマトリックス配列が用いられており、各小型ミラーは、入射する放射ビームを様々な方向に反射させるように、個別に傾斜させることができる。傾斜されたミラーは、ミラーマトリックスによって反射される放射ビームにパターンを付ける。
【0026】
[0030] 投影システムは、照明システムと同様に、使われている露光放射にとって、あるいは真空の使用といった他の要因にとって適切な、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、または他のタイプの光学コンポーネント、またはそれらのあらゆる組合せを含むあらゆるタイプの光学コンポーネントを含むことができる。EUV放射では、他のガスが放射の多くを吸収するおそれがあるため、真空を使用することが望ましいことがある。したがって、真空壁および真空ポンプを使って、ビームパス全体に真空環境を提供してもよい。
【0027】
[0031] 本明細書に示されているとおり、リソグラフィ装置は、反射型のもの(例えば、反射型マスクを採用しているもの)である。
【0028】
[0032] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブル(および/または2つ以上のマスクテーブル)を有する型のものであってもよい。そのような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルは並行して使うことができ、または予備工程を1つ以上のテーブル上で実行しつつ、別の1つ以上のテーブルを露光用に使うこともできる。
【0029】
[0033]
図1を参照すると、イルミネータILは、放射源コレクタモジュールSOから極端紫外線放射ビームを受ける。EUV光を生成する方法としては、材料を、例えば、キセノン、リチウムまたはスズなど少なくとも1つの元素を有し、EUV範囲内の1つ以上の輝線を有するプラズマ状態へと変換することが含まれるが、必ずしもこれに限定されない。そのような方法のうちの1つであり、しばしばレーザ生成プラズマ(LPP)と呼ばれる方法では、所望の輝線を放出する元素を有する材料の小滴、流れまたはクラスタなどの燃料をレーザビームで照射することにより所望のプラズマを生成することができる。放射源コレクタモジュールSOは、燃料を励起するレーザビームを提供するためのレーザ(
図1中図示なし)を含むEUV放射システムの一部であってもよい。結果として生じたプラズマは、例えばEUV放射などの出力放射を放出し、この出力放射は放射源コレクタモジュール内に配置される放射コレクタを使って集光される。例えば、CO
2レーザを使用して燃料励起のためのレーザビームを提供する場合、レーザと放射源コレクタモジュールとは別個の構成要素とすることができる。
【0030】
[0034] そのような場合には、レーザは、リソグラフィ装置の一部を形成しているとはみなされず、また放射ビームは、レーザから放射源コレクタモジュールへ、例えば、適切な誘導ミラーおよび/またはビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムを使って送られる。その他の場合、例えば、放射源がしばしばDPP源と呼ばれる放電生成プラズマEUVジェネレータである場合においては、放射源は、放射源コレクタモジュールの一体部分とすることもできる。
【0031】
[0035] イルミネータILは、放射ビームの角強度分布を調節するアジャスタを含むことができる。一般に、イルミネータの瞳面内の強度分布の少なくとも外側および/または内側半径範囲(通常、それぞれσ-outerおよびσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。さらに、イルミネータILは、ファセットフィールド(facetted field)および瞳ミラーデバイスといったさまざまな他のコンポーネントを含むことができる。イルミネータを使って放射ビームを調整すれば、放射ビームの断面に所望の均一性および強度分布をもたせることができる。
【0032】
