【実施例】
【0063】
以下、実施例に基づいて、本発明をより詳しく説明する。なお、以下の実施例は、本発明を限定するものではない。
【0064】
〔調製例1〜10〕
実施例に使用する酸化部分水添脂、並びに比較例に使用する部分水添脂及び酸化油脂を調製した。
【0065】
1.原料油脂の準備
以下の三種類の原料油脂を用意した。
アマニ油:株式会社J−オイルミルズ製、ヨウ素価186.7、及びα−リノレン酸含量55.3%、
大豆油:株式会社J−オイルミルズ製、ヨウ素価130、及びα−リノレン酸含量7.2%、
パーム油:株式会社J−オイルミルズ製、ヨウ素価52.9、及びα−リノレン酸含量0%
【0066】
2.部分水添処理
上記の原料油脂を、以下の条件で、所望のヨウ素価となるよう部分水素添加処理した。
触媒 製品名SO−650(ニッケル含量14重量%、堺化学工業株式会社製)
触媒添加量 0.13%
反応温度 200℃
水素圧 0.05MPa
撹拌速度 700回転/分
【0067】
3.大豆油の酸化処理
1.で用意した大豆油を以下の手順で酸化処理した。まず、大豆油250gを、500mL容ステンレスビーカーに入れて、それを油温110℃のオイルバスに浸した。
空気を吹き込みながら加熱撹拌し、表1に示す所望の過酸化物価になるまで強制酸化した。
【0068】
4.部分水添脂の酸化処理
2.で得た部分水添脂を以下の手順で酸化処理した。まず、部分水添脂250gを、500mL容ステンレスビーカーに入れて、それを油温110℃のオイルバスに浸した。空気を吹き込みながら加熱撹拌し、表1に示す所望の過酸化物価になるまで強制酸化した。
【0069】
5.組成分析
5.1 ヨウ素価
1〜4で得た油脂のヨウ素価を、近赤外分析計(製品名:近赤外分析計、型番:Model5000、株式会社ニレコ製)を用いて測定した。結果を表1に示す。
【0070】
5.2 過酸化物価
前記油脂の過酸化物価を、「社団法人 日本油化学会 基準油脂分析法2.5.2.1−1996」に記載の方法に従って測定した。結果を表1に示す。
【0071】
5.3 トランス脂肪酸含量
前記油脂を三フッ化ホウ素メタノール法にて脂肪酸メチルエステルとした後、ガスクロマトグラフィー(GC)法で脂肪酸組成を分析した。
【0072】
GC測定条件を以下に示す。
・GC装置 製品名GC2010((株)島津製作所製)
・カラム SP−2560(100m×0.25mm×0.2μm)(スペルコ社製)
・注入口温度 250℃
・キャリアガス ヘリウム(29.1ml/min)
・スプリット比 25:1
・カラム温度 180℃55min→(8℃/min)→220℃5min
・検出器 水素炎イオン検出器(260℃)
【0073】
得られたGCクロマトグラムを、「Journal of oleo science Vol.50,No.5(2001),339‐352」の
図5のピーク番号1〜7、13〜27及び30〜33で示される脂肪酸と照合し、次いで、トランス脂肪酸含量、C18:1トランス型異性体(t18:1)含量、C18:2トランス型異性体(t18:2)含量を、下記のピーク番号に相当するピークの面積から算出した。結果を表1に示す。
トランス脂肪酸:
図5中のピーク番号1〜7、13〜27及び30〜33で示される脂肪酸、
C18:1トランス型異性体(t18:1):
図5中のピーク番号1〜7で示される脂肪酸、
C18:2トランス型異性体(t18:2):
図5中のピーク番号13〜27で示される脂肪酸
【0074】
【表1】
【0075】
〔実施例1〕
1.フライ風味増強剤の調製
調製例の酸化部分水添油脂を、パーム核極硬油(株式会社J−オイルミルズ社製)に2.2重量%配合することにより、フライ風味増強剤を得た。対照として、大豆油を2.2重量%配合した比較油脂を調製した。また、比較のため、酸化部分水添脂に変えて部分水添油脂又は酸化油をパーム核極硬油に2.2重量%配合した比較油脂も調製した。
