特許第5989778号(P5989778)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989778
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】フッ素樹脂含有軟性金属積層板
(51)【国際特許分類】
   B32B 15/088 20060101AFI20160825BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   B32B15/088
   H05K1/03 630E
   H05K1/03 630H
   H05K1/03 670
【請求項の数】26
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-529622(P2014-529622)
(86)(22)【出願日】2012年9月7日
(65)【公表番号】特表2014-526399(P2014-526399A)
(43)【公表日】2014年10月6日
(86)【国際出願番号】KR2012007234
(87)【国際公開番号】WO2013036077
(87)【国際公開日】20130314
【審査請求日】2014年3月6日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0090825
(32)【優先日】2011年9月7日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2012-0098872
(32)【優先日】2012年9月6日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ユン−ソク・パク
(72)【発明者】
【氏名】ソン−ヨン・パク
(72)【発明者】
【氏名】セ−ミュン・ジャン
【審査官】 増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−051203(JP,A)
【文献】 実開昭61−053131(JP,U)
【文献】 特開平04−033394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
B05D 1/00−7/26
H05K 1/00−3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金属層;
第1ポリイミド層;
前記第1ポリイミド層上に形成されたフッ素樹脂が分散されたポリイミド層;及び
前記フッ素樹脂が分散されたポリイミド層上に形成された第2ポリイミド層;
を含み、
前記フッ素樹脂が分散されたポリイミド層で、前記フッ素樹脂はポリエステル系分散剤によって分散され、前記フッ素樹脂の単位体積当り含量は前記フッ素樹脂が分散されたポリイミド層の表面から全体厚さの5乃至10%の深さより、40乃至60%の深さでさらに大きくなる軟性金属積層板。
【請求項2】
前記フッ素樹脂が分散されたポリイミド層は、前記ポリイミド層の表面から全体厚さの5乃至10%の深さで最も小さいフッ素樹脂の単位体積当り含量を有する請求項1に記載の軟性金属積層板。
【請求項3】
前記フッ素樹脂が分散されたポリイミド層は、前記ポリイミド層の表面から全体厚さの40乃至60%の深さで最も大きいフッ素樹脂の単位体積当り含量を有する請求項1に記載の軟性金属積層板。
【請求項4】
前記フッ素樹脂が分散されたポリイミド層は、前記ポリイミド層の表面から全体厚さの5乃至15%の深さで単位体積当りフッ素樹脂の含量が深さに沿って漸増する請求項1に記載の軟性金属積層板。
【請求項5】
前記第2ポリイミド層上に形成された第2金属層をさらに含む請求項1に記載の軟性金属積層板。
【請求項6】
前記第1金属層及び第2金属層の表面の十点平均粗さ(Rz)はそれぞれ0.5乃至2.5umである請求項5に記載の軟性金属積層板。
【請求項7】
前記第1ポリイミド層及び第2ポリイミド層の厚さはそれぞれ1乃至10umである請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載の軟性金属積層板。
【請求項8】
前記フッ素樹脂が分散されたポリイミド層の厚さは5乃至50umである請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載の軟性金属積層板。
【請求項9】
前記フッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、フルオリネイテッドエチレンプロピレン(FEP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、テトラフルオロエチレン/クロロトリフルオロエチレン(TFE/CTFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)から構成される群より選択された一つ以上である請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載の軟性金属積層板。
【請求項10】
前記フッ素樹脂は、前記フッ素樹脂が分散されたポリイミド層の中に10乃至60重量%で含まれる請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載の軟性金属積層板。
【請求項11】
前記第1ポリイミド層、フッ素樹脂が分散されたポリイミド層、及び第2ポリイミド層を含むポリイミド層は1MHzで誘電率2.2乃至3.2、誘電損失係数0.001乃至0.007、熱膨張係数15乃至35ppmである請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載の軟性金属積層板。
【請求項12】
