(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ベースフレームと、前記ベースフレームに一定の間隔をもって備えられた複数の支持手段と、前記支持手段を介して前記ベースフレームに取り付けられることにより、一列に繋ぎ合わされる複数のヘッドモジュールと、前記ベースフレームに取り付けられた前記ヘッドモジュールの位置を個別に調整する複数の位置調整手段と、前記支持手段ごとに設定される支持基準点を基準として、前記ベースフレームに取り付けられた前記ヘッドモジュールの位置を個別に検出する複数の位置検出手段と、を備えたインクジェットヘッドと、
前記ベースフレームに備えられ、前記各支持基準点の位置の情報が記憶される第1の記憶手段と、
前記各ヘッドモジュールに備えられ、前記ヘッドモジュールが有するノズルの位置の情報が記憶される第2の記憶手段と、
前記ベースフレームに取り付けられている前記各ヘッドモジュールのノズルの位置の情報が記憶される第3の記憶手段と、
前記ヘッドモジュールが交換されたときに、前記第1の記憶手段に記憶された情報と、前記第2の記憶手段に記憶された情報と、前記第3の記憶手段に記憶された情報とに基づいて、交換された前記ヘッドモジュールを正規の位置に取り付けるための位置の補正情報を生成する位置補正情報生成手段と、
を備えたインクジェット記録装置。
交換された前記ヘッドモジュールの位置が正規の位置に調整された後、交換された前記ヘッドモジュールの位置の情報を前記位置検出手段から取得し、取得した情報と、前記第1の記憶手段に記憶された情報と、前記第2の記憶手段に記憶された情報とに基づいて、交換された前記ヘッドモジュールのノズルの位置を算出するノズル位置算出手段と、
前記ノズル位置算出手段によって算出されたノズルの位置の情報を取得し、前記第3の記憶手段に記憶されている情報を更新する更新手段と、
を更に備える請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
ベースフレームと、前記ベースフレームに一定の間隔をもって備えられた複数の支持手段と、前記支持手段を介して前記ベースフレームに取り付けられることにより、一列に繋ぎ合わされる複数のヘッドモジュールと、前記ベースフレームに取り付けられた前記ヘッドモジュールの位置を個別に調整する複数の位置調整手段と、前記支持手段ごとに設定される支持基準点を基準として、前記ベースフレームに取り付けられた前記ヘッドモジュールの位置を個別に検出する複数の位置検出手段と、を備えたインクジェットヘッドと、
前記ベースフレームに備えられ、前記各支持基準点の位置の情報が記憶される第1の記憶手段と、
前記各ヘッドモジュールに備えられ、前記ヘッドモジュールが有するノズルの位置の情報が記憶される第2の記憶手段と、
前記ヘッドモジュールが交換されたときに、前記第1の記憶手段に記憶された情報と、前記第2の記憶手段に記憶された情報と、前記位置検出手段で検出される前記ヘッドモジュールの位置の情報とに基づいて、交換された前記ヘッドモジュールを正規の位置に取り付けるための位置の補正情報を生成する位置補正情報生成手段と、
を備えたインクジェット記録装置。
ベースフレームと、前記ベースフレームに一定の間隔をもって備えられた複数の支持手段と、前記支持手段を介して前記ベースフレームに取り付けられることにより、一列に繋ぎ合わされる複数のヘッドモジュールと、前記ベースフレームに取り付けられた前記ヘッドモジュールの位置を個別に調整する複数の位置調整手段と、前記支持手段ごとに設定される支持基準点を基準として、前記ベースフレームに取り付けられた前記ヘッドモジュールの位置を個別に検出する複数の位置検出手段と、を備えたインクジェットヘッドのヘッドモジュール交換方法であって、
交換した前記ヘッドモジュールを支持する前記支持手段の前記支持基準点の位置の情報を第1の情報として取得する工程と、
交換した前記ヘッドモジュールが有するノズルの位置の情報を第2の情報として取得する工程と、
前記ベースフレームに取り付けられている前記各ヘッドモジュールのノズルの位置の情報を第3の情報として取得する工程と、
前記第1の情報と、前記第2の情報と、前記第3の情報とに基づいて、交換された前記ヘッドモジュールを正規の位置に取り付けるための位置の補正情報を生成する工程と、
生成された位置の補正情報に従って、交換された前記ヘッドモジュールの位置を調整する工程と、
を有するインクジェットヘッドのヘッドモジュール交換方法。
前記第1の情報と、前記第2の情報と、前記第3の情報とに基づいて、交換された前記ヘッドモジュールを正規の位置に取り付けるための位置の補正情報を生成する工程は、
前記第1の情報と前記第2の情報とに基づいて、交換された前記ヘッドモジュールのノズルの位置を算出し、
前記第3の情報に基づいて、交換された前記ヘッドモジュールに隣接する前記ヘッドモジュールのノズルの位置の情報を取得し、
交換された前記ヘッドモジュールのノズルの位置の情報と、交換された前記ヘッドモジュールに隣接する前記ヘッドモジュールのノズルの位置の情報とに基づいて、交換された前記ヘッドモジュールを正規の位置に取り付けるための位置の補正情報を生成する請求項12に記載のインクジェットヘッドのヘッドモジュール交換方法。
生成された位置の補正情報に従って、交換された前記ヘッドモジュールの位置を調整した後、交換された前記ヘッドモジュールの位置の情報を前記位置検出手段から取得し、取得した情報と、前記第1の記憶手段に記憶された情報と、前記第2の記憶手段に記憶された情報とに基づいて、交換された前記ヘッドモジュールのノズルの位置を算出し、算出した情報によって、前記第3の記憶手段に記憶されている情報を更新する工程を更に備える請求項14に記載のインクジェットヘッドのヘッドモジュール交換方法。
生成された位置の補正情報に従って、交換された前記ヘッドモジュールの位置を調整した後、前記ベースフレームに取り付けられている前記各ヘッドモジュールのノズルの位置を検出し、検出した情報によって、前記第3の記憶手段に記憶されている情報を更新する工程を更に備える請求項14に記載のインクジェットヘッドのヘッドモジュール交換方法。
ベースフレームと、前記ベースフレームに一定の間隔をもって備えられた複数の支持手段と、前記支持手段を介して前記ベースフレームに取り付けられることにより、一列に繋ぎ合わされる複数のヘッドモジュールと、前記ベースフレームに取り付けられた前記ヘッドモジュールの位置を個別に調整する複数の位置調整手段と、前記支持手段ごとに設定される支持基準点を基準として、前記ベースフレームに取り付けられた前記ヘッドモジュールの位置を個別に検出する複数の位置検出手段と、を備えたインクジェットヘッドのヘッドモジュール交換方法であって、
前記各支持基準点の位置の情報を第1の情報として取得する工程と、
前記各ヘッドモジュールが有するノズルの位置の情報を第2の情報として取得する工程と、
前記ベースフレームに取り付けられている前記各ヘッドモジュールの位置の情報を前記位置検出手段から取得する工程と、
前記第1の情報と、前記第2の情報と、前記位置検出手段から取得する情報とに基づいて、交換された前記ヘッドモジュールを正規の位置に取り付けるための位置の補正情報を生成する工程と、
生成された位置の補正情報に従って、交換された前記ヘッドモジュールの位置を調整する工程と、
を有するインクジェットヘッドのヘッドモジュール交換方法。
前記第1の情報と、前記第2の情報と、前記位置検出手段から取得する情報とに基づいて、交換された前記ヘッドモジュールを正規の位置に取り付けるための位置の補正情報を生成する工程は、
前記第1の情報と、前記第2の情報とに基づいて、交換された前記ヘッドモジュールのノズルの位置を算出し、
前記第1の情報と、前記第2の情報と、前記位置検出手段で検出される情報とに基づいて、交換された前記ヘッドモジュールに隣接する前記ヘッドモジュールのノズルの位置を算出し、
交換された前記ヘッドモジュールのノズルの位置の情報と、交換された前記ヘッドモジュールに隣接する前記ヘッドモジュールのノズルの位置の情報とに基づいて、交換された前記ヘッドモジュールを正規の位置に取り付けるための位置の補正情報を生成する請求項17に記載のインクジェットヘッドのヘッドモジュール交換方法。
前記位置検出手段が、前記ヘッドモジュールに備えられる検出対象部材と、前記ベースフレームに備えられ、前記検出対象部材の変位量を検出するセンサと、で構成され、前記検出対象部材の変位量を前記センサで検出して、前記支持基準点を基準とした前記ヘッドモジュールの位置を検出する場合において、
前記センサを使用するに際して、前記センサの感度を補正するために必要な情報を第1のセンサ感度補正情報として取得する工程と、
前記検出対象部材を使用するに際して、前記センサの感度を補正するために必要な情報を第2のセンサ感度補正情報として取得する工程と、
前記第1のセンサ感度補正情報と前記第2のセンサ感度補正情報とに基づいて、前記センサの感度を補正する工程と、
を更に含む請求項14、15、16又は19に記載のインクジェットヘッドのヘッドモジュール交換方法。
前記位置検出手段が、前記ヘッドモジュールに備えられる検出対象部材と、前記ベースフレームに備えられ、前記検出対象部材の変位量を検出するセンサと、で構成され、前記検出対象部材の変位量を前記センサで検出して、前記支持基準点を基準とした前記ヘッドモジュールの位置を検出する場合において、前記センサの感度を設定する工程を更に含み、
前記センサの感度を設定する工程は、
前記検出対象部材の感度を測定するための第1の検出対象部材感度測定治具と、前記検出対象部材の感度を測定するための第2の検出対象部材感度測定治具と、前記センサの感度を測定するための第1のセンサ感度測定治具と、前記センサの感度を測定するための第2のセンサ感度測定治具とを用意し、
前記第1の検出対象部材感度測定治具と前記第1のセンサ感度測定治具とを用いて感度データを取得することにより、基準データSTを取得する工程と、
前記第1のセンサ感度測定治具と前記第2の検出対象部材感度測定治具とを用いて感度データを取得することにより、前記第2の検出対象部材感度測定治具の特性データATを取得する工程と、
前記第1の検出対象部材感度測定治具と前記第2のセンサ感度測定治具とを用いて感度データを取得することにより、前記第2のセンサ感度測定治具の特性データBTを取得する工程と、
前記第2の検出対象部材感度測定治具を用いて前記検出対象部材の感度データを取得することにより、前記検出対象部材の仮感度データMM(仮)を取得する工程と、
前記第2のセンサ感度測定治具を用いて前記センサの感度データを取得することにより、前記センサの仮感度データMS(仮)を取得する工程と、
前記基準データSTと、前記特性データATとに基づいて、前記検出対象部材の仮感度データMM(仮)を補正し、検出対象部材感度情報MMを取得する工程と、
前記基準データSTと、前記特性データBTとに基づいて、前記センサの仮感度データMS(仮)を補正し、センサ感度情報MSを取得する工程と、
前記検出対象部材感度情報MMと前記センサ感度情報MSと前記基準データSTとに基づいて、前記センサの感度を設定する工程と、
からなる請求項14、15、16又は19に記載のインクジェットヘッドのヘッドモジュール交換方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、テストパターンを印字してヘッドモジュールの位置調整を行う方法では、ヘッドモジュールを交換するたびにテストパターンを印字しなければならないため、交換作業に多大な時間を要するという欠点がある。同様に、ノズル面を電子カメラで撮影してヘッドモジュールの位置調整を行う方法も、ヘッドモジュールを交換するたびにノズル面の撮影をしなければならないため、交換作業に多大な時間を要するという欠点がある。
【0007】
また、テストパターンを印字してヘッドモジュールの位置調整を行う方法では、印字したテストパターンを読み取る手段(たとえば、スキャナ)がインクジェット記録装置に別途必要になるという欠点がある。同様に、ノズル面を電子カメラで撮影してヘッドモジュールの位置調整を行う方法では、電子カメラがインクジェット記録装置に別途必要になるという欠点がある。
【0008】
更に、テストパターンを印字して隣接するヘッドモジュール間の距離を検出する方法では、ヘッドモジュールを交換するたびにテストパターンの印字が必要となり、インクやメディアが消費されてしまうという欠点がある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ヘッドモジュールの交換作業を簡単に行うことができるインクジェット記録装置及びインクジェットヘッドのヘッドモジュール交換方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
課題を解決するための手段は、次のとおりである。
【0011】
第1の態様は、ベースフレームと、ベースフレームに一定の間隔をもって備えられた複数の支持手段と、支持手段を介してベースフレームに取り付けられることにより、一列(直線以外の千鳥配列を含む)に繋ぎ合わされる複数のヘッドモジュールと、ベースフレームに取り付けられたヘッドモジュールの位置を個別に調整する複数の位置調整手段と、支持手段ごとに設定される支持基準点を基準として、ベースフレームに取り付けられたヘッドモジュールの位置を個別に検出する複数の位置検出手段と、を備えたインクジェットヘッドと、ベースフレームに備えられ、各支持基準点の位置の情報が記憶される第1の記憶手段と、各ヘッドモジュールに備えられ、ヘッドモジュールが有するノズルの位置の情報が記憶される第2の記憶手段と、ベースフレームに取り付けられている各ヘッドモジュールのノズルの位置の情報が記憶される第3の記憶手段と、ヘッドモジュールが交換されたときに、第1の記憶手段に記憶された情報と、第2の記憶手段に記憶された情報と、第3の記憶手段に記憶された情報とに基づいて、交換されたヘッドモジュールを正規の位置に取り付けるための位置の補正情報を生成する位置補正情報生成手段と、を備えたインクジェット記録装置である。
【0012】
本態様によれば、ベースフレームに第1の記憶手段が備えられる。第1の記憶手段には、各支持手段に設定された支持基準点の位置の情報が記憶される。また、各ヘッドモジュールに第2の記憶手段が備えられる。第2の記憶手段には、その第2の記憶手段が設けられたヘッドモジュールに備えられているノズルの位置の情報が記憶される。また、インクジェット記録装置に第3の記憶手段が備えられる。第3の記憶手段には、ベースフレームに取り付けられている各ヘッドモジュールのノズルの位置(ベースフレーム上でのノズルの位置)の情報が記憶される。ヘッドモジュールが交換されると、位置補正情報生成手段は、第1の記憶手段に記憶された情報と、第2の記憶手段に記憶された情報と、第3の記憶手段に記憶された情報とを取得し、交換されたヘッドモジュールを正規の位置に取り付けるための位置の補正情報を生成する。すなわち、交換されたヘッドモジュールを支持する支持手段の支持基準点の位置の情報を取得することにより、交換されたヘッドモジュールのベースフレーム上での位置を割り出すことができ、更に、交換されたヘッドモジュールに備えられているノズルの位置の情報を取得することにより、交換されたヘッドモジュールのベースフレーム上でのノズルの位置を割り出すことができる。また、第3の記憶手段からベースフレームに取り付けられた各ヘッドモジュールのノズルの位置の情報(ベースフレーム上でのノズルの位置)の情報を取得することにより、交換されたヘッドモジュールに隣接するヘッドモジュールのノズルの位置(ベースフレーム上でのノズルの位置)の情報を取得することができ、この情報を取得することにより、交換されたヘッドモジュールと、そのヘッドモジュールに隣接するヘッドモジュールとの間の距離を割り出すことができる。そして、この距離を割り出すことにより、交換されたヘッドモジュールを正規の位置に取り付けるための位置の補正情報を生成することができる。すなわち、割り出した距離を許容範囲に
収めるために必要なヘッドモジュールの位置補正量を求めることにより、交換されたヘッドモジュールを正規の位置に取り付けるための位置の補正情報を生成することができる。これにより、テストパターンを印字したり、ノズル面を電子カメラで撮影したりすることなく、交換したヘッドモジュールの位置調整を行うことができる。
【0013】
なお、各支持手段に設定される支持基準点の位置については、事前(たとえば、製造時や工場出荷時など)に検出し、第1の記憶手段に記憶させる。また、各ヘッドモジュールに備えられるノズルの位置についても事前に検出し、第2の記憶手段に記憶させる。また、ベースフレームに取り付けられている各ヘッドモジュールのノズルの位置(ベースフレーム上でのノズルの位置)については、各ヘッドモジュールをベースフレームに取り付け、位置調整をした後に検出し、第3の記憶手段に記憶させる。この場合、たとえば、テストパターンを印字し、その印字結果から各ヘッドモジュールのノズルの位置の位置を検出する。あるいは、ノズル面を電子カメラで撮影し、得られた画像から各ヘッドモジュールのノズルの位置を検出する。このように事前に各情報を取得し、記憶手段に記憶させておくことにより、必要な情報を簡単かつ迅速に取得でき、補正情報を迅速に生成することができる。以下の各態様においても同様である。
【0014】
また、各ヘッドモジュールのノズルの位置の情報については、必ずしもすべてのノズルの位置の情報である必要はなく、位置調整に必要なノズルの位置の情報だけでよい。位置調整に必要なノズルの位置の情報とは、たとえば、ノズルが一直線に配列される場合は、両端のノズルの位置の情報である。また、たとえば、ノズルがマトリクス状に配列される場合は、最も端に位置するノズルの位置の情報、あるいは、四隅に位置するノズルの位置の情報等である。以下の各態様においても同様である。
【0015】
第2の態様は、第1の態様のインクジェット記録装置において、位置補正情報生成手段は、第1の記憶手段に記憶された情報と、第2の記憶手段に記憶された情報とに基づいて、交換されたヘッドモジュールのノズルの位置を算出し、第3の記憶手段に記憶された情報に基づいて、交換されたヘッドモジュールに隣接するヘッドモジュールのノズルの位置の情報を取得し、交換されたヘッドモジュールのノズルの位置の情報と、交換されたヘッドモジュールに隣接するヘッドモジュールのノズルの位置の情報とに基づいて、交換されたヘッドモジュールを正規の位置に取り付けるための位置の補正情報を生成する態様である。
【0016】
本態様によれば、第1の記憶手段に記憶された情報と、第2の記憶手段に記憶された情報とに基づいて、交換されたヘッドモジュールのノズルの位置が算出され、第3の記憶手段に記憶された情報に基づいて、交換されたヘッドモジュールに隣接するヘッドモジュールのノズルの位置の情報が取得される。そして、得られた各情報に基づいて、交換されたヘッドモジュールを正規の位置に取り付けるための位置の補正情報が生成される。すなわち、第1の記憶手段から交換されたヘッドモジュールを支持する支持手段の支持基準点の位置の情報を取得することにより、交換されたヘッドモジュールのベースフレーム上での位置を割り出すことができ、更に、第2の記憶手段から交換されたヘッドモジュールに備えられているノズルの位置の情報を取得することにより、交換されたヘッドモジュールのベースフレーム上でのノズルの位置を割り出すことができる。また、第3の記憶手段に記憶された情報を参照することにより、交換されたヘッドモジュールに隣接するヘッドモジュールのノズルの位置の情報を取得することができる。そして、これらの情報を取得することにより、交換されたヘッドモジュールと、そのヘッドモジュールに隣接するヘッドモジュールとの間の距離を割り出すことができ、この距離を割り出すことにより、交換されたヘッドモジュールを正規の位置に取り付けるための位置の補正情報を生成することができる。
【0017】
第3の態様は、第1又は2の態様のインクジェット記録装置において、交換されたヘッドモジュールの位置が正規の位置に調整された後、交換されたヘッドモジュールの位置の情報を位置検出手段から取得し、取得した情報と、第1の記憶手段に記憶された情報と、第2の記憶手段に記憶された情報とに基づいて、交換されたヘッドモジュールのノズルの位置を算出するノズル位置算出手段と、ノズル位置算出手段によって算出されたノズルの位置の情報を取得し、第3の記憶手段に記憶されている情報を更新する更新手段と、を更に備える態様である。
【0018】
本態様によれば、交換されたヘッドモジュールの位置調整が完了し、交換されたヘッドモジュールが正規の位置に取り付けられると、その調整後のヘッドモジュールのノズルの位置(ベースフレーム上でのノズルの位置)が求められて、第3の記憶手段に記憶されている情報が更新される。これにより、第3の記憶手段に記憶されている情報を常に最新の状態に保つことができる。調整後のヘッドモジュールのノズルの位置は、交換されたヘッドモジュールの位置の情報を位置検出手段から取得し、得られた情報と、第1の記憶手段に記憶された情報、及び、第2の記憶手段に記憶された情報とに基づいて算出される。
【0019】
第4の態様は、第1又は2の態様のインクジェット記録装置において、ベースフレームに取り付けられている各ヘッドモジュールのノズルの位置を検出するノズル位置検出手段と、交換されたヘッドモジュールの位置が正規の位置に調整された後、ノズル位置検出手段からベースフレームに取り付けられている各ヘッドモジュールのノズルの位置の情報を取得し、第3の記憶手段に記憶されている情報を更新する更新手段と、を更に備える態様である。
【0020】
本態様によれば、交換されたヘッドモジュールの位置調整が完了し、交換されたヘッドモジュールが正規の位置に取り付けられると、ノズル位置検出手段によってベースフレームに取り付けられている各ヘッドモジュールのノズルの位置が検出される。そして、その検出された情報によって、第3の記憶手段に記憶されている情報が更新される。これにより、第3の記憶手段に記憶されている情報を常に最新の状態に保つことができる。ノズル位置検出手段は、たとえば、ヘッドモジュール交換後のインクジェットヘッドでテストパターンをプリントし、得られたテストパターンの画像をスキャナで読み取り、読み取った画像に基づいて、ノズル位置を検出する。あるいは、ヘッドモジュール交換後のインクジェットヘッドのノズル面を電子カメラで撮影し、得られた画像に基づいて、ノズル位置を検出する。このノズル位置検出手段は、インクジェット記録装置に搭載されていてもよいし、装置外に設置されていてもよい。
【0021】