【0076】
2.フライ風味増強剤の評価
1.で得たフライ風味増強剤又は比較油脂を使用して、ノンフライ揚げ物用食品(鶏唐揚げ)を調理した。まず、食材として鶏もも肉ミンチ100gに、フライ風味増強剤又は比較油脂を0.45g添加してよく混合した。混合物に片栗粉9gを添加し、よく混合した。混合物を20gずつ団子状にした。団子をビニル袋に入れ、さらに唐揚げ粉(製品名:レンジでジューシーから揚げ粉 ザ・ノンフライ しょうゆ味、日清フーズ株式会社製)6gを添加して、唐揚げ粉が各団子に均一にまぶされるように振とうした。なお、唐揚げ粉には、スパイスとしてコショウが添加されていた。得られた団子を、180℃に予熱したスチームオーブンで15分間、焼き上げた。
【0077】
調理品のフライ風味を以下の基準で評価した。
《フライ風味》
4: 対照に比べ、フライ風味を非常に強く感じる
3: 対照に比べ、フライ風味を強く感じる
2: 対照に比べ、フライ風味をやや強く感じる
1: 対照と比べ、同じか又は弱く感じる
【0078】
調理品のスパイス感を以下の基準で評価した。
《スパイス感》
4: 対照に比べ、スパイス感を非常に強く感じる
3: 対照に比べ、スパイス感を強く感じる
2: 対照に比べ、スパイス感をやや強く感じる
1: 対照と同じか、又は弱く感じる
【0079】
調理品の劣化臭を以下の基準で評価した。
《劣化臭》
4: まったく感じない
3: わずかに感じる
2: 少し感じる
1: 強く感じる
【0080】
調理品の官能評価結果を表2に示す。
【表2】
1)添加量:食材(鶏モモ肉ミンチ)に対するフライ風味増強剤又は比較油脂の割合(重量%)、
油脂Aの添加量:食材(鶏モモ肉ミンチ)に対する油脂Aの割合(重量%)
2)IV:油脂Aのヨウ素価
3)POV:油脂Aの過酸化物価
4)A:フライ風味
5)B:スパイス感
6)C:劣化臭
【0081】
表2において、酸化大豆油を含有する比較油脂を用いた調理品(比較例1)のフライ風味は、対照の大豆油を用いた場合と変わらなかった。一方、酸化部分水添脂を含有するフライ風味増強剤を用いた調理品(実施例1)のフライ風味は、対照と比較して有意に増加した。
【0082】
〔実施例2〜4〕(酸化部分水添脂のPOVの変更)
実施例1において、POVを変更した酸化部分水添アマニ油を使用した以外は、実施例1と同様の手順で、フライ風味増強剤を調製し、唐揚げの官能評価を実施した。結果を表3に示す。
【0083】
【表3】
1)フライ風味増強剤又は比較油脂:油脂Aをパーム核極硬油(ベース油)に2.2重量%配合
2)POV:油脂Aの過酸化物価
3)添加量:食材(鶏モモ肉ミンチ)に対するフライ風味増強剤又は比較油脂の割合(重量%)、
油脂Aの添加量:食材(鶏モモ肉ミンチ)に対する油脂Aの割合(重量%)
【0084】
表3から、比較例2の調理品は、フライ風味が対照と同じかあるいは弱く感じる。一方、実施例2〜4では、対照と比べてフライ風味を非常に強く感じるか、あるいは強く感じる。比較例2と実施例1との比較から、フライ風味の強化された調理品を得るためには、酸化部分水添脂の過酸化物価は25以上であり、好ましくは30以上であることがわかる。
【0085】
酸化部分水添脂の過酸化物価は、調理品の劣化臭に影響を及ぼし得る。フライ風味が強化され、一方で劣化臭を招かない総合的に優れた調理品を得る点で、酸化部分水添脂の過酸化物価は280未満が好ましく、より好ましくは180以下である。
【0086】
本発明のフライ風味増強剤を用いると、調理品のスパイス感もまた強化することができる。したがって、本発明のフライ風味増強剤を用いれば、調理品の香辛料を削減することもできる。
【0087】
〔実施例5〜8〕(酸化部分水添脂の添加量の変更)