前記第1金属層及び第2金属層は、銅、鉄、ニッケル、チタニウム、アルミニウム、銀、及び金から構成される群より選択される1種、または2種以上の合金の薄膜である請求項5に記載の軟性金属積層板。
【請求項13】
第1金属層上に第1ポリアミック酸ワニスをコーティングする段階;
前記第1ポリアミック酸ワニス上にフッ素樹脂粉末が分散されたポリアミック酸ワニスをコーティングする段階;及び
前記フッ素樹脂粉末が分散されたポリアミック酸ワニス上に第2ポリアミック酸ワニスをコーティングした後に乾燥及び硬化する段階;
を含む軟性金属積層板の製造方法。
【請求項14】
前記第2ポリアミック酸ワニスを硬化して形成されたポリイミド層上に第2金属層を接合させる段階をさらに含む請求項13に記載の軟性金属積層板の製造方法。
【請求項15】
前記第1ポリアミック酸ワニス及び第2ポリアミック酸ワニスは、芳香族テトラカルボン酸無水物、及び芳香族ジアミンを有機溶媒下で反応させて形成される請求項13または14に記載の軟性金属積層板の製造方法。
【請求項16】
前記芳香族テトラカルボン酸無水物は、ピロメリト酸二無水物(PMDA)、ビフェニル−テトラカルボン酸二無水物(BPDA)、4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、4,4’−オキシジフタル酸無水物(ODPA)、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)、及び4,4’−(4,4’−イソプロピリデン−ジフェノキシ)ビス(フタル酸無水物)(BPADA)から構成される群より選択される一つ以上である請求項15に記載の軟性金属積層板の製造方法。
【請求項17】
前記芳香族テトラカルボン酸無水物は、前記芳香族ジアミンに対して0.90乃至1.10当量で含まれる請求項15に記載の軟性金属積層板の製造方法。
【請求項18】
前記芳香族ジアミンは、フェニレンジアミン(PDA)、オキシジアニリン(ODA)、o−フェニレンジアミン(OPD)、メタフェニレンジアミン(MPD)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPER)、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPEQ)、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−TB−HG)、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFDB)、1,3’−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(APBN)、3,5−ジアミノベンゾトリフルオリド(DABTF)、及び2,2−ビス(4−[4−アミノフェノキシ]−フェニル)プロパン(BAPP)から構成される群より選択される一つ以上である請求項15に記載の軟性金属積層板の製造方法。
【請求項19】
前記有機溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、1,3−ジメチル−2−イミダゾリドン、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジオキサン、1、4−ジオキサン、ピリジン、ピコリン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、m−クレゾール、p−クロロフェノール、及びアニソールから構成される群より選択される一つ以上である請求項15に記載の軟性金属積層板の製造方法。
【請求項20】
前記有機溶媒は、前記ポリアミック酸ワニスの全体重量基準に70乃至90重量%で含まれる請求項15に記載の軟性金属積層板の製造方法。
【請求項21】
前記フッ素樹脂粉末が分散されたポリアミック酸ワニスは、ポリエステル系分散剤で有機溶媒にフッ素樹脂粉末を分散させた後、芳香族テトラカルボン酸無水物、及び芳香族ジアミンを含む混合物を添加及び攪拌して製造される請求項13または14に記載の軟性金属積層板の製造方法。
【請求項22】
前記フッ素樹脂粉末は平均粒径が0.1乃至10.0umである請求項13または14に記載の軟性金属積層板の製造方法。
【請求項23】
前記乾燥は100乃至200℃で遂行される請求項13または14に記載の軟性金属積層板の製造方法。
【請求項24】
前記硬化は300乃至400℃で5分乃至30分間遂行される請求項13または14に記載の軟性金属積層板の製造方法。
【請求項25】
前記第2金属層の接合は300乃至400℃で遂行される請求項14に記載の軟性金属積層板の製造方法。
【請求項26】
前記第1金属層及び第2金属層は銅、鉄、ニッケル、チタニウム、アルミニウム、銀、及び金から構成される群より選択される1種、または2種以上の合金の薄膜である請求項14に記載の軟性金属積層板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフッ素樹脂含有軟性金属積層板に関する。より具体的に、本発明は軟性印刷回路基板用として適用できる軟性金属積層板に関する。
【背景技術】
【0002】
軟性金属積層板は主に軟性印刷回路基板の基材として使用され、その以外に面発熱体電磁波シールド材料、フラットケーブル、包装材料などに使用される。このような軟性金属積層板のうちの軟性銅箔積層板はポリイミド層と銅箔層で構成され、ポリイミド層と銅箔層の間にエポキシ接着剤層が存在するかによって接着型と非接着型に分けられる。ここで、非接着型軟性銅箔積層板は銅箔表面にポリイミドを直接に接着させたもので、最近、電子製品が小型化、薄型化され、優れたイオンマイグレーション特性を要求する傾向に従って非接着型軟性銅箔積層板が主に使用されている。