[0036] 放射ビームBは、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MT上に保持されているパターニングデバイス(例えば、マスク)MA上に入射して、パターニングデバイスによってパターン形成される。パターニングデバイス(例えば、マスク)MAから反射された後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは、基板Wのターゲット部分C上にビームの焦点をあわせる。第2ポジショナPWおよび位置センサPS2(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、または静電容量センサ)を使って、例えば、さまざまなターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置決めするように、基板テーブルWTを正確に動かすことができる。同様に、第1ポジショナPMおよび別の位置センサPS1を使い、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを放射ビームBの経路に対して正確に位置決めすることもできる。パターニングデバイス(例えば、マスク)MAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2および基板アライメントマークP1、P2を使って、位置合わせされてもよい。
【0033】
[0037] 例示の装置は、以下に説明するモードのうち少なくとも1つのモードで使用できる。
【0034】
[0038] 1.ステップモードにおいては、サポート構造(例えば、マスクテーブ)MTおよび基板テーブルWTを基本的に静止状態に保ちつつ、放射ビームに付けられたパターン全体を一度にターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一静的露光)。その後、基板テーブルWTは、Xおよび/またはY方向に移動され、それによって別のターゲット部分Cを露光することができる。
【0035】
[0039] 2.スキャンモードにおいては、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MTおよび基板テーブルWTを同期的にスキャンする一方で、放射ビームに付けられたパターンをターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一動的露光)。サポート構造(例えば、マスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPSの(縮小)拡大率および像反転特性によって決めることができる。
【0036】
[0040] 3.別のモードにおいては、プログラマブルパターニングデバイスを保持した状態で、サポート構造(マスクテーブル)MTを基本的に静止状態に保ち、また基板テーブルWTを動かす、またはスキャンする一方で、放射ビームに付けられているパターンをターゲット部分C上に投影する。このモードにおいては、通常、パルス放射源が採用されており、さらにプログラマブルパターニングデバイスは、基板テーブルWTの移動後ごとに、またはスキャン中の連続する放射パルスと放射パルスとの間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、前述の型のプログラマブルミラーアレイといったプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0037】
[0041] 上述の使用モードの組合せおよび/またはバリエーション、あるいは完全に異なる使用モードもまた採用可能である。
【0038】
[0042]
図2は、放射源コレクタモジュールSO、照明システムILおよび投影システムPSを含む装置100をより詳細に示している。放射源コレクタモジュールSOは、放射源コレクタモジュールSOの閉鎖構造220内に真空環境を維持することができるように構築および配置されている。EUV放射放出プラズマ210は、放電生成プラズマ源により形成することができる。EUV放射は、例えばXeガス、Li蒸気またはSn蒸気などのガスまたは蒸気により生成され得るが、この蒸気またはガス内で、非常に高温のプラズマ210が作り出され、電磁スペクトルのEUV範囲の放射を放出する。非常に高温のプラズマ210は、例えば、少なくとも部分的にイオン化されたプラズマを引き起こす放電によって作り出される。放射を効率的に生成するには、Xe、Li、Sn蒸気または他の好適なガスもしくは蒸気の、例えば10Paの分圧が必要となり得る。ある実施形態では、EUV放射を生成するために励起されたスズ(Sn)のプラズマが提供される。
【0039】
[0043] 高温のプラズマ210により放出される放射は、放射源チャンバ211から、放射源チャンバ211の開口部内またはこの開口部の後方に位置決めされた任意選択のガスバリアまたは汚染物質トラップ230(場合によっては汚染物質バリアまたはフォイルトラップとも呼ばれる)を介して、コレクタチャンバ212内へと通過する。汚染物質トラップ230は、チャネル構造を含み得る。汚染トラップ230は、ガスバリアまたはガスバリアとチャネル構造との組み合わせを備えてもよい。本明細書においてさらに示される汚染物質トラップまたは汚染物質バリア230は、当技術分野で公知のように、少なくともチャネル構造を含む。