実施例2において、食材(鶏モモ肉ミンチ)に対するフライ風味増強剤の添加量を表4に示す量に変えた以外は、実施例2と同様の手順で唐揚げを調理した。官能評価結果を表4に示す。
【0088】
【表4】
1)フライ風味増強剤又は比較油脂:油脂Aをパーム核極硬油に油脂を2.2%配合
2)添加量:食材(鶏モモ肉ミンチ)に対するフライ風味増強剤又は比較油脂の割合(重量%)、
油脂Aの添加量:食材(鶏モモ肉ミンチ)に対する油脂A(酸化部分水添脂)の割合(重量%)
【0089】
表4から、フライ風味増強剤の添加量を増やすことで、フライ風味が増強されることがわかる。また、スパイス感も増強される。一方で、食材へのフライ風味増強剤の添加量が1.35重量%(酸化部分水添脂添加量:0.0297重量%)以上になると、劣化臭が感じられ、更に2.25重量%(酸化部分水添脂添加量:0.0495重量%)以上になると、スパイス感の増強効果が弱まることが分かる。以上のことから、食材への酸化部分水添脂の添加量は、0.0005〜0.5重量%が好ましく、更には、0.002〜0.03重量%がより好ましいと言える。
【0090】
〔実施例9〜28〕粉末油脂からなるフライ風味増強剤
1.粉末油脂の調製
油脂A(表7)、パーム極硬油(ベース油)、コーンシロップ(粉末化基材)及び乳化剤を、表5に示す割合で配合した粉末油脂用組成物を得た。この組成物の油分(油脂Aとベース油の合計)は、45重量%であった。
【0091】
この組成物50重量部に、水50重量部を添加した。混合物を、高圧乳化機(製品名:LAB2000、APV社製)を用いて100〜500barで乳化することにより、O/W型エマルジョンを得た。
【0092】
得られたエマルジョンをさらに、噴霧乾燥機(製品名:B−290、日本ビュッヒ社製)を用いて乾燥粉末化することにより粉末油脂からなるフライ風味増強剤を得た。粉末油脂の脂肪球径(メディアン径)をレーザー回折式粒度分布測定装置(製品名:SALD−2200、株式会社島津製作所社製)で測定したところ、0.5μmであった。
【0093】
【表5】
1)乳化剤ミックス:酸カゼイン、水酸化ナトリウム、ソルビタン脂肪酸エステル、及びグリセリン脂肪酸エステルの混合物
【0094】
2.コロッケによる粉末油脂の評価
1.で得た粉末油脂を使用して、食材(コロッケ)を調理し、その調理品のフライ風味を評価した。まず、表6に示す材料を用意した。ブレッダー(パン粉:スターチ:キャノーラ油=70:30:50)100gに対して、表7に示す粉末油脂10gを添加した(粉末油脂添加ブレッダー)。
【0095】
茹でたじゃがいもを潰し、塩、コショウ、及びキャノーラ油を加え、丸めて形を整えた。バッター液は、全卵、小麦粉、及び水を混ぜて得た。ブレッダーは、パン粉とスターチ(製品名:ソフトコートEP−2、株式会社J−オイルミルズ社製)を混ぜ、熱したフライパンで油を加えて約3分間加熱し、冷却後、粉末油脂を添加した。丸めたじゃがいもを小麦粉→バッター液→粉末油脂添加ブレッダーの順にくぐらせたものを、230℃で予熱したスチームオーブンで15分間焼き上げた。
【0096】
【表6】
1)バッター液 全卵:小麦粉:水=100:200:200
【0097】
【表7】
1)添加量:食材に対する粉末油脂の割合(重量%)
2)IV:油脂Aのヨウ素価
3)POV:油脂Aの過酸化物価
4)A:フライ風味
5)B:スパイス感
6)C:劣化臭
【0098】
表7の結果から、酸化部分水添脂を含有するフライ風味増強剤は、粉末油脂の形態として使用することができることがわかる。また、水添油脂の油脂原料によらず、フライ風味増強効果が得られる。
【0099】
3.粉末油脂の添加量
「2.コロッケによる粉末油脂の評価」において、粉末油脂の添加量、使用した酸化部分水添アマニ油のPOVを変えた点を除き、同様に評価を行なった。評価結果を表8に示す。
【0100】
【表8】
1)添加量:食材に対する粉末油脂の割合(重量%)、