【0003】
また、電子機器の小型化、高速化及び多様な機能が結合する傾向に合わせて電子機器内部または外部との信号伝達速度が向上されなければならないという要求があった。そのために既存の絶縁体より誘電率と誘電損失係数がさらに低い絶縁体を用いた印刷回路基板の開発が要求されている。最近、このような傾向を反映して軟性印刷回路基板でも従来のポリイミドより誘電率が低く吸湿による影響が少ない絶縁体である液晶ポリマー(LCP、Liquid Crystalline Polymer)を使用しようとする試みがあった。しかし、LCPは誘電率(Dk=2.9)がポリイミドの誘電率(Dk=3.2)より非常に優れているのではなく、耐熱性が非常に低く、既存のポリイミドを用いたPCB製造工程との互換性が落ちるという問題があった。したがって、LCPよりは既に用いられていたポリイミドの誘電率を低くしようとする研究が行われていた。
【0004】
例えば、米国特許登録4816516号では、ポリイミドとフッ素系高分子を混合してモールド成形品を作る技術内容が開示されている。しかし、前記発明はモールド成形品として開発されたもので、熱膨張率が大きく、Tg(ガラス転移温度)が低い組成のポリイミドを直接に使用したという点で限界があった。また、印刷回路基板に使用するためには薄い薄膜形態への製造が必要であるが、前記発明では薄膜形態の金属積層板に関する内容は開示されなかった。
【0005】
また、米国特許登録7026032号ではポリイミドにフッ素系高分子の微細粉末をポリイミドに分散させて誘電率を低くする方法が示されている。しかし、前記発明はカバーレイとの接着力やプリプレグとの接着力が弱くなり、ACFとの接着力も弱くなるという問題がある。また、前記発明の実施例で示されたCTE値は非常に大きいため軟性金属積層板として使用されることには限界がある。また、フッ素樹脂が表面に露出されていて高温の回路形成工程でフッ素樹脂が溶け銅箔回路が絶縁体から剥離される危険性があるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4816516号
【特許文献2】米国特許第7026032号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、低い誘電率を示しながらも印刷回路基板の適用性に優れた低誘電率軟性金属積層板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面による軟性金属積層板は、第1金属層;第1ポリイミド層;前記第1ポリイミド層上に形成されたフッ素樹脂が分散されたポリイミド層;及び前記フッ素樹脂が分散されたポリイミド層上に形成された第2ポリイミド層を含み、前記フッ素樹脂が分散されたポリイミド層で、前記フッ素樹脂の単位体積当り含量は前記ポリイミド層の表面から全体厚さの5乃至10%の深さより、40乃至60%の深さでさらに大きくなり得る。
【0009】
前記で、フッ素樹脂が分散されたポリイミド層は、前記ポリイミド層の表面から全体厚さの5乃至10%の深さで最も小さいフッ素樹脂の単位体積当り含量を有し得る。
【0010】
そして、前記フッ素樹脂が分散されたポリイミド層は、前記ポリイミド層の表面から全体厚さの40乃至60%の深さで最も大きいフッ素樹脂の単位体積当り含量を有し得る。
【0011】
また、前記フッ素樹脂が分散されたポリイミド層は、前記ポリイミド層の表面から全体厚さの5乃至15%の深さで単位体積当りフッ素樹脂の含量が深さに沿って漸増し得る。
【0012】
前記で、軟性金属積層板は第2ポリイミド層上に形成された第2金属層をさらに含むことができる。
【0013】
前記で、前記第1金属層及び第2金属層の表面の十点平均粗さ(Rz)はそれぞれ0.5乃至2.5umであり得る。
【0014】
また、前記第1ポリイミド層及び第2ポリイミド層の厚さはそれぞれ1乃至10umであり得る。
【0015】
そして、前記フッ素樹脂が分散されたポリイミド層の厚さは5乃至50umであり得る。
【0016】
また、前記フッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、フルオリネイテッドエチレンプロピレン(FEP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、テトラフルオロエチレン/クロロトリフルオロエチレン(TFE/CTFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)から構成される群より選択された一つ以上であり得る。
【0017】
さらに、前記フッ素樹脂は、前記フッ素樹脂が分散されたポリイミド層の中に10乃至60重量%で含まれ得る。
【0018】
また、前記第1ポリイミド層、フッ素樹脂が分散されたポリイミド層、及び第2ポリイミド層を含むポリイミド層は1MHzで誘電率2.2乃至3.2、誘電損失係数0.001乃至0.007、熱膨張係数15乃至35ppmであり得る。
【0019】
そして、前記第1金属層及び第2金属層は、銅、鉄、ニッケル、チタニウム、アルミニウム、銀、及び金から構成される群より選択される1種、または2種以上の合金の薄膜であり得る。
【0020】
本発明の他の側面による軟性金属積層板の製造方法は、第1金属層上に第1ポリアミック酸ワニスをコーティングする段階;前記第1ポリアミック酸ワニス上にフッ素樹脂粉末が分散されたポリアミック酸ワニスをコーティングする段階;及び前記フッ素樹脂粉末が分散されたポリアミック酸ワニス上に第2ポリアミック酸ワニスをコーティングした後に乾燥及び硬化する段階を含む。
【0021】
前記で、前記軟性金属積層板の製造方法は、第2ポリアミック酸ワニスを硬化して形成されたポリイミド層上に第2金属層を接合させる段階をさらに含むことができる。
【0022】