【0040】
[0044] コレクタチャンバ211は、いわゆる斜入射型コレクタであり得る放射コレクタCOを含んでもよい。放射コレクタCOは、上流放射コレクタ面251および下流放射コレクタ面252を有する。コレクタCOを横断する放射は、格子スペクトルフィルタ240で反射され、仮想放射源点IFに合焦され得る。仮想放射源点IFは、通常、中間焦点と呼ばれ、放射源コレクタモジュールは、この中間焦点IFが閉鎖構造220の開口部221に位置する、または該開口部221付近に位置するように配置される。仮想放射源点IFは、放射放出プラズマ210の像である。
【0041】
[0045] 続いて、放射は照明システムILを横断する。照明システムILは、パターニングデバイスMAにおいて放射ビーム21に所望の角度分布を提供し、かつパターニングデバイスMAにおいて放射強度に所望の均一性を提供するように配置されたファセットフィールドミラーデバイス22およびファセット瞳ミラーデバイス24を含んでもよい。放射ビーム21がサポート構造MTに保持されたパターニングデバイスMAで反射されると、パターン付きビーム26が形成され、このパターン付きビーム26は、反射要素28、30を介して、ウェーハステージまたは基板テーブルWTに保持された基板W上に投影システムPSにより結像される。
【0042】
[0046] 一般に、照明光学系ユニットILおよび投影システムPS内には、図示されるよりも多い要素が存在し得る。リソグラフィ装置のタイプに応じて、格子スペクトルフィルタ240を任意で存在させてもよい。さらに、図示されるよりも多いミラーが存在してもよく、例えば、
図2に示されるよりも1〜6個多い追加の反射要素が投影システムPS内に存在してもよい。
【0043】
[0047]
図2に例示されるようなコレクタ光学系COは、単にコレクタ(またはコレクタミラー)の一例として、斜入射リフレクタ253、254および255を有する入れ子型コレクタ(nested collector)として示されている。斜入射リフレクタ253、254および255は、光軸Oを中心に軸対称に配置され、このタイプのコレクタ光学系COは、しばしばDPP源と呼ばれる放電生成プラズマ源と組み合わせて使用されるのが好ましい。
【0044】
[0048] あるいは、放射源コレクタモジュールSOは、
図3に示すようなLPP放射システムの一部であり得る。レーザLAは、キセノン(Xe)、スズ(Sn)またはリチウム(Li)などの燃料内に、レーザエネルギを与え、数十eVの電子温度を有する高度にイオン化されたプラズマ210を作り出すように配置される。これらイオンの脱励起および再結合中に生成されるエネルギ放射は、プラズマから放出され、近法線入射(near normal incidence)コレクタ光学系COによって集光され、閉鎖構造220の開口部221上に合焦される。
【0045】
[0049] なお、上述したように、ミラーブロックMBは、基板テーブルWTを備える。しかし、基板テーブルがミラーブロックの主要部分に関連して論じられ(ミラーブロックの主要部分とは、基板テーブルを含まないミラーブロックである)、かつ混同される恐れがない場合、ミラーブロックという用語は、この主要部分のみを指すものとして使用される。説明される実施形態のミラーブロックは、あらゆるタイプのチャックまたはウェーハテーブルサポートに一般化することができる。
【0046】
[0050] 公知のウェーハテーブルクランプ構成の1つに、真空クランプがある。真空クランプでは、真空を使って、ウェーハテーブルは支持チャックにクランプされ、ウェーハはウェーハテーブルにクランプされる。これらのクランプは、ウェーハテーブルとチャックとの間にいくらかの横方向の弾性および/または可撓性を提供するために、ウェーハテーブル表面の裏側に、大体1mm以上の長さの長バールが設けられている。これは、リソグラフィプロセス中、ウェーハテーブルが、チャック上の第2位置決めデバイスによって加えられる横方向の大きい加速力にさらされるためである。この加速力は、基板テーブルに対してチャックの局所的な変形を生じさせ、チャックと基板テーブルとの間にスリップを引き起こすことがある。したがって、可撓性を高めた長バールをチャックと基板テーブルとの間に設け、このスリップを小さくすることができる。第2位置決めデバイスが基板テーブルに接続されているチャックの領域は、この第2位置決めデバイスによってもたらされる最も大きい変形を被ることがある。可撓性が高められたことにより、バールが、スリップせずに変形の一部を吸収することができ、これにより、チャックと基板テーブルとの間のスリップを低減させる観点において、大きな利点と優れた特性が提供される。