油脂Aの添加量:食材に対する油脂Aの割合(重量%)
2)IV:油脂Aのヨウ素価
3)POV:油脂Aの過酸化物価
4)A:フライ風味
5)B:スパイス感
6)C:劣化臭
【0101】
表8から、粉末油脂形態でも、フライ風味増強剤の添加量を増やすことで、フライ風味が増強されることがわかる。また、スパイス感も増強されることがわかる。一方で、粉末油脂の添加量が4.2重量%(酸化部分水添脂添加量:0.042重量%)以上になると、劣化臭が感じられ、更に7重量%(酸化部分水添脂添加量:0.07重量%)以上になると、スパイス感の増強効果が弱まる。以上のことから、酸化部分水添脂含有粉末油脂の添加量は、0.1〜5重量%が好ましく、更には、0.2〜4重量%がより好ましいと言える。
【0102】
4.添加するフライ風味増強剤の形態
「2.コロッケによる粉末油脂の評価」において、酸化部分水添アマニ油の添加方法を変えて評価した。具体的には、ブレッダーに添加する形態を油脂状、粉末油脂状にしたものを評価した。油脂Aとして調製例8の油脂を使用した。評価結果を表9に示す。
【0103】
【表9】
1)添加量:食材に対する油脂または粉末油脂の割合(重量%)
2)添加量:食材に対する油脂A(酸化部分水添脂)の割合(重量%)
3)A:フライ風味
4)B:スパイス感
5)C:劣化臭
【0104】
表9の結果から、同量の酸化部分水添アマニ油を添加した場合、粉末油脂形態の方がよりフライ風味が増強されることがわかる。
【0105】
5.種々の食材での評価
上記1.で得た粉末油脂を使用して、食材(唐揚げ、メンチカツ、トンカツ、白身魚フライ、又はオニオンリング)を調理した。粉末油脂は、唐揚げの場合には唐揚げ粉に添加し、その他の場合にはブレッダーに添加した。
【0106】
5−1.唐揚げ
鶏もも肉ミンチ100gに、片栗粉9gを添加し、よく混合した。混合物を20gずつ団子状にした。団子をビニル袋に入れ、粉末油脂さらに唐揚げ粉(製品名:レンジでジューシーから揚げ粉 ザ・ノンフライ しょうゆ味、日清フーズ株式会社製)6gを添加して、粉末油脂、唐揚げ粉が各団子に均一にまぶさるように振とうした。なお、唐揚げ粉には、スパイスとしてコショウが添加されていた。得られた団子を、180℃に予熱したスチームオーブンで15分間、焼き上げた。得られた唐揚げを食し、評価した。結果を表10に示す。
【0107】
【表10】
1)添加量:食材に対する粉末油脂の割合(重量%)
2)IV:油脂Aのヨウ素価
3)POV:油脂Aの過酸化物価
4)A:フライ風味
5)B:スパイス感
6)C:劣化臭
【0108】
5−2.メンチカツ
粉末油脂を使用して、メンチカツを調理し、そのフライ風味を評価した。まず、表11に示す材料を用意した。ブレッダー(パン粉:スターチ:キャノーラ油=70:30:50)100gに対して、表12に示す粉末油脂10gを添加した(粉末油脂添加ブレッダー)。
【0109】
牛豚合挽き肉に塩、及びコショウを加え、丸めて形を整えた。バッター液は、全卵、小麦粉、及び水を混ぜて得た。ブレッダーは、パン粉とスターチ(製品名:ソフトコートEP−2、株式会社J−オイルミルズ社製)を混ぜ、熱したフライパンで油を加えて約3分間加熱し、冷却後、粉末油脂を添加した。丸めた牛豚合挽き肉を小麦粉→バッター液→粉末油脂添加ブレッダーの順にくぐらせたものを、200℃で予熱したスチームオーブンで15分間焼き上げた。得られたメンチカツを食し、評価した。結果を表12に示す。
【0110】
【表11】
1)バッター液 全卵:小麦粉:水=100:200:200
【0111】
【表12】
1)添加量:食材に対する粉末油脂の割合(重量%)
2)IV:油脂Aのヨウ素価
3)POV:油脂Aの過酸化物価
4)A:フライ風味
5)B:スパイス感
6)C:劣化臭
【0112】
5−3.トンカツ