また、前記第1ポリアミック酸ワニス及び第2ポリアミック酸ワニスは、芳香族テトラカルボン酸無水物、芳香族ジアミン、及び有機溶媒を含む混合物を攪拌して製造することができる。
【0023】
ここで、前記芳香族テトラカルボン酸無水物は、ピロメリト酸二無水物(PMDA)、ビフェニル−テトラカルボン酸二無水物(BPDA)、4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、4,4’−オキシジフタル酸無水物(ODPA)、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)、及び4,4’−(4,4’−イソプロピリデン−ジフェノキシ)ビス(フタル酸無水物)(BPADA)から構成される群より選択される一つ以上であり得る。
【0024】
ここで、前記芳香族テトラカルボン酸無水物は、前記芳香族ジアミンに対して0.90乃至1.10当量で含まれ得る。
【0025】
ここで、前記芳香族ジアミンは、フェニレンジアミン(PDA)、オキシジアニリン(ODA)、o−フェニレンジアミン(OPD)、メタフェニレンジアミン(MPD)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPER)、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPEQ)、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−TB−HG)、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFDB)、1,3’−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(APBN)、3,5−ジアミノベンゾトリフルオリド(DABTF)、及び2,2−ビス(4−[4−アミノフェノキシ]−フェニル)プロパン(BAPP)から構成される群より選択される一つ以上であり得る。
ここで、前記有機溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、1,3−ジメチル−2−イミダゾリドン、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジオキサン、1、4−ジオキサン、ピリジン、ピコリン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、m−クレゾール、p−クロロフェノール、及びアニソールから構成される群より選択される一つ以上であり得る。
ここで、前記有機溶媒は、前記ポリアミック酸ワニスの全体重量基準に70乃至90重量%で含まれ得る。
【0026】
そして、前記フッ素樹脂粉末が分散されたポリアミック酸ワニスは、ポリエステル系分散剤で有機溶媒にフッ素樹脂粉末を分散させた後、芳香族テトラカルボン酸無水物、及び芳香族ジアミンを含む混合物を添加及び攪拌して製造することができる。
【0027】
また、前記フッ素樹脂粉末は平均粒径が0.1乃至10.0umであり得る。
【0028】
また、前記乾燥は100乃至200℃で遂行できる。
【0029】
そして、前記硬化は300乃至400℃で5分乃至30分間遂行できる。
【0030】
また、前記第2金属層の接合は300乃至400℃で遂行できる。
【0031】
そして、前記第1金属層及び第2金属層は銅、鉄、ニッケル、チタニウム、アルミニウム、銀、及び金から構成される群より選択される1種、または2種以上の合金の薄膜であり得る。
【発明の効果】
【0032】
本発明による軟性金属積層板はフッ素樹脂が分散されたポリイミド層の両外郭にポリイミド層が形成される構造を有することによって、金属層との接着力を高めると同時に誘電特性が向上でき、フッ素樹脂の表面析出を抑制させることができる。
【0033】
また、フッ素樹脂が分散されたポリイミド層でポリエステル系分散剤の使用によってフッ素樹脂の均一な分散が可能で耐熱性向上、及び熱膨張係数最適化が可能な効果がある。
【0034】
さらに、本発明による軟性金属積層板は低誘電率、低誘電損失、及び低吸湿性を有しながらも既存のポリイミド絶縁体の特性である高耐熱性、耐化学性、高屈曲性、及び寸法安定性を有する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の一実施形態による軟性金属積層板の断面図である。
図2】本発明による軟性金属積層板の誘電定数及び誘電損失係数測定のために形成する電極のパターン形状を示したものである。
図3】実施例で得られた面軟性銅箔積層板の断面SEM写真及びEDS結果を示したものである。
図4図3の積層板断面SEM写真を拡大して示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明は多様な変換を加えることができ様々な実施例を有することができるところ、特定実施例を図面に例示し詳細な説明に詳細に説明しようとする。しかし、これは本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするのではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変換、均等物乃至代替物を含むと理解しければならない。本発明を説明することにおいて、関連する公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を濁す恐れがあると判断される場合にはその詳細な説明を省略する。
【0037】
本発明は、第1金属層;第1ポリイミド層;前記第1ポリイミド層上に形成されたフッ素樹脂が分散されたポリイミド層;及び前記フッ素樹脂が分散されたポリイミド層上に形成された第2ポリイミド層を含み、前記フッ素樹脂が分散されたポリイミド層で、前記フッ素樹脂の単位体積当り含量は前記ポリイミド層の表面から全体厚さの5乃至10%の深さより、40乃至60%の深さでさらに大きくなる軟性金属積層板を提供する。