第5の態様は、ベースフレームと、ベースフレームに一定の間隔をもって備えられた複数の支持手段と、支持手段を介してベースフレームに取り付けられることにより、一列(直線以外の千鳥配列を含む)に繋ぎ合わされる複数のヘッドモジュールと、ベースフレームに取り付けられたヘッドモジュールの位置を個別に調整する複数の位置調整手段と、支持手段ごとに設定される支持基準点を基準として、ベースフレームに取り付けられたヘッドモジュールの位置を個別に検出する複数の位置検出手段と、を備えたインクジェットヘッドと、ベースフレームに備えられ、各支持基準点の位置の情報が記憶される第1の記憶手段と、各ヘッドモジュールに備えられ、ヘッドモジュールが有するノズルの位置の情報が記憶される第2の記憶手段と、ヘッドモジュールが交換されたときに、第1の記憶手段に記憶された情報と、第2の記憶手段に記憶された情報と、位置検出手段で検出されるヘッドモジュールの位置の情報とに基づいて、交換されたヘッドモジュールを正規の位置に取り付けるための位置の補正情報を生成する位置補正情報生成手段と、を備えたインクジェット記録装置である。
【0022】
本態様によれば、ベースフレームに第1の記憶手段が備えられる。第1の記憶手段には、各支持手段に設定された支持基準点の位置の情報が記憶される。また、各ヘッドモジュールに第2の記憶手段が備えられる。第2の記憶手段には、その第2の記憶手段が設けられたヘッドモジュールに備えられているノズルの位置の情報が記憶される。ヘッドモジュールが交換されると、位置補正情報生成手段は、第1の記憶手段に記憶された情報と、第2の記憶手段に記憶された情報と、位置検出手段で検出されるヘッドモジュールの位置の情報とを取得し、交換されたヘッドモジュールを正規の位置に取り付けるための位置の補正情報を生成する。すなわち、交換されたヘッドモジュールを支持する支持手段の支持基準点の位置の情報を取得することにより、交換されたヘッドモジュールのベースフレーム上での位置を割り出すことができ、更に、交換されたヘッドモジュールに備えられているノズルの位置の情報を取得することにより、交換されたヘッドモジュールのベースフレーム上でのノズルの位置を割り出すことができる。また、ベースフレームに取り付けられている各ヘッドモジュールのノズルの位置の情報(ベースフレーム上でのノズルの位置の情報)は、各支持基準点の位置の情報と、各ヘッドモジュールに備えられているノズルの位置の情報と、位置検出手段で検出されるヘッドモジュールの位置の情報とから取得することができる。すなわち、各支持基準点の位置の情報と、位置検出手段で検出されるヘッドモジュールの位置の情報とから、各ヘッドモジュールのベースフレーム上での位置を割り出すことができ、更に、各ヘッドモジュールに備えられているノズルの位置の情報を取得することにより、各ヘッドモジュールのベースフレーム上でのノズルの位置を割り出すことができる。この各ヘッドモジュールのベースフレーム上でのノズルの位置を割り出すことにより、交換されたヘッドモジュールと、そのヘッドモジュールに隣接するヘッドモジュールとの間の距離を割り出すことができる。そして、この距離の情報を取得することにより、交換されたヘッドモジュールを正規の位置に取り付けるための位置の補正情報を生成することができる。すなわち、割り出した距離を許容範囲に
収めるための位置に必要なヘッドモジュールの位置の補正量を求めることにより、交換されたヘッドモジュールを正規の位置に取り付けるための位置の補正情報を生成することができる。これにより、テストパターンを印字したり、ノズル面を電子カメラで撮影したりすることなく、交換したヘッドモジュールの位置調整を行うことができる。
【0023】
第6の態様は、第5の態様のインクジェット記録装置において、位置補正情報生成手段は、第1の記憶手段に記憶された情報と、第2の記憶手段に記憶された情報とに基づいて、交換されたヘッドモジュールのノズルの位置を算出し、第1の記憶手段に記憶された情報と、第2の記憶手段に記憶された情報と、位置検出手段で検出される情報とに基づいて、交換されたヘッドモジュールに隣接するヘッドモジュールのノズルの位置を算出し、交換されたヘッドモジュールのノズルの位置の情報と、交換されたヘッドモジュールに隣接するヘッドモジュールのノズルの位置の情報とに基づいて、交換されたヘッドモジュールを正規の位置に取り付けるための位置の補正情報を生成する態様である。
【0024】
本態様によれば、第1の記憶手段に記憶された情報と、第2の記憶手段に記憶された情報とに基づいて、交換されたヘッドモジュールのノズルの位置が算出され、第1の記憶手段に記憶された情報と、第2の記憶手段に記憶された情報と、位置検出手段で検出される情報とに基づいて、交換されたヘッドモジュールに隣接するヘッドモジュールのノズルの位置の情報が算出される。そして、得られた各情報とに基づいて、交換されたヘッドモジュールを正規の位置に取り付けるための位置の補正情報が生成される。すなわち、第1の記憶手段から交換されたヘッドモジュールを支持する支持手段の支持基準点の位置の情報を取得することにより、交換されたヘッドモジュールのベースフレーム上での位置を割り出すことができ、更に、第2の記憶手段から交換されたヘッドモジュールに備えられているノズルの位置の情報を取得することにより、交換されたヘッドモジュールのベースフレーム上でのノズルの位置を割り出すことができる。また、各支持基準点の位置の情報と、位置検出手段で検出されるヘッドモジュールの位置の情報とから、各ヘッドモジュールのベースフレーム上での位置を割り出すことができ、更に、各ヘッドモジュールに備えられているノズルの位置の情報を取得することにより、各ヘッドモジュールのベースフレーム上でのノズルの位置を割り出すことができる。この各ヘッドモジュールのベースフレーム上でのノズルの位置を割り出すことにより、交換されたヘッドモジュールと、そのヘッドモジュールに隣接するヘッドモジュールとの間の距離を割り出すことができる。そして、この距離の情報を取得することにより、交換されたヘッドモジュールを正規の位置に取り付けるための位置の補正情報を生成することができる。
【0025】
第7の態様は、第1から6のいずれか1の態様のインクジェット記録装置において、位置検出手段は、ヘッドモジュールに備えられる検出対象部材と、ベースフレームに備えられ、検出対象部材の変位量を検出するセンサと、を備え、検出対象部材の変位量をセンサで検出して、支持基準点を基準としたヘッドモジュールの位置を検出する態様である。
【0026】
本態様によれば、位置検出手段が、ヘッドモジュールに備えられる検出対象部材と、ベースフレームに備えられるセンサとで構成される。位置検出手段は、検出対象部材の変位量をセンサで検出して、支持基準点を基準としたヘッドモジュールの位置を検出する。
【0027】
この種のセンサと検出対象部材との組み合わせとしては、たとえば、磁気センサと磁石、レーザ距離センサとそのレーザ照射部、赤外線距離センサとその赤外線照射部、渦電流センサとその検出部等の組み合わせが考えられる。以下の態様においても同様である。
【0028】
第8の態様は、第7の態様のインクジェット記録装置において、第1の記憶手段には、センサを使用するに際して、センサの感度を補正するために必要な情報が第1のセンサ感度補正情報として更に記憶され、第2の記憶手段には、検出対象部材を使用するに際して、センサの感度を補正するために必要な情報が第2のセンサ感度補正情報として更に記憶され、第1のセンサ感度補正情報と第2のセンサ感度補正情報とを取得して、センサの感度を補正するセンサ感度補正手段を更に備えた態様である。
【0029】
本態様によれば、センサの感度を補正するセンサ感度補正手段が更に備えられ、第1の記憶手段に記憶された第1のセンサ感度補正情報(センサを使用するに際して、センサの感度を補正するために必要な情報)と、第2の記憶手段に記憶された第2のセンサ感度補正情報(検出対象部材を使用するに際して、センサの感度を補正するために必要な情報が第2のセンサ感度補正情報)とに基づいて、センサの感度が補正される。各ヘッドモジュールは規格化されており、どのヘッドモジュールをどの位置に取り付けることもできる(取り付ける位置に制限がない)。その一方で、センサは、使用する検出対象部材との組み合わせや取り付ける位置などによって、若干感度が変化する。したがって、より高精度な検出を行うためには、感度を補正する必要がある。本態様によれば、センサと検出対象部材とをいかなる組み合わせで使用した場合であっても適切に感度を補正できるので、より高精度な位置検出を行うことができる。これにより、より高精度な位置合わせを行うことができる。また、第1のセンサ感度補正情報と第2のセンサ感度補正情報は、それぞれベースフレームに備えられた第1の記憶手段と、各ヘッドベースフレームに備えられた第2の記憶手段とに記憶されるため、補正に必要な情報を簡単かつ確実に取得することができる。
【0030】
第9の態様は、第7の態様のインクジェット記録装置において、検出対象部材の感度を測定するための第1の検出対象部材感度測定治具と、検出対象部材の感度を測定するための第2の検出対象部材感度測定治具と、センサの感度を測定するための第1のセンサ感度測定治具と、センサの感度を測定するための第2のセンサ感度測定治具と、センサの感度を設定するセンサ感度設定手段と、を更に備え、第1の検出対象部材感度測定治具と第1のセンサ感度測定治具とを用いて取得される感度データを基準データSTとし、第1のセンサ感度測定治具と第2の検出対象部材感度測定治具とを用いて取得される感度データを第2の検出対象部材感度測定治具の特性データATとし、第1の検出対象部材感度測定治具と第2のセンサ感度測定治具とを用いて取得される感度データを第2のセンサ感度測定治具の特性データBTとし、第2の検出対象部材感度測定治具を用いて取得される検出対象部材の感度データを検出対象部材の仮感度データMM(仮)とし、第2のセンサ感度測定治具を用いて取得されるセンサの感度データをセンサの仮感度データMS(仮)とし、基準データSTと特性データATとに基づいて、検出対象部材の仮感度データMM(仮)を補正したデータを検出対象部材感度情報MMとし、基準データSTと特性データBTとに基づいて、センサの仮感度データMS(仮)を補正したデータをセンサ感度情報MSとしたとき、第1の記憶手段には、センサ感度情報MSが更に記憶され、第2の記憶手段には、検出対象部材感度情報MMが更に記憶され、センサ感度設定手段は、第1の記憶手段からセンサ感度情報MSを取得し、第2の記憶手段から検出対象部材感度情報MMとを取得し、センサ感度情報MSと、検出対象部材感度情報MMと、基準データSTとに基づいて、センサの感度を設定する態様である。
【0031】
本態様によれば、専用の測定治具を用いて、センサの感度と検出対象部材の感度とが測定され、その測定結果に基づく情報がセンサ感度情報MS、検出対象部材感度情報MMとして、第1の記憶手段と第2の記憶手段に記憶される。ヘッドモジュールが交換された場合は、第1の記憶手段と第2の記憶手段とからセンサ感度情報MSと検出対象部材感度情報MMとが取得され、得られた情報に基づいて、センサの感度が設定される。これにより、個々のセンサ、検出対象部材の感度のバラツキを吸収でき、センサと検出対象部材との組み合わせが変わった場合であっても、高精度な検出を行うことができる。
【0032】
第10の態様は、第9の態様のインクジェット記録装置において、温度検出手段と、温度検出手段で検出される温度情報に基づいて、センサの感度を補正するセンサ感度補正手段と、を更に備えた態様である。
【0033】
本態様によれば、更に温度情報に基づいて、センサの感度が補正される。センサの感度は、温度によって若干変動する。したがって、より高精度な検出を行うには、使用環境の温度に応じて感度を補正することが好ましい。本態様によれば、センサの使用環境の温度情報を取得して、センサの感度が更に補正される。これにより、より高精度な位置検出を行うことができる。なお、この場合、たとえば、センサ感度補正手段が、温度に応じた感度の補正情報(たとえば、補正用の関数、補正用のテーブル)を保持し、その補正情報を参照して、感度の補正を行う。
【0034】
第11の態様は、第1から10のいずれか1の態様のインクジェット記録装置において、位置調整手段は、ベースフレームに備えられる位置決め基準ピンと、ヘッドモジュールに備えられる偏芯ローラと、ヘッドモジュールに備えられ、位置決め基準ピンに係合して、偏芯ローラを位置決め基準ピンに押圧当接させる付勢手段と、を備え、位置決め基準ピンに押圧当接させた偏芯ローラを回転させて、ヘッドモジュールをヘッドモジュールの取付位置を移動させる態様である。
【0035】
本態様によれば、位置調整手段が、ベースフレームに備えられる位置決め基準ピンと、ヘッドモジュールに備えられる偏芯ローラと、ヘッドモジュールに備えられる付勢手段とで構成される。位置調整手段は、位置決め基準ピンに押圧当接させた偏芯ローラを回転させて、ヘッドモジュールをヘッドモジュールの取付位置を移動させる。これにより、微小な位置調整を簡単かつ正確に行うことができる。
【0036】
第12の態様は、ベースフレームと、ベースフレームに一定の間隔をもって備えられた複数の支持手段と、支持手段を介してベースフレームに取り付けられることにより、一列(直線以外の千鳥配列を含む)に繋ぎ合わされる複数のヘッドモジュールと、ベースフレームに取り付けられたヘッドモジュールの位置を個別に調整する複数の位置調整手段と、支持手段ごとに設定される支持基準点を基準として、ベースフレームに取り付けられたヘッドモジュールの位置を個別に検出する複数の位置検出手段と、を備えたインクジェットヘッドのヘッドモジュール交換方法であって、交換したヘッドモジュールを支持する支持手段の支持基準点の位置の情報を第1の情報として取得する工程と、交換したヘッドモジュールが有するノズルの位置の情報を第2の情報として取得する工程と、ベースフレームに取り付けられている各ヘッドモジュールのノズルの位置の情報を第3の情報として取得する工程と、第1の情報と、第2の情報と、第3の情報とに基づいて、交換されたヘッドモジュールを正規の位置に取り付けるための位置の補正情報を生成する工程と、生成された位置の補正情報に従って、交換されたヘッドモジュールの位置を調整する工程と、を有するインクジェットヘッドのヘッドモジュール交換方法である。
【0037】
本態様によれば、交換したヘッドモジュールを支持する支持手段の支持基準点の位置の情報(第1の情報)と、交換したヘッドモジュールが有するノズルの位置の情報(第2の情報)と、ベースフレームに取り付けられている各ヘッドモジュールのノズルの位置の情報(第3の情報)とを取得し、これらの情報に基づいて、交換されたヘッドモジュールを正規の位置に取り付けるための位置の補正情報を生成する。そして、生成された位置の補正情報に従って、交換されたヘッドモジュールの位置を調整する。交換されたヘッドモジュールを支持する支持手段の支持基準点の位置の情報(第1の情報)を取得することにより、交換されたヘッドモジュールのベースフレーム上での位置を割り出すことができ、更に、交換されたヘッドモジュールに備えられているノズルの位置の情報(第2の情報)を取得することにより、交換されたヘッドモジュールのベースフレーム上でのノズルの位置を割り出すことができる。また、ベースフレームに取り付けられている各ヘッドモジュールのノズルの位置の情報(第3の情報)を取得することにより、交換されたヘッドモジュールに隣接するヘッドモジュールのノズルの位置(ベースフレーム上でのノズルの位置)の情報を取得することができる。そして、この情報を取得することにより、交換されたヘッドモジュールと、そのヘッドモジュールに隣接するヘッドモジュールとの間の距離を割り出すことができる。そして、この距離を割り出すことにより、交換されたヘッドモジュールを正規の位置に取り付けるための位置の補正情報を生成することができる。すなわち、割り出した距離を許容範囲に
収めるために必要なヘッドモジュールの位置の補正量を求めることにより、交換されたヘッドモジュールを正規の位置に取り付けるための位置の補正情報を生成することができる。これにより、テストパターンを印字したり、ノズル面を電子カメラで撮影したりすることなく、交換したヘッドモジュールの位置調整を行うことができる。
【0038】
第13の態様は、第12の態様のインクジェットヘッドのヘッドモジュール交換方法において、第1の情報と、第2の情報と、第3の情報とに基づいて、交換されたヘッドモジュールを正規の位置に取り付けるための位置の補正情報を生成する工程は、第1の情報と第2の情報とに基づいて、交換されたヘッドモジュールのノズルの位置を算出し、第3の情報に基づいて、交換されたヘッドモジュールに隣接するヘッドモジュールのノズルの位置の情報を取得し、交換されたヘッドモジュールのノズルの位置の情報と、交換されたヘッドモジュールに隣接するヘッドモジュールのノズルの位置の情報とに基づいて、交換されたヘッドモジュールを正規の位置に取り付けるための位置の補正情報を生成する態様である。
【0039】
本態様によれば、第1の情報と、第2の情報とに基づいて、交換されたヘッドモジュールのノズルの位置が算出され、第3の情報に基づいて、交換されたヘッドモジュールに隣接するヘッドモジュールのノズルの位置の情報が取得される。そして、得られた各情報に基づいて、交換されたヘッドモジュールを正規の位置に取り付けるための位置の補正情報が生成される。
【0040】
第14の態様は、第12又は13の態様のインクジェットヘッドのヘッドモジュールを交換方法において、ベースフレームは、各支持基準点の位置の情報が記憶される第1の記憶手段を備え、各ヘッドモジュールは、ヘッドモジュールが有するノズルの位置の情報が記憶される第2の記憶手段を備え、インクジェットヘッドが搭載されるインクジェット記録装置、又は、ベースフレームは、ベースフレームに取り付けられている各ヘッドモジュールのノズルの位置の情報が記憶される第3の記憶手段を備え、第1の情報は、第1の記憶手段から取得し、第2の情報は、第2の記憶手段から取得し、第3の情報は、第3の記憶手段から取得する態様である。
【0041】
本態様によれば、ベースフレームに第1の記憶手段が備えられ、この第1の記憶手段に各支持基準点の位置の情報が記憶される。また、各ヘッドモジュールに第2の記憶手段が備えられ、この第2の記憶手段にヘッドモジュールが有するノズルの位置の情報が記憶される。また、インクジェットヘッドが搭載されるインクジェット記録装置、又は、ベースフレームに第3の記憶手段が備えられ、この第3の記憶手段にベースフレームに取り付けられている各ヘッドモジュールのノズルの位置の情報が記憶される。第1の情報は第1の記憶手段から取得され、第2の情報は第2の記憶手段から取得され、第3の情報は第3の記憶手段から取得される。このように各情報を事前に取得し、記憶手段に記憶させておくことにより、必要な情報を簡単かつ迅速に取得でき、補正情報を迅速に生成することができる。
【0042】
第15の態様は、第14の態様のインクジェットヘッドのヘッドモジュール交換方法において、生成された位置の補正情報に従って、交換されたヘッドモジュールの位置を調整した後、交換されたヘッドモジュールの位置の情報を位置検出手段から取得し、取得した情報と、第1の記憶手段に記憶された情報と、第2の記憶手段に記憶された情報とに基づいて、交換されたヘッドモジュールのノズルの位置を算出し、算出した情報によって、第3の記憶手段に記憶されている情報を更新する工程を更に備える態様である。
【0043】
本態様によれば、交換されたヘッドモジュールの位置調整が完了し、交換されたヘッドモジュールが正規の位置に取り付けられると、その調整後のヘッドモジュールのノズルの位置(ベースフレーム上でのノズルの位置)が求められて、第3の記憶手段に記憶されている情報が更新される。これにより、第3の記憶手段に記憶されている情報を常に最新の状態に保つことができる。
【0044】
第16の態様は、第14の態様のインクジェットヘッドのヘッドモジュール交換方法において、生成された位置の補正情報に従って、交換され
たヘッドモジュールの位置を調整した後
、ベースフレームに取り付けられてい
る各ヘッドモジュールのノズルの位置を検出し、検出した情報によって
、第3の記憶手段に記憶されている情報を更新する工程を更に備える態様である。
【0045】
本態様によれば、交換されたヘッドモジュールの位置調整が完了し、交換されたヘッドモジュールが正規の位置に取り付けられると、ノズル位置検出手段によってベースフレームに取り付けられている各ヘッドモジュールのノズルの位置が検出される。そして、その検出された情報によって、第3の記憶手段に記憶されている情報が更新される。これにより、第3の記憶手段に記憶されている情報を常に最新の状態に保つことができる。
【0046】
第17の態様は、ベースフレームと、ベースフレームに一定の間隔をもって備えられた複数の支持手段と、支持手段を介してベースフレームに取り付けられることにより、一列(直線以外の千鳥配列を含む)に繋ぎ合わされる複数のヘッドモジュールと、ベースフレームに取り付けられたヘッドモジュールの位置を個別に調整する複数の位置調整手段と、支持手段ごとに設定される支持基準点を基準として、ベースフレームに取り付けられたヘッドモジュールの位置を個別に検出する複数の位置検出手段と、を備えたインクジェットヘッドのヘッドモジュール交換方法であって、各支持基準点の位置の情報を第1の情報として取得する工程と、各ヘッドモジュールが有するノズルの位置の情報を第2の情報として取得する工程と、ベースフレームに取り付けられている各ヘッドモジュールの位置の情報を位置検出手段から取得する工程と、第1の情報と、第2の情報と、位置検出手段から取得する情報とに基づいて、交換されたヘッドモジュールを正規の位置に取り付けるための位置の補正情報を生成する工程と、生成された位置の補正情報に従って、交換されたヘッドモジュールの位置を調整する工程と、を有するインクジェットヘッドのヘッドモジュール交換方法である。
【0047】