【0047】
[0051] 別のタイプのクランプとして、静電クランプがある。静電クランプは、上記のような大きい加速力にさらされにくい傾向があるため、長バールを備えない傾向がある。
【0048】
[0052]
図4aは、真空クランプがさらされるような大きい横方向の加速力に耐え得るものとして、考えられる静電クランプ構成を示す。この図は、静電クランプ400の下部およびミラーブロック410の上部を示している。静電クランプ400は、第1ガラス層405と、第2ガラス層415と、その上のコア材料層425とを備え、基板テーブルの一部を形成する。第1ガラス層と第2ガラス層との間の接着層450は、クランプ電極を形成する。クランプは、その下面に形成された長バール430を備えている。これらの長バール430自体も、その下面に短バール420を有し、静電クランプ400の表面とミラーブロック410の表面との間の接触面積をさらに小さくしている。これらの長バール430は、チャネル435のエッチング加工/ドリル加工により形成される。短バール420は、両表面間を通り得るあらゆる汚染物質の影響を軽減するように作用する。
【0049】
[0053] このような長バール430は、真空クランプに関連して上述したのと同様の理由で設けられる。
【0050】
[0054] この構成では、ガラス層405、415をドリル加工して貫通させる必要があるため、製造が複雑化するという短所がある。この複雑性は、バールを形成するために作られるドリルチャネル435によって、電極接着層450が各バール周辺で局所的にリソグラフィチャンバの真空に露出されるという事実により、さらに増長される。通常EUVリソグラフィに使用される真空は、不要なアーク発生が問題になり得る手段である。従って、各ドリルチャネル435の周辺で高圧電極接着層450内にギャップ440を形成することにより、金属電極接着層450の露出部分を高電圧から隔離する。さらに、隔離された接着層の露出領域は、個別に接地する必要もある。これは、接着層450を貫通する1つのバール430の断面を示した
図4bにさらに明確に示されている。
【0051】
[0055]
図5aおよび
図5bは、本発明のある実施形態に係るウェーハステージ構成を示す。
図5aは、静電クランプ500およびミラーブロック510の上部を示している。静電クランプ500は、下面に短バール520を備え、
図4の例のように、静電クランプ500の表面とミラーブロック510の表面との間の全体的な接触面積を小さくし、両表面間を通り得るあらゆる汚染物質の影響を軽減するようにしている。ミラーブロック510の上面は、上述したように、ミラーブロックと基板テーブルとの間のスリップを小さくするために長バール530を備え、バールとバールの間は金属導電層で覆ってもよい。長バールは1mm以上の長さ、短バールは100μm未満の長さであり得る。
【0052】
[0056] 第1ガラス層505と第2ガラス層515との間の接着層550は、前例のように、クランプ電極を形成する。しかし、本例では、電極が各バール530で真空に露出されず、各バール530の周辺で個別の接地をする必要がないため、接地層550は切れ目のない連続した層である。これにより、クランプ500の製造がはるかに簡単になる。ウェーハテーブル上の短バールの高さは、第1ガラス層505と共に静電ギャップを設定し、印加される電圧と共にクランプ力を設定する。
【0053】
[0057]
図5aの線AAに沿った断面を示す
図5bからさらに良くわかるように、長バール530のそれぞれは、ミラーブロック510の表面から円筒状の栓を除去することにより製造することができる。これにより、元のミラーブロック510の表面を長バール530間に残した状態で、円筒状のチャネル535が形成され、長バール530が最高平面になる。これは、ミラーブロックの製造における通常の機械加工能力を利用できるという利点を有する。
【0054】
[0058] さらに、静電クランプ上の短バール520は、ウェーハテーブル製造者の現行の加工(エッチング)能力を使用して製作することができる。
図4のデバイスのように接着されたガラスの多層に穴を貫通させる必要はない。バールの高さは、下層ガラス層の厚さと共に、クランプ力を設定する。これは、テーブルの供給者によって試験することができる。したがって、ミラーブロック上に長バールを設け、テーブル上に短バールを設けることは、いずれの場合も、ディープエッチングではなく「機械加工」作業によってバールを製作することができることを意味し、これらのプロセスは既にミラーブロックの供給者およびウェーハテーブルの供給者で標準になっている。