【0038】
また本発明は、第1金属層上に第1ポリアミック酸ワニスをコーティングする段階;前記第1ポリアミック酸ワニス上にフッ素樹脂粉末が分散されたポリアミック酸ワニスをコーティングする段階;及び前記フッ素樹脂粉末が分散されたポリアミック酸ワニス上に第2ポリアミック酸ワニスをコーティングした後に乾燥及び硬化する段階を含む軟性金属積層板の製造方法を提供する。
【0039】
以下、発明の実施形態による軟性金属積層板と軟性金属積層板の製造方法についてより詳細に説明する。
【0040】
発明の一実施形態によれば、1金属層;第1ポリイミド層;前記第1ポリイミド層上に形成されたフッ素樹脂が分散されたポリイミド層;及び前記フッ素樹脂が分散されたポリイミド層上に形成された第2ポリイミド層を含み、前記フッ素樹脂が分散されたポリイミド層で、前記フッ素樹脂の単位体積当り含量は前記ポリイミド層の表面から全体厚さの約5乃至10%の深さより、約40乃至60%の深さ、または約45乃至55%の深さでさらに大きくなる軟性金属積層板が提供される。
【0041】
本発明は、前記のように金属層と接触するポリイミド層はフッ素樹脂が分散されていなく、中間層であるポリイミド層にフッ素樹脂が分散されている構造を特徴とする。このような構造によってフッ素樹脂によって誘電特性が向上でき、フッ素樹脂が分散されていない両外郭層によって金属層との接着力が向上でき、フッ素樹脂の表面析出を抑制することができる。また、両外郭層が既存のポリイミドからなっているため、マイグレーションなどの電気的特性も優れた特徴を有するようになる。
【0042】
具体的に、フッ素樹脂の単位体積当り含量が表面でより大きくなる従来の技術とは異なり、表面から全体厚さの約5乃至10%以内では相対的にフッ素樹脂の単位体積当り含量が小さくなり、中心部、例えば、表面から全体厚さの40乃至60%の深さではフッ素樹脂の単位体積当り含量が大きくなる。
【0043】
したがって、フッ素樹脂がポリイミド層表面に析出されることを抑制し、フッ素樹脂の含有による低誘電率達成が効果的に可能であり、フッ素樹脂の表面析出によるポリイミド層間の接着力低下や剥離を抑制することができる。また、フッ素樹脂の表面析出によって、ポリイミド層または軟性金属積層板の耐熱性が低下するのを抑制することができるという効果を有し得る。
【0044】
前記のように、両側にポリイミド層が形成されていてフッ素樹脂の表面側への流出を防止しポリエステル分散剤の使用によってフッ素樹脂の均一な分散が可能であるという構造的特性のため、中間層であるフッ素樹脂が分散されたポリイミド層でフッ素樹脂の単位体積当り含量は、前記フッ素樹脂が分散されたポリイミド層で、前記ポリイミド層の表面から全体厚さの約5乃至10%の深さより、約40乃至60%の深さ、または約45乃至55%の深さでさらに大きくなり、フッ素樹脂が分散されたポリイミド層は前記ポリイミド層の表面から全体厚さの約5乃至10%の深さで最も小さいフッ素樹脂の単位体積当り含量を有し、フッ素樹脂が分散されたポリイミド層は前記ポリイミド層の表面から全体厚さの約40乃至60%の深さで最も大きいフッ素樹脂の単位体積当り含量を有し、また、前記フッ素樹脂が分散されたポリイミド層は前記ポリイミド層の表面から全体厚さの約5乃至15%の深さで単位体積当りフッ素樹脂の含量が深さに沿って漸増することができる。
【0045】
一方、本発明の一実施形態によれば前記軟性金属積層板は第2ポリイミド層上に形成された第2金属層をさらに含むことができる。前記で言及した軟性金属積層板は金属層が一層である断面軟性金属積層板であり、第2ポリイミド層上に形成された第2金属層をさらに含む場合には両面軟性金属積層板になる。
【0046】
本発明の一実施形態で第1金属層及び第2金属層の表面の十点平均粗さ(Rz)はそれぞれ約0.5乃至2.5um、または約1乃至2umであり得る。これは平均粗さ(Rz)が約0.5um未満である場合はポリイミド層との接着力が低くなる問題があり、約2.5umを超過する場合は表面粗さが増加して高周波領域で伝送損失が大きくなる問題点があるためである。
【0047】
また、前記第1ポリイミド層及び第2ポリイミド層の厚さはそれぞれ約1.0乃至10um、または約2.0乃至9umであり得る。第1ポリイミド層及び第2ポリイミド層の厚さが約1.0um未満である場合は金属層との接着力が低くなる問題があり、厚さが約10.0um以上である場合はフッ素樹脂が分散されたポリイミド層の厚さが相対的に薄くなるのであるため全体ポリイミド層の低誘電率を達成しにくいという問題点がある。
【0048】
そして、前記フッ素樹脂が分散されたポリイミド層の厚さは約5乃至50um、または約10乃至45um、または約15乃至40umであり得る。フッ素樹脂が分散されたポリイミド層の厚さが約5um未満である場合には誘電率が低いポリイミド層の厚さが相対的に薄くなるのであるため全体ポリイミド層の低誘電率を達成しにくいという問題点があり、厚さが約50um超過である場合は製造工程で硬化工程を行うのが難しくなる問題がある。
【0049】
また、前記フッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、フルオリネイテッドエチレンプロピレン(FEP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、テトラフルオロエチレン/クロロトリフルオロエチレン(TFE/CTFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)から構成される群より選択された一つ以上であり得る。
【0050】