本態様によれば、各支持基準点の位置の情報(第1の情報)と、各ヘッドモジュールが有するノズルの位置の情報(第2の情報)と、ベースフレームに取り付けられている各ヘッドモジュールの位置の情報とを取得し、取得した情報に基づいて、交換されたヘッドモジュールを正規の位置に取り付けるための位置の補正情報を生成する。そして、生成された位置の補正情報に従って、交換されたヘッドモジュールの位置を調整する。交換されたヘッドモジュールを支持する支持手段の支持基準点の位置の情報(第1の情報に含まれる)を取得することにより、交換されたヘッドモジュールのベースフレーム上での位置を割り出すことができ、更に、交換されたヘッドモジュールに備えられているノズルの位置の情報(第2の情報に含まれる)を取得することにより、交換されたヘッドモジュールのベースフレーム上でのノズルの位置を割り出すことができる。また、ベースフレームに取り付けられている各ヘッドモジュールのノズルの位置の情報(ベースフレーム上でのノズルの位置の情報)は、各支持基準点の位置の情報(第1の情報)と、各ヘッドモジュールに備えられているノズルの位置の情報(第2の情報)と、位置検出手段で検出されるヘッドモジュールの位置の情報とから取得することができる。すなわち、各支持基準点の位置の情報と、位置検出手段で検出されるヘッドモジュールの位置の情報とから、各ヘッドモジュールのベースフレーム上での位置を割り出すことができ、更に、各ヘッドモジュールに備えられているノズルの位置の情報を取得することにより、各ヘッドモジュールのベースフレーム上でのノズルの位置を割り出すことができる。この各ヘッドモジュールのベースフレーム上でのノズルの位置を割り出すことにより、交換されたヘッドモジュールと、そのヘッドモジュールに隣接するヘッドモジュールとの間の距離を割り出すことができる。そして、この距離の情報を取得することにより、交換されたヘッドモジュールを正規の位置に取り付けるための位置の補正情報を生成することができる。すなわち、割り出した距離を許容範囲に
収めるための位置に必要なヘッドモジュールの位置の補正量を求めることにより、交換されたヘッドモジュールを正規の位置に取り付けるための位置の補正情報を生成することができる。これにより、テストパターンを印字したり、ノズル面を電子カメラで撮影したりすることなく、交換したヘッドモジュールの位置調整を行うことができる。
【0048】
第18の態様は、第17の態様のインクジェットヘッドのヘッドモジュール交換方法において、第1の情報と、第2の情報と、位置検出手段から取得する情報とに基づいて、交換されたヘッドモジュールを正規の位置に取り付けるための位置の補正情報を生成する工程は、第1の情報と、第2の情報とに基づいて、交換されたヘッドモジュールのノズルの位置を算出し、第1の情報と、第2の情報と、位置検出手段で検出される情報とに基づいて、交換されたヘッドモジュールに隣接するヘッドモジュールのノズルの位置を算出し、交換されたヘッドモジュールのノズルの位置の情報と、交換されたヘッドモジュールに隣接するヘッドモジュールのノズルの位置の情報とに基づいて、交換されたヘッドモジュールを正規の位置に取り付けるための位置の補正情報を生成する態様である。
【0049】
本態様によれば、第1の記憶手段に記憶された情報と、第2の記憶手段に記憶された情報とに基づいて、交換されたヘッドモジュールのノズルの位置が算出され、第1の記憶手段に記憶された情報と、第2の記憶手段に記憶された情報と、位置検出手段で検出される情報とに基づいて、交換されたヘッドモジュールに隣接するヘッドモジュールのノズルの位置の情報が算出される。そして、得られた各情報とに基づいて、交換されたヘッドモジュールを正規の位置に取り付けるための位置の補正情報が生成される。
【0050】
第19の態様は、第17又は18の態様のインクジェットヘッドのヘッドモジュールを交換方法において、ベースフレームは、各支持基準点の位置の情報が記憶される第1の記憶手段を備え、各ヘッドモジュールは、ヘッドモジュールが有するノズルの位置の情報が記憶される第2の記憶手段を備え、第1の情報は、第1の記憶手段から取得し、第2の情報は、第2の記憶手段から取得する態様である。
【0051】
本態様によれば、ベースフレームに第1の記憶手段が備えられ、この第1の記憶手段に各支持基準点の位置の情報が記憶される。また、各ヘッドモジュールに第2の記憶手段が備えられ、この第2の記憶手段にヘッドモジュールが有するノズルの位置の情報が記憶される。第1の情報は第1の記憶手段から取得され、第2の情報は第2の記憶手段から取得される。このように各情報を事前に取得し、記憶手段に記憶させておくことにより、必要な情報を簡単かつ迅速に取得でき、補正情報を迅速に生成することができる。
【0052】
第20の態様は、第14、15、16又は19の態様のインクジェットヘッドのヘッドモジュール交換方法において、位置検出手段が、ヘッドモジュールに備えられる検出対象部材と、ベースフレームに備えられ、検出対象部材の変位量を検出するセンサと、で構成され、検出対象部材の変位量をセンサで検出して、支持基準点を基準としたヘッドモジュールの位置を検出する場合において、センサを使用するに際して、センサの感度を補正するために必要な情報を第1のセンサ感度補正情報として取得する工程と、検出対象部材を使用するに際して、センサの感度を補正するために必要な情報を第2のセンサ感度補正情報として取得する工程と、第1のセンサ感度補正情報と第2のセンサ感度補正情報とに基づいて、センサの感度を補正する工程とを更に含む態様である。
【0053】
本態様によれば、位置検出手段が、ヘッドモジュールに備えられる検出対象部材と、ベースフレームに備えられるセンサとで構成され、検出対象部材の変位量をセンサで検出して、支持基準点を基準としたヘッドモジュールの位置を検出する。
【0054】
また、本態様によれば、検出に際して、第1のセンサ感度補正情報(センサを使用するに際して、センサの感度を補正するために必要な情報)と、第2の記憶手段に記憶された第2のセンサ感度補正情報(検出対象部材を使用するに際して、センサの感度を補正するために必要な情報が第2のセンサ感度補正情報)とが取得され、取得したに基づいて、センサの感度が補正される。これにより、センサと検出対象部材とをいかなる組み合わせで使用した場合であっても適切に感度を補正でき、より高精度な位置検出を行うことができる。これにより、より高精度な位置合わせを行うことができる。
【0055】
第21の態様は、第20の態様のインクジェットヘッドのヘッドモジュール交換方法において、第1の記憶手段には、更に第1のセンサ感度補正情報が記憶され、第2の記憶手段には、更に第2のセンサ感度補正情報が記憶され、第1のセンサ感度補正情報は、第1の記憶手段から取得し、第2のセンサ感度補正情報は、第2の記憶手段から取得する態様である。
【0056】
本態様によれば、ベースフレームに備えられる第1の記憶手段に第1のセンサ感度補正情報が記憶され、各ヘッドモジュールに備えられる第2の記憶手段に第2のセンサ感度補正情報が記憶される。そして、第1のセンサ感度補正情報は第1の記憶手段から取得され、第2のセンサ感度補正情報は第2の記憶手段から取得される。これにより、センサの感度の補正に必要な情報を簡単かつ確実に取得することができる。
【0057】
第22の態様は、第14、15、16又は19の態様のインクジェットヘッドのヘッドモジュール交換方法において、位置検出手段が、ヘッドモジュールに備えられる検出対象部材と、ベースフレームに備えられ、検出対象部材の変位量を検出するセンサと、で構成され、検出対象部材の変位量をセンサで検出して、支持基準点を基準としたヘッドモジュールの位置を検出する場合において、センサの感度を設定する工程を更に含み、センサの感度を設定する工程は、検出対象部材の感度を測定するための第1の検出対象部材感度測定治具と、検出対象部材の感度を測定するための第2の検出対象部材感度測定治具と、センサの感度を測定するための第1のセンサ感度測定治具と、センサの感度を測定するための第2のセンサ感度測定治具とを用意し、第1の検出対象部材感度測定治具と第1のセンサ感度測定治具とを用いて感度データを取得することにより、基準データSTを取得する工程と、第1のセンサ感度測定治具と第2の検出対象部材感度測定治具とを用いて感度データを取得することにより、第2の検出対象部材感度測定治具の特性データATを取得する工程と、第1の検出対象部材感度測定治具と第2のセンサ感度測定治具とを用いて感度データを取得することにより、第2のセンサ感度測定治具の特性データBTを取得する工程と、第2の検出対象部材感度測定治具を用いて検出対象部材の感度データを取得することにより、検出対象部材の仮感度データMM(仮)を取得する工程と、第2のセンサ感度測定治具を用いてセンサの感度データを取得することにより、センサの仮感度データMS(仮)を取得する工程と、基準データSTと、特性データATとに基づいて、検出対象部材の仮感度データMM(仮)を補正し、検出対象部材感度情報MMを取得する工程と、基準データSTと、特性データBTとに基づいて、センサの仮感度データMS(仮)を補正し、センサ感度情報MSを取得する工程と、検出対象部材感度情報MMとセンサ感度情報MSと基準データSTとに基づいて、センサの感度を設定する工程と、からなる態様である。
【0058】
本態様によれば、位置検出手段が、ヘッドモジュールに備えられる検出対象部材と、ベースフレームに備えられ、検出対象部材の変位量を検出するセンサと、で構成され、検出対象部材の変位量をセンサで検出して、支持基準点を基準としたヘッドモジュールの位置を検出する場合において、センサの感度を設定する工程が更に含まれる。そして、そのセンサの感度を設定する工程は、第1の検出対象部材感度測定治具と第1のセンサ感度測定治具とを用いて感度データを取得することにより、基準データSTを取得する工程と、第1のセンサ感度測定治具と第2の検出対象部材感度測定治具とを用いて感度データを取得することにより、第2の検出対象部材感度測定治具の特性データATを取得する工程と、第1の検出対象部材感度測定治具と第2のセンサ感度測定治具とを用いて感度データを取得することにより、第2のセンサ感度測定治具の特性データBTを取得する工程と、第2の検出対象部材感度測定治具を用いて検出対象部材の感度データを取得することにより、検出対象部材の仮感度データMM(仮)を取得する工程と、第2のセンサ感度測定治具を用いてセンサの感度データを取得することにより、センサの仮感度データMS(仮)を取得する工程と、基準データSTと、特性データATとに基づいて、検出対象部材の仮感度データMM(仮)を補正し、検出対象部材感度情報MMを取得する工程と、基準データSTと、特性データBTとに基づいて、センサの仮感度データMS(仮)を補正し、センサ感度情報MSを取得する工程と、検出対象部材感度情報MMとセンサ感度情報MSと基準データSTとに基づいて、センサの感度を設定する工程とで構成される。これにより、個々のセンサ、検出対象部材の感度のバラツキを吸収でき、センサと検出対象部材との組み合わせが変わった場合であっても、高精度な検出を行うことができる。
【0059】
第23の態様は、第22の態様のインクジェットヘッドのヘッドモジュール交換方法において、第1の記憶手段には、更にセンサ感度情報MSが記憶され、第2の記憶手段には、更に検出対象部材感度情報MMが記憶され、センサ感度情報MSは、第1の記憶手段から取得し、検出対象部材感度情報は、第2の記憶手段から取得する態様である。
【0060】
本態様によれば、センサ感度情報MSが第1の記憶手段に記憶され、検出対象部材感度情報MMが第2の記憶手段に記憶される。これにより、センサ感度情報MSと検出対象部材感度情報MMとを容易に取得することができる。センサ感度情報MSは、たとえば、ベースフレームの製造時、工場出荷時に第1の記憶手段に記憶される。また、検出対象部材感度情報MMは、たとえば、ヘッドモジュールの製造時、工場出荷時に第2の記憶手段に記憶される。
【0061】
第24の態様は、第22又は23の態様のインクジェットヘッドのヘッドモジュール交換方法において、更に温度情報を取得して、センサの感度を補正する態様である。
【0062】
本態様によれば、更に温度情報に基づいて、センサの感度が補正される。これにより、より高精度な位置検出を行うことができる。
【発明の効果】
【0063】
本発明によれば、ヘッドモジュールの交換作業を容易に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0065】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0066】
《インクジェット記録装置》
〈構成〉
ここでは、ライン方式のインクジェット記録装置に本発明を適用した場合を例に説明する。なお、ライン方式のインクジェット記録装置とは、メディアの幅に相当する長尺のインクジェットヘッド(いわゆるラインヘッド)を用いて、メディアの全域にシングルパスで画像を記録する方式のインクジェット記録装置のことをいう。
【0067】
図1は、ライン方式のインクジェット記録装置の一実施形態を示す平面図である。また、
図2は、
図1に示したインクジェット記録装置の正面図であり、
図3は、
図2の3−3断面図である。
【0068】
図1から
図3に示すように、このインクジェット記録装置10は、主として、枚葉のメディア12を搬送するメディア搬送装置20と、メディア搬送装置20によって搬送されるメディア12に向けてシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、クロ(K)の各色のインクの液滴を吐出して、メディア12に画像を記録するヘッドユニット30と、ヘッドユニット30の保管、メンテナンスを行うメンテナンスステーション40と、ヘッドユニット30をメンテナンスステーション40に移送する移送装置50と、インクジェット記録装置10の全体の動作を統括制御するシステムコントローラ100とを備えて構成される。
【0069】
〈メディア搬送装置〉
メディア搬送装置20は、メディア(たとえば、枚葉紙)12を所定の搬送経路に沿って搬送する。本例では、メディア搬送装置20がベルト搬送機構で構成されている。メディア搬送装置20は、モータ22に駆動されて回転走行する無端状のベルト24を有し、そのベルト24の周面にメディア12を吸着保持して、メディア12を搬送する。
【0070】
メディア搬送装置20には、この他、たとえばドラム搬送機構やローラ搬送機構等を採用することができる。
【0071】
〈インクジェットユニット〉
ヘッドユニット30は、メディア搬送装置20によって搬送されるメディア12に向けてシアン、マゼンタ、イエロ、クロの各色のインクの液滴を吐出する。ヘッドユニット30は、シアンインクの液滴を吐出するインクジェットヘッド32Cと、マゼンタインクの液滴を吐出するインクジェットヘッド32Mと、イエロインクの液滴を吐出するインクジェットヘッド32Yと、クロインクの液滴を吐出するインクジェットヘッド32Kと、各インクジェットヘッド32C、32M、32Y、32Kが装着されるヘッドユニット本体34とを備えて構成される。
【0072】
ヘッドユニット本体34は、各インクジェットヘッド32C、32M、32Y、32Kを装着するためのホルダ(不図示)を有する。ホルダは、各色のインクジェットヘッド32C、32M、32Y、32Kごとに備えられる。各インクジェットヘッド32C、32M、32Y、32Kは、このホルダに個別に装着され、かつ、着脱自在に装着される。
【0073】
各インクジェットヘッド32C、32M、32Y、32Kは、メディア12の幅に相当するラインヘッドで構成される。各インクジェットヘッド32C、32M、32Y、32Kは、ヘッドユニット本体34に装着されることにより、一定の間隔をもって互いに平行に配置され、かつ、メディア搬送装置20によって搬送されるメディア12の搬送方向に対して直交して配置される。
【0074】
各インクジェットヘッド32C、32M、32Y、32Kは、それぞれ複数の短尺のインクジェットヘッド(ヘッドモジュール)を繋ぎ合わせて構成される。この点については、後に詳述する。
【0075】
〈メンテナンスステーション〉
メンテナンスステーション40は、ヘッドユニット30の保管、メンテナンスを行う。メンテナンスステーション40には、ヘッドユニット30に備えられた各インクジェットヘッド32C、32M、32Y、32Kをキャッピング(ノズル面を覆うこと)するキャップ装置42C、42M、42Y、42Kが備えられる。
【0076】
キャップ装置42C、42M、42Y、42Kは、各色のインクジェットヘッド32C、32M、32Y、32Kごとに設けられる。キャップ装置42C、42M、42Y、42Kは、インクジェットヘッド32C、32M、32Y、32Kのノズル面を覆い、ノズルからインクの溶媒成分が蒸発するのを防止する。また、ノズル面に異物が付着するのを防止する。
【0077】
キャップ装置42C、42M、42Y、42Kには、キャッピングした状態でインクジェットヘッド32C、32M、32Y、32Kのノズル内を加圧・吸引する加圧・吸引機構が備えられる。不吐出が生じた場合などは、この加圧・吸引機構でノズル内が加圧・吸引される(いわゆる回復処理)。
【0078】
キャップ装置42C、42M、42Y、42Kの下部には、廃液トレイ44が配置される。キャップ装置42C、42M、42Y、42Kによって吸引されたインクは、この廃液トレイ44に廃棄され、廃液タンク46に回収される。
【0079】
〈移送装置〉
移送装置50は、ヘッドユニット30をメンテナンスステーション40に移送する。移送装置50は、一対のガイドレール52と、その一対のガイドレール52にガイドされて移動するスライダ54と、スライダ54をガイドレール52に沿って移動させる駆動装置56とを備えて構成される。
【0080】
一対のガイドレール52は、メディア搬送装置20及びメンテナンスステーション40の上方に配設され、メディア搬送装置20とメンテナンスステーション40との間を橋渡しするように配設される。
【0081】
スライダ54は、ガイドレール52に沿ってスライドし、メディア搬送装置20とメンテナンスステーション40との間を直線移動する。ヘッドユニット30は、このスライダ54に取り付けられる。
【0082】
駆動装置56は、いわゆる送りネジ機構で構成され、ネジ棒58と、ネジ棒58を回転駆動するモータ60とを備えて構成される。ネジ棒58は、ガイドレール52に沿って配設される。スライダ54には、このネジ棒58が螺合される雌ネジ部54Aが備えられる。モータ60は、ネジ棒58に連結され、ネジ棒58を正回転/逆回転させる。
【0083】
モータ60を駆動して、ネジ棒58を正回転/逆回転させると、スライダ54がガイドレール52に沿ってスライドする。上記のように、ヘッドユニット30は、スライダ54に取り付けられている。したがって、スライダ54が移動すると、ヘッドユニット30もスライダ54と共に移動し、メディア搬送装置20とメンテナンスステーション40との間を直線移動する。
【0084】
ヘッドユニット30は、メディア搬送装置20とメンテナンスステーション40との間を直線移動して、メディア搬送装置20に設定される「画像記録位置」と、メンテナンスステーション40に設定される「メンテナンス位置」との間を移動する。
【0085】
ヘッドユニット30は、「画像記録位置」に位置することにより、画像の記録が可能になり、「メンテナンス位置」に位置することにより、メンテナンスが可能になる。すなわち、「画像記録位置」に位置することにより、メディア搬送装置20の上方にセットされ、メディア搬送装置20によって搬送されるメディア12に対して、画像を記録することが可能になる。また、「メンテナンス位置」に位置することにより、メンテナンスステーション40にセットされ、キャップ装置42C、42M、42Y、42Kによるキャッピングや、その他のメンテナンス(インクジェットヘッドの交換、ヘッドモジュールの交換など)を受けることが可能になる。
【0086】
〈システムコントローラ〉
システムコントローラ100は、インクジェット記録装置10の全体の動作を統括制御する制御手段として機能する。また、システムコントローラ100は、ヘッドモジュール210の位置の補正量の演算処理や、センサの感度の補正量の演算処理等の各種の演算処理を行う手段としても機能する(位置補正情報生成手段、センサ感度設定手段、センサ感度補正手段等とし
ても機能する)。
【0087】
システムコントローラ100は、いわゆるマイコンで構成され、所定のプログラム
を実行することにより、各種処理を実施する。したがって、システムコントローラ100には、各種処理を実施するためのプログラム、及び、各種制御データを格納するためのメモリが備えられる。
【0088】
また、システムコントローラ100には、入力手段としての操作部102、表示手段としての表示部104等が接続される。また、各種データを保存しておくための記憶手段(第3の記憶手段)としての記憶装置106が接続される。
【0089】
操作部102は、たとえば、キーボード、マウス、タッチパネル等で構成される。この操作部102には、インクジェット記録装置10に備えられる各種操作ボタン類が含まれる。
【0090】
表示部104は、たとえば、液晶ディスプレイ等で構成される。この表示部104には、インクジェット記録装置10に備えられる各種表示手段が含まれる。
【0091】
記憶装置106は、たとえば、不揮発性の半導体メモリ(たとえば、EEPROM(登録商標)やフラッシュメモリなど)やHDD(Hard Disk Drive)で構成される。
【0092】
〈作用〉
〈画像記録動作〉
ヘッドユニット30を画像記録位置に移動させる。これにより、ヘッドユニット30が、メディア搬送装置20の上方にセットされ、画像の記録が可能になる。
【0093】
メディア12は、図示しない給紙機構によってメディア搬送装置20に給紙される。なお、このメディア12には、必要に応じて所定の前処理が施される(たとえば、色材を凝集等させる機能を有する処理液の塗布などの処理が施される)。メディア搬送装置20は、給紙機構によって給紙されたメディア12を受け取り、受け取ったメディア12を所定の搬送経路に沿って搬送する。
【0094】
メディア12は、このメディア搬送装置20によって搬送される過程でヘッドユニット30の下を通過する。そして、その通過時にヘッドユニット30に備えられた各インクジェットヘッド32C、32M、32Y、32Kからシアン、マゼンタ、イエロ、クロの各色のインクの液滴が打滴され、表面に画像が記録される。
【0095】
画像が記録されたメディア12は、図示しない回収機構によってメディア搬送装置20から回収される。なお、画像が記録されたメディア12は、必要に応じて乾燥、定着等の処理が施される。
【0096】
メディア12を連続的に給紙することにより、連続的に画像の記録処理が行われる。
【0097】
〈メンテナンス動作〉
ヘッドユニット30をメンテナンス位置に移動させる。これにより、ヘッドユニット30が、メンテナンスステーション40にセットされる。
【0098】
長期間運転を停止する場合などには、ヘッドユニット30をメンテナンスステーション40に移送し、メンテナンスステーション40に備えられたキャップ装置42C、42M、42Y、42Kによって、各インクジェットヘッド32C、32M、32Y、32Kをキャッピングする。
【0099】
また、インクジェットヘッド32C、32M、32Y、32Kは、交換することができるため、インクジェットヘッド32C、32M、32Y、32Kの交換作業を行う場合も、メンテナンスステーション40にインクジェットヘッド32C、32M、32Y、32Kを移送して、メンテナンスステーション40で交換作業を実施する。