粉末油脂を使用して、トンカツを調理し、そのフライ風味を評価した。まず、表13に示す材料を用意した。ブレッダー(パン粉:スターチ:キャノーラ油=70:30:50)100gに対して、表14に示す粉末油脂10gを添加した(粉末油脂添加ブレッダー)。
【0113】
豚肉を切り分け、塩、コショウ、を加えた。バッター液は、全卵、小麦粉、及び水を混ぜて得た。ブレッダーは、パン粉とスターチ(製品名:ソフトコートEP−2、株式会社J−オイルミルズ社製)を混ぜ、熱したフライパンで油を加えて約3分間加熱し、冷却後、粉末油脂を添加した。豚肉を小麦粉→バッター液→粉末油脂添加ブレッダーの順にくぐらせたものを、200℃で予熱したスチームオーブンで15分間焼き上げた。得られたトンカツを食し、評価した。結果を表14に示す。
【0114】
【表13】
1)バッター液 全卵:小麦粉:水=100:200:200
【0115】
【表14】
1)添加量:食材に対する粉末油脂の割合(重量%)
2)IV:油脂Aのヨウ素価
3)POV:油脂Aの過酸化物価
4)A:フライ風味
5)B:スパイス感
6)C:劣化臭
【0116】
5−4.白身魚フライ
粉末油脂を使用して、白身魚フライを調理し、そのフライ風味を評価した。まず、表15に示す材料を用意した。ブレッダー(パン粉:スターチ:キャノーラ油=70:30:50)100gに対して、表16に示す粉末油脂10gを添加した(粉末油脂添加ブレッダー)。
【0117】
タラ100gに、片栗粉、塩、コショウを添加し、よく混合した。混合物を団子状にした。バッター液は、全卵、小麦粉、及び水を混ぜて得た。ブレッダーは、パン粉とスターチ(製品名:ソフトコートEP−2、株式会社J−オイルミルズ社製)を混ぜ、熱したフライパンで油を加えて約3分間加熱し、冷却後、粉末油脂を添加した。丸めたタラを小麦粉→バッター液→粉末油脂添加ブレッダーの順にくぐらせたものを、200℃で予熱したスチームオーブンで15分間焼き上げた。得られた白身魚フライを食し、評価した。結果を表16に示す。
【0118】
【表15】
1)バッター液 全卵:小麦粉:水=100:200:200
【0119】
【表16】
1)添加量:食材に対する粉末油脂の割合(重量%)
2)IV:油脂Aのヨウ素価
3)POV:油脂Aの過酸化物価
4)A:フライ風味
5)B:スパイス感
6)C:劣化臭
【0120】
5−5.オニオンリング
粉末油脂を使用して、オニオンリングを調理し、そのフライ風味を評価した。まず、表17に示す材料を用意した。ブレッダー(パン粉:スターチ:キャノーラ油=70:30:50)100gに対して、表18に示す粉末油脂10gを添加した(粉末油脂添加ブレッダー)。
【0121】
玉ねぎを輪切りにし、100gに対して、塩、及びコショウを添加し、よく混合した。バッター液は、全卵、小麦粉、及び水を混ぜて得た。ブレッダーは、パン粉とスターチ(製品名:ソフトコートEP−2、株式会社J−オイルミルズ社製)を混ぜ、熱したフライパンで油を加えて約3分間加熱し、冷却後、粉末油脂を添加した。玉ねぎを小麦粉→バッター液→粉末油脂添加ブレッダーの順にくぐらせたものを、200℃で予熱したスチームオーブンで15分間焼き上げた。得られたオニオンリングを食し、評価した。結果を表18に示す。
【0122】
【表17】
1)バッター液 全卵:小麦粉:水=100:200:200
【0123】
【表18】
1)添加量:食材に対する粉末油脂の割合(重量%)
2)IV:油脂Aのヨウ素価
3)POV:油脂Aの過酸化物価
4)A:フライ風味
5)B:スパイス感
6)C:劣化臭
【0124】
表10、12、14、16及び18の結果から、フライ風味増強剤を含む粉末油脂を添加することにより、一般的にフライ食品として提供される食材(唐揚げ、メンチカツ、トンカツ、白身魚フライ、オニオンリング)のノンフライ食品に、フライ風味を付与させることができることがわかる。