さらに、前記フッ素樹脂は前記フッ素樹脂が分散されたポリイミド層の中に約10乃至60重量%、または約20乃至50重量%で含まれ得る。フッ素樹脂を約10重量%未満で用いれば所望の水準の低誘電率を得ることができず、約60重量%超過で用いればフィルムが破れるか壊れやすい問題があるためである。
【0051】
また、前記第1ポリイミド層、フッ素樹脂が分散されたポリイミド層、及び第2ポリイミド層を含むポリイミド層は1MHzで誘電率2.2乃至3.2、または2.5乃至2.9、誘電損失係数0.001乃至0.007、熱膨張係数15乃至35ppmであり得る。
【0052】
そして、前記第1金属層及び第2金属層は銅、鉄、ニッケル、チタニウム、アルミニウム、銀、及び金から構成される群より選択される1種、または2種以上の合金の薄膜であり得る。好ましくは前記金属層は電気伝導度に優れ、価格が低廉な銅箔膜、即ち、銅箔層であり得る。
【0053】
また、発明の一実施形態によれば、第1金属層上に第1ポリアミック酸ワニスをコーティングする段階;前記第1ポリアミック酸ワニス上にフッ素樹脂粉末が分散されたポリアミック酸ワニスをコーティングする段階;及び前記フッ素樹脂粉末が分散されたポリアミック酸ワニス上に第2ポリアミック酸ワニスをコーティングした後に乾燥及び硬化する段階を含む軟性金属積層板の製造方法が提供される。
【0054】
前記のように本発明はポリイミドを直接使用せず、ポリアミック酸ワニスを用いてコーティングした後に硬化を通じてポリイミドを形成するようになる。また、本発明では二種類のポリアミック酸ワニスを使用する。第1ポリアミック酸ワニス及び第2ポリアミック酸ワニスは純粋ポリアミック酸ワニスであって金属層との接着力を向上させる役割を果たし、フッ素樹脂粉末が分散されたポリアミック酸ワニスは第1ポリアミック酸ワニス及び第2ポリアミック酸ワニスの中間にコーティングされる。
【0055】
このような製造方法で、前記フッ素樹脂粉末が分散されたポリアミック酸ワニスはポリエステル系分散剤で有機溶媒にフッ素樹脂粉末を分散させた後、芳香族テトラカルボン酸無水物、及び芳香族ジアミンを含む混合物を添加及び攪拌して製造することができる。
【0056】
このような他の側面による製造方法では、フッ素樹脂粉末が分散されたポリアミック酸ワニスの両面に第1及び第2ポリアミック酸ワニスをコーティングした後、乾燥及び硬化を通じて第1及び第2ポリイミド層と、フッ素樹脂が分散されたポリイミド層を含む一側面の軟性金属積層板を形成することができる。
【0057】
したがって、前記乾燥や硬化過程で、第1及び第2ポリアミック酸ワニスがフッ素樹脂粉末が分散されたポリアミック酸ワニスの両面でフッ素樹脂粉末が熱によって表面析出されるのを効果的に抑制することができる。具体的に、このような3層構成で積層されることによって両側のポリイミド層によって中間層のフッ素樹脂が表面エネルギーの差によって表面に流出するのを抑制することができる。
【0058】
また、選択的にポリエステル系分散剤を用いて、前記ポリアミック酸ワニス内にフッ素樹脂粉末をより均一に分散させることができるので、前記フッ素樹脂粉末の表面析出をさらに効果的に抑制することができる。
【0059】
その結果、フッ素樹脂の単位体積当り含量がポリイミド層の中心部、例えば、表面から全体厚さの40乃至60%の深さでより大きくなる一側面の軟性金属積層板が得られる。
以下、軟性金属積層板の製造方法を詳しく説明する。
【0060】
前記で、軟性金属積層板の製造方法は第2ポリアミック酸ワニスを硬化して形成されたポリイミド層上に第2金属層を接合させる段階をさらに含むことができる。前記で言及した軟性金属積層板の製造方法は金属層が一層である断面軟性金属積層板を製造する方法であり、第2ポリイミド層上に形成された第2金属層をさらに含む場合には両面軟性金属積層板を製造することができる。
【0061】
本発明の一実施形態で、前記第1ポリアミック酸ワニス及び第2ポリアミック酸ワニスは芳香族テトラカルボン酸無水物、及び芳香族ジアミンを有機溶媒下で反応させて形成することができる。前記芳香族テトラカルボン酸無水物と芳香族ジアミンは後に硬化を経てポリイミド層を形成するようになる。
【0062】
ここで、前記芳香族テトラカルボン酸無水物は、ピロメリト酸二無水物(PMDA)、ビフェニル−テトラカルボン酸二無水物(BPDA)、4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、4,4’−オキシジフタル酸無水物(ODPA)、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)、及び4,4’−(4,4’−イソプロピリデン−ジフェノキシ)ビス(フタル酸無水物)(BPADA)から構成される群より選択される一つ以上であり得る。
【0063】
ここで、前記芳香族テトラカルボン酸無水物は前記芳香族ジアミンに対して約0.90乃至1.10当量で含まれ得る。また、好ましくは約0.95乃至1.05当量、さらに好ましくは約0.96乃至1.00当量で含まれ得る。
【0064】
ここで、前記芳香族ジアミンは、フェニレンジアミン(PDA)、オキシジアニリン(ODA)、o−フェニレンジアミン(OPD)、メタフェニレンジアミン(MPD)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPER)、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPEQ)、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−TB−HG)、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFDB)、1,3’−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(APBN)、3,5−ジアミノベンゾトリフルオリド(DABTF)、及び2,2−ビス(4−[4−アミノフェノキシ]−フェニル)プロパン(BAPP)から構成される群より選択される一つ以上であり得る。