【0100】
また、後述するように、インクジェットヘッド32C、32M、32Y、32Kを構成するヘッドモジュールの交換作業等もこのメンテナンスステーション40で行われる。
【0101】
《インクジェットヘッド》
以下、インクジェットヘッド32C、32M、32Y、32Kの構成について説明する。
【0102】
なお、各色のインクジェットヘッド32C、32M、32Y、32Kは、どれもその構成は同じなので、ここでは、インクジェットヘッド200として、その構成を説明する。
【0103】
図4は、インクジェットヘッドの底面図である。
図5は、
図4の一部を拡大した拡大図である。
図6は、インクジェットヘッドの要部の構造を示す正面図である。
図7は、インクジェットヘッドの要部の構造を示す側面図である。
【0104】
インクジェットヘッド200は、複数(本例では17個)のヘッドモジュール210を一列に繋ぎ合わせて構成される。各ヘッドモジュール210は、ベースフレーム212に取り付けられることにより、一列に繋ぎ合わされる。
【0105】
ベースフレーム212には、そのベースフレーム212に固有の情報が記憶されるベースフレームメモリ(第1の記憶手段)110が備えられる。また、各ヘッドモジュール210には、それぞれそのヘッドモジュール210に固有の情報が記憶されるヘッドモジュールメモリ(第2の記憶手段)120が備えられる。ヘッドモジュール210を交換する際は、このベースフレームメモリ110に記憶された情報及びヘッドモジュールメモリ120に記憶された情報を利用して、交換されたヘッドモジュール210を正規の取付位置に取り付けるための情報を算出する。そして、その情報に基づいて、交換されたヘッドモジュール210の取付位置の調整を行う。
【0106】
以下、ヘッドモジュール210とベースフレーム212の構成について説明する。
【0107】
なお、以下において、X軸、Y軸、Z軸は、直交する3軸とし、ヘッドモジュール210は、X軸に沿って配設されるものとする。また、インクジェットヘッド200のノズル面は、XY平面(X軸とY軸とによって規定される平面)に沿って配設されるものとする。また、便宜上、XY平面を水平面とし、XZ平面及びYZ平面を垂直面として、以下の説明を行う。
【0108】
〈ヘッドモジュール〉
ヘッドモジュール210は、規格化された短尺のインクジェットヘッドである。したがって、各ヘッドモジュール210の構造はすべて同じである。
【0109】
図8は、ヘッドモジュールの正面図、
図9は、ヘッドモジュールの背面図、
図10は、ヘッドモジュールの側面部分断面図である。
【0110】
ヘッドモジュール210は、インクの吐出を行うヘッド214と、ヘッド214をベースフレーム212に取り付けるためのブラケット216とを備えて構成される。
【0111】
ヘッド214は、ヘッド本体218と、電装・配管部220とを備えて構成される。
【0112】
ヘッド本体218は、全体として矩形の板形状を有し、下面部分にノズル面222を有する。ノズル面222は、中央部分に帯状のノズル領域222Aを有し、その両側にノズル保護領域222Bを有する。ノズル領域222A及びノズル保護領域222Bは一定の幅をもってX軸と平行に設けられる。また、ノズル領域222Aは、ノズル保護領域222Bから凹状に退避して設けられ、その表面には撥液処理が施される。
【0113】
液滴を吐出するノズルNは、ノズル領域222Aに設けられ、X軸に沿って一定の間隔で配置される。
【0114】
電装・配管部220は、配管や回路基板等の集合体であり、ヘッド本体218の上部に設けられる。この電装・配管部220に備えられる回路基板には、ヘッド214の駆動を制御するための回路基板や、システムコントローラ100と通信を行うための回路基板等が含まれる。また、ヘッドモジュールメモリ(第2の記憶手段)120は、この電装・配管部220に備えられる。
【0115】
電装・配管部220からは、ヘッド本体218にインクを供給するための配管228や、ヘッドユニット本体34と電気的に接続するためのケーブル230が引き出される。ヘッドユニット本体34に搭載されたインクジェットヘッド200の各ヘッドモジュール210は、このケーブル230を介してヘッドユニット本体34と電気的に接続される。これにより、各ヘッドモジュール210とシステムコントローラ100との間で各種データの送受信が可能になる。また、配管228を介してヘッドユニット本体34に備えられたインク供給装置(不図示)に接続される。
【0116】
ブラケット216は、L字形状を有し、水平部224と垂直部226とを有する。水平部224は、ヘッド214の取付部として機能し、垂直部226は、ベースフレーム212への取付部として機能する。
【0117】
水平部224は、矩形の板形状を有し、ヘッド本体218の外形に対応した外形形状を有する。ヘッド214は、そのヘッド本体218の部分が、水平部224に取り付けられることにより、ブラケット216に取り付けられる。この際、ヘッド本体218は、その上面部分が、水平部224の下面部分に取り付けられて、水平部224に一体化される。水平部224には、その中央部分に開口部224Aが備えられており、ヘッド214の電装・配管部220は、この開口部224Aを通して、ブラケット216の内側に配置される。
【0118】
垂直部226は、水平部224の一端に垂直な姿勢で接合されて、水平部224と一体化される。垂直部226は、垂直部本体226Aと、一対の第1張出部226Bと、一対の第2張出部226Cとを備えて構成される。
【0119】
垂直部本体226Aは、矩形の板形状を有し、水平部224とほぼ同じ幅を有する。一対の第1張出部226Bは、垂直部本体226Aの両サイドからX軸方向に張り出して設けられる。また、一対の第2張出部226Cは、一対の第1張出部226Bから更にX軸方向に張り出して設けられる。
【0120】
垂直部226には、ヘッドモジュール210をベースフレーム212に取り付ける際に、Y軸方向の位置決めの基準となるヘッドモジュールY軸方向位置決め手段と、Z軸方向の位置決めの基準となるヘッドモジュールZ軸方向位置決め手段とが備えられる。また、ベースフレーム212に取り付けられたヘッドモジュール210の位置(X軸方向の位置)を調整するための位置調整手段の一部が設けられる。
【0121】
ヘッドモジュールY軸方向位置決め手段は、ヘッドモジュールY軸方向位置決め部材を構成する2つのヘッドモジュールY軸方向固定接点部材234と、同じくヘッドモジュールY軸方向位置決め部材を構成する1つのヘッドモジュールY軸方向可動接点部材236とで構成される。
【0122】
2つのヘッドモジュールY軸方向固定接点部材234は、垂直部226の第2張出部226Cに設けられる。このヘッドモジュールY軸方向固定接点部材234は、剛球(剛性を有する球体)で構成される。ヘッドモジュールY軸方向固定接点部材234は、第2張出部226Cに備えられた穴(不図示)に挿入されて、第2張出部226Cの内面(ヘッドモジュール210をベースフレーム212に取り付けたときにベースフレーム212と対向する面)から一部が所定量突出して設けられる。
【0123】
一方、ヘッドモジュールY軸方向可動接点部材236は、垂直部226の垂直部本体226Aに設けられる。このヘッドモジュールY軸方向可動接点部材236は、剛球で構成され、垂直部本体226Aに備えられたヘッドモジュールY軸方向可動接点部材挿入穴238に挿入されて、垂直部本体226Aに設けられる。ヘッドモジュールY軸方向可動接点部材挿入穴238は、Y軸方向に沿って形成され、垂直部本体226Aの外面から内面に向かって貫通して形成される。ヘッドモジュールY軸方向可動接点部材236は、ヘッドモジュールY軸方向可動接点部材挿入穴238に挿入されて、垂直部本体226Aの内面から突出可能に設けられる。なお、ヘッドモジュールY軸方向可動接点部材挿入穴238は、ヘッドモジュールY軸方向可動接点部材236が脱落しないように、垂直部本体226Aの内面側が縮径して形成される。
【0124】
ヘッドモジュールY軸方向可動接点部材挿入穴238はネジ穴で構成され、ヘッドモジュールY軸方向可動接点部材位置調整ネジ240が螺合される。ヘッドモジュールY軸方向可動接点部材位置調整ネジ240は、いわゆるイモネジ(ネジ頭部がネジ部と同じ大きさのネジ)で構成される。このヘッドモジュールY軸方向可動接点部材位置調整ネジ240のネジ込み量を調整することにより、ヘッドモジュールY軸方向可動接点部材236の垂直部本体226Aの内面からの突出量が調整される。
【0125】
後述するように、ヘッドモジュールY軸方向固定接点部材234とヘッドモジュールY軸方向可動接点部材236とは、ヘッドモジュール210をベースフレーム212に取り付けた際、ベースフレーム212側に設けられる固定接点用ベースフレームY軸方向位置決め部材290と可動接点用ベースフレームY軸方向位置決め部材292とに当接される。これにより、ベースフレーム212に対してヘッドモジュール210がY軸方向に位置決めされる。
【0126】
ヘッドモジュールZ軸方向位置決め手段は、ヘッドモジュールZ軸方向位置決め部材を構成する一対のヘッドモジュールZ軸方向接点部材242で構成される。
【0127】
一対のヘッドモジュールZ軸方向接点部材242は、垂直部226の第1張出部226Bに設けられる。このヘッドモジュールZ軸方向接点部材242は、剛球で構成される。ヘッドモジュールZ軸方向接点部材242は、第1張出部226Bに備えられたヘッドモジュールZ軸方向接点部材挿入穴244に挿入されて、第1張出部226Bに設けられる。ヘッドモジュールZ軸方向接点部材挿入穴244は、Z軸方向に沿って形成され、第1張出部226Bの下面から上面に向かって貫通して形成される。ヘッドモジュールZ軸方向接点部材242は、ヘッドモジュールZ軸方向接点部材挿入穴244に挿入されて、一部が第1張出部226Bの上面から突出可能に設けられる。なお、ヘッドモジュールZ軸方向接点部材挿入穴244は、ヘッドモジュールZ軸方向接点部材242が脱落しないように、第1張出部226Bの上面側が縮径して形成される。
【0128】
ヘッドモジュールZ軸方向接点部材挿入穴244は、ネジ穴で構成される。ヘッドモジュールZ軸方向接点部材挿入穴244には、ヘッドモジュールZ軸方向接点部材位置調整ネジ246が螺合される。ヘッドモジュールZ軸方向接点部材位置調整ネジ246は、いわゆるイモネジで構成される。このヘッドモジュールZ軸方向接点部材位置調整ネジ246のネジ込み量を調整することにより、ヘッドモジュールZ軸方向接点部材242の第1張出部226Bの上面からの突出量が調整される。
【0129】
後述するように、ヘッドモジュールZ軸方向接点部材242は、ヘッドモジュール210をベースフレーム212に取り付けた際、ベースフレーム212側に設けられるベースフレームZ軸方向接点部材294に当接される。これにより、ベースフレーム212に対してヘッドモジュール210がZ軸方向に位置決めされる。
【0130】
なお、一対のヘッドモジュールZ軸方向接点部材242は、その設置間隔(X軸方向の設置間隔)が、ヘッド214の印字領域幅(全体のノズル列の長さ)よりも長くなるように設定することが好ましい。これにより、着座時における安定性が増し、Z軸方向の位置決め精度を向上させることができる。
【0131】
また、一対からなるヘッドモジュールY軸方向固定接点部材234についても同様に、その設置間隔(X軸方向の設置間隔)が、ヘッド214の印字領域幅(全体のノズル列の長さ)よりも長くなるように設定することが好ましい。これにより、着座時における安定性が増し、Y軸方向の位置決め精度を向上させることができる。
【0132】
位置調整手段は、主として、偏芯ローラ248と、プランジャ250と、X軸方向位置決め基準ピン296とで構成される。偏芯ローラ248とプランジャ250とは、ヘッドモジュール210に設けられ、X軸方向位置決め基準ピン296はベースフレーム212に設けられる。
【0133】
偏芯ローラ248とプランジャ250とは、垂直部本体226Aの内面側に配置される。偏芯ローラ248とプランジャ250とは、一定の間隔をもって互いに対向して配置される。
【0134】
偏芯ローラ248は、軸部248Aと、ローラ部248Bとを備えて構成される。軸部248Aは、ローラ部248Bを回転させるための回転軸として機能し、ローラ部248Bに対して偏芯して連結される。このため、軸部248Aを回転させると、ローラ部248Bは偏芯して回転する。
【0135】
偏芯ローラ248の軸部248Aは、垂直部本体226Aの偏芯ローラ取付穴252に挿通される。偏芯ローラ取付穴252は、Y軸方向と平行に設けられる。偏芯ローラ取付穴252は、垂直部本体226Aの外面側から内面側に向けて貫通して設けられる。偏芯ローラ248は、軸部248Aが偏芯ローラ取付穴252に螺合されることにより、垂直部本体226Aに取り付けられる。偏芯ローラ248の軸部248Aの基端部端面には、軸部248Aをスクリュードライバで回転させるための溝(+又は−の溝)が備えられる。垂直部本体226Aに取り付けられた偏芯ローラ248は、スクリュードライバを用いて軸部248Aを回転させることにより、ローラ部248Bが偏芯して回転する。
【0136】
ローラ部248Bには、板バネ254が押圧当接される。板バネ254は、垂直部本体226Aの内面側に配置される。板バネ254は、ローラ部248Bの周面に当接され、ローラ部248Bの周面を押圧する。ローラ部248Bは、この板バネ254によって周面が押圧されることにより、回転に一定の抵抗が付与される。これにより、偏芯ローラ248が不用意に回転するのが防止される。
【0137】
プランジャ250は、X軸方向付勢手段として機能する。プランジャ250は、その軸がX軸に沿って配置され、先端(押圧部)が偏芯ローラ248に対向して配置される。
【0138】
上記のように、偏芯ローラ248とプランジャ250とは一定の間隔をもって互いに対向して配置される。ヘッドモジュール210をベースフレーム212に取り付けると、ベースフレーム側に設けられるX軸方向位置決め基準ピン296が、偏芯ローラ248とプランジャ250との間に嵌入され、偏芯ローラ248とプランジャ250とによって挟持される。プランジャ250は、X軸方向位置決め基準ピン296をX軸方向に押圧する。これにより、ヘッドモジュール210がX軸方向に付勢される。この状態で偏芯ローラ248を回転させると、その回転量に応じてヘッドモジュール210がX軸方向に移動する。
【0139】
ブラケット216の垂直部226には、ヘッドモジュール210をベースフレーム212に取り付ける際に、その取り付けのガイド(モジュールガイド部)として機能するガイド溝256が備えられる。ガイド溝256は、垂直部本体226Aの中央部分に備えられ、Z軸に沿って形成される。また、その上端部が垂直部本体226Aの上面部に開口して形成される。
【0140】
ガイド溝256には、ベースフレーム側に設けられる一対のY軸方向ガイドポスト276(モジュールガイド手段)が嵌入される。このため、ガイド溝256の幅は、Y軸方向ガイドポスト276の幅(直径)とほぼ同じに形成される。
【0141】
ヘッドモジュール210は、ベースフレーム212に取り付ける際、このガイド溝256にY軸方向ガイドポスト276を嵌め込むことにより、その取り付け方向が規制され、ベースフレーム212に対して、一定の姿勢で取り付けられる。
【0142】
ガイド溝256には、先端部分(下端部分)と中央部分に円弧状の拡径部256Aが備えられる。ヘッドモジュール210がベースフレーム212に取り付けられると、ベースフレーム側に設けられる一対のY軸方向ガイドポスト276が、この拡径部256Aに収容される。これにより、ヘッドモジュール210が、ベースフレーム212に対して、その設置位置をX軸方向に微調整可能に支持される。
【0143】
このようにガイド溝256の拡径部256Aは、ヘッドモジュール210の設置位置をX軸方向に微調整可能に支持するために設けられる。したがって、拡径部256Aは、Y軸方向ガイドポスト276に対応して配置され、ヘッドモジュール210をベースフレーム212に取り付けたときに、そのほぼ中央位置にY軸方向ガイドポスト276が収容されるように配置される。
【0144】
本例では、ヘッドモジュール210をベースフレーム212に取り付けたとき、Y軸方向ガイドポスト276の軸を中心とした円を成すように拡径部256Aが形成されている。この円はY軸方向ガイドポスト276の直径よりも大きく形成される。これにより、ヘッドモジュール210をベースフレーム212に取り付けた際、ヘッドモジュール210を所定範囲内で移動可能に支持することができる。また、ヘッドモジュール210をベースフレーム212に取り付ける際にヘッドモジュール210にガタツキを生じさせることなく取り付けることができる。
【0145】
また、ガイド溝256の内壁面には、一対の切欠き部258A、258Bが形成される。この一対の切欠き部258A、258Bには、ブラケット216をベースフレーム212に取り付ける際、ベースフレーム側に設けられるZ軸方向吊り下げロッド278のロック用バー288が係合される。ブラケット216は、この切欠き部258A、258BにZ軸方向吊り下げロッド278のロック用バー288が係合することにより、ベースフレーム212に係止される。切欠き部258A、258Bは、ガイド溝256の内壁面の対向する位置に形成され、それぞれブラケット216の垂直部226の内面側と外面側に所定の深さをもって形成される。すなわち、垂直部226の外面側に一方の切欠き部258Aが形成され、内面側に他方の切欠き部258Bが形成される。
【0146】
更に、ブラケット216の垂直部226には、ヘッドモジュール210をベースフレーム212に取り付けた際にヘッドモジュール210の変位量(移動量)を検出するための磁石260(検出対象部材)が設けられる。この磁石260は、ベースフレーム212側に設けられる磁気センサ298(検出対象部材を検出するためのセンサ)とともに位置検出手段を構成する。ヘッドモジュール210がベースフレーム212に取り付けられると、この磁石260がベースフレーム212側に設けられる磁気センサ298と対向して配置される。
【0147】
ヘッドモジュール210は以上のように構成される。
【0148】
〈ベースフレーム〉
図11は、ベースフレームの要部の構造を示す正面図である。また、
図12は、ベースフレームの要部の構造を示す側面断面図である。
【0149】
ベースフレーム212は、主として、上部フレーム部270と、一対の下部フレーム部272A、272Bとで構成される。
【0150】
上部フレーム部270は、矩形の板形状を有する。上部フレーム部270は、水平(XY平面と平行)に配設される。
図4に示すように、上部フレーム部270の両端部には、把持部270Aが備えられる。インクジェットヘッド200は、この把持部270Aを把持されて、ヘッドユニット本体34に装着される。したがって、ヘッドユニット本体34に備えられるインクジェットヘッドのホルダ(不図示)には、この把持部270Aを把持する把持手段が備えられる。
【0151】
一対の下部フレーム部272A、272Bは、矩形の板形状を有する。一対の下部フレーム部272A、272Bは、一定の間隔をもって上部フレーム部270の下部に垂直(XZ平面と平行)に配設される。
【0152】
一対の下部フレーム部272A、272Bは、ヘッドモジュール210の取付部として機能する。ヘッドモジュール210は、この一対の下部フレーム部272A、272Bに交互に取り付けられる。すなわち、一方の下部フレーム部272Aを第1の下部フレーム(第1取付部)、他方の下部フレーム部272Bを第2の下部フレーム(第2取付部)とすると、第1番目のヘッドモジュール210は第1の下部フレーム部272Aに取り付けられ、その隣に配置される第2番目のヘッドモジュール210は第2の下部フレーム部272Bに取り付けられる。また、第2番目のヘッドモジュール210の隣に配置される第3番目のヘッドモジュール210は第1の下部フレーム部272Aに取り付けられ、その隣に配置される第4番目のヘッドモジュールは第2の下部フレーム部272Bに取り付けられる。このように、ヘッドモジュール210は、第1の下部フレーム部272Aと第2の下部フレーム部272Bとに交互に取り付けられる。この結果、隣り合うヘッドモジュール210の間で各ヘッドモジュール210のブラケット216の垂直部226が、ベースフレーム212に対して互い違いに配置される。
【0153】
ベースフレーム212には、ヘッドモジュール210を支持するためヘッドモジュール支持手段(支持手段)が設けられる。ヘッドモジュール支持手段は、ヘッドモジュールごとに用意される。上記のように、ヘッドモジュール210は、一対の下部フレーム部272A、272Bに交互に取り付けられるので、ヘッドモジュール支持手段は、一対の下部フレーム部272A、272Bに交互に設けられる。したがって、ヘッドモジュール支持手段の設置間隔(X軸方向の設置間隔)は、各下部フレーム部272A、272Bに取り付けられるヘッドモジュール210の設置間隔(X軸方向の設置間隔)と一致する。
【0154】
ヘッドモジュール支持手段は、一対のY軸方向ガイドポスト276とZ軸方向吊り下げロッド278とで構成される。
【0155】
一対のY軸方向ガイドポスト276は、上下方向(Z軸方向)に一定の間隔をもって並列して配置される。Y軸方向ガイドポスト276は、円柱状に形成される。Y軸方向ガイドポスト276は、頂部にフランジ部276Aを有する。Y軸方向ガイドポスト276は、下部フレーム部272A、272Bの外側面から突出して設けられ、Y軸方向と平行に配設される。Y軸方向ガイドポスト276の幅(直径)は、ガイド溝256の幅とほぼ同じに形成される。
【0156】
上記のように、ヘッドモジュール210は、ベースフレーム212に取り付ける際、そのブラケット216の垂直部226に形成されたガイド溝256を一対のY軸方向ガイドポスト276に嵌めて取り付ける。Y軸方向ガイドポスト276の幅(直径)は、ガイド溝256の幅とほぼ同じに形成されるので、取り付ける際にガタツクことなく取り付けることができる。
【0157】
一対のY軸方向ガイドポスト276には、それぞれY軸方向押圧板280が備えられる。Y軸方向押圧板280はリング状に形成される。Y軸方向押圧板280は、その内周部にY軸方向ガイドポスト276が挿通されて、Y軸方向ガイドポスト276に設けられる。
【0158】
また、一対のY軸方向ガイドポスト276には、それぞれY軸方向付勢手段としてのY軸方向押圧バネ282が備えられる。Y軸方向押圧バネ282は、その内周部にY軸方向ガイドポスト276が挿通されて、Y軸方向ガイドポスト276に設けられる。Y軸方向押圧バネ282は、Y軸方向ガイドポスト276のフランジ部276AとY軸方向押圧板280との間に配置される。