【0055】
[0059] 上記の実施形態は、特に静電クランプに関連して説明したが、説明した概念は、真空クランプなどの他のタイプのクランプにも同様に適用可能であり、ミラーブロックは他のタイプのチャックを備えてもよい。
【0056】
[0060] 本明細書において、IC製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされているが、本明細書記載のリソグラフィ装置が、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造といった他の用途を有し得ることが理解されるべきである。当業者にとっては当然のことであるが、そのような別の用途においては、本明細書で使用される「ウェーハ」または「ダイ」という用語はすべて、それぞれより一般的な「基板」または「ターゲット部分」という用語と同義であるとみなしてよい。本明細書に記載した基板は、露光の前後を問わず、例えば、トラック(通常、基板にレジスト層を塗布し、かつ露光されたレジストを現像するツール)、メトロロジーツール、および/またはインスペクションツールで処理されてもよい。適用可能な場合には、本明細書中の開示内容を上記のような基板プロセシングツールおよびその他の基板プロセシングツールに適用してもよい。さらに基板は、例えば、多層ICを作るために複数回処理されてもよいので、本明細書で使用される基板という用語は、すでに多重処理層を包含している基板を表すものとしてもよい。
【0057】
[0061] 光リソグラフィの関連での本発明の実施形態の使用について上述のとおり具体的な言及がなされたが、当然のことながら、本発明は、他の用途、例えば、インプリントリソグラフィに使われてもよく、さらに状況が許すのであれば、光リソグラフィに限定されることはない。インプリントリソグラフィにおいては、パターニングデバイス内のトポグラフィによって、基板上に創出されるパターンが定義される。パターニングデバイスのトポグラフィは、基板に供給されたレジスト層の中にプレス加工され、基板上では、電磁放射、熱、圧力、またはそれらの組合せによってレジストは硬化される。パターニングデバイスは、レジストが硬化した後、レジスト内にパターンを残してレジストの外へ移動される。
【0058】
[0062] 「レンズ」という用語は、文脈によっては、屈折、反射、磁気、電磁気、および静電型光コンポーネントを含む様々な種類の光コンポーネントのいずれか1つまたはこれらの組合せを指すことができる。
【0059】
[0063] 以上、本発明の具体的な実施形態を説明してきたが、本発明は、上述以外の態様で実施できることが明らかである。上記説明は、限定ではなく例示を目的としている。従って、当業者には明らかなように、下記の請求の範囲から逸脱しない限り、上述した本発明に改良を加えることができる。
【0060】
[0064] 「発明の概要」および「要約」の欄ではなく、「発明を実施するための形態」の欄が、請求の範囲を理解するために使用されることを意図していることが理解されよう。「発明の概要」および「要約」の欄は、発明者によって検討された本発明の1つ以上の全てではない例示的な実施形態を記載し得るため、本発明および添付の請求の範囲をどのような形であれ制限することを意図したものではない。
【0061】
[0065] 以上、本発明を、特定の機能およびそれら機能の関係の実現を例示する機能的なビルディングブロックを使って説明してきた。本明細書では、説明の便宜上、これら機能的なビルディングブロックの境界を任意で規定した。特定の機能およびそれら機能の関係が適切に実行される限り、別の境界を規定することもできる。
【0062】
[0066] 上述した特定の実施形態の説明は、本発明の一般的性質を完全に明らかにしているため、当業者の知識を適用することによって、他者が、過度な実験を行うことなく、また本発明の一般概念から逸脱することなく、容易に、該特定の実施形態を改良すること、および/または多様な用途に適用することが可能である。したがって、そのような適用および改良は、本明細書に示す教示および指導に基づいて、開示した実施形態の均等物の意味および範囲内であることが意図される。当然のことながら、本明細書の用語使いまたは言い回しは、制限ではなく説明を目的としたものであるため、本明細書の用語使いまたは言い回しは、当業者によって、本明細書の教示および指導を考慮して解釈されることになる。
【0063】
[0067] 本発明の広さおよび範囲は、上述した例示的な実施形態のいずれによっても制限されるべきではなく、以下の請求の範囲およびそれらの均等物によってのみ定義されるべきものである。