【0065】
ここで、前記有機溶媒は特に制限されるのではないが、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、1,3−ジメチル−2−イミダゾリドン、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジオキサン、1、4−ジオキサン、ピリジン、ピコリン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、m−クレゾール、p−クロロフェノール、及びアニソールから構成される群より選択される一つ以上であり得る。
【0066】
また、前記有機溶媒は前記ポリアミック酸ワニスの全体重量基準に約70乃至90重量%、または約75乃至85重量%で含まれ得る。
【0067】
そして、前記フッ素樹脂粉末が分散されたポリアミック酸ワニスはポリエステル系分散剤で有機溶媒にフッ素樹脂粉末を分散させた後、芳香族テトラカルボン酸無水物、及び芳香族ジアミンを含む混合物を添加及び攪拌して製造することができる。フッ素樹脂が分散されたポリイミド層でポリエステル系分散剤の使用によってフッ素樹脂の均一な分散が可能で耐熱性向上、及び熱膨張係数最適化が可能な効果がある。
【0068】
そして、前記フッ素樹脂粉末は平均粒径が約0.1乃至10.0umであり得る。また、前記フッ素樹脂粉末の平均粒径は好ましくは約0.1乃至7.0um、さらに好ましくは約0.1乃至5.0umであり得る。これは平均粒径が約0.1um未満である場合はフッ素樹脂粉末の表面積が大きくなって分散性が良くない問題があり、約10umを超過する場合はポリイミド層外側に互いにかたまったフッ素樹脂粉末が発生する問題点があるためである。
【0069】
また、前記乾燥は約100乃至200℃で遂行でき、硬化は約300乃至400℃で約5分乃至30分間遂行できる。前記のような硬化によってポリアミック酸がポリイミドに変性されて軟性金属積層板が製造され得る。
【0070】
また、前記第2金属層の接合は高温ラミネーション方法によって遂行でき、約300乃至400℃で遂行できる。
【0071】
以下、本発明の好ましい実施例を添付図面を参照して詳しく説明する。但し、これら実施例はひたすら本発明を例示するためのものであって、本発明の範囲がこれら実施例によって制限されると解釈されないといえる。
【実施例】
【0072】
実施例1:フッ素樹脂粉末が分散されたポリアミック酸ワニスの製造(1)
1L PEボトルに窒素充填後、DMAc300g、PTFE粉末(平均粒径0.1乃至2um)57g、ポリエステル系分散剤であるポリカプロラクトンジオール(Mn=2000)5.7g及びボールミル200gを入れて、高速ボールミル機器で攪拌しながらPTFEを分散させた。分散後、PTFEが分散された溶液に6FDA4.49g、PMDA19.86g、及びTFDB32.41gを入れて50℃で10時間攪拌しながら反応させて、粘度約15000cpsのポリアミック酸ワニスを収得した。
【0073】
実施例2:フッ素樹脂粉末が分散されたポリアミック酸ワニスの製造(2)
PTFE粉末(平均粒径0.1乃至2um)を38g入れることを除いては実施例1と同一にポリアミック酸ワニスを製造した。
【0074】
実施例3:ポリアミック酸ワニスの製造
500mLの丸底フラスコにDMAcを200g入れた後、PMDA12.07g、BAPP23.18gを入れて50℃で10時間窒素を流しながら攪拌機を用いて攪拌しながら反応させて、粘度3,000cps程度のポリアミック酸溶液を得た。
【0075】
実施例4:断面軟性金属積層板製造
実施例3で製造されたポリアミック酸ワニスを銅箔にコーティングした後、120℃で5分間乾燥し、乾燥したポリアミック酸ワニス上に、実施例1で製造されたフッ素樹脂が分散されたポリアミック酸ワニスをコーティングした後、120℃で10分間乾燥した。その次に、実施例3で製造されたポリアミック酸ワニスを前記フッ素樹脂が分散されたポリアミック酸ワニス上にコーティングした後、120℃で10分間乾燥した。その後、窒素オーブンで常温から昇温を始めて350℃で30分間硬化して断面軟性金属積層板を製造した
【0076】
実施例5:両面軟性金属積層板製造(1)
実施例3で製造されたポリアミック酸ワニスを銅箔にコーティングした後、120℃で5分間乾燥し、乾燥したポリアミック酸ワニス上に、実施例1で製造されたフッ素樹脂が分散されたポリアミック酸ワニスをコーティングした後、120℃で10分間乾燥した。その次に、実施例3で製造されたポリアミック酸ワニスを前記フッ素樹脂が分散されたポリアミック酸ワニス上にコーティングした後、120℃で10分間乾燥した。その後、窒素オーブンで常温から昇温を始めて350℃で30分間硬化した。その次に、ロールラミネータを用いて350℃で最上部にあるポリアミック酸ワニスを硬化して形成された最上部のポリイミド層に新たな銅箔を接合させた。
前記で得られた両面軟性銅箔積層板の断面SEM写真及びEDS結果を図3に示した。また、図4図3の積層板断面SEM写真を拡大して示したものである。
【0077】
実施例6:両面軟性金属積層板製造(2)
実施例3で製造されたポリアミック酸ワニスを銅箔にコーティングした後、120℃で5分間乾燥し、乾燥したポリアミック酸ワニス上に、実施例2で製造されたフッ素樹脂が分散されたポリアミック酸ワニスをコーティングした後、120℃で10分間乾燥した。その次に、実施例3で製造されたポリアミック酸ワニスを前記フッ素樹脂が分散されたポリアミック酸ワニス上にコーティングした後、120℃で10分間乾燥した。その後、窒素オーブンで常温から昇温を始めて350℃で30分間硬化した。その次に、ロールラミネータを用いて350℃で最上部にあるポリアミック酸ワニスを硬化して形成された最上部のポリイミド層に新たな銅箔を接合させた。