【0159】
上記のように、ヘッドモジュール210は、ベースフレーム212に取り付ける際、ガイド溝256に一対のY軸方向ガイドポスト276が嵌め込まれる。一対のY軸方向ガイドポスト276は、ガイド溝256に嵌め込まれると、Y軸方向押圧板280がブラケット216の垂直部226に係合する。Y軸方向押圧板280は、Y軸方向押圧バネ282によってY軸方向に付勢されているので、ヘッドモジュール210は、このY軸方向押圧板280によってベースフレーム212に向けて押圧される。
【0160】
ここで、一対のY軸方向ガイドポスト276は、上記のように上下方向に一定の間隔をもって配置されるが、各Y軸方向ガイドポスト276に備えられるY軸方向押圧バネ282は付勢力が異なるもの、すなわち、バネ定数が異なるものが使用される。具体的には、下側のY軸方向ガイドポスト276に備えられるY軸方向押圧バネ282の方が、上側のY軸方向ガイドポスト276に備えられるY軸方向押圧バネ282よりもバネ定数が大きいものが使用される。この結果、下側のY軸方向ガイドポスト276に備えられるY軸方向押圧板280による押圧力の方が上側のY軸方向ガイドポスト276に備えられるY軸方向押圧板280による押圧力よりも大きくなる。これはX軸方向の取付位置の調整時において、ヘッドモジュール210が傾くのを防止するためである。すなわち、位置調整手段に近い下側のY軸方向ガイドポスト276に備えられるY軸方向押圧バネ282のバネ定数を大きくすることにより、X軸方向の取付位置調整時における回転モーメントの中心が位置調整手段の近くに設定され、ヘッドモジュール210が傾くのを防止することができる(上側のY軸方向ガイドポスト276に備えられるY軸方向押圧バネ282のバネ定数を大きくすると、ヘッドモジュール210の上側が動きにくくなり、傾きやすくなる。)。
【0161】
なお、本例のインクジェットヘッド200では、下側のY軸方向ガイドポスト276に近接して位置調整手段が設けられているので、下側のY軸方向ガイドポスト276に備えられるY軸方向押圧バネ282のバネ定数を上側のY軸方向ガイドポスト276に備えられるY軸方向押圧バネ282のバネ定数よりも大きくしているが、上側のY軸方向ガイドポスト276に近接して位置調整手段が設けられている場合は、上側のY軸方向ガイドポスト276に備えられるY軸方向押圧バネ282のバネ定数を下側のY軸方向ガイドポスト276に備えられるY軸方向押圧バネ282のバネ定数よりも大きくする。すなわち、位置調整手段のより近くに設置されるY軸方向ガイドポスト276のY軸方向押圧バネ282のバネ定数を他方側のY軸方向ガイドポスト276のY軸方向押圧バネ282のバネ定数よりも大きくする。これにより、X軸方向の取付位置の調整時におけるヘッドモジュール210の傾きを防止することができる。
【0162】
Z軸方向吊り下げロッド278は、円柱状に形成される。Z軸方向吊り下げロッド278は、頂部にツマミ部278Aを有する。Z軸方向吊り下げロッド278は、Z軸方向と平行に配設される。上部フレーム部270には、このZ軸方向吊り下げロッド278を取り付けるためのZ軸方向吊り下げロッド挿通穴284が形成される。Z軸方向吊り下げロッド挿通穴284は、Z軸方向に沿って形成され、上部フレーム部270の上面部から下面部に貫通して形成される。Z軸方向吊り下げロッド278は、このZ軸方向吊り下げロッド挿通穴284に挿通されて、上部フレーム部270に取り付けられる。
【0163】
上部フレーム部270に取り付けられたZ軸方向吊り下げロッド278は、下部フレーム部272A、272Bの外側面の前方に配置される。
【0164】
また、Z軸方向吊り下げロッド278は、一対のY軸方向ガイドポスト276と同一直線上に配置され、一対のY軸方向ガイドポスト276の上方に配置される。したがって、ヘッドモジュール210をベースフレーム212に取り付けると、Z軸方向吊り下げロッド278は、ガイド溝256内に収容される。
【0165】
Z軸方向吊り下げロッド278には、Z軸方向付勢手段としてのZ軸方向押圧バネ286が備えられる。Z軸方向押圧バネ286は、その内周部にZ軸方向吊り下げロッド278が挿通されて、Z軸方向吊り下げロッド278に設けられる。Z軸方向押圧バネ286は、Z軸方向吊り下げロッド278のツマミ部278Aと上部フレーム部270との間に設けられる。この結果、Z軸方向吊り下げロッド278は、Z軸方向押圧バネ286の付勢力によって上方に付勢される(上部フレーム部270に向けて引き上げる方向に付勢される。)。
【0166】
また、Z軸方向吊り下げロッド278には、先端(下端)にロック用バー288が備えられる。ロック用バー288は、Z軸方向吊り下げロッド278の先端から左右に突出して設けられる(Z軸方向吊り下げロッド278の軸方向に対して直交して設けられる)。ロック用バー288は、ガイド溝256の幅よりも長く形成される。ロック用バー288は、ヘッドモジュール210側のガイド溝256に形成された切欠き部258A、258Bに嵌め込まれて、ヘッドモジュール210を係止する。
【0167】
切欠き部258A、258Bへのロック用バー288の嵌め込みは、Z軸方向吊り下げロッド278を回転させることにより行われる。すなわち、上記のように、ロック用バー288は、ガイド溝256の幅よりも長く形成されているので、ガイド溝256の幅方向(X軸方向)と同じ方向に向けた状態でヘッドモジュール210をベースフレーム212に取り付けると、ロック用バー288がガイド溝256の入口部(上端部)に当接し、ヘッドモジュール210を取り付けることができない。
【0168】
そこで、ヘッドモジュール210をベースフレーム212に取り付ける際は、ロック用バー288がガイド溝256の内壁面に接触しない位置に位置させておき、この状態でヘッドモジュール210をベースフレーム212に取り付ける。そして、ヘッドモジュール210がベースフレーム212に取り付けられて、ロック用バー288が切欠き部258A、258Bの形成位置に位置したところで、Z軸方向吊り下げロッド278を回転させる。これにより、ロック用バー288が切欠き部258A、258Bに嵌まり込む。
【0169】
なお、上記のように、ロック用バー288は、その軸方向の向きがガイド溝256の幅方向(X軸方向)と平行になると、切欠き部258A、258Bに嵌まり込む。このときのロック用バー288の位置をロック位置とする。
【0170】
一方、ロック用バー288は、その軸方向の向きがガイド溝256の幅方向(X軸方向)と直交すると、ガイド溝256の内壁面に接触しなくなる(切欠き部258A、258Bから外れる。)。このときのロック用バー288の位置をロック解除位置とする。
【0171】
Z軸方向吊り下げロッド278は、Z軸方向押圧バネ286によって上方に付勢されているので、ロック用バー288が切欠き部258A、258Bに嵌め込まれると、ロック用バー288は、切欠き部258A、258Bに係合する(切欠き部258A、258Bの内周部の天井面に係合する。)。これにより、ベースフレーム212に取り付けられたヘッドモジュール210が上方に向けて付勢される。
【0172】
ベースフレーム212には、ヘッドモジュール210をベースフレーム212に取り付ける際のY軸方向の位置決めを行うためのベースフレームY軸方向位置決め手段と、Z軸方向の位置決めを行うためのベースフレームZ軸方向位置決め手段とが備えられる。
【0173】
ベースフレームY軸方向位置決め手段は、ベースフレームY軸方向位置決め部材を構成する2つの固定接点用ベースフレームY軸方向位置決め部材290と、同じくベースフレームY軸方向位置決め部材を構成する1つの可動接点用ベースフレームY軸方向位置決め部材292とで構成される。
【0174】
2つの固定接点用ベースフレームY軸方向位置決め部材290は、それぞれ剛性を有するピン(たとえば、ステンレス製のピン)で構成され、ヘッドモジュールY軸方向固定接点部材234よりも高硬度で構成される。2つの固定接点用ベースフレームY軸方向位置決め部材290は、それぞれ下部フレーム部272A、272Bの下面部から下方(Z軸方向下向き)に向けて突出して設けられる。2つの固定接点用ベースフレームY軸方向位置決め部材290は、ヘッドモジュール210側に設けられる2つのヘッドモジュールY軸方向固定接点部材234の設置間隔と同じ間隔で設けられ、ヘッドモジュール210をベースフレーム212に取り付けた際、2つのヘッドモジュールY軸方向固定接点部材234が周面に当接する位置に設けられる。すなわち、2つの固定接点用ベースフレームY軸方向位置決め部材290は、ヘッドモジュール210側に設けられる2つのヘッドモジュールY軸方向固定接点部材234に対応して設けられる。
【0175】
可動接点用ベースフレームY軸方向位置決め部材292は、剛性を有するピン(たとえば、ステンレス製のピン)で構成され、ヘッドモジュールY軸方向可動接点部材236よりも高硬度で構成される。可動接点用ベースフレームY軸方向位置決め部材292は、下部フレーム部272A、272Bの外側面に形成された凹部内に収容されて下部フレーム部272A、272Bに配置される。この可動接点用ベースフレームY軸方向位置決め部材292は、Y軸方向と平行に配置される。可動接点用ベースフレームY軸方向位置決め部材292は、ヘッドモジュール210をベースフレーム212に取り付けた際、その先端面にヘッドモジュール210側のヘッドモジュールY軸方向可動接点部材236が当接する位置に設けられる。すなわち、可動接点用ベースフレームY軸方向位置決め部材292は、ヘッドモジュール210側に設けられるヘッドモジュールY軸方向可動接点部材236に対応して設けられる。
【0176】
上記のように、ヘッドモジュール210は、ベースフレーム212に取り付けられると、Y軸方向ガイドポスト276に備えられたY軸方向押圧板280によってベースフレーム212に向けて押圧される。したがって、ヘッドモジュール210をベースフレーム212に取り付けると、ヘッドモジュール210側に設けられた2つのヘッドモジュールY軸方向固定接点部材234が、ベースフレーム212側に設けられた2つの固定接点用ベースフレームY軸方向位置決め部材290に押圧当接される。また、ヘッドモジュール210側に設けられたヘッドモジュールY軸方向可動接点部材236が、ベースフレーム212側に設けられた可動接点用ベースフレームY軸方向位置決め部材292に押圧当接される。これにより、ベースフレーム212に取り付けられたヘッドモジュール210が、ベースフレーム212に対してY軸方向に位置決めされる。
【0177】
なお、上記のように、固定接点用ベースフレームY軸方向位置決め部材290は、ヘッドモジュールY軸方向固定接点部材234よりも高硬度で構成され、可動接点用ベースフレームY軸方向位置決め部材292は、ヘッドモジュールY軸方向可動接点部材236よりも高硬度で構成される。これにより、位置決め時の位置安定性が向上し、ヘッドモジュール210を交換したときの繰り返し精度を向上させることができる。
【0178】
高硬度にする手法としては、素材に高硬度のものを使用したり、表面処理を施すことにより高硬度にする方法などを採用することができる。
【0179】
ベースフレーム212に対するヘッドモジュール210のZ軸方向の位置決めを行うためのベースフレームZ軸方向位置決め手段は、一対のベースフレームZ軸方向接点部材294で構成される。
【0180】
一対のベースフレームZ軸方向接点部材294は、剛性を有するピン(たとえば、ステンレス製のピン)で構成され、ヘッドモジュールZ軸方向接点部材242よりも高硬度に形成される。一対のベースフレームZ軸方向接点部材294は、それぞれ下部フレーム部272A、272Bの外側面から突出して設けられ、Y軸方向と平行に配設される。一対のベースフレームZ軸方向接点部材294は、ヘッドモジュール210側に設けられる一対のヘッドモジュールZ軸方向接点部材242の設置間隔と同じ間隔で設けられ、ヘッドモジュール210をベースフレーム212に取り付けた際、一対のヘッドモジュールZ軸方向接点部材242が当接する位置に設けられる。すなわち、一対のベースフレームZ軸方向接点部材294は、ヘッドモジュール210側に設けられるヘッドモジュールZ軸方向接点部材242に対応して設けられる。
【0181】
上記のように、ヘッドモジュール210は、ベースフレーム212に取り付けられると、Z軸方向吊り下げロッド278に備えられたZ軸方向押圧バネ286の作用で上方に向けて付勢される。したがって、ヘッドモジュール210をベースフレーム212に取り付けると、ヘッドモジュール210に設けられた一対のヘッドモジュールZ軸方向接点部材242が、ベースフレーム212に設けられた一対のベースフレームZ軸方向接点部材294に当接される。これにより、ベースフレーム212に対してヘッドモジュール210がZ軸方向に位置決めされる。
【0182】
なお、上記のように、ベースフレームZ軸方向接点部材294は、ヘッドモジュールZ軸方向接点部材242よりも高硬度に形成される。これにより、位置決め時の位置安定性が向上し、ヘッドモジュール210を交換したときの繰り返し精度を向上させることができる。
【0183】
高硬度にする手法としては、素材に高硬度のものを使用したり、表面処理を施すことにより高硬度にする方法などを採用することができる。
【0184】
ベースフレーム212には、位置調整手段の一構成部材であるX軸方向位置決め基準ピン296が設けられる。X軸方向位置決め基準ピン296は、剛性を有するピン(たとえば、ステンレス製のピン)で構成され、下部フレーム部272A、272Bの下面部から下方(Z軸方向下向き)に向けて突出して設けられる。X軸方向位置決め基準ピン296は、ヘッドモジュール210をベースフレーム212に取り付けた際、ヘッドモジュール210側に設けられた偏芯ローラ248とプランジャ250と間に嵌入される位置に配置される。
【0185】
ヘッドモジュール210がベースフレーム212に取り付けられると、X軸方向位置決め基準ピン296が偏芯ローラ248とプランジャ250と
の間に嵌入されて両者に挟持される。この状態で偏芯ローラ248を回転させると、ベースフレーム212に対してヘッドモジュール210がX軸方向に変位する。
【0186】
更に、ベースフレーム212には、ヘッドモジュール210側に設けられる磁石260とともに位置検出手段を構成する磁気センサ298が設けられる。磁気センサ298は、下部フレーム部272A、272Bに設けられる。下部フレーム部272A、272Bには、所定位置に磁気センサ装着部300が設けられる。磁気センサ298は、この磁気センサ装着部300に取り付けられる。磁気センサ装着部300に取り付けられた磁気センサ298は、ヘッドモジュール210がベースフレーム212に取り付けられると、ヘッドモジュール210側に設けられた磁石260と対向する位置に配置される。
【0187】
ベースフレーム212に取り付けられたヘッドモジュール210を位置調整手段によってX軸方向に変位させると、その変位量が磁気センサ298によって検出される。この磁気センサ298によって検出された変位量の情報は、システムコントローラ100に出力される。
【0188】
なお、ベースフレーム212は、図示しない電装部を備え、この電装部を介して、システムコントローラ100と各種データの送受信が行われる。電装部には、磁気センサ298の動作を制御するセンサ制御回路、システムコントローラ100と通信を行うための通信制御回路等が備えられる。また、ベースフレームメモリ110は、この電装部に備えられ、その読み書きを制御する制御回路も電装部に備えられる。
【0189】
電装部は、図示しないケーブルを備える。ヘッドユニット本体34に搭載されたインクジェットヘッド200のベースフレーム212は、このケーブルを介してヘッドユニット本体34と電気的に接続される。これにより、インクジェット記録装置10のシステムコントローラ100とベースフレーム212との間で各種データの送受信を行うことが可能になる。
【0190】
ベースフレーム212は以上のように構成される。
【0191】
なお、ベースフレーム212の素材については、特に限定されないが、ヘッドモジュール210を高精度に取り付けられるようにするため、熱の影響を受けにくい素材を使用することが好ましい。具体的には、鉄系の線膨張率(約15ppm/℃)よりも低い線膨張率10ppm/℃以下の素材で形成することが好ましい。これにより、熱の影響でヘッドモジュール210の取付位置が変わるのを防止することができる。このような素材としては、たとえば、セラミックスやインバー、スーパーインバーを用いることができる。
【0192】
《インクジェットヘッドの組立方法》
次に、インクジェットヘッド200の組立方法について説明する。
【0193】
上記のように、ベースフレーム212には、ヘッドモジュール支持手段が備えられており、このヘッドモジュール支持手段を用いてヘッドモジュール210がベースフレーム212に取り付けられる。
【0194】
ヘッドモジュール支持手段は、一対の下部フレーム部272A、272Bに交互に備えられている。したがって、ヘッドモジュール210は、一対の下部フレーム部272A、272Bに交互に取り付けられる。取り付け方法自体は、どの場所でも同じなので、ここでは下部フレーム部272Aに取り付ける場合について説明する。
【0195】
ヘッドモジュール210は、ベースフレーム212の下部から上方に押し上げる動作によって、ベースフレーム212に取り付けられる。
【0196】
まず、ベースフレーム212の下方位置において、ヘッドモジュール210のブラケット216の水平部224をベースフレーム212の上部フレーム部270と平行な姿勢にする。また、ブラケット216の垂直部226をベースフレーム212の下部フレーム部272Aと平行な姿勢にする。この状態でヘッドモジュール210のブラケット216に形成されたガイド溝256の位置をベースフレーム212の下部フレーム部272Aに設けられたY軸方向ガイドポスト276の位置に合わせる。
【0197】
次に、
図13、
図14に示すように、Y軸方向ガイドポスト276がガイド溝256に嵌まるように、ヘッドモジュール210をベースフレーム212に向けて押し上げる。Y軸方向ガイドポスト276がガイド溝256に嵌まると、そのY軸方向ガイドポスト276をガイドとして、ヘッドモジュール210が垂直に押し上げられる。これにより、取り付け時のブレやガタツキを防止することができ、ヘッドモジュール210が他の部材(取り付け済みのヘッドモジュール210など)に接触するのを防止することができる。
【0198】
Y軸方向ガイドポスト276をガイド溝256に嵌めて、ヘッドモジュール210を押し上げると、ベースフレーム212に設けられたZ軸方向吊り下げロッド278がガイド溝256に収容される。
【0199】
ここで、Z軸方向吊り下げロッド278には、ロック用バー288が備えられている。ヘッドモジュール210をベースフレーム212に取り付ける際は、ロック用バー288がガイド溝256の内壁面に接触しないように、ロック用バー288をロック解除位置に位置させる。これにより、ロック用バー288がガイド溝256の入口部分に接触して、ヘッドモジュール210の移動を阻害するのを防止することができる。
【0200】
以上のようにしてヘッドモジュール210をベースフレーム212に向けて押し上げると、ヘッドモジュール210のブラケット216に設けられた一対のヘッドモジュールZ軸方向接点部材242が、ベースフレーム212に設けられた一対のベースフレームZ軸方向接点部材294に当接される。そして、この一対のヘッドモジュールZ軸方向接点部材242が、ベースフレーム212に設けられた一対のベースフレームZ軸方向接点部材294に当接されると、ヘッドモジュール210のガイド溝256に形成された一対の切欠き部258A、258Bが、Z軸方向吊り下げロッド278に設けられたロック用バー288の設置位置に位置する。この状態でZ軸方向吊り下げロッド278を回転させ、ロック用バー288をロック位置に位置させる。これにより、ロック用バー288が切欠き部258A、258Bに嵌まり込み、ロック用バー288が切欠き部258A、258Bの内周部の天井面に係止される。これにより、ヘッドモジュール210が、Z軸方向吊り下げロッド278に吊り下げられた状態でベースフレーム212に取り付けられる。
【0201】
ここで、Z軸方向吊り下げロッド278にはZ軸方向押圧バネ286が備えられている。このため、Z軸方向吊り下げロッド278に係止されると、ヘッドモジュール210はZ軸方向押圧バネ286の作用で上方に向けて押し上げられる。この結果、ヘッドモジュール210に設けられた一対のヘッドモジュールZ軸方向接点部材242が、ベースフレーム212に設けられた一対のベースフレームZ軸方向接点部材294に当接される。これにより、ヘッドモジュール210がベースフレーム212に対してZ軸方向に位置決めされる。
【0202】
また、ガイド溝256に嵌められた一対のY軸方向ガイドポスト276には、Y軸方向押圧バネ282が備えられている。Y軸方向押圧バネ282は、Y軸方向押圧板280を介して、ヘッドモジュール210をベースフレーム212に向けて押圧する。この結果、ヘッドモジュール210に設けられたヘッドモジュールY軸方向固定接点部材234とヘッドモジュールY軸方向可動接点部材236とが、ベースフレーム212に設けられた固定接点用ベースフレームY軸方向位置決め部材290と可動接点用ベースフレームY軸方向位置決め部材292とに押圧当接される。これにより、ヘッドモジュール210がベースフレーム212に対してY軸方向に位置決めされる。
【0203】
なお、ヘッドモジュールZ軸方向接点部材242がベースフレームZ軸方向接点部材294に当接されると、Y軸方向ガイドポスト276が、ガイド溝256に形成された拡径部256Aに収容される。これにより、ヘッドモジュール210がX軸方向に変位可能な状態でベースフレーム212に取り付けられる。
【0204】
なお、ヘッドモジュールZ軸方向接点部材242及びヘッドモジュールY軸方向可動接点部材236は位置調整が可能であるが、この位置調整は事前に行っておくことが好ましい(たとえば、工場出荷時に実施)。
【0205】
以上により、ヘッドモジュール210がベースフレーム212に取り付けられる。この作業を全てのヘッドモジュール210に対して行う。上記のように、ヘッドモジュール210は、ベースフレーム212に交互に取り付けられるので、取り付けは交互に行われる。
【0206】