【0078】
比較例1:ポリアミック酸ワニスの製造(1)
500mLの丸底フラスコにDMAc300g、6FDA4.49g、PMDA19.86g、TFDB32.41gを投入した後、50℃で10時間窒素を流しながら攪拌しながら反応させて、粘度約10000cpsのポリアミック酸ワニスを収得した。
【0079】
比較例2:ポリアミック酸ワニスの製造(2)
500mLの丸底フラスコにDMAc300g、BPDA31.16g、PDA11.56gを投入した後、50℃で10時間窒素を流しながら攪拌しながら反応させて、粘度約14000cpsのポリアミック酸ワニスを収得した。
【0080】
比較例3:両面軟性金属積層板製造(1)
実施例3で製造されたポリアミック酸ワニスを銅箔にコーティングした後、120℃で5分間乾燥し、比較例1で製造されたポリアミック酸ワニスをコーティングした後、120℃で10分間乾燥した。その次に実施例3で製造されたポリアミック酸ワニスを前記比較例1で製造されたポリアミック酸ワニス上にコーティングした後、120℃で10分間乾燥した。その後、窒素オーブンで常温から昇温を始めて350℃で30分間硬化した。その次に、ロールラミネータを用いて350℃で最上部にあるポリアミック酸ワニスを硬化して形成された最上部のポリイミド層に新たな銅箔を接合させた。
【0081】
比較例4:両面軟性金属積層板製造(2)
実施例3で製造されたポリアミック酸ワニスを銅箔にコーティングした後、120℃で5分間乾燥し、比較例2で製造されたポリアミック酸ワニスをコーティングした後、120℃で10分間乾燥した。その次に、実施例3で製造されたポリアミック酸ワニスを前記比較例1で製造されたポリアミック酸ワニス上にコーティングした後、120℃で10分間乾燥した。その後、窒素オーブンで常温から昇温を始めて350℃で30分間硬化した。その次に、ロールラミネータを用いて350℃で最上部にあるポリアミック酸ワニスを硬化して形成された最上部のポリイミド層に新たな銅箔を接合させた。
【0082】
前記実施例4、5、6、及び比較例3、4によって製造された金属積層板の誘電定数、誘電損失係数、吸収率、CTE、耐熱性、及び剥離強度(peel strength)を下記方法によってそれぞれ測定した。
【0083】
(1)誘電定数、誘電損失係数の測定
軟性金属積層板を、図2のように主電極(a)直径3cm、接地電極(b)及び副電極(c)直径4cm、主電極と接地電極の間隔1mmでパターンを形成した後、パターンを除いた残り銅箔部分をエッチングで除去し、試片を5×5cmに切断した後、L、C、R測定器(ヒューレットパッカード社、HP4194A)を用いて1MHz誘電定数と誘電損失をそれぞれ測定した。断面軟性金属積層板の場合は(c)に銀ペーストを塗布した後、150℃で30分間硬化して副電極(c)を作って測定した。
【0084】
(2)吸収率測定
軟性金属積層板の銅箔をエッチングして完全に除去した後、銅箔が除去されたポリイミドフィルムを5×5cm大きさで切断した後、105℃オーブンで1時間乾燥した。乾燥されたフィルムの質量を測定した後、23℃蒸溜水に24時間浸漬させた。24時間後に、ポリイミドフィルム表面に付いた水分を除去した後、ポリイミドフィルムの質量を測定して乾燥されたフィルム対比増加された質量を百分率で計算した。
【0085】
(3)CTE測定
TMA機器を用いて100乃至200℃温度区間で寸法変化を測定した。
【0086】
(4)銅箔剥離強度測定
軟性金属積層板の表面で幅1cmの銅箔を剥いだ後、引張強度測定器(UTM)を用いて銅箔の剥離強度を測定した。
【0087】
(5)耐熱性測定
288℃の鉛槽に5×5cm大きさで切断したサンプルを載せた後、耐える時間を測定した。
【0088】
測定結果は下記表1の通りであった。
【0089】
【表1】
【0090】
前記のように実施例4、5、及び6によって製造された軟性金属積層板は誘電定数及び誘電損失係数が比較例3及び4に比べて優れていることが分かった。そして、実施例4、5、及び6によって製造された軟性金属積層板はフッ素樹脂が分散されたポリイミド層でポリエステル系分散剤の使用によってフッ素樹脂の均一な分散が可能で耐熱性に優れており、熱膨張係数(CTE)が最適化されたことが分かった。
【0091】
さらに、図3及び図4に示されているように、前記実施例で製造された軟性銅箔積層板のポリイミド層にはフッ素樹脂が外部表面に比べて樹脂内部により多く分布し、軟性銅箔積層板のポリイミド層表面から一定の深さまではフッ素樹脂含量が増加し続けた後、一定の深さ以上の内部ではフッ素樹脂の含量がほとんど類似するように維持されるという点が確認された。
【0092】
また、吸収率、及びCTEなどの数値を見れば、本発明による軟性金属積層板はフッ素樹脂粉末が分散されたポリイミド層の両外郭にポリイミド層が形成される構造を有することによって、銅箔層との接着力を高めると同時に誘電特性が向上できるだけでなく、低吸湿性を有しながらも既存のポリイミド絶縁体の特性である高耐熱性、耐化学性、高屈曲性、及び寸法安定性を有するという点が分かった。
【0093】
以上に本発明内容の特定の部分を詳しく記述したところ、当業界の通常の知識を有する者にとって、このような具体的技術はただ好ましい実施様態に過ぎず、これによって本発明の範囲が制限されるのではない点は明白である。従って、本発明の実質的な範囲は添付された請求項とそれらの等価物によって定義されるといえる。
【符号の説明】
【0094】
a 主電極
b 接地電極
c 副電極
図1
図2
図3
図4