なお、取り付けはベースフレーム212の一方端から他方端に向けて順に、あるいは、中央から端に向けて順に行うことが好ましい。この際、最初に取り付けるヘッドモジュール210は、X軸方向の変位量の調整範囲の中央値(±0:移動範囲の中心位置)に合わせ込んで取り付ける。これにより、以降のヘッドモジュール210の取付位置が調整範囲から外れるリスクを減らすことができ、調整範囲を無駄に大きく取るのを防ぐことができる。
【0207】
ヘッドモジュール210が取り付けられたベースフレーム212は、ヘッドユニット本体34に備えられたホルダ(不図示)に装着されて、インクジェット記録装置10に搭載される。
【0208】
《ヘッドモジュールの位置決め方法》
上記の取り付け作業により、ヘッドモジュール210がベースフレーム212に取り付けられる。しかし、この取り付けはラフな取り付け(仮取り付け)である。この後、隣り合うヘッドモジュール間で間隔が精緻に調整されて、ヘッドモジュール210の繋ぎ目の部分でノズル列に隙間が生じないようにする。すなわち、各ヘッドモジュール210の位置決めが行われる。以下、ヘッドモジュール210の位置決め方法について説明する。
【0209】
ヘッドモジュール210の位置決めは、まず、ベースフレーム212に取り付けられた各ヘッドモジュール210の相対的な位置関係を検出する(たとえば、隣接するヘッドモジュール210のノズルの間隔を検出する。)。そして、その検出結果に基づいて、各ヘッドモジュール210の間隔が許容範囲内に収まるように、各ヘッドモジュール210のX軸方向の取付位置を調整することにより行われる(隣接するヘッドモジュールの間のノズルの間隔が許容範囲内に収まるように、各ヘッドモジュール210のX軸方向の取付位置を調整する。)。
【0210】
ここで、ベースフレーム212に取り付けられた各ヘッドモジュール210の相対的な位置関係の検出は、たとえば、所定のテストパターンをプリントすることにより行われる。すなわち、ヘッドモジュール210が組み付けられたインクジェットヘッド200をインクジェット記録装置に搭載し、所定のテストパターンをメディアに記録させる。そして、得られたテストパターンの画像から各ヘッドモジュール210の相対的な位置関係を検出する。具体的には、メディアに記録されたテストパターンの画像をスキャナで読み取り、読み取った画像のデータを処理して、各ヘッドモジュール210の相対的な位置関係、すなわち、両端のノズルの位置関係を検出する。
【0211】
この他、インクジェットヘッド200のノズル面222を電子カメラで撮影し、得られた画像データを処理して、各ヘッドモジュール210の相対的な位置関係を検出することもできる。
【0212】
このようにして、各ヘッドモジュール210の相対的な位置関係を検出した後、位置調整手段を用いて各ヘッドモジュール210の取付位置の微調整を行う。すなわち、隣り合うヘッドモジュール210の間隔が、あらかじめ設定された許容範囲に収まるように、各ヘッドモジュール210のX軸方向の位置調整を行う。
【0213】
位置調整手段によるX軸方向の位置調整は、各ヘッドモジュール210に備えられた偏芯ローラ248を回転させることにより行われる。偏芯ローラ248はスクリュードライバを利用して回転させる。すなわち、偏芯ローラ248の軸部248Aの基端部端面には、スクリュードライバ用の溝が形成されているので、その溝にスクリュードライバの先端を嵌め、スクリュードライバで軸部248Aを回転させて、偏芯ローラ248を回転させる。
【0214】
偏芯ローラ248の軸部を回転させると、偏芯ローラ248が偏芯回転する。そして、この偏芯ローラ248が偏芯回転することにより、ヘッドモジュール210がX軸方向位置決め基準ピン296を基準としてX軸方向に移動する。
【0215】
ここで、ヘッドモジュール210がX軸方向に移動すると、その変位量が磁気センサ298によって検出される。検出された変位量の情報は、インクジェット記録装置10のシステムコントローラ100に出力される。システムコントローラ100は、得られた変位量の情報を表示部104に出力する。オペレータは、この表示部104に表示される変位量の情報に基づいて、偏芯ローラ248を必要量回転させる。
【0216】
なお、各ヘッドモジュール210の補正量は、各ヘッドモジュール210の相対的な位置関係から定められる。すなわち、隣り合うヘッドモジュール210の間隔が、あらかじめ設定された許容範囲に収まるように、各ヘッドモジュール210の取付位置の補正量が求められる。
【0217】
システムコントローラ100は、各ヘッドモジュール210の相対的な位置の情報(ヘッドモジュール位置情報)を取得し、隣り合うヘッドモジュール210の間隔を許容範囲に収めるための補正量を算出する。算出された各ヘッドモジュール210の取付位置の補正量の情報は、たとえば、インクジェット記録装置10の表示部104に表示される。オペレータは、この表示部に表示される補正量の情報に基づいて、ヘッドモジュール210を移動させ、ヘッドモジュール210の取付位置を調整する。
【0218】
以上一連の作業でヘッドモジュール210の取り付け、位置調整(位置決め)が完了する。
【0219】
《ヘッドモジュールの取り外し方法》
ヘッドモジュール210の取り外しは次のように行われる。
【0220】
ヘッドモジュール210は、Z軸方向吊り下げロッド278のロック用バー288が、ブラケット216の切欠き部258A、258Bに係合することにより、ベースフレーム212に取り付けられる。
【0221】
まず、このロック用バー288の係合を解除する。すなわち、Z軸方向吊り下げロッド278を回転させてロック用バー288をロック解除位置に移動させる。これにより、ロック用バー288が切欠き部258A、258Bから外れ、ヘッドモジュール210とロック用バー288との係合が解除される。
【0222】
ヘッドモジュール210とロック用バー288との係合の解除後、ヘッドモジュール210を下向きに引き下げる。これにより、ヘッドモジュール210がベースフレーム212から取り外される。
【0223】
なお、ヘッドモジュール210を引き下げる際、一対のY軸方向ガイドポスト276がガイドの役割を果たすので、他のヘッドモジュール210に接触したりすることなく、ヘッドモジュール210を取り外すことができる。
【0224】
《ヘッドモジュール交換方法》
上記のように、各ヘッドモジュール210はベースフレーム212に着脱自在に取り付けられている。したがって、特定のヘッドモジュール210にだけ不具合が生じた場合には、その不具合が生じたヘッドモジュール210のみを交換することができる。この交換が行われた場合、再度、ヘッドモジュール210の位置決めが行われる。すなわち、ヘッドモジュール210は、規格化されているが、製造誤差などによりノズル位置等にバラツキがある。したがって、不具合が生じたヘッドモジュールを取り外した後、その位置に新たなヘッドモジュールを取り付けても、必ずしも同じ位置にノズルが配置されるとは限らない。このため、ヘッドモジュール210を交換したときは、再度位置決めの操作が行われる。本実施の形態のインクジェット記録装置10では、この交換時の位置決め操作を次の手順で実施する。
【0225】
まず、交換したヘッドモジュール210の位置調整を行うためのX軸方向位置決め基準ピン296の位置の情報と、交換したヘッドモジュール210のノズル面に備えられているノズルの位置の情報を取得する。そして、得られた情報に基づいて、交換したヘッドモジュール210のノズルの位置(ベースフレーム212上でのノズルの位置)を算出する。
【0226】
次に、ベースフレーム212に取り付けられている各ヘッドモジュール210のノズルの位置(ベースフレーム212上でのノズルの位置)の情報を取得する。そして、先に算出した交換したヘッドモジュール210のノズルの位置(ベースフレーム212上でのノズルの位置)の情報に基づいて、交換したヘッドモジュール210と、その交換したヘッドモジュール210に隣接するヘッドモジュール210との間隔を算出する。具体的には、交換したヘッドモジュール210の一端に位置するノズルと、交換したヘッドモジュール210の一端側に隣接するヘッドモジュール210の一端(交換したヘッドモジュール側の端部)に位置するノズルとの間の距離と、交換したヘッドモジュール210の他端に位置するノズルと、交換したヘッドモジュール210の他端側に隣接するヘッドモジュール210の一端(交換したヘッドモジュール側の端部)に位置するノズルとの間の距離とを算出する。
【0227】
次に、算出した距離が、あらかじめ設定された許容範囲を収まるようにするための、ヘッドモジュール210の取付位置の補正量を算出する。
【0228】
そして、算出された位置の補正量の情報に従って交換したヘッドモジュール210の取付位置を調整する。
【0229】
このように、本実施の形態のインクジェット記録装置10では、交換後のヘッドモジュール210の取付位置の補正情報を演算により取得する。
【0230】
以下、本実施の形態のインクジェット記録装置10によるヘッドモジュール210の交換方法を詳述する。
【0231】
上記のように、本実施の形態のヘッドモジュール210の交換方法では、あらかじめX軸方向位置決め基準ピン296の位置の情報と、各ヘッドモジュール210のノズル面に備えられているノズルの位置の情報と、ベースフレーム212に取り付けられている各ヘッドモジュール210のノズルの位置の情報(ベースフレーム212上でのノズルの位置の情報)とが必要とされる。
【0232】
図15は、X軸方向位置決め基準ピンの位置の概念を表す模式図である。
【0233】
本実施の形態のインクジェットヘッド200は、17個のヘッドモジュール210を一列に繋ぎ合わせて構成されている。このため、ベースフレーム212には、17個のヘッドモジュール支持手段が備えられる。そして、各ヘッドモジュール支持手段に対応して、X軸方向位置決め基準ピン296が備えられる。
【0234】
各X軸方向位置決め基準ピン296の位置は、中央のX軸方向位置決め基準ピン296の位置を基準にして検出される。すなわち、各X軸方向位置決め基準ピン296の位置は、中央のX軸方向位置決め基準ピン296からの距離の情報として取得される。
【0235】
ここで、ベースフレーム212に備えられる各X軸方向位置決め基準ピン296をベースフレーム212の一端(
図15の左端)から順にBP(1)、BP(2)、…、BP(17)とナンバリングし、各X軸方向位置決め基準ピンBP(1)、BP(2)、…、BP(17)の位置をXB(1)、XB(2)、…、XB(17)とすると、各位置XB(1)、XB(2)、…、XB(17)は、各X軸方向位置決め基準ピンBP(1)、BP(2)、…、BP(17)と、中央のX軸方向位置決め基準ピンBP(9)との間の距離(X軸方向の距離)として求められる。したがって、中央のX軸方向位置決め基準ピンBP(9)の位置はゼロとなる。
【0236】
なお、
図15では、説明の便宜上、各X軸方向位置決め基準ピンBP(n)の中心の位置を各X軸方向位置決め基準ピンの位置(支持基準点)としているが、厳密には、ヘッドモジュール210の偏芯ローラ248との接点の位置がX軸方向位置決め基準ピンの位置(支持基準点)とされる。
【0237】
各X軸方向位置決め基準ピンの位置XB(n)は、たとえば、ベースフレーム212を電子カメラで撮影し、その画像データを処理することにより検出する。あるいは、三次元座標測定機を用いて、各X軸方向位置決め基準ピンの位置XB(n)を検出する。
【0238】
このようにして得られた各X軸方向位置決め基準ピンの位置XB(n)の情報は、ベースフレーム212に備えられたベースフレームメモリ110に記憶される。
【0239】
また、この各X軸方向位置決め基準ピンの位置XB(n)の検出は、たとえば、ベースフレームメモリ110の製造段階、工場出荷段階等で実施される。
【0240】
図16は、ヘッドモジュールのノズル面に備えられているノズルの位置の概念を表す模式図である。
【0241】
ヘッドモジュール210のノズル面222に備えられているノズルNの位置の情報は、ノズル列の両端のノズルの位置の情報として取得される。そして、この両端のノズルの位置は、ヘッドモジュール210に設定される特定の基準点からの距離(X軸方向の距離)の情報として取得される。
【0242】
ヘッドモジュール210に設定される特定の基準点には、たとえば、偏芯ローラ248が用いられ、偏芯ローラ248とX軸方向位置決め基準ピン296との接点の位置が特定の基準点に設定される(偏芯ローラ248を変位の調整範囲の中央値(±0)に合わせ込んだ状態での偏芯ローラ248とX軸方向位置決め基準ピン296との接点の位置に基準点が設定される。)。
【0243】
図16に示すように、ノズル列の一端に配置されるノズルをNma(n)、他端に配置されるノズルをNmb(n)とし、ノズルNma(n)の位置をXma(n)、ノズルNmb(n)の位置をXmb(n)とすると、ノズルNma(n)の位置Xma(n)は、基準点からノズルNma(n)までの距離(X軸方向の距離)として取得され、ノズルNmb(n)の位置Xmb(n)は、基準点からノズルNmb(n)までの距離(X軸方向の距離)として取得される。
【0244】
ノズルNma(n)の位置Xma(n)、及び、ノズルNmb(n)の位置Xmb(n)は、たとえば、ノズル面上でのノズルNma(n)、ノズルNmb(n)の位置を検出し、基準点からの距離(X軸方向の距離)を算出することにより取得する。ノズル面上でのノズルNma(n)、ノズルNmb(n)の位置は、ノズル面222を電子カメラで撮影し、得られた画像を処理することにより検出する。また、基準点の位置(偏芯ローラ248を変位の調整範囲の中央値(±0)に合わせ込んだ状態での偏芯ローラ248とX軸方向位置決め基準ピン296との接点の位置)は、たとえば、三次元座標測定機を用いて検出する。
【0245】
このようにして得られたノズルの位置Xma(n)、Xmb(n)の情報は、ヘッドモジュール210に備えられたヘッドモジュールメモリ120に記憶される。
【0246】
このノズルの位置Xma(n)、Xmb(n)の検出は、たとえば、ヘッドモジュール210の製造段階、あるいは、工場出荷段階で実施される。
【0247】
図17は、ベースフレームに取り付けられている各ヘッドモジュールのノズルの位置の概念を表す模式図である。
【0248】
各ヘッドモジュール210は、ベースフレーム212に取り付けられることにより、ベースフレーム212上で一定の位置に配置される。したがって、各ヘッドモジュール210に備えられるノズルもベースフレーム212上で一定の位置に配置される。
【0249】
ベースフレーム212に取り付けられている各ヘッドモジュール210のノズルは、各ヘッドモジュール210のノズル列の両端に位置するノズルの位置(ベースフレーム212上での位置)の情報として取得される。そして、このノズルの位置は、ベースフレーム212に設定される特定の基準点からの距離(X軸方向の距離)の情報として取得される。
【0250】
ベースフレーム212に設定される特定の基準点には、ここでは、中央のX軸方向位置決め基準ピンBP(9)が用いられ、中央のX軸方向位置決め基準ピンBP(9)と、そのX軸方向位置決め基準ピンBP(9)に当接される偏芯ローラ248との接点の位置が基準点に設定される。
【0251】
図17に示すように、ベースフレーム212に取り付けられるヘッドモジュール210をベースフレーム212の一端(
図17の左端)から順にM(1)、M(2)、…、M(17)とナンバリングし、各ヘッドモジュールM(n)に備えられるノズル列の両端に配置されるノズルをNa(1)、Nb(1)、Na(2)、Nb(2)、…、Na(17)、Nb(17)とし、そのノズルNa(1)、Nb(1)、Na(2)、Nb(2)、…、Na(17)、Nb(17)の位置をXa(1)、Xb(1)、Xa(2)、Xb(2)、…、Xa(17)、Xb(17)とすると、各ノズルNa(1)、Nb(1)、Na(2)、Nb(2)、…、Na(17)、Nb(17)の位置Xa(1)、Xb(1)、Xa(2)、Xb(2)、…、Xa(17)、Xb(17)は、中央のX軸方向位置決め基準ピンBP(9)からの距離(X軸方向の距離)として求められる。
【0252】
各ノズルNa(1)、Nb(1)、Na(2)、Nb(2)、…、Na(17)、Nb(17)の位置Xa(1)、Xb(1)、Xa(2)、Xb(2)、…、Xa(17)、Xb(17)は、たとえば、ノズル面上での各ノズルNa(1)、Nb(1)、Na(2)、Nb(2)、…、Na(17)、Nb(17)の位置をノズル位置検出手段で検出し、基準点からの距離(X軸方向の距離)を算出することにより取得する。
【0253】
ノズル位置検出手段は、たとえば、スキャナと画像処理手段とで構成される。この場合、インクジェットヘッドでテストパターンをプリントし、得られたテストパターンの画像をスキャナで読み取る。そして、読み取った画像を画像処理手段で処理し、ノズル位置を検出する。スキャナは、インクジェット記録装置に搭載されていてもよいし、また、機外に設置されていてもよい。
【0254】
ノズル位置検出手段は、この他、たとえば、電子カメラと画像処理手段とで構成することもできる。この場合、インクジェットヘッドのノズル面を電子カメラで撮像し、得られた画像を画像処理手段で処理して、ノズル位置を検出する。
【0255】
また、基準点の位置(中央のX軸方向位置決め基準ピンBP(9)の位置)は、たとえば、三次元座標測定機を用いて検出する。
【0256】
このようにして得られたベースフレーム212上での各ヘッドモジュール210のノズルNa(1)、Nb(1)、Na(2)、Nb(2)、…、Na(17)、Nb(17)の位置Xa(1)、Xb(1)、Xa(2)、Xb(2)、…、Xa(17)、Xb(17)の情報は、インクジェット記録装置10に備えられた記憶装置106に記憶される。
【0257】
このベースフレーム212上での各ヘッドモジュールのノズルの位置Xa(n)、Xb(n)の検出は、インクジェットヘッド200の組立段階、工場出荷段階等で実施される。
【0258】
以上のように、交換したヘッドモジュールM(n)の取付位置の補正量を求めるための情報は、事前に取得され、それぞれ所定の記憶手段に記憶される。
【0259】
すなわち、交換したヘッドモジュールM(n)の取付位置の補正量を求めるためには、ベースフレーム212に備えられる各X軸方向位置決め基準ピンの位置XB(n)の情報(第1の情報)、各ヘッドモジュール210に備えられたノズルの位置Xma(n)、Xmb(n)の情報(第2の情報)、及び、ベースフレーム212上での各ヘッドモジュールM(n)のノズルの位置Xa(n)、Xb(n)の情報(第3の情報)が必要とされるが、ベースフレーム212に備えられる各X軸方向位置決め基準ピンの位置XB(n)の情報は、ベースフレーム212に備えられたベースフレームメモリ110(第1の記憶手段)に記憶され、各ヘッドモジュール210に備えられたノズルの位置Xma(n)、Xmb(n)の情報は、ヘッドモジュールメモリ120(第2の記憶手段)に記憶され、ベースフレーム212上での各ヘッドモジュールM(n)のノズルの位置Xa(n)、Xb(n)の情報は、インクジェット記録装置10に備えられた記憶装置106(第3の記憶手段)に記憶される。
【0260】
インクジェット記録装置10のシステムコントローラ100は、ヘッドモジュールメモリ120の交換が行われると、これらの情報を取得し、交換したヘッドモジュール210を正規の位置に取り付けるために必要な情報を算出する。すなわち、交換したヘッドモジュール210を正規の位置に取り付けるための取付位置の補正量を算出する。
【0261】
図18は、取付位置の補正量を算出する際のシステムコントローラの機能ブロック図である。
【0262】
システムコントローラ100は、所定のプログラムを実行することにより、交換されたヘッドモジュール210を正規の位置に取り付けるための取付位置の補正量を算出する位置補正情報生成手段として機能する。
【0263】
以下、このシステムコントローラ100による取付位置の補正量の算出手順について説明する。
【0264】
ここでは、N番目のヘッドモジュールM(N)が交換されたものと仮定して、以下の説明を行う。
【0265】
N番目のヘッドモジュールM(N)が交換されると、システムコントローラ100は、交換されたヘッドモジュールM(N)に備えられているノズルの位置Xma(N)、Xmb(N)の情報を取得する。また、交換されたヘッドモジュールM(N)のX軸方向位置決め基準ピンの位置XB(N)の情報(N番目のX軸方向位置決め基準ピンの位置XBの情報)を取得する。
【0266】
たとえば、3番目のヘッドモジュールM(3)が交換された場合、そのヘッドモジュールM(3)に備えられているノズルの位置Xma(3)、Xmb(3)の情報と、3番目のX軸方向位置決め基準ピンBP(3)の位置XB(3)の情報を取得する。
【0267】
ノズルの位置Xma(N)、Xmb(N)の情報は、交換されたヘッドモジュールM(N)のヘッドモジュールメモリ120から取得し、X軸方向位置決め基準ピンの位置XB(N)の情報はベースフレームメモリ110から取得する。
【0268】
システムコントローラ100は、取得したノズルの位置Xma(N)、Xmb(N)の情報と、X軸方向位置決め基準ピンの位置XB(N)の情報とから、交換されたヘッドモジュール210のベースフレーム上でのノズルの位置Xa(N)、Xb(N)を算出する。
【0269】
たとえば、3番目のヘッドモジュールM(3)が交換された場合、その3番目のヘッドモジュールM(3)のベースフレーム上でのノズルの位置Xa(3)、Xb(3)を、先に取得したノズルの位置Xma(3)、Xmb(3)の情報と、3番目のX軸方向位置決め基準ピンBP(3)の位置XB(3)の情報とから算出する。
【0270】
次に、システムコントローラ100は、ベースフレーム212上での各ヘッドモジュールM(n)のノズルの位置Xa(n)、Xb(n)の情報を取得する(n=1、2、…、17、但し、交換されたヘッドモジュールM(N)のものを除く)。ベースフレーム212上での各ヘッドモジュールM(N)のノズルの位置Xa(n)、Xb(n)の情報は記憶装置106から取得する。そして、得られたノズルの位置Xa(n)、Xb(n)の情報に基づいて、交換されたヘッドモジュールM(N)に隣接するヘッドモジュールM(N−1)、M(N+1)のノズルの位置の情報を取得する。
【0271】
ここで、交換されたヘッドモジュールM(N)が偶数番のときは、ヘッドモジュールM(N−1)の一方のノズルの位置Xb(N−1)の情報と、ヘッドモジュールM(N+1)の一方のノズルの位置Xa(N+1)の情報とが取得される。
【0272】
また、交換されたヘッドモジュールM(N)が奇数番のときは、ヘッドモジュールM(N−1)の一方のノズルの位置Xa(N−1)の情報と、ヘッドモジュールM(N+1)の一方のノズルの位置Xb(N+1)の情報とが取得される。
【0273】
たとえば、3番目のヘッドモジュールM(3)が交換された場合、2番目のヘッドモジュールM(2)と4番目のヘッドモジュールM(4)のノズルの位置の情報を取得する。ここで、交換されたヘッドモジュールは、奇数のヘッドモジュールなので、2番目のヘッドモジュールM(2)の右端に位置するノズルの位置Xa(2)の情報と、4番目のヘッドモジュールM(4)の左端に位置するノズルの位置Xb(4)の情報とを取得する。
【0274】
次に、システムコントローラ100は、得られたノズルの位置の情報に基づいて、交換されたヘッドモジュールM(N)と、隣接するヘッドモジュールM(N−1)、M(N+1)との間の距離X(N−1)、X(N+1)を算出する。すなわち、隣接するヘッドモジュールのノズルとの間の距離(X軸方向の距離)を算出する。
【0275】
なお、距離X(N−1)は、交換されたヘッドモジュールM(N)の左隣に位置するヘッドモジュールM(N−1)との間の距離(交換されたヘッドモジュールM(N)の左端に位置するノズルと、その交換されたヘッドモジュールM(N)の左隣に位置するヘッドモジュールM(N−1)の右端に位置するノズルとの間の距離)である。
【0276】
また、距離X(N+1)は、交換されたヘッドモジュールM(N)の右隣に位置するヘッドモジュールM(N+1)との間の距離(交換されたヘッドモジュールM(N)の右端に位置するノズルと、その交換されたヘッドモジュールM(N)の左隣に位置するヘッドモジュールM(N+1)の左端に位置するノズルとの間の距離)である。
【0277】
たとえば、3番目のヘッドモジュールM(3)が交換された場合、2番目のヘッドモジュールM(2)と4番目のヘッドモジュールM(4)との間の距離X(2)、X(4)とが算出される。そして、距離X(2)は、Xa(2)−Xa(3)により算出され、距離X(4)は、Xb(4)−Xb(3)により算出される。
【0278】
次に、システムコントローラ100は、得られた距離X(N−1)、X(N+1)の情報に基づいて、交換されたヘッドモジュールM(N)を正規の取付位置に取り付けるための取付位置の補正量ΔXを算出する。すなわち、隣接するヘッドモジュールとの間の距離X(N−1)、X(N+1)が、許容範囲に収まるようにするための位置の補正量ΔXを算出する。
【0279】
たとえば、隣接するヘッドモジュールとの間の距離X(N−1)、X(N+1)が、それぞれX(N−1)=7、X(N+1)=2であり、許容範囲が5±2の場合、補正量は、たとえば、ΔX=−1(左方向への移動量が1)と算出される(ΔX=−4〜−1で設定可能である。この例では、移動量が最小となる値を補正量として算出している。)。この場合、補正後の隣接するヘッドモジュールとの間の距離X(N−1)、X(N+1)は、それぞれX(N−1)=6、X(N+1)=3となる。
【0280】
このように、システムコントローラ100は、得られた距離X(N−1)、X(N+1)の情報に基づいて、交換されたヘッドモジュールM(N)を正規の取付位置に取り付けるための取付位置の補正量ΔXを算出する。そして、算出した補正量ΔXの情報を表示部104に表示する。
【0281】
オペレータは、この表示部104の表示に従って交換したヘッドモジュールM(N)の位置を修正する。すなわち、交換したヘッドモジュールM(N)に備えられた偏芯ローラ248を回転させ、そのヘッドモジュール210の位置を微調整する。
【0282】
ここで、表示部104への補正量の表示態様としては、たとえば、算出した補正量を数値として表示する態様の他、インジケータの形態で表示させることもできる。この場合、インジケータには、補正方向のみを示し(+方向、−方向)、隣接するヘッドモジュールとの間隔が許容範囲に収まると、収まったことを示す表示を出力するようにすることもできる(たとえば、許容範囲に収まると、所定のランプを点灯させる。)。システムコントローラ100は、磁気センサ298で検出されるヘッドモジュールM(N)の変位量の情報に基づいて、許容範囲に収まったか否かを判定し、許容範囲に収まると、収まったことを示す表示を出力させる。
【0283】
以上一連の工程でヘッドモジュールの交換作業が完了する。
【0284】
交換が完了すると、記憶装置106に記憶されている各ヘッドモジュールM(n)のベースフレーム上でのノズルの位置Xa(n)、Xb(n)が更新される。すなわち、交換したヘッドモジュールM(N)のベースフレーム上でのノズルの位置Xa(N)、Xb(N)が、システムコントローラ(更新手段)100によって書き換えられる。
【0285】
この場合、システムコントローラ100は、磁気センサ298で検出されるヘッドモジュールM(N)の変位量の情報(=ヘッドモジュールM(N)の位置の情報)と、交換したヘッドモジュールを支持するX軸方向位置決め基準ピンの位置XB(n)の情報(第1の情報)と、交換したヘッドモジュールが有するノズルの位置の情報(第2の情報)とに基づいて、交換されたヘッドモジュールM(N)のベースフレーム上でのノズルの位置Xa(N)、Xb(N)を算出し、算出した情報によって、記憶装置106に記憶されている情報を更新する。
【0286】
なお、交換したヘッドモジュールM(N)のベースフレーム上でのノズルの位置Xa(N)、Xb(N)の情報は、磁気センサ298から出力されるヘッドモジュールM(N)の移動量の情報に基づいて取得される。すなわち、交換したヘッドモジュールM(N)に備えられているノズルの位置Xma(N)、Xmb(N)は既知であり、また、交換したヘッドモジュールM(N)のX軸方向位置決め基準ピンBP(N)の位置XB(N)の情報も既知であるので、位置の調整時に動かしたヘッドモジュールM(N)の移動量、及び、その移動方向の情報が取得できれば、位置調整後のヘッドモジュールM(N)のベースフレーム上でのノズルの位置Xa(N)、Xb(N)は算出することができる。
【0287】
このように、本実施の形態のヘッドモジュールの交換方法によれば、テストパターンのプリント等をすることなく、交換されたヘッドモジュールM(N)を正規の位置に取り付けるための取付位置の補正量を求めることができる。これにより、ヘッドモジュールを短時間で交換することができる。
【0288】
なお、上記の交換処理を実施した後、交換されたヘッドモジュールM(N)が正規の取付位置に取り付けられているか否かを確認するようにしてもよい。すなわち、ヘッドモジュールM(N)を交換した後の各ヘッドモジュールのベースフレーム上でのノズルの位置をノズル位置検出手段で検出し、正規の取付位置に取り付けられているか否かを確認する。
【0289】
ノズル位置検出手段は、たとえば、スキャナと画像処理手段とで構成することができる。この場合、ヘッドモジュールM(N)を交換した後のインクジェットヘッドでテストパターンをプリントし、得られたテストパターンの画像をスキャナで読み取る。そして、読み取った画像を画像処理手段で処理し、ノズル位置を検出する。スキャナは、インクジェット記録装置に搭載されていてもよいし、また、機外に設置されていてもよい。
【0290】
この他、ノズル位置検出手段は、たとえば、電子カメラと画像処理手段とで構成することもできる。この場合、インクジェットヘッドのノズル面を電子カメラで撮像し、得られた画像を画像処理手段で処理して、ノズル位置を検出する。
【0291】
このような確認処理を行うことにより、更に正確にヘッドモジュールを取り付けることができる。
【0292】
なお、この確認処理によって、交換後のインクジェットヘッドの各ヘッドモジュールのノズル位置が、正規の位置に配列されていない場合(隣接するヘッドモジュール間の距離が許容範囲にない場合)は、必要な修正処理(許容範囲に
収める処理)が施される。
【0293】
また、このように交換後のインクジェットヘッドの各ヘッドモジュールのノズル位置の検出処理を行った場合は、その検出されたノズルの位置の情報によって、記憶装置106に記憶されているベースフレーム上での各ヘッドモジュールM(n)のノズルの位置Xa(n)、Xb(n)の情報が更新される。これにより、記憶装置106に記憶させる情報(第3の情報)を高精度なものにすることができる。すなわち、実際に検出されたノズル位置の情報が記憶されるので、演算により求めたものに比べて、高精度な情報を記憶させることができる。
【0294】
《ヘッドモジュール交換方法の第2の形態》
上記実施の形態では、ベースフレーム上での各ヘッドモジュールM(N)のノズルの位置Xa(n)、Xb(n)をテストパターンの印刷等によって検出する構成としているが、ベースフレーム上での各ヘッドモジュールM(N)のノズルの位置Xa(n)、Xb(n)は、ベースフレーム上での各ヘッドモジュールM(n)の位置と、各ヘッドモジュールM(n)に備えられるノズルの位置Xma(n)、Xmb(n)とが分かれば、特定することができる。
【0295】
そして、ベースフレーム上での各ヘッドモジュールM(n)の位置は、ベースフレーム212に備えられる各X軸方向位置決め基準ピンBP(n)の位置XB(n)と、そのX軸方向位置決め基準ピンBP(n)に対するヘッドモジュールM(n)の位置が分かれば、特定することができる。
【0296】
X軸方向位置決め基準ピンBP(n)の位置は固定であり、そのX軸方向位置決め基準ピンBP(n)に対するヘッドモジュールM(n)の位置は、ベースフレーム212に取り付けた後のヘッドモジュールM(n)の変位量として求めることができる。そして、この情報は磁気センサ298から取得することができる。
【0297】
このように、ベースフレーム上での各ヘッドモジュールM(N)のノズルの位置Xa(n)、Xb(n)は、ベースフレーム212に備えられる各X軸方向位置決め基準ピンBP(n)の位置XB(n)の情報と、各ヘッドモジュールM(n)に備えられるノズルの位置Xma(n)、Xmb(n)の情報と、X軸方向位置決め基準ピンBP(n)に対するヘッドモジュールM(n)の位置の情報(ベースフレーム212に取り付けた後の各ヘッドモジュールM(n)の変位量の情報)とから求めることができる。
【0298】
したがって、ベースフレーム上での各ヘッドモジュールM(N)のノズルの位置Xa(n)、Xb(n)の情報(第3の情報)は、テストパターンの印刷等に拠らずとも取得することができる。
【0299】
図19は、各ヘッドモジュールに備えられるノズルの位置の情報と、ベースフレーム上での各ヘッドモジュールの位置の情報とを取得して、取付位置の補正量を算出する際のシステムコントローラの機能ブロック図である。
【0300】
システムコントローラ100は、ベースフレーム212に備えられる各X軸方向位置決め基準ピンBP(n)の位置XB(n)の情報と、各ヘッドモジュールM(n)に備えられるノズルの位置Xma(n)、Xmb(n)の情報と、X軸方向位置決め基準ピンBP(n)に対するヘッドモジュールM(n)の位置の情報(ベースフレーム212に取り付けた後の各ヘッドモジュールM(n)の変位量の情報)とを取得し、交換されたヘッドモジュール210を正規の位置に取り付けるための取付位置の補正量を算出する。
【0301】
なお、システムコントローラ100は、所定のプログラムを実行することにより、この位置補正情報生成手段としての機能を実現する。
【0302】
以下、このシステムコントローラ100による取付位置の補正量の算出手順について説明する。
【0303】
ここでは、N番目のヘッドモジュールM(N)が交換されたものと仮定して、以下の説明を行う。
【0304】
N番目のヘッドモジュールM(N)が交換されると、システムコントローラ100は、交換されたヘッドモジュールM(N)に備えられているノズルの位置Xma(N)、Xmb(N)の情報を取得する。また、交換されたヘッドモジュールM(N)のX軸方向位置決め基準ピンの位置XB(N)の情報(N番目のX軸方向位置決め基準ピンの位置XBの情報)を取得する。
【0305】
ノズルの位置Xma(N)、Xmb(N)の情報は、交換されたヘッドモジュールM(N)のヘッドモジュールメモリ120から取得し、X軸方向位置決め基準ピンの位置XB(N)の情報はベースフレームメモリ110から取得する。
【0306】
システムコントローラ100は、取得したノズルの位置Xma(N)、Xmb(N)の情報と、X軸方向位置決め基準ピンの位置XB(N)の情報とから、交換されたヘッドモジュール210のベースフレーム上でのノズルの位置Xa(N)、Xb(N)を算出する。
【0307】
次に、システムコントローラ100は、ベースフレーム212上での各ヘッドモジュールM(n)のノズルの位置Xa(n)、Xb(n)を算出する。ベースフレーム212上での各ヘッドモジュールM(n)のノズルの位置Xa(n)、Xb(n)は、各ヘッドモジュールM(n)に備えられているノズルの位置Xma(n)、Xmb(n)と、ベースフレーム上での各ヘッドモジュールM(n)の位置の情報とから求めることができる。そして、ベースフレーム上での各ヘッドモジュールM(n)の位置は、各ヘッドモジュールM(n)に対応するX軸方向位置決め基準ピンBP(n)の位置XB(n)の情報と、そのX軸方向位置決め基準ピンBP(n)に対するヘッドモジュールM(n)の位置の情報とから求めることができる。
【0308】
ここで、X軸方向位置決め基準ピンBP(n)に対するヘッドモジュールM(n)の位置は、ヘッドモジュールM(n)をベースフレーム212に取り付けた後のヘッドモジュールM(n)の変位量として特定される。システムコントローラ100は、各ヘッドモジュールM(n)に対応する磁気センサ298から各ヘッドモジュールM(n)の変位量の情報を取得し、各ヘッドモジュールM(n)のX軸方向位置決め基準ピンBP(n)に対する位置の情報を取得する。
【0309】
システムコントローラ100は、取得した各情報、すなわち、各ヘッドモジュールM(n)に備えられているノズルの位置Xma(n)、Xmb(n)の情報と、X軸方向位置決め基準ピンBP(n)の位置XB(n)の情報と、磁気センサ298から得られる各ヘッドモジュールM(n)の変位量の情報とに基づいて、ベースフレーム212上での各ヘッドモジュールM(n)のノズルの位置Xa(n)、Xb(n)を算出する。
【0310】
次に、システムコントローラ100は、得られたノズルの位置の情報に基づいて、交換されたヘッドモジュールM(N)と、隣接するヘッドモジュールM(N−1)、M(N+1)との間の距離X(N−1)、X(N+1)を算出する。すなわち、隣接するヘッドモジュールのノズルとの間の距離(X軸方向の距離)を算出する。
【0311】
次に、システムコントローラ100は、得られた距離X(N−1)、X(N+1)の情報に基づいて、交換されたヘッドモジュールM(N)を正規の取付位置に取り付けるための取付位置の補正量ΔXを算出する。そして、算出した補正量ΔXの情報を表示部104に表示する。
【0312】
オペレータは、この表示部104の表示に従って交換したヘッドモジュールM(N)の位置を修正する。すなわち、交換したヘッドモジュールM(N)に備えられた偏芯ローラ248を回転させ、そのヘッドモジュール210の位置を微調整する。
【0313】
以上一連の工程でヘッドモジュールの交換作業が完了する。
【0314】
このように、本実施の形態のヘッドモジュールの交換方法によっても、テストパターンのプリント等をすることなく、交換されたヘッドモジュールM(N)を正規の位置に取り付けるための取付位置の補正量を求めることができる。これにより、ヘッドモジュールを短時間で交換することができる。
【0315】
また、本実施の形態のヘッドモジュールの交換方法によれば、事前にベースフレーム上での各ヘッドモジュールのノズルの位置の情報を取得しておくことなく、交換されたヘッドモジュールを正規の取付位置に取り付けるための取付位置の補正量を求めることができる。
【0316】
なお、このように本実施の形態のヘッドモジュールの交換方法では、事前にベースフレーム上での各ヘッドモジュールのノズルの位置の情報を取得しておくことなく、交換されたヘッドモジュールを正規の取付位置に取り付けるための取付位置の補正量を求めることができるので、インクジェットヘッドを組み立てる際の各ヘッドモジュールの位置決めにも応用することができる。すなわち、ベースフレーム上での各ヘッドモジュールのノズルの位置は、X軸方向位置決め基準ピンの位置、X軸方向位置決め基準ピンに対するヘッドモジュールの位置、及び、ヘッドモジュールに備えられるノズルの位置の各情報を取得することにより求めることができるので、これらの情報を取得してベースフレーム上での各ヘッドモジュールのノズルの位置を求めることにより、各ヘッドモジュールの位置決めを行うことができる。
【0317】
なお、本実施の形態の方法でヘッドモジュールを交換した場合も、上記実施の形態の交換方法と同様に、交換されたヘッドモジュールM(N)が正規の取付位置に取り付けられているか否かの確認処理(たとえば、テストパターンをプリントし、ノズル位置を検出する処理)を実施するようにしてもよい。
【0318】
《その他の実施の形態》
上記実施の形態では、ノズルが各ヘッドモジュールのノズル面に一列に配列され、各ヘッドモジュールを繋げると、一本のノズル列が形成される構成とされているが、ノズルはマトリクス状に配列することもできる。
【0319】
図20は、ノズルがマトリクス状に配列されたインクジェットヘッドの一例を示す底面図であり、
図21は、その一部を拡大した拡大図である。
【0320】
同図に示すように、ノズルNは、ノズル面222のノズル領域222Aにマトリクス状に配列される。より詳しくは、
図21に示すように、X軸方向(行方向)に沿ってノズルNが一定のピッチで配列され、かつ、X軸に対して所定角度傾斜した直線の方向(列方向)に沿ってノズルNが一定のピッチで配列される。
【0321】
このようにノズルNを配列することにより、X軸方向に投影される実質的なノズルNの間隔を狭めることができる。
【0322】
なお、このようにノズルNをマトリクス状に配列した場合、ヘッドモジュールメモリ120に記憶させるノズルの位置の情報としては、たとえば、
図22に示すように、四隅のノズルNma(n)、Nmb(n)、Nmc(n)、Nmd(n)の位置の情報が用いられる。
【0323】
この場合、四隅のノズルNma(n)、Nmb(n)、Nmc(n)、Nmd(n)の位置Xmb(n)、Xmb(n)、Xmc(n)、Xmd(n)は、ヘッドモジュール210に設定される基準点から各ノズルNma(n)、Nmb(n)、Nmc(n)、Nmd(n)までの距離(X軸方向の距離)として取得される。
【0324】
そして、ヘッドモジュール210の基準点には、たとえば、偏芯ローラ248が用いられ、偏芯ローラ248とX軸方向位置決め基準ピン296との接点の位置が特定の基準点に設定される(偏芯ローラ248を変位の調整範囲の中央値(±0)に合わせ込んだ状態での偏芯ローラ248とX軸方向位置決め基準ピン296との接点の位置に基準点が設定される。)。
【0325】
また、取付位置の補正量を求める際は、たとえば、交換されたヘッドモジュールの四隅に配置されるノズルと、そのノズルに隣接するノズルとの間の距離を求めて、求めた各距離が許容範囲に収まるように、補正量を算出する。
【0326】
たとえば、交換対象とするヘッドモジュールをM(N)とし、その四隅に対置されるノズルをNa(N)、Nb(N)、Nc(N)、Nd(N)
とすると、ノズルNa(N)については、隣接するヘッドモジュールM(N−1)のノズルNb(N−1)との間の距離を求める。また、ノズルNb(N)については、隣接するヘッドモジュールM(N−1)のノズルNa(N−1)との間の距離を求める。また、ノズルNc(N)については、隣接するヘッドモジュールM(N+1)のノズルNd(N+1)との間の距離を求める。また、ノズルNd(N)については、隣接するヘッドモジュールM(N+1)のノズルNc(N+1)との間の距離を求める。そして、求めた各距離の情報に基づいて、交換されたヘッドモジュールM(N)を正規の取付位置に取り付けるための取付位置の補正量ΔXを算出する。
【0327】
なお、上記の例では、四隅のノズルの位置の情報を用いているが、少なくとも2カ所の情報が得られれば、隣接するヘッドモジュールとの間の距離を求めることができる。
【0328】
また、四隅のノズルの位置の情報を用いる場合も次のようにして、交換したヘッドモジュールと、その交換したヘッドモジュールに隣接するヘッドモジュールとの間の距離を求めることができる。
【0329】
たとえば、交換したヘッドモジュールをM(N)としたとき、まず、そのヘッドモジュールM(N)の一方側(左側)の端部に位置する2つのノズルNa(N)、Nb(N)の位置Xa(N)、Xb(N)の情報を取得する。そして、その2つのノズルNa(N)、Nb(N)の中間位置XL(N)を求める。同様に、交換したヘッドモジュールM(N)の他方側(右側)の端部に位置する2つのノズルNc(N)、Nd(N)の位置Xc(N)、Xd(N)の情報を取得する。そして、その2つのノズルNc(N)、Nc(N)の中間位置XR(N)を求める。
【0330】
求めた左右両端のノズルの中間位置XL(N)、XR(N)を交換したヘッドモジュールM(N)の両端のノズルの位置とする。
【0331】
次に、その交換したヘッドモジュールM(N)の片側(左側)に隣接するヘッドモジュールM(N−1)の一方側(右側)の端部に位置する2つのノズルNa(N−1)、Nb(N−1)の位置Xa(N−1)、Xb(N−1)の情報を取得する。そして、その2つのノズルNa(N−1)、Nb(N−1)の中間位置XR(N−1)を求める。
【0332】
求めたノズルの中間位置XR(N−1)を交換したヘッドモジュールM(N)の片側(左側)に隣接するヘッドモジュールM(N−1)の片側(右側)の端部のノズルの位置とする。
【0333】
同様に、その交換したヘッドモジュールM(N)の片側(右側)に隣接するヘッドモジュールM(N+1)の一方側(左側)の端部に位置する2つのノズルNc(N+1)、Nd(N+1)の位置Xc(N+1)、Xd(N+1)の情報を取得する。そして、その2つのノズルNc(N+1)、Nd(N+1)の中間位置XL(N+1)を求める。
【0334】
求めたノズルの中間位置XL(N+1)を交換したヘッドモジュールM(N)の片側(右側)に隣接するヘッドモジュールM(N+1)の片側(左側)の端部のノズルの位置とする。
【0335】
次に、交換したヘッドモジュールM(N)の両端のノズルの位置XL(N)、XR(N)と、隣接するヘッドモジュールM(N−1)、M(N+1)のノズルの位置XR(N−1)、XL(N+1)との情報に基づいて、交換したヘッドモジュールと、その交換したヘッドモジュールM(N)に隣接するヘッドモジュールM(N−1)、M(N+1)との間の距離を求める。
【0336】
このように、四隅に配置されるノズルの位置の情報から両端のノズルの位置を仮想的に求め、求めた位置に基づいて、ヘッドモジュール間の距離を求める構成とすることもできる。
【0337】
《位置検出手段の較正1》
本実施の形態のインクジェットヘッド200には、ベースフレーム212に取り付けられたヘッドモジュール210の位置を検出するために、位置検出手段が備えられている。位置検出手段は、磁石260と磁気センサ298とで構成されており、それぞれ分離して設けられている。すなわち、磁石260はヘッドモジュール210に設けられており、磁気センサ298はベースフレーム212に設けられている。
【0338】
上記のように、本実施の形態のインクジェットヘッド200は、ヘッドモジュール210が規格化されており、どのヘッドモジュールをどの位置に取り付けることもできる。このため、磁気センサ298と磁石260との組み合わせが一意に定まらない。
【0339】
一方、ヘッドモジュール210が移動(X方向の移動)したときに磁気センサ298から出力される値、すなわち、磁気センサ298の感度(ゲイン)は、磁気センサ298と磁石260との組み合わせによって変動する。
【0340】
磁気センサ298の感度が変動する要因としては、磁気センサ298の出力の個体差、磁石260の磁力の個体差、磁気センサ298と磁石260との取付位置のズレ(たとえば、Y方向やZ方向のズレ)などが挙げられる。したがって、磁気センサ298と磁石260とを任意の組み合わせで使用した場合であっても、これらの情報を取得できれば、磁気センサ298の感度を補正して一定の感度で使用することができる。
【0341】
以下、磁気センサ298の感度の補正方法について説明する。
【0342】
上記のように、磁気センサ298が取り付けられたベースフレーム212には、ベースフレームメモリ110(第1の記憶手段)が備えられている。このベースフレームメモリ110には、ベースフレーム212に備えられた各磁気センサ298の感度を補正するのに必要な情報(第1のセンサ感度補正情報)が、その磁気センサ298の設置位置の情報に関連付けられて記憶される。
【0343】
一方、磁石260が取り付けられた各ヘッドモジュール210には、ヘッドモジュールメモリ120(第2の記憶手段)が備えられている。このヘッドモジュールメモリ120には、そのヘッドモジュール210に取り付けられた磁石260を使用した際に必要になる磁気センサ298の感度の補正情報(第2のセンサ感度補正情報)が記憶される。
【0344】
ベースフレーム212にヘッドモジュール210が取り付けられると、システムコントローラ100は、ベースフレームメモリ110から第1のセンサ感度補正情報を読み出す。また、そのヘッドモジュールメモリ120から第2のセンサ感度補正情報を読み出す。そして、読み出した第1のセンサ感度補正情報と第2のセンサ感度補正情報とに基づいて、磁気センサ298の感度を補正する。
【0345】
すなわち、
図23に示すように、システムコントローラ100は、所定の制御プログラムを実行することにより、センサ感度補正手段として機能し、ベースフレームメモリ110から取得した第1のセンサ感度補正情報と、ヘッドモジュールメモリ120から取得した第2のセンサ感度補正情報とに基づいて、磁気センサ298の感度を補正する。
【0346】
これにより、任意の組み合わせで磁気センサ298と磁石260とを使用した場合であっても、磁気センサ298の感度を一定にして使用することができる。
【0347】
ここで、第1のセンサ感度補正情報としては、磁気センサ298の出力の個体情報(検出感度(ゲイン)の個体データ)、磁気センサ298の取付位置の情報などが記憶される。
【0348】
一方、第2のセンサ感度補正情報としては、磁石260の個体情報としての磁力の情報、磁石260の取付位置の情報などが記憶される。
【0349】
たとえば、センサ側補正情報として磁気センサ298の取付位置の情報を記録し、磁石側補正情報として磁石260の取付位置の情報を記録した場合には、磁気センサ298と磁石260との取付位置のズレ(ズレ量とズレ方向)を求めることができる。そして、磁気センサ298と磁石260との取付位置のズレが分かれば、磁気センサ298の感度の補正量が分かるので、システムコントローラ100は、磁気センサ298と磁石260との取付位置のズレに基づいて、磁気センサ298の感度を補正する。
【0350】
同様に磁気センサ298の出力の個体情報の情報が分かれば、個体差による出力差を是正することができるので、センサ側補正情報として磁気センサ298の個体情報(検出感度(ゲイン)の個体データ)が記憶されている場合は、その情報を読み出して、磁気センサ298の感度を補正する。
【0351】
また、磁石260の磁力が分かれば、磁石260の磁力に応じて磁気センサ298の感度を補正することができるので、磁石側補正情報として磁石260の磁力の情報が記憶されている場合は、その情報を読み出して、磁気センサ298の感度を補正する。
【0352】
このように、磁気センサ298と磁石260とが、それぞれ個別に磁気センサ298の感度の補正に必要な情報を保有しておくことにより、任意の組み合わせで磁気センサ298と磁石260とを使用した場合であっても、一定の感度になるように磁気センサ298の感度を補正して使用することができる。
【0353】
なお、ベースフレームメモリ110及びヘッドモジュールメモリ120に記録する情報は、磁気センサ298の感度を補正するのに有効な情報であれば、その種類等については特に限定されるものでない。上記の他、たとえば、ベースフレームメモリ110には、温度による磁気センサ298の感度の補正情報を記録することができる。すなわち、磁気センサは、温度に応じて感度が変動したり、取付位置が変動したりする場合があるので、温度による感度の補正情報を記憶しておき、周辺温度の変化に応じて感度を適宜補正するようにしてもよい。磁石260も同様に温度に応じて磁力が変動したり、取付位置が変動したりする場合があるので、温度による感度の補正情報をヘッドモジュールメモリ120に記憶しておき、周辺温度の変化に応じて感度を適宜補正するようにしてもよい。
【0354】
なお、この場合、温度情報を取得するため、インクジェットヘッドには温度検出手段としての温度センサが備えられる。温度センサは、各磁気センサに個別に設けられ、各磁気センサ298の周辺温度を計測する。なお、一つのインクジェットヘッド内で温度分布に偏りがない場合は、ベースフレーム212の一カ所に温度センサを設置し、その温度センサで計測される温度を各磁気センサの周辺温度とすることもできる。あるいは、測定領域を複数に分割し、領域ごとに温度を計測する構成とすることもできる。
【0355】
《位置検出手段の較正2》
本方法では、あらかじめ磁気センサ298の感度と、磁石260の感度とを専用の測定治具で測定しておき、得られた磁気センサ298の感度データと、磁石260の感度データと、測定治具のデータとに基づいて、磁気センサの感度を設定する。
【0356】
以下、本方法による磁気センサ298の感度の設定方法について説明する。
【0357】
まず、磁石260の感度を測定する測定治具(磁石感度測定治具)と、磁気センサ298の感度を測定する測定治具(磁気センサ感度測定治具)とを用意する。
【0358】
磁石感度測定治具(検出対象部材感度測定治具)は、たとえば、基準となる磁気センサを備えたベースフレームで構成される。また、磁気センサ感度測定治具(センサ感度測定治具)は、たとえば、基準となる磁石を備えたヘッドモジュールで構成される。
【0359】
また、磁石感度測定治具は、マスタと複製とが用意される。マスタを第1の磁石感度測定治具A1(第1の検出対象部材感度測定治具)、その複製を第2の磁石感度測定治具A2(第2の検出対象部材感度測定治具)とする。
【0360】
磁気センサ感度測定治具も同様にマスタと複製とが用意される。マスタを第1の磁気センサ感度測定治具B1(第1のセンサ感度測定治具)、複製を第2の磁気センサ感度測定治具B2(第2のセンサ感度測定治具)とする。
【0361】
〈治具データの取得〉
まず、第1の磁石感度測定治具A1と第1の磁気センサ感度測定治具B1とを用いて感度データを取得する。すなわち、第1の磁石感度測定治具A1と第1の磁気センサ感度測定治具B1とを組み合わせて、第1の磁石感度測定治具A1に備えられる磁気センサの感度のデータを取得する。取得したデータを基準データSTとする。
【0362】
次に、第1の磁気センサ感度測定治具B1と第2の磁石感度測定治具A2とを用いて感度データを取得する。すなわち、第1の磁気センサ感度測定治具B1と第2の磁石感度測定治具A2とを組み合わせて、第2の磁石感度測定治具A2に備えられる磁気センサの感度のデータを取得する。取得したデータを第2の磁石感度測定治具A2の特性データATとする。
【0363】
次に、第1の磁石感度測定治具A1と第2の磁気センサ感度測定治具B2とを用いて感度データを取得する。すなわち、第1の磁石感度測定治具A1と第2の磁気センサ感度測定治具B2と組み合わせて、第1の磁石感度測定治具A1に備えられる磁気センサの感度のデータを取得する。取得したデータを第2の磁気センサ感度測定治具B2の特性データBTとする。
【0364】
〈治具(複製)による測定〉
次に、第2の磁石感度測定治具A2を用いてヘッドモジュール210に備えられている磁石260の感度データを取得する。取得したデータをヘッドモジュールに備えられた磁石260の仮感度データMM(仮)とする。
【0365】
この磁石260の仮感度データMM(仮)の取得処理は、たとえば、ヘッドモジュール210の製造時に実施される。
【0366】
次に、第2の磁気センサ感度測定治具B2を用いてベースフレーム212に備えられている磁気センサ298の感度データを取得する。取得したデータをベースフレーム212に備えられた磁気センサ298の仮感度データMS(仮)とする。
【0367】
この磁気センサ298の仮感度データMS(仮)の取得処理は、たとえば、ベースフレーム212の製造時に実施される。
【0368】
〈感度情報の生成〉
次に、基準データSTと、第2の磁石感度測定治具A2の特性データATとに基づいて、ヘッドモジュール210に備えられている磁石260の仮感度データMM(仮)を補正する。補正は、補正後の感度データをMMとすると、次式により算出される。
【0369】
MM=MM(仮)*ST/AT
この補正後の感度データMMは、磁石感度情報(検出対象部材感度情報)として、ヘッドモジュールメモリ120に記憶される。
【0370】
次に、基準データSTと、第2の磁気センサ感度測定治具B2の特性データBTとに基づいて、ベースフレーム212に備えられている磁気センサ298の仮感度データMS(仮)を補正する。
【0371】
補正は、補正後の感度データをMSとすると、次式により算出される。
【0372】
MS=MS(仮)*ST/BT
この補正後の感度データMSは、磁気センサ感度情報として、ベースフレームメモリ110に記憶される。
【0373】
〈センサ感度の設定〉
ヘッドモジュール210の交換が行われると、システムコントローラ100は、磁気センサ感度情報MSと磁石感度情報MMとを取得して、交換されたヘッドモジュール210の変位を測定する磁気センサ298の感度を設定する。すなわち、
図24に示すように、システムコントローラ100は、センサ感度設定手段として機能する。システムコントローラ100は、所定の制御プログラムを実行することにより、センサ感度設定手段として機能し、磁気センサ感度情報MSと、磁石感度情報MMと、基準データSTとに基づいて、交換されたヘッドモジュール210の変位を測定する磁気センサ298の感度を設定する。この処理は、次のように行われる。
【0374】
まず、システムコントローラ100は、交換されたヘッドモジュール210のヘッドモジュールメモリ120から磁石感度情報MMを取得する。
【0375】
次に、システムコントローラ100は、ベースフレーム212に備えられたベースフレームメモリ110から、交換されたヘッドモジュール210に対応する磁気センサ298の磁気センサ感度情報MSを取得する。
【0376】
次に、システムコントローラ100は、得られた磁気センサ感度情報MSと磁石感度情報MMとに基づいて、交換されたヘッドモジュール210に対応する磁気センサ298の感度データMCを生成する。この感度データMCは、次式により算出される。
【0377】
MC=MM+MS−ST
すなわち、磁石感度情報MMと、磁気センサ感度情報MSとを合成し、そこから基準データSTを差し引くことにより、実際に使用する感度データMCを生成する。
【0378】
このようにして実際に使用する磁気センサ298の感度を設定することにより、磁石260と磁気センサ298との組み合わせの相違による磁気センサ298の感度のバラツキを抑えることができ、高精度な位置検出(変位量の検出)を行うことができる。
【0379】
なお、基準データSTは、システムコントローラ側であらかじめ取得しておく。たとえば、記憶装置106に記憶させておき、感度データMCの算出時に記憶装置106から読み出して取得する。
【0380】
磁気センサ298の感度データMCは、上記のように取得できるが、取得した感度データMCを更に温度に応じて補正することにより、更に高精度な位置検出を行うことができる。
【0381】
温度による補正は、たとえば、所定の温度補正関数を用意しておき、この温度補正関数で算出した温度補正係数を感度データMCに掛け合わせて、感度データMCを補正する。あるいは、所定のテーブルを用意しておき、このテーブルを参照して温度補正係数を取得し、取得した温度補正係数を感度データMCに掛け合わせて、感度データMCを補正する。
【0382】
《変位量検出手段の他の例》
ベースフレームに取り付けられたヘッドモジュールの位置検出手段としては、上記の磁気センサの他、レーザ距離センサや赤外線距離センサ、渦電流センサの構成などを使用することができる。
【0383】
〈レーザ距離センサ〉
レーザ距離センサを使用する場合は、たとえば、ベースフレーム212側にレーザ距離センサを設け、ヘッドモジュール210側には、そのレーザ距離センサの被検出部(レーザ照射部)を設ける。
【0384】
レーザ距離センサを使用する場合も上記磁気センサの場合と同様にセンサの感度補正、あるいは、感度設定を行うことが好ましい。すなわち、レーザ距離センサも磁気センサと同様にセンサの出力に個体差があるので、センサごとにメモリ(センサ側記憶手段)を所有し、そのメモリに感度を補正するための情報(センサ側補正情報)を記憶しておく。たとえば、レーザ距離センサの個体情報(検出感度(ゲイン)の個体データ)や取付位置の情報などをセンサ側補正情報として記憶しておく。被検出部側も同様に反射率や周囲の明るさ、周囲の温度などによってセンサの感度が変動するので、被検出部側もメモリ(被検出体側記憶手段)を所有し、その被検出部を使って検出する場合に必要なレーザ距離センサの感度の補正情報(被検出体側補正情報)を記憶しておく。たとえば、被検出部の反射率や周囲の明るさ、周囲の温度、取付位置の情報などを被検出体側補正情報として記憶しておく。これにより、いかなる組み合わせのレーザ距離センサと被検出部とを使用した場合であっても、一定の感度になるように修正して使用することができる。
【0385】
〈赤外線距離センサ〉
赤外線距離センサを使用する場合は、たとえば、ベースフレーム212側に赤外線距離センサを設け、ヘッドモジュール210側には、その赤外線距離センサの被検出部(赤外線照射部)を設ける。
【0386】
赤外線距離センサを使用する場合も上記磁気センサの場合と同様にセンサの感度補正、あるいは、感度設定を行うことが好ましい。すなわち、赤外線距離センサも磁気センサと同様にセンサの出力に個体差があるので、センサごとにメモリ(センサ側記憶手段)を所有し、そのメモリに感度を補正するための情報(センサ側補正情報)を記憶しておく。たとえば、赤外線距離センサの個体情報(検出感度(ゲイン)の個体データ)や取付位置の情報などをセンサ側補正情報として記憶しておく。被検出部側も同様に反射率や周囲の温度、被検出体の温度、被検出体の色、周囲の明るさなどによってセンサの感度が変動するので、被検出部側もメモリ(被検出体側記憶手段)を所有し、その被検出部を使って検出する場合に必要な赤外線距離センサの感度の補正情報(被検出体側補正情報)を記憶しておく。たとえば、被検出部の表面粗さや反射率や周囲の温度、被検出体の温度、被検出体の色、周囲の明るさの情報などを被検出体側補正情報として記憶しておく。これにより、いかなる組み合わせの赤外線距離センサと被検出部とを使用した場合であっても、一定の感度になるように修正して使用することができる。
【0387】
〈渦電流センサ〉
渦電流センサを使用する場合は、たとえば、ベースフレーム212側に渦電流センサを設け、ヘッドモジュール210側には、その渦電流センサの被検出部を設ける。
【0388】
渦電流センサを使用する場合も上記磁気センサの場合と同様にセンサの感度補正、あるいは、感度設定を行うことが好ましい。すなわち、渦電流センサも磁気センサと同様にセンサの出力に個体差があるので、センサごとにメモリ(センサ側記憶手段)を所有し、そのメモリに感度を補正するための情報(センサ側補正情報)を記憶しておく。たとえば、渦電流センサの個体情報(検出感度(ゲイン)の個体データ)や取付位置の情報などをセンサ側補正情報として記憶しておく。被検出部側も同様に導伝率や透磁率、被検出体の温度などによってセンサの感度が変動するので、被検出部側もメモリ(被検出体側記憶手段)を所有し、その被検出部を使って検出する場合に必要な渦電流センサの感度の補正情報(被検出体側補正情報)を記憶しておく。たとえば、被検出部の導伝率や透磁率、被検出体の温度、取付位置の情報などを被検出体側補正情報として記憶しておく。これにより、いかなる組み合わせの渦電流センサと被検出部とを使用した場合であっても、一定の感度になるように修正して使用することができる。
【0389】
〈その他〉
その他、ヘッドモジュール210の変位量を検出する変位検出手段は、高分解能を有し、小型の計測機器を好適に用いることができる。
【0390】
《X方向取付位置調整手段の他の例》
上記実施の形態のX方向取付位置調整手段(取付位置調整手段)は、偏芯ローラ248を手動で回転させる構成とされているが、ヘッドモジュール210にアクチュエータを搭載し、偏芯ローラ248を電動で回転させる構成とすることもできる。
【0391】
図25に示す例では、偏芯ローラ248のアクチュエータとしてモータ320がヘッドモジュール210に搭載されている。モータ320には、その駆動軸にネジ歯車(ウォーム)322が連結されている。偏芯ローラ248には、軸部248Aに、はす歯歯車(ウォームホイール)324が連結されている。ネジ歯車322は、はす歯歯車324に噛み合わされている。モータ320を駆動して、ネジ歯車322を回転させると、はす歯歯車324が回転し、この結果、偏芯ローラ248が回転する。
【0392】
このように、偏芯ローラ248を電動で回転させる構成とすることもできる。この場合、ヘッドモジュール210の位置決めの処理を自動で行うことができる。また、ヘッドモジュール210に許容以上の位置ズレが生じた場合にも自動で補正処理を行うことができる。
【0393】
なお、上記実施の形態では、偏芯ローラ248とプランジャ250とX軸方向位置決め基準ピン296とでX方向取付位置調整手段を構成しているが、X方向取付位置調整手段の構成は、これに限定されるものではない。この他、たとえば、ボールネジ機構等の移動機構を用いて構成することもできる。
【0394】
《その他の実施の形態》
上記実施の形態では、偏芯ローラ248とプランジャ250とをヘッドモジュール210側に設け、X軸方向位置決め基準ピン296をベースフレーム212側に設けているが、偏芯ローラ248とプランジャ250とをベースフレーム212側に設け、X軸方向位置決め基準ピン296をヘッドモジュール210側に設ける構成とすることもできる。
【0395】
また、上記実施の形態では、磁気センサ298をベースフレーム212側に設け、磁石260をヘッドモジュール210側に設ける構成としているが、磁気センサ298をヘッドモジュール210側に設け、磁石260をベースフレーム212側に設ける構成とすることもできる。
【0396】
また、上記実施の形態では、偏芯ローラ248として、ローラ部248Bと軸部248Aとを偏芯させた構成のローラを使用しているが、ローラ部が楕円形状等のローラを使用した場合であっても同様の作用効果を得ることができる。
【0397】
また、上記実施の形態では、中央のX軸方向位置決め基準ピンBP(9)を基準として、各X軸方向位置決め基準ピンBP(n)の位置を特定する構成としているが、各X軸方向位置決め基準ピンBP(n)の位置を求める際に基準とする点は、特にこの点に限定されるものではない。長手方向の端部に位置するX軸方向位置決め基準ピン(BP(1)又はBP(17))の位置を基準にすることもできる。ベースフレーム上に取り付けられた各ヘッドモジュールM(n)のノズルの位置を求める場合も同様である。
【0398】
また、支持基準点についても、ベースフレームに取り付けられるヘッドモジュールの位置を特定できる点であればよく、必ずしもX軸方向位置決め基準ピンの位置に設定する必要はない。ヘッドモジュール上に備えられるノズルの位置を特定する場合も、ノズルの位置を特定できれば、基準とする点は任意に定めることができる。
【0399】
また、上記実施の形態では、ヘッドモジュールが同一直線上に配列されたインクジェットヘッドに本発明を提供した場合を例に説明したが、
図26に示すように、本発明は、ベースフレーム212に対してヘッドモジュール210を千鳥状に配列して構成されるインクジェットヘッド(ヘッドモジュール210が一つの直線に沿って交互に配列されるインクジェットヘッド)にも同様に適用することができる。
【0400】
また、上記実施の形態では、ベースフレーム212上での各ヘッドモジュールM(n)のノズルの位置Xa(n)、Xb(n)の情報(第3の情報)をインクジェット記録装置10に備えられた記憶装置106(第3の記憶手段)に記憶させる構成としているが、ベースフレーム212に備えられた記憶手段に記憶させるようにしてもよい。この場合、ベースフレーム212に備えられる各X軸方向位置決め基準ピンの位置XB(n)の情報(第1の情報)とともにベースフレームメモリ110に記憶させるようにしてもよいし、また、別に設けた記憶手段に記憶させるようにしてもよい。たとえば、ベースフレーム212に第1のベースフレームメモリと第2のベースフレームメモリを設け、第1のベースフレームメモリにベースフレーム212に備えられる各X軸方向位置決め基準ピンの位置XB(n)の情報(第1の情報)を記憶させ、第2のベースフレームメモリにベースフレーム212上での各ヘッドモジュールM(n)のノズルの位置Xa(n)、Xb(n)の情報(第3の情報)を記憶させるようにしてもよい。